JP3746729B2 - 機器の劣化を検出する方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、検知システムを有する機器一般における性能劣化を検出する方法に関し、特に、劣化が徐々に進行するような機器の性能劣化を検出する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、検知システムを有する機器の故障には、時間的観点から次の2通りのタイプがある。一つは何の前触れもなく突然起こる故障であり、もう一つは徐々に不具合が顕在化するような故障である。後者の場合には、検知システムによる計測データを監視しその兆候を敏感に発見することにより、機器の重大な故障に至る前に異常を予知することが可能である。
【0003】
このように、検知システムによって計測されるデータに着目し、これに様々な統計的手法を応用することにより、機器の故障又は性能劣化を検出する方法が研究されている。典型的には、検知システムの正常運転時の状態を何らかのモデルとして記述した後、このモデルにより予測される予測値と実際のシステム稼動時の計測値とを比較することにより、機器の状態を診断する方法が用いられている。このような予測モデルとしては、自己回帰を含む多変量線形回帰モデルが使用されることが多い。
【0004】
従来の線型回帰モデルに基づいた残差法による異常検出方法を以下に説明する。検知システムを有する機器において、センサ等による測定値を変数x1, x2, ... , xp, yで表す。これらの変数は、例えば、温度や圧力などを測定した値である。ここで、一つの変数(y)が他の変数(x1, x2, ... , xp)の線型結合で表現できる場合を考える。これを次の式で表す。
y = a0 + a1x1 + a2x2 + ... + apxp (1)
【0005】
ここで、左辺のyについて注目した式変形を行っているが、このyを目的変数と呼び、その他の右辺の変数を説明変数と呼ぶ。通常、これらのセンサ類は一定の時間間隔を置いて繰り返し測定を行うものであるから、それぞれの変数について、第i回目の測定値はy(i), x1(i), x2(i), ... , xp(i)と表すものとする。
【0006】
まず、機器を正常状態で一定時間運転してn回の測定を行い、得られたデータ群y(i), x1(i), x2(i), ... , xp(i) (i = 1, 2, … , n)を正常運転時の標本データとして記憶しておく。この標本データに基づいて式(1)の定数a0〜apを推定する。この定数の推定方法には様々なものがあるが、例えば、y(i), x1(i), x2(i), ... , xp(i) (i = 1, 2, … , n)を用いて、正規方程式を解くことにより定数a0〜apを得ることができる。また、再帰的な式を推定に用いることにより、検知システム稼動中は常に定数a0〜apの推定値が更新されるオンラインパラメータ学習法とすることもできる。
【0007】
こうして、式(1)の定数a0〜apを推定して得られる回帰式は、将来測定される変数yの値についての予測値を与えるものである。この予測値と実際の測定値との残差を取り、この残差の大小を評価することにより、測定値が妥当なものかどうかを評価する。
【0008】
このような線型回帰モデルの実施例を以下に示す。ここでは、機器の劣化検出とは関係ないが、線型回帰モデルの簡単な実施例として、ガス会社によるガス供給量と気温のデータを取り扱う。一般に、ガス供給量と気温との間には相関性があることが知られており、特に、冬季の一定期間に限っては各日のガス供給量と平均気温の2変数はほぼ線形的な関係を有することが知られている。そこで、平成13年11月及び12月の平日と12月29日(土曜日)及び12月30日(日曜日)について、あるガス会社によるガス供給量と平均気温のデータを採取した。図1はこのデータをプロットした図である。
【0009】
ここで、簡単に、ガス供給量(y)と平均気温(x)の相関関係は、次のような線型単回帰モデルを用いて表すことができる。
y = a0 + a1x (2)
図1において、標本データのうち平日のデータはほぼこのモデルに合致しており、休日のデータはこれから外れていることがわかる。これは、一般的に、休日は平日よりもガスの需要が総じて低いからであるといえる。図中の破線はエラーバーを表しており、この範囲(信頼区間)内にあるデータはこのモデルに合致していると判断することができる。本発明が関する機器の性能劣化の診断という観点からみると、ガスの需要と平均気温が一定の相関性を保っている平日のデータ群に対して、休日のデータ群は異常なデータであるということができる。すると、この線型単回帰モデルを用いたプロット図によれば、相当正確に異常を診断することが可能であるといえる。
【0010】
次に、データ採取初日から5日分のみのデータに基づいて線型回帰モデルを導出した場合、このモデルがその後の測定値を正確に予想しているかを考えてみる。図2は、上記同様のプロット図である。一見すると、11月上旬の平均的気温である15℃付近においては予測精度が高いが、気温5〜10℃付近では平日データの予測精度が低下するのみならず、エラーバーが相当広くなってしまうため休日データまでもが信頼区間内に入ってしまう。統計学的には、5〜10℃付近のデータ標本が不足しているため、全体としては予測制度の低いモデルとなってしまうと考えられる。
【0011】
したがって、このタイプの線型回帰モデルは、標本データが豊富な説明変数範囲においては高い予測精度を示すが、標本データが乏しい説明変数範囲においては十分な予測精度を与えないことになる。十分な予測精度を示す線型回帰モデルを得るためには、広い説明変数範囲にわたった偏りのない標本データに基づいてこれを導出しなければならない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、広い説明変数範囲にわたった偏りのない標本データを短期間で得ることができない場合がある。例えば、説明変数に気温を含む場合である。気温は季節ごとに一定の変動を繰り返すものであるから、高温時から低温時まで、幅広く標本データを採取しようとすれば、数ヶ月という期間を要することになってしまう。このような状況では、標本データを採取している間に機器の劣化が進行してしまい、標本データ内に異常データが紛れ込んでしまうため、モデルそのものが正常運転時のものとは異なってしまう。
本発明は、上記のような異常データが標本データ内に追加されてしまうのを回避することにより、検知性能の劣化が徐々に進行するような機器においても、性能劣化を高精度で検出する方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、検知システムを有する機器において、測定値の標本データを採取し、該標本データから導出される回帰モデルを用いてその後の測定値を監視することにより、前記機器の劣化を検出する方法であって、近傍に十分な標本データがない測定値が得られた場合には、該測定値を一時保留し、該測定値前後の複数回の測定値と、前記回帰モデルに基づく予測値との残差が連続して所定の値より小さいと判定すれば、前記一時保留した測定値を標本データに追加することを特徴とする方法に関するものである。近傍に十分な標本データがない測定値については一時保留し、以後の複数回の測定値が回帰モデルに合致していれば信頼性が高い測定値であると判断して、これを標本データに追加する。
また、本発明において、前記測定値の近傍に十分なデータがあるかどうかは、前記標本データ空間におけるマハラノビス汎距離、又は前記回帰モデルの予測信頼区間に基づいて判定されることを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図3は、本発明の実施の形態を示すフローチャートである。本発明の開始にあたっては、まず、正常状態の機器を一定期間作動し、センサ類により測定される各測定値の複数回分を標本データとして記憶しておく。この標本データに基づいて回帰式を導入し、これを以降の測定において回帰予測モデルとして用いる。なお、この段階での標本データは、説明変数の特定範囲に偏ったものであってもよく、本発明の方法によれば、以後のシステム稼動時において学習を重ねることにより、高い精度の回帰予測モデルを得ることができる。
【0015】
次に、機器を実際の稼動状況で運転する。本実施形態では、機器にマイクロコンピュータ等からなる制御手段を備えることにより、これ以降の全ての手順を自動で行うようにすることができる。センサ類が測定を行うと、制御手段は各測定値と標本データとを比較し、標本空間において測定値の近傍に標本データが豊富にあるかどうかを判定する。この判定には次の2つの方法のうちいずれかを用いることができる。第1の方法は、標本空間において、測定値の説明変数が回帰式の導出に利用された説明変数のデータ群からどのくらい離れた位置にあるかに基づいて判定する方法である。ここで、標本空間内のデータ又はデータ群間の距離を示す指標として、マハラノビス汎距離を用いる。
一般的に、k 個の群の母集団の平均を μj = ( μ1j, μ2j, ... , μpj )( j = 1,2, ... ,k )とし、観測値を X= ( X1, X2, ... , Xp )とし、各群の分散共分散行列を Σj、その逆行列を Σj -1 とするとき、マハラノビス汎距離dj 2は以下のように定義される。
dj 2 = (X -μj )' Σj -1 (X -μj ) (3)
但し、μj、X、Σj、及びΣj -1は行列表現である。
【0016】
第2の方法は、回帰式の信頼区間に基づいて判定する方法である。図1及び図2から明らかなように、標本データが十分に豊富でない領域ではエラーバー間が広くなり信頼区間が増大する。したがって、それぞれの測定値についてこの信頼区間が所定の閾値より大きいときは、測定値近傍に十分な標本データがないと判定することができる。線形回帰モデルにおける回帰式の信頼区間は、例えば、k回目の測定において、目的変数の回帰モデルによる予測値をy^(k)とすると、以下の式で定義することができる。
【0017】
【式1】
【0018】
ここで、tα (n - p - l)はt分布の100α%限界値であり、Veは残差分散である。
測定値の近傍に十分な標本データがないと判定した場合には、この測定値データを一時保留データベースに記憶して、今回の測定を終了する。また、測定値の近傍に十分な標本データがある場合には、回帰式の予測値との残差を計算し検出システムの異常判定を行う。予測残差が所定の値を超えていれば、検出システムは異常であると判定し、所定の表示、警告等を行う。予測残差が所定の値未満であり検出システムが正常であると判定された場合には、さらに過去複数回の測定における予測残差を参照して、予測残差が連続して十分に小さいかどうかを判定する。このときの判定基準は、異常判定の基準よりも厳しいものを用いる。過去複数回の測定における予測残差が連続して十分に小さいと判定した場合には、一時保留データベースに記憶されている近傍に十分な標本データがなかった測定値データを標本データに追加する。この標本データの更新に伴い、新たに回帰式を導出する。予測残差が連続して十分に小さくない場合には、今回の測定を終了するが、このとき、一時保留データベースに記憶してある近傍に十分な標本データがなかった測定値データを破棄するようにしてもよい。
【0019】
ここで、過去何回分の測定の予測残差が十分に小さいときに、一時保留した測定データが信頼できると判定するかについては、機器の種類、測定対象及び環境等に依存するものであり、本発明の実施にあたって、実際に測定実験を繰り返して決定すべきものである。
【0020】
このような学習ルールを用いれば、長期にわたって継続的に標本収集を行い、標本データが十分でない領域における測定値についてもその信頼性を評価し、信頼性が高いと判断すればこれを標本データにすることにより、標本空間の拡張が可能となる。また標本空間を拡張しても、回帰予測モデルは高い予測精度を保つことができる。
【0021】
【実施例】
上記実施形態に従って、ヒートポンプ熱交換器の異常検出の実験を行った。図4は、本実験に用いるヒートポンプ熱交換器を概略的に示す。ヒートポンプ熱交換器は、コンプレッサ1、蒸発器(高温側熱交換器)2、膨張弁3、及び凝縮器(低温側熱交換器)4から構成される。このヒートポンプ熱交換器を稼動させると、気体の熱媒体はコンプレッサにより圧縮され、凝縮器において凝縮されて液化した後、液体の熱媒体は膨張弁で断熱膨張され、蒸発器において気化されるというサイクルを繰り返す。このとき、凝縮器において、熱媒体はほぼ等圧下で液化するとともに外部に熱ΔHhを放出する。一方、蒸発器において、熱媒体はほぼ等圧下で気化するとともに外部から熱ΔHlを吸収する。したがって、蒸発器は高温側熱交換器として加熱を、凝縮器は低温側熱交換器として冷却をそれぞれ行うことができる。図5は、このようなヒートポンプサイクルにおける熱媒体の状態変化をP-H線図で表したモリエル線図である。ここで、ΔHhは熱媒体がサイクル外部に対して与える熱量を、ΔHlは熱媒体がサイクル外部から吸収する熱量を、ΔHcはコンプレッサが熱媒体に対してする仕事量を示しており、ΔHh=ΔHl+ΔHcという関係式が成立する。
【0022】
このようなヒートポンプ熱交換器では、熱媒体の汚染及び変質、サイクル内の各機器の異常、配管の汚れなどの異常が発生するおそれがあり、これらは熱交換器における加熱・冷却能力が劣化する原因となる。このような劣化が起こると、所望の加熱・冷却効果を得るためには、より高負荷でヒートポンプサイクルを稼動させなければならなくなり、装置の各機器に多大な負荷をかけることになってしまう。そこで、ヒートポンプサイクル内部における異常を診断するために、外部から計測される様々なデータを監視することが行われている。
【0023】
従来、このようなヒートポンプ熱交換器の異常を検出するには、一般的に、熱交換器における熱媒体の加熱・冷却負荷(温度差)と、熱交換器を通過する加熱・冷却対象の流体(気体又は液体)の流入温度、流出温度及び流量とを計測し、次の連立する2式に代入して成立する回帰式に基づいて、正常運転時における上記パラメータの標本データを作成する。実際に稼動中の装置において測定された各パラメータと、この標本データとを比較して、その差が所定の異常指標を上回るかどうか判断することにより、熱交換器の性能低下を検出するという方法が知られている。
ΔH = KαΔt (5)
ΔH = ρCV ( tout - tin) (6)
【0024】
ここで、ΔHは熱交換器におけるエンタルピー変化量、αは熱交換器有効面積、Δtは熱媒体の平均温度差(すなわち加熱・冷却負荷)、ρは加熱・冷却対象の流体の密度、V,tout及びtinはそれぞれ加熱・冷却対象の流体の流量、流出温度及び流入温度である。ここで、熱媒体の平均温度差Δtは、tout及びtinの平均値と熱交換器内の熱媒体温度(Tとする)との差で表すことができるので、
Δt = (tout + tin)/2 - T
である。これを上記(5)式に代入して以下の式を得る。
ΔH = Kα [ (tout + tin)/2 - T] (5)'
【0025】
したがって、ヒートポンプ熱交換器において、加熱・冷却対象の流体の流量V、加熱・冷却対象の流体の流出温度及び流入温度tout及びtin及び熱媒体温度Tを計測し、これを上記(5)'式及び(6)式に代入して得られる式を基準に回帰分析を行うことにより、正常時に期待される測定値の標本データが得られるので、このデータを使用して熱交換器性能の劣化を測定することができる。
【0026】
しかしながら、このような方法は、吸収式冷温水器などのように、加熱・冷却対象が液体である場合には効果をあげているが、加熱・冷却対象が気体である場合、すなわち、エアーコンディショナー等の空調装置に用いるヒートポンプ熱交換器の場合には、加熱・冷却される空気の流量を測定するのが困難であるため、上記(6)式の空気流量(V)の値を正確に与えることができない。このため、本実験では他の方法を用いることにする。
【0027】
上記で導出した、熱交換器におけるエンタルピー変化量を表す式、
ΔH = Kα [ (tout + tin)/2 - T] (5)'
は、ヒートポンプの高温側熱交換器及び低温側熱交換器のそれぞれについて成立する。そこで、高温側については各変数に添え字hを付し、低温側については各変数に添え字lを付すると、以下の連立する2式が得られる。
ΔHh = Khαh [ (thout + thin)/2 - Th] (7)
ΔHl = Klαl [ (tlout + tlin)/2 - Tl] (8)
【0028】
ここで、図5に示すヒートポンプ熱交換器のp-H線図に着目すると、高温側熱交換器でのエンタルピー変化量ΔHhは、低温側熱交換器でのエンタルピー変化量ΔHlとコンプレッサの行う仕事ΔHcとの和に等しいことが分かる。すなわち、
ΔHh =ΔHc + ΔHl (9)
である。ここで、コンプレッサの行う仕事の大部分は、熱媒体の圧力増加に反映されるので、コンプレッサの効率に関わる定数Φを用いて近似的に、
ΔHc = (ph - pl) Φ (10)
と表すことができる。
【0029】
したがって、上記(7)、(8)及び(10)式を(9)式に代入すると、変数thout、thin、Th、tlout、tlin、Tl、ph及びplの8変数からなる線形1次式が得られる。ところで、熱媒体の圧力pと温度Tの関係は、熱媒体に固有な関数で表されるが、高温側熱交換器内及び低温側熱交換器内という環境下での限定された変数範囲内では、それぞれ以下のような線形近似を行うことができる。
Th ∝ ph 及び Tl ∝ pl
これによれば、上記(9)式は、変数thout、thin、ph、tlout、tlin及びplの6変数からなる以下の式で表すことができる。
ph = a0 + a1thin + a2tlin + a3thout + a4tlout + a5pl (11)
こうして導出された上記(11)式は、加熱・冷却対象の空気の流量(V)を変数として含まないため、空気流量を測定しなくとも熱交換器の性能劣化を検出するためのデータを得ることが可能となる。
【0030】
したがって、本実験のヒートポンプ熱交換器の異常検出装置においては、高温側熱交換器における熱媒体の圧力Ph、高温側熱交換器における加熱対象流体の流入温度thin及び流出温度thout、低温側熱交換器における冷却対象流体の流入温度tlin及び流出温度tlout、並びに低温側熱交換器における熱媒体の圧力Plの6変数を計測することになる。図6は、このような異常検出装置の構成例を示すブロック図である。ヒートポンプ熱交換器を正常運転させて、これら6変数を一定の時間間隔で測定し、標本データとして記憶する。この標本データにから、特定の変数を目的変数として、上記(11)式に基づいて回帰式を導出し、異常度計算の基準とする。例えば、上記(11)式において、高温側熱交換器における熱媒体の圧力phを目的変数とみなし、標本データを用いて正規方程式を解くことにより、定数a0〜a5を求める。こうして得られる回帰式は、説明変数thout、thin、tlout、tlin及びplの値に対する目的変数phの予測値を与える。この予測値と実際の測定値との残差を評価することにより、高温側熱交換器の異常を検出する。
【0031】
上記の例では、高温側熱交換器における熱媒体圧力phを目的変数として考えたが、同様にして、低温側熱交換器における熱媒体圧力plを目的変数と考えると、低温側熱交換器の性能劣化の検出についても応用可能である。熱媒体圧力plは以下の式で表される。
pl = b0 + b1thin + b2tlin + b3thout + b4tlout + b5ph (12)
以上に基づいて、ヒートポンプ熱交換器の異常検出実験を行った。コンプレッサの動力は1kWであった。
【0032】
このヒートポンプ熱交換器を通常条件及び異常条件下で暖房運転して、高温側の熱媒体圧力ph、高温側の空気流入温度thin及び空気流出温度thout、低温側の空気流入温度tlin及び空気流出温度tlout、並びに低温側の熱媒体圧力plを1時間に1度測定した。実験開始時は通常条件下で運転し、実験開始から87時間後に、異常条件下での運転に切り替えた。ここで、異常条件下とは、熱交換器内のスケール付着等による熱伝達率(K)の低下時の運転のことであるが、本実験ではこの状態を模擬するために、高温側の空気吸入パネルの一部を閉塞した。具体的には、実験開始から87時間後に高温側の空気吸入パネルの25%をテープで閉塞し、さらに実験開始から111時間後に空気吸入パネルの50%をテープで閉塞した。実験開始から137時間後にはテープを取り除き、再び正常状態で140時間経過時まで測定を続けた。
【0033】
上記実施形態によれば、本実験は暖房性能の性能劣化実験であるから、高温側熱交換器における熱媒体圧力に着目して上記(11)式を用いて測定データの回帰分析を行う。ところで、一般的に、上記(11)式のような線形1次式を用いた回帰分析において、高温側熱交換器における熱媒体圧力phを目的変数とし、その他の変数を説明変数と見たとき、説明変数間で高い相関性をもつものがある場合には、多重共線性(Multicollinerity)という問題を考慮しなければならない。本実験では、変数thoutとthin、tloutとtlin及びplの間に高い相関が見られた。これは、高温側及び低温側それぞれで、空気の流入温度と流出温度が、室温又は気温の影響を受けて変動するためであると考えられる。したがって、本実験では、上記(11)式の右辺から変数thin及びtlinのみを採用した次の式を用いた。
ph = a0 + a1thin + a2tlin (13)
【0034】
まず、実験開始から一定時間に測定された高温側の熱媒体圧力ph、高温側空気流入温度thin及び低温側空気流入温度tlinの3変数を、正常運転時における標本データとして収集した。この標本データ及び上記(13)式に基づいて回帰式を導出し、これを用いて以後におけるphの測定値を予測し、予測残差を評価するという方法をとった。なお、thin及びtlinのそれぞれについては、実際には室温及び外気温を測定した。図7は、上記3変数の測定結果の時系列変化を示すプロット図である。3つのプロットはそれぞれ、高温側の熱媒体圧力ph、高温側空気流入温度thin及び低温側空気流入温度tlinを示す。
【0035】
以下、標本データ及び回帰モデルについては異なる学習ルールを適用しながら、上記と同じ条件の実験を繰り返し行った。図8〜11は、各実験において高温側の熱媒体圧力phの測定値と予測値の残差をプロットした図であり、図中、各測定時間における縦線は回帰式が与える信頼区間を示すエラーバーである。
【0036】
図8は最初の10回(10時間)分の測定値のみを標本データとして用いたモデルによるものであり、図9は上記に説明した本発明の方法を適用したモデルによるものである。図8を見ると、エラーバーが所々大きく広がっており、特に空気吸入パネルの閉塞後は著しく広くなっている。ここで、エラーバーが周期的に広がっているのは、一日の気温変化のサイクルに起因するものと考えられる。図8のモデルでは、最初の10時間分の標本データしかないので、気温がこの温度範囲から外れると、エラーバーが著しく広くなってしまうことを意味している。これに対して、図9のモデルは、標本データが近傍に十分に存在しない測定値については、本発明の方法に従って、信頼性の高い測定値データのみを標本データに追加するようにして、標本データの拡充し回帰式の再導出を行うようにしている。このため、最後まで信頼区間が小さい範囲に留まっている。図9において、15〜22点目の予測残差はプロットされていない。これは、これらの測定値が一時保留データベースに保留されたことを示す。その後測定を続けた結果、28点目において予測残差が連続して十分小さい範囲に留まっていると判定したので、15〜22点目の測定値を標本データに加え、回帰式の再導出を行っている。一方、91〜93及び112〜117点目については、これらを測定したときの外気温が高かったため、測定値を一時保留データベースに保留したが、その後外気温が下がってからも予測残差が連続して十分小さい範囲に留まらなかったため、これらの測定値は標本データに追加していない。最後の138〜140点目は、空気吸入パネルの閉塞を取り除いた状態での測定値である。上記のように、空気吸入パネルの閉塞時(異常時)の測定値データを標本データに追加していないため、閉塞を取り除いて正常運転に戻すと予測残差も再び正常な範囲内に戻ることが確認される。
【0037】
次に、従来の再帰的最小二乗法(RLS)による学習ルールを適用した結果と、本発明の方法を再帰的最小二乗法に拡張して適用した場合の結果とを比較する。図10は、本実験において、従来の再帰的最小二乗法による学習ルールにより導出される回帰式による予測残差のプロットを示す。このモデルでは、空気吸入パネルの閉塞前までは、信頼区間が十分に小さい範囲内に留まっているが、閉塞後の異常状態では信頼区間が広がってしまっている。このプロット図では、一見したところ空気吸入パネル閉塞時の劣化検出が可能であるように見えるが、これは本実験において閉塞量を25%、50%と離散的に突然変化させたので、異常状態の測定データの学習が間に合わなかったためである。空気吸入パネルの閉塞を取り除いた最後の3点の測定値に注目すると、予測残差が負の方向にシフトしているが、これは異常状態の測定値まで学習して標本データに加えてしまった結果であると考えられる。したがって、従来の再帰的最小二乗法による学習ルールは、突然の変化であれば検出可能であるといえる。しかしながら、実際の機器に起こるであろう緩やかな状態変化では、劣化状態の測定データまでも学習してしまうため、異常を検出することはできないと考えられる。これに対して、図11は、本発明の方法を再帰的最小二乗法に拡張して適用した場合の結果を示しており、図9の場合と同様に、異常状態における信頼性の低い測定値を標本データに加えていないので、回帰モデルによる予測は高精度に保たれている。
尚、本発明の方法を用いた図9及び11の実験において、一時保留した測定データの信頼性を判断するにあたっては、予測残差が5回連続して所定の値より小さいかどうかを基準とした。
【0038】
以上、本発明の実施例による実験結果を見れば、本発明の方法は、性能劣化が徐々に進行するような機器において性能劣化を高精度で検出することができる方法であることが分かる。
尚、本発明の方法は、上記した実施の形態や実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0039】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明によれば、性能劣化が徐々に進行するような機器においても、信頼性の低い状態の測定データが標本データ内に追加されてしまうのを回避することにより、性能劣化を高精度で検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ガス供給量と平均気温の相関関係を示すプロット図である。
【図2】ガス供給量と平均気温の相関関係を示すプロット図である。
【図3】本発明の実施の形態を示すフローチャート図である。
【図4】本発明の実施例に用いたヒートポンプ熱交換器の構成を概略的に示す。
【図5】ヒートポンプサイクルにおける熱媒体の状態変化をP-H線図で表したモリエル線図である。
【図6】本発明の実施例に用いたヒートポンプ熱交換器の異常検出装置の構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の実施例における実験の測定結果を示すプロット図である。
【図8】本発明の実施例における実験の測定結果の予測残差を示すプロット図である。
【図9】本発明の実施例における実験の測定結果の予測残差を示すプロット図である。
【図10】本発明の実施例における実験の測定結果の予測残差を示すプロット図である。
【図11】本発明の実施例における実験の測定結果の予測残差を示すプロット図である。
【符号の説明】
1 コンプレッサ
2 蒸発器(高温側熱交換器)
3 膨張弁
4 凝縮器(低温側熱交換器)
21 凝縮器空気流入温度センサ
22 凝縮器空気流出温度センサ
23 熱媒体凝縮圧力センサ
24 蒸発器空気流入温度センサ
25 蒸発器空気流出温度センサ
26 熱媒体蒸発圧力センサ
27 異常度計算回路
28 故障判定回路
29 表示装置
Claims (3)
- 検知システムを有する機器において、測定値の標本データを採取し、該標本データから導出される回帰モデルを用いてその後の測定値を監視することにより、前記機器の劣化を検出する方法であって、近傍に十分な標本データがない測定値を得た場合には、該測定値を一時保留し、該測定値前後の複数回の測定値と、前記回帰モデルに基づく予測値との残差が連続して所定の値より小さいと判定すれば、前記一時保留した測定値を標本データに追加することを特徴とする方法。
- 前記測定値の近傍に十分なデータがあるかどうかは、前記標本データ空間におけるマハラノビス汎距離に基づいて判定することを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 前記測定値の近傍に十分なデータがあるかどうかは、前記回帰モデルの予測信頼区間に基づいて判定することを特徴とする請求項1に記載の方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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