JP2004333199A - 異音判定装置及び異音判定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】より簡易に製品の異音検査を行うことのできる異音判定装置及び異音判定方法を提供すること。
【解決手段】製品Bの駆動音の収音を目的とする収音器1aと、周囲ノイズの収音を目的とする収音器1bと、を用い、収音器1bにより収音された音の音データに基づいて周囲ノイズを識別し、収音器1aにより収音された駆動音の音データを修正し、修正された駆動音の音データに基づいて、製品Bが異音を発生するか否かを判定する。駆動音の音データの修正は、収音器1bにより収音された音の音データに基づいて、駆動音の音データから周囲ノイズに相当するデータを削除することにより行う。
【選択図】 図1
【解決手段】製品Bの駆動音の収音を目的とする収音器1aと、周囲ノイズの収音を目的とする収音器1bと、を用い、収音器1bにより収音された音の音データに基づいて周囲ノイズを識別し、収音器1aにより収音された駆動音の音データを修正し、修正された駆動音の音データに基づいて、製品Bが異音を発生するか否かを判定する。駆動音の音データの修正は、収音器1bにより収音された音の音データに基づいて、駆動音の音データから周囲ノイズに相当するデータを削除することにより行う。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、駆動系製品の製品検査技術に関し、特に異音の有無を検査する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
駆動機構を有する、ビデオ、DVDドライブ、FDDドライブ、HDD、MDドライブ、カメラといった完成品或いはDCモータ、FANモータといった部品においては、機能上の欠陥はなくとも個体差により異音を発生する場合がある。
このような異音はユーザにとって耳障りであるため製品検査においてチェックする必要がある。従来このような異音を検査する場合には、無響室又は無響箱内に対象製品と騒音計のマイクとを配置することで周囲音を遮断し、対象製品を駆動することにより発生する駆動音を騒音計にて測定するのが一般的である。
【0003】
しかし、無響箱等を用いても周囲ノイズの影響を受けるため、正確な異音の検査を行うためには製造現場から離れた静寂な環境下で行う必要があり、生産効率が劣る。また、無響箱等は通常高価である。
【0004】
一方、音の信号処理の一般的な分野において、このような周囲ノイズを除去する方法としては、例えば、周囲ノイズが重畳した計測信号からノイズ除去を行う方法が提案されている(特許文献1及び2等)。
【0005】
【特許文献1】特開平7−283860号公報
【特許文献2】特開2000−216692号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の周囲ノイズの除去方法はいずれも複雑な処理を伴うものが多く、簡易に異音検査を行えるには至っていない。
【0007】
従って、本発明の目的は、より簡易に製品の異音検査を行うことのできる異音判定装置及び異音判定方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、製品の駆動音を収音する第1の収音器と、第2の収音器と、前記第2の収音器により収音された音の音データに基づいて周囲ノイズを識別し、前記第1の収音器により収音された駆動音の音データを修正する修正手段と、前記修正手段により修正された前記駆動音の音データに基づいて、前記製品が異音を発生するか否かを判定する判定手段と、を備え、前記修正手段は、前記第2の収音器により収音された音の音データに基づいて、前記駆動音の音データから周囲ノイズに相当するデータを削除することを特徴とする異音判定装置が提供される。
【0009】
本発明において、前記第2の収音器は、前記第1の収音器よりも前記製品から離れて設置することができる。
【0010】
また、本発明においては、前記第1の収音器と前記第2の収音器と前記製品とを収容する防音ケースを備えることもできる。
【0011】
また、本発明によれば、製品の駆動音を収音する第1の収音器を設置する工程と、第2の収音器を設置する工程と、前記第2の収音器により検出された音の音データに基づいて周囲ノイズを識別し、前記第1の収音器により収音された駆動音の音データを修正する修正工程と、前記修正工程により修正された前記駆動音の音データに基づいて、前記製品が異音を発生するか否かを判定する判定工程と、を備え、前記修正工程では、前記第2の収音器により収音された音の音データに基づいて、前記駆動音の音データから周囲ノイズに相当するデータを削除することを特徴とする異音判定方法が提供される。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施形態に係る異音判定装置Aの概略図である。
【0013】
<全体構成>
異音判定装置Aは、異音の有無の判定対象となる製品Bからの駆動音の収音を目的とする駆動音用の収音器1aと、周囲ノイズの収音を目的とするノイズ用の収音器1bと、各収音器1a及び1bにより収音され、音圧に応じた電圧値として出力される音データをアナログのデータからデジタルのデータへ変換するA/D変換器2と、A/D変換器2によりデジタル化された音データを処理するパソコン3と、を備える。
【0014】
製品Bはモータ等のように駆動部分を有する各種製品であり、図示しない電源により電力を供給されて駆動する。本実施形態において製品Bは防音箱4内に収容されておりジグ5により支持されている。本実施形態において、防音箱4は異音判定に一般に用いられている高価な無音箱である必要はなく、簡易な構成のもので足りる。
【0015】
一般に人間にとって耳障りと感じる音の周波数帯域は2k〜10kHzの高周波数帯域である。遮音についていえば、低周波数帯域(2kHz未満)は遮音量が少なく、2kHz以上は遮音効果が大きい。従って、人間にとって耳障りと感じる音を基準として考えれば、防音箱4は簡易な構成のものでたり、周囲ノイズが侵入しようとしても高周波数帯域のノイズは防音箱4の壁でカットされ、検査に対する影響が小さくなり、例えば、60dB環境の製造現場でも良好な検査を行える。
【0016】
収音器1a及び1bとしては各種マイクロフォンを採用可能であるが、例えば、騒音計を高性能マイクとして用いることも可能である。また、収音器1a及び1bは同種のものでも異種のものでもよい。本実施形態では同種のものを想定している。ここで、本実施形態において収音器1bは収音器1aよりも製品Bから離れて配置されている。こうすることで、収音器1bは収音器1aよりもより周囲ノイズを収音し易くなる。収音器1bを収音器1aよりも音源から10cm以上離して配設することで、理論値として音源からの音の音圧レベルに20dBの差が生じる。
【0017】
従って、製品からの駆動音は収音器1aにおいてより大きな音圧で収音でき、収音器1bでは−20dBの差で収音される。なお、音の方向にもよるが、防音箱4の内壁からの距離が同じであれば収音器1aと1bとで収音される周囲ノイズの音圧レベルは略同じ値となる。
【0018】
本実施形態では、これらの収音器1a及び1bによる音圧の差により、駆動音と周囲ノイズとを選別することができる。なお、本実施形態では収音器1aと収音器1bとを離すことで周囲ノイズの選別を効果的に行うがこれに限られず、例えば、収音器1bの指向方向を周囲ノイズの音源方向に向けるようにして周囲ノイズの選別を効果的に行ってもよい。
【0019】
A/D変換器2は、収音器1a及び1bからの信号をアナログ信号からデジタル信号へそれぞれ変換してパソコン2へ送出するものであればいずれも採用できるが、パソコン3のスロットに装着可能なA/D変換ボードを用いることができる。パソコン3としては後述する処理を実効可能な程度の性能を有するものであればよい。以下、本実施形態に関連のある構成についてパソコン3の内部ブロックを説明する。
【0020】
CPU31はパソコン3全体の制御を司るプロセッサであり、特に後述する処理を実行する。RAM32はA/D変換器2からの音データを一時的に格納する等、可変的なデータを格納する記憶手段であり、また、CPU31のワークエリアを提供する。ROM33には固定的なデータ、プログラムが格納される。HDD(ハードディスクドライブ)34は各種データ、プログラムを格納する記憶手段であり、本実施形態の場合、後述する異音判定処理のプログラムを格納することができる。これらの記憶手段は例示であり他の記憶手段を用いてもよいことはいうまでもない。
【0021】
インターフェース35はA/D変換器2又は入力装置36とCPU31との間でデータの受け渡しを行うものであり、接続されるデバイスの種類に応じて1又は複数設けられる。入力装置36は、例えば、キーボード、マウス等でありオペレータが各種情報の入力や選択等を行うために用いられる。
【0022】
ディスプレイ37は各種情報を画像で表示する表示手段であり、後述する異音判定処理の判定結果等が表示される。ディスプレイ37はディスプレイコントローラ38を介してCPU31に表示制御される。
【0023】
<判定パラメータ>
本実施形態では、異音の判定の結果と人間の聞こえ方との間の相関をより向上するため、以下の判定パラメータにより駆動音中の異音の有無を判定する。
【0024】
・等価騒音レベル(等価騒音レベルA)
騒音の指標として用いられる判定パラメータであり、駆動音の全体的なうるささを示す。駆動音の測定時間全体を対象として下記の式で算出される。
【0025】
等価騒音レベルA=10log10[1/n(10La1/10+10La2/10+・・・+10Lan/10)]
(n:音データの総数 Lan:n番目の音データ)
・設定周波数帯域の等価騒音レベル(等価騒音レベルB)
収音された駆動音の音データのうち、オペレータにより予め設定された設定周波数帯域に含まれる音データに基づき、その設定周波数帯域における駆動音の等価騒音レベルである。上述した等価騒音レベルAが、後述する周波数分析処理の周波数帯域全体について算出されるのに対し、この等価騒音レベルBはその周波数帯域よりも狭い、オペレータが任意に設定した設定周波数帯域における等価騒音レベルを算出する。
【0026】
これは、個々の製品の特性に従い駆動音の音圧の高低に周波数帯域に応じて偏りがあるが、等価騒音レベルAではこれらが平均化されてしまうため、その製品の駆動音の特異点が現れ易い周波数帯域について等価騒音レベルを算出することで、より細かな異音判定を行うものである。等価騒音レベルBは下記の式で算出される。
【0027】
等価騒音レベルB=10log10[1/m(10Lb1/10+10Lb2/10+・・・+10Lbm/10)*k](m:設定周波数帯域における音データの総数 Lbm:設定周波数帯域におけるm番目の音データ k:ハニングウィンドウ係数)
なお、ハニングウィンドウ係数は算出値の精度を向上するためのものであり、例えば2/3であるが、必ずしも必要とされるものではない。
【0028】
また、製品によっては、複数の周波数帯域について駆動音の特異点が現れる場合があるため、この等価騒音レベルBの設定周波数は1又は複数設定することができ、各設定周波数帯域毎に等価騒音レベルBを算出することができる。後述する例では2種類の設定周波数帯域を設定した場合を想定している。
【0029】
・ピーク値
駆動音の音圧のピーク値であり、駆動音の音圧の最大値を判定するためのパラメータである。駆動音の音データを相互比較することで抽出される。
【0030】
・波高率
駆動音の変動の指標として用いられる判定パラメータであり、駆動音の変動が大きいと人間にとって耳障りとなることに着目したものである。波高率は下記の式で算出される。
【0031】
波高率=ピーク値/音データの実効値
・発生頻度の割合
等価騒音レベルBの設定周波数帯域における各音圧レベルの発生頻度のうち、所定の発生頻度用の閾値を超える音圧レベルの発生頻度の割合である。等価騒音レベルBの設定周波数帯域が複数設定されている場合、各設定周波数帯域毎に閾値を設定し、また、各設定周波数帯域毎にこの発生頻度の割合を算出する。この発生頻度の割合は駆動音の音データの周波数分析処理によって得られる、各周波数帯の音圧レベルについて、音圧レベル毎の度数を調べることにより算出される。詳細は後述する。
【0032】
本実施形態は、このように大別して5つの判定パラメータにより異音判定を行うものであり、このように判定対象が異なるパラメータを用いることで異音の判定の結果と人間の聞こえ方との間の相関をより向上する。
【0033】
<異音判定処理>
次に、図2を参照してCPU31により実行される異音判定処理について説明する。図2(a)は異音判定処理のフローチャートである。本実施形態では下記の各処理をソフトウエア的に実行するが、1又は複数の処理について特定のハードウエアを用いて処理を実行することもでき、例えば、S5の周波数分析処理はCPU31ではなく、専用のプロセッサを用いて行うようにしてもよい。
【0034】
図2(a)において、S1では初期設定を行う。ここでは、駆動音の測定時間(例えば、3.2秒)、音データのサンプリング周期又はサンプリング数、周波数分析の分析周波数帯域(例えば、0〜10000Hz)、等価騒音レベルBの設定周波数帯域(例えば、2000〜10000Hzと7000〜10000Hzの2種類)、各種閾値を設定する。これらの設定値は入力装置36からオペレータが入力することができるが、デフォルト値でもよいし、また、デフォルト値をオペレータが変更できるようにしてもよい。なお、本実施形態では等価騒音レベルBの設定周波数帯域を2種類設定した場合を想定する。
【0035】
S2ではオペレータから駆動音の計測開始の指示を待つ。計測開始の指示があると、S3へ進み、製品Bを駆動させた後、音データを取得する処理を開始する。詳細には、収音器1aから製品Bの駆動音が、また、収音器1bから周囲ノイズが、それぞれ同時に収音され、A/D変換器2によりデジタルデータに変換された後、各音データがパソコン3のRAM32へ経過時間と関連付けて順次格納される。
【0036】
S4では駆動音の音データの修正処理を行う。ここでは、収音器1bから収音した周囲ノイズの音データに基づいて周囲ノイズを識別し、収音器1aから収音した駆動音の音データを修正する。詳細には、周囲ノイズの音データに基づいて駆動音の音データから周囲ノイズに相当するデータを削除する処理を行う。図2(b)はこの音データ修正処理のフローチャートである。
【0037】
S11ではRAM32に格納された周囲ノイズの音データを順番に読み込む。S12では読み込んだ周囲ノイズの音データがS1で設定した閾値を超えたか否かを判定する。閾値を超えないと判定された場合にはS11へ戻り、次の音データを読み込む。閾値を超えていた場合、S13へ進み、駆動音の異音判定に影響を与えるとみなして、その周囲ノイズの音データに対応する駆動音の音データを削除する。すなわち、その周囲ノイズの音データが発生した発生時間における駆動音の音データをRAM32から消去する。消去する場合、発生時間の前後の予め定めたオフセット時間分も併せて消去するようにしてもよい。
【0038】
この処理を図3を参照して説明する。図3(a)は計測された駆動音の音データの波形、(b)は計測された周囲ノイズの音データの波形、をそれぞれ表示した図である。これらは図2(a)のS8の結果表示処理においてディスプレイ37に表示される。図3(b)において周囲ノイズの閾値51としては0.600Vが設定されている。そして、周囲ノイズの音データのうち、時間領域50(2.9秒近傍)の音データが閾値を超えている。そこで、図3(a)に示す駆動音の音データからも時間領域50に含まれる音データが削除されることになる。
【0039】
図2(b)に戻り、S14では周囲ノイズの音データの全てについてS12の判定が行われたか否かを判定する。全て判定していない場合はS11へ戻り上述した処理を繰り返す。全て判定した場合は処理を終了する。なお、駆動音の音データを削除した場合、削除部分の音データの記憶領域には以降の音データを順次シフトして一連の音データとすることができる。
【0040】
本実施形態ではこのような処理を行うことで、複雑な処理を伴わずに駆動音の音データから周囲ノイズを除去することができ、より簡易に製品の異音検査を行うことができる。
【0041】
図2(a)に戻り、S5では周波数分析処理を行う。いわゆるFFT演算であり、S4で修正後の駆動音の音データについてS1で設定された周波数帯域の音圧レベルが演算される。演算結果はRAM32又はHDD34に格納される。周波数分析処理の演算結果は、図2(a)のS8の結果表示処理においてカラーマップ形式でディスプレイ37に表示することができる。図4を参照してこの点を説明する。
【0042】
図4(a)は周波数分析処理結果を概念的に示す図である。本実施形態ではデータ処理上、微小時間Δt(例えば、0.08秒)単位で各音データについて周波数分析処理を行い、これを微小周波数Δf(例えば、12.5Hz)毎の音圧レベルのデータとする。すなわち、図4(a)に示すように、Δt×Δfを1単位として各音圧レベルを得る。そして、各音圧レベルに応じた表現色を定める。図4(b)は各音圧レベルに応じた表現色の一例を示す図であり、音圧レベルが大きい程、表現色が濃くなることを示している。同図は便宜上4色としているが、より多段階的な表現色を用いることができる。このようにしてカラーマップを表示する情報が作成される。
【0043】
図4(c)は音圧レベルのカラーマップの表示例を示す図である。時間軸と周波数帯域軸との2次元座標中に、音圧レベルの分布をその大きさに応じた濃度の色で表示している。これにより2次元座標のグラフでありながら3次元の情報を視覚的に得ることができ、駆動音の特性を観察することができる。なお、図4(c)はカラーマップの概念のみを示すものであり、実際の検査結果を忠実に表現したものではない。
【0044】
図2(a)に戻り、S6では上述した各判定パラメータの抽出又は算出が行われる。概説すると、等価騒音レベルA及びBがS5の周波数分析結果に基づき算出される。ピーク値はRAM32に格納された修正後の駆動音の音データに基づき抽出される。波高率は、修正後の駆動音の音データの実効値を算出した上で、抽出されたピーク値により算出される。
【0045】
次に、音圧レベルの発生頻度の割合の算出について説明する。図5は発生頻度の割合の算出方法を示す図であり、これらは図2(a)のS8の結果表示処理においてディスプレイ37に表示することができる。同図において、(a)及び(b)はそれぞれ等価騒音レベルBの2種類の設定周波数帯域毎の音圧レベルの発生頻度の度数分布を示している。
【0046】
この度数分布は、図4(a)で示したΔt×Δfを一単位とする音圧レベルのデータ数量を各音圧レベル単位でまとめたものであり、横軸を音圧レベル、縦軸を各恩圧レベルのデータ数量としたものである。これによりどの音圧レベルの発生頻度が高いかが分かる。そして、音圧レベルの発生頻度の割合は、所定の閾値を超える音圧レベルのデータ数量を音圧レベルの全データ数量で割った値となる。
【0047】
図5(a)は設定周波数帯域が2000〜10000Hzの場合の音圧レベルの度数分布を示しており、閾値53として18dBが設定されている例を示している。この例において、音圧レベルの発生頻度の割合は、周波数帯域2000〜10000Hzに属するデータのうち、閾値53を超えるデータ数量(図の閾値53の右側のデータの合計数量)を当該周波数帯域の全データ数量で割った値となる。また、図5(b)は設定設定周波数帯域が7000〜10000Hzの場合の音圧レベルの度数分布を示しており、閾値54として18dBが設定されている例を示している。この例において、音圧レベルの発生頻度の割合は、周波数帯域7000〜10000Hzに属するデータのうち、閾値54を超えるデータ数量(図の閾値54の右側のデータの合計数量)を当該周波数帯域の全データ数量で割った値となる。このような、音圧レベルの発生頻度の割合を判定パラメータとすることで、特定の周波数帯域における音圧の強さを判定することができる。
【0048】
図2(a)に戻り、S7では異音の有無の判定処理を実行する。ここでは、S6で求めた各判定パラメータと、S1で設定された対応する閾値とに基づいて異音の有無を判定する。本実施形態の場合、各判定パラメータと各閾値との間の条件関係をいずれか一つでも満たさなければ異音ありと判定する。条件関係としては、判定パラメータが閾値を超えないこととしている。このように厳格に判定することで駆動音を聞き取る者の個性に比較的左右されず、できるだけ多くの人間の感覚に対応可能なものとなり、異音の判定の結果と人間の聞こえ方との間の相関を極めて向上することができる。
【0049】
S8ではS7の判定の結果をディスプレイ37に表示する処理を行う。ここでは、図3、図4(c)、図5の各グラフと共に、図6に示す判定結果の図がディスプレイに表示される。図6の表示例では、各判定パラメータの値を示す表示欄55と、対応する閾値を示す表示欄56と、各判定パラメータの判定結果を示す表示欄57と、異音の有無の判定結果(NGかOKか)を示す表示欄58が設けられている。
【0050】
本実施形態では、等価騒音レベルBの設定周波数帯域を2種類設定しているので、等価騒音レベルBも等価騒音レベルB1とB2とに分かれ、それぞれが判定されている。また、これに対応して音圧レベルの発生頻度も発生頻度1と2とに分かれ、それぞれが判定されている。
【0051】
表示欄57は各判定パラメータにつき、閾値を超えた場合はNGを示す●が表示され、閾値を超えていない場合はOKを示す○が表示されている。同図の場合波高率のみがOKとなっており、他の判定パラメータはNGとなっている。上述した通り、本実施形態ではいずれか一つの判定パラメータがNGの場合、異音ありとするので異音の有無の判定結果としてはNG(異音あり)となっている。
【0052】
以上により異音判定処理が終了する。なお、例えば、一旦判定した後に、オペレータが各種閾値や等価騒音レベルBの設定周波数帯域を再設定できるようにしてもよく、その場合は既に処理したデータを有効に活用すべく、再設定後、図2(a)のS6の処理に戻ればよい。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、より簡易に製品の異音検査を行うことのできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る異音判定装置Aの概略図である。
【図2】(a)は異音判定処理のフローチャート、(b)は音データ修正処理のフローチャートである。
【図3】(a)は計測された駆動音の音データの波形、(b)は計測された周囲ノイズの音データの波形、をそれぞれ表示した図である。
【図4】(a)は周波数分析処理結果を概念的に示す図、(b)は各音圧レベルに応じた表現色の一例を示す図、(c)は音圧レベルのカラーマップの表示例を示す図である。
【図5】発生頻度の割合の算出方法を示す図である。
【図6】判定結果の表示例を示す図である。
【符号の説明】
A 異音判定装置
B 製品
1a,1b 収音器
2 A/D変換器
3 パソコン
36 入力装置
37 ディスプレイ
【発明の属する技術分野】
本発明は、駆動系製品の製品検査技術に関し、特に異音の有無を検査する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
駆動機構を有する、ビデオ、DVDドライブ、FDDドライブ、HDD、MDドライブ、カメラといった完成品或いはDCモータ、FANモータといった部品においては、機能上の欠陥はなくとも個体差により異音を発生する場合がある。
このような異音はユーザにとって耳障りであるため製品検査においてチェックする必要がある。従来このような異音を検査する場合には、無響室又は無響箱内に対象製品と騒音計のマイクとを配置することで周囲音を遮断し、対象製品を駆動することにより発生する駆動音を騒音計にて測定するのが一般的である。
【0003】
しかし、無響箱等を用いても周囲ノイズの影響を受けるため、正確な異音の検査を行うためには製造現場から離れた静寂な環境下で行う必要があり、生産効率が劣る。また、無響箱等は通常高価である。
【0004】
一方、音の信号処理の一般的な分野において、このような周囲ノイズを除去する方法としては、例えば、周囲ノイズが重畳した計測信号からノイズ除去を行う方法が提案されている(特許文献1及び2等)。
【0005】
【特許文献1】特開平7−283860号公報
【特許文献2】特開2000−216692号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の周囲ノイズの除去方法はいずれも複雑な処理を伴うものが多く、簡易に異音検査を行えるには至っていない。
【0007】
従って、本発明の目的は、より簡易に製品の異音検査を行うことのできる異音判定装置及び異音判定方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、製品の駆動音を収音する第1の収音器と、第2の収音器と、前記第2の収音器により収音された音の音データに基づいて周囲ノイズを識別し、前記第1の収音器により収音された駆動音の音データを修正する修正手段と、前記修正手段により修正された前記駆動音の音データに基づいて、前記製品が異音を発生するか否かを判定する判定手段と、を備え、前記修正手段は、前記第2の収音器により収音された音の音データに基づいて、前記駆動音の音データから周囲ノイズに相当するデータを削除することを特徴とする異音判定装置が提供される。
【0009】
本発明において、前記第2の収音器は、前記第1の収音器よりも前記製品から離れて設置することができる。
【0010】
また、本発明においては、前記第1の収音器と前記第2の収音器と前記製品とを収容する防音ケースを備えることもできる。
【0011】
また、本発明によれば、製品の駆動音を収音する第1の収音器を設置する工程と、第2の収音器を設置する工程と、前記第2の収音器により検出された音の音データに基づいて周囲ノイズを識別し、前記第1の収音器により収音された駆動音の音データを修正する修正工程と、前記修正工程により修正された前記駆動音の音データに基づいて、前記製品が異音を発生するか否かを判定する判定工程と、を備え、前記修正工程では、前記第2の収音器により収音された音の音データに基づいて、前記駆動音の音データから周囲ノイズに相当するデータを削除することを特徴とする異音判定方法が提供される。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施形態に係る異音判定装置Aの概略図である。
【0013】
<全体構成>
異音判定装置Aは、異音の有無の判定対象となる製品Bからの駆動音の収音を目的とする駆動音用の収音器1aと、周囲ノイズの収音を目的とするノイズ用の収音器1bと、各収音器1a及び1bにより収音され、音圧に応じた電圧値として出力される音データをアナログのデータからデジタルのデータへ変換するA/D変換器2と、A/D変換器2によりデジタル化された音データを処理するパソコン3と、を備える。
【0014】
製品Bはモータ等のように駆動部分を有する各種製品であり、図示しない電源により電力を供給されて駆動する。本実施形態において製品Bは防音箱4内に収容されておりジグ5により支持されている。本実施形態において、防音箱4は異音判定に一般に用いられている高価な無音箱である必要はなく、簡易な構成のもので足りる。
【0015】
一般に人間にとって耳障りと感じる音の周波数帯域は2k〜10kHzの高周波数帯域である。遮音についていえば、低周波数帯域(2kHz未満)は遮音量が少なく、2kHz以上は遮音効果が大きい。従って、人間にとって耳障りと感じる音を基準として考えれば、防音箱4は簡易な構成のものでたり、周囲ノイズが侵入しようとしても高周波数帯域のノイズは防音箱4の壁でカットされ、検査に対する影響が小さくなり、例えば、60dB環境の製造現場でも良好な検査を行える。
【0016】
収音器1a及び1bとしては各種マイクロフォンを採用可能であるが、例えば、騒音計を高性能マイクとして用いることも可能である。また、収音器1a及び1bは同種のものでも異種のものでもよい。本実施形態では同種のものを想定している。ここで、本実施形態において収音器1bは収音器1aよりも製品Bから離れて配置されている。こうすることで、収音器1bは収音器1aよりもより周囲ノイズを収音し易くなる。収音器1bを収音器1aよりも音源から10cm以上離して配設することで、理論値として音源からの音の音圧レベルに20dBの差が生じる。
【0017】
従って、製品からの駆動音は収音器1aにおいてより大きな音圧で収音でき、収音器1bでは−20dBの差で収音される。なお、音の方向にもよるが、防音箱4の内壁からの距離が同じであれば収音器1aと1bとで収音される周囲ノイズの音圧レベルは略同じ値となる。
【0018】
本実施形態では、これらの収音器1a及び1bによる音圧の差により、駆動音と周囲ノイズとを選別することができる。なお、本実施形態では収音器1aと収音器1bとを離すことで周囲ノイズの選別を効果的に行うがこれに限られず、例えば、収音器1bの指向方向を周囲ノイズの音源方向に向けるようにして周囲ノイズの選別を効果的に行ってもよい。
【0019】
A/D変換器2は、収音器1a及び1bからの信号をアナログ信号からデジタル信号へそれぞれ変換してパソコン2へ送出するものであればいずれも採用できるが、パソコン3のスロットに装着可能なA/D変換ボードを用いることができる。パソコン3としては後述する処理を実効可能な程度の性能を有するものであればよい。以下、本実施形態に関連のある構成についてパソコン3の内部ブロックを説明する。
【0020】
CPU31はパソコン3全体の制御を司るプロセッサであり、特に後述する処理を実行する。RAM32はA/D変換器2からの音データを一時的に格納する等、可変的なデータを格納する記憶手段であり、また、CPU31のワークエリアを提供する。ROM33には固定的なデータ、プログラムが格納される。HDD(ハードディスクドライブ)34は各種データ、プログラムを格納する記憶手段であり、本実施形態の場合、後述する異音判定処理のプログラムを格納することができる。これらの記憶手段は例示であり他の記憶手段を用いてもよいことはいうまでもない。
【0021】
インターフェース35はA/D変換器2又は入力装置36とCPU31との間でデータの受け渡しを行うものであり、接続されるデバイスの種類に応じて1又は複数設けられる。入力装置36は、例えば、キーボード、マウス等でありオペレータが各種情報の入力や選択等を行うために用いられる。
【0022】
ディスプレイ37は各種情報を画像で表示する表示手段であり、後述する異音判定処理の判定結果等が表示される。ディスプレイ37はディスプレイコントローラ38を介してCPU31に表示制御される。
【0023】
<判定パラメータ>
本実施形態では、異音の判定の結果と人間の聞こえ方との間の相関をより向上するため、以下の判定パラメータにより駆動音中の異音の有無を判定する。
【0024】
・等価騒音レベル(等価騒音レベルA)
騒音の指標として用いられる判定パラメータであり、駆動音の全体的なうるささを示す。駆動音の測定時間全体を対象として下記の式で算出される。
【0025】
等価騒音レベルA=10log10[1/n(10La1/10+10La2/10+・・・+10Lan/10)]
(n:音データの総数 Lan:n番目の音データ)
・設定周波数帯域の等価騒音レベル(等価騒音レベルB)
収音された駆動音の音データのうち、オペレータにより予め設定された設定周波数帯域に含まれる音データに基づき、その設定周波数帯域における駆動音の等価騒音レベルである。上述した等価騒音レベルAが、後述する周波数分析処理の周波数帯域全体について算出されるのに対し、この等価騒音レベルBはその周波数帯域よりも狭い、オペレータが任意に設定した設定周波数帯域における等価騒音レベルを算出する。
【0026】
これは、個々の製品の特性に従い駆動音の音圧の高低に周波数帯域に応じて偏りがあるが、等価騒音レベルAではこれらが平均化されてしまうため、その製品の駆動音の特異点が現れ易い周波数帯域について等価騒音レベルを算出することで、より細かな異音判定を行うものである。等価騒音レベルBは下記の式で算出される。
【0027】
等価騒音レベルB=10log10[1/m(10Lb1/10+10Lb2/10+・・・+10Lbm/10)*k](m:設定周波数帯域における音データの総数 Lbm:設定周波数帯域におけるm番目の音データ k:ハニングウィンドウ係数)
なお、ハニングウィンドウ係数は算出値の精度を向上するためのものであり、例えば2/3であるが、必ずしも必要とされるものではない。
【0028】
また、製品によっては、複数の周波数帯域について駆動音の特異点が現れる場合があるため、この等価騒音レベルBの設定周波数は1又は複数設定することができ、各設定周波数帯域毎に等価騒音レベルBを算出することができる。後述する例では2種類の設定周波数帯域を設定した場合を想定している。
【0029】
・ピーク値
駆動音の音圧のピーク値であり、駆動音の音圧の最大値を判定するためのパラメータである。駆動音の音データを相互比較することで抽出される。
【0030】
・波高率
駆動音の変動の指標として用いられる判定パラメータであり、駆動音の変動が大きいと人間にとって耳障りとなることに着目したものである。波高率は下記の式で算出される。
【0031】
波高率=ピーク値/音データの実効値
・発生頻度の割合
等価騒音レベルBの設定周波数帯域における各音圧レベルの発生頻度のうち、所定の発生頻度用の閾値を超える音圧レベルの発生頻度の割合である。等価騒音レベルBの設定周波数帯域が複数設定されている場合、各設定周波数帯域毎に閾値を設定し、また、各設定周波数帯域毎にこの発生頻度の割合を算出する。この発生頻度の割合は駆動音の音データの周波数分析処理によって得られる、各周波数帯の音圧レベルについて、音圧レベル毎の度数を調べることにより算出される。詳細は後述する。
【0032】
本実施形態は、このように大別して5つの判定パラメータにより異音判定を行うものであり、このように判定対象が異なるパラメータを用いることで異音の判定の結果と人間の聞こえ方との間の相関をより向上する。
【0033】
<異音判定処理>
次に、図2を参照してCPU31により実行される異音判定処理について説明する。図2(a)は異音判定処理のフローチャートである。本実施形態では下記の各処理をソフトウエア的に実行するが、1又は複数の処理について特定のハードウエアを用いて処理を実行することもでき、例えば、S5の周波数分析処理はCPU31ではなく、専用のプロセッサを用いて行うようにしてもよい。
【0034】
図2(a)において、S1では初期設定を行う。ここでは、駆動音の測定時間(例えば、3.2秒)、音データのサンプリング周期又はサンプリング数、周波数分析の分析周波数帯域(例えば、0〜10000Hz)、等価騒音レベルBの設定周波数帯域(例えば、2000〜10000Hzと7000〜10000Hzの2種類)、各種閾値を設定する。これらの設定値は入力装置36からオペレータが入力することができるが、デフォルト値でもよいし、また、デフォルト値をオペレータが変更できるようにしてもよい。なお、本実施形態では等価騒音レベルBの設定周波数帯域を2種類設定した場合を想定する。
【0035】
S2ではオペレータから駆動音の計測開始の指示を待つ。計測開始の指示があると、S3へ進み、製品Bを駆動させた後、音データを取得する処理を開始する。詳細には、収音器1aから製品Bの駆動音が、また、収音器1bから周囲ノイズが、それぞれ同時に収音され、A/D変換器2によりデジタルデータに変換された後、各音データがパソコン3のRAM32へ経過時間と関連付けて順次格納される。
【0036】
S4では駆動音の音データの修正処理を行う。ここでは、収音器1bから収音した周囲ノイズの音データに基づいて周囲ノイズを識別し、収音器1aから収音した駆動音の音データを修正する。詳細には、周囲ノイズの音データに基づいて駆動音の音データから周囲ノイズに相当するデータを削除する処理を行う。図2(b)はこの音データ修正処理のフローチャートである。
【0037】
S11ではRAM32に格納された周囲ノイズの音データを順番に読み込む。S12では読み込んだ周囲ノイズの音データがS1で設定した閾値を超えたか否かを判定する。閾値を超えないと判定された場合にはS11へ戻り、次の音データを読み込む。閾値を超えていた場合、S13へ進み、駆動音の異音判定に影響を与えるとみなして、その周囲ノイズの音データに対応する駆動音の音データを削除する。すなわち、その周囲ノイズの音データが発生した発生時間における駆動音の音データをRAM32から消去する。消去する場合、発生時間の前後の予め定めたオフセット時間分も併せて消去するようにしてもよい。
【0038】
この処理を図3を参照して説明する。図3(a)は計測された駆動音の音データの波形、(b)は計測された周囲ノイズの音データの波形、をそれぞれ表示した図である。これらは図2(a)のS8の結果表示処理においてディスプレイ37に表示される。図3(b)において周囲ノイズの閾値51としては0.600Vが設定されている。そして、周囲ノイズの音データのうち、時間領域50(2.9秒近傍)の音データが閾値を超えている。そこで、図3(a)に示す駆動音の音データからも時間領域50に含まれる音データが削除されることになる。
【0039】
図2(b)に戻り、S14では周囲ノイズの音データの全てについてS12の判定が行われたか否かを判定する。全て判定していない場合はS11へ戻り上述した処理を繰り返す。全て判定した場合は処理を終了する。なお、駆動音の音データを削除した場合、削除部分の音データの記憶領域には以降の音データを順次シフトして一連の音データとすることができる。
【0040】
本実施形態ではこのような処理を行うことで、複雑な処理を伴わずに駆動音の音データから周囲ノイズを除去することができ、より簡易に製品の異音検査を行うことができる。
【0041】
図2(a)に戻り、S5では周波数分析処理を行う。いわゆるFFT演算であり、S4で修正後の駆動音の音データについてS1で設定された周波数帯域の音圧レベルが演算される。演算結果はRAM32又はHDD34に格納される。周波数分析処理の演算結果は、図2(a)のS8の結果表示処理においてカラーマップ形式でディスプレイ37に表示することができる。図4を参照してこの点を説明する。
【0042】
図4(a)は周波数分析処理結果を概念的に示す図である。本実施形態ではデータ処理上、微小時間Δt(例えば、0.08秒)単位で各音データについて周波数分析処理を行い、これを微小周波数Δf(例えば、12.5Hz)毎の音圧レベルのデータとする。すなわち、図4(a)に示すように、Δt×Δfを1単位として各音圧レベルを得る。そして、各音圧レベルに応じた表現色を定める。図4(b)は各音圧レベルに応じた表現色の一例を示す図であり、音圧レベルが大きい程、表現色が濃くなることを示している。同図は便宜上4色としているが、より多段階的な表現色を用いることができる。このようにしてカラーマップを表示する情報が作成される。
【0043】
図4(c)は音圧レベルのカラーマップの表示例を示す図である。時間軸と周波数帯域軸との2次元座標中に、音圧レベルの分布をその大きさに応じた濃度の色で表示している。これにより2次元座標のグラフでありながら3次元の情報を視覚的に得ることができ、駆動音の特性を観察することができる。なお、図4(c)はカラーマップの概念のみを示すものであり、実際の検査結果を忠実に表現したものではない。
【0044】
図2(a)に戻り、S6では上述した各判定パラメータの抽出又は算出が行われる。概説すると、等価騒音レベルA及びBがS5の周波数分析結果に基づき算出される。ピーク値はRAM32に格納された修正後の駆動音の音データに基づき抽出される。波高率は、修正後の駆動音の音データの実効値を算出した上で、抽出されたピーク値により算出される。
【0045】
次に、音圧レベルの発生頻度の割合の算出について説明する。図5は発生頻度の割合の算出方法を示す図であり、これらは図2(a)のS8の結果表示処理においてディスプレイ37に表示することができる。同図において、(a)及び(b)はそれぞれ等価騒音レベルBの2種類の設定周波数帯域毎の音圧レベルの発生頻度の度数分布を示している。
【0046】
この度数分布は、図4(a)で示したΔt×Δfを一単位とする音圧レベルのデータ数量を各音圧レベル単位でまとめたものであり、横軸を音圧レベル、縦軸を各恩圧レベルのデータ数量としたものである。これによりどの音圧レベルの発生頻度が高いかが分かる。そして、音圧レベルの発生頻度の割合は、所定の閾値を超える音圧レベルのデータ数量を音圧レベルの全データ数量で割った値となる。
【0047】
図5(a)は設定周波数帯域が2000〜10000Hzの場合の音圧レベルの度数分布を示しており、閾値53として18dBが設定されている例を示している。この例において、音圧レベルの発生頻度の割合は、周波数帯域2000〜10000Hzに属するデータのうち、閾値53を超えるデータ数量(図の閾値53の右側のデータの合計数量)を当該周波数帯域の全データ数量で割った値となる。また、図5(b)は設定設定周波数帯域が7000〜10000Hzの場合の音圧レベルの度数分布を示しており、閾値54として18dBが設定されている例を示している。この例において、音圧レベルの発生頻度の割合は、周波数帯域7000〜10000Hzに属するデータのうち、閾値54を超えるデータ数量(図の閾値54の右側のデータの合計数量)を当該周波数帯域の全データ数量で割った値となる。このような、音圧レベルの発生頻度の割合を判定パラメータとすることで、特定の周波数帯域における音圧の強さを判定することができる。
【0048】
図2(a)に戻り、S7では異音の有無の判定処理を実行する。ここでは、S6で求めた各判定パラメータと、S1で設定された対応する閾値とに基づいて異音の有無を判定する。本実施形態の場合、各判定パラメータと各閾値との間の条件関係をいずれか一つでも満たさなければ異音ありと判定する。条件関係としては、判定パラメータが閾値を超えないこととしている。このように厳格に判定することで駆動音を聞き取る者の個性に比較的左右されず、できるだけ多くの人間の感覚に対応可能なものとなり、異音の判定の結果と人間の聞こえ方との間の相関を極めて向上することができる。
【0049】
S8ではS7の判定の結果をディスプレイ37に表示する処理を行う。ここでは、図3、図4(c)、図5の各グラフと共に、図6に示す判定結果の図がディスプレイに表示される。図6の表示例では、各判定パラメータの値を示す表示欄55と、対応する閾値を示す表示欄56と、各判定パラメータの判定結果を示す表示欄57と、異音の有無の判定結果(NGかOKか)を示す表示欄58が設けられている。
【0050】
本実施形態では、等価騒音レベルBの設定周波数帯域を2種類設定しているので、等価騒音レベルBも等価騒音レベルB1とB2とに分かれ、それぞれが判定されている。また、これに対応して音圧レベルの発生頻度も発生頻度1と2とに分かれ、それぞれが判定されている。
【0051】
表示欄57は各判定パラメータにつき、閾値を超えた場合はNGを示す●が表示され、閾値を超えていない場合はOKを示す○が表示されている。同図の場合波高率のみがOKとなっており、他の判定パラメータはNGとなっている。上述した通り、本実施形態ではいずれか一つの判定パラメータがNGの場合、異音ありとするので異音の有無の判定結果としてはNG(異音あり)となっている。
【0052】
以上により異音判定処理が終了する。なお、例えば、一旦判定した後に、オペレータが各種閾値や等価騒音レベルBの設定周波数帯域を再設定できるようにしてもよく、その場合は既に処理したデータを有効に活用すべく、再設定後、図2(a)のS6の処理に戻ればよい。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、より簡易に製品の異音検査を行うことのできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る異音判定装置Aの概略図である。
【図2】(a)は異音判定処理のフローチャート、(b)は音データ修正処理のフローチャートである。
【図3】(a)は計測された駆動音の音データの波形、(b)は計測された周囲ノイズの音データの波形、をそれぞれ表示した図である。
【図4】(a)は周波数分析処理結果を概念的に示す図、(b)は各音圧レベルに応じた表現色の一例を示す図、(c)は音圧レベルのカラーマップの表示例を示す図である。
【図5】発生頻度の割合の算出方法を示す図である。
【図6】判定結果の表示例を示す図である。
【符号の説明】
A 異音判定装置
B 製品
1a,1b 収音器
2 A/D変換器
3 パソコン
36 入力装置
37 ディスプレイ
Claims (4)
- 製品の駆動音を収音する第1の収音器と、
第2の収音器と、
前記第2の収音器により収音された音の音データに基づいて周囲ノイズを識別し、前記第1の収音器により収音された駆動音の音データを修正する修正手段と、
前記修正手段により修正された前記駆動音の音データに基づいて、前記製品が異音を発生するか否かを判定する判定手段と、を備え、
前記修正手段は、
前記第2の収音器により収音された音の音データに基づいて、前記駆動音の音データから周囲ノイズに相当するデータを削除することを特徴とする異音判定装置。 - 前記第2の収音器は、前記第1の収音器よりも前記製品から離れて設置されることを特徴とする請求項1に記載の異音検出装置。
- 前記第1の収音器と前記第2の収音器と前記製品とを収容する防音ケースを備えたことを特徴とする請求項1に記載の異音検出装置。
- 製品の駆動音を収音する第1の収音器を設置する工程と、
第2の収音器を設置する工程と、
前記第2の収音器により検出された音の音データに基づいて周囲ノイズを識別し、前記第1の収音器により収音された駆動音の音データを修正する修正工程と、
前記修正工程により修正された前記駆動音の音データに基づいて、前記製品が異音を発生するか否かを判定する判定工程と、を備え、
前記修正工程では、
前記第2の収音器により収音された音の音データに基づいて、前記駆動音の音データから周囲ノイズに相当するデータを削除することを特徴とする異音判定方法。
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