JP5606061B2 - 発振素子 - Google Patents
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Description
図1(b)において、歪発生部103は、たわみ可能に構成されている。このとき、前記RTD101は、歪発生部103がたわむことによって、該RTD101の面内方向に歪む位置に配置されることが好ましい。これにより、図3(a)のように、RTD101の面内方向に応力σ(横応力)を発生させることができる。
図1(c)において、歪発生部103は、ピエゾ電界を発生可能に構成されている。
歪発生部のその他の例としては、以下の手法が考えられる。まず、歪発生部として針(例えば、プローブ)を用いて共鳴トンネルダイオードの内部に応力を発生させる手法がある。共鳴トンネルダイオード近辺(例えば、電極)を叩くことにより生じる力によって、共鳴トンネルダイオードの内部に応力を発生させる。
一般的に、共鳴トンネルダイオード(RTD)は、APL,Vol.55〈17〉,P.1777,1989などに開示されているように、図4(a)に示した等価回路で記述される。また、電磁波発振素子においては、共振器の構造によって決まる負荷抵抗、容量成分、インダクタンス成分を接続した共振回路のLCの共振周波数によって基本発振波長が決定される。ここで、Rcont、Ccontは電極631とコンタクト層610の接触抵抗成分、接触容量成分であり、RpostはRTD200に直列に接続されるメサ構造に起因する抵抗成分を表している。また、RactはRTDの微分負性抵抗(<0)である。また、CactはRTDの容量成分であり、LactはRTDのインダクタンス成分である。
活性層101は、少なくとも2種類の半導体のヘテロ接合により構成されることが好ましい。
正負バイアス電圧で異なる微分負性抵抗が獲られるRTDを用いて、バイアス電源に極性の切り替えスイッチを設けてもよい。例えば、図4(b)に示したRTDにバイアス電源から極性の異なるバイアス電圧を入力すると、正負の電圧信号に対応した2種類の微分負性抵抗が得られる。さらに、本発明の応力発生手段により、応力信号を入力すれば微分負性抵抗が変化する。この特性を利用すれば、バイアス電圧の極性によって得られる少なくとも2つの発振周波数を応力信号で変化させて、少なくとも2つの周波数帯での周波数可変が実現される。
本発明のテラヘルツ電磁波発生素子100を同一基板上に複数個アレイ状に配置すれば、1デバイスで複数の周波数のテラヘルツ電磁波を発生可能なテラヘルツ電磁波発生デバイスが実現される。さらに、面内に応力分布を有する基板を用いて、応力分布に合わせて素子をアレイ配置して、複数の周波数のテラヘルツ電磁波を発生させても良い。
本実施例のテラヘルツ電磁波発生素子200について、図2などを用いて説明する。ここで、図2は本実施形態に係るテラヘルツ波発生素子の説明するための模式図である。また、図4(a)は、RTDの等価回路を説明する図である。図4(b)は、第一実施例のテラヘルツ電磁波発生素子の電流電圧特性を説明する図である。
RTD201は、InGaAs/InAlAs/AlAsヘテロ接合からなる3重障壁量子井戸構造と、上下に積層された高濃度にSiをドープしたn+−InGaAsからなるコンタクト層から構成される。本実施例にて用いた3重障壁量子井戸構造の膜構成は、下記の通りである。
第一障壁層 AlAs 1.3nm
第一量子井戸層 InGaAs 7.6nm
第二障壁層 InAlAs 2.6nm
第二量子井戸層 InGaAs 5.6nm
第三障壁層 AlAs 1.3nm
ここで、第一量子井戸層、第二障壁層、第二量子井戸層は面方位(100)のInP基板に格子整合したInGaAs/InAlAsである。また、第一障壁層、第三障壁層は、InP基板に格子整合していないAlAsで、臨界薄膜よりは薄く、エネルギーの高い障壁となっている。
本実施例で用いたパッチアンテナ型共振器構造は、パッチアンテナ202が電磁波共振部203と電磁波放射部204の役割を兼ねた構成となっている。即ちパッチアンテナ202を用いることで、テラヘルツ電磁波をより効率よく空間に取り出すことが可能な構成となっている。
応力発生手段230は、主には、圧電ユニモルフ構造212とカンチレバー構造体214とから構成される。RTD201は、カンチレバー構造体214の応力集中点に配置されている。圧電ユニモルフ構造212は、圧電体層214と応力信号用電極215とから構成される。圧電体層214としては、スパッタリング法で形成した1μm厚の窒化アルミニウム薄膜を、応力信号用電極215としてはスパッタリング法で形成した0.5μmのアルミニウム薄膜を用いた。
RTD201と電磁波共振器202からなる共振回路はバイアス電源218に接続されており、バイアス電圧が入力される。
本実施例のテラヘルツ電磁波発生素子300について、図5を用いて説明する。図5は本発明の第二実施例の構成を説明する図である。なお、実施例1と同じ構成部材についての説明は省略した。
例えば、図6に開示した電磁波発生素子630ように、電磁波共振器にスロットアンテナ構造の共振器を、応力発生手段603には外部より直接印加する方式を用いた電磁波発生素子であってもよい。スロットアンテナ637は本発明の電磁波発生素子の高周波化に好適である。さらに、本発生素子のように、正負バイアス(VaとVb)を切替えるスイッチ614を配置してもよい。
実施例4について、図7(a)と(b)を用いて説明する。ここで本実施例は、例えば本発明の共鳴トンネルダイオードを用いた電磁波発生素子を用いた、物体の検査装置である。本実施例の検査装置は、例えば上記の実施例の周波数可変が可能な電磁波発生素子70a〜70dを並べて配置し、f1〜f8までの複数の発振周波数の電磁波を発生させる。ここで周波数f1〜f8は、電磁波発生素子に応力信号を入力したり、スイッチを用いてバイアス電圧の極性を変化させるなどして、周波数を変化させたり、変調したりすることが出来る。また、それぞれの電磁波は放物面鏡74で平行ビームとして伝播し、検体となる対象物体72に照射され、透過光がレンズ73で集光され検出器71a〜71dで受信される。ここで、本実施例では透過配置にしているが、反射配置で検査しても良い。例えば、記憶装置に、予め検出器で受信すべき強弱の組み合わせパターンを記憶させておく。また、検査物質がf1〜f8までの周波数のうち、いずれか1つまたは複数の特定な吸収スペクトルを有していたとする。このとき、検査物質の吸収スペクトルと、記憶させておいたパターンと比較することにより、検査したい物質が対象物体72中に含まれているか否かを判別することができる。また、図7(b)は、検査物質の指紋スペクトルの例である。周波数f1、f6、f7に吸収ピークを持つために、予め本物質の吸収パターンを記憶しておいて、f1、f6、f7で検出器出力が弱く、その他の周波数における検出器出力が大きいという情報を照合すれば、本物質が含まれると判定することができる。
実施例5について、図8(a)と(b)を用いて説明する。本実施例は、例えば上記実施例の共鳴トンネルダイオードを備えた電磁波発生素子を局部発振器として用いたヘテロダイン検出器を提供する。図8(a)は局部発振器としてスロットアンテナ型の電磁波共振器を用いた例であり、図8(b)は局部発振器としてマイクロストリップ型の電磁波共振器を用いた例である。
102 共振部
103 歪発生部
104 制御部
105 電圧印加部
106 歪信号
107 テラヘルツ波
Claims (11)
- テラヘルツ波(30GHz以上30THz以下の周波数の電磁波)を発振させるための発振素子であって、
サブバンド間でのキャリアの遷移によりテラヘルツ波を発生させる活性層と、
前記活性層から発生されたテラヘルツ波を共振させるための共振部と、
前記活性層に歪を生じさせるための歪発生部と、
前記歪発生部を制御する制御部と、を備え、
前記活性層に生じる歪に応じて該活性層の微分負性抵抗が変わることにより、前記共振部で共振されるテラヘルツ波の発振特性が変わる
ことを特徴とする発振素子。 - テラヘルツ波(30GHz以上30THz以下の周波数の電磁波)を発振させるための発振素子であって、
サブバンド間でのキャリアの遷移によりテラヘルツ波を発生させる活性層と、
前記活性層から発生されたテラヘルツ波を共振させるための共振部と、
前記活性層に歪を生じさせるための歪発生部と、
前記歪発生部を制御する制御部と、を備え、
前記活性層に生じる歪に応じて該活性層の等価回路の共振周波数が変わることにより、前記共振部で共振されるテラヘルツ波の発振特性が変わる
ことを特徴とする発振素子。 - 前記発振特性は、テラヘルツ波の周波数あるいはパワーであることを特徴とする請求項1又は2に記載の発振素子。
- 前記活性層は、少なくとも2種類の半導体のヘテロ接合により構成され、
前記歪発生部は、前記ヘテロ接合の界面の方向、あるいは該界面に対して略垂直な方向に、前記活性層に歪を生じさせることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の発振素子。 - 前記歪発生部は、たわみ可能に構成され、
前記活性層は、前記歪発生部によるたわみによって、該活性層の面内方向に歪む位置に配置されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の発振素子。 - 前記歪発生部は、ピエゾ電界を発生可能に構成され、
前記活性層は、前記歪発生部により発生されるピエゾ電界によって、該活性層の面内方向に対して略垂直な方向に歪む位置に配置されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の発振素子。 - 前記歪発生部により前記活性層に歪を生じさせることで、該活性層おける電子の有効質量を変えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の発振素子。
- 前記活性層は、共鳴トンネルダイオードであり、
前記共鳴トンネルダイオードに電圧を印加可能に構成され、前記共振部で共振されたテラヘルツ波を放射可能に構成されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の発振素子。 - 前記共振部は、前記共振されたテラヘルツ波を放射するための放射部を含むことを特徴とする請求項8に記載の発振素子。
- 前記活性層にバイアス電圧を入力するための電源を備え、
前記電源は、前記制御部に接続されていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の発振素子。 - 前記制御部は、前記活性層に入力する電圧と前記歪発生部とを制御することで、前記発振特性を制御することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の発振素子。
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