JP5606061B2 - 発振素子 - Google Patents

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Description

本発明は、テラヘルツ波を発振させるための発振素子に関する。
電流注入型のテラヘルツ波(本明細書では30GHz以上30THz以下の周波数の電磁波)を発振させる発振素子の活性層には、主に、量子カスケードレーザと、共鳴トンネルダイオード(Resonant tunneling Diode:RTD、以下RTDと呼ぶ。)とが用いられる。これらは、半導体量子井戸構造における電子のサブバンド間遷移に基づく電磁波発振を実現させるものである。
特に、2重障壁型のRTDを活性層とする素子により、室温において1THz近傍の周波数帯域のテラヘルツ波を発振することが、特許文献1に開示されている。ここで、2重障壁型のRTDは、InP基板上にエピタキシャル成長されたInGaAs量子井戸層とInAlAsトンネル障壁層とから構成されている。RTDは、電流―電圧(I−V)特性に現れる微分負性抵抗の範囲において、誘導放出により電磁波を発生させる。また、微分負性抵抗が現れる範囲で駆動電圧を変化させることによって、中心周波数470GHzと可変幅18GHzの周波数を変化させる構成が、非特許文献1に開示されている。
特開2007−124250号公報
IEEE,VOL.48,NO.6、p1333−1338、1999
ここで、非特許文献1には、上記微分負性抵抗が一定であることが前提の技術が開示されている。このとき、発振するテラヘルツ波の周波数を変えるために駆動電圧を変えると、一緒に発振するテラヘルツ波の出力(パワー)も変わってしまうという課題があった。
本発明に係るテラヘルツ波を発振させるための発振素子は、テラヘルツ波(30GHz以上30THz以下の周波数の電磁波)を発振させるための発振素子であって、サブバンド間でのキャリアの遷移によりテラヘルツ波を発生させる活性層と、前記活性層から発生されたテラヘルツ波を共振させるための共振部と、前記活性層に歪を生じさせるための歪発生部と、前記歪発生部を制御する制御部と、を備え、前記活性層に生じる歪に応じて該活性層の微分負性抵抗が変わることにより、前記共振部で共振されるテラヘルツの発振特性が変わることを特徴とする。
本発明に係る発振素子は、テラヘルツ波を発生させる活性層に歪を生じさせることにより、発振素子の電流―電圧(I−V)特性に現れる微分負性抵抗を変えることができる。これにより、発振するテラヘルツ波の周波数と出力(パワー)との制御性が良好な発振素子を提供することができる。
本実施形態に係るテラヘルツ波発生素子の概略を説明するための模式図である。 実施例1に係るテラヘルツ波発生素子の構成を説明するための模式図である。 実施例1における応力の方向を説明するための模式図である。 実施例1に係るテラヘルツ波発生素子を説明するための模式図である。 実施例2に係るテラヘルツ波発生素子の構成を説明するための模式図である。 実施例3に係るテラヘルツ波発生素子の構成を説明するための模式図である。 実施例4に係る検査装置を説明するための模式図である。 実施例5に係る検出器を説明するための模式図である。
本実施形態に係るテラヘルツ波発生素子について、図1を用いて説明する。図1(a)、(b)、(c)は、本実施形態の概略を説明するための模式図である。101は、サブバンド間でのキャリアの遷移によりテラヘルツ波を発生させる活性層であり、好ましくは微分負性抵抗を生じる素子である。更に、101は、テラヘルツ波を発生するための共鳴トンネル構造(あるいは共鳴トンネルダイオード。以下、RTDと呼ぶ。)であることが好ましい。RTD101は、第1の電極111と第2の電極112で挟まれている構造が好ましい。これにより、電源(あるいは電圧印加部)105を用いることにより、RTD101に電圧を印加可能(電圧を発生可能)に構成することができる。
RTD101は、障壁層と量子井戸層とが交互に積層された半導体へテロ構造からなるダイオードであり、共鳴トンネル現象により微分負性抵抗が電流―電圧特性に現れる。RTD101には、例えばInP上にエピ成長されたInGaAs/InAlAs/AlAsからなる3重障壁量子井戸構造が用いられる。他の例としては、RTD101の構造としては一般的な2重障壁構造や多重障壁構造が挙げられ、材料としては、GaAs系やSi系などの材料も挙げられる。これら構造と材料は、所望の発振周波数や出力などに応じて適宜選定すれば良い。また本実施形態ではキャリアが電子である場合を説明しているが、正孔(ホール)を用いたものであっても良い。
次に、102は、前記共鳴トンネルダイオード101から発生されたテラヘルツ波を共振させるための共振部(電磁波共振器)である。共振部102は、主に電磁波(テラヘルツ波)を共振させることにより、電磁波のパワーを増幅させる。また、共振部102は、RTD101とともにLC共振回路を構成し基本発振周波数を決定する。共振部102とRTD101とは、オーミック電極(第1の電極111、第2の電極112)を経て電気的に接続されている。そして、電源105により、RTD101に電圧が印加される。
また、前記共振部102は、前記共振されたテラヘルツ波107を放射するための放射部を含み構成されることが望ましい。このとき、共振部102は、放射部を設置することで電磁波をより効率よく空間に取り出すことが可能(あるいは放射可能)に構成される。また、放射部は、該放射部が応力による変位の影響を受けないように構成することが好ましい。これにより、応力による部材の変形による電磁波の放射パターンの変化や放射効率の変化が生じないため、テラヘルツ波107を安定して放射することができる。ただし、パッチアンテナ(実施例1で詳述。図2の202。)のように、共振部と放射部を兼ねて構成することも可能である。
共振部102としては、例えば、高周波化に有利なスロットアンテナ構造、アレイ化に有利なコプレナ線路型や、Q値の高い3次元構造の空洞導波管を採用しても良い。また、共振部102として、金属―金属プラズモン導波路構造の共振器を用いれば、より高出力化に有利な構成を提供することが出来る。
また、103は、活性層101に歪(あるいは応力とも呼ぶ。)を生じさせるための歪発生部(あるいは応力発生部とも呼ぶ。)である。なお、歪発生部103については後述する。
そして、104は、共振部102で共振させるテラヘルツ波の発振特性(周波数あるいは出力)に応じて歪発生部103を制御する制御部である。ここで、活性層101に生じる歪に応じて微分負性抵抗が変わることにより、共振部102で共振されるテラヘルツ波107の周波数あるいは出力が変わる。これを詳述すると、次のようになる。まず、活性層101の内部に歪(応力)が発生すると、活性層101の結晶構造が変化する。そして、活性層101の電子の有効質量も変化し、さらにはドリフト速度(ドリフト速度は有効質量の関数)も変化する。これにより、微分負性抵抗(ドリフト速度の関数)が変化するので、テラヘルツ波107の周波数(微分負性抵抗の関数)を変化させることができる。
ここで、歪発生部103は、電気や熱などのエネルギーを注入されるように構成されることが望ましい。このとき、RTD101の内部に応力を発生させるための歪信号106(あるいは応力信号とも呼ぶ。)を発生する応力信号源(あるいは歪発生部103を駆動するための駆動部とも呼ぶ。)を備えることが望ましい。なお、歪信号106をRTD101に伝達する役割を果たす代表的なものとしては、カンチレバー構造やメンブレン構造などが挙げられる。例えば、図3(a)と(b)に示したように、外部から直接圧力を加える。また、部材の圧電性や内部応力変化などを利用して、RTD101に縦応力や横応力といった内部応力を発生させる。
(歪発生部103について) 次に、本実施形態に係るテラヘルツ波発生素子が有する歪発生部103の変形例について、図1(b)と(c)とを用いて説明する。
(1)たわみ可能な構成
図1(b)において、歪発生部103は、たわみ可能に構成されている。このとき、前記RTD101は、歪発生部103がたわむことによって、該RTD101の面内方向に歪む位置に配置されることが好ましい。これにより、図3(a)のように、RTD101の面内方向に応力σ(横応力)を発生させることができる。
ここで、歪発生部103の具体例について、図2を用いて説明する。歪発生部として、圧電材料薄膜と金属材料薄膜の圧電ユニモルフ構造212と、カンチレバー構造体213とを用いた例を示した。ここで、ユニモルフとは、金属片に接着した圧電性の薄片で作られた圧電トランスデューサーのことである。一方の圧電素子を伸ばし、もう一方を縮ますように変位を生じると、支点に応力が生じることを利用する。圧電材料はメカニカルな応力発生方法に比べて高速応答性に優れる為、RTD101への歪信号106の入力を高速で行なうことが可能となる。
圧電ユニモルフ構造212は、圧電体層214と応力信号用電極215とから構成される。応力信号電極215は応力信号源219に接続されており、圧電体層214に適切な大きさと極性の電圧を印加することで、カンチレバー構造体213は、引張または圧縮応力が発生され、変形する。応力信号源219は、調整部220(図1(a)における制御部104に相当。以下同様。)に接続されており、RTD101に所望の応力信号が入力されるように調整される。RTD201は、カンチレバー構造体214の応力集中点に配置されており、応力信号源219からの信号を受けて、主にヘテロ接合界面と略平行な方向の内部応力(横応力)が発生されるようになっている。
なお、本実施形態のように、RTD101、共振部102、歪発生部103などを同一基板上に集積することが好ましい。これにより小型なテラヘルツ電磁波発生素子を実現することが出来る。
(2)ピエゾ電界発生可能な構成
図1(c)において、歪発生部103は、ピエゾ電界を発生可能に構成されている。
前記RTD101は、歪発生部103がピエゾ電界を発生することによって、該RTD101の面内方向に対して垂直方向に歪む位置に配置されることが好ましい。これにより、図3(b)のように、RTD101の面内方向に対して垂直方向に応力σ(縦応力)を発生させることができる。
これは、電力をエネルギーとして、歪発生部にバイモルフ型の圧電素子を用いる手法である。ここで、バイモルフ型の圧電素子とは、チタン酸ジルコン酸鉛やチタン酸バリウムといった圧電素子を2枚積層し、印加電圧当たりの変位を大きくした素子である。
(3)その他の構成
歪発生部のその他の例としては、以下の手法が考えられる。まず、歪発生部として針(例えば、プローブ)を用いて共鳴トンネルダイオードの内部に応力を発生させる手法がある。共鳴トンネルダイオード近辺(例えば、電極)を叩くことにより生じる力によって、共鳴トンネルダイオードの内部に応力を発生させる。
また、熱をエネルギーとして、バイメタル(熱膨張率の異なる2つの金属板を張り合わせたもの)を用いる手法もある。その他、薄膜の残留応力を用いる方法等も考えられる。
さらに、電磁力を用いたアクチュエータや、MEMS静電アクチュエータを用いた方法、表面弾性波や音波を用いた方法も好適である。さらに、RTDをメンブレン構造の応力集中点に配置し、封止された流路内を流れる液体や気体の圧力変化を利用してメンブレン構造に応力を発生させるような構成であっても良い。
(電磁波発振の原理と応力変化による周波数可変動作の説明)
一般的に、共鳴トンネルダイオード(RTD)は、APL,Vol.55〈17〉,P.1777,1989などに開示されているように、図4(a)に示した等価回路で記述される。また、電磁波発振素子においては、共振器の構造によって決まる負荷抵抗、容量成分、インダクタンス成分を接続した共振回路のLCの共振周波数によって基本発振波長が決定される。ここで、Rcont、Ccontは電極631とコンタクト層610の接触抵抗成分、接触容量成分であり、RpostはRTD200に直列に接続されるメサ構造に起因する抵抗成分を表している。また、RactはRTDの微分負性抵抗(<0)である。また、CactはRTDの容量成分であり、LactはRTDのインダクタンス成分である。
actは、RTD100内における電子のトンネリング時間、空乏層の走行時間を考慮したRTD100におけるの電子の遅延時間τを遅延インダクタンスとして表したものであり、Lact=Ract×τの関係が知られている。
一方、非特許文献2(IEEE,VOL.48,NO.6)などによれば、一般的に共鳴トンネルダイオード内に応力が発生するとヘテロ構造内でのピエゾ電界効果や電子の有効質量変化などが発生する。その結果、図4(b)に示したようにI−V特性におけるピーク/バレー電圧及び電流のシフトが生じ、結果として微分負性抵抗が変化する。
本実施形態に係るテラヘルツ電磁波発生素子は、RTD101に対してバイアス電源105からバイアス電圧を入力することで、図4(b)に示したような微分負性抵抗(NDR)が得られる。また、応力発生手段からRTD101に応力信号σを入力すれば、図4(c)のように微分負性抵抗(NDR)の値Ractが対応して変化する。
従って、あるバイアス電圧Vにおいて、入力する応力信号σの大きさを変化させることで、微分負性抵抗(NDR)の値Ractが変化し、図4(a)の等価回路の遅延インダクタンスLactが変化することになる。この結果、同じ電磁波共振器を用いても、Lactが変化することで共振回路全体の共振周波数が大きく変化するため、テラヘルツ電磁波発生素子の発振周波数が変化することになる。
図4(c)には、本発明の第一実施例に開示した電磁波発生素子(RTDのメサ径2μmΦ、パッチアンテナ)の応力変化に対応する発振周波数の変化を例示している。これらは上記LC共振周波数の変化を等価回路によって見積ったものである。
このように、本発明のテラヘルツ電磁波発生素子は、外部から入力された歪信号106による微分負性抵抗の変化を利用して、発振周波数の調整を行なうことが可能な構成となっている。ただし、本発明は上記構成に限定されるものでないことは言うまでもない。
(RTDに歪を生じさせる方向と結晶面方位)
活性層101は、少なくとも2種類の半導体のヘテロ接合により構成されることが好ましい。
このとき、前記へテロ接合の界面の方向(略平行な方向)に応力(横応力)を発生させることが好ましい。このとき、結晶の面方位に依らず主にピエゾ電界効果がヘテロ構造内に生じて、微分負性抵抗の変化が大きくなる為、効率良く周波数可変が可能となることが期待される。
また、前記ヘテロ接合の界面の方向に対して略垂直な方向に応力(縦応力)を発生させることが好ましい。このとき、(100)結晶では主に有効質量変化が、(111)結晶では主に有効質量変化とピエゾ電界効果が生じて、周波数可変が実現される。
(111)結晶にエピ成長された半導体へテロ構造のRTDを用いれば、応力の方向に依らず大きなピエゾ電界効果が得られるため、効率良く周波数可変が実現される。
ねじり応力により、横応力、縦応力を同時に発生させることが出来るとともに、RTDのインダクタンス変化が期待される為、効率の良い周波数可変が実現される。
なお、2軸や単軸の応力を組み合わせた応力発生手段でも周波数可変の効果は十分得られることは言うまでもなく、上記構成に限定されるものではない。
(バイアス極性を変えるスイッチ)
正負バイアス電圧で異なる微分負性抵抗が獲られるRTDを用いて、バイアス電源に極性の切り替えスイッチを設けてもよい。例えば、図4(b)に示したRTDにバイアス電源から極性の異なるバイアス電圧を入力すると、正負の電圧信号に対応した2種類の微分負性抵抗が得られる。さらに、本発明の応力発生手段により、応力信号を入力すれば微分負性抵抗が変化する。この特性を利用すれば、バイアス電圧の極性によって得られる少なくとも2つの発振周波数を応力信号で変化させて、少なくとも2つの周波数帯での周波数可変が実現される。
(アレイ化)
本発明のテラヘルツ電磁波発生素子100を同一基板上に複数個アレイ状に配置すれば、1デバイスで複数の周波数のテラヘルツ電磁波を発生可能なテラヘルツ電磁波発生デバイスが実現される。さらに、面内に応力分布を有する基板を用いて、応力分布に合わせて素子をアレイ配置して、複数の周波数のテラヘルツ電磁波を発生させても良い。
以下、本発明に係る実施例について説明する。
(実施例1:共鳴トンネルダイオード)
本実施例のテラヘルツ電磁波発生素子200について、図2などを用いて説明する。ここで、図2は本実施形態に係るテラヘルツ波発生素子の説明するための模式図である。また、図4(a)は、RTDの等価回路を説明する図である。図4(b)は、第一実施例のテラヘルツ電磁波発生素子の電流電圧特性を説明する図である。
テラヘルツ電磁波発生素子200は、RTD201、パッチアンテナ202、応力発生手段230、調整部220、バイアス電源205とから構成される。素子200は、電磁波共振器にはパッチアンテナ型共振器構造を、応力発生手段230(図1(a)における歪発生部103に相当。以下同様。)には圧電ユニモルフ効果とカンチレバー構造体を用いた構成となっている。これらの構成と構造は既存の半導体プロセスを用いて作製することが出来る。
(RTDの説明)
RTD201は、InGaAs/InAlAs/AlAsヘテロ接合からなる3重障壁量子井戸構造と、上下に積層された高濃度にSiをドープしたn−InGaAsからなるコンタクト層から構成される。本実施例にて用いた3重障壁量子井戸構造の膜構成は、下記の通りである。
第一障壁層 AlAs 1.3nm
第一量子井戸層 InGaAs 7.6nm
第二障壁層 InAlAs 2.6nm
第二量子井戸層 InGaAs 5.6nm
第三障壁層 AlAs 1.3nm
ここで、第一量子井戸層、第二障壁層、第二量子井戸層は面方位(100)のInP基板に格子整合したInGaAs/InAlAsである。また、第一障壁層、第三障壁層は、InP基板に格子整合していないAlAsで、臨界薄膜よりは薄く、エネルギーの高い障壁となっている。
RTD201を含むエピタキシャル半導体層は、プラズマ活性化と熱圧着を用いたAu―Au薄膜接合法により、基板216であるシリコン基板に転写されている。
図4(b)は、本実施例で用いたRTD201の電流―電圧特性を測定して得られたグラフである。RTD201は極性の異なる2種類のバイアス電圧を印加することで、ピーク電流密度とピーク対バレー比が異なる2つの微分負性抵抗領域が観測される。
本実施例で用いたRTD201は、応力信号が0MPaの状態で、正バイアス印加時ではピーク電流密度J=280kA/cm、直径約2μmΦのRTDで微分負性抵抗NDR=−22Ωが得られる。負バイアス印加時ではピーク電流密度J=90kA/cm、直径約2μmΦのRTDでNDR=−174Ωが得られる。
なお、本実施例では、面方位(100)のInP基板上に成長したInGaAs/InAlAs、InGaAs/AlAsからなる3重障壁共鳴トンネルダイオードについて説明してきた。しかし、これらの構造や材料系に限られることなく、他の構造や材料の組み合わせであっても本発明のテラヘルツ電磁波発生素子を提供することができる。例えば、構造としては2重障壁量子井戸構造を有する共鳴トンネルダイオードや、4重以上の多重障壁量子井戸を有する共鳴トンネルダイオードを用いても良い。また、面方位としては(100)以外に、縦応力及び横応力に対して微分負性抵抗変化が大きく生じる(111)成長のRTDを用いれば、より効率良く周波数可変が実現される。また材料系としては、GaAs基板上に形成したGaAs/AlGaAs/、GaAs/AlAs、InGaAs/ GaAs/AlAs、InP基板上の、InGaAs/AlGaAsSb、InAs基板上のInAs/AlAsSb、InAs/AlSbや、Si基板上に形成したSiGe/SiGeの組み合わせであっても良い。
(電磁波共振器の説明)
本実施例で用いたパッチアンテナ型共振器構造は、パッチアンテナ202が電磁波共振部203と電磁波放射部204の役割を兼ねた構成となっている。即ちパッチアンテナ202を用いることで、テラヘルツ電磁波をより効率よく空間に取り出すことが可能な構成となっている。
パッチアンテナ202は、RTD201、上電極層211、GND電極層208、誘電体層207から構成され、上電極層211とGND電極層208に挟まれた領域にある誘電体層207内を電磁波は共振する。本共振器構造では、誘電体層207の材料と厚さ、パッチアンテナ202の辺の長さ、RTD201の大きさと位置などの構造が発振周波数を決める上で重要なファクタとなる。
本実施例で用いたパッチアンテナ202は、上電極層211が200μm×200μmの正方形パターンをしている。また、アンテナ中心からA’A方向に40μmずらした位置にRTD201が配置されている。RTD201は、上電極層211とGND電極層208に上下から挟まれており、駆動に必要なバイアス電圧が印加可能な構成となっている。RTD201は、量子井戸構造層を含む2μmのメサ構造となっている。
上電極層211は、真空蒸着したTi/Pd/Au層(20nm/20nm/200nm)をリフトオフすることで形成した。Ti/Pd/Au層は高濃度にドーピングされたInGaAsの低抵抗コンタクト電極として知られている。誘電体層207には、高周波電磁波に対して低損失材料として知られるBCB(ベンゾシクロブテン)を用いた。誘電体層207のBCB膜厚は3μmであり、スピンコート法とドライエッチング法を用いて形成した。GND電極層208は共振器内の接地電極であるとともに、RTD201を含む活性層を基板216に接合する際の接合層としての役割も果たしている。本実施例ではスパッタリング法で形成したTi/Pd/Au/Ti層(20nm/20nm/200nm/20nm)を用いた。
上記構造及び構成のパッチアンテナ202と、RTD201を用いた場合では、応力信号が0MPaの時で基本発振周波数420GHzの電磁波発振が得られる設計となっている。
(応力発生手段についての説明)
応力発生手段230は、主には、圧電ユニモルフ構造212とカンチレバー構造体214とから構成される。RTD201は、カンチレバー構造体214の応力集中点に配置されている。圧電ユニモルフ構造212は、圧電体層214と応力信号用電極215とから構成される。圧電体層214としては、スパッタリング法で形成した1μm厚の窒化アルミニウム薄膜を、応力信号用電極215としてはスパッタリング法で形成した0.5μmのアルミニウム薄膜を用いた。
カンチレバー構造体213は、基板216と梁構造層217とから構成される。基板216は加工性と弾性に優れたシリコン(525μm厚)を用いた。また、梁構造層217にはプラズマCVD法にて形成した1μm厚の窒化シリコン薄膜を用いた。
カンチレバー構造体213は、RTD201が転写された基板216を、フォトリソ法とボッシュプロセスを用いたSiDeepRIE法により母材であるシリコンをドライエッチングして形成した。カンチレバー構造体213を形成後、スパッタリング法やリフトオフ法を用いて圧電ユニモルフ構造212を形成した。
本実施例で開示した応力発生手段230は、RTD201に主に0MPa〜約1000MPa程度の横応力(ヘテロ接合界面に対して平行)を印加することが可能な構成となっている。
なお、圧電体層214の材料は、通常の圧電性を有する材料であればよく特に限定されない。形成方法としては、スパッタリング法、真空蒸着法、レーザーアブレーション法、イオンプレーティング法、CVD法及びMOCVD法などがあり、用途に応じて選択すればよい。材料は、例えば、窒化アルミニウム、酸化亜鉛、ポリフッ化ビニリデン、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸鉛、ニオブ酸リチウム、ニオブ酸タンタル、チタン酸ストロンチウムなどが挙げられる。また、窒化ガリウム、窒化インジウム、酸化ベリリウム、酸化亜鉛、硫化カドミウム、硫化亜鉛又はヨウ化銀なども挙げられる。圧電体層214の厚さは、応力発生手段としては十分なパワーが得られ、且つ、クラックや剥離が発生する可能性が低い0.1μm〜10μmとすることが好ましい。応力信号用電極215の材料は導電性を有すれば良く、例えばアルミニウム、ニッケル、クロム、銅、チタン、モリブデン、白金、金、パラジウムなどの一般的な金属を用いればよい。形成方法としてはスパッタリング法や真空蒸着法などが挙げられる。基板216の材料は用途に応じて選定すればよく、上記以外にインジウム燐基板、ガリウムヒ素基板、ガラス基板、セラミック基板、樹脂基板などを用いても良い。梁構造層217についても、材料は用途に応じて選定すればよく、例えばシリコン、ポリシリコン、ガリウムヒ素、インジウム燐、インジウムガリウムヒ素、樹脂、酸化シリコンなどの薄膜を用いても良い。
(制御系の接続と動作の説明)
RTD201と電磁波共振器202からなる共振回路はバイアス電源218に接続されており、バイアス電圧が入力される。
応力信号電極215は応力信号源219に接続されており、圧電体層214に適切な大きさと極性の電圧を印加することで、カンチレバー構造体213に引張応力または圧縮応力が印加されて変形する。
RTD201は、カンチレバー構造体214の応力集中点に配置されており、カンチレバー構造体214が撓むと、RTD201は、ヘテロ接合界面と略平行な方向に内部応力が発生するようになっている。
調整部220は、バイアス電源218と応力信号源219と接続されており、RTD201に入力されるバイアス電圧と応力信号を、発振周波数に合わせて外部から所望の値に制御する役割を果たす。
本実施例のテラヘルツ電磁波発生素子200は、応力信号0MPa、バイアス電圧0.8VにおいてNDR=−22Ωとなり、基本発振周波数455GHzのテラヘルツ電磁波の発振動作を行なう。
また、応力信号として0〜500MPaの範囲の引張応力及び圧縮応力をRTD201に入力した場合は図4(c)に示したようにNDR及び基本発振周波数の値が変化する。
このように、本実施例における共鳴トンネルダイオードを用いたテラヘルツ電磁波発振素子200は、応力信号の入力で、微分負性抵抗が変化させて、周波数可変を行なうことが可能である。また、応力信号の入力方法を変調すれば、周波数変調を行なうことも可能となる。
(実施例2:ピエゾ電界によりRTD内部に応力印加)
本実施例のテラヘルツ電磁波発生素子300について、図5を用いて説明する。図5は本発明の第二実施例の構成を説明する図である。なお、実施例1と同じ構成部材についての説明は省略した。
素子300は、RTD301、メサ310、マイクロストリップパッチアンテナ302、応力発生手段303、調整部320、バイアス電源318、応力信号源319とから構成される。本実施例では、電磁波共振器としてマイクロストリップパッチアンテナ型の共振器構造を、応力発生手段303としては、圧電バイモルフ効果により応力が発生する構造を用いた。これらの構造は既存の半導体プロセスを用いて作製することが出来る。
マイクロストリップパッチアンテナ302は、主に電磁波共振部と電磁波放射部の役割を果たすパッチアンテナ305と、主に電磁波共振部の役割を果たすマイクロストリップライン304より構成される。実施例1と同じく、誘電体層307の材料と厚さ、パッチアンテナ305の辺の長さ、マイクロストリップライン304の長さ、RTD301の大きさと位置などが基本発振周波数を決める上で重要なファクタとなる。本実施例の場合は以下のような設計となっている。パッチアンテナ305は、上電極層311がL×L/2の長方形パターンをしている。ここで、L=280μmである。また、パッチアンテナ305の短辺の中心から線幅8μmのマイクロストリップラインが伸びており、RTD301の上でT字に交差するような配置となっている。ここで、RTD301はマイクロストリップライン304の共振する電磁波の腹になる部分に配置されている。マイクロストリップライン304は、DC給電線325に接続されており、パット電極326を介してバイアス電源318に接続されている。実施例1と同様に、RTD301は2μmΦメサ構造であり、上電極層311とGND電極層308に上下から挟まれており、駆動に必要なバイアス電圧が印加可能な構成となっている。なお、上電極層311、GND電極層308、誘電体層307は実施例1と同様の材料を使用した。上記構造及び構成の電磁波共振器302では、応力信号が0MPaの時で基本発振周波数340GHzの電磁波発振が得られる設計となっている。
本実施例で用いた応力発生手段303は、圧電バイモルフ効果により応力が発生する構造を用いている。応力発生手段303は、圧電体層314と圧電体層315と、2つの圧電体層に挟まれた応力信号用電極313とから構成され、RTD301を覆うように配置される。
圧電体層314と圧電体層315は、それぞれ膜厚方向に分極した圧電材料であり、例えばスパッタリング法で形成した1μm厚の窒化アルミニウム薄膜である。また応力信号用電極313としては真空蒸着法で形成した0.5μmのアルミニウム薄膜である。応力信号用電極313は、応力信号用配線316、応力信号用パット312を介して応力信号源319に接続される。応力信号用配線316は絶縁層317により基板321の材料であるInPと電気的な絶縁がなされている。応力信号源319から電圧信号などを印加すれば、図示した方向に内部応力が生じて、RTD301に応力信号が印加される。
本実施例のテラヘルツ電磁波発生素子は、RTD301への応力信号印加に伴うパッチアンテナ304の変形が生じないので、応力印加による周波数変化中にも放射方向が変化せず、放射方向の安定した放射を実現出来る。
(実施例3:スロットアンテナ構造の共振器)
例えば、図6に開示した電磁波発生素子630ように、電磁波共振器にスロットアンテナ構造の共振器を、応力発生手段603には外部より直接印加する方式を用いた電磁波発生素子であってもよい。スロットアンテナ637は本発明の電磁波発生素子の高周波化に好適である。さらに、本発生素子のように、正負バイアス(VとV)を切替えるスイッチ614を配置してもよい。
ここで、本発生素子600は、InP基板636上に、電極Ti/Pd/Au層631と632とが、SiO絶縁層633を介して積層された構造となっている。電極631及び電極632の一部が除去された窓領域634がスロットアンテナ型共振器となっており、窓領域の長さが発振周波数を決めるファクタとなっている。本実施例においては、スロットアンテナ637の窓幅は30μmとし、一辺2.3μmのメサ635を配置した。メサ635はポスト状に形成されたRTD101である。電極Ti/Pd/Au層631や632はオーミック電極であり、バイアス電源618を介して調整部620に接続されている。また、応力発生手段603は先端の細いプローブやアンビルなどを用いて直接RTD101に応力を発生させる構成となっている。応力発生手段603は応力信号源619を介して調整部620と接続されており、所望の周波数に応じて応力信号が入力される。
また応力発生手段の別の例として、静電コイルからの電磁力により撓むトーションバーを用いても良い。この場合、RTD101及び電磁波共振器402はトーションバーの応力集中点に配置され、トーションバーがコイルからの電磁力でねじれる際に発生する応力がRTD101に伝達される。また、トーションバーの変形を利用して、応力信号によってスロットアンテナ637の方向を変化させて放射方向を変化することが可能な構成にすることも出来る。
(実施例4:検査装置)
実施例4について、図7(a)と(b)を用いて説明する。ここで本実施例は、例えば本発明の共鳴トンネルダイオードを用いた電磁波発生素子を用いた、物体の検査装置である。本実施例の検査装置は、例えば上記の実施例の周波数可変が可能な電磁波発生素子70a〜70dを並べて配置し、f1〜f8までの複数の発振周波数の電磁波を発生させる。ここで周波数f1〜f8は、電磁波発生素子に応力信号を入力したり、スイッチを用いてバイアス電圧の極性を変化させるなどして、周波数を変化させたり、変調したりすることが出来る。また、それぞれの電磁波は放物面鏡74で平行ビームとして伝播し、検体となる対象物体72に照射され、透過光がレンズ73で集光され検出器71a〜71dで受信される。ここで、本実施例では透過配置にしているが、反射配置で検査しても良い。例えば、記憶装置に、予め検出器で受信すべき強弱の組み合わせパターンを記憶させておく。また、検査物質がf1〜f8までの周波数のうち、いずれか1つまたは複数の特定な吸収スペクトルを有していたとする。このとき、検査物質の吸収スペクトルと、記憶させておいたパターンと比較することにより、検査したい物質が対象物体72中に含まれているか否かを判別することができる。また、図7(b)は、検査物質の指紋スペクトルの例である。周波数f1、f6、f7に吸収ピークを持つために、予め本物質の吸収パターンを記憶しておいて、f1、f6、f7で検出器出力が弱く、その他の周波数における検出器出力が大きいという情報を照合すれば、本物質が含まれると判定することができる。
本実施例の検査装置は、例えば、空港での危険物・禁止物質検査、郵便・貨物等の物流品検査、工場における工業製品の検査等に利用することができる。この際、本発明の電磁波発生素子を用いることで、1つの検査装置でさらに多くの周波数での検査が可能となるため、より多くの種類の検査物質を検査することが可能となる。
(実施例5:ヘテロダイン検出器)
実施例5について、図8(a)と(b)を用いて説明する。本実施例は、例えば上記実施例の共鳴トンネルダイオードを備えた電磁波発生素子を局部発振器として用いたヘテロダイン検出器を提供する。図8(a)は局部発振器としてスロットアンテナ型の電磁波共振器を用いた例であり、図8(b)は局部発振器としてマイクロストリップ型の電磁波共振器を用いた例である。
本実施例の検出器は局部発振器(LO)、ミキサー(Mixer)、IF検出部、アンテナ(Antenna)、LO−port、RF―port、IF−portなどから構成される。ここで、局部発振器(LO)としては本発明の電磁波発振器が用いられる。また、ミキサーはRFパワーを効率よくIFパワーに変換するデバイスであり、ショットキーダイオード、超伝導SISミキサー、ホットエレクトロンボロメータ、HBT/HEMTミキサーなどが用いられる。また、IF検出部はミキシングで生成した中間周波数(IF)出力を検出する役割を果たし、アンテナ(Antenna)は検出したい電磁波を受信する役割を果たす。また、LO−port、RF―portは、それぞれ局発波、信号波のミキサー(Mixer)への入力ポートを表しており、IF−portは中間周波数(IF)のIF検出部への入力ポートを表している。ここで、特に図示はしていないが、アンテナ(Antenna)、ミキサー(Mixer)、局部発振器(LO1又はLO2)の間に高周波フィルターやRF増幅器等を配置すればより高感度な検出器が実現される。
図8(a)を用いて本発明の検出器について詳細に説明する。検出器640の局部発振器(LO1)は、スロットアンテナ637を有する電磁波発生素子630とスイッチ614が設けられたバイアス電源618とから構成される。ここで、本発明の電磁波発生素子は、応力信号(σ及びσ)の入力により周波数を変化及び変調することが可能である。また、バイアス電圧の極性をスイッチすれば、2つ以上の発振周波数の電磁波を発生することが可能になる。従って、本発明の電磁波発生素子を局部発振器(LO1)にとして用いれば、1つの局部発振器から広い帯域幅の周波数を検出器に入力することが可能となる(例えばf1からf2)。また、検出器640において、スロットアンテナ型共振器構造637は電磁波(f1からf2)の受信用のアンテナとしての役割も果たしている。受信した電磁波と、電磁波発生素子630からの発振出力は、RF―port及びLO―portからミキサー(Mixer)に入力され、周波数混合により差周波成分である中間周波数(IF)が生成される。生成された中間周波数(IF)はIF−portを介してIF検出部にて検出される。
本発明の検出器の動作について説明する。例えば、バイアス電源618からバイアス電圧Vが、応力信号源619から応力信号σが電磁波発生素子630に入力された場合は、局部発振器(LO1)から周波数f1が発振される。このとき、検出器640はアンテナにて周波数f1(=|f1+fIF|)の信号波1を受信し、ミキサー(Mixer)から出力される中間周波数fIFをIF検出部にて検出することで信号波1が検出される。また、応力信号σが電磁波発生素子630に入力された場合は、局部発振器(LO1)はから周波数f2が発振される。このとき、検出器640はアンテナにて周波数f2(=|f2+fIF|)の信号波2を受信し、ミキサー(Mixer)から出力される中間周波数fIFをIF検出部にて検出することで信号波2が検出される。
また、図8(b)のように、局部発振器として共鳴トンネルダイオードとマイクロストリップ型共振器とを備えた電磁波発生素子を用いた例でも同様の検出を行なうことが可能である。ここで、検出器807の局部発振器LO2は、RTD801、マイクロストリップライン802、λ/4スタブ803、局発波出力部806、基板805、電圧源614から構成され、一般的なMMIC技術で作製される。
いずれの構成においても、応力信号σ及びσに応じて局部発振器LO?から発振出力が周波数f1からf2まで連続可変なため、f1からf2までの電磁波をアンテナ(Antennna)で受信してヘテロダイン検出することが可能である。
例えば、実施例1で説明した電磁波発生素子を局所発振器として用いた場合は、例えばf1を425GHz〜465GHzでチューニングすることが出来る。従って、中間周波数をfIF=2GHzとすれば、f1が427GHz〜467GHzの電磁波を検出することが出来る。
このように、本発明の共鳴トンネルダイオードを用いた発振器をヘテロダインミキシングにおける局部発振器として用いれば、1つの検出器で広い帯域幅のテラヘルツ電磁波の検出が可能な検出器が実現される。
また、本実施例の検出器により、1つの検出器で複数の周波数帯のテラヘルツ電磁波を検出することが可能であるため、検出器の小型化や高密度化が容易に達成される。さらに、本実施例の検出器をアレイ状に複数配置すれば、複数の周波数の高周波電磁波を高感度で検出可能な小型の検出器が実現される。
101 活性層
102 共振部
103 歪発生部
104 制御部
105 電圧印加部
106 歪信号
107 テラヘルツ波

Claims (11)

  1. テラヘルツ波(30GHz以上30THz以下の周波数の電磁波)を発振させるための発振素子であって、
    サブバンド間でのキャリアの遷移によりテラヘルツ波を発生させる活性層と、
    前記活性層から発生されたテラヘルツ波を共振させるための共振部と、
    前記活性層に歪を生じさせるための歪発生部と、
    前記歪発生部を制御する制御部と、を備え、
    前記活性層に生じる歪に応じて該活性層の微分負性抵抗が変わることにより、前記共振部で共振されるテラヘルツ波の発振特性が変わる
    ことを特徴とする発振素子。
  2. テラヘルツ波(30GHz以上30THz以下の周波数の電磁波)を発振させるための発振素子であって、
    サブバンド間でのキャリアの遷移によりテラヘルツ波を発生させる活性層と、
    前記活性層から発生されたテラヘルツ波を共振させるための共振部と、
    前記活性層に歪を生じさせるための歪発生部と、
    前記歪発生部を制御する制御部と、を備え、
    前記活性層に生じる歪に応じて該活性層の等価回路の共振周波数が変わることにより、前記共振部で共振されるテラヘルツ波の発振特性が変わる
    ことを特徴とする発振素子。
  3. 前記発振特性は、テラヘルツ波の周波数あるいはパワーであることを特徴とする請求項1又は2に記載の発振素子。
  4. 前記活性層は、少なくとも2種類の半導体のヘテロ接合により構成され、
    前記歪発生部は、前記ヘテロ接合の界面の方向、あるいは該界面に対して略垂直な方向に、前記活性層に歪を生じさせることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の発振素子。
  5. 前記歪発生部は、たわみ可能に構成され、
    前記活性層は、前記歪発生部によるたわみによって、該活性層の面内方向に歪む位置に配置されることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の発振素子。
  6. 前記歪発生部は、ピエゾ電界を発生可能に構成され、
    前記活性層は、前記歪発生部により発生されるピエゾ電界によって、該活性層の面内方向に対して略垂直な方向に歪む位置に配置されることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の発振素子。
  7. 前記歪発生部により前記活性層に歪を生じさせることで、該活性層おける電子の有効質量を変えることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の発振素子。
  8. 前記活性層は、共鳴トンネルダイオードであり、
    前記共鳴トンネルダイオードに電圧を印加可能に構成され、前記共振部で共振されたテラヘルツ波を放射可能に構成されることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の発振素子。
  9. 前記共振部は、前記共振されたテラヘルツ波を放射するための放射部を含むことを特徴とする請求項に記載の発振素子。
  10. 前記活性層にバイアス電圧を入力するための電源を備え、
    前記電源は、前記制御部に接続されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の発振素子。
  11. 前記制御部は、前記活性層に入力する電圧と前記歪発生部とを制御することで、前記発振特性を制御することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の発振素子。
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