以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照して具体的に説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。図1に示すとおり、本実施形態のオーディオ装置は、スイッチングアンプ1と、スイッチング電源2と、制御回路3とを備える。スイッチングアンプ1は、入力される入力信号(オーディオ信号)を増幅して、外部に接続されるスピーカー(負荷)に増幅されたオーディオ信号を供給する。スイッチング電源2は、入力される交流電源電圧から直流電源電圧を生成し、スイッチングアンプ1に供給する。制御回路3は、スイッチングアンプ1と、スイッチング電源2との動作を制御する回路である。
[スイッチングアンプ]
図2は、スイッチングアンプ1を示す回路図である。スイッチングアンプ1は、ドライバQ1と、スイッチ素子Q2、Q3と、LPF(ローパスフィルタ、コイルL1、コンデンサC1)とを概略有する。ドライバQ1は、信号入力端子SINに入力される入力信号(例えばオーディオ信号)から、スイッチ素子Q2、Q3をオンオフ制御するための、例えばパルス幅変調信号であるドライブ信号DRV1、DRV2を生成する。ドライバQ1は、出力端子HOからスイッチ素子Q2にハイサイドのドライブ信号DRV1を供給し、出力端子LOからスイッチ素子Q3にローサイドのドライブ信号DRV2を供給する。ドライブ信号DRV1、DRV2は、ハイレベル及びローレベルの2値を有し、例えば、一方がハイレベルのとき他方がローレベルである。
スイッチ素子Q2、Q3は、例えばMOSFETが採用される。MOSFET Q2は、ゲートがドライバQ1の出力端子HOに接続され、ソースがMOSFET Q3のドレインとドライバQ1の端子VSとLPFとに接続され、ドレインがノードX4に接続されて正側の電源電圧+Bが供給される。ノードX4は、図3のノードX4に接続されている。MOSFET Q3は、ゲートがドライバQ1の出力端子LOに接続され、ドレインがMOSFET Q2のソースとドライバQ1の端子VSとLPFとに接続され、ソースがノードX5に接続されて負側の電源電圧−Bが供給される。ノードX5は、図3のノードX5に接続されている。MOSFET Q2、Q3には、オーディオ装置が通常動作状態および前記スタンバイ状態の両状態において、電源電圧+B、−Bが常時供給され続けている。
MOSFET Q2は、例えば、ドライブ信号DRV1がハイレベルの時にオン状態に、ローレベルの時にオフ状態になる。MOSFET Q3は、例えば、ドライブ信号DRV2がハイレベルの時にオン状態に、ローレベルの時にオフ状態になる。MOSFET Q2、Q3は一方がオン状態の時、他方がオフ状態になる。MOSFET Q2がオン状態の時に、正の電源電圧+BがLPFに供給され、MOSFET Q3がオン状態の時に、負の電源電圧−BがLPFに供給される。
LPFは、MOSFET Q2、Q3から供給される電圧から高周波成分を除去し、負荷であるスピーカーに増幅されたオーディオ信号を供給する。
スイッチングアンプ1は、電源制御部1A、1Bをさらに有する。ドライバQ1は、電源入力端子VAA、VSSを有し、電源入力端子VAAに電源電圧VAAが入力され、かつ、電源入力端子VSSに電源電圧VSSが入力されることにより、オン状態となって動作(例えばドライブ信号を生成して出力する処理)を実行するが、電源電圧が供給されないと、オフ状態となって動作を実行しない。電源制御部1Aは、ドライバQ1の電源入力端子VAAに電源電圧VAAを供給する状態と、供給しない状態とを、制御回路3からの制御信号に応じて切換える。すなわち、例えば、オーディオ装置がスタンバイ状態の時、プロテクト動作を実行する時、低電圧が検出された時に、ドライバQ1の電源入力端子VAAに電源電圧VAAを供給せず、通常動作状態にはドライバQ1の電源入力端子VAAに電源電圧VAAを供給する。同じく、電源制御部1Bは、ドライバQ1の電源入力端子VSSに電源電圧VSSを供給する状態と、供給しない状態とを、制御回路3からの制御信号に応じて切換える。すなわち、オーディオ装置がスタンバイ状態の時、プロテクト動作を実行する時、低電圧が検出された時に、ドライバQ1の電源入力端子VSSに電源電圧VSSを供給せず、通常動作状態にはドライバQ1の電源入力端子VSSに電源電圧VSSを供給する。従って、スタンバイ状態の時には、ドライバQ1に電源電圧VAA、VSSを供給せず、スイッチングアンプ1の動作を停止させることができるので、オーディオ装置の消費電力を低減できる。また、プロテクト動作を実行する時、低電圧が検出された時に、ドライバQ1に電源電圧VAA、VSSを供給せず、スイッチングアンプ1の動作を停止させることができるので、破損や誤動作を防止できる。
電源制御部1Aは、抵抗R1〜R3と、コンデンサC2、C3と、トランジスタQ4と、ダイオードD1と、三端子レギュレータ(電圧安定化部)Q5とを有する。トランジスタQ4は、ベースが抵抗R3を介してノードX1に接続され、エミッタが抵抗R1を介してノードX4に接続され、電源電圧+Bが供給され、コレクタが三端子レギュレータQ5の入力端子Iに接続されている。三端子レギュレータの出力端子Oは、ドライバQ1の電源入力端子VAAに接続されている。ノードX1は、図4のノードX1に接続され、制御回路3からの制御信号が入力される。トランジスタQ4は、ノードX1からローレベルの信号がベースに供給されるとオン状態になるので、電源電圧+Bを三端子レギュレータQ5に供給する。このとき、三端子レギュレータQ5は、ドライバQ1の電源入力端子VAAに電源電圧VAAを供給する。一方、トランジスタQ4は、ノードX1からローレベルの信号がベースに供給されなくなるとオフ状態になるので、電源電圧+Bを三端子レギュレータQ5に供給しない。このとき、三端子レギュレータQ5は、ドライバQ1の電源入力端子VAAに電源電圧VAAを供給しない。
電源制御部1Bは、抵抗R4〜R6と、コンデンサC4、C5と、トランジスタQ6と、ダイオードD2と、三端子レギュレータ(電圧安定化部)Q7とを有する。トランジスタQ6は、ベースが抵抗R6を介してノードX2に接続され、エミッタが抵抗R4を介してノードX5に接続され、電源電圧−Bが供給され、コレクタが三端子レギュレータQ7の入力端子Iに接続されている。三端子レギュレータの出力端子Oは、ドライバQ1の電源入力端子VSSに接続されている。ノードX2は、図4のノードX2に接続されている。トランジスタQ6は、ノードX2からハイレベルの信号がベースに供給されるとオン状態になるので、電源電圧−Bを三端子レギュレータQ7に供給する。このとき、三端子レギュレータQ7は、ドライバQ1の電源入力端子VSSに電源電圧VSSを供給する。一方、トランジスタQ6は、ノードX2からハイレベルの信号がベースに供給されなくなるとオフ状態になるので、電源電圧−Bを三端子レギュレータQ7に供給しない。このとき、三端子レギュレータQ7は、ドライバQ1の電源入力端子VSSに電源電圧VSSを供給しない。
図3に示すように、スイッチングアンプ1は、電源制御部1Cをさらに有する。電源制御部1Cは、ドライバQ1の電源入力端子VCCに電源電圧VBを供給する状態と、供給しない状態とを、制御回路3からの制御信号に応じて切換える。すなわち、オーディオ装置がスタンバイ状態の時、プロテクト動作を実行する時、低電圧が検出された時に、ドライバQ1の電源入力端子VCCに電源電圧VBを供給せず、通常動作状態にはドライバQ1の電源入力端子VCCに電源電圧VBを供給する。ドライバQ1は、電源入力端子VCCに電源電圧VCCが供給されているとき、ドライブ信号DRV1、DRV2を生成して出力し、電源電圧が供給されていないとき、ドライブ信号DRV1、DRV2を出力しない。
電源制御部1Cは、抵抗R13と、ダイオードD7、D8と、トランジスタQ13、Q14と、コンデンサC9と、三端子レギュレータ(電圧安定化部)Q15とを有する。トランジスタQ13は、ベースがトランジスタQ14のコレクタに接続され、エミッタがダイオードD7、抵抗R13を介してトランスTの二次巻線に接続されて、電源電圧が供給され、コレクタが三端子レギュレータQ15の入力端子Iに接続されている。トランジスタQ14は、コレクタがトランジスタQ13のベースに接続され、エミッタがノードX5に接続され、ベースがノードX3に接続されている。ノードX3は、図4のノードX3に接続され、制御回路3からの制御信号が供給される。
三端子レギュレータQ15の出力端子Oは、ノードX6に接続されている。ノードX6は、図2のノードX6(すなわち、ドライバQ1の電源入力端子VCC)に接続されている。ノードX3からハイレベルの信号がトランジスタQ14のベースに供給されると、トランジスタQ14がオン状態に、トランジスタQ13がオン状態になる。このとき、三端子レギュレータQ15は、トランスTの二次巻線からの電圧が供給されるので、ドライバQ1の電源入力端子VCCに電源電圧VBを供給する。一方、ノードX3からハイレベルの信号がトランジスタQ14のベースに供給されなくなると、トランジスタQ14がオフ状態に、トランジスタQ13がオフ状態になる。このとき、三端子レギュレータQ15は、トランスTの二次巻線からの電圧が供給されないので、ドライバQ1の電源入力端子VCCに電源電圧VBを供給しない。
[スイッチングアンプ1の作用効果]
スタンバイ状態の時にスイッチングアンプ1への電源電圧の供給を遮断する場合に、MOSFET Q2、Q3のドレインに電源電圧+B、−Bを供給する経路を遮断するためにはリレースイッチが必要となる。これは、MOSFET Q2、Q3がスピーカーに接続されており、電源電圧+B、−Bに基づいて大きな電流を流す必要があるからである。つまり、電源電圧+B、−Bを遮断するスイッチとしてトランジスタを使うと、大電流によりトランジスタの耐電流を超えてしまい、トランジスタが破損する恐れがあるので、トランジスタを使用することができない。従って、リレースイッチを使用する必要があるが、リレースイッチは、コストが高く大型でありスイッチオンオフ時にノイズが発生するといった問題がある。本実施形態では、電源電圧を遮断する箇所に特徴がある。具体的には、MOSFETではなく、ドライバQ1に供給する電源電圧VAA、VSS、VBを遮断する。ドライバQ1は、電源電圧VAA及びVSS、あるいは、電源電圧VBが供給されなくなると、ドライブ信号DRV1、DRV2を生成して出力しなくなる(ドライブ信号DRV1、DRV2が共にローレベルになる)。従って、MOSFET Q2、Q3がスイッチング動作を実行しなくなり(MOSFET Q2、Q3が共にオフ状態になり)、MOSFET Q2、Q3に電源電圧+B、−Bを供給しない場合と同じように、スイッチングアンプの動作を停止させることができる。ドライバQ1への電源電圧VAA、VSS、VBの供給には、大きな電流が流れないので、リレースイッチの代わりに、トランジスタを使用することができる。トランジスタを使用することで、小型、安価、スイッチング時のノイズの低減といった効果が得られる。
さらに、リレースイッチを使用してMOSFET Q2、Q3への電源電圧+B、−Bの供給有無を切換える場合、スタンバイ状態から通常動作状態に移行する際に、MOSFET Q2、Q3のスイッチング動作が安定するまでに時間がかかる。しかし、本実施形態によると、MOSFET Q2、Q3に供給する電源電圧+B、−Bは遮断せず、スタンバイ状態においても常時供給されているので、このような問題を解決することができる。また、リレースイッチを使用しないので、リレースイッチのオンオフ動作によるノイズ発生を防止することができる。
[スイッチング電源]
図3は、主に、スイッチング電源2を示す回路図である。スイッチング電源2は、全波整流回路D3、D6と、平滑コンデンサC101、C102と、スイッチ素子Q8、Q9と、抵抗R7〜R13と、ダイオードD4、D5、D7と、コンデンサC7、C8、C10と、トランスTと、スイッチング制御回路Q12とを有する。全波整流回路D3は、入力される交流電源電圧を全波整流し、平滑コンデンサC101、C102は全波整流回路D3からの直流電圧を平滑し、直流電圧をスイッチ素子Q8、Q9に供給する。
スイッチ素子Q8、Q9は、例えばMOSFETが採用される。MOSFET Q8は、ソースがMOSFET Q9のドレインに接続され、かつ、コンデンサC6を介してトランスTの一次巻線に接続され、ゲートが抵抗R9を介してスイッチング制御回路Q12のハイサイド制御端子HVGに接続され、ドレインが全波整流回路D3の正側出力端子に接続されて、正の直流電圧(ハイレベル信号)が供給される。MOSFET Q9は、ドレインがMOSFET Q8のソースに接続され、かつ、コンデンサC6を介してトランスTの一次巻線に接続され、ゲートが抵抗R10を介してスイッチング制御回路Q12のローサイド制御端子LVGに接続され、ソースが接地電位(ローレベル信号)に接続される。
スイッチング制御回路Q12は、MOSFETQ8、Q9のオンオフ動作を制御する。MOSFETQ8、Q9は一方がオン状態の時に、他方はオフ状態となる。MOSFETQ8は、ゲートにスイッチング制御回路Q12の制御端子HVGからハイレベルの信号が供給されるとオン状態となり、正の直流電圧をトランスTの一次巻線に供給する。MOSFETQ9は、ゲートにスイッチング制御回路Q12の制御端子LVGからハイレベルの信号が供給されるとオン状態となり、接地電位をトランスTの一次巻線に供給する。
トランスTは、一次巻線に供給された電圧を降圧して、二次巻線に出力する。トランスTの二次巻線に誘起した電圧は、全波整流回路D6で全波整流される。全波整流回路D6は、正側出力端子から正の電源電圧+BをノードX4に出力し、負側出力端子から負の電源電圧−BをノードX5に出力する。また、トランスTの二次巻線に誘起した電圧は、抵抗R13、ダイオードD7、コンデンサC10によって整流および平滑されて、電源制御部1Cを介して、電源電圧VBとしてノードX6に出力される。また、トランスTの三次巻線に誘起された電圧は、ダイオードD4、D5、コンデンサC7によって整流および平滑されて、スイッチング制御回路Q12の電源入力端子VCCに供給される。
スイッチング電源2は、帰還制御部2Aを有する。帰還制御部2Aは、スイッチング電源2に対して負帰還回路を形成させて、負帰還信号を与えるか、又は、負帰還経路を形成させず、負帰還信号を与えないかを切換える。帰還制御部2Aは、スタンバイ状態においては、スイッチング電源2に負帰還信号を与え、通常動作状態においては、スイッチング電源2に負帰還信号を与えない。
帰還制御部2Aは、トランジスタQ17、Q18と、抵抗R19〜R27と、コンデンサC11〜C14と、ダイオードD10、D11と、フォトカプラ(LEDQ19、及び、フォトトランジスタQ10)と、シャントレギュレータSRとを有する。抵抗R20、R21、R22は、トランスTの二次巻線に誘起した電圧が抵抗R26、ダイオードD10を介して供給され、当該電源電圧を分圧して基準電圧としてシャントレギュレータSRのREF端子に供給する。
シャントレギュレータSRは、REF端子に入力される電圧と内部基準電圧との差に応じて、カソードからアノードに流れる電流を変化させる。つまり、REF端子に入力される電圧が大きいとカソード−アノード間電流が大きくなり、REF端子に入力される電圧が小さいとカソード−アノード間電流が小さくなる。シャントレギュレータSRは、REF端子が抵抗R21とR22との接続点に接続され、アノードが接地電位に接続され、カソードがトランジスタQ18のエミッタに接続されている。
LEDQ19は、シャントレギュレータSRに流れるカソード−アノード間電流に応じて電流が流れ、その電流値に応じた光信号を生成し、フォトトランジスタQ10に送信する。シャントレギュレータSRに流れるカソード−アノード間電流はトランスTの二次巻線の電圧に基づいているので、この光信号もトランスTの二次巻線の電圧によって変化し、この光信号が負帰還信号に相当する。LEDQ19は、カソードがトランジスタQ18のコレクタに接続され、アノードが抵抗R25を介して電源電圧ラインに接続されている。
トランジスタQ17、Q18は、負帰還信号をスイッチング制御回路Q12に供給するか否かを、制御回路3からの制御信号に応じて切換える。トランジスタQ17は、ベースがノードX9に接続され、エミッタが接地電位に接続され、コレクタが抵抗R19を介して電源電圧ラインに接続されている。ノードX9は、図4のノードX9に接続されている。トランジスタQ18は、ベースがトランジスタQ17のコレクタに接続され、エミッタがシャントレギュレータSRのカソードに接続され、コレクタがLEDQ19のカソードに接続されている。
動作を説明する。例えば通常動作状態においては、ノードX9からハイレベルの信号が供給され、トランジスタQ17がオン状態になり、トランジスタQ18はオフ状態になる。トランジスタQ18がオフ状態になると、LEDQ19は、シャントレギュレータSRに対して開放されるので、電流が流れなくなる。その結果、負帰還信号がスイッチング制御回路Q12に供給されない。詳細には、図3において、フォトトランジスタQ10にコレクタ電流が流れないので、スイッチング制御回路Q12のCOMP端子には電流が流れない。従って、スイッチング制御回路12は、常時、制御端子HVG、LVGからハイレベル及びローレベルを繰り返す信号を出力し、MOSFET Q8、Q9を交互にオンオフ動作させる。従って、通常動作状態では、負帰還が実行されずに、高い電源電圧が出力される。
一方、例えばスタンバイ状態においては、ノードX9からハイレベルの信号が供給されず、トランジスタQ17がオフ状態になり、トランジスタQ18がオン状態になる。トランジスタQ18がオン状態になると、LEDQ19は、シャントレギュレータSRに接続された状態になるので、電流が流れる。この電流は、シャントレギュレータSRのカソード−アノード間電流に応じて変化するので、トランスTの二次巻線に誘起する電圧に応じて変化することになる。LEDQ19は、流れる電流に応じて光信号を負帰還信号としてフォトトランジスタQ10のベースに供給する。その結果、スイッチング制御回路Q12のCOMP端子から、フォトトランジスタQ10に向かって、コレクタ電流が流れる。このコレクタ電流は、LEDQ19に流れる電流に応じた電流値(LEDQ19に流れる電流が大きいほど大きくなる)である。スイッチング制御回路Q12は、このコレクタ電流の値によって、MOSFET Q8、Q9をスイッチング動作させるかを決定する。つまり、このコレクタ電流が大きい(つまりトランスTの二次巻線の電圧が大きい)と、MOSFET Q8、Q9にスイッチング動作を停止させ(共にオフ状態にし)、コレクタ電流が小さい(つまりトランスTの二次巻線の電圧が小さい)と、MOSFET Q8、Q9にスイッチング動作を実行させる。従って、負帰還が実行され、間欠的にスイッチング動作を実行し、トランスTの二次巻線の電圧を必要最低限の電圧に保ち、無駄な消費電力を削減することができる。
以上のように、帰還制御部2AのノードX9に供給する信号をハイレベルとローレベルとに切換えることによって、LEDQ19に電流が流れる状態と、流れない状態とを切換える。その結果、スイッチング制御回路Q12に帰還信号を供給する状態と、帰還信号を供給しない状態とを切換えることができる。
スイッチング電源2の作用効果を説明する。通常動作状態においては、負帰還信号がスイッチング制御回路Q12に供給されず、MOSFETQ8、Q9は常時スイッチング動作を実行するので、スイッチングアンプ1が出力するオーディオ信号の音質を向上することが出来る。一方、スタンバイ状態においては、負帰還信号がスイッチング制御回路Q12に供給されて、MOSFETQ8、Q9は間欠的にスイッチング動作を実行するので、出力する電源電圧を最低限に抑えることができ、消費電力を低減できる。従来は、通常動作状態用の電源回路と、スタンバイ用の電源回路とを設けることによって、電源電圧を切換えていたが、1つのスイッチング電源によって通常動作状態用の電源回路と、スタンバイ用の電源回路とを兼用することができ、電源回路の規模を小さく、部品点数を削減することができる。
[制御回路3]
図4は、制御回路3の構成を示す回路図である。制御回路3は、スイッチングアンプ1の電源制御部1A、1B、1Cの各トランジスタQ4、Q6、Q13のオンオフを制御し、ドライバQ1への各電源電圧の供給有無を制御する。また、制御回路3は、スイッチング電源2の帰還制御部2AのトランジスタQ17をオンオフ制御し、負帰還信号をスイッチング制御回路Q12に供給するか否かを制御し、スイッチング電源2を通常動作状態、又は、スタンバイ状態に切り替えさせる。また、制御回路3は、入力信号が供給開始されてから、ドライバQ1の動作が安定する所定時間だけ、ドライバQ1の動作を停止させるための停止制御信号をドライバQ1に出力する。
制御回路3は、トランジスタQ20〜Q44と、抵抗R28〜R58と、コンデンサC15〜C27と、フォトカプラ(LEDQ30、フォトトランジスタQ11(図3参照))とを概略有する。以下では、制御回路3の主要部分の接続関係を説明する。
トランジスタQ21は、ベースがダイオードD18、D19の各カソードに接続され、エミッタが接地電位に接続され、コレクタがトランジスタQ22のベースに接続されている。トランジスタQ22は、ベースに入力信号が供給され、エミッタが接地電位に接続され、コレクタがトランジスタQ23のベースに接続されている。トランジスタQ23は、コレクタがトランジスタQ24のエミッタと、トランジスタQ32、Q33の各ベースとに接続され、エミッタが電源電圧ラインに接続されている。トランジスタQ24は、ベースが抵抗R32を介して接地電位に接続され、コレクタがダイオードD13、抵抗R34を介してノードX2に接続され、かつ、ダイオードD14、抵抗R35を介してノードX3に接続されている。
トランジスタQ25は、ベースが、コンデンサC16、抵抗R33を介してトランジスタQ23のコレクタに接続され、エミッタが接地電位に接続され、コレクタが、抵抗R36を介してトランジスタQ27のベースに接続され、かつ、抵抗R39、ダイオードD17を介して、トランジスタQ28のベースに接続されている。ツェナーダイオードD15は、カソードが抵抗R33とコンデンサC16との接続点に接続され、アノードが接地電位に接続されている。トランジスタQ26は、ベースがトランジスタQ36のベースと、抵抗R49を介してトランジスタQ37のコレクタと、トランジスタQ38のコレクタとに接続されている。トランジスタQ27は、エミッタが電源電圧ラインに接続され、コレクタが抵抗R37を介してトランジスタQ42のベースに接続されている。
トランジスタQ28は、ベースがコンデンサC18を介して電源電圧ラインに接続され、エミッタが電源電圧ラインに接続され、コレクタがトランジスタQ29のベースと、抵抗R40を介して接地電位と、コンデンサC19とに接続されている。トランジスタQ29は、コレクタがダイオードD18を介してトランジスタQ21のベースに接続され、かつ、抵抗R41を介してLEDQ30のアノードに接続され、エミッタがコンデンサC19とトランジスタQ44のコレクタとに接続されている。LEDQ30のカソードは接地電位に接続されている。トランジスタQ32は、エミッタが接地電位に接続され、コレクタがノードX1に接続されている。ノードX1は、図2のノードX1に接続されている。
トランジスタQ42は、エミッタが接地電位に接続され、コレクタがノードX8に接続されている。ノードX8は、図2のノードX8に接続され、すなわち、ドライバQ1のRESET入力端子に接続されている。トランジスタQ43は、ベースが抵抗R58を介してノードX8に接続され、コレクタが接地電位に接続され、エミッタが抵抗R57を介してトランジスタQ44のベースに接続されている。トランジスタQ44のエミッタは、電源電圧ラインに接続されている。
以下、動作を説明する。図5〜図7は、制御回路3の各部の動作を示すタイミングチャートであり、各符号は制御回路3の各部の動作波形等に対応している。
[スタンバイ状態時に、入力信号(オーディオ信号)が入力開始されたとき]
図5のタイミングチャートを参照して説明する。時刻t1に、入力信号が入力開始されると(図5の(1)、時刻t1)、入力信号は図示しない整流平滑回路で整流および平滑され、トランジスタQ22のベースに正の電圧が供給され、トランジスタQ22をオン状態にさせる。トランジスタQ22がオン状態になると、トランジスタQ23のベースが接地電位に接続された状態になり、トランジスタQ23がオン状態になる(図5の(2)、時刻t1)。つまり、入力信号が検出される。トランジスタQ23がオン状態になることにより、制御回路3は、スイッチングアンプ1のドライバQ1へ電源電圧の供給を開始させ、スイッチング制御回路12に負帰還信号を供給しないように制御する。
詳細には、トランジスタQ23のエミッタのハイレベルが、ダイオードD12を介して、ノードX9へと出力される(図5の(3)、時刻t1)。ノードX9は、図3のノードX9に接続されているので、帰還制御部2AのトランジスタQ17のベースにハイレベルの信号が供給され、トランジスタQ17をオン状態に制御する。上述のように、トランジスタQ17をオン状態に制御することで、負帰還信号がスイッチング制御回路Q12に供給されなくなり、スイッチング電源回路2は常時スイッチング動作を実行し、スタンバイ状態から電源オン状態に移行する。
トランジスタQ23のエミッタのハイレベルが、トランジスタQ24のエミッタに供給されるので、トランジスタQ24がオン状態になる。トランジスタQ24がオン状態になると、ハイレベルの信号がダイオードD13、抵抗R34を介してノードX2に出力される。ノードX2は、図2のノードX2に接続されている。従って、スイッチングアンプ1の電源制御部1BのトランジスタQ6のベースにハイレベルの信号が供給され、トランジスタQ6をオン状態に制御することができる。上述のように、トランジスタQ6がオン状態になると、ドライバQ1の電源入力端子VSSに電源電圧VSSが入力される。
さらに、トランジスタQ24がオン状態になると、ハイレベルの信号が、ダイオードD14、抵抗R35を介してノードX3に出力される。ノードX3は、図3のノードX3に接続されている。従って、スイッチングアンプ1の電源制御部1CのトランジスタQ14のベースにハイレベルの信号が供給され、トランジスタQ14がオン状態になる。トランジスタQ13は、ベースが接地電位に接続されて、オン状態になる。上述のように、トランジスタQ13がオン状態になると、ドライバQ1の電源入力端子VCCに電源電圧VBが入力される。
トランジスタQ23のエミッタのハイレベルが、トランジスタQ32のベースに供給されるので、トランジスタQ32がオン状態になる。トランジスタQ32がオン状態になると、ローレベルの信号(接地電位)がノードX1に出力される。ノードX1は、図2のノードX1に接続されている。従って、スイッチングアンプ1の電源制御部1AのトランジスタQ4のベースにローレベルの信号が供給され、トランジスタQ4をオン状態に制御することができる。上述のように、トランジスタQ4がオン状態になると、ドライバQ1の電源入力端子VAAに電源電圧VAAが入力される。
このように、入力信号が入力開始されると、トランジスタQ23をオン状態にすることで、各電源制御部1A〜1Cのトランジスタをオン状態に制御でき、ドライバQ1に電源電圧VAA、VSS、VCCを供給開始することができる。
ここで、スイッチングアンプ1のドライバQ1は、電源電圧VAA、VSS、VBが供給開始されたあと、安定動作を実行可能となるまでの間は、ドライブ信号を出力しないように制御される必要がある。ドライバQ1は、RESET端子を有する。安定動作が実行可能となりまでのドライブ信号を出力すると、ノイズの発生やMOSFETの破損につながる危険性があるからである。RESET端子に例えばローレベルの信号が供給されると、ドライバQ1は、ドライブ信号DRV1、DRV2の出力を停止する。
トランジスタQ23のエミッタのハイレベルが、抵抗R33を介してツェナーダイオードD15で定電圧化されて、コンデンサ16を瞬間的に充電する。トランジスタQ25は、ベースにはコンデンサC16の充電電圧であるハイレベルの信号が供給され、オン状態になる。トランジスタQ25がオン状態になると、トランジスタQ25のエミッタのローレベルの信号(接地電位)が抵抗R36を介してトランジスタQ27のベースに供給され、トランジスタQ27がオン状態になる(図5の(4)、時刻t1)。トランジスタQ27のエミッタのハイレベルの信号が抵抗R37を介してトランジスタQ42のベースに供給され、トランジスタQ42がオン状態になる。トランジスタQ42のエミッタのローレベルの信号(接地電位)がノードX8に出力される(図5の(5)、時刻t1)。ノードX8は、図2のノードX8に接続されている。従って、スイッチングアンプ1のドライバQ1のRESET端子にはローレベルの信号が入力され、ドライバQ1は、ドライブ信号の出力を停止する。
トランジスタQ25がオン状態になった後、コンデンサC16の充電電圧は、トランジスタQ25の内部抵抗を介して接地電位へと徐々に放電される。この放電時間は、コンデンサC16とトランジスタQ25の内部抵抗との時定数に依存する。所定時間経過後に、コンデンサC16の充電電圧が低下すると、トランジスタQ25はオフ状態になる。すると、先ほどとは逆の動作により、トランジスタQ27、Q42がオフ状態になる(図5の(4)、時刻t3)。従って、ドライバQ1のRESET端子にローレベルの信号が入力されなくなり、ドライバQ1はドライブ信号の出力を開始することが出来る(図5の(10)、時刻t3)。このように、トランジスタQ25がオン状態になってからオフ状態になるまでの時間、つまり、コンデンサC16とトランジスタQ25の内部抵抗との時定数に従ってコンデンサC16の充電電圧が放電されるまでの時間が、ドライバQ1が安定動作を開始できるまでドライブ信号を出力停止させる時間に相当している。
さらに、トランジスタQ25がオン状態になると、トランジスタQ25のエミッタのローレベルの信号(接地電位)が抵抗R39、ダイオードD17を介してトランジスタQ28のベースに供給され、トランジスタQ28はオン状態になる。トランジスタQ28がオン状態になると、トランジスタQ28のエミッタのハイレベルの信号がトランジスタQ29のベースに供給され、トランジスタQ29がオフ状態になる(図5の(6)、時刻t1)。ここで、上述の通りノードX8がローレベルになると、トランジスタQ43のベースにローレベルの信号が供給され、トランジスタQ43がオン状態になる。すると、トランジスタQ43のコレクタのローレベルの信号(接地電位)がトランジスタQ44のベースに供給され、トランジスタQ44がオン状態になる。すると、トランジスタQ44のエミッタのハイレベルの信号がトランジスタQ29のエミッタに供給される。
もし、トランジスタQ29がオン状態であると、ハイレベルの信号がLEDQ30のアノードに供給され、LEDQ30に電流が流れ、フォトトランジスタQ11がオン状態になり、スイッチング制御回路Q12のVREF端子の5V電圧がSTOP端子に入力され、スイッチング制御回路Q12が動作を停止してしまう。このような問題が生じる原因は、ノードX8が、後述するプロテクト用のローレベルの信号が供給されるノードにもなっているからである。しかしながら、トランジスタQ29がオフ状態になることで、LEDQ30に電流が流れることが防止され、スイッチング制御回路Q12が動作を停止することを防止することができる。なお、トランジスタQ25がオフ状態になった後、トランジスタQ28のエミッタからコンデンサC18に電流が流れてコンデンサC18を充電する期間が存在し、この期間はトランジスタQ28がオン状態を継続する(図5の(6)、時刻t4まで)。コンデンサC18が充電完了し、トランジスタQ28のエミッタからコンデンサC18に電流が流れなくなると、トランジスタQ28がオフ状態になる。従って、トランジスタQ25がオフ状態になった後の所定期間もトランジスタQ29のオフ状態を継続し、誤ってスイッチング制御回路Q12の動作を停止させることを防止することが出来る。
[入力信号(オーディオ信号)が入力されなくなったとき]
先ほどとは逆に、入力信号が入力されなくなると(図5の(1)、時刻t5)、図4の抵抗R100及びコンデンサC100の時定数による一定時間経過した後、トランジスタQ22のベースに正の電圧が供給されなくなり、トランジスタQ22はオフ状態になり、トランジスタQ23がオフ状態になる(図5の(2)、時刻t6)。トランジスタQ23がオフ状態になることにより、制御回路3は、スイッチングアンプ1のドライバQ1へ電源電圧の供給を停止させ、スイッチング制御回路12に負帰還信号を供給し、スタンバイ状態に移行させるように制御する。
詳細には、トランジスタQ23がオフ状態になると、ダイオードD12のアノードがローレベル(接地電位)に接続されオフ状態になる。従って、図3の帰還制御部2AのトランジスタQ17のベースにハイレベルの信号が供給されなくなり、トランジスタQ17がオフ状態になる。上述のように、トランジスタQ17がオフ状態になると、負帰還信号がスイッチング制御回路Q12に供給されるようになり、スイッチング電源回路2は通常動作状態からスタンバイ状態に移行する。
トランジスタQ24がオフ状態になるので、スイッチングアンプ1の電源制御部1BのトランジスタQ6のベースにハイレベルの信号が供給されなくなり、トランジスタQ6はオフ状態になる。上述のように、トランジスタQ6がオフ状態になると、ドライバQ1の電源入力端子VSSに電源電圧VSSが入力されなくなる。
トランジスタQ24がオフ状態になると、スイッチングアンプ1の電源制御部1CのトランジスタQ14のベースにハイレベルの信号が供給されなくなり、トランジスタQ14がオフ状態になる。トランジスタQ13は、ベースが接地電位に接続されなくなり、オフ状態になる。上述のように、トランジスタQ13がオフ態になると、ドライバQ1の電源入力端子VCCに電源電圧VBが入力されなくなる。
トランジスタQ23がオフ状態になると、トランジスタQ32がオフ状態になり、スイッチングアンプ1の電源制御部1AのトランジスタQ4のベースにローレベルの信号が供給されなくなり、トランジスタQ4がオフ状態になる。上述のように、トランジスタQ4がオフ状態になると、ドライバQ1の電源入力端子VAAに電源電圧VAAが入力されなくなる。
このように、入力信号が入力されなくなると、トランジスタQ23をオフ状態にすることで、各電源制御部1A〜1Cの各トランジスタをオフ状態に制御でき、ドライバQ1に電源電圧VAA、VSS、VBを供給停止することができる。従って、スイッチングアンプ1の動作を停止させることができる(図5の(10)、時刻t6)。
[プロテクト動作]
図6のタイミングチャートを参照して説明する。ノードX8にはプロテクト信号(ローレベルの信号)が供給される(図6の(5)、時刻t11)。プロテクト信号は、図4の温度検出部3Aによって所定箇所の温度が閾値以上になった場合に、ノードX8に対して供給される。その他に、図示省略するが、スイッチングアンプ1のMOSFET Q2、Q3の出力信号にDC(直流成分)が含まれているかを検出し、含まれている場合に、プロテクト信号がノードX8に供給される。また、スイッチング電源2の全波整流回路D6の出力である電源電圧+B、−Bにパンピング現象が生じているかを検出し、生じている場合に、プロテクト信号がノードX8に供給される。これらの検出回路自体は周知技術であるので、詳述を割愛する。
ノードX8に供給されたプロテクト信号(ローレベルの信号)は、ドライバQ1のRESET端子に入力される。従って、ドライバQ1は、ドライブ信号の出力を停止することができる。また、ノードX8に供給されたプロテクト信号(ローレベルの信号)は、トランジスタQ43のベースに供給され、トランジスタQ43はオン状態になる。トランジスタQ43のコレクタのローレベルの信号(接地電位)がトランジスタQ44のベースに供給され、トランジスタQ44がオン状態になる。トランジスタQ44のエミッタのハイレベルの信号がトランジスタQ29のエミッタに供給される。トランジスタQ29のベースは接地電位に接続されているので、トランジスタQ29はオン状態になる。
従って、トランジスタQ29のエミッタのハイレベルが、抵抗R41を介してLEDQ30のアノードに供給され、LEDQ30に電流が流れ、フォトトランジスタQ11がオン状態になる。すると、スイッチング制御回路Q12のVREF端子は5V電圧を出力しているので、STOP端子に5V電圧が入力される。つまり、VREF端子からフォトトランジスタQ11を介してSTOP端子に電流が流れる。スイッチング制御回路Q12は、STOP端子の入力電圧が4.5Vを超える(そのような電流が流れると)と、動作を停止し、制御端子HVGおよび制御端子LVGから常にローレベルの信号を出力し、MOSFET Q8、Q9のオンオフ動作を停止させる。従って、スイッチング電源2の動作を停止させることが出来る(図6の(7)、時刻t11)。
さらに、トランジスタQ29のエミッタのハイレベルの信号は、ダイオードD18を介してトランジスタQ21のベースに供給され、トランジスタQ21はオン状態になる。トランジスタQ21のエミッタのローレベルの信号(接地電位)がトランジスタQ22のベースに供給され、トランジスタQ22がオフ状態になる。従って、トランジスタQ23もオフ状態になり、その結果、入力信号が供給されない場合と同様に、スイッチングアンプ1のドライバQ1への電源電圧の供給を停止し、負帰還信号をスイッチング制御回路Q12に供給しないように制御する。
すなわち、トランジスタQ23がオフ状態になると、ダイオードD12のアノードがローレベル(接地電位)に接続されオフ状態になる。従って、図3の帰還制御部2AのトランジスタQ17のベースにハイレベルの信号が供給されなくなり、トランジスタQ17がオフ状態になる。上述のように、トランジスタQ17がオフ状態になると、負帰還信号がスイッチング制御回路Q12に供給されるようになる。
トランジスタQ24がオフ状態になるので、ダイオードD13はオフ状態になり、スイッチングアンプ1の電源制御部1BのトランジスタQ6のベースにハイレベルの信号が供給されなくなり、トランジスタQ6はオフ状態になる。上述のように、トランジスタQ6がオフ状態になると、ドライバQ1の電源入力端子VSSに電源電圧VSSが入力されなくなる。
さらに、トランジスタQ24がオフ状態になると、ダイオードD14がオフ状態になり、スイッチングアンプ1の電源制御部1CのトランジスタQ14のベースにハイレベルの信号が供給されなくなり、トランジスタQ14がオフ状態になる。トランジスタQ13は、ベースが接地電位に接続されなくなり、オフ状態になる。上述のように、トランジスタQ13がオンフ態になると、ドライバQ1の電源入力端子VCCに電源電圧VBが入力されなくなる。
トランジスタQ23がオフ状態になると、トランジスタQ32がオフ状態になり、スイッチングアンプ1の電源制御部1AのトランジスタQ4のベースにローレベルの信号が供給されなくなり、トランジスタQ4がオフ状態になる。上述のように、トランジスタQ4がオフ状態になると、ドライバQ1の電源入力端子VAAに電源電圧VAAが入力されなくなる。
[低電圧検出部]
図3および図4に示すように、制御回路3は、低電圧検出部3Bを有する。低電圧検出部3Bは、抵抗R14、R15、R16、R17、R18、ツェナーダイオードD9、D20、コンデンサC2、トランジスタQ16、Q26、Q35、Q36、Q37、Q38、Q39を有する。低電圧検出部は、トランスTの二次巻線に誘起する電圧が低電圧であることを検出し、低電圧であることが検出された場合に、帰還制御部2Aをスイッチング制御回路Q12に帰還信号を供給させないよう制御し、スイッチング電源2を通常動作状態に維持させる。
トランジスタQ16は、ベースが、抵抗R15、R16の並列回路、ツェナーダイオードD9を介してダイオードD7のカソードに接続され、エミッタがノードX5に接続され、コレクタが抵抗R18を介して、ノードX7、すなわち、トランジスタQ39のベースに接続されている。トランジスタQ37は、ベースが抵抗R47を介してトランジスタQ35のコレクタに接続され、エミッタが電源電圧ラインに接続され、コレクタが抵抗R49を介してトランジスタQ38のコレクタとダイオードD20のアノードとに接続されている。トランジスタQ38は、エミッタが接地電位に接続され、ベースがトランジスタQ39のコレクタに接続され、コンデンサC2を介して接地電位に接続されている。トランジスタQ39は、エミッタが電源電圧ラインに接続されている。ダイオードD20のカソードは、ノードX9に接続されている。ノードX9は、図3のノード9、すなわち、トランジスタQ17のベースに接続されている。トランジスタQ35は、ベースが抵抗R43を介してトランジスタQ23のコレクタに接続され、エミッタが接地電位に接続されている。
[低電圧検出時の動作]
図7のタイミングチャートのt21〜t22を参照して説明する。トランスTの二次巻線の電圧が低電圧になると、トランジスタQ16のベースにローレベルの信号が供給されるので、トランジスタQ16はオフ状態になる(低電圧が検出される)。トランジスタQ16のエミッタのローレベルの信号(接地電位)がトランジスタQ39のベースに供給されなくなり、トランジスタQ39がオフ状態になる(図7の(8)、時刻t21)。トランジスタQ38のベースにハイレベルの信号が供給されなくなり、トランジスタQ38がオフ状態になる。ここで、入力信号が入力されて、トランジスタQ23がオン状態であるとき、トランジスタQ35のベースにハイレベルの信号が供給されて、トランジスタQ35はオン状態である。従って、トランジスタQ37は、ベースにローレベルの信号(接地電位)が供給されるので、オン状態になっている(図7の(9)、時刻t21)。
トランジスタQ37がオン状態、Q38がオフ状態になるので、トランジスタQ37のエミッタのハイレベルの信号が抵抗R49、ダイオードD20を介してノードX9に出力される(図7の(3)、時刻t21)。図3のように、ノードX9はトランジスタQ17のベースに接続されているので、トランジスタQ17は、ベースにハイレベルの信号が供給されてオン状態を継続する。上述の通り、トランジスタQ17がオン状態になると、負帰還信号がスイッチング制御回路Q12に供給されなくなり、スイッチング電源が通常動作状態を維持する。なお、後述するように、低電圧が検出されると、トランジスタQ23がオフ状態になり、ダイオードD12がオフ状態になるので、ノードX9からはローレベルの信号を出力しようとする(スタンバイ状態に移行させようとする)が、ダイオードD20からのハイレベルの信号がノードX9に出力されるので、スタンバイ状態に移行することを防止することが出来る。
トランジスタQ37がオン状態、Q38がオフ状態になると、トランジスタQ37のエミッタのハイレベルの信号が抵抗R49、ダイオードD19を介してトランジスタQ21のベースに供給され、トランジスタQ21がオン状態になる。トランジスタQ21のエミッタのローレベルの信号(接地電位)がトランジスタQ22のベースに供給され、トランジスタQ22がオフ状態になる。従って、トランジスタQ23もオフ状態になり、その結果、入力信号が供給されない場合と同様に、スイッチングアンプ1のドライバQ1への電源電圧の供給を停止する。
詳細には、トランジスタQ23がオフ状態になると、トランジスタQ24がオフ状態になるので、ダイオードD13はオフ状態になり、スイッチングアンプ1の電源制御部1BのトランジスタQ6のベースにハイレベルの信号が供給されなくなり、トランジスタQ6はオフ状態になる。上述のように、トランジスタQ6がオフ状態になると、ドライバQ1の電源入力端子VSSに電源電圧VSSが入力されなくなる。
さらに、トランジスタQ24がオフ状態になると、ダイオードD14がオフ状態になり、スイッチングアンプ1の電源制御部1CのトランジスタQ14のベースにハイレベルの信号が供給されなくなり、トランジスタQ14がオフ状態になる。トランジスタQ13は、ベースが接地電位に接続されなくなり、オフ状態になる。上述のように、トランジスタQ13がオンフ態になると、ドライバQ1の電源入力端子VCCに電源電圧VBが入力されなくなる。
トランジスタQ23がオフ状態になると、トランジスタQ32がオフ状態になり、スイッチングアンプ1の電源制御部1AのトランジスタQ4のベースにローレベルの信号が供給されなくなり、トランジスタQ4がオフ状態になる。上述のように、トランジスタQ4がオフ状態になると、ドライバQ1の電源入力端子VAAに電源電圧VAAが入力されなくなる。
また、トランジスタQ37のエミッタのハイレベルの信号は、抵抗R49を介してトランジスタQ26のベースに供給され、トランジスタQ26はオン状態になる。トランジスタQ27のベースにローレベルの信号(接地電位)が供給され、トランジスタQ27はオン状態になる。トランジスタQ42のベースにハイレベルの信号が供給されて、トランジスタQ42がオン状態になる。従って、ローレベルの信号がノードX8から出力され、図2のスイッチングアンプ2のドライバQ1のRESET端子に入力され、ドライバQ1のドライブ信号出力を停止させることができる(図7の(4)、時刻t21)。つまり、上述の通り、トランジスタQ4、Q6、Q13をオフ状態に制御し、ドライバQ1への電源電圧の供給を停止するが、多少のタイムラグが想定されるので、ドライバQ1のRESET端子にローレベルの信号を供給することにより、ドライバQ1のドライブ信号出力動作を迅速に停止させることができる。
トランジスタQ26がオン状態になると、トランジスタQ28のベースにローレベルの信号(接地電位)が供給され、トランジスタQ28がオン状態になる。トランジスタQ29のベースにハイレベルの信号が供給されてトランジスタQ29がオフ状態になる(図7の(6)、時刻t21)。もし、トランジスタQ29がオン状態であると、ハイレベルの信号がLEDQ30のアノードに供給され、LEDQ30に電流が流れ、フォトトランジスタQ11がオン状態になり、スイッチング制御回路Q12のVREF端子の5V電圧がSTOP端子に入力されてしまい、スイッチング制御回路Q12が動作を停止してしまう。このような問題が生じる原因は、ノードX8が、プロテクト用のローレベルの信号が供給されるノードにもなっているからである。しかしながら、トランジスタQ29がオフ状態になることで、LEDQ30に電流が流れることが防止され、スイッチング制御回路Q12が動作を停止することを防止することができる。
なお、トランジスタQ23がオフ状態になると、トランジスタQ35がオフ状態になるので、トランジスタQ37はオン状態を維持できなくなる。トランジスタQ37がオフ状態になると、上述した低電圧検出時の動作を実行することができなくなる。しかし、一旦、トランジスタQ37がオン状態になったとき、トランジスタQ37のエミッタのハイレベルがトランジスタQ36のベースに供給され、トランジスタQ36はオン状態になる。トランジスタQ37のベースにはローレベルの信号が供給されるので、トランジスタQ37はオン状態を継続することが出来る(図7の(9)、時刻t21)。
低電圧検出部3Bの作用効果を説明する。まず、スイッチング電源がスタンバイ状態である場合には、以下の問題が生じる。電源電圧が低電圧になったとき、スイッチング電源2がスタンバイ状態になってしまうと、平滑用のコンデンサC101、C102の充電電圧が直ぐにはスイッチング電源2において電源電圧の出力に使用されずに、比較的長い期間が残存する。低電圧が検出されて、スイッチングアンプ1のドライバQ1の動作を停止させると、負荷が軽くなった状態になるので、トランジスタQ16のベースに供給される電圧が上昇し、トランジスタQ16がオン状態になってしまう。つまり、低電圧であるにもかかわらず、一旦低電圧ではないと判断してしまう。そのため、スイッチングアンプ1のドライバQ1の動作を開始させてしまう。すると、負荷が重くなった状態になり、トランジスタQ16のベースに供給される電圧が低下し、トランジスタQ16がオフ状態になる。このように、コンデンサC101、C102の充電電圧が完全に消費されるまでの間、低電圧を検出してスイッチングアンプの動作を停止させる処理と、低電圧を検出せずスイッチングアンプの動作を開始させる処理とを長い期間にわたり繰り返してしまい、その結果、スピーカーからノイズが発生するという問題がある。
本例の低電圧検出部3Bでは、上述の通り、低電圧を検出したときに、スイッチング電源2のスイッチング制御回路Q12への負帰還信号の供給を停止し、スタンバイ状態に移行することを防止し、通常動作状態を継続させる。従って、コンデンサC101、C102の充電電圧は、通常動作状態により、迅速に電源電圧の生成のために使用されて消費される。従って、低電圧を検出してスイッチングアンプの動作を停止させる処理と、低電圧を検出せずスイッチングアンプの動作を開始させる処理とを繰り返す時間を短時間で終了させることが出来る。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。