JP5604527B2 - メチレンアミノエチルスルホン酸キレート樹脂 - Google Patents

メチレンアミノエチルスルホン酸キレート樹脂 Download PDF

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Description

本発明は、メチレンアミノエチルスルホン酸基を有するキレート樹脂、それらの製造方法、および、液体、好ましくはエレクトロニクス産業、電気めっき工業および鉱業におけるプロセス水またはそれらからのプロセス水から重金属を除去するための、それらの使用に関する。
イオン交換体は、有価金属および重金属、好ましくはスズ、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、鉛、ウラニウム、ビスマス、バナジウム、白金族元素、好ましくはルテニウム、オスミウム、イリジウム、ロジウム、パラジウム、白金、ならびに貴金属、好ましくは金および銀を、特に水溶液から取り出すために長い間使用されてきた。カチオンまたはアニオン交換体およびまたキレート樹脂がこの目的のために好ましくは使用される。
重金属または有価金属を取り出すためのキレート樹脂の使用は、当業者に公知であり、たとえば、(非特許文献1)に記載されている。とりわけ、イミノ二酢酸基(IDE基)を有するキレート樹脂について述べられている。
(特許文献1)において、重金属の選択的吸収のためのイミノ二酢酸基またはアミノメチルホスホン酸基を有するキレート樹脂は、フタルイミド法によって製造されている。(特許文献2)によれば、イミノ二酢酸基を有するキレート樹脂は、クロロメチル化法によって製造することもできる。
(特許文献3)および(特許文献4)には、メチルアミノピリジン基を有するキレート樹脂が記載されている。
多くの場合に、キレート樹脂は、たとえば強酸性スルホン酸基を有するカチオン交換体より、重金属に対して有意により高い選択性を示す。
従来型キレート樹脂は、4より高いpHで水溶液から重金属を吸収する。約4未満のpH値では、重金属に対する従来型キレート樹脂の選択性は、それらの官能基がプロトン化されるため低下する。
金属鉱石から重金属を得るための多くの方法では、岩石を硫酸で処理する。重金属は、岩石から溶解され、強酸性の岩石−硫酸懸濁液中に存在する。約4〜約0の範囲の強酸性pH値を有するこの溶液または懸濁液からの重金属の取り出しは、それ故かなりの工業的興味の対象である。
4〜約0のpH範囲の酸性溶液または懸濁液から選択的に有価金属を吸収することができるイオン交換体が探し求められている。
ほとんどの金属鉱石は、1種のみならず多くの有価金属を異なる濃度で含有する。いろいろな金属鉱石およびそれらに関連した多種多様な金属組成物の故に、有価金属の混合物からできるだけ選択的に所望の有価金属を抽出するために、異なる選択性を有する多くのタイプのイオン交換体があることが望ましい。
しかし、これまでは、それらの官能基の故に固有の選択性を有するものばかりである一握りのキレート樹脂が商業的に入手可能であったにすぎない。
新規官能基を有し、そして工業的規模で製造することができるさらなるキレート樹脂がそれ故探し求められている。
欧州特許出願公開第A 1078690号明細書 米国特許第4,444,961号明細書 米国特許第4,098,867号明細書 米国特許第4,031,038号明細書
R.Hering,Chelatbildende Ionentauscher,Akademie Verlag,Berlin,1967,150〜157ページ
それ故、本発明の目的は、低いpH値においても安定であり、かつ、酸性水溶液から有価金属を効果的に吸着する新規官能基を有する、高官能性の大容量キレート樹脂を提供することであった。
そのような樹脂が、意外にも、アミノメチル化ビーズポリマーをビニルスルホン酸と反応させることによって製造できることが見いだされた。
本目的は本発明によって達成され、本発明はそれ故、
一般式(I):
Figure 0005604527
(式中、
Rは、−H、−C〜Cアルキル、−CH−COOM、または−CH−CH−SOMからなる群からの基であり、
Mは、Hまたは金属カチオン、好ましくはアルカリ金属類のカチオン、特にNaまたはKである)
のメチレンアミノエチルスルホン酸基を有するキレート樹脂を提供する。
本発明は、一般式(I):
Figure 0005604527
(式中、
Rは、−H、−C〜Cアルキル、−CH−COOM、または−CH−CH−SOMからなる群からの基であり、
Mは、Hまたは金属カチオン、好ましくはアルカリ金属類のカチオン、特にNaまたはKである)
のメチレンアミノエチルスルホン酸基を有するキレート樹脂の製造方法であって、
a)モノエチレン性不飽和芳香族モノマーおよびマルチエチレン性不飽和化合物を、細孔形成剤の存在下に重合させて、ビーズポリマーを得、
b)ビーズポリマーをアミノメチル化ビーズポリマーに転化し、
c)アミノメチル化ビーズポリマーを中性まで洗浄し、
d)このアミノメチル化ビーズポリマーをビニルスルホン酸と反応させ、
e)この反応後に得られるメチレンアミノエチルスルホン酸基を有するキレート樹脂を、20〜120℃の温度で脱イオン水で洗浄し、沈降させることまたは濾過によって単離する
ことを特徴とする方法も提供する。
本発明のキレート樹脂を製造するために、先ず、非官能性モノマーの懸濁重合によって非官能性ビーズポリマーを製造し、1つ以上のその後の工程において、キレート形成性メチレンアミノエチルスルホン酸構造をこの非官能性ビーズポリマーに付与することが好ましい。
非官能性モノマーとして、モノエチレン性不飽和芳香族モノマー、特に好ましくはスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、またはビニルナフタレンを使用することが好ましい。これらのモノマーの混合物、ならびにモノエチレン性不飽和芳香族モノマーと、20重量%以下のその他のモノエチレン性不飽和モノマー、好ましくはクロロスチレン、ブロモスチレン;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸もしくはメタクリル酸のエステル(特に好ましくは、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、エチルヘキシルメタクリレート、デシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、またはイソボルニルメタクリレート);ビニルアルコールのエーテルもしくはエスエル(好ましくは酢酸ビニル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ブタンジオールモノビニルエーテル、エチレングリコールモノビニルエーテル、またはジエチレングリコールモノビニルエーテル)と、の混合物もまた好適である。特に、スチレンまたはビニルトルエンが好ましくは使用され、非常に特に好ましくはスチレンが使用される。
架橋剤をモノマーに混ぜ込む。好ましい架橋剤は、マルチエチレン性不飽和化合物である。ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、トリビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、オクタジエン、およびトリアリルシアヌレートが特に好ましい。ジビニルベンゼンおよびトリビニルベンゼン、とりわけジビニルベンゼンを使用することが非常に特に好ましい。架橋剤は、単独で使用することも、様々な架橋剤の混合物として使用することもできる。使用すべき架橋剤の総量は、エチレン系不飽和化合物の合計を基準として、一般に0.1〜80重量%、好ましくは0.5〜60重量%、特に好ましくは1〜40重量%である。
本発明の好ましい実施形態では、ポロジェンとして知られる、少なくとも1種の細孔形成剤を、非官能性ビーズポリマー中に細孔構造を形成させるためにモノマーに添加する。有機希釈剤をポロジェンとして使用することが好ましい。10重量%未満、好ましくは1重量%未満の程度まで水に溶解する有機希釈剤を使用することが特に好ましい。特に好適なポロジェンは、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、シクロヘキサン、オクタン、イソオクタン、デカン、ドデカン、イソドデカン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、フタル酸ジブチル、n−ブタノール、4−メチル−2−ペンタノール、およびn−オクタノールである。トルエン、シクロヘキサン、イソオクタン、イソドデカン、4−メチル−2−ペンタノール、またはメチルイソブチルケトンが非常に特に好ましい。
上述した細孔形成剤の混合物をポロジェンとして使用することもできる。
ポロジェンは、添加する場合、それぞれの場合にエチレン系不飽和化合物の合計を基準として、10〜200重量%、好ましくは25〜150重量%、特に好ましくは40〜100重量%の量で使用する。
非官能性ビーズポリマーの製造において、本発明の好ましい実施形態では、上述したモノマーを、水性懸濁液中、開始剤を使用して分散剤の存在下で重合させる。
分散剤として、天然のまたは合成の水溶性ポリマーを使用することが好ましい。ゼラチン、デンプン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、または、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステルもしくはメタクリル酸エステルのコポリマーを使用することが特に好ましい。ゼラチンまたはセルロース誘導体、特に、セルロースエステルもしくはセルロースエーテル(例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、またはメチルヒドロキシエチルセルロースなど)を使用することが非常に特に好ましい。分散剤を使用する場合、使用するその量は、水相を基準として、一般に0.05〜1%、好ましくは0.1〜0.5%である。
本発明のさらなる好ましい実施形態では、開始剤を使用する。好適な開始剤は、温度が高められるとフリーラジカルを形成する化合物である。ペルオキシ化合物、特に好ましくは、ジベンゾイルペルオキシド、ジラウリルペルオキシド、ビス(p−クロロベンゾイル)ペルオキシド、ジシクロヘキシルペルオキシジカーボネート、および第三アミルペルオキシ−2−エチルヘキサン、ならびに、アゾ化合物、特に好ましくは2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)もしくは2,2’−アゾビス(2−メチルイソブチロニトリル)、または脂肪族ペルオキシエステル、好ましくは第三ブチルペルオキシアセテート、第三ブチルペルオキシイソブチレート、第三ブチルペルオキシピバレート、第三ブチルペルオキシオクトエート、第三ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、第三ブチルペルオキシネオデカノエート、第三アミルペルオキシピバレート、第三アミルペルオキシオクトエート、第三アミルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、第三アミルペルオキシネオデカノエート、2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、2,5−ジピバロイル−2,5−ジメチルヘキサン、2,5−ビス(2−ネオデカノイルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、ジ−第三ブチルペルオキシアゼレート、およびジ−第三アミルペルオキシアゼレートを使用することが好ましい。
開始剤を使用する場合、それらは、エチレン系不飽和化合物の合計を基準として、0.05〜6.0重量%、好ましくは0.1〜5.0重量%、特に好ましくは0.2〜2重量%の量で用いる。
さらなる好ましい実施形態においては、水相は、水相のpHを12〜3、好ましくは10〜4の範囲の値に調整する緩衝系を含有していてよい。特に好適な緩衝系は、リン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、またはホウ酸塩を含有する。
さらなる好ましい実施形態では、水相に溶解された禁止剤を使用することが有利であり得る。可能な禁止剤としては、無機および有機材料の両方が挙げられる。好ましい無機禁止剤は、窒素化合物、特に好ましくは、ヒドロキシルアミン、ヒドラジン、亜硝酸ナトリウム、および亜硝酸カリウムである。好ましい有機禁止剤は、フェノール化合物、特に好ましくは、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、レゾルシノール、カテコール、第三ブチルカテコール、またはフェノール類とアルデヒドとの縮合生成物である。さらなる好ましい有機禁止剤は、窒素含有化合物、特に好ましくは、ジエチルヒドロキシルアミンまたはイソプロピルヒドロキルアミンである。レゾルシノールが禁止剤として非常に特に好ましい。禁止剤の濃度は、水相を基準として、5〜1000ppm、好ましくは10〜500ppm、特に好ましくは20〜250ppmである。
有機相は、(ヘテロ分散粒径分布を有するヘテロ分散イオン交換体を製造するために)撹拌することによって、または(単分散粒径分布を有する単分散イオン交換体を製造するために)噴霧するもしくは噴出させることによって水相中に液滴として分散させることができる。本発明の目的のためには、有機相は、モノマー、架橋剤、ポロジェン、および任意の禁止剤の混合物である。古典的な分散重合においては、有機液滴は撹拌によって生み出される。250〜400rpm(回転/分)の攪拌機速度が4リットル規模では典型的に用いられる。液滴を噴霧によって生み出させる場合、均一な液滴径を維持するために、有機液滴をカプセル化することが推奨される。噴霧された有機液滴のマイクロカプセル化方法は、たとえば、欧州特許出願公開第A 0 046 535号明細書に記載されている。マイクロカプセル化についてのこの内容を、参照により本特許出願に援用する、
欧州特許出願公開第A 0 046 535号明細書は、均一な粒径および均一な品質の(単分散)ビーズポリマーの製造方法であって、
i)均一なサイズの液滴を、重合すべきモノマーまたは重合混合物から、このモノマーまたは重合混合物と本質的に混和しない連続的に導入される液体中に噴霧することによって形成させ;
ii)均一なサイズのこれらの液滴を、用いる重合条件下で安定であるシェルで直接カプセル化するか、あるいは、先ず、剪断力に対して安定であるシェルでカプセル化し、第2サブステップで、剪断力に対して安定であるこのシェルを連続的にもしくは回分式に硬化させて、用いる重合条件下で安定であるシェルを得るか、のどちらかで、公知のミクロカプセル化方法によって前記液体中で連続的にカプセル化させ;
iii)その後、用いる重合条件下に安定であるシェルでカプセル化されたモノマーまたは重合混合物の液滴を重合させることを特徴とし、ただし、
α)モノマーまたは重合混合物を、連続的に導入される連続相中に、この連続相の並流として噴霧し;
β)液滴の生成およびそれのカプセル化を、反応容器の異なる領域で実施し;
γ)液滴が生み出されたときからそれらがカプセル化されるまで、液滴の完全性を変える力が液滴にまったく作用しないようなやり方で、プロセス工程α)およびβ)を実施することを条件とする方法に関する。
用いる重合条件下に安定であるシェルでのカプセル化は、マイクロカプセル化法によって液滴の周りに形成されるシェルが、剪断力に対して安定であるが用いる重合条件下で安定ではない場合には、2つのサブステップで実施する。
この場合、連続的にまたは回分式に実施することができる第2プロセス工程において、シェルを硬化させて、重合条件下で安定であるシェルを形成させなければならない。この硬化工程は、別個の反応容器における別個の操作で実施することができるが、好ましくは同じ反応容器で実施する。
他方で、マイクロカプセル化法によって液滴の周りに形成されるシェルが、用いる重合条件下で安定である場合には、硬化工程を省略し、用いる重合条件下に安定であるシェルでのカプセル化を一工程で実施する。
欧州特許出願公開第A0 046 535号明細書に記載される方法の目的のためには、シェルは、それらが従来型懸濁重合の条件下で等しいサイズの液滴を生み出すために用いる強度の撹拌動作に損傷されることなく耐える場合に、剪断力に対して安定であるとされている。
均一なサイズのモノマーまたは重合混合物の液滴の生成と、カプセル化によるこれらの液滴の安定化と、特定の条件を維持しつつ重合条件下で安定であるシェルでカプセル化された液滴の重合との組み合わせによって、欧州特許出願公開第A 0 046 535号明細書によれば、ビーズがほぼ等しい粒径および均一な物理的特性(例えば、粒子安定性、破壊強度など)とを有するビーズポリマーがもたらされる。
有機相対水相の比は、一般に1:20〜1:0.6、好ましくは1:10〜1:1、特に好ましくは1:5〜1:1.2である。
しかし、有機相を、種供給プロセスでは、その教示が本特許出願に参照により援用される、欧州特許出願公開第A 0 617 714号明細書に記載されているように、有機相を溶解する種ポリマーの懸濁液に添加することもできる。この方法も、単分散イオン交換体の製造を可能にする。
欧州特許出願公開第A 0 617 714号明細書によれば、多数のゲル様コポリマー種粒子を最初に準備する。これらの種粒子は、少なくとも1種の第1モノビニリデンモノマーと、第1架橋モノマーとを含む第1のモノマー混合物の重合によって製造する。この種粒子は、エチレン系不飽和モノマーの重合を開始させることができるフリーラジカル源を含有していてもよい。
次いで、この種粒子に、相分離希釈剤、少なくとも1種の第2モノビニリデンモノマー、第2架橋モノマー、およびフリーラジカル重合開始剤を含む第2のモノマー混合物を取り込ませる(吸収させる)。フリーラジカル開始剤は、種粒子がフリーラジカル源を含有する実施形態については任意選択である。相分離希釈剤および少なくとも1種の第2モノビニリデンモノマーを、それらが少なくとも1種の第1モノビニリデンモノマーの溶解パラメータおよび双極子モーメントに適合する(compatible)溶解パラメータおよび双極子モーメントを有するように選択して、少なくとも70重量%の第2モノマー混合物が種粒子によって取り込まれる。
次いで、吸収した種コポリマー粒子を、モノマーからコポリマーへの所望の程度の転化が達成され、多孔質コポリマービーズが得られるのに十分な時間、懸濁重合条件下に維持する。
有機相および種ポリマーの合計と、水相との比は、一般に1:20〜1:0.6、好ましくは1:10〜1:1、特に好ましくは1:5〜1:1.2である。
本発明によるプロセス工程a)におけるモノマーの重合は、好ましくは、高められた温度で実施する。重合温度は、好ましい実施形態において場合により使用する開始剤の分解温度次第であり、典型的には、50〜150℃、好ましくは60〜120℃の範囲である。重合時間は、30分〜24時間、好ましくは2〜15時間である。
重合の終わりに、非官能性ビーズポリマーを、たとえば吸引フィルタ上で水相から分離し、場合により乾燥する。
本発明の方法のプロセス工程a)で得られるビーズポリマーの平均粒径は、5〜1200μm、好ましくは20〜1000μm、特に好ましくは100〜1000μmである。
本発明によるプロセス工程b)において、アミン含有ビーズポリマーを形成させるための官能化は、様々な方法によって実施することができる。すなわち、ビーズポリマーは、クロロメチル化した後、たとえば、DD第79152号明細書およびイスラエル国特許第52121号明細書に記載されているようにヘキサメチレンテトラミンと反応させることによって、アミン含有ビーズポリマーへ転化することができる。
本発明によるプロセス工程b)における非官能性ポリビニル芳香族ビーズポリマーのアミン含有ビーズポリマーへの好ましい転化方法は、米国特許第4,952,608号明細書、DAS第2 519 244号明細書および欧州特許出願公開第A 1 078 690号明細書に記載されているようなフタルイミド法であり、フタルイミド法についてのこれらの教示を、参照により本出願に援用する。
欧州特許出願公開第A 1 078 690号明細書は、たとえば、キレート形成官能基を有する単分散イオン交換体の製造方法に関し、
l)少なくとも1種のモノビニル芳香族化合物、少なくとも1種のポリビニル芳香族化合物、および任意選択のポロジェン、および/または任意選択の開始剤もしくは開始剤組み合わせのモノマー液滴を、単分散の架橋ビーズポリマーに転化させ、
m)この単分散の架橋ビーズポリマーを、フタルイミド誘導体を用いてアミドメチル化し、
n)アミドメチル化ビーズポリマーを、アミノメチル化ビーズポリマーに転化し、
o)アミノメチル化ビーズポリマーを反応させて、キレート形成基を有するイオン交換体を形成させる
ことを特徴とする。
好ましい実施形態では、本発明によるプロセス工程a)からの非官能性ポリビニル芳香族ビーズポリマーを、フタルイミド誘導体と縮合させる。発煙硫酸、硫酸、または三酸化硫黄が触媒として使用する。
フタル酸ラジカルを脱離させる工程、したがってアミノメチル基を遊離させる工程は、100〜250℃、好ましくは120〜190℃の範囲の温度で水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物の水性またはアルコール性溶液で、フタルイミドメチル化架橋ビーズポリマーを処理することによって実施する。水酸化ナトリウム溶液の濃度は、10〜50重量%、好ましくは20〜40重量%の範囲である。代わりに、ヒドラジンまたはヒドラジン含有溶液でフタルイミドメチル化架橋ビーズポリマーを処理することによって、フタル酸基を脱離させることができる。
本方法は、アミノメチル基を有し、1を超える芳香環の置換度を有する架橋ビーズポリマーを製造することを可能にする。
形成されたアミノメチル化ビーズポリマーを、本発明によるプロセス工程c)において脱イオン水で中性まで洗浄する。
アミノメチル化ビーズポリマーの、メチレンアミノエチルスルホン酸構造を有するキレート樹脂への転化は、本発明によるプロセス工程d)において、中性にまで洗浄したアミノメチル化ビーズポリマーを、ビニルスルホン酸またはビニルスルホン酸の塩と反応させることによって実施する。
ビニルスルホン酸のアルカリ金属塩、特に好ましくはナトリウム塩が好ましい。
ビニルスルホン酸は、純粋な酸として、純粋な塩として、または、酸および塩の混合物、酸と様々なビニルスルホン酸塩との混合物、もしくは様々なビニルスルホン酸塩の混合物として、使用することができる。
以下では、用語ビニルスルホン酸を簡単のために用いるが、その塩を包含することが意図される。アミノメチル化ビーズポリマーの反応には、アミノメチル化ビーズポリマー中のアミン1モル当たり少なくとも0.5モルのビニルスルホン酸を使用することが好ましい。アミンの1モル当たり0.8〜3モル、非常に特に好ましくはアミンの1モル当たり1.0〜2モルのビニルスルホン酸を使用することが特に好ましい。
この反応は好ましくは、好適な溶媒の存在下で実施する。好適な溶媒は、アミノメチル化ビーズポリマーを膨潤させ、かつ、同時にビニルスルホン酸を十分な程度まで溶解させる溶媒である。好ましい溶媒は、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、C〜Cアルコール、および水である。水が特に好ましい。好適な溶媒の混合物を使用することもまた可能である。
使用する溶媒の量は、この反応にとって決定的に重要であるわけではない。一般に、混合物が全反応時間の間ずっと撹拌可能のままであるように選択する。樹脂の1ml当たり1.2〜5mlの量の溶媒が容易に使用可能であることが分かった。
反応を実施する温度は好ましくは、室温から150℃の範囲である。20〜120℃、特に50〜110℃の範囲の温度を用いることが特に好ましい。
反応時間は一般に多くの時間、好ましくは2〜72時間、特に好ましくは4〜48時間の範囲にある。
反応後に、得られるメチレンアミノエチル基を有するキレート樹脂を、本発明によるプロセス工程e)において、20〜120℃、好ましくは20〜70℃の温度にて脱イオン水で洗浄し、最後に沈降させるかまたは濾過することによって単離する。
本発明のさらなる好ましい実施形態では、工程e)において得られるメチレンアミノエチル基を有するキレート樹脂を、以下のように、さらなる反応によって改質する:
f)工程e)において得られるキレート樹脂を、アルキル化試薬と反応させ、
g)20〜120℃の温度にて脱イオン水で洗浄し、沈降させるかまたは濾過することによって単離する。
工程f)におけるアルキル化試薬としては、ハロゲン化C〜C18アルキル、特に好ましくはハロゲン化C〜Cアルキル、非常に特に好ましくは塩化メチル、塩化エチル、臭化メチル、臭化エチル、臭化n−プロピル、臭化2−プロピル、臭化n−ブチル、臭化イソブチル、臭化t−ブチル、およびヨウ化メチル、ならびに、官能性ハロゲン化アルキル、好ましくはクロロ酢酸、ブロモ酢酸、クロロプロピオン酸、ブロモプロピオン酸、2−クロロエタノール、および2−ブロモエタノールを使用することが好ましい。その他の公知のアルキル化化合物、好ましくはエチレンオキシド、エチレンスルフィド、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、および硫酸ジプロピルを使用することもできる。
工程f)において、メチレンアミノエチルスルホン酸基を有するビーズポリマー中のアミン1モル当たり少なくとも0.5モルのアルキル化試薬を使用することが好ましい。アミンの1モル当たり0.8〜2モルの比のアルキル化試薬、非常に特に好ましくはアミンの1モル当たり1.0〜1.5モルのアルキル化試薬を使用することが特に好ましい。
反応は、好適な溶媒の存在下で実施する。好適な溶媒は、メチレンアミノエチルスルホン酸基を有するビーズポリマーを膨潤させ、同時に、アルキル化試薬を十分な程度まで溶解させる溶媒である。好ましい溶媒は、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、C〜Cアルコール、および水である。C〜Cアルコールおよび水が特に好ましい。好適な溶媒の混合物を使用することもできる。
使用される溶媒の量は、この反応にとって決定的に重要であるわけではない。一般に、混合物が全反応時間の間ずっと撹拌可能のままであるように選択する。樹脂の1ml当たり1.2〜5mlの量の溶媒が容易に使用可能であることが分かった。
反応を実施する温度は好ましくは、室温から120℃の範囲である。20〜100℃、特に50〜80℃の範囲の温度を用いることが特に好ましい。
反応時間は一般に多くの時間、好ましくは2〜72時間、特に好ましくは4〜48時間である。
反応後に、得られたメチレンアミノエチル基を含有するアルキル化キレート樹脂を、本発明によるプロセス工程g)において、20〜120℃、好ましくは20〜70℃の温度で脱イオン水で洗浄し、最後に沈降させるかまたは濾過することによって単離する。
工程e)またはg)からの本発明のメチレンアミノエチル基を含有するキレート樹脂は、100μm〜1200μm、好ましくは200μm〜1000μmの範囲の平均粒径Dを有する。
篩分析または画像解析などの従来法は、平均粒径および粒径分布を測定するために好適である。本発明の目的のためには、平均粒径Dは、容積基準分布の50%値(φ(50))である。この容積基準分布の50%値(φ(50))は、粒子の50容積%がそれより小さい直径を示す。
本発明によれば、単分散粒径分布を有するキレート樹脂が好ましい。本発明の目的のためには、単分散粒径分布は、0.9D〜1.1Dの範囲に少なくとも75容積%、好ましくは少なくとも85容積%、特に好ましくは少なくとも90容積%の粒子の容積割合を有する。
本発明の好ましい実施形態においては、メチレンアミノエチル基を有する本発明によるキレート樹脂は、マクロ多孔性構造を有する。本発明の目的のためには、マクロ多孔性構造は、IUPAC(K.Horie et al.,Pure and Applied Chemistry 2004,76(4),900)に準拠して、50nmより大きな平均直径を有する細孔を有する構造である。本発明によるマクロ多孔性のホウ素選択性樹脂は、少なくとも0.1cm/g、特に好ましくは少なくとも0.5cm/gの、水銀圧入ポロシメトリーによって乾燥樹脂に関して測定される全細孔容積を好ましくは有する。
アミノメチル化ビーズポリマーとビニルスルホン酸との反応、およびその後のアルキル化によって、ビーズポリマー中に、一般式(I):
Figure 0005604527
(式中、
Rは、−H、−C〜Cアルキル、−CH−COOM、または−CH−CH−SOMであり、
Mは、Hまたは金属カチオン、好ましくはアルカリ金属類のカチオン、特にNaまたはKである)
のメチレンアミノエチルスルホン酸構造が形成される。
したがって、本発明は、少なくとも1種の芳香族モノマーをベースとしており、式(I)のメチレンアミノエチル基を含有し、そして100〜1200μmの範囲の平均粒径Dを有するメチレンアミノエチル基含有キレート樹脂も提供する。
意外にも、重金属および有価金属は、本発明のキレート樹脂を用いて4未満のpH値で水溶液から効果的に単離することができる。
したがって、本発明は、4未満のpHを有する水溶液から、好ましくは0〜4のpHを有する水溶液から重金属を取り出すための、本発明のキレート樹脂の使用を提供する。
重金属および有価金属は、本発明の目的のために既に冒頭に定義した。このタイプの水溶液は、好ましくは、エレクトロニクス産業、電気めっき工業および鉱業におけるプロセス水、またはそれらからのプロセス水である。
明確化のために、本発明の目的のためには、一般論として、あるいは好ましい範囲でのいずれかで記述した定義およびパラメータのあらゆる組み合わせを包含すると言うことができる。
本発明の目的のためには、脱イオン水は、溶解されたかまたは溶解されていない金属イオンの含有率が、個々の成分としてのFe、Co、Ni、Mo、Cr、Cuついて1ppm以下、好ましくは0.5ppm以下であり、かつ、前述した金属の合計について10ppm以下、好ましくは1ppm以下である状態で、0.1〜10μSの導電率を有することによって特徴付けられる。
[実施例1]:単分散アミノメチル化ビーズポリマーの製造(本発明−工程a)〜c)による)
1a)スチレン、ジビニルベンゼン、およびエチルスチレンをベースとする単分散マクロ多孔性ビーズポリマーの製造
3000gの脱イオン水を10リットルのガラス反応器に入れ、320gの脱イオン水中の10gの、ゼラチン、16gのリン酸水素二ナトリウム十水和物、および0.73gのレゾルシノールの溶液を加え、反応器の内容物を混合した。混合物を25℃にした。その後、撹拌しながら、3200gのマイクロカプセル化モノマー液滴の混合物を加えた。このマイクロカプセル化モノマー液滴の混合物は、噴霧(噴出)によって得られたものであり、狭い粒径分布を有し、3.6重量%のジビニルベンゼンおよび0.9重量%のエチルスチレン(80%のジビニルベンゼンを含有するジビニルベンゼンとエチルスチレンとの商業用異性体混合物として使用した)、0.5重量%のジベンゾイルペルオキシド、56.2重量%のスチレン、および38.8重量%のイソドデカン(ペンタメチルヘプタンの割合が高い工業用異性体混合物)からなり、このマイクロカプセルは、ゼラチンと、ホルムアルデヒドを用いて硬化されたアクリルアミドおよびアクリル酸のコポリマーとの複合コアセルベートを含んでいた。この混合物に、12のpHを有する3200gの水相を加えた。モノマー液滴の平均粒径は460μmであった。
この混合物を、撹拌しながら、25℃で始まり95℃で終わる温度プログラムに従って温度を上げることによって重合させた。混合物を冷却し、32μmの篩上で洗浄し、その後減圧下、80℃で乾燥させた。これにより、440μmの平均粒径、狭い粒径分布、および平滑な面を有する1893gの球状ポリマーが得られた。
このポリマーは、外観が白墨のように白く、約370g/lの嵩密度を有した。
1b)単分散アミドメチル化ビーズポリマーの製造
2373gのジクロロエタン、750gのフタルイミド、および505gの29.2重量%濃度のホルマリンを室温で反応容器に入れた。この懸濁液のpHを、水酸化ナトリウム溶液を用いて5.5〜6に設定した。水をその後蒸留によって除去した。51.7gの硫酸を次に導入した。形成された水を蒸留によって除去した。混合物を冷却した。30℃で、65%濃度の発煙硫酸189g、その後実施例1a)からの371.4gの単分散ビーズポリマーを導入した。懸濁液を70℃に加熱し、この温度でさらに6時間撹拌した。反応液を取り出し、脱イオン水を加え、残留量のジクロロエタンを蒸留によって除去した。
アミドメチル化ビーズポリマーの収量:2140ml
分析によって測定された元素組成:
炭素: 75.3重量%
水素: 4.9重量%
窒素: 5.8重量%
残り: 酸素
1c)単分散アミノメチル化ビーズポリマーの製造
1019gの45重量%濃度水酸化ナトリウム溶液および406mlの脱イオン水を、1b)からの2100mlのアミドメチル化ビーズポリマーに室温で加えた。この懸濁液を180℃に加熱し、この温度で6時間撹拌した。
得られたビーズポリマーを脱イオン水で洗浄した。
アミノメチル化ビーズポリマーの収量:1770ml
工程1bおよび1cにわたる合計収量は、スケールアップした場合には1804mlであった
分析によって決定した元素組成:
窒素: 10.90重量%
乾燥重量: 0.27g/樹脂1ml
アミノメチル化ビーズポリマーの1リットル当たりのモル単位のアミノメチル基の量:2.29。
アミノメチル化ビーズポリマーの分析によって決定した元素組成から、スチレンおよびジビニルベンゼン単位に由来する芳香環1個当たり統計的平均で1.06個の水素原子がアミノメチル基で置き換えられたと算出することができる。
[実施例2]:メチレンアミノエチルスルホン酸基を有するマクロ多孔性の単分散キレート樹脂の製造(本発明−工程d)〜e)による)
実施例1からの1600mlの水湿潤単分散マクロ多孔性アミノメチル化樹脂を、800mlの脱イオン水およびビニルスルホン酸ナトリウムの25重量%濃度の溶液1906.75gと一緒に反応容器に入れ、加熱還流させ、還流下に67時間維持した。
懸濁液を次に室温に冷却した。
樹脂を、篩上で脱イオン水を用いて洗浄し、カラムに移し、14リットルの4%重量%濃度の水酸化ナトリウム溶液で溶出させ、その後42リットルの脱イオン水で洗浄した。
これにより、メチレンアミノエチルスルホン酸基を有する2570mlの水湿潤単分散マクロ多孔性キレート樹脂が得られた。この樹脂は、樹脂の1ミリリットル当たり0.29gの乾燥重量、5.9重量%の窒素含有率、および11.6重量%の硫黄含有率を有していた。
[実施例3]:メチレンアミノエチルスルホン酸基を有するマクロ多孔性の単分散キレート樹脂の製造(本発明−工程d)〜e)による)
樹脂の1リットル当たり2.29モルのアミンを有し、実施例1に類似の方法によって製造された、1600mlの水湿潤単分散マクロ多孔性アミノメチル化樹脂を、800mlの脱イオン水およびビニルスルホン酸ナトリウムの25重量%濃度の溶液2288.1gと一緒に反応容器に入れ、加熱還流させ、還流下に67時間維持した。
懸濁液を次に室温に冷却した。
樹脂を、篩上で脱イオン水を用いて洗浄し、カラムに移し、14リットルの4%重量%濃度水酸化ナトリウム溶液で溶出し、その後42リットルの脱イオン水で洗浄した。
これにより、メチレンアミノエチルスルホン酸基を有する2750mlの水湿潤単分散マクロ多孔性キレート樹脂が得られた。この樹脂は、樹脂1ミリリットル当たり0.30gの乾燥重量、5.5重量%の窒素含有率、および12.5重量%の硫黄含有率を有していた。
[実施例4]:メチレンアミノエチルスルホン酸基を有し、かつ追加の酢酸基を有するマクロ多孔性の単分散キレート樹脂の製造(本発明−工程f)〜g)による)
実施例2からのメチレンアミノエチルスルホン酸基を含有する700mlの水湿潤単分散マクロ多孔性キレート樹脂を、737mlの脱イオン水と一緒に反応容器に入れ、90℃に加熱した。
次いて、クロロ酢酸の80重量%濃度の溶液177.4gを、pHが全添加時間にわたって50重量%濃度水酸化ナトリウム溶液の添加によって9.2の値に維持しながら、90℃で4時間かけて加えた。
添加の終了後に、温度を95℃に上げ、pHを、50重量%濃度の水酸化ナトリウム溶液を用いて10.5にした。混合物を95℃でさらに6時間撹拌した。
懸濁液を次に室温に冷却した。
樹脂をカラムに移し、36リットルの脱イオン水で洗浄した。
これにより、メチレンアミノエチルスルホン酸基および追加の酢酸基を有する850mlの水湿潤単分散マクロ多孔性キレート樹脂が得られた。この樹脂は、樹脂1ミリリットル当たり0.30gの乾燥重量、4.6重量%の窒素含有率、および1.51当量/lの総容量を有していた。
[例5]:マクロ多孔性の単分散アミノメチル化樹脂とビニルホスホン酸ナトリウムとの反応(本発明によらない)
樹脂1リットル当たり2.29モルのアミンを有し、かつ、実施例1と類似の方法によって製造された1200mlの水湿潤単分散マクロ多孔性アミノメチル化樹脂を、600mlの脱イオン水およびビニルホスホン酸一ナトリウムの35重量%濃度の溶液1451.2gと一緒に反応容器に入れ、加熱還流させ、還流下に48時間維持した。
懸濁液を次に室温に冷却した。
樹脂を、篩上で脱イオン水を用いて洗浄し、カラムに移し、8リットルの4%重量%濃度の水酸化ナトリウム溶液で溶出させ、その後40リットルの脱イオン水で洗浄した。
これにより、1385mlの水湿潤単分散マクロ多孔性樹脂が得られた。この樹脂は、樹脂の1ミリリットル当たり0.26gの乾燥重量、9.6重量%の窒素含有率、および1.5重量%のリン含有率を有していた。
低いリン含有率は、転化率が低いことを示している。
[実施例6]:樹脂の銅容量の測定
試験用の各樹脂を次の通り処理した:
50mlの樹脂を250mlスクリューキャップ瓶に移した。樹脂を、篩管を用いて吸い尽くし、1リットルの脱イオン水中の100gの硫酸銅五水和物から調製した200mlの硫酸銅溶液を加えた。しっかり閉じた瓶を、振盪機で、1時間100rpmで振盪した。
次いで、pHをチェックし、必要であれば25%濃度硫酸を添加することによって、3〜4の範囲の値に調整した。瓶を次に、さらに15時間100rpmで振盪した。樹脂が沈降した後、上澄液の試料を分析のために採取した。
使用した硫酸銅溶液の銅濃度および試験終了時の上澄液の銅濃度を、原子吸光分光法によって測定する。
樹脂1リットル当たりの銅の吸収量を、硫酸銅溶液の銅含有率と上澄液の銅含有率との差から産出する。この樹脂1リットル当たりの銅の吸収量は、樹脂の銅容量と称される。
本発明による樹脂および商業的に入手可能なIDEキレート樹脂についての測定結果を表1に示す。
Figure 0005604527
表1、実施例3から、本発明の樹脂が酸性溶液中の有価金属銅を効果的に吸収することを理解することができる。
実施例3とIDE樹脂Lewatit(登録商標)Monoplus TP 208との比較により、本発明の樹脂が、低いpHで、商業的に入手可能な樹脂よりもかなり良好に銅を吸収することが示されている。
[分析]
樹脂の総容量の測定
ガラスフィルタ管内に脱イオン水中で軽くたたき入れた100mlのキレート樹脂に、750mlの3重量%濃度塩酸を溶出させる。この樹脂をその後、洗液が中性で塩化物を含まなくなるまで脱イオン水で洗浄する。
次いで、0.1モル/lの水酸化ナトリウム溶液を、ガラスフィルタ管内で酸形態に転化された50mlのキレート樹脂に3ml/分で通す。
溶出液を、各場合において、250ml容積フラスコに集め、全量を1モル/lの塩酸でメチルオレンジに対して滴定する。250mlの溶出液が24.5〜25mlの1モル/lの塩酸を消費するまで、0.1モル/lの水酸化ナトリウム溶液を導入する。各場合に取り出した量および滴定結果を書き留める。
樹脂の総容量を、次式に従って計算する:
Figure 0005604527
(x=溶出液分画の数
V=溶出液の滴定における1モル/l塩酸のml単位での総消費量
3=交換体中の残存アルカリ控除)

Claims (10)

  1. 一般式(I):
    Figure 0005604527
    (式中、
    Rは、−H、−C〜Cアルキル、−CH−COOM、または−CH−CH−SOMからなる群からの基であり、
    Mは、Hまたは金属カチオンである)
    のメチレンアミノエチルスルホン酸基を有するキレート樹脂であって、
    100〜1200μmの範囲の平均粒径Dを有する、キレート樹脂
  2. 0.9D〜1.1D(Dは、平均粒径である)の範囲に少なくとも75容積%の粒子の容積割合を有する単分散粒径分布を有することを特徴とする、請求項1に記載のキレート樹脂。
  3. マクロ多孔性構造を有することを特徴とする、請求項1に記載のキレート樹脂。
  4. 一般式(I):
    Figure 0005604527
    (式中、
    Rは、−H、−C〜Cアルキル、−CH−COOM、または−CH−CH−SOMからなる群からの基であり、
    Mは、Hまたは金属カチオンである)
    のメチレンアミノエチルスルホン酸基を有するキレート樹脂の製造方法であって、
    a)モノエチレン性不飽和芳香族モノマーおよびマルチエチレン性不飽和化合物を重合させて、ビーズポリマーを得、
    b)前記ビーズポリマーをアミノメチル化ビーズポリマーに転化させ、
    c)前記アミノメチル化ビーズポリマーを中性にまで洗浄し、
    d)前記アミノメチル化ビーズポリマーをビニルスルホン酸と反応させ、
    e)前記反応後に得られるメチレンアミノエチルスルホン酸基を含有する前記一般式(I)のキレート樹脂(式中、Rが、−Hまたは−CH −CH −SO Mであるもの)を、20〜120℃の温度で脱イオン水で洗浄し、沈降させるかまたは濾過することによって単離する
    工程を含むことを特徴とする、方法。
  5. 前記ビニルスルホン酸をアルカリ金属塩として使用することを特徴とする、請求項に記載のキレート樹脂の製造方法。
  6. 工程a)における前記重合を、細孔形成剤としての有機希釈剤の存在下で実施することを特徴とする、請求項に記載のキレート樹脂の製造方法。
  7. 工程a)における前記重合を、種供給プロセスまたは噴霧プロセスによって実施して、単分散粒径分布を実現することを特徴とする、請求項に記載のキレート樹脂の製造方法。
  8. さらに、
    f)工程e)で得られた前記キレート樹脂をアルキル化試薬と反応させ、
    g)前記反応後に得られたメチレンアミノエチルスルホン酸基を含有する前記一般式(I)のキレート樹脂(式中、Rが、−C 〜C アルキルまたは−CH −COOMであるもの)を、20〜120℃の温度にて脱イオン水で洗浄し、沈降させるかまたは濾過することによって単離する
    工程を含むことを特徴とする、請求項に記載のキレート樹脂の製造方法。
  9. 4未満のpHを有する水溶液からの重金属または貴金属の選択的な分離のための、請求項1に記載のキレート樹脂の使用。
  10. 前記水溶液が、エレクトロニクス産業、電気めっき工業、または鉱業におけるプロセス水、またはそれらからのプロセス水であることを特徴とする、請求項に記載の使用。
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