図1および図2は、本発明の一実施形態に係るバーンイン装置10の構成を示す断面図であり、図1では、半導体レーザ装置1が装着されたパレット11が、装置本体12に装着される前の状態を示し、図2では、半導体レーザ装置1が装着されたパレット11が、装置本体12に装着された状態を示している。
また図3は、半導体レーザ装置1が装着される前のパレット11の構成を示す図であり、図3(a)は、パレット11の平面図を示し、図3(b)は、図3(a)における切断面線III−IIIから見た断面図を示している。
バーンイン装置10は、電子部品である半導体装置のエージング試験を行うために用いられる装置である。本実施形態では、半導体装置は、たとえば発光素子である半導体レーザ素子を備える半導体レーザ装置1とする。
エージング試験では、常温よりも高い温度である予め定める温度環境下において、半導体レーザ装置1などの半導体装置を駆動し、ストレスを与えたときの半導体装置の状態を検出することによって、半導体装置の信頼性を試し、初期不良となるおそれのある半導体装置を検出する。
バーンイン装置10は、図1および図2に示すように、被試験体である半導体レーザ装置1を着脱可能に構成されるパレット11と、パレット11を着脱可能に構成され、パレット11が装着されると、パレット11に装着されている半導体レーザ装置1に駆動電流を供給して、半導体レーザ装置1のエージング試験を行う装置本体12とを含んで構成される。
電子部品保持体であるパレット11は、半導体レーザ装置1を装着可能に構成されるソケット本体31と、ソケット本体31に設けられるソケット電極部32と、ソケット本体31が埋設される、保持体側伝熱部であるパレット伝熱部33と、パレット伝熱部33の外表面を被覆するパレット被覆部34とを含んで構成される。各部の詳細な構成については後述する。
パレット11は、大略的に矩形板状に形成され、本実施形態では、図3に示すように、複数のソケット本体31が、パレット11における厚み方向Tに垂直な仮想一平面に沿って、マトリクス状に配設されて構成されている。
装置本体12は、パレット11が装着されたときに、該パレット11におけるソケット電極部32に接触して電気的に接続する本体電極部41と、本体電極部41を介して、パレット11に装着されている各半導体レーザ装置1に駆動電流を供給する駆動回路42(図9参照)と、パレット11が装着されたときに、該パレット11におけるパレット伝熱部33に接触して、パレット伝熱部33の温度を調整する温度調整手段43と、蓋部44とを含んで構成される。各部の詳細な構成については後述する。
以下では、先ず被試験体である半導体レーザ装置1について説明する。図4は、被試験体である半導体レーザ装置1の構成を示す図であり、図4(a)は、半導体レーザ装置1の平面図を示し、図4(b)は、半導体レーザ装置1の正面図を示している。
本実施形態のバーンイン装置10によって試験される半導体レーザ装置1は、半導体レーザ素子21をCANパッケージに搭載することによって構成されている。具体的には、半導体レーザ装置1は、半導体レーザ素子21と、ステム22と、キャップ23と、端子部とを含んで構成されている。
半導体レーザ素子21は、特に限定されるものではないが、たとえばCD(Compact Disk)用またはDVD(Digital Versatile Disk)用のものであってもよいし、単波長または2波長の光を出力する構成のものであってもよい。発振波長としては、400μm〜800μmのものが好ましく、用いられる半導体としてはガリウム砒素系のものが好ましい。
ステム22は、略円柱形の基部25と、基部25において、その中心軸線J1が延びる方向の一表面25aから突出し、半導体レーザ素子21が搭載される搭載部26とを有する。半導体レーザ素子21は、一表面25aの法線方向にレーザ光を出射するような姿勢で、サブマウント27を介して搭載部26に搭載される。
ステム22は、半導体レーザ素子21において発生する熱を放射する機能を有し、熱伝導性および導電性の高い金属によって形成される。ステム22の構成材料としては、特に限定されるものではないが、たとえば鉄に金メッキしたものが用いられる。
端子部は、2本の接続端子24を有し、具体的には、半導体レーザ素子21を駆動する電流を供給するためのプラス(+)端子とグランド端子とを有している。各接続端子24は、ステム22に搭載される半導体レーザ素子21に電気的に接続されている。プラス端子は、ステム22に電気絶縁性部材を介して設けられ、ステム22とは電気的に絶縁されている。
プラス端子およびグランド端子はいずれも、ステム22に搭載される半導体レーザ素子21のレーザ光の出射方向Aとは逆方向に突出するように設けられている。各接続端子24の構成材料としては、特に限定されるものではないが、たとえばコバールに金メッキしたものが用いられる。
キャップ23は、有底筒状に形成され、半導体レーザ素子21および搭載部26を覆い、開口部23aが基部25の一表面25aで基部25に接合されて設けられる。キャップ23は、基部25の一表面25aにおける周縁部が露出するような大きさに形成され、基部25の中心軸線J1と同軸に設けられる。キャップ23も、半導体レーザ素子21において発生する熱を放射する機能を有する。
キャップ23は、その底部分に半導体レーザ素子21から出射されるレーザ光を透過する透過部28を有し、透過部28を除く部分については、熱伝導性および導電性の高い金属によって形成され、その構成材料としては、特に限定されるものではないが、たとえば鉄に金メッキしたものが用いられる。
半導体レーザ装置1において、プラス端子およびグランド端子を除く残余の部分が本体部に相当する。また、ステム22の基部25における一表面25aとは反対側の他表面25bが、半導体レーザ装置1をパレット11に装着したときに、パレット伝熱部33に接触する面となる。該他表面25bは、一表面25aに平行に形成されている。
以下、パレット11の詳細な構成について説明する。図5は、図3(b)におけるB部を拡大して示すパレット11の部分断面図であり、半導体レーザ装置1を装着しようとしている状態を示している。
図6は、パレット11に備えられるソケット本体31の構成を示す図であり、図6(a)はソケット本体31の上面図を示し、図6(b)はソケット本体31の側面図を示し、図6(c)はソケット本体31の底面図を示し、図6(d)は図6(a)における切断面線VI−VIから見た断面図を示している。なお、図6では、ソケット本体31にソケット電極部32が設けられた状態を示している。
ソケット本体31は、樹脂材料によって成形された部材であり、電気絶縁性を有している。ソケット本体31は、図6(b)に示すように、大略的に円柱形状に形成される柱状部51と、柱状部51の中心軸線J2の延びる方向(以下、「高さ方向」と称する)Hの一方側に設けられ、柱状部51の外周面から半径方向外方へ突出するフランジ部54とから成り、柱状部51とフランジ部54とは一体的に連なっている。
柱状部51は、円錐台状の第1部分52と円柱状の第2部分53とが高さ方向Hに連なって構成されている。第2部分53は、高さ方向Hにおいて第1部分52の先細側の端部とは反対側の端部に連なり、第1部分52と第2部分53とは、中心軸線J2に同軸に設けられている。
フランジ部54は、第2部分53の外周面から外方に突出するように設けられ、本実施形態では、一半径方向r1に沿って突出する矩形板状のフランジ片と、前記一半径方向r1とは反対側の半径方向r2に沿って突出する矩形板状のフランジ片とによって構成されている。
各フランジ片には、ソケット本体31を後述するパレット伝熱部33へ締結固定する際に用いられるねじ部材(図示せず)を挿入可能なねじ挿入孔55が、高さ方向Hに貫通して形成されている。各ねじ挿入孔55は、ねじ部材の頭部をフランジ片内部に没入できるように形成されている。
ここで、ソケット本体31において、高さ方向Hにおける第2部分53側の表面を端面51aと称し、高さ方向Hにおいて端面51aとは反対側の表面を端面51bと称する。端面51a,51bはいずれも、高さ方向Hに直交する面である。
柱状部51には、高さ方向Hに貫通する挿入孔56が、予め定める数だけ形成されている。前記予め定める数は、被試験体である半導体レーザ装置1において、本体部から外部へ突出する接続端子24の数に等しく、本実施形態では、2つの挿入孔56が形成されている。
2つの挿入孔56はそれぞれ、半導体レーザ装置1に設けられた接続端子24を挿入可能なサイズに形成され、また、半導体レーザ装置1に設けられた2本の接続端子24の間隔に応じて、互いに間をあけて形成されている。2つの挿入孔56は、本実施形態では、中心軸線J2まわりに回転対称に形成されている。
一方の挿入孔56は、中心軸線J2から前記半径方向r1に離間した位置から、該半径方向r1に沿って細長く延び、第1部分52においては、半径方向r1の外方に開口するように形成されている。また他方の挿入孔56は、中心軸線J2から前記半径方向r2に離間した位置から、該半径方向r2に沿って細長く延び、第1部分52においては、半径方向r2の外方に開口するように形成されている。ここで、柱状部51において、2つの挿入孔56によって挟まれている部分を、中央部分60と称する。
ソケット電極部32は、金属材料によって成形された部材であり、導電性を有している。ソケット電極部32は、端面51b側の開口から挿入孔56に挿入された接続端子24に接触するように、挿入孔56内に固定して設けられる。
ソケット電極部32は、詳細には、一方向に沿って延び、挿入孔56に挿入可能に形成された板ばね部57と、板ばね部57の長手方向一方側の端部である基部57aに一体的に連なって設けられる固定部58とによって構成されている。固定部58は、具体的には、ソケット本体31の第2部分53における挿入孔56の大きさよりも外形寸法が僅かに大きくなるように形成されている。
かかる構成のソケット電極部32は、固定部58に連なる板ばね部57を、第2部分53側の開口から挿入孔56に挿入した後、固定部58を第2部分53における挿入孔56へ圧入することによって、挿入孔56内に固定される。
このとき、図6(b)に示すように、固定部58の一部が、ソケット本体31の端面51aよりも外方へ突出した状態で固定される。なお、固定部58には、図6(d)に示すように、ソケット電極部32が第2部分53側の開口から離脱することを防止するために、抜け落ち防止用の返しである突起部59が設けられている。
板ばね部57は、ソケット電極部32が挿入孔56内への固定されたときに、その長手方向とソケット本体31の高さ方向Hとが一致するように設けられている。また、板ばね部57は、ソケット電極部32が挿入孔56内への固定されたときに、長手方向他方側の端部である遊端部57bが、ソケット本体31の端面51bよりも外方へ突出しないように、その長手方向の寸法が選択されている。
ここで、図6(d)に示すように、半導体レーザ装置1における中心軸線J1とソケット本体31における中心軸線J2とを略一致させた状態で、該半導体レーザ装置1における各接続端子24を、ソケット本体31における各挿入孔56に挿入したときに、挿入孔56内において各接続端子24が通過する空間を、挿入空間Sと称する。
板ばね部57は、端面51b側の開口から挿入空間Sに挿入された接続端子24に対して、弾発的に接触するように構成されている。具体的には、板ばね部57は、その遊端部57bに、ソケット電極部32が挿入孔56内への固定された状態において、中央部分60に向かって突出する押圧部57cを備え、押圧部57cの一部が挿入空間S内に配置されるとともに、基部57aから押圧部57cにわたる部分が、挿入空間Sに対して半径方向の外方に配置されるように構成されている。
したがって、押圧部57cは、挿入空間Sへ接続端子24が挿入されると、接続端子24によって挿入空間Sから半径方向の外方へ押し退けられて変位する。これにより、板ばね部57が弾性変形することによって、押圧部57cは、挿入空間Sへ挿入された接続端子24に対して、弾発的に接触する。このとき、押圧部57cは、接続端子24に対して、半径方向内方に押圧力Fを付与する。このように、板ばね部57は、挿入空間Sへ接続端子24が挿入されると、接続端子24に対して弾発的に接触して、接続端子24に電気的に接続する。
板ばね部57は、半導体レーザ装置1をソケット本体31に保持できる程度に十分な押圧力Fを、挿入空間Sへ挿入された接続端子24に対して付与するように構成するのが好ましい。具体的には、挿入空間Sへ挿入された接続端子24に対して、0.3N以上かつ0.4N以下の押圧力Fを付与するように構成するのが好ましい。
このような押圧力Fは、接続端子24を挿入空間Sへ挿入したときの接続端子24とソケット電極部32との電気的接続の確実性、挿入空間Sへの接続端子24の挿入容易性、パレット11を搬送する際に生じる振動に対する半導体レーザ装置1のソケット本体31からの離脱しにくさ、および、ソケット本体31に装着された半導体レーザ装置1を取り外すときの容易性などの評価項目を考慮して決定され、下記の表1に、押圧力Fごとの評価結果を示す。
表1に示すように、0.3N≦F≦0.4Nの範囲では、上記4つの評価項目について良好な結果が得られたのに対し、F<0.3Nの範囲では、電気的接触の確実性および離脱しにくさの評価項目に関して、0.3N≦F≦0.4Nの範囲に対して劣る結果となっている。また、0.4N<Fの範囲では、挿入容易性および取り外し容易性の評価項目に関して、0.3N≦F≦0.4Nの範囲に対して劣る結果となっている。
このように、接続端子24に対する押圧力Fが0.3N≦F≦0.4Nとなるように板ばね部57を形成することによって、接続端子24を挿入空間Sへ挿入したときに、接続端子24とソケット電極部32とを確実に電気的に接続することができるとともに、パレット11を装置本体12まで搬送するときに生じる振動によって、半導体レーザ装置1がパレット11から不用意に離脱してしまうことを防止することができる。また、パレット11への半導体レーザ装置1の装着、およびパレット11からの半導体レーザ装置1の取り外しを、容易に行うことができる。
図7は、図6(d)におけるソケット電極部32の遊端部57b付近を拡大して示す断面図である。図7に示すように、ソケット本体31における中央部分60は、高さ方向Hにおける端面51b側の端部に、接続端子24の挿入方向Cに対して傾斜した挿入案内面61が、ソケット電極部32に臨んで形成されている。ここで挿入方向Cとは、高さ方向Hに平行な方向である。挿入案内面61は、詳細には、挿入方向Cの上流側から下流側に進むにつれて、ソケット電極部32から離反する方向に傾斜するように形成されている。
一方、ソケット電極部32においても、その遊端部57bに、接続端子24の挿入方向Cに対して傾斜した挿入案内面62が、中央部分60に臨んで形成されている。挿入案内面62は、詳細には、挿入方向Cの上流側から下流側に進むにつれて、中央部分60から近接する方向に傾斜するように形成されている。
図8(a)および図8(b)は、ソケット本体31の挿入孔56に接続端子を挿入するときの様子を示す図である。前記のように、ソケット本体31およびソケット電極部32には、挿入案内面61,62が形成されているので、接続端子24が、接続端子24を挿入すべき挿入位置Pに対して、端面51bの面方向に沿って多少位置ずれして挿入されたとしても、接続端子24の先端部が挿入案内面61,62に案内されることによって、接続端子24を挿入位置Pに導くことができる。
したがって、半導体レーザ装置1のパレット11への装着作業を効率的に行うことができる。さらには、装着作業を専用の装置を用いて自動化する場合にも、その専用の装置の構成を、単純な構造とすることができ、装置の製造コストを低減することができる。
なお、挿入案内面61は、挿入方向Cに対する傾斜角θ1が、20°≦θ1≦30°となるように形成されるのが好ましい。同様に、挿入案内面62も、挿入方向Cに対する傾斜角θ2が、20°≦θ2≦30°となるように形成されるのが好ましい。
たとえば、挿入案内面61,62の傾斜角θ1,θ2が20°未満である場合には、開口径が小さくなってしまうため、接続端子24の挿入時に、挿入案内面61,62よりも外側の部分に接続端子24が接触してしまう確率が増大するという不具合が生ずる。そこで、必要な開口径を確保しようとすると、開口から接続端子24と押圧部57cとの接触点までの距離が長くなってしまうため、ソケット本体31の高さ方向Hの寸法が長くなり、パレット11自体の重量が増加するという不具合が生ずる。さらには、パレット伝熱部33を予め定める温度に調整するときの応答が悪化するという不具合も生ずる。
一方、挿入案内面61,62の傾斜角θ1,θ2が30°よりも大きい場合には、接続端子24が挿入案内面61,62に接触したときに、ソケット本体31またはソケット電極部32へ負荷される荷重が大きくなってしまい、挿入位置Pへ接続端子24をスムーズに導くことができなくなってしまうという不具合が生ずる。
このように、挿入案内面61,62の傾斜角θ1,θ2を20°以上かつ30°以下に選択することにより、半導体レーザ装置1のパレット11への装着作業を、より効率的に行うことができる。
図5に戻って、パレット伝熱部33は、アルミニウムおよび銅などの熱伝導率の良好な金属材料によって成形された板状の部材であり、その厚み方向に垂直な面方向に沿って、ソケット本体31が埋設される凹部65が複数、マトリクス状に設けられている(図3参照)。パレット伝熱部33は、その厚み方向の寸法が、ソケット本体31の高さ方向Hにおける寸法よりも大きくなるように選択されている。
凹部65は、パレット伝熱部33の厚み方向一方側の表面33aから他方側の表面33bに向かって窪んで設けられている。各表面33a,33bは、平坦に形成されている。凹部65は、ソケット本体31における第1部分52を挿入可能な円柱状の空間を規定する第1嵌合部分66と、ソケット本体31における第2部分53およびフランジ部54を挿入可能な円柱状の空間を規定する第2嵌合部分67とを有する。
第1嵌合部分66および第2嵌合部分67は、その内部の円柱状の空間における各中心軸線が、パレット伝熱部33の厚み方向に沿って延び、かつ同軸上に配置されるように形成されている。第2嵌合部分67は、パレット伝熱部33における表面33a側に開口している。
第1嵌合部分66と第2嵌合部分67との間には、パレット伝熱部33の厚み方向に垂直な段差面を備える段差部68が形成され、段差部68には、前述するねじ部材の軸部が螺合可能なねじ孔(図示せず)が、段差面に垂直に延びるように形成されている。
ソケット本体31は、ねじ部材をフランジ片に形成されたねじ挿入孔55に挿入し、該ねじ部材の軸部の先端を、段差部68におけるねじ孔に螺合させることで、パレット伝熱部33に締結固定される。
第2嵌合部分67は、このようにしてソケット本体31が締結固定された状態において、ソケット本体31における第2部分53およびフランジ部54がパレット伝熱部33の内部に没入するように、パレット伝熱部33における厚み方向の寸法が選択されている。
第1嵌合部分66は、直円筒状の内周面66aと該内周面66aに連なる円形状の底面66bとを含む。底面66bは、パレット伝熱部33の厚み方向に垂直に形成され、パレット伝熱部33の厚み方向他方側の表面33bに対して離間している。ここで、パレット伝熱部33において、第1嵌合部分66の底面66bと表面33bとの間の部分を、接触部分69と称する。
接触部分69には、パレット伝熱部33の厚み方向に貫通する2つの連通孔70が形成されている。各連通孔70は、ソケット本体31が凹部65に締結固定された状態において、ソケット本体31における各挿入孔56にそれぞれ連通するように設けられている。各連通孔70は、テーパ状の内周面によって、パレット伝熱部33の表面33bから表面33aに向かって進むにつれて内径が小さくなるように形成されている。
被試験体である半導体レーザ装置1は、各接続端子24が、接触部分69における各連通孔70をそれぞれ貫通し、ソケット本体31の挿入孔56における挿入空間Sに挿入されることで、パレット11に着脱可能に装着される。このとき、各接続端子24は、ステム22の基部25における他表面25bがパレット伝熱部33の表面33bに接触するまで挿入される。
すなわち、半導体レーザ装置1のパレット11への装着状態では、ステム22がパレット伝熱部33に面接触するとともに、各ソケット電極部32が各接続端子24に弾発的に接触して電気的に接続する。ここで、パレット伝熱部33の表面33bにおいて、半導体レーザ装置1のパレット11への装着時に、ステム22の基部25における他表面25bが接触する部分を、接触面71と称する。
パレット被覆部34は、断熱性を有する部材から成り、パレット伝熱部33の外表面のうち、厚み方向一方側の表面33aと前記接触面71とを除く残余の表面を被覆するように設けられる。具体的には、厚み方向他方側の表面33bにおいて接触面71を除く部分と、パレット伝熱部33の側面33c(図3(b)参照)を被覆するように設けられる。
図9は、パレット11に半導体レーザ装置1が装着された状態を示す断面図である。前記のように、パレット11に半導体レーザ装置1が装着されると、ステム22がパレット伝熱部33に面接触するとともに、各接続端子24が各ソケット電極部32に弾発的に接触して電気的に接続する。また、ステム22の基部25における一表面25aおよびキャップ23は、パレット被覆部34の外方に露出して設けられる。
以下、装置本体12の詳細な構成について説明する。図10は、装置本体12における構成の一部を拡大して示す断面図である。
装置本体12は、本体電極部41、駆動回路42、温度調整手段43、蓋部44のほか、制御部45と、出力部46と、蓋移動機構47(図1参照)とを含んで構成される。受け部48は、本体電極部41と、温度調整手段43における後述する本体伝熱部91、ペルチェ素子92および本体被覆部96とによって構成される。
装置本体12は、図10に示すように、蓋部44と受け部48とが対向して配置され、本実施形態では、受け部48が下方に、蓋部44が上方に配置されている。以下、装置本体12において、蓋部44と受け部48とが対向する方向を上下方向Zと称し、上下方向Zにおいて、受け部48から蓋部44に向かう方向を上方Z1と称し、蓋部44から受け部48に向かう方向を下方Z2と称する。
本体電極部41は、ソケット本体31におけるソケット電極部32の数に応じて2つ設けられ、装置本体12にパレット11が装着されたときに、ソケット本体31の端面51aよりも突出するソケット電極部32に接触するコンタクトプローブ81と、コンタクトプローブ81を保持する樹脂製の保持部82と、保持部82が搭載される基板83とを含んで構成される。
コンタクトプローブ81は、導電性の筒状体から成るバレル81aと、接触子であるプランジャ81bと、バレル81a内部に設けられ、プランジャ81bをバレル81aの軸線方向に付勢する弾性部材(図示せず)と、バレル81aが挿入され、バレル81aに電気的に接続するソケット81cとを含んで構成される。
保持部82には、2本のコンタクトプローブ81がそれぞれ圧入される挿入孔が貫通して形成される。基板83には、2本のコンタクトプローブ81がそれぞれ圧入される挿入孔が貫通して形成され、基板83の裏面には、電極パターンが形成されている。
本体電極部41は、2本のコンタクトプローブ81が、保持部82を貫通するように、保持部82に圧入固定され、また保持部82から突出したソケット81cが基板83に圧入固定され、半田付けにより基板83の裏面の電極パターンに電気的に接続されることによって構成される。このとき、コンタクトプローブ81におけるプランジャ81bは、保持部82の外部に設けられ、前記弾性部材によって、保持部82から離反する方向に付勢されている。
駆動回路42は、装置本体12にパレット11が装着された状態において、基板83における電極パターンおよび本体電極部41、ならびにソケット電極部32を介して、半導体レーザ装置1に電気的に接続し、半導体レーザ装置1に駆動電流を供給する。また駆動回路42は、後述する受光素子101によって検出された半導体レーザ素子21からのレーザ光の光量に基づいて、この光量がパレット11に装着されている各半導体レーザ装置11において一定となるように駆動電流を調整して、半導体レーザ素子21に駆動電流を供給する機能を有する。
温度調整手段43は、本体伝熱部91と、ペルチェ素子92と、温度センサ93と、放熱部材94と、放熱ファン95と、本体被覆部96と、温度制御回路97とを含んで構成される。
本体伝熱部91は、アルミニウムおよび銅などの熱伝導率の良好な金属材料によって成形された板状の部材であり、その厚み方向一方側の平坦な表面91aが上方Z1に臨むような姿勢で、受け部48に設けられる。より詳細には、表面91aが、上下方向Zに対して垂直となるような姿勢で、受け部48に設けられる。
本体伝熱部91には、表面91aに沿って、複数の本体電極部41が、パレット11におけるソケット本体31の配列に対応してマトリクス状に埋設される(図1参照)。このとき、本体電極部41は、プランジャ81bが表面91aよりも上方Z1に配置され、かつプランジャ81bが上下方向Zに沿って移動可能となるような姿勢で、本体伝熱部91に埋設される。
ペルチェ素子92は、本体伝熱部91を加熱する加熱手段であり、本体伝熱部91の厚み方向他方側の表面91bに接触して設けられる。温度センサ93は、本体伝熱部91に埋設され、本体伝熱部91の温度を検出して、検出結果を駆動回路42に出力する。
放熱部材94は、複数のフィンを有し、ペルチェ素子92の本体伝熱部91に接する側とは反対側に設けられる。放熱ファン95は、放熱部材94のペルチェ素子92とは反対側に設けられ、この放熱ファン95を駆動することにより放熱ができるようになっている。
ペルチェ素子92が本体伝熱部91を加熱しているときにはペルチェ素子の放熱部材側の面では熱を吸収するように機能し、またペルチェ素子92が本体伝熱部91を冷却しているときにはペルチェ素子の放熱部材側の面では熱を加わえるように機能する。
本体被覆部96は、断熱性を有する部材から成り、本体伝熱部91の外表面のうち、厚み方向両側の表面91a,91bを除く残余の表面を被覆するように設けられる。
温度制御回路97は、ペルチェ素子92および放熱ファン95を駆動する機能を有する。詳細には、温度制御回路97は、本体伝熱部91に埋設される温度センサ93から温度信号が入力され、本体伝熱部91の測定温度に基づいて、本体伝熱部91が目標温度となるようにペルチェ素子92の駆動を制御する。
蓋部44は、受光素子101と、受光素子101が搭載される基板102と、受光素子101および基板102が埋設される保持部103と、保持部103の外表面を被覆する被覆部104と、押さえ部105とを含んで構成され、受け部48に対し、上下方向Zに離間して設けられる。
受光素子101は、半導体レーザ装置1が装着されたパレット11が装置本体12に位置決めして装着されたときに、半導体レーザ素子21から出射されるレーザ光を受光可能に設けられる。受光素子101による受光量を示す検出信号は、基板102を介して駆動回路42に出力される。
保持部103は、金属材料によって成形された板状の部材であり、その厚み方向一方側の平坦な表面103aに沿って、受光素子101および基板102を埋設可能な凹部111が複数、パレット11におけるソケット本体31の配列に対応してマトリクス状に設けられている(図1参照)。
保持部103は、その厚み方向一方側の表面103aが下方Z2に臨むような姿勢で、蓋部44に設けられる。より詳細には、表面103aが、上下方向Zに対して垂直となるような姿勢で、蓋部44に設けられる。
凹部111は、受光素子101および基板102が埋設可能であるとともに、半導体レーザ装置1におけるキャップ23を収容可能に形成される。受光素子101は、その受光面が下方Z2に臨むように、保持部103に埋設される。
被覆部104は、断熱性を有する部材から成り、保持部103の外表面のうち、凹部111が設けられる表面103aを除く残余の表面を被覆するように設けられる。
押さえ部105は、弾性部材105aと押さえ板105bとによって構成され、保持部103における凹部111に設置される。弾性部材105aは、その伸縮方向の一端部が、下方Z2に臨む凹部111の表面に連結され、その伸縮方向の他端部には、押さえ板105bが連結される。
弾性部材105aは、上下方向Zに沿って伸縮可能に凹部111に設置され、圧縮コイルばねによって実現されている。押さえ板105bは、円環状に形成され、その厚み方向一方側の表面が、弾性部材105aに連結されている。押さえ板105bには、半導体レーザ装置1におけるキャップ23の外径よりも大きく、かつステム22における基部25の外径よりも小さな内径を有する貫通孔112が、その厚み方向に貫通して形成されている。
制御部45は、駆動回路42、温度制御回路97および出力部46を制御する機能を有し、出力部46は、温度センサ93および受光素子101による測定結果などを画面出力する機能を有する。
蓋移動機構47は、蓋部44が固定して設けられ、蓋部44を上下方向Zに移動する機能を有する。蓋移動機構47は、本実施形態では、エアシリンダによって実現される。蓋移動機構47は、これに限らず、たとえばカムを用いた機構であってもよい。
図11Aおよび図11Bは、半導体レーザ装置1が装着されたパレット11が、装置本体12に装着される過程を説明するための図であり、図11Aは、半導体レーザ装置1が装着されたパレット11を受け部48に対して位置決めするときの様子を示し、図11Bは、受け部48に対して位置決めされたパレット11を、蓋部44と受け部48とによって挟持するときの様子を示している。
図11Aに示すように、パレット11には、その側面部11aから外方へ突出する板状の突出片35が設けられ、この突出片35には、ソケット本体31の高さ方向Hに沿って貫通孔36が形成されている。
一方、装置本体12には、上方Z1へ突出する位置決めピン49が所定の位置に設けられている。パレット11は、パレット伝熱部33における厚み方向一方側の表面33aが下方Z2に臨むような姿勢で、突出片35に形成された貫通孔36に、位置決めピン49を挿通することで、受け部48に対して位置決めされる。
なお、ここでいう位置決めとは、パレット11における各ソケット本体31の各ソケット電極部32と、受け部48における各本体電極部41の各プランジャ81bとがそれぞれ接触して電気的に接続するように、上下方向Zに垂直な方向に沿って、パレット11が受け部48に対して配置されることをいう。
パレット11が受け部48に対して位置決めされると、図11B(a)に示すように、蓋部44を下方Z2へ降下させるように、蓋移動機構47が駆動する。これにより、図11B(b)に示すように、パレット11が蓋部44と受け部48とによって挟持されることで、パレット11は装置本体12に装着される。
このとき、蓋部44の降下に伴って、蓋部44における押さえ部105は、その押さえ板105bの下方Z2に臨む側の表面が、ステム22の基部25における一表面25aの周縁部に接触し、さらに弾性部材105aが収縮することによって、半導体レーザ装置1を、下方Z2に押圧する。これにより、パレット11が装置本体12に装着された状態では、半導体レーザ装置1におけるステム22とパレット11におけるパレット伝熱部33とが確実に面接触し、ステム22とパレット伝熱部33とを確実に、熱的に結合することができる。
一方、パレット11におけるソケット電極部32は、蓋部44の降下に伴って、ソケット本体31の端面51aから突出する部分が、本体電極部41におけるプランジャ81bに接触し、さらにバレル81a内の弾性部材を収縮させながら、プランジャ81bとともに下方Z2へ移動する。これにより、パレット11が装置本体12に装着された状態では、本体電極部41におけるプランジャ81bは、弾性部材の収縮によって、ソケット電極部32の前記突出する部分に弾発的に接触する。したがって、本体電極部41とソケット電極部32とを確実に接触させ、電気的に接続することができる。
また、蓋部44の降下に伴って、パレット11のパレット伝熱部33において下方Z2に臨む表面33aは、受け部48の本体伝熱部91において上方Z1に臨む表面91aに面接触する。これにより、パレット11が装置本体12に装着された状態では、パレット11のパレット伝熱部33と受け部48の本体伝熱部91とを確実に、熱的に結合することができる。
このようにしてパレット11が装置本体12に装着されると、温度制御回路97が、ペルチェ素子92および放熱ファン95を駆動して、本体伝熱部91を加熱するとともに、駆動回路42が、各半導体レーザ装置1に駆動電流を供給して、半導体レーザ装置1を駆動する。
このとき、温度制御回路97は、温度センサ93からの温度信号に基づいて、本体伝熱部91が所定の温度となるように、ペルチェ素子92の駆動を制御する。パレット11が装置本体12に装着された状態では、前記のように、本体伝熱部91とパレット伝熱部33と半導体レーザ装置1のステム22とが熱的に結合しているので、半導体レーザ装置1を直接的に温度制御して、半導体レーザ装置1のエージング試験を行うことができる。
以上のように、本実施形態によれば、半導体レーザ装置1は、ソケット本体31に設けられたソケット電極部32の板ばね部57が接続端子24に弾発的に接触することによって、パレット11に保持されるように構成されているので、パレット11に、ソケット本体31以外の別の保持機構を設けることが不要となり、パレット11の構成を単純化することができる。これにより、多くの半導体レーザ装置1をパレット11に装着することが可能となるので、半導体レーザ装置1の試験を効率的に行うことができる。
また、パレット11に基板を設ける必要がなくなるので、パレット伝熱部33を1枚の金属製の板状部材によって構成することが可能となり、熱伝導性が良好で、かつ単純な構造で安価なパレット11を実現することができる。
また、パレット伝熱部33において外部に露出する表面を、断熱性を有するパレット被覆部34によって可及的に被覆しているので、周囲の雰囲気の温度による影響を防ぎ、パレット伝熱部33内における温度のばらつきを可及的に低減することができる。これにより、半導体レーザ装置1を精度よく目標の温度に加熱することができる。
図12は、バーンイン装置10に用いられる他の構成のソケット電極部32Aを備えるソケット本体31示す図であり、図12(a)は、ソケット本体31の側面図を示し、図12(b)は、ソケット本体31の断面図を示している。
また図13は、図12に示すソケット本体31が設けられたパレット11を受け部48に装着する様子を示す図であり、図13(a)は、パレット11が受け部48に装着される前の状態を示し、図13(b)は、パレット11が受け部48に装着された状態を示している。図12および図13において、前記の実施形態と同一の構成については、同一の参照符を付し、重複する説明を省略する。
前記の実施形態では、本体電極部41にコンタクトプローブ81を用いることで、ソケット電極部32の前記突出する部分に、コンタクトプローブ81におけるプランジャ81bを弾発的に接触させて、本体電極部41とソケット電極部32とを電気的に接続するように構成されていたが、本実施形態では、ソケット電極部32Aに板ばね構造を設けている。
具体的には、ソケット電極部32Aは、板ばね部57と、板ばね部57の基部57aに連なり、ソケット本体31の第2部分53における挿入孔56に圧入固定される固定部58と、固定部58の板ばね部57とは反対側に連なり、板ばね部57の長手方向に沿ってばね性を有する板ばね部63Aとを含んで構成される。
かかる構成のソケット電極部32Aは、固定部58に連なる板ばね部57を、第2部分53側の開口から挿入孔56に挿入した後、固定部58を第2部分53における挿入孔56へ圧入することによって、挿入孔56内に固定される。このとき、図12(b)に示すように、板ばね部63Aが、ソケット本体31の端面51aよりも外方へ突出した状態で固定される。
一方、本実施形態では、ソケット電極部32Aの構成に対応して、受け部48に設けられる本体電極部41Aの構成も変更されている。具体的には、本体電極部41Aは、装置本体12にパレット11が装着されたときにソケット電極部32Aにおける各板ばね部63Aがそれぞれ接触する端子81Aと、各端子81Aが搭載される基板83とを含んで構成される。
本実施形態では、パレット11を装置本体12に装着させるために蓋部44を降下させると、ソケット電極部32Aにおける板ばね部63Aが基板83上の端子81Aに接触し、さらに板ばね部63Aが上下方向Zに収縮する。これにより、パレット11が装置本体12に装着された状態では、ソケット電極部32Aは、板ばね部63Aの収縮によって、基板83上の端子81Aに弾発的に接触する。したがって、本体電極部41Aとソケット電極部32Aとを確実に接触させ、電気的に接続することができる。
本実施形態によれば、コンタクトプローブ81および樹脂製の保持部82が不要となるので、受け部48の構造を単純化することができる。また、本体電極部41Aの基板83には、ソケット電極部32Aに対応する端子81Aを実装するのみでよいので、図13(a)および図13(b)に示すように、受け部48における本体伝熱部91の厚み方向の寸法を可及的に低減することができる。これにより、制御温度の応答性を改善することができる。