JP5603369B2 - 人造大理石製シンクおよびその製造方法 - Google Patents

人造大理石製シンクおよびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、人造大理石層と補強層とからなる二層部分が底面部に形成された人造大理石製シンクおよびその製造方法に関する。
台所の流し台に設けられるシンクとしては、従来は、ステンレスなどの金属で構成されたものが一般的であったが、近年では、高級感を出すために、人造大理石で構成した人造大理石製シンクも開発されている。人造大理石製シンクは、意匠性および耐熱性に優れる一方、ステンレスなどの金属よりも破断強度が弱い。そのため、強度を確保するため、板厚を厚くしなければならなかった。板厚の厚い従来の人造大理石製シンクは重い。そこで、板厚を薄くして軽量にした人造大理石製シンクも開発されている(例えば、特許文献1参照)。
この人造大理石製シンクは、熱硬化性樹脂、充填剤および繊維強化材を含有するBMC(バルクモールディングコンパウンド)と、片面に樹脂硬化物層ができるように熱硬化性樹脂を繊維強化材に含浸させたのちに硬化させて得られるシート状のFRP板とで構成されている。また、FRP板には、BMCとの密着性を高めるために複数個の穴が形成されている。そして、人造大理石製シンクの製造は、プレス成形用のシンク金型の下型の底面に樹脂硬化物層が上面になるようにFRP板を配置して、そのFRP板の上にBMCを投入し、プレス成形装置で加熱、加圧成形することにより行われる。
特開2008−285917号公報
しかしながら、前述した人造大理石製シンクでは、FRP板を製造する際に、片面に樹脂硬化物層ができるようにしたり、BMCとの密着性を高めるための複数個の穴を形成したりしなければならない。このため、製造工程が多くなり、FRP板の製造が面倒になるという問題がある。
また、従来の板厚の厚い人造大理石製シンクは、剛性が高い。このため、人造大理石製シンク内で食器を落としたとき、人造大理石製シンクの底面部の撓み変形量が少なく、人造大理石製シンクと食器との衝撃によって食器が割れてしまうという問題点がある。
本発明は、前述した問題に対処するためになされたもので、その目的は、少ない製造工程で、人造大理石層と補強層とからなる二層部分を備えた人造大理石製シンクおよびその製造方法を提供することである。さらには、板厚を薄くしても人造大理石層の割れを防ぎ、かつ人造大理石製シンクに落とした食器が割れにくい人造大理石製シンクを提供することである。なお、下記本発明の各構成要件の記載においては、本発明の理解を容易にするために、実施形態の対応箇所の符号を括弧内に記載しているが、本発明の構成要件は、実施形態の符号によって示された対応箇所の構成に限定解釈されるべきものではない。
前述した目的を達成するため、本発明の請求項1に係る人造大理石製シンクの構成上の特徴は、人造大理石層(21a)と、人造大理石層の外面に形成された補強層(21b)とからなる二層部分を備えた人造大理石製シンク(20)において、補強層を形成するための材料として繊維に樹脂を含浸したプリプレグシート(S)を、プレス成形型(30)の成形凹部(31a)における人造大理石製シンクの底面部(21)を形成する部分に設置して、プリプレグシートの上に、人造大理石層を形成するためのバルクモールディングコンパウンド(BMC)を設置し、その状態でプリプレグシートとバルクモールディングコンパウンドとを同時にプレスし、バルクモールディングコンパウンドを展伸させることにより底面部に二層部分が形成され他の部分が人造大理石層で構成されるようにし、さらに、補強層の厚みを二層部分の厚みの1/2よりも厚くしたことにある。
本発明の請求項2に係る人造大理石製シンクの構成上の特徴は、二層部分の厚みを5mm以下にしたことにある。
本発明の請求項3に係る人造大理石製シンクの構成上の特徴は、人造大理石層の厚みを1.5mm以上2.5mm未満にしたことにある。
本発明の請求項4に係る人造大理石製シンクの製造方法の構成上の特徴は、人造大理石製シンクの形状の成形凹部を備えたプレス成形型を用いて人造大理石層と、人造大理石層の外面に形成された補強層とからなる二層部分を備えた人造大理石製シンクを製造する人造大理石製シンクの製造方法において、成形凹部における人造大理石製シンクの底面部を形成する部分に、繊維に樹脂を含浸したプリプレグシートを設置するプリプレグシート設置工程と、成形凹部におけるプリプレグシートの上に、人造大理石層を形成するためのバルクモールディングコンパウンドを設置するバルクモールディングコンパウンド設置工程と、プリプレグシートとバルクモールディングコンパウンドとを同時にプレスして、バルクモールディングコンパウンドを展伸させることにより、補強層の厚みが二層部分の厚みの1/2よりも厚くなるようにして底面部に二層部分を形成し、他の部分を人造大理石層で構成した人造大理石製シンクを成形するプレス工程とを備えていることにある。
本発明の請求項1に係る人造大理石製シンクは、繊維に樹脂を含浸したプリプレグシートの上にバルクモールディングコンパウンドを設置して、プリプレグシートとバルクモールディングコンパウンドとを同時にプレスすることにより形成している。この場合、バルクモールディングコンパウンドが展伸することにより人造大理石製シンクの形状に形成され、その底面の外面に補強層が位置することにより底面部に二層部分を形成している。
このように、プリプレグシートを用いることにより、人造大理石層と補強層とを一度のプレスで同時に成形できるとともに、人造大理石層と補強層との境界部分を一体化させた状態で成形することができる。人造大理石層と補強層とを同時成形するため、生産性が向上しコストダウンが可能になる。また、人造大理石層と補強層との境界部分が一体化しているので、人造大理石製シンクの底面が撓んでも人造大理石層と補強層が剥離しにくい。さらに、補強層の厚みは、形成する繊維の厚みによって決まる。したがって、プリプレグシートを用いることにより、補強層の厚みを均一にすることができ、得られる人造大理石製シンクの品質を安定させることができる。なお、バルクモールディングコンパウンドとしては、熱硬化性樹脂に、水酸化アルミニウム、ガラス繊維等を混練した成形材料を用いることが好ましい。
また、本発明の請求項1に係る人造大理石製シンクによると、補強層の厚みが二層部分の厚みの1/2よりも厚い、すなわち、補強層の厚みが人造大理石層の厚みよりも厚い。人造大理石製シンク内に鍋等の調理器具が落下して底面部に衝突した場合、底面部は下方に突出するように撓む。このとき、補強層の厚みが二層部分の厚みの1/2よりも厚いので、人造大理石層に作用する力を圧縮応力にすることができる。ここで、人造大理石は、大きな引張り応力が作用すると割れることがあるが、大きな圧縮応力が作用しても割れにくい。従って、人造大理石製シンク内に鍋等の調理器具が落下したとき、人造大理石層に作用する力が圧縮応力なので、人造大理石層が割れることを防止することができる。
一方、人造大理石層の厚みを補強層の厚みよりも厚くすると、人造大理石層の上部には圧縮応力が加わり、人造大理石層の下部には引張り応力が加わるようになる。その結果、人造大理石層には割れが発生しやすくなる。本発明は、補強層の厚みを厚くすることで、人造大理石層が割れることを防止するものである。
本発明の請求項2に係る人造大理石製シンクによると、底面部に形成される二層部分の厚みが5mm以下と薄いため、撓みやすくなる。このため、食器が落下して底面部に衝突しても、底面部が撓むことによって衝撃を吸収し、食器が割れることを防止できる。
本発明の請求項3に係る人造大理石製シンクによると、人造大理石層の厚みを1.5mm以上2.5mm未満にしたため、底面部の上面に下面側に位置する補強層が透けて見えることがなくなる。すなわち、人造大理石製シンクの美観を損なうことを防止できる。
本発明の請求項4に係る人造大理石製シンクの製造方法によると、少ない製造工程で、人造大理石層と補強層との境界部分が一体化した人造大理石製シンクを得ることができる。
本発明の一実施形態に係る人造大理石製シンクを備えたキッチンユニットを示した斜視図である。 人造大理石製シンクを示しており、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図、(d)は底面図である。 図2(a)の3−3断面図である。 図2(a)の4−4断面図である。 人造大理石製シンクを成形する状態を示した説明図である。 人造大理石製シンクに負荷する荷重と人造大理石製シンクに生じる変位との関係を示したグラフである。
以下、本発明の一実施形態を図面を用いて説明する。図1は本実施形態に係る人造大理石製シンク20を備えたキッチンユニット10を示している。このキッチンユニット10は、高さや奥行に比べて左右方向の長さが長くなった矩形の箱状に形成されており、その上面は板状のカウンター11で構成されている。カウンター11の上面における一端側(左側)に、加熱調理装置12のヒーター12aが配置され、カウンター11の上面における他端側には、水栓13を備えた人造大理石製シンク20が設けられている。そして、キッチンユニット10内には、各種の引出しからなる収容部14が形成されその表面にそれぞれ取っ手14aが設けられている。また、加熱調理装置12の上方にはヒーター12aに対向してレンジフード15が設置されている。
人造大理石製シンク20は、図2ないし図4に示したように、底面部21と、側面部22と、水栓取付部23a,23bと、底面部21の中央後部に形成された排水部24と、側面部22および水栓取付部23a,23bの上端縁部に形成されたフランジ部25とで構成されている。底面部21は、左右中央の後部側に向かうほどやや下方に傾斜した略平面状に形成されており、その前縁部は左右に略直線状に延び、左右両側の縁部は前縁部の両端からそれぞれ外側に突出する円弧状になって後方に延びている。底面部21の後縁部は、左右両側の縁部の後部からともに接近するようにして略直線状に延びたのちに中央部分で後方に突出する半円形を描くようにして連なっている。
そして、底面部21の左右中央の後部に、半円形の縁部と間隔を保って排水部24が形成されている。底面部21における排水部24が形成された部分とその後方部分とを除いた部分は、上部の表面側に位置する人造大理石層21aと、下部の裏面側に位置する補強層21bとからなる二層部分で構成されている。人造大理石層21aは、熱硬化性樹脂に、硬化剤、充填剤、顔料及び増粘剤を配合し、チョプドストランドと混練したバルクモールディングコンパウンドBMC(以下、BMCと記載する)(図5参照)からなっている。
なお、充填剤は、強さ、耐久性、作業特性、その他の性能を改善するために加えられる比較的不活性な固体材料であり、BMCでは、シリカや水酸化アルミニウムを用いている。また、チョプドストランドとは、撚りをかけられてなく直径が11〜13μm程度で、長さが長い単一織物要素を集束させたものを、長さ3〜6mm程度に切断した短繊維である。BMCでは、チョップドストランドとしてガラスを使用している。すなわち、ガラス短繊維を混練している。さらに、BMCには、増粘剤として、酸化マグネシウムも含まれている。
補強層21bは、ガラスを融解紡糸し繊維化したガラス繊維を強化材とし、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂をガラス繊維に含浸したガラス繊維強化プラスチックのプリプレグシートS(図5参照)を複数枚積層し、硬化させたものである。実施例では硬化後に厚さ0.5mmになるプリプレグシートSを目標とする補強層の厚みとするため2枚から6枚積層している。このプリプレグシートSでは、強化材としてガラスロービングクロスを用い、含浸させる樹脂は熱硬化性樹脂を用いている。
すなわち、連続繊維に樹脂を含浸したプリプレグシートを用いている。プリプレグシートSの強化材が連続繊維なので、プリプレグシートSとBMCとを同時にプレスして、BMCが展伸したときに、BMCとの摩擦によってプリプレグシートSが破れることを防止できる。また、底面部21における二層部分以外の部分は、人造大理石層のみで構成されている。なお、人造大理石製シンク20における、底面部21以外の部分も、人造大理石層のみで構成されている。
側面部22は、底面部21の周縁部からやや外部側に傾斜して広がるようにして上方に延びている。側面部22の前部と左右両側部の傾斜角度は、垂直よりも緩やかになっているが後部の傾斜角度は、前部と左右両側部に比べて大きくなって垂直に近い角度になっている。また、側面部22の後部の左右両側部分は、底面部21の後部中央で後方に突出する半円形の縁部に沿って上方に延びている。このため、側面部22の後部は湾曲した曲面状に形成されている。
そして、側面部22の後部における左右両側部分の上端近傍から屈曲して略平面からなる水栓取付部23a,23bが水平に近づくようにして後方に延びている。水栓取付部23a,23bの一方または双方の中央部には、貫通穴23cを設けることができ、この貫通穴23cを利用して、水栓13を設けることができる。本実施形態では、水栓取付部23aに水栓13を設けている。そして、側面部22と、水栓取付部23a,23bとの上端縁部から外側に向かってフランジ部25が突出している。排水部24は、下方に突出するお椀状の曲面部で構成されておりその中央(下端)に排水孔24aが形成されている。このように構成された人造大理石製シンク20の表面(上方から見える部分)は、人造大理石層で構成されており、これによって人造大理石製シンク20は美観の優れたものになっている。
この人造大理石製シンク20の左右の長さは850mm、前後の長さは590mm、高さは280mm、前部における底面部21と上端との間の高さは180mm、フランジ部25の幅は25mm、排水孔24aの直径は60mmにそれぞれ設定されている。また、底面部21の厚みは5mm、側面部22の厚みは7mm、水栓取付部23a,23bの厚みは7mm、排水部24の厚みは7mm、フランジ部25の厚みは7mmに設定されている。そして、底面部21の二層部分における人造大理石層21aの厚みは2mm、補強層21bの厚みは3mmに設定されている。
つぎに、人造大理石製シンク20の製造方法について説明する。人造大理石製シンク20は、図5に示したプレス成型金型30を用いて製造される。このプレス成型金型30には、下方に配置された固定型31と、固定型31に対して上方から進退可能になった移動型32とが備わっている。また、図示は省略するが、このプレス成型金型30には、移動型32を上下移動させる駆動装置、固定型31と移動型32とを加熱する加熱装置および固定型31と移動型32とを冷却する冷却装置も備わっている。
固定型31の上面には、人造大理石製シンク20の外面に対応する形状の凹部31aが形成され、移動型32の下面には人造大理石製シンク20の内面に対応する形状の凸部32aが形成されている。そして、移動型32を、図5の矢印で示したように下降させて固定型31に合わせたときに、凹部31aと凸部32aとの間には、人造大理石製シンク20の形状と略同じ形状の成型用凹部が形成される。なお、図5には、プレス成型金型30を簡略化した状態で示しており、成型用凹部の形状も実際の人造大理石製シンク20の形状とは多少異なっている。
このプレス成型金型30を用いて人造大理石製シンク20を製造する際には、まず、移動型32を上昇させて固定型31から離した状態で、固定型31の凹部31a内に、シンクの底面部21の排水部24が形成された部分とその後方部分とを除いた形状にカットされたプリプレグシートSを設置する。この場合、プリプレグシートSには、樹脂として、熱硬化性樹脂であるポリエステル樹脂を用いている。つぎに、凹部31a内におけるプリプレグシートSの上部に、人造大理石製シンク20における補強層21b以外の部分を成形できる量のBMCを設置する。このBMCに含まれる熱硬化性樹脂としてもポリエステル樹脂を使用する。
この場合、BMCには、ガラス短繊維を7.5重量%含ませ、プリプレグシートSには、ガラス繊維を50〜55重量%含ませておく。ついで、駆動装置を駆動させて移動型32を下降させていく。これによって、プリプレグシートSは、凹部31aの底面側で補強層を形成し、BMCは、プリプレグシートSの上部で成型用凹部全体に広がるように展伸する。これによって、BMCは、人造大理石製シンク20の形状に形成される。この場合、プレス成型金型30には、500〜600トンの荷重が負荷される。
その状態で、加熱装置を作動させて固定型31と移動型32との成型用凹凸部分を140〜150℃の温度に加熱する。この加熱によって、プリプレグシートSとBMCとの中に含まれるポリエステル樹脂が硬化し、人造大理石層と補強層との境界部分が一体化した人造大理石製シンク20を得ることができる。なお、成形終了後は、サンダー等の工具を用いて不要な部分を切削したり研磨したりする。また、水栓取付部23aの中央に貫通穴23cを設ける。そして、人造大理石製シンク20を、カウンター11の下面から接着し、貫通穴23cに水栓13を取り付け、排水孔24aに排水孔用金具(図示せず)を取り付ける。
このように、本実施形態に係る人造大理石製シンク20は、プリプレグシートSの上にBMCを設置して、プリプレグシートSとBMCとを同時にプレスすることにより形成されている。この場合、BMCが展伸することにより人造大理石製シンク20の形状になり、その底部外面に、補強層21bが形成される。このように、プリプレグシートSを用いることにより、一度のプレスで、人造大理石製シンク20の底面部21に人造大理石層21aと補強層21bとからなる二層部分を成形することができるとともに、人造大理石層と補強層との境界部分を一体化させることができる。
また、底面部21の厚みを5mmに設定して、底面部21の二層部分を構成する人造大理石層21aの厚みを2mm、補強層21bの厚みを3mmに設定している。底面部21が5mmと薄いため、底面部21の二層部分が、撓みやすくなって、使用時に人造大理石製シンク20の上方から底面部21に食器が落下しても、底面部21が撓むことによって衝撃を吸収できるので、食器が割れにくい。また、補強層の厚みが二層部分の厚みの1/2よりも厚い。
このように構成することで、人造大理石層の人造大理石層21aに作用する応力を圧縮応力にすることができるので、人造大理石層21aが割れにくくなる。また、BMCに含まれるガラス短繊維よりも、プリプレグシートSに含まれるガラス繊維の割合の方が多いため、プリプレグシートSの破断強度がBMCの破断強度よりも高くなる。このため、底面部21の厚みを薄くしても、人造大理石製シンク20の底面部21に必要な強度を確保できる。
なお、底面部21、人造大理石層21aおよび補強層21bのそれぞれの厚みは、衝撃試験、食器割れ確認試験および隠蔽性確認試験に基づいて決定したものであり、以下、その試験の結果について説明する。衝撃試験および食器割れ確認試験は、下記の表1および表2に示した実施例1〜16に係る16種類の人造大理石製シンク20についてそれぞれ行った。
Figure 0005603369
各実施例品は、それぞれ厚みを変えたもので、実施例1は、底面部21の総厚みを7mm、人造大理石層21aの厚みを6.0mm、補強層21bの厚みを1.0mmとした。実施例2〜6では、底面部21の総厚みをすべて6mmとし、人造大理石層21aの厚みを4.0〜2.0mmの範囲で0.5mmずつ減少させ、補強層21bの厚みを2.0〜4.0mmの範囲で0.5mmずつ増加させた。
実施例7〜11では、底面部21の総厚みをすべて5mmとし、人造大理石層21aの厚みを3.5〜1.5mmの範囲で0.5mmずつ減少させ、補強層21bの厚みを1.5〜3.5mmの範囲で0.5mmずつ増加させた。そして、実施例12〜16では、底面部21の総厚みをすべて4mmとし、人造大理石層21aの厚みを3.0〜1.0mmの範囲で0.5mmずつ減少させ、補強層21bの厚みを1.0〜3.0mmの範囲で0.5mmずつ増加させた。
衝撃試験は、各実施例品それぞれ3個に対して、高さを変えて1kgの重りを落下させ、シンクの断面を観察することにより、人造大理石層21aにヒビや割れが生じたか否かを確認した。この場合の落下の高さは、60,70,80cmとした。その結果、実施例12では、全ての高さで、人造大理石層21aに割れが生じた。また、実施例13では、70,80cmの高さのときに、人造大理石層21aに割れが生じたものと割れが生じないものとがあった。そして、実施例1〜11,14〜16のものについては、全て割れは生じなかった。この結果から、底面部21の総厚みと補強層21bの厚みとが薄い場合に、人造大理石層21aに割れが生じやすくなることがわかる。
また、実施例1,4,9,14の人造大理石製シンク20について、荷重を変えて破断するまでの試験を行った。その結果を、図6に示した。図6において、□で示した曲線は実施例1、○で示した曲線は実施例4、◇で示した曲線は実施例9、△で示した曲線は実施例14のそれぞれの結果である。図6に示したように、実施例4の人造大理石製シンク20が最も破断荷重が大きく、以下、実施例1、実施例9、実施例14の順に、破断荷重が小さい結果になった。この結果から、全体としては、底面部21の総厚みが薄いほど破断荷重が小さくなり、人造大理石層21aの厚みと比較して補強層21bの厚みが薄くなると破断荷重が小さくなることがわかる。
食器割れ確認試験は、各実施例品に対して、高さを変えて茶碗を落下させ、その茶碗にヒビや割れが生じたか否かを確認した。この場合の落下の高さは、10,20,30,40,50cmとした。その結果を、表2に示した。
Figure 0005603369
表2に示したように、実施例1では、10cmの高さで茶碗は破損し、実施例2〜6,10では、20cmの高さで茶碗は破損し、実施例7〜9,11では、30cmの高さで茶碗は破損した。また、実施例12,15.16では、40cmの高さで茶碗は破損し、実施例13,14では、50cmの高さで茶碗は破損した。この結果から底面部21の総厚みを薄くするほど茶碗にヒビや割れが生じ難くなることがわかる。また、この食器割れ確認試験の結果と前述した衝撃試験の結果との双方から判断すると、底面部21の総厚みを4〜5mmにし、補強層21bの厚みを底面部21の厚みの半分以上にすることが、人造大理石製シンク20と食器との双方の破断防止に好ましい。
つぎに、底面部21、人造大理石層21aおよび補強層21bのそれぞれの厚みを変えて、人造大理石層21aの表面側から補強層21bが透けて見えるか否かを目視で確認する隠蔽性の確認試験を行った。以下、その確認試験の結果について説明する。この確認試験は、下記の表3に示した実施例17〜31に係る15種類の人造大理石製シンク20についてそれぞれ行った。表3には、隠蔽性判断として、透けて見えない場合を「○」、透けて見える場合を「×」と記載している。
Figure 0005603369
実施例17〜21では、底面部21の総厚みをすべて6mmとし、人造大理石層21aの厚みを3.9〜1.8mmの範囲で少しずつ(0.4〜0.6mmの範囲)減少させ、補強層21bの厚みを2.1〜4.2mmの範囲で少しずつ(0.4〜0.6mmの範囲)増加させた。この結果、底面部21の総厚みをすべて6mmにした実施例17〜21ではすべて、補強層21bは見えなかった。
また、実施例22〜26では、底面部21の総厚みを5.0mmまたは5.1mmとし、人造大理石層21aの厚みを3.4〜1.3mmの範囲で少しずつ(0.3〜0.7mmの範囲)減少させ、補強層21bの厚みを1.6〜3.7mmの範囲で少しずつ(0.4〜0.6mmの範囲で)増加させた。この結果、人造大理石層21aの厚みが最少の1.3mmであった実施例26では、補強層21bは透けて見えたが、他の実施例22〜25では、補強層21bは見えなかった。
さらに、実施例27〜31では、底面部21の総厚みを3.6〜3.9mmに設定し、人造大理石層21aの厚みを2.7〜0.8mmの範囲で少しずつ(0.3〜0.7mmの範囲)減少させ、補強層21bの厚みを1.0〜3.0mmの範囲で少しずつ(0.3〜0.6mmの範囲で)増加させた。この結果、人造大理石層21aの厚みが最少の0.8mmであった実施例31と、人造大理石層21aの厚みが1.2mmと二番目に薄かった実施例30とでは、補強層21bは透けて見えたが、他の実施例27〜29では、補強層21bは見えなかった。
この隠蔽性の確認試験結果によると「○」の結果がでたものの中で、人造大理石層21aの厚みが最も薄かったものは、実施例29でその厚みは1.5mmであった。そして、これよりも人造大理石層21aの厚みが薄い、実施例26,30,31では、補強層21bが透けて見えた。この結果から、人造大理石製シンク20の美観を維持するためには、人造大理石層21aの厚みを1,5mm以上にすることが好ましいことが分かる。この隠蔽性の確認試験結果を、前述した食器割れ確認試験および衝撃試験の結果に加味して判断すると、底面部21の総厚みを4〜5mmにし、補強層21bの厚みを底面部21の厚みの半分以上にし、人造大理石層21aの厚みを1,5mm以上にすることにより、好適な人造大理石製シンク20を得られることが分かる。
また、本発明に係る人造大理石製シンクは、前述した実施形態に限るものでなく、本発明の技術的範囲内で適宜変更実施が可能である。例えば、前述した実施形態では、プリプレグシートSおよびBMCに含まれる樹脂を熱硬化樹脂としているが、これに代えて熱可塑性樹脂を用いてもよい。また、人造大理石製シンクの形状、大きさ、厚み等についても変更することができる。
20…人造大理石製シンク、21…底面部、21a…人造大理石層、21b…補強層、30…プレス成型金型、31…固定型、31a…凹部、32…移動型、BMC…バルクモールディングコンパウンド、S…プリプレグシート。

Claims (4)

  1. 人造大理石層と、前記人造大理石層の外面に形成された補強層とからなる二層部分を備えた人造大理石製シンクにおいて、
    前記補強層を形成するための材料として繊維に樹脂を含浸したプリプレグシートを、プレス成形型の成形凹部における前記人造大理石製シンクの底面部を形成する部分に設置して、前記プリプレグシートの上に、前記人造大理石層を形成するためのバルクモールディングコンパウンドを設置し、その状態で前記プリプレグシートと前記バルクモールディングコンパウンドとを同時にプレスして、バルクモールディングコンパウンドを展伸させることにより底面部に前記二層部分を形成し、他の部分を前記人造大理石層で構成し、さらに、前記補強層の厚みを前記二層部分の厚みの1/2よりも厚くしたことを特徴とする人造大理石製シンク。
  2. 前記二層部分の厚みを5mm以下にした請求項1に記載の人造大理石製シンク。
  3. 前記二層部分の人造大理石層の厚みを1.5mm以上2.5mm未満にした請求項1または2に記載の人造大理石製シンク。
  4. 人造大理石製シンクの形状の成形凹部を備えたプレス成形型を用いて人造大理石層と、前記人造大理石層の外面に形成された補強層とからなる二層部分を備えた人造大理石製シンクを製造する人造大理石製シンクの製造方法において、
    前記成形凹部における前記人造大理石製シンクの底面部を形成する部分に、繊維に樹脂を含浸したプリプレグシートを設置するプリプレグシート設置工程と、
    前記成形凹部における前記プリプレグシートの上に、前記人造大理石層を形成するためのバルクモールディングコンパウンドを設置するバルクモールディングコンパウンド設置工程と、
    前記プリプレグシートと前記バルクモールディングコンパウンドとを同時にプレスして、バルクモールディングコンパウンドを展伸させることにより、前記補強層の厚みが前記二層部分の厚みの1/2よりも厚くなるようにして底面部に前記二層部分を形成し、他の部分を前記人造大理石層で構成した人造大理石製シンクを成形するプレス工程と
    を備えていることを特徴とする人造大理石製シンクの製造方法。
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