JP5602349B2 - ミゾリビン及び/又はリバビリンの測定方法 - Google Patents
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Description
また、ミゾリビンについては種々のメカニズムの研究が行われている(非特許文献1)。なお、従来のミゾリビンの測定方法としては、HPLC、LC/MS/MSによる測定方法が知られている(非特許文献2)。
また、後述するが本件発明の第一の酵素の好ましい例として挙げられているBurkholderia thailandensis由来の蛋白質の情報としてその塩基配列やリボキナーゼかも知れない旨の開示がある(非特許文献5)。
[0]下記(1)の工程を含むミゾリビン及び/又はリバビリンの測定方法。
(1)ミゾリビン及び/又はリバビリンをリン酸化し得る第一の酵素の存在下、試料中に含まれている可能性のあるミゾリビン及び/又はリバビリンをリン酸化する第一の反応を含む工程。
[1]下記(1)、(2)及び(3)の各工程を含む[0]に記載のミゾリビン及び/又はリバビリンの測定方法。
(1)ミゾリビン及び/又はリバビリンをリン酸化し得る第一の酵素の存在下、試料中に含まれている可能性のあるミゾリビン及び/又はリバビリンをリン酸化する第一の反応を含む工程、
(2)上記第一の反応とは別異の反応であって以下<a>〜<c>のいずれかの第二の反応を触媒し得る第二の酵素の存在下、第二の反応を進行させるに際して、上記第一の反応の結果生じた該リン酸化ミゾリビン及び/又はリン酸化リバビリンと第二の酵素を接触させて該リン酸化ミゾリビン及び/又はリン酸化リバビリンの存在量に応じて第二の反応が阻害される工程、
<a>ミゾリビンで阻害されず、かつ、上記第一の反応により生ずるリン酸化ミゾリビンで阻害される反応
<b>リバビリンで阻害されず、かつ、上記第一の反応により生ずるリン酸化リバビリンで阻害される反応
<c>ミゾリビン及びリバビリンの両方で阻害されず、かつ、上記第一の反応により生ずるリン酸化ミゾリビン及びリン酸化リバビリンの両方で阻害される反応
(3)第二の反応の阻害程度を検出する工程。
[1−1]下記(1)、(2)及び(3)の各工程を含む[0]または[1]に記載のミゾリビン及び/又はリバビリンの測定方法。
(1)ミゾリビン及び/又はリバビリンをリン酸化し得る第一の酵素の存在下、試料中に含まれている可能性のあるミゾリビン及び/又はリバビリンをリン酸化する第一の反応を含む工程、
(2)上記第一の反応とは別異の反応であって、ミゾリビン及びリバビリンの両方で阻害されず、かつ、上記第一の反応により生ずるリン酸化ミゾリビン及びリン酸化リバビリンの両方で阻害される第二の反応を進行させるに際して、上記第一の反応の結果生じた該リン酸化ミゾリビン及び/又はリン酸化リバビリンと第二の酵素を接触させて該リン酸化ミゾリビン及び/又はリン酸化リバビリンの存在量に応じて第二の反応が阻害される工程、
(3)第二の反応の阻害程度を検出する工程。
[1−1−1]上述の(2)工程が、以下である[1−1]に記載のミゾリビン及び/又はリバビリンの測定方法。
(2)上記第一の反応とは別異の反応であって、以下<a>〜<c>のいずれかの第二の反応を触媒し得る第二の酵素、
<a>ミゾリビンで阻害されず、かつ、上記第一の反応により生ずるリン酸化ミゾリビンで阻害される反応
<b>リバビリンで阻害されず、かつ、上記第一の反応により生ずるリン酸化リバビリンで阻害される反応
<c>ミゾリビン及びリバビリンの両方で阻害されず、かつ、上記第一の反応により生ずるリン酸化ミゾリビン及びリン酸化リバビリンの両方で阻害される反応。
[1−2]第一の酵素が、〔1〕配列表配列番号1のアミノ酸配列からなり、ミゾリビン及び/又はリバビリンをリン酸化し得る酵素、〔2〕配列表配列番号1のアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、該アミノ酸配列は配列表配列番号5のアミノ酸配列及び配列表配列番号6のアミノ酸配列を含む、ミゾリビン及び/又はリバビリンをリン酸化し得る酵素、又は、〔3〕下記の<1>〜<4>の理化学的性質を有する酵素、のいずれかの酵素である[0]、[1]〜[1−1]のいずれかに記載の測定方法。
<1>作用
少なくともリン酸供与体存在下で、ミゾリビン及び/又はリバビリンをリン酸化ミゾリビン及び/又はリン酸化リバビリンとする反応を触媒する;または、
少なくともリン酸供与体存在下で、ミゾリビンをリン酸化ミゾリビンとする反応、又はリバビリンをリン酸化リバビリンとする反応の少なくともいずれかの反応を触媒する;
<2>至適pH
pH5.5〜6.5;
<3>pH安定性
37℃、3時間でpH6〜10の範囲で70%以上の活性を保持する;
<4>熱安定性
100mM リン酸カリウム緩衝液pH7.0の水溶液中、50℃、20分間の熱処理で80%以上の活性を保持する;
[1−3]第一の酵素が、配列表配列番号1のアミノ酸配列からなり、ミゾリビン及び/又はリバビリンをリン酸化し得る酵素である[0]、[1]〜[1−2]のいずれかに記載の測定方法。
[1−4]第一の酵素が、配列表配列番号1のアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、該アミノ酸配列は配列表配列番号5のアミノ酸配列及び配列表配列番号6のアミノ酸配列を含む、ミゾリビン及び/又はリバビリンをリン酸化し得る酵素、のいずれかの酵素である[0]、[1]〜[1−3]のいずれかに記載の測定方法。
[1−5]第一の酵素をコードする塩基配列が、配列表配列番号2で表される塩基配列である[0]、[1]〜[1−4]のいずれかに記載の測定方法。
[1−6]第一の酵素が、下記の<1>〜<4>の理化学的性質を有する酵素である[0]、[1]〜[1−5]のいずれかに記載の測定方法。
<1>作用
少なくともリン酸供与体存在下で、ミゾリビン及び/又はリバビリンをリン酸化ミゾリビン及び/又はリン酸化リバビリンとする反応を触媒する;または、
少なくともリン酸供与体存在下で、ミゾリビンをリン酸化ミゾリビンとする反応、又はリバビリンをリン酸化リバビリンとする反応の少なくともいずれかの反応を触媒する;
<2>至適pH
pH5.5〜6.5;
<3>pH安定性
37℃、3時間でpH6〜10の範囲で70%以上の活性を保持する;
<4>熱安定性
100mM リン酸カリウム緩衝液pH7.0の水溶液中、50℃、20分間の熱処理で80%以上の活性を保持する;
[1−7]該リン酸供与体が、ATPである[1−6]に記載の測定方法。
[1−8]第一の酵素が、Burkholderia属由来である[0]、[1]〜[1−7]のいずれかに記載の測定方法。
[1−9]第一の酵素が、Burkholderia thailandensis由来である[0]、[1]〜[1−8]のいずれかに記載の測定方法。
[1−10]第一の酵素が、Burkholderia thailandensis DSM13276株由来である[0]、[1]〜[1−9]のいずれかに記載の測定方法。
[1−11]第一の酵素の、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動法による分子量が、約34kDaである[0]、[1]〜[1−10]のいずれかに記載の測定方法。
[1−12]第二の酵素が、リン酸化ミゾリビンで阻害される、リン酸化リバビリンで阻害される、又はリン酸化ミゾリビン及びリン酸化リバビリンの両方で阻害される酵素である[0]、[1]〜[1−11]のいずれかに記載の測定方法。
[1−13]第二の酵素が、リン酸化ミゾリビン及びリン酸化リバビリンの両方で阻害される酵素である[0]、[1]〜[1−12]のいずれかに記載の測定方法。
[1−14]第二の酵素が、イノシン5’一リン酸デヒドロゲナーゼである[0]、[1]〜[1−13]のいずれかに記載の測定方法。
[1−15]第二の酵素が、《1》配列表配列番号7又は配列表配列番号9のアミノ酸配列からなり、イノシン5’一リン酸を酸化し得る酵素、《2》配列表配列番号7又は配列表配列番号9のアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、該アミノ酸配列は配列表配列番号11のアミノ酸配列及び配列表配列番号12のアミノ酸配列を含む、イノシン5’一リン酸を酸化し得る酵素、又は、《3》下記の<i>〜<v>の理化学的性質を有する酵素、のいずれかの酵素である[0]、[1]〜[1−14]のいずれかに記載の測定方法。
<i>作用
NAD(P)類とイノシン5’一リン酸に作用して、NAD(P)H類とキサントシン5’一リン酸を生ずる反応を触媒する;
<ii>至適pH
pH8〜9;
<iii>pH安定性
37℃、3時間でpH6〜11の範囲で70%以上の活性を保持する;
<iv>熱安定性
1mM DTTを含む50mMリン酸カリウム緩衝液pH7の水溶液中、60℃、30分間の熱処理で85%以上の活性を保持する;
<v>阻害作用
少なくとも、リン酸化ミゾリビン及び/又はリン酸化リバビリンで作用が阻害される;
[1−16]第二の酵素が、更に、下記の<vi>の理化学的性質を有する酵素である[0]、[1]〜[1−15]のいずれかに記載の測定方法。
<vi>分子量
SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動法による分子量が、52〜54kDa;
[1−17]第二の酵素が、配列表配列番号7又は配列表配列番号9のアミノ酸配列からなり、イノシン5’一リン酸を酸化し得る酵素である[0]、[1]〜[1−16]のいずれかに記載の測定方法。
[1−18]第二の酵素が、配列表配列番号7又は配列表配列番号9のアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、該アミノ酸配列は配列表配列番号11のアミノ酸配列及び配列表配列番号12のアミノ酸配列を含む、イノシン5’一リン酸を酸化し得る酵素である[0]、[1]〜[1−17]のいずれかに記載の測定方法。
[1−19]第二の酵素をコードする塩基配列が、配列表配列番号8又は配列表配列番号10で表される塩基配列である[0]、[1]〜[1−18]のいずれかに記載の測定方法。
[1−20]第二の酵素が、下記の<i>〜<v>の理化学的性質を有する酵素である[0]、[1]〜[1−19]のいずれかに記載の測定方法。
<i>作用
NAD(P)類とイノシン5’一リン酸に作用して、NAD(P)H類とキサントシン5’一リン酸を生ずる反応を触媒する;
<ii>至適pH
pH8〜9;
<iii>pH安定性
37℃、3時間でpH6〜11の範囲で70%以上の活性を保持する;
<iv>熱安定性
1mM DTTを含む50mMリン酸カリウム緩衝液pH7の水溶液中、60℃、30分間の熱処理で85%以上の活性を保持する;
<v>阻害作用
少なくとも、リン酸化ミゾリビン及び/又はリン酸化リバビリンで作用が阻害される;
[1−21]第二の酵素が、更に、下記の<vi>の理化学的性質を有する酵素である[0]、[1]〜[1−20]のいずれかに記載の測定方法。
<vi>分子量
SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動法による分子量が、52〜54kDa;
[1−22]第二の酵素が、Bacillus属又はOceanobacillus属由来である[0]、[1]〜[1−21]のいずれかに記載の測定方法。
[1−23]第二の酵素が、Bacillus subtilis又はOceanobacillus iheyensis由来である[0]、[1]〜[1−22]のいずれかに記載の測定方法。
[1−24]第二の酵素が、Bacillus subtilis ATCC23857株又はOceanobacillus iheyensis DSM14731株由来である[0]、[1]〜[1−23]のいずれかに記載の測定方法。
[1−25](1)の工程が、更に、リン酸供与体を含む工程である[0]、[1]〜[1−24]のいずれかに記載の測定方法。
[1−26](1)の工程が、更に、金属イオンを含む工程である[0]、[1]〜[1−25]のいずれかに記載の測定方法。
[1−27]該リン酸供与体がATPである[1−26]に記載の測定方法。
[1−28]金属イオンがマグネシウムイオン、コバルトイオン、ニッケルイオン及びマンガンイオンのうち、いずれか1つ以上である[1−27]に記載の測定方法。
[1−29](2)の工程が、更に、イノシン5’一リン酸を含む工程である[0]、[1]〜[1−28]のいずれかに記載の測定方法。
[1−30](2)の工程が、更に、NAD(P)類を含む工程である[0]、[1]〜[1−29]のいずれかに記載の測定方法。
[1−31]該リン酸化ミゾリビンとリン酸化リバビリンが、モノリン酸化ミゾリビンとモノリン酸化リバビリンである[0]、[1]〜[1−30]のいずれかに記載の測定方法。
[1−32](3)の工程における阻害程度の検出が、第二の酵素の反応速度を測定する工程である[0]、[1]〜[1−31]のいずれかに記載の測定方法。
[1−33](3)の工程における阻害程度の検出が、NAD(P)類の変化量を測定する工程である[0]、[1]〜[1−32]のいずれかに記載の測定方法。
[1−34](3)の工程における阻害程度の検出が、工程(1)及び(2)で処理した後の既知量のミゾリビン及び/又はリバビリンと、測定対象の変化量を検出して比較し、試料中に含まれている可能性のあるミゾリビン及び/又はリバビリンを定量する工程である[0]、[1]〜[1−33]のいずれかに記載の測定方法。
[2]下記(1)、(2)及び(3)の各工程を含むミゾリビンの測定方法。
(1)ミゾリビンをリン酸化し得る酵素の存在下、試料中に含まれている可能性のあるミゾリビンをリン酸化する第一の反応を含む工程、
(2)上記第一の反応とは別異の反応であって、ミゾリビンで阻害されず、かつ、上記第一の反応により生ずるリン酸化ミゾリビンで阻害される反応である該第二の反応を触媒し得る第二の酵素の存在下、第二の反応を進行させるに際して、上記第一の反応の結果生じた該リン酸化ミゾリビンと第二の酵素を接触させて該リン酸化ミゾリビンの存在量に応じて第二の反応が阻害される工程、
(3)第二の反応の阻害程度を検出する工程。
[2−1]上記[0]、[1]〜[1−34]に記載の少なくともいずれか1つの特徴を有する上記[2]に記載のミゾリビンの測定方法。
[3]下記(1)、(2)及び(3)の各工程を含むリバビリンの測定方法。
(1)リバビリンをリン酸化し得る第一の酵素の存在下、試料中に含まれている可能性のあるリバビリンをリン酸化する第一の反応を含む工程、
(2)上記第一の反応とは別異の反応であって、リバビリンで阻害されず、かつ、上記第一の反応により生ずるリン酸化リバビリンで阻害される反応である該第二の反応を触媒し得る第二の酵素の存在下、第二の反応を進行させるに際して、上記第一の反応の結果生じた該リン酸化リバビリンと第二の酵素を接触させて該リン酸化リバビリンの存在量に応じて第二の反応が阻害せしめられる工程、
(3)第二の反応の阻害程度を検出する工程。
[3−1]上記[0]、[1]〜[1−34]に記載の少なくともいずれか1つの特徴を有する上記[3]に記載のリバビリンの測定方法。
[4]下記(a)〜(c)の各工程を含むミゾリビン及び/又はリバビリンの測定方法。
(a)下記〔1〕〜〔3〕のいずれかの酵素と、ATPの存在下、試料中に含まれている可能性のあるミゾリビン及び/又はリバビリンをリン酸化ミゾリビン及び/又はリン酸化リバビリンとADPとする反応Iを含む工程、
〔1〕配列表配列番号1のアミノ酸配列からなり、ミゾリビン及び/又はリバビリンをリン酸化し得る酵素、
〔2〕配列表配列番号1のアミノ酸配列において、1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、該アミノ酸配列は配列表配列番号5のアミノ酸配列及び配列表配列番号6のアミノ酸配列を含む、ミゾリビン及び/又はリバビリンをリン酸化し得る酵素、
〔3〕下記の<1>〜<4>の理化学的性質を有する酵素、
<1>作用
少なくともATP存在下で、ミゾリビン及び/又はリバビリンをリン酸化ミゾリビン及び/又はリン酸化リバビリンとADPとする反応を触媒する;または、
少なくともATP存在下で、ミゾリビンをリン酸化ミゾリビンとする反応、又はリバビリンをリン酸化リバビリンとする反応の少なくともいずれかの反応を触媒する;
<2>至適pH
pH5.5〜6.5;
<3>pH安定性
37℃、3時間でpH6〜10の範囲で70%以上の活性を保持する;
<4>熱安定性
100mM リン酸カリウム緩衝液pH7.0の水溶液中、50℃、20分間の熱処理で80%以上の活性を保持する;
(b)上記反応Iとは別異の反応II又は複数の反応IIを触媒する酵素B又は複数の酵素Bの存在下、上記反応Iにより生ずるADPの量に応じて反応IIにより生じる測定対象の変化を生じさせる工程、
(c)該測定対象の変化量を検出し、試料中に含まれている可能性のあるミゾリビン及び/又はリバビリンの量を測定する工程、
[4−1]該リン酸化ミゾリビン及び/又はリン酸化リバビリンが、モノリン酸化ミゾリビン及び/又はモノリン酸化リバビリンである[4]に記載のミゾリビン及び/又はリバビリンの測定方法。
[4−2](a)工程における該酵素が、配列表配列番号1に記載のアミノ酸配列からなる酵素である[4]〜[4−1]のいずれかに記載のミゾリビン及び/又はリバビリンの測定方法。
[4−3](a)工程における該酵素が、配列表配列番号1のアミノ酸配列における1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなる酵素である[4]〜[4−2]のいずれかに記載のミゾリビン及び/又はリバビリンの測定方法。
[4−4](a)工程における該酵素が、配列表配列番号1のアミノ酸配列において、1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、該アミノ酸配列は配列表配列番号5のアミノ酸配列及び配列表配列番号6のアミノ酸配列を含む、ミゾリビン及び/又はリバビリンをリン酸化し得る酵素である[4]〜[4−3]のいずれかに記載のミゾリビン及び/又はリバビリンの測定方法。
[4−5](a)工程における該酵素が、下記の<1>〜<4>の理化学的性質を有する酵素である[4]〜[4−4]のいずれかに記載のミゾリビン及び/又はリバビリンの測定方法。
<1>作用
少なくともATP存在下で、ミゾリビン及び/又はリバビリンをリン酸化ミゾリビン及び/又はリン酸化リバビリンとADPとする反応を触媒する;または、
少なくともATP存在下で、ミゾリビンをリン酸化ミゾリビンとする反応、又はリバビリンをリン酸化リバビリンとする反応の少なくともいずれかの反応を触媒する;
<2>至適pH
pH5.5〜6.5;
<3>pH安定性
37℃、3時間でpH6〜10の範囲で70%以上の活性を保持する;
<4>熱安定性
100mM リン酸カリウム緩衝液pH7.0の水溶液中、50℃、20分間の熱処理で80%以上の活性を保持する;
[4−6](a)工程における該酵素が、Burkholderia thailandensis由来である[4]〜[4−5]のいずれかに記載のミゾリビン及び/又はリバビリンの測定方法。
[4−7](a)工程における該酵素が、Burkholderia thailandensis DSM13276株由来である[4]〜[4−6]のいずれかに記載のミゾリビン及び/又はリバビリンの測定方法。
[4−8](a)工程における該酵素が、少なくともマグネシウムイオン、コバルトイオン、ニッケルイオン又はマンガンイオンを利用する[4]〜[4−7]のいずれかに記載のミゾリビン及び/又はリバビリンの測定方法。
[4−9](b)工程において、(b−1)ADP依存性ヘキソキナーゼの存在下、該反応IIがグルコースとADPをグルコース−6−リン酸とAMPとする反応と、(b−2)グルコース−6−リン酸脱水素酵素の存在下、NAD(P)類及び前記反応により生ずるグルコース−6−リン酸を、NAD(P)H類とグルクノラクトン−6−リン酸とする反応を含み、上記反応Iにより生ずるADPの量に応じてNAD(P)H類が増加しており、(c)工程において、NAD(P)H類の増加量を検出する工程、である[4]〜[4−8]のいずれかに記載のミゾリビン及び/又はリバビリンの測定方法。
[4−10](b)工程において、(b−1)ピルビン酸キナーゼの存在下、ADPとホスソエノールピルビン酸(本明細書ではPEPと記載する場合がある)をATPとピルビン酸に変化させる反応と、(b−2)乳酸脱水素酵素の存在下、NAD(P)H類及び前記の反応により生ずるピルビン酸を、NAD(P)類と乳酸とする反応を含み、上記反応Iにより生ずるADPの量に応じてNAD(P)H類が減少しており、(c)工程において、NAD(P)H類の減少量を検出する工程、である[4]〜[4−9]のいずれかに記載のミゾリビン及び/又はリバビリンの測定方法。
[4−11](b)工程において、(b−1)ピルビン酸キナーゼの存在下、ADPとPEPをピルビン酸とATPに変化させる反応と、(b−2)ピルビン酸オキシダーゼの存在下、酸素、リン酸及び前記の反応により生ずるピルビン酸を、過酸化水素とアセチルリン酸とする反応を含み、上記反応Iにより生ずるADPの量に応じて過酸化水素が増加しており、(c)工程において、過酸化水素の量を過酸化水素指示薬等で検出する工程、である[4]〜[4−10]のいずれかに記載のミゾリビン及び/又はリバビリンの測定方法。
[4−12](c)工程における変化量の検出が、工程(a)及び(b)で処理した後の既知量の該ミゾリビン及び/又はリバビリンと、測定対象の変化量を検出して比較し、試料中に含まれている可能性のあるミゾリビン及び/又はリバビリンを定量する工程である[4]〜[4−11]のいずれかのミゾリビン及び/又はリバビリンの測定方法。
[4−13]該酵素の、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動法による分子量が、約34kDaである[4]〜[4−12]のいずれかのミゾリビン及び/又はリバビリンの測定方法。
[5]下記(a)〜(c)の各工程を含むミゾリビンの測定方法。
(a)下記〔1〕〜〔3〕のいずれかの酵素と、ATPの存在下、試料中に含まれている可能性のあるミゾリビンをリン酸化ミゾリビンとADPとする反応Iを含む工程、
〔1〕配列表配列番号1のアミノ酸配列からなり、ミゾリビンをリン酸化し得る酵素、
〔2〕配列表配列番号1のアミノ酸配列において、1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、該アミノ酸配列は配列表配列番号5のアミノ酸配列及び配列表配列番号6のアミノ酸配列を含む、ミゾリビンをリン酸化し得る酵素、
〔3〕下記の<1>〜<4>の理化学的性質を有する酵素、
<1>作用
少なくともATP存在下で、ミゾリビンをリン酸化ミゾリビンとADPとする反応を触媒する;
<2>至適pH
pH5.5〜6.5;
<3>pH安定性
37℃、3時間でpH6〜10の範囲で70%以上の活性を保持する;
<4>熱安定性
100mM リン酸カリウム緩衝液pH7.0の水溶液中、50℃、20分間の熱処理で80%以上の活性を保持する;
(b)上記反応Iとは別異の反応II又は複数の反応IIを触媒する酵素B又は複数の酵素Bの存在下、上記反応Iにより生ずるADPの量に応じて反応IIにより生じる測定対象の変化を生じさせる工程、
(c)該測定対象の変化量を検出し、試料中に含まれている可能性のあるミゾリビンの量を測定する工程、
[5−1]上記[4]〜[4−13]に記載の少なくともいずれか1つの特徴を有する上記[5]に記載の測定方法。
[6]下記(a)〜(c)の各工程を含むリバビリンの測定方法。
(a)下記〔1〕〜〔3〕のいずれかの酵素と、ATPの存在下、試料中に含まれている可能性のあるリバビリンをリン酸化リバビリンとADPとする反応Iを含む工程、
〔1〕配列表配列番号1のアミノ酸配列からなり、リバビリンをリン酸化し得る酵素、
〔2〕配列表配列番号1のアミノ酸配列において、1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、該アミノ酸配列は配列表配列番号5のアミノ酸配列及び配列表配列番号6のアミノ酸配列を含む、リバビリンをリン酸化し得る酵素、
〔3〕下記の<1>〜<4>の理化学的性質を有する酵素、
<1>作用
少なくともATP存在下で、リバビリンをリン酸化リバビリンとADPとする反応を触媒する;
<2>至適pH
pH5.5〜6.5;
<3>pH安定性
37℃、3時間でpH6〜10の範囲で70%以上の活性を保持する;
<4>熱安定性
100mM リン酸カリウム緩衝液pH7.0の水溶液中、50℃、20分間の熱処理で80%以上の活性を保持する;
(b)上記反応Iとは別異の反応II又は複数の反応IIを触媒する酵素B又は複数の酵素Bの存在下、上記反応Iにより生ずるADPの量に応じて反応IIにより生じる測定対象の変化を生じさせる工程、
(c)該測定対象の変化量を検出し、試料中に含まれている可能性のあるリバビリンの量を測定する工程、
[6−1]上記[4]〜[4−13]に記載の少なくともいずれか1つの特徴を有する上記[6]に記載の測定方法。
[7]下記〔1〕〜〔3〕のいずれかの酵素を用いる、ミゾリビン及び/又はリバビリンのリン酸化方法。
〔1〕配列表配列番号1のアミノ酸配列からなり、ミゾリビン及び/又はリバビリンをリン酸化し得る酵素、
〔2〕配列表配列番号1のアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、該アミノ酸配列は配列表配列番号5のアミノ酸配列及び配列表配列番号6のアミノ酸配列を含む、ミゾリビン及び/又はリバビリンをリン酸化し得る酵素、
〔3〕下記の<1>〜<4>の理化学的性質を有する酵素、
<1>作用
少なくともリン酸供与体存在下で、ミゾリビン及び/又はリバビリンをリン酸化ミゾリビン及び/又はリン酸化リバビリンとする反応を触媒する;または、
少なくともリン酸供与体存在下で、ミゾリビンをリン酸化ミゾリビンとする反応、又はリバビリンをリン酸化リバビリンとする反応の少なくともいずれかの反応を触媒する;
<2>至適pH
pH5.5〜6.5;
<3>pH安定性
37℃、3時間でpH6〜10の範囲で70%以上の活性を保持する;
<4>熱安定性
100mM リン酸カリウム緩衝液pH7.0の水溶液中、50℃、20分間の熱処理で80%以上の活性を保持する;
[7−1]該リン酸供与体がATPである[7]に記載のリン酸化方法。
[7−2]該リン酸化ミゾリビン及び/又はリン酸化リバビリンが、モノリン酸化ミゾリビン及び/又はモノリン酸化リバビリンである、[7]〜[7−1]のいずれかに記載のリン酸化方法。
[7−3]ミゾリビン及び/又はリバビリンをリン酸化し得る酵素のSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動法による分子量が約34kDaである、[7]〜[7−2]のいずれかに記載のリン酸化方法。
[7−4]配列表配列番号1に記載のアミノ酸配列からなる酵素を用いる、[7]〜[7−3]のいずれかに記載のリン酸化方法。
[7−5]配列表配列番号1のアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、該アミノ酸配列は配列表配列番号5のアミノ酸配列及び配列表配列番号6のアミノ酸配列を含む、ミゾリビン及び/又はリバビリンをリン酸化し得る酵素を用いる、[7]〜[7−4]のいずれかに記載のリン酸化方法。
[7−6]該酵素をコードする塩基配列が、配列表配列番号2で表される塩基配列である[7]〜[7−5]のいずれかに記載のリン酸化方法。
[7−7]下記の<1>〜<4>の理化学的性質を有する酵素を用いる、[7]〜[7−6]のいずれかに記載のリン酸化方法。
<1>作用
少なくともリン酸供与体存在下で、ミゾリビン及び/又はリバビリンをリン酸化ミゾリビン及び/又はリン酸化リバビリンとする反応を触媒する;
<2>至適pH
pH5.5〜6.5;
<3>pH安定性
37℃、3時間でpH6〜10の範囲で70%以上の活性を保持する;
<4>熱安定性
100mM リン酸カリウム緩衝液pH7.0の水溶液中、50℃、20分間の熱処理で80%以上の活性を保持する;
[7−8]該リン酸供与体が、ATPである[7−7]に記載のリン酸化方法。
[7−9]該蛋白質の、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動法による分子量が、約34kDaである[7]〜[7−8]のいずれかに記載のリン酸化方法。
[7−10]該酵素が、Burkholderia属由来である[7]〜[7−9]のいずれかに記載のリン酸化方法。
[7−11]該酵素が、Burkholderia thailandensis由来である[7]〜[7−10]のいずれかに記載のリン酸化方法。
[7−12]該酵素が、Burkholderia thailandensis DSM13276株由来である[7]〜[7−11]のいずれかに記載のリン酸化方法。
[8]下記〔1〕〜〔3〕のいずれかの酵素を用いる、ミゾリビンのリン酸化方法。
〔1〕配列表配列番号1のアミノ酸配列からなり、ミゾリビンをリン酸化し得る酵素、
〔2〕配列表配列番号1のアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、該アミノ酸配列は配列表配列番号5のアミノ酸配列及び配列表配列番号6のアミノ酸配列を含む、ミゾリビンをリン酸化し得る酵素、
〔3〕下記の<1>〜<4>の理化学的性質を有する酵素、
<1>作用
少なくともリン酸供与体存在下で、ミゾリビンをリン酸化ミゾリビンとする反応を触媒する;
<2>至適pH
pH5.5〜6.5;
<3>pH安定性
37℃、3時間でpH6〜10の範囲で70%以上の活性を保持する;
<4>熱安定性
100mM リン酸カリウム緩衝液pH7.0の水溶液中、50℃、20分間の熱処理で80%以上の活性を保持する;
[8−1]上記[7]〜[7−12]に記載の少なくともいずれか1つの特徴を有する上記[8]に記載のミゾリビンのリン酸化方法。
[9]下記〔1〕〜〔3〕のいずれかの酵素を用いる、リバビリンのリン酸化方法。
〔1〕配列表配列番号1のアミノ酸配列からなり、リバビリンをリン酸化し得る酵素、
〔2〕配列表配列番号1のアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、該アミノ酸配列は配列表配列番号5のアミノ酸配列及び配列表配列番号6のアミノ酸配列を含む、リバビリンをリン酸化し得る酵素、
〔3〕下記の<1>〜<4>の理化学的性質を有する酵素、
<1>作用
少なくともリン酸供与体存在下で、リバビリンをリン酸化リバビリンとする反応を触媒する;
<2>至適pH
pH5.5〜6.5;
<3>pH安定性
37℃、3時間でpH6〜10の範囲で70%以上の活性を保持する;
<4>熱安定性
100mM リン酸カリウム緩衝液pH7.0の水溶液中、50℃、20分間の熱処理で80%以上の活性を保持する;
[9−1]上記[7]〜[7−12]に記載の少なくともいずれか1つの特徴を有する上記[9]に記載のリバビリンのリン酸化方法。
[10]下記〔1〕〜〔3〕のいずれかの酵素を用いる、ミゾリビン及び/又はリバビリンをリン酸化ミゾリビン及び/又はリン酸化リバビリンとするリン酸化ミゾリビン及び/又はリン酸化リバビリンの製造方法。
〔1〕配列表配列番号1のアミノ酸配列からなり、ミゾリビン及び/又はリバビリンをリン酸化し得る酵素、
〔2〕配列表配列番号1のアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、該アミノ酸配列は配列表配列番号5のアミノ酸配列及び配列表配列番号6のアミノ酸配列を含む、ミゾリビン及び/又はリバビリンをリン酸化し得る酵素、
〔3〕下記の<1>〜<4>の理化学的性質を有する酵素、
<1>作用
少なくともリン酸供与体存在下で、ミゾリビン及び/又はリバビリンをリン酸化ミゾリビン及び/又はリン酸化リバビリンとする反応を触媒する;または、
少なくともリン酸供与体存在下で、ミゾリビンをリン酸化ミゾリビンとする反応、又はリバビリンをリン酸化リバビリンとする反応の少なくともいずれかの反応を触媒する;
<2>至適pH
pH5.5〜6.5;
<3>pH安定性
37℃、3時間でpH6〜10の範囲で70%以上の活性を保持する;
<4>熱安定性
100mM リン酸カリウム緩衝液pH7.0の水溶液中、50℃、20分間の熱処理で80%以上の活性を保持する;
[10−1]上記[7]〜[7−12]に記載の少なくともいずれか1つの特徴を有する上記[10]に記載の製造方法。
[11]下記〔1〕〜〔3〕のいずれかの酵素を用いる、ミゾリビンをリン酸化ミゾリビンとするリン酸化ミゾリビンの製造方法。
〔1〕配列表配列番号1のアミノ酸配列からなり、ミゾリビンをリン酸化し得る酵素、
〔2〕配列表配列番号1のアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、該アミノ酸配列は配列表配列番号5のアミノ酸配列及び配列表配列番号6のアミノ酸配列を含む、ミゾリビンをリン酸化し得る酵素、
〔3〕下記の<1>〜<4>の理化学的性質を有する酵素、
<1>作用
少なくともリン酸供与体存在下で、ミゾリビンをリン酸化ミゾリビンとする反応を触媒する;
<2>至適pH
pH5.5〜6.5;
<3>pH安定性
37℃、3時間でpH6〜10の範囲で70%以上の活性を保持する;
<4>熱安定性
100mM リン酸カリウム緩衝液pH7.0の水溶液中、50℃、20分間の熱処理で80%以上の活性を保持する;
[11−1]上記[7]〜[7−12]に記載の少なくともいずれか1つの特徴を有する上記[11]に記載の製造方法。
[12]下記〔1〕〜〔3〕のいずれかの酵素を用いる、リバビリンをリン酸化リバビリンとするリン酸化リバビリンの製造方法。
〔1〕配列表配列番号1のアミノ酸配列からなり、リバビリンをリン酸化し得る酵素、
〔2〕配列表配列番号1のアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、該アミノ酸配列は配列表配列番号5のアミノ酸配列及び配列表配列番号6のアミノ酸配列を含む、リバビリンをリン酸化し得る酵素、
〔3〕下記の<1>〜<4>の理化学的性質を有する酵素、
<1>作用
少なくともリン酸供与体存在下で、リバビリンをリン酸化リバビリンとする反応を触媒する;
<2>至適pH
pH5.5〜6.5;
<3>pH安定性
37℃、3時間でpH6〜10の範囲で70%以上の活性を保持する;
<4>熱安定性
100mM リン酸カリウム緩衝液pH7.0の水溶液中、50℃、20分間の熱処理で80%以上の活性を保持する;
[12−1]上記[7]〜[7−12]に記載の少なくともいずれか1つの特徴を有する上記[12]に記載の製造方法。
[13]下記の成分を含む組成物。
(A1)ミゾリビン及び/又はリバビリンをリン酸化する第一の反応を触媒し得る第一の酵素
(A2)リン酸供与体
(A3)金属イオン
(A4−1)上記第一の反応とは別異の反応であって以下<a>〜<c>のいずれかの第二の反応を触媒し得る第二の酵素、
<a>ミゾリビンで阻害されず、かつ、上記第一の反応により生ずるリン酸化ミゾリビンで阻害される反応
<b>リバビリンで阻害されず、かつ、上記第一の反応により生ずるリン酸化リバビリンで阻害される反応
<c>ミゾリビン及びリバビリンの両方で阻害されず、かつ、上記第一の反応により生ずるリン酸化ミゾリビン及びリン酸化リバビリンの両方で阻害される反応
(A4−2)イノシン5’一リン酸、及び
(A4−3)NAD(P)類。
[13−0−1]ミゾリビン及び/又はリバビリン測定用である[13]に記載の組成物。
[13−0−2]下記の(A)と(B)を含むミゾリビン及び/又はリバビリン測定用の組成物。
(A)少なくとも以下の(A1)〜(A4)を含む第1の試薬。
(A1)有効量のミゾリビン及び/又はリバビリンをリン酸化する第一の反応を触媒し得る第一の酵素
(A2)リン酸供与体
(A3)金属イオン
(A4)第一の反応とは別異の第二の反応を触媒し有効量のリン酸化ミゾリビン及び/又はリン酸化リバビリンで阻害される第二の酵素、イノシン5’一リン酸及びNAD(P)類のうちいずれか1つ又は2つの成分
(B)少なくとも有効量のリン酸化ミゾリビン及び/又はリン酸化リバビリンで阻害される第二の酵素、イノシン5’一リン酸、及びNAD(P)類のうち、第1の試薬には含まれない成分を含む第2の試薬。
[13−0−3]下記の成分を含むミゾリビン測定用の組成物である[13]に記載の組成物。
(A1)ミゾリビンをリン酸化する第一の反応を触媒し得る第一の酵素
(A2)リン酸供与体
(A3)金属イオン
(A4−1)上記第一の反応とは別異の第二の反応を触媒し、ミゾリビンには阻害されず、リン酸化ミゾリビンで阻害される第二の酵素
(A4−2)イノシン5’一リン酸、及び、
(A4−3)NAD(P)類。
[13−0−4]下記の成分を含むリバビリン測定用の組成物である[13]に記載の組成物。
(A1)リバビリンをリン酸化する第一の反応を触媒し得る第一の酵素
(A2)リン酸供与体
(A3)金属イオン
(A4−1)上記第一の反応とは別異の第二の反応を触媒し、リバビリンには阻害されず、リン酸化リバビリンで阻害される第二の酵素
(A4−2)イノシン5’一リン酸、及び
(A4−3)NAD(P)類。
[13−0−5]下記の成分を含むリン酸化ミゾリビン測定用の組成物である[13]に記載の組成物。
(A4−1)上記第一の反応とは別異の第二の反応を触媒し、リン酸化ミゾリビンで阻害される第二の酵素
(A4−2)イノシン5’一リン酸、及び、
(A4−3)NAD(P)類。
[13−0−6]下記の成分を含むリン酸化リバビリン測定用の組成物である[13]に記載の組成物。
(A4−1)上記第一の反応とは別異の第二の反応を触媒し、リン酸化リバビリンで阻害される第二の酵素
(A4−2)イノシン5’一リン酸、及び
(A4−3)NAD(P)類。
[13−0−7]該測定用の組成物において、下記の3成分のうち、いずれかひとつ以上が測定直前に合一される[13]〜[13−0−6]のいずれかに記載の組成物。
(A4−1)第二の酵素、
(A4−2)イノシン5’一リン酸、及び
(A4−3)NAD(P)類。
[13−1]該リン酸供与体がATPである[13]に記載の組成物。
[13−2]金属イオンがマグネシウムイオン、コバルトイオン、ニッケルイオン及びマンガンイオンのうちいずれか1つ以上である[13]〜[13−1]に記載の組成物。
[13−3]下記の(A)と(B)を含むミゾリビン及び/又はリバビリン測定用の組成物。
(A)少なくとも以下の(A1)〜(A4)を含む第1の試薬。
(A1)有効量のミゾリビン及び/又はリバビリンをリン酸化し得る第一の酵素
(A2)リン酸供与体
(A3)金属イオン
(A4)有効量のリン酸化ミゾリビン及び/又はリン酸化リバビリンで阻害される第二の酵素、及びNAD(P)類を含む第1の試薬
(B)少なくとも有効量のイノシン5’一リン酸を含む第2の試薬。
[13−4]該リン酸供与体がATPである[13−3]に記載の組成物。
[13−5]金属イオンがマグネシウムイオン、コバルトイオン、ニッケルイオン及びマンガンイオンのうちいずれか1つ以上である[13−3]〜[13−4]のいずれに記載の組成物。
[13−6]更に下記(C)を含む[13]〜[13−5]のいずれかに記載の組成物。
(C)少なくとも既知量のミゾリビン及び/又はリバビリンを含むキャリブレーション試薬。
[13−7]第一の酵素が、〔1〕配列表配列番号1のアミノ酸配列からなる酵素、〔2〕配列表配列番号1のアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、該アミノ酸配列は配列表配列番号5のアミノ酸配列及び配列表配列番号6のアミノ酸配列を含む酵素、又は、〔3〕下記の<1>〜<4>の理化学的性質を有する酵素、のいずれかである[13]〜[13−6]のいずれかに記載の組成物。
<1>作用
少なくともリン酸供与体存在下で、ミゾリビン及び/又はリバビリンをリン酸化ミゾリビン及び/又はリン酸化リバビリンとする反応を触媒する;または、
少なくともリン酸供与体存在下で、ミゾリビンをリン酸化ミゾリビンとする反応、又はリバビリンをリン酸化リバビリンとする反応の少なくともいずれかの反応を触媒する;
<2>至適pH
pH5.5〜6.5;
<3>pH安定性
37℃、3時間でpH6〜10の範囲で70%以上の活性を保持する;
<4>熱安定性
100mM リン酸カリウム緩衝液pH7.0の水溶液中、50℃、20分間の熱処理で80%以上の活性を保持する;
[13−8]第一の酵素が、配列表配列番号1のアミノ酸配列からなる酵素である[13]〜[13−7]のいずれかに記載の組成物。
[13−9]第一の酵素が、配列表配列番号1のアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、該アミノ酸配列は配列表配列番号5のアミノ酸配列及び配列表配列番号6のアミノ酸配列を含む酵素である[13]〜[13−8]のいずれかに記載の組成物。
[13−10]第一の酵素をコードする塩基配列が、配列表配列番号2で表される塩基配列である[13]〜[13−9]のいずれかに記載の組成物。
[13−11]第一の酵素が下記の<1>〜<4>の理化学的性質を有する酵素である、[13]〜[13−10]のいずれかに記載の組成物。
<1>作用
少なくともリン酸供与体存在下で、ミゾリビン及び/又はリバビリンをリン酸化ミゾリビン及び/又はリン酸化リバビリンとする反応を触媒する;または、
少なくともリン酸供与体存在下で、ミゾリビンをリン酸化ミゾリビンとする反応、又はリバビリンをリン酸化リバビリンとする反応の少なくともいずれかの反応を触媒する;
<2>至適pH
pH5.5〜6.5;
<3>pH安定性
37℃、3時間でpH6〜10の範囲で70%以上の活性を保持する;
<4>熱安定性
100mM リン酸カリウム緩衝液pH7.0の水溶液中、50℃、20分間の熱処理で80%以上の活性を保持する;
[13−12]該リン酸供与体が、ATPである[13−11]に記載の組成物。
[13−13]該リン酸化ミゾリビンとリン酸化リバビリンが、モノリン酸化ミゾリビンとモノリン酸化リバビリンである[13−11]〜[13−12]のいずれかに記載の組成物。
[13−14]第一の酵素が、Burkholderia属由来である[13]〜[13−13]のいずれかに記載の組成物。
[13−15]第一の酵素が、Burkholderia thailandensis由来である[13]〜[13−14]のいずれかに記載の組成物。
[13−16]第一の酵素が、Burkholderia thailandensis DSM13276株由来である[13]〜[13−15]のいずれかに記載の組成物。
[13−17]第二の酵素が、リン酸化ミゾリビンで阻害される、リン酸化リバビリンで阻害される、又はリン酸化ミゾリビン及びリン酸化リバビリンの両方で阻害される酵素である[13]〜[13−16]のいずれかに記載の組成物。
[13−18]第二の酵素が、リン酸化ミゾリビン及びリン酸化リバビリンの両方で阻害される酵素である[13]〜[13−17]のいずれかに記載の組成物。
[13−19]第二の酵素が、イノシン5’一リン酸デヒドロゲナーゼである[13]〜[13−18]のいずれかに記載の組成物。
[13−20]第二の酵素が、《1》配列表配列番号7又は配列表配列番号9のアミノ酸配列からなり、イノシン5’一リン酸を酸化し得る酵素、《2》配列表配列番号7又は配列表配列番号9のアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、該アミノ酸配列は配列表配列番号11のアミノ酸配列及び配列表配列番号12のアミノ酸配列を含む、イノシン5’一リン酸を酸化し得る酵素、又は、《3》下記の<i>〜<v>の理化学的性質を有する酵素、のいずれかの酵素である[13]〜[13−19]のいずれかに記載の組成物。
<i>作用
NAD(P)類とイノシン5’一リン酸に作用して、NAD(P)H類とキサントシン5’一リン酸を生ずる反応を触媒する;
<ii>至適pH
pH8〜9;
<iii>pH安定性
37℃、3時間でpH6〜11の範囲で70%以上の活性を保持する;
<iv>熱安定性
1mM DTTを含む50mMリン酸カリウム緩衝液pH7の水溶液中、60℃、30分間の熱処理で85%以上の活性を保持する;
<v>阻害作用
少なくとも、リン酸化ミゾリビン及び/又はリン酸化リバビリンで作用が阻害される;
[13−21]第二の酵素が、更に、下記の<vi>の理化学的性質を有する酵素である[13]〜[13−20]のいずれかに記載の組成物。
<vi>分子量
SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動法による分子量が、52〜54kDa;
[13−22]第二の酵素が、配列表配列番号7又は配列表配列番号9のアミノ酸配列からなり、イノシン5’一リン酸を酸化し得る酵素である[13]〜[13−21]のいずれかに記載の組成物。
[13−23]第二の酵素が、配列表配列番号7又は配列表配列番号9のアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、該アミノ酸配列は配列表配列番号11のアミノ酸配列及び配列表配列番号12のアミノ酸配列を含む、イノシン5’一リン酸を酸化し得る酵素である[13]〜[13−22]のいずれかに記載の組成物。
[13−24]第二の酵素をコードする塩基配列が、配列表配列番号8又は配列表配列番号10で表される塩基配列である[13]〜[13−23]のいずれかに記載の組成物。
[13−25]第二の酵素が、下記の<i>〜<v>の理化学的性質を有する酵素である[13]〜[13−24]のいずれかに記載の組成物。
<i>作用
NAD(P)類とイノシン5’一リン酸に作用して、NAD(P)H類とキサントシン5’一リン酸を生ずる反応を触媒する;
<ii>至適pH
pH8〜9;
<iii>pH安定性
37℃、3時間でpH6〜11の範囲で70%以上の活性を保持する;
<iv>熱安定性
1mM DTTを含む50mMリン酸カリウム緩衝液pH7の水溶液中、60℃、30分間の熱処理で85%以上の活性を保持する;
<v>阻害作用
少なくとも、リン酸化ミゾリビン及び/又はリン酸化リバビリンで作用が阻害される;
[13−26]第二の酵素が、更に、下記の<vi>の理化学的性質を有する酵素である[13]〜[13−25]のいずれかに記載の組成物。
<vi>分子量
SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動法による分子量が、52〜54kDa;
[13−27]第二の酵素が、Bacillus属又はOceanobacillus属由来である[13]〜[13−26]のいずれかに記載の組成物。
[13−28]第二の酵素が、Bacillus subtilis又はOceanobacillus iheyensis由来である[13]〜[13−27]のいずれかに記載の組成物。
[13−29]第二の酵素が、Bacillus subtilis ATCC23857株又はOceanobacillus iheyensis DSM14731株由来である[13]〜[13−28]のいずれかに記載の組成物。
[14]以下の〔1〕〜〔3〕のいずれかの酵素の製造方法であって、
該酵素をコードする塩基配列に基づき該酵素を形成する工程と、該酵素を取得する工程を含む該酵素の製造方法。
〔1〕配列表配列番号1のアミノ酸配列からなり、ミゾリビン及び/又はリバビリンをリン酸化し得る酵素
〔2〕配列表配列番号1のアミノ酸配列において、1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、該アミノ酸配列は配列表配列番号5のアミノ酸配列及び配列表配列番号6のアミノ酸配列を含む、ミゾリビン及び/又はリバビリンをリン酸化し得る酵素
〔3〕下記の<1>〜<4>の理化学的性質を有する酵素。
<1>作用
少なくともリン酸供与体存在下で、ミゾリビン及び/又はリバビリンをリン酸化ミゾリビン及び/又はリン酸化リバビリンとする反応を触媒する;または、
少なくともリン酸供与体存在下で、ミゾリビンをリン酸化ミゾリビンとする反応、又はリバビリンをリン酸化リバビリンとする反応の少なくともいずれかの反応を触媒する;
<2>至適pH
pH5.5〜6.5;
<3>pH安定性
37℃、3時間でpH6〜10の範囲で70%以上の活性を保持する;
<4>熱安定性
100mM リン酸カリウム緩衝液pH7.0の水溶液中、50℃、20分間の熱処理で80%以上の活性を保持する;
[14−1]該酵素を形成させる工程が、該酵素をコードする塩基配列を含む細胞を用いることを含む[14]に記載の製造方法。
[14−2]該酵素を形成させる工程が、該酵素をコードする塩基配列を導入した形質転換体を用いることを含む[14]〜[14−1]のいずれかに記載の製造方法。
[14−3]該酵素を形成させる工程が、該酵素をコードする塩基配列を有する微生物を用いることを含む[14]〜[14−2]のいずれかに記載の製造方法。
[15]該酵素を形成させる工程が、Burkholderia属に属し、且つ、ミゾリビン及び/又はリバビリンをリン酸化ミゾリビン及び/又はリン酸化リバビリンとする反応を触媒し得る酵素を産生する微生物を用いることを含む[14]〜[14−3]のいずれかに記載の製造方法。
[15−1]該酵素を形成させる工程が、Burkholderia thailandensisを用いることを含む[14]〜[15]のいずれかに記載の製造方法。
[15−2]該酵素を形成させる工程が、Burkholderia thailandensis DSM13276株を用いることを含む[14]〜[15−1]のいずれかに記載の製造方法。
[16]該酵素が、配列表配列番号1のアミノ酸配列からなり、ミゾリビン及び/又はリバビリンをリン酸化し得る酵素である[14]〜[15−2]のいずれかに記載の製造方法。
[16−1]該酵素が、配列表配列番号1のアミノ酸配列における1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、ミゾリビン及び/又はリバビリンをリン酸化し得る酵素である[14]〜[16]のいずれかに記載の製造方法。
[16−2]該酵素が、配列表配列番号1のアミノ酸配列において、1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、該アミノ酸配列は配列表配列番号5のアミノ酸配列及び配列表配列番号6のアミノ酸配列を含む、ミゾリビン及び/又はリバビリンをリン酸化し得る酵素である[14]〜[16−1]のいずれかに記載の製造方法。
[17]該酵素をコードする塩基配列に基づき、該酵素を形成する工程において形成された該酵素を取得するに際して、酵素を精製し取得する工程をさらに含む[14]〜[16−2]のいずれかに記載の製造方法。
[17−1]該酵素を形成させる工程が、該酵素をコードする塩基配列を含む細胞を用いることを含む[14]〜[17]のいずれかに記載の製造方法。
[17−2]該酵素を形成させる工程が、該酵素をコードする塩基配列を導入した形質転換体を用いることを含む[14]〜[17−1]のいずれかに記載の製造方法。
[18]該酵素をコードする塩基配列が、配列表配列番号2で表される塩基配列である[14]〜[17−2]のいずれかに記載の製造方法。
[21]該酵素が下記の<1>〜<4>の理化学的性質を有する酵素である、[14]〜[18]のいずれかに記載の製造方法。
<1>作用
少なくともリン酸供与体存在下で、ミゾリビン及び/又はリバビリンをリン酸化ミゾリビン及び/又はリン酸化リバビリンとする反応を触媒する;または、
少なくともリン酸供与体存在下で、ミゾリビンをリン酸化ミゾリビンとする反応、又はリバビリンをリン酸化リバビリンとする反応の少なくともいずれかの反応を触媒する;
<2>至適pH
pH5.5〜6.5;
<3>pH安定性
37℃、3時間でpH6〜10の範囲で70%以上の活性を保持する;
<4>熱安定性
100mM リン酸カリウム緩衝液pH7.0の水溶液中、50℃、20分間の熱処理で80%以上の活性を保持する;
[19−1]該リン酸化ミゾリビン及び/又はリン酸化リバビリンがモノリン酸化ミゾリビン及び/又はモノリン酸化リバビリンである[19]に記載の製造方法。
[19−2]該リン酸供与体が、ATPである[19]〜[19−1]のいずれかに記載の製造方法。
[19−3]該酵素の、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動法による分子量が、約34kDaである[14]〜[19−2]のいずれかに記載の製造方法。
[20]以下の《1》〜《3》のいずれかの酵素の製造方法であって、該酵素をコードする塩基配列に基づき該酵素を形成する工程と、該酵素を取得する工程を含む該酵素の製造方法。
《1》配列表配列番号9のアミノ酸配列からなり、イノシン5’一リン酸を酸化し得る酵素、
《2》配列表配列番号9のアミノ酸配列において、1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、該アミノ酸配列は配列表配列番号11のアミノ酸配列及び配列表配列番号12のアミノ酸配列を含む、イノシン5’一リン酸を酸化し得る酵素、
《3》下記の<i>〜<v>の理化学的性質を有する酵素、
<i>作用
NAD(P)類とイノシン5’一リン酸に作用して、NAD(P)H類とキサントシン5’一リン酸を生ずる反応を触媒する;
<ii>至適pH
pH8〜9;
<iii>pH安定性
37℃、3時間でpH6〜11の範囲で70%以上の活性を保持する;
<iv>熱安定性
1mM DTTを含む50mMリン酸カリウム緩衝液pH7の水溶液中、60℃、30分間の熱処理で85%以上の活性を保持する;
<v>阻害作用
少なくとも、リン酸化ミゾリビン及び/又はリン酸化リバビリンで作用が阻害される;
[20−1]《3》に規定する酵素が、更に、下記の<vi>の理化学的性質を有する酵素である[20]に記載の製造方法。
<vi>分子量
SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動法による分子量が、52〜54kDa;
[20−2]該酵素を形成させる工程が、該酵素をコードする塩基配列を含む細胞を用いることを含む[20]〜[20−1]のいずれかに記載の製造方法。
[20−3]該酵素を形成させる工程が、該酵素をコードする塩基配列を導入した形質転換体を用いることを含む[20]〜[20−2]のいずれかに記載の製造方法。
[20−4]該酵素を形成させる工程が、該酵素をコードする塩基配列を有する微生物を用いることを含む[20]〜[20−3]のいずれかに記載の製造方法。
[20−5]該酵素を形成させる工程が、Oceanobacillus属に属する微生物を用いることを含む[20]〜[20−4]のいずれかに記載の製造方法。
[20−6]該酵素を形成させる工程が、Oceanobacillus iheyensis株を用いることを含む[20]〜[20−5]のいずれかに記載の製造方法。
[20−7]該酵素を形成させる工程が、Oceanobacillus iheyensis DSM14731株を用いることを含む[20]〜[20−6]のいずれかに記載の製造方法。
[20−8]該酵素をコードする塩基配列に基づき、該酵素を形成させる工程において形成された該酵素を取得するに際して、精製し取得する[20]〜[20−7]のいずれかに記載の製造方法。
[20−9]該酵素を形成させる工程が、該酵素をコードする塩基配列を含む細胞を用いて、その細胞を用いることを含む[20]〜[20−8]のいずれかに記載の製造方法。
[20−10]該酵素を形成させる工程が、該酵素をコードする塩基配列を導入した形質転換体を用いることを含む[20]〜[20−9]のいずれかに記載の製造方法。
[21]該酵素をコードする塩基配列が、配列表配列番号10で表される塩基配列である[20]〜[20−10]のいずれかに記載の製造方法。
[22]下記『1』及び『2』の各工程を含むリン酸化ミゾリビン及び/又はリン酸化リバビリンの測定方法。
『1』以下<A>〜<C>のいずれかの第二の反応を触媒し得る第二の酵素の存在下、試料中に含まれている可能性のあるリン酸化ミゾリビン及び/又はリン酸化リバビリンと第二の酵素を接触させて該リン酸化ミゾリビン及び/又はリン酸化リバビリンの存在量に応じて第二の反応が阻害される工程、
<A>試料中に含まれている可能性のあるリン酸化ミゾリビンで阻害される反応
<B>試料中に含まれている可能性のあるリン酸化リバビリンで阻害される反応
<C>試料中に含まれている可能性のあるリン酸化ミゾリビン及びリン酸化リバビリンの両方で阻害される反応
『2』第二の反応の阻害程度を検出する工程。
[22−1]第二の酵素が、上記[1−12]〜[1−22]に記載の少なくともいずれか1つの特徴を有する上記[22]に記載の測定方法。
[22−2]『1』の工程が、上記[1−29]〜[1−30]のいずれかに記載の少なくともいずれか1つの特徴を有する上記[22]〜[22−1]に記載の測定方法。
[22−3]該リン酸化ミゾリビンとリン酸化リバビリンが、モノリン酸化ミゾリビンとモノリン酸化リバビリンである上記[22]〜[22−2]に記載の測定方法。
[22−4]『2』の工程における阻害程度の検出が、上記[1−32]〜[1−33]いずれかに記載の少なくともいずれか1つの特徴を有する上記[22]〜[22−3]に記載の測定方法。
[22−5]『2』の工程における阻害程度の検出が、既知量のリン酸化ミゾリビン及び/又はリン酸化リバビリンと、測定対象の変化量を検出して比較し、試料中に含まれている可能性のあるリン酸化ミゾリビン及び/又はリン酸化リバビリンを定量する工程である[22]〜[22−4]のいずれかに記載の測定方法。
本発明のミゾリビン又はリバビリンは、公知のミゾリビン又はリバビリン(CAS Number 50924−49−7又は36791−04−5)を含み、由来、剤型、結晶型、添加物、商品名等により限定されない。
本発明のリン酸化ミゾリビン又はリン酸化リバビリンは、ミゾリビン又はリバビリンにリン酸基が結合した物質である。リン酸基の数は1、2、又は3であっても良いが、1、すなわち、モノリン酸化ミゾリビン又はモノリン酸化リバビリンが好ましい。リン酸化され得る部位は特に限定されず、その糖部分、すなわちリボース部分の任意の水酸基であって良く、それには1’位、2’位、又は5’位が挙げられ、場合によってはリングを形成しても良いが、例えばモノリン酸化ミゾリビン又はモノリン酸化リバビリンの場合は、5’位が好ましい。すなわち、該モノリン酸化ミゾリビン又はモノリン酸化リバビリンは、ミゾリビン5’一リン酸又はリバビリン5’一リン酸が好ましい。
本発明の第一の酵素は、ミゾリビン及び/又はリバビリンをリン酸化し得る酵素であれば特に限定されず、少なくとも測定する対象物をリン酸化する酵素を選択すればよい。例えば、ミゾリビン及びリバビリンをリン酸化し得る酵素、又は、ミゾリビン又はリバビリンのどちらか一方をリン酸化し得る酵素が挙げられる。すなわち本発明の第一の酵素には、ミゾリビン及びリバビリンを等しくリン酸化し得る酵素、ミゾリビン及びリバビリンをリン酸化し得るがミゾリビン又はリバビリンのどちらか一方をより効率的にリン酸化し得る酵素、ミゾリビン又はリバビリンのどちらか一方のみを選択的にリン酸化し得る酵素が含まれる。
さらに、本発明の第一の酵素としては、アデノシンキナーゼやホスホフルクトキナーゼ−Bを含むヌクレオシドキナーゼ、またはホスファターゼ等も利用可能である。微生物由来の本発明の第一の酵素としては、大腸菌由来のグアノシンイノシンキナーゼ、Methanocaldococcus jannaschii由来のホスホフルクトキナーゼ−B、Archaeoglobus fulgidus由来のホスホフルクトキナーゼ−Bと予想されるタンパク質が挙げられる。その他の微生物由来の本発明の第一の酵素としては、パン酵母やマイコバクテリウム由来のミゾリビン及び/又はリバビリンをリン酸化し得るアデノシンキナーゼが挙げられる。また、入手が困難であり必ずしも効率が高いとは言えないものの、哺乳類由来の酵素であっても良く、例えば、ヒト由来のアデノシンキナーゼやマウス、ラット、ウサギなどの、公知のアデノシンキナーゼが挙げられる。
本発明は、さらに下記(2)の工程を含むミゾリビン及び/又はリバビリンの測定方法である。(2)上記第一の反応とは別異の反応であって次の<a>〜<c>のいずれかの第二の反応を触媒し得る第二の酵素の存在下、第二の反応を進行させるに際して、上記第一の反応の結果生じた該リン酸化ミゾリビン及び/又はリン酸化リバビリンと第二の酵素を接触させて該リン酸化ミゾリビン及び/又はリン酸化リバビリンの存在量に応じて第二の反応が阻害される工程。
<a>ミゾリビンで阻害されず、かつ、上記第一の反応により生ずるリン酸化ミゾリビンで阻害される反応
<b>リバビリンで阻害されず、かつ、上記第一の反応により生ずるリン酸化リバビリンで阻害される反応
<c>ミゾリビン及びリバビリンの両方で阻害されず、かつ、記第一の反応により生ずるリン酸化ミゾリビン及びリン酸化リバビリンの両方で阻害される反応
本明細書では、該第二の反応を触媒し得る酵素を第二の酵素と記載する場合がある。本発明の測定方法の工程(2)には、該第二の酵素を存在させる事ができ、その理化学的性質は上記第二の反応を触媒し得る酵素であれば良く、酵素名、EC番号、及び/又は製造方法等により限定されない。該第二の酵素は、ミゾリビン及びリバビリンの両方で阻害されず、上記第一の反応により生ずるリン酸化ミゾリビン及びリン酸化リバビリンの両方で阻害される反応を触媒し得る酵素でもよい。又、該第二の酵素は、ミゾリビンで阻害されず、上記第一の反応により生ずるリン酸化ミゾリビンで阻害される反応を触媒し得る酵素でもよい。さらに、該第二の酵素は、リバビリンで阻害されず、上記第一の反応により生ずるリン酸化リバビリンで阻害される反応を触媒し得る酵素でもよい。該第二の酵素としては、上記の<i>〜<vi>の理化学的性質や本願明細書に記載された該第二の酵素の性質のいずれかを有する酵素であれば好ましいが、上記の<i>〜<vi>の理化学的性質のうち、<v>阻害作用を有すれば好ましく、その他の性質の有無は特に限定されないが、上記の<i>〜<vi>の理化学的性質や本願明細書に記載された該第二の酵素の性質のうち、任意の1つ又は2つ以上を備えていることも好ましい。更に好ましくは第一の反応により生ずるリン酸化ミゾリビン及びリン酸化リバビリンの存在量に応じて反応が阻害される反応を触媒し得る酵素で、最も好ましくは、イノシン5’一リン酸デヒドロゲナーゼである。イノシン5’一リン酸デヒドロゲナーゼはEC 1.1.1.205と表現されることもある。本発明の第二の酵素としてイノシン5’一リン酸デヒドロゲナーゼを採用する場合、由来は限定されず、例えば天然の生物由来であっても良いが、微生物由来の場合は、例えば、ヒト、大腸菌、Candida albicans、Tritrichomonas foetus、Brrelia burgdorferi、ラット、ウサギ、Bacillus sereus由来等公知のイノシン5’一リン酸デヒドロゲナーゼであっても良いし、それらのアイソザイムであっても良い(S.F.Carrら、J.Biol.Chem.,268巻、27286頁、1993年、H.J.Gilbertら、Biochem.J.、183巻、481頁、1979年、G.A.Koehlerら、J.Bacteriol.、179巻、2331頁、1997年、F.G.Whitbyら、36巻、10666頁、1997年、X.Zhouら、J.Biol.Chem.,272巻、21977頁、1997年等)。第二の酵素として使用され得るイノシン5’一リン酸デヒドロゲナーゼを形成する、天然の微生物の典型的な例としては、Bacillus属やOceanobacillus属に属する微生物を、更に好ましくは、Bacillus subtilis又はOceanobacillus iheyensisを、最も好ましくは、Bacillus subtilis ATCC23857株又はOceanobacillus iheyensis DSM14731株を例示できる。又、他の菌株バンクで購入できる該株との同等株を用いたり、上記の方法で自然界から分離した同等株を用いたりして、本発明の酵素の各性質を有する酵素を生産し得ることを確認して、本発明の測定方法に使用することもできる。
(A1)ミゾリビン及び/又はリバビリンをリン酸化する第一の反応を触媒し得る第一の酵素
(A2)リン酸供与体
(A3)金属イオン
(A4−1)上記第一の反応とは別異の反応であって以下<a>〜<c>のいずれかの第二の反応を触媒し得る第二の酵素、
<a>ミゾリビンで阻害されず、かつ、上記第一の反応により生ずるリン酸化ミゾリビンで阻害される反応
<b>リバビリンで阻害されず、かつ、上記第一の反応により生ずるリン酸化リバビリンで阻害される反応
<c>ミゾリビン及びリバビリンの両方で阻害されず、かつ、上記第一の反応により生ずるリン酸化ミゾリビン及びリン酸化リバビリンの両方で阻害される反応
(A4−2)イノシン5’一リン酸、及び
(A4−3)NAD(P)類。
本発明の組成物には、前記(A1)〜(A3)及び下記の(A4−1)〜(A4−3)の成分を含む組成物が含まれる。該組成物はリン酸化ミゾリビン測定用の組成物、リン酸化リバビリン測定用の組成物、リン酸化ミゾリビン及びリン酸化リバビリン測定用リバビリン測定用の組成物であっても良い。
(A4−1)上記第一の反応とは別異の反応を触媒し、リン酸化リバビリンで阻害される第二の酵素
(A4−2)イノシン5’一リン酸、及び
(A4−3)NAD(P)類。
さらに本発明の組成物は、下記の3成分のうち、いずれかひとつ以上の成分が測定直前に合一されて本発明の組成物となることが好ましい。すなわち、測定時には必要な全ての成分を有する本発明の組成物とするに当たり、その測定以前においては、少なくとも、下記の3成分、またはそのいずれかひとつまたは2つがその組成物から分離されていることが好ましい。下記の3成分のうち、いずれかひとつ、2つまたは3つを測定直前に組成物に合一する場合、合一する順序は任意であり、ひとつずつ合一しても良く、2つまたは3つを同時に合一しても良い。
(A4−1)第二の酵素、
(A4−2)イノシン5’一リン酸、及び
(A4−3)NAD(P)類。
本発明のミゾリビン及び/又はリバビリン測定用の組成物は下記の(A)と(B)を含む組成物である。
(A)少なくとも以下の(A1)〜(A4)を含む第1の試薬。
(A1)有効量の本発明の第一の酵素
(A2)リン酸供与体
(A3)金属イオン
(A4)有効量の本発明の第二の酵素、イノシン5’一リン酸、及び、NAD(P)類のいずれか1つ以上の成分
(B)少なくとも有効量のリン酸化ミゾリビン及び/又はリン酸化リバビリンで阻害される第二の酵素、イノシン5’一リン酸、及び、NAD(P)類のうち第1の試薬には含まれない成分を含む第2の試薬。
(A)少なくとも以下の(A1)〜(A4)を含む第1の試薬。
(A1)有効量の本発明の第一の酵素
(A2)リン酸供与体
(A3)金属イオン
(A4)本発明の第二の酵素及びNAD(P)類
(B)少なくとも有効量のイノシン5’一リン酸を含む第2の試薬
本発明の第一の酵素は、公知の方法により、自然界から該第一の酵素を形成する天然の生物を探索(スクリーニング)し、該生物の細胞から取得すれば良い。該生物は第一の反応を触媒し得る酵素を形成する生物であれば限定されず、例えば真正細菌、真核生物、又は古細菌を含む微生物が挙げられる。微生物を探索の対象とする場合には、微生物は公知の方法に従って自然界から分離すれば良く、高温、低温、高圧、酸、アルカリ環境等の極限環境を含む土壌や水中、落下菌や氷核等を含む空中、又は、生物の体内等から得ることができる。特に高温環境から分離した微生物からは安定性の高い第一の酵素を得ることが期待できる。又、微生物はATCCやDSM等の菌株バンクから購入しても良い。分離した微生物は、限界希釈法やモノコロニーの形成等公知の方法に従って純粋分離し、最少培地、LB培地、ブイヨン培地等で純粋培養し、その培養物においてミゾリビン及び/又はリバビリンをリン酸化し得る酵素活性の有無を確認する事により、第一の酵素を形成する生物を選別できる。又、ミゾリビン及び/又はリバビリンを用いた集積培養による微生物の取得、ミゾリビン及び/又はリバビリンを培地に添加することによる第一の酵素の誘導等、探索の効率を上げる工夫も可能である。第一の酵素の有無は、非特許文献1に示される方法等により当業者なら容易に確認できる。
本発明の第二の酵素は、上記の第一の酵素の場合と同様に、公知の方法により、自然界から該第二の酵素を形成する天然の生物を探索し、該生物の細胞から取得すれば良い。ミゾリビン及び/又はリバビリンによる該第二の酵素の阻害は、例えば、ミゾリビン及び/又はリバビリンの存在下と非存在下における該第二の酵素の反応速度の差を比較して確認できる。リン酸化ミゾリビン及び/又はリン酸化リバビリンによる第二の酵素の阻害は、第二の酵素の反応速度を、例えば、リン酸化ミゾリビン及び/又はリン酸化リバビリンの存在下と非存在下における該第二の酵素の反応速度の差を比較して確認できる。阻害定数を算出して比較する場合は、蛋白質・酵素の基礎実験法(改訂第2版、堀尾武一、1994年南光堂参照)に記載の方法等で算出して確認すれば良い。リン酸化ミゾリビン又はリン酸化リバビリンは、後述のミゾリビン及び/又はリバビリンをリン酸化ミゾリビン及び/又はリン酸化リバビリンとするリン酸化ミゾリビン及び/又はリン酸化リバビリンの製造方法で製造すれば良いし、Shuto S.ら、J.Chem.Soc.,Perkin Trans.1巻、3603頁、2000年に記載の方法で合成しても良い。
[反応試薬混合液]
20mM Tris/HCl緩衝液pH7.5
20mM グルコース
1mM ATP(pH7)
1mM 塩化マグネシウム
1mM NADP
50mM KCl
5U/ml グルコース6リン酸デヒドロゲナーゼ(旭化成ファーマ株式会社製)
5U/ml ADP依存性HK(旭化成ファーマ株式会社製)
1mM ミゾリビン
石英製の1.0cmキュベットに反応試薬混合液を1.3ml量りとり、37℃で2分間予備加温する。20mM Tris/HCl緩衝液pH7.5で適当な濃度に希釈した第一の酵素溶液を0.03ml加えて混和し37℃で反応を開始する。反応開始後340nmにおける吸光度を測定して直線的に反応している1分間当たりの吸光変化を求める。求められた吸光変化をAs/min、第一の酵素溶液の代わりに精製水を用いた盲検をAb/minとして、酵素活性(U/ml)は(式2)で算出する。
(式2)
酵素活性(U/ml)={(As/min−Ab/min)/6.22}×1.33/0.03×希釈倍数
[反応試薬混合液]
50mM Tris/HCl緩衝液pH8.0
2mM イノシン5’一リン酸
2mM NAD、50mM KCl
石英製の1.0cmキュベットに反応試薬混合液を2ml量りとり、37℃で2分間予備加温する。50mM Tris/HCl緩衝液pH8.0で適当な濃度に希釈した第二の酵素溶液を0.03ml加えて混和し37℃で反応を開始する。反応開始後340nmにおける吸光度を測定して直線的に反応している1分間当たりの吸光変化を求める。求められた吸光変化をAs/min、第二の酵素溶液の代わりに精製水を用いた盲検をAb/minとして、酵素活性(U/ml)は(式3)で算出する。
(式3)
酵素活性(U/ml)={(As/min−Ab/min)/6.22}×2.03/0.03×希釈倍数
[反応試薬混合液1]
30mM リン酸カリウム緩衝液 pH7.0
10mM ATP(pH7)
20mM 塩化マグネシウム
5mM イノシン
50mM 塩化カリウム
[反応試薬混合液2]
100mM Tris/HCl緩衝液 pH9.0
13U/ml 実施例33で調製したBsuIMPDH
20mM NAD
50mM 塩化カリウム
1mM DTT
200mM EDTA(pH9)
石英製の1.0cmキュベットに反応試薬混合液を1.0ml量りとり、37℃で2分間予備加温する。30mM リン酸カリウム緩衝液pH7.0で適当な濃度に希釈した本発明の酵素溶液を0.01ml加えて混和し、37℃で反応を開始する。反応開始5分後に0.1Nの塩酸を2ml混和して反応を止め、550nmにおける吸光度を測定し、吸光変化を求める。求められた吸光変化をAs/min、第一の酵素溶液の代わりに精製水を用いた盲検をAb/minとして、酵素活性(U/ml)を下記(式4)で算出する。
(式4)
酵素活性(U/ml)={(As/min−Ab/min)/19}×3.01/0.01×希釈倍数
本発明の第一の酵素及び第二の酵素等の蛋白質濃度はバイオラッド社のプロテインアッセイキットを用いて常法にて測定し、BSAをスタンダードとして算出した。
<ミゾリビンをリン酸化し得る酵素の探索1>
堆肥中から常法にて分離した微生物を0.5%のイノシンを含む100mlのLB培地で37℃17時間培養して遠心分離して菌体を得た。菌体を10mlの10mM Tris/HCl緩衝液pH7.5で懸濁して超音波破砕し、遠心分離して粗酵素液を得た。下記の反応液500μlに粗酵素液10μlを添加し37℃で30分間反応した。反応後の反応液を精製水で10倍希釈して、25μlをHPLCで分離した。HPLCは昭和電工社製のAsahipak GS−320を使用し、移動相は200mMリン酸ナトリウム緩衝液pH3.0、流速は0.5ml/minで室温でにおいて実施し、260nmの吸光をモニターしたところ、ミゾリビンをリン酸化し得る活性、すなわち、本発明の第一の酵素の活性が検出されたので、該微生物を第一の酵素を形成する微生物として選別した。上記の粗酵素液10mlを10mMのTris/HCl緩衝液pH8.0で平衡化したQ sep.FF(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)に吸着させた。10mMのTris/HCl緩衝液pH8.0で充分に洗浄した後、0及び0.5MのKClを含む10mMのTris/HCl緩衝液pH8.0を用いたリニアグラジェントにて溶出した。活性画分に最終濃度15%になるように硫酸アンモニウムを添加し、15%の硫酸アンモニウムを含む10mM リン酸カリウム緩衝液pH7.5で平衡化したPhenyl sep.FF(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)に吸着して15及び0%の硫酸アンモニウムを含む10mM リン酸カリウム緩衝液pH7.5を用いたリニアグラジェントにて溶出した。活性画分は10mM リン酸カリウム緩衝液pH7.5で平衡化したG−25(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)で脱塩した後、10mM リン酸カリウム緩衝液pH7.5で平衡化したResourceQ(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)に吸着させた。10mM リン酸カリウム緩衝液pH7.5で充分に洗浄した後、0及び0.5MのKClを含む10mM リン酸カリウム緩衝液pH7.5を用いたリニアグラジェントにて溶出した。活性画分は10mM リン酸カリウム緩衝液pH7.0で平衡化したG−25で脱塩して、第一の酵素を得た。該酵素をSDS−PAGEにて分離しメイン蛋白をPVDF膜にブロッティングしプロテインシーケンスした所、本実施例で得た本発明の第一の酵素は、大腸菌のグアノシンイノシンキナーゼであることが判明した。本実施例で得た第一の酵素の比活性は、0.01U/mg以下であった。そこで、H.Kawasakiら、Biosci.Biotechnol.Biochem.、64巻、972頁、2000年に記載の方法に従って、大腸菌JM109のグアノシンイノシンキナーゼを大量発現する形質転換体を調整し、該グアノシンイノシンキナーゼを取得し、ミゾリビンをリン酸化し得る酵素活性を検出した所、上記と同様な結果が得られた。
[反応液]10mM Tris/HCl緩衝液pH7.5、30mM KCl、5mM 塩化マグネシウム、5mM ATP pH7、1mM DTT、1mMミゾリビン。
<ミゾリビンをリン酸化し得る酵素の探索2>
Thomas Hansenら、Extremophiles、11巻、105−114頁、2007年に記載の方法に従ってMethanocaldococcus jannaschii由来のホスホフルクトキナーゼ−B(Phosphofructokinase−B)を調整した。具体的には、Methanocaldococcus jannaschii DSM2661株をテンプレートに配列表配列番号13と配列表配列番号14のプライマーを用いてPCRで増幅した遺伝子をpET17bにライゲーションし、大腸菌BL21(DE3)に形質転換した。形質転換体をLB培地で培養しIPTGで該遺伝子がコードするホスホフルクトキナーゼ−Bを誘導発現し、該酵素を上記実施例1と同様の方法で精製した。精製酵素は上記実施例1と同様のHPLCにより、ミゾリビンをリン酸化し得る酵素活性、すなわち、本発明の第一の酵素の活性があることを確認した。本実施例で得た第一の酵素の比活性は、約0.02U/mgであった。
<ミゾリビンをリン酸化し得る酵素の探索3>
Archaeoglobus fulgidus DSM4304株をテンプレートに配列表配列番号15と配列表配列番号16のプライマーを用いてPCRで増幅した遺伝子をpET21a(+)にライゲーションし、大腸菌BL21(DE3)に形質転換した。形質転換体をLB培地で培養しIPTGで該遺伝子がコードする酵素を誘導発現し、該酵素を上記実施例1と同様の方法で精製した。精製酵素は実施例1と同様のHPLCにより、ミゾリビンをリン酸化し得る酵素活性、すなわち、本発明の第一の酵素の活性があることを確認した。本実施例で得た第一の酵素の比活性は、0.01U/mg以下であった。
<ミゾリビンをリン酸化し得る酵素の探索4>
B.Sahinら、Eur.J.Biochem、271巻、3547頁、2004年に記載の方法を参考にマウス由来アデノシンキナーゼを調整した。具体的には、マウスbrainのcDNA(Clontech社)をテンプレートに配列表配列番号17と配列表配列番号18のプライマーを用いてPCRで増幅した遺伝子をpET21a(+)にライゲーションし、大腸菌BL21(DE3)に形質転換した。形質転換体をLB培地で培養しIPTGで該遺伝子がコードする酵素を誘導発現し、該酵素を上記実施例1と同様の方法で精製した。精製酵素は実施例1と同様のHPLCにより、ミゾリビンをリン酸化し得る酵素活性、すなわち、本発明の第一の酵素の活性があることを確認した。本実施例で得た第一の酵素の比活性は、0.01U/mg以下であり、実施例2で得た第一の酵素の反応速度と比較して、約二分の一であった。ところで、マウス由来のアデノシンキナーゼとヒト由来のアデノシンキナーゼは、アミノ酸配列における相同性が約90%と近似しており、活性中心のアミノ酸も保存されていることから、マウス由来のアデノシンキナーゼとヒト由来のアデノシンキナーゼは同様の性質であると予想できる(Structure、1998年、6巻、183−193頁等)。すなわち、ヒト由来のアデノシンキナーゼもマウス由来のアデノシンキナーゼと同様に本発明の第一の酵素となり得て、比活性は0.01U/mg以下と推定されるが、実施例2で得た第一の酵素の方が、反応速度として、約二倍良好であると予想できる。
<ミゾリビンをリン酸化し得る酵素の探索5>
Burkholderia thailandensis DSM13276株を0.5%のイノシンを含む100mlのLB培地で30℃2日間培養して遠心分離して菌体を得た。菌体を10mlの10mM Tris/HCl緩衝液pH7.5で懸濁して超音波破砕し、遠心分離して粗酵素液を得た。粗酵素液は実施例1と同様のHPLCにより、ミゾリビンをリン酸化し得る酵素活性、すなわち、本発明の第一の酵素の活性があることを確認した。
<DNAの抽出>
LB培地を使用して30℃2日間培養して集菌したBurkholderia thailandensis DSM13276株の菌体を50mM Tris/HCl緩衝液pH8.0、50mM EDTA、15%シュークロースを含む1mg/mlリゾチーム溶液で37℃、10分処理した後、SDSを最終濃度0.25%になるよう添加して菌体を溶解した。更に等量のフェノール/クロロホルムの1:1混合液を加え、30分攪拌した後、遠心分離(12,000rpm、15分間)して水層を回収した。回収した水層に10分の1量の3Mの酢酸ナトリウム(pH5.5)を混合後、2倍量のエタノールを静かに重層し、ゲノムDNAをガラス棒に巻き付かせて分離した。分離したゲノムDNAを、10mM Tris/HCl緩衝液pH8.0、1mM EDTA水溶液(以下TEと記載する場合もある)に溶解し、適量のRNaseAを加え、37℃で1時間保温し、混在しているRNAを分解した。次いで、等量のフェノール/クロロホルムの1:1混合液を加え、前記と同様に処理して、水層を分取した。分取した水層に10分の1量の3Mの酢酸ナトリウム(pH5.5)と2倍量のエタノールを加えて前記の方法でもう一度ゲノムDNAを分離した。この染色体をTEに溶解し、TE飽和のフェノールとクロロホルムの1:1混合液を加え、全体を懸濁した後、同様の遠心分離を繰り返し、上層を再び別の容器に移した。この分離した上層に3Mの酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.5)とエタノールを加え、撹拌後、−70℃で5分間冷却した後、遠心分離(2,000G、4℃、15分)し、沈澱した染色体を75%エタノールで洗い、減圧乾燥した。以上の操作によりBurkholderia thailandensis DSM13276株のDNA標品を得た。
<PCR法による配列表配列番号2に示す遺伝子の増幅>
pTip QC1又はpTip QC2(特許第3944577号公報、及び特許第3793812号公報)のマルチクローニングサイトNdeI及びBamHI部位に配列表配列番号2の遺伝子を挿入するように、配列表配列番号3と配列表配列番号4のプライマーを設計した。PCRは、KODDNAポリメラーゼ(東洋紡社製)を用いた。PCR条件は、使用説明書記載の方法に従った。得られた約1.0kbpのPCR産物は、常法に従って精製した。
<発現ベクターとのライゲーション>
実施例7で精製したPCR産物をNdeI及びBamHIにより常法に従って制限酵素処理しインサートとした。常法に従って精製したインサートはNdeI及びBamHIにより制限酵素処理し精製したpTip QC1又はpTip QC2と常法に従ってライゲーションし、pTip QC1/BthNK及びpTip QC2/BthNKを作成した。pTip QC1/BthNK及びpTip QC2/BthNKを大腸菌DH5αに常法に従って導入して形質転換し、コロニーダイレクトPCR法によるポジティブクローンから精製した組換体プラスミドは、DNAシーケンスによりインサート配列が正しい事を確認した。
<pTip QC1/BthNK、及びpTip QC2/BthNKのRhodococcus erythropolisへの形質転換>
pTip QC1/BthNK、及びpTip QC2/BthNKのRhodococcus erythropolisへの形質転換は特開2004−073116号公報等に記載の方法に従いエレクトロポレーション法(電気穿孔法)で実施した。エレクトロポレーション条件は次のようにした。コンピテントセルを融解し、pTip QC1/BthNK、又はpTip QC2/BthNKと混合して、2mmの専用チャンバーに入れ、7.5mS、2500V、25μF、400Ωでパルスをかけた。
<発現チェック>
実施例9で得た形質転換体を34μg/mlのクロラムフェニコールを含むLB培地に植菌し、30℃で2日間培養してシードとした。34μg/mlのクロラムフェニコールと1μg/mlのチオストレプトンを含むLB培地に上記のシードを1/10量植菌し、30℃で1日間培養した。培養液を遠心分離して集菌し、培養液の1/5倍量の20mM Tris/HCl緩衝液pH7.5に懸濁、超音波破砕して、遠心分離し、得られた上清を粗酵素液とした。粗酵素液のSDS−PAGE結果を図1に示すが、酵素の大量発現が確認された。尚、図1(A)中矢印がpTip QC1/BthNK、図1(B)中矢印がpTip QC2/BthNKの形質転換体で発現した第一の酵素(BthNK)(ミゾリビンをリン酸化し得る酵素)である。
<pTip QC1/BthNK形質転換体からミゾリビンをリン酸化し得る酵素の精製>
実施例10でpTip QC1/BthNK形質転換体を培養して得られた粗酵素液を0.1Mの塩化ニッケル、及び0.3Mの塩化ナトリウムを含む50mMのリン酸緩衝液pH8.0で平衡化したCherating Sepharose FF(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)に吸着させた。0.3Mの塩化ナトリウムを含む50mMのリン酸緩衝液pH8.0で充分に洗浄した後、10%グリセロール及び0.3Mの塩化ナトリウムを含む50mMのリン酸緩衝液pH6.0で充分に洗浄した。0.4Mイミダゾール、10%グリセロール及び0.3Mの塩化ナトリウムを含む50mMのリン酸緩衝液pH6.0にて溶出した。活性画分は0.03Mの塩化ナトリウム、0.05MのKCl及び1mMのDTTを含む30mMのリン酸緩衝液pH7.0で透析して第一の酵素(BthNK)(ミゾリビンをリン酸化し得る酵素)を得た。本実施例で得たBthNKの比活性は、約0.04U/mgであった。1Lの培養で約80mgのBthNKを得た。
<pTip QC2/BthNK形質転換体からミゾリビンをリン酸化し得る酵素の精製>
実施例10でpTip QC2/BthNK形質転換体を培養して得られた粗酵素液を10mMのTris/HCl緩衝液pH8.0で平衡化したQ sep.BB(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)に吸着させた。10mMのTris/HCl緩衝液pH8.0で充分に洗浄した後、0及び0.5MのKClを含む10mMのTris/HCl緩衝液pH8.0を用いたリニアグラジェントにて溶出した。活性画分に最終濃度15%になるように硫酸アンモニウムを添加し、15%の硫酸アンモニウムを含む10mM リン酸カリウム緩衝液pH7.5で平衡化したPhenyl sep.FFに吸着して15及び0%の硫酸アンモニウムを含む10mM リン酸カリウム緩衝液pH7.5を用いたリニアグラジェントにて溶出した。活性画分は10mM リン酸カリウム緩衝液pH7.5で平衡化したG−25で脱塩した後、10mM リン酸カリウム緩衝液pH7.5で平衡化したDEAE sep.FF(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)に吸着させた。10mM リン酸カリウム緩衝液pH7.5で充分に洗浄した後、0及び0.5MのKClを含む10mM リン酸カリウム緩衝液pH7.5を用いたリニアグラジェントにて溶出した。活性画分は10mM リン酸カリウム緩衝液pH7.0で平衡化したG−25で脱塩して第一の酵素(BthNK)(ミゾリビンをリン酸化し得る酵素)を得た。本実施例で得たBthNKの比活性は、約0.04U/mgであった。1Lの培養で約50mgのBthNKを得た。
<pETシステムを使用したミゾリビンをリン酸化し得る酵素の発現>
実施例7で得られたインサートは、NdeI及びBamHIにより制限酵素処理し精製したpET21a(+)と常法に従ってライゲーションし、pET21a(+)/BthNKを作成した。pET21a(+)/BthNKを大腸菌BL21(DE3)に常法に従って導入して形質転換し、コロニーダイレクトPCR法によるポジティブクローンから精製した組換体プラスミドは、DNAシーケンスしてインサート配列が正しい事を確認した。得られた形質転換体を50μg/mlのアンピシリンを含むLB培地に植菌した。30℃で1日間培養してシードとした。50μg/mlのアンピシリンを含むLB培地に上記のシードを1/100量植菌し、30℃で一日培養した。培養液中の濃度が1mMになるようにIPTGを加え、更に30℃で3時間培養した。培養液を遠心分離して集菌し、培養液の1/5倍量の20mM Tris/HCl緩衝液pH8.5に懸濁、超音波破砕して、遠心分離し、得られた上清を粗酵素液とした。粗酵素液のSDS−PAGE結果を図2に示すが、酵素の大量発現が確認された。尚、図中矢印が本発明の第一の酵素(ミゾリビンをリン酸化し得る酵素)である。粗酵素液は実施例12と同様の方法で精製した。本実施例で得た第一の酵素(BthNK)(ミゾリビンをリン酸化し得る酵素)の比活性は、約0.04U/mgであった。1Lの培養で約50mgのBthNKを得た。
<ミゾリビンのリン酸化方法とリン酸化ミゾリビンの製造>
実施例1に記載の反応液500μlに、10mM Tris/HCl緩衝液pH7.5で希釈した実施例12で調製したBthNKを10μl添加し37℃で30分間反応した。反応後の反応液を実施例1と同様にHPLCで分離した。反応後のクロマト図を図3の(C)、反応前のクロマト図を図3の(B)に示す。図3の(A)は同じHPLC条件で、標品のリン酸化ミゾリビンをHPLCで分離したクロマト図である。実施例12で調整したBthNKがミゾリビンをリン酸化し得る酵素活性があることが確認された。同様に実施例13で調製したBthNKがミゾリビンをリン酸化し得る酵素活性があることも確認した。
<基質特異性>
実施例12により調製したBthNKを用いた。上記の活性測定法1でミゾリビンの代わりに表1中の各基質を使用して、BthNKの相対活性を測定した。表1に、相対活性を比較した基質特異性を示す。
又、本実施例の結果から明らかなように、BthNK、すなわち、本発明の第一の酵素(ミゾリビンをリン酸化し得る酵素)は、ミゾリビン及び/又はリバビリンをリン酸化ミゾリビン及び/又はリン酸化リバビリンとする反応を触媒する。
<至適pH>
実施例12により調製したBthNKを用いた。活性測定法3における緩衝液をpH4.5〜6.0の範囲はクエン酸/NaOH(図4中○印)、pH6.0〜7.5の範囲はリン酸カリウム緩衝液(図4中●印)、pH7.0〜9.0の範囲はTris/HCl緩衝液(図4中△印)、pH9.5はグリシン/NaOH緩衝液(図4中□印)に変更して活性測定を行い、至適pHを測定した。図4に、最大活性を100%とした相対活性(%)を示した。BthNKが最大の活性を示す至適pHは、pH5.5〜7.5の範囲に存在した。
<pH安定性>
実施例12により調製したBthNKを用いてpH安定性を測定した。BthNKを0.475mg/mlになるように100mMのpH4.5〜6.0の範囲はクエン酸/NaOH(図5中○印)、pH6.0〜7.5の範囲はリン酸カリウム緩衝液(図5中●印)、pH7.0〜9.0の範囲はTris/HCl緩衝液(図5中△印)、pH9.5〜11.0はグリシン/NaOH緩衝液(図5中□印)に希釈して37℃で3時間加温処理した後、BthNKの残存活性を活性測定法3で測定した。図5に示す通り、BthNKは37℃、3時間でpH6〜10の範囲で70%以上の活性を保持した。
<熱安定性>
実施例12により調製したBthNKを用いて熱安定性を測定した。BthNKを0.475mg/mlになるように100mM リン酸カリウム緩衝液pH7.0中に希釈し、各温度で20分間熱処理した後、BthNKの残存活性を活性測定法3で測定した。図6に示す通り、BthNKは100mM リン酸カリウム緩衝液pH7.0の水溶液中、50℃、20分間の熱処理で80%以上の活性を保持した。
<BthNKの分子量>
実施例12により調製したBthNKのSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動法(SDS−PAGE)による分子量は、図7に示すように約34kDaであった。配列表配列番号1のアミノ酸配列からの計算値は、33,994であった。
<BthNKの作用温度範囲>
実施例12により調製したBthNKを活性測定法3で、反応温度を15〜70℃まで変化して、BthNKのイノシンをリン酸化する反応速度を測定した(図8)。その結果をアレニウスプロットして図9に示した。図8で示した通り、作用温度の範囲は少なくとも15〜70℃であった。又、図9より、20〜45℃の間における活性化エネルギーは約64kJ/molであった。尚、図9中Tは絶対温度を示す。又、図8で50℃以上では相対活性が上がっていないように見えるが、反応液中におけるBthNKの安定性やATPの分解の結果と考えられる。
<金属の利用性>
実施例12により調製したBthNKを使用した下記の[混合物]において、表2に示した金属化合物を使用した場合の、BthNKによるAMPが生成する速度を測定し、結果を相対比として表2に示す。
[混合物]1mlに、最終濃度1mMとなるようにアデノシンを添加して37℃で30分間アデノシンをリン酸化した。リン酸化後の[混合物]を精製水で10倍に希釈して、25μlをHPLCで分離した。HPLCは昭和電工社製のAsahipak GS−320を使用し、移動相は200mMリン酸ナトリウム緩衝液pH3.0、流速は0.5ml/minで、室温で実施し、AMPの生成量を260nmの吸光で測定した。
[混合物]
50mM Tris/HCl緩衝液 pH 7.5
2.5mM ATP
5mM 表2に示す金属化合物
0.5mU/ml 実施例12により調製したBthNK
<VmaxとKm>
実施例12により調製したBthNKを活性測定法1で、Km値の1/10倍〜10倍の間で5つ以上の異なる濃度になるように基質濃度を調製して、ラインウェーバー・バーク逆数プロットにより各見かけのVmaxとKm値を算出した。その結果を表3に示す。
[反応試薬混合液1]
30mM リン酸カリウム緩衝液pH7.0
10mM ATP(pH7)
20mM 塩化マグネシウム
5mM イノシン
50mM KCl
[反応試薬混合液2]
100mM Tris/HCl緩衝液pH9.0
13U/ml 実施例33で調整したBsuIMPDH
20mM NAD
50mM KCl
1mM DTT
200mM EDTA(pH9)
石英製の1.0cmキュベットに反応試薬混合液1を1.0ml量り、37℃で2分間予備加温する。30mMリン酸カリウム緩衝液pH7.0で適当な濃度に希釈したBthNKを0.05ml加えて混和し37℃で反応を開始する。5分後に反応試薬混合液2を1.0ml混和して、340nmにおける吸光度を測定して吸光変化を求める。イノシン濃度及びNAD濃度はKm値の1/10倍〜10倍の間で5つ以上の異なる濃度になるようにを調製し、ラインウェーバー・バーク逆数プロットによりイノシンに対するKmとVmaxを算出した。その結果、Vmax=1.59μmol/min/mg、Km=0.18μmol/min/mgであった。
<ヌクレオシドのリン酸化方法とリン酸化ヌクレオシド製造>
実施例12により調製したBthNKを使用し、ヌクレオシドのリン酸化剤として下記の[組成物]を調製し、アデノシンのリン酸化方法を実施して、アデノシンからリン酸化アデノシン(AMP)を製造した。[組成物]1mlに、最終濃度1mMとなるようにアデノシンを添加して37℃で30分間アデノシンのリン酸化方法を実施した。アデノシンのリン酸化方法を実施後の[組成物]を精製水で10倍に希釈して、25μlをHPLCで分離した。HPLCは実施例1に記載の方法と同様に実施した。アデノシンのリン酸化方法を実施後のクロマト図を図10の(C)、実施前のクロマト図を図10の(B)に示す。図10の(A)は同じHPLC条件で、標品のATP、ADP、AMP、及びアデノシン組成物をHPLCで分離したクロマト図である。本発明のミゾリビンをリン酸化し得る酵素酵素を使用したヌクレオシドのリン酸化剤で、アデノシンのリン酸化方法を実施して、アデノシンからリン酸化アデノシン(AMP)を製造することができた。盲検は実施例12により調製したBthNKの代わりに精製水を使用して実施し、実施前後のクロマト図が図10の(B)と変化無いことを確認した。
[組成物]
50mM Tris/HCl緩衝液pH7.5
2.5mM ATP
5mM 塩化マグネシウム
0.5mU/ml 実施例12により調製したBthNK
<ヌクレオシド混合物の測定>
実施例12により調製したBthNKを使用し、下記の[組成物]を作成し、アデノシン、イノシン、及びグアノシンの混合物の測定方法を実施した。測定には日立7080形自動分析機を使用した。パラメーターはサンプル5μl、R1として[組成物1]を100μl、R2として[組成物2]を100μl、測定主波長は340nm、測定副波長は405nm、1ポイントエンド、10分反応、0−31とし、精製水によるブランクを差し引いた。試料としてアデノシン、イノシン、及びグアノシンの1:1:1混合物を合計濃度で図11の横軸の範囲となるように調整して、測定した結果を図11に示した。BthNKを使用した組成物で、アデノシン、イノシン、及びグアノシン混合物の測定が実施できた。
[組成物1]
20mM リン酸カリウム緩衝液pH7.0
10mM ATP(pH7)
20mM 塩化マグネシウム
0.025U/ml BthNK
50mM KCl
[組成物2]
20mM リン酸カリウム緩衝液pH7.0
20mM グルコース
20mM 塩化マグネシウム
50mM KCl
5mM NADP
5U/ml グルコース6リン酸デヒドロゲナーゼ
5U/ml ADP依存性HK
<ヌクレオシドの測定>
実施例12により調製したBthNKを使用し、下記の[組成物]を作成し、アデノシン、イノシン、及びグアノシンの測定方法を実施した。測定には日立7080形自動分析機を使用した。パラメーターはサンプル3μl、R1として[組成物]を130μl、測定主波長は340nm、測定副波長は405nm、レートA、5分反応、7−9とし、精製水によるブランクを差し引いた。試料としてアデノシン、イノシン、及びグアノシンを用い、それぞれ図12〜図14の横軸の濃度範囲となるように調整して測定した結果を図12〜図14に示した。BthNKを使用した組成物で、アデノシン、イノシン、及びグアノシンの測定が実施できた。尚、レートA(RATE−A)とは測定機器(日立7080形自動分析機)の測定方法の1つであり、日立7080形自動分析機の取扱説明書を参照すれば当業者なら理解出来る。
[組成物]
50mM リン酸カリウム緩衝液pH7.0
50mM KCl
1mM ATP(pH7)
0.5mM 塩化マグネシウム
0.5mM PEP
0.1mM NADH
50U/ml ピルビン酸キナーゼ
15U/ml 乳酸脱水素酵素
2mM DTT
2.5mU/ml BthNK
<ヌクレオシドの測定>
実施例12により調製したBthNKを使用し、下記の[組成物]を作成し、アデノシン、イノシン、及びグアノシンの測定方法を実施した。測定には日立7080形自動分析機を使用した。パラメーターはサンプル3μl、R1として[組成物]を130μl、測定主波長は340nm、測定副波長は405nm、レートA、5分反応、7−9とし、精製水によるブランクを差し引いた。試料としてアデノシン、イノシン、及びグアノシンを用い、それぞれ図15〜図17の横軸の濃度範囲となるように調整して測定した結果を図15〜図17に示した。BthNKを使用した組成物で、アデノシン、イノシン、及びグアノシンの測定が実施できた。[組成物]:20mM リン酸カリウム緩衝液pH7.0、20mM グルコース、1mM ATP(pH7)、1mM 塩化マグネシウム、1mM NADP、50mM KCl、5U/ml グルコース6リン酸デヒドロゲナーゼ、5U/ml ADP依存性HK、0.6mU/ml BthNK。
実施例11により調製したBthNK、実施例12により調製したBthNK及び実施例13により調製したBthNKについて、同時に上述の理化学的性質<1>〜<4>の測定を行い、比較した。その結果、該3種類のBthNKは、上述の理化学的性質<1>〜<4>を備える酵素であることが確認できた。
<DNAの抽出>
Nutrient 2.3%、ポテト抽出液 0.2%を含む培地を使用してBacillus subtilis ATCC23857株を26℃1日間培養して菌体を得た。ペプトン 5g/L、酵母エキス 1g/L、NaCl 20g/L、クエン酸鉄 0.1g/L、塩化マグネシウム 5.9g/L、硫酸ナトリウム 3.24g/Lを工業用水で溶解しpH7.6に調整した培地を使用してOceanobacillus iheyensis DSM14731株を25℃1日間培養して菌体を得た。これらの菌体から実施例5と同様の操作でBacillus subtilis ATCC23857株及びOceanobacillus iheyensis DSM14731株のDNA標品を得た。
<PCR法による配列表配列番号8に示す遺伝子の増幅>
実施例28で得たBacillus subtilis ATCC23857株のDNAをテンプレートに配列表配列番号19と配列表配列番号20のプライマーを用いてPCRで遺伝子増幅した。PCRはKODDNAポリメラーゼを用いて常法に従って行った。得られた約1.5kbpのPCR産物は常法に従って精製した。
<PCR法による配列表配列番号10に示す遺伝子の増幅>
実施例28で得たOceanobacillus iheyensis DSM14731株のDNAをテンプレートに配列表配列番号21と配列表配列番号22のプライマーを用いてPCRで遺伝子増幅した。PCRはKODDNAポリメラーゼを用いて常法に従って行った。得られた約1.5kbpのPCR産物は常法に従って精製した。
<発現ベクターとのライゲーション>
実施例29で精製したPCR産物をXbaI及びSacIにより常法に従って制限酵素処理しインサートとした。常法に従って精製したインサートはXbaI及びSacIにより制限酵素処理し精製したpHSG399と常法に従ってライゲーションし、pHSG399/BsuIMPDHを作成した。pHSG399/BsuIMPDHを大腸菌W3110に常法に従って導入して形質転換し、コロニーダイレクトPCR法によるポジティブクローンから精製した組換体プラスミドは、DNAシーケンスによりインサート配列が正しい事を確認した。
<発現ベクターとのライゲーション>
実施例29で精製したPCR産物をXbaI及びSacIにより常法に従って制限酵素処理しインサートとした。常法に従って精製したインサートはXbaI及びSacIにより制限酵素処理し精製したpHSG399と常法に従ってライゲーションし、pHSG399/ObIMPDHを作成した。pHSG399/ObIMPDHを大腸菌W3110に常法に従って導入して形質転換し、コロニーダイレクトPCR法によるポジティブクローンから精製した組換体プラスミドは、DNAシーケンスによりインサート配列が正しい事を確認した。
<BsuIMPDHの取得>
実施例31で得た形質転換体を34μg/mlのクロラムフェニコール及び1mM IPTGを含むLB培地に植菌し、30℃で1日間培養した。培養液を遠心分離して集菌し、培養液の1/5倍量の1mM DTTを含む20mM Tris/HCl緩衝液pH7.5に懸濁し、超音波破砕して遠心分離し、粗酵素液を得た。該粗酵素液を1mM DTTを含む10mMのTris/HCl緩衝液pH8.0で平衡化したQ sep.BBに吸着させた。1mM DTTを含む10mMのTris/HCl緩衝液pH8.0で充分に洗浄した後、1mM DTT及び0又は0.5MのKClを含む10mMのTris/HCl緩衝液pH8.0を用いたリニアグラジェントにて溶出した。活性画分に最終濃度15%になるように硫酸アンモニウムを添加し、1mM DTT及び15%の硫酸アンモニウムを含む10mM リン酸カリウム緩衝液pH7.5で平衡化したPhenyl sep.FFに吸着して1mM DTT及び15又は0%の硫酸アンモニウムを含む10mM リン酸カリウム緩衝液pH7.5を用いたリニアグラジェントにて溶出した。活性画分は10mM リン酸カリウム緩衝液pH7.5で平衡化したG−25で脱塩して、Bacillus subtilis由来イノシン5’一リン酸デヒドロゲナーゼ(BsuIMPDH)を得た。1Lの培養で約10mgのBsuIMPDHを得た。
<ObIMPDHの取得>
実施例32で得た形質転換体を用いて実施例33と同様にしてOceanobacillus iheyensis由来イノシン5’一リン酸デヒドロゲナーゼ(ObIMPDH)を得た。1Lの培養で約10mgのObIMPDHを得た。
<BsuIMPDH及びObIMPDHの至適pH>
実施例33及び実施例34で調製したBsuIMPDH及びObIMPDHの至適pHを測定した。上記の活性測定法2における緩衝液をpH4.5〜6.0の範囲はクエン酸/NaOH(図18中○印)、pH6.0〜7.5の範囲はリン酸カリウム緩衝液(図18中●印)、pH7.0〜9.0の範囲はTris/HCl緩衝液(図18中△印)、pH9.5〜10.5はグリシン/NaOH(図18中□印)に変更して活性測定を行い、至適pHを測定した。図18に、最大活性を100%とした相対活性(%)を示した。図18で(A)がBsuIMPDHで、(B)がObIMPDHである。BsuIMPDH及びObIMPDHが最大の活性を示す至適pHは、pH8〜9の範囲に存在した。
<BsuIMPDH及びObIMPDHのpH安定性>
実施例33及び実施例34で調製したBsuIMPDH及びObIMPDHのpH安定性を測定した。BsuIMPDH及びObIMPDHが1mg/mlになるように100mMのpH4.5〜6.0の範囲はクエン酸/NaOH(図19中○印)、pH6.0〜7.5の範囲はリン酸カリウム緩衝液(図19中●印)、pH7.0〜9.0の範囲はTris/HCl緩衝液(図19中△印)、pH9.5〜11.0はグリシン/NaOH(図19中□印)、pH10.5〜12.5はリン酸ナトリウム緩衝液(図19中■印)に希釈して37℃で3時間加温処理した後、残存活性を活性測定法2で測定した。図19で(A)がBsuIMPDHで(B)がObIMPDHである。BsuIMPDH及びObIMPDHは37℃、3時間でpH6〜11の範囲で70%以上の活性を保持した。
<BsuIMPDH及びObIMPDHの熱安定性>
実施例33及び実施例34で調製したBsuIMPDH及びObIMPDHの熱安定性を測定した。BsuIMPDH及びObIMPDHが1mg/mlになるように1mMDTTを含む50mMリン酸カリウム緩衝液pH7.0中に希釈し、各温度で30分間熱処理した後、残存活性を活性測定法2で測定した。図20で(A)がBsuIMPDHで(B)がObIMPDHである。図20に示す通り、BsuIMPDH及びObIMPDHは1mMDTTを含む50mMリン酸カリウム緩衝液pH7.0の水溶液中、60℃、30分間の熱処理で85%以上の活性を保持する。
<BsuIMPDH及びObIMPDHの分子量>
実施例33及び実施例34で調製したBsuIMPDH及びObIMPDHのSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動法による分子量は、図21に示すように52〜54kDaであった。図21で(A)がObIMPDHで(B)がBsuIMPDHである。配列表配列番号7及び配列表配列番号9のアミノ酸配列からの計算値では、BsuIMPDHが52,990、ObIMPDHが52,487であった。
<BsuIMPDH及びObIMPDHの活性に塩が与える影響>
実施例33及び実施例34で調製したBsuIMPDH及びObIMPDHの活性を、上記の活性測定法2におけるKClの濃度を変化して測定した結果を図22の(○)で、KClを塩化アンモニウムに換えて濃度を変化して測定しした結果を図22の(●)で示した。図22で(A)がObIMPDHで(B)がBsuIMPDHである。BsuIMPDH及びObIMPDHは50〜100mMのKClや塩化アンモニウムで最大活性になった。
<BsuIMPDH及びObIMPDHのカイネティックスパラメーター>
実施例33及び実施例34で調製したBsuIMPDH及びObIMPDHを使用した。上記の活性測定法2におけるNADとイノシン5’一リン酸(表中ではIMPと表記した)の濃度をKmの1/10倍〜10倍の間で5つ以上の異なる濃度になるように調製して、ラインウェーバー・バーク逆数プロットでBsuIMPDH及びObIMPDHのVmaxとKmを測定して表4に示した。
上記の活性測定法2の反応試薬混合液中にミコフェノール酸(表中ではMPAと表記した)をKi’の1/10倍〜10倍の間で5つ以上の異なる濃度になるように調製して、ラインウェーバー・バークプロットの2次プロットでBsuIMPDH及びObIMPDHのKi’を測定して表4に示した。
上記の活性測定法2の反応試薬混合液中にリン酸化ミゾリビン、キサントシン5’一リン酸(表中ではMZR−P、XMPと表記した)、ATP、ADP、AMPをKiの1/10倍〜10倍の間で5つ以上の異なる濃度になるように調製して、ディクソンプロットでBsuIMPDH及びObIMPDHのKiを測定して表4に示した。
BsuIMPDH及びObIMPDHはミゾリビン及びリバビリンの両方で阻害され無かった。
阻害形式のUCは不拮抗阻害、COは拮抗阻害、NCは非拮抗阻害、CO+NCは拮抗阻害と非拮抗阻害の混合型であることを示す。
本実施例の結果より、BsuIMPDH及びObIMPDHは第二の反応を触媒し得る酵素、すなわち、第二の酵素であることが確認された。
<ミゾリビンの測定1>
実施例2により調製した第一の酵素を使用し、下記の[組成物]を作成し、ミゾリビンの測定方法を実施した。測定には日立7080形自動分析機を使用した。パラメーターはサンプル5μl、R1として[組成物1]を100μl、R2として[組成物2]を50μl、測定主波長は340nm、測定副波長は405nm、レートA、10分反応、23−25とした。試料としてミゾリビンをPBSでそれぞれ0〜10μMの範囲で調整して測定した結果を図23に示した。実施例2により調製した第一の酵素を使用した組成物で、ミゾリビンの測定が実施できた。
[組成物1]
30mM リン酸カリウム緩衝液pH7.0
75mM KCl
5mM ATP(pH7)
10mM 塩化マグネシウム
1mM DTT
2mM イノシン5’一リン酸
[組成物2]
50mM Tris/HCl緩衝液pH8.5
75mM KCl
10mM NAD
1mM DTT
0.2U/ml 実施例33で調製したBsuIMPDH
<リバビリンの測定>
実施例12で調整したBthNKと実施例33で調製したBsuIMPDHを使用し、下記の[組成物]を作成し、リバビリンの測定方法を実施した。測定には日立7080形自動分析機を使用した。パラメーターはサンプル10μl、R1として[組成物1]を200μl、R2として[組成物2]を100μl、測定主波長は340nm、測定副波長は405nm、レートA、10分反応、20−22とした。試料としてリバビリンをPBSでそれぞれ0〜10mMの範囲で調整して測定した結果を図24に示した。実施例12で調整したBthNKと実施例33で調製したBsuIMPDHを使用した組成物で、リバビリンの測定が実施できた。
[組成物1]
30mM リン酸カリウム緩衝液pH7.0
50mM KCl
10mM ATP(pH7)
5mM NAD
20mM 塩化マグネシウム
0.05% TX−100
4U/ml 実施例12で調整したBthNK
0.2U/ml 実施例33で調製したBsuIMPDH
1mM DTT
30mM NaCl
0.05% アジ化ナトリウム
[組成物2]
100mM Tris/HCl緩衝液pH9.0
50mM KCl
0.05% TX−100
1mM DTT
20mM イノシン5’一リン酸
0.05% アジ化ナトリウム
<ミゾリビンの測定2>
実施例11で調整したBthNKと実施例33で調製したBsuIMPDHを使用し、下記の[組成物]を作成し、ミゾリビンの測定方法を実施した。測定には日立7080形自動分析機を使用した。パラメーターはサンプル2μl、R1として[組成物1]を230μl、R2として[組成物2]を115μl、測定主波長は340nm、測定副波長は405nm、レートA、10分反応、20−22とした。試料としてミゾリビンをPBSでそれぞれ0〜40μMの範囲で調整して測定した結果を図25に示した。実施例11で調整したBthNKと実施例33で調製したBsuIMPDHを使用した組成物で、ミゾリビンの測定が実施できた。
[組成物1]
30mM リン酸カリウム緩衝液pH7.0
50mM KCl
10mM ATP(pH7)
5mM NAD
20mM 塩化マグネシウム
0.05% TX−100
0.3U/ml 実施例11で調整したBthNK
0.29U/ml 実施例33で調製したBsuIMPDH
1mM DTT
[組成物2]
100mM Tris/HCl緩衝液pH9.0
50mM KCl
0.05% TX−100
1mM DTT
20mM イノシン5’一リン酸
<ミゾリビンの測定3>
実施例11で調整したBthNKと実施例33で調製したBsuIMPDHを使用し、下記の[組成物]を作成し、ミゾリビンの測定方法を実施した。測定には日立7080形自動分析機を使用した。パラメーターはサンプル2μl、R1として[組成物1]を230μl、R2として[組成物2]を115μl、測定主波長は340nm、測定副波長は405nm、レートA、10分反応、20−22とした。0〜2μMの範囲のミゾリビンを蒸留水で希釈した試料の測定結果を図26中○で、血清(Seronorm Human(Sero社))で希釈した試料の測定結果を図26中●で示した。実施例11で調整したBthNKと実施例33で調製したBsuIMPDHを使用した組成物で、蒸留水中のミゾリビンと血清中のミゾリビンの測定が実施できた。
[組成物1]
30mM リン酸カリウム緩衝液pH7.0
50mM KCl
10mM ATP(pH7)
5mM NAD
20mM 塩化マグネシウム
0.05% TX−100
0.3U/ml 実施例11で調整したBthNK
0.06U/ml 実施例33で調製したBsuIMPDH
1mM DTT
[組成物2]
100mM Tris/HCl緩衝液pH7.0
50mM KCl
0.05% TX−100
1mM DTT
20mM イノシン5’一リン酸
<ミゾリビンの測定4>
実施例12で調整したBthNKと実施例33で調製したBsuIMPDH又は実施例34で調製したObIMPDHを使用し、下記の[組成物]を作成し、ミゾリビンの測定方法を実施した。測定には日立7080形自動分析機を使用した。パラメーターはサンプル2μl、R1として[組成物1]を230μl、R2として[組成物2]を115μl、測定主波長は340nm、測定副波長は405nm、レートA、10分反応、20−22とした。試料としてミゾリビンをPBSでそれぞれ0〜40μMの範囲で調整して、実施例33で調製したBsuIMPDHを使用した組成物1を使用した場合を図27中○、実施例34で調製したObIMPDHを使用した組成物1を使用した場合を図27中●で示した。実施例12で調整したBthNKと実施例33で調製したBsuIMPDH又は実施例34で調製したObIMPDHを使用した組成物で、ミゾリビンの測定が実施できた。
[組成物1]:
30mM リン酸カリウム緩衝液pH7.0
50mM KCl
10mM ATP(pH7)
5mM NAD
20mM 塩化マグネシウム
0.05% TX−100
0.3U/ml 実施例12で調整したBthNK
0.12U/ml 実施例33で調製したBsuIMPDH又は実施例34で調製したObIMPDH
1mM DTT
30mM NaCl
[組成物2]
100mM Tris/HCl緩衝液pH9.0
50mM KCl
0.05% TX−100
1mM DTT
20mM イノシン5’一リン酸
<ミゾリビンの測定5>
実施例12で調整したBthNKと実施例33で調製したBsuIMPDHを使用して下記の[組成物]を作成し、干渉物質が測定値に与える影響を調べた。干渉物質には国際試薬社製の干渉チェックAを使用した。図28(A)〜(D)の横軸の濃度のビリルビンC、ビリルビンF、乳ビ、ヘモグロビンを混在した血清に、ミゾリビンを2μg/mlとなるように溶かして下記の[組成物]で測定した。測定には日立7080形自動分析機を使用した。パラメーターはサンプル2.2μl、R1として[組成物1]を200μl、R2として[組成物2]を100μl、測定主波長は340nm、測定副波長は405nm、レートA、10分反応、20−22とした。実施例12で調整したBthNKと実施例33で調製したBsuIMPDHを使用した組成物で、干渉物質の影響なくミゾリビンの測定が実施できた。
[組成物1]
30mM リン酸カリウム緩衝液pH7.0
50mM KCl
10mM ATP(pH7)
5mM NAD
20mM 塩化マグネシウム
0.05% TX−100
0.4U/ml 実施例12で調整したBthNK
0.16U/ml 実施例33で調製したBsuIMPDH
1mM DTT
30mM NaCl
[組成物2]
100mM Tris/HCl緩衝液pH9.0
50mM KCl
0.05% TX−100
1mM DTT
20mM イノシン5’一リン酸
<ミゾリビンの測定6>
実施例12で調整したBthNK又は実施例13で調整したBthNKと実施例33で調製したBsuIMPDHを使用し、下記の[組成物]を作成し、ミゾリビンの測定方法を実施した。測定には日立7080形自動分析機を使用した。パラメーターはサンプル2.2μl、R1として[組成物1]を200μl、R2として[組成物2]を100μl、測定主波長は340nm、測定副波長は405nm、レートA、10分反応、20−22とした。試料としてミゾリビンをPBSでそれぞれ0〜5μg/mlの範囲で調整して、実施例12で調整したBthNKを使用した組成物1を使用した場合を図29中○、実施例13で調整したBthNKを使用した組成物1を使用した場合を図29中●で示した。実施例12で調整したBthNK又は実施例13で調整したBthNKを使用した組成物で、ミゾリビンの測定が実施できた。
[組成物1]:
30mM リン酸カリウム緩衝液pH7.0
50mM KCl
10mM ATP(pH7)
5mM NAD
20mM 塩化マグネシウム
0.4U/ml 実施例12で調整したBthNK又は実施例13で調整したBthNK0.16U/ml 実施例33で調製したBsuIMPDH
2mM DTT
30mM NaCl
0.05% TX−100
0.05% アジ化ナトリウム
[組成物2]
100mM Tris/HCl緩衝液pH9.0
50mM KCl
0.05% TX−100
2mM DTT
20mM イノシン5’一リン酸
0.05% アジ化ナトリウム
<ミゾリビンの測定7>
実施例13で調整したBthNKと実施例33で調製したBsuIMPDHを使用し、下記の[組成物]を作成し、ミゾリビンの測定方法を実施した。測定には日立7080形自動分析機を使用した。測定主波長は340nm、測定副波長は405nm、レートA、10分反応、20−22とした。パラメーターをサンプル2μl、R1として[組成物1]を200μl、R2として[組成物2]を100μlとした場合は、0〜7.5μg/mlの範囲をPBSで調整した試料を測定した(図30(A))。パラメーターをサンプル5μl、R1として[組成物1]を100μl、R2として[組成物2]を50μlとした場合は、0〜0.5μg/mlの範囲をPBSで調整した試料を測定した(図30(B))。実施例13で調整したBthNKを使用した組成物で、0〜7.5μg/mlの範囲と0〜0.5μg/mlの範囲のミゾリビンが測定できた。
[組成物1]
30mM リン酸カリウム緩衝液pH7.0
50mM KCl
10mM ATP(pH7)
5mM NAD
20mM 塩化マグネシウム
0.05% TX−100
0.4U/ml 実施例13で調整したBthNK
0.12U/ml 実施例33で調製したBsuIMPDH
1mM DTT
30mM NaCl
[組成物2]
100mM Tris/HCl緩衝液pH9.0
50mM KCl
0.05% TX−100
1mM DTT
20mM イノシン5’一リン酸
<ミゾリビンの測定8>
実施例11で調整したBthNKと実施例33で調製したBsuIMPDHを使用し、下記の[組成物]を作成し、ミゾリビンの測定方法を実施した。測定には日立7080形自動分析機を使用した。測定主波長は340nm、測定副波長は405nm、レートA、10分反応、20−22とした。パラメーターはサンプル5μl、R1として[組成物1]を100μl、R2として[組成物2]を50μlとした。試料としてミゾリビン(0〜2μM)を血清で希釈調整した場合を図31の●、血球を蒸留水で5倍希釈した血球破壊液で希釈調整した場合を図31の○で示した。実施例11で調整したBthNKと実施例33で調製したBsuIMPDHを使用した組成物で、血清希釈の血球破壊液希釈のミゾリビンが0〜2μMの範囲のミゾリビンが測定できた。
[組成物1]
30mM Tris/HCl緩衝液pH7.5
50mM KCl
10mM ATP(pH7)
5mM イノシン5’一リン酸
20mM 塩化マグネシウム
0.05% TX−100
0.1U/ml 実施例11で調整したBthNK
[組成物2]
100mM Tris/HCl緩衝液pH9.0
50mM KCl
10mM NAD
0.05% TX−100
1mM DTT
0.06U/ml 実施例33で調製したBsuIMPDH
<ミゾリビンの測定9>
ヒト血清40検体に0.5〜6.9μg/mlの範囲でミゾリビンを添加し試料とした。該試料を実施例12で調整したBthNKと実施例33で調製したBsuIMPDHを使用し、下記の[組成物]を使用して血清中ミゾリビンを測定した結果(本発明のミゾリビン測定方法)と、実施例1に記載のHPLCを使用する方法(HPLCによるミゾリビン測定)で血清中ミゾリビンを測定した結果を比較した。図32で示すように、本発明のミゾリビン測定方法(X軸)とHPLCによるミゾリビン測定(Y軸)は、相関式が約Y=1.1X+0.09だった。本発明のミゾリビン測定方法は、HPLCによるミゾリビン測定方法と同等の正確性であることが確認された。
[組成物1]
30mM リン酸カリウム緩衝液pH7.0
50mM KCl
10mM ATP(pH7)
5mM NAD
20mM 塩化マグネシウム
0.05% TX−100
0.19U/ml 実施例12で調整したBthNK
0.16U/ml 実施例33で調製したBsuIMPDH
1mM DTT
30mM NaCl
[組成物2]
100mM Tris/HCl緩衝液pH9.0
50mM KCl
0.05% TX−100
1mM DTT
20mM イノシン5’一リン酸
<リン酸化ミゾリビンの測定>
実施例33で調製したBsuIMPDHを使用し、下記の[組成物]を作成し、リン酸化ミゾリビンの測定方法を実施した。測定には日立7080形自動分析機を使用した。パラメーターはサンプル2μl、R1として[組成物1]を230μl、R2として[組成物2]を115μl、測定主波長は340nm、測定副波長は405nm、レートA、10分反応、20−22とした。0〜35μMの範囲のリン酸化ミゾリビンを蒸留水で希釈した試料の測定結果を図33に示した。実施例33で調製したBsuIMPDHを使用した組成物で、蒸留水中のリン酸化ミゾリビンの測定が実施できた。
[組成物1]
30mM リン酸カリウム緩衝液pH7.0
50mM KCl
5mM NAD
0.05% TX−100
0.16U/ml 実施例33で調製したBsuIMPDH
1mM DTT
[組成物2]
100mM Tris/HCl緩衝液pH7.0
50mM KCl
0.05% TX−100
1mM DTT
20mM イノシン5’一リン酸
<ミゾリビンの測定10>
ミゾリビンを投与されている患者から採血した血清47検体を試料とした。実施例12で調整したBthNKと実施例33で調製したBsuIMPDHを使用し、下記の[組成物]を使用して血清中ミゾリビンを測定した結果(本発明のミゾリビン測定方法)と、Journal of chromatography、432巻、1988年、340−345頁に記載のHPLCを使用する方法(HPLCによるミゾリビン測定)で血清中ミゾリビンを測定した結果を比較した。図34で示すように、本発明のミゾリビン測定方法(Y軸)とHPLCによるミゾリビン測定(X軸)は、相関式が約Y=1.1X+0.06だった。本発明のミゾリビン測定方法は、HPLCによるミゾリビン測定方法と同等の正確性であることが確認された。
[組成物1]
30mM リン酸カリウム緩衝液pH6.0
50mM KCl
10mM ATP(pH7)
5mM NAD
20mM 塩化マグネシウム
0.05% TX−100
0.19U/ml 実施例12で調整したBthNK
0.16U/ml 実施例33で調製したBsuIMPDH
1mM DTT
30mM NaCl
[組成物2]
100mM Tris/HCl緩衝液pH9.0
50mM KCl
0.05% TX−100
1mM DTT
20mM イノシン5’一リン酸
<第一の酵素の比較>
実施例33で調製したBsuIMPDH、実施例2で調製したMethanocaldococcus jannaschii由来の第一の酵素、又は、実施例3で調製したArchaeoglobus fulgidus由来の第一の酵素、又は、実施例12で調整したBthNKを使用し、下記の[組成物]を作成し、1μg/mlのミゾリビンを測定した。測定には日立7080形自動分析機を使用した。パラメーターはサンプル5μl、R1として[組成物1]を100μl、R2として[組成物2]を50μl、測定主波長は340nm、測定副波長は405nm、レートA、10分反応、20−22とした。
その結果、実施例2で調製したMethanocaldococcus jannaschii由来の第一の酵素を使用した場合、約80mAbs/分(9.3mAbs/分/mg)、実施例3で調製したArchaeoglobus fulgidus由来の第一の酵素を使用した場合、約80mAbs/分(16.7mAbs/分/mg)、実施例12で調整したBthNKを使用した場合、約200mAbs/分(100mAbs/分/mg)の感度が得られた。この結果から、実施例12で調整したBthNKは、少なくとも、実施例2で調製した第一の酵素に対して10.7倍以上、実施例3で調製した第一の酵素に対して6倍以上の効率でミゾリビンをリン酸化している事が分かった。又この結果と、実施例4の結果を考え合わせると、実施例12で調整したBthNKはマウス由来のアデノシンキナーゼ、又は、ヒト由来のアデノシンキナーゼの、21倍以上の効率でミゾリビンをリン酸化している事が予想される。このように、Archaeoglobus fulgidus由来の第一の酵素、Methanocaldococcus jannaschii由来の第一の酵素、マウス由来のアデノシンキナーゼ、ヒト由来のアデノシンキナーゼも、本発明のミゾリビン及び/又はリバビリンの測定方法における第一の酵素として使用することが可能であるが、通常はその酵素の使用量を増やす必要があることから、BthNKが本発明の第一の酵素としては最適であることが分かった。
[組成物1]
30mM リン酸カリウム緩衝液pH7.0
75mM KCl
5mM ATP(pH7)
5mM 塩化マグネシウム
1mM イノシン5’一リン酸
1mM DTT
8.6mg/ml 実施例2で調製した第一の酵素、又は、
4.8mg/ml 実施例3で調製した第一の酵素、又は、
2.0mg/ml 実施例12で調整したBthNK
[組成物2]
50mM Tris/HCl緩衝液pH8.5
75mM KCl
10mM NAD
1mM DTT
0.3U/ml 実施例33で調製したBsuIMPDH
<第二の酵素の変異体作成>
実施例28、実施例29、及び実施例31と同様の方法でpHSG399/BsuIMPDHを作成した。該pHSG399/BsuIMPDHをテンプレートとして、配列表配列番号25、配列表配列番号26、配列表配列番号27、及び配列表配列番号28のプライマーを用いて、PCRを用いた常法や実施例28、実施例29、及び実施例31と同様の方法にてBsuIMPDHの2アミノ酸変異体をコードする塩基配列を含むプラスミドであるpHSG399/BsuIMPDH[V432I、K449I]を調整した。同様に、配列表配列番号29、配列表配列番号30、配列表配列番号31、配列表配列番号32、配列表配列番号33、配列表配列番号34、配列表配列番号35、配列表配列番号36、配列表配列番号37、及び配列表配列番号38のプライマーを用いて、BsuIMPDHの5アミノ酸変異体をコードする塩基配列を含むプラスミドであるpHSG399/BsuIMPDH[D29N、S33Y、T158S、T270A、V387E]を調整した。同様に、BsuIMPDHの1アミノ酸変異体をコードする塩基配列を含むプラスミドであるpHSG399/BsuIMPDH K345N及びpHSG399/BsuIMPDH L367Iを調整した。実施例31と同様の方法で得たそれぞれの形質転換体を34μg/mlのクロラムフェニコール及び1mM IPTGを含むLB培地に植菌し、30℃で1日間培養した。その結果pHSG399/BsuIMPDH、pHSG399/BsuIMPDH[V432I、K449I]、pHSG399/BsuIMPDH K345N、pHSG399/BsuIMPDH[D29N、S33Y、T158S、T270A、V387E]、及びpHSG399/BsuIMPDH L367Iの形質転換体の培養力価はそれぞれ0.64U/ml、1.57U/ml,2.69U/ml、2.82U/ml、及び3.09U/mlであった。これらの置換により、本発明の第二の酵素の製造方法において、本発明の第二の酵素の生産量が向上した。
<赤血球中のミゾリビンの測定>
ヘパリン採血した全血5mlにミゾリビンを10μg/mlになるように添加し、37度でインキュベートした。インキュベート開始後、表5に示した時間に、インキュベートしている全血を0.5mlずつサンプリングして血漿と血球を遠心分離した。血球は生理的食塩水で3回洗浄した後、0.5mlの蒸留水に懸濁して超音波破砕し、Ultrafree−MC Centrifugal Filter Units Biomax−10でろ過した。得られた血漿とろ過液のミゾリビンの濃度を実施例52と同様の方法で測定した。結果を表5に示すように、赤血球中のミゾリビンの測定が出来た。
<白血球中のミゾリビンの測定>
マウスリンパ腫L5178Y細胞をDMEM(GIBCO)500ml、FBS(GIBCO)、ペニシリン100U、ストレプトマイシン100μg/mlからなる培地で培養し、細胞浮遊液濃度3×106個/mlとした。これにミゾリビンを5又は10μg/mlになるように添加し、さらに37度で3又は18時間培養した。培養液20mlを遠心上清と細胞に遠心分離した。細胞は1mlのPBSで3回洗浄した後、0.5mlの蒸留水に懸濁して超音波破砕し、Ultrafree−MC Centrifugal Filter Units Biomax−10でろ過した。得られた遠心上清とろ過液のミゾリビンの濃度を実施例52と同様の方法で測定した。結果を表6に示すように、白血球中のミゾリビンの測定が出来た。
<白血球中のリン酸化ミゾリビンの測定>
実施例56と同様のマウスリンパ腫L5178Y細胞浮遊液濃度3×106個/mlにミゾリビンを表8に示した濃度になるように添加して、さらに37度で4時間培養した。実施例56と同様の方法で細胞破砕ろ過液を得た。得られたろ過液のミゾリビンの濃度を実施例52と同様の方法で、リン酸化ミゾリビンの濃度を実施例51と同様の方法で測定した。ミゾリビンの濃度測定結果を表7に示し、リン酸化ミゾリビンの濃度測定結果を表8に示した。白血球中のミゾリビンとリン酸化ミゾリビンの測定が出来た。
<本発明の測定方法の同時再現性>
実施例52で使用したミゾリビンを投与されている患者から採血した血清47検体の中から任意の10検体を選び、本発明の測定方法の同時再現性(n=5)を測定した。ミゾリビンの測定方法は実施例52と同様の方法で行った。〔表9〕に平均、2S.D.(標準偏差)、CV(%)(変動係数)を示した。CV(%)が大きくても1%で、本発明のミゾリビン測定方法は、同時再現性の良い方法であることがわかった。
<キャリブレーション試薬の作成>
3.75%シュークロース、0.5%マンニトール、及び4.5%NaClからなる水溶液に約25、15、又は5μg/mlの濃度になるようにミゾリビンを溶解して、キャリブレーション試薬の凍結乾燥用母液を作成した。これらを0.6mlずつ凍結乾燥用バイアルに分注して、常法にて凍結乾燥視してキャリブレーション試薬を完成した。本キャリブレーション試薬は3mlの蒸留水で溶解して使用する。キャリブレーション試薬中のミゾリビン濃度をHPLC法にて測定したところ、25μg/mlの凍結乾燥用母液濃度で作成したキャリブレータは4.90μg/ml、15μg/mlの凍結乾燥用母液濃度で作成したキャリブレータは3.40μg/ml、5μg/mlの凍結乾燥用母液濃度で作成したキャリブレータは1.01μg/mlであった。
<本発明の測定方法の日内差と日間差>
実施例59で作成したキャリブレーション試薬を実施例52と同様の方法で測定して、本発明の測定方法の日内差と日間差を測定した。日内差は同日内5回測定、日間差は同日内1回測定を5日間連続して行い計算した。その結果、〔表10〕に示すように、日内差のCV(%)の平均は0.64%、日間差のCV(%)の平均は1.67%だった。J.Chromato.、432巻、340頁、1988年に記載のHPLC法の日内差と日間差が2.503%と3.898%と報告されているので、本発明のミゾリビン測定方法は、HPLC法と同等以上に精度良く測定できる方法であった。
Claims (12)
- 下記(1)、(2)及び(3)の各工程を含むミゾリビン及び/又はリバビリンの測定方法。
(1)下記の作用を有する第一の酵素の存在下、試料中に含まれている可能性のあるミゾリビン及び/又はリバビリンをリン酸化する第一の反応を含む工程、
作用;
少なくともリン酸供与体存在下で、ミゾリビンをリン酸化ミゾリビンとする反応、又はリバビリンをリン酸化リバビリンとする反応の少なくともいずれかの反応を触媒する
(2)上記第一の反応とは別異の反応であって以下<a>〜<c>のいずれかの第二の反応を触媒する第二の酵素の存在下、第二の反応を進行させるに際して、上記第一の反応の結果生じた該リン酸化ミゾリビン及び/又はリン酸化リバビリンと第二の酵素を接触させて該リン酸化ミゾリビン及び/又はリン酸化リバビリンの存在量に応じて第二の反応が阻害される工程、
<a>ミゾリビンで阻害されず、かつ、上記第一の反応により生ずるリン酸化ミゾリビンで阻害される反応
<b>リバビリンで阻害されず、かつ、上記第一の反応により生ずるリン酸化リバビリンで阻害される反応
<c>ミゾリビン及びリバビリンの両方で阻害されず、かつ、上記第一の反応により生ずるリン酸化ミゾリビン及びリン酸化リバビリンの両方で阻害される反応
(3)第二の反応の阻害程度を検出する工程。 - 下記(1)、(2)及び(3)の各工程を含む請求項1に記載のミゾリビンの測定方法。
(1)下記の作用を有する第一の酵素の存在下、試料中に含まれている可能性のあるミゾリビンをリン酸化する第一の反応を含む工程、
作用;
少なくともリン酸供与体存在下で、ミゾリビンをリン酸化ミゾリビンとする反応を触媒する
(2)上記第一の反応とは別異の反応であって、ミゾリビンで阻害されず、かつ、上記第一の反応により生ずるリン酸化ミゾリビンで阻害される反応である該第二の反応を触媒する第二の酵素の存在下、第二の反応を進行させるに際して、上記第一の反応の結果生じた該リン酸化ミゾリビンと第二の酵素を接触させて該リン酸化ミゾリビンの存在量に応じて第二の反応が阻害される工程、
(3)第二の反応の阻害程度を検出する工程。 - 下記(1)、(2)及び(3)の各工程を含む請求項1に記載のリバビリンの測定方法。
(1)下記の作用を有する第一の酵素の存在下、試料中に含まれている可能性のあるリバビリンをリン酸化する第一の反応を含む工程、
作用;
少なくともリン酸供与体存在下で、リバビリンをリン酸化リバビリンとする反応を触媒する
(2)上記第一の反応とは別異の反応であって、リバビリンで阻害されず、かつ、上記第一の反応により生ずるリン酸化リバビリンで阻害される反応である該第二の反応を触媒する第二の酵素の存在下、第二の反応を進行させるに際して、上記第一の反応の結果生じた該リン酸化リバビリンと第二の酵素を接触させて該リン酸化リバビリンの存在量に応じて第二の反応が阻害される工程、
(3)第二の反応の阻害程度を検出する工程。 - 第一の酵素が、Burkholderia thailandensis由来である請求項1〜3のいずれかに記載の測定方法。
- 第二の酵素が、イノシン5'一リン酸デヒドロゲナーゼである請求項2〜4のいずれかに記載の測定方法。
- 第二の酵素が、Bacillus subtilis又はOceanobacillusiheyensis由来である請求項2〜5のいずれかに記載の測定方法。
- 下記の成分を含むミゾリビン及び/又はリバビリンの測定用の組成物であって、(A4−1)〜(A4−3)の3成分のうちのいずれか1つ以上が測定直前に合一される、前記組成物。
(A1)ミゾリビン及び/又はリバビリンをリン酸化する第一の反応を触媒する第一の酵素
(A2)リン酸供与体
(A3)金属イオン
(A4−1)上記第一の反応とは別異の反応であって以下<a>〜<c>のいずれかの第二の反応を触媒する第二の酵素、
<a>ミゾリビンで阻害されず、かつ、上記第一の反応により生ずるリン酸化ミゾリビンで阻害される反応
<b>リバビリンで阻害されず、かつ、上記第一の反応により生ずるリン酸化リバビリンで阻害される反応
<c>ミゾリビン及びリバビリンの両方で阻害されず、かつ、上記第一の反応により生ずるリン酸化ミゾリビン及びリン酸化リバビリンの両方で阻害される反応
(A4−2)イノシン5'一リン酸、及び
(A4−3)NAD(P)類 - 下記の成分を含むミゾリビン測定用の組成物であって、(A4−1)〜(A4−3)の3成分のうちのいずれか1つ以上が測定直前に合一される、前記組成物。
(A1)ミゾリビンをリン酸化する第一の反応を触媒する第一の酵素
(A2)リン酸供与体
(A3)金属イオン
(A4−1)上記第一の反応とは別異の反応を触媒し、ミゾリビンには阻害されず、リン酸化ミゾリビンで阻害される第二の酵素
(A4−2)イノシン5'一リン酸、及び、
(A4−3)NAD(P)類 - 下記の成分を含むリバビリン測定用の組成物であって、(A4−1)〜(A4−3)の3成分のうちのいずれか1つ以上が測定直前に合一される、前記組成物。
(A1)リバビリンをリン酸化する第一の反応を触媒し得る第一の酵素
(A2)リン酸供与体
(A3)金属イオン
(A4−1)上記第一の反応とは別異の反応を触媒し、リバビリンには阻害されず、リン酸化リバビリンで阻害される第二の酵素
(A4−2)イノシン5'一リン酸、及び
(A4−3)NAD(P)類 - ミゾリビン及び/又はリバビリンをリン酸化する第一の反応を触媒する第一の酵素が、Burkholderia thailandensis由来である請求項7〜9のいずれかに記載の組成物。
- 第二の反応を触媒し得る第二の酵素が、イノシン5'一リン酸デヒドロゲナーゼである請求項7〜10のいずれかに記載の組成物。
- 第二の反応を触媒する第二の酵素が、Bacillus subtilis又はOceanobacillus iheyensis由来である請求項7〜11のいずれかに記載の組成物。
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