JP5601682B2 - ダイボンド用接着フィルム、及びこれを用いた半導体装置 - Google Patents

ダイボンド用接着フィルム、及びこれを用いた半導体装置 Download PDF

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Description

本発明は、接着剤組成物から得られるダイボンド用接着フィルムに関する。本発明のダイボンド用接着フィルムは、半導体チップと電極部材の固着材料として用いられるダイボンド用接着フィルムとして有用である。また本発明は、当該ダイボンド用接着フィルムを用いた半導体装置に関する。
従来、半導体装置の製造過程においてリードフレームや電極部材への半導体チップの固着には、銀ペーストが用いられている。かかる固着処理は、リードフレームのダイパッド等の上にペースト状接着剤を塗工し、それに半導体チップを搭載してペースト状接着剤層を硬化させて行う。
しかしながら、ペースト状接着剤はその粘度挙動や劣化等により塗工量や塗工形状等に大きなバラツキを生じる。その結果、形成されるペースト状接着剤厚は不均一となるため半導体チップに係わる固着強度の信頼性が乏しい。すなわち、ペースト状接着剤の塗工量が不足すると半導体チップと電極部材との間の固着強度が低くなり、後続のワイヤーボンディング工程で半導体チップが剥離する。一方、ペースト状接着剤の塗工量が多すぎると半導体チップの上までペースト状接着剤が流延して特性不良を生じ、歩留まりや信頼性が低下する。このような固着処理における問題は、半導体チップの大型化に伴って特に顕著なものとなっている。そのため、ペースト状接着剤の塗工量の制御を頻繁に行う必要があり、作業性や生産性に支障をきたす。
このペースト状接着剤の塗工工程において、ペースト状接着剤をリードフレームや形成チップに別途塗布する方法がある。しかし、この方法では、ペースト状接着剤層の均一化が困難であり、またペースト状接着剤の塗布に特殊装置や長時間を必要とする。このため、ダイシング工程で半導体ウエハを接着保持するとともに、マウント工程に必要なチップ固着用の接着剤層をも付与するダイボンドフィルムが提案されている(たとえば、特許文献1参照。)。
このダイボンドフィルムは、支持基材上に接着剤層を剥離可能に設けてなるものであり、その接着剤層による保持下に半導体ウエハをダイシングしたのち、支持基材を延伸して形成チップを接着剤層とともに剥離し、これを個々に回収してその接着剤層を介してリードフレームなどの被着体に固着させるようにしたものである。
また、エポキシ樹脂およびエポキシ樹脂硬化剤を含むダイボンドフィルムを提案している(たとえば、特許文献2参照。)。かかるエポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤を含むダイボンドフィルムには、硬化させるため、予め硬化促進剤を配合する必要がある。しかし、硬化促進剤を含むダイボンドフィルムは、貯蔵安定性が悪い。そのため、配合後の可使時間が極めて短くなり、作業効率が低下する問題があった。
特開昭60−57342号公報 特開2002−212522号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、たとえば、半導体チップと電極部材との固着にあたっては、塗工量のバラツキがなく安定した固着強度を与えることができ、かつ貯蔵安定性に優れた接着フィルムを形成しうる接着剤組成物から得られるダイボンド用接着フィルムを提供することを目的とする。また本発明は、前記ダイボンド用接着フィルムを用いた半導体装置を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、下記ダイボンド用接着フィルムにより、上記目的を達成できることを見出し本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下の通りである。
1. エポキシ樹脂(A)、フェノール樹脂(B)、合成ゴム(C)および、下記一般式(1):

(一般式(1)中、Rはアルキル基を示す。)で表される有機リン系化合物を含有する硬化促進剤(D)、を含有する接着剤組成物から形成されている接着フィルムを用いた、ダイボンド用接着フィルムであって、
前記エポキシ樹脂(A)が、下記一般式(4):

(一般式(4)中、Gはグリシジル基を示し、Rは−Hまたは−CH3を示し、nは1以上の整数を示す。)で表されるノボラック型エポキシ樹脂を主成分とするもの、下記一般式(5):

(一般式(5)中、Rは−Hまたは−CH3を示す。)で表されるビフェニル型エポキシ樹脂を主成分とするもの、下記一般式(6):

(一般式(6)中、Gはグリシジル基を示し、Rは−Hまたは−CH3を示し、nは0または1以上の整数を示す。)で表されるトリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂を主成分とするもの、又は、下記一般式(7):

(一般式(7)中、Gはグリシジル基を示し、R1、R2はそれぞれ独立に−Hまたは−CH3を示す。)で表されるテトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂を主成分とするものの何れかであることを特徴とするダイボンド用接着フィルム。
2. 前記有機リン系化合物が、下記一般式(2):

で表される有機リン系化合物であることを特徴とする上記1記載のダイボンド用接着フィルム。
3. 前記有機リン系化合物が、下記一般式(3):

で表される有機リン系化合物であることを特徴とする上記1または2記載のダイボンド用接着フィルム。
4. 合成ゴム(C)が、下記の一般式(10):

(一般式(10)中、x:y=1〜99:1〜99である。)で表される繰り返し単位を主要構成成分とするアクリロニトリル−ブタジエンゴムであることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載のダイボンド用接着フィルム。
5. 合成ゴム(C)が、下記の一般式(11):

(一般式(11)中、Rは−Hまたは−CH3を示し、x:y:z=1〜98:1〜98:1〜98である。)で表される繰り返し単位を主要構成成分とするカルボキシル化アクリロニトリル−ブタジエンゴムであることを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載のダイボンド用接着フィルム。
6. 合成ゴム(C)成分が、下記の一般式(12):

(一般式(12)中、Rは一価の有機基を示し、xは1以上の整数である。)で表される繰り返し単位を主要構成成分とするカルボキシル化アクリルゴムであることを特徴とする上記1〜5のいずれかに記載のダイボンド用接着フィルム。
7. さらに、無機充填剤を含有してなることを特徴とする上記1〜6のいずれかに記載のダイボンド用接着フィルム。
8. 上記1〜7のいずれかに記載のダイボンド用接着フィルムと粘着フィルムとが積層されていることを特徴とするダイボンド用積層接着フィルム。
9. 上記1〜7のいずれかに記載のダイボンド用接着フィルムを用いて半導体素子がダイボンドされていることを特徴とする半導体装置。
(作用効果)
上記本発明の接着剤組成物では、上記一般式(1)乃至(3)で表される有機リン系化合物を含有する硬化促進剤(D)を使用している。かかる接着剤組成物から形成される接着フィルムは(D)成分の存在により硬化反応を制御することができる。たとえば、当該接着フィルムをダイボンド用接着フィルムとして用いると、電極部材上に厚さ等が均一な優れた接着剤層を形成することができる。すなわち、塗工量のバラツキがなく安定した固着強度の接着剤層を形成することができる。また前記接着剤組成物および粘着シートは貯蔵安定性に優れているため、塗工時の作業性、生産性が向上する。さらには、貯蔵安定性に優れているため、低温で半導体チップの固着処理が可能であり、半導体装置の製造において、後続のワイヤーボンディング接続や樹脂モールド封止等の処理に耐え得る。
エポキシ樹脂(A)は、接着剤組成物として一般に用いられるものを特に制限なく使用できる。例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型、臭素化ビスフェノールA型、水添ビスフェノールA型、ビスフェノールAF型、ビフェニル型、ナフタレン型、フルオレン型、フェノールノボラック型、オルソクレゾールノボラック型、トリスヒドロキシフェニルメタン型、テトラフェニロールエタン型等の二官能エポキシ樹脂や多官能エポキシ樹脂、およびヒダントイン型、トリスグリシジルイソシアヌレート型等のグリシジルアミン型等のエポキシ樹脂が用いられる。これらエポキシ樹脂は1種を単独で、または2種以上を併用して用いられる。
これらのなかでも硬化剤であるフェノール樹脂(B)との反応に富み、耐熱性等に優れる点で、ノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂等が好ましい。
特に、上記一般式(4)で表されるノボラック型エポキシ樹脂、上記一般式(5)で表されるビフェニル型エポキシ樹脂、上記一般式(6)で表されるトリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂および上記一般式(7)で表されるテトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂から選ばれるいずれか少なくとも1種を主成分として含有するものが好ましい。なお、一般式(4)で表されるノボラック型エポキシ樹脂、一般式(6)で表されるトリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂において、nは、接着フィルムの流動性確保の点から、0〜1000が好ましく、さらには0〜500が好ましい。
上記フェノール樹脂(B)は、上記エポキシ樹脂(A)の硬化剤として作用するものである。例えば、フェノールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、クレゾールノボラック樹脂、tert−ブチルフェノールノボラック樹脂、ノニルフェノールノボラック樹脂等のノボラック型フェノ−ル樹脂、レゾール型フェノール樹脂、ポリパラオキシスチレン等のポリオキシスチレン等があげられる。これらフェノール樹脂は1種を単独で、または2種以上を併用して用いられる。
これらのなかでも、半導体装置の接続信頼性を向上させることができる点で、下記一般式(8)で表されるフェノールノボラック樹脂および/または下記一般式(9)で表されるフェノールアラルキル樹脂を主成分とするものが特に好ましい。なお、一般式(8)で表されるフェノールノボラック樹脂、一般式(9)で表されるフェノールアラルキル樹脂において、nは、接着フィルムの流動性確保の点から、0〜1000が好ましく、さらには0〜500が好ましい。

(一般式(8)中、nは0または1以上の整数を示す。)

(一般式(9)中、nは0または1以上の整数を示す。)
上記エポキシ樹脂(A)とフェノール樹脂(B)の配合割合は、特に制限されないが、例えば、上記エポキシ樹脂(A)中のエポキシ基1当量当たりフェノール樹脂(B)中の水酸基が0.5〜2当量程度になるように配合することが好適である。より好適には0.8〜1.2当量である。両者の配合割合が上記範囲内において、十分に硬化反応が進み、良好な特性のエポキシ樹脂硬化物が得られる。
上記合成ゴム(C)は、接着剤組成物として一般に用いられるものを特に制限なく使用できる。なかでも前記エポキシ樹脂(A)やフェノール樹脂(B)との相溶性に優れる点で、上記一般式(10)で表される繰り返し単位を主要構成成分とするアクリロニトリル−ブタジエンゴム、上記一般式(11)で表される繰り返し単位を主要構成成分とするカルボキシル化アクリロニトリル−ブタジエンゴム、上記一般式(12)で表される繰り返し単位を主要構成成分とするカルボキシル化アクリロニトリル−ブタジエンゴムが特に好ましい。これら合成ゴム(C)1種を単独で、または2種以上を併用して用いられる。
なお、一般式(10)で表される繰り返し単位を主要構成成分とするアクリロニトリル−ブタジエンゴムにおいて、x:y=10〜90:10〜90、さらには20〜80:20〜80であるのが好ましい。一般式(11)で表される繰り返し単位を主要構成成分とするカルボキシル化アクリロニトリル−ブタジエンゴムにおいて、x:y:z=10〜89:10〜89:1〜80、さらには20〜78:20〜78:2〜60であるのが好ましい。一般式(12)で表される繰り返し単位は、当該カルボキシル化アクリルゴムにおける構成成分の20重量%以上、さらには40重量%以上であるのが好ましい。またRの有機基としては、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等のアルキル基等があげられる。なお、一般式(10)、一般式(11)、一般式(12)はいずれも、構成成分を便宜上ブロック単位で表しているが、これら構成単位はランダム、ブロックのいずれであってもよい。
上記合成ゴム(C)の使用割合は、特に制限されないが、通常、接着剤組成物全体(溶剤を除いた有機固形分)の5〜95重量%程度であるのが好ましい。より好ましくは10〜90重量%、さらに好ましくは20〜80重量%である。すなわち、合成ゴム(C)の使用割合が5重量%以上の場合に、フィルム形成性(自立フィルム形成性)が良好である。一方、多くなりすぎると、エポキシ樹脂(A)の割合が少なくなり、熱硬化が十分進行しないおそれがあることから95重量%以下に調整するのが好ましい。
なお、本発明の接着剤組成物には、前記例示の合成ゴム(C)のほかに、ゴム成分として、例えば、天然ゴム、ブチルゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体等を併用することができる。これらゴム成分は、1種を単独で、または2種以上を併用して用いられる。これらゴム成分は、接着剤組成物を溶解するために使用する有機溶剤に溶解できる範囲内で用いることができる。
本発明の接着剤組成物は硬化促進剤(D)として、前記一般式(1)で表される第四級ホスホニウムのテトラ置換フェニルボレートが用いられる。なお、一般式(1)中のRはアルキル基であり、アルキル基の炭素数としては、1〜6程度であるのが好ましい。さらにはアルキル基の炭素数1〜3が好ましい。前記一般式(2)で表される第四級ホスホニウムのテトラ置換フェニルボレートのように、Rがメチル基の場合は合成が容易である点で好ましい。また、Rの置換位置は特に制限されないがフェニル基の4位であるのが、立体障害がなく安定である点で好ましい。硬化促進剤(D)としては、前記一般式(3)で表される第四級ホスホニウムのテトラ置換フェニルボレートが好適である。第四級ホスホニウムのテトラ置換フェニルボレートの具体例としては、たとえば、テトラフェニルホスホニウム・テトラ(2−メチルフェニル)ボレート、テトラフェニルホスホニウム・テトラ(3−メチルフェニル)ボレート、テトラフェニルホスホニウム・テトラ(4−メチルフェニル)ボレート、テトラフェニルホスホニウム・テトラ(4−エチルフェニル)ボレート、テトラフェニルホスホニウム・テトラ(4−プロピルフェニル)ボレート、テトラフェニルホスホニウム・テトラ(4−ブチルフェニル)ボレート、テトラフェニルホスホニウム・テトラ(4−ペンチルフェニル)ボレート、テトラフェニルホスホニウム・テトラ(4−ヘキシルフェニル)ボレートなどがあげられる。これら硬化促進剤は、1種を単独で、または2種以上を併用して用いられる。
上記硬化促進剤(D)の使用量は、特に制限されないが、エポキシ樹脂(A)とフェノール樹脂(B)の合計100重量部に対して0.2〜6重量部の割合となるよう設定することが好ましい。より好ましくは1〜4.5重量部である。すなわち、硬化促進剤(D)の使用量が0.2重量部以上の場合、ダイボンド用接着剤組成物の硬化反応性が良好である。一方、6重量部以下の場合は貯蔵安定性が良好である。
また本発明の接着剤組成物にはその用途に応じて、上記(A)〜(D)成分とともに無機充填剤を適宜に配合することができる。上記無機充填剤としては、導電性の付与や熱伝導性の向上、弾性率の調節などを図るため、例えば、シリカ、クレー、石膏、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、酸化ベリリウム、炭化珪素、窒化珪素等のセラミック類、アルミニウム、銅、銀、金、ニッケル、クロム、鉛、錫、亜鉛、パラジウム、半田などの金属、または合金類、その他カーボンなどからなる種々の無機粉末があげられる。これらは1種を単独で、または2種以上を併用して用いられる。これらのなかでも、シリカ、特に溶融シリカが好適に用いられる。また、無機充填剤としては、平均粒径が0.1〜80μmのものを用いることが好ましい。
上記無機充填剤の配合量は、エポキシ樹脂(A)、フェノール樹脂(B)および合成ゴム(C)の合計100重量部に対し0〜80重量部に設定することが好ましい。特に好ましくは0〜70重量部である。
なお、本発明の接着剤組成物には上記(A)〜(D)成分、無機充填剤以外に、必要に応じて他の添加剤を適宜に配合することができる。他の添加剤としては、例えば難燃剤、シランカップリング剤、チタン系カップリング剤、ノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、シリコーン系添加剤、イオントラップ剤等などの各種添加剤を必要に応じて添加してもよい。
上記難燃剤としては、例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、臭素化エポキシ樹脂等があげられる。これらは1種を単独で、または2種以上を併用して用いられる。
上記シランカップリング剤としては、例えば、β−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン、7−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、7−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等があげられる。これらは1種を単独で、または2種以上を併用して用いられる。
上記イオントラップ剤としては、例えば、ハイドロタルサイト類、水酸化ビスマス等があげられる。これらは1種を単独で、または2種以上を併用して用いられる。
本発明の接着フィルムは、例えば、次のようにして作製することができる。すなわち、前記(A)〜(D)成分およびその他必要に応じて無機充填剤等の各成分を所定量配合した接着剤組成物を、従来公知の有機溶剤に溶解させ、溶解装置を用いて均一に混合、分散して、液状ワニス(無機充填剤を使用する場合は分散液)等の接着剤組成物溶液を作製する。一方、支持体を予め準備し、この支持体上に従来公知の塗工機等を用いて上記接着剤組成物溶液を塗工した後、これを乾燥する。そして、上記支持体上に生成した接着剤組成物をその支持体から剥離することにより、目的とする接着フィルムを作製することができる。
上記溶解装置としては、例えば、フラスコ装置、ホモミキサ−装置等があげられる。また上記塗工機としては、熱風循環式乾燥装置を有するものが好ましい。上記溶解装置および塗工機には、安全上、環境保全上の点で、排気装置.溶剤回収装置等を取り付けて作業することが好ましい。
上記支持体としては、特に限定されるものではなく、例えば、絶縁性フィルム、金属箔等があげられる。
絶縁性フィルム基材としては、ポリイミド基材、ポリエステル基材、ポリエチレンテレフタレート基材、フッ素樹脂製フィルム基材などの、耐熱性や耐薬品性を有するフィルム基材であればいずれも用いることができる。また、上記フィルム基材は、表面をシリコーン処理したフィルム基材および表面をシリコーン処理していないフィルム基材のいずれも使用することができる。なお、上記絶縁性フィルム基材としては、ポリエチレンテレフタレート基材が好ましい。
また、金属箔としてはアルミニウム、銅、銀、金、ニッケル、インジウム、クロム、鉛、錫、亜鉛、パラジウム等があげられる。これらは1種を単独で、または合金として用いてもよい。
前記の絶縁性フィルムと金属箔は、それぞれ単独で用いてもよく、また両者を2層以上積層した、例えば金属箔/絶縁性フィルムなどの2層基材を用いてもよい。このような2層基材としては、例えば銅/ポリイミド2層基材などがあげられる。
上記有機溶剤としては、接着剤組成物の形成材料である各成分を溶解できるものであれば特に限定はないが、低沸点溶剤を用いることが好ましい。上記有機溶剤としては、ケトン系溶剤、グリコールジエーテル系溶剤、含窒素系溶剤等があげられる。これらは1種を単独で、または2種以上を併用して用いられる。また、有機溶剤の一部は、接着剤組成物の各成分の溶解性を損なわない範囲で炭化水素系溶剤、エステル系溶剤、多価アルコール誘導体を使用してもよい。
上記ケトン系溶剤としては、特に限定はない。例えば、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、ジ−n−プロピルケトン、シクロへキサノン、アセトフェノン等があげられる。これらは1種を単独で、または2種以上を併用して用いられる。これらのなかでも、蒸発速度を早めるという点で、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロへキサノン、アセトフェノンが好適に用いられる。
上記グリコールジエーテル系溶剤としては、特に限定はない。例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル等があげられる。これらは1種を単独で、または2種以上を併用して用いられる。
上記炭化水素系溶剤としては、特に限定はない。例えば、トルエン、キシレン等があげられる。上記エステル系溶剤としては、特に限定はなく、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル等があげられる。上記多価アルコール誘導体としては、特に限定はなく、例えばプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等があげられる。これらは1種を単独で、または2種以上を併用して用いられる。
本発明の接着フィルムの厚さは、一般には1〜200μmである。接着フィルムはシート状、テープ状のいずれでもよい。また接着フィルムの形状や大きさはリードフレームや半導体チップなど、被着体に応じて適宜に変更することができる。また接着フィルムを予めフィルム形状に形成しておき、これをプレスなどにより前記支持体にラミネートしてもよい。
前記接着フィルムは、粘着フィルム(粘着剤層)を積層した積層接着フィルムとすることができる。前記接着フィルムは、たとえば、ダイボンド用接着フィルムとして用いることができ、粘着フィルムを積層した積層接着フィルムはダイシング・ダイボンド用の接着フィルムとして用いることができる。
積層接着フィルムは、通常、支持基材上に設けられた粘着フィルム上に接着フィルムが積層されている。すなわち、積層接着フィルムは、支持基材/粘着フィルム/接着フィルムの順に積層されている。
粘着フィルムの形成に用いる粘着剤は特に制限されず各種粘着剤を用いることができる。なかでも、放射線硬化型粘着剤が好適である。放射線硬化型粘着剤は、紫外線等の放射線の照射により架橋度を増大させてその粘着力を容易に低下させることができる。
放射線硬化型粘着剤は、炭素−炭素二重結合等の放射線硬化性の官能基を有し、かつ粘着性を示すものを特に制限なく使用することができる。放射線硬化型粘着剤としては、たとえば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤等の一般的な感圧性粘着剤に、放射線硬化性のモノマー成分やオリゴマー成分を配合した添加型の放射線硬化性粘着剤を例示できる。ダイシング・ダイボンド用接着フィルムにおいては、前記感圧性粘着剤としては、半導体ウエハやガラス等の汚染を避ける点、電子部品の超純水やアルコール等の有機溶剤による清浄洗浄性などの点から、アクリル系ポリマーをベースポリマーとするアクリル系粘着剤が好ましい。
前記アクリル系ポリマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(例えば、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、イソブチルエステル、s−ブチルエステル、t−ブチルエステル、ペンチルエステル、イソペンチルエステル、ヘキシルエステル、ヘプチルエステル、オクチルエステル、2−エチルヘキシルエステル、イソオクチルエステル、ノニルエステル、デシルエステル、イソデシルエステル、ウンデシルエステル、ドデシルエステル、トリデシルエステル、テトラデシルエステル、ヘキサデシルエステル、オクタデシルエステル、エイコシルエステルなどのアルキル基の炭素数1〜30、特に炭素数4〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキルエステルなど)及び(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル(例えば、シクロペンチルエステル、シクロヘキシルエステルなど)の1種又は2種以上を単量体成分として用いたアクリル系ポリマーなどがあげられる。なお、(メタ)アクリル酸エステルとはアクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルをいい、本発明の(メタ)とは全て同様の意味である。
前記アクリル系ポリマーは、凝集力、耐熱性などの改質を目的として、必要に応じ、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル又はシクロアルキルエステルと共重合可能な他のモノマー成分に対応する単位を含んでいてもよい。このようなモノマー成分として、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸などのカルボキシル基含有モノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸などの酸無水物モノマー;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリル、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシル基含有モノマー;スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸などのスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートなどのリン酸基含有モノマー;アクリルアミド、アクリロニトリルなどがあげられる。これら共重合可能なモノマー成分は、1種又は2種以上使用できる。これら共重合可能なモノマーの使用量は、全モノマー成分の40重量%以下が好ましい。
さらに、前記アクリル系ポリマーは、架橋させるため、多官能性モノマーなども、必要に応じて共重合用モノマー成分として含むことができる。このような多官能性モノマーとして、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートなどがあげられる。これらの多官能性モノマーも1種又は2種以上用いることができる。多官能性モノマーの使用量は、粘着特性等の点から、全モノマー成分の30重量%以下が好ましい。
前記アクリル系ポリマーは、単一モノマー又は2種以上のモノマー混合物を重合に付すことにより得られる。重合は、溶液重合、乳化重合、塊状重合、懸濁重合等の何れの方式で行うこともできる。清浄な被着体への汚染防止等の点から、低分子量物質の含有量が小さいのが好ましい。この点から、アクリル系ポリマーの数平均分子量は、好ましくは30万以上、さらに好ましくは40万〜300万程度である。
また、前記粘着剤には、ベースポリマーであるアクリル系ポリマー等の数平均分子量を高めるため、外部架橋剤を適宜に採用することもできる。外部架橋方法の具体的手段としては、ポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物、メラミン系架橋剤などのいわゆる架橋剤を添加し反応させる方法があげられる。外部架橋剤を使用する場合、その使用量は、架橋すべきベースポリマーとのバランスにより、さらには、粘着剤としての使用用途によって適宜決定される。一般的には、上記ベースポリマー100重量部に対して、5重量部程度以下、さらには0.1〜5重量部配合するのが好ましい。さらに、粘着剤には、必要により、前記成分のほかに、従来公知の各種の粘着付与剤、老化防止剤などの添加剤を用いてもよい。
配合する放射線硬化性のモノマー成分としては、たとえば、ウレタンオリゴマー、ウレタン(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリストールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレートなどがあげられる。また放射線硬化性のオリゴマー成分はウレタン系、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリブタジエン系など種々のオリゴマーがあげられ、その分子量が100〜30000程度の範囲のものが適当である。放射線硬化性のモノマー成分やオリゴマー成分の配合量は、前記粘着剤層の種類に応じて、粘着剤層の粘着力を低下できる量を、適宜に決定することができる。一般的には、粘着剤を構成するアクリル系ポリマー等のベースポリマー100重量部に対して、例えば5〜500重量部、好ましくは40〜150重量部程度である。
また、放射線硬化型粘着剤としては、上記説明した添加型の放射線硬化性粘着剤のほかに、ベースポリマーとして、炭素−炭素二重結合をポリマー側鎖または主鎖中もしくは主鎖末端に有するものを用いた内在型の放射線硬化性粘着剤があげられる。内在型の放射線硬化性粘着剤は、低分子成分であるオリゴマー成分等を含有する必要がなく、または多くは含まないため、経時的にオリゴマー成分等が粘着剤中を移動することなく、安定した層構造の粘着剤層を形成することができるため好ましい。
前記炭素−炭素二重結合を有するベースポリマーは、炭素−炭素二重結合を有し、かつ粘着性を有するものを特に制限なく使用できる。このようなベースポリマーとしては、アクリル系ポリマーを基本骨格とするものが好ましい。アクリル系ポリマーの基本骨格としては、前記例示したアクリル系ポリマーがあげられる。
前記アクリル系ポリマーへの炭素−炭素二重結合の導入法は特に制限されず、様々な方法を採用できるが、炭素−炭素二重結合はポリマー側鎖に導入するのが分子設計が容易である。たとえば、予め、アクリル系ポリマーに官能基を有するモノマーを共重合した後、この官能基と反応しうる官能基および炭素−炭素二重結合を有する化合物を、炭素−炭素二重結合の放射線硬化性を維持したまま縮合または付加反応させる方法があげられる。
これら官能基の組合せの例としては、カルボン酸基とエポキシ基、カルボン酸基とアジリジル基、ヒドロキシル基とイソシアネート基などがあげられる。これら官能基の組合せのなかでも反応追跡の容易さから、ヒドロキシル基とイソシアネート基との組合せが好適である。また、これら官能基の組み合わせにより、上記炭素−炭素二重結合を有するアクリル系ポリマーを生成するような組合せであれば、官能基はアクリル系ポリマーと前記化合物のいずれの側にあってもよいが、前記の好ましい組み合わせでは、アクリル系ポリマーがヒドロキシル基を有し、前記化合物がイソシアネート基を有する場合が好適である。この場合、炭素−炭素二重結合を有するイソシアネート化合物としては、たとえば、メタクリロイルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネートなどがあげられる。また、アクリル系ポリマーとしては、前記例示のヒドロキシ基含有モノマーや2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングルコールモノビニルエーテル等のエーテル系化合物などを共重合したものが用いられる。
前記内在型の放射線硬化性粘着剤は、前記炭素−炭素二重結合を有するベースポリマー(特にアクリル系ポリマー)を単独で使用することができるが、特性を悪化させない程度に前記放射線硬化性のモノマー成分やオリゴマー成分を配合することもできる。放射線硬化性のオリゴマー成分等は、通常ベースポリマー100重量部に対して30重量部の範囲内であり、好ましくは0〜10重量部の範囲である。
前記放射線硬化型粘着剤には、紫外線等により硬化させる場合には光重合開始剤を含有させる。光重合開始剤としては、例えば、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、α−ヒドロキシ−α,α´−ジメチルアセトフェノン、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのα−ケトール系化合物;メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフエノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)−フェニル]−2−モルホリノプロパン−1などのアセトフェノン系化合物;ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、アニソインメチルエーテルなどのベンゾインエーテル系化合物;ベンジルジメチルケタールなどのケタール系化合物;2−ナフタレンスルホニルクロリドなどの芳香族スルホニルクロリド系化合物;1−フェノン−1,1―プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシムなどの光活性オキシム系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3′−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系化合物;チオキサンソン、2−クロロチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、2,4−ジメチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジクロロチオキサンソン、2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソンなどのチオキサンソン系化合物;カンファーキノン;ハロゲン化ケトン;アシルホスフィノキシド;アシルホスフォナートなどがあげられる。光重合開始剤の配合量は、粘着剤を構成するアクリル系ポリマー等のベースポリマー100重量部に対して、例えば0.05〜20重量部程度である。
また放射線硬化型粘着剤としては、たとえば、特開昭60−196956号公報に開示されている、不飽和結合を2個以上有する付加重合性化合物、エポキシ基を有するアルコキシシランなどの光重合性化合物と、カルボニル化合物、有機硫黄化合物、過酸化物、アミン、オニウム塩系化合物などの光重合開始剤とを含有するゴム系粘着剤やアクリル系粘着剤などがあげられる。
前記粘着フィルムの厚さは、特に限定されないが、1〜50μm程度であるのが好ましい。好ましくは2〜30μm、さらには5〜25μmが好ましい。
粘着フィルムを積層する支持基材は、ダイシング・ダイボンド用の接着フィルムの強度母体となるものである。例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、ランダム共重合ポリプロピレン、ブロック共重合ポリプロピレン、ホモポリプロレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル(ランダム、交互)共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド、全芳香族ポリアミド、ポリフェニルスルフイド、アラミド(紙)、ガラス、ガラスクロス、フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、セルロース系樹脂、シリコーン樹脂、金属(箔)、紙などがあげられる。
また支持基材の材料としては、前記樹脂の架橋体などのポリマーがあげられる。前記プラスチックィルムは、無延伸で用いてもよく、必要に応じて一軸または二軸の延伸処理を施したものを用いてもよい。延伸処理等により熱収縮性を付与した樹脂シートによれば、ダイシング後にその支持基材を熱収縮させることにより粘着フィルムと接着フィルムとの接着面積を低下させて、チップ状ワークの回収の容易化を図ることができる。
支持基材の表面は、隣接する層との密着性、保持性などを高めるため、慣用の表面処理、例えば、クロム酸処理、オゾン暴露、火炎暴露、高圧電撃暴露、イオン化放射線処理等の化学的または物理的処理、下塗剤(例えば、後述する粘着物質)によるコーティング処理を施すことができる。
前記支持基材は、同種または異種のものを適宜に選択して使用することができ、必要に応じて数種をブレンドしたものを用いることができる。また、支持基材には、帯電防止能を付与するため、上記の支持基材上に金属、合金、これらの酸化物などからなる厚さが30〜500Å程度の導電性物質の蒸着層を設けることができる。支持基材は単層あるいは2種以上の複層でもよい。なお、粘着フィルムが放射線硬化型の場合にはX線、紫外線、電子線等の放射線を少なくとも一部透過するものを用いる。
支持基材の厚さは、特に制限されず適宜に決定できるが、一般的には5〜200μm程度である。
次に、本発明のダイボンド用接着フィルムを用いた、半導体素子の接着方法について説明する。本発明のダイボンド用接着フィルムは、リール等に巻回した長尺状態のリボンとするのが好ましい。これを、カッターなど適宜の手段により所定の寸法(長さや形状等)に切断し、厚さや量などの均一性に優れた接着剤層を供給する。
このようにして形成した切断片は電極部材、例えばリードフレームのダイパッド上に仮接着され、その上に半導体チップを載せて加熱する。加熱処理は、例えばヒーター、超音波、紫外線など、公知の適宜の手段を用いてよい。加熱温度は通常は50〜300℃、好ましくは100〜250℃であり、加熱時間は0.1秒間〜30分間、好ましくは0.5秒間〜3分間である。このような加熱により、接着剤層中のエポキシ樹脂(A)を硬化させ、半導体チップと電極部材とを固着する。
また本発明の接着フィルムは、ダイシング・ダイボンド用の接着フィルムとして用いることができる。ダイボンド接着フィルムは仮接着用装置上に固定し、シリコンウエハの片面をダイボンド用接着フィルムに室温〜90℃にて仮接着して固定する。次いで、ダイボンド用接着フィルムが接着フィルム単体の場合は、前記ダイシング用粘着フィルム(上記支持基材上に粘着フィルムを形成したもの)をダイボンド用接着フィルム面に貼り付ける。なお、ダイボンド用接着フィルムと粘着フィルムとが積層されている、ダイシング・ダイボンド用接着フィルムを用いる場合には、上記のダイシング用粘着フィルムを貼りつける工程は必要ない。
次いで、ダイシング装置により、ダイシング・ダイボンド用接着フィルムが仮接着されたシリコンウエハを半導体チップに切断する。次いで、粘着フィルムと接着フィルムの界面を剥離して、ダイボンド用接着フィルム(接着剤層)を保持した半導体チップを得る。粘着フィルムが放射線硬化型粘着剤により形成されている場合には、放射線の照射により、界面の粘着力を低下させる。このようにして、接着剤層が仮接着された半導体チップを電極部材、例えばリードフレームのダイパッド上に載せて加熱する。なお、加熱処理は通常前記と同様の手段、処理条件で行うことができる。
なお、前記では半導体ウエハを、被切断体として例示したが、被切断体としては、他に、例えば、多層基板、一括封止モジュールなどがあげられる。また半導体素子としては、リードドフレームの他に、TABフィルム、基板または別途作製したチップ状ワークなどがあげられる。
以下に、本発明を実施例および比較例をあげて説明する。なお、各例中、部は重量部である。各例で用いた成分を下記に示す。
〔エポキシ樹脂(A)〕
A1:一般式(4)で表されるノボラック型エポキシ樹脂(但し、Rは−CH、nは1以上の整数、エポキシ当量195g/eq、軟化点80℃)
A2:一般式(5)で表されるビフェニル型エポキシ樹脂(但し、Rは−CH、エポキシ当量190g/eq、軟化点105℃)
A3:一般式(6)で表されるトリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂(但し、Rは−H、nは0または1以上の整数、エポキシ当量174当量/eq、軟化点53℃)
A4:一般式(7)で表されるテトラフェニロ−ルエタン型エポキシ樹脂(但し、RおよびRはいずれも−Hであり、エポキシ当量187g/eq、軟化点82℃)
〔フェノール樹脂(B)〕
B1:一般式(8)で表されるフェノールノボラック樹脂(但し、nは0または1以上の整数、水酸基当量106g/eq、軟化点60℃)
B2:一般式(9)で表されるフェノールアラルキル樹脂(但し、nは0または1以上の整数、水酸基当量175当量/eq、軟化点60℃)
〔合成ゴム(C)〕
C1:一般式(10)で表される繰り返し単位を主要構成成分とするアクリロニトリル−ブタジエンゴム(但し、アクリロニトリル含有量40重量%)
C2:一般式(11)で表される繰り返し単位を主要構成成分とするカルボキシル化アクリロニトリル−ブタジエンゴム(但し、Rは−CH、アクリロニトリル含有量27重量%、結合カルボキシル基量0.027当量/100g)
C3:一般式(12)で表される繰り返し単位を主要構成成分とするカルボキシル化アクリルゴム(但し、Rは−CHCHを示し、ムーニー粘度40poise)
〔硬化促進剤(D)〕
D1:テトラフェニルホスホニウム・テトラ(4−メチルフェニル)ボレート
D2:テトラフェニルホスホニウム・テトラ(4−エチルフェニル)ボレート
〔硬化促進剤(E)〕
E1:トリフェニルホスフィン
E2:テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート
E3:1,8−ジアザビシクロ〔5,4,0〕ウンデセン−7
〔無機充填剤〕
平均粒径0.5μmの球状溶融シリカ
実施例1〜9、比較例1〜4
上記各成分を下記表1に示す割合で配合し、撹拌装置付きガラスフラスコ中でメチルエチルケトンを用いて溶解し、接着剤組成物溶液(濃度20重量%)を作製した。次いで、この接着剤組成物溶液を、表面をシリコーン処理したポリエチレンテレフタレート基材(厚み50μm)上に、コンマ方式の塗工機を用いて塗工し、120℃にて加熱、乾燥を行った。次いで、上記ポリエチレンテレフタレート基材から剥離することにより目的とする厚み25μmの接着フィルムを作製した。
得られた実施例1〜9および比較例1〜4の接着フィルムを用いて、下記に示す基準に従い、保存前後のせん断接着力の評価を行った。結果を表2に示す。
〔せん断接着力測定〕
接着フィルムとシリコンチップとのせん断接着力をつぎのようにして測定した。すなわち、得られた接着フィルムをセパレータから剥離除去した後、一辺が3cmの正方形に切断した。このフィルムを2mm×2mm×760μmにダイシングしたシリコンチップ(パッシべ−ション:窒化ケイ素)と3cm×5cmの大きさのガラスエポキシ基板の間に挟み、フリップチップボンダ−(渋谷工業製,DB100)を用いて100〜150℃の温度下で荷重(0.25MPa)をかけて、1秒間加熱して接着した。さらに150℃の熱風乾燥機にて60分間硬化させた後、そのせん断接着力を常温(23℃)にて測定した。
〔保存性評価〕
接着フィルムを40℃の温度条件下にて1週間放置した。この放置後の接着フィルムを用い、上記と同様の方法にて、せん断接着力を測定した。上記の初期せん断接着力と保存後のせん断接着力から、下記式により、せん断接着力保持率(%)を算出した。
せん断接着力保持率(%)=(保存後せん断接着力)/(初期せん断接着力)×100
上記表2の結果から、全実施例は初期のせん断接着力が高く、せん断接着力保持率(%)が高いことが分かる。しかしながら、硬化促進剤(D)を使用していない比較例は初期のせん断接着力は実施例と同様で、十分高い値を示すが、せん断接着力保持率(%)が低いことが分かる。

Claims (10)

  1. エポキシ樹脂(A)、フェノール樹脂(B)、合成ゴム(C)および、下記一般式(1):
    (一般式(1)中、Rはアルキル基を示す。)で表される有機リン系化合物を含有する硬化促進剤(D)、を含有する接着剤組成物から形成されている接着フィルムを用いた、ダイボンド用接着フィルムであって、
    前記エポキシ樹脂(A)が、下記一般式(4):
    (一般式(4)中、Gはグリシジル基を示し、Rは−Hまたは−CH3を示し、nは1以上の整数を示す。)で表されるノボラック型エポキシ樹脂を主成分とするもの、下記一般式(5):
    (一般式(5)中、Rは−Hまたは−CH3を示す。)で表されるビフェニル型エポキシ樹脂を主成分とするもの、下記一般式(6):
    (一般式(6)中、Gはグリシジル基を示し、Rは−Hまたは−CH3を示し、nは0または1以上の整数を示す。)で表されるトリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂を主成分とするもの、又は、下記一般式(7):
    (一般式(7)中、Gはグリシジル基を示し、R1、R2はそれぞれ独立に−Hまたは−CH3を示す。)で表されるテトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂を主成分とするものの何れかであることを特徴とするダイボンド用接着フィルム。
  2. 前記有機リン系化合物が、下記一般式(2):
    で表される有機リン系化合物であることを特徴とする請求項1記載のダイボンド用接着フィルム。
  3. 前記有機リン系化合物が、下記一般式(3):
    で表される有機リン系化合物であることを特徴とする請求項1または2記載のダイボンド用接着フィルム。
  4. 合成ゴム(C)が、下記の一般式(10):
    (一般式(10)中、x:y=1〜99:1〜99である。)で表される繰り返し単位を主要構成成分とするアクリロニトリル−ブタジエンゴムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のダイボンド用接着フィルム。
  5. 合成ゴム(C)が、下記の一般式(11):
    (一般式(11)中、Rは−Hまたは−CH3を示し、x:y:z=1〜98:1〜98:1〜98である。)で表される繰り返し単位を主要構成成分とするカルボキシル化アクリロニトリル−ブタジエンゴムであることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のダイボンド用接着フィルム。
  6. 合成ゴム(C)成分が、下記の一般式(12):
    (一般式(12)中、Rは一価の有機基を示し、xは1以上の整数である。)で表される繰り返し単位を主要構成成分とするカルボキシル化アクリルゴムであることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のダイボンド用接着フィルム。
  7. 硬化促進剤(D)の含有量が、エポキシ樹脂(A)とフェノール樹脂(B)の合計100重量部に対して0.2〜6重量部であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のダイボンド用接着フィルム。
  8. さらに、無機充填剤を含有してなることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のダイボンド用接着フィルム。
  9. 請求項1〜のいずれかに記載のダイボンド用接着フィルムと粘着フィルムとが積層されていることを特徴とするダイボンド用積層接着フィルム。
  10. 請求項1〜のいずれかに記載のダイボンド用接着フィルムを用いて半導体素子がダイボンドされていることを特徴とする半導体装置。
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