以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態のレンズ鏡筒の要部の斜視図、図2は、図1のレンズ鏡筒からマニュアル操作リングを取り外した状態の斜視図、図3は、レンズ鏡筒の要部の分解斜視図、図4は、図1のレンズ鏡筒の横断面図である。又、図5は、図1のレンズ鏡筒の図4と異なる位置での要部の拡大横断面図、図6は、レンズ鏡筒の要部の展開図である。
この実施形態のレンズ鏡筒1は、鏡筒本体10と、鏡筒本体10に付設された検出装置5a、5b(図5、図6に示す)とを備えている。鏡筒本体10は、円筒状の固定筒2と、オートフォーカス動作部と、マニュアルフォーカス動作部と、固定筒2に保持されたレンズ31、32と、出力リング4と、レンズ31を駆動操作するレンズ駆動操作部材8、9とを備えている。
固定筒2の外周側には、円筒状の後カバー21(図4に図示、図1〜図3では省略している)が配設されており、固定筒2は、その外周側が後カバー21によって覆われている。
オートフォーカス動作部は、モータ61と、制御部62と、オート用入力リング63とを備えている。モータ61は、この実施形態では、図4に示すようにステータ61aと、ステータ61aに摩擦駆動されるローター61bと、ローター61bの駆動に伴い回転する出力軸61cとを有する棒状超音波モータから構成されている。又、出力軸61cは、その先端に、第1ギア61dを備えている。
このように構成されたモータ61は、出力軸61cを固定筒2の軸方向に沿わされるようにして、固定筒2の外周側に設けられたモータ設置部61eに設置されて固定筒2に取り付けられている。
制御部62は、例えば検出装置5a、5bによって得られた信号に基づいて後述のマニュアル操作リング72の回転に関する情報を得てフオーカス制御し、又、モータ61と通電可能に接続されてモータ61の制御等を行なう。
この制御部62は、固定筒2の外周側におけるモータ設置部61eの周方向側に設けられた制御設置部62aに、モータ61の近傍に互いに周方向に隣接するようにして配設されて固定筒2に取付けられている。尚、図1、図2及び図5では、制御部62の基板のみ表し、基板に配設された電子部品を省略している。
このようにして、モータ61と制御部62とを互いに近接させて互いに筒部2の周方向に隣接するように配設することにより、両者の電気接続を容易に行い得るようにしている。
オート用入力リング63は、円筒状のものから構成されている。この実施形態では、オート用入力リング63は、筒本体63aと、ギアリング63bとから構成されている。筒本体63aには、フランジ63cが設けられている。このフランジ63cは、その前面側に、後述の転動ローラー42bが転動する第1ローラー転動部63dを備えている。
ギアリング63bは、外周の全周に渡って、上記出力軸61cの第1ギア61dと噛合する第2ギア63eを備えている。そして、このギアリング63bは、その内周に、筒本体63aの外周が嵌め入れられるようにして筒本体63aの後部側に装着されている。
このように構成されたオート用入力リング63は、固定筒2の外周に、固定筒2に設けられたオート用入力リング受け部材64によって受けられるようにして、固定筒2の軸まわりに回転自在に配設されている。
詳しくは、図4、図5に示すように、固定筒2の外周には、3つのオート用入力リング受け部材64が設けられている。この実施形態におけるオート用入力リング受け部材64は、夫々、ボールベアリングから構成され、固定筒2の周方向に等間隔に配設されている。
そして、オート用入力リング63の筒本体63aの端面がオート用入力リング受け部材64に当接するようにして受けられている。これにより、オート用入力リング63は、オート用入力リング受け部材64によって、固定筒2に対する軸方向(光軸Z方向)の位置決めがされるとともに、その位置で固定筒2に対して円滑に回転可能とされている。尚、オート用入力リング受け部材64は、ボールベアリングから構成される形態のものに限らず、ピン等から構成することもでき、適宜変更できる。
又、この状態で、オート用入力リング63の第2ギア63eと第1ギア61dとが噛合し、第1ギア61dの回転に伴って、オート用入力リング63が固定筒2の外周を回転するようになっている。なお、第1ギアと第2ギアの間に噛合する減速ギアを設け、減速比を任意に設定しても良い。
尚、この実施形態では、オート用入力リング63を、筒本体63aと、筒本体63aと別体のギアリング63bとから構成したが、両者を一体的に形成したものであっても良く、適宜変更できる。
ただし、上記のようにオート用入力リング63を、筒本体63aとギアリング63bとから構成すれば、後述の転動ローラー42bとの当接を含む軸方向の係合を筒本体63aで担い、ギア連結のみをギアリング63bで行なうため、2部品の組込み精度が不要で、更には、筒本体63aを金属部材、ギアリング63bを成形部材で形成すれば、小型、安価でかつ高精度が得られる点で有利である。
マニュアルフォーカス動作部は、マニュアル用入力リング71と、マニュアル用入力リング71を操作するマニュアル駆動操作部材としてのマニュアル操作リング72とを備えている。
マニュアル用入力リング71は、リング板状のものから構成されており、後面に、後述の転動ローラー42bが転動する第2ローラー転動部71aを備えている。そして、このマニュアル用入力リング71は、固定筒2の軸方向におけるオート用入力リング63の前方側に、固定筒2の軸まわりに回転自在に配設されている。
マニュアル操作リング72は、円筒状のものから構成され、鏡筒本体10に設けられた筒状の前カバー25と上記後カバー21との間に配設され、それらに回転自在に保持されている。
又、このマニュアル操作リング72の内周側には、一体的に形成されたリング板状のフランジ72bが設けられている。このフランジ72bの後面に、リング操作部72aを備えており、このリング操作部72aによって、マニュアル用入力リング71が前方側から、後述の付勢部材11を介して操作される。
次に、レンズ3について説明する。この実施形態のレンズ3は、固定筒2に対して可動する可動レンズ31と、固定筒2に対して可動しない固定レンズ32とを備えている。
可動レンズ31は、1枚のレンズ又は複数のレンズ群から構成される。この可動レンズ31は、レンズ保持部材31aによって保持されている。又、レンズ保持部材31aは、円柱状の突片31bを備えている。
そして、レンズ保持部材31aは、この突片31bが固定筒2の軸方向に沿って設けられたレンズ摺動溝22(長溝)内に摺動可能に嵌め入れられるようにして、固定筒2の内周に保持されている。これにより、可動レンズ31は、固定筒2の軸方向に移動可能とされている。また、この状態で、光軸Zと固定筒2の軸が一致しており、上記オート用入力リング63及びマニュアル用入力リング71は、光軸Zを中心にして光軸Zまわりに回転する。
固定レンズ32は、この実施形態では、可動レンズ31の前後両側夫々に配設されるようにして、固定筒2の内周に保持されている。
なお、可動レンズを、互いに異なる動作をする複数のものから構成してもよい。又、固定レンズ32を設けない形態のものでもよく、適宜変更しうる。又、突片31bとレンズ摺動溝22との数は、特に限定されず、1セットから構成してもよいが、複数セット設けることが好ましい。より好ましくは、各3セットである。
次に、出力リング4について説明する。出力リング4は、円筒状のものから構成されている。又、出力リング4には、出力リング4に保持された少なくとも3つ(この実施形態では、3つ)の連動部材42が付設されている。
連動部材42は、出力リング4と上記オート用入力リング63とを連動させるとともに、出力リング4と上記マニュアル用入力リング71とを連動させるもので、連動部材42の夫々は、ローラー軸42aと、転動ローラー42bとを備えている。各転動ローラー42bは、ローラー軸42aに回転自在に支持されている。
又、転動ローラー42bを支持したローラー軸42aは、転動ローラー42bを出力リング4の外周側に、その軸方向を固定筒2の軸と直交(光軸Zと直交)する方向に配設するようにして出力リング4に取り付けられている。又、この状態で、転動ローラー42bは、出力リング4の軸方向の前後両端面の夫々から軸方向に突出している。又、このようにして出力リング4に取り付けられた3つの連動部材42は、出力リング4の周方向に等間隔になるように配設されている。
このように構成された出力リング4は、固定筒2の軸方向におけるオート用入力リング63とマニュアル用入力リング71との間に、固定筒2に対して出力リング4が固定筒2の軸まわり(光軸Zまわり)に回転自在になるように、固定筒2の外周側に配設されている。
又、この状態で、転動ローラー42bは、オート用入力リング63の第1ローラー転動部63dとマニュアル用入力リング71の第2ローラー転動部71aとの間に配設され、付勢部材11によって両者に加圧状態で挟持されている。
詳しくは、マニュアル操作リング72の操作部72aとマニュアル用入力リング71との間に、波板リング状のスプリングからなる付勢部材11が設けられており、この付勢部材11によって、マニュアル用入力リング71は、後方側のオート用入力リング63のフランジ63c側に付勢されている。
そして、この付勢力により、マニュアル用入力リング71の第2ローラー転動部71aが転動ローラー42bを押圧し、この押圧によって転動ローラー42bがオート用入力リング63の第1ローラー転動部63dを押圧している。これにより、転動ローラー42bは、第1ローラー転動部63dと第2ローラー転動部71aとに、一定の付勢力がかかった状態で挟持されている。尚、転動ローラー42bに押圧されたオート用入力リング63は、オート用入力リング受け部材64に受けられた状態に維持される。
次に、レンズ駆動操作部材8,9について説明する。レンズ駆動操作部材8,9は、可動レンズに連結された筒状のレンズ操作環8と、レンズ操作環8と出力リング4との夫々に連結された2つの連結部材としての連結レバー9とを備えている。
レンズ操作環8には、3つの周溝81と、3つのカム溝82との2種類の溝が設けられている。周溝81は、レンズ操作環8を、固定筒2の軸まわり(光軸Zまわり)に回転可能且つ軸方向移動不能にするためのもので、レンズ操作環8の後部側における周方向の3箇所に配設されており、各周溝81は、周方向に沿って所定長さで形成された長穴状のものから構成されている。
カム溝82は、レンズ操作環8の回転に際して可動レンズ31を固定筒2の軸方向に駆動させるためのもので、周溝81夫々の近傍の3箇所に配設されており、各カム溝82は、軸方向及び周方向に対して所定の角度をなして、周方向に隣接する2つの周溝81、81の間から、その内の一方の周溝81の前方側に所定の長さで延ばされた長穴状のものから構成されている。
そして、レンズ操作環8は、固定筒2の後部側の外周側に回転自在に嵌め入れられるとともに、周溝81夫々に、固定筒2に設けられた摺動片23が相対移動可能に嵌め入れられ、更に、カム溝82夫々に、上記レンズ摺動溝22に入り込んだ突片31bの先端が移動可能に嵌め入れられている。
連結レバー9は、夫々、長尺状の第1片91と、長尺状の第2片92とから構成されている。第2片92は、第1片91の後端(第1端)に、その長手方向が第1片91の長手方向と直交するように一体的に連結されており、第1片91と第2片92とでT字状の金属製の薄板状体から構成されている。
第1片91の前端(第2端)には、係合部としての係合溝91aが設けられている。この係合溝91aは、第1片91の前端面から所定の幅及び長さで形成されている。そして、この係合溝91aに、出力リング4に設けられた円柱状の係合片43が嵌め入れられることにより、第1片91の前端が出力リング4に回動自在に係合されるようになっている。
このようにして連結されたレンズ駆動操作部材と出力リングとを回転方向のみガタなく連結でき、軸方向に拘束力が発生しないものにできる。
第2片92の長手方向の両端(第1端と第2端)には、夫々、レンズ操作環8に固定するための固定部が設けられている。この実施形態では、固定部は、ボルト93を通すボルト挿通孔92aから構成されている。
このように構成された連結レバー9は、レンズ操作環8及び出力リング4の外周側に、互いに周方向に180°のピッチで等間隔に配設されている。また、第2片92における出力リング側とは反対側の後端面92bがレンズ駆動環8に設けられた連結部材用の位置決め部84に当接して位置決めされている。これにより、光軸Z方向の位置決めとともに傾きを規制でき、精度よく取り付けることができ、回転方向ガタおよび駆動ロスが抑えられる。
又、この状態で、各連結レバー9の第1片91の長手方向がレンズ操作環8及び出力リング4の軸方向に沿って延ばされているとともに、係合溝91aに出力リング4の係合片43が嵌め入れられて出力リング4と連結レバー9とが係合されている。
又、各連結レバー9の第2片92のボルト挿通孔92aにボルト93が通され、そのボルト93がレンズ操作環8に設けられたネジ孔(図示せず)に螺合され、これにより、レンズ操作環8と連結レバー9とが固定されている。
又、一方の連結レバー9の第2片92は、カム溝82の一部を跨ぐように配設されている。これにより、連結レバー9の第2片92を、カム溝82が邪魔になることなくレンズ操作環8に固定でき、レンズ操作環8の軸方向の長さを短くでき、レンズ鏡筒全体を小型化できる。
そして、このようにしてレンズ操作環8と出力リング4とに連結された連結レバー9は、例えばレンズ操作環8及び出力リング4の図1の反時計方向の回転に伴い、一方の連結レバー9(図1で下側に表れたもの)がモータ62の近傍位置から、固定筒2の外周側を反時計方向に移動して、他方の連結レバー9(図1で上側に表れたもの)が制御部63の近傍位置にくるまでの範囲を可動する。そして、モータ62及び制御部63は、固定筒2の外周側における連結レバー9の可動しない非可動領域に設置され、連結レバー9の動きの邪魔にならないように配設されている。
次に検出装置5a、5bについて説明する。この実施形態の検出装置5a、5bは、図5に示す第1検出装置5aと、図6に示す第2検出装置5bとを備えている。第1検出装置5aは、上記マニュアル操作リング72の回転量を検出するように構成されたもので、図7、図8に示すように第1検出装置用摺動部51と、第1検出装置用摺動片52とを備えている。
第1検出装置用摺動部51は、リング板状の基部50と、基部50の表面に形成された導通部53及び非導通部54とを備えている。基部50は、絶縁体から構成されている。この実施形態では、ガラスエポキシ樹脂から構成されている。基部50は、その外径が上記マニュアル操作リング72の内径と同程度の大きさのものから構成されている。
導通部53は、グランドをなすリング状部53aと、リング状部53aの径方向外側に、リング状部53aから延設されるようにして周方向に等角度間隔で放射状に形成された複数の導体パターン片部53bとから構成されている。
非導通部54は、導体パターン片部53b同士間に形成されており、第1領域55と、第1領域55の周部にその第1領域55を囲むように配設された第2領域56とを備えている。
第2領域56は、後述の第1摺動片52aの当接部58が入り込むことができいような幅Lに形成されており、これにより、上記当接部58がこの第2領域56の表面に当接できないように(摺動できないように)されている。
これらの導通部53と非導通部54とは、この実施形態では、次のようにして形成されている。まず、基部50の表面の全体に、導体としての銅箔を形成し、その銅箔の表面上に順次ニッケルメッキ、金メッキを形成するようにして、基部50の表面の全体に3層からなる箔状導体部を形成する。
その後、箔状導体部の径方向の外側部における第2領域56に該当する部分を、図7に示すように所定幅Lで正面視でコの字状にエッチングによって、図8に示すように断面コの字状の溝状に除去し、基部50の表面の一部を、図7に示すように正面視でコの字状に露出させることにより、第2領域56を形成する。
これにより、第2領域56で囲んだ箔状導体部の一部を、箔状導体部の他の部分と絶縁でき、上記一部を非導通部54の第1領域55としてのものにできる。又、導通部53を、非導通部54の径方向内側のリング状部53aと、リング状部53aの径方向外側に配設された複数の導体パターン片部53bとを有するものに形成できる。従って、第1領域55を、導通部53と別途に形成せずに済み、容易に低コストで製作できる。
そして、このように構成された摺動部51は、図5に示すようにマニュアル操作リング72のフランジ72bの前面に貼り付けられている。
摺動片52は、この実施形態では、図7に示すように導通部53の導体パターン片部53bと非導通部54との夫々の表面上を順次に摺動する第1摺動片52aと、導通部53のリング状部53aを摺動する第2摺動片52bとの2つを備えている。
第1摺動片52aは、導体からなる摺動片本体57と、摺動片本体57の先端部に設けられた当接部58とを備えている。摺動片本体57は、弾性を有する長尺薄板状のものから構成されており、先端側に2股状に枝別れするように形成された2つの枝片57aを備えている。
当接部58は、枝片57aの夫々に設けられている。この実施形態では、枝片57aの先端側の一部を厚さ方向に折り曲げ成形することによって図8に示すように上記第2領域56の幅方向に沿う断面形状が円弧状に形成されている。又、この実施形態の当接部58は、その曲率半径Rが第2領域56の幅Lの2倍以上のものから構成されており、これにより、当接部58が第2領域56にほとんど入り込むことがないようにして摺動する際の音なりを確実に軽減できるようにしているとともに、導体パターン片部53bと非導通部54とを円滑に摺動できるようにしている。
また、当接部58が第2領域56にほとんど入り込むことがないので、導体パターン片部53bと当接部58との当接する状態が安定し、信号出力精度が良好に保たれる。
尚、上記のように基端部で電気的に接続した2つの枝片57a夫々に当接部58を設けたものとしているのは、例えば一方の当接部58が埃等で導通部53の導体パターン片部53bと当接できない場合に他方の当接によって電気的に接続できるようにしたもので、例えば1つの枝片から構成してもよく、適宜変更できる。
このように構成された第1摺動片52aは、図5に示すように摺動片本体57の基端側が摺動片取付部材59aを介して鏡筒本体10の前カバー25に、摺動部51の導通部53の導体パターン片部53b又は非導通部54の前方側に配置されるようにして固定されている。
又、この状態で、当接部58は、夫々、摺動部51の導通部53の導体パターン片部53b又は非導通部54に摺動片本体57の弾性によって押し付けられた状態になっている。尚、図8中に、摺動部51が無く摺動部51に当たっていないとした場合の当接部58の位置を二点鎖線で示す。
又、固定された第1摺動片52aは、図5に示すようにその基端部が電気線59bを介して鏡筒本体10の制御部62に通電可能に接続されている。
第2摺動片52bは、上述の第1摺動片52aと略同構成を採っている。そして、上記摺動片取付部材59aを介して鏡筒本体10の前カバー25に、第1摺動片52aの径方向内側に配設されて摺動部51の導通部53におけるリング状部53aの前方側に位置するようにして固定されている。又、この状態で、第2摺動片52bの当接部58は、摺動片本体57の弾性によってリング状部53aに押し付けられた状態になっている。
又、固定された第2摺動片52bは、その基端部が電気線59bを介して鏡筒本体10の制御部62に通電可能に接続されており、第1摺動片52aが非導通部54を移動している間は、図9に示すように第1摺動片52aと第2摺動片52bとは導通しないが、第1摺動片52aが導体パターン片部53bに当接すると第1摺動片52aと第2摺動片52bとがリング状部53aを介して導通するようになっている。
尚、第1検出装置5aは、第1摺動片52aと第2摺動片52bとの2つの摺動片を有するものから構成される形態のものに限らず、適宜変更できる。例えば図10に示すように摺動片として第1摺動片252aのみで構成し、導通部53のリング状部253aを電気線259bによって制御部62に接続するようにしてもよい。
次に、第2検出装置5bに付いて説明する。第2検出装置5bは、図6に示すように固定筒2に取付けられた第2検出装置用摺動部151と、レンズ操作環8に設けられた第2検出装置用摺動片152とを備えている。
第2検出装置用摺動部151は、図11に示すように長尺状のものから構成され、長尺板状の基部150と、基部150の表面に、幅方向に互いに距離をもって長手方向に延ばされるように形成された第1導通部151a〜第5導通部151eの5つの導通部と、非導通部154とを備えている。
第1導通部151aは、グランドをなすもので、長手方向に一定の幅で形成されている。第2導通部151b〜第5導通部151eは、夫々、長手方向に沿って配設された細幅部152と細幅部152よりも幅の広い広幅部153とを備えている。
非導通部154は、第2導通部151b〜第5導通部151eの夫々の広幅部153同士間における細幅部152の幅方向の側方に配設されている。又、非導通部154は、図12に示すように第1領域155と、その第1領域155を囲むように配設された第2領域156とを備えている。又、この第2検出装置用摺動部151の第2領域156は、隣接する2つの導通部151a〜151eを互いに離して絶縁している。
これらの導通部151a〜151e、第1領域155及び第2領域156は、上記第1検出装置用摺動部51の場合と同じように製作されている。より詳しくは、基部150の表面全体に箔状導体部を形成し、その後、第2領域156に対応する部分を、所定幅の溝状に箔状導体を除去することにより第1導通部151a〜第5導通部151e、第1領域155及び第2領域156を形成している。尚、第2領域156の幅等は、上記第1検出装置用摺動部51のものと同構成を採っている。
このように構成された第2検出装置用摺動部151は、図6に示すように固定筒2の外周面に、長手方向を固定筒2の周方向に延ばされて第1導通部151a〜第5導通部151bが順次前方から後方に並べられるようにして貼り付けられるとともに、第1導通部151a〜第5導通部151eが電気線160によって制御部62と接続される。
第2検出装置用摺動片152は、図11に示すように前後方向に並べられるように配設された第1摺動片152a〜第4摺動部152dの4つを備えている。第1摺動片152aは、第1導通部151aを長手方向に沿って摺動するように構成されたもので、第2摺動片152bは、第2導通部151bを長手方向に沿って摺動するように構成されたものである。
又、第3摺動片152cは、第3導通部151cを長手方向に沿って摺動するように構成されたもので、第4摺動片152dは、第4導通部151d及び第5導通部151eを長手方向に沿って摺動するように構成されたものである。
これらの第1摺動片152a〜第4摺動片152dは、夫々、上記第1検出装置用摺動片52の第1摺動片52aや第2摺動片52bと同構成を採っている。そして、第2検出装置用摺動片152は、図6に示すようにレンズ操作環8に固定的に取り付けられ、レンズ操作環8の回転に伴って共に固定筒2の外周を周方向に可動する。
又、レンズ操作環8に取り付けられた状態で、第2摺動片152b〜第4摺動片152dの夫々は、レンズ操作環8の回転に伴って、第2導通部151b〜第5導通部151e夫々の広幅部153上を摺動するとともに、細幅部152を摺動せずにその側方側の非導通部154を摺動するようになっている。
そして、第1摺動片152a〜第4摺動片152dが第2検出装置用摺動部151を摺動すると、第1摺動片152a〜第4摺動片152d夫々が今、第1導通部151a〜第5導通部151e夫々の広幅部153と非導通部154との何れの位置にいるかの信号を制御部62に送信する。
例えば図11に示すように第1摺動片152aが第1導通部151a上に、第4摺動片152dが第4導通部151d上に、夫々位置している場合、図13に示すように、第1導通部151aと第4導通部151dとが導通した状態になり、第1摺動片152aと第4摺動片152dとが導通部上に、第2摺動片152bと第3摺動片152cとが非通部上に位置していることを示す信号を制御部62に送信する。
尚、受信した制御部62は、その信号と、予め摺動片152a〜152dの第2検出装置用摺動部151に対する摺動片152a〜152dの位置と固定筒2に対するレンズ操作環8の位置とを関連付けて記憶した情報とに基づいて、固定筒2に対するレンズ操作環8の位置を検出し、上記第1検出装置5bで得たマニュアル用入力リング71の回転量とに基づいてマニュアル用入力リング71の回転に関する情報を生成してフォーカス制御する。
次に、以上のように構成されたレンズ鏡筒10の動作について説明する。例えばマニュアル操作リング72を手で回転操作すると、マニュアル用入力リング71が回転する。
このマニュアル操作リング72の回転に際し、第1摺動片52aが導通部53の導体パターン片部53bと非導通部54との夫々の表面上を順次に相対的に摺動するとともに、第2摺動片52bが導通部53のリング状部53aを摺動する。
その第1摺動片52aの相対摺動に際しては、非導通部54の第1領域55が導体パターン片部53bの表面とほぼ面一になるように形成されているため、図14に示す従来例のように摺動片が導通部と非導通部との段差分だけ落ち込むようなことを防止でき、第1摺動片52aが導体パターン片部53bと非導通部54とを摺動する際の音なりを軽減できる。
そして、第1摺動片52aの相対摺動に際して第1摺動片52aが導体パターン片部53b夫々に当接するたびにパルス信号が得られる。制御部62は、その得られたパルス信号の数と,予めパルス信号の数と関連付けて記憶したマニュアル用入力リング71の回転量とに基づいてマニュアル用入力リング71の回転量を検出する。
そして、マニュアル操作リング72が回転すると、転動ローラー42bが第2ローラー転動部71aを転動する。その際、転動ローラー42bを第2ローラー転動部71aと挟持したオート用入力リング63は、モータ61と噛合して回転できないため、転動ローラー42bは自転しながら、固定筒2のまわりを公転し、出力リング4全体が回転する。
この出力リング4の回転によって、2つの連結レバー9が筒体の軸まわりに回動し、レンズ操作環8を回転させる。
又、レンズ操作環8の回転に伴って第1摺動片152a〜第4摺動片152dが第2検出装置用摺動部151を摺動する。この摺動に際しても、非導通部154の第1領域155が導通部151b〜151eの表面とほぼ面一になるように形成されているため、第2摺動片152b〜第4摺動片152dが第1領域155によって非導通部154に落ち込むようなことがなく、摺動する際の音なりを極力軽減できる。
また、第2摺動片152b〜第4摺動片152dが非導通部154にほとんど落ち込むことがないので、各摺動片の当接形状や第2検出装置用摺動部151の厚みに依存することなく当接する状態が安定し、信号出力精度が良好に保たれる。
第1摺動片152a〜第4摺動片152dが第2検出装置用摺動部151を摺動すると、第1摺動片152a〜第4摺動片152d夫々が今、第1導通部151a〜第5導通部151e夫々の広幅部153と非導通部154との何れの位置にいるかの信号を制御部62に送信する。
レンズ操作環8の回転によって、固定筒2のレンズ摺動溝22及びレンズ操作環8のカム溝82夫々に入り込んだ突片31bがそれらの溝22,82を移動し、これにより、可動レンズ31が固定筒2の軸方向に移動する。
又、レンズ操作環8の回転によって、固定筒2のレンズ摺動溝22及びレンズ操作環8のカム溝82夫々に入り込んだ突片31bがそれらの溝22,82を移動し、これにより、可動レンズ31が固定筒2の軸方向に移動する。
一方、オートフォーカス動作部により可動レンズ31を可動させる場合は、図示しないオートフォーカススイッチを入り操作する。これにより、制御部62の制御に従って、モータ61へ電圧が印加され、それに伴いローター61bが回転し出力軸61cが回転する。
又、この出力軸61cの回転に伴って、その出力軸61cの第1ギア61dと噛合したオート用入力リング63が回転する。また、この回転に伴い、第1ローラー転動部63dを転動ローラー42bが転動する。その際、転動ローラー42bが第1ローラー転動部63dとマニュアル用入力リング71の第2ローラー転動部71aとに挟持されているとともに、マニュアル用入力リング71が付勢部材11の付勢力等によって回転が規制されているため、転動ローラー42bは自転しながら、固定筒2のまわりを公転し、これにより、転動ローラー42bを保持した出力リング4が回転する。
以下、上述したと同様に、連結レバー9が回転してレンズ操作環8を回転させて可動レンズ31を固定筒2の軸方向に駆動できる。
尚、上記実施形態では、非導通部の第1領域を、導通部と同じ箔状導体から構成したが、この形態のものに限らず、例えば第1領域を導通部とは異なる素材から構成してもよく、適宜変更できる。
又、第1領域を絶縁体から構成する場合は、非導通部の全体を第1領域から構成するとともに、その第1領域を、導通部の表面と略面一になるように形成してもよい。
又、上記実施形態では、レンズ鏡筒1を、第1検出装置5aと第2検出装置5bの2つに第1領域と第2領域とを有するものとしたが、例えば第1検出装置5aと第2検出装置5bとの何れか一方を第1領域と第2領域とを有するものとし、他方を第1領域を有しないものとしてもよく、適宜変更しうる。
又、上記実施形態では、本発明の検出装置をカメラのレンズ鏡筒に用いたが、レンズ鏡筒に用いる形態のものに限らず、本発明の検出装置を、例えば望遠鏡、双眼鏡等の光学機器に用いることもでき、適宜変更できる。