以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1による電源装置の基本概念を示すものであり、(a)はその構成例を示す概略図、(b)は(a)の動作例を示す説明図である。図1(a)に示す電源装置は、n(n≧2)フェーズのマルチフェーズ電源を実現する構成となっており、n個の半導体デバイス(半導体装置又は半導体IC)DEV[1]〜DEV[n]と、n個のインダクタL1〜Lnと、出力コンデンサCvなどから構成される。
DEV[1]〜DEV[n]のそれぞれは、トリガ入力端子TRG_IN、トリガ出力端子TRG_OUT、およびタイマ回路TMを含んでいる。TMは、TRG_INの信号を入力として、それを遅延時間設定端子CTに接続されたコンデンサCtmに基づき遅延させ、その遅延させた信号をTRG_OUTから出力する。なお、ここでは、コンデンサCtmに基づくアナログ遅延を用いているが、これに限定されるものではなく、例えばフリップフロップ回路やカウンタ回路などを用いたディジタル遅延等、一般的な各種遅延回路に代替え可能である。
各半導体デバイスDEV[1]〜DEV[n]のTRG_INおよびTRG_OUTは、ある半導体デバイスのTRG_OUTが別の1個の半導体デバイスのTRG_INに結合されることで、全体としてリング状に結合される。すなわち、前段となるDEV[k](1≦k≦(n−1))のTRG_OUTが後段となるDEV[k+1]のTRG_INに結合され、最終段となるDEV[n]のTRG_OUTが最前段となるDEV[1]のTRG_INに結合される。インダクタL1〜Lnは、一端がDEV[1]〜DEV[n]にそれぞれ結合され、他端が出力コンデンサCvの一端に共通に結合される。また、DEV[1]〜DEV[n]は、イネーブル信号ENが活性化されている際に動作を行う。
このような構成において、DEV[1]〜DEV[n]のそれぞれは、図1(b)に示すように、自身のTRG_INへの入力信号を起点としてPWM(Pulse Width Modulation)動作を行い、自身に対応するインダクタに電流を供給する。したがって、DEV[1]がPWM動作を行い、TMに基づく遅延時間(Tdとする)を経過した後にDEV[2]がPWM動作を行い、以降同様にしてDEV[n]がPWM動作を行ってからTdを経過した後に再びDEV[1]がPWM動作を行うことになる。これによって、スイッチング周波数f(=(Td×n)−1)[Hz]で、nフェーズのマルチフェーズ電源動作を実現できる。
ところで、このようなリング結合のループ系では、パルス信号が一度入力されると、後はこのパルス信号が自動で巡回することになるが、この一度目のパルス信号は何らかの形で生成しなければならない。そこで、図1(a)の構成例では、DEV[1]が、そのスタートトリガ端子STを例えば固定電圧(ここでは接地電圧GND)とすることで、イネーブル信号ENの活性化時に一度だけパルスを生成する。その他のDEV[2]〜DEV[n]は、STを例えばオープンとすることで、この一度目のパルス信号の生成を行わない。
以上、図1のような電源装置を用いると、従来技術にように別途マスタICは必要なく、n個の半導体デバイスによってnフェーズのマルチフェーズ電源を実現可能となる。これによって、半導体デバイス自身のコストやその実装コストなどの点で電源装置の低コスト化が図れる。また、従来技術と比較して、電源装置を設計する際の容易化も図れる。すなわち、マスタICを用いる場合、それぞれ互換性があるマスタICとn個のスレーブICを設け、原則的にマスタICからn個のスレーブICに向けてn本の配線を延ばす必要があるため、比較的複雑な設計(配線設計など)が必要となる。一方、図1の電源装置では、実現したいフェーズ数の半導体デバイスを設け、ある半導体デバイスのTRG_OUTを別の半導体デバイスのTRG_INに1対1で接続すればよいため、設計が容易である。さらに、図1の電源装置における半導体デバイスは、自身のTRG_INを自身のTRG_OUTに接続することで、それ単体で動作可能であり、シングルフェーズ電源として用いることも可能である。これらによって、様々なフェーズ数の電源装置を構築したい場合に、柔軟に対応でき、また、それを容易かつ低コストで実現できる。
図2は、図1の電源装置において、そのより詳細な構成例を示すブロック図である。図3は、図2の電源装置の動作例を示す波形図である。図2に示す電源装置は、2フェーズのマルチフェーズ電源を実現する場合を例としており、更に、半導体デバイスDEVにおける主要部の構成例が示されている。図2に示される各半導体デバイスDEV[1],[2]は、前述した特許文献3に示されるようにピーク電流制御方式と呼ばれるPWM動作を行う。
DEV[1]は、9個の外部端子を含んでいる。ON/OFF[1]はデバイス動作イネーブル設定端子、CS[1]は電流センス端子(電流センス信号)、EO_IN[1]はエラーアンプ入力端子、EO[1]はエラーアンプ出力端子である。また、TRG_IN[1]はトリガ入力端子(トリガ入力信号)、TRG_OUT[1]はトリガ出力端子(トリガ出力信号)である。さらに、VIN[1]は電源電圧入力端子、SW[1]はスイッチ端子、FB[1]は出力電源電圧検出端子である。また、DEV[2]も同様に、9個の外部端子(ON/OFF[2],CS[2],EO_IN[2],EO[2],TRG_IN[2],TRG_OUT[2],VIN[2],SW[2],FB[2])を含んでいる。
ON/OFF[1],[2]には、イネーブル信号ENが入力される。CS[1],CS[2]には、電流検出用の抵抗Ri1,Ri2がそれぞれ接続される。EO[1]は、EO_IN[1]とEO_IN[2]にそれぞれ結合される。TRG_OUT[1]はTRG_IN[2]に結合され、TRG_OUT[2]はTRG_IN[1]に結合される。また、TRG_OUT[1]には、スタートトリガ用の抵抗Rsが接続される。VIN[1],[2]には、入力電源電圧Vinが入力される。SW[1]はインダクタL1を介して出力コンデンサCvの一端に結合され、SW[2]はインダクタL2を介してCvの一端に結合される。このCvの一端の電圧は、出力電源電圧Voutとなり、このVoutがCPU等の所定の負荷LDの電源電圧となる。また、このVoutは、FB[1]にも入力される。
各半導体デバイスDEV[1],[2]のそれぞれは、タイマ回路TM、パルス生成回路PGEN、比較回路VC1、フリップフロップ回路FFp、エラーアンプ回路EA、電流検出回路ACS、ブランキング回路BK、制御論理回路LGC、ドライバ回路DV1,DV2、およびトランジスタQh,Qlなどを備えている。DEV[1]を例に説明すると、PGENは、TRG_IN[1]からのトリガ入力信号を受けて、リセット信号RESを出力する。FFpは、RESをリセット入力に受け、VC1の出力をセット入力に受けて、(/Q)よりPWM信号を出力する。LGCは、このPWM信号を受けて、DV1を介してQhのゲートを駆動し、DV2を介してQlのゲートを駆動する。
Qhは、ドレインがVIN[1]に接続され、ソースがSW[1]に接続される。Qlは、ドレインがSW[1]に接続され、ソースが接地電圧GNDに接続される。ACSは、Qhのドレインに流れる電流を検出し、それをBKによって一定期間マスクした後にCS[1]に出力する。CS[1]には、抵抗Ri1が接続されているため、この検出した電流はCS[1]で電圧に変換される。また、EAは、FB[1]で検出した出力電源電圧Voutと基準電圧Vrefとを比較してPWMデューティの判定基準となるエラーアンプ信号を生成する。このエラーアンプ信号は、EO[1]を介してEO_IN[1]から再び入力される。そして、VC1は、このEO_IN[1]のエラーアンプ信号を基準として、CS[1]で検出された電流量を比較し、その結果をFFpのセット入力に伝達する。
一方、TRG_IN[1]からのトリガ入力信号は、タイマ回路TMにも伝達される。タイマ回路TMは、このトリガ入力信号を所定の遅延時間Tdで遅延させ、それをTRG_OUT[1]から出力する。さらに、TMは、スタートトリガ判別回路STJGを含んでいる。このSTJGは、TRG_OUT[1]にスタートトリガ用の抵抗Rsが接続されているかを判別する。接続されている場合、TMは、ON/OFF[1]を介してイネーブル信号ENが入力された際に、1回だけパルス信号を生成し、それをTRG_OUT[1]から出力する。なお、DEV[2]のSTJGは、自身のTRG_OUT[2]にRsが接続されていないため、このパルス信号の生成は行わない。
この図2の電源装置は、図3のような動作を行う。まず、DEV[1]は、TRG_IN[1]からのトリガ入力信号を受けて、リセット信号RESを生成する。次いで、このRESによって、Qhを‘H’レベル(すなわちオン)に駆動し、Qlを‘L’レベル(すなわちオフ)に駆動する。なお、実際には、QhとQlの切り替わりタイミングにデットタイムを設ける必要があるが、ここでは省略する。Qhがオンに駆動されると、VIN[1]からの入力電源電圧VinがSW[1]に伝達される。
このSW[1]の電圧は、インダクタL1に印加されるため、Qhには所定の傾きで上昇するランプ波形状の電流が流れる。この電流はCS[1]で電圧に変換される。ここで、図2のブランキング回路BKにより、QhのオンからCS[1]に電圧が生じるまで一定のマスク時間を設けているが、これは、スイッチングに伴うスパイク電流を検出することによる誤動作を防止するためである。このスパイク電流は、図示はしないが、Qlに接続されるボディダイオードのリカバリ電流に伴うものである。DEV[1]は、このCS[1]の電圧が、EO_IN[1]から入力されたエラーアンプ信号の電圧レベルに達した際に、Qhを‘L’レベル(すなわちオフ)に駆動し、Qlを‘H’レベル(すなわちオン)に駆動する。Qlがオン(Qhがオフ)となった場合は、L1に蓄積されたエネルギーによりこのQlを介する経路でL1に電流が流れ続ける。その結果、インダクタL1に流れる電流IL1は、Qhがオン(Qlがオフ)の間は所定の傾きで上昇し、Qlがオン(Qhがオフ)の間は、所定の傾きで減少する。
また、DEV[1]は、TRG_IN[1]からトリガ入力信号が入力された際に、それに遅延時間Tdを加えてTRG_OUT[1]から出力する。このTRG_OUT[1]からのトリガ出力信号は、DEV[2]のトリガ入力信号としてTRG_IN[2]に入力される。DEV[2]は、このTRG_IN[2]からのトリガ入力信号を受け、リセット信号RESを発生した後、前述したDEV[1]の場合と同様の動作を行う。更に、DEV[2]は、DEV[1]と同様に、TRG_OUT[2]からトリガ出力信号を出力し、これがDEV[1]のトリガ入力信号としてTRG_IN[1]に入力されることで、前述したような動作が繰り返される。
このような動作の結果、前述したインダクタL1の電流IL1から半周期遅れる形でインダクタL2の電流IL2が生成される。出力コンデンサCvは、このIL1およびIL2を受けて所定の出力電源電圧Voutを生成し、負荷LDは、このVoutを電源電圧とし、IL1およびIL2を電源電流として所望の動作を行う。特に限定はされないが、入力電源電圧Vinは12V、出力電源電圧Voutは1.2V、IL1およびIL2のそれぞれは数十A等である。
このように、図2の電源装置は、出力電源電圧Voutを帰還させる帰還ループに加えて、入力電流ILをモニタして帰還させる帰還ループを備え、この電圧の帰還ループによって生成したエラーアンプ信号(判定レベル)に基づいて入力電流ILのピーク電流を制御する方式となっている。このようなピーク電流制御方式を用いると、特許文献3に記載されているように、フィードバックループの系の不安定要素を打ち消して位相補償を容易にでき、また、負荷LDに伴う出力電源電圧Voutの変動に対して高速に応答することが可能となる。
また、図2の電源装置は、DEV[1]のエラーアンプ回路EAで生成したエラーアンプ信号を、EO_IN[1]およびEO_IN[2]を介してDEV[1]とDEV[2]で共有する構成となっている。マルチフェーズ電源では、各フェーズで流す電流をより均等化することで、バランスがとれた安定した電源を実現できる。例えば、DEV[1]およびDEV[2]のそれぞれが自身のEAを用いて自身のエラーアンプ信号(判定レベル)を生成するような場合では、プロセス変動等によって判定レベルに若干ばらつきが生じる恐れがある。一方、図2の電源装置では、この判定レベルが統一化されているため、電流IL1と電流IL2の均等化をより図ることが可能となる。
さらに、図2で述べたような半導体デバイスを用いてマルチフェーズ電源を構築することで、そのフェーズ数が増えるほど、配線本数の低減が可能となる。すなわち、例えば、前述した特許文献1、2および非特許文献1では、マスタICやスレーブICからnフェーズ分のn個のインダクタに対してn対の配線を行うことで電流を検出しているため、フェーズ数が増える程配線本数が増加する。一方、図2の電源装置では、各半導体デバイスDEV[1],[2]の内部で電流を検出しているため、このような配線は不要となる。以上のようなことから、図1で述べた各種効果と併せて、図2の電源装置は、マルチフェーズ電源を実現するのに好適な構成と言える。なお、ここでは、2フェーズの例を示したが、勿論、3フェーズ以上でも、同様の構成および動作となり、同様の効果が得られることは容易に理解できる。
以上、本実施の形態1の電源装置を用いることで、代表的には低コストなマルチフェーズ電源を実現可能となる。
(実施の形態2)
本実施の形態2では、実施の形態1で述べた半導体デバイスDEVの更に詳細な構成例について説明する。図4は、本発明の実施の形態2による電源装置において、それに用いられる半導体デバイスの詳細な構成例を示すブロック図である。図5は、図4の半導体デバイスのパッケージ形態の一例を示す平面図である。図4に示す構成例は、前述した図2の構成例を更に具体化したものとなっており、その大まかな構成および動作に関しては図2および図3と同様である。ここでは、図2の構成例から更に具体化された部分に着目して説明を行う。
図4に示す半導体デバイス(半導体装置、半導体IC)DEVは、大別すると、ハイサイド側トランジスタ(例えばMOSFET)となるトランジスタQhと、ロウサイド側トランジスタ(例えばMOSFET)となるトランジスタQlと、これらのトランジスタを制御する各種制御回路から構成される。Qhのソース・ドレイン間にはダイオードD1が備わり、Qlのソース・ドレイン間にはショットキーダイオードSBD1が備わる。このSBD1を備えることで、特にQhをオフした後にQlをオンするまでのデットタイムの間、Ql側の電流経路の電圧降下を下げることができる。
図5に示すように、このトランジスタQhおよびダイオードD1は、半導体チップHSCP上に形成され、トランジスタQlおよびショットキーダイオードSBD1は、半導体チップLSCP上に形成され、その他の各種制御回路が半導体チップCTLCP上に形成される。すなわち、図5に示す半導体デバイスDEVは、3個の半導体チップが1つのパッケージに搭載されるマルチチップモジュールSiP(System in Package)または(MCM:Multi Chip Module)となっている。この半導体デバイスDEVは、特に制限されないが、例えば、56個の外部端子を備えた8mm×8mmのQFN(Quad Flat Non-leaded package)で実現される。
このパッケージ内において、その実装面積の約半分の領域にLSCPが搭載され、残りの面積を約二等分した領域にそれぞれHSCPとCTLCPが搭載される。すなわち、ロウサイド側トランジスタQlのトランジスタ面積が、ハイサイド側トランジスタQhのトランジスタ面積よりも2倍程度大きく設計されている。図2および図3で説明したように、例えば、12Vの入力電源電圧Vinを1.2Vの出力電源電圧Voutに変換するような場合には、Qhをオンする時間よりもQlをオンする時間の方が長くなる。したがって、Qlのトランジスタ面積を大きくすることで、オン抵抗を下げ、電源装置の電力効率を高めることができる。また、詳細は図4に示すが、HSCPの周辺には、Qhに接続される各種外部端子が配置され、LSCPの周辺には、Qlに接続される各種外部端子が配置され、CTLCPの周辺には、Qh,Qlを制御する各種制御信号の外部端子が配置される。
図4において、Qhは、ドレインが電源電圧入力端子VINに、ソースがスイッチ端子SWに接続され、Qlは、ドレインがSWに、ソースが接地電圧端子PGNDに接続される。このPGNDは、Qh,Ql専用の端子となっており、その他の各種制御回路等にスイッチングノイズを与えないように、各種制御回路等の接地電圧とは分離して設けられる。SWには、インダクタLを介して出力コンデンサCvが接続され、このCvの電圧が出力電源電圧Voutとなる。
電流検出回路ACSは、図示はしないが、例えば、HSCP内でトランジスタQhとカレントミラー接続される1/18500サイズのトランジスタを形成することによって実現される。そして、Qhの電流をILとして、このACSによって検出したIL/18500となる電流は、ブランキング回路BKによるマスク期間(例えば数十ns)を介して電流センス端子(電流センス信号)CSに供給される。CSには、電流検出用の外部抵抗Riが接続され、これによって電流が電圧に変換される。なお、CSには動作を安定化させるためのバイアス電流源IB2が接続されている。
ドライバ回路DV1,DV2は、制御論理回路LGCからの制御に基づいて、それぞれQh,Qlを駆動する。電源端子VCINには、電源電圧入力端子VINと同様に入力電源電圧Vinが供給される。このVCINからの電源電圧は、電圧検出回路UVLOCを介してレギュレータ回路VREG1,VREG2に供給される。電圧検出回路UVLOCは、入力された電源電圧が所定電圧以上であることを検出し、その場合にVREG1,VREG2の動作を有効とする。VREG1,VREG2は、12Vのような入力電源電圧を受けて約5Vのような内部電源電圧を生成する。VREG1は、生成した内部電源電圧を各種制御回路に供給すると共に内部電源端子REG5に出力する。VREG2は、生成した内部電源電圧をDV1やDV2などに供給すると共に内部電源端子DRV5に出力する。内部電源端子REG5,DRV5には、電圧安定化用のコンデンサC4,C5がそれぞれ接続される。
ここで、ドライバ回路DV1,DV2は、QhおよびQlを駆動するため、比較的大きな電流を必要とし、多くのノイズを発生する。一方、その他の各種制御回路は、内部に電圧比較回路等のアナログ回路が多く含まれるため、電源ノイズを低減する必要がある。そこで、これらの電源を2個のレギュレータ回路VREG1,VREG2によって個別に生成している。また、レギュレータ電圧監視回路SVは、VREG1,VREG2が生成した内部電源電圧を監視し、それが所定の範囲であった場合に内部電源イネーブル信号REGGDを出力する。
ブート端子BOOTは、ドライバ回路DV1の電源電圧を供給する。BOOTは、DRV5との間でショットキーダイオードSBD2を介して接続されると共に、SWとの間でブースト用外部コンデンサCbおよび外部抵抗Rbを介して接続される。Qlがオンの際、このCbには、内部電源電圧(DRV5)がSBD2およびBOOTを介して印加される。その後、Qhがオンとなった際には、SWに伝達されたVinをこのCbによってブーストしてDV1に供給する。これによって、DV1はQhのしきい値以上の電圧を発生することが出来る。
制御論理回路LGCは、前述した内部電源イネーブル信号REGGDに加えて、フリップフロップ回路FFpからのPWM信号、デバイス動作イネーブル設定端子(ON/OFF)からのON/OFF信号、過剰電流検出回路OCPCからの過剰電流検出信号OCP、過剰電圧検出回路OVPCからの過剰電圧検出信号OVPを受けて動作を行う。LGCは、ON/OFF信号(デバイス動作イネーブル信号)がオン(すなわちイネーブル状態)で、REGGD、OCPおよびOVPが共に異常がない状態の場合に、PWM信号を用いてDV1およびDV2を制御する。
デバイス動作イネーブル設定端子(ON/OFF)には、外部からイネーブル信号(図示せず)が入力されると共に、トランジスタQ20が接続される。トランジスタQ20は、論理和回路OR20によって、温度検出回路TSDが異常な発熱を検出した際、または、過剰電圧検出回路OVPCが過剰電圧検出信号OVPを検出した際にオンに駆動される。この場合、ON/OFF信号は、外部からのイネーブル信号に関わらず、強制的にオフ(すなわち動作ディスエーブル状態)とされる。過剰電圧検出回路OVPCは、出力電源電圧Voutを出力電源電圧検出端子FBによって監視し、過剰な電圧が生じた場合にOVPを出力する。過剰電流検出回路OCPCは、CSに対して比較回路VC3を介して接続され、CSに過剰な電圧が発生した(すなわち過剰な電流が流れた)場合にOCPを出力する。
パルス生成回路PGENは、トリガ入力端子TRG_INからのトリガ入力信号を受けて、リセット信号RESおよびマックスデューティ信号MXDを出力する。リセット信号RESは、フリップフロップ回路FFpのリセット入力となり、MXDは、論理和回路OR1を介してFFpのセット入力となる。MXDは、PWM信号のオンデューティが大き過ぎた場合にインダクタLが飽和しデバイスが破損する恐れがあるため、これを防止するため許容可能なオンデューティの最大値に達した際に強制的にPWM信号を立ち下げるための信号である。また、論理和回路OR1の他方の入力には、比較回路VC1の出力が接続される。VC1は、エラーアンプ入力端子EO_INから入力されるエラーアンプ信号と、CSの電圧に所定のオフセット電圧(0.1V)を加えた信号とを比較する。
なお、制御論理回路LGCは、過剰電流検出信号OCPや過剰電圧検出信号OVPが入力された際に、QhおよびQlを強制的にオフに駆動する。出力電源電圧監視回路PWGDは、出力電源電圧検出端子FBで検出した出力電源電圧Voutが所定の値以上となっていることを検出する。すなわち、Voutの生成動作が正常に行われていることを検出する。検出した場合、PWGDは、トランジスタQ21を駆動して、パワーグッド端子PGに検出信号を出力する。
エラーアンプ回路EAは、基準電圧Vrefと、出力電源電圧検出端子FBとの差分を取り出すことでエラーアンプ信号を生成し、それをエラーアンプ出力端子EOから出力する。FBには、出力コンデンサCvの出力電源電圧Voutが外部抵抗R1,R2の抵抗分圧を介して入力される。またEOから出力されたエラーアンプ信号は、外部抵抗R4と外部コンデンサC2によって電源回路の帯域幅が設定され、更に、外部抵抗R5,R6の抵抗分圧を介してEO_INに戻される。
また、EAは、ソフトスタート端子TRKSSにも接続される。TRKSSには、外部抵抗R3と外部コンデンサC1と、内蔵トランジスタとなるトランジスタQ14が接続される。Q14は、ON/OFF信号がオフ状態(すなわち動作ディスエーブル状態)、または、内部電源イネーブル信号REGGDがディスエーブル状態、または過剰電流検出信号OCPが活性化された場合に論理和回路OR2を介してTRKSSを接地電圧GNDに駆動する。この場合、EAの出力(EO)はGNDレベルとなり、スイッチング動作が停止する。逆に、OCPが非活性であり、ON/OFF信号がオン状態、かつREGGDがイネーブル状態になると、Q14はオフとなり、内部電源端子REG5からR3を介してC1に電荷が蓄積される。これによって、TRKSSの電圧は緩やかに立ち上がり、PWM信号のオンデューティを緩やかに大きくしていくというソフトスタートが実行される。接地電圧端子SGNDは、前述したPGNDと異なり、内部電源(REG5)によって動作する各種制御回路用のものとなっている。
タイマ回路TMは、詳細は後述するが、ON/OFF信号や内部電源イネーブル信号REGGDの制御を受けて動作し、トリガ入力端子TRG_INからのトリガ入力信号を受け、それに所定の遅延時間を加えてトリガ出力端子TRG_OUTから出力を行う。この際の遅延時間は、遅延時間設定端子CTに接続された外部コンデンサCtmおよび外部抵抗Rtmによって設定される。また、TMは、スタートトリガ判別回路STJGを含み、STJGは、TRG_OUTに抵抗が接続されている場合に、電源投入後の動作の開始時に、一度だけパルス信号の生成を行う。
図6は、図4および図5の半導体デバイスを用いてマルチフェーズ電源を実現した場合の電源装置の構成例を示す配線図である。ここでは、2フェーズの電源装置を例とするが、勿論、3フェーズ以上でも同様に拡張可能である。半導体デバイスDEV[1],DEV[2]の各外部端子に接続される外部抵抗や外部コンデンサは、大部分が図4で説明したものと同様である。ここでは、マルチフェーズ電源を構築することによる特徴的な箇所に限定して説明を行う。
まず、DEV[1]のTRG_OUTがDEV[2]のTRG_INに接続され、DEV[2]のTRG_OUTがDEV[1]のTRG_INに接続されることで、前述したように2フェーズのマルチフェーズ電源動作が行われる。すなわち、図3で説明したように、ある周期でDEV[1]のSWからインダクタL1に電流が供給され、これと半周期ずれる形でDEV[2]のSWからインダクタL2に電流が供給され、これらの電流が出力コンデンサCvに入力されることで出力電源電圧Voutが生成される。ここで、電源投入後の動作の開始時(スタートアップ時または起動時)に、一度だけパルス信号の生成を行わせるため、DEV[1]のTRG_OUTと接地電圧GNDの間には外部抵抗Rsが接続される。一方、DEV[2]のTRG_OUTには、この外部抵抗は接続されていない。
DEV[1]のFBには、Voutが外部抵抗R1,R2の抵抗分圧を介して入力される。一方、DEV[2]のFBは、接地電圧GNDに接続される。すなわち、図2、図3で説明したように、DEV[1]がVoutに応じたエラーアンプ信号を生成し、これをDEV[1]とDEV[2]で共有する構成となっている。具体的には、DEV[1]のEOが、外部抵抗R51,R61による抵抗分圧を介してDEV[1]のEO_INに接続されると共に、外部抵抗R52,R62による抵抗分圧を介してDEV[2]のEO_INに接続される。これによって、図2、図3で説明したように各フェーズの電流バランスの均等化が図れる。なお、ここでは、DEV[1]のEOをR52,R62を介してDEV[2]のEO_INに接続しているが、DEV[1]のEO_INをそのままDEV[2]のEO_INに接続してもよい。
イネーブル信号ENは、外部抵抗R9を介してDEV[1]とDEV[2]のON/OFFに共通に入力される。また、DEV[1]のTRKSSとDEV[2]のTRKSSも共通に接続されている。これによって、スタートアップとシャットダウン時のタイミングを、DEV[1]とDEV[2]とで合わせることができる。
図7は、図4の半導体デバイスDEVにおいて、そのタイマ回路TMの詳細を示すものであり、(a)はその構成例を示す回路図、(b)はその動作例を示す波形図である。図7に示すタイマ回路TMは、フリップフロップ回路FF1、トランジスタQ1、論理和回路OR1,OR2、比較回路CMP1、スタートトリガ判別回路STJGなどによって構成される。FF1は、TRG_INをセット入力、OR2の出力をリセット入力として、反転出力ノード(/Q)でQ1を制御する。一方、遅延時間設定端子CTと内部電源電圧(REG5)の間には外部抵抗Rtmが接続され、CTと接地電圧GNDの間には外部コンデンサCtmが接続される。Q1は、このCTと接地電圧GNDの間に設けられる。
すなわち、FF1にセット入力が行われた場合、Q1がオフとなりCtmに充電動作が行われ、リセット入力が行われた場合、Q1がオンとなりCtmの放電動作が行われる。OR1には、ON/OFF信号の反転信号とREGGDの反転信号が入力され、その演算結果が、OR2の一方の入力を介してFF1のリセット入力に伝達される。すなわち、動作ディスエーブル状態または内部電源がディスエーブル状態の場合に、リセット入力が行われ、そうでない通常の動作状態の場合には、これによるリセット入力は行われない。
CMP1は、CTの電圧と基準電圧Vref_CTとを比較し、CTの電圧がVref_CTよりも高くなった場合にタイマ出力信号TM_OUTを生成する。このTM_OUTは、スタートトリガ判別回路STJGに出力されると共に、OR2の他方の入力となる。したがって、図7(b)に示すように、TRG_INからのトリガ入力信号を受けて、Ctmに対する充電動作が行われ、CTの電圧がVref_CTに達した際に放電動作が行われる。そして、この充電動作から放電動作に遷移する際に、TM_OUTが出力され、TRG_INへの入力からTM_OUTの出力までがTMの遅延時間Tdとなる。
この遅延時間Td[sec]は、Ctmの容量値、Rtmの抵抗値、Vref_CTおよびREG5の電圧値を用いて、式(1)で与えられる。
Td=−Ctm・Rtm・Ln{1−(Vref_CT)/REG5} (1)
また、このようなタイマ回路TMを用いて、図6などのようなマルチフェーズ電源動作を行わせた場合、そのスイッチング周波数f[Hz]は、式(2)となる。
f=(Td×フェーズ数)−1 (2)
スイッチング周波数fは、特に限定はされないが、例えば、数百k[Hz]などに設定される。スイッチング周波数fが定まると、実現したいフェーズ数に応じてTdが定まり、このTdを実現するCtmやRtmが決定される。なお、CtmやRtmに精度ばらつきがあった場合には、各フェーズ間の位相差にずれが生じてしまうが、例えば、一般的に用いられている絶対精度が1%や2%のCtmやRtmを用いれば、実使用上の問題は殆ど生じない。
図8は、図7のタイマ回路TMにおいて、そのスタートトリガ判別回路STJGの詳細な構成例を示す回路図である。図8に示すスタートトリガ判別回路STJGは、クロックドインバータ回路CIV、カレントミラー回路CM、インバータ回路IV3,IV5、論理積回路AD1、反転論理積回路ND1、ワンショットパルス生成回路OSPG、ワンショット遅延パルス生成回路OSPG_DLY、論理和回路OR3などによって構成される。CIVは、内部電源(REG5)と出力ノードNbの間に直列接続されたPMOSトランジスタQ11,Q12と、Nbと接地電圧GNDの間に直列接続されたNMOSトランジスタQ13,Q14と、Q11のゲートに接続されたインバータ回路IV4を備える。
カレントミラー回路CMは、内部電源(REG5)からGNDに向けた一方の電流経路上に設けられた電流源IB12およびNMOSトランジスタQ15,Q16と、他方の電流経路上に設けられた電流源IB11およびNMOSトランジスタQ17と、CMの活性化/非活性化を制御するNMOSトランジスタQ18を備える。IB12からの電流I2は、ダイオード接続のQ15およびQ16を介してコモンソースノードに流れ、ここからQ18を介してGNDに流れる。一方、IB11からの電流I1は、Q17を介してコモンソースノードに流れ、ここからQ18を介してGNDに流れる。Q17は、そのゲートおよびソースがQ16のゲートおよびソースと共通に接続され、Q16と同じトランジスタサイズを備えている。
CIVの出力ノードNb、およびCMにおけるIB12とQ15の接続ノードは、共にTRG_OUTに接続される。AD1は、内部電源イネーブル信号REGGDとON/OFF信号(デバイス動作イネーブル信号)を受け、その論理積結果でCIVのQ11およびQ14を駆動する。これによって、内部電源およびデバイス動作共にイネーブル状態の場合に、CIVが活性化され、いずれか一方がディスエーブル状態の場合にCIVが非活性化される。また、AD1の出力は、IV3を介してCMにおけるQ18に接続される。これによって、CIVとは逆に、内部電源およびデバイス動作共にイネーブル状態の場合に、CMが非活性化され、いずれか一方がディスエーブル状態の場合にCMが活性化される。
ND1は、CMにおけるIB11とQ17の接続ノードNaと、IV3の出力とを入力として、その反転論理積演算結果をOSPG_DLYに出力する。OSPG_DLYは、ND1の‘H’レベルへの遷移を受けて、ワンショットパルス信号を生成すると共に、これを一定の時間(例えば10μs)遅延させてOR3の一方の入力に出力する。OR3の他方の入力には、図7で述べたタイマ出力信号TM_OUTが入力される。OR3は、これらの入力の論理和演算結果をOSPGに出力する。OSPGは、OR3の‘H’レベルへの遷移を受けて、ワンショットパルス信号を生成し、それをIV5を介してCIVにおけるQ12およびQ13のゲートに伝送する。
このような構成において、CIVは、出力バッファとして機能し、CMは、外部抵抗Rsの接続有無の判定回路として機能する。このCIVとCMは、共にTRG_OUTに接続されているが、一方が活性化されている間は他方が非活性となるよう、相補的に動作するため互いに影響を及ぼすことはない。すなわち、例えばCMによって判定が行われている間は、CIVがこの判定動作に影響を及ぼすことはない。
具体的に動作を説明すると、まず、起動前の状態では、ON/OFF信号が‘L’レベルおよび/またはREGGDが‘L’レベルであるため、CIVは非活性状態(Q11,Q14がオフ)となり、CMは活性状態(Q18がオン)となる。そして、ND1の一方の入力(IV3の出力)は‘H’レベルとなる。このような状態において、TRG_OUTに外部抵抗Rs(例えば27kΩ)が接続されている場合、IB12の電流I2(例えば10μA)はRs側に流れ、Q15およびQ16は、その印加電圧がしきい値電圧以下となるため、オフとなる。これにより、Q17はオフとなり、ノードNaは‘H’レベルとなる。その結果、ND1の出力は‘L’レベルとなる。一方、TRG_OUTに外部抵抗Rsが接続されていない場合、IB12の電流I2(例えば10μA)はQ15およびQ16に流れる。これにより、Q17にもI2の電流が流れるが、これはIB11の電流I1(例えば5μA)よりも大きいため、ノードNaは‘L’レベルとなる。その結果、ND1の出力は‘H’レベルとなる。
その後、起動が行われると、ON/OFF信号が‘H’レベルかつREGGDが‘H’レベルとなるため、CIVは活性状態(Q11,Q14がオン)となり、CMは非活性状態(Q18がオフ)となる。これにより、ND1の一方の入力(IV3の出力)は、‘H’レベルから‘L’レベルに遷移する。ここで、TRG_OUTにRsが接続されている場合、ND1の出力は、この一方の入力の‘L’レベル遷移を受けて、‘L’レベルから‘H’レベルに遷移する。逆に、TRG_OUTにRsが接続されていない場合、ND1の出力は、‘H’レベルのままである。
したがって、TRG_OUTにRsが接続されている場合にのみ、OSPG_DLYがワンショットパルス信号を出力する。このワンショットパルス信号は、OR3を介してOSPGに入力され、OSPGが再度ワンショットパルス信号を出力し、この信号がIV5および活性状態のCIVを介してTRG_OUTに出力される。また、OR3が、タイマ出力信号TM_OUTを受けた場合も、OSPGがワンショットパルス信号を出力し、この信号がIV5およびCIVを介してTRG_OUTに出力される。なお、この起動後の動作期間では、CMは非活性状態であるため、このワンショットパルス信号に影響を与えることはない。更に、この動作期間では、CM内のノードNaに関わらず、IV3の出力によってND1の出力は‘H’レベル固定となり、OSPG_DLYが再び動作するようなことはない。
以上のように、図7および図8で述べたタイマ回路TMならびにスタートトリガ判別回路STJGを用いることで、各半導体デバイスは、TRG_INからのトリガ入力信号を受け、それに遅延時間Tdを加えてTRG_OUTからトリガ出力信号を出力することができる。更に、TRG_OUTに外部抵抗Rsが接続されている半導体デバイスは、その起動時(スタートアップ時)に一度だけTRG_OUTからトリガ出力信号を出力することができる。なお、この場合、例えば図6において、最初に電源スイッチング動作を開始するのは、この起動時のDEV[1]のTRG_OUTを受けたDEV[2]であり、続いて、DEV[1]が電源スイッチング動作を開始することになる。
また、図7の構成例は、要約すれば、外部抵抗Rsの有無を判別する手段(カレントミラー回路CM)と、有りの場合にはワンショットパルス信号の生成回路に起動信号(REGGD,ON/OFF)の遷移を反映させ、無しの場合には起動信号の遷移を反映させない手段(ND1,OSPG_DLY等)とを備えたものとなっている。このような手段を備える構成であれば、勿論、図7の構成例に限らず種々変更可能である。また、TRG_OUTへの接続有無で判別するのではなくTRG_INへの接続有無で判別するように構成することも勿論可能である。
さらに、外部抵抗Rsによる判別に限らず、例えば、外部端子を電源電圧レベルに設定するか、接地電圧レベルに設定するかによって判別するような構成とすることも可能である。ただし、この場合、外部端子が1ピン増えることになるので、この観点からは、外部抵抗Rsによって判別する方式とすることが望ましい。Rsは、例えば27kΩといった高抵抗であるため、TRG_OUTからのトリガ出力信号には殆ど影響を与えない。
以上、本実施の形態2の電源装置を用いることで、実施の形態1の場合と同様に、代表的には低コストなマルチフェーズ電源を実現可能となる。
(実施の形態3)
本実施の形態3では、実施の形態2(図4等)で述べた半導体デバイスDEVを用いてシングルフェーズ電源を実現した場合の例について説明する。図9は、本発明の実施の形態3による電源装置において、その構成例を示す配線図である。図9に示す半導体デバイスDEV[1]には、図4のDEVや図6のDEV[1]と同様の外部抵抗および外部コンデンサが接続されている。その相違点は、DEV[1]のトリガ出力端子TRG_OUTが自身のトリガ入力端子TRG_INに接続され、このTRG_OUTに外部抵抗Rsが接続されていることである。それ以外は、図4のDEVや図6のDEV[1]と同じであるため詳細な説明は省略する。
図4等で述べた半導体デバイスDEVは、従来技術のようなマスタICを必要とせず、それ単独で動作可能な構成例となっているため、図9のような接続を行うことでシングルフェーズ電源として動作することができる。この場合、DEV[1]は、起動時に外部抵抗Rsを検出してTRG_OUTからトリガ出力信号が発生し、それがトリガ入力信号としてTRG_INに入力された時点から電源スイッチング動作を開始する。図9の構成例を用いた場合のスイッチング周波数f[Hz]は、トリガ入力信号とトリガ出力信号の遅延時間をTdとして、前述した式(2)に基づきf=(Td)−1となる。
このように、図4等で述べた半導体デバイスDEVを用いると、マルチフェーズ電源に限らず、シングルフェーズ電源も容易に、または低コストで実現可能となり、システムの電源設計を行う際の柔軟性を向上させることができる。すなわち、1〜n個の半導体デバイスを用いることで、1〜nフェーズの電源を実現できる。
(実施の形態4)
図10は、本発明の実施の形態4による電源装置の基本概念を示すものであり、(a)はその構成例を示す概略図、(b)は(a)の動作例を示す説明図である。図10に示す電源装置は、図1の電源装置と同様に、n個の半導体デバイスDEVd[1]〜DEVd[n]をリング状に接続することで、nフェーズのマルチフェーズ電源を実現するものとなっている。図1(a)の構成例は、タイマ回路TMを用いてアナログ的に各フェーズの間隔を定めていたのに対して、図10(a)の構成例は、基準クロック信号を用いてディジタル的に各フェーズの間隔を定めていることが主要な特徴となっている。
図10(a)において、DEVd[1]のフェーズ出力端子(フェーズ出力信号)PH_OUT[1]はDEVd[2]のフェーズ入力端子(フェーズ入力信号)PH_IN[2]に接続される。DEVd[2]のPH_OUT[2]は、DEVd[3]のPH_IN[3]に接続され、以降同様にして、DEVd[n]のPH_OUT[n]がDEVd[1]のPH_IN[1]に接続される。ここで、図10(b)に示すように、DEVd[1]〜DEVd[n]のそれぞれは、基準クロック信号SYNCに同期して、このようなフェーズ出力信号を発生する。この例では、DEVd[n−1]がSYNCの立ち下がりに同期して、PH_OUT[n−1]を発生し、これを受けたDEVd[n]が、SYNCの次の立ち上がりに同期して所定のPWM動作(SW[n])を開始すると共に、次の立ち下がりに同期してPH_OUT[n]を発生する動作を行っている。
ここで、この基準クロック信号SYNCは、周波数設定端子CTFにコンデンサCfが接続されたDEVd[1]によって生成され、DEVd[1]の基準クロック信号端子SYNC[1]から出力される。一方、DEVd[2]〜DEVd[n]のCTFは、接地電圧となっている。この場合、DEVd[2]〜DEVd[n]の基準クロック信号端子SYNC[2]〜SYNC[n]は、入力端子として振る舞い、DEVd[1]からの基準クロック信号SYNCを受けることで、DEVd[1]〜DEVd[n]で共通の基準クロック信号SYNCを使用可能となる。このような基準クロック信号端子の振る舞いは、特許文献3に記載されている技術を用いることで実現できる。
図11は、図10の半導体デバイスにおけるフェーズ入力信号およびフェーズ出力信号周りの一例を示すものであり、(a)はマスタデバイスの概略構成図、(b)はスレーブデバイスの概略構成図、(c)はその動作例を示す説明図である。図11(a)に示す半導体デバイスDEVd[1]は、発振回路OSC、基準クロック制御部SYNC_CTL、論理和回路OR30、論理積回路AD30、フリップフロップ回路FF30、ワンショットパルス生成回路OSPG1,OSPG2等を含んでいる。このデバイスは、図10で説明したように、基準クロック信号を生成するマスタデバイスとなっている。
OSCは、周波数設定端子CTFに接続されたコンデンサCfに応じた周波数で基準クロック信号SYNCを生成する。このSYNCは、SYNC_CTLを介して基準クロック信号端子SYNC[1]から出力される。フェーズ入力端子PH_IN[1]は、OR30の一方の入力を介してFF30のセット入力に接続される。したがって、フェーズ入力信号が入力された場合、FF30は、セット状態となり、その出力(Q)は‘H’レベルとなる。このFF30の出力(Q)は、AD30の一方の入力に伝送される。AD30の他方の入力には、SYNCが伝送される。したがって、フェーズ入力信号に伴ってFF30がセット状態の場合には、AD30よりSYNCが出力される。
このAD30の出力は、OSPG2に入力される。OSPG2は、このSYNCの立ち下がりエッジを受けて、ワンショットパルス信号を生成し、これをフェーズ出力信号としてPH_OUT[1]から出力する。これによって、図11(c)に示すように、前段からSYNCの立ち下がりエッジに同期したフェーズ入力信号を受けて、その次の立ち下がりエッジでフェーズ出力信号を出力することになる。一方、このOSPG2のワンショットパルス信号は、FF30のリセット入力となる。その結果、図11(c)に示すように、AD30からはSYNCにおける1個の‘H’パルス信号のみが出力される。このAD30からの‘H’パルス信号は、PWMイネーブル信号PWM_ENとして内部回路に伝送され、内部回路は、この立ち上がりエッジに同期して、所定のPWMデューティでトランジスタ(すなわち図2のQh,Ql)を駆動する。
また、OSCからの基準クロック信号SYNCは、OSPG1にも入力される。OSPG1は、デバイスの起動後、OSCからの基準クロック信号SYNCが安定した際に、一度だけ起動パルス信号を生成する。この起動パルス信号は、OR30の他方の入力を介してFF30のセット入力となる。そして、図11(c)に示したフェーズ入力信号の場合と同様にして、フェーズ出力信号とPWM_ENの生成が行われる。なお、この場合は、実施の形態2の場合と異なり、このマスタデバイスが最初にスイッチング動作を開始することになる。すなわち、実施の形態2では、マスタデバイスが最初に1度だけトリガ出力信号を生成する構成例となっていたが、この実施の形態4では、マスタデバイスが最初に1度だけトリガ入力信号を生成する構成例となっている。
また、図11(b)に示す半導体デバイスDEVd[n]も、図11(a)のDEVd[1]と同様の構成を備える。ただし、DEVd[n]は、その周波数設定端子CTFが接地電圧GNDとなっているため、DEVd[1]とは若干動作が異なる。すなわち、DEVd[n]の基準クロック信号端子SYNC[n]は入力端子として振る舞い、ここから入力された基準クロック信号SYNCによって図11(c)のような動作を行う。この場合、OSCは動作しておらず、OSPG1も動作していないため、起動パルス信号の生成は行われない。
以上、本実施の形態4の電源装置を用いることで、実施の形態1等の場合と同様に、代表的には低コストなマルチフェーズ電源を実現可能となる。また、基準クロック信号SYNCに同期してマルチフェーズ電源動作を行うため、実施の形態2等で述べたアナログ遅延を用いる場合と比べて、各フェーズ間の位相差のばらつきを容易に小さくすることができる。
(実施の形態5)
本実施の形態5では、これまでに述べたような半導体デバイスを用いると共に、更に、機能を拡張した電源装置の一例について説明する。図12は、本発明の実施の形態5による電源装置において、その構成の一例を示す概略図である。図12に示す電源装置は、例えば図1で述べたような互いにリング接続されたn個の半導体デバイスDEV[1]〜DEV[n]に加えて、更に、監視設定デバイスDEV_SVCが備わったことが特徴となっている。DEV[1]〜DEV[n]のそれぞれは、例えば、図4の構成例を備えるものとする。
監視設定デバイスDEV_SVCは、詳細は後述するが、主として複数の出力電源電圧設定端子VIDに基づいてエラーアンプの判定レベルを変え、これによって出力コンデンサCvの出力電源電圧Voutの値を設定する機能を備える。すなわち、例えば図6に示すように、これまでの実施の形態では、DEV[1]からのエラーアンプ信号(EO)をDEV[1]〜DEV[n]のエラーアンプ入力端子EO_INで共有する構成例を示した。それに対して、図12の構成例は、DEV_SVCからのエラーアンプ信号をDEV[1]〜DEV[n]のエラーアンプ入力端子EO_INで共有するものとなっている。
このような出力電源電圧設定端子VIDは、多くのピン数を必要とするため、これまでの実施の形態の構成例(すなわち同一デバイスのみの電源装置)で同様の機能を実現する場合、全てのデバイスに対してこのVIDを設ける必要がある。そこで、図12の構成例のように、この機能を別のチップで実現することで、全体として低コスト化が図れる。この場合、DEV_SVCには、少なくともエラーアンプが設けられるため、場合によってはDEV[1]〜DEV[n]内のエラーアンプ(図4におけるEA)は不要となる。ただし、EAは、さほど大きな面積を必要とせず、DEV[1]〜DEV[n]の単独動作機能を維持する観点からDEV[1]〜DEV[n]内に備わっていた方がよい。
また、図12の構成例では、監視設定デバイスDEV_SVCのソフトスタート端子TRKSSが、外部抵抗R3、外部コンデンサC1、およびDEV[1]〜DEV[n]のTRKSSに接続されている。これは、図4に示したように、DEV[1]〜DEV[n]におけるON/OFF信号、内部電源イネーブル信号REGGD、過剰電流検出信号OCPの情報をDEV_SVCのTRKSSに反映させるためである。
図13は、図12の電源装置において、その監視設定デバイスDEV_SVCの詳細な構成例を示すブロック図である。図13に示す監視設定デバイスDEV_SVCは、出力電源電圧検出端子SN,SP,FB、出力電源電圧設定端子VID1〜VID7、ソフトスタート端子TRKSS、デバイス動作イネーブル設定端子(ON/OFF)、エラーアンプ出力端子EO、パワーグッド端子PG、ドループ端子DROOP、差動出力端子DFO等を備えている。
SNは、例えば出力コンデンサCvに接続される負荷LD(図示せず)の接地電圧ノードに接続され、SPは、Cvの出力電源電圧Voutに接続される。差動増幅回路AMP_DFは、このSNとSPの電位差を増幅し、その差動増幅信号DFSをDFOに出力する。すなわち、これまでの実施の形態で述べたようなFBで電圧検出を行う場合と比べてより高精度な電圧検出を行う。このDFOは、外部抵抗R50を介してFBと接続される。ディジタル・アナログ変換回路DACは、VID1〜VID7からの出力電源電圧設定信号をアナログ値に変換する。可変電圧生成回路VRは、このアナログ値に応じた電圧を生成し、エラーアンプ回路EAに出力する。
エラーアンプ回路EAは、このVRとFBの電位差を増幅し、その結果をEOに出力する。これによって、EAは、VID1〜VID7に応じたエラーアンプ信号(EO)を生成することができる。また、EAは、外部抵抗R3と外部コンデンサC1と内蔵トランジスタQ41が接続されたTRKSSの電圧を受けて、ソフトスタートを行う。Q41は、デバイス動作イネーブル設定端子(ON/OFF)のON/OFF信号がオフ状態(動作ディスエーブル状態)の間はTRKSSを接地電圧GNDに接続し、オン状態となった場合には、開放状態となる。オン状態となった場合には、TRKSSの電圧が緩やかに上昇し、ソフトスタートが行われる。
EOは、外部抵抗R4および外部コンデンサC2を介してFBに接続される。R4およびC2は、電源回路の帯域幅を設定する機能を担う。また、EOは、図12に示したようにDEV[1]〜DEV[n]のEO_INと接続される。一方、EAの出力(すなわちEOの電圧)は、ロウパスフィルタ回路LPFを介してドループ制御回路DROOPCに入力される。DROOPCは、ドループ端子DROOPに接続された外部抵抗R51の値およびEAの出力電圧により可変電流源IRを制御する。このIRの電流は、FBに供給される。出力電源電圧監視回路PWGDは、差動増幅信号DFSの電圧値が所定の値以上となっていることを検出する。すなわち、出力電源電圧Voutの生成動作が行われていることを検出する。検出した場合、PWGDは、トランジスタQ40を駆動して、パワーグッド端子PGに検出信号を出力する。
ここで、ドループとは、例えば、出力電源電流が大きくなるほど出力電源電圧を小さくするといったように出力電源電圧と出力電源電流を反比例で制御する機能として知られている。ピーク電流制御方式では、エラーアンプ回路EAの出力電圧は出力電源電流に比例する。したがって、EAの出力電圧に応じてIRの値を変化させることで、結果として出力電源電圧Voutを変化させることができる。具体的には、EAからのエラーアンプ信号の電圧が大きくなるほどIRの電流値が大きくなるように制御する。IRはEAの出力(EO)に比例して大きくなり、その比例定数は外付け抵抗R51の値で決まる。そして、この際の出力電源電圧Voutの低下の値は、式(3)で表される。
ΔVout=IR×R50 (3)
以上、本実施の形態5の電源装置を用いることで、実施の形態1等の場合と同様に、代表的には低コストなマルチフェーズ電源を実現可能となる。すなわち、ドループ機能や出力電源電圧の設定機能などを加えたい場合に、これらの機能を別デバイスとして設けることで全体として低コストなマルチフェーズ電源を実現可能となる。具体的には、例えば、監視設定デバイスDEV_SVCは、図13から判るように、小面積で実現可能であり、また、DEV_SVCとDEV[1]〜DEV[n]間の配線も少ないことから、デバイスコスト、実装コスト共に低コスト化が図れる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
例えば、これまでの実施の形態では、ピーク電流制御方式を備えた半導体デバイスの構成例を示したが、本実施の形態は、リング接続によるマルチフェーズ電源の実現方式に主要な特徴があり、必ずしもピーク電流制御方式に限定されるものではない。例えば、広く知られているように、三角波生成回路を用いてPWM信号の生成を行う電圧制御方式などを用いた構成とすることも可能である。ただし、マルチフェーズ電源では、各フェーズ毎に均等な電流を流すことが望ましく、この観点から、ピーク電流制御方式を用いると、その制御が容易となる。
また、これまでの実施の形態では、トリガ入力信号を起点としてスイッチング動作を行う構成例を示したが、要するに一定間隔のフェーズでスイッチ動作を行わせればよいため、トリガ入力信号に限らず、トリガ出力信号を起点とさせることも可能である。