JP5600262B2 - アークブレージング用シールドガスおよびこのシールドガスを用いた溶接方法 - Google Patents
アークブレージング用シールドガスおよびこのシールドガスを用いた溶接方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5600262B2 JP5600262B2 JP2010047866A JP2010047866A JP5600262B2 JP 5600262 B2 JP5600262 B2 JP 5600262B2 JP 2010047866 A JP2010047866 A JP 2010047866A JP 2010047866 A JP2010047866 A JP 2010047866A JP 5600262 B2 JP5600262 B2 JP 5600262B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- gas
- welding
- arc
- helium
- argon
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Description
従来から、アークブレージング溶接を行うにあたり、シールドガスとしてはアルゴンガスが広く使われている。
また、亜鉛めっき鋼板を溶接する場合、溶接線上の亜鉛を予め機械的に除去する事が行われており、除去するための工程が増え、コストアップの要因となる問題が生じる。また鋼板表面から鉄(融点:1535℃、沸点:2750℃)より低い融点と沸点を持った亜鉛(融点:419℃、沸点907℃)が、溶接時に溶融池に侵入し、その亜鉛蒸気と共に大気を巻き込み、アークが不安定になり、同じくビードが振れる問題がある。
さらに、ステンレス鋼板を溶接する場合、アルゴンガスを用いると母材上の陰極点が形成されにくいためアークが不安定となり、ビードが蛇行する問題がある。
請求項1にかかる発明は、亜鉛めっき鋼板間、亜鉛めっき鋼板と炭素鋼板間、亜鉛めっき鋼板とステンレス鋼板間、炭素鋼板間を接合対象とし、アーク点火後に、コールドメタルトランスファー溶接プロセスが行われるように制御された低入熱溶接電源および主成分が銅であるワイヤを用いたアークブレージング溶接用のシールドガスであって、
その組成が、炭酸ガス6〜22容量%と残部がアルゴン、あるいはその組成が、炭酸ガス5〜22容量%と残部がヘリウム、またはアルゴンとヘリウムとの混合ガスであることを特徴とするアークブレージング用シールドガスである。
本発明において、アークブレージング溶接は、銅を主成分とするワイヤ及び低入熱溶接電源用いて行われる。
また、炭素鋼板とは、炭素含有率が4wt%以下の炭素鋼からなる鋼板を言う。
また、ステンレス鋼板とは、クロム(Cr)が10%以上35%以下含まれた鋼板をいう。
第1のシールドガスにおいて、炭酸ガス濃度の下限値としては、6容量%以上が好ましく、7容量%以上がより好ましく、10容量%以上がさらに好ましい。ここで、炭酸ガス濃度が6容量%未満では、陰極点が不安定となり、溶接ビードが蛇行してしまうために好ましくない。
一方、炭酸ガス濃度の上限値としては、22容量%以下が好ましく、18容量%以下がより好ましく、15容量%以下がさらに好ましい。ここで、炭酸ガス濃度が22容量%を超えると、酸化力が強くなり、溶接ビードが著しく酸化されて品質が低下するために好ましくない。
第2のシールドガスにおいて、炭酸ガス濃度の下限値としては、5容量%以上が好ましく、7容量%以上がより好ましく、10容量%以上がさらに好ましい。ここで、炭酸ガス濃度が5容量%未満では、陰極点が不安定となり、溶接ビードが蛇行してしまうために好ましくない。これに対して、炭酸ガス濃度が5容量%以上では、電位傾度の高いヘリウムの添加により入熱が上がり、金属蒸気又は亜鉛蒸気が多く発生することで陰極点が安定し、良好な溶接ビードが得られる。
一方、炭酸ガス濃度の上限値としては、22容量%以下が好ましく、18容量%以下がより好ましく、15容量%以下がさらに好ましい。ここで、炭酸ガス濃度が22容量%を超えると、酸化力が強くなり、溶接ビードが著しく酸化されて品質が低下するために好ましくない。
第3のシールドガスにおいて、炭酸ガス濃度の下限値としては、5容量%以上が好ましく、7容量%以上がより好ましく、10容量%以上がさらに好ましい。ここで、炭酸ガス濃度が5容量%未満では、陰極点が不安定となり、溶接ビードが蛇行してしまうために好ましくない。なお、ステンレス鋼に含まれているニッケルが酸化され易いため、炭酸ガスが5容量%以上から、陰極点が安定すると考えられる。
一方、炭酸ガス濃度の上限値としては、22容量%以下が好ましく、18容量%以下がより好ましく、15容量%以下がさらに好ましい。ここで、炭酸ガス濃度が22容量%を超えると、酸化力が強くなり、溶接ビードが著しく酸化されて品質が低下するために好ましくない。
第4のシールドガスにおいて、炭酸ガス濃度の下限値としては、0.5容量%以上が好ましい。ここで、炭酸ガス濃度が0.5容量%未満では、陰極点が安定しにくく、溶接ビードが蛇行してしまうために好ましくない。
一方、炭酸ガス濃度の上限値としては、5容量%以下がさらに好ましい。ここで、炭酸ガス濃度が5容量%を超えると、酸化力が強くなり、溶接ビードが著しく酸化されて品質が低下するために好ましくない。
第5のシールドガスにおいて、酸素ガス濃度の下限値としては、0.5容量%以上が好ましい。ここで、酸素ガス濃度が0.5容量%未満では、陰極点が安定しにくく、溶接ビードが蛇行してしまうために好ましくない。
一方、酸素ガス濃度の上限値としては、2容量%以下がさらに好ましい。ここで、酸素ガスは炭酸ガスよりも酸化力が強いため、酸素ガス濃度が2容量%を超えると、酸化力が強くなり、溶接ビードが著しく酸化されて品質が低下するために好ましくない。
また、その他の溶接条件も特に限定されることはないが、通常溶接電流20〜500A、アーク電圧12〜39V、溶接速度500cm/分以下の範囲とされる。
本発明のシールドガスの効果を確認するため、以下の実施例によって各種特性の確認試験を行った。
(実施例1)
板厚0.7mmの被溶接材を2枚用い、上板と下板の隙間を0mm、トーチの傾斜角度を30度として低入熱溶接電源を用いたアークブレージング溶接を行った。
溶接機:CMT溶接電源(フローニアス社製)
溶接材:
亜鉛めっき鋼板間(GA+GA)
亜鉛めっき鋼板と炭素鋼板間(GA+SPCC)
亜鉛めっき鋼板とステンレス鋼板間(GA+SUS)
炭素鋼板間(SPCC+SPCC)
溶接ワイヤ:銅を主成分としたアークブレージング用ワイヤ(φ1.0mm)
ワイヤ送給速度:5m/min(入力値:82A)
溶接速度:1.5m/min
シールドガス流量:15〜20L/min
継手形状:重ね継手
結果を表1に示す。
○: ビードの蛇行もなく安定しており、酸化も見られないため、合格(図6に、代表的な外観写真を示す)。
×: ビードが不安定となり不合格(図7に、代表的な外観写真を示す)。
××: 酸化が著しいために不合格(図8に、代表的な外観写真を示す)。
実施例2として、板厚0.7mmの炭素鋼板とステンレス鋼板とを用い、上板と下板の隙間を0mm、トーチの傾斜角度を30度として低入熱溶接電源を用いたアークブレージング溶接を行った。
溶接機:CMT溶接電源(フローニアス社製)
溶接材:炭素鋼板とステンレス鋼板間(SPCC+SUS)
溶接ワイヤ:銅を主成分としたアークブレージング用ワイヤ(φ1.0mm)
ワイヤ送給速度:5m/min(入力値:82A)
溶接速度:1.5m/min
シールドガス流量:15〜20L/min
継手形状:重ね継手
結果を表2に示す。
○: ビードの蛇行もなく安定しており、酸化も見られないため、合格。
×: ビードが不安定となり不合格。
××: 酸化が著しいために不合格。
なお、各結果の外観の様子については、実施例1で示した図6〜図8と同等であるため、省略する。
実施例3として、板厚0.7mmのステンレス鋼板を2枚用い、上板と下板の隙間を0mm、トーチの傾斜角度を30度として低入熱溶接電源を用いたアークブレージング溶接を行った。
溶接機:CMT溶接電源(フローニアス社製)
溶接材:ステンレス鋼板間(SUS+SUS)
溶接ワイヤ:銅を主成分としたアークブレージング用ワイヤ(φ1.0mm)
ワイヤ送給速度:5m/min(入力値:82A)
溶接速度:4m/min
シールドガス流量:15〜20L/min
継手形状:重ね継手
結果を表3及び表4に示す。
○: ビードの蛇行もなく安定しており、酸化も見られないため、合格。
×: ビードが不安定となり不合格。
××: 酸化が著しいために不合格。
なお、各結果の外観の様子については、実施例1で示した図6〜図8と同等であるため、省略する。
Claims (6)
- 亜鉛めっき鋼板間、亜鉛めっき鋼板と炭素鋼板間、亜鉛めっき鋼板とステンレス鋼板間、炭素鋼板間を接合対象とし、アーク点火後に、コールドメタルトランスファー溶接プロセスが行われるように制御された低入熱溶接電源および主成分が銅であるワイヤを用いたアークブレージング溶接用のシールドガスであって、
その組成が、炭酸ガス6〜22容量%と残部がアルゴン、あるいはその組成が、炭酸ガス5〜22容量%と残部がヘリウム、またはアルゴンとヘリウムとの混合ガスであることを特徴とするアークブレージング用シールドガス。 - 炭素鋼板とステンレス鋼板間を接合対象とし、アーク点火後に、コールドメタルトランスファー溶接プロセスが行われるように制御された低入熱溶接電源および主成分が銅であるワイヤを用いたアークブレージング溶接用のシールドガスであって、
その組成が、炭酸ガス5〜22容量%と残部がアルゴン、ヘリウム、またはアルゴンとヘリウムとの混合ガスであることを特徴とするアークブレージング用シールドガス。 - ステンレス鋼板間を接合対象とし、アーク点火後に、コールドメタルトランスファー溶接プロセスが行われるように制御された低入熱溶接電源および主成分が銅であるワイヤを用いたアークブレージング溶接用のシールドガスであって、
その組成が、炭酸ガス0.5〜5容量%と残部がアルゴン、ヘリウム、またはアルゴンとヘリウムとの混合ガス、あるいはその組成が、酸素0.5〜2容量%と残部がアルゴン、ヘリウム、またはアルゴンとヘリウムとの混合ガスであることを特徴とするアークブレージング用シールドガス。 - 亜鉛めっき鋼板間、亜鉛めっき鋼板と炭素鋼板間、亜鉛めっき鋼板とステンレス鋼板間、炭素鋼板間を接合対象とし、アーク点火後に、コールドメタルトランスファー溶接プロセスが行われるように制御された低入熱溶接電源および主成分が銅であるワイヤを用いてアークブレージング溶接するにあたり、請求項1記載のシールドガスを用いることを特徴とするアークブレージング溶接方法。
- 炭素鋼板とステンレス鋼板間を接合対象とし、アーク点火後に、コールドメタルトランスファー溶接プロセスが行われるように制御された低入熱溶接電源および主成分が銅であるワイヤを用いてアークブレージング溶接するにあたり、請求項2記載のシールドガスを用いることを特徴とするアークブレージング溶接方法。
- ステンレス鋼板間を接合対象とし、アーク点火後に、コールドメタルトランスファー溶接プロセスが行われるように制御された低入熱溶接電源および主成分が銅であるワイヤを用いてアークブレージング溶接するにあたり、請求項3記載のシールドガスを用いることを特徴とするアークブレージング溶接方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010047866A JP5600262B2 (ja) | 2010-03-04 | 2010-03-04 | アークブレージング用シールドガスおよびこのシールドガスを用いた溶接方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010047866A JP5600262B2 (ja) | 2010-03-04 | 2010-03-04 | アークブレージング用シールドガスおよびこのシールドガスを用いた溶接方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2011183402A JP2011183402A (ja) | 2011-09-22 |
JP5600262B2 true JP5600262B2 (ja) | 2014-10-01 |
Family
ID=44790312
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2010047866A Active JP5600262B2 (ja) | 2010-03-04 | 2010-03-04 | アークブレージング用シールドガスおよびこのシールドガスを用いた溶接方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5600262B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6351069B2 (ja) * | 2014-06-20 | 2018-07-04 | 大陽日酸株式会社 | 摩擦攪拌接合方法、及び摩擦攪拌接合装置 |
JP6101724B2 (ja) * | 2015-03-24 | 2017-03-22 | 岩谷産業株式会社 | 亜鉛めっき鋼板の溶接方法 |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH06649A (ja) * | 1992-06-19 | 1994-01-11 | Toyota Motor Corp | 亜鉛めっき鋼板の溶接方法 |
JP4385028B2 (ja) * | 2005-08-25 | 2009-12-16 | 大陽日酸株式会社 | Migブレージング溶接方法 |
-
2010
- 2010-03-04 JP JP2010047866A patent/JP5600262B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2011183402A (ja) | 2011-09-22 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US11577345B2 (en) | Systems and methods for low-manganese welding alloys | |
CA2498116C (en) | Metal-core gas-metal arc welding of ferrous steels with noble gas shielding | |
JP5450221B2 (ja) | 高電流密度ガスシールドアーク溶接方法 | |
US10668572B2 (en) | Welding electrode wires having alkaline earth metals | |
KR102175028B1 (ko) | 저-망간 용접 합금을 위한 시스템 및 방법 | |
JP2009255125A (ja) | 純Arシールドガス溶接用MIGフラックス入りワイヤ及びMIGアーク溶接方法 | |
US11426824B2 (en) | Aluminum-containing welding electrode | |
US9102013B2 (en) | Flux-cored welding wire for carbon steel and process for arc welding | |
Prakash et al. | Shielding gas for welding of aluminium alloys by TIG/MIG welding-a review | |
JP2019034340A (ja) | オーステナイトおよび二相鋼溶接金属を形成するための電極 | |
JP4385028B2 (ja) | Migブレージング溶接方法 | |
JP5600262B2 (ja) | アークブレージング用シールドガスおよびこのシールドガスを用いた溶接方法 | |
RU2702168C1 (ru) | Способ многоэлектродной дуговой сварки в среде защитного газа | |
JP2020157315A (ja) | エレクトロガスアーク溶接用フラックス入りワイヤ | |
CN106573347B (zh) | 用于低锰焊接合金的系统和方法 | |
JP5337665B2 (ja) | Mag溶接用ソリッドワイヤ | |
JP6442789B2 (ja) | 溶接方法 | |
JP7428601B2 (ja) | ガスシールドアーク溶接方法、構造物の製造方法及びシールドガス | |
JPH0122080B2 (ja) | ||
JP4894145B2 (ja) | 高純度不活性ガス雰囲気下で用いられる消耗電極式溶接用ワイヤを用いた溶接方法 | |
JP2001001146A (ja) | ニッケル合金を溶接ワイヤとして使用するミグ溶接用シールドガスと該ガスを使用したミグ溶接方法 | |
JP2003320477A (ja) | アーク安定性に優れたチタン又はチタン合金mig溶接用ワイヤと、該ワイヤを用いるチタン又はチタン合金のmig溶接方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20130212 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20140116 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20140121 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20140320 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20140729 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20140815 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5600262 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |