JP5600262B2 - アークブレージング用シールドガスおよびこのシールドガスを用いた溶接方法 - Google Patents

アークブレージング用シールドガスおよびこのシールドガスを用いた溶接方法 Download PDF

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本発明は、アークブレージング用シールドガスおよびこのシールドガスを用いた溶接方法に関する。
自動車関連機器や事務機器関連部品では、炭素鋼板や、耐食性や光沢の美しさから亜鉛メッキ鋼板やステンレス鋼板が広く用いられている。これらを溶接するにあたり、銅を主成分とした融点が低いワイヤを用いたアークブレージング溶接法が行われている。
この溶接方法は、母材である炭素鋼や亜鉛メッキ鋼板やステンレス鋼板を殆ど溶融せずに母材同士を不活性ガス雰囲気中でワイヤの主成分の銅を溶融し、これを母材間の間隙に流入させてブレージング(ろう付け)する方法であり、スパッタの発生が少なく、外観上もすぐれる特徴を有している。
従来から、アークブレージング溶接を行うにあたり、シールドガスとしてはアルゴンガスが広く使われている。
しかしながら、炭素鋼板を溶接する場合、アルゴンガスを用いると母材上の陰極点が形成されにくいためアークが不安定になり、ビードが振れる問題がある。
また、亜鉛めっき鋼板を溶接する場合、溶接線上の亜鉛を予め機械的に除去する事が行われており、除去するための工程が増え、コストアップの要因となる問題が生じる。また鋼板表面から鉄(融点:1535℃、沸点:2750℃)より低い融点と沸点を持った亜鉛(融点:419℃、沸点907℃)が、溶接時に溶融池に侵入し、その亜鉛蒸気と共に大気を巻き込み、アークが不安定になり、同じくビードが振れる問題がある。
さらに、ステンレス鋼板を溶接する場合、アルゴンガスを用いると母材上の陰極点が形成されにくいためアークが不安定となり、ビードが蛇行する問題がある。
ところで、近年この分野において、低入熱溶接電源が提案されている。この低入熱溶接電源を用いたアークブレージング溶接では、従来の溶接電源を用いた場合よりもスパッタの発生が少なく良好である。しかしながら、低入熱溶接電源を用いたアークブレージング溶接では、入熱量が小さいために、これまで使われていたMIGブレージング溶接用シールドガスの転用では、ビードのぬれ性が悪いためにビードが蛇行してしまう問題が発生してしまう。
ここで、低入熱溶接電源について詳しく述べると、特許文献1に示されているように、フローニアス社製のCMT溶接電源が知られている。このCMT溶接電源は、アーク点火後に、コールドメタルトランスファー(CMT)溶接プロセスが行われるように制御された低入熱溶接電源である。CMT溶接プロセスでは、具体的には、溶接ワイヤが母材に接触するまで溶接ワイヤが母材方向に進み、その後、短絡の形成後に、短絡段階の間に、溶接ワイヤの進行方向が反対にされ、溶接ワイヤが母材の溶融池から離され、その後アーク発生時に溶接ワイヤが融解して母材へ移行するように最適な液滴形成が起こるように制御される。
なお、特許文献2には、MIGブレージング溶接用シールドガスが開示されている。この特許文献2には、亜鉛めっき鋼板同士間をMIGブレージング溶接するにあたり、3〜6%の炭酸ガスと不活性ガスとの混合ガス、あるいは2〜4%の酸素ガスと不活性ガスとの混合ガスをシールドガスとして用いることが提案されている。また、亜鉛めっき鋼板と炭素鋼鋼板、亜鉛めっき鋼板とステンレス鋼板、炭素鋼板同士間、炭素鋼板とステンレス鋼版間をMIGブレージング溶接するにあたり、1〜5%の炭酸ガスと不活性ガスとの混合ガス、あるいは1〜2%の酸素ガスと不活性ガスとの混合ガスをシールドガスとして用いることが開示されている。
特表2008−531283号公報 特開2007−083303号公報
しかしながら、上述したような低入熱溶接電源を用いたアークブレージング溶接するにあたり、被接合材に応じた最適なシールドガスは提案されていないのが現状である。
よって、本発明における課題は、炭素鋼板、亜鉛めっき鋼板あるいはステンレス鋼板に対して低入熱溶接電源を用いたアークブレージング溶接する際に、アークのふらつきを抑制し、溶滴をスムーズに離脱させ、特に陰極点を安定化させることができるシールドガスを得ることにある。
かかる課題を解決するため、
請求項1にかかる発明は、亜鉛めっき鋼板間、亜鉛めっき鋼板と炭素鋼板間、亜鉛めっき鋼板とステンレス鋼板間、炭素鋼板間を接合対象とし、アーク点火後に、コールドメタルトランスファー溶接プロセスが行われるように制御された低入熱溶接電源および主成分が銅であるワイヤを用いたアークブレージング溶接用のシールドガスであって、
その組成が、炭酸ガス6〜22容量%と残部がアルゴン、あるいはその組成が、炭酸ガス5〜22容量%と残部がヘリウム、またはアルゴンとヘリウムとの混合ガスであることを特徴とするアークブレージング用シールドガスである。
請求項2にかかる発明は、炭素鋼板とステンレス鋼板間を接合対象とし、アーク点火後に、コールドメタルトランスファー溶接プロセスが行われるように制御された低入熱溶接電源および主成分が銅であるワイヤを用いたアークブレージング溶接用のシールドガスであって、その組成が、炭酸ガス5〜22容量%と残部がアルゴン、ヘリウム、またはアルゴンとヘリウムとの混合ガスであることを特徴とするアークブレージング用シールドガスである。
請求項3にかかる発明は、ステンレス鋼板間を接合対象とし、アーク点火後に、コールドメタルトランスファー溶接プロセスが行われるように制御された低入熱溶接電源および主成分が銅であるワイヤを用いたアークブレージング溶接用のシールドガスであって、その組成が、炭酸ガス0.5〜5容量%と残部がアルゴン、ヘリウム、またはアルゴンとヘリウムとの混合ガス、あるいはその組成が、酸素0.5〜2容量%と残部がアルゴン、ヘリウム、またはアルゴンとヘリウムとの混合ガスであることを特徴とするアークブレージング用シールドガスである。
請求項4にかかる発明は、亜鉛めっき鋼板間、亜鉛めっき鋼板と炭素鋼板間、亜鉛めっき鋼板とステンレス鋼板間、炭素鋼板間を接合対象とし、アーク点火後に、コールドメタルトランスファー溶接プロセスが行われるように制御された低入熱溶接電源および主成分が銅であるワイヤを用いてアークブレージング溶接するにあたり、請求項1記載のシールドガスを用いることを特徴とするアークブレージング溶接方法である。
請求項5にかかる発明は、炭素鋼板とステンレス鋼板間を接合対象とし、アーク点火後に、コールドメタルトランスファー溶接プロセスが行われるように制御された低入熱溶接電源および主成分が銅であるワイヤを用いてアークブレージング溶接するにあたり、請求項2記載のシールドガスを用いることを特徴とするアークブレージング溶接方法である。
請求項6にかかる発明は、ステンレス鋼板間を接合対象とし、アーク点火後に、コールドメタルトランスファー溶接プロセスが行われるように制御された低入熱溶接電源および主成分が銅であるワイヤを用いてアークブレージング溶接するにあたり、請求項3記載のシールドガスを用いることを特徴とするアークブレージング溶接方法である。
本発明においては、低入熱溶接電源および主成分が銅であるワイヤを用いてアークブレージング溶接するにあたり、被接合材が亜鉛めっき鋼板間、亜鉛めっき鋼板と炭素鋼板間、亜鉛めっき鋼板とステンレス鋼板間、炭素鋼板間である場合には、そのシールドガスとして、炭酸ガス6〜22容量%と残部がアルゴンガスからなる2種混合ガス、あるいは、炭酸ガス5〜22容量%、残部がヘリウム、またはアルゴンとヘリウムとの混合ガスからなる2種または3種混合ガスを用いることで、アークの陰極点が安定し溶滴がスムーズに移行する溶接方法を提供することができる。
また、被接合材が炭素鋼板とステンレス鋼板間である場合には、シールドガスとして、炭酸ガスを5〜22容量%と残部がアルゴン、ヘリウム、またはアルゴンとヘリウムとの混合ガスからなる2種または3種混合ガスを用いることにより、アークの陰極点が安定し溶滴がスムーズに移行する溶接方法を提供することができる。
また、被接合材がステンレス鋼板間である場合には、シールドガスとして、炭酸ガスを0.5〜5容量%と、残部がアルゴン、ヘリウム、またはアルゴンとヘリウムとの混合ガスからなる2種または3種混合ガス、あるいは酸素ガスを0.5〜2容量%と、残部がアルゴン、ヘリウム、またはアルゴンとヘリウムとの混合ガスからなる2種または3種混合ガスを用いることにより、アークの陰極点が安定し溶滴がスムーズに移行する溶接方法を得ることができる。
図1は、本発明の一例である第1のシールドガスを構成する各ガス成分の組成範囲を示すグラフである。 図2は、本発明の一例である第2のシールドガスを構成する各ガス成分の組成範囲を示すグラフである。 図3は、本発明の一例である第3のシールドガスを構成する各ガス成分の組成範囲を示すグラフである。 図4は、本発明の一例である第4のシールドガスを構成する各ガス成分の組成範囲を示すグラフである。 図5は、本発明の一例である第5のシールドガスを構成する各ガス成分の組成範囲を示すグラフである。 図6は、実施例における溶接後の外観写真である。 図7は、実施例における溶接後の外観写真である。 図8は、実施例における溶接後の外観写真である。
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明において、アークブレージング溶接は、銅を主成分とするワイヤ及び低入熱溶接電源用いて行われる。
ここで使用されるワイヤとしては、例えばシリコン系ワイヤAWS(アメリカ溶接学会規格)ER 銅Si−Aやアルミ系ワイヤ AWS ER 銅Al−A(B)などの径0.8〜1.2mmのものが用いられる。
また、使用される低入熱溶接電源としては、例えば上述した特許文献1に示されているフローニアス社製のCMT溶接電源が用いられる。
被接合材が、亜鉛めっき鋼板間、亜鉛めっき鋼板と炭素鋼板間、亜鉛めっき鋼板とステンレス鋼板間、炭素鋼板間の場合には、炭酸ガスが6〜22容量%と残部がアルゴンガスである第1のシールドガス、あるいは炭酸ガスが5〜22容量%と残部がヘリウム、またはアルゴンとヘリウムとの混合ガスからなる2種あるいは3種の混合ガスからなる第2のシールドガスを使用する。
ここで、亜鉛めっき鋼板とは、上述の炭素鋼板の表面に電気めっきまたは溶融めっきにより亜鉛の厚さが90g/m以下のめっき膜を設けたものを言う。
また、炭素鋼板とは、炭素含有率が4wt%以下の炭素鋼からなる鋼板を言う。
また、ステンレス鋼板とは、クロム(Cr)が10%以上35%以下含まれた鋼板をいう。
図1は、第1のシールドガスを構成する各ガス成分の組成範囲を示すグラフである。
第1のシールドガスにおいて、炭酸ガス濃度の下限値としては、6容量%以上が好ましく、7容量%以上がより好ましく、10容量%以上がさらに好ましい。ここで、炭酸ガス濃度が6容量%未満では、陰極点が不安定となり、溶接ビードが蛇行してしまうために好ましくない。
一方、炭酸ガス濃度の上限値としては、22容量%以下が好ましく、18容量%以下がより好ましく、15容量%以下がさらに好ましい。ここで、炭酸ガス濃度が22容量%を超えると、酸化力が強くなり、溶接ビードが著しく酸化されて品質が低下するために好ましくない。
図2は、第2のシールドガスを構成する各ガス成分の組成範囲を示すグラフである。
第2のシールドガスにおいて、炭酸ガス濃度の下限値としては、5容量%以上が好ましく、7容量%以上がより好ましく、10容量%以上がさらに好ましい。ここで、炭酸ガス濃度が5容量%未満では、陰極点が不安定となり、溶接ビードが蛇行してしまうために好ましくない。これに対して、炭酸ガス濃度が5容量%以上では、電位傾度の高いヘリウムの添加により入熱が上がり、金属蒸気又は亜鉛蒸気が多く発生することで陰極点が安定し、良好な溶接ビードが得られる。
一方、炭酸ガス濃度の上限値としては、22容量%以下が好ましく、18容量%以下がより好ましく、15容量%以下がさらに好ましい。ここで、炭酸ガス濃度が22容量%を超えると、酸化力が強くなり、溶接ビードが著しく酸化されて品質が低下するために好ましくない。
また、被接合材が炭素鋼板とステンレス鋼板間の場合には、炭酸ガスが5〜22容量%と残部がアルゴンガス、ヘリウムガス、またはアルゴンガスとヘリウムガスとの混合ガスからなる2種または3種の混合ガスからなる第3のシールドガスが用いられる。
図3は、第3のシールドガスを構成する各ガス成分の組成範囲を示すグラフである。
第3のシールドガスにおいて、炭酸ガス濃度の下限値としては、5容量%以上が好ましく、7容量%以上がより好ましく、10容量%以上がさらに好ましい。ここで、炭酸ガス濃度が5容量%未満では、陰極点が不安定となり、溶接ビードが蛇行してしまうために好ましくない。なお、ステンレス鋼に含まれているニッケルが酸化され易いため、炭酸ガスが5容量%以上から、陰極点が安定すると考えられる。
一方、炭酸ガス濃度の上限値としては、22容量%以下が好ましく、18容量%以下がより好ましく、15容量%以下がさらに好ましい。ここで、炭酸ガス濃度が22容量%を超えると、酸化力が強くなり、溶接ビードが著しく酸化されて品質が低下するために好ましくない。
さらに、被接合材がステンレス鋼板間である場合には、シールドガスとして、炭酸ガスを0.5〜5容量%と、残部がアルゴンガス、ヘリウムガス、またはアルゴンガスとヘリウムガスとの混合ガスからなる2種または3種混合ガスからなる第4のシールドガス、あるいは酸素ガスを0.5〜2容量%と、残部がアルゴンガス、ヘリウムガス、またはアルゴンガスとヘリウムガスとの混合ガスからなる2種または3種混合ガスからなる第5のシールドガスが用いられる。
図4は、第4のシールドガスを構成する各ガス成分の組成範囲を示すグラフである。
第4のシールドガスにおいて、炭酸ガス濃度の下限値としては、0.5容量%以上が好ましい。ここで、炭酸ガス濃度が0.5容量%未満では、陰極点が安定しにくく、溶接ビードが蛇行してしまうために好ましくない。
一方、炭酸ガス濃度の上限値としては、5容量%以下がさらに好ましい。ここで、炭酸ガス濃度が5容量%を超えると、酸化力が強くなり、溶接ビードが著しく酸化されて品質が低下するために好ましくない。
図5は、第5のシールドガスを構成する各ガス成分の組成範囲を示すグラフである。
第5のシールドガスにおいて、酸素ガス濃度の下限値としては、0.5容量%以上が好ましい。ここで、酸素ガス濃度が0.5容量%未満では、陰極点が安定しにくく、溶接ビードが蛇行してしまうために好ましくない。
一方、酸素ガス濃度の上限値としては、2容量%以下がさらに好ましい。ここで、酸素ガスは炭酸ガスよりも酸化力が強いため、酸素ガス濃度が2容量%を超えると、酸化力が強くなり、溶接ビードが著しく酸化されて品質が低下するために好ましくない。
ところで、本発明のアークブレージング溶接に用いる低入熱溶接電源は、一般的な溶接電源と比べて入熱量が小さいため、母材表面を溶融するために必要な熱量が小さい。また、熱量が小さいことにより、アーク直下の母材表面から発生する金属蒸気が少ない。このため、例えば上記特許文献2等で提案されているような、従来のMIGブレージング溶接用シールドガスのガス組成では、陰極点が安定しなく、アークが不安定となり、ビードが蛇行してしまうという問題があった。
これに対して、本発明では、炭素鋼板、亜鉛めっき鋼板、ステンレス鋼板に対して、低入熱溶接電源を用いたアークブレージング溶接する際に、上記第1〜第5のシールドガスを用いることで、アークのふらつきを抑制し、溶滴をスムーズに離脱させ、陰極点を安定させることができる。これは、従来のMIGブレージング溶接用シールドガスよりも上記第1〜第5のシールドガス中の炭酸ガス濃度あるいは酸素ガス濃度が高くすることにより、母材表面の酸化力が強くなるため、母材表面の陰極点が安定してアークが集中する。このアークの集中により、必要な金属蒸気を発生させることができるため、アークのふらつきを抑制することができると考える。
さらに、アークが安定する要因としては、以下の理由が考えられる。すなわち、多原子分子である炭酸や酸素は、アーク雰囲気中で解離する。その時に熱を奪うため、熱的なピンチ効果により電位傾度が高くなり、入熱量が増加するためと考えられる。
なお、これらのシールドガスの溶接時の流量は、特に限定されないが10〜30リットル/分とされ、これよりも少ないと気孔が著しく発生したり、酸化が著しくなり、これよりも多くなると大気の巻き込みを招き、気孔が発生する。
また、その他の溶接条件も特に限定されることはないが、通常溶接電流20〜500A、アーク電圧12〜39V、溶接速度500cm/分以下の範囲とされる。
以下、具体例を示す。
本発明のシールドガスの効果を確認するため、以下の実施例によって各種特性の確認試験を行った。
(実施例1)
板厚0.7mmの被溶接材を2枚用い、上板と下板の隙間を0mm、トーチの傾斜角度を30度として低入熱溶接電源を用いたアークブレージング溶接を行った。
シールドガスとして、表1中に示す構成の炭酸ガス(CO)及びアルゴンガス(Ar)からなる2種混合ガス、あるいは炭酸ガスと残部がヘリウム(He)、またはアルゴンとヘリウムとの混合ガスからなる2種あるいは3種の混合ガスを用いて、以下の条件でアークブレージング溶接を行った。比較用ガスとして、広く一般的に使われているアルゴンガスを用いた。
<溶接条件>
溶接機:CMT溶接電源(フローニアス社製)
溶接材:
亜鉛めっき鋼板間(GA+GA)
亜鉛めっき鋼板と炭素鋼板間(GA+SPCC)
亜鉛めっき鋼板とステンレス鋼板間(GA+SUS)
炭素鋼板間(SPCC+SPCC)
溶接ワイヤ:銅を主成分としたアークブレージング用ワイヤ(φ1.0mm)
ワイヤ送給速度:5m/min(入力値:82A)
溶接速度:1.5m/min
シールドガス流量:15〜20L/min
継手形状:重ね継手
評価は、ビードの安定性、酸化の状態を対象とし、溶接後の肉眼での観察で評価した。
結果を表1に示す。
表1における評価の内容は、下記の通りである。
○: ビードの蛇行もなく安定しており、酸化も見られないため、合格(図6に、代表的な外観写真を示す)。
×: ビードが不安定となり不合格(図7に、代表的な外観写真を示す)。
××: 酸化が著しいために不合格(図8に、代表的な外観写真を示す)。
表1の結果から、炭酸ガスが6〜22容量%と残部がアルゴンガスである2種混合ガス、あるいは炭酸ガスが5〜22容量%と残部がヘリウム、またはアルゴンとヘリウムとの混合ガスからなる2種あるいは3種の混合ガスが良好な結果を与えることがわかる。
(実施例2)
実施例2として、板厚0.7mmの炭素鋼板とステンレス鋼板とを用い、上板と下板の隙間を0mm、トーチの傾斜角度を30度として低入熱溶接電源を用いたアークブレージング溶接を行った。
シールドガスとして、表2中に示す構成の炭酸ガスと残部がアルゴンガス、ヘリウムガス、またはアルゴンガスとヘリウムガスとの混合ガスからなる2種または3種の混合ガスを用いて、以下の条件でアークブレージング溶接を行った。比較用ガスとして、広く一般的に使われているアルゴンガスを用いた。
<溶接条件>
溶接機:CMT溶接電源(フローニアス社製)
溶接材:炭素鋼板とステンレス鋼板間(SPCC+SUS)
溶接ワイヤ:銅を主成分としたアークブレージング用ワイヤ(φ1.0mm)
ワイヤ送給速度:5m/min(入力値:82A)
溶接速度:1.5m/min
シールドガス流量:15〜20L/min
継手形状:重ね継手
評価は、ビードの安定性、酸化の状態を対象とし、溶接後の肉眼での観察で評価した。
結果を表2に示す。
表2における評価の内容は、下記の通りである。
○: ビードの蛇行もなく安定しており、酸化も見られないため、合格。
×: ビードが不安定となり不合格。
××: 酸化が著しいために不合格。
なお、各結果の外観の様子については、実施例1で示した図6〜図8と同等であるため、省略する。
表2の結果から、炭酸ガスが5〜22容量%と残部がアルゴンガス、ヘリウムガス、またはアルゴンガスとヘリウムガスとの混合ガスからなる2種または3種の混合ガスが良好な結果を与えることがわかる。
(実施例3)
実施例3として、板厚0.7mmのステンレス鋼板を2枚用い、上板と下板の隙間を0mm、トーチの傾斜角度を30度として低入熱溶接電源を用いたアークブレージング溶接を行った。
シールドガスとして、表3中に示す構成の炭酸ガスと、残部がアルゴンガス、ヘリウムガス、またはアルゴンガスとヘリウムガスとの混合ガスからなる2種または3種混合ガス、あるいは表4中に示す構成の酸素ガスと、残部がアルゴンガス、ヘリウムガス、またはアルゴンガスとヘリウムガスとの混合ガスからなる2種または3種混合ガスを用いて、以下の条件でアークブレージング溶接を行った。比較用ガスとして、広く一般的に使われているアルゴンガスを用いた。
<溶接条件>
溶接機:CMT溶接電源(フローニアス社製)
溶接材:ステンレス鋼板間(SUS+SUS)
溶接ワイヤ:銅を主成分としたアークブレージング用ワイヤ(φ1.0mm)
ワイヤ送給速度:5m/min(入力値:82A)
溶接速度:4m/min
シールドガス流量:15〜20L/min
継手形状:重ね継手
評価は、ビードの安定性、酸化の状態を対象とし、溶接後の肉眼での観察で評価した。
結果を表3及び表4に示す。
表3及び表4における評価の内容は、下記の通りである。
○: ビードの蛇行もなく安定しており、酸化も見られないため、合格。
×: ビードが不安定となり不合格。
××: 酸化が著しいために不合格。
なお、各結果の外観の様子については、実施例1で示した図6〜図8と同等であるため、省略する。
表3及び表4の結果から、炭酸ガスを0.5〜5容量%と、残部がアルゴンガス、ヘリウムガス、またはアルゴンガスとヘリウムガスとの混合ガスからなる2種または3種混合ガス、あるいは酸素ガスを0.5〜2容量%と、残部がアルゴンガス、ヘリウムガス、またはアルゴンガスとヘリウムガスとの混合ガスからなる2種または3種混合ガスが良好な結果を与えることがわかる。

Claims (6)

  1. 亜鉛めっき鋼板間、亜鉛めっき鋼板と炭素鋼板間、亜鉛めっき鋼板とステンレス鋼板間、炭素鋼板間を接合対象とし、アーク点火後に、コールドメタルトランスファー溶接プロセスが行われるように制御された低入熱溶接電源および主成分が銅であるワイヤを用いたアークブレージング溶接用のシールドガスであって、
    その組成が、炭酸ガス6〜22容量%と残部がアルゴン、あるいはその組成が、炭酸ガス5〜22容量%と残部がヘリウム、またはアルゴンとヘリウムとの混合ガスであることを特徴とするアークブレージング用シールドガス。
  2. 炭素鋼板とステンレス鋼板間を接合対象とし、アーク点火後に、コールドメタルトランスファー溶接プロセスが行われるように制御された低入熱溶接電源および主成分が銅であるワイヤを用いたアークブレージング溶接用のシールドガスであって、
    その組成が、炭酸ガス5〜22容量%と残部がアルゴン、ヘリウム、またはアルゴンとヘリウムとの混合ガスであることを特徴とするアークブレージング用シールドガス。
  3. ステンレス鋼板間を接合対象とし、アーク点火後に、コールドメタルトランスファー溶接プロセスが行われるように制御された低入熱溶接電源および主成分が銅であるワイヤを用いたアークブレージング溶接用のシールドガスであって、
    その組成が、炭酸ガス0.5〜5容量%と残部がアルゴン、ヘリウム、またはアルゴンとヘリウムとの混合ガス、あるいはその組成が、酸素0.5〜2容量%と残部がアルゴン、ヘリウム、またはアルゴンとヘリウムとの混合ガスであることを特徴とするアークブレージング用シールドガス。
  4. 亜鉛めっき鋼板間、亜鉛めっき鋼板と炭素鋼板間、亜鉛めっき鋼板とステンレス鋼板間、炭素鋼板間を接合対象とし、アーク点火後に、コールドメタルトランスファー溶接プロセスが行われるように制御された低入熱溶接電源および主成分が銅であるワイヤを用いてアークブレージング溶接するにあたり、請求項1記載のシールドガスを用いることを特徴とするアークブレージング溶接方法。
  5. 炭素鋼板とステンレス鋼板間を接合対象とし、アーク点火後に、コールドメタルトランスファー溶接プロセスが行われるように制御された低入熱溶接電源および主成分が銅であるワイヤを用いてアークブレージング溶接するにあたり、請求項2記載のシールドガスを用いることを特徴とするアークブレージング溶接方法。
  6. ステンレス鋼板間を接合対象とし、アーク点火後に、コールドメタルトランスファー溶接プロセスが行われるように制御された低入熱溶接電源および主成分が銅であるワイヤを用いてアークブレージング溶接するにあたり、請求項3記載のシールドガスを用いることを特徴とするアークブレージング溶接方法。
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