JP2011183402A - アークブレージング用シールドガスおよびこのシールドガスを用いた溶接方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】被接合材が、亜鉛めっき鋼板間、亜鉛めっき鋼板と炭素鋼板間、亜鉛めっき鋼板とステンレス鋼板間、炭素鋼板間では、炭酸ガス6〜22容量%と残部がアルゴン、あるいは炭酸ガス5〜22容量%と残部がヘリウム、またはアルゴンとヘリウムとの混合ガスを用い、また炭素鋼板とステンレス鋼板間では、炭酸ガス5〜22容量%と残部がアルゴン、ヘリウム、またはアルゴンとヘリウムとの混合ガスを用い、ステンレス鋼板間では、炭酸ガス0.5〜5容量%と残部がアルゴン、ヘリウム、またはアルゴンとヘリウムとの混合ガス、あるいは酸素0.5〜2容量%と残部がアルゴン、ヘリウム、またはアルゴンとヘリウムとの混合ガスを用いる。
【選択図】なし
Description
従来から、アークブレージング溶接を行うにあたり、シールドガスとしてはアルゴンガスが広く使われている。
また、亜鉛めっき鋼板を溶接する場合、溶接線上の亜鉛を予め機械的に除去する事が行われており、除去するための工程が増え、コストアップの要因となる問題が生じる。また鋼板表面から鉄(融点:1535℃、沸点:2750℃)より低い融点と沸点を持った亜鉛(融点:419℃、沸点907℃)が、溶接時に溶融池に侵入し、その亜鉛蒸気と共に大気を巻き込み、アークが不安定になり、同じくビードが振れる問題がある。
さらに、ステンレス鋼板を溶接する場合、アルゴンガスを用いると母材上の陰極点が形成されにくいためアークが不安定となり、ビードが蛇行する問題がある。
請求項1にかかる発明は、亜鉛めっき鋼板間、亜鉛めっき鋼板と炭素鋼板間、亜鉛めっき鋼板とステンレス鋼板間、炭素鋼板間を接合対象とし、低入熱溶接電源および主成分が銅であるワイヤを用いたアークブレージング溶接用のシールドガスであって、その組成が、炭酸ガス6〜22容量%と残部がアルゴン、あるいはその組成が、炭酸ガス5〜22容量%と残部がヘリウム、またはアルゴンとヘリウムとの混合ガスであることを特徴とするアークブレージング用シールドガスである。
本発明において、アークブレージング溶接は、銅を主成分とするワイヤ及び低入熱溶接電源用いて行われる。
また、炭素鋼板とは、炭素含有率が4wt%以下の炭素鋼からなる鋼板を言う。
また、ステンレス鋼板とは、クロム(Cr)が10%以上35%以下含まれた鋼板をいう。
第1のシールドガスにおいて、炭酸ガス濃度の下限値としては、6容量%以上が好ましく、7容量%以上がより好ましく、10容量%以上がさらに好ましい。ここで、炭酸ガス濃度が6容量%未満では、陰極点が不安定となり、溶接ビードが蛇行してしまうために好ましくない。
一方、炭酸ガス濃度の上限値としては、22容量%以下が好ましく、18容量%以下がより好ましく、15容量%以下がさらに好ましい。ここで、炭酸ガス濃度が22容量%を超えると、酸化力が強くなり、溶接ビードが著しく酸化されて品質が低下するために好ましくない。
第2のシールドガスにおいて、炭酸ガス濃度の下限値としては、5容量%以上が好ましく、7容量%以上がより好ましく、10容量%以上がさらに好ましい。ここで、炭酸ガス濃度が5容量%未満では、陰極点が不安定となり、溶接ビードが蛇行してしまうために好ましくない。これに対して、炭酸ガス濃度が5容量%以上では、電位傾度の高いヘリウムの添加により入熱が上がり、金属蒸気又は亜鉛蒸気が多く発生することで陰極点が安定し、良好な溶接ビードが得られる。
一方、炭酸ガス濃度の上限値としては、22容量%以下が好ましく、18容量%以下がより好ましく、15容量%以下がさらに好ましい。ここで、炭酸ガス濃度が22容量%を超えると、酸化力が強くなり、溶接ビードが著しく酸化されて品質が低下するために好ましくない。
第3のシールドガスにおいて、炭酸ガス濃度の下限値としては、5容量%以上が好ましく、7容量%以上がより好ましく、10容量%以上がさらに好ましい。ここで、炭酸ガス濃度が5容量%未満では、陰極点が不安定となり、溶接ビードが蛇行してしまうために好ましくない。なお、ステンレス鋼に含まれているニッケルが酸化され易いため、炭酸ガスが5容量%以上から、陰極点が安定すると考えられる。
一方、炭酸ガス濃度の上限値としては、22容量%以下が好ましく、18容量%以下がより好ましく、15容量%以下がさらに好ましい。ここで、炭酸ガス濃度が22容量%を超えると、酸化力が強くなり、溶接ビードが著しく酸化されて品質が低下するために好ましくない。
第4のシールドガスにおいて、炭酸ガス濃度の下限値としては、0.5容量%以上が好ましい。ここで、炭酸ガス濃度が0.5容量%未満では、陰極点が安定しにくく、溶接ビードが蛇行してしまうために好ましくない。
一方、炭酸ガス濃度の上限値としては、5容量%以下がさらに好ましい。ここで、炭酸ガス濃度が5容量%を超えると、酸化力が強くなり、溶接ビードが著しく酸化されて品質が低下するために好ましくない。
第5のシールドガスにおいて、酸素ガス濃度の下限値としては、0.5容量%以上が好ましい。ここで、酸素ガス濃度が0.5容量%未満では、陰極点が安定しにくく、溶接ビードが蛇行してしまうために好ましくない。
一方、酸素ガス濃度の上限値としては、2容量%以下がさらに好ましい。ここで、酸素ガスは炭酸ガスよりも酸化力が強いため、酸素ガス濃度が2容量%を超えると、酸化力が強くなり、溶接ビードが著しく酸化されて品質が低下するために好ましくない。
また、その他の溶接条件も特に限定されることはないが、通常溶接電流20〜500A、アーク電圧12〜39V、溶接速度500cm/分以下の範囲とされる。
本発明のシールドガスの効果を確認するため、以下の実施例によって各種特性の確認試験を行った。
(実施例1)
板厚0.7mmの被溶接材を2枚用い、上板と下板の隙間を0mm、トーチの傾斜角度を30度として低入熱溶接電源を用いたアークブレージング溶接を行った。
溶接機:CMT溶接電源(フローニアス社製)
溶接材:
亜鉛めっき鋼板間(GA+GA)
亜鉛めっき鋼板と炭素鋼板間(GA+SPCC)
亜鉛めっき鋼板とステンレス鋼板間(GA+SUS)
炭素鋼板間(SPCC+SPCC)
溶接ワイヤ:銅を主成分としたアークブレージング用ワイヤ(φ1.0mm)
ワイヤ送給速度:5m/min(入力値:82A)
溶接速度:1.5m/min
シールドガス流量:15〜20L/min
継手形状:重ね継手
結果を表1に示す。
○: ビードの蛇行もなく安定しており、酸化も見られないため、合格(図6に、代表的な外観写真を示す)。
×: ビードが不安定となり不合格(図7に、代表的な外観写真を示す)。
××: 酸化が著しいために不合格(図8に、代表的な外観写真を示す)。
実施例2として、板厚0.7mmの炭素鋼板とステンレス鋼板とを用い、上板と下板の隙間を0mm、トーチの傾斜角度を30度として低入熱溶接電源を用いたアークブレージング溶接を行った。
溶接機:CMT溶接電源(フローニアス社製)
溶接材:炭素鋼板とステンレス鋼板間(SPCC+SUS)
溶接ワイヤ:銅を主成分としたアークブレージング用ワイヤ(φ1.0mm)
ワイヤ送給速度:5m/min(入力値:82A)
溶接速度:1.5m/min
シールドガス流量:15〜20L/min
継手形状:重ね継手
結果を表2に示す。
○: ビードの蛇行もなく安定しており、酸化も見られないため、合格。
×: ビードが不安定となり不合格。
××: 酸化が著しいために不合格。
なお、各結果の外観の様子については、実施例1で示した図6〜図8と同等であるため、省略する。
実施例3として、板厚0.7mmのステンレス鋼板を2枚用い、上板と下板の隙間を0mm、トーチの傾斜角度を30度として低入熱溶接電源を用いたアークブレージング溶接を行った。
溶接機:CMT溶接電源(フローニアス社製)
溶接材:ステンレス鋼板間(SUS+SUS)
溶接ワイヤ:銅を主成分としたアークブレージング用ワイヤ(φ1.0mm)
ワイヤ送給速度:5m/min(入力値:82A)
溶接速度:4m/min
シールドガス流量:15〜20L/min
継手形状:重ね継手
結果を表3及び表4に示す。
○: ビードの蛇行もなく安定しており、酸化も見られないため、合格。
×: ビードが不安定となり不合格。
××: 酸化が著しいために不合格。
なお、各結果の外観の様子については、実施例1で示した図6〜図8と同等であるため、省略する。
Claims (6)
- 亜鉛めっき鋼板間、亜鉛めっき鋼板と炭素鋼板間、亜鉛めっき鋼板とステンレス鋼板間、炭素鋼板間を接合対象とし、低入熱溶接電源および主成分が銅であるワイヤを用いたアークブレージング溶接用のシールドガスであって、
その組成が、炭酸ガス6〜22容量%と残部がアルゴン、あるいはその組成が、炭酸ガス5〜22容量%と残部がヘリウム、またはアルゴンとヘリウムとの混合ガスであることを特徴とするアークブレージング用シールドガス。 - 炭素鋼板とステンレス鋼板間を接合対象とし、低入熱溶接電源および主成分が銅であるワイヤを用いたアークブレージング溶接用のシールドガスであって、
その組成が、炭酸ガス5〜22容量%と残部がアルゴン、ヘリウム、またはアルゴンとヘリウムとの混合ガスであることを特徴とするアークブレージング用シールドガス。 - ステンレス鋼板間を接合対象とし、低入熱溶接電源および主成分が銅であるワイヤを用いたアークブレージング溶接用のシールドガスであって、
その組成が、炭酸ガス0.5〜5容量%と残部がアルゴン、ヘリウム、またはアルゴンとヘリウムとの混合ガス、あるいはその組成が、酸素0.5〜2容量%と残部がアルゴン、ヘリウム、またはアルゴンとヘリウムとの混合ガスであることを特徴とするアークブレージング用シールドガス。 - 亜鉛めっき鋼板間、亜鉛めっき鋼板と炭素鋼板間、亜鉛めっき鋼板とステンレス鋼板間、炭素鋼板間を接合対象とし、低入熱溶接電源および主成分が銅であるワイヤを用いてアークブレージング溶接するにあたり、請求項1記載のシールドガスを用いることを特徴とするアークブレージング溶接方法。
- 炭素鋼板とステンレス鋼板間を接合対象とし、低入熱溶接電源および主成分が銅であるワイヤを用いてアークブレージング溶接するにあたり、請求項2記載のシールドガスを用いることを特徴とするアークブレージング溶接方法。
- ステンレス鋼板間を接合対象とし、低入熱溶接電源および主成分が銅であるワイヤを用いてアークブレージング溶接するにあたり、請求項3記載のシールドガスを用いることを特徴とするアークブレージング溶接方法。
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