JP5599282B2 - 自動工具交換装置 - Google Patents

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Description

この発明は、自動工具交換装置(ATC:Automatic Tool Changer)に関し、特に、チェンジャアームによって工具ホルダを把持する機構に関する。
自動工具交換装置のチェンジャアームによって工具ホルダを把持する機構として、従来、次のようなものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。すなわち、図26に示すように、チェンジャアーム100内にロックピン101が進退可能に配設され、スプリング102によってロックピン101の先端が、常にチェンジャアーム100の把持部100aから突出するようになっている。そして、チェンジャアーム100が回動(回転)して把持部100aの開口側が工具ホルダHに向かい、工具ホルダHが把持部100aに嵌合すると、把持部100aとロックピン101とによって工具ホルダHが挟持された状態となる。
また、工具ホルダHが工作機械の主軸などに固定された状態でチェンジャアーム100が逆方向に回動すると、ロックピン101が後退して把持部100aとによる工具ホルダHの挟持が解除されるものである。さらに、工具ホルダHを挟持した状態でロックピン101が後退しないようにロックピン101をロック(固定)し、挟持を解除する際にロックを解除するロック機構が設けられている。
特開平11−254261号公報
ところで、上記のような工具ホルダの把持機構では、ロックピン101の先端が、常にチェンジャアーム100の把持部100aから突出した状態となっている。このため、工具ホルダHが把持部100aに嵌合する際には、工具ホルダHがロックピン101に当たり、工具ホルダHによってロックピン101が後退して工具ホルダHが把持部100aに嵌合した後に、再びロックピン101が前進して工具ホルダHを挟持することになる。つまり、工具ホルダHを把持するたびに、工具ホルダHがロックピン101に衝突し、チェンジャアーム100(特にロックピン101)や工具ホルダHは、強い衝撃力を受けることになる。しかも、自動工具交換装置の動作速度は高速化しており、チェンジャアーム100の回動速度も速く、工具ホルダHがロックピン101と衝突することによる衝撃力は大きなものとなる。この結果、チェンジャアーム100や工具ホルダHに損傷を与えたり、周囲に大きな衝撃音を発したりすることになる。
また、上記の把持機構では、ロックピン101を後退させながら工具ホルダHが把持部100aに嵌合していき、嵌合完了に近づくとロックピン101が再び前進して挟持が開始される。つまり、工具ホルダHと把持部100aとの嵌合が完了する前に、把持部100aとロックピン101とによる挟持が行われる。このため、工具ホルダHの挟持・把持が不安定となる。
そこでこの発明は、チェンジャアームなどに損傷を与えたり、周囲に大きな音を発したりすることがなく、しかも工具ホルダを安定して把持可能な自動工具交換装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、一端部側にチェンジャアームが配設された出力シャフトが、メインカムに連動して軸方向に進退動するとともに軸中心に回動し、前記チェンジャアームに工具ホルダを把持する把持部が設けられた自動工具交換装置であって、前記チェンジャアーム側に開閉自在に設けられ、前記工具ホルダを前記把持部と把持し、あるいは把持を解除する把持体と、前記出力シャフト内に配設され、前記メインカムに連動して前記出力シャフトの軸方向に進退動する駆動シャフトと、前記駆動シャフトの進退動に連動して、前記把持体を開閉駆動する駆動手段と、中央部を軸にして揺動自在で、駆動側が前記メインカムに形成されたロックカム溝に摺動自在に挿入され、従動側が前記駆動シャフトの端部側に位置されたロックレバーと、を備え、前記チェンジャアームが前記工具ホルダを把持しない位置では把持体が開き、前記チェンジャアームが前記工具ホルダを把持する位置では把持体が閉じるように、前記駆動シャフトが前記メインカムに連動しており前記駆動手段は、前記把持体を閉じる方向に押圧するスプリングを備え、前記メインカムが回転すると、前記ロックレバーの駆動側が前記ロックカム溝に沿って摺動して前記ロックレバーの従動側が動き、該従動側が前進することで前記駆動シャフトが前進して前記スプリングの押圧力に抗して前記把持体が開き、前記駆動シャフトを前進させる必要がある場合にのみ、前記ロックレバーの従動側が前記駆動シャフトを押圧し、その他の場合には、前記従動側が前記駆動シャフトに追従しないように、前記ロックカム溝のカム形状が設定されている、ことを特徴とする。
この発明によれば、チェンジャアームが工具ホルダを把持しない位置、つまり工具ホルダを把持する前では、駆動シャフトに連動する駆動手段によって把持体が開き、工具ホルダと把持体とが接触しない。また、チェンジャアームが工具ホルダを把持する位置では、駆動シャフトに連動する駆動手段によって把持体が閉じ、工具ホルダと把持体とが接触する。
請求項1に記載の発明によれば、チェンジャアームが工具ホルダを把持する前では、把持体が開き、工具ホルダと把持体とが接触しない。このため、工具ホルダと把持体とが衝突して、チェンジャアームや把持体、あるいは工具ホルダに損傷を与えたり、周囲に大きな衝撃音を発したりすることがない。しかも、チェンジャアームが工具ホルダを把持する位置で把持体が閉じ、工具ホルダを把持するため、チェンジャアームの把持部に工具ホルダが嵌合した(把持された)後に把持体を閉じ、工具ホルダを安定して把持することが可能となる。また、駆動シャフトが出力シャフト内に配設され、しかも、出力シャフトの軸方向に駆動シャフトが進退動するため、装置全体を小型化、軽量化することが可能となり、さらには、出力シャフトを垂直に配置した縦型の自動工具交換装置にも最適である。
この発明の実施の形態に係る自動工具交換装置を示す正面図である。 図1の自動工具交換装置の底面図である。 図1の自動工具交換装置の本体カバーを外した状態を示す正面図である。 図3の状態の自動工具交換装置の斜視図である。 図3の自動工具交換装置の背面図である。 図5の自動工具交換装置の斜視図である。 図1の自動工具交換装置のカムホイールと旋回リングとの位置関係を示す斜視図である。 図1の自動工具交換装置のアームユニットを背面側から見た斜視図である。 図1の自動工具交換装置のアームユニットを正面側から見た斜視図である。 この発明の実施の形態に係る工具ホルダの被把持部を示す正面図である。 図1の自動工具交換装置のチェンジャアームを示す平面図であり、(a)は、工具ホルダを把持した状態を示し、(b)は、把持を解除した状態を示す。 図1の自動工具交換装置の垂直面に沿った断面図である。 図1の自動工具交換装置の動作、作用を示すタイミングチャートである。 図1の自動工具交換装置のカムホイールの回転角θが0度の状態を示す斜視図である。 図1の自動工具交換装置のカムホイールの回転角θがθ3度の状態を示す斜視図である。 図1の自動工具交換装置のカムホイールの回転角θがθ4度の状態を示す斜視図である。 図1の自動工具交換装置のカムホイールの回転角θがθ6度の状態を示す斜視図である。 図1の自動工具交換装置のカムホイールの回転角θがθ7度の状態を示す斜視図である。 図1の自動工具交換装置のカムホイールの回転角θがθ8度の状態を示す斜視図である。 図1の自動工具交換装置のカムホイールの回転角θがθ9度の状態を示す斜視図である。 図1の自動工具交換装置のカムホイールの回転角θがθ10度の状態を示す斜視図である。 図1の自動工具交換装置のカムホイールの回転角θがθ11度の状態を示す斜視図である。 図1の自動工具交換装置のカムホイールの回転角θがθ12度の状態を示す斜視図である。 図1の自動工具交換装置のカムホイールの回転角θがθ13度の状態を示す斜視図である。 図1の自動工具交換装置のカムホイールの回転角θがθ14度の状態を示す斜視図である。 従来の自動工具交換装置のチェンジャアームによる把持機構を示す正面図である。
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
図1は、この実施の形態に係る自動工具交換装置1を示す正面図であり、図2は図1の底面図、図3は図1の本体カバー50を外した状態での正面図、図4は図3の状態での斜視図である。この自動工具交換装置1は、出力シャフト2が垂直方向に延びて配設された縦型の自動工具交換装置であり、出力シャフト2の先端部側(下端側)にチェンジャアーム3が配設され、カムホイール(メインカム)4に連動して出力シャフト2が軸方向に進退動するとともに軸中心に回動しながら、チェンジャアーム3で工具ホルダHを把持あるいは、把持を解除するものである。
具体的には、図3、4に示すように、カムホイール4の外周にウォームギヤ4aと旋回カム溝4bとが形成され、カムホイール4の一方の側面には環状のシフトカム溝4cが形成され、さらに図5、6に示すように、他方の側面には環状のロックカム溝4dが形成されている。ウォームギヤ4aは、ウォームシャフト5のウォームギヤ5aと噛み合い、モータ51によってウォームシャフト5が駆動されると、ウォームギヤ5a、4aの噛み合いを介してカムホイール4が回転するようになっている。
旋回カム溝4bは、図7に示すように、旋回リング6の外周に配設された複数のスチールボール6aと噛み合っている。ここで、出力シャフト2の外周には、軸方向に延びる外周スプライン2aが形成され、旋回リング6の内周には、外周スプライン2aと噛み合う内周スプライン(図示せず)が形成され、出力シャフト2が旋回リング6に対して軸方向にスライド自在となっている。そして、カムホイール4が回転すると、旋回カム溝4bとスチールボール6aとの噛み合いを介して旋回リング6が回転し、この回転に伴って出力シャフト2が軸中心に回動(回転)するようになっている。
シフトカム溝4cには、図3、4に示すように、シフトレバー8の駆動側カムフォロア8aが摺動自在に挿入され、シフトレバー8の従動側カムフォロア8bが出力シャフト2のシフト溝2bに装着されている。ここで、シフト溝2bは、出力シャフト2の上端部に配設され、出力シャフト2の軸方向に垂直な円板状の挟持部が、従動側カムフォロア8bを挟むように上下に配設されて、構成されている。また、シフトレバー8は、略「Z」字形で、駆動側カムフォロア8a側の端部の第1のレバー軸8cと、中央部で後述するロックレバー9と連結された第2のレバー軸8dとを軸にして、揺動するように配設されている。そして、カムホイール4が回転すると、駆動側カムフォロア8aがシフトカム溝4cに沿って摺動し、レバー軸8c、8dを軸にして従動側カムフォロア8bが上下動(揺動)する。この上下動に伴って、出力シャフト2が軸方向に進退動(往復動)するものである。
ロックカム溝4dには、図5、6に示すように、ロックレバー9の駆動側カムフォロア9aが摺動自在に挿入され、ロックレバー9の従動側カムフォロア9bは、駆動シャフト7の基端部(上端部)側に位置されている。ここで、ロックレバー9は、略「へ」字形で、中央部に上記の第2のレバー軸8dが連結され、第2のレバー軸8dを軸にして揺動自在となっている。また、駆動シャフト7は、出力シャフト2と同軸に出力シャフト2内に配設され、軸方向に進退動自在となっており、基端部(上端部)は、出力シャフト2の上端から突出し、押圧ディスク71が取り付けられている。この押圧ディスク71は、円板状の押圧部71aを備え、この押圧部71aの上方にロックレバー9の従動側カムフォロア9bが位置し、従動側カムフォロア9bの上方は解放状態(フリー)となっている。一方、駆動シャフト7の下端部は、出力シャフト2の下端部まで延び、後述するように当接板29に当接している(図12参照)。
このような構成でカムホイール4が回転すると、駆動側カムフォロア9aがロックカム溝4dに沿って摺動し、第2のレバー軸8dを軸にして従動側カムフォロア9bが上下動(揺動)する。そして、後述するタイミングで、この従動側カムフォロア9bが下動することで、押圧部71aが下方に押圧され、駆動シャフト7が下方に前進するものである。また、後述するように、駆動シャフト7のみを下方に前進させる必要がある場合・位置にのみ、従動側カムフォロア9bが押圧部71aを押圧し、その他の場合には、従動側カムフォロア9bが押圧部71aに接しなくてもよいように、ロックカム溝4dのカム形状(カム軌跡)が設定されている。すなわち、駆動シャフト7が出力シャフト2とともに下方に位置する場合には、従動側カムフォロア9bが押圧部71aに追従しないように(図18〜21参照)、ロックカム溝4dのカム形状が設定され、これにより、カムホイール4の小型化を図っている。
出力シャフト2の先端部側には、図1、3に示すように、アームユニット20が配設され、アームユニット20のユニットカバー20aの一部を外した状態を図8、9に示す。図示のように、チェンジャアーム3は板状で、板面が出力シャフト2の軸方向に対して垂直に位置するように配設されている。このチェンジャアーム3の端部には、工具ホルダHを把持する(工具ホルダHが嵌合する)円弧状の把持部3aが形成され、このようなチェンジャアーム3が出力シャフト2に対して点対称に配設されている。ここで、この実施の形態では、チェンジャアーム3を二体としているが、一体としてもよい。
このチェンジャアーム3の各把持部3aと対向し、かつ開閉自在なクランプブロック(把持体)21が配設され、クランプブロック21が閉じることで把持部3aとで工具ホルダHを把持し、クランプブロック21が開くことで把持部3aとの把持を解除するようになっている。すなわち、図10に示すように、工具ホルダHの外周には把持溝H1が形成され、この把持溝H1に嵌合するように把持部3aが形成されている。そして、図11に示すように、把持溝H1に把持部3aが嵌合した状態でクランプブロック21が閉じることで、把持部3aとクランプブロック21とで工具ホルダHを把持し(図11(a)の状態)、クランプブロック21が開くことで把持部3aとの把持を解除する(図11(b)の状態)。
具体的には、図8、9に示すように、出力シャフト2と平行なレバーシャフト22を回転軸として、コ字状のクランプレバー(回動体)23が回動自在に配設され、このクランプレバー23の一端部が把持部3a側に延び、その先端部23aにクランプブロック21が取り付けられている。また、クランプレバー23の開口側には、レバーシャフト22と平行な連結シャフト24が取り付けられている。
一方、出力シャフト2と連結シャフト24との間には、出力シャフト2と平行に、かつ軸方向に進退動自在にクランプシャフト(進退動体)25が配設され、さらに、このクランプシャフト25を上方(押圧ディスク71側)に押し付けるスプリング(押圧手段)26が配設されている。すなわち、図12に示すように、クランプシャフト25の上端にストッパ25aが固定され、このストッパ25aとベースプレート27との間に、スプリング26が配設され、クランプシャフト25に対して常に上向きの力が働くようになっている。
また、図9に示すように、連結シャフト24(クランプレバー23)とクランプシャフト25とを連結する連結バー(連結体)28が、連結シャフト24とクランプシャフト25とを挟むように一対(2体)配設され、連結バー28の両端部は回動自在となっている。さらに、図12に示すように、2つのクランプシャフト25の下端部に架設するように、板状の当接板29が配設されている。そして、後述するように駆動シャフト7が当接板29を押圧しない状態では、スプリング26によってクランプシャフト25が上方に位置し、連結シャフト24とクランプシャフト25とに対して連結バー28がほぼ垂直に位置するように、連結シャフト24、クランプシャフト25および連結バー28が配設されている。
このような状態で、駆動シャフト7が下方に前進して当接板29を押すと、スプリング26の押圧力に抗してクランプシャフト25が下方に前進し、連結バー28、連結シャフト24を介して、レバーシャフト22を軸にしてクランプレバー23が図9中矢印D1方向に回動する。そして、この回動に伴って、クランプブロック21が把持部3aから後退するようにして開く。このようにしてクランプブロック21が開いた状態では、工具ホルダHが、クランプブロック21に接触することなく、把持部3aに対して出入り自由となっている。
一方、後述するようにして駆動シャフト7による当接板29への押圧が解除されると、スプリング26によってクランプシャフト25が上方に後退し、連結バー28、連結シャフト24を介して、レバーシャフト22を軸にしてクランプレバー23が図9中矢印D2方向に回動する。そして、この回動に伴って、クランプブロック21が把持部3a側に前進するようにして閉じ、クランプブロック21と把持部3aとによって工具ホルダHが把持される。ここで、駆動シャフト7による当接板29への押圧が解除された状態では、駆動シャフト7は当接板29に接しただけの状態となっている。
このような把持状態では、上記のように、クランプシャフト25に対して連結バー28がほぼ垂直に位置する。つまり、チェンジャアーム3から連結バー28を介してクランプシャフト25に伝わる力の進退動方向(垂直方向)の成分力が小さくなるように、言い換えると、クランプシャフト25の軸方向に垂直な力のみがクランプシャフト25に負荷されるように、連結バー28が位置する。このため、チェンジャアーム3からの力(工具ホルダHによる重力や遠心力など)によって、クランプシャフト25が軸方向に押圧されることがない。つまり、スプリング26による押圧力が大きく影響されず、クランプブロック21による把持力が安定する(スプリング26による押圧力で安定、確実に把持することができる)ものである。
以上のように、レバーシャフト22、クランプレバー23、連結シャフト24、クランプシャフト25、スプリング26、連結バー28および当接板29によって、クランプブロック21を開閉駆動する駆動手段が構成され、この駆動手段は、チェンジャアーム3側つまりアームユニット20内に配設されている。
ここで、カムホイール4の旋回カム溝4b、シフトカム溝4cおよびロックカム溝4dのカム形状(出力シャフト2、駆動シャフト7の連動・動作タイミング)については、自動工具交換装置1の動作、作用を次に説明することで、説明を省略する。つまり、次に説明する自動工具交換装置1の動作、作用が得られるように、各カム溝4b、4c、4dのカム形状(カム軌跡)が設定されているものとする。
次に、このような構成の自動工具交換装置1の動作、作用について、図13のタイミングチャートに基づいて説明する。
まず、カムホイール4の回転角θが0度の状態においては、図14に示すように、出力シャフト2すなわちチェンジャアーム3の回転角(旋回角)ψが0度(基準位置)であり、ストローク位置(直動位置)は最上位P1、つまり最も後退してカムホイール4に近い位置となっている。また、この状態では、駆動シャフト7のストローク位置(直動位置)も最上位P3、つまり最も後退して従動側カムフォロア9b側に位置し、上記のように、クランプシャフト25が上方に位置して、クランプブロック21が閉じた状態(ツールクランプ状態)となっている。
次に、カムホイール4の回転角θがθ1度に達すると、チェンジャアーム3が回動し始め、さらに、カムホイール4の回転角θがθ2度に達すると、駆動シャフト7が下方に前進し始める。そして、カムホイール4の回転角θがθ3度に達すると、図15に示すように、駆動シャフト7が最下位P4、つまり最も前進した位置に達し、上記のようにして、駆動シャフト7によってクランプシャフト25が前進してクランプレバー23が回動し、クランプブロック21が開く。つまり、ツールアンクランプ状態となる。このとき、チェンジャアーム3の回転角ψはψ1度となっている。
このような状態から、カムホイール4の回転角θがθ4度に達すると、図16に示すように、スプリング26によって駆動シャフト7が後退し始め、上記のように、クランプシャフト25が後退してクランプレバー23が回動し、クランプブロック21が閉じ始める。これと同時に、チェンジャアーム3の回動速度、つまり出力シャフト2の回動速度が減速する。すなわち、カムホイール4の回転角θがθ4度に達した時点で、チェンジャアーム3の回転角ψがψ2度に達し、カムホイール4の回転角θがθ5度に達した時点で、チェンジャアーム3の回転角ψがψ3度に達し、回転角ψ2度からψ3度に至る回動速度(図13中のチャート線T1の傾き)が、回転角0度からψ2度に至る回動速度よりも遅くなっている。一方、チェンジャアーム3の回転角ψがψ3度に達すると、チェンジャアーム3の把持部3aが工具ホルダHに完全に接触し(工具ホルダHが把持部3aに嵌合し)、しかも、回転角ψ2度とψ3度との差は、1度程度に設定されている。つまり、把持部3aが工具ホルダHに接触する寸前に、チェンジャアーム3の回動速度が減速するように、旋回カム溝4bのカム形状が設定されている。
そして、カムホイール4の回転角θがθ5度に達すると、チェンジャアーム3の回転角ψがψ3度に達して、その回転角ψ3が維持される。また、回転角ψがψ3度の時点、つまり、チェンジャアーム3の把持部3aに工具ホルダHが嵌合した時点では、クランプブロック21が工具ホルダHに接触しない程度に開いた状態となっている。この状態から、カムホイール4の回転角θがθ6度に達すると、図17に示すように、駆動シャフト7が最上位P3に達し、上記と同様にしてクランプブロック21が閉じ、把持部3aとによる工具ホルダHの把持が完了する。一方、この把持の完了と同時に、チェンジャアーム3が前進し始める。
次に、カムホイール4の回転角θがθ7度に達すると、図18に示すように、チェンジャアーム3が再び回動し始め、カムホイール4の回転角θがθ8度に達した時点で、図19に示すように、チェンジャアーム3のストローク位置が最下位P2、つまり最も前進した位置に達する。このようにしてチェンジャアーム3のストローク位置が、最上位P1から最下位P2に達する間、駆動シャフト7は出力シャフト2とともに前進し、ロックレバー9の従動側カムフォロア9bが押圧ディスク71から離れた状態となる。すなわち、この間は、上記のように、駆動シャフト7を下方に前進させる必要がないため、従動側カムフォロア9bが押圧ディスク71に接触・追従しないようになっている。
そして、カムホイール4の回転角θがθ9度に達すると、図20に示すように、チェンジャアーム3が後退し始め、カムホイール4の回転角θがθ10度に達した時点で、図21に示すように、チェンジャアーム3の回転角ψがψ4度(180度以上)に達する。
続いて、カムホイール4の回転角θがθ11度に達すると、図22に示すように、駆動シャフト7が前進し始め、上記のようにしてクランプブロック21が開き始める。これと同時に、チェンジャアーム3の後退速度、つまり出力シャフト2の後退速度が減速する。すなわち、カムホイール4の回転角θがθ11度に達した時点で、チェンジャアーム3のストローク位置が位置P5に達し、カムホイール4の回転角θがθ12度に達した時点で、チェンジャアーム3のストローク位置が最上位P1に達し、位置P5から最上位P1に至る後退速度(図13中のチャート線T2の傾き)が、最下位P2から位置P5に至る後退速度よりも遅くなっている。しかも、位置P5から最上位P1までの距離は1mm以下で、最下位P2から位置P5までの距離が100mm以上であることに比べて、著しく短く設定されている。すなわち、チェンジャアーム3が最上位P1に達する寸前で後退速度が減速し、減速した速度状態で最上位P1、つまり後述するツールアンクランプ状態に達する。
そして、カムホイール4の回転角θがθ12度に達すると、図23に示すように、駆動シャフト7が最下位P4に達し、上記と同様にしてクランプブロック21が開き、ツールアンクランプ状態となる。これと同時に、上記のようにしてチェンジャアーム3が最上位P1に達するとともに、チェンジャアーム3が逆方向に回動し始める。この状態で、カムホイール4の回転角θがθ13度に達すると、図24に示すように、駆動シャフト7が後退し始め、上記のようにしてクランプブロック21が閉じ始める。このとき、チェンジャアーム3の回転角ψはψ5度となっている。
さらに、カムホイール4の回転角θがθ14度に達すると、図25に示すように、駆動シャフト7が最上位P3に達し、上記と同様にしてクランプブロック21が閉じ、把持部3aとによる工具ホルダHの把持が完了する。続いて、カムホイール4の回転角θがθ15度に達すると、チェンジャアーム3の回転角ψが180度に達し、この状態で、カムホイール4の回転角θが360度に達するものである。
以上のように、この自動工具交換装置1によれば、工具ホルダHがチェンジャアーム3の把持部3aに接触(嵌合)するまでは、クランプブロック21が開いた状態で工具ホルダHがクランプブロック21に接触しない。このため、工具ホルダHとクランプブロック21とが衝突して、チェンジャアーム3やクランプブロック21、あるいは工具ホルダHに損傷を与えたり、周囲に大きな衝撃音を発したりすることがない。しかも、チェンジャアーム3の把持部3aに工具ホルダHが嵌合した後に、クランプブロック21が閉じて工具ホルダHを把持するため、工具ホルダHを安定して把持することができる。
また、チェンジャアーム3の把持部3aが工具ホルダHに接触する寸前に、チェンジャアーム3の回動速度が減速するため、把持部3aと工具ホルダHとの衝撃力が緩和され、チェンジャアーム3や工具ホルダHなどへの損傷や、周囲への衝撃音がさらに抑制される。さらに、チェンジャアーム3が後退して最上位P1に達する寸前で、チェンジャアーム3の後退速度が減速するため、チェンジャアーム3の後退による衝撃力(慣性力)が緩和される。とともに、チェンジャアーム3が位置P5から最上位P1まで後退する短い距離間において、工具ホルダHがアンクランプ(開放)されるため、工具ホルダHの位置精度のズレを吸収することが可能となる。
一方、駆動シャフト7が出力シャフト2内に進退動自在に配設され、さらには、必要な時にのみロックレバー9を動かすようにすることでカムホイール4が小型化されているため、装置1全体を小型化、軽量化することが可能となる。しかも、出力シャフト2の上部には、部材や機構が配置されておらず、空間が確保されている。このため、縦型の自動工具交換装置1として最適であり、しかも、工作機械の主軸の上方などに配置することが可能となる。また、チェンジャアーム3側にまとめてアームユニット20、駆動手段22〜29が構成・配設されているため、駆動手段22〜29などの保守、修繕などを容易に行うことが可能となる。さらに、一体のクランプブロック21で工具ホルダHを把持するため、構成が簡易となる。
以上、この発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、クランプブロック21をクランプレバー23に一体的に設けてもよい。また、出力シャフト2が水平方向に延びて配設された横型の自動工具交換装置にも適用できることは勿論である。
1 自動工具交換装置
2 出力シャフト
3 チェンジャアーム
3a 把持部
4 カムホイール(メインカム)
4a ウォームギヤ
4b 旋回カム溝
4c シフトカム溝
4d ロックカム溝
5 ウォームシャフト
6 旋回リング
7 駆動シャフト
71 押圧ディスク
8 シフトレバー
9 ロックレバー
20 アームユニット
21 クランプブロック(把持体)
22 レバーシャフト
23 クランプレバー(回動体)
24 連結シャフト
25 クランプシャフト(進退動体)
26 スプリング(押圧手段)
28 連結バー(連結体)
29 当接板
H 工具ホルダ

Claims (1)

  1. 一端部側にチェンジャアームが配設された出力シャフトが、メインカムに連動して軸方向に進退動するとともに軸中心に回動し、前記チェンジャアームに工具ホルダを把持する把持部が設けられた自動工具交換装置であって、
    前記チェンジャアーム側に開閉自在に設けられ、前記工具ホルダを前記把持部と把持し、あるいは把持を解除する把持体と、
    前記出力シャフト内に配設され、前記メインカムに連動して前記出力シャフトの軸方向に進退動する駆動シャフトと、
    前記駆動シャフトの進退動に連動して、前記把持体を開閉駆動する駆動手段と、
    中央部を軸にして揺動自在で、駆動側が前記メインカムに形成されたロックカム溝に摺動自在に挿入され、従動側が前記駆動シャフトの端部側に位置されたロックレバーと、を備え、
    前記チェンジャアームが前記工具ホルダを把持しない位置では把持体が開き、前記チェンジャアームが前記工具ホルダを把持する位置では把持体が閉じるように、前記駆動シャフトが前記メインカムに連動しており
    前記駆動手段は、前記把持体を閉じる方向に押圧するスプリングを備え、
    前記メインカムが回転すると、前記ロックレバーの駆動側が前記ロックカム溝に沿って摺動して前記ロックレバーの従動側が動き、該従動側が前進することで前記駆動シャフトが前進して前記スプリングの押圧力に抗して前記把持体が開き、前記駆動シャフトを前進させる必要がある場合にのみ、前記ロックレバーの従動側が前記駆動シャフトを押圧し、その他の場合には、前記従動側が前記駆動シャフトに追従しないように、前記ロックカム溝のカム形状が設定されている、
    ことを特徴とする自動工具交換装置。
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