JP5598841B2 - 機械加工システム - Google Patents

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Description

本発明は、鉱油をベースとした不水溶性切削油や水溶性切削油に代わって水を主とする加工水を用い、加工物に対して加工水を介在させて研削や切削等の機械加工を行う機械加工システムに係り、特に、電気防錆を行いながら機械加工を行うことのできる機能を備えた機械加工システムに関する。
従来、この種の機械加工システムとして、本願発明者らが先に提案し、例えば、特許文献1(特開2004−17261号公報),特許文献2(特開2004−323940号公報)に掲載された技術が知られている。
図12に示すように、例えば、特許文献2に掲載された機械加工システムで説明すると、これは、研削盤からなる加工装置Kを備えている。この加工装置Kは、金属製の導電性加工物Mを導電性の電磁チャックからなる保持具100により保持し、砥石からなる工具101により研削加工するものである。保持具100は絶縁部材100aを介して導電性の容器102内に設けられている。容器102及び保持具100は絶縁層102aを介して基台103に設けられている。この加工物Mの加工時には、ノズル104から加工物Mと工具101との間に水を主とする加工水Wが噴射され、容器102に溜められて排出される。ノズル104及び容器102は加工水Wに通電する陽極部Aとして構成されている。また、加工水Wが接触する加工物M及び保持具100を陰極部Cとして、陽極部Aから加工水Wを通してこの陰極部Cへ電流を流す回路部105が設けられている。回路部105は、直流電源供給制御装置106と、直流電源供給制御装置106と陽極部Aを接続する陽極線107と、直流電源供給制御装置106と陰極部Cを構成する保持具100に接続される陰極線108とを備えて構成されている。
この加工装置Kにおいては、機械加工時に、陽極部Aから加工水Wを通して陰極部Cへ電流が流れるので、加工水Wと加工によって活性化した加工物Mの表面とが接触した場合においても、加工物Mのイオン化が抑止され、また、加工水Wに晒される加工物Mの非加工面や保持具100のイオン化も抑止され、そのため、錆による腐食が防止される所謂電気防錆加工が行われる。
ところで、上記従来の機械加工システムにおいて、加工装置Kで使用された加工水Wは、排水されるが、環境や省資源の観点から、浄化してから廃水にし、あるいは再利用することが考えられ、従来からある廃液の処理技術の適用が検討される。従来からある廃液の処理においては、例えば、使用された加工液を加工装置から回収して廃液貯留槽に貯留し、この廃液貯留槽で加工屑を沈殿させ、更にフィルタで除去して再び加工装置に送り、循環利用している技術がある(例えば、特開2004−230527号公報(特許文献3)等参照)。
特開2004−17261号公報 特開2004−323940号公報 特開2004−230527号公報
しかしながら、上記従来の機械加工システムにおいて、加工装置Kで使用された加工水Wを、上記特許文献3に記載の従来の廃液処理技術を用いて単に処理しても、処理が不十分になるという問題があった。その理由は、使用された加工水Wには、例えば、加工屑として鉄の粉粒物が混在すると、貯留槽で加工屑を沈殿させても、沈殿した鉄が錆びてイオン化して大量に溶出し、これにより、加工水Wが汚染されてくるからである。特に、加工水Wを循環再利用しようとした場合には、加工水W中の鉄イオンが加工物Mや導電性の部材に付着して汚染させる等の悪影響を与えることが懸念される。
本発明は上記の問題点に鑑みて為されたもので、加工装置で使用された加工水を、加工水中に混入する加工屑の粉粒物の錆を抑止しながら浄化処理できるようにし、廃水のみならず特に再利用を有効に行うことができるようにした機械加工システムを提供することを目的とする。
このような目的を達成するための本発明の機械加工システムは、加工物を保持具により保持して工具により加工するとともに該加工物の加工時に上記加工物及び工具間に加工水を介在させる加工装置を備え、該加工装置を、上記加工水に通電する第1陽極部と、上記加工物の加工時に上記第1陽極部と同時に上記加工水に接触する上記加工物及び工具を含む導電性部材を第1陰極部として、上記第1陽極部から加工水を通して該第1陰極部へ電流を流す第1回路部とを備えて構成した機械加工システムにおいて、
上記加工装置で使用された加工水を処理する加工水処理装置を設け、該加工水処理装置を、上記加工装置で使用された加工水を貯留する貯留槽と、該貯留槽に貯留された加工水に通電する第2陽極部と、上記加工水に含まれ上記貯留槽の底に沈殿してくる導電性の粉粒物を第2陰極部として、上記第2陽極部から加工水を通して該第2陰極部へ電流を流す第2回路部とを備えて構成している。
ここで、本発明が適用される加工装置としては、機械加工を行う工作機械、例えば、研削盤、旋盤、マシニングセンタ、グラインディングセンタ、フライス盤、ボール盤、片削り盤、平削り盤、立て削り盤、歯切り盤、ブローチ盤、ラップ盤、超仕上げ盤等のように工具を使用して機械加工する装置がある。また、加工物は、機械加工において被削材や工作物と呼ばれる機械加工の全対象物をいい、例えば錆を発生する導電性の金属が含まれる。また、加工物が非導電性の樹脂,セラミックあるいは導電性の錆の生じない金属(ステンレス,チタン等)等であっても良いが、本発明は主には加工物が水により錆びを生じる導電性の金属の場合により効果を発揮する。
更に、加工水は、H2Oに多少の他の物質が含まれていても良い。典型的には水道水であるが、通常の水道水に含まれない成分を含むものであっても、本発明の効果が得られ、それが環境に対して有害とはならない量あるいは種類のものであれば、当該成分を含む水を主成分とする水溶液も加工水に含まれる。即ち、水の硬度成分でもあるカルシウムやマグネシウム等、水の導電性を増加させる物質が含まれていても良いことは勿論のこと、例えば、グラファイト等の水に不溶で水と分離可能な潤滑剤を含む水溶液でも良い。
また、加工装置において、加工水が接触する部分には、できるだけ加工水の影響がないような加工等の対応をとることが望ましい。例えば、プラスチック,セラミックやステンレス等の水により錆びが生じない素材で構成し、あるいは、このような素材をコーティングし、あるいは、加工水が接触しないようにシールを行う。シールには例えば気体を噴射する気体シール、摺動部・回転部などへのメカニカルシール等が含まれる。特に、加工水が連続的に介在しないが、加工水が少なからず付着するような導電性部材においては、このような加工水の影響がない対応をとることが有効である。本発明が第1陰極とするのは、このような素材変更,コーティングやシールによることができない部分であって、なお且つ加工物の加工時に第1陽極部と同時に加工水に接触する導電性の部位が対象となる。
また、加工水に通電する第1陽極部は、第1陰極部を構成する導電性部材に対しては加工水を通して通電されるよう絶縁されて別に設けられる。第1陰極部は、加工物及び工具を含む導電性部材が対象となるが、加工水が接触する加工物や工具であっても非導電性であれば第1陰極部を構成しない。第1回路にはこの第1陰極部へ通電するための陰極線が接続される。
よって、本発明によれば、加工物が導電性の金属で水により錆びが生じる材料である場合で説明すると、加工装置においては、予め、加工物が第1陰極部を構成するように、第1回路部により例えば保持具を介して陰極側に接続しておく。
先ず、加工装置により加工物の加工がおこなわれる。この際には、加工物を保持具により保持し、工具により加工を行う。この加工物の加工時には、加工物に加工水が加工物と工具との間に介在するが、所謂電気防錆加工が行われる。即ち、この加工時においては、第1陽極部から加工水を通して第1陰極部へ電流が流れるので、加工水と加工により活性化した加工物の表面とが接触した場合においても、加工物のイオン化が抑止され、また、加工液に晒される加工物の非加工面や他の第1陰極部として構成された導電性部材のイオン化も抑止され、そのため、錆による腐食が防止される。
また、この加工装置で使用された加工水は、加工水処理装置で処理される。加工水処理装置においては、加工装置で使用された加工水が貯留槽に貯留される。この貯留槽では、加工水には導電性の加工物が研削や切削などで除去された加工屑の粉粒物が混入しているので、加工屑の粉粒物が沈殿してくる。貯留槽に粉粒物が沈殿するとこの沈殿した粉粒物が第2陰極部として構成され、第2回路部によって第2陽極部から加工水を通して第2陰極部へ電流が流される。これにより、第2陰極部を構成する導電性の沈殿した粉粒物においては供給される電子のためにイオン化(鉄の場合にはFe2+)が阻止され、錆による腐食が防止される。また、すでに溶出している陽イオンも電気泳動により陰極へ吸着回収することができる。そのため、この錆によって加工水が汚染される事態が抑止される。その結果、加工水の浄化処理が良好になり、廃水にするときのみならず、特に再利用を行う際に有効になる。
そして、必要に応じ、上記第2回路部は、上記貯留槽の底部に設けられ上記第2陰極部としての粉粒物に接触する陰極端子部材を備えた構成としている。底部に陰極端子部を設けるので、粉粒物を受け止めやすく確実に通電することができる。
また、必要に応じ、上記加工水処理装置を、上記加工装置で使用された加工水を回収して上記貯留槽に送る回収管路を備えて構成し、該回収管路の途中に、加工水に含まれた粉粒物を概ね分離して取り出すセパレータを設けた構成としている。加工水から概ね加工屑の粉粒物を分離できるので、貯留槽に大量の粉粒物が入り込む事態を防止することができる。
更に、必要に応じ、上記加工水処理装置を、上記貯留槽の上澄の加工水を取り出してろ過するろ過部を備えて構成している。上澄に残った粉粒物を更に取り除くので、より一層加工水の浄化を確実に行うことができる。
この場合、上記ろ過部として、上記貯留槽からの加工水をフィルタを通過させてろ過する一次ろ過部と、該一次ろ過部でろ過された加工水を逆浸透膜を通過させてろ過する二次ろ過部とを備えて構成したことが有効である。この場合、一次ろ過部と二次ろ過部の2つのろ過部でろ過を行うので、加工水の浄化を確実に行うことができる。特に、二次ろ過部の逆浸透膜によるろ過を行うので、加工水中のイオンも分離できることから、より一層確実に浄化を行うことができる。また、一次ろ過部でろ過するので、逆浸透膜の目詰まりを防止することができる。
更にまた、必要に応じ、上記加工水処理装置を、上記加工装置で使用された加工水を回収して上記貯留槽に送る回収管路と、上記貯留槽の後流側に設けられ加工水を貯留する加工水槽と、該加工水槽の加工水を上記加工装置に供給する供給管路とを備えて構成し、加工水を循環して使用可能にした構成にしている。加工水を循環利用できるので、省力化を図ることができる。不足した加工水は、加工水槽に補給することができる。
また、必要に応じ、上記貯留槽及び加工水槽に、夫々、槽内の加工水の水質を検出する水質センサ部を設けた構成としている。水質センサ部の検出結果に基づいて、貯留槽及び加工水槽内において、加工水を廃水にし、あるいは、水を補充する等の調整を行うことができる。
そしてまた、必要に応じ、上記加工装置を、上記保持具により保持した加工物が浸漬可能に加工水を収容する収容容器を備えて構成し、該収容容器内の加工水中で加工物に対して工具による加工を行わせるようにした構成としている。これにより、加工物全体を加工水中に浸漬した状態で機械加工を行うことができ、この場合には、加工中に加工物全体に対し安定して所定の電流を供給することができるので、より安定した電気防錆を行うことができる。また、加工物全体を加工水中に浸漬した状態で機械加工を行うことができ、そのため、ノズルにより加工水を噴射供給する場合に比較して、冷却機能や潤滑機能が向上し、その結果、従来の切削油での加工と遜色のない加工を行うことができる。その結果、工具寿命を向上させ、加工品質を向上させることができる。
また、必要に応じ、上記第1陽極部を、上記収容容器の側壁内周に沿って設けられる主電極と、上記収容容器内であって上記保持具により保持された加工物の周囲に設けられる補助電極とを備えて構成している。これにより、第1陽極部が主電極と補助電極とからなるので、実質的に第1陽極部の加工水に対する接触面積を増大することができ、そのため、加工水中の電流密度のばらつきを低減することもできる。また、第1陰極部との距離を小さくすることにも寄与することから、それだけ消費電力も少なくすることができる。特に、第1陰極部同士間に隙間が有る場合、この隙間に介在する加工水に対しても補助電極による通電作用が安定し、隙間を形成する部材の防錆が有効に行なわれる。
この場合、上記主電極及び補助電極を網状部材で形成したことが有効である。網状部材なので、加工水との接触面積が大きくなり、加工水に効率的に電流を供給することができ、より一層、加工水中の電流密度のばらつきを低減して、電流密度を均一化することができる。
また、必要に応じ、加工後の導電性の加工物の表面処理を行う表面処理装置を備え、該表面処理装置を、水を主とする処理水が収容されるとともに該加工後の加工物が収容される処理容器と、該処理容器に収容された処理水に通電する第3陽極部と、上記処理水中の加工物を第3陰極部として、上記第3陽極部から処理水を通して該第3陰極部へ電流を流す第3回路部とを備えて構成している。
処理水とは、H2Oに、加工物に皮膜を形成する物質が含まれている水溶液をいう。典型的には水道水であるが、通常の水道水に含まれない成分を含むものであっても、本発明の効果が得られ、それが環境に対して有害とはならない量あるいは種類のものであれば、当該成分を含む水を主成分とする水溶液も処理水に含まれる。水以外の成分としては、例えば、水の硬度成分でもあるカルシウムやマグネシウム等が挙げられる。
これにより、加工後の導電性の加工物を表面処理装置で処理すると、第3回路部によって第3陽極部から処理水を通して第3陰極部へ電流が流される。これにより、第3陰極部を構成する加工物の表面に処理水中のイオン(例えば、Ca2+,Mg2+等の水和物等)が結合していき、薄い被膜を形成する。通常、加工装置で加工後の加工物を加工装置から取り外した場合には、電気防錆の作用がなくなることから、そこに水が付着していたりすると錆の原因になるが、表面処理装置で表面処理することから、加工物の表面に皮膜形成でき、この皮膜により、加工後の加工物においても錆の発生を抑止することができる。
また、必要に応じ、加工後の導電性の加工物の表面処理を行う表面処理装置を備え、該表面処理装置を、水を主とする処理水が収容されるとともに該加工後の加工物が収容される処理容器と、該処理容器に収容された処理水に通電する第3陽極部と、上記処理水中の加工物を第3陰極部として、上記第3陽極部から処理水を通して該第3陰極部へ電流を流す第3回路部とを備えて構成し、
上記処理容器を上記加工装置の収容容器で構成し、上記第3陽極部を上記加工装置の第1陽極部で構成し、上記第3回路部を上記加工装置の第1回路部で構成している。
この場合、処理水として加工水をそのまま用いることができる。また、加工水そのものでは皮膜形成物質が不足の場合には、別途、水の硬度成分でもあるカルシウムやマグネシウム等の加工物に皮膜を形成する物質を補給するようにして良い。これにより、加工装置そのものが表面処理装置として構成されることから、上記と同様に、加工後の加工物に皮膜を形成することができ、加工後の加工物においても錆の発生を抑止することができる。また、表面処理のために加工装置から加工物を逐一取り外さなくても、加工装置で皮膜処理できることから、それだけ、処理効率が向上させられる。また、加工装置と表面処理装置を兼用するので、別途表面処理装置を作成しなくても良く、それだけ、コストダウンを図ることができる。
本発明によれば、加工装置で使用された加工水は、加工水処理装置で処理されるが、加工水処理装置においては、加工水を貯留槽に貯留してこれに含まれる導電性の加工屑の粉粒物を沈殿させるとともに、この沈殿した粉粒物を第2陰極部として、第2回路部によって第2陽極部から加工水を通して第2陰極部へ電流を流すので、第2陰極部を構成する導電性の沈殿した粉粒物のイオン化を阻止することができ、そのため、錆による腐食を抑止することができる。このため、粉粒物の錆によって加工水が汚染される事態を抑止することができ、加工水の浄化処理を良好にして、廃水にするときのみならず、加工水の再利用を有効に行うことができるようになる。
本発明の実施の形態に係る機械加工システムを示す図である。 本発明の実施の形態に係る機械加工システムにおいて加工装置の要部を示す斜視図である。 本発明の実施の形態に係る機械加工システムにおいて加工装置及び加工水処理装置の一部を示す断面図である。 本発明の実施の形態に係る機械加工システムにおいて加工水処理装置の処理槽の構成を示す断面図である。 本発明の実施の形態に係る機械加工システムにおいて加工水処理装置のろ過部構成を示す断面図である。 本発明の実施の形態に係る機械加工システムにおいて表面処理装置の構成を示す断面図である。 本発明の実施の形態に係る機械加工システムにおいてろ過部の別の構成例を示す図である。 本発明の実施の形態に係る機械加工システムにおいて加工装置の変形例を示す断面図である。 本発明の実施の形態に係る機械加工システムにおいて加工装置の別の変形例を示す断面図である。 本発明の実施の形態に係る機械加工システムにおいて加工装置のまた別の変形例を示す断面図である。 本発明の加工装置における水中加工の品質実験の結果を示すグラフ図である。 従来の機械加工システムの一例を示す図である。
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施の形態に係る機械加工システムについて詳細に説明する。
図1に示すように、本発明の実施例に係る機械加工システムSの基本的構成は、加工装置Kと、加工水処理装置Jと、表面処理装置Hとからなる。尚、上記と同様のものには同一の符号を付して説明する。
加工装置Kは、図1乃至図3に示すように、研削盤からなり、樹脂コーティングされて絶縁された基台1と、基台1に設けられ金属製の導電性加工物Mを保持する導電性の電磁チャックからなる保持具2とを備え、砥石からなる工具3により研削加工するものである。保持具2の上面2aは平面状に形成され、加工物Mを磁着保持する。
砥石は、砥粒を結合剤により固めたものであるが、結合剤とともに潤滑剤を含有することができる。水中での加工性が向上させられる。
加工装置Kは、加工物Mの加工時に加工物Mおよび工具3間に加工水Wを介在させる。加工水Wとしては、例えば、水道水が用いられる。詳しくは、加工装置Kは、保持具2により保持した加工物Mが浸漬可能に加工水Wを収容する収容容器4を備えて構成され、収容容器4内の加工水W中で加工物Mに対して工具3による加工を行わせるようにしている。
収容容器4は、図2及び図3に示すように、保持具2の上面2aを底面5とし、この底面5に矩形枠状の側壁6を立設して形成されている。側壁6は、非導電性の樹脂板,樹脂コーティングやセラミック溶射などで絶縁性処理された金属板,セラミック材等の非導電性の部材(実施の形態では非導電性の樹脂板)で形成されている。また、収容容器4には、その一端側から後述の供給管路41により加工水Wが供給される。尚、収容容器4の側壁6には、収容容器4内に溜まった加工屑を排出する等掃除をする際に使用するドレン(図示せず)が設けられている。
また、図1に示すように、保持具2の周囲には収容容器4から溢れ出た加工水W、工具3によって飛散した加工水Wを受けて流す受け部7があり、この受け部7の下流端には加工水Wの排水口8が形成されている。排水口8は、後述の回収管路26に接続されており、自然落下により、後述の貯留槽20に排出される。尚、回収管路26にポンプを介装して加工水Wを強制排出させるようにしても良い。
更に、加工装置Kは、加工時に、工具3,その駆動部(図示せず),保持具2及び受け部を覆って加工水Wの飛散を抑えて受け部7に落とし込む開閉可能なカバー9を備えている。
また、加工装置Kは、加工水Wに通電する第1陽極部A1と、加工物Mの加工時に第1陽極部A1と同時に加工水Wに接触する上記の加工物M及び工具3を含む導電性部材を第1陰極部C1として、第1陽極部A1から加工水Wを通して第1陰極部C1へ電流を流す第1回路部10とを備えて構成されている。
第1陽極部A1は、図2及び図3に示すように、収容容器4の側壁6の内周に沿って設けられる主電極11と、収容容器4内であって保持具2により保持された加工物Mの周囲に設けられる補助電極12とを備えて構成されている。主電極11は、ステンレス製の網状部材で形成され、収容容器4の側壁6内周に付設されている。補助電極12は、ステンレス製の網状部材で形成され、支持部材13に支持されている。支持部材13は、保持具2の上面2aに磁着される金属製の土台14と、土台14に取り付けられ補助電極12の網状部材が付設される例えばアクリルなどの樹脂製の付設板15とを備えて構成されている。網状部材は付設板15の一側縁部の表裏面に亘って付設されている。実施の形態では、支持部材13は4台設けられ、夫々、網状部材が加工物Mに対峙して加工物Mを囲繞するように、土台14を保持具2に磁着させて配置される。尚、実施の形態では、支持部材13は4台設けられているが、必ずしもこれに限定されず、1〜3台、あるいは5台以上設置するようにして良い。
第1陰極部C1は、加工水Wが接触する加工物M及び工具3を含む導電性部材で構成されるが、工具3は、砥石であり、加工水Wに浸漬するものの非導電性部材なので第1陰極部C1としては構成されない。実施の形態においては、第1陰極部C1として構成されるのは、加工物M及び加工物Mを磁着保持する保持具2である。
第1回路部10は、図1に示すように、直流電源供給制御装置16と、直流電源供給制御装置16と第1陽極部A1を接続する第1陽極線17と、直流電源供給制御装置と第1陰極部C1を構成する保持具2に接続される第1陰極線18とを備えて構成されている。第1陰極部C1を構成する加工物Mには保持具2を通して通電される。図1中符号19は計測用の無抵抗電流計であり、防錆状態を把握したり、皮膜厚さの状態を把握するため等に利用することができる。尚、現場で使用する際は普通の電流計であってよい。また、予め設定時の電流を図っておけば電流計自体使用しなくても良い。また、直流電源は、例えば補助電極12ごとに複数備えても良い。更に、電流計も複数あっても良い。
加工水処理装置Jは、図1及び図4に示すように、加工装置Kで使用された加工水Wを処理するもので、加工装置Kで使用された加工水Wを貯留する非導電性の樹脂製の貯留槽20と、貯留槽20に貯留された加工水Wに通電する第2陽極部A2と、加工水Wに含まれ貯留槽20の底に沈殿してくる導電性の粉粒物Gを第2陰極部C2として、第2陽極部A2から加工水Wを通して第2陰極部C2へ電流を流す第2回路部21とを備えて構成されている。第2陽極部A2は、例えば、ステンレス,炭素(グラファイト),セラミック(ニッケルフェライト等),チタン(またはチタンに白金属酸化物等コーティングした所謂DSE電極)等の水難溶性材質の材料により形成することができる。尚、第2陽極部A2としては、アルミニウム,亜鉛,鉄,錫等の材質のもので形成しても良いが、水難溶性材質で形成することが望ましい。
第2回路部21は、貯留槽20の底部に付設され第2陰極部C2としての粉粒物Gに接触する板状の陰極端子部材22を備えている。陰極端子部材22は、上記第2陽極部A2と同様に、例えば、ステンレス,炭素(グラファイト),セラミック(ニッケルフェライト等),チタン(またはチタンに白金属酸化物等コーティングした所謂DSE電極)等の水難溶性材質の材料により形成することができる。尚、陰極端子部材22としては、電気防錆と電気泳動による陽イオン捕縛があるので、アルミニウム,亜鉛,鉄,錫等の材質のもので形成しても良いが、水難溶性材質で形成することが望ましい。
して、第2回路部21は、図1に示すように、直流電源供給制御装置23と、直流電源供給制御装置23と第2陽極部A2を接続する第2陽極線24と、直流電源供給制御装置と陰極端子部材22に接続される第2陰極線25とを備えて構成されている。直流電源供給制御装置23は、上記の第1回路部10の直流電源供給制御装置16と共用してよいが、夫々、供給電圧及び電流が異なるので、共用する場合には、配線を2系統にすることが望ましい。
また、加工水処理装置Jは、図1及び図3に示すように、加工装置Kで使用された加工水Wを回収して貯留槽20に送る回収管路26を備えて構成されている。また、回収管路26の途中には、加工水Wに含まれた粉粒物Gを概ね分離して取り出すセパレータ27が設けられている。セパレータ27としては、例えば、図3に示すように、マグネットローラ27aで粉粒物Gを磁着して分離する周知のマグネットセパレータが用いられる。また、セパレータ27としては、図示しないが、例えば、ポンプで加圧して加工水を供給して用いる周知のサイクロン型セパレータ、あるいは、網部材で加工水Wの加工屑の粉粒物Gを濾しとる簡易な構造のもの等、適宜のものを用いて良い。
更に、加工水処理装置Jは、図1及び図5に示すように、貯留槽20の上澄の加工水Wを取り出してろ過するろ過部を備えて構成されている。ろ過部としては、貯留槽20からの加工水Wをフィルタ31を通過させてろ過する一次ろ過部30と、一次ろ過部30でろ過された加工水Wを逆浸透膜33を通過させてろ過する二次ろ過部32とが備えられている。一次ろ過部30及び二次ろ過部32にはポンプ34により貯留槽20から汲み上げられた加工水Wが加圧されて供給される。
一次ろ過部30は、図5に示すように、ろ過器30Aを備えている。このろ過器30Aは、原理的に示すと、筒状の本体35に多数の孔36aの開いたパイプ36を挿通し、本体35とパイプ36との間にフィルタ31としての交換可能なろ過材を収納し、本体35とパイプ36との間に貯留槽20からの加工水Wを注入し、フィルタ31に加工水Wを通して、パイプ36の孔36aからパイプ36を通過させて、パイプ36の出口36bからろ過された加工水Wを排出するものである。
二次ろ過部32は、図5に示すように、ろ過器32Aを備えている。このろ過器32Aは、原理的に示すと、筒状の本体37に多数の孔38aの開いたパイプ38を挿通し、本体37とパイプ38との間に逆浸透膜33を設け、本体37とパイプ38との間に一次ろ過部30からの加工水Wを注入し、逆浸透膜33を通過させ、パイプ38の孔38aからパイプ38を通して、パイプ38の出口38aからろ過された加工水Wを排出するものである。逆浸透膜33を透過しなかったイオン濃縮水は、本体37の出口37aから排出して、例えば、上記の貯留槽20に戻す。あるいは、廃水にする。この場合、必要に応じ、環境基準以下になるように水で希釈して廃水する。
更にまた、加工水処理装置Jは、図1に示すように、貯留槽20の後流側であって二次ろ過部32から排出された加工水Wを貯留する加工水槽40と、加工水槽40の加工水Wを加工装置Kに供給する供給管路41とを備えて構成されている。供給管路41の終端には上記の収容容器4に加工水を送出するノズル42が設けられている。供給管路41には加工水Wを送給する送給ポンプ43が介装されている。これにより、加工水処理装置Jは、加工水Wを循環して使用可能にしている。また、加工水槽40には、不足した加工水Wが補充される。
また、図1に示すように、貯留槽20及び加工水槽40には、夫々、槽内の加工水の水質(例えば、鉄イオン濃度,導電率,pH,濁度等)を検出する各種センサからなる水質センサ部45,46が設けられている。水質センサ部45,46の検出結果に基づいて、貯留槽20及び加工水槽40内において、加工水Wを廃水にし、あるいは、水を補充する等の調整を行うことができる。尚、水質センサ部45,46はあってもなくてもよく、例えば、上記の無抵抗電流計のようにあらかじめ加工開始から加工水Wが汚染して廃水を要するまでの時間を水質センサ部45,46で計っておき,その後、水質センサ部45,46を外して時間だけを見て廃水にする使い方もある。
表面処理装置Hは、図1及び図6に示すように、加工後の導電性の加工物Mの表面処理を行うもので、水を主とする処理水Waが収容されるとともに加工後の加工物Mが収容される処理容器50と、処理容器50に収容された処理水Waに通電する第3陽極部A3と、処理水Wa中の加工物Mを第3陰極部C3として、第3陽極部A3から処理水Waを通して第3陰極部C3へ電流を流す第3回路部51とを備えて構成されている。実施の形態では、処理容器50は、加工装置Kの収容容器4で構成され、第3陽極部A3は、加工装置Kの第1陽極部A1で構成され、第3回路部51は、加工装置Kの第1回路部10で構成されている。処理水Waとしては、加工水Wと同様に、例えば、水道水が用いられる。
従って、この実施の形態に係る機械加工システムSを用いて、加工物Mを加工するときは以下のようになる。ここでは、加工物Mが導電性の金属で水により錆びが生じる鉄材料である場合で説明する。加工装置Kにおいて、先ず、この加工物Mを電磁チャックである保持具2に磁着して保持する。この場合、加工物Mがこれを囲繞する補助電極12に接触しないようにする。そして、送給ポンプ43を駆動して、加工水槽40から加工水Wを収容容器4に供給する。加工水Wは収容容器4を満たすと、排出口8から排出されて自然落下し、貯留槽20に貯留される。また、ポンプ34の駆動により、加工水Wは貯留槽20から加工水槽40へ送られ、加工水Wは循環させられる。
この状態で、砥石である工具3を駆動し、加工物Mの研削を行う。研削の加工中においては、加工物Mは容器内で加工水W中に浸漬されており、図3に示すように、加工水W中で研削が行われる。この加工物Mの加工時には、加工物Mに加工水Wが加工物Mと工具3との間に介在するが、所謂電気防錆加工が行われる。即ち、この加工時においては、第1陽極部A1から加工水Wを通して第1陰極部C1へ電流が流れるので、加工水Wと活性化した加工物Mの表面とが接触した場合においても、加工物Mのイオン化が抑止され、また、加工水Wに晒される加工物Mの非加工面や他の第1陰極部C1として構成された導電性部材のイオン化も抑止され、そのため、錆による腐食が防止される。
また、加工においては、加工物M全体を加工水W中に浸漬した状態で機械加工を行うことができるので、水槽を用いずにノズルのみにより加工水Wを噴射供給する場合に比較して、冷却機能や潤滑機能が向上し、その結果、従来の切削油での加工と遜色のない加工を行うことができる。その結果、工具3の寿命を向上させ、加工品質を向上させることができる。
更に、加工物M全体が加工水W中に浸漬した状態なので、加工物M全体に対し安定して所定の電流を供給することができる。そのため、より安定した電気防錆を行うことができる。特に、第1陽極部A1は主電極11と補助電極12とからなるので、実質的に第1陽極部A1の加工水Wに対する接触面積を増大することができ、そのため、加工水W中の電流密度のばらつきを低減することもできる。また、第1陰極部C1との距離を小さくすることにも寄与することから、それだけ消費電力も少なくすることができる。特に、図3に示すように、加工物Mの裏面と保持具2の上面2aとの隙間E1に介在する加工水Wに対しても補助電極12による通電作用が安定し、加工物Mの裏面及びこれが接触する保持具2の上面2aの防錆も有効に行わせることができるようになる。また、図3に示すように、加工物Mを複数連接して加工する場合もあるが、この場合、加工物Mと加工物Mとの連接の隙間E2(図3中点線で表示)に介在する加工水Wに対しても補助電極12による通電作用が安定し、加工物Mの連設面の防錆も有効に行わせることができるようになる。
更にまた、主電極11及び補助電極12は網状部材で形成されているので、加工水Wとの接触面積が大きくなり、加工水Wに効率的に電流を供給することができ、より一層、加工水W中の電流密度のばらつきを低減して、電流密度を均一化することができる。
また、加工装置Kで使用された加工水Wは、加工水処理装置Jで処理される。加工水処理装置Jにおいては、加工水Wが加工装置Kの排水口8から回収管路26を流下して貯留槽20に至る。この場合、回収管路26には、セパレータ27が介装されているので、このセパレータ27において加工水Wに含まれた加工屑の粉粒物Gが概ね分離して取り出される。そのため、貯留槽20に大量の粉粒物Gが入り込む事態が防止される。
貯留槽20においては、図4に示すように、加工水Wには導電性の加工物Mが研削や切削などで除去された加工屑の粉粒物Gが混入しているので、加工屑の粉粒物Gが沈殿してくる。貯留槽20に粉粒物Gが沈殿すると、この沈殿した粉粒物Gが第2陰極部C2として構成され、第2回路部21によって第2陽極部A2から加工水Wを通して第2陰極部C2へ電流が流される。この場合、第2回路部21は、貯留槽20の底部に設けられ第2陰極部C2としての粉粒物Gに接触する板状の陰極端子部材22を備えているので、粉粒物Gを受け止めやすく確実に通電することができる。
これにより、第2陰極部C2を構成する導電性の沈殿した粉粒物Gにおいては供給される電子のためにイオン化(鉄の場合にはFe2+)が阻止され、錆による腐食が防止される。また、すでに溶出している陽イオンも電気泳動により陰極へ吸着回収することができる。そのため、この錆によって加工水が汚染される事態が抑止される。その結果、加工水Wの浄化処理が良好になる。
また、貯留槽20の上澄の加工水Wは、ポンプ34により取り出されて一次ろ過部30を通して二次ろ過部32に強制的に送られ、加工水槽40に貯留される。この場合、図5に示すように、一次ろ過部30と二次ろ過部32の2つのろ過部でろ過を行うので、加工水Wの浄化を確実に行うことができる。特に二次ろ過部32のろ過器32Aの逆浸透膜33によるろ過を行うので、加工水W中のイオンも分離できることから、より一層確実に浄化を行うことができる。また、一次ろ過部30でろ過するので、逆浸透膜33の目詰まりを防止することができる。
そして、二次ろ過部32を通った加工水Wは加工水槽40に貯留され、送給ポンプ43により再び加工装置Kに供給される。不足した加工水Wはこの加工水槽40に補充されて供給される。この場合、加工水Wを循環利用できるので、省力化を図ることができる。また、もし循環利用せずに廃水にする場合にも、加工水Wは浄化されているので、環境に悪影響を与える事態が防止される。尚、二次ろ過部32において逆浸透膜33を透過しなかったイオン濃縮水を廃水にすることができる。この場合、必要に応じ、環境基準以下になるよう水で希釈して廃水する。
また、加工物Mの加工が終わったならば、表面処理装置H(実施の形態では加工装置K)により、加工後の加工物Mの表面処理を行う。この際は、工具3の運転を停止し、第3回路部51によって第3陽極部A3から処理水Wa(加工水W)を通して第3陰極部C3へ電流を流す。この場合、直流電源供給制御装置16による電圧値及び電流値を適宜変更してよい。これにより、図4に示すように、第3陰極部C3を構成する加工物Mの表面に処理水Wa中のイオン(例えば、Ca2+,Mg2+等の水和物等)が結合していき、薄い被膜を形成する。第3回路部51に所定時間通電したならば、通電を停止し、保持具2の磁着を停止して加工物Mを取り外す。この表面処理を行わないで加工後の加工物Mを加工装置Kから取り外した場合には、電気防錆の作用がなくなることから、そこに水が付着していたりすると錆の原因になるが、表面処理装置Hで表面処理することから、加工物Mの表面に皮膜形成でき、この皮膜により、加工後の加工物Mにおいても錆の発生を抑止することができる。また、この場合、表面処理のために加工装置Kから加工物Mを逐一取り外さなくても、加工装置Kで皮膜処理できることから、それだけ、処理効率が向上させられる。また、加工装置Kと表面処理装置Hを兼用するので、別途表面処理装置Hを作成しなくても良く、それだけ、コストダウンを図ることができる。
図7には、ろ過部の別の例を示している。このろ過部は、上記と同様に、貯留槽20からの加工水Wをフィルタ31を通過させてろ過する一次ろ過部30と、一次ろ過部30でろ過された加工水Wを逆浸透膜33を通過させてろ過する二次ろ過部32とが備えられている。一次ろ過部30は、上記のろ過器30Aの上流側に、このろ過器30Aとほぼ同じ構成で、フィルタ31として交換可能な活性炭からなる吸着材を収納したろ過器30Bを設けて構成されている。これにより、二次ろ過部32に供給する加工水Wをより一層浄化させて送給することができる。
また、二次ろ過部32は、ろ過器32Aを多段に備えて構成されている。ろ過器32A1本の能力が、例えば、供給水の約80%が濃縮水(透過水には約20%)として排出される能力である場合、濃縮水を下段のろ過器32Aに供給することにより、透過水の回収率を高めることができる。例えば、この場合、4段目まであわせると約80%が透過水として回収できることになる。尚、上述もしたように、最後段から排出される濃縮水は、これを貯留槽20にそのまま戻して再処理してよく、また、廃水にすることができる。この場合、必要に応じ、環境基準以下になるよう水で希釈して廃水する。
図8には、加工装置Kにおいて、補助電極12の支持の変形例を示す。これは、補助電極12は、ステンレス製の網状部材で形成され、支持部材60に支持されている。支持部材60は、補助電極12の網状部材が付設される例えばアクリルなどの樹脂製の付設板61と、一端に付設板61が取り付けられ他端が収容容器4の外側に固定される支持杆62とを備えて構成されている。支持杆62で補助電極12を吊り下げ支持するので、保持具2に土台14で支持する場合に比較して短絡しにくくなる。また,これにより、保持具2(電磁チャック)による補助電極12の吸着固定の必要がなくなり、盤上のスペースを広く使うことができ、配置自由度を増すことができる。
図9には、加工装置Kにおいて、収容容器4の変形例を示す。この収容容器4は、その側壁6が導電性金属で構成されており、この側壁6が保持具2の上面2aに絶縁部材65を介して立設されて構成されている。そして、第1陽極部A1は、収容容器4の側壁6自体で構成される主電極11と、上記の収容容器4内に設けた補助電極12とから構成される。側壁6及び補助電極12には第1陽極線17が接続される。側壁6自体で主電極11を構成するので、上記と比較して、別途網状部材を設けなくても良く、それだけ、構造が簡易になる、また、盤上のスペースを広く使うことができ、配置自由度を増すことができる。
図10には、加工装置の別の例を示している。これは、工具3(砥石)付近にもノズル70を設け、工具3の洗浄および加工点への円滑な水の供給を行うようにしている。更に、収容容器4内に、加工屑を流し出すような水流を生じさせるノズル71を設けている。そして、ノズル70及びノズル71が導電性材料で形成されている場合には、図10に示すように、ノズル70及びノズル71に第1陽極線17を配線して接続し、このノズル70及びノズル71も第1陽極部A1として構成することができる。これにより、実質的に第1陽極部A1の加工水Wに対する接触面積を増大することができ、そのため、加工水W中の電流密度のばらつきを低減することができ、また、消費電力も少なくすることができる。尚、ノズル70及びノズル71が導電性材料で形成されていても、必ずしも第1陽極線17の配線をしなくても良い。
また、本機械加工システムにおいては、図12で示した加工装置Kを用い、これに上記加工水処理装置Jを組み込んで構成することもできる。
<実験例>
次に実験例を示す。これは、図11に示すように、水中加工の効果についての試験であり、実施例(図11中(c))として、図12に示す加工装置Kにおいて加工物M(SCM435)を加工し、比較例と比較した。比較例1(図11中(a))は、図12に示す加工装置Kにおいて、容器102をなくし、ノズル104のみから加工水Wを噴射して加工物Mを加工した場合である。比較例2(図11中(b))は、比較例1において、加工水Wだけではなく、汎用の水溶性切削油も用いて、加工物Mを加工した場合である。実験条件は、砥石としてWA60H7Vを用い、砥石の回転速度をVs=33.9m/s、加工物の水平方向移動速度Vw=0.013m/sとした。これらの加工物Mにおいて、夫々、砥石の切り込み量を変え、各切り込み量毎に加工物Mの表面粗さを測定してその品質を比較した。その結果、加工装置Kで加工水Wによる水中研削による実施例においては、ノズルから水溶性切削油を噴射して行う場合と比較して、遜色なく加工を行うことができることが分かった。
尚、上記実施の形態において、加工水処理装置Jの処理槽20は、1段のみならず、多段に設置しても良く適宜変更して差し支えない。また、表面処理装置Hは、加工装置Kで兼用したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、別途設けるようにして良い。
また、上記実施の形態において、加工装置Kは、本発明を研削盤に適用したものを示したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、バイトで切削する旋盤などどのような加工装置Kに適用しても良いことは勿論である。この場合、第1陽極線17及び第1陰極線18の接続は、加工装置の条件に応じて適宜に行う。例えば、バイト,エンドミルやメタルボンド砥石などのような導電性の工具の場合、工具へ直接給電し、あるいは、工具を保持するホルダを通して行う等、適宜設定する。第1陽極線17あるいは第1陰極線18の接続は、ブラシ型の端子を用い、クリップ型の端子を用い、あるいは、貼り付けるタイプの端子を用いる等適宜変更して差し支えない。
更に、加工装置Kにおいて、第1陽極部A1の材質,数,形状や大きさ等は上述したものに限定されるものではなく、適宜変更して差し支えない。例えば、第1陽極部A1の主電極11及び補助電極12を網状部材で形成したが、板状部材で形成しても良く、適宜変更して差し支えない。また、第1陽極部材A1を、例えば、陰極工作物の形状に添うようにこれに合わせた形状にし、板材・網材・線材などを組み合わせた構造にし、あるいは、上記の導電材料と樹脂などの非導電材料とを組み合わせた構造にする等、適宜変更して差し支えない。
S 機械加工システム
K 加工装置
J 加工水処理装置
H 表面処理装置
W 加工水
Wa 処理水
M 加工物
1 基台
2 保持具
3 工具
4 収容容器
5 底面
6 側壁
8 排水口
A1 第1陽極部
C1 第1陰極部
10 第1回路部
11 主電極
12 補助電極
13 支持部材
16 直流電源供給制御装置
17 第1陽極線
18 第1陰極線
20 貯留槽
G 粉粒物
A2 第2陽極部
C2 第2陰極部
21 第2回路部
22 陰極端子部材
23 直流電源供給制御装置
24 第2陽極線
25 第2陰極線
26 回収管路
27 セパレータ
30 一次ろ過部
30A ろ過器
30B ろ過器
31 フィルタ
32 二次ろ過部
32A ろ過器
33 逆浸透膜
34 ポンプ
40 加工水槽
41 供給管路
50 処理容器
A3 第3陽極部
C3 第3陰極部
51 第3回路部
60 支持部材
65 絶縁部材
70 ノズル
71 ノズル

Claims (8)

  1. 加工物を保持具により保持して工具により加工するとともに該加工物の加工時に上記加工物及び工具間に加工水を介在させる加工装置を備え、該加工装置を、上記加工水に通電する第1陽極部と、上記加工物の加工時に上記第1陽極部と同時に上記加工水に接触する上記加工物及び工具を含む導電性部材を第1陰極部として、上記第1陽極部から加工水を通して該第1陰極部へ電流を流す第1回路部とを備えて構成した機械加工システムにおいて、
    上記加工装置で使用された加工水を処理する加工水処理装置を設け、該加工水処理装置を、上記加工装置で使用された加工水を貯留する貯留槽と、該貯留槽に貯留された加工水に通電する第2陽極部と、上記加工水に含まれ上記貯留槽の底に沈殿してくる導電性の粉粒物を第2陰極部として、上記第2陽極部から加工水を通して該第2陰極部へ電流を流す第2回路部とを備えて構成し、
    上記貯留槽を、非導電性の樹脂で形成し、
    上記第2回路部は、上記貯留槽の底部に設けられ上記第2陰極部としての粉粒物に接触する陰極端子部材を備え、
    上記加工水処理装置を、上記加工装置で使用された加工水を回収して上記貯留槽に送る回収管路を備えて構成し、該回収管路の途中に、加工水に含まれた粉粒物を概ね分離して取り出すセパレータを設け
    上記加工水処理装置を、上記貯留槽の上澄の加工水を取り出してろ過するろ過部を備えて構成し、
    上記ろ過部として、上記貯留槽からの加工水をフィルタを通過させてろ過する一次ろ過部と、該一次ろ過部でろ過された加工水を逆浸透膜を通過させてろ過する二次ろ過部とを備えて構成したことを特徴とする機械加工システム。
  2. 上記加工水処理装置を、上記加工装置で使用された加工水を回収して上記貯留槽に送る回収管路と、上記貯留槽の後流側に設けられ加工水を貯留する加工水槽と、該加工水槽の加工水を上記加工装置に供給する供給管路とを備えて構成し、加工水を循環して使用可能にしたことを特徴とする請求項1記載の機械加工システム。
  3. 上記貯留槽及び加工水槽に、夫々、槽内の加工水の水質を検出する水質センサ部を設けたことを特徴とする請求項2記載の機械加工システム。
  4. 上記加工装置を、上記保持具により保持した加工物が浸漬可能に加工水を収容する収容容器を備えて構成し、該収容容器内の加工水中で加工物に対して工具による加工を行わせるようにしたことを特徴とする請求項1乃至3何れかに記載の機械加工システム。
  5. 上記第1陽極部を、上記収容容器の側壁内周に沿って設けられる主電極と、上記収容容器内であって上記保持具により保持された加工物の周囲に設けられる補助電極とを備えて構成したことを特徴とする請求項4記載の機械加工システム。
  6. 上記主電極及び補助電極を網状部材で形成したことを特徴とする請求項5記載の機械加工システム。
  7. 加工後の導電性の加工物の表面処理を行う表面処理装置を備え、該表面処理装置を、水を主とする処理水が収容されるとともに該加工後の加工物が収容される処理容器と、該処理容器に収容された処理水に通電する第3陽極部と、上記処理水中の加工物を第3陰極部として、上記第3陽極部から処理水を通して該第3陰極部へ電流を流す第3回路部とを備えて構成したことを特徴とする請求項1乃至6何れかに記載の機械加工システム。
  8. 加工後の導電性の加工物の表面処理を行う表面処理装置を備え、該表面処理装置を、水を主とする処理水が収容されるとともに該加工後の加工物が収容される処理容器と、該処理容器に収容された処理水に通電する第3陽極部と、上記処理水中の加工物を第3陰極部として、上記第3陽極部から処理水を通して該第3陰極部へ電流を流す第3回路部とを備えて構成し、
    上記処理容器を上記加工装置の収容容器で構成し、上記第3陽極部を上記加工装置の第1陽極部で構成し、上記第3回路部を上記加工装置の第1回路部で構成したことを特徴とする請求項4乃至6何れかに記載の機械加工システム。
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