JP2008063599A - 電解液の再生方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】クロムを含む金属材料の電解加工に使用した、硝酸塩を主成分とする電解液を、複雑な工程を経ることなく、六価クロムなどの不純物を除去して高い純度の電解液に再生させる。
【解決手段】アルカリ性の凝集補助剤および無機系凝集剤を添加してクロムを凝集させる凝集工程と、電解液を濾過して浮遊する凝集物を除去する第1の濾過工程と、電解液に硝酸を添加して中和する中和工程とを備える。
【選択図】図2
【解決手段】アルカリ性の凝集補助剤および無機系凝集剤を添加してクロムを凝集させる凝集工程と、電解液を濾過して浮遊する凝集物を除去する第1の濾過工程と、電解液に硝酸を添加して中和する中和工程とを備える。
【選択図】図2
Description
本発明は電解液の再生方法に関し、より詳細にはクロムを含む金属材料の電解加工に使用された電解液の再生方法に関するものである。
例えば動圧溝といった微細加工を流体動圧軸受用のシャフトやスリーブなどの金属部材に行う場合、精度及び速度などの観点から電解加工が用いられることが近年多い。この電解加工は、金属材料からなる被加工物と、被加工物に形成する動圧溝形状の電極露出部を有する電極工具とを近接対向配置させるとともに、これら被加工物と電極工具を電極加工用電源の負極及び正極にそれぞれ接続し、電極工具と被加工物との間に所定の電解液を流動させながら通電することによって、動圧溝形状に対応して被加工物を溶出させて動圧溝を形成するものである(例えば特許文献1)。
ところが、ステンレス鋼などのクロムを含有する金属材料を電解加工すると、電解液中にクロムが溶出し蓄積される。これによって電解液が徐々に劣化してゆき、電解加工の加工効率および加工精度が低下する。
そこで特許文献2では、電解液を分離機にかけて、六価クロムを含むスラリーと再使用可能な電解液とに分離し、六価クロムを含むスラリーについては、硫酸塩系の還元剤で無害な3価クロムに還元して廃棄する技術が提案されている。
特開2001−200399号公報
特開2001−172789号公報
しかしながら、上記提案技術では電解液の再生工程が複雑になる上、多くの廃棄物が発生する。このため製造コストが高くなる。
本発明はこのような従来の問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、クロムを含む金属材料の電解加工に使用した電解液を、複雑な工程を経ることなく、六価クロムなどの不純物を除去して高い純度の電解液に再生させることにある。
また本発明の他の目的は、電解液を繰り返し使用しても加工効率および加工精度が低下しない電解加工方法を提供することにある。
本発明によれば、クロムを含む金属材料の電解加工に使用した、硝酸塩を主成分とする電解液を再生する方法であって、アルカリ性の凝集補助剤および無機系凝集剤を添加してクロムを凝集させる凝集工程と、電解液を濾過して浮遊する凝集物を除去する第1の濾過工程と、電解液に硝酸を添加して中和する中和工程を有することを特徴とする電解液の再生方法が提供される。
ここで、凝集工程で凝集したクロムと電解液とを分離する分離工程をさらに設けるのが好ましい。
また中和工程で析出した凝集剤などの析出物を除去する観点から、前記中和工程後に第2の濾過工程を設けるのが好ましい。
そしてま六価クロムの凝集を効率的に行う観点から、前記凝集補助剤を添加した後、前記無機系凝集剤を添加するのが好ましい。
さらに本発明によれば、前記記載の再生方法によって再生された電解液を用いて被加工物を電解加工することを特徴とする電解加工方法が提供される。
本発明の電解液の再生方法では、アルカリ性の凝集補助剤および無機系凝集剤を添加してクロムを凝集させた後、浮遊する凝集物を濾過して除去するので、不純物の少ない電解液が再生される。これにより、電解液を新しいものに交換することなく繰り返し使用することができ、しかも効率および精度の高い電解加工が行えるようになる。また、従来に比べて簡単な工程で電解液の再生ができるようになる。
また、前記中和工程後に第2の濾過工程を設けると、中和後に析出する凝集剤などの析出物を除去することができ、より純度の高い電解液が再生される。
さらに、前記凝集補助剤を添加した後、前記無機系凝集剤を添加すると、六価クロムの凝集を効率的に行えるようになり、六価クロムの除去が一層容易に行えるようになる。
また本発明の電解加工方法では、前記記載の再生方法によって再生された電解液を用いて被加工物を電解加工するので、長期間に渡って電解液を繰り返し使用することができ、しかも効率および精度の高い電解加工が行えるようになる。
本発明における電解加工は、電気化学的溶解作用を材料の所要部分に集中・制限することによって所要の形状・寸法・表面状態を得る加工法をいう。電解加工の一般的な構成を図1に示す。図1は、スピンドルモータの支持部材として用いる中空円筒状の被加工物70の内周面に、ラジアル状の動圧溝を形成する電解加工装置の全体構成を示した図である。中空円筒状の被加工物70は加工室81内に固定され、露出電極82aが被加工材70の内周面と微小間隙を隔てて対向するように、円柱状の工具電極82が加工装置ハウジング80に取り付けられている。ここで露出電極82aは、被加工材70に形成させたいラジアル状の動圧溝の形状(図1ではヘリングボーン形状)と相似形状をしていて、ラジアル状の動圧溝より若干小さい幅に形成されている。
被加工物70には、加工用電源90の正電源端子から延出した正極端子91が接続され、そしてその途中には、被加工物70と工具電極82との間に流れる電流を検出する電流検出手段92が設けられている。他方、工具電極82には、加工用電源90の負電源端子から延出した負極端子93が接続され、そしてその途中には、加工用電源90からの直流電圧(パルス電圧)のオン・オフを行うスイッチ手段94が設けられている。
一方、貯留槽6には電解液Lが貯留されており、貯留槽6と加工室81の供給口とはポンプP3を介して供給管で接続され、加工室81の排出口と貯留槽6とは排出管で接続されている。電解加工時には、ポンプP3が作動されて、貯留槽6から加工室81に電解液Lが供給される。加工室81に供給された電解液Lは、加工室81の上部から被加工物70と工具電極82との間隙を流れて、加工室81の下部に至る。そして電解液Lは、加工室81の下部から排出管を通って貯留槽6に回収され、またポンプP3により加工室81へ供給されるという流れを繰り返す。ここで、被加工物70と工具電極82との間隙を通過するとき、電解生成物が電解液中に混入する。電解加工では、電流密度が極めて大きく、加工間隙が極めて小さいので、電解生成物の発生や電解液の加熱は加工に大きな影響を及ぼし、これらの影響をすみやかに除去しなければ加工が進行しなくなるおそれがある。したがって、電解液の流速は高速にする必要があり、加工条件によって異なるものの、一般には6〜60m/secの範囲が望ましい。また電解生成物が沈殿性のものである場合には、遠心分離や沈降、濾過およびこれらの組み合わせによって貯留槽6中の電解液Lから電解生成物を分離・除去し、電解液Lを清浄にしてから循環使用するのがよい。
このような構成の装置において、スイッチ手段94を所定時間(加工時間)オンにすると、被加工物70と工具電極82の間に直流電圧(パルス電圧)が印加され、被加工物70と工具電極82の間に加工用電源90から電流が流れる。被加工物70と工具電極82との間に流れる電流は、電流検出手段92により検出され、検出値は通電制御回路95に送られ、ここで検出値に基づきスイッチ手段94のオン・オフが制御される。これによって、工具電極82の露出電極に対向する被加工物70の表面材料が電解液L中に溶出し、露出電極に対応する形状の動圧溝が被加工物70表面に形成される。
電解加工の加工条件としては、被加工物の組成や形状および形成する溝の深さや幅、形状といったものから適宜決定すればよい。加工条件の一例を示すと、加工電圧10V、加工電流10A、加工時間(スイッチ手段94をオンとする時間)3秒、被加工物70の加工面と工具電極82の電極面との間隙0.1mmに設定すると、深さ10μmの所望形状の動圧溝を形成できる。
以上説明した電解加工において、被加工物70の表面がクロムを含有するステンレス鋼のようなものである場合には、上記電極反応によって六価クロムが電解液中に溶出し蓄積される。そこで、以下、本発明に係る電解液の再生方法は、蓄積された六価クロムを簡単な工程で確実に除去するものである。なお、本発明は以下に説明する実施形態に何ら限定されるものではない。
図2に、本発明に係る電解液の再生方法の一実施形態を示す。ステンレス鋼などのクロムを含有する金属材料の電解加工に繰り返し使用され、六価クロムの蓄積含有量が多くなった、硝酸ナトリウムなどの硝酸塩を主成分とする電解液Lが凝集槽1に送られる。凝集槽1には撹拌翼11が備えられており、凝集槽1の上面開口部の上方には、凝集剤と凝集補助剤がそれぞれ貯えられたホッパー12,13が配設されている。
まず、撹拌翼11を回転させて電解液Lを撹拌し、電解液中の六価クロム濃度が測定される。そして、その測定値から凝集剤の投入量が算出される。凝集剤の投入量は一般に電解液Lに対して50〜10,000ppmの範囲が好ましく、より好ましくは100〜5,000ppmの範囲である。
次に、凝集剤の投入量に基づいて凝集補助剤の投入量が算出される。凝集補助剤の投入量は、凝集剤を電解液Lに投入した場合に、電解液LのpHがおおよそ12程度になることが一つの目安とされる。具体的な凝集補助剤の投入量としては、投入する凝集剤のおおよそ10重量%程度である。
以上のようにして凝集剤と凝集補助剤の投入量が算出されると、ホッパー12,13から凝集剤と凝集補助剤が凝集槽1に所定量投入される(凝集工程)。このとき、凝集補助剤を先に凝集槽1に投入するのが望ましい。これは、pHがアルカリ性の方が六価クロムを凝集・沈殿させやすく、凝集剤が電解液Lに投入された後のpHがアルカリ性となるようにするためである。ここで使用する凝集補助剤としてはアルカリ性のものであれば特に限定はなく、例えば水酸化カルシウムや水酸化ナトリウムなどが挙げられる。
次に、凝集剤が凝集槽1に投入される。凝集剤を凝集槽1に投入し始めは電解液Lを激しく撹拌するのが好ましい。これにより凝集剤が電解液Lに均一に分散する。そしてその後は弱く撹拌するのが好ましい。これにより凝集物が次第に形成され成長する。電解液Lの状態、すなわち凝集物の状態を観察し、凝集物が小さい場合には凝集補助剤を追加投入する。なお、電解液中の凝集物の大きさは凝集物の色で判断できることがある。例えば凝集物が比較的小さいときはオレンジ色を呈し、凝集物が大きくなると深緑色を呈する場合がある。このような場合には凝集物がオレンジ色から深緑色(pHが10以上)になるまでアルカリ性の凝集補助剤を追加投入すればよい。
本発明で使用する無機系凝集剤としては特に限定はなく、例えば塩化第二鉄、ポリ硫酸第二鉄、ポリ硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウムなどの無機金属塩系凝集剤;フライアッシュ、人工ゼオライトなどを主成分とする無機系凝集剤などが挙げられる。これらの中でも活性二酸化ケイ素と酸化アルミニウムを主成分とし、ゼータ電位の最大値が絶対値として15mV以上有する無機系粉粒体が好適である。市販されているものとしては、ノアテック社製の「スーパーナミット」が挙げられる。
無機系凝集剤の粒径は特に限定はないが、平均粒径50〜350μmの範囲が好ましい。より好ましくは75〜150μmの範囲である。平均粒径が50μmより小さいと、凝集剤の飛散などが生じやすく取り扱い性が低下するおそれがある一方、平均粒径が350μmより大きいと、六価クロムを効率的に凝集させるためには多量の凝集剤が必要となるおそれがあるからである。また凝集物の沈殿速度を速めて処理時間を短くする観点から、無機系凝集剤の比重は大きいものがよく、平均比重として1.5g/cm3程度のものが推奨される。
凝集槽1において、凝集物が分離しやすい大きさにまで成長したところで撹拌を停止し、凝集物を含んだ状態の電解液LをポンプP1によって分離槽2へ送る。なお、分離槽2を用いずに凝集槽1において凝集物と電解液とを分離してもよい。具体的には凝集槽1において撹拌を停止した後、しばらく静置状態として凝集物を沈殿させて、沈殿物(凝集物)と上澄み液(電解液)とを分離し、上澄み液だけを濾過工程に送るのである。
分離槽2では、凝集物を含んだ電解液Lを静置して凝集物Dを沈殿させる(分離工程)。そして上澄み液(電解液)Lだけを次の濾過工程に送る。沈殿した凝集物Dは分離槽2から取り出され廃棄される。ここで分離・廃棄される凝集物量は再生処理前の電解液Lの約数wt%程度である。電解液Lと凝集物Dとを分離する手段としては凝集物Dを沈殿させる手段の他、従来公知の方法を用いることができ、例えば遠心分離手段によって電解液Lと凝集物Dを分離してももちろん構わない。
次に、濾過装置3a,3bによって電解液中に残留している凝集物Dが除去される(第1の濾過工程)。図1の再生工程では、2つの濾過装置3a,3bに電解液Lを通すことによって、残留する凝集物を除去しているが、濾過装置の設置個数や装置種類、操作条件に限定はなく、電解液の状態や処理量などから適宜決定すればよい。
濾過装置3a,3bによって凝集物が取り除かれた電解液Lは次に中和槽4へ送られる。中和槽4には撹拌翼41が取り付けられ、上面開口の上方には硝酸を貯えたホッパー42が取り付けられている。中和槽4において、アルカリ性とされている電解液Lにホッパー42から硝酸が添加されてpH7程度の電解液とされる(中和工程)。硝酸の添加量は、送られてくる電解液のpHによって適宜決定される。このとき、電解液中に凝集剤が析出することがあるため、このような析出物を除去するために、中和された電解液はポンプP2によって濾過装置5a〜5dへ送られる。この図の再生工程では、4つの濾過装置5a〜5dによって析出物等の異物が電解液Lから除去される(第2の濾過工程)。もちろん濾過装置の設置個数や装置種類、操作条件に限定はなく、電解液の状態や処理量などから適宜決定すればよい。
そして、凝集物や析出物、異物などがすべて除去された電解液Lは貯留槽6へ送られる。貯留槽6の電解液Lは再び電解加工に用いられる。そして、数バッチあるいは数十バッチの電解加工に用いられ、六価クロムの蓄積含有量が所定値以上となったところで、電解液に対して上記再生処理が再び行われる。このような再生処理を繰り返し行うことにより、電解液は半永久的に電解加工に用いることができるようになる。
1 凝集槽
2 分離槽
3a,3b 濾過装置
4 中和槽
5a,5b,5c,5d 濾過装置
6 貯留槽
70 被加工物
D 凝集物
L 電解液
2 分離槽
3a,3b 濾過装置
4 中和槽
5a,5b,5c,5d 濾過装置
6 貯留槽
70 被加工物
D 凝集物
L 電解液
Claims (7)
- クロムを含む金属材料の電解加工に使用した、硝酸塩を主成分とする電解液を再生する方法であって、アルカリ性の凝集補助剤および無機系凝集剤を添加してクロムを凝集させる凝集工程と、電解液を濾過して浮遊する凝集物を除去する第1の濾過工程と、電解液に硝酸を添加して中和する中和工程を有し、電解液を再度電解加工に用いることを特徴とする電解液の再生方法。
- 凝集工程で凝集したクロムと電解液とを分離する分離工程をさらに有する請求項1記載の電解液の再生方法。
- 前記中和工程で析出した析出物を除去する第2の濾過工程をさらに有する請求項1又は2記載の電解液の再生方法。
- 前記凝集補助剤を添加した後、前記無機系凝集剤を添加する請求項1〜3のいずれかに記載の電解液の再生方法。
- 前記電解液が流体動圧軸受の電解加工に用いられる請求項1〜4のいずれかに記載の電解液の再生方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の再生方法によって再生された電解液を用いて被加工物を電解加工することを特徴とする電解加工方法。
- 前記被加工物が流体動圧軸受である請求項6記載の電解加工方法。
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JP2006239939A JP2008063599A (ja) | 2006-09-05 | 2006-09-05 | 電解液の再生方法 |
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JP5601435B1 (ja) * | 2013-11-05 | 2014-10-08 | 三菱電機株式会社 | 電解加工方法、電解加工装置および電解加工液 |
-
2006
- 2006-09-05 JP JP2006239939A patent/JP2008063599A/ja not_active Withdrawn
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JP5601435B1 (ja) * | 2013-11-05 | 2014-10-08 | 三菱電機株式会社 | 電解加工方法、電解加工装置および電解加工液 |
WO2015068184A1 (ja) * | 2013-11-05 | 2015-05-14 | 三菱電機株式会社 | 電解加工方法、電解加工装置および電解加工液 |
CN105705283A (zh) * | 2013-11-05 | 2016-06-22 | 三菱电机株式会社 | 电解加工方法、电解加工装置以及电解加工液 |
CN105705283B (zh) * | 2013-11-05 | 2019-02-19 | 三菱电机株式会社 | 电解加工方法、电解加工装置以及电解加工液 |
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