JPH06182622A - 水性放電加工液のイオン交換処理法 - Google Patents

水性放電加工液のイオン交換処理法

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JPH06182622A
JPH06182622A JP4354903A JP35490392A JPH06182622A JP H06182622 A JPH06182622 A JP H06182622A JP 4354903 A JP4354903 A JP 4354903A JP 35490392 A JP35490392 A JP 35490392A JP H06182622 A JPH06182622 A JP H06182622A
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electric discharge
container
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Nobuyuki Takahashi
信之 高橋
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Abstract

(57)【要約】 【目的】水性放電加工液のイオン交換処理でのイオン交
換樹脂での使用時間を長くして、イオン交換処理量を大
きくし、しかも、粉末分散の水性放電加工液などもイオ
ン交換処理できる、水性放電加工液のイオン交換処理法
を提供する。 【構成】イオン交換樹脂全体と水性放電加工液とをイオ
ン交換用の容器中で接触させ、それらの間でイオン交換
反応を同時的に進行させ、放電加工に障害とるイオンの
みを捕捉するようにしたものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、イオン交換樹脂の使用
時間を増大させることができる水性放電加工液のイオン
交換処理法に関する。
【0002】さらに、本発明は、粉末を分散させた水性
放電加工液などをイオン交換処理できて、しかも、イオ
ン交換樹脂の使用時間を増大させることができる水性放
電加工液のイオン交換処理法に関する。
【0003】
【従来の技術】放電加工装置では、放電加工での使用で
汚染した水性放電加工液(以下、水性放電加工液を加工
液と略称することがある)を加工槽から抜き出して槽に
溜め、それを清浄化して加工槽で再使用するのが一般的
である。
【0004】清浄化は、ろ過による固体の分離とイオン
交換によるイオンの除去である。イオンの除去は、大き
くなった電気伝導度を放電加工に適するまで低下させる
ためのもので、ろ過した加工液をイオン交換樹脂層を流
してイオン交換する方法で行われている。
【0005】そのイオン交換処理は、加工液を小さい空
間速度で流し、イオン交換処理の開始から終了まで同じ
空間速度を維持して行われている。
【0006】すなわち、工業用水からの純水の製造およ
び各種の液の精製でのイオン交換処理法と同じである。
【0007】加工液のイオン交換処理における空間速度
と処理時間は、放電加工で汚染した加工液(以下、汚加
工液ということがある)を小さい空間速度(処理した加
工液の電気伝導度が著しく低くなる空間速度)でイオン
交換樹脂層を流して破過点を求めて決めている。実際の
イオン交換装置で採用されている空間速度は、加工液中
の多種イオンの全てがイオン交換樹脂層の微少なイオン
交換帯において最大に平衡に近ずく著しく小さい空間速
度である。
【0008】これを、イオン交換樹脂層(高さをZとす
る)でのイオン交換帯の移動からみると、イオン交換処
理の開始から終了までの間、微小高さdzでのイオン交
換帯で、加工液中の多種イオンによりイオン交換帯の交
換容量を飽和にして、次にそのイオン交換帯(dz)を
未反応のイオン交換樹脂層に順次に移動させる方法であ
る。すなわち、イオン交換処理の開始と終了との間で、
イオン交換反応に関与するイオン交換樹脂が、イオン交
換帯(dz)の移動にしたがって。経時的に順次に異な
っていくイオン交換処理法である。
【0009】また、物質移動現象からみると、空間速度
をできるだけ小さくして、微小高さdzのイオン交換帯
においてできるだけ多種イオン全ての総括移動容量係数
(Kfa)をできるだけ大きくするイオン交換処理法で
ある。
【0010】次に、図3に基いて、加工液の従来のイオ
ン交換処理法を具体的に説明する。
【0011】図3は、実際の放電加工装置における加工
液の循環工程を示す工程図である。
【0012】そこで使用するイオン交換装置とイン交換
処理法とはいずれの実装置においても同じである。
【0013】図3において、40は放電加工を行う加工
槽であって、放電加工中は、循環工程で清浄にした加工
液を戻して再使用するようになっている。加工槽40の
汚加工液は、加工槽40に隣接して設けた一時収納槽4
1にオーバーフローする。一時収納槽41に一時的に貯
溜された汚加工液42は、ポンプ43によりろ過装置4
4に送液され、そこでろ過されて清浄加工液槽45に貯
溜される。しかし、清浄加工液槽45に貯溜される加工
液46は、その電気伝導度が大きいので、そのままで放
電加工に再使用することはない。
【0014】そこで、イオン交換樹脂を充填した縦長の
イオン交換塔47に加工液46を流してイオン交換処理
し、電気伝導度が著しく低くなった加工液46を清浄加
工液槽45に戻して、清浄加工液槽45の加工液46全
体の電気伝導度を低くしている。
【0015】そして、電気伝導度を低くした加工液46
をポンプ50で抜き出して加工槽に送って放電加工に再
使用している。
【0016】イオン交換塔47でのイオン交換処理は、
清浄加工液槽45の加工液46の電気伝導度を検出装置
48により検出し、電気伝導度が大きくなると、加工液
46をポンプ49によりイオン交換塔47に送り、清浄
加工液槽45の加工液46の全量が所定の電気伝導度に
なるまで加工液46をイオン交換塔47に流すという方
法で行われている。
【0017】イオン交換処理での空間速度は、前述の理
由から著しく小さい値が採用されている。
【0018】しかも、その小さい空間速度が、イオン交
換処理の開始から終了まで、同一に維持されている。な
お、ワイヤカット放電加工装置では、加工液を放電加工
をしている箇所に注いでから加工槽に集めて、その後で
第4図に示すのと同様して清浄にしてから清浄加工液槽
に貯溜し、そこからポンプで汲み出して放電加工をする
箇所に再度注ぐようになっている。
【0019】また、イオン交換処理する前にろ過するこ
とも行われている。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】加工液の従来のイオン
交換処理は、多くの問題点を有していて、それには下記
のものがある。 (イ)放電加工に使用した加工液に含まれるイオンは、
その種類および量が通常多いので、イオン交換樹脂単位
量当たりの処理液量が小さいという問題点がある。
【0021】すなわち、イオン交換樹脂の寿命が短い、
すなわち、イオン交換処理に使用できる時間が短い、と
いう問題点がある。 (ロ)イオン交換樹脂単位量当たりの処理液量が少ない
ので、半導体製造あるいは原子力発電の水処理用の高品
質グレードのイオン交換樹脂を使用して再生することな
く廃棄するイオン交換処理では、加工液の再生使用に関
する費用が高騰するという問題点がある。 (ハ)放電加工装置は、昼夜(すなわち長時間)連続運
転される場合が多いが、その連続運転の途中で短時間ご
とイオン交換塔を切り替えて使用することは、操作が著
しく煩雑になるという問題点がある。 (ニ)イオン交換塔は、放電加工装置の設置面積の制約
から、地表に設けた自立塔ではなく、加工液を貯溜する
槽上の空間などに支持具により支持されていることが多
いというのが実情である。
【0022】そのために、イオン交換塔を大きくして処
理液を大きくすること、あるいはイオン交換塔の数を増
やして処理液を大きくすることが著しく困難であるとい
う問題点がある。 (ホ)加工液には、種々の目的で、水溶性化合物あるい
は/および水溶性重合体が溶解されているが、それらが
イオン交換樹脂に捕捉されるという問題点がある。水溶
性化合物あるいは水溶性重合体は、水溶性にするため
に、分子中あるいは重合鎖末端などに親水基(OH基が
代表的)を有している。そのために、水溶性化合物ある
いは水溶性重合体内の電子が偏在して、いわゆる分子分
極が生じることになり、それら化合物あるいは重合体は
デルタ電荷(単位電荷のうちの若干の電荷)を有する状
態になっている。しかも、加工液は、微小なイオン交換
樹脂間の隙間をゆっくりと流れるので、デルタ電荷を有
する水溶性化合物あるいは水溶性重合体も、イオン交換
樹脂に捕捉されるおそれがある。 (ヘ)加工液は、粉末が分散されたものが使用されるこ
とがあるが、粉末がイオン交換樹層の樹脂間の微小な隙
間に捕捉されるので、粉末分散の加工液がイオン交換処
理できないという問題点がある。すなわち、粉末分散の
加工液は、それをイオン交換処理により清浄化して再使
用できないという問題点がある。 (ト)加工液に加工屑などが混入していると(実装置で
は起こりうる)、それがイオン交換樹脂に捕捉され、イ
オン交換樹脂の交換容量が短時間のイオン交換処理で飽
和になってしまうという問題点がある。そこで、本発明
は、これらの問題点を解決する加工液のイオン交換処理
法を提供すること、を目的とする。
【0023】すなわち、本発明は、具体的には、下記
(1)〜(4)の内容を実現するイオン交換処理法を提
供すること、を目的とする。 (1)イオン交換樹脂単位量あたりの処理量を大きくし
て、すなわちイオン交換樹脂の使用時間を長くして、イ
オン交換処理する。 (2)加工液に溶解した水溶性化合物および/または水
溶性重合体がイオン交換処理で捕捉されないでイオン交
換処理する。 (3)加工液に分散している粉末が、イオン交換樹脂で
捕捉されないでイオン交換処理する。すなわち、粉末分
散加工液のイオン交換処理を可能にして、しかも、その
イオン交換処理でのイオン交換樹脂の使用時間を長くす
る。 (4)放電加工で混入した加工屑などがイオン交換樹脂
に捕捉されないでイオン交換処理する。
【0024】
【課題を解決するための手段】本発明による第一のイオ
ン交換処理法は、下記のものである。
【0025】すなわち、水性放電加工液を容器に導入し
て、容器中のイオン交換材と接触させてから容器から導
出させる水性放電加工液のイオン交換処理法において、
イオン交換処理操作を下記(A)および(B)に定義す
る方法により行うこと、を特徴とするものである。 (A)容器内で水性放電加工液とイオン交換材全体とを
イオン交換反応するように水性放電加工液とイオン交換
材とを接触させてイオン交換処理する。 (B)容器から導出する水性放電加工液の電気伝導度を
放電加工に無害なイオンに由来する電気伝導度の範囲に
維持するように、容器に導入する水性放電加工液の液量
を制御する。
【0026】また、本発明による第二のイオン交換処理
法は、下記のものである。
【0027】すなわち、水性放電加工液を容器に導入し
て、容器中の粒状のイオン交換材と接触させてから容器
から導出させる水性放電加工液のイオン交換処理法にお
いて、イオン交換処理操作が下記(A)および(B)に
定義する方法であって、水性放電加工液が下記(a)〜
(c)に定義する水性放電加工液のいずれかであること
を特徴とするものである。イオン交換処理操作 (A)容器内で粒状のイオン交換材を運動させうる液量
の水性放電加工液を容器に導入してイオン交換処理す
る。 (B)容器から導出する水性放電加工液の電気伝導度を
放電加工に無害なイオンに由来する電気伝導度の範囲に
維持するように容器に導入する水性放電加工液の液量を
制御する。水性放電加工液 (a)水溶性化合物溶解の水溶液からなる水性放電加工
液、(b)水溶性重合体溶解の水溶液からなる水性放電
加工液、(c)水溶性化合物と水溶性重合体とが溶解の
水溶液からなる水性放電加工液。さらに、本発明による
第三のイオン交換処理法は、下記のものである。
【0028】すなわち、水性放電加工液を容器に導入し
て、容器中の粒状のイオン交換材と接触させてから容器
から導出させる水性放電加工液のイオン交換処理法にお
いて、イオン交換処理操作が下記(A)および(B)に
定義する方法であって、水性放電加工液が下記(i)〜
(iv)に定義する水性放電加工液のいずれかであるこ
とを特徴とするものである。イオン交換処理操作 (A)容器内で粒状のイオン交換材を運動させるうる液
量の水性放電加工液を容器に導入してイオン交換処理す
る。 (B)容器から導出する水性放電加工液の電気伝導度を
放電加工に無害なイオンに由来する電気伝導度の範囲に
維持するように容器に導入する水性放電加工液の液量を
制御する。水性放電加工液 (i)粉末が、水に分散してなる水性放電加工液、(i
i)粉末が、水溶性化合物溶解の水溶液に分散してなる
水性放電加工液、(iii)粉末が、水溶性重合体溶解
の水溶液に分散してなる水性放電加工液、(iv)粉末
が、水溶性化合物と水溶性重合体とが溶解の水溶液に分
散してなる水性放電加工液。
【0029】〔発明の具体的説明〕本発明は、放電加工
に使用した加工液から放電加工に有害なイオンを選択的
に除去し、それによって、イオン交換樹脂の交換容量に
かかる負担を小さくして、イオン交換樹脂の寿命を長く
するイオン交換処理法である。本発明に先立って、加工
液のイオン交換処理では、下記のような現象が生じるこ
とが本発明者により見いだされている。
【0030】その現象の第一は、放電加工で使用した1
00μS/cm以上の電気伝導度の加工液には、モリブ
デンイオン、タングステンイオンおよびコバルトイオン
などの金属イオン、塩素イオン、有機酸イオンなどの無
機イオンおよび有機イオンなの放電加工に有害なイオン
が多量に存在しているということである。
【0031】その現象の第二は、放電加工に有害なイオ
ンはイオン交換速度が大きいので、加工液とイオン交換
樹脂との接触時間を小さくても、放電加工に有害なイオ
ンはイオン交換樹脂に捕捉される可能性があるというこ
とである。
【0032】その現象の第三は、従来のイオン交換処理
では、放電加工に無害なイオンによって、イオン交換樹
脂の交換容量の多くの部分が消費されているということ
である。
【0033】そして、本発明による第一〜第三のイオン
交換処理法は、それらの現象と本発明において見い出さ
れた実験的事実とから得られたものである。 〈イオン交換処理法〉イオン交換処理法 本発明によるイオン交換処理法は、イオン交換用容器内
で加工液とイオン交換樹脂全体とがイオン交換反応する
ように接触させる。
【0034】すなわち、イオン交換樹脂全体を原則とし
てイオン交換処理の開始から終了までイオン交換反応に
関与させ、イオン交換反応がイオン交換樹脂全体で同時
的に進行するようする。
【0035】なお、同時的に進行するというのは、加工
液がイオン交換用容器内を通鵜する際に、イオン交換樹
脂の各粒子が反応に関与し、その状態が継続して イオ
ン交換反応が行われるという意味である。
【0036】しかも、本発明によるイオン交換処理法で
は、イオン交換用容器に導入する加工液の量をイオン交
換処理後の加工液の電気伝導度が所定の範囲(すなわ
ち、放電加工に無害なイオンに由来する電気伝導度の範
囲)になるように制御する。
【0037】これは、イオン交換処理する加工液がイオ
ン交換処理後の加工液の電気伝導度をそのような範囲に
なるように制御した量であると、その量の加工液とイオ
ン交換樹脂との接触時間が、放電加工に有害なイオンが
優先的にイオン交換樹脂に捕捉されるに必要な時間の領
域に相当することが本発明で見いだされたからである。
【0038】なお、放電加工に無害なイオンに由来する
電気伝導度の範囲は、一般的には、0.2〜100μS
/cm程度であることが、本発明者により見いだされて
いる。また、本発明によるイオン交換処理法において、
イオン交換処理後の加工液の電気伝導度を0.2μS/
cm未満になるようにして、加工液の量を制御すると、
イオン交換樹脂の交換容量の寿命を増大があまり期待で
きない。
【0039】100μS/cmを越えるようにして、加
工液の量を制御すると、放電加工に有害なイオンが残る
可能性が大きくなる。
【0040】個別の放電加工では、放電加工に無害なイ
オンに由来する電気伝導度の範囲が変わってくることが
ある。その場合は個別に実験で求めればよい。
【0041】放電加工に無害なイオンの代表的なものを
例示すれば、鉄イオン、クロムイオン、亜鉛イオンおよ
び銅イオンなどの金属イオン、炭酸イオンおよびケイ酸
イオンなどがある。そして、放電加工に有害なイオンが
優先的にイオン交換樹脂に捕捉させる前述の方法によ
り、イオン交換樹脂の交換容量の寿命(すなわち、イオ
ン交換樹脂単位量当たりの処理量)が著しく増大させる
ことができる。なお、実際の放電加工では、種々の要因
によって、加工液の電気伝導度が変動する。しかし、そ
のような変動が生じても、イオン交換処理する加工液の
液量が放電加工に無害なイオンに由来する電気伝導度の
範囲になるよう制御する量であれば、イオン交換樹脂全
体でイオン交換反応を同時的に進行させるうることが本
発明で見いだされている。イオン交換樹脂全体でイオン
交換反応を同時的に進行させうる手段であれば、加工液
とイオン交換樹脂との接触手段は任意である。第二および第三のイオン交換処理法 本発明による第二および第三のイオン交換処理法は、イ
オン交換用容器中のイオン交換樹脂を運動させうる液量
の加工液をその容器に導入する方法であり、イオン交換
樹脂を運動させることによりイオン交換樹脂全体を同時
的にイオン交換反応に関与させ、イオン交換反応がイオ
ン交換樹脂全体で同時的に進行するようにしている。
【0042】すなわち、加工液の液流によりイオン交換
樹脂を運動(例えば、浮遊)させ、加工液がイオン交換
用容器内を通過する過程でいずれかのイオン交換樹脂粒
に接触させて、イオン交換反応がイオン交換樹脂全体で
同時的に進行するようにしている。
【0043】しかも、イオン交換樹脂と加工液との接触
時間が短く、イオン交換樹脂が運動していると、加工液
に溶解の水溶性化合物あるいは水溶性重合体がイオン交
換樹脂に捕捉されないことが本発明で見いだされてい
る。
【0044】イオン交換処理する加工液が、イオン交換
処理後の加工液が所定の電気伝導度(放電加工に無害な
イオンに由来する電気伝導度の範囲)になるように制御
した流量である場合、その流量とイオン交換用容器のイ
オン交換樹脂量との接触では、その接触時間が短く、水
溶性化合物あるいは水溶性重合体がイオン交換樹脂とイ
オン交換反応しない範囲の時間である。また、運動して
いるイオン交換樹脂と水溶性化合物あるいは水溶性重合
体とは、反応しにくことが本発明で見いだされている。
【0045】粉末(放電加工に使用可能な粉末)を分散
した加工液を運動しているイオン交換樹脂と接触させる
場合も、加工液がそのような流量であると、イオン交換
樹脂との衝突の影響を受けずに、容易にイオン交換処理
できることが本発明で見いだされている。
【0046】そのために、本発明の第二および第三のイ
オン交換処理法により、次のような利点が得られること
が明らかとなった。
【0047】すなわち、水溶性化合物あるいは水溶性重
合体を溶解した加工液でもイオン交換処理できる。
【0048】また、粉末を分散した加工液をイオン交換
処理することができ、しかも、粉末として微細な粒径の
ものあるいは100μmを越えるものを分散した加工液
でも容易にイオン交換処理できることが本発明で見いだ
されている。
【0049】なお、粉末を分散した加工液のイオン交換
処理では、イオン交換用容器の加工液の導出口にイオン
交換樹脂と粉末の分離用のろ材を設けるなどすれば、粉
末を分散した加工液を容易にイオン交換処理することが
できる。イオン交換処理法の具体的態様 次に、本発明のイオン交換処理法を図1に基いて具体的
に説明する。
【0050】図1は、本発明によるイオン交換処理を行
うイオン交換装置の一例の説明図である。
【0051】図1において、1はイオン交換用の容器で
あって、容器1内にはイオン交換樹脂2が入っている。
容器1の導出入口3、4にはろ材が設けられ、イオン交
換樹脂2が容器1外に流出しないようになっている。
【0052】そして、放電加工に使用した加工液を導入
口4より容器1に導入する。導入量は、イオン交換樹脂
2が運動しうる量(容器1の容積に比較して少ない量)
である。加工液は、容器1の導入口4から導出口3に移
動し、その過程でいずれかのイオン交換樹脂2と接触し
てイオン交換反応して、それから導出口3から流出する
ようになっている。
【0053】すなわち、イオン交換処理の開始から終了
まで、イオン交換樹脂2全体がイオン交換反応に関与し
て、イオン交換反応が各イオン交換樹脂2の粒子で同時
的に進行する。粉末を分散した加工液の場合には、導出
入口3、4に設けるろ材を粉末を通過させ、イオン交換
樹脂2の通過を遮断する大きさの孔を有するものにして
おけばよい。イオン交換樹脂2の粒径は大きいので、そ
のようなろ材の選択は容易である。
【0054】また、導入口4から入る加工液量は、導出
口3からでる加工液の電気伝導度の検出信号に基いて制
御する。電気伝導度の検出手段および制御手段は、任意
である。イオン交換装置 イオン交換装置は、本発明のイオン交換処理を行いうる
ものであれば、イオン交換用容器の形状、加工液の導出
入口の容器への取り付け位置、あるいは導出入口などの
形態などは任意である。加工液 本発明においてイオン交換処理する液は、水性放電加工
液である。
【0055】「水性放電加工液」は、水を含む放電加用
の液(水のみからなるもであってもよい)の意味であっ
て、水以外の成分については特に制約がない。
【0056】水以外の成分を含む水性放電加工液として
は、水溶性化合物を水に溶解した水溶液、水溶性高分子
(水溶性オリゴマーを含む)を水に溶解した水溶液、水
溶性化合物と水溶性高分子を水に溶解した水溶液および
粉末を分散したものが代表的である。
【0057】粉末を分散した加工液は、水、水溶性化合
物溶解の水溶液および水溶性高分子溶解の水溶液のいず
れの液に粉末を分散したものであってもよい。 ま
た、加工液は、放電加工に使用した加工液であっても、
放電加工に未使用の加工液であってもよいが、本発明の
利点を最も享受できるのは放電加工に使用した加工液で
ある場合である。
【0058】その場合の放電加工の種類については制約
がない。したがって、加工液は、形彫り放電加工に使用
した加工液であっても、ワイヤカット放電加工に使用し
た加工液あってもよい。
【0059】また、放電加工に使用した加工液である場
合、それは、全量が放電加工に使用した加工液である必
要がなく、少量の放電加工に使用した加工液を含んでい
るものであってもよい。
【0060】すなわち、本発明の「放電加工に使用した
水性放電加工液」は、全量が放電加工に使用した加工液
である場合のみならず、放電加工に使用した加工液を含
む加工液である場合をも含んだ意味に用いている。
【0061】また、本発明の水性放電加工液は、固液分
離手段(ろ過装置が代表的)によって分離処理したも
の、分離処理しないもの(すなわち、ろ過していない加
工液)であってもよい。
【0062】次に、加工液に溶解する水溶性化合物、水
溶性高分子(水溶性オリゴマーを含む)を例示的に挙げ
ると下記のものがある。
【0063】防錆性化合物(すなわち、水溶性防錆
剤)、酸化防止性化合物(すなわち、水溶性酸化防止
剤)、電極消耗率低下防止性化合物(すなわち、水溶性
の電極消耗率低下防止剤)および加工速度向上性化合物
(すなわち、水溶性の加工速度向上剤)など。
【0064】具体的にそれらの化合物を例示すると下記
のものがある。
【0065】アルキレンジオールなどの水溶性化合物、
ポリエチレングリコールあるいはポリプロピレングリコ
ールおよびそれらの誘導体などの水溶性高分子。
【0066】なお、ポリエチレングリコールあるいはポ
リプロピレングリコールの誘導体としては、例えば、分
岐ポリエチレングリコール、分子の一方の末端あるいは
分子の両端にアルコールまたはフェノールが結合したポ
リエチレングリコールあるいはポリプロピレングリコー
ル、分子の末端が不飽和であるポリエチレングリコール
あるいはポリプロピレングリコールがある。
【0067】なお、加工液中の水溶性化合物あるいは/
および水溶性高分子の濃度は、本発明の処理法で処理で
きる範囲の濃度であればよい。
【0068】一般的には、20〜80重量%(水と、水
溶性化合物あるいは/および水溶性高分子との合計重量
基準)の濃度のものを用いることができる。なお、ある
いは/およびは、「あるいは」と「および」のいずれで
もよいことを意味している。
【0069】また、加工液に分散する粉末を例示的に挙
げると下記のものがある。酸化防止性粉末(すなわち、
水に不溶性の酸化防止剤)、防錆性粉末(すなわち、水
に不溶性の防錆剤)および被加工物表面平滑化用粉末
(被加工物の表面を平滑にする目的で加工液に分散され
ている粉末)など。
【0070】被加工物表面平滑化用粉末を具体的に例示
すると下記のものがある。
【0071】グラファイト、真鍮、タングステン、銀、
カドミウム、イリジウム、亜鉛、マグネシウム、錫、鉛
タングステンと銀との合金、銅および銅とタングステン
との合金、グラファイトあるいはケイ素の粉末の一種ま
たは複数種からなるもの、非金属元素の粉末、金属元素
の粉末、非金属元素の酸化物および金属元素の酸化物の
一種または複数種とケイ素あるいは/およびグラファイ
トとの粉末など。なお、従来は、水に不溶性の酸化防止
剤あるいは防錆剤などは、イオン交換処理でイオン交換
樹脂に捕捉されるということで事実上の使用が妨げられ
ていた。しかし、本発明により、それらの使用が可能に
なる。イオン交換材 本発明で用いるイオン交換材は、放電加工で使用した加
工液に含まれるイオン種(特に放電加工に有害なイオン
種)とイオン交換反応する交換基を有する材である。
本発明で用いるイオン交換材の代表的なものは、イオン
交換樹脂およびイオン交換膜である。
【0072】なお、「イオン交換樹脂」は、本来的には
形態を特定していない用語である(樹脂とあるから)。
しかし、イオン交換樹脂の殆どが粒状のものであるの
で、「イオン交換樹脂」の用語は、一般的には「粒状の
イオン交換樹脂」の同義語として使用されている。
【0073】そこで、本明細書の従来技術の説明および
本発明の説明では、「イオン交換樹脂」の用語を「粒状
のイオン交換樹脂」の意味で使用している。
【0074】なお、本発明の「粒状のイオン交換材」と
いう用語は、合成樹脂からなる粒状のイオン交換樹脂の
みならず、天然樹脂からなる粒状のイオン交換樹脂を含
む意味で用いている。
【0075】ただし、本発明で用いる粒状のイオン交換
樹脂(すなわち、イオン交換樹脂)は、合成樹脂からな
る粒状のイオン交換樹脂であるのが一般的である。
【0076】イオン交換樹脂は、それが有するイオン交
換基の機能から、陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂
に類別され、陽イオン交換樹脂は強酸性陽イオン交換樹
脂と弱酸性陽イオン交換樹脂に、陰イオン交換樹脂は強
塩基性陰イオン交換樹脂と弱塩基性陰イオン交換樹脂に
それぞれ類別される。本発明のイオン交換処理法では、
陰イオン交換樹脂あるいは陰イオン交換樹脂と陽イオン
交換樹脂の併用が適している。 特に望ましいのは、強
塩基性陰イオン交換樹脂と陽イオン交換樹脂の併用であ
る。ただし、形彫り放電加工において、水溶性化合物と
して水溶性高分子を水に溶解した加工液を使用する場合
は、強塩基性陰イオン交換樹脂と強酸性陽イオン交換樹
脂の併用が望ましい。
【0077】また、ワイヤカット放電加工に使用した加
工液の場合でも、強塩基性陰イオン交換樹脂と強酸性陽
イオン交換樹脂の併用が望ましい。なお、強塩基の交換
基あるいは強酸性の交換基は、いずれのものも使用でき
る。
【0078】以下、実施例により、本発明を具体的に説
明するが、実施例はあくまでも例示であって、本発明を
制限するものではない。
【0079】
【実施例】
〈実施例1〉放電加工で使用した加工液をイオン交換処
理した。
【0080】その放電加工は下記の条件で行った。放電加工条件 放電加工装置 ソディツクA350 M
ARK11 ワイヤ電極 住友 SBGー20H 被加工物 SKDー11(厚み50
mm) 加工速度 160mm2/分 平均電流 14A 加工槽内の加工液電気伝導度 20μS/cm2 加工液は、下記のものを使用した。加工液 加工液は水に添加剤溶解液1重量%(水の重量を基準)
を溶解したものであって、前記の放電加工条件で放電加
工したものを用いた。なお、添加剤溶解液は防錆剤と加
工速度向上剤とを溶解したもので、商品名バイトルWX
(株式会社、ソディック製)として市販されているもの
を使用した。イオン交換装置 イオン交換装置は図2に示すものを使用した。図2のイ
オン交換装置は、本発明のために新たに創案されたもの
である。図2において、イオン交換装置装置本体は、タ
ンク型のイオン交換槽20からなっており、底面21は
曲面を形成させてある。タンク型のイオン交換槽20に
は、従来から加工液のイオン交換処理に用いられている
のと同じイオン交換樹脂22を5リットル入れてあり、
その5リットルの容積はイオン交換槽20の容積に比較
して小さいものであった。イオン交換処理する加工液
は、導入管23を通じて清浄加工液槽(図示せず)から
ポンプ24で汲み上げてろ過装置25に送液し、そこで
ろ過してからイオン交換槽20内の下部に位置する導入
管23の先端開放口26から槽20内に導入するように
なっている。
【0081】なお、清浄加工液槽は、図3の清浄加工液
槽45に該当する。イオン交換処理された加工液は、イ
オン交換槽20内の上部に設けた集液部27から導出管
28を通じて導出させて、清浄加工液槽に戻すようにな
っている。
【0082】また、導出管28には、電気伝導度計29
が設けられていて、導出させた加工液の電気伝導度が検
出できるようになっている。
【0083】さらに、導入管23と導出管28との間は
配管30で接続されていて、配管30に設けたバルブ3
1を開くと、ポンプ24から吐出した加工液が配管30
および導出管29を通じて清浄加工液槽に戻るようにな
っている。イオン交換処理法 ポンプ24により送液し、ろ過装置25でろ過した加工
液を導入管23の先端開放口26からイオン交換槽20
の底面21の曲面に向けて噴出し、噴出した加工液が底
面21に衝突してから向きを変えて、イオン交換槽20
内を上昇する過程でイオン交換処理されるようにした。
【0084】また、底面21に衝突してから向きを変え
て加工液を上昇させることで、上昇する加工液のエネル
ギーによって、イオン交換槽20内のイオン交換樹脂2
2が自由に運動できるようにした。
【0085】イオン交換樹脂22は、浮遊した状態で加
工液とイオン交換する。
【0086】そして、イオン交換処理中は、導出管28
に設けた電気伝導度計29で加工液の電気伝導度を検出
して、その電気伝導度を15μS/cm2に維持して、
清浄加工液槽の電気伝導度を20μS/cm2を維持す
るようにした。
【0087】それらの電気伝導度の維持は、イオン交換
槽20に導入する加工液の流量を制御することで行っ
た。
【0088】清浄加工液槽の加工液の電気伝導度が、2
0μS/cm2を越えると直ちにイオン交換処理を終了
した。イオン交換処理できた時間は、310時間であっ
た。
【0089】なお、下記の比較例1では、同じ条件の加
工液を従来の方法でイオン交換処理しているが、その場
合には、10リットルのイオン交換樹脂を使用して11
5時間であった。したがって、10リットルのイオン交
換樹脂として、実施例1の結果を換算すると、620時
間となり、比較例1に比較すると、処理時間(すなわ
ち、イオン交換樹脂の使用時間)が約5.4倍に延長で
きることがわかった。
【0090】また、イオン交換処理量は、平均すると早
い空間速度をとっているので、5.4倍よりも相当に大
きな量であった。 〈比較例1〉実施例1で使用したのと同じ加工液を用い
てイオン交換処理した。 すなわち、同じ加工液を同じ
条件で行った放電加工に使用したものである。 イオン交換装置 イオン交換装置は図4に示すものを使用した。図4のイ
オン交換装置は従来から加工液のイオン交換処理に使用
されているものである。
【0091】図4において、イオン交換装置装置本体
は、イオン交換塔60にイオン交換樹脂61を充填した
もので、イオン交換処理する加工液は導入管62を通じ
て清浄加工液槽(図示せず)からポンプ63で汲み上げ
られてろ過装置64に送液され、そこでろ過されてから
イオン交換塔60内の上部に導入されるようになってい
る。なお、清浄加工液槽は、図3の清浄加工液槽45に
該当する。
【0092】イオン交換処理された加工液は、イオン交
換塔60内の下部に先端開放口65を位置させて設けた
加工液の導出管66を通じて導出させて清浄加工液槽
(すなわち、図3の清浄加工液槽45)に戻すようにな
っている。
【0093】イオン交換樹脂61は、従来から加工液の
イオン交換処理に用いられているものを10リットルを
イオン交換塔60に充填した。 イオン交換処理法 ポンプ63で加工液を送液し、ろ過装置64でろ過しし
て10リットル/分の流速でイオン交換塔60に導入し
てイオン交換処理した。イオン交換処理は、清浄加工液
槽の加工液(図3の加工液46に該当する)の電気伝導
度が20μS/cm2になるまで行った。 清浄加工液
槽(すなわち、図3の清浄加工液槽45)の加工液の電
気伝導度が20μS/cm2を越えると、イオン交換処
理を終了した。
【0094】実験の結果、イオン交換塔60でのイオン
交換処理時間は、115時間であった。 〈実施例2〉実施例2は、図2のイオン交換装置におい
て、清浄加工液槽(図示せず)からポンプ23で汲み上
げた加工液を直接に先端開放口24からイオン交換槽2
0内に導入してイオン交換した。実施例2は、イオン交
換処理する加工液が図2のろ過装置24を通していない
ということのみが、実施例1と相違するだけで、それ以
外は実施例1と同じにして実験した。実験の結果、イオ
ン交換処理できた時間は250時間であった。
【0095】すなわち、イオン交換樹脂10リットル当
たりの処理時間に換算すると500時間であった。これ
を、下記の比較例2の実験結果と比較すると、処理時間
が約12倍に延長できること、すなわち、加工液のイオ
ン交換処理量が約12倍以上に増大することが明らかと
なった。
【0096】なお、ろ過装置24でろ過した加工液をイ
オン交換処理した実施例1の結果と比較すると、イオン
交換処理できた時間は、約20%程度の低下にとどまる
ことが明らかとなった。
【0097】このことから、加工液に加工屑が混入して
いても、イオン交換処理をすることができ、しかも、イ
オン交換処理時間が大巾に増大することが明かとなっ
た。 〈比較例2〉比較例2は、図4のイオン交換装置で、清
浄加工液槽(図示せず)からポンプ63で汲み上げた加
工液を直接にイオン交換塔60に導入してイオン交換し
た。
【0098】比較例2は、イオン交換処理する加工液が
図4のろ過装置64を通していないということのみが、
比較例1と相違するだけで、それ以外は比較例1と同じ
にして実験した。
【0099】すなわち、加工屑などが存在する加工液を
イオン交換処理した。
【0100】実験の結果、イオン交換処理できた時間は
65時間であった。
【0101】すなわち、比較例1に比較して、約1/2
のイオン交換処理時間であり、実施例2と比較すると、
約1/12のイオン交換処理時間であった。
【0102】このことから、加工液の従来のイオン交換
処理では、イオン交換樹脂のイオン交換容量が、加工液
中の加工屑などの存在により著しく早く飽和になること
が明らかとなった。
【0103】なお、実装置の場合でも、イオン交換塔に
加工屑などが流入する場合が見られる。 〈実施例3〉加工液として、下記の組成のものを使用し
た。加工液 水 98.70重量% ケイ素 1.00重量% カルシウム酸化物 0.01重量% アルミニウム酸化物 0.01重量% 鉄酸化物 0.01重量% なお、水以外の成分は、粉末として水に分散させてあ
る。
【0104】加工液は、実施例2の場合と同様に、図2
のろ過装置24を通さずに、ポンプ23で汲み上げた加
工液を直接に先端開放口24からイオン交換槽20内に
導入してイオン交換した。それ以外は、実施例1と同じ
にして実験した。
【0105】実験の結果、イオン交換処理できた時間は
215時間であった。
【0106】これは、イオン交換樹脂10リットル当た
りの処理時間に換算すると430時間であった。イオン
交換処理した加工液には、加工屑などとケイ素、カルシ
ウム酸化物、アルミニウム酸化物および鉄酸化物の粉末
が含まれていたが、イオン交換処理時間(すなわち、イ
オン交換処理量)に与える影響は僅かであった。 〈比較例3〉比較例3は、イオン交換処理する加工液が
図4のろ過装置64を通していないということ、および
加工液として実施例3で使用したのと同じものを使用し
たということが、比較例1と相違するだけで、それ以外
は比較例1と同じにして実験した。
【0107】実験の結果、イオン交換処理できた時間は
41時間であった。これは、実施例3の約1/5の時間
であって、比較例1の約1/3の時間および比較例2の
約6割の時間であった。
【0108】このことから、加工屑などとケイ素、カル
シウム酸化物、アルミニウム酸化物および鉄酸化物の粉
末が含まれている加工液を従来のほ方法でイオン交換処
理することは、実質上工業的に行い得ないことが明らか
となった。
【0109】
【発明の効果】本発明により、放電加工に使用した加工
液のイオン交換材単位量当たりのイオン処理液量を著し
く増大、すなわちイオン交換樹脂の寿命を著しく延長、
させることができるという基本的な効果が得られる。そ
のために、それに関連する下記の効果が得られる。 (イ)加工液の再生使用に関する費用の高騰を防止でき
る。 (ロ)昼夜(すなわち長時間)連続運転でのイオン交換
塔の切り替え使用という著しく煩雑な操作が不用とな
る。 (ハ)イオン交換塔を大きくする必要がなくなる。さら
に、本発明により、基本的な効果に加えて、下記の効果
が得られる。 (a)水溶性化合物あるいは水溶性高分子を溶解した加
工液をイオン樹脂に捕捉されることなくイオン交換処理
することができる。 (b)粉末分散の加工液をイオン交換処理することがで
きるようになる。 (c)加工屑などが混入している加工液をオン交換処理
することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明で使用するイオン交換装置の説
明図。
【図2】図2は、本発明の実施例で使用してイオン交換
装置の説明図
【図3】図3は、従来の放電加工装置における加工液の
循環工程の工程図
【図4】図4は、従来のイオン交換装置の説明図
【符号の説明】
1 容器 2 イオン交換樹脂 3 液導出口 4 液導入口 20 イオン交換槽 21 底面 22 イオン交換樹脂 23 導入管 24 ポンプ 25 ろ過装置 26 先端開放口 27 集液部 28 導出管 29 電気伝導度計 30 配管 31 バルブ

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水性放電加工液を容器に導入して、該容器
    中のイオン交換材と接触させてから該容器から導出させ
    る水性放電加工液のイオン交換処理法において、イオン
    交換処理操作を下記(A)および(B)に定義する方法
    により行うことを特徴とする、水性放電加工液のイオン
    交換処理法。 (A)容器内で水性放電加工液とイオン交換材全体とを
    イオン交換反応するように水性放電加工液とイオン交換
    材とを接触させてイオン交換処理する、(B)容器から
    導出する水性放電加工液の電気伝導度を放電加工に無害
    なイオンに由来する電気伝導度の範囲に維持するように
    容器に導入する水性放電加工液の液量を制御する。
  2. 【請求項2】水性放電加工液を容器に導入して、容器中
    の粒状のイオン交換材と接触させてから該容器から導出
    させる水性放電加工液のイオン交換処理法において、イ
    オン交換処理操作が下記(A)および(B)に定義する
    方法であって、水性放電加工液が下記(a)〜(c)に
    定義する水性放電加工液のいずれかであることを特徴と
    する、水性放電加工液のイオン交換処理法。イオン交換処理操作 (A)容器内で粒状のイオン交換材を運動させうる液量
    の水性放電加工液を容器に導入してイオン交換処理す
    る、(B)容器から導出する水性放電加工液の電気伝導
    度を放電加工に無害なイオンに由来する電気伝導度の範
    囲に維持するように容器に導入する水性放電加工液の液
    量を制御する。水性放電加工液 (a)水溶性化合物溶解の水溶液からなる水性放電加工
    液、(b)水溶性重合体溶解の水溶液からなる水性放電
    加工液、(c)水溶性化合物と水溶性重合体とが溶解の
    水溶液からなる水性放電加工液。
  3. 【請求項3】水性放電加工液を容器に導入して、容器中
    の粒状のイオン交換材と接触させてから該容器から導出
    させる水性放電加工液のイオン交換処理法において、イ
    オン交換処理操作が下記(A)および(B)に定義する
    方法であって、水性放電加工液が下記(i)〜(iv)
    に定義する水性放電加工液のいずれかであることを特徴
    とする、水性放電加工液のイオン交換処理法。イオン交換処理操作 (A)容器内で粒状のイオン交換材を運動させうる液量
    の水性放電加工液を容器に導入してイオン交換処理す
    る、(B)容器から導出させる水性放電加工液の電気伝
    導度を放電加工に無害なイオンに由来する電気伝導度の
    範囲に維持するように容器に導入する水性放電加工液の
    液量を制御する。水性放電加工液 (i)粉末が、水に分散してなる水性放電加工液、(i
    i)粉末が、水溶性化合物溶解の水溶液に分散してなる
    水性放電加工液、(iii)粉末が、水溶性重合体溶解
    の水溶液に分散してなる水性放電加工液、(iv)粉末
    が、水溶性化合物と水溶性重合体とが溶解の水溶液に分
    散してなる水性放電加工液。
  4. 【請求項4】前記イオン交換処理する水性放電加工液
    が、放電加工に使用した水性放電加工液であって、下記
    (イ)あるいは(ロ)に定義する水性放電加工液である
    ことを特徴とする、請求項1〜3に記載のイオン交換処
    理法。 (イ)固液分離手段で処理した水性放電加工液、(ロ)
    固液分離手段で未処理の水性放電加工液。
  5. 【請求項5】前記放電加工に無害なイオンに由来する電
    気伝導度の範囲が、0.2〜100μS/cmであるこ
    とを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のイオ
    ン交換処理法。
  6. 【請求項6】前記水溶性化合物、前記水溶性重合体およ
    び前記粉末が下記(イ)〜(ハ)にそれぞれ定義するも
    のであることを特徴とする、請求項2〜5のいずれかに
    記載のイオン交換処理法。 (イ)水溶性化合物が、防錆性化合物、酸化防止性化合
    物、電極消耗率低下防止性化合物および加工速度向上性
    化合物からなる水に溶解性の化合物であって、それらの
    一種あるいは二種以上からなるものであること、(ロ)
    水溶性重合体が、電極消耗率低下防止性化合物あるいは
    加工速度向上性化合物からなる水に溶解性の重合体であ
    って、それらの一種または二種からなるものであるこ
    と、(ハ)粉末が、被加工物表面平滑化用粉末、防錆性
    粉末あるいは酸化防止性粉末であって、それらの一種あ
    るいは二種以上からなるものであること。
  7. 【請求項7】前記被加工物表面平滑化用粉末が、グラフ
    ァイト、真鍮、タングステン、銀、カドミウム、イリジ
    ウム、亜鉛、マグネシウム、錫、鉛タングステンと銀と
    の合金、銅および銅とタングステンとの合金、グラファ
    イトあるいはケイ素の粉末の一種または複数種からなる
    ことを特徴とする、請求項6に記載のイオン交換処理
    法。
  8. 【請求項8】前記被加工物表面平滑化用粉末が、ケイ素
    と、非金属元素単体、金属元素単体、非金属元素の酸化
    物および金属元素の酸化物の一種または複数種との粉末
    であることを特徴とする、請求項6あるいは7に記載の
    イオン交換処理法。
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DE4391902T DE4391902T1 (de) 1992-04-28 1993-04-28 Verfahren zur Ionenaustauschbehandlung bei der Herstellung und Wiedergewinnung von wässrigem ED-Bearbeitungsfluid
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