JP5598434B2 - 成形部材の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鉄鋼材料や軽合金材料などの金属板材からなるブランク材に、打抜加工によって下穴を形成した後、下穴の周囲をバーリング成形により拡開しながら筒状に打ち出すことによってスリーブ部を形成し、このスリーブ部の先端側をフランジ成形により拡径方向に折り曲げることによってフランジ部を形成する成形部材の製造方法に関する。
金属板材、特に鋼板材からなるブランク材(被成形部材)は、プレス加工により様々な形状の部材に成形することができる。また、プレス加工は、せん断加工(分離加工)と、成形加工とに大別される。このうち、成形加工において特に重要となるのが、ブランク材の端部において塑性変形を受けるバーリング成形とフランジ成形である。
このようなバーリング成形やフランジ成形によって塑性変形を受ける部位では、その端部に向かってひずみ勾配を持ち、成形時に割れ等を発生することがあるため、この部位での成形性の向上が課題となっている(例えば、特許文献1を参照。)。
この課題に対して鉄鋼材料の分野では、素材そのものの成形性を高めることを目指して、例えば、バーリング成形やフランジ成形性に優れた鋼材の開発が進められている。一方で、下記特許文献1には、素板形状の局所的な修正を行うことで、破断危険部位の変形勾配を緩和させ、成形性を向上させる技術が開示されている。
特開2009−214118号公報
ところで、上述したバーリング成形やフランジ成形を受けるブランク材では、製品の意匠により、その端部形状が予め決められていることがある。特に、ブランク材の端部形状は、一定の曲率を有する曲線部と、直線状を為す直線部から構成される場合があるため、このような端部形状において成形性を高めることが求められている。
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、バーリング成形及びフランジ成形が施されるブランク材、特に、バーリング成形後にフランジ成形を施すことで、その端部形状が曲線部と直線部を含むブランク材において、その端部ひずみ(変形量)を低減し、成形性を大幅に向上させることを可能としたバーリング成形性及びフランジ成形性に優れた成形部材の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明者らは、バーリング成形後にフランジ成形を施すことで、その端部形状が曲線部と直線部を含むブランク材のフランジ変形端部における破断状況を調べた。その結果、フランジ変形端部における曲線部と直線部の境界付近で変形が集中し、破断が生じることがわかった。
そこで、本発明者らは、種々の検討を重ねた結果、バーリング成形及びフランジ成形が施されるブランク材のフランジ変形端部において、その曲線部と直線部の境界付近を形成する際に、そのトリム形状の曲率差の最適化を図ることで、境界付近での塑性変形の集中を緩和し、ブランク材の成形性を高めることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、上記課題を解決することを目的とした本発明の要旨は、以下のとおりである。
(1) 金属板材からなるブランク材に打抜加工によって下穴を形成する工程と、
前記ブランク材の下穴の周囲をバーリング成形により拡開しながら筒状に打ち出すことによってスリーブ部を形成する工程と、
前記スリーブ部の先端側をフランジ成形により拡径方向に折り曲げることによってフランジ部を形成する工程とを含む成形部材の製造方法であって、
前記下穴の最小半径をR[mm]、前記下穴を所定のクリアランスで打抜加工した際の当該クリアランスにおける穴拡げ限界値をλとしたときに、前記スリーブ部の最大直径が2R・(λ+1)[mm]以下、前記スリーブ部の最大高さがR・λ[mm]以下となる範囲で、前記バーリング成形を行い、
しかも、前記フランジ部の端縁部に、曲線状を為す曲線部と、直線状を為す直線部とを有して形成されるフランジ変形端部形状のうち、前記曲線部を形成するフランジ部の最小幅をd 、前記直線部を形成するフランジ部の最小幅をd としたときに、
/d ≧0.42
となる範囲で、前記バーリング成形及びフランジ成形を行うことを特徴とする成形部材の製造方法
(2) 更に、ランクフォード値をr、前記穴拡げ限界値λの真ひずみ相当の板厚減少値をεwCLとしたときに、
/d≧(d/dCL
(d/dCL={(B−4A(C−εwCL))0.5−B}/2A、
εwCL=(r/(1+r))・ln(1+λ)、
−0.18≦A≦0.17、
0.055≦B≦0.06、
0.299≦C≦0.305
の関係を満足するr値及びλ値を有した冷延鋼板を用いることを特徴とする()に記載の成形部材の製造方法。
) 更に、前記曲線部を形成するフランジ部の最大直径をφとしたときに、
λ≧(φ−2R)/2R
となる範囲で、前記バーリング成形及びフランジ成形を行うことを特徴とする()又は()に記載の成形部材の製造方法。
) 前記ブランク材として、厚みが0.5〜1.8mmの鋼板を用いることを特徴とする(1)〜()の何れか一項に記載の成形部材の製造方法。
) 前記ブランク材として、引張強さが440MPa以下の冷延鋼板を用いることを特徴とする(1)〜()の何れか一項に記載の成形部材の製造方法。
以上のように、本発明によれば、バーリング成形及びフランジ成形が施されるブランク材、特に、バーリング成形後にフランジ成形を施すことで、その端部形状が曲線部と直線部を含むブランク材において、その端部ひずみ(変形量)を低減し、成形性を大幅に向上させることが可能である。
図1は、本発明を適用して製造される成形部材の一例を示す平面図、X方向断面図、及びY方向断面図である。 図2は、ブランク材に打抜加工によって下穴が形成された状態を示す平面図である。 図3は、ブランク材にバーリング成形によってスリーブ部が形成された状態を示す平面図、X方向断面図、及びY方向断面図である。 図4(a)は、バーリング成形の初期段階を示す斜視図、バーリング成形の終了段階を示す斜視図である。 図5(a)は、フランジ成形後の破断危険部位を示す平面図、バーリング成形後の破断危険部位を示す平面図である。 図6は、d/dの値と板厚減少値との関係を示す特性図である。 図7は、鋼種A〜Fにおけるd/dの値と板厚減少値との関係を示す特性図である。 図8は、R/Rの値と板厚減少値との関係を示す特性図である。 図9は、トリム曲線の位置と板厚減少値との関係を示す特性図である。
以下、本発明を適用した成形部材の製造方法について、図面を参照して詳細に説明する。
本発明を適用して製造される成形部材は、例えば図1に示すように、鉄鋼材料や軽合金材料などの金属板材からなるブランク材1に、打抜加工によって下穴2を形成した後、下穴2の周囲をバーリング成形により拡開しながら円筒状に打ち出すことによって形成されたスリーブ部3と、このスリーブ部3の先端側をフランジ成形により拡径方向に折り曲げることによって形成されたフランジ部4とを備えて概略構成されている。
また、この成形部材は、フランジ部4の端縁部に、曲線状を為す曲線部4aと、直線状を為す直線部4bとを含むフランジ変形端部形状を有している。具体的に、このフランジ変形端部形状は、曲線部4aによって一定の曲率Rで円弧状に形成されたフランジ部4の一部に所定の長さLで直線状に形成された直線部4bを設けた形状となっている。換言すると、このフランジ変形端部形状は、下穴2の中心Oを通る分割線Xを挟んだ両側に、一対の直線部4bが所定の長さLで平行に配置されて、これら直線部4bの間で曲線部4aが一定の曲率Rで円弧を描くようにして、スリーブ部3の先端から拡径方向に突出されたフランジ部4を形成している。
ここで、上記図1に示す成形部材において、ブランク材1の板厚をtとし、スリーブ部3の最大直径をφ、スリーブ部3の高さ(ブランク材1の板厚中心からフランジ部4の板厚中心までのZ方向距離)をHとし、フランジ部4の最大直径をφ(=2R)、曲線部4aを形成するフランジ部4の最小幅をd、直線部4aを形成するフランジ部4の最小幅をdとして表すものとする。
本発明を適用した成形部材の製造方法は、ブランク材1に打抜加工によって下穴2を形成する工程と、ブランク材1の下穴2の周囲をバーリング成形により拡開しながら円筒状に打ち出すことによってスリーブ部3を形成する工程と、スリーブ部3の先端側をフランジ成形により拡径方向に折り曲げることによってフランジ部4を形成する工程とを経ることによって、上記図1に示す成形部材を成形する。
このうち、ブランク材1には、打抜加工によって図2に示すようなトリム形状を有する下穴2を形成する。具体的に、この下穴2のトリム形状は、図2中に示すXY面において、上記下穴2の中心Oから半径Rの円弧を描く第1のトリム曲線2aと、上記下穴2の中心Oよりも−X方向にオフセットした位置O’から半径R(<R)の円弧を描く第2のトリム曲線2bと、これら第1及び第2のトリム曲線2a,2bに接する半径R(<R)の円弧を描く第3のトリム曲線2cとを連続的に結ぶことによって描かれる形状である。
そして、スリーブ部3は、バーリング成形後に図3に示すようなスリーブ変形端部形状となる。具体的に、このスリーブ変形端部形状は、上記下穴2の第1のトリム曲線2aを描く部分によって、先端側に向かって凸となる第1の曲線部3aと、上記下穴2の第2のトリム曲線2bを描く部分によって、基端側に向かって凹となる第2の曲線部3bとを形成している。また、上記下穴2の第3のトリム曲線2cを描く部分は、これら第1の曲線部3aと第2の曲線部3bとの間を連続的に結ぶ部分となる。
ここで、本発明では、下穴2を所定のクリアランスで打抜加工した際の当該クリアランスにおける穴拡げ限界値をλとした場合、スリーブ部3の最大直径φが2R・(λ+1)[mm]以下、スリーブ部3の最大高さHがR・λ[mm]以下となる範囲で、バーリング成形を行う。
なお、上記第1のトリム曲線2aの半径Rは、下穴2の最小半径を表し、上記スリーブ部3の最大高さHは、バーリング成形後のブランク材1の板厚中心からスリーブ部3の先端(第1の曲線部3aの先端)までのZ方向距離を表す。
上記穴拡げ限界値をλとした場合、バーリング成形による拡径可能な半径はR・(1+λ)[mm]となるため、スリーブ部3の最大直径φは2R・(λ+1)[mm]以下となる。また、バーリング成形による拡径長さは、拡径後の径と拡径前の径の差となるため、この差がR・(1+λ)−Rとなり、その結果、スリーブ部3の最大高さHはR・λ[mm]以下となる。
そして、フランジ部4は、フランジ成形後に上記図1に示すようなフランジ変形端部形状となる。すなわち、このフランジ変形端部形状は、上記スリーブ部3の第1の曲線部3aとなる部分によって上記フランジ部4の曲線部4aを形成し、上記スリーブ部3の第2の曲線部3bとなる部分によって上記フランジ部4の直線部4bを形成している。なお、上記フランジ部4の曲線部4aと直線部4bの境界部分が、上記下穴2の第3のトリム曲線2cの中央部分に該当する。
ところで、本発明者らは、バーリング成形後にフランジ成形を施すことで、その端部形状が曲線部4aと直線部4bを含むブランク材のフランジ変形端部における破断状況を調べた結果、フランジ変形端部における曲線部4aと直線部4bの境界付近で変形が集中し、破断が生じることがわかった。
すなわち、上記図1に示す成形部材において、フランジ部4の端部変形量は、上述したスリーブ部3の第1の曲線部3a及び第2の曲線部3bの位置によって不均一となる。具体的に、図4(a)に示すバーリング成形の初期段階において、円錐又は円筒状のバーリングポンチ100を用いて、ブランク材1の下穴2の周囲を拡開しながら円筒状に打ち出されるスリーブ部3の第1の曲線部3a及び第2の曲線部3bは、共にバーリング変形を受けることになる。一方、図4(b)に示すバーリング成形の終了段階において、第1の曲線部3aは、バーリング変形を受けるものの、この第1の曲線部3aよりも高さの低い第2の曲線部3bでは、バーリング変形を担う面積が小さく、穴縁方向の引張変形を受けることで端部にひずみ集中が発生する。また、バーリング成形に伴う板厚減少も、この部位で顕著に発生することになる。
そして、バーリング成形後にフランジ成形を受けることによって、上記スリーブ部3の第2の曲線部3bは、上記フランジ部4の直線部4bとなる。したがって、この部分では、バーリング成形時に既にひずみ集中に伴う板厚減少が生じており、フランジ成形時に更にひずみ集中が顕著となることで、板厚減少が進むことになる。
このため、図5(a)に示すように、成形部材の破断危険部位Sは、フランジ部4の直線部4bの端部付近となる。また、この破断危険部位Sは、図5(b)に示すように、バーリング成形時のひずみ集中部であるスリーブ部3の第2の曲線部3bと相対的に同位置となる。
そこで、本発明者らは、上記知見に基づいて種々の検討を重ねた結果、バーリング成形及びフランジ成形が施されるブランク材のフランジ変形端部において、その曲線部4aと直線部4bの境界付近を形成する際に、下穴2のトリム形状における曲率差を最適化することで、境界付近での塑性変形の集中を緩和し、ブランク材の成形性を高めることができることを見出した。
すなわち、バーリング成形後にフランジ成形を施すことで、その端部形状が曲線部4aと直線部4bを含むブランク材のフランジ変形端部における破断を抑制するためには、上述したフランジ部4の端部変形量(板厚減少量及び塑性ひずみ)を低減することが効果的である。
例えば、バーリング成形を受ける下穴2のトリム形状が曲率一定の閉曲線、すなわち円となる場合、端部変形量は、下穴2の直径とバーリング成形後のスリーブ部3の直径との差と共に、勾配正の関係で増大することが一般的には知られている。
したがって、この端部変形量を低減するためには、上記図5(b)に示す破断危険部位S、すなわち図3に示すスリーブ部3の第2の曲線部3bを、図3中に示すYZ面から見て−Z方向に移動させ、このバーリング変形時の変形量そのものを低減させることが有効であると考えられる。
これにより、上記図5(a)に示すフランジ部4の直線部4bは、フランジ成形後に図5中に示すXY平面から見て+X方向に移動することになる。そして、これは、図2及び図5(b)に示す第2のトリム曲線2bの頂点PをXY面から見て−X方向に移動することに等しい。
なお、この移動量は、図2中に示す第2のトリム曲線2bの頂点PにおけるX座標が、上記スリーブ部3(バーリングポンチ100)の直径φから第1のトリム曲線2aの半径Rの2倍を差し引いた値(φ−2R)以内となる。
また、本発明者らは、曲線部4aを形成するフランジ部4の最小幅d、直線部4bを形成するフランジ部4の最小幅dとしたときに、d/dの値を0.56から0.28とし、直線部4bを+X方向に移動させた場合と、d/dの値を0.14として、直線部4bを+X方向に移動させた場合との成形部材の板厚減少値の比較を下記実施例1にて行った。なお、ブランク材には、引張り強さが440MPa以下の鋼板を用いている。
その結果、予想に反して、d/dを0.56から0.28となるまで+X方向へと移動させることで、板厚減少値がほとんど変わらないもののわずかに減少し、その後、0.28から0.14と+X方向へと移動させると板厚減少値が増加した。
次に、本発明者らは、この現象を詳細に調査するために、下記実施例2において、d/dが0.28となる直線部4bの位置にて、第2のトリム曲線2bの半径Rを増加させた場合の板厚減少値を測定した。
その結果、板厚減少値は、第2のトリム曲線2bの半径Rが増加するのに伴って放物線状に低下した。これは、第2のトリム曲線2bの半径Rを増加させることで、変形を担う面積を増加させ、引張変形を低減させたためと考えられる。
次に、本発明者らは、下記実施例3において、d/dが0.28となる直線部4bの位置にて、第2のトリム曲線2bの中心O’を上記図2中に示す下穴2の中心O側(+X方向)に移動した場合の板厚減少値を測定した。
その結果、板厚減少値は、第2のトリム曲線2bの中心O’が下穴2の中心O側に移動するのに伴って増加した。これは、上記スリーブ部3(バーリングポンチ100)の直径φと第2のトリム曲線2bとの距離、すなわち、バーリング変形時の変形量そのものが増加するためと考えられる。
ここで、下記実施例1では、直線部4bを−X方向に移動させる(d/dの値を減少させる)ことを行ったが、成形部材の直線部4bの直線性を保つために、第2のトリム曲線2bの半径Rを増加させつつ、直線部4bの位置を下穴2の中心方向に移動させており、下記実施例2及び実施例3で検証した現象が競合した結果であると考えられる。
したがって、バーリング成形後にフランジ成形を施すことで、その端部形状が曲線部4aと直線部4bを含むブランク材1において、d/dの値が0.42以上であれば、板厚減少値はほとんど飽和傾向にあることから、本発明ではd/d≧0.42となる範囲で、バーリング成形及びフランジ成形を行う。これにより、フランジ部4の端部変形量(板厚減少量及び塑性ひずみ)を低減し、このフランジ変形端部における破断を抑制すると共に、成形性を大幅に向上させることが可能となる。
また、穴拡げ限界値λの真ひずみ相当の板厚減少値εwCLは、下記式(1)で表される。なお、下記式(1)中のrは、成形部材のランクフォード値を表す。
εwCL=(r/(1+r))・ln(1+λ) …(1)
上記式(1)に従えば、成形部材の端部の板厚減少値が上記式(1)以下の値であれば、成形による破断は発生しない。
また、下記実施例1の結果から、d/d≧0.42となる範囲での板厚減少値εwCLとd/dとの関係は、下記式(2)で表される2次式にて近似される。
(d/dCL={(B−4A(C−εwCL))0.5−B}/2A …(2)
但し、
−0.18≦A≦0.17、
0.055≦B≦0.06、
0.299≦C≦0.305
なお、上記A,B,Cの各値は、各d/dでの平均値をもとに二次方程式での回帰曲線を算出し、各係数を変数として全プロットの上限/下限となる値を算出したものである。
したがって、下記式(3)の関係を満たすことで、成形による破断が発生しないと判定される。
/d≧(d/dCL …(3)
以上のことから、上記式(3)の関係を満足するランクフォード値r及び穴拡げ限界値λを有した冷延鋼板を用いることが好ましい。逆に、上記式(3)からは、設計上の制約によりd/dの値が決まった際に、成形部材のブランク材1に求められる必要特性であるランクフォード値r及び穴拡げ限界値λが求まるため、鋼板選定が容易となる。
また、本発明の成形部材においては、下穴2の最小半径がRである第1のトリム曲線2aから、バーリング成形時に直径φのスリーブ部3を経て、フランジ成形時にフランジ部4の最大直径がφである曲線部4aまで、成形端部が変形を受けることになる。また、この端部の拡径相当のひずみ量εは、下記式(4)で表される。
ε=(φ−2R)/2R …(4)
したがって、上記穴拡げ限界値λがε以下である場合には、端部全面で成形による破断を発生させることから、本発明では、下記式(5)の関係を満足する範囲で、バーリング成形及びフランジ成形を行うことが好ましい。
λ≧(φ−2R)/2R …(5)
以下、実施例により本発明の効果をより明らかなものとする。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することができる。
(実施例1)
先ず、実施例1では、上記図1に示す成形部材のd/φが0.1、2R/φが0.25となるフランジ変形端部形状において、d/dの値を0.14〜0.7の範囲で変えながら、ブランク材1の成形を行い、その板厚減少値(板厚方向ひずみ)を測定した。
ブランク材には、表1中に示す冷延鋼板(鋼種A)を用いた。なお、表1中の摩擦係数は、幅20mmの平板ビード引抜き試験により、摺動抵抗を測定することで同定した。また、JIS13号試験片を用いた引張試験を行い、表1中の降伏応力、引張強さ、均一伸び、全伸び、及びr値を求めた。穴拡げ限界値λの同定には、φ10mmの丸穴に対して頂角90度の円錐ポンチの穴拡げ加工を施し、打抜き穴の端部に亀裂が発生した時点での拡径率をλ値として測定した。その結果、打抜加工時の片側クリアランスが20%では、λ値が114%、片側クリアランスが10%では、λ値が134%であった。したがって、λ値が高かった片側クリアランスが10%にて打抜加工を行った。また、バーリング成形時に用いるバーリングポンチ100の肩Rは、下穴2の第1のトリム曲線2aと突き出した第2のトリム曲線2bとの幅以下となるようにした。
そして、成形前にブランク材1の下穴2を中心とした円を260等分し、その投影方向にグリッドを描き、このグリッド間隔をゲージ長さとして、バーリング成形及びフランジ成形後のグリッド間隔をそれぞれ測定することで、成形部材の端部ひずみ量を測定し、測定されたひずみ値とランクフォード値から、成形端部の板厚減少値(最大値)を求めた。その結果を図6に示す。なお、板厚減少値は、d/dの値によらず、何れもフランジ部4の曲線部4bと直線部4aの境界付近の直線部4a側で最大値を示した。また、成形後のブランク材1の成形端部には、成形による亀裂は認められなかった。
図6に示すように、d/dの値が0.42以上では、成形端部の板厚減少値が飽和傾向にあるのに対して、d/dの値が0.42未満では、成形端部の板厚減少値が増加傾向にある。また、この板厚減少値の増加傾向は、放物線状となっている。
また、表1に示す各種の冷延鋼板(鋼種A〜F)を用いて、実施例1と同様の測定を行った。その結果、図7に示すように、鋼種によらずd/dの値がおよそ0.4以上となることで、板厚減少値の低下は飽和傾向にあることがわかった。また、引張強さが440MPa以下の冷延鋼板では、0.42を下限として飽和への推移が認められた。したがって、板厚減少値の低下を目指すためには、d/dの値は0.42以上とすることが好ましいことがわかる。
(実施例2)
次に、実施例2では、実施例1の現象を詳細に調査するために、d/dの値が0.28となる直線部4aの位置にて、第2のトリム曲線2bの半径Rとして、R/Rを0.33から0.465の範囲で増加させた場合の板厚減少値を測定した。その結果を図8に示す。なお、実施例2では、実施例1と同様の冷延鋼板(鋼種A)を用いた。
その結果、図8に示すように、板厚減少値は放物線状に減少した。これは、上述したように第2のトリム曲線2bの半径Rを増加させることで、変形を担う面積を増加させ、引張変形を低減させたためと考えられる。
(実施例3)
次に、実施例3では、d/dの値が0.28となる直線部4aの位置にて、第2のトリム曲線2bの半径Rとして、第2のトリム曲線2bの中心O’を下穴2の中心O側に移動した場合の板厚減少値を測定した。その結果を図9に示す。
その結果、図9に示すように、板厚減少値は、第2のトリム曲線2bの中心O’が下穴2の中心O側に移動するのに伴って増加した。これは、上記スリーブ部3(バーリングポンチ100)の直径φと第2のトリム曲線2bとの距離、すなわち、バーリング変形時の変形量そのものが増加するためと考えられる。なお、その増加傾向は、上記実施例2に示す第2のトリム曲線2bの半径Rの大きさの影響ほど顕著ではない。
(実施例4)
次に、実施例4では、図6に示すように、クリアランス10%の条件においてεwCLが0.45となり、成形後の板厚減少値が0.45以上となれば、成形部材は破断する危険性が高いことがわかる。
成形端部の板厚減少値は最大で0.302であり、εwCLは0.45であったため、成形端部の変形に耐えうる鋼種であったことがわかる。
次に、クリアランス40%の条件にて当該クリアランスにおける穴拡げ限界値λを意図的に下げ、鋼種Aにて同様の成形を行った。穴拡げ試験での穴拡げ限界値は0.66であり、εwCLは0.30となる。
図6中に×印で示すように、クリアランス値を40%にて成形したとき、d/dの値が0.28以下では、フランジ部4の曲線部4bと直線部4aの境界付近の直線部4a側で亀裂が発生した。したがって、εwCLが0.30である鋼種においては、d/dの値が0.28以下で成形不可能と判定できる。
また、d/dを設計要件にしたがって固定した場合、例えば、本実施例における表1中の各鋼種を候補材とした場合、各鋼種の穴拡げ限界値λから板厚減少値εwCL を事前に調査しておき、近似曲線の上限曲線との交点以上となるd/dの板厚減少値と、上記式(2)から見積もられる板厚減少値εwCL とを比較し、εwCL がεwCL 以上であれば、何れの鋼種でも成形可能であると判定できるため、成形可能な鋼種の選定が可能となる。
1…ブランク材 2…下穴 2a…第1のトリム曲線 2b…第2のトリム曲線 2c…第3のトリム曲線 3…スリーブ部 3a…第1の曲線部 3b…第2の曲線部 4…フランジ部 4a…曲線部 4b…直線部

Claims (5)

  1. 金属板材からなるブランク材に打抜加工によって下穴を形成する工程と、
    前記ブランク材の下穴の周囲をバーリング成形により拡開しながら筒状に打ち出すことによってスリーブ部を形成する工程と、
    前記スリーブ部の先端側をフランジ成形により拡径方向に折り曲げることによってフランジ部を形成する工程とを含む成形部材の製造方法であって、
    前記下穴の最小半径をR[mm]、前記下穴を所定のクリアランスで打抜加工した際の当該クリアランスにおける穴拡げ限界値をλとしたときに、前記スリーブ部の最大直径が2R・(λ+1)[mm]以下、前記スリーブ部の最大高さがR・λ[mm]以下となる範囲で、前記バーリング成形を行い、
    しかも、前記フランジ部の端縁部に、曲線状を為す曲線部と、直線状を為す直線部とを有して形成されるフランジ変形端部形状のうち、前記曲線部を形成するフランジ部の最小幅をd 、前記直線部を形成するフランジ部の最小幅をd としたときに、
    /d ≧0.42
    となる範囲で、前記バーリング成形及びフランジ成形を行うことを特徴とする成形部材の製造方法。
  2. 更に、ランクフォード値をr、前記穴拡げ限界値λの真ひずみ相当の板厚減少値をεwCLとしたときに、
    /d≧(d/dCL
    (d/dCL={(B−4A(C−εwCL))0.5−B}/2A、
    εwCL=(r/(1+r))・ln(1+λ)、
    −0.18≦A≦0.17、
    0.055≦B≦0.06、
    0.299≦C≦0.305
    の関係を満足するr値及びλ値を有した冷延鋼板を用いることを特徴とする請求項に記載の成形部材の製造方法。
  3. 更に、前記曲線部を形成するフランジ部の最大直径をφとしたときに、
    λ≧(φ−2R)/2R
    となる範囲で、前記バーリング成形及びフランジ成形を行うことを特徴とする請求項又はに記載の成形部材の製造方法。
  4. 前記ブランク材として、厚みが0.5〜1.8mmの鋼板を用いることを特徴とする請求項1〜の何れか一項に記載の成形部材の製造方法。
  5. 前記ブランク材として、引張強さが440MPa以下の冷延鋼板を用いることを特徴とする請求項1〜の何れか一項に記載の成形部材の製造方法。
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