JP2017006943A - プレス成形品の製造方法 - Google Patents

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欣哉 中川
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豊久 新宮
山崎 雄司
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雄司 山崎
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【課題】プレス成形後のスプリングバックによるねじれを低減することができる、プレス成形品の製造方法を提供する。【解決手段】ブランクを金型でプレス成形することにより、フランジ部を有するプレス成形品を製造する、プレス成形品の製造方法であって、プレス成形前にプレス成形解析を行い、成形下死点または成形下死点近傍での前記ブランクの応力状態を求める工程と、前記応力状態から、プレス成形後にプレス成形品のフランジ部の一部を構成するブランクエッジにおいて応力の絶対値が大きい範囲を選定する工程と、前記ブランクエッジで選定した前記範囲内の位置から、または前記範囲と接する位置から、前記ブランクに切り込みを入れる工程と、その後、前記ブランクを用いてプレス成形を行う工程、とをそなえる。【選択図】図1

Description

本発明は、プレス成形品の製造方法に関するものであり、特には、金属部品のプレス成形において、プレス成形後のスプリングバックによるねじれの低減が可能なプレス成形品の製造方法に関するものである。
自動車分野をはじめとした各産業において、安全性の向上や製品の軽量化等を目的として、高強度鋼の適用範囲の拡大が求められている。このような高強度鋼をプレス成形する際の問題の一つとして、スプリングバック量の増大が挙げられる。
ここで、スプリングバックとは成形後の弾性変形による形状変化であり、高強度鋼は弾性変形域が大きいため、スプリングバック量が大きくなる。スプリングバック量が大きくなると寸法精度が悪化するため、かような高強度鋼をプレス成形する際には、スプリングバック対策が重要となる。
このようなスプリングバック対策として、過去様々な方法が考えられている。
例えば、特許文献1には、スプリングバックの影響を考慮して、金型に予め見込みを入れる方法が開示されている。
また、特許文献2には、縦壁部に曲げ、曲げ戻し加工を与えて、スプリングバックを低減する方法が開示されている。
さらに、特許文献3には、成形の最終工程で曲げ部外側にコイニングを施すことによりスプリングバックを低減する方法が開示されている。
加えて、特許文献4には、長手方向に湾曲部を少なくとも1つ有する最終成形品をプレス成形するにあたり、曲げ加工を2段階とし、所定の水平線に対するフランジの角度などを厳密に制御して成形を行なうことにより、スプリングバックによるねじれを低減する方法が開示されている。
特開2012−119010号公報 特開2005−254262号公報 特開平8−174074号公報 特許第5382281号公報
ところで、特にセンターピラー等、寸法の縦横比が大きく、細長い部品では、スプリングバックによるねじれが問題となる。すなわち、部品が細長いと、ねじれ角が小さかったとしても、ねじれ量は大きくなる。このため、細長い部品では、特にスプリングバックによるねじれの低減が重要となる。
この点、特許文献1の方法は、金型に見込みをつけてスプリングバック後の形状を目標形状に近づけるものであるが、ブランクが高強度になると強度のばらつきも大きくなり、結果的に、スプリングバック量のばらつきも大きくなる。このようなスプリングバック量の大きなばらつきに、金型の見込みで対応することは極めて困難であり、ブランクとして高強度鋼を用いてプレス成形する場合には、スプリングバック量そのものの低減が必要となる。
また、特許文献2及び3の方法は、壁反りや壁開きに対しては有効であるが、長手方向のねじれに対しては効果が薄い。
さらに、特許文献4の方法は、スプリングバックによる長手方向のねじれをある程度は低減できるものの、成形工程を1工程増やす必要がある。加えて、特許文献4の方法は、長手方向に湾曲部を1つ以上持った形状の部品にしか適用できないが、長手方向に湾曲部を持たない部品であっても、部品内の成形高さに違いがある場合、フランジ部に残留応力の不均一が生じ、スプリングバックによって部品にねじれが発生する可能性がある。このため、このような長手方向に湾曲部を持たない部品に適用しても、スプリングバックによるねじれを低減することが望まれている。
本発明は、上記の現状に鑑み開発されたものであって、プレス成形後のスプリングバック、特にスプリングバックによるねじれを低減したプレス成形品を得ることが可能な、プレス成形品の製造方法を提供することを目的とする。
発明者らは、プレス成形後のスプリングバック、特にスプリングバックによるねじれを低減するため、種々の鋼種および形状のブランクを用いて、プレス成形応力解析、さらには実際のプレス成形を行った。
その結果、スプリングバックによるねじれは、ブランクのプレス成形後にプレス成形品のフランジ部を構成する部分における成形下死点または成形下死点近傍での応力の不均衡が要因となっており、この応力の不均衡により、プレス成形後のプレス成形品におけるフランジのある部分は伸びる一方、ある部分は縮み、結果的に、プレス成形品がねじれることを知見した。
そこで、発明者らは、この応力の不均衡を解消すべくさらに検討を重ねたところ、プレス成形前にプレス成形解析を行うことで、プレス成形後にプレス成形品のフランジ部を構成する部分の応力状態を把握し、その応力状態からブランクエッジにおいて応力の絶対値が大きい範囲を選定し、この選定した範囲内の位置から、またはこの範囲と接する位置からブランクに切り込みを入れることで、上記した応力の不均衡が解消され、スプリングバックによるねじれを大幅に低減できることを知見した。
本発明は、上記の知見に基づき、さらに検討を加えた末に完成されたものである。
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.ブランクを金型でプレス成形することにより、フランジ部を有するプレス成形品を製造する、プレス成形品の製造方法であって、
プレス成形前にプレス成形解析を行い、成形下死点または成形下死点近傍での前記ブランクの応力状態を求める工程と、
前記応力状態から、プレス成形後にプレス成形品のフランジ部の一部を構成するブランクエッジにおいて応力の絶対値が大きい範囲を選定する工程と、
前記ブランクエッジで選定した前記範囲内の位置から、または前記範囲と接する位置から、前記ブランクに切り込みを入れる工程と、
その後、前記ブランクを用いてプレス成形を行う工程、とをそなえる、プレス成形品の製造方法。
2.前記切り込みを入れる工程において、前記ブランクエッジで選定した前記範囲内の位置から切り込みを入れる、前記1に記載のプレス成形品の製造方法。
3.前記切り込みを入れる工程において、前記範囲を挟み、かつ前記範囲と接する位置から、前記範囲1箇所あたり2箇所の切り込みを入れる、前記1に記載のプレス成形品の製造方法。
4.前記応力の絶対値が大きい範囲を選定する工程で、複数の範囲を選定した場合に、
前記切り込みを入れる工程において、ある範囲については、該範囲内の位置から切り込みを入れ、
別の範囲については、該範囲を挟み、かつ該範囲と接する位置から、該範囲1箇所あたり2箇所の切り込みを入れる、前記1に記載のプレス成形品の製造方法。
5.前記切り込みの幅を10mm以上としかつ、前記切り込みの先端の曲率半径を10mm以上とする、前記1〜4のいずれかに記載のプレス成形品の製造方法。
本発明によれば、スプリングバックによるねじれを低減したプレス成形品が得られる。
一実施形態におけるプレス成形品の目標形状を示す模式図である。 所定形状のブランクをプレス成形した場合における、成形下死点でのブランクの応力状態を示す図である。 ブランクの形状を示す模式図であり、(a)は基本形状、(b)はブランクエッジにおいて応力の絶対値が大きくなる範囲内の位置からブランクに切り込みを入れたもの、(c)はブランクエッジにおいて応力の絶対値が大きくなる範囲を挟み、かつこの範囲と接する位置からブランクに2箇所の切り込みを入れたものである。 図3(a)〜(c)に示すブランクを用いてプレス成形を行った場合のスプリングバック量を解析により求めた結果を示す図である。 実際にプレス成形を行い、製造した発明例1および比較例1のプレス成形品の断面形状を示す模式図であり、(a)は図1における断面Aのもの、(b)は同図の断面Bのものである。
以下、本発明の実施形態を具体的に説明する。
本発明のプレス成形品の製造方法は、ブランクを金型でプレス成形することにより、フランジ部を有するプレス成形品を製造する、プレス成形品の製造方法であって、
(1)プレス成形解析工程、すなわちプレス成形前にプレス成形解析を行い、成形下死点または成形下死点近傍でのブランクの応力状態を求める工程と、
(2)応力の絶対値が大きい範囲の選定工程、すなわち上記(1)で求めた応力状態から、プレス成形後にプレス成形品のフランジ部の一部を構成するブランクエッジにおいて応力の絶対値が大きい範囲を選定する工程と、
(3)切り込みを入れる工程、すなわち上記(2)で選定した範囲内の位置から、または前記範囲と接する位置からブランクに切り込みを入れる工程と、
(4)プレス成形工程、すなわち、上記(3)で切り込みを入れたブランクを用いてプレス成形を行う工程、とをそなえるものである。
以下、各工程について、詳しく説明する。
(1)プレス成形解析工程
このプレス成形解析工程は、実際のプレス成形前にプレス成形解析を行い、成形下死点または成形下死点近傍でのブランクの応力状態を求める工程である。
ここに、解析条件についてはブランクの応力分布が求められるものである限りは特に限定されるものではなく、ブランクの機械特性や加工量などに応じて、適宜設定すればよい。また、解析に用いるソフトウェアとしては、例えば、Livermore Software Technology Corporation社製のLS−DYNAなどを用いればよい。
さらに、ブランクの応力状態については、成形下死点での応力状態を求めるのが最適であるが、これが難しい場合などには、成形下死点近傍、具体的には、金型が成形下死点に到達する前、成形下死点手前の0.5mm程度以内の位置、好ましくは0.1mm程度以内の位置における応力状態を求めればよい。
ここで、応力を求める方向は、ブランクエッジに平行な方向とすることが挙げられる。例えば、カップ型の成形品のように、ブランクエッジがドーナツ型となって周方向に連続する場合には、ブランクエッジに平行な方向は周方向となる。
また、ブランクエッジに平行な方向が複数ある場合には、その形状に応じて、スプリングバックによるねじれの影響が大きいと考えられる方向の応力を求めればよい。例えば、図1のような細長い部品を成形する場合には、プレス成形品の長手方向(Y方向)の応力がスプリングバックによるねじれの主要因になるものと考えられる。このような場合には、プレス成形品の長手方向に最も近いブランクエッジに平行な応力を求めればよい。ただし、スプリングバックによるねじれの主要因となる応力の方向を一義的に決定できない場合には、各ブランクエッジに平行な方向の応力を求め、これらを組み合わせて、後述する切り込みを入れる位置を選定すればよい。
また、センターピラー等、図1に示すような細長い部品で、特に寸法の縦横比が3.0以上となる場合には、単にプレス成形品の長手方向の応力を求めてもよい。なお、ここでいう寸法の縦横比とは、プレス成形後のプレス成形品の高さ方向からの投影領域が内接する最小面積の長方形の短辺の長さに対する長辺の長さの比(長辺の長さ÷短辺の長さ)である。また、上記したプレス成形品の長手方向は、上記長方形の長辺方向となる。
(2)応力の絶対値が大きい範囲の選定工程
次に、上記したプレス成形解析工程で求めた成形下死点または成形下死点近傍の応力状態から、プレス成形後にプレス成形品のフランジ部の一部を構成するブランクエッジにおいて応力の絶対値が大きい範囲を選定する。
ここで、応力の絶対値が大きい範囲は、例えば、上記で求めたブランクエッジにおける任意の位置の応力をs、この部分における応力の最小値をsn、この部分における応力の最大値をsm、s0を(sm-sn)/2としたときに、次式(1)の関係を満足する範囲として選定することができる。
|s-s0|>|(sm-s0)×0.8| (1)
なお、選定する範囲は1箇所だけとは限らず、複数個所選定する場合もある。
(3)切り込みを入れる工程
次に、上記のようにして選定した応力の絶対値が大きい範囲(以下、単に上記範囲ともいう)に応じて、ブランクエッジからブランクに切り込みを入れる。上述したように、スプリングバックによるねじれの原因として、プレス成形後にプレス成形品のフランジ部を構成するブランク部分における成形下死点または成形下死点近傍での応力の不均衡が挙げられる。これを解決するには、応力が集中する部位の応力を低減することが有効であり、そのために、応力が集中する部位またはその近傍に切り込みを入れるものとしている。
ここで、切り込みの入れ方としては、例えば、図3(b)に示すように、上記した応力の絶対値が大きい範囲内の位置から切り込みを入れることが挙げられる。好ましくは上記範囲の中央部、すなわち応力が高い範囲の中央付近に相当する位置に切り込みを入れる。このようにしてブランクに切り込みを入れることで、当該部における面内方向での応力伝達がなくなる。このため、切り込み位置およびその近傍での応力が解放され、これにより、プレス成形後にプレス成形品のフランジ部を構成するブランク部分における成形下死点または成形下死点近傍での応力の不均衡が低減される。その結果、スプリングバックによるねじれが低減される。
また、図3(c)に示すように、上記の応力が大きい範囲を挟むようにして、2箇所に切り込みを入れてもよい。
ここに、プレス成形後にプレス成形品のフランジ部を構成するブランク部分における成形下死点または成形下死点近傍での応力の不均衡が生じる原因は、プレス成形時の材料流入の不均一が原因の一つである。例えば、プレス成形品の形状に、成形高さが高い部分と低い部分が混在する場合、成形高さが高い位置の近傍では、材料がより流入しやすく、逆に成形高さが低い位置の近傍では、材料がそれほど流入しない。このため、材料が流入しやすい部分と流入しにくい部分が近接していると、材料流入の不均一からブランクエッジ近傍で、応力が大きくなり、応力の不均衡が発生することとなる。
この点、上記範囲内の位置に切り込みを入れる場合、その位置近傍での応力が単純に減少して応力の不均衡が解消され、スプリングバックを低減することが可能となる。
また、上記の応力が大きい範囲を挟むようにして、2箇所に切り込みを入れる場合には、切り込みによって、応力伝達をなくす効果とともに、材料の流入しやすい位置としにくい位置とを分断する効果が得られ、材料の流入量の不均一を抑制し、応力集中を低減することができる。ただし、この場合、この切り込みを入れる位置が、上記範囲と接している必要がある。
また、上記した応力の絶対値が大きい範囲の選定工程において、複数個所の範囲を選定する場合、例えば、最終製品の形状や接合部位などを考慮して、ある範囲については、当該範囲内の位置から切り込みを入れ、別の範囲には、当該範囲を挟むようにして、2箇所に切り込みを入れてもよい。
さらに、切り込みの形状はブランクの機械特性や加工量などから適宜設定すればよいが、切り込みの幅は10mm以上とすることが好ましく、15mm以上とすることがより好ましい。切り込みの幅が10mm未満になると、プレス成形中に切り込み部のエッジ同士が重なる可能性があり、材料流入の阻害や金型の損傷等が起こる可能性が高まる。なお、切り込みの幅の上限は特に限定されるものではないが、通常、25mm程度である。
加えて、切り込みの先端の曲率半径は、好ましくは10mm以上、より好ましくは15mm以上とする。切り込みの先端の曲率半径が10mm未満となった場合、プレス成形中に切り込み先端にしわが発生し、材料流入の阻害や金型の損傷等が起こる可能性が高まる。なお、切り込みの先端の曲率半径の上限は特に限定されるものではないが、通常、15mm程度である。
また、ブランクエッジからの切り込みの深さは、深いほどスプリングバックの低減の効果が大きいが、プレス成形後の切り込みが、トリミング(縁きり)される領域を超えず、最終製品部分に達しないようにする必要がある。また、ドロー成形では、材料の流入を抑制するためにビードと呼ばれる凹凸を設ける場合があるが、この場合には、プレス成形後の切り込みが、ビードに達しないようにすることが好適である。
さらに、切り込みを入れるタイミングは、ブランキングの際に入れることが工程数の問題から良いと考えられるが、特にこれに限定されず、プレス成形前であればどのタイミングで入れても問題はない。
(4)プレス成形工程
そして、上記のようにして、切り込みを入れたブランクを用いてプレス成形を行う。
ここに、プレス成形条件は、ブランクの機械特性と加工量などから適宜設定すればよい。また、プレス成形方法としては、ドロー成形のほか、フォーム成形が挙げられる。さらに、使用するプレス機についても特に限定されず、サーボプレス機などを用いればよい。
以上、本発明のプレス成形品の製造方法の各工程についての説明を行ったが、上記以外の工程については、ブランクの機械特性や加工量などに応じて、適宜、設定すればよい。
また、本発明のプレス成形品の製造方法は、引張強さが590MPa以上、さらには780MPa以上の高強度鋼をブランクとして用いる場合に特に好適である。
図1のような形状(縦横比:3.0)を目標形状として、Livermore Software Technology Corporation社製のLS−DYNA(バージョン971)を用いてプレス成形解析(ドロー成形)を行い、成形下死点でのブランクの応力(ブランク(プレス成形品)の長手方向となるY方向での応力)状態を求めた。ここで、ブランクの材料はSPFC980Y、板厚は1.6mmとして設定した。求めた応力状態(コンター図)を図2に示す。なお、図2中の%表示は、全応力の絶対値の最大値に対する割合を示したものであり、+は引張応力、−は圧縮応力を示すものである。
図2より、ブランクエッジにおける破線内の範囲では、ブランクエッジのうちでも引張応力が大きいことがわかる。そこで、この範囲を、ブランクエッジにおいて応力の絶対値が大きい範囲として選定した。なお、当該範囲は、上掲式(1)を満足するものであった。また、ここでは引張応力が大きい範囲を応力の絶対値が大きい範囲として選定したが、形状等によっては圧縮応力が大きい範囲を応力の絶対値が大きい範囲として選定してもよい。
次に、図3(a)の基本形状のブランクに対して、図3(b)に示すように、図2より選定したブランクエッジにおいて応力の絶対値が大きくなる範囲内の位置から切り込みを入れた。そして、そのブランクを用いてプレス成形を行う場合のスプリングバック量を解析により求めた(発明例1)。
なお、切り込みの形状は、幅を10mm、先端の曲率半径を10mmとし、深さはプレス成形後の切り込みが、ビードに達しないように設定した。
また、図3(c)に示すように、図2より選定したブランクエッジにおいて応力の絶対値が大きくなる範囲を挟み、かつこの範囲と接する位置から2箇所に切り込みを入れた。そして、このブランクを用いてプレス成形を行う場合のスプリングバック量を解析により求めた(発明例2)。なお、切り込み形状は、上記の発明例1の場合と同じとした。
さらに、比較のため、図3(a)のブランクを用いてプレス成形を行う場合のスプリングバック量を解析により求めた(比較例1)。
これらの解析結果を図4(a)〜(c)に示す。なお、図4(a)〜(c)中の数値は、紙面垂直方向における目標形状からのずれ量(mm)である。
図4(a)〜(c)より、発明例1および2ではいずれも比較例1に比べてスプリングバック量が低減されていることがわかる。
また、これらのブランクを用いて、上記の解析条件と同じ条件で、実際にプレス成形を行い、プレス成形品を製造した。
かくして製造したプレス成形品について、図1に示す断面AおよびBにおいて、目標形状からのねじれ角度θを測定した。測定結果を表1に示す。また、参考のため、発明例1および比較例1の断面AおよびBにおける断面形状を図5に示す。
表1より、発明例1および2ではいずれの断面でも、比較例1に比べてねじれ角度が半分以下に低減されており、実際のプレス成形品においても、スプリングバックによるねじれが十分に低減されていることがわかる。

Claims (5)

  1. ブランクを金型でプレス成形することにより、フランジ部を有するプレス成形品を製造する、プレス成形品の製造方法であって、
    プレス成形前にプレス成形解析を行い、成形下死点または成形下死点近傍での前記ブランクの応力状態を求める工程と、
    前記応力状態から、プレス成形後にプレス成形品のフランジ部の一部を構成するブランクエッジにおいて応力の絶対値が大きい範囲を選定する工程と、
    前記ブランクエッジで選定した前記範囲内の位置から、または前記範囲と接する位置から、前記ブランクに切り込みを入れる工程と、
    その後、前記ブランクを用いてプレス成形を行う工程、とをそなえる、プレス成形品の製造方法。
  2. 前記切り込みを入れる工程において、前記ブランクエッジで選定した前記範囲内の位置から切り込みを入れる、請求項1に記載のプレス成形品の製造方法。
  3. 前記切り込みを入れる工程において、前記範囲を挟み、かつ前記範囲と接する位置から、前記範囲1箇所あたり2箇所の切り込みを入れる、請求項1に記載のプレス成形品の製造方法。
  4. 前記応力の絶対値が大きい範囲を選定する工程で、複数の範囲を選定した場合に、
    前記切り込みを入れる工程において、ある範囲については、該範囲内の位置から切り込みを入れ、
    別の範囲については、該範囲を挟み、かつ該範囲と接する位置から、該範囲1箇所あたり2箇所の切り込みを入れる、請求項1に記載のプレス成形品の製造方法。
  5. 前記切り込みの幅を10mm以上としかつ、前記切り込みの先端の曲率半径を10mm以上とする、請求項1〜4のいずれかに記載のプレス成形品の製造方法。

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