JP5598049B2 - 密封部材の製造方法 - Google Patents

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本発明は、密封部材製造方法に係り、更に詳しくは、パワステロッドシールに用いられる密封部材製造方法に関するものである。
従来より、ハウジング部材と、該ハウジング部材に挿通される軸の間を密封する密封部材として、図7に示されるような密封部材が知られている。
この種の密封部材は、図8に示す様に、例えばパワステロッドシールに適用されるものであり、高圧のオイル等の作動油の作用により、一方の部材であるハウジング100と、他方の部材である軸200が軸方向に相対移動するもので、軸200の摺動表面に、密封部材のリップ部420が当たり、作動油の漏れを防止している。
また密封部材は、円筒部310と、この円筒部310の軸方向一端と断面円弧状の連結部320を介して一体化しているフランジ部330とより構成されている断面L字状の補強環300に、ゴム状弾性材製のシール部材400が、一体的に接着されている。
そして、このシール部材400は、フランジ部330の内周側に設けたリップ部420と、補強環300の外周側に設けたハウジング部材100に嵌合する際の密封性を維持する嵌合部410とを備えている。
これらリップ部420と嵌合部410とは、加硫成形により成形されるものであり、成形時に型の内部で材料となるゴム状弾性部材が加熱流動し、補強環300の軸方向端部を介して一体的なものとなっている。
また、リップ部420の外周には、リップ先端部の緊迫力を維持するための環状のコイルスプリング430が装着されている。
更に、フランジ部330の径方向内方とリップ部420との間には、高圧の作動油により、リップ部420が図上左側にはみ出さない為のサポートリング440が装着されている。
このような密封部材は、図8に示す様に、ハウジング部材100の内周面に嵌合されるが、作動油の圧力により移動しないよう、補強環300のフランジ部330を、ハウジング部材100側に保持された突き当て部材110の端面に圧接させている。
しかしながら、この種の密封部材は、成形時において、不可避的に補強環300の外
側に回り込んだゴム状弾性部材が、補強環300のフランジ部330まで流動してしまい、薄い膜状の成形バリとしての薄膜450が、フランジ部330の表面(図上左側の表面)の一部を覆ってしまうという問題が発生している。
そして、図8に示されるように、この薄膜450を残したまま製品に組み込んでしまうと、薄膜450が補強環300と突き当て部材110の端面との間に挟まれて圧縮される。
そして、密封部材が軸方向に移動したり、振動したりする使用環境、すなわち、実機作動時の高圧の繰返しにより作動油の圧力変動が大きい場合等においては、挟まれた薄膜450に変動荷重が加わって薄膜450の劣化や剥れ等の破損となる。
この結果、この破損した薄膜450が、補強環300と突き当て部材110の端面との間から異物となって密封領域に混入すると作動油に混入して油圧経路を塞いだり、密封部材のリップ部420にかみ込んでシール性を低下させる等の問題を惹起した。
そして、この対策として、成形金型に凸状部を設け、この凸状部が補強環の連結部とフランジ部との境界に当接することにより、薄い膜状の成形バリとしての薄膜の発生を抑える提案がなされたが十分ではなかった。(特許文献1)
特開2003−90438号公報
本発明に係る密封部材は、シール部材の成形材料であるゴム状弾性材の一部が、薄膜となって補強環と突き当て部材の端面との間に挟まれる状態を回避すること目的としている。
本発明の密封部材の製造方法は、円筒部と、前記円筒部の軸方向一端と断面円弧状の連結部を介して一体化しているフランジ部とよりなる金属材製の断面L字状の補強環を成形する工程と、前記補強環の前記連結部と前記フランジ部との接合部近傍に環状の段部を形成する工程と、前記円筒部の周面に一体的に設けた弾性材製の嵌合部と、前記フランジ部に一体的に設けた弾性材製のリップ部とを備えた弾性材製シール部材を成形する工
程とより成ることを特徴とする。
本発明は、以下に記載されるような効果を奏する。
請求項1記載の発明の密封部材の製造方法によれば、シール部材の成形材料であるゴム状弾性材の一部が、薄膜となって補強環と突き当て部材の端面との間に挟まれる状態を効果的に回避することが出来る。
更に、請求項記載の発明の密封部材の製造方法によれば、より確実に、薄い膜状の成形バリとしての薄膜の発生を抑える事が出来る。
本発明に係る密封部材の断面図。 図1の部分拡大図。 図1の密封部材を相対移動部材間に装着した断面図。 本発明に使用する密封部材の補強環の一工程を示す断面図。 図4の補強環に段部を設けた図。 図5の補強環に金型を用いてシール部材を一体成形している断面図。 従来技術に係る密封部材の断面図。 図7の密封部材を相対移動部材間に装着した断面図。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1乃至図6に基づき発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1乃至図3において、本発明に係る密封部材は、例えばパワステロッドシールに適用されるものであり、高圧のオイル等の作動油の作用により、一方の部材であるハウジング1と、他方の部材である軸2が軸方向に相対移動するもので、軸2の摺動表面に、密封部材のリップ部42が当たり、作動油の漏れを防止している。
また密封部材は、円筒部31と、この円筒部31の軸方向一端と断面円弧状の連結部32を介して一体化しているフランジ部33とより構成されている断面L字状の補強環3に、ゴム状弾性材製のシール部材4が、一体的に接着されている。
そして、このシール部材4は、フランジ部33の内周側に設けたリップ部42と、外周側に設けたハウジング部材1に嵌合する際の密封性を維持する嵌合部41とを備えている。
これらリップ部42と嵌合部41とは、加硫成形により成形されるものであり、成形時に型の内部で材料となるゴム状弾性部材が加熱流動し、補強環3の軸方向端部を介して一体的なものとなっている。
また、リップ部42の外周には、リップ先端部の緊迫力を維持するための環状のコイルスプリング43が装着されている。
更に、フランジ部33の径方向内方とリップ部42との間には、高圧の作動油により、リップ部42が図上左側にはみ出さない為の樹脂材製のサポートリング44が装着されている。
このような密封部材は、図3に示す様に、ハウジング部材1の内周面に嵌合されるが、作動油の圧力により移動しないよう、補強環3のフランジ部33を、ハウジング部材1側に保持された突き当て部材11の端面に圧接させている。
更に、補強環3の連結部32とフランジ部33との接合部34近傍には、環状の段部35が形成されている。
このことにより、嵌合部41の一部のゴムが、フランジ部33側に押し出されたとしても、この押し出されたゴムは環状の段部35に留まる為、ゴムの薄膜が補強環3と突き当て部材11の端面との間に挟まれて、劣化や剥れ等の破損となる事は無い。
この段部35は、フランジ部33の面331と略平行な面351を備えている。
また、たとえ弾性材製シール部材4を成形する際に、ゴムの薄膜(バリ)が環状の段部35の面351に漏出したとしても、ゴムの薄膜(バリ)は面351内に留まる為、ゴムの薄膜(バリ)がフランジ部33の面331に存在せず、ゴムの薄膜がフランジ部33の面331と突き当て部材11の端面との間に挟まれて、劣化や剥れ等の破損となる事は無い。
そして、この補強環3の段部35の深さXは0.05〜0.2mmであり、幅Yは2〜10mmであることが望ましい。
また、使用される補強環3の板厚さZは、通常1〜2mmである。
ついで、本発明に係る密封部材の製造方法にについて、図4乃至図6に基づき説明する。
まず、SPCC等の金属板を使用して、プレス成形により、図4に示す様な、円筒部31と、この円筒部31の軸方向一端と断面円弧状の連結部32を介して一体化しているフランジ部33とよりなる断面L字状の金属材製の補強環3を成形する。
ついで、図5に示す様に、図4の形状に成形した補強環3の連結部32とフランジ部33との接合部34近傍に環状の段部35を、プレス成形により形成する。
尚、本実施例では、環状の段部35をプレス成形により形成したが、切削や研削により環状の段部35を形成してもよい。
この結果、段部35の面351の面粗さは、フランジ部33の面331の面粗さよりも細かい状態が得られる。
この為、後述する、補強環3に成形金型5を用いてシール部材4を一体成形する際に、段部35の面351と成形金型5の面との間から、ゴム生地が流出して、成形バリを発生させる事が無い。
ついで、図6に示す様に、成形金型5内に、図5に示した金属材製の補強環3とゴム生地を配置して、加圧加熱することにより、円筒部31の周面に一体的に設けた弾性材製の嵌合部41と、フランジ部33に一体的に設けた弾性材製のリップ部42とを備えた弾性材製シール部材4を成形する。
尚、本実施例では、弾性材製シール部材4の成形をプレス成形により行ったが、プレス成形に限定されるものではなく、射出成形や注入成形等の他の成形方法も採用できる。
この際、成形金型5の一部が、環状の段部35に当接した状態で加硫成形されるため、ゴム生地がフランジ部33側にバリの薄膜として流出する事を効果的に阻止出来る。
特に、シール部材4を成形する際の段部35の面351に作用する成形金型との間の面圧を、フランジ部33の面331に作用する成形金型との間の面圧よりも大きくなる様に設計する事により、ゴム生地が、より確実にバリの薄膜として流出する事を効果的に阻止出来る。
すなわち、図6に示す様に、フランジ部33と成形金型5との間に間隙Xが生じる金型設計とすることにより、弾性材製シール部材4の成形時に、ゴム生地に発生する成形圧力が、図6の矢印で示す様に、フランジ部33を成形金型5側(図上下側)に押圧する様に作用するため、環状の段部35に対応して成形金型5側に設けた金型段部51と、環状の段部35との間で、より大きな押圧力が発生する為である。

また、本発明は上述の発明を実施するための最良の形態に限らず本発明の要旨を逸脱することなくその他種々の構成を採り得ることはもちろんである。
同様の考え方で、本発明に係る密封部材は、ショックアブソーバ用としても使用可能である。
1 一方の部材
2 他方の部材
3 補強環
4 シール部材
5 成形金型
11 突き当て部材
31 円筒部
32 連結部
33 フランジ部
34 接合部
35 段部
41 嵌合部
42 リップ部
43 コイルスプリング
44 サポートリング

Claims (2)

  1. 円筒部(31)と、前記円筒部(31)の軸方向一端と断面円弧状の連結部(32)を介して一体化しているフランジ部(33)とよりなる金属材製の補強環(3)を成形する工程と、前記補強環(3)の前記連結部(32)と前記フランジ部(33)との接合部(34)近傍に環状の段部(35)を形成する工程と、前記環状の段部(35)に対応した金型段部(51)を備えた成形金型(5)内で、前記環状の段部(35)を前記金型段部(51)側に押圧しながら、前記円筒部(31)の周面に一体的に設けた弾性材製の嵌合部(41)と、前記フランジ部(33)に一体的に設けた弾性材製のリップ部(42)とを備えた弾性材製シール部材(4)を成形する工程とより成ることを特徴とする密封部材の製造方法
  2. 前記弾性材製シール部材(4)を成形する際の前記環状の段部(35)の面(351)に作用する成形金型(5)との間の面圧は、前記フランジ部(33)の面(331)に作用する成形金型(5)との間の面圧よりも大きいことを特徴とする請求項1記載の密封部材の製造方法。
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