以下に本発明の好適な実施形態について説明する。尚、本発明の実施の形態は下記の実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する種々の形態を採ることができ、各実施例に記載された内容を適宜組み合わせることが可能なことはいうまでもない。
[実施例1]
図1に示すように、遊技機の一種であるパチンコ機50は、縦長の固定外郭保持枠をなす外枠51にて構成の各部を保持する構造である。外枠51の左側上下には、ヒンジ53が設けられており、該ヒンジ53の他方側には図3に記載する内枠70が取り付けられており、内枠70は外枠51に対して開閉可能な構成になっている。
前枠52には、板ガラス61が取り外し自在に設けられており、板ガラス61の奥には図2に記載する遊技盤1が内枠70に取り付けられている。
前枠52の上側左右及び外枠下側左右には、スピーカ66が設けられており、パチンコ機50から発生する遊技音が出力され、遊技者の趣向性を向上させる。また、遊技者の趣向性を向上させるために前枠52に遊技状態に応じて発光する枠側装飾ランプ65も複数設けられている。
前枠52の下方には、上皿55と下皿63が一体に形成されている。下皿63の右側には発射ハンドル64が取り付けられており、該発射ハンドル64を時計回りに回動操作することによって発射装置(図示省略)が可動して、上皿55から供給された遊技球が遊技盤1に向けて発射される。
下皿63の左側には、遊技者が操作可能な演出ボタン67が備えられており、遊技者が所定期間中に、演出ボタン67を操作することで後述する演出図柄表示装置6に表示される内容が変化したり、スピーカ66より出力される遊技音が変化したりする。
また、このパチンコ機50はいわゆるCR機であって、プリペイドカードの読み書き等を行うためのプリペイドカードユニット(CRユニット)56が付属しており、パチンコ機50には、貸出ボタン57、精算ボタン58及び残高表示器59を有するCR精算表示装置が備わっている。
図2は、本実施例のパチンコ機50の遊技盤1の正面図である。図2に示すように遊技盤1には、公知のガイドレール2a、2bによって囲まれた略円形の遊技領域3が設けられている。この遊技領域3には多数の遊技釘4が打ち付けられている。
遊技領域3のほぼ中央部には、センターケース5が配されている。センターケース5は、公知のものと同様に、ワープ入口、ワープ通路、ステージ、演出図柄表示装置6(液晶表示装置であり擬似図柄を表示する。)の画面6aを臨ませる窓5a等を備えている。
窓5aの上側にはドットマトリクスの普通図柄表示装置7及び7セグメントの第1特別図柄表示装置9と第2特別図柄表示装置10と4個のLEDからなる普通図柄保留記憶表示装置8が設置され、下側には第1特別図柄保留記憶表示装置18と第2特別図柄保留記憶表示装置19が設置されている。
センターケース5の向かって左横には普通図柄作動ゲート17が配置されている センターケース5の下方には、第1始動口11と第2始動口12とがユニット化された複合入賞装置13が配置されている。
第1始動口11は、いわゆるチャッカーであり、常時入球可能である。
第2始動口12は電動チューリップであり、周知の電動チューリップと同様に開閉変化するが、上方に第1始動口11があるために図示の閉鎖状態では遊技球を入球させることができない。しかし、遊技球が普通図柄作動ゲート17を通過すると行われる普通図柄抽選で当り、普通図柄表示装置7に当りの普通図柄が確定表示されると、第2始動口12は開放されて入球容易になる。
複合入賞装置13の下方にはアタッカー式の大入賞口14が配置され、その下方にはアウト穴15が設けられている。また、複合入賞装置13の左側には第1左入賞口31と第2左入賞口32が、右側には第1右入賞口33と第2右入賞口34がガイドレール2bに沿うように設けられている。なお、この第1左入賞口31、第2左入賞口32、第1右入賞口33、第2右入賞口34が、常時、入球率が変化しない普通入賞口である。
パチンコ遊技機50の裏面は図3に示すとおり、前述した遊技盤1を脱着可能に取り付ける内枠70が前述した外枠51に収納されている。この内枠70には、上方から、球タンク71、タンクレール72及び払出装置73が設けられている。この構成により、遊技盤1上の入賞口に遊技球の入賞があれば球タンク71からタンクレール72を介して所定個数の遊技球を払出装置73により前述した上皿55に排出することができる。また、パチンコ機50の裏側には(図4も参照のこと)、主制御装置80、払出制御装置81、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83、発射制御装置84、電源基板85が設けられている。なお、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83がサブ制御装置に該当する。
主制御装置80、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83は遊技盤1に設けられており、払出制御装置81、発射制御装置84、電源基板85が内枠70に設けられている。なお、図3では、発射制御装置84が描かれていないが、発射制御装置84は払出制御装置81の下に設けられている。また、球タンク71の右側には、外部接続端子78が設けられており、この外部接続端子78より、遊技状態や遊技結果を示す信号が図示しないホールコンピュータに送られる。なお、従来はホールコンピュータへ信号を送信するための外部接続端子78には、盤用(遊技盤側から出力される信号をホールコンピュータへ出力するための端子)と枠用(枠側(前枠52、内枠70、外枠51)から出力される信号をホールコンピュータへ出力するための端子)の2種類を用いているが、本実施例では、一つの外部接続端子78を介してホールコンピュータへ遊技状態や遊技結果を示す信号を送信している。
このパチンコ機50の電気的構成は、図4のブロック図に示すとおり、主制御装置80を中心にして構成されている。なお、このブロック図には、単に信号を中継するだけのためのいわゆる中継基板及び電源回路等は記載していない。また、詳細の図示は省略するが、主制御装置80、払出制御装置81、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83のいずれもCPU、ROM、RAM、入力ポート、出力ポート等を備えているが、本実施例では発射制御装置84にはCPU、ROM、RAMは設けられていない。しかし、これに限るわけではなく、発射制御装置84にCPU、ROM、RAM等を設けてもよい。
主制御装置80には、第1始動口11に入球した遊技球を検出する第1始動口スイッチ11a、第2始動口12に入球した遊技球を検出する第2始動口スイッチ12a、普通図柄作動ゲート17に進入した遊技球を検出する普通図柄作動スイッチ17a、大入賞口14に入球した遊技球を計数するためのカウントスイッチ14a、第1左入賞口31、第2左入賞口32に入球した遊技球を検出する左入賞口スイッチ31a、第1右入賞口33、第2左入賞口34に入球した遊技球を検出する右入賞口スイッチ33a等の検出信号が入力される。
主制御装置80は搭載しているプログラムに従って動作して、上述の検出信号などに基づいて遊技の進行に関わる各種のコマンドを生成して払出制御装置81及びサブ統合制御装置83に出力する。
また主制御装置80は、図柄表示装置中継端子板90を介して接続されている第1特別図柄表示装置9、第2特別図柄表示装置10及び普通図柄表示装置7の表示、第1特別図柄保留記憶表示装置18、第2特別図柄保留数表示装置19及び普通図柄保留記憶表示装置8の点灯を制御する。
更に、主制御装置80は、大入賞口ソレノイド14bを制御することで大入賞口14の開閉を制御し、普通電動役物ソレノイド(図4では普電役物ソレノイドと表記)12bを制御することで第2始動口12の開閉を制御する。
主制御装置80からの出力信号は試験信号端子にも出力される他、図柄変動や大当り等の管理用の信号が外部接続端子78に出力されてホールメインコンピュータに送られる。主制御装置80と払出制御装置81とは双方向通信が可能である。
払出制御装置81は、主制御装置80から送られてくるコマンドに応じて払出モータ20を稼働させて賞球を払い出させる。本実施例においては、賞球として払い出される遊技球を計数するための払出センサ21の検出信号は払出制御装置81に入力され、払出制御装置81で賞球の計数が行われる構成を用いる。この他にも主制御装置80と払出制御装置81に払出センサ21の検出信号が入力され、主制御装置80と払出制御装置81の双方で賞球の計数を行う構成を用いることも考えられる。
なお、払出制御装置81はガラス枠開放スイッチ35、内枠開放スイッチ36、満杯スイッチ22、球切れスイッチ23からの信号が入力され、満杯スイッチ22により下皿63が満タンであることを示す信号が入力された場合及び球切れスイッチ23により球タンクに遊技球が少ないあるいは無いことを示す信号が入力されると払出モータ20を停止させ、賞球の払出動作を停止させる。なお、満杯スイッチ22、球切れスイッチ23も、その状態が解消されるまで信号を出力し続ける構成になっており、払出制御装置81は、その信号が出力されなくなることに起因して払出モータ20の駆動を再開させる。
また、払出制御装置81は遊技球等貸出装置接続端子24を介してプリペイドカードユニットと交信することで払出モータ20を作動させ、貸し球を排出する。払出された貸し球は払出スイッチ21に検出され、検出信号は払出制御装置81に入力される。なお、遊技球等貸出装置接続端子24は精算表示基板25とも双方向通信可能に接続されており、精算表示基板25には、遊技球の貸出しを要求するための球貸ボタン、精算を要求するための返却ボタン、残高表示器が接続されている。
また、払出制御装置81は、外部接続端子78を介して賞球に関する情報、枠(内枠、前枠)の開閉状態を示す情報などをホールコンピュータに送信するほか、発射制御装置84に対して発射停止信号を送信する。
なお本実施例では遊技球を払い出す構成であるが、入賞等に応じて発生した遊技球を払い出さずに記憶する封入式の構成にしても良い。
発射制御装置84は発射モータ30を制御して、遊技球を遊技領域3に遊技球を発射させる。なお、発射制御装置84には払出制御装置81以外に発射ハンドルからの回動量信号、タッチスイッチ28からのタッチ信号、発射停止スイッチ29から発射停止信号が入力される。
回動量信号は、遊技者が発射ハンドルを操作することで出力され、タッチ信号は遊技者が発射ハンドルを触ることで出力され、発射停止スイッチ信号は、遊技者が発射停止スイッチ29を押すことで出力される。なお、タッチ信号が発射制御装置84に入力されていなければ、遊技球は発射できないほか、発射停止スイッチ信号が入力されているときには、遊技者が発射ハンドルを触っていても遊技球は発射できないようになっている。
サブ統合制御装置83はサブ制御装置に該当し、主制御装置80から送信されてくるデータ及びコマンドを受信し、それらを演出表示制御用、音制御用及びランプ制御用のデータに振り分けて、演出表示制御用のコマンド等は演出図柄制御装置82に送信し、音制御用及びランプ制御用は自身に含まれている各制御部位(音声制御装置及びランプ制御装置としての機能部)に分配する。そして、音声制御装置としての機能部は、音声制御用のデータに基づいて音LSIを作動させることによってスピーカからの音声出力を制御し、ランプ制御装置としての機能部はランプ制御用のデータに基づいてランプドライバを作動させることによって各種LED、ランプ26を制御する。 また、サブ統合制御装置83には、演出ボタン67が接続されており、遊技者が演出ボタン67を操作した際には、その信号がサブ統合制御装置83に入力される。
サブ統合制御装置83と演出図柄制御装置82とは双方向通信が可能である。無論、サブ統合制御装置83から演出図柄制御装置82への一方向通信の構成でもよい。また、サブ統合制御装置83に演出図柄制御装置82の機能を統合して1つのサブ統合制御装置とする構成でもよい。
演出図柄制御装置82は、サブ統合制御装置83から受信したデータ及びコマンド(共に主制御装置80から送信されてきたものとサブ統合制御装置83が生成したものとがある)に基づいて演出図柄表示装置6を制御して、擬似図柄等の演出画像を画面6aに表示させる。
次に、主制御装置80が、メインルーチンとして行う各処理を図5に従って説明する。
図5に示すフローチャートは、主制御装置80のマイコンにより実行されるメイン処理を表したものであり、約2ms毎のハード割り込みにより定期的に実行される処理である。本実施形態では、S10〜S65までの各処理は割り込み処理において1回だけ実行される処理であって「本処理」と称し、この本処理を実行して余った時間内に時間の許す限り繰り返し実行されるS70の処理を「残余処理」と称する。
マイコンによるハード割り込みが実行されると、まず正常割り込みであるか否かが判断される(S10)。この判断処理は、メモリとしてのRAMの所定領域の値が所定値であるか否かを判断することにより行われ、マイコンにより実行される処理が本処理に移行したとき、通常の処理を実行して良いのか否かを判断するためのものである。正常割り込みでない場合としては、電源投入時又はノイズ等によるマイコンの暴走等が考えられるが、マイコンの暴走は近年の技術の向上によりほとんど無いものと考えて良いので、たいていが電源投入時である。電源投入時にはRAMの所定領域の値が所定値と異なる値となっている。
正常割り込みでないと判断されると(S10:no)、前記メモリの所定領域に所定値を書き込む、特別図柄及び普通図柄を初期図柄とする等のメモリの作業領域への各初期値の書き込み、即ち初期設定が為され(S15)、残余処理に移行する。
正常割り込みとの肯定判断がなされると、まず初期値乱数更新処理が実行される(S20)。この処理は、初期値乱数の値についてこの処理を実行する毎に+1するインクリメント処理であり、この処理実行前の初期値乱数の値に+1するが、この処理を実行する前の乱数値が最大値である「199」のときには次回の処理で初めの値である「0」に戻り、「0」〜「199」までの200個の整数を繰り返し昇順に作成する。
S20に続く大当り決定用乱数更新処理(S25)は、初期値乱数更新処理と同様に処理を実行する毎に+1するインクリメント処理であり、最大値である「199」のときは次回の処理で初めの値である「0」に戻り、「0」〜「199」までの200個の整数を繰り返し昇順に作成する。
なお、大当り決定用乱数が1週(1巡)すると、そのときの前記初期値乱数の値を大当り決定用乱数の初期値にし、大当り決定用乱数は、その初期値から+1するインクリメント処理を行う。そして、再び大当り決定用乱数が1週(1巡)すると、その時の初期値乱数の値を大当り決定用乱数の初期値にする動作を行なう。つまり、この一連の動作を繰り返し続けることになる。
大当り図柄決定用乱数更新処理(S30)は「0」〜「99」の100個の整数を繰り返し作成するカウンタとして構成され、本処理毎に+1され最大値を超えると初めの値である「0」に戻る。なお、これとは別に小当り図柄決定用乱数も更新される。小当り図柄決定用乱数も「0」〜「5」の6個の整数を繰り返し作成するカウンタであり、本処理が実行される毎に+1され最大値を超えると初めの値である「0」に戻る。
S30に続く当り決定用乱数更新処理(S35)は、「0」〜「299」の300個の整数を繰り返し作成するカウンタとして構成され、本処理毎で+1され最大値を超えると初めの値である「0」に戻る。なお、当選することとなる値は通常確率状態時は「7」のみ、高確率状態時は「0」〜「296」となっている。なお、この当り決定用乱数更新処理は普通図柄の抽選に使用し、その他の初期値乱数、大当り決定用乱数、大当り図柄決定用乱数、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数は特別図柄の抽選に使用する。
リーチ判定用乱数更新処理(S40)は、「0」〜「228」の229個の整数を繰り返し作成するカウンタとして構成され、本処理毎で+1され最大値を超えると初めの値である「0」に戻る。なお、通常確率状態時で変動時間短縮機能未作動時、及び高確率状態時で変動時間短縮機能未作動時に当選する値の数は21で、値は「0」〜「20」であり、通常確率状態時で変動時間短縮機能作動時に当選する値の数は5で、値は「0」〜「4」であり、高確率状態時に当選する値の数は6で、値は「0」〜「5」である。
変動パターン決定用乱数更新処理(S45)は、「0」〜「1020」の1021個の整数を繰り返し作成するカウンタとして構成され、本処理毎で+1され最大値を超えると初めの値である「0」に戻る。
続く入賞確認処理(S50)では、第1始動口11、第2始動口12の入賞の確認及びパチンコ機50に設けられ主制御装置80に接続された各スイッチ類の入力処理が実行される。
本実施例では、遊技球が第1始動口11、第2始動口12に入賞すると大当り決定用乱数、大当り図柄決定用乱数、変動パターン決定用乱数、リーチ判定用乱数など複数の乱数を取得されるのだが、保留記憶できる数を第1始動口11と第2始動口12それぞれ4個までとしており、第1保留記憶が満タンである4個のときに遊技球が第1始動口11に入賞又は第2保留記憶が満タンである4個のときに遊技球が第2始動口12に入賞しても賞球が払出されるだけで、前記複数の乱数は保留記憶されない構成になっている。
続いて、大当りか否かを判定する条件成立判定手段としての当否判定処理(S55)を行う。この当否判定処理については後述する。この当否判定処理(S55)が終了すると、続いて画像出力処理等の各出力処理(S60)が実行される。
各出力処理(S60)では、遊技の進行に応じて主制御装置80は演出図柄制御装置82、払出制御装置81、発射制御装置84、サブ統合制御装置83、大入賞口ソレノイド14b等に対して各々出力処理を実行する。即ち、入賞確認処理(S50)により遊技盤1上の各入賞口に遊技球の入賞があることが検知されたときには賞球としての遊技球を払い出すべく払出制御装置81に賞球データを出力する処理を、遊技状態に対応したサウンドデータをサブ統合制御装置83に出力する処理を、パチンコ機50に異常があるときにはエラー中であることを報知すべく演出図柄制御装置82にエラー信号を出力する処理を各々実行する。
続く不正監視処理(S65)は、普通入賞口(第1左入賞口31、第2左入賞口32、第1右入賞口33、第2右入賞口34)に対する不正が行われていないか監視する処理であり、所定時間内における入賞口への遊技球の入球が予め決定された規定数よりも多いか否かを判断して、多かった場合には不正と判断され、その旨を報知する処理である。つまり、不正判断手段は、主制御装置80に設けている。
本処理に続く前述の残余処理は、初期値乱数更新処理(S70)から構成されるが、前述したS20と全く同じ処理である。この処理は無限ループを形成し、次の割り込みが実行されるまで時間の許される限り繰り返し実行される。前述したS10〜S65までの本処理を実行するのに必要とされる時間は、大当り処理を実行するか否か、特別図柄の表示態様の相違等により割り込み毎に異なる。この結果、残余処理を実行する回数も割り込み毎に異なり、図5に示された割り込み処理が1回実行されることにより初期値乱数の更新される(加算される)値も一律ではなくなる。これにより、初期値乱数が大当り決定用乱数と同期する可能性はなくなる。なお、本実施形態においては、大当り決定用乱数の更新は初期値乱数の値により変更される構成なので同期の虞は全くない。また、前述した当り決定用乱数更新処理(S35)も残余処理内において実行するよう構成しても良い。
図6に示す始動入賞確認処理では、主制御装置80は、第1始動口スイッチ11aの検出信号に基づいて、第1始動口11に遊技球が入球したか否かを判断する(S100)。
肯定判断なら(S100:yes)、大当り決定用乱数、大当り図柄決定用乱数、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数等を該当の各カウンタから読み込んで、第1保留記憶が満杯(本実施例では4個)か否かを判断する(S105)。第1保留記憶が満杯でなければ(S105:no)、上記の各乱数を第1保留記憶として記憶し、第1特別図柄保留記憶表示装置18の点灯数を1増加させる(S110)。既に4個の第1保留記憶があれば(S105:yes)保留記憶せず、第1特別図柄保留記憶表示装置18の点灯数を増やすこともなくS115へ移行する。
第1始動口11に遊技球が入球していないと判定された場合(S100:no)もS115に進み、第2始動口スイッチ12aの検出信号に基づいて、第2始動口12に遊技球が入球したか否かを判断する。肯定判断(S115:yes)なら、大当り決定用乱数、大当り図柄決定用乱数、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数等を該当の各カウンタから読み込んで、第2保留記憶が満杯(本実施例では4個)か否かを判断する(S120)。第2保留記憶が満杯でなければ(S120:no)、上記の各乱数を第2保留記憶として記憶し、第2特別図柄保留記憶表示装置19の点灯数を1増加させる(S125)。既に4個の第2保留記憶があれば(S120:yes)、第2保留を記憶せず、第2特別図柄保留記憶表示装置19の点灯数も増やさずに本処理を終了する。また、第2始動口12に遊技球が入球していない場合(S115:no)も、本処理を終了する。
図7に示す当否判定処理では、主制御装置80は、特別電動役物が作動中か否かを判断する(S200)。S200の判定が否定判断で、特別図柄が変動中でなく(S205:no)、確定図柄の表示中でもなければ(S210:no)、図8のS250に移行し、第2保留記憶(上記、S125による保留記憶)があるか否かを判断する(S250)。この保留記憶があれば(S250:yes)、第2保留記憶をデクリメントし(S251)、S254に進む。第2保留記憶がなければ(S250:no)、第1保留記憶(上記、S110による保留記憶)があるか否かを判断する(S252)。第1保留記憶があれば(S252:yes)、第1保留記憶をデクリメントし(S253)、S254に進む。
S254では第2保留記憶(S253から移行した場合は第1保留記憶)の中で最も古いものを読み込んで(その保留記憶は消去する)、確変フラグがセットされている(すなわち1)か否かを判定する。ここで確変フラグが1とは、現在のパチンコ機50が高確率遊技状態であることを意味する。肯定判断であれば(S254:yes)、転落抽選処理(S255)を行い、転落抽選に落選した場合(S256:no)は、読み込んだ大当り決定用乱数を確変テーブルに記録されている当り値と照合し(S259)、図9の処理に移行する。転落抽選に当選した場合(S256:yes)は、確変フラグを0にし(S257)、読み込んだ大当り決定用乱数を通常テーブルに記録されている当り値と照合し(S258)、図9の処理に移行する。S254で確変フラグが1ではない場合(S254:no)は、S258に直行する。なお、本実施例の場合、転落抽選の当選確率は1/100となっている。
ここで、パチンコ機50の仕様を図17に示す。パチンコ機50の大当り確率は第1特別図柄、第2特別図柄とも低確率状態(通常状態)で1/200、高確率状態で1/20となっており、小当り確率は1/200である。確変突入率は100%、すなわち大当りすれば、大当り遊技の後に必ず高確率状態になる。時短回数(普通電動役物12の開放延長状態が終了する特別図柄の変動回数)は10,20,100の3種類があり、転落抽選確率は前述の通り1/100である。賞球は第1始動口11、第2始動口12とも3個、大入賞口14が13個、その他の入賞口が10個となっている。また大入賞口14に10個入賞すると大入賞口14は閉鎖される。普通図柄の当り確率は通常時で1/300、時短中は1/1.0101となっている。普通電動役物12の開放時間は、通常時は0.2秒の開放を1回だけ、時短中は1秒間の開放を3回行なう。
大入賞口14の開放パターンを図18に示す。第1特別図柄は図18(a)に示すように、2R特定時短あり図柄1で当たった場合は、連続役物作動装置が2回作動し、1回の作動あたり大入賞口14が0.9秒開放する。係る大当り遊技の終了後は、高確率状態(確変機能が作動)となり、大当り遊技の発生前の遊技状態が高確率状態か又は時短状態であった場合には、大当り遊技の終了後に特別図柄が10回変動される間、時短状態が付与される。2R特定時短あり図柄2で当たった場合は、大入賞口14の開放パターンは2R特定時短あり図柄1で当たった場合と同じであるが、大当り遊技の終了後に付与される時短状態が、特別図柄が20回変動される間である点が異なる。
2R特定時短あり図柄3で当たった場合も、大入賞口14の開放パターンは2R特定時短あり図柄1で当たった場合と同じであるが、大当り遊技の終了後に付与される時短回状態が、特別図柄が100回変動される間である点が異なる。2R特定時短あり図柄1、2R特定時短あり図柄2、2R特定時短あり図柄3の振分は60:35:5となっている。これは、大当り図柄決定用乱数が「0」〜「59」の場合は2R特定時短あり図柄1が選択され、大当り図柄決定用乱数が「60」〜「94」の場合は2R特定時短あり図柄2が選択され、大当り図柄決定用乱数が「95」〜「99」の場合は2R特定時短あり図柄3が選択されることにより実現される。なお、小当り図柄で当たった場合は、連続役物作動装置が1回作動し、大入賞口14が2回開放され、1回の開放は0.9秒である。また、時短が未作動の状態で小当りが発生した後には時短が発生しない。しかも、演出図柄表示装置6には特別図柄の擬似図柄として、2R特定時短あり図柄1〜3と小当り図柄とで同じ図柄が表示される。以上のことから、低確率で時短が未作動の状態において、2R特定時短あり図柄1〜3が発生した場合には、小当りとの区別が困難である。
第2特別図柄の当り図柄は、図18(b)に示すように15R特定時短なし図柄のみであり、連続役物作動装置が15回作動し、1回の作動あたり大入賞口14が最長30秒開放する。係る大当り遊技の終了後は、高確率状態となるが、大当り遊技の発生前の遊技状態に関わらず、時短状態は付与されない。
当否判定処理の説明に戻る。図9の処理では、S258又はS259の判定で当りか否かを判定(S270)し、肯定判定なら(S270:yes)、大当り図柄決定用乱数によって大当り特別図柄を決定し(S275)、変動パターン決定用乱数によって変動パターンを決定し(S280)、そして大当り設定処理を行う(S285)。大当り設定処理とは決定した大当り図柄によって、大当り後の遊技状態(確変や普通電動役物12の開放延長の有無等)や大当り遊技にかかる情報(大当りのオープニング時間、開放パターン、大当りのエンディング時間等)を取得する処理である。
また、外れのときは(S270:no)、読み込んだ大当り決定用乱数を小当り判定テーブルに記録されている当り値と照合する(S290)。肯定判断であれば(S290:yes)、小当り図柄決定用乱数によって小当り特別図柄を決定し(S295)、変動パターン決定用乱数によって変動パターンを決定する(S300)。
小当りも外れのときは(S290:no)、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数に基づいて変動パターンを決定する(S305)。こうしてS300またはS305により変動パターンが設定されると、ハズレ設定処理を行なう(S310)。ハズレ設定処理では、時短回数または確変回数がプラスであれば、それぞれ−1する。
S315はS310に続いては、上述の抽選結果を示すデータ、具体的には通常大当り、確変大当り、リーチ外れ(外れであるがリーチ表示有り)、リーチ表示無しの外れのいずれかを示すデータと変動時間を指定する変動パターンのデータが含まれる変動開始コマンド(表示制御コマンド)をサブ統合制御装置83に送信(S315)し、特別遊技処理を実行する。
図7のS205において特別図柄が変動中(S205:yes)と判定された場合には、図10のS350に移行し、図柄変動時間(S280、S300、又はS305の変動パターンに基づく)を経過したか否かを判断する。経過していれば(S350:yes)、確定図柄表示設定処理(S355)を行い、確定表示させた特別図柄が大当りになる表示か否かを判定する(S360)。大当りになる表示であれば(S360:yes)、確変フラグがセットされているか否かを判定し(S365)、肯定判断なら確変フラグをクリア(S370)して時短フラグがセットされているか否かを判定する(S375)。なお、確変フラグがセットされていない場合(S375:no)はS375に直行する。
時短フラグがセットされている場合(S375:yes)は時短フラグをクリア(S380)してS385に移行する。時短フラグがゼロ(S375:no)なら、S385に直行する。S385では状態指定コマンドをサブ統合制御装置83に送信し、現在のパチンコ機50の状態(確変の有無、時短の有無など)をサブ制御装置83に伝達する。そして条件装置作動開始処理(S390)により、大当りフラグをセットする。そして役物連続作動装置を作動させ(S395)、大当り開始演出処理(S400)にて、サブ統合制御装置83に大当り開始コマンドを送信してから特別遊技処理に移行する。
大当り開始演出処理(S400)で、大当り開始コマンドを主制御装置80から受信すると、サブ統合制御装置83は大当り用の音声及びランプの演出を開始し、また演出図柄制御装置82に大当り開始コマンドを送る。大当り開始コマンドを受信した演出図柄制御装置82は、演出図柄表示装置6を制御して大当り開始演出(いわゆるファンファーレ画面)を表示させる。
確定表示させた特別図柄が大当りにならない表示(つまり外れ)のときは(S360:no)、確変フラグが1か否かを判断する(S405)。確変フラグ=1であれば(S405:yes)記憶されている確変回数カウンタの値が0か否かを判定して(S410)、このカウンタの値が0であれば(S410:yes)、確変フラグをゼロにして(S415)S420に進む。S405で確変フラグが1でない(S405:no)、または確変回数カウンタが0ではない場合(S410:no)はS420に直行する。
S420では時短フラグが1か否かを判断する。時短フラグが1であれば(S420:yes)記憶されている時短回数カウンタの値が0であるか否かを判定して(S425)、このカウンタの値が0であれば(S425:yes)、時短フラグをゼロにして(S430)、S435に移行する。S420で時短フラグが1でない(S420:no)、または時短回数カウンタが0ではない場合(S425:no)はS435に直行する。S435では状態指定コマンドをサブ統合制御装置83に送信する。続くS440では、確定表示させた特別図柄が小当りになる表示か否かを判定する。小当りになる表示であれば(S440:yes)、特別電動役物の作動を開始させ(S445)、小当りの開始演出を行なう処理を実行し(S450)、特別遊技処理に移行する。小当りになる表示でない場合(S440:no)は、そのまま特別遊技処理に移行する。
図7のS210において確定図柄が表示中(S210:yes)と判定された場合には、図11の処理に移行し、確定図柄表示設定(S355)で設定された確定図柄表示時間を経過したか否かを判断する(S460)。経過していれば(S460:yes)、確定図柄表示終了処理(S465)により特別図柄表示装置9,10を制御して特別図柄の確定表示を終了させ、またサブ統合制御装置83経由で演出図柄制御装置82に指示して、擬似図柄の確定表示を終了させる。こうして確定図柄の表示が終了されるか、または確定図柄の表示時間が経過していないと判定された場合(S460:no)には、特別遊技処理に移行する。
図12に示す特別遊技処理では、主制御装置80は、役物連続作動装置が作動中か否かを大当りフラグに基づいて判断する(S500)。役物連続作動装置が作動中なら(S500:yes)、大入賞口14が開放中か否かを判断する(S505)。大入賞口14の開放中ではない場合は(S505:no)、ラウンド間のインターバル中により大入賞口14が閉鎖しているのか判断する(S510)。インターバル中でもない場合は(S510:no)、大当り終了演出中であるか判断する(S515)。これも否定判断の場合は(S515:no)、今から大当り遊技を開始する演出に要する時間が経過したか否かを判定する(S520)。大当り開始演出時間が経過した場合は(S520:yes)、大入賞口開放処理(S525)を行なって本処理を終了(リターン)する。
S505で大入賞口14が開放中であると判定された場合は、図13のS550に進み、大入賞口14に10個入賞したか否かを判定する。なお、本実施例では10個だが、9個、8個でもよく、特に限定するものではない。大入賞口14に10個入賞した場合(S550:yes)にはS560に進み、大入賞口閉鎖処理を行う。そして大当りインターバル処理(S565)を行なって、特別遊技処理を終了する。大入賞口14に10個入賞していない場合(S550:no)にはS555に進み、大入賞口14の開放時間が終了したか否かを判定する。本実施例では、15ラウンドでの大当りの場合は各ラウンドの最大開放時間は前述のように30秒に設定している。無論、この秒数に限定するものではない。開放時間が終了した場合(S555:yes)には、S560に合流し、終了していない場合(S555:no)は特別遊技処理を終了する。
S510でインターバル中であると判定された場合は、図13のS570に進み、大当りインターバル時間が経過したか否かを判定する。インターバル時間が経過している場合(S570:yes)は、直前に大入賞口14が開いていたのが最終ラウンドか否かを判定する(S575)。最終ラウンドであれば(S575:yes)、大当り終了演出処理(S580)にてサブ統合装置53に大当り終了コマンドを送信し、特別遊技処理を終了する。最終ラウンドでなければ(S575:no)、再び大入賞口14を開放する処理(S585)を行い、特別遊技処理を終了する。なお、大当りインターバル時間が経過していないと判定された場合(S570:no)には、そのまま特別遊技処理を終了する。
S515で大当りの終了演出中であると判定された場合は、図14のS600に進み、大当り終了演出時間が経過したか否かを判定する。大当り終了演出時間が経過した場合には(S600:yes)、役物連続作動装置の作動を停止し(S605)、条件装置の作動を停止する(S610)。そして、S285で取得した次回の遊技状態で確変に移行するか否かを判定する(S615)。確変に移行する場合(S615:yes)は、確変フラグを1に設定し(S620)、S625に移行する。確変フラグを1にすると本実施例では特別図柄の当選確率が向上する。確変に移行しない場合(S615:no)はそのままS625に移行する。なお、本実施例のパチンコ機50は大当りすると必ず高確率状態に移行するので、S615は必ず肯定判定される。
S625では、次回の遊技状態で時短に移行するか否かを判定する。時短に移行する場合(S625:yes)は、時短回数を設定し(S630)、時短フラグを1に設定し(S635)、大当り終了コマンドをサブ統合制御装置83に送信する処理(S640)を行ない、状態指定コマンドをサブ統合制御装置83に送信(S645)して特別遊技処理を終了する。時短フラグを1にすると本実施例では特別図柄の平均変動時間短縮、普通電動役物12の開放延長(以下、単に開放延長ともいう)機能をセットし、時短回数カウンタの値をセットする。図17に示したように、当り図柄が2R特定時短あり図柄1の場合は、時短回数カウンタの値として10、2R特定時短あり図柄2の場合は、時短回数カウンタの値として20、2R特定時短あり図柄3の場合は、時短回数カウンタの値として100がそれぞれセットされる。時短に移行しない場合(S625:no)はS640に直行する。なお、確定図柄が2ラウンド大当り図柄であった場合には、S625でnoと判定されて時短に移行しない。ただし時短中に確定図柄が2ラウンド大当り図柄であった場合には、S625でyesと判定され、時短状態が維持される。以上が特別遊技処理である。
特別遊技処理で役物連続作動装置が作動していないと判定された場合(S500:no)には、図15に示す小当り遊技処理を実行する。本処理が起動すると、S700にて特別電動役物が作動中であるか判断し、作動中であれば(S700:yes)、大入賞口14が開放中か判断する(S705)。否定判断の場合(S705:no)は、小当り遊技間のインターバル中であるか判断する(S710)。小当り遊技間のインターバルではなく(S710:no)、小当り遊技の終了演出中でもない場合は(S715:no)、小当り遊技の開始演出に要する時間が経過していれば(S720:yes)、大入賞口14を開放させ(S725)、本処理を終了する。なお、特別電動役物が作動していないか(S700:no)、または小当り開始演出に要する時間が経過していないと判定された場合(S720:no)には、そのまま本処理を終了する。
図15のS705で大入賞口14が開放中であると判定された場合は、図16のS750に進み、大入賞口14に10個入賞したか否かを判定する。大入賞口14に10個入賞していないと判定された場合(S750:no)はS755に進み、大入賞口14の開放時間が終了したか否かを判定する。本実施例では、小当りの場合は各開放の最長時間は0.9秒に設定している。無論、この秒数に限定するものではない。開放時間が終了した場合(S755:yes)には、S760にて大入賞口閉鎖処理を行う。そして小当りインターバル処理(S765)を行なって、小当り遊技処理を終了する。
大入賞口14に10個入賞した場合(S750:yes)にはS760に直行し、また大入賞口14の開放時間が終了していない場合(S755:no)は小当り遊技処理を終了する。
図15のS710で小当りインターバル中であると判定された場合は、図16のS770に進み、小当りインターバル時間が経過したか否かを判定する。小当りインターバル時間が経過している場合(S770:yes)にはS775にて大入賞口14が規定回数(ここでは2回)開放済みか又は10個入賞済みか否かを判定する。肯定判定の場合(S775:yes)は、小当り終了演出処理(S780)にて、サブ統合装置53に小当り終了コマンドを送信し、小当り遊技処理を終了する。否定判定の場合(S775:no)は、大入賞口開放処理(S785)により大入賞口14を0.9秒間、1回開放し、小当り遊技処理を終了する。つまり小当りでは、大入賞口14が基本的に0.9秒、2回開放されるが、1回の開放で10個以上の入賞があった場合は1回の開放のみで小当りが終了する。なお、実際には1回の開放で10個以上の入賞が発生することは殆どない。
図15のS715で小当り終了演出中であると判定された場合は、図16のS790に進み、小当り終了演出時間が経過したか否かを判定する。小当り終了演出時間が経過したと判定された場合(S790:yes)は、S795にて特別電動役物の作動を停止させ、小当り終了コマンドをサブ統合制御装置83に送信(S800)して小当り遊技処理を終了する。小当り終了演出時間が経過していないと判定された場合(S790:no)は、そのまま小当り遊技処理を終了する。
以上のように構成されたパチンコ機50の遊技の進行例を図19のタイムチャートに示す。パチンコ機50の電源を投入し、遊技を始めたとする。この時点では特別図柄は低確率(図19ではL)であり、普通電動役物12の開放延長も作動していない。時点Aにおいて小当りが発生し、時点Bでその小当りが終了しても、遊技状態は変化せず、低確率で開放延長も作動しない。時点Cで第1特別図柄の大当り(図19では大当り1)が発生すると、その終了時点Dで高確率状態となる。ただし、この大当りが低確率状態で且つ開放延長でもない状態で発生したことから、開放延長は発生しない(図18(a)参照)。このため、第1特別図柄を変動させる遊技が続くこととなる。なお、図18(a)に示したように、大当り1で遊技者は賞球を殆ど得ることができない。遊技状態が高確率状態となったことから、間もなく2回目の大当り1が発生する(時点E)。この大当り1は高確率状態において発生したものであるため、この大当り1が終了した時点Fで開放延長が発生する(図18(a)参照)。この結果、第1始動口11よりも第2始動口12に入球し易い状態となる。なお、この状態においても第1始動口11への入賞が発生すると考えられるが、第2特別図柄の変動の方が第1特別図柄の変動よりも優先順位が高いので、第2特別図柄による当りが先に発生する可能性が極めて高い。この開放延長状態は、図17にも示したように、特別図柄(主に第2特別図柄)が10回、20回または100回(以下、規定回数という)変動すると終了するが、ここでは開放延長状態において、第2特別図柄の大当りが発生したとする。
すなわち、変動時点Gで第2特別図柄の大当り(図19では大当り2)が発生すると、開放延長が終了し、大当り2が時点Hで終了しても開放延長は発生しない(図18(b)参照)。この結果、専ら第1特別図柄が変動する状態に再びなる。なお、図18(b)に示したように、大当り2で遊技者は1600個程度の賞球を得ることができる。時点Iで第1特別図柄が当たると、その大当り1が終わった時点Jで再度、開放延長が発生し、主に第2特別図柄が変動する状態となる。今回は、この延長状態が、特別図柄(主に第2特別図柄)が規定回数変動したことにより時点Kで終了したとする。すると、再び専ら第1特別図柄が変動する状態になる。やがて時点Lにおいて第1特別図柄の大当りが発生し、その終了時点Mで開放延長が発生する。今度はその開放延長状態において第2特別図柄が大当りしたとすると、その発生時点Nで開放延長が消滅する。このように、開放延長状態において特別図柄の変動回数が規定回数に到達した場合を除き、第1特別図柄による大当りと第2特別図柄による大当りを交互に繰り返すことにより、遊技者は獲得球を増やしていくことができる。この状態をループ状態と呼ぶものとする。時点D以降、高確率状態が続くので、遊技者はループ状態においては次回の大当りを比較的早い時点で得ることができる。
ループ状態は、転落抽選に当選することにより終了する。例えば時点Pにおいて転落抽選に当選すると、高確率状態が終了する。開放延長状態は時点Nで既に終了しているので、遊技状態が電源投入時の状態に戻ることになる。なお、開放延長状態において転落抽選に当選した場合には、第2特別図柄が変動する状態が続くことになるが、低確率状態であるため、特別図柄の変動回数が規定回数に到達する可能性が高い。該変動回数が規定回数に到達すれば、開放延長が終了するので、その時点で遊技状態が電源投入時の状態に戻ることになる。運よく規定回数に到達する前に大当りになると、高確率状態となるので、再びループ状態になる。
パチンコ機50の第1特別図柄は小当りになる場合もあり、これを用いた潜伏演出が行なわれる。この潜伏演出を含む、パチンコ機50で演出図柄表示装置6の画面6aで行なわれる演出について図20〜22を用いて説明する。まず、開放延長が作動していない状態(専ら第1特別図柄が変動する状態)は、図20に示すようにネコステージ、イカステージ、消防ステージに別れている。これらのステージ間の移行は、特別図柄で発生した当りが2R大当りだったか小当りだったかにより振り分けられている。例えば、2R大当りだった場合には、10%の確率で消防ステージ(図22(b)参照)、30%の確率でイカステージ(図22(a)参照)、60%の確率でネコステージ(図21(c)参照)に移行するものとし、小当りだった場合には、70%の確率で消防ステージ、30%の確率でイカステージ、0%の確率でネコステージに移行するものとする。低確率状態において大当りになる確率と小当りになる確率は共に1/200(図17参照)であったから、消防ステージに移行した場合は、小当りであった可能性が高く、イカステージに移行した場合は、小当りと2R大当り(確変)であった可能性が共に50%で、ネコステージに移行した場合は100%、2R大当りであったことが分かる。
開放延長が作動した場合には、図21(a)のような画像が画面6aに表示され、当たれば約1600個の賞球が期待できるモード(特別モード)であることが遊技者に報知される。なお、この特別モードにおいて特別図柄の変動回数が規定回数に到達して開放延長が終了したものの、第2特別図柄の保留が残っている間は、図21(b)のような画面に替わる。この画面により、第2特別図柄の保留で当たれば、約1600個の賞球が期待できることが遊技者に報知される。
以上のように構成されたパチンコ機50によれば、通常状態において当たった場合には、2R特定時短あり図柄1〜3で当たった場合と小当りの場合とがあり、いずれの場合も大入賞口14の開放パターンが同じで、終了後に開放延長も発生しないため、いわゆる潜伏状態となる。このため、低確率か高確率か分からない状態を遊技者に楽しませることができる。この状態を、消防、イカ、ネコの各ステージにより高確率の信頼度を表示するので、遊技者は潜伏状態を有意義に楽しむことができる。
2R特定時短あり図柄1〜3で当り、更に2R特定時短あり図柄1〜3で当たった場合には、開放延長が作動し、主に第2特別図柄が変動する遊技が開始される。この間も第1始動口11への入球は発生するが、第2特別図柄の方が優先的に変動されるため、専ら第2特別図柄に係る遊技となる。第2特別図柄が15R特定時短なし図柄で当たると遊技者は大量(約1600個)の賞球を得られるが、その後の状態は開放延長が作動しない状態となる。従って、再び主に第1特別図柄が変動する遊技が開始される。
このようにパチンコ機50は、第1特別図柄を変動させて、賞球は望めないものの開放延長を作動させる遊技と、第2特別図柄を変動させて、開放延長は作動しないが、大量の賞球を得られる遊技が交互に発生するという独特の遊技性を持ったものとなる。なお、開放延長の作動中に、特別図柄の変動回数が規定回数に到達すると、15R特定時短なし図柄が表示されなくとも(つまり大量の賞球を遊技者が得ることなく)、開放延長の作動が停止し、第1特別図柄が変動する遊技状態に移行する。規定回数は、2R特定時短あり図柄1〜3のいずれで当たるかにより10回、20回、100回のいずれかとなるので、ループ状態に移行した後も、遊技が単調になることはなく、遊技者は遊技的興味を抱き続けることができる。更に、開放延長が作動していない状況で転落抽選に当選すると、ループ状態が終了するため、ループ状態においても適度な緊張感を維持することができる。また、開放延長の作動中に転落した場合には、開放延長状態は残るので、規定回数に到達するまでは第2特別図柄が容易に変動し、第2特別図柄に係る有利な遊技を狙うことができる。
また、開放延長の非作動中は消防、イカ、ネコの3種類のステージのいずれか、開放延長の作動中は特別ステージと両者を演出上も区別させ、特に開放延長は終了したが、第2特別図柄の保留が残っている状況では、図21(b)に示した別の演出画像が演出図柄表示装置6の画面6aに表示されるので、開放延長は終わったが未だに大量の賞球を得るチャンスが残されていることを遊技者に報知することができる。
ここで本実施例の構成と、本発明の構成要件との対応関係を示す。S110の処理が本発明の「第1保留手段」に相当し、S125の処理が本発明の「第2保留手段」に相当し、S315の処理が本発明の「第1特別図柄変動手段」と「第2特別図柄変動手段」を兼ねた処理に相当し、S250〜S253の処理が本発明の「優先変動手段」に相当し、S275の処理が本発明の「特別図柄設定手段」に相当し、特別遊技処理が本発明の「大入賞口開放遊技発生手段」に相当し、演出図柄表示装置6が本発明の「表示装置」に相当し、S615〜S620の処理が本発明の「確率変動設定手段」に相当する。また、図19において、開放延長のグラフを発生させているのが本発明の「開状態発生手段」であり、転落抽選のグラフを発生させているのが本発明の「転落抽選手段」であり、図21(b)の画像を表示しているのが、本発明の「開状態時間報知手段」である。
[実施例2]
第2の実施例について図23〜29を用いて説明する。なお、本実施例は実施例1と共通点が多いため、異なる点のみを重点的に説明する。
図23は、第2実施例の主制御装置80が実行する当否判定処理の一部を示すもので、第1実施例の図8にて前述した転落抽選に関わる部分である。図8に示したフローチャートとの違いは、S254にて確変フラグが1であると判定されたときに、これから転落抽選を行なうか否かの判定を行なう保留が、第1特別図柄の保留であるか否かを判断する点である。そして第1特別図柄の保留であれば(S265:yes)、図8と同様、転落抽選処理移行の処理を行なうが、第1特別図柄の保留でなければ(S265:no)、すなわち第2特別図柄の保留であれば確変テーブルで当りか否かを判定する。つまり、第1特別図柄については転落抽選を行なうが、第2特別図柄については転落抽選を行なわない仕様となっている。
こうしてS258またはS259にて判定が行なわれると図24に示す処理を行なう。本処理は、第1実施例の図9に対応するものであり、違いは、S285の大当り設定処理を行なった後に転落確率設定処理(S340)を行なう点である。転落確率設定処理は図25に示すようなものであり、本処理が起動されると、確変フラグが0か否かを判定する。これは発生した当りがいわゆる連チャン中に発生したものであるか否かを判定していることになる。否定判断(S900:no)であれば、すなわち連チャン中に発生した当りであれば本処理を終了(リターン)する。肯定判断(S900:yes)であれば、S905にて第2特別図柄の保留記憶による大当りか否かを判定し、肯定判断(S905:yes)であれば、転落抽選フラグを1にして本処理を終了する。否定判断(S905:no)であれば、すなわち第1特別図柄による当りであれば転落抽選フラグを0にして本処理を終了する。
このように転落抽選フラグが設定されることを受けて、S255の転落抽選処理では、図26に示すように、転落抽選フラグが1か否かを判定し(S950)、肯定判断(S950:yes)であれば、低確率の転落テーブルで転落させるか否かを抽選(S955)し、本処理を終了(リターン)する。否定判断(S950:no)であれば、高確率の転落テーブルで転落させるか否かを抽選(S960)し、本処理を終了する。なお、低確率の転落テーブルの当選確率は1/300、高確率の転落テーブルの当選確率は1/100となっている。図27に示すのは第2実施例のパチンコ機50の仕様であり、第1実施例との違いは、転落抽選確率(転落確率)が前述したように2種類あることと、確変突入率が100%ではなく99%である点である。なお、転落確率は第1特別図柄に関するものであり、第2特別図柄は転落しないので転落確率は0%となる。
大入賞口14の開放パターンを図28に示す。第1特別図柄については図28(a)に示すように、第1実施例にはない2R通常時短あり図柄3(振分率1%)を備えており、その分だけ2R特定時短あり図柄1で当たる振分が60%から59%に低下している。2R通常時短あり図柄3で当たった場合は、直前の遊技状態に関わらず100%開放延長(時短)が発生し、特に低確率状態で且つ開放延長が作動していない状態で2R通常時短あり図柄3で当たった場合は、特別図柄が100回変動する間、開放延長となる。つまり、第2実施例のパチンコ機50では、低確率で開放延長がない状態で2R通常時短あり図柄3で当たった場合は、いきなりループ状態となる。
一方、第2特別図柄については図28(b)に示すように、大当り後に開放延長が作動する図柄として、15R特定時短あり図柄2、15R特定時短あり図柄3、15R特定時短あり図柄4の3種類と、高確率状態が終了する15R特定時短なし図柄を備えている。15R特定時短あり図柄1(第1実施例の15R特定時短あり図柄に相当)とこれら4種類の当り図柄とで90:5:3:1:1の振分となっている。
第2実施例のパチンコ機50でのステージ間の移行は、図29のようになっている。ネコステージ、イカステージ、消防ステージのステージ移行は第1実施例と同様であるが、開放延長が作動中で且つ通常確率の場合にはチャンスステージというステージに移行する。開放延長が作動中で且つ通常確率となるのは、第1特別図柄が2R通常時短あり図柄で当たった場合である。
以上のように構成されたパチンコ機50によれば、第1実施例のパチンコ機50と略同様の効果を有するに加え、第2特別図柄に係る転落抽選を行なわないので、主に第2特別図柄が変動する開放延長状態においては、転落する可能性が低くなり、開放延長状態を一層楽しむことができる。また、第2特別図柄で当たっても、開放延長が作動する15R特定時短あり図柄2〜4を備えているため、これらの図柄で当たると、大当り後に開放延長が再開され、更に大量の賞球を期待することができる。なお、15R通常時短なしあり図柄で当たった際には開放延長を発生させることなく低確率になるので、ループ状態が終了することになるが、これは第2特別図柄による当りの1/100でしか発生しない事象(高確率状態において1/2000の確率、低確率状態に至っては1/20000の確率で発生)なので、第1実施例において1/100の確率で発生する転落に比べ、極めて確率が低く、開放延長状態の楽しみは殆ど損なわれない。
ところで、第1実施例と同様、普通電動役物12が開放したときのみ、第2始動口12に入球可能となっているので、開放延長が作動していない状況で第2特別図柄に係る大当りが発生するのは、珍しい事態となる。この事態を発生(S900:yes)させた遊技者に対し、第2実施例のパチンコ機50では、転落抽選の当選確率を低下させる(S910,S955)という非常に有利な特典を付与することができる。なお、第1特別図柄が2R通常時短あり図柄で当たった後は、確変フラグが0で且つ開放延長となるので、容易に転落抽選フラグが1となるが、2R通常時短あり図柄による当りは第2特別図柄の大当り全体の1/100でしか発生しない珍しい事象(図28(a)参照)なので、遊技者に与える特典として過剰なものではない。
また、低確率で開放延長のない状態で第1特別図柄として2R通常時短あり図柄が表示されると、開放延長が作動して一気にループ状態となるため、第1実施例に比べて更に豊かな遊技性を備えた機種となっている。更に、第1特別図柄は、開放延長が作動する図柄の中にも、2R特定時短あり図柄1と2R通常時短あり図柄3という、開放パターンが全く同じで、開放延長の規定回数も同じものを備えているため、これら両者を用いた潜伏演出も可能である。
[他の実施例]
第1実施例、第2実施例とも、第1特別図柄の開放パターンは2Rの当りのみであったが、15Rの大当りが存在しても構わない。また、第1実施例で小当り図柄を廃してもよい。こうすると、当り後は第2特別図柄によるものも含めて全て確率変動が作動することとなり、潜伏機能を用いた遊技興趣はなくなるものの、当たれば確実に確率変動が作動するという安心感が生まれ、低確率状態における当たりに対する期待度が高まる。この態様では、S615の処理が不要となり、S620の処理が本発明の「確率変動作動手段」に相当することになる。同様の変更を第2実施例において行なってもよく、この場合は小当り図柄だけでなく、第1特別図柄の2R通常時短あり図柄および第2特別図柄の15R通常時短なし図柄を廃止する。
また、低確率状態における大当り図柄の種類により、転落抽選の当選確率を異ならせてもよい。例えば2R特定時短あり図柄1で当たった場合には転落抽選の当選確率を1/300とし、2R特定時短あり図柄2で当たった場合には転落抽選の当選確率を1/200とし、2R特定時短あり図柄3で当たった場合には転落抽選の当選確率を1/100とすることが考えられる。こうすると、振分率の小さい2R特定時短あり図柄3で当たった場合(図18(a)参照)には、転落確率が低いという特典を遊技者に付与可能となる。同様のことを、高確率状態に行なったり、特別図柄の当選確率に関わらず行なってもよい。
低確率時に小当りに当選した場合には、所定回数、特別図柄が変動したら、小当りであった旨(すなわち低確率であること)を遊技者に報知してもよい。また、低確率時に2R特定時短あり図柄で当選した場合には、高確率である旨を報知せず、転落抽選に当選したら低確率である旨を遊技者に報知してもよい。報知の態様としては、モードを変更したり、擬似図柄が変動している間の演出で示唆したりすることが考えられる(これが本発明の確率変動報知手段に相当する)。前者の場合、低確率時に、小当りに当選した場合も2R特定時短あり図柄で当選した場合も潜伏モードに移行し、小当りで所定回数、特別図柄が変動したり、2R特定時短あり図柄で当選後に転落したりした場合には通常モードに戻す態様を例示できる。こうすると、潜伏モードでは現在の遊技状態が高確率か否かを楽しむことができ、高確率状態になった(特別図柄が所定回数変動した)場合には当りを引けるか楽しむというモードにより楽しみ方を分けることができる。
なお、説明を省略したが、前記実施例1,2のように大当たりの態様が複数あり、その中にラウンド数の異なる大当たりがある機種においては、その大当たりを構成するラウンドの数を遊技者に報知する必要がある。すなわち、第1特別図柄で大当りになった場合は2ラウンド、第2特別図柄で大当りになった場合は15ラウンドと遊技者に報知する必要がある。小当りにおいては報知しないので、遊技者はこの報知動作の有無を見ることにより、小当りか大当たりかを判定することができ、潜伏状態の意味が薄れる場合があった。本発明を、全ての大当たり遊技のラウンド数が同じものに適用してもよい。この場合の大当たりの有利さの違いは、各ラウンドの開放時間などを変えることにより実現できる。例えば、第1特別図柄により発生する大当たりは、9ラウンドからなり、1ラウンド当り0.3秒開放する遊技を行い、第2特別図柄により発生する大当たりは、9ラウンドからなり、1ラウンド当り30秒開放する遊技を行うとすればよい。また、このように全てのラウンドを同じ間隔だけ開放するのではなく、例えば1〜8ラウンドは0.3秒だけ開放し、最終ラウンドだけ30秒開放するという大当たりが存在しても構わない。このように全ての大当たりのラウンド数が同じ遊技機においては、大当たりを構成するラウンドの数を遊技者に報知する必要が無いため、小当りとの判別が一層困難になる。このため、潜伏状態本来の遊技興趣を遊技者は体験することができる。
また、本発明を適用する場合には、第2特別図柄の保留を4個よりも少なくしてもよい。こうすると、開放延長が終了しても第2特別図柄の保留が残っている期間が減少し、第1特別図柄を用いた遊技に速やかに移行する。こうすると、図21(b)に示したような、いまだチャンスの状態であることを遊技者に報知する必要性が減少する。