JP5595372B2 - 高機能リチウム二次電池の製造方法 - Google Patents
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Description
負極材としては、銅箔などに金属リチウムの単体粒子や、リチウムとアルミニウムなどの金属との合金粒子や、カーボンやグラファイトなどのリチウムイオンを吸蔵または吸着する能力を有する材料の粒子や、リチウムイオンをドーピングした導電性高分子材料の粒子を活物質として付着させたものが知られている。
また、電解液としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、アセトニトリル、γ−ブチロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートなどの有機溶媒に、LiClO4 、LiPF6 、LiAsF6 などの電解質を溶解した有機系電解液が使用される。
一般的なゲル状電解液を用いた積層型リチウム二次電池では、活物質、重合性モノマー、電解液を電極板状に塗布し、次いでモノマーを重合することによって電解液をゲル状電解液となして正極、負極を形成した後に、正極、セパレータおよび負極を順次重ね合わせて積層構造とする方法があるが、積層体がずれ易いという欠点を持つ。
また、他の方法としては、正極電極、負極電極、セパレータから構成される積層体を、正極端子および負極端子が露出した状態で、アルミ箔に樹脂コーティングしたラミネートなどからなる外装体に収納し、これに電解液を注入し密閉してリチウム積層型二次電池が製造される。電解液の注液は、ラミネート外装材の積層体の周囲を注液口以外の部分を封止した後、注液口から電解液を注入し、次いで積層体を真空条件下に一定時間放置し、電解液を積層体に含浸させ、その後、注液口を真空状態にて封止することにより製造されている。
正極端子が接続された正極電極と、負極端子が接続された負極電極をセパレータを介して積層した電池要素となし、正極端子および負極端子を露出させてラミネート外装材に収納し、注液口を除いて封止する工程と、電池要素を収納したラミネート外装材を押え板で挟持し、注液口より電解液を注入する工程と、注液口を封止する工程からなる製造方法(特許文献4)が提案されている。
正極、負極およびセパレータからなる電極群を電池缶に挿入し、非水電解液を注入した後に電池缶を封口するリチウム二次電池の製造方法において、非水電解液の注入開始から封口後の12時間までの電池缶の外壁温度を3℃以上50℃以下に制御するリチウム二次電池の製造方法が提案されている(特許文献5)。
以上例示したようにリチウム積層型二次電池の製造においては電解液の注入効率、注入後のセパレータなど形状構造、電解液の含浸状態の均一化など多くの解決すべき問題が残されている。
電池の組み立て工程においては、ポリマー電解液を正極、負極間に均一に充填させることが必要であるが、高分子を入れたポリマー電解液では粘度が大きくなり、均一な厚さで充填することが難しい。また、変質しやすいポリマー電解液の取り扱いの難しさが生産性向上を阻む要因であった。従って、大型のリチウムポリマー電池を製造する場合には、電極を組み立てる前に、ポリマー電解液を電極面に均一に塗る方法を取っていることが多かった。
本発明はこうした従来技術の問題点を解決するものであり、正極、負極、セパレータの積層体を収納した外装体に電解液を注入する方式のリチウム二次電池の製造における課題を解決するものであり、詳しくは、大型化、高容量化、高機能化したリチウムポリマー電池の製造における品質問題点を解決し、生産性の向上と電池性能の高機能化を実現する製造方法を開発することを目的とするものである。
(a)正極、負極および電極間に入れたセパレータが縦置きになるように外装体を設置する。
(b)外装体内に開口部からポリマー電解液を注入する。
(c)注入後、外装体の開口部分を封止する。
(d)外装体内の積層体を縦置きの状態で10℃以下の温度下に保持する。
(e)外装体の上下が逆さまになるように任意の角度に回転させて10℃以下の温度下に保持する。
(f)外装体の一部を開口し、外装体中の余分なポリマー電解液を除去する。
(g)開口部を真空下で封止する。
(h)外装体の表面を均一に加圧しながら熱をかけて外装体内のポリマー電解液をキュアしてポリマー化する。
(2)(d)および(e)における低温での保持工程が、0〜8℃以下の温度下で実施される請求項1に記載のリチウム二次電池の製造方法。
(3)(f)における外装体中の余分なポリマー電解液を除去する工程が、0.1〜2.0kgf/cm2の圧力下で行われる請求項1または2に記載のリチウム二次電池の製造方法。
(4)(g)の開口部を真空下に封止後に外装体を加圧し平滑化する請求項1から3のいずれかに記載のリチウム二次電池の製造方法。
(5)(h)のポリマー電解液のキュア工程が、0.01〜0.5kgf/cm2の圧力下で行われる請求項1から4のいずれかに記載のリチウム二次電池の製造方法。
(6)ポリマー電解液をキュアした後に常温までに冷却して外装体の表面を均一に加圧する請求項1から5のいずれかに記載のリチウム二次電池の製造方法。
(7)ポリマー電解液をキュアした後の外装体の表面の加圧が、2.0〜4.0kgf/cm2で行われる請求項6に記載のリチウム二次電池の製造方法。
(8)ポリマー電解液をキュアした外装体の表面を均一に加圧した後、電池充放電検査工程へ搬送される請求項6または7に記載のリチウム二次電池の製造方法。
(1)高分子モノマーを入れた電解液では粘度が高くなり(5cP以上のポリマー電解液)電池電極表面への電解液の均一な厚さを作り出すことが容易ではなかったが本発明により解決される。
(2)ポリマー電解液は環境に敏感であり性能劣化が起こる問題が解決される。すなわち、従来の製造方法は、電池組み立ての前に、個々の電極(正負極)にポリマー電解液を先に塗布し、塗布厚さの均一化を図っている。その後、各電極間にセパレータを入れながら積層し、電池を構築している。しかしながら、この方法では生産性が悪く、しかも、電極に電解液を塗布する段階から積層し外装体に収納されて封止されるまでの間は、長時間にわたり解放状態となることが多いために品質的な問題を引き起こすことがあったが、本発明においてはポリマー電解液の品質が安定して保持される。
(3)本発明は、電池電極とセパレータの積層、アルミラミネート封止までの工程を先に終了し、その後ポリマー電解液を入れる方式であり、いわゆる後注液・含浸方式による電池製造方法を提供するものである。このため、本発明は従来の生産方式に比べて5倍以上の生産性を実現でき、しかも高粘度なポリマー電解液にも対応できる製造方法を確立した。
(4)従来品と対比して、電気的特性が勝るとも劣らないリチウム二次電地を製造し提供することができる。
(1) 正負極および電極間に入れたセパレータが縦置きになるように外装体を設置する。
(2) 外装体内に開口部からポリマー電解液を注入する。
(3) 注入後、外装体の開口部分を封止する。
(4) 外装体内の積層体を縦置きの状態で10℃以下の温度下に保持する。
(5) 外装体の上下が逆さまになるように任意の角度に回転、停止して10℃以下の温度下に保持する。
(6) 外装体の一部を開口し、外装体中の余分なポリマー電解液を除去する。
(7) 開口部の真空下での封止を行う。
(8) 外装体の表面を均一に加圧しながら熱をかけて外装体内のポリマー電解液をキュアしてポリマー化する。
従来の大型のリチウム二次電池の製造では先含浸方式が採用されていることが多い。これは、電解液がモノマー成分を含み粘性が高いため電極やセパレータに浸透し難い問題を回避するために、電解液を電極表面やセパレータに塗布しながら積層を行っているため、生産性は悪く、品質的にも安定しなかった。そこで、一旦電極およびセパレータを積層構造とした後にアルミラミネート体などからなる外装体に収納し、これに電解液を注入する方式が提案されてはいたが、粘性のある電解液を電極間に均等に含浸させる製造方法は確立されてはいなかった。
そこで、本発明は、こうした後含浸方式の問題点を解消した新しいリチウム二次電池の製造方法を提供するものである。
従来の先含浸方式によるリチウム二次電池の製造方法は、例えば、図1に示されている連続工程によった。まず、正極集電体が所定寸法に切断し、その上に電解液を塗布する工程(1)。次いで、セパレータを所定寸法に切断し電解液を塗布すると共に、正極上に重ねる工程(2)。次に、負極集電体を所定寸法に切断し、電解液を塗布すると共にセパレータ上に重ねる工程(3)。その後、5〜10分間放置することにより電解液を各電極、セパレータに浸透させる工程(5)、不溶な電解液を押し出す工程(7)、電解液を重合させる熱キュア工程(8)からなる。次いで、積層工程(9)に移送し、所定の個数のシングルセルを積層し、タブリードを溶着した後にアルミのラミネートなどからなる外装体に収納してリチウム二次電池とする。次の工程で初期充電放電検査が行われることにより完成する。
この方式によれば、例えば、17枚のシングルセルを必要とする電池を製造するには、各集電体およびセパレータの切断、電解液の塗布からなる一連の工程が17回繰り返されることとなる。
従来の後含浸により電解液を注入して加減圧を繰り返した後の電解液の含浸状態を検討した結果を図3から図5に示す。図3は、電解液を注入して加減圧を繰り返した場合の電解液の浸透状態を示すものであり、上方には広い未含浸箇所が残っている。次の図4は、電解液を含浸量よりも過剰に注入して加減圧を繰り返した後の含浸状態を示すものであり、未含浸箇所21や電極液枯れ箇所22が存在し、特に中心部には未含浸箇所が見受けられる様になる。図5は、電解液を注入後24時間放置した場合の含浸状態を示すものであり、上方部に未含浸箇所21が広く残る。電解液の非含浸部分の存在は電池性能を低下させる大きな要因である。
従来の後含浸方式では、こうした未含浸部分が残存している問題と共に、真空下に長時間の処理を行うことが必要であることや、常温で放置することにより電解液の変性が起こり、粘性が増加して電解液の電極への浸透がさらに困難となるなどの問題が生じている。
本発明のリチウム二次電池の製造方法は後含浸方式に分類されるものであり、特に、アルミパックなどの外装材中に収納した電池積層体に電解液を注入する工程から注入した電解液を加熱キュアする工程に特徴をしている。すなわち、図2(2)において本発明の製造工程を示しているが、電極・セパレータのカット工程、電極セパレータの積層工程、タブリードの溶着工程およびアルミパック内挿入工程は従来法が利用できる。
本発明のリチウム二次電池の製造において、各電極およびセパレータが所定の数で積層された積層体であって、電解液がいまだ含浸されていないものを以後単に「積層体」ということがある。
本発明における電解液注入工程において注入される電解液は、ポリマー電解液であって従来リチウム二次電池を製造するにあたり使用されているものであればいずれのものであっても使用されるが、特に粘性が5cP以上の高粘性のポリマー電解液であっても用いることができる。積層体を収納した外装体には、電解液を注入する開口部が設けられている。この開口部から電解液を注入する際に、外装体は、各電極およびセパレータが縦置きとなるように設置される。すなわち、外装体は収納した積層体の各電極およびセパレータの積層端面を上方に、平面部を横方向になるように設置する。こうすることにより、電解液は主に積層体の上面を除く三方の端面から浸透する。このとき、積層体が縦置きとなっているということは、積層体の平面が鉛直になっていることを含めて、鉛直から約10度程度の角度のブレの範囲内であることが好ましい。電解液は、静置時には重力や毛細管現象により浸透するが、積層体を縦置きにすることにより均一な浸透が達成される。
注入口から電解液の注入が完了したならば、真空引きをすることなく常温常圧の下で注入口を封止することにより、積層体と電解液は外装体中に密閉される。封止工程において、真空条件で行う必要がない。このことは工程を実施するにあたり大きな利点である。また、この工程では開口部は封止しているため以後の工程において外気などによる影響を受けることがない。
電解液を注入し開口を封止した後は、積層体が縦置きとなるように外装体を設置した状態で、低温に比較的長時間保管することにより、電解液の変性を避けるために行われ、電解液の構成成分などに応じて保管温度は適宜変更される。低温保管は、通常、10℃以下の温度で行われ、好ましくは0〜8℃の温度範囲、さらに好ましくは2〜5℃で保管される。低温での保管の目的は、積層体に電解液を変質することなく均一に浸透させることである。しかしながら、保管温度が低くなりすぎると粘性が高くなり均一な浸透を困難とすることがある。
均一に浸透するための時間は、電解液の構成成分や粘性、保管温度などに応じて最適な時間が選択されるが、通常、12〜30時間保管され、好ましくは24〜26時間保管される。低温での保管中に、電解液は重力により積層体の下方に移動することにより電解液の分布が下方に偏ることがあるため、保管の途中で外装体を任意の角度に回転、停止して再度低温に保持する。このとき上下反転して再度低温で保管することが好ましい。再度の冷蔵保管は、前記冷蔵保管とほぼ同一の条件で行われることが好ましく、通常、10℃以下の温度で行われ、好ましくは0〜8℃の温度範囲で、12〜30時間、好ましくは24〜26時間保管される。
低温で保管された積層体から余剰の電解液が除去される。外装体の封止した開口を開けるとともに外部より加圧することにより、外装体内に注入した電解液のうち余剰のものを外装体外に排出する。余剰の電解液の除去には加圧ローラにより両側から加圧して内部の電解液を絞り出すようにすることが好ましいが、過剰な圧力で行なうと必要な電解液も除去してしまう為、加圧ローラによる余剰電解液の除去には、0.1〜2.0kgf/cm2の圧力で行うことが好ましい。
外装体の余剰電解液を除去するために開放した開口は再度封止される。この封止工程は以前常圧にて行った封止工程とは異なり真空下で行うことが好ましい。これは、気体に含まれる水分を除去し、また、電極間の密着性を高める為である。真空下で封止した後、ローラなどにより外装体の外部から加圧してしごくことにより外装体を平滑化するとよい。この加圧により、外装体は形が平滑状で均一な厚みとなり電池としての規格を有する外観を有することになると同時に、内部の電解液はさらに均一化される。
積層体に電解液が浸透されたところで、電解液中に含まれる高分子モノマーを熱により重合化(キュア)させてリチウム二次電池は完成する。キュア工程は、モノマーの性質に応じて従来採用されている条件で行うことができるが、電極間の密着とポリマー化を確実に行なう為、例えば、0.01〜0.5kgf/cm2で約20〜30分間行われる。
電解液を加熱キュアした後は、常温までに冷却して、2.0〜4.0kgf/cm2の圧力で加圧処理することが好ましい。この工程は、電極間の密着性を更に高める事を目的として行われる。次いで、初期充電放電検査工程に付されてリチウム二次電池が完成する。
本発明の上記の工程については、図6に具体的にわかり易く図解して示してある。
(1)
電池の積層体32を乾燥状態で収納した外装体には、電解液31を注入するための開口のあるハウジング34で設けられ、シリンジ33から電解液31が注入される。注入は常圧下で行い、電解液の注入量は34層からなる製品で約80gである。積層体32を収納した外装体は保持板35によって挟持されて、積層体の平面が直立するよう支えられている。
(2)
ハウジング33の開口部は常圧下にシール部材36により加熱、封着される。
(3)
電解液31を注入された外装体は、例えば、10℃以下に冷蔵保存され12時間程度縦置きで保持される。
(4)
外装体を任意の角度に回転して、同じ温度でさらに12時間程度保管される。
(5)
外装体を開口して0.1〜2.0kgf/cm2程度の加圧ローラ37によりしごいて余剰の電解液を除去する。
(6)
外装体の開口部を真空シールしてさらにローラでしごき平坦化する。
(7)
外装体を外部から0.01〜0.5kgf/cm2程度の圧力を、加圧板38から加えながら120℃で40分間加熱して電解液31を重合(キュア)させる。
(8)
常温まで冷却した後2.0〜4.0kgf/cm2程度の圧力で約2分間加圧して最終形状となる。
(9)
最後に、初期充電放電検査等が終了することにより製品としてのリチウム二次電池が完成する。
従来法では、電極全体に十分な電解液を含浸させることができず、また、電解液層の厚みの不均一性によるむらが生じてしまい、充電も不均一にされてしまうが、本発明により製造された電池の電極面は、未含浸箇所もなく電解液の厚みも均一で、充電も全体に均一にされる。
本発明の製造工程にしたがってリチウム二次電池を製造した。正極電極は、コバルト酸リチウムからなる正極活物質に、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)からなる結着剤とアセチレンブラックからなる導電剤を添加してスラリーを厚さ20μmの帯状のアルミニウム箔からなる正極集電体上の両面に塗布し、乾燥し、ロールプレス機により圧延することで形成した。負極電極は、グラファイト粉末からなる負極活物質をPVDFからなる結着剤とともにスラリー状となし厚さ10μmの銅箔からなる集電体上の両面に塗布し、乾燥し、ロールプレス機により圧延することで形成した。
正極電極および負極電極を200×100mmに切断し、ポリエチレン不織布からなるセパレータを介して正極電極と負極電極を対向させて16層となるように重ね合わせて積層体を作製した。次に、正極および負極にタブリードを溶着した後、ナイロン/アルミ/ポリプロピレンの3層構造をもつアルミラミネートフィルムからなるラミネート外装体に収納した。ラミネート外装材の周囲は注液口を残して熱融着した。この外装体を平板状の保持板で挟持することによりほぼ垂直の縦置きとなし、注液口より、シリンジを用いて、電解液を注入した。
次いで、積層体の上下を反転してさらに7℃に12時間保持した。外装体の封口を開口して0.8kgf/cm2の加圧ローラによりしごき余剰の電解液を除去した。真空下で開口を封止し、さらにローラによりしごいて外装体を平滑化した。0.05kgf/cm2の加圧下に120℃で40分間加熱することにより電解液をキュアし、外装体を常温まで冷却した後2.5kgf/cm2で2分間加圧した。次いで、初期充電の工程に移送した。
上記[リチウム二次電池の製造]記載の製法により2個のリチウム二次電池を作製してサイクル数−容量維持率を測定しその結果を表1に示す。サイクル−容量維持率は1C充電−2C放電、24℃雰囲気で行なった。
表1に示した従来品は、上記[リチウム二次電池の製造]記載の製法で製造した製品と同一の構成材料を使用しているが、本発明の製造法ではなく、従来法により製造したものであり、SampleI−1とSampleI−2は、上記[リチウム二次電池の製造]記載の製法で製造した製品である。
このように、本発明によるリチウム二次電池は従来品と比較して優れたサイクル特性を示していることがこの試験結果から明らかとなった。
本発明の生産方法は、電極を一括して組み上げてアルミラミネート製の外装体に収納した後に、ポリマー電解液を注液するものである。高粘度のポリマー電解液を用いた大型電池の製造では先含浸方式が唯一の生産方式であると思われていたが、本発明により、低価格で高機能を有したポリマー電池の実用的な後含浸方式の製造を可能としたばかりか、本発明のポリマー電解液の注液・含浸・保管(静的な含浸)を一体化させた技術により、電極積層間(セパレータの中央部)に発生する未含浸部分の発生をなくし、安定した品質で高機能な電池製造ができるようになり、初期充電時の電池の加圧が必要なくなり、電池特性も安定した電池を製造できる技術を提供するものである。さらに、本発明は、従来の生産方式と比較して5倍以上の生産性が実現でき、さらに高粘性のポリマー電解液の利用が可能となりリチウムポリマー電池の適用分野の拡大が期待される。
2:セパレータカット、電解液塗布工程
3:負極カット、電解液塗布工程
4:正極カット工程
5:積層工程
6:放置して電解液を浸透させる工程
7:余剰電解液の除去工程
8:電解液の加熱重合(キュア)工程
9:積層工程
21:未含浸箇所
22:電極液枯れ箇所
31:電解液
32:電池(積層体、乾燥状態)
33:電解液注入シリンジ
34:ハウジング
35:保持版
36:加熱封口装置
37:加圧ローラ
38:加圧板
39:冷蔵雰囲気
40:真空雰囲気
41:加熱雰囲気
Claims (8)
- リチウムイオンを吸蔵放出可能な活物質を含有する層を集電体上に設けた正極、負極およびセパレータからなる積層体が収納されている外装体内にポリマー電解液を注入することからなるリチウム二次電池の製造方法において、次の(1)から(8)の工程を具備することを特徴とするリチウム二次電池の製造方法。
(1) 正極、負極および電極間に入れたセパレータが縦置きになるように外装体を設置する。
(2) 外装体内に開口部からポリマー電解液を注入する。
(3) 注入後、外装体の開口部分を封止する。
(4) 外装体内の積層体を縦置きの状態で10℃以下の温度下に保持する。
(5) 外装体を上下が逆さまになるように任意の角度に回転、停止して10℃以下の温度下に保持する。
(6) 外装体の一部を開口し、外装体中の余分なポリマー電解液を除去する。
(7) 開口部を真空下で封止する。
(8) 外装体の表面を均一に加圧しながら熱をかけて外装体内のポリマー電解液をキュアしてポリマー化する。 - (4)および(5)における低温での保持工程が、0〜8℃の温度下で実施される請求項1に記載のリチウム二次電池の製造方法。
- (6)における外装体中の余分なポリマー電解液を除去する工程が、0.1〜2.0kgf/cm2の圧力下で行われる請求項1または2に記載のリチウム二次電池の製造方法。
- (7)の開口部を真空下に封止した後に外装体を加圧し平滑化する請求項1から3のいずれかに記載のリチウム二次電池の製造方法。
- (8)のポリマー電解液のキュア工程が、0.01〜0.5kgf/cm2の圧力下で行われる請求項1から4のいずれかに記載のリチウム二次電池の製造方法。
- ポリマー電解液をキュアした後に常温までに冷却して外装体の表面を均一に加圧する請求項1から5のいずれかに記載のリチウム二次電池の製造方法。
- ポリマー電解液をキュアした後の外装体の表面の加圧が、2.0〜4.0kgf/cm2で行われる請求項6に記載のリチウム二次電池の製造方法。
- ポリマー電解液をキュアした外装体の表面を均一に加圧した後、電池充放電検査工程へ搬送される請求項6または7に記載のリチウム二次電池の製造方法。
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JP2013140676A (ja) | 2013-07-18 |
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