《第1の実施形態》
以下、本発明の第1の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。図1は、本実施形態に係る制御システム10の概略的な構成を示すブロック図である。制御システム10は、キャビネットや机が配置されるスペースに設けられた照明装置、及び空調装置の制御を行うシステムである。図1に示されるように、この制御システム10は、管理端末20、2台の空調装置301,302、4台の照明装置401〜404、5つの識別端末501〜505、及び4つの基地局端末601〜604を有している。
図2は、制御システム10を構成する装置の配置を示す図である。図2に示されるように、空調装置301は、スペース100の天井の手前側(−Y側)に配置され、空調装置302は、スペース100の天井の奥側(+Y側)に配置されている。空調装置301,302は、スペース100の空気を冷却、或いは加熱することにより空調空気を生成し、生成した空調空気をスペース100に吐出する装置である。
図3は、制御システム10を構成する各装置のブロック図である。図3を参照するとわかるように、空調装置301,302は、通信部31と出力制御部32を有している。
通信部31は、UWB(Ultra Wide Band)の電波を用いて、パケット通信を行う通信インタフェースを含んで構成されている。図4は、通信部31から出力される情報を模式的に示す図である。図4に示されるように、通信部31から出力される情報は、送信元機種コード71、送信元アドレス72、送信先機種コード73、送信先アドレス74、コマンド75、ペイロード76から構成されている。
上述の送信元機種コード71は、送信元の機器の種類を特定するためのコードである。ここでは、送信元機種コード71は、送信元の機器が空調装置30であることを示す識別コードとなる。送信元アドレス72は、空調装置30に割り当てられたアドレスである。送信先機種コード73は、通信部31から出力された情報の受信先を特定するためのコードである。例えば、通信部31が管理端末20へ情報を送信する場合には、送信先機種コード73は、送信先の機器が管理端末20であることを示すコードとなる。送信先アドレス74は、通信部31から出力された情報の受信先の機器に割り当てられたアドレスである。コマンド75は、送信先の機器に対する指令である。ペイロード76は、コマンド75の内容に応じた情報である。例えば、コマンド75が空調装置30に対する制御要求である場合には、ペイロード76の内容は、空調装置30から吐出される空気の風量、風向等に関する情報となる。
通信部31は、管理端末20と無線通信を行う。そして、管理端末20から出力される情報を受信すると、受信した情報を出力制御部32へ出力する。
出力制御部32は、管理端末20から出力された情報を、通信部31を介して受信する。そして、受信した情報の内容に応じて、スペース100に吐出する空調空気の量や、吐出方向の調整を行う。例えば、空調装置301,302は、空調空気を4方向へ吐出するための4つの吹き出し口を有している。出力制御部32は、空調装置301,302が備えるファンの回転数を調整することによって、各吹き出し口から出力される空調空気の量を調整する。そして、各吹き出し口に配置されたルーバーそれぞれの角度を調整することによって、空調空気の吐出方向を調整する。
出力制御部32は、空調空気の量や方向の調整が完了すると、空調空気の温度、空調空気の吐出量、及び吐出方向等に関する運転情報を、通信部31へ出力する。これにより、この運転情報は、通信部31によって、管理端末20へ出力される。
図2に示されるように、照明装置401〜404は、長手方向をY軸方向とする長方形の照明装置である。照明装置401,402は、スペース100の左側(−X側)の内壁面に沿って配置されている。また照明装置403,404は、スペース100の右側(+X側)の内壁面に沿って配置されている。
図3を参照するとわかるように、照明装置401〜404は、通信部41と調光部42を有している。
通信部41は、上述した空調装置30の通信部31と同様に、UWBの電波を用いて、パケット通信を行う通信インタフェースを含んで構成されている。この通信部41は、管理端末20と無線通信を行う。そして、管理端末20から出力される情報を受信すると、受信した情報を調光部42へ出力する。
調光部42は、管理端末20から出力された情報を、通信部41を介して受信する。そして、受信した情報の内容に応じて、照明装置40から射出される照明光の光量の調整を行う。例えば、照明装置401〜404は、光源として、複数のLED或いは蛍光灯を有している。調光部42は、点灯するLEDの数や、蛍光灯の数を増減することにより、照明装置401〜404から射出される照明光の光量を調整する。
調光部42は、照明装置401〜404から出力される照明光の光量の調整が完了すると、照明装置401〜404で点灯する光源の数に関する運転情報を、通信部41へ出力する。これにより、この運転情報は、通信部41によって、管理端末20へ出力される。
図2に示されるように、基地局端末601〜604それぞれは、スペース100の天井に配置されている。これらの基地局端末601〜604は、識別端末501〜505からの要求に応じて、所定の信号を発信する。
図3を参照するとわかるように、基地局端末601〜604は、通信部61と距離計測応答部62とを有している。
通信部61は、上述した空調装置30の通信部31と同様に、UWBの電波を用いて、パケット通信を行う通信インタフェースを含んで構成されている。この通信部61は、識別端末501〜505それぞれと無線通信を行う。そして、識別端末501〜505から出力される情報を受信すると、受信した情報を距離計測応答部62へ出力する。
距離計測応答部62は、識別端末501〜505から出力された情報を、通信部61を介して受信する。そして、距離計測応答部62は、受信した情報に信号発信指令が含まれている場合に、測距情報を出力する。この測距情報には、例えば識別端末501〜505を識別するためのコードや、当該測距情報を出力する時刻などが含まれている。距離計測応答部62から出力された測距情報は、通信部61によって、識別端末501〜505へ出力される。
識別端末501〜505は、基地局端末601〜604までの距離に基づいて、スペース100での識別端末501〜505の位置を算出し、これらの位置情報を管理端末20へ出力する。本実施形態では、図2に示されるように、識別端末501は、キャビネット1011に固定されている。また、識別端末502は、キャビネット1011の奥側(+Y側)に配置されたキャビネット1012に固定されている。また、識別端末503は、キャビネット1011の右側(+X側)に配置された机1031に固定されている。また、識別端末504は、机1031の奥側に配置された机1032に固定されている。また、識別端末505は、スペース100で作業等を行うユーザ105に所持されている。
図3を参照するとわかるように、識別端末501〜505は、通信部51、距離計測部52、位置計算部53を有している。
通信部51は、上述した空調装置30の通信部31と同様に、UWBの電波を用いて、パケット通信を行う通信インタフェースを含んで構成されている。この通信部51は、管理端末20及び基地局端末601〜604と無線通信を行う。そして、管理端末20から出力される情報を受信すると、受信した情報を距離計測部52へ出力する。また、距離計測部52,位置計算部53から出力される情報を、管理端末20或いは基地局端末601〜604へ出力する。
距離計測部52は、管理端末20から出力された情報を、通信部51を介して受信する。距離計測部52は、受信した情報に距離計測指令が含まれている場合には、信号発信指令を含む情報を通信部51へ出力する。この情報は、通信部51を介して基地局端末601に出力される。
信号発信指令を含む情報が、基地局端末601〜604に出力されると、基地局端末601〜604からは、上述した測距情報が送信される。識別端末501〜505を構成する距離計測部52は、この測距情報の到達時間に基づいて、基地局端末601〜604と基地局端末601〜604との距離を算出する。以下、距離計測部52による、識別端末501〜505と基地局端末601〜604との距離を算出するための手順を、図5に示されるフローチャートを参照しつつ説明する。
図5は、識別端末501と基地局端末601との間の距離を算出する手順を示すフローチャートである。距離計測部52は、まず測距要求信号S(1)を、通信部51を介して送信する(ステップS101)。
基地局端末601の距離計測応答部62は、通信部61を介して、測距要求信号S(1)を受信すると、この測距要求信号S(1)に対する応答信号ID(1)を、通信部61を介して送信する(ステップS201)。
距離計測部52は、通信部51を介して、応答信号ID(1)を受信すると、電磁波が識別端末501と基地局端末601との間を往復するために要した時間(所用時間)を算出する。
例えば、距離計測部52は、測距要求信号S(1)を送信した時刻t1から、応答信号ID(1)を受信した時刻t4までの時間T1を算出する。次に、この時間T1から、基地局端末601が、測距要求信号S(1)を受信してから応答信号ID(1)を送信するまでの処理時間T3を減ずる。
この処理時間T3は、基地局端末601が信号処理を行うのに要する時間である。このため、基地局端末601と識別端末501との距離に依存して変動することはなく、常に一定である。距離計測部52は、時間T1から処理時間T3を減ずることで、電磁波が識別端末501から基地局端末601に到達するのに要する時間T2と、電磁波が基地局端末601から識別端末501に到達するのに要する時間T4との和を、応答時間RT(1)(=T2+T4)として算出する(ステップS102)。なお、上記処理時間T3は、基地局端末601〜604相互間でほぼ等しく、予め計測され、識別端末501の距離計測部52に記憶されている。
距離計測部52は、応答時間RT(1)を算出すると、次式(1)に示されるように、電磁波の伝搬速度Vと、応答時間RT(1)を2で除したものとを乗じて、識別端末501と基地局端末601との計測距離MD(1)を算出する(ステップS103)。
MD(1)=V×(RT(1)/2) …(1)
識別端末501の距離計測部52は、上述した手順で基地局端末602との距離MD(2)、基地局端末603との距離MD(3)、及び基地局端末604との距離MD(4)を更に算出する。そして、距離MD(1),MD(2),MD(3),MD(4)に関する情報を、位置計算部53へ出力する。
識別端末501の位置計算部53は、スペース100における基地局端末601〜604の位置Po1(1)〜Po1(4)と、距離計測部52によって算出された距離MD(1)〜MD(4)に基づいて、スペース100における識別端末501の位置Po2(1)を算出する。
具体的には、位置計算部53は、次式(2)を用いて、評価関数ε(Po2)を算出する。そして、評価関数ε(Po2)が最小となるような、位置Po2(1)を識別端末501の位置として算出する。
識別端末501の位置計算部53は、算出した位置Po2(1)と、識別端末501の種類識別子、制御方法識別子、及び対象情報とに関する情報を、位置情報として通信部51を介して、管理端末20へ出力する。
図6には、識別端末501〜504に割り当てられたアドレスや各識別子を模式的に示すテーブルが示されている。図6に示されるテーブルを参照するとわかるように、種類別識別子は、識別端末501〜504が設けられた対象物が、キャビネット101、机103、ユーザ105のうちのいずれであるかを識別するためのコードである。例えば、識別端末501の位置計測部からは、識別端末が設けられた対象物がキャビネット1011であることを示す識別子が出力される。
制御方法識別子は、管理端末20によって制御されるべき制御対象物と、制御を実行するときの条件を識別するためのコードである。例えば、識別端末501の位置計測部からは、制御対象物が照明装置40であり、制御条件が、ユーザ105が近くにいることとする制御方法識別子が出力される。この制御方法識別子によれば、ユーザ105との距離が閾値以下である照明装置40の制御が行われることになる。
対象情報は、識別端末501〜504が設けられた対象物のサイズを識別するためのコードである。例えば、識別端末501の位置計測部からは、対象物としてのキャビネット1011の幅、奥行き、高さを示す情報が出力される。
以上、識別端末501の距離計測部52、及び位置計算部53の動作について説明したが、他の識別端末502,503,504の距離計測部52、及び位置計算部53も上述した手順で、スペース100における識別端末502,503,504の位置をそれぞれ算出する。そして、管理端末20へ算出した位置に関する情報を出力する。
管理端末20は、図3に示されるように、通信部21、位置検出部22、移動検出部23、照明装置選定部24、空調装置選定部25、及び制御決定部26を有している。
通信部21は、上述した空調装置30の通信部31と同様に、UWBの電波を用いて、パケット通信を行う通信インタフェースを含んで構成されている。この通信部21は、空調装置30、照明装置40、及び識別端末50と無線通信を行う。そして、外部から受信した情報を、位置検出部22へ出力する。また、位置検出部22及び制御決定部26から出力された情報を、空調装置30、照明装置40、或いは識別端末50へ出力する。
位置検出部22は、識別端末501〜505に対して、位置Po2(1)〜Po2(5)に関する情報の送信指令を通知する。識別端末501〜505は、送信指令が通知されると、位置Po2(1)〜Po2(5)に関する情報を、管理端末20に対して出力する。位置検出部22は、通信部51を介して、位置Po2(1)〜Po2(5)に関する情報を取得すると、取得した情報を移動検出部23、照明装置選定部24、及び空調装置選定部25へ出力する。
移動検出部23は、ユーザ105によって所持された識別端末505の位置Po2(5)の変化に基づいて、ユーザ105の例えば3秒後の移動先を予測する。そして、予測結果を照明装置選定部24,空調装置選定部25へ出力する。
照明装置選定部24は、識別端末501〜505の位置Po2(1)〜Po2(5)に基づいて、照明装置401〜404のうちから制御対象となる照明装置を選定する。例えば、図7に示されるように、ユーザ105が、机1032で作業している場合を考える。
この場合には、照明装置選定部24は、ユーザ105が所持する識別端末505から出力される位置情報から、ユーザ105のスペース100における位置を特定する。次に、この位置に最も近い照明装置を特定する。ここでは、ユーザ105から最も近い照明装置として照明装置402が特定される。
次に、照明装置選定部24は、照明装置402の照明範囲のうち、キャビネット1012によって、減少する範囲を特定する。図6を参照するとわかるように、机1032の制御方法識別子によると、机1032は、ユーザ105が近くにいる場合に照明対象となる。そこで、照明装置選定部24は、照明装置402による机1032の照明範囲のうち、キャビネット1012によって減少する範囲を特定する。以下、図8を参照しつつ説明する。
照明装置選定部24は、照明装置402、キャビネット1012、机1032それぞれの位置と、図6に示される対象情報とから、机1032の上面を含む平面(以下、照射面という)における照明装置402の照明範囲を算出する。具体的には、図8に示されるように、照明装置選定部24は、まず照明装置402の位置を示す点P0とキャビネット1012上面の4つの頂点それぞれとによって規定される4本の直線と、照射面との交点P1,P2,P3,P4を算出する。この交点P1〜P4によって規定される長方形の面積は、キャビネット1012を、照射面上に投影したときの面積と等価である。次に、照明装置選定部24は、交点P1〜P4によって規定される長方形と、机1032の上面とが重複する領域(重複領域)の面積を算出する。この重複領域は、机1032の上面4つの頂点P5,P6,P7,P8のうちの頂点P5,P7と、交点P2と交点P4とで規定される線分と机1032上面の外縁との交点P9,P10の、4つの点P5,P7,P9,P10によって規定される長方形の領域となる。
照明装置選定部24は、重複領域を特定すると、次に、机1032の上面の面積から、重複領域の面積を減算して、机1032の上面のうち、照明装置402からの照明光が入射する照明領域の面積を特定する。そして、照明装置402と机1032との距離と、照明装置402からの照明光の強度とに基づいて、照明領域における推定照度を算出する。
照明領域での推定照度Xは、照明装置402の光度A、照明装置402と机1032との距離B、机1032の上面の面積に対する照明領域の割合(照射割合)Cを変数とする次式(3)を用いて算出することができる。光度A、距離B、照射割合Cが、図9に示される値である場合には、照明装置402の推定照度は355[lx]となる
X=A/B2×C …(3)
照明装置選定部24は、ユーザ105が作業を行う机1032からの距離が近い順に、残りの照明装置40を順次選択して上述した処理を行うことで、照明装置40ごとに机1032に対する照明領域の照度を算出する。そして、照明領域での照度が最も高く、机1032からの距離が最も近い照明装置40を選定する。ここでは、図7を参照するとわかるように、机1032からの距離が照明装置402の次に短く、照明装置402よりも照明領域における照度が高い照明装置403が選定される。照明装置403による照明領域の照度は、444[lx]となり、照明装置402による照度を上回る。このため、照明装置選定部24は、照明装置403を選定する。そして、選定結果を制御決定部26へ出力する。
また、照明装置選定部24は、移動検出部23によって予測された移動先を受信した場合には、移動検出部23からの予測結果を考慮して照明装置の選択を行う。例えば、図7を参照するとわかるように、実線で示されるユーザ105が、矢印に沿って移動し、仮想線で示される位置に到達する場合には、照明装置選定部24は、順次照明装置401、照明装置404を選定する。そして、選定結果を、制御決定部26へ出力する。
空調装置選定部25は、識別端末501〜505の位置情報に基づいて、ユーザ105と空調装置301との間の空調空気の経路長と、ユーザ105と空調装置302との間の空調空気の経路長とを算出する。例えば、図10に示されるように、ユーザ105が、キャビネット1011,1012の−X側に位置している場合を考える。この場合、図10を参照するとわかるように、空調装置301とユーザ105との直線距離D1と、空調装置302とユーザ105との直線距離D2とを比較すると、直線距離D2の方が直線距離D1よりも短い。しかしながら、図11に示されるように、ユーザ105と空調装置302との間には、キャビネット1012が存在する。このため、空調装置302から吐出される空調空気の経路は、キャビネット1012の上方を迂回した経路となる。
そこで、空調装置選定部25は、ユーザ105と空調装置301との間の空調空気の経路長と、ユーザ105と空調装置302との間の空調空気の経路長とを比較する。そして、空調装置301と空調装置302のうち、空調空気の経路長が短くなる方の空調装置30を選択する。ここでは、キャビネット1011は、ユーザ105に比べて低いので、ユーザ105と空調装置301との間の空調空気の経路の長さは、直線距離D2とほぼ等しくなる。したがって、ここでは空調装置301が選定される。空調装置選定部25は、空調装置を選定すると、選定結果を制御決定部26へ出力する。
制御決定部26は、照明装置選定部24からの選定結果、及び空調装置選定部25からの選定結果を受信すると、選定された空調装置30について、ユーザ105の周囲温度が予め設定された温度になるように空調装置30から吐出される空調空気の温度や風向を調整する。また、制御決定部26は、ユーザ105が作業を行う机103の上面が所定の照度となるように、選定された照明装置40の出力を制御する。
また、空調装置30及び照明装置40の制御方法としては、ユーザ105が移動中の場合は、出力を抑え、什器の近傍にユーザがいる場合には、ユーザが作業中であると判断して、出力を高めることが考えられる。また、ユーザ105が、スペース105に存在しない場合には、空調装置30及び照明装置40を停止させることとしてもよい。
以上説明したように、本実施形態では、スペース100に存在するユーザ105や、キャビネット101、机103等の物体の位置が検出される。次に、ユーザ105と、上述の物体との位置関係に基づいて、ユーザ105の周囲環境の調整に最適な空調装置30及び照明装置40が選定される。そして、選定された空調装置30及び照明装置40が、ユーザ105の周囲環境を調整するために制御される。つまり、本実施形態では、ユーザ105の周囲環境を調整するために最適な空調装置30或いは照明装置40が制御される。したがって、ユーザ105の周囲環境を効率よく調整することができ、結果的に空調装置30や照明装置40等の設備機器の稼働効率が向上する。
また、本実形態では、スペース100に配置されたユーザ105や、キャビネット101及び机103に代表される物体の位置は、物体それぞれに設けられた識別端末50のスペース100における位置に基づいて検出される。このため、スペース100の内部で、キャビネット101や机103の配置を変更しても、それぞれの物体の位置がまた新たに検出され、検出された位置に応じて空調装置30や照明装置40が新たに選定される。したがって、スペース100の内部のレイアウトを変えたとしても、人為的な操作なしで、設備機器の効率的な運用が可能となる。
また、本実施形態では、照明装置選定部24が、1つの照明装置40を選定する場合について説明した。これに限らず、スペース100が比較的大きなフロアなどである場合には、照明領域での照度が高いものから優先的に複数の照明装置を選択することとしてもよい。また、ユーザ105からの距離が例えば3m以内の複数の照明装置を選択することとしてもよい。
また、上記実施形態では、空調装置選定部25が、1つの空調装置30を選定する場合について説明した。これに限らず、空調空気の経路が短いものから優先的に複数の空調装置30を選択することとしてもよい。これにより、各照明装置40及び空調装置30の負荷を軽減することができる。また、ユーザ105からの距離が例えば3m以内の複数の空調装置を選択することとしてもよい。
また、本実施形態では、識別端末50を構成する距離計測部52と位置計算部53とが協働することで、スペース100における識別端末50の位置が算出された。これに限らず、管理端末20や基地局端末60等が、識別端末50と基地局端末60との距離を用いて、各識別端末50の位置を検出することとしてもよい。これにより、識別端末50のメモリやCPU等を含む制御ユニットの小型化、低コスト化を図ることができる。特に、用意すべき識別端末50の数が多い場合には、システムの大幅な低コスト化を図ることができる。
また、本実施形態では、識別端末50と基地局端末60との間を電磁波が伝播する時間に基づいて、識別端末50と基地局端末60との距離を算出した。これに限らず、識別端末50と基地局端末60との間を伝播される電磁波の減衰量に基づいて、識別端末50と基地局端末60との距離を算出してもよい。
また、本実施形態では、管理端末20が、スペース100の壁面に設けられている場合について説明した。これに限らず、管理端末20を照明装置40や空調装置30等と一体化してもよい。
また、識別端末50は、温度センサを備えていてもよい。これによれば、管理端末20は、識別端末50によって計測された温度に関する情報(温度情報)を取得し、取得した温度情報に基づいて、空調装置30等を制御することができる。
また、識別端末50は、データを受け付けるためのインタフェースを有していても良い。これによれば、ユーザによって、暑い、寒い等の空調関係の情報が入力された場合に、入力された情報に基づいて、空調装置30を制御することが可能となる。また、明るい、暗い等の照明関係の情報が入力された場合に、入力された情報に基づいて、照明装置40を制御することが可能となる。
《第2の実施形態》
次に、本発明の第2の実施形態ついて、図面を参照しつつ説明する。なお、第1の実施形態と同一又は同等の構成については、同等の符号を用いるとともに、その説明を省略又は簡略する。図12は、本実施形態に係る制御システム10Aのブロック図である。本実施形態に係る制御システム10Aは、管理端末20、識別端末50、及び基地局端末60が、マイクロコンピュータやパソコンと同等に構成されている点で、第1の実施形態に係る制御システム10と相違している。
図12に示されるように、管理端末20は、CPU20a、主記憶部20b、補助記憶部20c、及び通信部20dを有している。
主記憶部20bは、RAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリから構成され、CPU20aの作業領域として用いられる。また、補助記憶部20cは、ハードディスクなどの不揮発性メモリを含んで構成され、CPU20aが実行するプログラムを記憶している。また、補助記憶部20cは、各識別端末50から送信される情報を逐次記憶する。
同様に、識別端末50は、CPU50a、主記憶部50b、補助記憶部50c、及び通信部50dを有している。また、基地局端末60は、CPU60a、主記憶部60b、補助記憶部60c、及び通信部60dを有している。
制御システム10Aでは、識別端末50による位置Po2の算出は、図13に示されるフローチャートにしたがって行われる。以下、図13を参照しつつ、識別端末50のCPU50aが実行する処理について説明する。
最初のステップS301では、CPU50aは、カウンタnをリセットする。
次のステップS302では、CPU50aは、管理端末20から位置検出要求があったか否かを判断する。CPU50aは、通信部20dを介して、位置検出要求を受信した場合には(ステップS302:Yes)、次のステップS303へ移行する。また、位置検出要求を未だ受信していない場合には(ステップS302:No)、ステップS301へ戻り、以降ステップS302での判断が肯定されるまで、ステップS301及びステップS302の処理を繰り返し実行する。
ステップS303では、CPU50aは、カウンタnの値をインクリメントする。
次のステップS304では、CPU50aは、n番目の基地局端末60との距離を計測する。例えば図2に示されるように、スペース100に基地局端末60が4つ設置されている場合には、基地局端末60に割り当てられたアドレスに従って、基地局端末60がカウントされる。そして、CPU50aは、該当する基地局端末60との距離を、第1の実施形態で説明した手順で計測する。
次のステップS305では、CPU50aは、カウンタnが基地局端末の数(例えば4)より小さいか否かを判断する。カウンタnの値が基地局端末の数より小さい場合には(ステップS305:Yes)、CPU50aは、ステップS303へ戻り、以降ステップS305での判断が否定されるまで、ステップS303乃至S305の処理を繰り返し実行する。これにより、識別端末50と、4つの基地局端末60との距離MD(1)〜MD(4)がそれぞれ計測される。
一方、カウンタnの値が基地局端末の数以上である場合には(ステップS305:No)、CPU50aは、次のステップS306へ移行する。
次のステップS306では、上記式(2)を用いて、評価関数ε(Po2)を算出する。そして、評価関数ε(Po2)が最小となるような、位置Po2を識別端末50の位置として算出する。
次のステップS307では、CPU50aは、算出した位置Po2と、識別端末50の種類識別子、制御方法識別子、及び対象情報とに関する情報を、位置情報として通信部51を介して、管理端末20へ出力する。
CPU50aは、ステップS307の処理が終了すると、ステップS301へ戻り、以降ステップS301〜S307の処理を繰り返し実行する。
また、制御システム10Aでは、管理端末20による位置情報の取得は、図14に示されるフローチャートにしたがって行われる。以下、図14を参照しつつ、管理端末20のCPU20aが実行する処理について説明する。
最初のステップS401では、CPU20aは、カウンタnをリセットする。
次のステップS402では、CPU20aは、カウンタnをインクリメントする。
次のステップS403では、CPU20aは、n番目の識別端末50へ位置情報の送信指令を出力する。例えば図2に示されるように、スペース100に識別端末50が5つ設置されている場合には、識別端末50に割り当てられたアドレスに従って、識別端末50がカウントされる。そして、CPU20aは、該当する識別端末50に対して、送信指令を出力する。
次のステップS404では、CPU20aは、位置情報を待ち受ける。そして、位置情報を受信したら(ステップS404:Yes)、ステップS405へ移行する。
次のステップS405では、CPU20aは、受信した位置情報を、この位置情報を送信した識別端末50を特定する情報とともに、補助記憶部20cへ格納する。
一方、位置情報を受信しなかった場合には(ステップS404:No)、ステップS406へ移行する。
次のステップS406では、CPU20aは、送信指令を出力してから所定の時間(例えば1分)が経過したか否かを判断する。ステップs406での判断時に所定時間が経過していない場合には、CPU20aは、ステップS404へ戻り、ステップS406での判断が肯定されるまで、ステップS404、及びステップS406の処理を繰り返し実行する。
一方、ステップS406での判断時に所定の時間が経過している場合には、CPU20aは、通信がタイムアウトしたものと判断し(ステップS406:Yes)、次のステップS407へ移行する。
ステップS407では、CPU20aは、カウンタnの値が識別端末50の数(例えば5)より小さい否かを判断する。カウンタnの値が識別端末50の数より小さい場合には(ステップS407:Yes)、CPU20aは、ステップS402へ戻り、以降ステップS407での判断が否定されるまで、ステップS402乃至ステップS407の処理を繰り返し実行する。一方、カウンタnの値が識別端末50の数以上である場合には(ステップS407:No)、CPU20aは、位置情報を取得するための処理を終了する。
また、制御システム10Aでは、管理端末20によるユーザ105の移動の検出は、図15に示されるフローチャートにしたがって行われる。以下、図15を参照しつつ、管理端末20のCPU20aが実行する処理について説明する。
最初のステップS501では、CPU20aは、カウンタnをリセットする。
次のステップS502では、CPU20aは、カウンタnをインクリメントする。
次のステップS503では、CPU20aは、n番目のユーザ105の移動を検出する。ユーザ105の移動は、ユーザ105によって所持された識別端末50の位置Po2の変化に基づいて、ユーザ105の移動先を予測する。具体的には、現在の位置Po2と、1フレーム前に取得した位置Po2との差と閾値を比較することにより、移動速度と移動方向を算出する。そして、算出した結果に基づいてユーザ105の移動先を予測する。上述の閾値は、例えばユーザの歩行速度が4kmであるものとして決定することが考えられる。
次のステップS504では、CPU20aは、ステップS503で算出した移動距離が、閾値以上か否かを判断する。そして、移動距離が閾値より大きい場合は(ステップS504:Yes)、ステップS505へ移行する。また移動距離が閾値以下の場合は(ステップS504:No)、ステップS506へ移行する。
ステップS505では、CPU20aは、移動フラグをオンにする。一方、ステップS506では、CPU20aは、移動フラグをオフにする。これにより、移動フラグに基づいて、n番目のユーザ105が移動中であるか否かが判別可能となる。
次のステップS507では、CPU20aは、カウンタnの値がユーザ105の数よりも小さいか否かを判断する。カウンタnの値がユーザ105の数より小さい場合には(ステップS507:Yes)、CPU20aは、ステップS502へ戻り、以降ステップS507での判断が否定されるまで、ステップS502乃至ステップS507の処理を繰り返し実行する。一方、カウンタnの値がユーザ105の数以上である場合には(ステップS507:No)、CPU20aは、ユーザ105の移動を検出するための処理を終了する。
また、制御システム10Aでは、管理端末20による照明装置40及び空調装置30の選択と、選択された装置の制御方法の決定は、図16に示されるフローチャートにしたがって行われる。以下、図16を参照しつつ、管理端末20のCPU20aが実行する処理について説明する。
最初のステップS601では、CPU20aは、カウンタnをリセットする。
次のステップS602では、CPU20aは、カウンタnの値をインクリメントする。
次のステップS603では、CPU20aは、n番目のユーザ105が移動中であるか否かを判断する。この判断は、移動フラグに基づいて行う。n番目のユーザ105が移動中でない場合には(ステップS603:No)、次のステップS604へ移行する。
ステップS604では、CPU20aは、カウンタmをリセットする。
次のステップS605では、CPU20aは、カウンタmをインクリメントする。
次のステップS606では、スペース100に配置されたm番目の什器とユーザ105との距離を、第1の実施形態で説明した手順で計算する。例えば図2に示されるように、スペース100にキャビネット101及び机103等の6つの什器が配置されている場合には、各什器に設けられた識別端末50に割り当てられたアドレスに従って、什器がカウントされる。CPU20aは、該当する什器とユーザ105との距離を計算する。
次のステップS607では、CPU20aは、カウンタmの値が什器の数(例えば4)より小さいか否かを判断する。カウンタmの値が什器の数より小さい場合には(ステップS607:Yes)、CPU20aは、ステップS605へ戻り、以降ステップS607での判断が否定されるまで、ステップS605乃至S607の処理を繰り返し実行する。これにより、スペース100に配置された2つのキャビネット101及び2つの机103と、ユーザ105との距離が順次算出される。
一方、カウンタmの値が什器の数以上である場合には(ステップS607:No)、CPU20aは、次のステップS608へ移行する。
次のステップS608では、CPU20aは、照明装置40を選定するために、図17に示されるサブルーチン700を実行する。
サブルーチン700の最初のステップS701では、CPU20aは、カウンタiをリセットする。
次のステップS702では、CPU20aは、カウンタiをインクリメントする。
次のステップS703では、CPU20aは、i番目の照明装置40による照明領域を特定する。例えば図2に示されるように、スペース100に4つの照明装置40が配置されている場合には、各照明装置40に割り当てられたアドレスに従って、照明装置40がカウントされる。そして、CPU20aは、該当する照明装置40の照明領域を、第1の実施形態で説明した手順で特定する。
次のステップS704では、CPU20aは、特定した照明領域における照度を、第1の実施形態で説明した手順で推定する。
次のステップS705では、CPU20aは、カウンタiの値が照明装置40の数以下か否かを判断する。カウンタiの値が照明装置40の数以下である場合には(ステップS705:Yes)、CPU20aは、ステップS702へ戻り、以降ステップS705での判断が否定されるまで、ステップS702乃至ステップS705の処理を繰り返し実行する。これにより、各照明装置40についての照度が順次推定される。
一方、カウンタiの値が照明装置40の数より大きい場合には(ステップS705:No)、CPU20aは、次のステップS706へ移行する。
ステップS706では、CPU20aは、ステップS705で推定された照度が最も大きくなる照明装置40を選定する。ステップS706での処理が終了すると、CPU20aは、サブルーチン700を終了し、ステップS609へ移行する。
ステップS609では、CPU20aは、空調装置30を選定するために、図18に示されるサブルーチン800を実行する。
サブルーチン800の最初のステップS801では、CPU20aは、カウンタiをリセットする。
次のステップS802では、CPU20aは、カウンタiをインクリメントする。
次のステップS803では、CPU20aは、i番目の空調装置30とユーザ105との間の空調空気の経路長を計測する。例えば図2に示されるように、スペース100に2つの空調装置30が配置されている場合には、各空調装置30に割り当てられたアドレスに従って、空調装置30がカウントされる。そして、CPU20aは、該当する空調装置30とユーザ105との間の経路長を、第1の実施形態で説明した手順で計測する。
次のステップS804では、カウンタiの値が空調装置30の数より小さいか否かを判断する。カウンタiの値が空調装置30の数より小さい場合には(ステップS804:Yes)、CPU20aは、ステップS802へ戻り、以降ステップS804での判断が否定されるまで、ステップS802乃至ステップS804の処理を繰り返し実行する。これにより、各空調装置30についての経路長が順次算出される。
一方、カウンタiの値が空調装置30の数以上である場合には(ステップS8045:No)、CPU20aは、次のステップS805へ移行する。
ステップS805では、CPU20aは、ステップS804で算出された経路が最も小さくなる空調装置30を選定する。ステップS805での処理が終了すると、CPU20aは、サブルーチン800を終了し、ステップS611へ移行する。
一方、ステップS603において、n番目のユーザ105が移動中である場合には(ステップS603:Yes)、CPU20aは、ステップS610へ移行する。そして、ステップS610で、ユーザ105の現在の位置及び移動先の位置から、例えば最も近いところにある照明装置40及び空調装置30を選択する。
次のステップS611では、CPU20aは、選定された照明装置40及び空調装置30の制御方法を、第1の実施形態で説明した手順で決定する。
次のステップS612では、カウンタnの値がユーザ105の数よりも小さいか否かを判断する。カウンタnの値がユーザ105の数より小さい場合には(ステップS612:Yes)、CPU20aは、ステップS602へ戻り、以降ステップS612での判断が否定されるまで、ステップS602乃至ステップS612の処理を繰り返し実行する。これにより、スペース100に存在する複数のユーザ105それぞれに対応する照明装置40及び空調装置30の制御方法が決定される。
一方、カウンタnの値がユーザ105の数以上である場合には(ステップS612:No)、CPU20aは、次のステップS613へ移行する。
ステップS613では、ステップS611で決定した制御方法を、各照明装置40及び空調装置30へ通知する。ステップS613での処理が終了すると、CPU20aは、制御を決定するための処理を終了する。
以上説明したように、管理端末20や、識別端末50、及び基地局端末60として、マイクロコンピュータやパソコン等を用いることができる。
《第3の実施形態》
次に、本発明の第3の実施形態ついて、図面を参照しつつ説明する。なお、上記実施形態と同一又は同等の構成については、同等の符号を用いるとともに、その説明を省略又は簡略する。本実施形態に係る制御システム10Bは、2つの画像に対してステレオマッチング処理を行うことにより、スペース100に存在する物体の位置を検出する点で、上記各実施形態に係る制御システム10,10Bと異なる。
図19は、本実施形態に係る制御システム10Bのブロック図である。図19に示されるように、制御システム10Bは、管理端末20と無線通信を行うことが可能な位置検出部80を有している。
図20は、位置検出部80のブロック図である。図20に示されるように、位置検出部80は、通信部81、位置計算部82、第1撮影部83A、及び第2撮影部83Bを有している。
通信部81は、UWBの電波を用いて、パケット通信を行う通信インタフェースを含んで構成されている。この通信部81は、管理端末20と無線通信を行う。そして、管理端末20から出力される情報を受信すると、受信した情報を位置計算部82へ出力する。
第1撮影部83A及び第2撮影部83Bは、例えばCCD等の撮像素子を有するデジタルカメラである。これらの第1撮影部83A及び第2撮影部83Bは、それぞれの光軸が相互に平行となった状態で、例えばスペース100の内壁或いは天井に設置されている。図21は、第1撮影部83Aの焦点F1及び像面PLと、第2撮影部83Bの焦点F2と像面PRとの位置関係を模式的に示す図である。この図21を参照するとわかるように、第1撮影部83Aの光軸はZ軸と一致し、第2撮影部83Bの光軸はZ軸と平行な直線Lと一致している。また、第1撮影部83Aと第2撮影部83Bとの距離はdであり、第1撮影部83A,第2撮影部83Bそれぞれの焦点距離はfである。
第1撮影部83Aは、スペース100の内部を撮影すると、撮影結果としてのデジタル画像Ph1に関するデータを位置計算部82へ出力する。また、第2撮影部83Bは、スペース100の内部を撮影すると、撮影結果としてのデジタル画像Ph2に関するデータを位置計算部82へ出力する。
図22は、デジタル画像Ph1とデジタル画像Ph2を示す図である。図22に示されるように、デジタル画像Ph1とデジタル画像Ph2は、それぞれの画像に写りこむ物体のアングルが異なった、いわゆるステレオ画像となる。
位置計算部82は、例えばパーソナルコンピュータ或いはマイクロコンピュータである。この位置計算部82は、デジタル画像Ph1及びデジタル画像Ph2に対して、ステレオマッチング処理等の画像処理を実行することで、スペース100における物体、例えばキャビネット101や机103の位置を検出する。図23を参照するとわかるように、スペース100における被写体の位置P1の座標を(x1,x2,x3)とし、像面PLでの被写体の位置P2の座標を(XL,YL,f)とし、像面PRでの被写体の位置P3の座標を(XR,YR,f)とすると、スペース100での被写体の位置P1は、次式(4)で表される。
位置計算部82は、上記式(4)を用いて、スペース100に配置された物体それぞれの位置を計算する。そして、算出した物体の位置情報を、通信部81を介して、管理端末20へ出力する。
次に、上述した位置検出部80を構成する位置計算部82の動作を、図24のフローチャートを参照しつつ説明する。
最初のステップS901では、位置計算部82は、管理端末20から位置検出要求があったか否かを判断する。位置計算部82は、通信部81を介して、位置検出要求を受信した場合には(ステップS901:Yes)、次のステップS902へ移行する。
次のステップS902では、位置計算部82は、第1撮影部83A及び第2撮影部83Bに対して、スペース100の撮影を指示する。これにより、第1撮影部83A及び第2撮影部83Bによる撮影が実行され、位置計算部82へデジタル画像Ph1,Ph2のデータが出力される。
次のステップS903では、位置計算部82は、デジタル画像Ph1,Ph2に写りこむ物体を検出する。
次のステップS904では、位置計算部82は、デジタル画像Ph1,Ph2にステレオマッチング処理等の画像処理を施し、デジタル画像Ph1,Ph2に写りこむ物体の位置を算出する。
次のステップ905では、位置計算部82は、算出した物体の位置情報を、通信部81を介して管理端末20へ出力する。ステップS905での処理が終了すると、位置計算部82は、ステップS901へ戻り、移行ステップS901乃至ステップS905の処理を繰り返し実行する。
管理端末20は、物体の位置情報を受信すると、この位置情報に基づいて、空調装置30及び照明装置40を選択し、物体の配置に応じた制御を実行する。
以上説明したように、本実施形態では、スペース100に存在するユーザ105や、キャビネット101、机103等の物体の位置が検出される。次に、ユーザ105と、上述の物体との位置関係に基づいて、ユーザ105の周囲環境の調整に最適な空調装置30及び照明装置40が選定される。そして、選定された空調装置30及び照明装置40が、ユーザ105の周囲環境を調整するために制御される。つまり、本実施形態では、ユーザ105の周囲環境を調整するために最適な空調装置30或いは照明装置40が制御される。したがって、ユーザ105の周囲環境を効率よく調整することができ、結果的に空調装置30や照明装置40等の設備機器の稼働効率が向上する。
また、本実施形態では、スペース100に配置されるキャビネット101や机103ごとに、識別端末50を割り当てる必要がない。このため、システムを簡素化することができる。したがって、システムの製造コスト及びランニングコストを削減することが可能となる。
なお、本実施形態では、位置検出部80が、2つの撮影部を有している場合について説明した。これに限らず、例えば、スペース100に、物体による死角が多く形成される場合には、位置検出部80は、3つ以上の撮影部を用いて、物体の検出を行ってもよい。
また、本実施形態では、位置検出部80が、2つの撮影部を有している場合について説明した。これに限らず、1つの撮像部を移動させながら、視点の異なるデジタル画像を取得することとしてもよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記各実施形態によって限定されるものではない。例えば、上記各実施形態では、基地局端末60の数が4つである場合について説明したが、基地局端末60は、5つ以上であってもよい。また、上記各実施形態では、識別端末50の数が5つである場合について説明したが、識別端末50は、6つ以上であってもよい。要は、スペース100の容量に応じた数の基地局端末60及び識別端末50を配置すればよい。この場合、識別端末50及び基地局端末60は、マルチホップ通信を行うこととしてもよい。
また、スペース100に配置される什器が大型のものであったり、形状が複雑である場合には、1つの什器に複数の識別端末50を割り当ててもよい。これにより、什器の形状や大きさの推定を容易に行うことが可能となる。また、この場合には、識別端末50の取り付け位置を示す識別子を用意することが望ましい。
また、本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。上述した実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。つまり、本発明の範囲は、実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。