JP5595038B2 - 分析物センサ装置ならびにその製造方法、組成物及びキット - Google Patents

分析物センサ装置ならびにその製造方法、組成物及びキット Download PDF

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Description

<関連出願の相互参照>
本出願は、2002年10月18日に出願された米国特許出願第10/273,767号(米国特許出願公開第2004/0074785号として公開)、2004年6月4日に出願された米国特許出願第10/861,837号、2005年12月13日に出願された米国特許出願第11/301,512号および2006年4月4日に出願された米国特許出願第11/397,543号に関連し、これらの各々の内容は参照により本明細書に組み入れられる。
本発明は、糖尿病の管理において使用されるグルコースセンサなどの分析物センサ、およびそのようなセンサを製造するための材料、例えば櫛形共重合体膜材料に関する。
バイオセンサなどの分析物センサは、マトリクス中の化学分析物を検出可能な信号に変換する生物学的要素(biological element)を使用する装置を含む。広範囲の分析物に対し使用される多くの型のバイオセンサが存在する。最も研究されているバイオセンサの型は、電流測定グルコースセンサであり、これは糖尿病に対しグルコースレベル制御を成功させるのに重大である。
典型的なグルコースセンサは下記の化学反応に従い機能する。
Figure 0005595038
グルコースと酸素との間の反応を触媒し、グルコン酸および過酸化水素を生成させるためにグルコースオキシダーゼを使用する(式1)。Hは式2で示されるように電気化学的に反応し、ポテンシオスタットにより電流を測定する。
体内でこの型のグルコースを使用する際の重要な問題は、ヒトの体内の酸素濃度は、グルコース濃度に比べ低すぎることである。この問題を解決するためのいくつかのアプローチが過去試みられている。最も単純な方法は、十分酸素透過性の材料から多孔質膜を形成することである。しかしながら、グルコースのために配置された少量の酵素が不活性化される傾向がある(例えば、内容が参照により組み込まれる、米国特許第4,484,987号を参照されたい)。別のアプローチは、酸素透過性およびグルコース透過性の制御を制限する疎水性領域および親水性領域を有する均質ポリマー膜を作製することである(例えば、内容が参照により組み込まれる、米国特許第5,428,123号、同第5,322,063号、同第5,476,094号を参照されたい)。
安定で、高感度の酵素バイオセンサに対する解決の鍵は、センサ出力は、対象の分析物によってのみ限定されなければならず、いずれの補基質(co−substrate)または拡散などの動力学的に制御されるパラメータによって限定されてはならない、ということである。バイオセンサの出力電流を最大とするために、酸素拡散は、反応表面で酸素過剰を維持しながら、可能な限り高くするべきである。シリコーンは任意のポリマー材料のうち酸素に対し最も高い透過性を有するが、グルコースに対して完全に不透過性であるため、グルコースセンサのための膜として直接使用するには役に立たない。ヴァンアントワープ(Van Antwerp)らは、高い酸素透過性を付与するシリコーン疎水性成分および制限されたグルコース透過性を付与する親水性成分を有する直鎖ランダムポリ尿素膜の開発に成功している(例えば、米国特許第5,777,060号、同第5,882,494号および同第6,642,015 B2号を参照されたい)。
米国特許第4,484,987号明細書 米国特許第5,428,123号明細書 米国特許第5,322,063号明細書 米国特許第5,476,094号明細書 米国特許第5,777,060号明細書 米国特許第5,882,494号明細書 米国特許第6,642,015号明細書
しかしながら、ポリエチレングリコール(PEG)含有親水性材料のみがそのような膜のための最適な構成要素であると考えられていた。
本明細書で開示した発明は、電流測定グルコースセンサなどのセンサおよびそのようなセンサと共に使用するための改良材料を提供する。
本発明の実施形態は、高い酸素透過性を付与する側鎖としてのシリコーン材料および制御可能なグルコース透過性を付与する側鎖もしくは主鎖のいずれかとしての他の親水性材料を有するシリコーン系櫛状共重合体を含む分析物制限膜を含む複数の層状要素を有するセンサを含む。そのようなポリマー膜は、インビボ用途のための電気化学センサの構築において特に有用であり、本発明の実施形態は、これらのポリマー膜を組み入れる特定のバイオセンサ構造を含む。本発明の実施形態に係る膜により、酸素透過性およびグルコース透過性を含む所望の特性の組み合わせが可能である。シリコーン材料が存在するため、これらのポリマー膜は、外側ポリマー膜として使用するのに良好な機械特性を有し、そのようなポリマー膜を組み入れたグルコースセンサは良好なインビボ性能を示す。本発明により、熟練者はポリエチレングリコール(PEG)などの従来使用されている材料に加えて、広範囲にわたる異なる親水性材料を使用することができる。
本明細書で開示した発明は多くの実施形態を有する。1つの実施形態は、哺乳類の体内に埋め込むための分析物センサ装置であって、該分析物センサ装置は、基層と、基層上に配置された、作用電極を含む導電層と、導電層上に配置され、分析物が存在すると導電層内の作用電極での電流を検出できるように変化させる分析物感知層と、分析物感知層上に配置され、通過する分析物の拡散を調節する分析物調節層と、を備え、該分析物調節層は中心鎖と中心鎖に結合された複数の側鎖とを有する親水性櫛型コポリマーを含み、少なくとも1つの側鎖はシリコーン部分を含む。典型的には、少なくとも1つの側鎖部分は酸素原子に共有結合されたケイ素原子(−Si−O−)を含む。場合によっては、少なくとも1つの側鎖は親水性である。場合によっては、少なくとも1つの側鎖は疎水性である。本発明のある実施形態は親水性残基および疎水性残基の両方を含む。本発明のいくつかの実施形態では、側鎖が結合される中心鎖は親水性である。
本発明の別の実施形態は、基層を用意する工程と、基層上に、作用電極を含む導電層を形成する工程と、導電層上に、分析物が存在すると導電層内の作用電極での電流を変化させることができる組成を含む分析物感知層を形成する工程と、場合によっては、分析物感知層上にタンパク質層を形成する工程と、分析物感知層または場合により任意に形成させたタンパク質層上に接着促進層を形成する工程と、接着促進層上に配置され、通過する分析物の拡散を調節する組成物を含み、中心鎖と中心鎖に結合された複数の側鎖とを有する親水性櫛型コポリマーを含み、少なくとも1つの側鎖はシリコーン部分を含む分析物調節層を形成する工程と、分析物調節層の少なくとも一部上に配置され、分析物調節層の少なくとも一部上方に開口をさらに含むカバー層を形成する工程と、を含む哺乳類の体内に埋め込むためのセンサ装置の製造方法である。
本発明のさらに別の実施形態は、基層と、基層上に配置され、作用電極を含む導電層と、導電層上に配置され、分析物が存在すると導電層内の作用電極での電流を検出できるように変化させる分析物感知層と、分析物感知層上に配置され、通過する分析物の拡散を調節し、中心鎖と中心鎖に結合された複数の側鎖とを有する親水性櫛型コポリマーを含み、少なくとも1つの側鎖はシリコーン部分を含む分析物調節層と、を備える分析物センサを哺乳類の体内に埋め込む工程と、作用電極での電流変化を感知し、電流変化を分析物の存在と相関させ、分析物を感知する工程と、を含む哺乳類の体内の分析物を感知する方法である。
本発明はまた、センサ要素、センサセットおよびキットを含む追加の製品を提供する。1つのそのような実施形態では、上記で記載したように分析物を感知するために有用な、キットおよび/またはセンサ要素もしくはセンサセットが提供される。キットおよび/またはセンサセットは典型的には、容器と、ラベルと、上記のようなセンサとを含む。典型的な実施形態は、容器と、その容器内に、本明細書で開示したような設計を有する分析物センサ装置と、分析物センサ装置を使用するための使用説明書と、を備えるキットである。
本発明の別の実施形態は、櫛型コポリマー自体、例えば、中心鎖と中心鎖に結合された複数の側鎖とを有し、少なくとも1つの側鎖がシリコーン部分を有する親水性櫛型コポリマーを含む組成物、を含む。典型的には、シリコーン部分を含む少なくとも1つの側鎖部分は酸素原子に共有結合されたケイ素原子(−Si−O−)を含む。本発明のある実施形態では、少なくとも1つの側鎖の骨格または主鎖は2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15の原子を含む。場合によっては、少なくとも1つの側鎖は親水性である。場合によっては、少なくとも1つの側鎖は疎水性である。本発明のある実施形態は親水性残基および疎水性残基の両方を含む。本発明のいくつかの実施形態では、側鎖が結合される中心鎖は親水性である。本発明の1つの例示的な実施形態では、中心鎖はポリビニルポリマー、例えばポリビニルアセテート、アクリラート、アクリルアミド、アクリロニトリルまたはピロリドンのサブユニットを含む。本発明の別の例示的な実施形態では、中心鎖はポリエチレンまたはポリプロピレンのサブユニットを含む。典型的には、これらの組成物はフリーラジカル共重合を含むプロセスにより作製される。
本発明の他の目的、特徴および利点は当業者には下記詳細な説明から明らかであろう。しかしながら、詳細な説明および具体例は、本発明のいくつかの実施形態を示すが、説明のために用意したものであり、制限するものではないことを理解すべきである。本発明の範囲内の多くの変更および改変が、本発明の精神から逸脱せずに可能であり、本発明はそのような改変を全て含む。
グルコースとグルコースオキシダーゼとの間の周知の反応の概略図である。段階的な様式で示されるように、この反応にはグルコースオキシダーゼ(GOx)、グルコースおよび水中の酸素が関与する。還元的半反応では、2つのプロトンおよび電子がβ−D−グルコースから酵素に移動され、d−グルコノラクトンが得られる。酸化的半反応では、分子酸素により酵素が酸化され、過酸化水素が得られる。d−グルコノラクトンはその後、水と反応し、ラクトン環が加水分解され、グルコン酸が生成する。本発明のある電気化学センサでは、この反応により生成する過酸化水素は、作用電極で酸化される(H→2H+O+2e)。 本発明の典型的な分析物センサ構造の線図である。 シリコーン材料、親水性部分よび疎水性部分からの例示的な重合反応を示す図である。 本発明における例示的なシリコーン材料を示す図である。 本発明における例示的な親水性材料を示す図である。 本発明における例示的な疎水性材料を示す図である。 本発明における例示的な櫛型コポリマーの赤外スペクトルを示す図である。 本発明の例示的なポリマーで被覆された電極を有する例示的なグルコースセンサの概略上面図である。 酵素および本発明のポリマー組成物の層で被覆された作用電極の断面図である。 異なるグルコース溶液中の櫛型コポリマーセンサのインビトロ性能を示すグラフである。 イヌモデルにおける櫛型コポリマーセンサのインビボ性能を示すグラフである。
特に他に規定されていなければ、技術用語、表記、および他の科学用語または専門用語はすべて、本発明が属する技術分野の当業者により普通に理解される意味を有するものとする。場合によっては、普通に理解される意味を有する用語が、明確にするために、および/またはすぐ参照できるように本明細書で規定され、本明細書にそのような規定が含まれても、必ずしも、当技術分野で一般に理解されるものに対し実質的な違いを示すものと考えるべきではない。本明細書で記載し、または言及された技術および手順の多くが、当業者によりよく理解されており、従来の方法を用いて一般に使用されている。必要に応じて、特に他に記載がなければ、市販のキットおよび試薬を使用する手順を、製造者が規定したプロトコルおよび/またはパラメータに従い一般に実施する。多くの用語を下記で規定する。
本明細書で使用されるように、「分析物」という用語は、広範な用語であり、その通常の意味で使用され、分析することができる生物流体(例えば、血液、間質液、脳脊髄液、リンパ液または尿)などの流体中の物質または化学成分を示すことが挙げられるが、それらに限定されない。分析物は、天然物質、人工物質、代謝産物、および/または反応生成物を含むことができる。いくつかの実施形態では、感知領域、装置、および方法による測定のための分析物はグルコースである。しかしながら、他の分析物も同様に企図され、ラクテートが挙げられるが、それに限定されない。血液または間質液中で自然に生じる塩、糖、タンパク質、脂肪、ビタミンおよびホルモンはある実施形態では分析物を構成することができる。分析物は生物流体中に自然に存在することができ、または内在性である;例えば、代謝産物、ホルモン、抗原、抗体、など。また、分析物は体内に導入することができ、または外因性であり、例えば、イメージング用の造影剤、放射性同位体、化学薬品、フルオロカーボンに基づく人工血液、またはインスリンを含むがそれに限定されない薬物もしくは薬学的組成物である。薬物および薬学的組成物の代謝産物もまた企図された分析物である。
本明細書で使用されるように、「センサ」という用語は、広範な用語であり、通常の意味で使用され、分析物を検出する分析物モニタ装置の1つまたは複数の部分を含むがそれらに限定されない。1つの実施形態では、センサは、センサ本体を通過し、それ内に固定され、本体の1つの位置で電気化学的に反応性の表面、本体の別の位置で電子接続を形成する、作用電極と、参照電極と、必要に応じて使用される対電極とを有する電気化学セルと、本体に固定され、電気化学的に反応性の表面を被覆する膜システムとを含む。センサの一般動作中、生物試料(例えば、血液または間質液)、またはその一部が酵素(例えば、グルコースオキシダーゼ)と(直接か、1つもしくは複数の膜またはドメインを通過した後)接触し;生体試料(またはその一部)の反応により、生体試料中の分析物レベルの決定を可能にする反応生成物が形成する。
本明細書で使用されるように、「電気化学セル」という用語は、広範な用語であり、その通常の意味で使用され、化学エネルギーが電気エネルギーに変換される装置が挙げられるが、それに限定されない。そのようなセルは、互いに離され、電解質溶液と接触させて保持される、典型的には2つまたはそれ以上の電極から構成される。電極の直流電源への接続により、電極の1つが負に帯電され、もう一方が正に帯電される。電解質中の陽イオンが陰極(カソード)に移動し、そこで、1つまたは複数の電子と結合し、それらの電荷の一部または全てを失い、より低い電荷を有する新規イオンもしくは中性原子または分子となり;同時に、陰イオンは陽極(アノード)に移動し、1つまたは複数の電子をそれに移し、新規イオンまたは中性粒子となる。2つのプロセスの全体効果は、陰イオンから陽イオンへの電子の移動、化学反応である。
本明細書で使用されるように、「電気化学的反応表面」および「電気活性表面」という用語は、広範な用語であり、その通常の意味で使用され、電気化学反応が起こる電極の表面を含むが、それに限定されない。1つの実施例では、作用電極が、電流が発生する、検出される分析物の酵素触媒反応により発生する過酸化水素を測定する(例えば、グルコースオキシダーゼを使用するグルコース分析物の検出では、副産物としてHが生成し、Hは作用電極の表面と反応し、2つのプロトン(2H)、2つの電子(2e)および1つの酸素分子(O)が発生し、発生した電流が検出される)。対電極の場合、還元性種、例えばOが電極表面で還元され、作用電極により発生した電流が平衡化される。
本明細書で使用されるように「感知領域」という用語は、広範な用語であり、その通常の意味で使用され、特別な分析物の検出に関与するモニタリング装置の領域が挙げられるが、それに限定されない。例示的な実施形態では、感知領域は、本体を通過し、本体内に固定され、本体上に電気化学的反応表面および本体上の別の位置に電子接続手段を形成する、非導電性本体、作用電極、参照電極、および対電極と、電気化学的反応表面を被覆する1つまたは複数の層を備えることができる。
本明細書で使用されるように「電気ポテンシャル」および「電位」という用語は、広範な用語であり、その通常の意味で使用され、電流の原因となる回路内の2点間の電位差が挙げられるが、それに限定されない。本明細書で使用されるように「システム雑音」という用語は、広範な用語であり、その通常の意味で使用され、望ましくない電子または拡散関連雑音が挙げられるが、それに限定されず、例えば、ガウス雑音、運動関連雑音、フリッカー雑音、速度論的雑音、または他の白色雑音が挙げられる。
本明細書で使用されるように「干渉」および「干渉種」という用語は、広範な用語であり、その通常の意味で使用され、センサにおいて対象分析物の測定を妨害し、分析物測定値を正確に示さない信号を発生させる効果および/または種が挙げられるが、それらに限定されない。電気化学センサの1例では、干渉種は測定する分析物と重なる酸化電位を有する化合物である。
下記で詳細に記載するように、本発明の実施形態は、流体中で、対象の分析物の濃度または分析物の濃度もしくは存在を示す物質を測定する電気化学センサの使用に関する。いくつかの実施形態では、センサは連続装置、例えば、皮下、経皮、または血管内装置である。いくつかの実施形態では、装置は複数の断続的な血液サンプルを分析することができる。本明細書で開示したセンサの実施形態は、侵襲的、最小侵襲的、および非侵襲的な感知技術を含む任意の公知の方法を使用し、対象の分析物の濃度を示す出力信号を提供することができる。典型的には、センサは、インビボまたはインビトロでの分析物の評価基準として、酸素の存在下での分析物と酵素との間の酵素反応の生成物または反応物を感知する型である。そのようなセンサは典型的には、分析物が移動する時に通る、酵素を取り囲んだ膜を含む。必要に応じて、膜は中心鎖と中心鎖に結合された複数の側鎖を有する親水性櫛型コポリマーを含み、少なくとも1つの側鎖がシリコーン部分を含む、分析物調節層である。その後、生成物が電気化学法を使用して測定され、このように電極システムの出力は分析物の評価基準として機能する。いくつかの実施形態では、センサは分析物を測定するために、電流測定、電量測定、電気伝導度測定、および/または電位差測定技術を使用することができる。
本明細書で記載した本発明の実施形態を、例えば、米国特許出願第2005/0115832号、米国特許第6,001,067号、同第6,702,857号、同第6,212,416号、同第6,119,028号、同第6,400,974号、同第6,595,919号、同第6,141,573号、同第6,122,536号、同第6,512,939号、同第5,605,152号、同第4,431,004号、同第4,703,756号、同第6,514,718号、同第5,985,129号、同第5,390,691号、同第5,391,250号、同第5,482,473号、同第5,299,571号、同第5,568,806号、同第5,494,562号、同第6,120,676号、同第6,542,765号ならびにPCT国際公開第01/58348号、同第04/021877号、同第03/034902号、同第03/035117号、同第03/035891号、同第03/023388号、同第03/022128号、同第03/022352号、同第03/023708号、同第03/036255号、同第03/036310号および同第03/074107号、ならびに欧州特許出願第1153571号(各々の内容が参照により本明細書に組み入れられる)を含む広範囲の公知の電気化学センサを用いて適合させ、実施することができる。
本明細書で開示した本発明の実施形態は、例えば、糖尿病患者における血糖値を皮下または経皮モニタリングする際に使用される型のセンサを提供する。様々な埋め込み可能な電気化学バイオセンサが、糖尿病および他の生命に関わる疾患の治療のために開発されている。多くの現存のセンサ設計は、いくつかの型の固定酵素を使用し、その生物特異性(biospecificity)を達成する。例えば、第1のクラスのグルコースセンサ設計は、作用電極上に噴霧またはスピンコートされ、グルタルアルデヒドを用いて架橋された、非常に薄い(<1μm)グルコースオキシダーゼ(GOx)およびウシ血清アルブミンの層を使用する。また、第2のクラスのグルコースセンサ設計は、典型的にはグルタルアルデヒドなどの架橋剤を用いて共に架橋されたGOxなどの酵素およびヒト血清アルブミンから構成されるセンサマトリクスプロテイン(Sensor Matrix Protein、SMP)として公知の厚い(〜1mm)ヒドロゲルを使用する。互いに対し、2つの上記クラスのセンサ設計の固定酵素構造は、使用可能なセンサ寿命を増加させるように機能する異なる長所を有する。固体GOxが過酸化物消費電極に近接しているため、第1のクラスのセンサ設計は、著しく減少した酵素非活性化速度定数を有すると考えられる。相対的に、第2のクラスのセンサ設計で使用される厚いSMPは第1のクラスよりも数桁多い酵素を組み入れることができる。
多くのセンサ設計が機能するために酵素ヒドロゲルマトリクスなどの1つ(または複数)のマトリクスを使用する。「マトリクス」という用語は、その中で、またはそこから何か他のものが生じ、発達し、形を成し、および/または見出される何かのその技術分野で許容される意味に従い、本明細書で使用される。例示的な酵素ヒドロゲルマトリクスは、例えば、典型的には、グルタルアルデヒドなどの架橋剤を用いて架橋され、ポリマーネットワークが形成されている、バイオセンシング酵素(例えば、グルコースオキシダーゼまたは乳酸オキシダーゼ)と、ヒト血清アルブミンタンパク質とを含む。このネットワークはその後、水溶液で膨潤し、酵素ヒドロゲルマトリクスを形成する。このヒドロゲルの膨潤の程度はしばしば、数週間の期間にわたって増加し、ネットワーク架橋の分解によると推定される。その原因に関係なく、この膨潤の観察される結果は、外側センサチューブ内に切り込まれた穴または「窓」の外側のヒドロゲルの突出である。これによりセンサ寸法が設計仕様を超え、分析性能に悪影響を有する。
本明細書で開示した発明の実施形態は、増強された材料特性を有するセンサ要素およびそのような要素から構成されたセンサを提供する。本開示はさらに、そのようなセンサを作製し、使用するための方法を提供する。本発明のいくつかの実施形態はグルコースおよび/または乳酸センサに関連するが、本明細書で開示した様々な要素(例えば、電極および電極設計)は、当技術分野において公知の様々なセンサのいずれか1つと共に使用するために適合させることができる。本明細書で開示された、分析物センサ要素、構造ならびにこれらの要素を製造および使用するための方法を使用して、様々な層状センサ構造を確立することができる。本発明のそのようなセンサは、驚くべき程度のフレキシビリティおよび多様性、特性を示し、これにより、様々な分析物種を調べるように、様々なセンサ構造を設計することができる。
本発明の典型的な実施形態では、電気化学手段により、分析物濃度を処理可能な信号に変換する。これらの変換器は、当技術分野で公知の様々な電流測定、電位差測定、または電気伝導度測定に基づくセンサのうちのいずれを含んでもよい。さらに、本発明の微細加工センサ技術および材料は、実質的に非平面、または実質的に平面様式で作製される他の型の変換器(例えば、音波感知装置、サーミスタ、ガス感知電極、電界効果トランジスタ、光およびエバネセント場導波路、など)に適用してもよい。バイオセンサ、ならびに、一般に、各々の型の変換器またはバイオセンサを使用してもよい種類の分析用途において利用されてもよい変換器の有用な説明および一覧表が、クリストファー・アール.レーベ(Christopher R. Lowe)による、バイオテクノロジーにおける傾向(Trends in Biotech.)1984年、2(3)59−65での論文において見出される。
本発明の特定の観点について、下記のセクションで詳細に記載する。
I.本発明の典型的な要素、構造および分析物センサ
A.本発明の最適化センサ要素
本明細書で開示したセンサの実施形態は、増強された材料特性を有する1つまたは複数のセンサ要素を組み入れる。本発明の実施形態はこれらの要素を有するセンサおよびそれらの製造および使用法を含む。本明細書で開示した本発明の実施形態は、分析物センサの反応性、感度、機能および寿命を含む因子を最適化するように設計された櫛型コポリマー膜を含む。本発明のある特定の実施形態は、(例えば、反応物の化学量論を最適化することにより)、対象の分析物の感知において機能する化学反応を最適化するように設計される。本明細書で開示した本発明の最適化した実施形態は、様々なセンサ法および設計で使用することができ、および/またはそれらに適用することができる。下記セクションは、本発明の例示的なセンサ要素、センサ構造および方法論的実施形態を記載する。
本発明の実施形態は、(例えば、反応物の化学量論を制御することにより)分析物の感知と関連する反応を実施するセンサ能力を増強するように設計される。下記で詳細に記載するように、本発明の実施形態は、異なる機能構成要素を含む複数の隣接する層を有する分析物センサを含む。これに関連して、本明細書で開示した発明は電流測定グルコースセンサなどのセンサおよびそのようなセンサと共に使用するための改善された材料を提供する。本発明の実施形態は、高い酸素透過性を提供する側鎖としてシリコーン材料、および制御可能なグルコース透過性を提供する側鎖または中心鎖のいずれかとしての親水性材料を有するシリコーン系櫛型コポリマーを含む分析物制限膜を含む複数の層状要素を有するセンサを含む。そのようなポリマー膜は、インビボ用途のための電気化学センサの構築において特に有用であり、本発明の実施形態は、これらのポリマー膜を組み入れた特定のバイオセンサ構造を含む。本発明の膜の実施形態は、高い酸素およびグルコース透過性を含む所望の特性の組み合わせを可能にする。
本発明の1つの実施形態は分析物センサ、例えばグルコースバイオセンサ、特にインビボ使用を対象としたものを被覆する際に使用するためのシリコーン系櫛型コポリマーを提供する。本明細書で開示した膜では、シリコーン成分は非常に低いガラス転移温度(例えば、室温より低く、典型的には0℃未満)および非常に高い酸素透過性(例えば、1×10−7cm/sec)、インビボ環境において良好な機械特性、より高い信号対雑音比、高い安定性、および精度の高い分析などの利点を提供するように選択された特徴を有する。
本発明の典型的な実施形態は、中心鎖および中心鎖に結合された複数の側鎖を有する親水性櫛型コポリマーを含み、少なくとも1つの側鎖はシリコーン部分を含む、組成物を含む。当技術分野において公知のように、櫛型コポリマーは、中心骨格に複数の歯が取り付けられている髪用の櫛に類似する構造を有するものである。そのような櫛型コポリマー類は中心または主鎖(櫛の骨格に大体類似する)およびこの中心鎖から分岐する複数の側鎖(櫛の歯に大体類似する)を有する。この櫛型コポリマー構造を例えば、図3の底部に示すが、ここで、分子の水平(−C−CH−C−CH−C−CH−)部分は中心または主鎖であり、分子の例えば垂直(−C−O−C−)部分は側鎖を含む。これらの側鎖はさらに、様々な原子および部分が付着された主鎖を有することができ、例えば、図3の底部で示される分子の右側に示される垂直(−C−O−C−C−C−Si−O−)側鎖である。例えば、この図において示される側鎖の水平中心鎖はこれに付着された水素および/またはメチルの原子および部分を有する。本発明のある実施形態では、少なくとも1、2、3、4、または5の異なる側鎖の骨格は2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15の原子を含む。
本明細書で開示したセンサにおいて膜として使用することができる櫛型コポリマー類は多くの実施形態を有する。典型的には、そのような実施形態において、シリコーン部分を含む少なくとも1つの側鎖部分は、酸素原子に共有結合されたケイ素原子を含む(−Si−O−)。本発明のいくつかの実施形態では、中心鎖から分岐する少なくとも1つの側鎖は親水性である。本発明のいくつかの実施形態では、中心鎖から分岐する少なくとも1つの側鎖は疎水性である。本発明のいくつかの実施形態では、中心鎖から分岐する少なくとも1つの側鎖は親水性であり、中心鎖から分岐する少なくとも1つの側鎖は疎水性である。場合によっては、中心鎖は親水性である。その代わりに、中心鎖は疎水性とし、側鎖によって親水性を付与することができる。
本発明のある実施形態では、中心鎖はポリビニルポリマー、すなわち様々なビニル(例えば、CH=CH−)モノマー類を重合させることにより形成される組成物を含む。例としてはポリ塩化ビニル類、ポリ酢酸ビニル類、およびポリビニルアルコール類が挙げられる。典型的には、そのようなポリビニルポリマー類はポリビニルアセテート、アクリレート、アクリルアミド、アクリロニトリルまたはピロリドンサブユニットを含む。その代わりに、中心鎖はポリエチレンまたはポリプロピレンサブユニットを含むことができる。当技術分野で公知のように、そのような櫛型コポリマー類は様々な異なる方法、例えばフリーラジカル共重合を含むプロセスから製造することができる。典型的には、櫛型コポリマーは少なくとも1つのシリコーン材料、および少なくとも1つの親水性材料のフリーラジカル重合から映像することができる。必要に応じて、1つまたは複数の疎水性材料もまた、特定の用途および状況のため使用される。本発明のポリマー組成物を製造するのに使用するための例示的な方法および材料は、例えば、米国特許第6,887,962号、同第6,809,141号、同第6,093,781号、同第5,807,937号、同第5,708,115号、同第5,091,480号、同第5,079,298号、同第5,061,772号、同第5,503,461号、同第6,538,091号および同第6.527,850号、同第7,029,688号、同第7,001,949号;ならびに米国特許出願第2005/0143546号、同第2004/0024144号および同第2003/0181619号において記載されており、各々の内容は参照により本明細書に組み入れられる。ポリマー類は、当技術分野において公知の様々な方法、例えば、米国特許第5,882,494号、同第6,965,791号、同第6,934,572号、同第6,814,845号、同第6,741,877号、同第6,594,514号、同第6,477,395号、同第6,927,246号、同第5,422,246号、同第5,286,364号、同第6,927,033号、同第5,804,048号、同第7,003,340号、同第6,965,791号;ならびに米国特許出願第2006/0128032号、同第2006/0068424号、同第2005/0208309号、同第2004/0084307号、同第2003/0171506号、同第2003/0060383号、および同第2001/0008931号(各々の内容は参照により本明細書に組み入れられる)において記載されているものを使用してバイオセンサ上にコートすることができる。
本発明の実施形態は、本明細書で記載したポリマー組成物を含む膜を有するセンサを含む。例示的な実施形態は哺乳類体内に埋め込むための分析物センサ装置であり、分析物センサ装置は基層と、基層上に配置され、作用電極を含む導電層と、導電層上に配置され、分析物が存在すると導電層内の作用電極での電流を検出できるように変化させる分析物感知層と、分析物感知層上に配置され、通過する分析物の拡散を調節し、中心鎖と中心鎖に結合された複数の側鎖を有する親水性櫛型コポリマーを含み、少なくとも1つの側鎖はシリコーン部分を含む分析物調節層と、を備える。典型的には、少なくとも1つの側鎖部分は酸素原子に共有結合されたケイ素原子(−Si−O−)を含む。場合によっては、少なくとも1つの側鎖は親水性であり、少なくとも1つの側鎖は疎水性であり、または少なくとも1つの鎖は親水性であり、さらに、少なくとも1つの鎖は疎水性である。場合によっては、中心鎖は親水性である。その代わりに、中心鎖を疎水性として、側鎖により親水性を付与することができる。そのような分析物装置では、この構造を有する膜は多くの所望の特性を付与する。典型的には、例えば、分析物調節層は1×10−9cm/sec〜1×10−7cm/secのグルコース拡散係数を有する。さらに、典型的には、分析物調節層は5〜2000の酸素拡散係数(Doxygen)対グルコース拡散係数(Dglucose)比(Doxygen/Dglucose)を有する。
場合によっては、分析物センサ装置はさらに、分析物感知層と分析物調節層との間に配置されたタンパク質層などの追加の層、および/または分析物調節層の少なくとも一部上に配置されたカバー層をさらに含み、該カバー層はさらに、分析物調節層の少なくとも一部を感知される分析物を含む溶液に暴露させる開口を含む。本発明のある実施形態では、分析物感知層は、グルコースオキシダーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ、乳酸オキシダーゼ、ヘキソキナーゼおよびラクトースデヒドロゲナーゼからなる群より選択される酵素を含む。
本発明の別の実施形態は、基層を用意する工程と、基層上に、作用電極を含む導電層を形成する工程と、導電層上に、分析物が存在すると導電層内の作用電極での電流を変化させることができる組成物を含む分析物感知層を形成する工程と、場合によっては、分析物感知層上にタンパク質層を形成する工程と、分析物感知層または場合により任意に形成させたタンパク質層上に接着促進層を形成する工程と、接着促進層上に配置され、通過する分析物の拡散を調節する組成物を含み、中心鎖と中心鎖に結合された複数の側鎖(典型的には、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15の原子)を有する親水性櫛型コポリマーを含み、少なくとも1つの側鎖はシリコーン部分を含む分析物調節層を形成する工程と、その後、分析物調節層の少なくとも一部上に配置され、分析物調節層の少なくとも一部上方に開口をさらに含むカバー層を形成する工程と、を含む、哺乳類の体内に埋め込むためのセンサ装置を製造する方法である。この方法では、典型的には、分析物調節層は1×10−9cm/sec〜200×10−9cm/secのグルコース拡散係数、5〜2000の酸素拡散係数(Doxygen)対グルコース拡散係数(Dglucose)比(Doxygen/Dglucose)を有する。
本発明の別の実施形態は、基層と、基層上に配置され、作用電極を含む導電層と、導電層上に配置され、分析物が存在すると導電層内の作用電極での電流を検出できるように変化させる分析物感知層と、分析物感知層上に配置され、通過する分析物の拡散を調節し、中心鎖と中心鎖に結合された複数の側鎖を有する親水性櫛型コポリマーを含み、少なくとも1つの側鎖はシリコーン部分を含む分析物調節層と、を備える分析物センサを哺乳類の体内に埋め込む工程と、作用電極での電流変化を感知し、電流変化を分析物の存在と相関させ、分析物を感知する工程と、を含む哺乳類の体内の分析物を感知する方法である。
本発明の別の実施形態は、容器と、容器内に、分析物センサ装置と、分析物センサ装置を使用するための使用説明書と、を含むキットであり、分析物センサ装置は、基層と、基層上に配置され、作用電極を含む導電層と、導電層上に配置され、分析物が存在すると導電層内の作用電極での電流を検出できるように変化させる分析物感知層と、分析物感知層上に配置され、通過する分析物の拡散を調節し、中心鎖と中心鎖に結合された複数の側鎖を有する親水性櫛型コポリマーを含み、少なくとも1つの側鎖はシリコーン部分を含む分析物調節層と、を備える。
下記実施例で示されるように、本発明の膜はシリコーン材料および他の親水性部分/疎水性部分のフリーラジカル共重合により調製することができる(図3)。本発明で使用される典型的なシリコーン材料は、複数の−Si−O−繰り返しユニットおよびビニル反応性またはアクリル反応性の官能性末端基を有するものであり、これらはまた、−OH、−NH、−COOHなどのいくつかの他の官能基を含んでもよい。本発明で使用される典型的なシリコーン材料はモノビニル末端ポリジメチルシロキサンおよびモノメタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサンである(図4を参照されたい)。典型的な親水性部分は、ビニル反応性またはアクリル反応性の官能基を含む全ての水溶性材料を含む。図5は本発明で使用されるいくつかの例示的な親水性部分を示し、例えば、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、n−ビニルピロリドン、ジヒドロキシプロピルメタクリレート、ジメチルメタクリルアミド、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート、およびモノアリルモノトリメチルシロキシ末端ポリエチレンオキシドである。本発明で使用される典型的な疎水性材料は、ビニル反応性またはアリール反応性の官能基を有する任意の非水溶性部分とすることができる(図6)。好ましい実施形態はメチルメタクリレート、2−フェニルエチルアクリレートおよび4−フェニルブチルメタクリレートを使用する。
B.典型的なセンサ構造の線図
図2は本発明の典型的なセンサ構造体100の断面を示す。センサは、センサ構造体を製造するための本発明の方法に従い、典型的には互いの上に配置された様々な導電性および非導電性の構成要素の層の形態である複数の構成部品から形成される。センサの構成部品は典型的には、本明細書で層として特徴づけられるが、これは、例えば、図2で示したセンサ構造体の容易なキャラクタリゼーションを可能にするからである。しかしながら、当業者であれば、本発明のある実施形態では、センサ構成要素が組み合わされて、複数の構成要素が1つまたは複数の不均質層を形成することを理解するであろう。この状況において、当業者は、本発明の様々な実施形態において、層状構成要素の順序を変更できることを理解する。
図2で示した実施形態は、センサ100を支持するための基層102を含む。基層102は金属および/またはセラミックおよび/またはポリマー基材などの材料から製造することができ、当技術分野で公知のように、自立してもよく、または別の材料によりさらに支持されてもよい。本発明の実施形態は、基層102上に配置された、および/または基層102と結合された導電層104を含む。ある実施形態では、基層102および/または導電層104は、電極の電気化学的反応性表面領域が幾何学的特徴上に配置され、そのため電気化学的反応性表面領域が平面上に配置された場合よりも大きくなる構造を有する電極を生成するように構成させることができる。
典型的には、導電層104は1つまたは複数の電極を含む。動作センサ100は典型的には、作用電極、対電極および参照電極などの複数の電極を含む。別の実施形態はまた、複数の機能を実行する電極、例えば参照電極および対電極の両方として機能する電極を含んでもよい。さらに別の実施形態は、センサ上に形成されない別の参照要素を使用してもよい。典型的には、これらの電極は互いに電気的に絶縁されているが、互いに近接して配置されている。
下記で詳細に記載するように、基層102および/または導電層104は多くの公知の技術および材料を用いて生成させることができる。本発明のある実施形態では、センサの電気回路は、配置した導電層104を導電性パスの所望のパターンにエッチングすることにより規定される。センサ100のための典型的な電気回路は2つまたはそれ以上の隣接する導電性パスを含み、近位端には導体パッドを形成するための領域および遠位端にはセンサ電極を形成するための領域を有する。ポリマーコーティングなどの電気絶縁性カバー層106が必要に応じてセンサ100の一部上に配置される。絶縁保護カバー層106として使用するための許容されるポリマーコーティングとしては、非毒性生体適合性ポリマー類、例えば、シリコーン化合物類、ポリイミド類、生体適合性ソルダマスク、エポキシアクリレートコポリマー類、などが挙げられるが、それらに限定されない。本発明のセンサでは、1つまたは複数の露出領域または開口108を、カバー層106を通して作製することができ、導電層104が外部環境に対し開放され、例えば、グルコースなどの分析物がセンサ層を透過し、感知要素により感知される。開口108は、レーザアブレーション、テープマスキング、化学ミリングまたはエッチングまたはフォトグラフィー現像などを含む多くの技術により形成させることができる。本発明のある実施形態では、製造中、第2のフォトレジストを保護層106に塗布し、除去される保護層の領域を規定し、開口108を形成させることもできる。露出した電極および/または導体パッドはまた、第2の処理(例えば、開口108を介して)、例えば追加のメッキ処理を受けることができ、表面が準備され、および/または導電領域が強化される。
図2で示したセンサ構造では、分析物感知層110(典型的にはセンサ化学層であり、この層内の材料が化学反応を受け、導電層により感知することができる信号が発生することを意味する)が、導電層104の露出電極の1つまたは複数の上に配置される。典型的には、センサ化学層110は酵素層である。最も典型的には、センサ化学層110は酸素および/または過酸化水素を生成するおよび/または使用することができる酵素、例えば酵素グルコースオキシダーゼを含む。場合によっては、センサ化学層中の酵素は、ヒト血清アルブミン、ウシ血清アルブミンなどの第2の担体タンパク質と結合される。例示的な実施形態では、センサ化学層110内のグルコースオキシダーゼなどの酵素はグルコースと反応し過酸化水素を発生させ、過酸化水素はその後、電極での電流を変調する化合物である。この電流変調は過酸化水素濃度に依存し、過酸化水素濃度はグルコース濃度に相関するので、グルコース濃度は、この電流変調をモニタすることにより決定することができる。本発明の特定の実施形態では、過酸化水素はアノードである作用電極(本明細書ではアノード作用電極とも呼ばれる)で酸化され、得られた電流は過酸化水素濃度に比例する。過酸化水素濃度の変化により引き起こされるそのような電流変調は、汎用センサ電流測定バイオセンサ検出器または当技術分野において公知の他の様々な同様な装置の1つなどの様々なセンサ検出装置のいずれか一つ、例えばメドトロニックミニメッド社により製造されたグルコースモニタ装置によりモニタすることができる。
分析物感知層110は、導電層の一部上に、または導電層の全体領域上に適用することができる。典型的には、分析物感知層110はアノードまたはカソードとすることができる作用電極上に配置される。場合によっては、分析物感知層110は、対電極および/または参照電極上にも配置される。分析物感知層110は約1000μmまでの厚さとすることができるが、典型的には、分析物感知層は当技術分野で前に記載されたセンサにおいて見られるものよりかなり薄く、例えば、典型的には1、0.5、0.25または0.1μm未満の厚さである。下記で詳細に記載するように、薄い分析物感知層110を生成させるためのいくつかの方法としては、スピンコーティングプロセス、浸漬プロセスおよび乾燥プロセス、低せん断噴霧プロセス、インクジェット印刷プロセス、シルクスクリーンプロセスなどが挙げられる。最も典型的には、薄い分析物感知層110はスピンコーティングプロセスを用いて適用される。
典型的には、分析物感知層110は1つまたは複数の追加の層でコートされる。場合によっては、1つまたは複数の追加の層は、分析物感知層110上に配置されたタンパク質層116を含む。典型的には、タンパク質層116はヒト血清アルブミンなどのタンパク質を含む。本発明のいくつかの実施形態では、追加の層は分析物感知層110上方に配置され、分析物感知層110と接触する分析物を調節する分析物調節層112を含む。例えば、分析物調節膜層112はグルコース制限膜を含むことができ、これは分析物感知層中に存在するグルコースオキシダーゼなどの酵素と接触するグルコース量を調節する。そのようなグルコース制限膜は、そのような目的に適していることが公知の様々な材料、例えば、シリコーン化合物類、例えば、ポリジメチルシロキサン類、ポリウレタン類、ポリ尿素酢酸セルロース類、ナフィオン、ポリエステルスルホン酸類(例えば、コダック(Kodak)AQ)、ヒドロゲル類または当技術分野における当業者に公知の任意の他の適した親水性膜から製造することができる。典型的には、分析物調節層は中心鎖と中心鎖に結合された複数の側鎖とを有する親水性櫛型コポリマーを含み、ここで少なくとも1つの側鎖はシリコーン部分を含む。
本発明の典型的な実施形態では、接着促進層114は図2に示されるように分析物調節層112と分析物感知層110との間に配置され、それらの接触および/または接着を促進する。本発明の特定の実施形態では、接着促進層114は図2に示されるように分析物調節層112とタンパク質層116との間に配置され、それらの接触および/または接着を促進する。接着促進層114はそのような層間の接着を促進することが当技術分野で公知の様々な材料のいずれか1つから製造することができる。典型的には、接着促進層114はシラン化合物を含む。別の実施形態では、分析物感知層110中のタンパク質または同様の分子は十分架橋させることができ、そうでなければ、分析物調節膜層112を、接着促進層114が存在しないと分析物感知層110と直接接触して配置されるように準備させることができる。
C.典型的な分析物センサ構成要素
下記開示は、本発明のセンサにおいて使用される典型的な要素/構成要素の例を提供する。これらの要素は別個のユニット(例えば、層)で記載することができるが、当業者であれば、センサは下記で記載する要素/構成要素(例えば、支持基礎構成要素および/または導電性構成要素および/または分析物感知構成要素のためのマトリクスの両方として機能し、さらにセンサ中の電極として機能する要素)の材料特性および/または機能のいくつかまたは全ての組み合わせを有する要素を含むように設計することができる。
基礎構成要素
本発明のセンサは典型的には基礎構成要素(例えば、図2の要素102を参照されたい)を含む。「基礎構成要素」という用語は、本明細書では当技術分野により許容される用語に従い使用され、典型的には、互いの上面に積み重ねられ、機能センサを構成する複数の構成要素のための支持マトリクスを提供する、装置中の構成要素を示す。1つの形態では、基礎構成要素は絶縁(例えば、電気絶縁性および/または水不透過性の)材料の薄膜シートを含む。この基礎構成要素は、水不透過性および気密性などの所望の品質を有する様々な材料から製造することができる。いくつかの材料としては、金属セラミックおよびポリマー基材などが挙げられる。ある実施形態では、基礎構成要素および/または導電性構成要素は、電極の電気化学的反応性表面領域が幾何学的特徴上に配置された構造を有する電極を生成するように構成することができ、そのため、電気化学的反応性表面領域は平らな表面に配置した場合より大きくなる。
基礎構成要素は、自立してもよく、当技術分野で公知の別の材料によりさらに支持されてもよい。図2で示したセンサ構造の1つの実施形態では、基礎構成要素102はセラミックを含む。例示的な実施形態では、セラミックベースは主にAl(例えば、96%)である組成物を含む。埋め込み可能な装置と共に使用するための絶縁基礎構成要素としてアルミナを使用することは、参照により本明細書に組み入れられる米国特許第4,940,858号、同第4,678,868号および同第6,472,122号において開示されている。本発明の基礎構成要素はさらに、当技術分野において公知の他の要素、例えば密閉ビア(vias)(例えば、国際公開公報第03/023388号を参照されたい)を含むことができる。特定のセンサ設計により、基礎構成要素はかなり厚い構成要素(例えば、25μmより厚い)とすることができる。また、この構成要素において、例えば約25μm未満の非導電性セラミック、例えばアルミナを使用することができる。
本明細書で開示した発明の実施形態は、上記で開示した2つのセンサクラスの各々で見られる独立した利点の組み合わせを示す個々の要素およびセンサを提供する。例えば、本発明の第1の実施形態は、センサにおいて電極として機能する厚い(1〜1000μm)、多孔性基材上に酵素を固定する。この状況において、多孔性電極は、例えば同じサイズの隣接球格子から構成することにより、増加した表面積を示すように設計される。1つの例示的な実施形態では、グルコースオキシダーゼが、同じサイズの隣接球格子から作製された厚い(1〜1000μm)多孔性金属基材上に固定され、過酸化水素消費電極として機能する。
本明細書で開示した本発明の別の実施形態では、様々な分析物センサにおいて典型的に使用されるヒドロゲルが本質的に剛性の非膨潤性多孔性酵素−ポリマーマトリクスと交換される。この実施形態では、バイオセンシング酵素を、必要に応じて特定の形状に成形された剛性のマクロ多孔性ポリマーに共有結合により安定して固定することができる。この状況において、マクロ多孔性ポリマー類の成形連続ロッドが、クロマトグラフィー分離媒体として使用するために開発されている(例えば、米国特許第5,453,185号および国際公開公報第93/07945号を参照されたい)。適したポリマー類は本質的には非圧縮性であり、その溶媒和環境の変化に対し全体サイズが変化しない。さらに、重合条件に対する調節を使用して、細孔の形態を制御することができる。このように、1〜100nmおよび100〜3,000nm(すなわち、それぞれ20%および80%)の範囲の細孔のかなりの体積分率を有する高多孔性(50〜70%)ポリマー類を生成させることができる。この型の細孔構造を有するポリマーは非常に高い比表面積(すなわち、185m/g)を有し、高い酵素固定密度を提供することが期待される(1〜100mg/mL)。
上記多孔性マトリクスならびにそのようなマトリクスを組み入れた分析物センサを製造および使用するための様々な方法および組成物について、さらに本明細書で記載する。
導電性構成要素
本発明の電気化学センサは典型的には、分析される分析物またはその副産物(例えば、酸素および/または過酸化水素)を接触させるための少なくとも1つの電極を含む基礎構成要素上に配置された導電性構成要素を含む(例えば、図2の要素104を参照されたい)。「導電性構成要素」という用語は、本明細書では当技術分野で許容される用語に従い使用され、検出可能な信号を測定し、これを検出装置に伝導することができる電極などの導電性センサ要素を示す。この例示的な例は、分析物、分析物が分析物感知構成要素110中に存在する組成物(例えば、酵素グルコースオキシダーゼ)と相互作用する時に使用される共反応物(例えば、酸素)またはこの相互作用の反応生成物(例えば、過酸化水素)の濃度変化を経験しない参照電極と比べた場合の、分析物またはその副産物の濃度変化などの刺激への暴露に応答する電流の増加または減少を測定することができる導電性構成要素である。そのような要素の例示的な例としては、過酸化水素または酸素などの可変濃度の分子の存在下で検出可能な可変信号を発生させることができる電極が挙げられる。典型的には、導電性構成要素中のこれらの電極のうちの1つは作用電極であり、これは耐食性金属または炭素から作製することができる。炭素製作用電極はガラスまたはグラファイトとしてもよく、固体またはペーストから作製することができる。金属製作用電極は、パラジウムまたは金を含む白金族金属、または二酸化ルテニウムなどの耐食性金属導電酸化物から作製することができる。また、電極は銀/塩化銀電極組成を含んでもよい。作用電極は、例えば、コーティングまたはプリンティングにより基材に適用されるワイヤまたは導電性薄膜であってもよい。典型的には、金属製または炭素製の導体の表面の一部のみが分析物含有溶液と電解接触している。この部分は電極の作用表面と呼ばれる。電極の残りの表面は典型的には、電気絶縁カバー構成要素106により溶液から分離される。この保護カバー構成要素106を発生させるための有用な材料の例としてはポリマー類、例えば、ポリイミド類、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレンおよびポリシロキサン類などのシリコーン類が挙げられる。
作用電極の他に、本発明の分析物センサは典型的には、参照電極または参照電極と対電極の組み合わせ(擬似参照電極または対電極/参照電極とも呼ばれる)を含む。センサが対電極/参照電極を有さず、そのため別個の対電極を含む可能性がある場合、これは作用電極と同じ、またはそれとは異なる材料から作製してもよい。本発明の典型的なセンサは1つまたは複数の作用電極および1つまたは複数の対電極、参照電極、および/または対電極/参照電極を有する。本発明のセンサの1つの実施形態は2つ、3つもしくは4つまたはそれ以上の作用電極を有する。センサ中のこれらの作用電極は一体に接続されてもよく、または別々に維持されてもよい。
典型的には、インビボ用途のために、本発明の分析物センサは、哺乳類の体液、例えば血液と直接接触させるために哺乳類の皮膚内で皮下に埋め込まれる。または、センサは哺乳類の体内の他の領域内、例えば腹腔内に埋め込むことができる。複数の作用電極を使用する場合、それらは一緒に埋め込まれてもよく、または体内の異なる位置に埋め込まれてよい。対電極、参照電極、および/または対電極/参照電極はまた、作用電極に近接して、または哺乳類の体内の別の位置に埋め込んでもよい。
干渉除去構成要素
本発明の電気化学センサは場合によっては、電極表面と分析される環境との間に配置された干渉除去構成要素を含む。特に、あるセンサ実施形態は、印加した一定電位での作用電極表面上の酵素反応により発生する過酸化水素の酸化および/または還元に依存する。過酸化水素の直接酸化に基づく電流測定検出では、かなり高い酸化電位が必要になるので、この検出スキームを採用するセンサは、アスコルビン酸、尿酸およびアセトアミノフェンなどの生物流体中に存在する酸化可能種からの干渉を受ける可能性がある。この状況では、「干渉除去構成要素」という用語は当技術分野で許容される用語に従い使用され、感知される分析物により発生する信号の検出を妨害するそのような酸化可能種により発生するスプリアス信号を阻止するように機能するセンサ中のコーティングまたは膜を示す。干渉除去構成要素の例としては、親水性ポリウレタン類、酢酸セルロース(酢酸セルロース含有剤を含む、例えばポリ(エチレングリコール))、ポリエーテルスルホン類、ポリテトラフルオロエチレン類、ペルフルオロ化イオノマーであるナフィオン(Nafion)(商標)、ポリフェニレンジアミン、エポキシなどの化合物の1つまたは複数の層またはコーティングが挙げられる。そのような干渉除去構成要素の例示的記載は、例えば、参照により本明細書に組み入れられる、ワードら、バイオセンサおよびバイオエレクトロニクス17(2002)181−189およびチョイら、アナリティカル・キミカ・アクタ461(2002)251−260において見出される。
分析物感知構成要素
本発明の電気化学センサは、センサの電極上に配置された分析物感知構成要素を含む(例えば、図2の要素110を参照されたい)。「分析物感知構成要素」という用語は、本明細書では当技術分野で許容される用語に従い使用され、存在が分析物センサ装置により検出される分析物を認識し、またはそれと反応することができる材料を含む構成要素を示す。典型的には、分析物感知構成要素中のこの材料は、感知される分析物と相互作用した後、典型的には導電性構成要素の電極を介して検出可能な信号を発生させる。この点において、分析物感知構成要素および導電性構成要素の電極は共同して機能し、分析物センサと関連する装置により読み取られる電気信号が発生する。典型的には、分析物感知構成要素は、分子(例えば、酸素および/または過酸化水素)と反応するおよび/または分子を生成することができる酵素、例えば酵素グルコースオキシダーゼを含むが、分子濃度の変化は、導電性構成要素の電極の電流変化を測定することにより測定することができる。過酸化水素などの分子を生成することができる酵素は、当技術分野において公知の多くのプロセスに従い電極上に配置することができる。分析物感知構成要素はセンサの様々な電極の全てまたは一部をコートすることができる。この状況では、分析物感知構成要素は、同等の程度まで電極をコートしてもよい。または、分析物感知構成要素は、異なる電極を異なる程度までコートしてもよく、例えば、作用電極のコート表面は、対電極および/または参照電極のコート表面より大きい。
本発明のこの要素の典型的なセンサ実施形態は、第2のタンパク質(例えば、アルブミン)と固定比(例えば、典型的にはグルコースオキシダーゼ安定化特性に対し最適化されたもの)で結合され、その後、電極表面に適用された酵素を使用し、薄い酵素構成要素が形成される。典型的な実施形態では、分析物感知構成要素はGOxおよびHSA混合物を含む。GOxを有する分析物感知構成要素の典型的な実施形態では、GOxは感知環境(例えば、哺乳類の身体)に存在するグルコースと反応し、図1で示される反応に従い過酸化水素が発生し、そのように発生した過酸化水素が、導電構成要素中の作用電極でアノード検出される。例えば、米国特許出願第10/273,767号(参照により本明細書に組み入れられる)で記載されるように、非常に薄いセンサ化学構成要素は典型的であり、スピンコーティングなどの当技術分野で公知のプロセスにより電極マトリクスの表面に適用することができる。例示的な実施形態では、グルコースオキシダーゼ/アルブミンが生理溶液(例えば、中性pHのリン酸緩衝生理食塩水)中で調製され、アルブミンが約5重量%〜約10重量%の範囲で存在する。必要に応じて、分析物感知構成要素上で形成される安定化したグルコースオキシダーゼ構成要素は当技術分野で前に記載されたものに比べ非常に薄く、例えば、2、1、0.5、0.25または0.1μm未満の厚さである。本発明の1つの例示的な実施形態は、電極の表面をコーティングするために安定化グルコースオキシダーゼ構成要素を使用し、該グルコースオキシダーゼは、構成要素内で担体タンパク質と固定比で混合され、グルコースオキシダーゼおよび担体タンパク質は構成要素全体に実質的に均一に分散される。典型的には構成要素は2μm未満の厚さである。明確にする目的で、これは、分析物感知構成要素が多孔性電極上に配置される本発明のある実施形態に当てはまらなくてもよいことに注意すべきである。例えば、厚さ100μmであり、GOxで充填された3μmのサイズの細孔を有する多孔質電極では、酵素層は2μmよりも大きくすることができる。
驚いたことに、これらの非常に薄い分析物感知構成要素を有するセンサは、より厚いコーティングを有するセンサの材料特性を超える材料特性、例えば、増強された寿命、線形性、規則性ならびに改善された信号対雑音比を有する。特定の科学理論に縛られるわけではないが、非常に薄い分析物感知構成要素を有するセンサは、より厚い構成要素の特性に比べ、驚くほど増強された特性を有すると考えられるが、これは、より厚い酵素構成要素では、構成要素内の反応酵素の一部しか感知される分析物にアクセスすることができないからである。グルコースオキシダーゼを使用するセンサでは、電着により生成される厚いコーティングは、厚い酵素構成要素の反応性界面で発生する過酸化水素が、センサ表面に接触し、これにより信号が発生する能力を妨害する可能性がある。
上記のように、酵素および第2のタンパク質は典型的には、架橋マトリクスを形成するように処理される(例えば、タンパク質混合物に架橋剤を添加することによる)。当技術分野で公知のように、架橋条件は、酵素の保持生物活性、その機械的および/または動作安定性などの因子を調節するように操作してもよい。例示的な架橋手順が、参照により本明細書に組み入れられる米国特許出願第10/335,506号およびPCT公開WO03/035891号において記載されている。例えば、限定されないがグルタルアルデヒドなどのアミン架橋剤をタンパク質混合物に添加することができる。タンパク質混合物に架橋剤を添加するとタンパク質ペーストが生成する。添加される架橋剤濃度は、タンパク質混合物濃度により変動してもよい。グルタルアルデヒドは例示的な架橋剤であるが、他の架橋剤もまた使用してもよく、またはグルタルアルデヒドの代わりに使用してもよく、例えば、スベリン酸ジスクシンイミジル(DSS)などのアミン反応性ホモ官能性架橋剤が挙げられるが、それらに限定されない。別の例は1−エチル−3(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)であり、これはゼロ長架橋剤である。EDCはカルボン酸とアミン基との間でアミド結合を形成する。当業者には明らかなように、他の適した架橋剤も使用してもよい。
GOxおよび/または担体タンパク質濃度は本発明の異なる実施形態に対し変動してもよい。例えば、GOx濃度は約50mg/mL(約10,000U/mL)〜約700mg/mL(約150,000U/mL)の範囲内にあってもよい。典型的にはGOx濃度は約115mg/mL(約22,000U/mL)である。そのような実施形態では、HSA濃度は、GOx濃度により、約0.5%〜30%(w/v)の間で変動してもよい。典型的にはHSA濃度は約1〜10%w/vであり、最も典型的には約5%w/vである。本発明の別の実施形態では、コラーゲンもしくはBSAまたはこれらの状況において使用される他の構造タンパク質を、HSAの代わりに、またはHSAに加えて使用することができる。GOxを分析物感知構成要素における例示的な酵素として記載してきたが、他のタンパク質および/または酵素もまた使用してもよく、またはGOxの代わりに使用してもよく、例えば、グルコースデヒドロゲナーゼまたはヘキソキナーゼ、ヘキソースオキシダーゼ、乳酸オキシダーゼ、などが挙げられるが、それらに限定されない。当業者に明らかなように、他のタンパク質および/または酵素もまた使用してもよい。さらに、HSAが例示的な実施形態で使用されているが、他の構造タンパク質、例えばBSA、コラーゲンなどを、HSAの代わりに、またはHSAに加えて使用することができる。
GOx以外の酵素を使用する実施形態では、本明細書で記載した濃度以外の濃度を使用してもよい。例えば、使用する酵素によっては、約10重量%〜70重量%の範囲の濃度が適している可能性がある。濃度は、使用した特別の酵素によってだけではなく、得られるタンパク質マトリクスの所望の特性によっても変動させてもよい。例えば、タンパク質マトリクスを診断において使用する場合、ある濃度を使用してもよいが、ある構造特性が望ましい場合、異なる濃度を使用してもよい。当業者であれば、使用する濃度は、どの濃度(およびどの酵素またはタンパク質)により所望の結果が得られるかを決定する実験により変動する可能性があることを理解するであろう。
上記のように、本発明のいくつかの実施形態では、分析物感知構成要素は、導電要素(例えば、酸素および/または過酸化水素濃度の変化を感知する電極)により感知することができる信号(例えば、酸素および/または過酸化水素濃度の変化)を発生させることができる組成物(例えばグルコースオキシダーゼ)を含む。しかしながら、他の有用な分析物感知構成要素は、存在が検出されることになっている標的分析物と相互作用した後、導電要素により感知することができる検出可能な信号を発生させることができる任意の組成物から形成することができる。いくつかの実施形態では、組成物は、感知される分析物との反応時に過酸化水素濃度を調節する酵素を含む。また、組成物は、感知される分析物との反応時に酸素濃度を調節する酵素を含む。この状況では、生理学的分析物との反応で過酸化水素および/または酸素を使用するかまたは生成する様々な酵素が当技術分野において公知であり、これらの酵素は分析物感知構成要素組成物中に容易に組み入れることができる。当技術分野において公知の様々な他の酵素は、本明細書で記載したセンサ設計に組み入れられる電極などの導電要素により変調を検出することができる化合物を生成する、および/または使用することができる。そのような酵素は、例えば、全体の内容が参照により本明細書に組み入れられる、リチャード・F.テイラー(Richard F. Taylor)(編集者)出版社:マーセルデッカー(Marcel Dekker);(1991年1月7日)によるタンパク質固定:基礎と応用(バイオプロセステクノロジー、第14巻)の表1、15〜29ページおよび/または表18、111〜112ページに具体的に記載されている酵素を含む。
他の有用な分析物感知構成要素は、標的分析物との相互作用により、存在が検出されることになっている標的分析物との相互作用後導電要素により感知できる検出可能な信号を発生させることができる抗体を含むように形成することができる。例えば、米国特許第5,427,912号(参照により本明細書に組み入れられる)は、試料中の分析物濃度を電気化学的に決定するための抗体に基づく装置を記載する。この装置では、試験される試料と、酵素−受容体ポリペプチドと、分析物類似体に結合された酵素−供与体ポリペプチド(酵素−供与体ポリペプチド複合物)と、標識された基質と、測定される分析物に特異的な抗体とを含む混合物が形成される。分析物と酵素−供与体ポリペプチド複合物は抗体に競合的に結合する。酵素−供与体ポリペプチド複合物が抗体に結合しない場合、自然に酵素受容体ポリペプチドと結合し、活性酵素複合体を形成する。その後、活性酵素は標識された基質を加水分解し、電気活性標識が生成し、これはその後電極表面で酸化させることができる。電気活性化合物の酸化から得られた電流を測定し、試料中の分析物濃度と相関させることができる。米国特許第5,149,630号(参照により本明細書に組み入れられる)は、リガンド(例えば、抗原、ハプテンまたは抗体)の電気化学特異的結合アッセイ法について記載しており、この場合、少なくとも1つの成分が酵素標識され、基質反応に関連する酵素基質と電極との間の電子の移動が複合体形成により、または非結合酵素標識成分に対する任意のリガンド複合体の置換により摂動される程度を決定する工程が含まれる。電子移動は酵素から電子を受理し、電極に供与することができる、またはその逆が可能な電子移動メディエータ(例えば、フェロセン)により、または酵素を電極に近接して保持し、それ自体は形式電荷を要さない電子移動プロモータにより補助される。米国特許第5,147,781号(参照により本明細書に組み入れられる)は、酵素乳酸デヒドロゲナーゼ−5(LDH5)の決定に対するアッセイ法およびそのような定量的決定のためのバイオセンサについて記載する。アッセイ法は、この酵素と基質乳酸およびニコチン−アミンアデニンジヌクレオチド(NAD)の相互作用により、ピルビン酸およびNADの還元生成物が生成することに基づく。抗−LDH5抗体が適したガラス状炭素電極に結合され;これがLDH5を含む基質と接触され、すすがれ、NDA溶液中に挿入され、電流測定システムに接続され、電流変化が異なる濃度の乳酸の存在下で測定され、これがLDH−5の量を示す。米国特許第6,410,251号(参照により本明細書に組み入れられる)は特異結合対の1つの構成メンバーを検出またはアッセイするための装置および方法を記載し;例えば、抗原/抗体中の抗原を、標識を検出するための酸化還元反応と共に抗原と抗体との間の結合などの特異結合を使用することにより、検出するが、ここで、感知表面領域を有する酸素微小電極が使用される。さらに、米国特許第4,402,819号(参照により本明細書に組み入れられる)は、透過性が分析における特異抗体濃度の関数である、予め選択されたカチオンの透過性に影響するイオン担体が結合された抗原を組み入れた不溶性膜を使用する希薄な液体血清試料中の抗体(分析物として)の定量的決定のための抗体選択的電位差電極、ならびに対応する分析方法を記載する。関連する開示のために、内容が参照により本明細書に組み入れられる米国特許第6,703,210号、同第5,981,203号、同第5,705,399号、および同第4,894,253号もまた参照されたい。
酵素および抗体の他に、本明細書で開示したセンサの分析物感知構成要素中で使用するための他の例示的な材料は、特定の型の細胞または細胞成分(例えば、ポリペプチド類、炭水化物類など)に結合するポリマー類;一本鎖DNA;抗原などを含む。検出可能信号はまた、例えば、光学的に検出可能な変化、例えば色の変化または所望の分析物(例えば、細胞)の視認可能な蓄積とすることができる。感知要素はまた、本質的に非反応性材料(すなわち、対照)から形成することができる。前記別のセンサ要素は、例えば、細胞選別アッセイ法および病原体、例えばウイルス(HIV、C型肝炎、など)、細菌、原虫などの存在のためのアッセイ法において使用するためのセンサに都合よく含まれる。
外部環境に存在し、それ自体が電極で測定可能な電流変化を発生させることができる分析物を測定する分析物センサも企図される。そのような分析物を測定するセンサでは、分析物感知構成要素は必要に応じて使用することができる。
タンパク質構成要素
本発明の電気化学センサは、場合によっては、分析物感知構成要素と分析物調節構成要素との間に配置されたタンパク質構成要素を含む(例えば、図2の要素116を参照されたい)。「タンパク質構成要素」という用語は本明細書では当技術分野で許容される用語に従い使用され、分析物感知構成要素および/または分析物調節構成要素との適合性に対して選択される担体タンパク質などを含む構成要素を示す。典型的な実施形態では、タンパク質構成要素は、ヒト血清アルブミンなどのアルブミンを含む。HSA濃度は約0.5%〜30%(w/v)の間で変動してもよい。典型的には、HSA濃度は約1〜10%w/vであり、最も典型的には約5%w/vである。本発明の別の実施形態では、コラーゲンもしくはBSAまたはこれらの状況において使用される他の構造タンパク質をHSAの代わりに、HSAに加えて使用することができる。この構成要素は典型的には、当技術分野で許容されるプロトコルに従い分析物感知構成要素上で架橋される。
接着促進構成要素
本発明の電気化学センサは、1つまたは複数の接着促進(AP)構成要素を含むことができる(例えば、図2の要素114を参照されたい)。「接着促進要素」という用語は本明細書では当技術分野で許容される用語に従い使用され、センサ中の隣接する構成要素間の接着を促進する能力に対して選択された材料を含む構成要素を示す。典型的には、接着促進構成要素は分析物感知構成要素と分析物調節構成要素との間に配置される。典型的には、接着促進構成要素は必要に応じて用いられるタンパク質構成要素と分析物調節構成要素との間に配置される。接着促進構成要素は、そのような構成要素間の接着を促進することが当技術分野で公知の様々な材料のいずれか一つから製造することができ、当技術分野で公知の様々な方法のいずれか一つにより適用することができる。典型的には、接着促進構成要素はγ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのシラン化合物を含む。
接着を促進するのにシランカップリング試薬、とりわけ、R’が典型的に末端アミンを有する脂肪族基であり、Rが低級アルキル基である式R’Si(OR)のものを使用することは当技術分野において公知である(例えば、参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,212,050号を参照されたい)。例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシランなどのシランおよびグルタルアルデヒドを段階的プロセスで使用してウシ血清アルブミン(BSA)およびグルコースオキシダーゼ(GOx)を電極表面に付着、および共架橋させた化学修飾電極が当技術分野で周知である(例えば、T.ヤオ、アナリティカ・キム・アクタ 1983、148、27−33を参照されたい)。
本発明のある実施形態では、接着促進構成要素はさらに、グルコースなどの分析物が分析物調節構成要素を通って拡散するのを制限するように機能するポリジメチルシロキサン(PDMS)などの隣接する構成要素中に存在することもできる1つまた複数の化合物を含む。例示的な実施形態では、調合物は0.5〜20%PDMS、典型的には5〜15%PDMS、最も典型的には10%PDMSを含む。本発明のある実施形態では、接着促進構成要素は分析物調節構成要素などの近接構成要素中に存在するシロキサン部分を架橋させる能力に対し選択された物質を含む。本発明と密接に関連する実施形態では、接着促進構成要素は、分析物感知構成要素および/またはタンパク質構成要素などの近接する構成要素中に存在するタンパク質のアミンまたはカルボキシル部分を架橋させる能力に対し選択される物質を含む。
分析物調節構成要素
本発明の電気化学センサは、センサ上に配置された分析物調節構成要素を含む(例えば、図2の要素112を参照されたい)。「分析物調節構成要素」という用語は当技術分野により許容される用語に従い本明細書で使用され、典型的には、1つまたは複数の分析物、例えばグルコースの構成要素を通る拡散を調節するように動作するセンサ上の膜を形成する構成要素を示す。本発明のある実施形態では、分析物調節構成要素は、1つまたは複数の分析物、例えばグルコースが構成要素を通って拡散するのを阻止または制限するように動作する分析物制限膜である。本発明の別の実施形態では、分析物調節構成要素は、構成要素を通る1つまたは複数の分析物の拡散を促進するように動作する。場合によっては、そのような分析物調節構成要素は、1つの型の分子が構成要素を通って拡散するのを阻止または制限しながら(例えば、グルコース)、同時に別の型の分子(例えば、O)が構成要素を通って拡散するのを許可し、または促進さえするように形成することができる。
グルコースセンサに関しては、公知の酵素電極では、血液からのグルコースおよび酸素、ならびにいくらかの干渉物質、例えばアスコルビン酸および尿酸、がセンサの一次膜を通って拡散する。グルコース、酸素および干渉物質が分析物感知構成要素に到達すると、グルコースオキシダーゼなどの酵素はグルコースの過酸化水素およびグルコノラクトンへの変換を触媒する。過酸化水素は分析物調節構成要素を通って拡散して戻ってもよく、または電極まで拡散してもよく、そこで反応して酸素およびプロトンを形成し、グルコース濃度に比例する電流を発生させることができる。センサ膜アセンブリは、選択的にグルコースを通過させることを含むいくつかの機能を果たす。この状況では、例示的な分析物調節構成要素は半透膜であり、水、酸素および少なくとも1つの選択的分析物を通過させ、水を吸収する能力を有し、膜は水溶性の親水性ポリマーを有する。
様々な例示的な分析物調節組成物が当技術分野で公知であり、例えば、米国特許第6,319,540号、同第5,882,494号、同第5,786,439号、同第5,777,060号、同第5,771,868号および同第5,391,250号に記載されており、各々の開示内容は参照により本明細書に組み入れられる。その中で記載されているヒドロゲルは、様々な埋め込み可能な装置と共に有用であり、その装置に対しては周囲水構成要素を備えることが好都合である。本発明のいくつかの実施形態では、分析物調節組成物はPDMSを含む。本発明のある実施形態では、分析物調節構成要素は近接構成要素中に存在するシロキサン部分を架橋させる能力に対し選択される物質を含む。本発明の密接に関連する実施形態では、接着促進構成要素は、近接構成要素中に存在するタンパク質のアミンまたはカルボキシル部分を架橋する能力に対し選択される物質を含む。
本明細書で詳細に記載されるように、本発明のある実施形態では、分析物調節構成要素は中心鎖および中心鎖に結合された複数の側鎖を有する親水性櫛型コポリマーを含み、ここで少なくとも1つの側鎖がシリコーン部分を含む。
カバー構成要素
本発明の電気化学センサは、典型的に電気絶縁保護構成要素である1つまたは複数のカバー構成要素を含む(例えば、図2の要素106を参照されたい)。典型的には、そのようなカバー構成要素は分析物調節構成要素の少なくとも一部上に配置される。絶縁保護カバー構成要素として使用するための許容されるポリマーコーティングとしては、非毒性生体適合性ポリマー類、例えばシリコーン化合物類、ポリイミド類、生体適合性ソルダマスク、エポキシアクリレートコポリマー類、などが挙げられるが、それらに限定されない。さらに、これらのコーティングは光画像形成可能(photo-imageable)とすることができ、導電性構成要素まで通過する開口のフォトリソグラフィー形成が促進される。典型的なカバー構成要素はシリコーン上スパン(spun)を含む。当技術分野で公知のように、この構成要素は市販のRTV(室温加硫)シリコーン組成物とすることができる。この状況での典型的な化学はポリジメチルシロキサン(アセトキシ系)である。
本発明の様々な例示的な実施形態およびそれらの特性について以下の節で詳細に記載する。
D.分析物センサ装置の例示的な実施形態および関連特性
本明細書で開示した分析物センサ装置は多くの実施形態を有する。本発明の一般的な実施形態は、哺乳類の体内に埋め込むための分析物センサ装置である。分析物センサは典型的には、哺乳類の体内に埋め込み可能なように設計されるが、センサは何か特別な環境に限定されるものではなく、その代わりに、様々な状況において、例えば、全血、リンパ、血漿、血清、唾液、尿、便、汗、粘液、涙、脳脊髄液、鼻汁、頸管または膣分泌物、精液、胸水、羊水、腹水、中耳液、滑液、胃吸引物などの生物流体を含むほとんどの液体試料の分析のために使用することができる。さらに、固体または乾燥試料を適当な溶媒に溶解して、分析に適した液体混合物を提供してもよい。
上記のように、本明細書で開示したセンサ実施形態を使用して、1つまたは複数の生理環境において対象の分析物を感知することができる。例えば、ある実施形態では、センサは皮下センサで典型的に生じるように、間質液と直接接触することができる。本発明のセンサはまた、間質グルコースが皮膚を通して抽出され、センサと接触される皮膚表面系の一部としてもよい(例えば、参照により本明細書に組み入れられる米国特許第6,155,992号および同第6,706,159号を参照されたい)。他の実施形態では、センサは例えば静脈センサで典型的に生じるように、血液と接触することができる。本発明のセンサ実施形態はさらに、様々な状況で使用するように適合されたものを含む。例えば、ある実施形態では、センサは、例えば歩行中の使用者が使用するものなど、移動状況で使用するように設計することができる。また、センサは、臨床設定で使用するように適合されたものなど、静止状況で使用するように設計することができる。そのようなセンサ実施形態としては、例えば、入院患者において1つまたは複数の生理環境で存在する1つまたは複数の分析物をモニタするために使用されるものが挙げられる。
本発明のセンサはまた、当技術分野で公知の様々な医療システムに組み入れることができる。本発明のセンサは、例えば、薬剤が使用者の体内に注入される速度を制御するように設計された閉ループ注入システムで使用することができる。そのような閉ループ注入システムは、センサと、関連する計測器とを含むことができ、計測器は制御装置への入力を発生させ、制御装置は送達システムを動作させる(例えば、薬剤注入ポンプにより送達されるべき用量を計算するもの)。そのような状況では、センサと関連する計測器はまた、送達システムにコマンドを送り、送達システムを遠隔制御するために使用されてもよい。典型的には、センサは使用者の体内のグルコース濃度をモニタする、間質液と接触する皮下センサであり、送達システムにより使用者の体内に注入される液体はインスリンを含む。例示的なシステムは例えば米国特許第6,558,351号および同第6,551,276号、PCT米国出願第99/21703号および同第99/22993号、ならびに国際公開第2004/008956号および同第2004/009161号に開示されており、これらは全て参照により本明細書に組み入れられる。
本発明のある実施形態は過酸化物を測定し、皮下埋め込みおよび静脈埋め込みならびに様々な非血管領域への埋め込みの領域を含む哺乳類における様々な部位に埋め込むのに適しているという好都合な特徴を有する。非血管領域への埋め込みを可能にする過酸化物センサ設計は、非血管領域に埋め込まれた酸素センサで生じる可能性のある酸素ノイズに関連する問題のために、酸素を測定するあるセンサ装置設計を超える利点を有する。例えば、そのような埋め込まれた酸素センサ装置設計では、参照センサでの酸素ノイズは信号対雑音比を低下させる可能性があり、結果として、この環境で安定したグルコース測定値を得る能力が妨げられる。そのため、本発明の過酸化物センサは非血管領域内のそのような酸素センサで観察される問題を克服する。
本発明のある過酸化物センサの実施形態はさらに、30日を超える期間、哺乳類に埋め込むのに適した、好都合な長期または「永久」センサを含む。特に、当技術分野で公知のように(例えば、ISO 10993、医療装置の生物学的評価(Biological Evaluation of Medical Devices)を参照されたい)、本明細書で記載したセンサなどの医療装置は埋め込み期間に基づき3つの群に分類できる:(1)「限定」(<24時間)、(2)「長期」(24時間〜30日)、および(3)「永久」(>30日)。本発明のいくつかの実施形態では、本発明の過酸化物センサの設計により、この分類による「永久」すなわち30日を超える埋め込みが可能になる。本発明の関連する実施形態では、本発明の過酸化物センサの安定性の高い設計により、埋め込みセンサがこの点について、2、3、4、5、6もしくは12ヶ月またはそれ以上の間機能し続けることができる。
一般に、分析物センサ装置構造は基層と基層上に配置された導電層(例えば、多孔質マトリクス)とを備え、1つまたは複数の電極として機能する。例えば、導電層は作用電極、参照電極および/または対電極を含むことができる。これらの電極は、特定の設計に従い、近接して配置することができ、または遠位に離される。センサ装置設計は、ある電極(例えば、作用電極)がセンサ装置内で(例えば、開口を介して)感知される分析物を含む溶液に暴露されるようにされる。センサ装置設計は、ある電極(例えば、参照電極)がセンサ装置内で感知される分析物を含む溶液に暴露されないようにされる。
本発明の1つの実施形態は、バイオセンサにおいて使用するための組成物である。そのような組成物は典型的には、哺乳類の体内に埋め込み可能に設計され、表面が固定酵素、例えばグルコースオキシダーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ、乳酸オキシダーゼ、ヘキソキナーゼまたは乳酸デヒドロゲナーゼでコートされた多孔質マトリクスを含む。典型的には固定酵素でコートされた多孔質マトリクスは、電気化学センサにおいて電極として作用することができる。場合によっては、電気化学センサ中の電極は過酸化水素を消費する。
本発明のバイオセンサの様々な実施形態で使用されるマトリクスは、様々な材料から生成させることができ、様々な組成構成に適合させることができる。本発明のいくつかの実施形態では、マトリクスは多孔性であり、セラミック材料および/または金属および/またはマクロ多孔質ポリマーを含む。場合によっては、多孔質マトリクスは粒子格子を含む。典型的には粒子は球状である。本発明の典型的な実施形態では、多孔質マトリクスは、同じ寸法の無孔性マトリクスの表面積の少なくとも2、4、6、8、10、12、14、16または18倍の表面積を有する。本発明のある実施形態では、多孔質マトリクスは少なくとも1、10、100、または1000μmの厚さである。本発明のある実施形態では、多孔質マトリクスの多孔度範囲は、場合によっては約5〜99.9%であり、典型的には約40〜99%である。これらのマトリクスの多孔度は、当技術分野で典型的に使用されるプロトコルの1つ、例えば、水銀またはガスポロシメトリ、様々なサイズおよび分子量のマーカー分子(例えば、アセトン、規定されたサイズの様々な球状タンパク質、ブルーデキストラン)を使用したサイズ排除クロマトグラフィー、およびサイクリックボルタンメトリにより測定することができる。
典型的には、分析物センサ装置はセンサの導電層上に配置された、典型的には作用電極の一部または全てを被覆する分析物感知層を含む。この分析物感知層は感知される分析物の存在下で、導電層中の作用電極の電流を検出できるように変化させる。本明細書で開示されるように、この分析物感知層は典型的には、対象の分析物と反応する酵素または抗体分子などを含み、分子濃度が変化し、これにより作用電極での電流が変調される(例えば、図1の反応スキームで示されるように酸素および/または過酸化水素を参照されたい)。例示的な分析物感知層はグルコースオキシダーゼ(例えば、グルコースセンサにおいて使用するため)または乳酸オキシダーゼ(例えば、乳酸センサにおいて使用するため)などの酵素を含む。発明のいくつかの実施形態では、分析物感知層は、センサ内で電極として機能する要素のこの組み合わせを有する多孔質金属および/またはセラミックおよび/またはポリマーマトリクス上に配置される。
典型的には、分析物感知層はさらに、分析物感知化合物(例えば、酵素)と共に実質的に固定された比率の担体タンパク質を含み、分析物感知化合物および担体タンパク質は分析物感知層全体に実質的に均一に分配される。典型的には、分析物感知層は非常に薄く、例えば、1、0.5、0.25または0.1μm未満の厚さである。特定の科学理論に縛られるわけではないが、そのような薄い分析物感知層を有するセンサは、典型的には電着により生成されるより厚い層に比べ、驚くほど増強した特性を有するが、これは、電着により3〜5μmの厚さの酵素層が生成し、コーティング層内の反応酵素の一部しか感知される分析物にアクセスすることができないからである。電着プロトコルにより生成されるそのようなより厚いグルコースオキシダーゼペレットは、機械的安定性が低く(例えば、割れる傾向)、さらに実際の使用のための準備により長い時間がかかり、典型的には、埋め込みの準備前に数週間の試験が必要であることがさらに観察されている。これらの問題は本明細書で記載した薄層酵素コーティングでは観察されないので、これらの薄いコーティングは本発明の典型的な実施形態である。
例えば、グルコースオキシダーゼを使用するセンサでは、電着により生成される厚いコーティングは、3〜5μmの厚さの酵素層の反応性界面で生成する過酸化水素が、センサ表面と接触し、これにより信号を発生させる能力を妨げるかもしれない。さらに、そのような厚いコーティングのためにセンサ表面に到達できない過酸化水素は、センサから離れてセンサが置かれる環境内に拡散し、これによりそのようなセンサの感度および/または生体適合性が減少する。さらに、特定の科学理論に縛られるわけではないが、そのような薄い分析物感知層を有するセンサは、スピンコーティングなどのプロセスにより、グルコースオキシダーゼのアルブミン(酵素層においてグルコースオキシダーゼを安定化するための担体タンパク質として使用される)に対する酵素コーティング比に対し正確な制御が可能となるという事実に起因する、予想外に好都合な特性を有すると考えられる。具体的には、グルコースオキシダーゼおよびアルブミンは異なる等電点を有するので、電着プロセスにより、最適に決定された酵素対担体タンパク質の比が電着プロセスで有害に変更され、さらに、グルコースオキシダーゼおよび担体タンパク質が配置された酵素層全体に実質的に均一に分配されない表面コーティングが得られることになるかもしれない。さらに、そのような薄い分析物感知層を有するセンサは予想外に早い応答時間を有する。特定の科学理論に縛られるわけではないが、これらの驚くべき、好都合な特性は、薄い酵素層により作用電極表面へのより良好なアクセスが可能になり、電極で電流を変調するより多くの割合の分子が電極表面にアクセスできるかもしれないという観察結果に起因すると考えられる。この状況では、本発明のあるセンサ実施形態では、哺乳類の体内に存在する分析物への暴露に応じた電流変化は、分析物が分析物センサに接触する15、10、5または2分以内に電流計を介して検出することができる。
場合によっては、分析物感知層はその上に配置されたタンパク質層を有し、これは典型的にはこの分析物感知層と分析物調節層との間に存在する。タンパク質層内のタンパク質は、ウシ血清アルブミンおよびヒト血清アルブミンからなる群より選択されるアルブミンである。典型的には、このタンパク質は架橋される。特定の科学理論に縛られるわけではないが、この独立したタンパク質層によりセンサ機能が増強され、センサノイズ(例えば、スプリアスバックグラウンド信号)を減少させる一種のキャパシタとして挙動することにより、驚くべき機能利点が提供されると考えられる。例えば、本発明のセンサでは、いくらかの量の水分がセンサの分析物調節膜層下で形成する可能性があり、この層は、分析物感知層の酵素に接触することができる分析物の量を調整する。この水分は、センサを使用する患者が移動するにつれ、センサ内でシフトする圧縮可能な層を生成する可能性がある。センサ内での層のそのようなシフトにより、実際の生理分析物濃度とは関係ない、グルコースなどの分析物が分析物感知層を通って移動する様式が変動する可能性があり、これによりノイズが発生する。この状況では、タンパク質層は、GOxなどの酵素が水分層と接触しないように保護することによりキャパシタとして機能してもよい。このタンパク質層は、分析物感知層と分析物調節膜層との間の接着を促進するなどの、多くの追加の利点を付与してもよい。また、この層が存在すると、過酸化水素などの分子に対しより大きな拡散経路が得られる可能性があり、これにより、電極感知要素に限局され、センサ感度の増強に寄与する。
典型的には、分析物感知層および/または分析物感知層上に配置されたタンパク質層は、その上に配置された接着促進層を有する。そのような接着促進層は分析物感知層と近接層、典型的には分析物調節層との間の接着を促進する。この接着促進層は典型的にはγ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのシラン化合物を含み、これは様々なセンサ層間の最適接着を促進する能力に対し選択され、センサを安定化するように機能する。興味深いことに、そのようなシラン含有接着促進層を有するセンサは、全体安定性の増強を含む予想外の特性を示す。さらに、シラン含有接着促進層は、センサ安定性を増強する能力の他に多くの好都合な特性を提供し、例えば、干渉除去ならびに1つまたは複数の分析物の質量移動の制御において有益な役割を果たすことができる。
本発明のある実施形態では、接着促進層はさらに、グルコースなどの分析物が分析物調節層を通って拡散するのを制限するように機能するポリジメチルシロキサン(PDMS)化合物類などの隣接層に存在することもできる1つまたは複数の化合物を含む。例えば、AP層へのPDMSの添加は、センサが製造される時にAP層で生じる穴やギャップの可能性を減少させる状況では好都合でありえる。
典型的には、接着促進層は通過する分析物の拡散を調節するように機能する、その上に配置された分析物調節層を有する。1つの実施形態では、分析物調節層は、分析物(例えば、酸素)のセンサ層を通る拡散を増強するように機能し、結果として分析物感知層の分析物濃度を高めるように機能する組成物(例えば、ポリマー類など)を含む。また、分析物調節層は、分析物(例えば、グルコース)のセンサ層を通る拡散を制限するように機能し、結果として分析物感知層の分析物濃度を制限するように機能する組成物を含む。この例示的な例は、ポリジメチルシロキサンなどのポリマーを含む親水性グルコース制限膜(すなわち、通過するグルコースの拡散を制限するように機能する)である。本発明のある実施形態では、分析物調節層は、中心鎖と中心鎖に結合された複数の側鎖を有する親水性櫛型コポリマーを含み、少なくとも1つの側鎖はシリコーン部分を含む。
典型的には、分析物調節層はさらに、センサ装置の少なくとも一部上に配置された、典型的には電気絶縁保護層である1つまたは複数のカバー層を備える(例えば、分析物調節層を被覆する)。絶縁保護カバー層として使用するのに許容されるポリマーコーティングとしては、非毒性生体適合性ポリマー類、例えば、シリコーン化合物類、ポリイミド類、生体適合性ソルダマスク、エポキシアクリレートコポリマー類、などが挙げられるが、それらに限定されない。例示的なカバー層はシリコーン上スパンを含む。典型的には、カバー層はさらに、センサ層(例えば、分析物調節層)の少なくとも一部を感知される分析物を含む溶液に暴露させる開口を含む。
本明細書で記載した分析物センサは、例えば、図1で示されるようにグルコースがグルコースオキシダーゼと相互作用すると生じる作用カソード付近の酸素濃度変化に起因する作用カソードでの電流変化を検出するために、カソード分極させることができる。または、本明細書で記載した分析物センサは、例えば、図1で示されるようにグルコースがグルコースオキシダーゼと相互作用すると生じる作用アノード付近の過酸化水素濃度変化に起因する作用アノードでの電流変化を検出するために、アノード分極させることができる。本発明の典型的な実施形態では、作用電極での電流を参照電極(対照)の電流と比較し、これらの測定値の差が、その後、測定される分析物の濃度に相関させることができる値を提供する。これらの二重電極での電流の比較から測定値を得ることにより電流値を得る分析物センサ設計は、通常、例えばデュアル酸素センサと呼ばれる。
本発明のいくつかの実施形態では、分析物センサ装置はアノード分極により機能するように設計され、そのため電流変化が分析物センサ装置の導電層中のアノード作用電極で検出される。アノード分極と関連させることができる構造上の設計特徴は、アノードである作用電極と、カソードである対電極と、参照電極とを含む適当なセンサ構造を設計し、その後、この設計構造内のアノード表面の適当な部分上に適当な分析物感知層を選択的に配置することを含む。場合によっては、このアノード分極構造設計は異なるサイズの表面積を有するアノード、カソード、および/または作用電極を含む。例えば、この構造設計は作用電極(アノード)および/または作用電極のコート表面が対電極(カソード)および/または対電極のコート表面よりも大きいという特徴を含む。この状況では、アノード作用電極で検出することができる電流変化はその後、分析物濃度と関係づけられる。本発明のこの実施形態のある例示的な実施例では、作用電極は酸化反応(例えば、図1を参照されたい)における過酸化水素を測定し、利用するが、過酸化水素は、それぞれ、グルコースまたは乳酸との反応でグルコースオキシダーゼまたは乳酸オキシダーゼなどの酵素により発生する。そのような過酸化水素の再利用能力を有する電気化学グルコースおよび/または乳酸センサに関連する本発明のそのような実施形態は特に興味深いが、これは、この分子の再利用により、センサからそのセンサが置かれた環境内に漏れる可能性のある過酸化水素の量が減少するからである。この状況では、過酸化水素などの組織刺激物質の放出を減少させるように設計された埋め込み可能なセンサは改善された生体適合性プロファイルを有する。さらに、過酸化水素はグルコースオキシダーゼなどの酵素と反応し、その生物学的機能を低下させる可能性があることが観察されているので、そのようなセンサはこの現象を回避するので望ましい。場合によっては、分析物調節層(例えば、グルコース制限層)は、センサが置かれている環境内に過酸化水素が拡散して出て行くことを阻止するように機能する組成物を含むことができる。結果として、本発明のそのような実施形態は、本明細書で開示されている過酸化水素再利用要素を組み入れることにより、過酸化水素を生成する酵素を組み入れたセンサの生体適合性を改善する。
基層と、導電層と、分析物感知層と、任意に用い得るタンパク質層と、接着促進層と、分析物調節層と、カバー層とを備える本発明の分析物センサのある実施形態は、多くの予想外の特性を示す。例えば、カソード分極により機能するように構築されたものに対しアノード分極により機能するように構築されたセンサでは、分析物感知層および電極表面での電気化学反応の違いにより異なる化学物質が生成し、および/または消費され、これにより様々なセンサ要素が様々な極性で機能する化学環境が変化する。この状況において、本明細書で開示したセンサ構造は、様々な異なる化学および/または電気化学条件下、予想外の安定度で機能することが示されている、驚くほど用途の広い装置を提供する。
本明細書で開示した、本発明のある実施形態(例えば、過酸化水素の再利用能力を有するもの)では、センサ層は、その双方がグルコースオキシダーゼまたは乳酸オキシダーゼなどの酵素を含む分析物感知層でコートされた作用電極(例えば、アノード)および対電極(例えば、カソード)、を含む複数の電極を有する。そのようなセンサ設計は増強した感度を含む驚くべき特性を有する。特定の理論に縛れるわけではないが、これらの特性は作用電極または対電極の表面で過酸化水素の増強した酸化に起因する可能性があり、グルコース感知反応において使用することができる追加の酸素が生成する(例えば、図1を参照されたい)。そのため、この再利用効果は、本明細書で開示したあるセンサの実施形態の酸素依存制限を減少させてもよい。さらに、この設計により、有効な過酸化水素を容易に減少させ、その結果より低い電極電位を有することができる作用電極を有するセンサを得ることができる。より低い電極電位で機能するように設計されたセンサは、この型のセンサにおける高い電極電位により、センサを不安定化する可能性のある(加水分解反応により生成した気泡によるセンサ層の破壊のため)ガス発生加水分解が起こる可能性があるので、本発明の典型的な実施形態である。さらに、対電極がグルコースオキシダーゼまたは乳酸オキシダーゼなどの酵素を含む分析物感知層の非常に薄い層でコートされるように設計されたセンサの実施形態では、酵素反応で生成した過酸化水素は対電極の反応表面に非常に近接する。これにより、例えば、より小さな反応表面を有する対電極を含む小型センサ設計の製造を可能にする様式で、センサの全体効率を増加させることができる。
哺乳類体内に埋め込むための分析物センサ装置の特定の例示的な実施例は、下記設計の過酸化物センサである。過酸化物センサ装置の第1の層は、典型的にはアルミナなどのセラミックから製造される基層である。基層上に配置された次の層はアノード作用電極および参照電極を含む複数の電極を含む導電層である。導電層上に配置された次の層は、グルコースを感知し、結果的に図1で示されるように過酸化水素を発生させる架橋グルコースオキシダーゼを含む分析物感知層である。この過酸化水素が存在する場合、アノード作用電極は、発生した過酸化水素が、導電層中のこのアノードに接触し、酸化されると測定可能な電流増加を経験する。参照電極は対照として機能し、物理的に作用電極および図1で示される反応により発生した過酸化水素から隔離される。この分析物感知層は典型的には1、0.5、0.25または0.1μm未満の厚さであり、架橋グルコースオキシダーゼと実質的に固定された比率で架橋ヒト血清アルブミンの混合物を含み、グルコースオキシダーゼおよびヒト血清アルブミンはセンサ層全体に実質的に均一に分配される。センサ層上に配置される次の層は架橋ヒト血清アルブミンを含むタンパク質層である。タンパク質層上に配置された次の層は、分析物感知層および/またはタンパク質層とこれらの層上に配置された分析物調節層との間の接着を促進する接着促進層である。この接着促進層はシラン組成物を含む。接着促進層上に配置された次の層は、通過するグルコースの拡散を調節するPDMSを含む親水性グルコース制限膜の形態の分析物調節層である。本発明のある実施形態では、分析物調節層は中心鎖と中心鎖に結合された複数の側鎖を有する親水性櫛型コポリマーを含み、少なくとも1つの側鎖はシリコーン部分を含む。次の層は、典型的にはシリコーンから構成され、分析物調節層の少なくとも一部上に配置されたカバー層であり、カバー層はさらに、分析物調節層の少なくとも一部を外部のグルコースを含む環境に暴露させる開口を含み、そのため、グルコースは作用電極上の分析物感知層にアクセスすることができる。この過酸化物センサ装置はアノード分極により機能し、そのため、分析物調節層を通って拡散し、その後、分析物感知層中でグルコースオキシダーゼと反応するグルコースにより生成される過酸化水素信号が、センサの導電層中のアノード作用電極で検出可能な電流変化を生成させ、これは電流計により測定することができる。この、アノード作用電極での電流変化はその後、外部環境中のグルコース濃度と相関させることができる。結果として、この設計のセンサは過酸化物に基づくグルコースセンサとして作用することができる。
E.分析物センサ装置および要素の並べ換え
上記のように、本明細書で開示した本発明は非常に薄い酵素コーティングを有するセンサを含む多くの実施形態を含む。本発明のそのような実施形態により、熟練者は、本明細書で開示した分析物センサ装置の様々な変更実施形態を生成させることができる。上記のように、本明細書で開示したセンサの例示的な一般的実施形態は、基層と、カバー層と、基層とカバー層との間に配置された電極などのセンサ要素を有する少なくとも1つの層と、を含む。典型的には、1つまたは複数のセンサ要素(例えば、作用電極、対電極、参照電極、など)の露出した一部が適当な電極化学的性質を有する材料からなる非常に薄い層でコートされる。例えば、乳酸オキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼまたはヘキソキナーゼなどの酵素をカバー層内で規定される穴または開口内のセンサ要素の露出部分上に配置させることができる。図2は、本発明の典型的なセンサ構造体100の断面を示す。センサはセンサ構造体100を製造する本発明の方法に従い、互いの上に配置された様々な導電性および非導電性構成要素の複数の層から形成される。
上記のように、本発明のセンサでは、センサの様々な層(例えば、分析物感知センサ)がその中に組み入れられた1つまたは複数の生物活性および/または不活性材料を有することができる。本明細書で使用されるように「組み入れられた」という用語は、組み入れられた材料が層の固相または支持マトリクスの外表面上、またはその中に保持される任意の状況または状態を説明することを意味する。このように、「組み入れられた」材料は、例えば、固定され、物理的に捕捉され、マトリクス層の官能基に共有結合により付着されてもよい。さらに、前記材料の「組み入れ」を促進する任意のプロセス、試薬、添加剤、または分子リンカー剤を、これらの追加の工程または薬剤が本発明に有害でなく、その目的と一致する場合使用してもよい。この定義は、当然、生物活性分子(例えば、グルコースオキシダーゼなどの酵素)が「組み入れられる」本発明の実施形態のいずれかに当てはまる。例えば、本明細書で開示したセンサのある層は、架橋可能なマトリクスとして機能するアルブミンなどのタンパク性物質を含む。本明細書で使用されるように、タンパク質性物質は、実際の物質が天然タンパク質、不活性タンパク質、変性タンパク質、加水分解種、またはその誘導体化生成物であるかに関係なく、一般にタンパク質から誘導される物質を含むものとする。適したタンパク質性材料の例としては、グルコースオキシダーゼおよび乳酸オキシダーゼなどの酵素類、アルブミン類(例えば、ヒト血清アルブミン、ウシ血清アルブミンなど)、カゼイン類、γ−グロブリン類、コラーゲン類およびコラーゲン誘導生成物(例えば、魚ゼラチン、魚接着剤、動物ゼラチン、および動物接着剤)が挙げられるが、それらに限定されない。
本発明の例示的な実施形態を図2に示す。この実施形態はセンサ100を支持するために電気絶縁性基層102を含む。電気絶縁性基層102はセラミック基材などの材料から作製することができ、自立してもよく、または当技術分野で公知のように別の材料によりさらに支持されてもよい。別の実施形態では、電気絶縁層102はポリイミド基材、例えば、リールから分配されるポリイミドテープを含む。この形態の層102を提供すると、クリーンな高密度大量生産が促進できる。さらに、そのようなポリイミドテープを使用したいくつかの製造プロセスでは、センサ100はテープの両側に作製することができる。
本発明の典型的な実施形態は、基層102上に配置された分析物感知層を含む。図2に示される例示的な実施形態では、分析物感知層は、絶縁性基層102上に配置された導電層104を含む。典型的には、導電層104は1つまたは複数の電極を含む。導電層104は以下で記載するように多くの公知の技術および材料を用いて適用することができるが、センサ100の電気回路は典型的には、配置した導電層104を導電パスの所望のパターンにエッチングすることにより規定される。センサ100のための典型的な電気回路は2つまたそれ以上の隣接する導電パスを含み、近位端には導体パッドを形成するための領域および遠位端にはセンサ電極を形成するための領域を有する。ポリマーコーティングなどの電気絶縁性カバー層106が典型的には導電層104の一部上に配置される。絶縁保護層106として使用するための許容されるポリマーコーティングとしては、非毒性生体適合性ポリマー類、例えば、ポリイミド、生体適合性ソルダマスク類、エポキシアクリレートコポリマー類、などが挙げられるが、それらに限定されない。さらに、導電層104を通過する開口108のフォトリソグラフィー形成を促進するように、これらのコーティングは光画像形成可能とすることができる。本発明のある実施形態では、分析物感知層は、多孔質金属および/またはセラミックおよび/またはポリマーマトリクス上に配置され、この要素の組み合わせはセンサ内で電極として機能する。
本発明のセンサでは、1つまたは複数の露出した領域または開口108を、保護層106を通って導電層104まで形成させることができ、センサ100の導体パッドおよび電極が規定される。フォトリソグラフィー現像の他に、開口108はレーザアブレーション、化学ミリングまたはエッチングなどを含む多くの技術により形成させることができる。第2のフォトレジストをカバー層106に適用し、除去される保護層の領域を規定し、開口108を形成させることもできる。動作センサ100は典型的には、互いに電気的に分離されているが、典型的には互いに近接して配置された作用電極および対電極などの複数の電極を含む。別の実施形態はまた、参照電極を含んでもよい。さらに別の実施形態はセンサ上に形成されない別個の参照要素を使用してもよい。露出した電極および/または導体パッドはまた、開口108を介して第2の処理、例えば追加のメッキ処理を受けることができ、表面が準備され、および/または導電領域が強化される。
分析物感知層110は典型的には開口108を通して導電層104の1つまたは複数の露出した電極上に配置される。典型的には、分析物感知層110はセンサ化学層であり、最も典型的には酵素層である。典型的には、分析物感知層110は酵素グルコースオキシダーゼまたは酵素乳酸オキシダーゼを含む。そのような実施形態では、分析物感知層110はグルコースと反応し、過酸化水素を発生させ、これが電極への電流を変調させ、これをモニタして存在するグルコース量を測定することができる。センサ化学層110を導電層の一部上または導電層の全体領域上に適用することができる。典型的には、センサ化学層110は導電層を構成する作用電極および対電極の部分上に配置される。薄いセンサ化学層110を生成するためのいくつかの方法はスピンコーティングプロセス、浸漬および乾燥プロセス、低せん断噴霧プロセス、インクジェット印刷プロセス、シルクスクリーンプロセスなどを含む。最も典型的には、薄いセンサ化学層110はスピンコーティングプロセスを用いて塗布される。
分析物感知センサ110は典型的には1つまたは複数のコーティング層でコートされる。本発明のいくつかの実施形態では、1つのそのようなコーティング層は分析物感知層の酵素と接触することができる分析物の量を調整することができる膜を含む。例えば、コーティング層は、電極上のグルコースオキシダーゼ酵素層に接触するグルコースの量を調整するグルコース制限膜などの分析物調節膜層を含むことができる。そのようなグルコース制限膜は、そのような目的に適していることが公知の様々な材料、例えば、シリコーン、ポリウレタン、ポリ尿素酢酸セルロース、ナフィオン、ポリエステルスルホン酸(例えば、コダックAQ)、ヒドロゲル類または当技術分野における当業者に公知の任意の他の適した膜から製造することができる。本発明のある実施形態では、分析物調節層は中心鎖と中心鎖に結合された複数の側鎖とを有する親水性櫛型コポリマーを含み、ここで少なくとも1つの側鎖はシリコーン部分を含む。
本発明のいくつかの実施形態では、コーティング層はセンサ化学層110上に配置され、センサ化学層110とのグルコースの接触を調整するグルコース制限膜層120である。本発明のいくつかの実施形態では、接着促進層114は、図2に示されるように膜層112とセンサ化学層110との間に配置され、それらの接触および/または接着を促進する。接着促進層114はそのような層間の接着を促進することが当技術分野において公知の様々な材料のいずれか一つから製造することができる。典型的には、接着促進層114はシラン化合物を含む。別の実施形態では、センサ化学層110中のタンパク質または同様の分子は十分架橋され、またはそうでなければ、接着促進層114がなければ膜層112がセンサ化学層110と直接接触して配置されるように準備される。
上記のように、本発明の実施形態は1つまたは複数の機能コーティング層を含むことができる。本明細書で使用されるように、「機能コーティング層」という用語は、センサの少なくとも1つの表面の少なくとも一部、より典型的には実質的にセンサの一表面全てをコートし、センサが置かれた環境中の1つまたは複数の分析物、例えば化学化合物、細胞およびその断片などと相互作用することができる層を示す。機能コーティング層の非制限的例としてはセンサ化学層(例えば、酵素層)、分析物制限層、生体適合性層;センサの滑りやすさを増加させる層;センサへの細胞付着を促進する層;センサへの細胞付着を減少させる層;などが挙げられる。典型的には、分析物調節層は、1つまたは複数の分析物、例えばグルコースが層を通って拡散するのを阻止または制限するように動作する。場合によっては、そのような層は1つの型の分子(例えば、グルコース)が層を通って拡散するのを阻止または制限し、同時に、別の型の分子(例えば、O)が層を通って拡散するのを可能にする、または促進さえするように形成することができる。例示的な機能コーティング層は米国特許第5,786,439号および同第5,391,250号で開示されているものなどのヒドロゲルであり、各々の開示は参照により本明細書に組み入れられる。本明細書で記載されているヒドロゲル類は周囲水層を提供することが好都合な様々な埋め込み可能な装置と一緒であれば特に有用である。
本明細書で開示したセンサの実施形態は、UV吸収ポリマー類を有する層を含むことができる。本発明の1つの観点によれば、UV吸収ポリマーを含む少なくとも1つの機能コーティング層を含むセンサが提供される。いくつかの実施形態では、UV吸収ポリマーはポリウレタン、ポリ尿素またはポリウレタン/ポリ尿素コポリマーである。より典型的には、選択されたUV吸収ポリマーはジイソシアネート、少なくとも1つのジオール、ジアミンまたはこれらの混合物、および多官能性UV吸収モノマーを含む反応混合物から形成される。
UV吸収ポリマー類は、様々なセンサ作製法、例えば、ロードらの、「経皮センサ挿入セット」と題する米国特許第5,390,671号、ウィルソンらの、「埋め込み可能なグルコースセンサ」と題する米国特許第5,165,407号、およびゴフらの、「2次元拡散グルコース基質感知電極」と題する米国特許第4,890,620号(参照により全体が本明細書に組み入れられる)において記載されているものにおいて使用すると好都合である。しかしながら、センサ要素の上方または下方でUV吸収ポリマー層を形成する工程を含む任意のセンサ作製法は本発明の範囲内にあると考えられる。特に、本発明の方法は薄膜作製法に限定されず、UV−レーザカッティングを使用する他のセンサ作製法と共に機能することができる。実施形態は、厚膜の平面または円筒センサなど、ならびにレーザカッティングを必要とする他のセンサ形状と共に機能することができる。
本明細書で開示されるように、本発明のセンサは、糖尿病患者において血糖値をモニタするための皮下または経皮グルコースセンサとして使用するために特に設計される。典型的には、各センサは、下にある絶縁薄膜基層と上にある絶縁薄膜カバー層との間に形成された複数のセンサ要素、例えば、細長い薄膜導体などの導電要素を含む。
所望であれば、複数の異なるセンサ要素を単一のセンサに含ませることができる。例えば、導電および反応性センサ要素の両方を1つのセンサ内で組み合わせることができ、場合によっては、各センサ要素が基層の異なる部分に配置される。1つまたは複数の制御要素もまた備えることができる。そのような実施形態では、センサはそのカバー層中で、複数の穴または開口を規定することができる。1つまたは複数の開口はまた、基層の一部の真上のカバー層中で規定することができ、基層と、センサが配置された環境内の1つまたは複数の分析物との相互作用がもたらされる。基層とカバー層は様々な材料、典型的にはポリマー類から構成することができる。より特定的な実施形態では、基層とカバー層はポリイミドなどの絶縁材料から構成される。開口は典型的にはカバー層中に形成され、遠位端電極および近位端導体パッドが露出される。例えば、グルコースモニタ用途では、センサは経皮的に配置することができ、そのため、遠位端電極は患者の血液または細胞外液と接触し、導体パッドはモニタリング装置に都合よく接続されるように外部に配置される。
本発明のセンサは任意の所望の構造、例えば、平面または円筒形を有することができる。基層102は自立型、例えば剛性ポリマー層、または非自立型、例えばフレキシブルフィルムとすることができる。後者の実施形態は、例えば、連続して解かれて、その上にセンサ要素およびコーティング層が連続して適用されるポリマーフィルムのロールを使用したセンサの連続製造を可能にするという点で望ましい。
本発明の一般的な実施形態は、基層と、基層上に配置され、複数のセンサ要素を含む分析物感知層と、分析物感知層上に配置され、導電層上の複数の感知要素の全てをコートする酵素層(典型的には2μm未満の厚さ)と、1つまたは複数のコーティング層とを含む、体内に埋め込むように設計されたセンサである。典型的には、酵素層はグルコースオキシダーゼを、典型的には、担体タンパク質と実質的には固定された比率で含む。特定の実施形態では、グルコースオキシダーゼおよび担体タンパク質は、配置された酵素層全体に実質的に均一に分配される。典型的には、担体タンパク質はアルブミンを、典型的には約5重量%の量で含む。本明細書で使用されるように、「アルブミン」は、ヒト血清アルブミン、ウシ血清アルブミンなどの、ポリペプチド組成物を安定化するために熟練者が典型的に使用するアルブミンタンパク質を示す。本発明のいくつかの実施形態では、コーティング層は、酵素層に接触することができる分析物の量を調整するために、センサ上に配置された分析物接触層である。別の実施形態では、センサは酵素層と分析物接触層との間に配置された接着促進層を含み、酵素層は1、0.5、0.25または0.1μm未満の厚さである。
本発明の実施形態は、分析物感知層が、多孔質金属および/またはセラミックおよび/またはポリマーマトリクスの上に配置されるが、この要素の組み合わせはセンサ内で電極として機能する。本発明の関連する実施形態は、基層と、基層上に配置され、少なくとも1つの作用電極と少なくとも1つの対電極を含む導電層と、導電層上に配置され、厚さが2μm未満である分析物感知層と、典型的には層を通って拡散し、分析物感知センサと接触することができる分析物の量を制限することにより、酵素層に接触する分析物の量を調整する分析物調節層と、を含む電気化学分析物センサである。本発明のある実施形態では、分析物調節層は、中心鎖と中心鎖に結合された複数の側鎖を有する親水性櫛型コポリマーを含み、少なくとも1つの側鎖はシリコーン部分を含む。場合によっては実施する本発明の実施形態では、作用電極および/または作用電極のコート表面は対電極および/または対電極のコート表面よりも大きい。いくつかの実施形態では、酵素層は、作用電極および対電極の上に担体タンパク質と共に固定された比率でコートすることにより安定化されたグルコースオキシダーゼを含む。1つの実施形態では、このグルコースオキシダーゼ酵素層は実質的に導電層を被覆する。グルコースオキシダーゼ酵素層が導電層全体の上に均一なコーティングで配置される実施形態は、異なる材料特性を有する異なるコーティングの選択的層間剥離など、単一層上に複数の異なるコーティングを有するセンサに関連する問題を回避することができるので、典型的である。典型的には、センサは、酵素層と分析物調節層との間に配置された接着促進層を含む。
本発明の関連する実施形態は、基層と、基層上に配置され、少なくとも1つの作用電極と少なくとも1つの参照電極と、少なくとも1つの対電極とを含む導電層と、導電層上に配置された酵素層と、酵素層に接触する分析物の量を調整する分析物調節カバー層と、を含む電気化学分析物センサである。いくつかの実施形態では、酵素層は2μm未満の厚さであり、作用電極、参照電極および対電極の少なくとも一部上にコートされる。例示的な実施形態では、酵素層は実質的には作用電極、参照電極および対電極を被覆する。場合によっては、酵素層は、グルコースオキシダーゼを担体タンパク質(例えば、アルブミン)と固定比で組み合わせて含む。典型的には、センサは酵素層と分析物調節層との間に配置された接着促進層を含む。
本発明のさらに別の実施形態は、基層と、基層上に配置された導電層と、導電層上に配置され、グルコースオキシダーゼを含み、グルコースオキシダーゼはアルブミンを規定した比率で組み合わせることにより安定化され、さらに、グルコースオキシダーゼとアルブミンは配置された層全体に実質的に均一に分配される分析物感知層と、グルコース制限層を通って拡散し、グルコースオキシダーゼ層に接触するグルコースの量を調整するグルコース制限層とを含む、体内に埋め込むためのグルコースセンサを含む。いくつかの実施形態では、導電層は少なくとも1つの作用電極と少なくとも1つの対電極とを含む複数のセンサ要素を含む。
F.分析物センサ装置構造
臨床設定では、グルコースおよび/または乳酸レベルなどの分析物の正確で、かなり迅速な決定が、電気化学センサを使用して血液サンプルから決定することができる。従来のセンサは、多くの実用的な部品を含み大きく作製され、または多くの状況においてより好都合である可能性のある小さな平面型センサとして作製される。本明細書で使用されるように「平面」という用語は、例えば、周知の厚膜技術または薄膜技術を使用して、かなり薄い材料の層を含む実質的平面構造を作製する周知の手順を示す。例えば、リューらの米国特許第4,571,292号およびペパダキスらの米国特許第4,536,274号(両方とも、参照により本明細書に組み入れられる)を参照されたい。下記で記載するように、本明細書で開示した本発明の実施形態は、当技術分野で現存するセンサよりも広範囲の幾何学的形状(例えば、平面)を有する。さらに、本発明のある実施形態は薬剤注入ポンプなどの別の装置に結合された本明細書で開示された1つまたは複数のセンサを含む。
図2は本発明の典型的な分析物センサ構造体を図示したものである。あるセンサ構造体は、分析物センサ装置を用いて製造することができるかなり平らな「リボン」型の構造体である。そのような「リボン」型構造体は、グルコースオキシダーゼなどの感知酵素のスピンコーティング、フレキシビリティの高いセンサ構造の設計および製造を可能にする非常に薄い酵素コーティングを生成する製造工程のために生じる、本明細書で開示したセンサの利点を示す。そのような薄い酵素コートセンサはさらに、埋め込み可能な装置にとって非常に望ましい特徴である、センサ感度を維持しながらより小さなセンサ面積を可能にするなどの利点を提供する(例えば、装置が小さいほど、埋め込みが容易である)。結果として、スピンコーティングなどのプロセスにより形成することができる非常に薄い分析物感知層を使用する本発明に係るセンサの実施形態は、電着などのプロセスにより形成された酵素層を使用するセンサよりも広範囲の幾何学的形状(例えば、平面)を有することができる。
あるセンサ構造体は複数の作用電極、対電極および参照電極などの複数の導電要素を含む。そのような構造体の利点としては表面積の増加が挙げられ、これにより、より大きなセンサ感度が実現される。例えば、1つのセンサ構造は第3の作用センサを導入する。そのような構造体の1つの明らかな利点は、3つのセンサの信号平均化であり、これによりセンサ精度が増加する。他の利点としては、複数の分析物を測定する能力が挙げられる。特に、この配列の電極(例えば、複数の作用電極、対電極および参照電極)を含む分析物センサ構造は、多重分析物センサに組み入れることができる。酸素、水素、過酸化物、グルコース、乳酸、カリウム、カルシウム、および任意の他の生理学的に関連する物質/分析物などの複数の分析物の測定は多くの利点、例えばそのようなセンサの線形応答を実現する能力、ならびに較正および/または再較正の容易さを提供する。
例示的な多重センサ装置は、カソード分極され、グルコースオキシダーゼとグルコースが相互作用した結果作用電極(カソード)で生じる酸素濃度変化を測定するように設計された第1のセンサと、アノード分極され、グルコースが外部環境から来て、グルコースオキシダーゼと相互作用した結果作用電極(アノード)で生じる過酸化水素濃度変化を測定するように設計された第2のセンサとを有する単一装置を含む。当技術分野で公知のように、そのような設計では、第1の酸素センサは典型的には、酸素がセンサに接触すると作用電極で電流減少を経験し、一方、第2の過酸化水素センサは典型的には、図1で示されるように発生した過酸化水素がセンサと接触すると、作用電極で電流増加を経験する。さらに、当技術分野で公知のように、個々のセンサシステムにおいて参照電極に比べ作用電極で起こる電流変化の観察は酸素および過酸化水素分子濃度の変化に相関し、これはその後、外部環境(例えば、哺乳類の身体)内のグルコース濃度に相関させることができる。
本発明の分析物センサは、薬剤注入ポンプなどの他の医療装置と結合させることができる。このスキームの例示的な変形では、例えば、医療装置へのポート結合(例えば、ロッキング電気接続を用いた皮下ポート)を使用することにより、本発明の交換可能な分析物センサを薬剤注入ポンプなどの他の医療装置と結合させることができる。
II.本発明の分析物センサ装置を製造するための例示的な方法および材料
多くの論文、米国特許および特許出願が、本明細書で開示した一般的な方法および材料を有する当技術分野の状況を記載し、さらに、本明細書で開示したセンサ設計で使用することができる様々な要素(およびそれらの製造のための方法)を記載する。これらには、例えば、米国特許第6,413,393号、同第6,368,274号、同第5,786,439号、同第5,777,060号、同第5,391,250号、同第5,390,671号、同第5,165,407号、同第4,890,620号、同第5,390,671号、同第5,390,691号、同第5,390,250号、同第5,482,473号、同第5,299,571号、同第5,568,806号、米国特許出願第2002/0090738号、ならびに国際公開第01/58348号、同第03/034902号、同第03/035117号、同第03/035891号、同第03/023388号、同第03/022128号、同第03/022352号、同第03/023708号、同第03/036255号、同第03/036310号および同第03/074107号が含まれ、これらの各々の内容は参照により本明細書に組み入れられる。
糖尿病患者のグルコース濃度をモニタするための典型的なセンサはさらに、シチリら、「ヒトボランティアにおける皮下グルコース濃度の針型グルコースセンサ測定のインビボ特性」、Horm.Metab.Res.,Suppl.Ser.20:17−20(1988)、ブルッケルら、「酵素グルコースセンサおよびウィック法を用いた皮下グルコース濃度のインビボ測定」Klin.Wochenschr.67:491−495(1989)、およびピックアップら、「糖尿病におけるインビボ分子センシング:直接電子移動を備えた埋め込み可能なグルコースセンサ」Diabetologia 32:213−217(1989)に記載されている。他のセンサが例えば、参照により本明細書に組み入れられる、リーチら、埋め込み可能な装置の進歩において、A.ターナー(編)、JAIプレス、ロンドン、第1章(1993)、に記載されている。
A.分析物センサを製造するための一般法
本明細書で開示した、本発明の典型的な実施形態は、基層を準備する工程と、基層上に、電極(典型的には、作用電極、参照電極、および対電極)を含む導電層を形成する工程と、導電層上に、分析物が存在すると導電層内の電極での電流を変化させることができる組成物を含む、分析物感知層を形成する工程と、場合によっては、分析物感知層上にタンパク質層を形成する工程と、分析物感知層または場合によっては任意に用いるタンパク質層上に接着促進層を形成する工程と、接着促進層上に配置され、通過する分析物の拡散を調節する組成物を含む分析物調節層を形成する工程と、分析物調節層の少なくとも一部上に配置され、分析物調節層の少なくとも一部上の開口をさらに含む、カバー層を形成する工程と、を含む、哺乳類の体内に埋め込むためのセンサ装置を製造する方法である。本発明のある実施形態では、分析物調節層は中心鎖と、中心鎖に結合された複数の側鎖と、を有する親水性櫛型コポリマー類を含み、少なくとも1つの側鎖はシリコーン部分を含む。これらの方法のいくつかの実施形態では、分析物センサ装置は平面幾何学形状で形成される。
本明細書で開示されるように、センサの様々な層は、センサの特定の設計に従い操作することができる様々な異なる特性を示すように製造することができる。例えば、接着促進層は、全体のセンサ構造を安定化する能力のために選択された化合物、典型的にはシラン組成物を含む。本発明のいくつかの実施形態では、分析物感知層はスピンコーティングプロセスにより形成され、1、0.5、0.25および0.1μm未満の高さからなる群より選択される厚さを有する。
典型的には、センサを製造する方法は、分析物感知層上にタンパク質層を形成する工程を含み、タンパク質層内のタンパク質はウシ血清アルブミンおよびヒト血清アルブミンからなる群より選択されるアルブミンである。典型的には、センサを製造する方法はグルコースオキシダーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ、乳酸オキシダーゼ、ヘキソキナーゼおよび乳酸デヒドロゲナーゼからなる群より選択される酵素組成物を含む分析物感知層を形成する工程を含む。そのような方法では、分析物感知層は典型的には、担体タンパク質組成物を酵素と実質的に固定された比率で含み、酵素と担体タンパク質は、分析物感知層全体に実質的に均一な様式で分配される。
B.分析物センサの製造において有用な典型的なプロトコルおよび材料
本明細書で提供した開示は、様々な周知の技術の組み合わせを使用して生成することができるセンサおよびセンサ設計を含む。開示はさらに、これらの型のセンサに非常に薄い酵素コーティングを適用するための方法、ならびにそのようなプロセスにより作製したセンサを提供する。この状況では、本発明のいくつかの実施形態は、当技術分野で許容されるプロセスにより基材上にそのようなセンサを製造するための方法を含む。ある実施形態では、基材は、フォトリソグラフィーマスクおよびエッチプロセスにおいて使用するのに適した剛性の平らな構造を含む。この点では、基材は典型的には高い均一な平面度を有する上面を規定する。研磨されたガラス板を使用して滑らかな上面を規定してもよい。別の基材材料としては、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、およびデルリンなどのプラスチック材料が挙げられる。別の実施形態では、基材は非剛性で、基材として使用される別のフィルムまたは絶縁層、例えば、ポリイミド類などのプラスチック類などとすることができる。
本発明の方法における最初の工程は、典型的には、センサの基層の形成を含む。基層は任意の所望の手段、例えば制御されたスピンコーティングにより基材上に配置することができる。さらに、基材層と基層との間に十分な接着が存在しなければ、接着剤を使用してもよい。絶縁材料の基層は基材上に、典型的には、基層材料を液体形態で基材上に塗布し、その後、基材を回転させ、薄く、実質的に均一な厚さの基層を得ることにより形成される。これらの工程を繰り返し、十分な厚さの基層を構築し、続いて、一連のフォトリソグラフィーおよび/または化学マスクおよびエッチ工程を実施し、下記で記載する導体を形成する。例示的な形態では、基層は絶縁材料、例えば、セラミックまたはポリイミド基材の薄いフィルムシートを含む。基層はアルミナ基材、ポリイミド基材、ガラスシート、制御された多孔質ガラス、または平坦化プラスチック液晶ポリマーを含むことができる。基層は、炭素、窒素、酸素、ケイ素、サファイア、ダイヤモンド、アルミニウム、銅、ガリウム、ヒ素、ランタン、ネオジム、ストロンチウム、チタン、イットリウム、またはそれらの組み合わせを含むがそれらに限定されない1つまたは複数の様々な元素を含む任意の材料から誘導することができる。さらに、基材は、化学蒸着、物理蒸着、またはスピンコーティングを含む当技術分野において周知の様々な方法により、スピングラス類、カルコゲニド類、グラファイト、二酸化ケイ素、有機合成ポリマー類、などの材料を用いて固体支持体上にコートしてもよい。
本発明の方法はさらに、1つまたは複数の感知要素を有する導電層の生成を含む。典型的には、これらの感知要素は、活性電極の形状を規定するフォトレジスト、エッチングおよびすすぎなどの当技術分野で公知の様々な方法の1つにより形成される電極である。電極はその後、例えば、作用電極および対電極のためにはPt黒を、参照電極上には銀、続いて塩化銀を電着することにより電気化学的に活性にすることができる。センサ化学酵素層などのセンサ層をその後、電気化学蒸着または電気化学蒸着以外の方法、例えば、スピンコーティング、続いて、例えばジアルデヒド(グルタルアルデヒド)またはカルボジイミドを用いた蒸気架橋により、感知層上に配置することができる。
本発明の電極は当技術分野で公知の様々な材料から形成することができる。例えば、電極は貴の後周期遷移金属から作製してもよい。金、白金、銀、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、パラジウム、またはオスミウムなどの金属は本発明の様々な実施形態で適しているとすることができる。炭素または水銀などの他の組成物もまたあるセンサの実施形態で有用であるとすることができる。これらの金属のうち、銀、金、または白金が典型的には参照電極金属として使用される。その後塩化物とされる銀電極は典型的には参照電極として使用される。これらの金属は、上記で引用したプラズマ蒸着法を含む当技術分野で公知の任意の手段により、または、基材を金属塩および還元剤を含む溶液に浸漬させる場合、前に金属化された領域上に金属を堆積させることを含んでもよい無電解法により、堆積させることができる。無電解法は、還元剤が電子を導電(金属化)表面に供与すると進行し、導電表面で金属塩の同時還元が起こる。結果的に、吸着金属層が得られる(無電解法に関してさらに検討するために、ワイズ,E.M.パラジウム:回収、特性および使用、アカデミックプレス、ニューヨーク、ニューヨーク(1988)、ウォン,Kら、メッキおよび表面仕上げ1988、75、70−76、マツオカ,Mら、同書、1988、75、102−106、およびパールステイン,F.「無電解めっき」、現代電気めっき、レーヴェンハイム,F.A.,編、ワイリー、ニューヨーク、N.Y.(1974)、31章を参照されたい)。そのような金属堆積プロセスでは、良好な金属−金属接着および最小表面汚染を有する構造が得られるはずだが、高密度活性部位を有する触媒金属電極表面が提供される。そのような高密度活性部位は過酸化水素などの電気活性種の十分な酸化還元変換に対して必要な特性である。
本発明の例示的な実施形態では、基層は最初に電極堆積、表面スパッタリング、または他の適したプロセス工程により薄膜導電層でコートされる。1つの実施形態では、この導電層は複数の薄膜導電層として形成されてもよく、例えば、ポリイミド基層への化学接着に適した初期クロム系層であってもよく、その後、金系およびクロム系薄膜層が連続して形成される。別の実施形態では、別の電極層構造または材料を使用することができる。その後、従来のフォトリソグラフィー技術に従い、導電層を選択したフォトレジストコーティングで被覆し、コンタクトマスクを適したフォトイメージングのためのフォトレジストコーティング上に適用することができる。コンタクトマスクは典型的には、1つまたは複数の導体トレースパターンを含み、フォトレジストコーティングの適当な露光、続いて、エッチ工程が可能になり、基層上に複数の導電センサトレースが残る。皮下グルコースセンサとして使用するために設計された例示的なセンサ構成では、各センサトレースは、作用電極、対電極および参照電極などの3つの別個の電極に対応する3つの平行センサ要素を含むことができる。
導電センサ層の一部は典型的にはケイ素ポリマーおよび/またはポリイミドなどの材料の絶縁カバー層により、典型的に被覆される。絶縁カバー層は任意の所望の様式で適用することができる。例示的な手順では、絶縁カバー層はセンサトレース上に液層で塗布することができ、その後、基材を回転させ、センサトレース上に存在し、基層と密閉接触したセンサトレースの周縁エッジを超えて延在する薄膜として液体材料を分配させる。この液体材料をその後、当技術分野で公知のように、1つまたは複数の適した放射線および/または化学および/または熱硬化工程に供することができる。別の実施形態では、液体材料を噴霧技術または任意の別の所望の塗布手段を用いて適用することができる。光画像形成可能なエポキシアクリレートなどの様々な絶縁層材料を使用してもよく、例示的な材料は、製品番号7020でN.J.のウエストパターソンのOCG社から入手可能な光画像形成可能なポリイミドを含む。
上記のように、遠位端電極を規定する適当な電極化学物質を、場合によっては開口を通してセンサ先端を露光した後、センサ先端に適用することができる。グルコースセンサとして使用するための3つの電極を有する例示的なセンサ実施形態では、酵素(典型的にはグルコースオキシダーゼ)が開口の1つの内に提供され、このように、センサ先端の1つがコーティングされ、作用電極が規定される。他の電極の1つまたは両方に、作用電極と同じコーティングを形成することができる。また、他の2つの電極に他の適した化学物質、例えば他の酵素、を提供し、未コートのままとし、または電気化学センサのための参照電極および対電極を規定するための化学的性質を付与することができる。
本発明の非常に薄い酵素コーティングを作製するための方法は、スピンコーティングプロセス、浸漬および乾燥プロセス、低せん断噴霧プロセス、インクジェット印刷プロセス、シルクスクリーンプロセスなどを含む。熟練者は当技術プロセスにより適用される酵素コートの厚さを容易に決定することができるので、本発明の非常に薄いコーティングを作製することができる方法を容易に識別することができる。典型的には、そのようなコーティングは適用後に蒸気架橋される。驚くべきことに、これらのプロセスにより作製されたセンサは、電着により作製されたコーティングを有するセンサの特性を超える材料特性を有し、増強された寿命、線形性、規則性ならびに改善された信号対雑音比が挙げられる。さらに、そのようなプロセスにより形成されたグルコースオキシダーゼコーティングを使用する本発明の実施形態は、過酸化水素を再利用し、そのようなセンサの生体適合性プロファイルを改善するように設計される。
スピンコーティングプロセスなどのプロセスにより作製されたセンサはまた、電着に関連する他の問題、例えば、電着プロセス中にセンサ上に置かれる材料応力に関連するものを回避する。特に、電着プロセスはセンサに対し機械的応力、例えば引張および/または圧縮力に起因する機械的応力を発生させることが観察されている。ある状況では、そのような機械的応力により、亀裂および層剥離のいくらかの傾向があるコーティングを有するセンサとなる可能性がある。これは、スピンコーティングまたは他の低応力プロセスによりセンサ上に配置されたコーティングでは観察されない。結果として、本発明のさらに別の実施形態は、スピンコーティングプロセスによりコーティングを適用する工程を含む、センサ上のコーティングの電着に影響される亀裂および/または層剥離を回避する方法である。
センサ要素の処理後に、1つまたは複数の追加の機能コーティングまたはカバー層をその後、当技術分野で公知の様々な方法のいずれか一つ、例えば噴霧、浸漬などにより適用することができる。本発明のいくつかの実施形態は、酵素含有層上に堆積された分析物調節層を含む。活性センサ表面に接触する分析物量の調節における使用に加えて、分析物制限膜層を使用することにより、外部材料によるセンサ汚染の問題も回避される。当技術分野において公知のように、分析物調節膜層の厚さは活性酵素に到達する分析物の量に影響を与えることがある。その結果、その適用は典型的には規定された処理条件下で実施され、その厚さ寸法は厳密に制御される。下層の微細加工は分析物調節膜層に対する寸法制御に影響する因子であり、分析物制限膜層材料自体の組成物を要求することがある。この点において、いくつかの型のコポリマー類、例えば、シロキサンと非シロキサン部分のコポリマーが特に有用であることが発見されている。これらの材料は、制御された厚さまで微細分配またはスピンコートさせることができる。それらの最終構造はまた、本明細書で記載された他の別個の構造に従って、パターニングおよびフォトリソグラフィー技術により設計してもよい。これらの非シロキサン−シロキサンコポリマー類の例としては、ジメチルシロキサン−アルケンオキシド、テトラメチルジシロキサン−ジビニルベンゼン、テトラメチルジシロキサン−エチレン、ジメチルシロキサン−シルフェニレン、ジメチルシロキサン−シルフェニレンオキシド、ジメチルシロキサン−a−メチルスチレン、ジメチルシロキサン−ビスフェノールAカーボネートコポリマー類または適したそれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。コポリマーの非シロキサン成分の重量%は、任意の有用な値に予め選択することができるが、典型的には、この比率は約40〜80wt%の範囲内にある。上記コポリマー類の中で、50〜55wt%の非シロキサン成分を含むジメチルシロキサン−ビスフェノールAカーボネートコポリマーが典型的である。これらの材料はペトラーチシステムズ社、ブリストル、ペンシルバニア州(米国)から購入してもよく、この会社の製品カタログに記載されている。分析物制限膜層として機能する可能性のある他の材料としては、ポリウレタン類、酢酸セルロース、硝酸セルロース、シリコーンゴム、またはこれらの材料の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されず、適合すれば、シロキサン非シロキサンコポリマーが含まれる。
本発明のいくつかの実施形態では、センサは、センサ層の酵素に接触することができる分析物の量を調整できる親水性膜コーティングを含む、分析物調節層を適用する方法により製造される。例えば、本発明のグルコースセンサに追加されるカバー層は、電極上のグルコースオキシダーゼ酵素層に接触するグルコースの量を調整するグルコース制限膜を含むことができる。そのようなグルコース制限膜は、そのような目的に適していることが公知の様々な材料、例えば、ポリジメチルシロキサンなどのシリコーン類、ポリウレタン類、酢酸セルロース類、ナフィオン、ポリエステルスルホン酸類(例えば、コダックAQ)、ヒドロゲル類またはそのような目的に適していることが当技術分野の当業者に公知の任意の他の膜から製造することができる。本発明のある実施形態では、分析物調節層は中心鎖と中心鎖に結合された複数の側鎖を有する親水性櫛型コポリマーを含み、ここで少なくとも1つの側鎖はシリコーン部分を含む。過酸化水素の再利用能力を有するセンサに関連する本発明のいくつかの実施形態では、グルコースオキシダーゼ酵素層上に配置された膜層は、過酸化水素が、センサが置かれた環境内に放出されるのを阻止し、過酸化水素分子と電極感知要素との間の接触を促進するように機能する。
本発明のいくつかの実施形態では、接着促進層がカバー層(例えば、分析物調節膜層)とセンサ化学層との間に配置され、それらの接触が促進され、接着促進層は、センサ装置の安定性を増加させる能力に対し選択される。本明細書で記載されるように、接着促進層の組成物は、センサ安定性を実現することができる他に多くの所望の特性を付与するように選択される。例えば、接着促進層において使用するためのいくつかの組成物は、干渉除去の役割を果たすように、ならびに所望の分析物の物質移動を制御するように選択される。接着促進層は、そのような層間の接着を促進することが当技術分野において公知の様々な材料のいずれか一つから製造することができ、当技術分野において公知の様々な方法のいずれか一つにより適用することができる。典型的には、接着促進層は、γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのシラン化合物を含む。本発明のある実施形態では、接着促進層および/または分析物調節層は近位に存在するシロキサン部分を架橋させる能力に対して選択された薬剤を含む。本発明の別の実施形態では、接着促進層および/または分析物調節層は、隣接層内に存在するタンパク質のアミンまたはカルボキシル部分を架橋させる能力に対して選択された薬剤を含む。場合により実施する実施形態では、AP層はさらにポリジメチルシロキサン(PDMS)、グルコース制限膜などの分析物調節層内に典型的に存在するポリマーを含む。例示的な実施形態では、調合物は0.5〜20%のPDMS、典型的には5〜15%のPDMS、および最も典型的には10%のPDMSを含む。AP層へのPDMSの添加は、センサが作製される時にAP層で生じる穴またはギャップの可能性を減少させる状況で好都合である。
上記のように、センサ層間の接着を促進するために一般的に使用されるカップリング試薬はγ−アミノプロピルトリメトキシシランである。シラン化合物は通常適した溶媒と混合され、液体混合物を形成する。液体混合物をその後、ウエーハまたは平面感知装置上に、スピンコーティング、浸漬コーティング、噴霧コーティング、および微小分配を含むがそれらに限定されない多くの方法により、適用または固定させることができる。微小分配プロセスは、材料の微小スポットが装置の複数の予め選択された領域で分配される自動プロセスとして実施することができる。「リフト−オフ」などのまたはフォトレジストキャップを使用するフォトリソグラフィー技術を使用して、得られた選択透過性膜(すなわち、選択透過性を有する膜)の形状を限局および規定してもよい。シラン混合物を形成する際に使用するのに適した溶媒は、水性溶媒および水混和性有機溶媒、ならびにそれらの混合物を含む。アルコール性水混和性有機溶媒およびそれらの水性混合物が特に有用である。これらの溶媒混合物はさらに、非イオン性界面活性剤、例えば、約200〜約6,000の範囲の分子量を有するポリエチレングリコール類(PEG)を含んでもよい。これらの界面活性剤を液体混合物に、混合物の約0.005〜約0.2g/dLの濃度で添加すると、得られた薄膜の平坦化に役立つ。また、シラン試薬の適用前にウエーハ表面をプラズマ処理すると、より平坦な固定層を促進する修飾表面を提供することができる。水非混和性有機溶媒もまた、シラン化合物の溶液を調製する際に使用してもよい。これらの有機溶媒の例としては、ジフェニルエーテル、ベンゼン、トルエン、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、またはそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。プロトン性溶媒またはその混合物を使用する場合、水は最終的にはアルコキシ基の加水分解を引き起こし、オルガノシランヒドロキシド類(とりわけn=1の場合)が得られ、これが縮合してポリ(オルガノシロキサン)類が形成する。これらの加水分解シラン試薬はまた、基材表面に存在する可能性のある極性基、例えばヒドロキシル類と縮合することができる。プロトン性溶媒を使用する場合、大気水分はシラン試薬上に最初に存在するアルコキシ基を加水分解するのに十分であるかもしれない。シラン化合物(n=1または2)のR’基は、その後に適用される追加の層と機能的に適合するように選択される。R’基は通常酵素の基材表面への共有結合付着に有用な末端アミン基を含む(例えば、グルタルアルデヒドなどの化合物をムラカミ,Tら、アナリティカルレターズ1986、19,1973−86により記載されている結合剤として使用してもよい)。
センサのある別のコーティング層のように、接着促進層は、当技術分野で公知のように、1つまたは複数の適した放射線および/または化学および/または熱硬化工程に供することができる。別の実施形態では、酵素層は十分架橋され、またはそうでなければ、接着促進層が無いと、膜カバー層をセンサ化学層と直接接触して配置させることができるように準備される。
本発明の例示的な実施形態は、基層を用意し、基層上にセンサ層を形成し、センサ層上に酵素層をスピンコーティングし、その後、センサ上に分析物接触層(例えば、グルコース制限膜などの分析物調節層)を形成することによりセンサを製造し、分析物接触層が酵素層と接触することができる分析物の量を調整する方法である。いくつかの方法では、酵素層はセンサ層上で蒸気架橋される。本発明の典型的な実施形態では、センサ層は少なくとも1つの作用電極と、少なくとも1つの対電極とを含むように形成される。ある実施形態では、酵素層は作用電極の少なくとも一部および対電極の少なくとも一部上に形成される。典型的には、センサ層上に形成される酵素層は2、1、0.5、0.25または0.1μm未満の厚さである。典型的には、酵素層は、グルコースオキシダーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ、乳酸オキシダーゼ、ヘキソキナーゼまたは乳酸でヒドロキナーゼおよび/または同様の酵素などの1つまたは複数の酵素を含む。特定の方法では、酵素層は、担体タンパク質と固定比で組み合わせて、センサ上にコートすることにより安定化されたグルコースオキシダーゼを含む。典型的には担体タンパク質はアルブミンである。典型的には、そのような方法はグルコースオキシダーゼ層と分析物接触層との間に配置された接着促進層を形成する工程を含む。場合により、接着促進層は、分析物接触層の形成前に硬化プロセスに供せられる。
本発明の関連する実施形態は、基層を用意すること、基層上に少なくとも1つの作用電極と少なくとも1つの対電極を含むセンサ層を形成すること、センサ層上にグルコースオキシダーゼ層をスピンコーティングプロセス(層はグルコースオキシダーゼをアルブミンと固定比で組み合わせることにより典型的に安定化される)により形成することであって、グルコースオキシダーゼ層は作用電極の少なくとも一部および対電極の少なくとも一部をコートすること、その後、グルコースセンサ上にグルコース制限層を形成しグルコースオキシダーゼ層に接触することができるグルコースの量を調整すること、によりセンサを製造する方法である。そのようなプロセスでは、センサ層上に形成されるグルコースオキシダーゼ層は典型的には2、1、0.5、0.25または0.1μm未満の厚さである。典型的には、グルコースオキシダーゼコーティングはセンサ層上で蒸気架橋される。場合によっては、グルコースオキシダーゼコーティングはセンサ層全体を被覆する。本発明のある実施形態では、接着促進層はグルコースオキシダーゼ層と分析物接触層との間に配置される。本発明のある実施形態では、分析物センサはさらに、典型的には電気絶縁保護層である1つまたは複数のカバー層を含む(例えば、図2の要素106を参照されたい)。典型的には、そのようなカバー層は、分析物調節層の少なくとも一部上に配置される。
そのようなプロセスにより製造された最終センサは典型的には迅速にかつ容易に、支持基材(使用されていれば)から、例えば、基材上の各センサを取り囲む線に沿って切断することにより除去される。切断工程は、当技術分野において典型的に使用される方法、例えば、各センサを取り囲むまたは外接する線に沿って、典型的には導電要素から少なくともわずかに外に向かって間隔を空けた関係で、基層およびカバー層ならびに機能コーティング層を切断し、そのため十分相互接続された基層とカバー層材料が残り、最終センサの側縁が密閉されるように使用されるUVレーザ切断装置を含むものを使用することができる。さらに、セラミック基材を切断するために典型的に使用されるダイシング技術を、適当なセンサの実施形態と共に使用することができる。基層は典型的には物理的に下の支持基材に付着されておらず、または最小限に直接接着されているにすぎないので、センサは支持基材から迅速にかつ容易に持ち上げることができ、顕著な追加の処理工程は必要なく、または支持基材から取り付けられたセンサを物理的に引っ張るまたは剥がすことにより受ける応力による損傷の可能性がない。支持基材はその後清浄にされ、再使用でき、またはそうでなければ、廃棄できる。機能コーティング層は、他のセンサ部品が支持基材から(例えば、切断により)除去される前または後のいずれかで適用することができる。
III.本発明の分析物センサ装置を用いるための方法
本発明の関連する実施形態は、本明細書で開示された分析物センサの実施形態を哺乳類の体内に埋め込む工程と、その後、作用電極での電流変化を感知し、電流変化を分析物の存在と相関させ、これにより分析物を感知する工程とを含む、哺乳類の体内の分析物を感知する方法である。典型的には、分析物センサはアノード分極され、電流変化が感知される作用電極がアノードとなる。1つのそのような方法では、分析物センサ装置は哺乳類体内のグルコースを感知する。別の方法では、分析物センサ装置は、乳酸、カリウム、カルシウム、酸素、pH、および/または哺乳類体内の任意の生理学的に関連する分析物を感知する。
上記構造を有するある分析物センサは、哺乳類の体内の分析物を感知するための様々な方法を可能にする著しく望ましい特性を多く有する。例えば、そのような方法では、哺乳類の体内に埋め込まれた分析物センサ装置は、1、2、3、4、5または6か月を超える間、哺乳類の体内で分析物を感知するように機能する。典型的には、哺乳類の体内にそのように埋め込まれた分析物センサ装置は、分析物がセンサに接触して15、10、5または2分以内に分析物に応答した電流変化を感知する。そのような方法では、センサは哺乳類の体内の様々な位置、例えば、血管および非血管空間の両方に埋め込むことができる。
IV.本発明のキットおよびセンサセット
本発明の別の実施形態では、上記のように分析物を感知するのに有用なキットおよび/またはセンサセットが提供される。キットおよび/またはセンサセットは典型的には、容器と、ラベルと上記のような分析物センサとを含む。適した容器としては、例えば、金属箔などの材料から製造された開けやすいパッケージ、ボトル、バイアル、シリンジ、および試験管が挙げられる。容器は様々な材料、例えば金属(例えば、箔)、紙製品、ガラスまたはプラスチックから形成させてもよい。容器上の、または容器と関連するラベルは、センサが選択した分析物を分析するために使用されることを示している。いくつかの実施形態では、容器はグルコースオキシダーゼなどの酵素層でコートされた多孔質マトリクスを保持する。キットおよび/またはセンサセットはさらに、商業上および使用者の観点から望ましい他の材料を含んでもよく、センサの分析物環境への導入を促進するように設計された要素または装置、他の緩衝液、希釈剤、フィルタ、針、シリンジ、および使用説明書を有するパッケージ挿入物が挙げられる。
様々な公表引用文献が明細書全体で言及されている。さらに、より明確に本発明の様々な実施形態を描くために、関連技術由来のある文章が本明細書で再現されている。本明細書における全ての引用文献の開示内容が、明確に参照により本明細書に組み入れられる。
下記実施例は本発明の理解を助けるために示したものであるが、本発明は実施例の特別な材料または手順に限定されないことを理解すべきである。実施例で使用した材料は全て商業的供給元から得られたものとした。
実施例1:シリコーン系櫛型コポリマーの合成
ポリジメチルシロキサンモノメタクリレート(重量平均分子量Mw=1000)9.6g、メトキシポリ(エチレンオキシド)モノメタクリレート(重量平均分子量Mw=1000)4.08g、メチルメタクリレート10.32g、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル50mg、およびエトキシエチルアセテート60mLを、磁気撹拌子を含む200mL丸底フラスコに添加した。化学物質全てを20分間撹拌することにより共に混合した。混合物に対し、凍結真空融解窒素(freeze - vacuum - thaw - nitrogen)で2度処理し、丸底フラスコ内の酸素を全て除去した。
フラスコを1つの油浴に入れた。その後、溶液を75℃まで加熱した。16〜24時間後、瓶を油浴から取り出し、室温まで冷却させた。
ポリマー溶液を脱イオン水(DI水)1000mL中に沈殿させ、濾過し、その後、THF100mLに再び溶解し、HO1000mL中に沈殿させた。
固体ポリマーを濾過し、質量が一定になるまで70℃で乾燥させた。
実施例2:シリコーン系櫛型コポリマーの合成
ポリジメチルシロキサンモノメタクリレート(重量平均分子量Mw=1000)7.2g、ビニルピロリドン7.2g、メチルメタクリレート9.6g、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル50mg、およびTHF60mLを、磁気撹拌子を含む200mL丸底フラスコに添加した。化学物質全てを20分間撹拌することにより共に混合した。
混合物に対し、凍結真空融解窒素で2度処理し、丸底フラスコ内の酸素を全て除去した。
フラスコを1つの油浴に入れた。その後、溶液を75℃まで加熱した。16〜24時間後、容器を油浴から取り出し、室温まで冷却させた。
ポリマー溶液をDI水1000mL中に沈殿させ、その後、THF100mLに再び溶解し、HO1000mL中に沈殿させた。
固体ポリマーを濾過し、質量が一定になるまで70℃で乾燥させた。
上記手順により調製した、より代表的なシリコーン系櫛型コポリマー類を表1に列挙する。
実施例3:シリコーン系櫛型コポリマー類のキャラクタリゼーション
a)櫛型コポリマー類の分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(ウォーターズ社)により、移動相としてTHF/酢酸(95:5 v/v)を使用して決定した。単分散ポリスチレン標準を較正のために使用した。全てのデータを表2に示す。
b)ニコレット・ネクサス670FT−IRを使用して櫛型コポリマー類の赤外スペクトルを得た。図7は表1で列挙したサンプル#5のスペクトルを示すが、予測された吸光度バンド(cm−1)が示されている。
c)水取り込みを質量測定により室温で、0.5mm未満の厚さの膜で決定した。鋳造溶媒の蒸発後、膜を50℃の真空オーブンで質量が一定になるまで乾燥させ、質量測定し、脱イオン水に24時間浸漬させ、取り出し、濾紙で吸い取り、質量測定した。水取り込み%を下記式から決定した:
[数1]
%取り込み=[(W−W)/W]×100
ここで、Wは膨潤膜の質量であり、Wは乾燥膜の質量である。結果を表2に示す。
d)拡散定数を、フィックの関係を用い、37℃で維持した標準拡散セル(クラウングラス社(Crown Glass Co. Inc.))で測定した。
[数2]
J=DdC/dx
ここで、Jは総流量であり、Dは拡散定数であり、dC/dxは膜を横切る濃度勾配である。
グルコース拡散定数(D)は、膜に、37℃で維持した拡散セルの2等分間の2つのゴムガスケットを固定することにより決定した。1つの側には2400mg/dLのグルコースを含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS、0.15M NaCl、0.05Mホスフェート、pH=7.4)を充填し、もう一方の側にリン酸緩衝生理食塩水を充填した。セルの各半分中のグルコース濃度をYSIグルコースアナライザを用いて適当な間隔で測定した。濃度対時間の曲線をプロットし、拡散係数を計算した。結果を表2に示す。
酸素拡散定数(D)を同じ拡散セルを用いて決定した。セルの各々の側をリン酸緩衝生理食塩水で充填した。1つの側を高純度Oで飽和し、もう一方の側を高純度Nで飽和させた。2つの較正酸素電極を2つのセルに入れ、両方のセルからの酸素濃度を時間の関数として記録した。酸素濃度対時間の曲線をプロットし、定数を計算した。曲線は一般に0.99を超える相関係数(R)を有した。全てのデータを表2に示す。
実施例4:シリコーン系櫛型コポリマーを使用したセンサ調製およびインビトロおよびインビボ試験でのセンサ性能
a)シリコーン系櫛型コポリマーについて図8および図9で示したプロトタイプのグルコースセンサを用いて評価した。図8,9によれば、センサはポリイミドシート上に堆積された参照電極、作用電極および対電極を有するように構成させた。図9に示されるように、電極は架橋グルコースオキシダーゼ層で被覆させ、その後、THFに溶解させた櫛型コポリマー溶液の噴霧コーティングによりシリコーン系櫛型コポリマー層でコートさせた。
b)インビトロ試験でのグルコース応答を図10に示す(表1の櫛型コポリマー#5をこの実施例で使用する)。電極システムの応答は生理学的グルコース範囲にわたって直線関係に近かった。センサは非常に低い酸素レベル(2%)ですら、酸素効果を示さなかった。
c)インビボ試験結果(図11、表1の櫛型コポリマー#5から作製)は、新規櫛型コポリマーを使用したセンサはイヌにおいて非常によく血糖値を追跡することを示す。
Figure 0005595038
Figure 0005595038
100 センサ、102 基層、104 導電層、106 カバー層(保護層)、108 開口、110 分析物感知層、112 分析物調節層、114 接着促進層、116 タンパク質層、120 グルコース制限膜層。

Claims (24)

  1. 哺乳類の体内に埋め込むための分析物センサ装置であって、
    基層と、
    前記基層の上に配置され、作用電極を含む導電層と、
    前記導電層の上に配置され、分析物が存在すると前記導電層内の前記作用電極での電流を検出できるように変化させる分析物感知層と、
    前記分析物感知層の上に配置され、通過する分析物の拡散を調節し、中心鎖と中心鎖に結合された複数の側鎖を有する親水性櫛型コポリマーを含み、少なくとも1つの側鎖がシリコーン部分を含む、分析物調節層と、
    を備える、分析物センサ装置。
  2. 前記分析物感知層と前記分析物調節層との間に配置されたタンパク質層をさらに備える、請求項1記載の分析物センサ装置。
  3. 前記分析物調節層の少なくとも一部上に配置されたカバー層をさらに備え、
    前期カバー層が、感知される分析物を含む溶液に前記分析物調節層の少なくとも一部を暴露させる開口をさらに含む、請求項1記載の分析物センサ装置。
  4. 前記分析物感知層が、グルコースオキシダーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ、乳酸オキシダーゼ、ヘキソキナーゼおよびラクトースデヒドロゲナーゼからなる群より選択される酵素を含む、請求項1記載の分析物センサ装置。
  5. 前記少なくとも1つの側鎖の部分が、酸素原子に共有結合されたケイ素原子(−Si−O−)を含む、請求項1記載の分析物センサ装置。
  6. 少なくとも1つの側鎖は親水性である、請求項1記載の分析物センサ装置。
  7. 少なくとも1つの側鎖は疎水性である、請求項1記載の分析物センサ装置。
  8. 前記中心鎖は親水性である、請求項1記載の分析物センサ装置。
  9. 前記分析物調節層は、1×10-9cm2/sec〜1×10-7cm2/secのグルコース拡散係数(Dglucose)を有する、請求項1記載の分析物センサ装置。
  10. 前記分析物調節層は、5〜2000の酸素拡散係数(Doxygen)対グルコース拡散係数(Dglucose)比(Doxygen/Dglucose)を有する、請求項1記載の分析物センサ装置。
  11. 請求項1記載の分析物センサ装置の前記分析物調節層用の組成物であって、中心鎖と、前記中心鎖に結合された複数の側鎖とを有する、親水性櫛型コポリマーを含む組成物であって、
    少なくとも1つの側鎖はシリコーン部分を含む、組成物。
  12. 前記少なくとも1つの側鎖の部分は酸素原子に共有結合されたケイ素原子(−Si−O−)を含む、請求項11記載の組成物。
  13. 少なくとも1つの側鎖は親水性である、請求項11記載の組成物。
  14. 少なくとも1つの側鎖は疎水性である、請求項11記載の組成物。
  15. 前記中心鎖は親水性である、請求項11記載の組成物。
  16. 前記中心鎖がポリビニルポリマーを含む、請求項11記載の組成物。
  17. 前記ポリビニルポリマーが、ポリビニルアセテート、アクリレート、アクリルアミド、アクリロニトリルまたはピロリドンのサブユニットを含む、請求項16記載の組成物。
  18. 前記中心鎖が、ポリエチレンまたはポリプロピレンのサブユニットを含む、請求項11記載の組成物。
  19. 前記組成物がフリーラジカル共重合を含むプロセスにより製造される、請求項11記載の組成物。
  20. 哺乳類の体内に埋め込むためのセンサ装置を製造する方法であって、
    基層を用意する工程と、
    前記基層の上に、作用電極を含む導電層を形成する工程と、
    前記導電層の上に、分析物が存在すると前記導電層内の前記作用電極での電流を変化させることができる組成物を含む分析物感知層を形成する工程と、
    場合により任意で、前記分析物感知層上にタンパク質層を形成する工程と、
    前記分析物感知層または場合により任意で用いる前記タンパク質層の上に接着促進層を形成する工程と、
    前記接着促進層の上に配置され、通過する分析物の拡散を調節する組成物を含み、中心鎖と前記中心鎖に結合された複数の側鎖を有する親水性櫛型コポリマーを含み、少なくとも1つの側鎖はシリコーン部分を含む、分析物調節層を形成する工程と、
    前記分析物調節層の少なくとも一部上に配置され、前記分析物調節層の少なくとも一部上に開口をさらに含む、カバー層を形成する工程と、
    を含む、方法。
  21. 前記分析物調節層は、1×10-9cm2/sec〜1×10-7cm2/secのグルコース拡散係数(Dglucose)を有する、請求項20記載の方法。
  22. 前記分析物調節層は、5〜2000の酸素拡散係数(Doxygen)対グルコース拡散係数(Dglucose)比(Doxygen/Dglucose)を有する、請求項20記載の方法。
  23. 少なくとも1つの側鎖の骨格は2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15の原子を含む、請求項20記載の方法。
  24. 容器と、
    前記容器内に、
    基層と、
    前記基層の上に配置され、作用電極を含む導電層と、
    前記導電層の上に配置され、分析物が存在すると前記導電層内の前記作用電極での電流を検出できるように変化させる分析物感知層と、
    前記分析物感知層の上に配置され、通過する分析物の拡散を調節し、中心鎖と前記中心鎖に結合された複数の側鎖を有する親水性櫛型コポリマーを含み、少なくとも1つの側鎖はシリコーン部分を含む、分析物調節層と、
    を備える分析物センサ装置と、
    前記分析物センサ装置を使用するための使用説明書と、
    を含む、キット。
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