JP5781088B2 - ブレンド膜組成物を含む検体センサならびにそれらを製造および使用するための方法 - Google Patents

ブレンド膜組成物を含む検体センサならびにそれらを製造および使用するための方法 Download PDF

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Description

本出願は、35U.S.C.§119(e)に基づき、2009年12月21日に出願した同時係属中の同一出願人による米国特許出願第12/643,790号の優先権を主張する。
本出願は、それぞれの内容を本願に引用して援用する、米国特許出願第11/492,273号、米国特許出願第11/633,254号、米国特許出願第12/184,046号、米国特許出願第12/345,354号、および米国特許出願第12/572,087号に関連する。
本発明は、糖尿病への対応で使用されるグルコースセンサなどのバイオセンサおよびかかるセンサを製造するための材料、例えばバイオセンサ膜に対して有用なブレンドポリマ組成物に関する。
バイオセンサ等の検体センサとしては、マトリックス中の化学物質検体を検出可能な信号に変換する生物学的要素(biological element)を使用するデバイスが挙げられる。多種多様の検体を検出するために使用される多くのタイプのバイオセンサが存在する。おそらく最も研究されているタイプのバイオセンサは、糖尿病の個体におけるグルコース濃度を監視するためによく使用される装置である、電流測定式グルコースセンサ(amperometric glucose sensor)である。
典型的なグルコースセンサは、次の化学反応に従って機能する。
グルコースオキシダーゼは、式1に示されているように、グルコースと酸素との間の反応を触媒してグルコン酸および過酸化水素を生じさせるために使用される。Hは、式2に示されているように、電気化学的に反応し、電流はポテンシオスタットにより測定される。反応の化学量論は、インビボセンサを開発することへの挑戦を提供する。特に、最適なセンサ性能に対して、センサ信号出力は、対象の検体(グルコース)によってのみ決定され、補助基質(O)または速度論的に制御されたパラメータ例えば拡散などによって決定されるべきではない。酸素とグルコースとが等モル濃度で存在する場合、Hは、酵素に出会って反応するグルコースの量と化学量論的に関係しており、センサ信号を発生することと結びついた電流はその酵素と反応するグルコースの量に比例する。しかしながら、すべてのグルコースがその酵素と反応するためには存在する酸素が不十分である場合、電流はグルコース濃度ではなくて酸素濃度に比例するであろう。したがって、グルコースの濃度にのみ依存する信号を提供するセンサのためには、グルコースは限定試薬(limiting reagent)でなければならず、換言すれば、O濃度はすべての見込まれるグルコース濃度に対して過剰の状態でなければならない。しかし、かかるグルコースセンサをインビボで使用することに関連する問題は、そのセンサがインビボ植え込みされる場合の酸素濃度がグルコースに対して低いこと、すなわち、センサの読みの正確さを損なう可能性がある現象である。
この酸素欠乏問題を解決することへの取り組みが数多くなされている。その1つは、酸素を十分に通すことができる材料から多孔質膜を製造することである。しかしながら、グルコースのために配置される少量の酵素は不活性化状態になる傾向がある(例えば、その内容を引用して援用する米国特許第4,484,987号参照)。もう1つの取り組みは、酸素およびグルコースの透過性を制御する疎水性領域および親水性領域を有する均質なポリマ膜を使用することである(例えば、その内容を引用して援用する米国特許第5,428,123号、第5,322,063号、第5,476,094号参照)。例えば、ヴァン アントワープらは、制限されたグルコース透過性を可能にする親水性成分と組み合わされた高い酸素透過性を可能にするシリコーン疎水性成分を含む直鎖状ポリ尿素膜を開発した(例えば、米国特許第5,777,060号、第5,882,494号および第6,642,015号参照)。
米国特許第4,484,987号明細書 米国特許第5,428,123号明細書 米国特許第5,322,063号明細書 米国特許第5,476,094号明細書 米国特許第5,777,060号明細書 米国特許第5,882,494号明細書 米国特許第6,642,015号明細書
本明細書に開示されている発明は、電流測定式グルコースセンサ等のバイオセンサおよびかかるセンサを製造するための改良された材料を提供する。本発明の実施形態には、ブレンドしたポリマ組成物を含む検体限界膜を含有する複数の層状要素を有するセンサが含まれる。かかるポリマ膜は、インビボ使用のための電気化学センサの作製において特に有用であり、本発明の実施形態にはこれらのポリマ膜を組み込む特定のバイオセンサの立体構造が含まれる。本発明の膜の実施形態は、改良された水和プロファイルのほかに一定の温度範囲にわたって安定しているグルコース等の分子に対する透過性も含めた望ましい特性の組み合わせを可能にする。その上、これらのポリマ膜は、外側のポリマ膜としての使用に対して良好な力学的性質を示す。このため、かかるポリマ膜を内蔵するグルコースセンサは、高められたインビボ性能プロファイルを示す。
本明細書に開示されている発明は、多数の実施形態を有する。本発明の1つの実施形態は、ベース層、前記ベース層上に配置されており、作用電極を含む導電層、前記導電層上に配置されている検体感知層(酸化還元酵素例えばグルコースオキシダーゼなどを含むもの)、および前記検体感知層上に配置されている検体調節層を含む電流測定式検体センサ装置である。本発明のこの実施形態において、検体調節層は、直鎖状ポリウレタン/ポリ尿素ポリマ、および分岐アクリレートポリマのブレンドした混合物を含み、これらのポリマは、重量%で1:1〜1:20の比率でブレンドされている。適宜、上記実施形態において、ブレンドしたポリマ組成物を作製するために使用される直鎖状ポリウレタン/ポリ尿素ポリマは、温度を摂氏22度から40度まで上昇させると、摂氏1度当り1%〜8%低下するグルコースに対する透過性を示し、ブレンドしたポリマ組成物を作製するために使用される分岐アクリレートポリマは、温度を摂氏22度から40度まで上昇させると、摂氏1度当り1%〜8%増大するグルコースに対する透過性を示す。一般的には、直鎖状ポリウレタン/ポリ尿素ポリマを分岐アクリレートポリマとブレンドすることによって作製したポリマ組成物は、摂氏22〜40度の温度に対して摂氏1度当り2%未満変化するグルコースに対する透過性を示す。
本発明の実施形態は、インビボ植え込みが可能なように、生物組織のほかに生体適合性材料からできている要素とも適合性があるように適合させた構造を有する検体センサ装置を含む。本発明の上記の実施形態において、検体調節層のブレンドされたポリマ組成物は、インビボ検体の濃度がインビボ環境中へのセンサ植え込みの短時間(例えば45分を超えない)の内に感知されうるようにセンサのインビボ水和を促進する。その上、本発明の特定の実施形態において、検体調節層のブレンドされたポリマ組成物は、センサのさまざまな層の間に配置される別の接着促進材料(例えば、検体感知層と検体調節層の間に配置されるもの)に対する必要性を排除するようにセンサの層の接着を促進する。適宜、本発明のセンサは、検体感知層上に配置されているタンパク質層、または、検体センサ装置上に配置されているカバー層であって、カバー層が、インビボ環境中に存在する検体が検体調節層と接触してその中に拡散することおよび検体感知層と接触することを促進するように、カバー層上に配置されている開口を含む上記カバー層の少なくとも1つをさらに含む。
本発明の実施形態は、センサ性能を促進するように設計された材料(例えば、ブレンドされたポリマ組成物)および構造の両方を含む。例えば、本発明の特定の実施形態において、導電層は、例えば、不十分なセンサの水和と関連する問題を避けるためおよび/または豊富な感知能力を提供するために、複数の作用電極および/または対向電極および/または参照電極を含む(例えば3つの作用電極、対向電極および参照電極)。適宜、その複数の作用、対向および参照電極は、1つのユニットとして一緒に構成され、導電層上にユニットの繰り返し形態で位置関係をもって分配される。本発明の特定の実施形態において、ベース層は、センサがインビボ植え込みされたときにねじれそして曲がることを可能にする柔軟な材料から作られ、電極は、センサ装置がインビボ植え込みされてねじれて曲がるときにインビボの流体が作用電極の少なくとも1つと接触することを促進する配置に集められる。いくつかの実施形態において、電極は、1つ以上の電極を有するセンサの一部が、インビボ環境から除去され、エキソビボ環境に曝された場合、そのセンサが引き続き機能することを可能にする配置に集められる。一般的には、センサは、感知された検体に基づくセンサからの信号を受けることができるセンサ入力に動作可能なように連結され、処理装置がセンサ入力に連結されて、その処理装置はセンサから受けた1つ以上の信号を特性化することができる。本発明のいくつかの実施形態においては、センサの1つ以上の電極からの信号を獲得するためにパルス電圧が使用される。
本明細書に開示されているセンサは、当技術分野で知られている多種多様の材料から作ることができる。本発明の1つの例示的実施形態において、検体調節層は、ジイソシアネート、親水性ジオールまたは親水性ジアミンを含む親水性ポリマ、およびアミノ、ヒドロキシルまたはカルボン酸官能基を末端に有しているシロキサンを含む混合物から形成されたポリウレタン/ポリ尿素を含み、このポリマが次に、ブチル、プロピル、エチルまたはメチルアクリレート、アミノアクリレート、シロキサンアクリレート、およびポリ(エチレンオキシド)アクリレートを含む混合物から形成された分岐アクリレートポリマとブレンドされる。適宜さらなる材料がこれらのポリマブレンド中に含められうる。例えば分岐アクリレートポリマのいくつかの実施形態は、ヒドロキシルアクリレート化合物を含む反応混合物から形成される。
本発明のもう1つの実施形態は、哺乳類の体内に植え込むための検体センサ装置を製造する方法であって、ベース層を準備するステップ、導電層を前記ベース層上に形成するステップであって、前記導電層が作用電極を含む上記ステップ、検体感知層を前記導電層上に形成するステップであって、前記検体感知層が酸化還元酵素を含む上記ステップ、検体調節層を前記検体感知層上に形成するステップであって、前記検体調節層が、直鎖状ポリウレタン/ポリ尿素ポリマ、および分岐アクリレートポリマを含む上記ステップ、前記直鎖状ポリウレタン/ポリ尿素ポリマおよび前記分岐アクリレートポリマを、重量%で1:1〜1:20の比率でブレンドするステップ、ならびに、その後前記検体調節層上にカバー層を形成するステップを含む方法である。この実施形態においてセンサを製造するために使用される検体調節層組成物は、摂氏21〜40度の温度に対して摂氏1度当り2%未満変化するグルコースに対する透過性を示す。一般的に、この検体調節層組成物は、ジイソシアネート、少なくとも1つの親水性ジオールまたは親水性ジアミン、およびシロキサンを含む混合物から形成された第1のポリマを含み、それが、2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、メチルメタクリレート、ポリジメチルシロキサンモノメタクリルオキシプロピル、およびポリ(エチレンオキシド)メチルエーテルメタクリレートを含む混合物から形成された第2のポリマとブレンドされる。一般的にかかる実施形態においては、検体調節層組成物は、検体センサ装置が検体感知層と隣接する層との間に配置される接着促進層を含まないように、検体調節層組成物が検体感知装置内の隣接する層に接着することを可能にする接着特性を示すように形成される。
本発明のさらに別の実施形態は、ジイソシアネート化合物、少なくとも1つの親水性ジオールまたは親水性ジアミン化合物、およびシロキサン化合物を含む混合物から形成された第1のポリマを含み、それが、5〜45重量%の2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート化合物、15〜55重量%のメチルメタクリレート化合物、15〜55重量%のポリジメチルシロキサンモノメタクリルオキシプロピル化合物、5〜35重量%のポリ(エチレンオキシド)メチルエーテルメタクリレート化合物、および1〜20重量%の2−ヒドロキシエチルメタクリレートを含む混合物から形成された第2のポリマとブレンドされており、第1のポリマおよび第2のポリマが重量%で1:1〜1:20の比率で一緒にブレンドされている物質の組成物である。一般的にかかる組成物においては、直鎖状ポリウレタン/ポリ尿素ポリマは、温度を摂氏22度から40度まで上昇させると、摂氏1度当り1%〜8%低下するグルコースに対する透過性を示し、分岐アクリレートポリマは、温度を摂氏22度から40度まで上昇させると、摂氏1度当り1%〜8%増大するグルコースに対する透過性を示す。本発明のかかる実施形態において、ポリマブレンドは、摂氏21〜40度の温度範囲にわたって摂氏1度当り2%未満変化するグルコースに対する透過性を示す。
本発明の他の目的、特徴、および利点は、以下の詳細な説明により当業者に対し明らかにされる。しかし、詳細な説明および特定の実施例は、本発明のいくつかの実施形態を示しているが、例示することを目的としており、制限する意図はないことは理解されるであろう。本発明の範囲内の多くの変更形態および修正形態は、本発明の精神から逸脱することなく作られ、また本発明は、そのようなすべての修正形態を含む。
グルコースとグルコースオキシダーゼとの間の周知の反応を示す略図である。段階的に示されているように、この反応は、グルコースオキシダーゼ(GOx)、グルコース、および水の中の酸素を伴う。反応の還元側では、2個の水素イオンと電子とが、β−D−グルコースから酵素生産d−グルコノラクトンに移動する。反応の酸化側では、酵素は、分子酸素生産過酸化水素により酸化される。d−グルコノラクトンは、次いで、水と反応して、ラクトン環を加水分解し、グルコン酸を生成する。本発明のいくつかの電気化学センサでは、この反応により生成された過酸化水素は、作用電極のところで酸化される(H→2H+O+2e)。 干渉除去膜を付加することができる電流測定式検体センサの1つの実施形態の線図である。 干渉除去膜を有する電流測定式検体センサの1つの実施形態の線図である。 本発明のブレンドしたポリマの実施形態と共に使用するための典型的なシリコーン材料を示す図である。 本発明のブレンドしたポリマの実施形態と共に使用するための典型的な親水性材料を示す図である。 本発明のブレンドしたポリマの実施形態と共に使用するための典型的な疎水性材料を示す図である。 分岐アクリレートポリマの実施形態の典型的な重合反応を示す図である。 分岐アクリレートポリマの実施形態の典型的な重合反応を示す図である。図3D(3D1および3D2)に示されている実施形態は例示的モノマとしてメタクリレートを使用しているが、当業者であれば、この典型的な化学式中の2つ以上のモノマが、エチルアクリレートまたはアクリレート等の化合物と置き換えられうる(例えば、メチルメタクリレートは、メチルアクリレートまたはエチルメタクリレートと置き換えられうる)ことが分かる。 テトラヒドロフラン(THF)溶媒中で、直鎖状ポリウレタン/ポリ尿素コポリマ(記号表示GLM2446−8)と1対2の比率でブレンドした分岐アクリレート(記号表示MMA2843−17−2)でできている検体調節膜(analyte modulating membrane)を含むグルコースセンサから得られたデータを示す図である。図4Aには、さまざまな条件下でグルコースセンサから得られた信号が、グラフ形式で示されている。 THF/イソプロピルアルコール(IPA)混合溶媒中で、直鎖状ポリウレタン/ポリ尿素コポリマ(記号表示GLM2760−57)と1対2の比率でブレンドした分岐アクリレートコポリマ(記号表示MMA2843−17−2)でできている検体調節膜を含むグルコースセンサから得られたデータを示す図である。図4Bには、さまざまな条件下でグルコースセンサから得られた信号が、グラフ形式で示されている。 直鎖状ポリウレタン/ポリ尿素ポリマとブレンドした分岐アクリレートポリマからできている検体調節膜を含むグルコースセンサがある範囲の温度にわたって安定したグルコース透過性をどのように示すかの図である。特に、ポリウレタン/ポリ尿素ポリマと分岐アクリレートポリマとがグルコース透過性対温度のプロットに対して逆の勾配を有するとき、そのブレンドされた膜は、2つの異なるポリマ組成物の温度依存性を成功裏に均衡させる。それ故、ブレンドしたポリマ組成物で被覆したグルコースセンサは、直鎖状ポリウレタン/ポリ尿素ポリマ単独で被覆したセンサより、環境温度の変化に対する感度がはるかに低い。この特性は、例えば、一定の温度範囲にわたるグルコースセンサの正確性を増す。図5におけるグルコースセンサは、37℃の100mg/dlグルコース溶液から22℃の100mg/dlグルコース溶液に移されたときに、そのIsig(センサからの電子信号の読み)に関して非常にわずかな変化(1℃当り約0.5%)のみを示した。 インビボで、ブレンドしたポリマ組成物で被覆したグルコースセンサが、直鎖状ポリウレタン/ポリ尿素ポリマ単独で被覆したセンサより早くランイン(run−in)とする(イヌのモデルで)ことを示しているデータを提供する図である。 インビボで、ブレンドしたポリマ組成物で被覆したグルコースセンサが、直鎖状ポリウレタン/ポリ尿素ポリマ単独で被覆したセンサより早くランイン(run−in)とする(イヌのモデルで)ことを示しているデータを提供する図である。これらのチャートにおいて、その差異は、約2分(ブレンドした組成物)対7分(直鎖状ポリウレタン/ポリ尿素ポリマ)である。このデータは、直鎖状ポリウレタン/ポリ尿素ポリマとブレンドした分岐アクリレートポリマでできている検体調節膜を含むグルコースセンサは、非常に速く水和して安定化すること(早いランインまたはブレークイン(break−in)時間)を示している。それ故に、かかるセンサは、センサがインビボ環境中に挿入されたほとんど直後にグルコース信号を伝えることができる。
断りのない限り、本明細書で使用されるすべての専門用語、表記、およびその他の科学用語もしくは術語は、本発明が関係している技術分野の当業者に通常理解される意味を有することが意図されている。いくつかの場合において、一般に理解されている意味を有する用語は、本明細書では、わかりやすく、および/または簡単に参照できるように定義されており、本明細書にそのような定義が含まれているとしても、当業で一般に理解されている内容に関する根本的な相違点を表すものと、必ずしも解釈すべきではない。本明細書で説明されているか、または参照されている技術および手順の多くは、当業者による従来の方法を用いてよく理解され、ふつうに使用されている。適宜、市販のキットおよび試薬の利用を伴う手順は、一般に、断りのない限り、メーカー側で定義したプロトコルおよび/またはパラメータに従って実行される。以下で、いくつかの用語を定義する。本明細書に挙げられているすべての出版物は、それらの出版物が引用されているのと関連している方法および/または材料を開示および説明するために本願に引用して援用される。本明細書に引用されている出版物は、本出願の出願日以前のそれらの開示について引用されている。ここではどれも、本発明者等が、先立つ優先日または発明に先立つ日付の理由によってそれらの出版物に先行する資格が与えられないことを承認しているように解釈すべきではない。さらに、実際の出版日は、示されているものと異なる可能性があり、独立検証を必要とする。
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用されている単数形「a」、「an」、および「the」は、その文脈が別な風にはっきりと指図していない限りは複数の指示対象を含むことに留意しなければいけない。したがって、例えば、「an oxidoredactase」と言うのは、複数のかかる酸化還元酵素および当業者などには知られているそれらの同等物が含まれる。本明細書および関連する特許請求範囲の中で列挙されている整数以外の値で数値的に特性化することができる値を指すすべての数(例えば、「50モル%」)は用語「約」によって修飾されることは当然である。
用語「酸化還元酵素」は、その技術で受け入れられている意味に従い、すなわち、1つの分子(還元体、水素または電子供与体とも呼ばれる)からのもう1つの分子(オキシダント、水素または電子受容体とも呼ばれる)への電子の移動に触媒作用をする酵素の意味で使用される。典型的な酸化還元酵素としては、グルコースオキシダーゼおよび乳酸オキシダーゼが挙げられる。用語「担体ポリペプチド」または「担体タンパク質」は、その技術で受け入れられている意味に従い、ポリペプチドの安定性、例えば、一定期間に及び、あるポリペプチドを含む組成物の物理的および化学的特性(例えば、グルコースを酸化する能力)等のある種の定性的特徴を維持する酸化還元酵素ポリペプチドの能力を維持するために含まれる添加剤の意味で用いられる。
本明細書で使用されている「検体」という用語は、広義語であり、限定はしないが、分析可能な体液(例えば、血液、間質液、脳脊髄液、リンパ液、または尿)などの流体中の物質または化学成分を指すことを含めて、通常の意味で使用される。検体は、天然物質、人工物質、代謝産物、および/または反応生成物を含むことができる。いくつかの実施形態では、感知領域、デバイス、および方法による測定のための検体は、グルコースである。しかし、限定はしないが、乳酸塩を含む、他の検体も考えられる。血液または間質液中に天然に存在する塩、糖類、タンパク質脂肪、ビタミン、およびホルモンは、いくつかの実施形態における検体をなすものとしてよい。検体は、体液に自然に存在するか、または内因性のものとしてよく、例えば、代謝産物、ホルモン、抗原、抗体などである。それとは別に、検体は、体内に持ち込まれうるか、または外因性ものもとしてよく、例えば、撮像用の造影剤、放射性同位体、化学剤、フッ化炭素ベースの人工血液、または薬物もしくは限定はしないがインスリンを含む医薬組成物である。薬物および医薬組成物の代謝産物も、検体として考えられる。
「インターフェラント」および「干渉化学種/化合物」という用語は、限定はしないが、センサ内の注目する検体の測定に干渉し、検体測定結果を正確に表さない信号を発生する効果および/または化学種/化合物を含む通常の意味で使用される。電気化学センサの一実施例では、干渉化学種は、測定される検体と重なってスプリアス信号を生み出す酸化電位を持つ化合物である。
本明細書で使用されている「センサ」という用語は、広義語であり、限定はしないが、検体を検出する検体監視デバイスの一部または複数の部分を含む通常の意味で使用される。一実施形態では、センサは、身体のある位置で電気化学活性のある表面、身体上の他の位置の電子的接続部、および身体に貼り付けられ、電気化学反応表面を覆う膜システムを形成するセンサ本体に通され、センサ本体内に固定される作用電極、参照電極、および適宜、対向電極を有する電気化学電池を備える。センサの一般的動作時に、生体試料(例えば、血液もしくは間質液)、またはその一部は、酵素(例えば、グルコースオキシダーゼ)と接触し(直接か、または1つ以上の膜もしくは領域を通過した後)、生体試料(またはその一部)が反応すると、反応生成物が形成され、生体試料内の検体レベルを決定することができる。
本明細書で使用されている「電気化学反応表面」および「電気活性表面」という用語は、広義語であり、限定はしないが、電気化学反応が生じる電極の表面を含む通常の意味で使用される。一実施例では、作用電極(例えば、白金黒を含む電極)は、検出される検体の酵素触媒反応により発生する過酸化水素を測定し、電流を発生させる(例えば、グルコースオキシダーゼを使用してグルコース検体を検出すると、副産物としてHを発生し、Hは、作用電極表面と反応して、2個の水素イオン(2H)、2個の電子(2e)、および1分子の酸素(O)を発生し、検出される電流を発生する)。対向電極の場合、還元可能な化学種、例えばOは、電極表面のところで還元され、作用電極により発生する電流のバランスをとる。
本明細書で使用されている「感知領域」という用語は、広義語であり、限定はしないが、特定の検体の検出に関わる監視デバイスの領域を含む通常の意味で使用される。例示的な実施形態では、感知領域は、非導電性の身体、作用電極、参照電極、および身体上に電気化学反応表面を形成する身体を通り、身体内に固定される対向電極、身体上の他の場所にある電子接続手段、および電気化学反応表面を覆う1つ以上の層を備えることができる。
以下で詳細に論じるように、本発明の実施形態は、他と異なる一連の技術的に望ましい材料特性を有するブレンドしたポリマ検体調節膜を含む新規のさまざまな要素を示す電気化学センサの使用と関係する。本発明のこの電気化学センサは、対象の検体(例えばグルコース)または流動状態の検体の濃度もしくは存在を示す物質を測定するように設計されている。いくつかの実施形態では、センサは、連続デバイス、例えば、皮下的、経皮的、または血管内のデバイスである。いくつかの実施形態では、デバイスは、複数の間欠的血液試料を分析することができる。本明細書で開示されているセンサ実施形態は、侵襲性、低侵襲性、および非侵襲性の感知技術を含む、知られている方法を使用して、注目する検体の濃度を示す出力信号を発生することができる。典型的には、このセンサは、インビボまたはインビトロの検体の測定として酸素の存在下で検体と酵素との間の酵素反応の生成物または反応物を感知するタイプのセンサである。このようなセンサは、検体が酵素と反応する前に移動する、酵素を囲むブレンドしたポリマ膜を備える。次いで、生成物は、電気化学的方法を使用し、したがって、検体の測定として電極システム機能の出力を使用して測定される。いくつかの実施形態では、センサは、検体を測定するために電流測定、電量分析、電気伝導測定、および/または電位差測定技術を使用することができる。
本明細書に開示されている本発明の実施形態は、例えば、糖尿病患者における血糖値の皮下または経皮モニタリングで使用されるタイプのセンサを提供する。さまざまな植え込み型電気化学バイオセンサが糖尿病およびその他の命に関わる疾患の治療のために開発されている。多くの既存のセンサの設計は、それらの生体特異性を達成するためにいくつかの形の固定化酵素を使用している。本明細書で説明されている発明の実施形態は、例えば、それぞれ本願に引用して援用する、米国特許出願第20050115832号、米国特許第6,001,067号、米国特許第6,702,857号、米国特許第6,212,416号、米国特許第6,119,028号、米国特許第6,400,974号、米国特許第6,595,919号、米国特許第6,141,573号、米国特許第6,122,536号、米国特許第6,512,939号、米国特許第5,605,152号、米国特許第4,431,004号、米国特許第4,703,756号、米国特許第6,514,718号、米国特許第5,985,129号、米国特許第5,390,691号、米国特許第5,391,250号、米国特許第5,482,473号、米国特許第5,299,571号、米国特許第5,568,806号、米国特許第5,494,562号、米国特許第6,120,676号、米国特許第6,542,765号、さらに、国際公開第01/58348号、国際公開第04/021877号、国際公開第03/034902号、国際公開第03/035117号、国際公開第03/035891号、国際公開第03/023388号、国際公開第03/022128号、国際公開第03/022352号、国際公開第03/023708号、国際公開第03/036255号、国際公開第03/036310号、国際公開第08/042625号、および国際公開第03/074107号、ならびに欧州特許出願第1153571号を含む、さまざまな、知られている電気化学センサを使用して適合され、実装されうる。
以下で詳細に論ずるように、本明細書に開示されている本発明の実施形態は、改良された材料特性および/または構造上の配置を有するセンサ要素と、かかる要素を含むように構成されたセンサシステム(例えば、センサおよび関連する電子構成部品例えばモニター、処理装置および同種のものなどを含むもの)とを提供する。この開示は、かかるセンサおよび/または構造上の配置を作製し、使用するための方法をさらに提供する。本発明のいくつかの実施形態はグルコースおよび/または乳酸のセンサに関連しているが、本明細書に開示されているさまざまな要素(例えば、ブレンドしたポリマ組成物からできている検体調節膜)は、当技術分野で知られている多種多様のセンサの任意の1つでの使用に対して適合させることができる。検体センサ要素、アーキテクチャ、および本明細書で開示されているそれらの要素を製作する方法および使用する方法は、さまざまな層化されたセンサ構造を確立するために使用されうる。本発明のこのようなセンサは、驚くべき柔軟度および融通性を示し、この特徴により、広範な検体化学種を調べるために広範なセンサ構成を設計することができる。
本発明の実施形態の具体的態様について、以下の節で詳述する。
I.本発明の典型的な要素、構成、および検体センサ
<A.本発明の最適化されたセンサ要素>
グルコース等の生物検体を検出および/または測定するために使用される電流測定センサを含めた多種多様のセンサおよびセンサ要素が当技術分野で知られている。多くのグルコースセンサは、酸素(クラーク型)電流測定トランスデューサに基づいている(例えば、ヤングら、Electroanalysis 1997年、9、No.16:1252〜1256頁;クラークら、Ann.N.Y.Acad.Sci.1962年、102、29;アプダイクら、Nature 1967年、214、986;およびウィルキンスら、Med.Engin.Physics、1996年、18、273.3〜51参照)。多数のインビボグルコースセンサが過酸化水素ベースの電流測定トランスデューサを利用しており、それは、そのようなトランスデューサは組み立てるのが比較的容易であり、従来技術を使用して容易に小型化することができるためである。しかしながら、特定の電流測定トランスデューサと関連する1つの問題として、最適状態に及ばない反応化学量論が挙げられる。以下で詳細に論じられるように、これらの問題は、本明細書に開示されている(複数の)ブレンドしたポリマ膜、すなわちその反応が過酸化水素ベースの電流測定変換素子において信号を生ずるさまざまな化合物の輸送特性を調節することができる膜を使用することによって対処される。そのため、これらの膜は、例えば、最適化された反応化学量論から利益を受けるさまざまなHベースの検体センサの中で使用することができる。
上記のように、本発明の実施形態には、ブレンドしたポリマ組成物からできているセンサ膜が含まれる。当技術分野で知られているように、ポリマは、モノマと呼ばれる多くの同一または類似した小分子を一緒に化学的に結合することによって形成された多くの繰り返し単位の鎖または網状組織からなる長いまたはより大きな分子を含む。コポリマまたはヘテロポリマは、1つだけのモノマが使用されるホモポリマとは対照的に、2つ(以上)のモノマ種から生じるポリマである。コポリマは、ポリマ構造中の分岐の存在または配列の観点で説明することもできる。直鎖状コポリマが単一の主鎖からなるのに対して、分岐コポリマは1つ以上のポリマ側鎖を有する単一の主鎖からなる。本明細書に開示されているブレンドしたポリマ組成物からできているセンサ膜は、センサ感度、安定性および水和プロファイルを含めた検体センサ機能を最適化することができる。その上、反応物種の化学量論をセンサ温度の範囲にわたって最適化することによって、本明細書に開示されている膜は、対象の検体(例えばグルコース)の濃度と関連する重要な測定可能な信号を生み出す化学反応を最適化することができる。以下の段落は、本発明の例示的センサ要素、センサ構造および方法の実施形態について説明する。
本発明の実施形態の中で使用されるいくつかの電流測定センサの構造は、例えば、電極を有するベース層、検体感知層(例えば、グルコースオキシダーゼを含むもの)および検体拡散制御において機能する検体調節層(例えば、検体感知層に曝されるグルコースおよび酸素の量を調節するため)を含む複数の層状の要素を含む。1つのそのようなセンサの実施形態が、図2Aに示されている。本明細書に開示されているブレンドしたポリマ組成物を検体調節層として組み込む層状センサ構造は、インビボ植え込みされる電気化学グルコースセンサを含めたさまざまなセンサにおいて見られる課題を克服するさまざまな材料特性を示す。例えば、水性の環境において検体を測定するように設計されたセンサ(例えばインビボ植え込みされたもの)は、一般的に、正確な検体読み込みの測定の前または途中に層が濡れることを必要とする。材料の特性は、それが水和する速度に影響を及ぼしうるので、水性環境中で使用される膜の材料特性は、理想的には、例えば、センサの水性環境中への導入とその環境中の検体の濃度に対応する正確な信号をそれが提供することができることとの間の時間枠を最小にするためにセンサの濡れを促進する。ブレンドしたポリマ組成物を含む本発明の実施形態は、かかる問題にセンサの水和を促進することによって対処する。
さらに、測定可能な信号を発生するグルコースとグルコースオキシダーゼの間の化学反応を利用する電気化学グルコースセンサで、検体調節層の材料は、当技術分野で「酸素欠乏問題」として知られているものを悪化させてはならない(そして理想的には軽減すべきである)。特に、グルコースオキシダーゼベースのセンサは、酸素(O)およびグルコースの両方が信号を発生するために必要であるために、グルコースに対して過剰の酸素の存在がグルコースオキシダーゼベースのグルコースセンサの働きには必要である。しかしながら、酸素の皮下組織中の濃度はグルコースのそれよりはるかに低いために、酸素はセンサ中のグルコース、酸素、およびグルコースオキシダーゼの間の反応において限定反応物質(limiting reactant)であり得、これはグルコースの濃度に正確に依存する信号を生み出すセンサの能力を危うくする状況である。この状況において、材料の特性は化合物がその材料の中を通って測定可能な化学反応の位置に拡散する速度に影響を及ぼしうるので、測定可能な信号を発生するグルコースとグルコースオキシダーゼの間の化学反応を利用する電気化学グルコースセンサで使用される検体調節層の材料特性は、例えば、前記酸素欠乏問題の一因となるやり方で酸素を上回るグルコースの拡散を助けてはならない。本明細書に開示されているブレンドしたポリマ組成物を含む本発明の実施形態は、この酸素欠乏問題の一因になるのではなく、それよりはむしろ改善するように機能する。
その上、検体調節層として本明細書に開示されているブレンドしたポリマ組成物を使用するセンサの構造は、異なる温度で異なる拡散プロファイル(例えば、検体がその中を通って拡散する速度)を示すことがありうるセンサ材料の使用により見られる混乱を克服することもできる。特に、最適化されたセンサ性能についてはある温度範囲にわたってセンサの信号出力は、対象の検体(例えばグルコース)の濃度によってのみ決定され、補助基質(例えばO)または速度論的に制御されたパラメータ(例えば拡散)によって決定されてはならない。しかしながら当技術分野で知られているように、ポリママトリックス中を通る化合物の拡散は、温度依存性でありうる。検体(例えばグルコース)がポリマの中を通って拡散し、それが別の化合物(例えばグルコースオキシダーゼ)と反応する部位に反応する場合の状況において、上記の温度依存性拡散プロファイルは、センサ信号を発生することが当てにされている反応の化学量論に影響を及ぼすことがあり得、それによってセンサ信号出力をある温度範囲にわたって対象の検体の濃度のみに依存するようにさせる当技術分野者の努力を混乱させている。ある温度範囲(例えば摂氏22度から40度まで)にわたって安定である検体(例えばグルコース)拡散プロファイルを有する材料からできている検体調節組成物は、したがって、そのような問題に対処する。
本明細書に開示されている発明は、例えばバイオセンサ例えば電流測定グルコースセンサなどのための膜に役立つブレンドしたポリマ組成物を提供する。本発明の実施形態には、例えば、ブレンドしたポリマ組成物を含む検体限界膜を含有する複数の層状要素を有するセンサが含まれる。かかるポリマ膜は、インビボ使用のための電気化学センサの作製において特に有用である。本発明の膜の実施形態は、改良された水和プロファイルおよびある温度範囲にわたって安定しているグルコース等の分子に対する透過性を含めた望ましい特性の組み合わせを可能にする。その上、これらのポリマ膜は、外側のポリマ膜としての使用に対して良好な力学的性質を示す。このため、かかるポリマ膜を内蔵するグルコースセンサは、非常に望ましいインビボ性能プロファイルを示す。
本明細書に開示されている発明は、多数の実施形態を有する。本発明の1つの実施形態は、ベース層、前記ベース層上に配置されており、作用電極を含む導電層、前記導電層上に配置されている検体感知層(酸化還元酵素例えばグルコースオキシダーゼなどを含むもの)、および前記検体感知層上に配置されている検体調節層を含む電流測定式検体センサ装置である。本発明のこの実施形態において、検体調節層は、直鎖状ポリウレタン/ポリ尿素ポリマ、および分岐アクリレートポリマのブレンドした混合物を含み、これらのポリマは、少なくとも重量%で1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:11、1:12、1:13、1:14、1:15、1:16、1:17、1:18、1:19、または1:20の比率でブレンドされている。一般的には、上記実施形態において、均一なブレンドしたポリマ組成物を作製するために使用される直鎖状ポリウレタン/ポリ尿素ポリマは、温度を摂氏22度から40度まで上昇させると、摂氏1度当り1%〜8%低下するグルコースに対する透過性を示し、ブレンドしたポリマ組成物を作製するために使用される分岐アクリレートポリマは、温度を摂氏22度から40度まで上昇させると、摂氏1度当り1%〜8%増大するグルコースに対する透過性を示す。一般的には、直鎖状ポリウレタン/ポリ尿素ポリマを分岐アクリレートポリマとブレンドすることに由来するポリマ組成物は、摂氏22〜40度の温度に対して摂氏1度当り2%未満変化するグルコースに対する透過性を示す。
本発明の実施形態は、逆ではあるが相補的なグルコース拡散プロファイルを有するポリマをブレンドして安定したグルコース拡散プロファイルを有する検体調節組成物を作り出す。特にいくつかのポリ尿素および/またはポリウレタン検体調節組成物(例えば、米国特許第5,777,060号、第5,882,494号、および第6,642,015号に開示されているもの)は、温度が上昇すると減少するグルコース拡散プロファイルを有する。これらの直鎖状ポリ尿素およびポリウレタンポリマは、摂氏22度から40度まで、グルコース信号変化で1℃当り約−3%を示すことができる(すなわち、所与濃度のグルコースから観察される信号は、温度を摂氏22度から40度まで上昇させると、1℃当り3%減少する)。対照的に、本明細書に開示されている分岐アクリレートポリマは、温度が上昇すると減少するグルコース拡散プロファイルを有する。これらの分岐アクリレートポリマは、摂氏22度から40度まで、グルコース信号変化で1℃当り約+3%を示す(すなわち、所与濃度のグルコースから観察される信号は、温度を摂氏22度から40度まで上昇させると、1℃当り3%増加する)。しかし、直鎖状ポリウレタン/ポリ尿素ポリマと分岐アクリレートポリマとが一緒にブレンドされたとき、その逆の温度効果は、そのブレンドした膜が摂氏22度から40度まで基本的に非温度依存性のグルコース限界ポリマとなる結果となり相殺される。
直鎖状ポリ尿素/ポリウレタンおよび分岐アクリレートポリマのブレンド中の相対量を調節することによって、特定のポリママトリックスで見られる温度依存性のグルコース透過性プロファイルを改善することができる。2つの異なるポリマの間の相互作用によって、そのブレンド比は、必ずしも1:1の理論比ではなく、実験的に重量%で1:1〜1:20であるように決定されている。これに関連して、どちらのポリマも、過剰であることができ、「1:20」とは、それ故、分岐アクリレートが1/20の割合(0.05)で存在するブレンドおよび直鎖状のポリ尿素/ポリウレタンが1/20の割合で存在するブレンドを含む。グルコースセンサがグルコースに応答して比較的低い信号を発生することが望ましい状況においては、直鎖状ポリ尿素/ポリウレタンおよび分岐アクリレートは、直鎖状ポリ尿素/ポリウレタンが2:1の比率のように過剰状態である比率で一緒にブレンドすることができる。センサがグルコースに応答して比較的高い信号を発生することが望ましい状況においては、直鎖状ポリ尿素/ポリウレタンおよび分岐アクリレートは、分岐アクリレートが1:2の比率のように過剰状態である比率で一緒にブレンドすることができる。これらのポリマ比を変更することによって、他の状況における利点を有することもできる。例えば、ポリマブレンド中の分岐アクリレートポリマの増加した相対量はブレンドしたポリマ膜とセンサ中の隣接する材料または層(例えば、GOx層)との間の接着を改良することができる。
本発明の実施形態は、インビボ植え込みが可能なように、生物組織のほかに生体適合性材料からできている要素とも適合性があるように適合させた構造を有する検体センサ装置を含む。本発明の上記の実施形態において、検体調節層の均一にブレンドされたポリマ組成物は、インビボ検体の濃度がインビボ環境中へのセンサ植え込み後45分未満または30分未満(20分の初期化過程を含む)に感知されうるようにセンサのインビボ水和を促進する。その上、本発明のいくつかの実施形態において、検体調節層のブレンドされたポリマ組成物は、センサのさまざまな層の間の接着促進材料の別の層(例えば、検体感知層と検体調節層の間に配置されるもの)に対する必要性を排除するようにセンサの層の接着を促進する。適宜、本発明のセンサは、検体感知層上に配置されているタンパク質層、または、検体センサ装置上に配置されているカバー層であって、インビボ環境中に存在する検体が検体調節層と接触してその中に拡散することおよび検体感知層と接触することを促進するように、カバー層上に配置されている開口を含む上記カバー層の少なくとも1つをさらに含む。
本発明の実施形態は、センサ性能を促進するように設計された材料(例えば、ブレンドされたポリマ組成物)および構造の両方を含む。例えば、本発明のいくつかの実施形態において、導電層は、例えば、不十分なセンサの水和と関連する問題を避けるためおよび/または豊富な感知能力を提供するために、複数の作用電極および/または対向電極および/または参照電極を含む(例えば3つの作用電極、対向電極および参照電極)。適宜、その複数の作用電極、対向電極および参照電極は、1つのユニットとして一緒に構成され、導電層上にユニットの繰り返し形態で位置関係をもって分布される。本発明のいくつかの実施形態において、ベース層は、センサがインビボ植え込みされたときにねじれそして曲がることを可能にする柔軟な材料から作られ、電極は、センサ装置がインビボ植え込みされてねじれて曲がるときにインビボの流体が作用電極の少なくとも1つと接触することを促進する配置に集められる。ある実施形態において、電極は、センサが1つ以上の電極を有するセンサの一部が、インビボ環境から除去され、エキソビボ環境に曝された場合、そのセンサが引き続き機能することを可能にする配置に集められる。一般的には、センサは、感知された検体に基づくセンサからの信号を受けることができるセンサ入力に動作可能なように連結され、処理装置がセンサ入力に連結されて、その処理装置はセンサから受けた1つ以上の信号を特性化することができる。本発明のいくつかの実施形態においては、センサの1つ以上の電極からの信号を獲得するためにパルス電圧が使用される。
本明細書に開示されているセンサは、当技術分野で知られている多種多様の材料から作製することができる。本発明の1つの具体例において、検体調節層は、ジイソシアネート、親水性ジオールまたは親水性ジアミンを含む親水性ポリマ、およびアミノ、ヒドロキシルまたはカルボン酸官能基を末端に有しているシロキサンを含む混合物から形成されたポリウレタン/ポリ尿素ポリマを含み、このポリマが次に、ブチル、プロピル、エチルまたはメチルアクリレート、アミノアクリレート、シロキサンアクリレート、およびポリ(エチレンオキシド)アクリレートを含む混合物から形成された分岐アクリレートポリマとブレンドされる。適宜、さらなる材料がこれらのポリマブレンド中に含めることができる。例えば分岐アクリレートポリマの特定の実施形態は、ヒドロキシルアクリレート化合物(例えば、2−ヒドロキシエチルメタクリレート)を含む反応混合物から形成される。
本発明の具体的な実施形態において、検体調節層は、ジイソシアネート、親水性ジオールまたは親水性ジアミンを含む親水性ポリマ、および、アミノ、ヒドロキシルまたはカルボン酸官能基を末端に有しているシロキサン、を含む混合物から形成されたポリウレタン/ポリ尿素ポリマを含み、このポリウレタン/ポリ尿素ポリマが、メチルメタクリレート、2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、ポリジメチルシロキサンモノメタクリルオキシプロピル、ポリ(エチレンオキシド)メチルエーテルメタクリレート、および、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを含む混合物から形成された分岐アクリレートポリマとブレンドされている。一般的には、第1のポリマは、ジイソシアネート化合物(一般的には混合物中の反応物の約50モル%)、少なくとも1つの親水性ジオールまたは親水性ジアミン化合物(一般的には混合物中の反応物の約17〜45モル%)、およびシロキサン化合物を含む混合物から形成される。適宜、この第1のポリウレタン/ポリ尿素ポリマは、45〜55モル%(例えば50モル%)のジイソシアネート(例えば、4,4’−ジイソシアネート)、10〜20モル%(例えば12.5モル%)のシロキサン(例えば、ポリメチルヒドロシロキサン、トリメチルシリル末端)、および30〜45モル%(例えば37.5モル%)の親水性ジオールまたは親水性ジアミン化合物(例えば、600ダルトンの平均分子量を有するポリプロピレングリコールジアミン、Jeffamine 600)を含む。この第1のポリウレタン/ポリ尿素ポリマは、5〜45重量%の2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート化合物、15〜55重量%のメチルメタクリレート化合物、15〜55重量%のポリジメチルシロキサンモノメタクリルオキシプロピル化合物、5〜35重量%のポリ(エチレンオキシド)メチルエーテルメタクリレート化合物、および1〜20重量%の2−ヒドロキシエチルメタクリレートを含む混合物から形成された第2のポリマとブレンドされ、第1のポリマおよび第2のポリマは重量%で1:1〜1:20の比率で一緒にブレンドされる。
本発明の別の実施形態は、哺乳類の体内に植え込むための検体センサ装置を製造する方法であって、ベース層を準備するステップ、導電層が作用電極を含む前記導電層を前記ベース層上に形成するステップ、検体感知層が酸化還元酵素を含む前記検体感知層を前記導電層上に形成するステップ、検体調節層が、直鎖状ポリウレタン/ポリ尿素ポリマ、および分岐アクリレートポリマのブレンドした混合物を含む前記検体調節層を前記検体感知層上に形成するステップ、前記直鎖状ポリウレタン/ポリ尿素ポリマおよび前記分岐アクリレートポリマを、重量%で1:1〜1:20の比率でブレンドするステップ、ならびに次に前記検体調節層上にカバー層を形成するステップを含む方法である。この実施形態においてセンサを製造するために使用される検体調節層組成物は、摂氏21〜40度の範囲の温度に対して摂氏1度当り2%未満変化するグルコースに対する透過性を示す。一般的に、この検体調節層組成物は、ジイソシアネート、少なくとも1つの親水性ジオールまたは親水性ジアミン、およびシロキサンを含む混合物から形成された第1のポリマを含み、それが、2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、メチルメタクリレート、ポリジメチルシロキサンモノメタクリルオキシプロピル、およびポリ(エチレンオキシド)メチルエーテルメタクリレートを含む混合物から形成された第2のポリマとブレンドされる。一般的にかかる実施形態においては、検体調節層組成物は、検体センサ装置が検体感知層と隣接する層との間に配置される接着促進層を含まないように、検体調節層組成物が検体感知装置内の隣接する層に接着することを可能にする接着特性を示すように形成される。
本発明のさらに別の実施形態は、ジイソシアネート化合物、少なくとも1つの親水性ジオールまたは親水性ジアミン化合物、およびシロキサン化合物を含む混合物から形成された第1のポリマを含み、それが、5〜45重量%の2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート化合物、15〜55重量%のメチルメタクリレート化合物、15〜55重量%のポリジメチルシロキサンモノメタクリルオキシプロピル化合物、5〜35重量%のポリ(エチレンオキシド)メチルエーテルメタクリレート化合物、および1〜20重量%の2−ヒドロキシエチルメタクリレートを含む混合物から形成された第2のポリマとブレンドされており、第1のポリマおよび第2のポリマが重量%で1:1〜1:20の比率で一緒にブレンドされている物質の組成物である。適宜、膜を作るために使用されるブレンドした膜キャスティング溶液は、イソプロピルアルコールとテトラヒドロフランのブレンド中の溶液である。一般的にかかる組成物においては、直鎖状ポリウレタン/ポリ尿素ポリマは、温度を摂氏22度から40度まで上昇させると、摂氏1度当り1%〜8%低下するグルコースに対する透過性を示し、分岐アクリレートポリマは、温度を摂氏22度から40度まで上昇させると、摂氏1度当り1%〜8%増大するグルコースに対する透過性を示す。本発明のかかる実施形態において、ポリマブレンドは、摂氏21〜40度の温度範囲にわたって摂氏1度当り2%未満変化するグルコースに対する透過性を示す。
本発明の関連する実施形態は、検体センサで使用するのに適するアクリレートベースの組成物であり、組成物は、分岐鎖のコポリマと直鎖状のコポリマが重量%で1:1〜1:20の明確な比率で一緒にブレンドされている両方を含む。一般的に、この実施形態において、1つのコポリマは透過性に対して正の温度勾配(高温ほどより高い透過性)を有しており、一方他のコポリマは、透過性に対して負の温度勾配(高温ほどより低い透過性)を有する。ブレンドしたコポリマ膜の温度に依存する透過係数は、そのとき、それら2つのコポリマの混合比によって調整される。一般的にブレンドしたコポリマ膜のその温度依存性の透過係数は、22℃から40℃まで1℃当り+/−2%、1%、0.5%または0.2%であるように調整される。本発明の実施形態において、1つのコポリマは高い(グルコース)透過係数を有することができ、他のコポリマは、低い透過係数を有することができ、典型的な2つのコポリマの透過率比は、10より大きい。本発明の特定の実施形態において、ブレンドした膜組成物は、少なくとも1つの親和性領域を有する化合物を含み、その親和性領域は、干渉化学種(例えば、アセトアミノフェンおよび/またはアスコルビン酸)に対して親和性を有する第二級または第三級アミンポリマ側鎖を含む。いくつかの実施形態において、ブレンドした膜組成物である1つ以上のポリマは、2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレートまたはその誘導体、ビニルピロリドンまたはその誘導体、t−ブチルアミノエチルメタクリレートまたはその誘導体等の構成物質を含む。適宜、そのブレンドした膜組成物である1つ以上のポリマは、重量で少なくとも1%(最大で48%まで)の第二級または第三級アミンを含む。
上記のように、本明細書に開示されている本発明は、例えば、バイオセンサ中で検体調節膜として機能することができる直鎖状ポリウレタン/ポリ尿素ポリマおよび分岐アクリレートポリマにより作製された組成物を含む。上記の説明から、本発明の基礎をなす発見は、生体適合膜の形成においてブレンドしたポリマ組成物を使用することであることが当業者には明らかであろう。これらの成分から製造された膜の実施形態は、均一であり、多数の皮下移植用に設計されたバイオセンサおよびデバイスにコーティングを施すために有用である。直鎖状ポリ尿素/ポリウレタンポリマおよび分岐アクリレートポリマの実施形態の説明は、後に続くパラグラフおよび以下の実施例において提供される。
[直鎖状ポリウレタン/ポリ尿素ポリマ]
本発明の実施形態で使用される1つのポリマ組成物は、ポリウレタン/ポリ尿素ポリマである。本明細書で使用される用語「ポリウレタン/ポリ尿素ポリマ」は、ウレタン結合、尿素結合またはそれらの組み合わせを含むポリマを指す。当技術分野で知られているように、ポリウレタンは、ウレタン(カルバメート)結合によって結合された有機単位の鎖からなるポリマである。ポリウレタンポリマは、少なくとも2つのイソシアネート官能基を含むモノマを少なくとも2つのヒドロキシル(アルコール)基を含むもう1つのモノマと触媒の存在下で反応させることによる段階成長を通して一般的には形成される。ポリ尿素ポリマは、イソシアネート化合物とジアミンとの反応生成物から生じる。一般的に、かかるポリマは、ジイソシアネートをアルコールおよび/またはアミンと組み合わせることによって形成される。例えば、イソホロンジイソシアネートをPEG600およびアミノプロピルポリシロキサンと重合条件下で組み合わせることによって、ウレタン(カルバメート)結合と尿素結合の両方を有するポリウレタン/ポリ尿素組成物が提供される。かかるポリマは、当技術分野で周知であり、例えば、そのそれぞれの内容が引用され援用されている米国特許第5,777,060号、第5,882,494号および第6,632,015号、ならびに国際公開第96/30431、国際公開第96/18115、国際公開第98/13685、および国際公開第98/17995に記載されている。
本発明のポリウレタン/ポリ尿素組成物は、疎水性/親水性バランスが酸素の拡散係数対グルコースのそれの比を制御し、この比を、インビボ使用を対象とする電気化学グルコースセンサの設計要件に対して適合させるために広い範囲にわたって変化させることができる生物学的に許容されるポリマから調製される。かかる組成物は、上記のモノマおよびポリマの重合による従来の方法によって調製することができる。その得られたポリマは、アセトンまたはエタノール等の溶媒に溶解でき、溶液から浸漬、噴霧、またはスピンコーティングによって膜として形成することができる。
本発明のこの実施形態で有用なジイソシアネートは、生体適合性ポリウレタンの調製において一般的に使用されるものである。かかるジイソシアネートは、シチャーの、SEMINAR ON ADVANCES IN MEDICAL GRADE POLYURETHANES,Technomic Publishing,(1995)に詳細に記載されており、芳香族および脂肪族ジイソシアネートの両方を含む。適当な芳香族ジイソシアネートの例としては、トルエンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニルジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネートおよびパラフェニレンジイソシアネートが挙げられる。適当な脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、トランス1,4−シクロヘキサンジイソシアネート(CHDI)、1,4−シクロヘキサンビス(メチレンイソシアネート)(BDI)、1,3−シクロヘキサンビス(メチレンイソシアネート)(HXDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)および4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(HMDI)が挙げられる。いくつかの実施形態において、このジイソシアネートは、イソホロンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、または4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)である。多数のこれらジイソシアネートが、Aldrich Chemical Company(ミルウォーキー、ウィスコンシン州、米国)等の商業的供給源から入手可能であり、または文献の手順を用いる標準的な合成方法によって容易に調製することができる。
ポリウレタン/ポリ尿素ポリマ組成物のための反応混合物中で使用されるジイソシアネートの量は、残りの反応物の組み合わせに対して一般的には約50モル%である。より詳細には、ポリウレタン/ポリ尿素ポリマの調製において使用されるジイソシアネートの量は、残りの反応物のヒドロキシルまたはアミノ基と反応するために必要な−NCO基の少なくとも約100%を提供するのに十分であるようにする。例えば、xモルのジイソシアネートを使用して調製するポリマは、aモルの親水性ポリマ(ジオール、ジアミンまたはその組み合わせ)、bモルの官能化された末端を有するシリコーンポリマ、およびcモルの鎖延長剤を、cがゼロでありうることを了解の上で、x=a+b+cとなるように使用する。
本明細書に記載されているポリウレタン/ポリ尿素ポリマの調製において使用されるもう1つの反応物は、親水性ポリマである。この親水性ポリマは、親水性ジオール、親水性ジアミンまたはそれらの組み合わせでありうる。この親水性ジオールは、ポリ(アルキレン)グリコール、ポリエステルベースのポリオール、またはポリカーボネートポリオールでありうる。本明細書で使用される用語「ポリ(アルキレン)グリコール」とは、低級アルキレングリコール、例えば、ポリ(エチレン)グリコール、ポリ(プロピレン)グリコールおよびポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)などのポリマを指す。用語「ポリエステルベースのポリオール」とは、R基が低級アルキレン基、例えば、エチレン、1,3−プロピレン、1,2−プロピレン、1,4−ブチレン、2,2−ジメチル−1,3−プロピレンなどであるポリマを指す(例えば、米国特許第5,777,060号の図4に描かれているようなもの)。当業者であればこのポリマのジエステル部分が示されている6炭素の二塩基酸から変化することができることを理解するであろう。例えば、米国特許第5,777,060号の図4はアジピン酸成分を示しているが、本発明は、コハク酸エステル、グルタル酸エステルなどの使用も意図している。用語「ポリカーボネートポリオール」とは、鎖の末端にヒドロキシル官能性とポリマ鎖中にエーテルおよびカーボネート官能性を有しているようなポリマを指す。ポリマのアルキル部分は、C2〜C4脂肪族基から、またはいくつかの実施形態によってはより長鎖の脂肪族基、脂環式基または芳香族基から一般的にはなる。用語「親水性ジアミン」とは、末端のヒドロキシル基が反応性アミン基によって置換されているか、または、末端のヒドロキシル基が誘導体化されて末端アミン基を有する延長された鎖を生じている任意の上記の親水性ジオールを指す。例えば、いくつかの親水性ジアミンは、末端のヒドロキシル基がアミノ基によって置換されているポリ(アルキレン)グリコールである「ジアミノポリ(オキシアルキレン)」である。用語「ジアミノポリ(オキシアルキレン)」とは、鎖の末端にアミノアルキルエーテル基を有するポリ(アルキレン)グリコールも指す。適当なジアミノポリ(オキシアルキレン)の1つの例は、ポリ(プロピレングリコール)ビス(2−アミノプロピルエーテル)である。多数の上記ポリマが、Aldrich Chemical Companyから入手することができる。それとは別に、当技術分野で既知の従来の方法がそれらの合成のために使用されうる。
直鎖状ポリマ組成物を製造するために使用される親水性ポリマの量は、一般的には使用されるジイソシアネートに対して約10モル%〜約80モル%であろう。一般的には、その量はジイソシアネートに対して約20モル%〜約60モル%である。より少ない量の親水性ポリマが使用される場合、鎖延長剤を含めるのが一般的である。
本発明において有用であるシリコーン含有ポリウレタン/ポリ尿素ポリマは、一般的には直鎖状であり、優れた酸素透過性を有しており、基本的にグルコース透過性を有さない。一般的には、このシリコーンポリマは、2つの反応性官能基(すなわち、2官能性)を有するポリジメチルシロキサンである。その官能基は、例えば、ヒドロキシル基、アミノ基またはカルボン酸基でありうるが、一般的にはヒドロキシルまたはアミノ基である。いくつかの実施形態において、シリコーンポリマの組み合わせを使用することができ、第1の部分はヒドロキシル基を含み、第2の部分はアミノ基を含む。一般的には、その官能基はシリコーンポリマの鎖の末端に位置している。多数の適当なシリコーンポリマが、Dow Chemical Company(ミッドランド、ミシガン州、米国)およびGeneral Electric Company(シリコーン事業部、スケネクタディ、ニューヨーク州、米国)等の供給源から市販されている。さらに他のものが、市販のシロキサン(United Chemical Technologies、ブリストル、ペンシルベニア州、米国)を発端とする当技術分野で既知の一般的な合成方法(例えば、米国特許第5,777,060号参照)によって調製されうる。本発明における使用に対して、そのシリコーンポリマは、一般的には約400から約10,000までの分子量を有するもの、より一般的には、約2000から約4000までの分子量を有するものである。反応混合物中に組み込まれるシリコーンポリマの量は、生体適合膜が形成される由来となる得られるポリマの望ましい特性に依存する。より低いグルコースの浸透が望ましいそうした組成物に対しては、より多量のシリコーンポリマを使用することができる。それとは別に、より高いグルコースの浸透が望ましい組成物に対しては、より少量のシリコーンポリマを使用することができる。一般的に、グルコースセンサに関しては、シロキサンポリマの量は、ジイソシアネートに対して10モル%から90モル%までであろう。一般的に、その量は、ジイソシアネートに対して20モル%から60モル%までである。
実施形態の1つの群において、生体適合膜の調製のための反応混合物は、脂肪族または芳香族ジオール、脂肪族または芳香族ジアミン、アルカノールアミン、またはそれらの混合物である鎖延長剤(例えば、米国特許第5,777,060号の図8に描かれているようなもの)も含む。適当な脂肪族鎖延長剤の例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、エタノールアミン、エチレンジアミン、ブタンジアミン、1,4−シクロヘキサンジメタノールが挙げられる。芳香族延長剤としては、例えば、パラ−ジ(2−ヒドロキシエチル)ベンゼン、メタ−ジ(2−ヒドロキシエチル)ベンゼン、Ethacure 100(登録商標)(2,4−ジアミノ−3,5−ジエチルトルエンの2つの異性体の混合物)、Ethacure 300(登録商標)(2,4−ジアミノ−3,5−ジ(メチルチオ)トルエン)、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、Polacure(登録商標)740M(トリメチレングリコールビス(パラ−アミノベンゾエート)エステル、およびメチレンジアニリンが挙げられる。1つ以上の上記の鎖延長剤の組み込みは、一般的には得られる生体適合膜にさらなる物理的強度を提供するが、ポリマのグルコース透過性を実質的に増加しない。一般的に、鎖延長剤は、低目の(すなわち、10〜40モル%)量の親水性ポリマが使用されるときに使用される。特にいくつかの実施形態において、鎖延長剤は、ジイソシアネートに対して約40モル%から約60モル%までで存在するジエチレングリコールである。
上記の反応物の重合は、バルクまたは溶媒系で行うことができる。触媒が必須ではないが使用される。適当な触媒としては、ジブチルスズビス(2−エチルヘキサノエート)、ジブチルスズジアセテート、トリエチルアミンおよびそれらの組み合わせが挙げられる。一般的には、ジブチルスズビス(2−エチルヘキサノエート)が触媒として使用される。バルク重合は、反応物の適切な混合を確保するために約25℃(周囲温度)〜約50℃の開始温度で一般的には行われる。反応物の混合と同時に発熱が一般的には観察され、温度は約90〜120℃まで上昇する。初期発熱の後、反応フラスコは、75℃から125℃まで加熱することができ、ただし、90℃〜100℃が、模範的な温度範囲である。加熱は1〜2時間にわたって通常は行われる。溶液重合は、同様のやり方で行うことができる。溶液重合に対して適当である溶媒としては、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、1,2,3−トリクロロプロパン等のハロゲン化溶媒、および4−メチル−2−ペンタノン等のケトンが挙げられる。一般的にはTHFが溶媒として使用される。重合が溶媒中で行われる場合、反応混合物の加熱は、3〜4時間にわたって一般的には行われる。
バルク重合によって調製されたポリマは、一般的にはジメチルホルムアミド中に溶解され、水により沈殿される。水と混和性でない溶媒中で調製されたポリマは、溶媒の真空除去によって単離することができる。これらのポリマは、次にジメチルホルムアミド中に溶解され、水により沈殿される。水で十分に洗浄した後、そのポリマは、約50℃の真空中で一定重量まで乾燥させることができる。
膜の調製は、乾燥したポリマを適当な溶媒に溶解しガラス板上にフィルムを流延させることによって完成させることができる。流延のための適当な溶媒の選択は、その特定のポリマおよびその溶媒の揮発性に一般的には依存する。その溶媒は、一般的には、THF、CHCl、CHCl、DMF、IPAまたはそれらの組み合わせである。より一般的には、その溶媒は、THFまたはDMF/CHCl(2/98容積%)である。その溶媒はフィルムから除去され、得られた膜は完全に水和されてそれらの厚さが測定され、吸水が確定される。本発明において有用である膜は、一般的には約20〜100重量%の吸水を有し、一般的には30〜約90重量%、より一般的には40〜約80重量%の吸水である。
酸素およびグルコースの拡散係数は、本発明の個々のポリマ組成物およびブレンドしたポリマ膜に関して同様に測定することができる。拡散係数を測定する方法は、当業者には知られており、例が以下に示されている。本明細書に記載されている生体適合膜の特定の実施形態は、約0.1×10−6cm/秒〜約2.0×10−6cm/秒の酸素拡散係数(D酸素)および約1×10−9cm/秒〜約500×10−9cm/秒のグルコース拡散係数(Dグルコース)を一般的には有する。より一般的には、グルコース拡散係数は、約10×10−9cm/秒〜約200×10−9cm/秒である。
[分岐アクリレートポリマ]
本発明の実施形態において使用されるもう1つのポリマ組成物は、分岐アクリレートポリマ、一般的には、シリコーンベースの櫛形コポリマである。これらの組成物において、シリコーン成分は、非常に低いガラス転移温度(例えば、室温より低く、一般的には0℃より低い)および非常に高い酸素透過性(例えば、1×10−7cm/秒)で、良好な力学的性質、高い信号対雑音比、高い安定性、およびインビボ環境内の綿密な解析等の利点を提供するように選択された特性を有する。
本発明の典型的な実施形態としては、中央の鎖と、少なくとも1つの側鎖がシリコーン部分を含むその中央の鎖に結合した複数の側鎖とを有する親水性櫛形コポリマを含む分岐アクリレートポリマを含めたさまざまなポリマのブレンドを含む物質の組成物が挙げられる。当技術分野で知られているように、櫛形コポリマは、複数の歯が付着している中央の幹を有する髪をとくための櫛に似ている構造を有するものである。かかる櫛形コポリマは、中央の鎖または主鎖(それは櫛の幹と大ざっぱに言って似ている)およびこの中央の鎖から分岐している複数の側鎖(それは櫛の歯と大ざっぱに言って似ている)を有する。この櫛形コポリマの構造は図3に示されており、分子の水平の(−C−CH−C−CH−C−CH−)部分は中央の鎖または主鎖であり、分子の縦の例えば(−C−O−C−)部分は側鎖である。これらの側鎖は、さまざまな原子および部分、例えば図3に示されている分子の右側に示されている縦の(−C−O−C−C−C−Si−O−)側鎖、が結合している主鎖をさらに有することができる。例えば、この図に示されている側鎖の水平の中央の鎖は、そこに結合した水素および/またはメチルの原子および部分を有する。本発明の特定の実施形態において、少なくとも1、2、3、4、または5個の異なる側鎖の幹は、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15個の原子を含む。
ブレンドしたポリマ膜を製造するために使用することができる分岐アクリレートポリマは、多数の実施形態を有する。一般的にはかかる実施形態において、シリコーン部分を含む少なくとも1つの側鎖部分は、酸素原子に共有結合しているケイ素原子(−Si−O−)を含む。本発明のいくつかの実施形態において、中央の鎖から枝分かれしている少なくとも1つの側鎖は親水性である。本発明のいくつかの実施形態において、中央の鎖から枝分かれしている少なくとも1つの側鎖は疎水性である。本発明のいくつかの実施形態において、中央の鎖から枝分かれしている少なくとも1つの側鎖は親水性であり、中央の鎖から枝分かれしている少なくとも1つの側鎖は疎水性である。適宜、その中央の鎖は親水性である。あるいは、その中央の鎖は疎水性であり得、親水性の特性が側鎖によって提供されている。
本発明の特定の実施形態において、中央の鎖は、ポリビニルポリマ、すなわち、さまざまなビニル(例えば、CH=CH−)モノマを重合することによって形成された組成物を含む。例としては、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、およびポリビニルアルコールが挙げられる。一般的に、かかるポリビニルポリマは、ポリビニルアセテート、アクリレート、アクリルアミド、アクリロニトリルまたはピロリドンサブユニットを含む。あるいは、その中央の鎖はポリエチレンまたはポリプロピレンサブユニットを含むことができる。当技術分野で知られているように、かかる櫛形コポリマは、さまざまな異なる方法、例えば、フリーラジカル共重合を含むプロセスから製造することができる。一般的に、この櫛形コポリマは、少なくとも1つのシリコーン材料および少なくとも1つの親水性材料のフリーラジカル重合により製造される。適宜、1つ以上の疎水性材料も、特定の応用および状況のために同様に使用される。本発明のポリマ組成物の製造において使用するための例示的方法および材料は、例えば、それぞれの内容が本願に引用して援用される米国特許第6,887,962号、第6,809,141号、第6,093,781号、第5,807,937号、第5,708,115号、第5,091,480号、第5,079,298号、第5,061,772号、第5,503,461号、第6,538,091号、第6,527,850号、第7,029,688号、第7,029,688号および7,001,949号、ならびに米国特許出願第20050143546号、第20040024144号、第20030181619号および第20040024144号に記載されている。ポリマは、当技術分野で知られているさまざまな方法、例えば、それぞれの内容が本願に引用して援用される米国特許第5,882,494号、第6,965,791号、第6,934,572号、第6,814,845号、第6,741,877号、第6,594,514号、第6,477,395号、第6,927,246号、第5,422,246号、第5,286,364号、第6,927,033号、第5,804,048号、第7,003,340号、第6,965,791号、ならびに米国特許出願第20060128032号、第20060068424号、第20050208309号、第20040084307号、第20030171506号、第20030069383号、および第20010008931号に記載されているものを用いてバイオセンサ上に被覆することができる。
本発明の実施形態には、本明細書に記載されているポリマ組成物を含む膜を有するセンサが含まれる。例示的実施形態は、哺乳類の中に植え込むための検体センサ装置であり、その検体センサ装置は、ベース層と、そのベース層上に配置されている導電層(その導電層は作用電極を含む)と、その導電層上に配置されている検体感知層(その検体感知層は、検体存在下の導電層中で作用電極における電流を感知可能なように変える)と、その検体感知層上に配置されている検体調節層(その検体調節層は、それによって検体の拡散を調節する)とを含み、検体調節層は、中央の鎖と、その中央の鎖に結合している少なくとも1つの側鎖がシリコーン部分を含む複数の側鎖とを有する分岐アクリレート櫛形コポリマとブレンドした直鎖状のポリウレタン/ポリ尿素ポリマを含む。一般的には少なくとも1つの側鎖部分は、酸素原子に共有結合しているケイ素原子(−Si−O−)を含む。適宜、少なくとも1つの側鎖は親水性であり、少なくとも1つの側鎖は疎水性であり、または少なくとも1つの鎖は親水性であり、さらに、少なくとも1つの鎖は疎水性である。適宜、中央の鎖は親水性である。あるいは、その中央の鎖は疎水性であり得、親水性の特性が側鎖によって提供されている。かかる検体センサ装置において、この構造を有する膜は、多数の望ましい特性を与える。一般的には、例えば、この検体調節層は、1×10−9cm/秒から1×10−7cm/秒までのグルコース拡散係数(Dグルコース)を有する。その上、一般的には、検体調節層は、5〜2000の酸素拡散係数(D酸素)対グルコース拡散係数(Dグルコース)の比(D酸素/Dグルコース)を有する。
以下の実施例において示されているように、本発明のブレンドした膜において使用される親水性櫛形コポリマは、シリコーン材料およびその他の親水性/疎水性部分のフリーラジカル共重合によって調製されうる(例えば図3参照)。本発明において使用される一般的なシリコーン材料は、多くの−Si−O−繰り返し単位およびビニルまたはアクリル反応性官能末端基を有しており、−OH、−NH、−COOH等のいくつかのその他の官能基を含んでいてもよいものである。本発明において使用される典型的なシリコーン材料は、モノビニル末端ポリジメチルシロキサンおよびモノメタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサンである(図3A参照)。典型的な親水性部分としては、ビニルまたはアクリル反応性官能基を含むすべての水溶性材料が挙げられる。図3Bは、本発明において使用されるいくつかの例示的親水性部分、例えば、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、n−ビニルピロリドン、ジヒドロキシプロピルメタクリレート、ジメチルメタクリルアミド、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート、およびモノアリルモノトリメチルシロキシ末端ポリエチレンオキシドなどを示している。本発明において使用される典型的な疎水性材料は、ビニルまたはアリール反応性官能基を有する任意の非水溶性部分でありうる(図3C)。共通の実施形態は、メチルメタクリレート、2−フェニルエチルアクリレートおよび4−フェニルブチルメタクリレートを利用する。
<B.センサ要素の典型的な組み合わせ>
本発明の実施形態には、本明細書に開示されているブレンドしたポリマ組成物を他のセンサ要素例えば干渉除去膜(例えばその内容を引用して援用する米国特許出願第12/572,087号に開示されているような干渉除去膜)と組み合わせて含むセンサがさらに含まれる。本発明の1つのかかる実施形態は、100と1000キロダルトンの間の分子量を有するメタクリレートポリマを含む干渉除去膜であり、そのメタクリレートポリマは有機官能性二脚状(dipodal)アルコキシシラン等の親水性架橋剤によって架橋される。本発明のもう1つの実施形態は、4,000ダルトンと500キロダルトンの間の分子量を有する第一級アミンポリマを含む干渉除去膜であり、その第一級アミンポリマはグルタルアルデヒド等の親水性架橋剤によって架橋される。一般的に、これらの干渉除去膜は過酸化水素導入組成物を被覆する。例示的実施形態において、この過酸化水素導入組成物は電極を含み、架橋された干渉除去膜がその電極に0.1μmと1.0μmの間の厚さの層で被覆される。
本発明のいくつかの実施形態において、電極または開口等のセンサ装置の要素は、センサの機能を助長するように、特定の構造を有し、かつ/または特定の材料から作られ、かつ/または他の要素と関連付けて配置される。本発明の1つのかかる実施形態において、作用電極、対向電極および参照電極は、センサ装置が検体を含む流体と接触して配置されるとき、センサの始動を促進し、かつ/または、作用電極、対向電極および/または参照電極の水和を維持する構造の中でベース層および/または導電層上に位置関係をもって分配される(例えば、電極のシャドーイング、すなわち、センサ回路の水和および容量性始動を阻害しうる現象を阻止することによって)。一般的に本発明のかかる実施形態は、センサの始動および/または初期化を促進する。
適宜、装置の実施形態は、例えば、余分の感知能力を提供するために、複数の作用電極および/または対向電極および/または参照電極(例えば3つの作用電極、1つの参照電極および1つの対向電極)を含む。本発明の特定の実施形態はただ1つのセンサを含み、本発明の他の実施形態は複数のセンサを含む。本発明のいくつかの実施形態においては、センサの1つ以上の電極からの信号を得るためにパルス電圧が使用される。適宜、その複数の作用、対向および参照電極は、1つのユニットとして一緒に構成され、導電層上にユニットの繰り返し形態で位置関係をもって分布される。本発明の特定の実施形態において、引き伸ばされたベース層は、センサがインビボ植え込みされたときにねじれそして曲がることを可能にする柔軟な材料から製造され、電極は、センサ装置がインビボ植え込みされてねじれて曲がるときにインビボの流体が作用電極の少なくとも1つと接触することを促進する配置に集められる。いくつかの実施形態においては、電極は、1つ以上の電極を有するセンサの一部が、インビボ環境から除去され、エキソビボ環境に曝された場合、そのセンサが引き続き機能することを可能にする配置に集められる。
複数のセンサを含む本発明の特定の実施形態において、センサ電極等の要素は、フレックス回路アセンブリ内に組織化/配置される。本発明のかかる実施形態において、センサシステムの構造は、第1のセンサが第2のセンサによって発せられる信号などに影響を及ぼさないように(逆も同様)、そして第1および第2のセンサが別々の組織エンベロープから感知し、それ故別々のセンサからの信号が互いに影響し合わないように設計することができる。同時に、本発明の典型的な実施形態においては、センサは、それらを容易にパッケージ化し、かつ/または単独の挿入行為による植え込みに適合することを可能にするために、互いから少し離れた間隔が置かれる。本発明のかかる実施形態の1つは、患者における検体を監視するための装置であり、その装置は、患者にその装置を固定するために適合する基本要素と、その基本要素と連結しておりそこから伸びている第1の突き刺し部材と、その第1の突き刺し部材に操作可能なように連結しており、第1の電気化学センサ配置部位において少なくとも1つの患者の生理的特徴を測定するための第1の電気化学センサ電極を含む第1の電気化学センサと、基本要素と連結しておりそこから伸びている第2の突き刺し部材と、第2の突き刺し部材に操作可能なように連結しており、第2の電気化学センサ配置部位において少なくとも1つの患者の生理的特徴を測定するための第2の電気化学センサ電極を含む第2の電気化学センサと、を含む。本発明のかかる実施形態において、第1または第2電気化学センサによって監視される少なくとも1つの生理的特徴は、患者において自然に発生する検体の濃度を含み、第1の突き刺し部材は患者の第1の組織コンパートメントにおける第1の電気化学センサを処理し、第2の突き刺し部材は患者の第2の組織コンパートメントにおける第2の電気化学センサを処理し、第1および第2の突き刺し部材は、第1の電気化学センサの植え込みに起因しうる生理学的反応を第2の電気化学センサによって生じるセンサ信号を改変することを避けるために選択された構造の基部の上に配置される。
水和等の電極特性を最適化するように設計される本発明の実施形態において、作用電極、対向電極および参照電極は、第1の電極が引き伸ばされたベース層の第1の端の領域に配置され、第2の電極が引き伸ばされたベース層の反対側の端の領域に配置され、第3番目が第1の電極と第2の電極の間の引き伸ばされたベース層の領域に配置されるように調整した並列配置で導電層上に位置関係をもって分布される。適宜、作用電極、対向電極および参照電極は、作用電極が引き伸ばされたベース層の第1の端の領域に配置され、対向電極が引き伸ばされたベース層の反対側の端の領域に配置され、参照電極が作用電極と対向電極の間の引き伸ばされたベース層の領域に配置されるように調整した配置で導電層上に位置関係をもって分布される。本発明の特定の実施形態において、参照電極の端および中心は、作用または対向電極の端または中心と並べられる。本発明の他の実施形態において、参照電極の端または中心は、作用または対向電極の端または中心と軸をはずして置かれる。本発明のいくつかの実施形態において、電極マトリックスは、センサ電極の水和をさらに改良する方法で側壁を持たないようにセンサ中に形成される。本発明の関連する実施形態には、本発明のさまざまなセンサの実施形態の水和および/または初期化特性を促進および維持するための分散型の電極構造を使用するための方法が含まれる。
本発明のいくつかの実施形態においては、1つ以上の開口が、検体を含む流体が参照電極、作用電極および対向電極とセンサの水和および/またはセンサの始動もしくは初期化を促進するために順次的様式で接触するようにカバー層上に位置づけられる。本発明の他の実施形態においては、開口は、カバー層上の参照電極、作用電極および対向電極のすぐ上にこれらの電極の水和が同等に進行することを促進するように位置づける。カバー層は、当技術分野で知られているさまざまな材料から構成することができ、似ているまたは似ていない大きさ、形状および構造を有するさまざまな開口を含むことができる。本発明のいくつかの実施形態において、カバー層は、複数の開口を含み(例えば、さまざまなセンサ電極上に列を成して配置される)、例えば、生体適合性のポリマ材料から製造されたシースまたはチューブから形成される。本発明の関連する実施形態には、本発明のさまざまなセンサの実施形態の特性(例えば、初期化および/または始動)を促進する特定の開口構造を用いるための方法が含まれる。
センサ装置のさまざまな要素は、センサの強度および/または機能を促進するために、装置の特定の位置に配置し、および/または、特定の形状に設定し、および/または、特別の材料から組み立てることができる。本発明の1つの実施形態は、センサの強度および耐久性を促進するポリイミドまたは誘電性セラミック材料を含む引き伸ばされた基部を含む。本発明の特定の実施形態において、作用および/または対向および/または参照電極の構造上の特徴および/または相対的な位置は、センサの製造、使用および/または機能に影響を及ぼすように設計される。適宜、センサは、フレックス回路(例えば、電極、電線管、導体パッドなど)を含むさまざまな要素に操作可能なように結合されている。本発明の1つの実施形態には、電極上に配置されている層(例えば、グルコースオキシダーゼを含む検体感知層)の層間剥離を防ぐために1つ以上の丸みのある端を有する電極が含まれる。本発明の関連する実施形態には、本発明のセンサの実施形態(例えば、1つ以上の丸みのある端を有する1つ以上の電極を有するもの)を使用するセンサ層の層間剥離を防ぐための方法が含まれる。本発明のいくつかの実施形態においては、電極上に配置されている材料(例えばグルコースオキシダーゼ等の酵素)の層の拡散を防止するために、バリヤー要素が装置上に配置される。本発明の関連する実施形態には、本発明のセンサの実施形態(例えば、上記のバリヤー構造を有するように構成されているもの)の上に配置されている化合物の移動を阻止するための方法が含まれる。適宜、バリヤー要素が、電極の反応性表面を取り巻くために、装置上に配置される。
本発明の特定の実施形態において、装置の電極は、白金組成物を含み、装置は、引き伸ばされたベース層と導電層との間に配置されたチタン組成物をさらに含む。適宜、上記実施形態において、装置はチタン組成物と導電層との間に配置された金組成物をさらに含む。本発明のかかる実施形態は、センサ内の層状材料の間の高められた接着および/またはより少ない腐食および/または改良された生体適合性プロファイルを一般的には示す。本発明の関連する実施形態には、センサ要素の腐食を防ぐための方法および/または本発明のセンサの実施形態(例えば、上記材料を使用するように構成されたもの)の生体適合性を改良するための方法が含まれる。
本発明の典型的な実施形態において、センサは、さらなる要素(例えば、電子部品)、例えば、信号を伝達し、かつ/または、受けるように設計された要素など、監視装置、処理装置、およびセンサデータを患者の生理機能を調節するために使用することができる薬剤注入ポンプ等のデバイスに操作できるように連結される。例えば、本発明のいくつかの実施形態において、センサは、哺乳類において感知された生理的特性値に基づくセンサからの信号を受けることができるセンサ入力、およびそのセンサ入力に連結している処理装置に操作可能なように連結されており、その処理装置は、センサから受けた1つ以上の信号を特性化することができる。本明細書に開示されている多種多様のセンサ構造を上記のようなシステムにおいて使用することができる。適宜、例えば、センサは、3つの作用電極、1つの対向電極および1つの参照電極を含む。特定の実施形態において、少なくとも1つの作用電極は、グルコースオキシダーゼを含む検体感知層で被覆されており、少なくとも1つの作用電極は、グルコースオキシダーゼを含む検体感知層で被覆されていない。
<C.典型的なセンサ構成を示す線図>
図2Aは、本発明の典型的なセンサの実施形態100の断面を例示している。このセンサの実施形態は、当技術分野で許容される方法および/または本明細書に開示されている本発明の特定の方法に従って互いの上に配置されているさまざまな導電性および非導電性の構成要素の典型的には層の形態をしている複数のコンポーネントから形成されている。センサのコンポーネントは、例えば図2に示されているセンサ構造の簡易な特徴付けを可能にするので、本明細書において層として典型的に特徴付けられる。しかし、当業者であれば、本発明のいくつかの実施形態において、複数の構成要素が1つ以上の異種の層を形成するようにセンサ構成要素が組み合わされることを理解するであろう。このような背景状況において、当業者であれば、層化された構成要素の順序付けを本発明のさまざまな実施形態において変更できることを理解する。
図2Aに示されている実施形態は、センサ100を支持するベース層102を備える。ベース層102は、金属および/またはセラミックおよび/またはポリマ基材などの材料から作られ、自立型であるか、または当業で知られているような他の材料によりさらに支えられうる。本発明のいくつかの実施形態は、ベース層102上に配置され、および/またはベース層102と組み合わされた導電層104を備える。典型的には、導電層104は、1本以上の電極を備える。稼働しているセンサ100は、典型的には、作用電極、対向電極、および参照電極などの複数の電極を備える。他の実施形態は、複数の作用電極および/または対向電極および/または参照電極ならびに/あるいは複数の機能を果たす1つ以上の電極、例えば、参照電極および対向電極の両方として機能するものを含むこともできる。
以下で詳述するように、ベース層102および/または導電層104は、多くの知られている技術および材料を使用して形成されうる。本発明のいくつかの実施形態では、センサの電気回路は、配置されている導電層104を所望のパターンの導電経路内にエッチングすることにより定められる。センサ100の典型的な電気回路は、コンタクトパッドを形成するための近位端にある領域とセンサ電極を形成するための遠位端にある領域とともに2つ以上の隣接する導電経路を備える。ポリマコーティングなどの電気絶縁性カバー層106は、センサ100の一部に配置することができる。絶縁保護カバー層106として使用する許容されるポリマコーティングは、限定はしないが、シリコーン化合物、ポリイミド、生体適合性ソルダーマスク、エポキシアクリレートコポリマなどの無毒の生体適合性ポリマを含むことができる。本発明のセンサでは、導電層104を外部環境に対し開放し、例えば、グルコースなどの検体がセンサの層を透過し、感知要素により感知されるようにするために、カバー層106を通して1つ以上の露出されている領域または開口108を形成することができる。開口108は、レーザ切断、テープマスキング、化学研磨もしくはエッチングまたはフォトリソグラフィ現像などを含む、多数の技術により形成されうる。本発明のいくつかの実施形態では、製造時に、二次フォトレジストをさらに保護層106に施し、(複数の)開口108を形成するため取り除かなければならない保護層の領域を定めることができる。露出されている電極および/またはコンタクトパッドは、さらに、追加のメッキ処理などの二次処理(例えば、開口108を通して)を施され、そうして、表面を形成し、および/または導電性領域を強化することができる。
図2Aに示されているセンサ構成では、検体感知層110(典型的には、センサ化学層であるが、これは、この層内の材料が、化学反応の作用を受け、導電層により感知されうる信号を発生することを意味する)は、導電層104の露出されている複数の電極のうちの1つ以上の電極に配置される。図2Bに示されているセンサ構造において、干渉防止膜120は導電層104の露出されている電極の1つ以上の上に配置されており、検体感知層110がそのときこの干渉防止膜120の上に配置されている。典型的には、検体感知層110は、酵素層である。最も典型的には、検体感知層110は、酸素および/または過酸化水素を生成し、および/または使用することができる酵素、例えば酵素グルコースオキシダーゼを含む。適宜、検体感知層内の酵素は、ヒト血清アルブミン、ウシ血清アルブミンなどの第2の担体タンパク質と組み合わされる。例示的な一実施形態では、検体感知層110内のグルコースオキシダーゼなどの酸化還元酵素は、グルコースと反応して、過酸化水素、つまり、その後電極のところに生じる電流を変調する化合物を形成する。電流のこの変調は、過酸化水素の濃度に依存し、また過酸化水素の濃度は、グルコースの濃度と相関するので、グルコース濃度は、電流のこの変調を監視することにより決定されうる。本発明の特定の実施形態において、過酸化水素は、陽極である作用電極(ここでは陽極作用電極ともいう)のところで酸化され、その結果電流は過酸化水素濃度に比例する。過酸化水素濃度を変えることにより引き起こされるこのような電流の変調は、ユニバーサルセンサ電流測定バイオセンサ検出器などのさまざまなセンサ検出器装置のうちの1つ、またはMedtronic MiniMed社により製造されているグルコース監視デバイスなどの当業で知られている他のさまざまな類似のデバイスのうちの1つにより監視されうる。
本発明の実施形態では、検体感知層110は、導電層の一部分または導電層の領域全体にわたって施されうる。典型的には、検体感知層110は、陽極または陰極であってよい作用電極上に配置される。適宜、検体感知層110は、さらに、対向電極および/または参照電極上にも配置される。検体感知層110は、厚さを最大約1000ミクロン(μm)までとすることができるが、典型的には、検体感知層は、当業ですでに説明されているセンサに見られる厚さと比べて比較的薄く、また例えば、典型的には、厚さは1、0.5、0.25、または0.1ミクロン未満である。以下で詳細に論ずるように、薄い検体感知層110を発生させるためのいくつかの方法としては、基板(例えば、白金黒電極の反応性表面)上への層のはけ塗り、ならびに、スピンコーティング工程、浸漬乾燥工程、低剪断噴霧工程、インクジェット印刷工程、シルクスクリーン工程などが挙げられる。
典型的には、検体感知層110は、1つ以上の追加層でコーティングされるおよびまたは1つ以上の追加層に接して配置される。適宜、1つ以上の追加層は、検体感知層110上に配置されたタンパク質層116を含む。典型的には、タンパク質層116は、ヒト血清アルブミン、ウシ血清アルブミンなどのタンパク質を含む。典型的には、タンパク質層116は、ヒト血清アルブミンを含む。本発明のいくつかの実施形態では、追加層は、検体感知層110との検体の接近を調節するために検体感知層110の上に配置されている検体調節層112を含む。例えば、検体調節膜層112は、検体感知層内に存在するグルコースオキシダーゼなどの酵素と接触するグルコースの量を調節する、グルコース制限膜を含むことができる。そのようなグルコース制限膜は、そのような目的に適していることが知られている広範な材料、例えば、ポリジメチルシロキサンなどのシリコーン化合物、ポリウレタン、ポリ尿素酢酸セルロース、ナフィオン、ポリエステルスルホン酸(例えば、Kodak AQ)、ヒドロゲル、本明細書で開示されているポリマブレンド、または当業者に知られている任意の他の好適な親水性膜から作ることができる。
本発明のいくつかの実施形態では、接着促進層114は、接触および/または接着を促進するために図2に示されているように検体調節層112および検体感知層110などの層の間に配置される。本発明の特定の実施形態では、接着促進層114は、接触および/または接着を促進するために図2に示されているように検体調節層112とタンパク質層116との間に配置される。接着促進層114は、そのような層の間の接着を容易にするために当業で知られているさまざまな材料のうちの1つから作ることができる。典型的には、接着促進層114は、シラン化合物を含む。代替実施形態では、検体感知層110内のタンパク質または類似の分子は、接着促進層114が存在していない場合に検体調節膜層112が検体感知層110と直接接触して配置されるように十分に架橋されるか、または他の何らかの方法で調製されうる。
本明細書に開示されているセンサを製造するために使用される典型的な要素の実施形態を以下で論ずる。
<D.本発明の実施形態で使用される典型的な検体センサ構成要素>
以下の開示では、本発明のセンサの実施形態で使用される典型的な要素/構成要素のいくつかの例を取りあげる。これらの要素は、離散的な単位(例えば、層)で説明されうるが、当業者であれば、センサが、後述の要素/構成要素(例えば、支持ベース構成要素および/または導電性構成要素および/または検体感知構成要素のマトリックスの両方として使用され、センサ内の電極としてさらに機能する要素)の材料特性および/または機能の一部または全部の組み合わせを有する要素を含むように設計されうることを理解するであろう。当業者であれば、これらの薄膜検体センサは以下に記載されているもののような多数のセンサシステムでの使用に適合させることができることを理解するであろう。
[ベース構成要素]
本発明のセンサは、典型的には、ベース構成要素(例えば、図2Aの要素102を参照)を含む。「ベース構成要素」という用語は、本明細書では、当業で認められている専門用語集に従って使用され、典型的には、互いの上に積み上げられ、機能センサを備える複数の構成要素の支持マトリックスを形成する装置内の構成要素を指す。一形態では、ベース構成要素は、絶縁体(例えば、電気絶縁性および/または不透水性を有する)の薄膜シートを備える。このベース構成要素は、誘電性、不透水性および密封性などの望ましい特質を有する広範な材料から作られうる。いくつかの材料は、金属性および/またはセラミックおよび/またはポリマ基材などを含む。
ベース構成要素は、自立型であるか、またはさらに当業で知られているような他の材料により支持されうる。図2Aに示されているセンサ構成の一実施形態では、ベース構成要素102は、セラミックを含む。別法では、このベース構成要素は、ポリイミド等のポリマ材料を含む。例示的な一実施形態では、セラミック製のベースは、主にAlである組成物(例えば、96%)を含む。植え込み型デバイスとともに使用するためにアルミナを絶縁ベース構成要素として使用することについては、本願に引用して援用する米国特許第4,940,858号、米国特許第4,678,868号、および米国特許第6,472,122号において開示されている。本発明のベース構成要素は、さらに、当業で知られている他の要素、例えば、密閉バイア(例えば、国際公開第03/023388を参照)を含むことができる。特定のセンサ設計に応じて、ベース構成要素は、比較的厚手の(例えば、50、100、200、300、400、500、または1000ミクロン以上の)構成要素とすることができる。それとは別に、薄い構成要素、例えば、約30ミクロンよりも小さい、アルミナなどの非導電性セラミックを使用することができる。
[導電性構成要素]
本発明の電気化学センサは、典型的には、検体または分析対象の副産物(例えば、酸素および/または過酸化水素)を測定するための少なくとも1つの電極を備えるベース構成要素上に配置された導電性構成要素を含む(例えば、図2Aの要素104を参照)。「導電性構成要素」という用語は、本明細書では、当業で認められている専門用語集に従って使用され、検出可能な信号を測定し、検出装置に伝送することができる電極などの導電性センサ要素を指す。これの例示的な例は、検体の濃度の変化を受けない参照電極と比較して検体またはその副産物の濃度の変化などの刺激への暴露に応じて電流の増加または減少を測定することができる導電性構成要素、つまり、検体が検体感知構成要素110中に存在する組成物(例えば、酵素グルコースオキシダーゼ)と相互作用するときに使用される共反応物(例えば、酸素)またはこの相互作用の反応生成物(例えば、過酸化水素)である。このような要素の例示的な例は、過酸化水素または酸素などの分子が濃度を変化させつつ存在している場合に変化する検出可能な信号を発生することができる電極を備える。典型的には、導電性構成要素内のこれらの電極は、作用電極であり、これは、非腐食性の金属またはカーボンから作ることができる。カーボン作用電極は、ガラス質または黒鉛であり、固形物またはペースト状物質から作られる。金属製作用電極は、パラジウムもしくは金などの白金族金属、または二酸化ルテニウムなどの非腐食性金属導電性酸化物から作ることができる。それとは別に、電極は、銀/塩化銀電極組成物を含むことができる。作用電極は、例えば、コーティングまたは印刷により、基材に施された電線または導電性薄膜としてよい。典型的には、金属またはカーボン導電体の表面の一部のみが、検体含有溶液と電解接触している。この部分は、電極の作用表面と呼ばれる。電極の残りの表面は、典型的には、電気的絶縁カバー構成要素106により溶液から絶縁される。この保護カバー構成要素106を生成する有用な材料例としては、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレンなどのポリマおよびポリシロキサンなどのシリコーンがある。
作用電極に加えて、本発明の検体センサは、典型的には、参照電極または参照対向複合電極(擬似参照電極または対向/参照電極とも呼ばれる)を備える。センサが、対向/参照電極を有していない場合、これは、作用電極と同じ、または異なる材料から作られうる別の対向電極を備えることができる。本発明の典型的なセンサは、1つ以上の作用電極と1つ以上の対向、参照、および/または対向/参照電極を有する。本発明のセンサの一実施形態は、2つ、3つ、または4つ以上の作用電極を有する。センサ内のこれらの作用電極は、一体となるように接続されるか、または分離されたままとすることができる。
典型的には、インビボ使用について、本発明の実施形態は、血液などの、哺乳類の体液と直接接触するために哺乳類の皮膚内に皮下的に植え込まれる。それとは別に、センサは、腹腔内空間などの哺乳類の体内の他の領域内に植え込むことができる。複数の作用電極が使用される場合、これらは、一緒に、または身体の異なる位置に植え込むことができる。対向、参照、および/または対向/参照電極は、さらに、(複数の)作用電極に最も近い位置に、または哺乳類の体内の他の位置に植え込まれうる。本発明の実施形態には、ナノ構造材料から構成された電極を含むセンサが含まれる。本明細書で使用される「ナノ構造材料」とは、100nmより小さい少なくとも1つの寸法を有するように製造された物体である。例としては、単一壁ナノチューブ、二重壁ナノチューブ、多重壁ナノチューブ、ナノチューブの束、フラーレン、コクーン、ナノワイヤ、ナノファイバ、オニオンなどが挙げられるがこれらに限定されない。
[干渉除去構成要素]
本発明の電気化学センサは、適宜、電極の表面と分析対象の環境との間に配置された干渉除去構成要素を含む。特に、いくつかのセンサ実施形態は、一定電位が印加されたときに作用電極の表面で酵素反応により発生する過酸化水素の酸化および/還元に依存する。過酸化水素の直接酸化に基づく電流測定検出は、比較的高い酸化電位を必要とするので、この検出方式を採用するセンサは、アスコルビン酸、尿酸、およびアセトアミノフェンなどの生体液中に存在する易酸化性化学種からの干渉を被る可能性がある。このような背景状況において、「干渉除去構成要素」という用語は、本明細書では、当業で認められている専門用語集に従って使用され、感知される検体により発生する信号の検出に干渉するそのような易酸化性化学種により発生するスプリアス信号を抑制する機能を有するセンサ内のコーティングまたは膜を指す。特定の干渉除去構成要素は、サイズ排除により機能する(例えば、特定サイズの干渉化学種を排除することによって)。干渉除去構成要素の例は、親水性架橋pHEMAおよびポリリシンポリマ、ならびに酢酸セルロース(ポリ(エチレングリコール)などの薬剤を組み込んだ酢酸セルロースを含む)、ポリエーテルスルホン、ポリテトラフルオロエチレン、ペルフルオロ化アイオノマーのナフィオン、ポリフェニレンジアミン、エポキシなどの化合物の1つ以上の層またはコーティングを含む。このような干渉除去構成要素の例示的な説明は、例えば、本願に引用して援用する、ウォードらの「Biosensors and Bioelectronics」17(2002)181−189およびチョウイらの「Analytical Chimica Acta」461(2002)251−260に見られる。他の干渉除去構成要素としては、例えば、分子量範囲に基づいて化合物の移動を制限することが見られるもの、例えば、その内容が引用して援用されている米国特許第5,755,939号に開示されているような例えば酢酸セルロースが挙げられる。特定の電流測定式グルコースセンサにおける干渉除去膜として使用するためにそれらを理想的にする予想外のさまざまな材料特性を有するさらなる組成物ならびにそれらを製造および使用するための方法が、本明細書に、例えば、米国特許出願第12/572,087号に開示されている。
[検体感知構成要素]
本発明の電気化学センサは、センサの電極上に配置されている検体感知構成要素を含む(例えば、図2Aの要素110を参照)。「検体感知構成要素」という用語は、本明細書では、当業で認められている専門用語集に従って使用され、存在が検体センサ装置により検出される検体を認識する、または検体と反応することができる材料を含む構成要素を指す。典型的には、検体感知構成要素内のこの材料は、典型的には導電性構成要素の電極を介して、感知される検体と相互作用した後に検出可能な信号を発生する。この点に関して、検体感知構成要素および導電性構成要素の電極は、組み合わせで機能し、検体センサに関連付けられている装置により読み取られる電気信号を発生する。典型的には、検体感知構成要素は、濃度の変化が、導電性構成要素(例えば、酸素および/または過酸化水素)の電極における電流の変化を測定することにより測定可能な分子と相互作用し、および/または分子を生成することができる酸化還元酵素、例えば、酵素グルコースオキシダーゼを含む。過酸化水素などの分子を生成することができる酵素を、当業で知られている多数の工程に従って電極上に配置できる。検体感知構成要素は、センサのさまざまな電極の全体または一部をコーティングすることができる。このような背景状況において、検体感知構成要素は、電極を同程度にコーティングできる。それとは別に、検体感知構成要素は、異なる電極を異なる程度にコーティングすることができ、例えば、作用電極のコーティング面は、対向および/または参照電極のコーティング面に比べて広い。
本発明のこの要素の典型的なセンサ実施形態では、固定された比(例えば、典型的にはグルコースオキシダーゼ安定化特性に合わせて最適化されている比)で第2のタンパク質(例えば、アルブミン)と組み合わされ、次いで、電極の表面上に施された酵素(例えば、グルコースオキシダーゼ)を使用して、薄い酵素構成要素を形成する。典型的な実施形態では、検体感知構成要素は、GOxおよびHSA混合物を含む。GOxを有する検体感知要素の典型的な実施形態では、GOxは感知環境(例えば、哺乳類の身体)内に存在するグルコースと反応し、図1に示されている反応に従って過酸化水素を発生し、そのように発生した過酸化水素は、導電性構成要素内の作用電極を陽極として検出される。
上記のように、酵素および第2のタンパク質(例えば、アルブミン)は、典型的には、架橋マトリックスを形成するように処理される(例えば、架橋剤をタンパク質混合物に加えることにより)。当業で知られているように、架橋条件は、酵素の保持される生物活性、その機構および/または動作に関する安定性などの因子を調節するために操作されうる。例示的な架橋手順は、本願に引用して援用する、米国特許出願第10/335,506号、および国際公開第03/035891号で説明されている。例えば、限定はしないが、グルタルアルデヒドなどのアミン架橋試薬をタンパク質混合物に加わることができる。
[タンパク質構成要素]
本発明の電気化学センサは、検体感知構成要素と検体調節構成要素との間に配置されているタンパク質構成要素を適宜含む(例えば、図2Aの要素116を参照)。「タンパク質構成要素」という用語は、本明細書では、当業で認められている専門用語集に従って使用され、検体感知構成要素および/または検体調節構成要素との親和性を持つように選択された担体タンパク質などを含む構成要素を指す。典型的な実施形態では、タンパク質構成要素は、ヒト血清アルブミンなどのアルブミンを含む。HSA濃度は、約0.5%〜30%(w/v)の範囲で変化しうる。典型的には、HSA濃度は、約1〜10%w/vであり、最も典型的には、5%w/vである。本発明の代替実施形態では、コラーゲンまたはBSAまたはこれらの背景状況において使用される他の構造タンパク質は、HSAの代わりに、またはHSAに加えて、使用することができる。この構成要素は、典型的には、当業で認められているプロトコルに従って検体感知構成要素上で架橋される。
[接着促進構成要素]
本発明の電気化学センサは、1つ以上の接着促進(AP)構成要素を含むことができる(例えば、図2Aの要素114を参照)。「接着促進構成要素」という用語は、本明細書では、当業で認められている専門用語集に従って使用され、センサ内の隣接構成要素の接着を促進する能力を持つように選択された材料を含む構成要素を指す。典型的には、接着促進構成要素は、検体感知構成要素と検体調節構成要素との間に配置される。典型的には、接着促進構成要素は、オプションのタンパク質構成要素と検体調節構成要素との間に配置される。接着促進構成要素は、そのような構成要素の間の接着を容易にするために当業で知られているさまざまな材料のうちのいずれか1つから作ることができ、また当業で知られているさまざまな方法のうちのいずれか1つにより施すことができる。典型的には、接着促進構成要素は、γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのシラン化合物を含む。
シランカップリング試薬、特に、R’が典型的には末端アミンを有する脂肪族基であり、Rが低アルキル基である化学式R’Si(OR)の試薬を使用して、接着を促進する方法は、当業で知られている(例えば、本願に引用して援用する米国特許第5,212,050号を参照)。例えば、ウシ血清アルブミン(BSA)およびグルコースオキシダーゼ(GOx)を電極表面に付着させて共架橋させるためにγ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのシランおよびグルタルアルデヒドが段階工程において使用された化学修飾電極は、当業では周知のものである(例えば、ヤオ・ティー、Analytica Chim.Acta 1983,148,27−33を参照)。
本発明のいくつかの実施形態では、接着促進構成要素は、さらに、検体調節構成要素を通じてグルコースなどの検体の拡散を制限するために使用されるポリジメチルシロキサン(PDMS)化合物などの隣接構成要素内に存在しうる1つ以上の化合物を含む。例示的ないくつかの実施形態では、この形成は、0.5〜20%のPDMS、典型的には5〜15%のPDMS、最も典型的には10%のPDMSを含む。本発明のいくつかの実施形態では、接着促進構成要素は、層状センサシステム内で架橋され、したがって検体調節構成要素などの近位構成要素内に存在する部分を架橋する能力について選択された薬剤を含む。本発明の例示的実施形態において、接着促進構成要素としては、検体感知構成要素等の近位構成要素内に存在するタンパク質のアミンまたはカルボキシル部分を架橋するその能力のために選択される薬剤および/またはタンパク質構成要素およびまたは検体調節層等の近位の層に配置されている化合物中に存在するシロキサン部分が挙げられる。
[検体調節構成要素]
本発明の電気化学センサは、センサ上に配置された検体調節構成要素を含む(例えば、図2Aの要素112を参照)。「検体調節構成要素」という用語は、本明細書では、当業で認められている専門用語集に従って使用され、この構成要素を通じて、グルコースなどの1つ以上の検体の拡散を調節するように動作する膜をセンサ上に典型的には形成する構成要素を指す。本発明のいくつかの実施形態では、検体調節構成要素は、構成要素を通じて、グルコースなどの1つ以上の検体の拡散を阻止するか、または制限するように動作する検体制限膜(例えば、グルコース制限膜)である。本発明の他の実施形態では、検体調節構成要素は、構成要素を通じて、1つ以上の検体の拡散を促進するように動作する。適宜、このような検体調節構成要素を形成して、構成要素(例えば、グルコース)を通じて一方のタイプの分子の拡散を阻止または制限し、それと同時に、構成要素(例えば、O)を通じて他方のタイプの分子の拡散を可能にするかさらには促進することができる。
グルコースセンサに関して、知られている酵素電極では、血中のグルコースおよび酸素は、アスコルビン酸および尿酸などのある種のインターフェラントとともに、センサの一次膜を通して拡散する。グルコース、酸素、およびインターフェラントが、検体感知構成要素に到達すると、グルコースオキシダーゼなどの酵素が、グルコースから過酸化水素とグルコノラクトンへの変換を触媒する。過酸化水素は、検体調節構成要素を通して逆拡散するか、または電極まで拡散し、そこで反応して、酸素と水素イオンを形成し、グルコース濃度に比例する電流を出力することができる。センサ膜アセンブリは、選択的にグルコースを中に通す機能を含む、複数の機能を備える。この背景状況において、例示的な検体調節構成要素は、水、酸素、および少なくとも1つの選択的検体を通すことができ、水を吸収する能力を有する半透性膜であり、この膜は水溶性の親水性ポリマを有する。
さまざまな例示的検体調節構成要素が、当業で知られており、例えば、それぞれの開示が本願に引用して援用する、米国特許第6,319,540号、第5,882,494号、第5,786,439号、第5,777,060号、第5,771,868号、および第5,391,250号で説明されている。本明細書で説明されているヒドロゲルは、周囲の水構成要素を用意すると都合がよいさまざまな植え込み型デバイスと使用すると特に都合がよい。本発明のいくつかの実施形態では、検体調節組成物は、本明細書で開示されているブレンドポリマ組成物を含む。
[カバー構成要素]
本発明の電気化学センサは、典型的には電気絶縁保護構成要素である1つ以上のカバー構成要素を含む(例えば、図2Aの要素106を参照)。典型的には、このようなカバー構成要素は、コーティング、シース、またはチューブの形態とすることができ、検体調節構成要素の少なくとも一部に配置される。絶縁保護カバー構成要素として使用する許容されるポリマコーティングは、限定はしないが、シリコーン化合物、ポリイミド、生体適合性ソルダーマスク、エポキシアクリレートコポリマなどの無毒の生体適合性ポリマを含むことができる。さらに、これらのコーティングは、導電性構成要素を貫通する開口のフォトリソグラフィによる形成を簡単に行えるように写真撮像可能であるものとしてよい。典型的なカバー構成要素は、スピンオンシリコーンを含む。当業で知られているように、この構成要素は、市販のRTV(室温加硫)シリコーン組成物としてよい。この背景状況における典型的な化学物質は、ポリジメチルシロキサン(アセトキシベース)である。
<E.検体センサ装置の例示的な実施形態および関連する特性>
本明細書で開示されている検体センサ装置は、多数の実施形態を有する。本発明の一般的な実施形態は、哺乳類体内への植え込み用の検体センサ装置である。検体センサは、典型的には、哺乳類の体内に植え込み可能なように設計されるが、センサは、特定の環境に限定されることはなく、その代わりに、さまざまな状況において、例えば、全血、リンパ液、血漿、血清、唾液、尿、大便、汗、粘液、涙液、脳脊髄液、鼻汁、頸管分泌物、膣分泌物、精液、胸膜液、羊水、腹水、中耳液、滑液、胃吸引物などの生体液を含む大半の液体試料の分析に使用できる。それに加えて、固形または乾燥試料を、適切な溶媒に溶かして、分析に適した混合液を作ることができる。
上記のように、本明細書で開示されているセンサ実施形態は、1つ以上の生理学的環境において注目する検体を感知するために使用できる。例えば、いくつかの実施形態では、センサを間質液に直接接触させることができるが、これは、典型的には皮下センサで行われる。本発明のセンサは、間質グルコースが皮膚を通して抽出され、センサと接触させられる皮膚表面システムの一部ともなりうる(例えば、本願に引用して援用する、米国特許第6,155,992号および第6,706,159号を参照)。他の実施形態では、センサを血液に接触させることができるが、これは、典型的には例えば静脈内センサで行われる。本発明のセンサ実施形態は、さらに、さまざまな状況において使用できるように適合された実施形態も含む。例えば、いくつかの実施形態では、センサは、歩行している利用者が使用するものなど、移動する状況で使用するように設計されうる。それとは別に、センサは、臨床現場で使用するように適合されたものなど、静止している状況において使用するように設計されうる。このようなセンサ実施形態は、例えば、入院患者の1つ以上の生理学的環境に存在する1つ以上の検体を監視するために使用されるものを含む。
本発明のセンサは、さらに、当業で知られている広範な医療システムに組み込むこともできる。例えば、本発明のセンサは、利用者の身体内に薬品が注入される速度を制御するように設計された閉ループ注入システム内で使用されうる。このような閉ループ注入システムは、センサとコントローラへの入力を発生する関連するメータを備えることができ、次いでこのコントローラは送達システム(例えば、薬剤注入ポンプにより送達される用量を計算するシステム)を操作する。このような状況では、センサに関連付けられているメータは、さらに、コマンドを送達システムに送信し、また送達システムを遠隔制御するために使用されうる。典型的には、センサは、利用者の体内のグルコース濃度を監視するため間質液と接触する皮下センサであり、送達システムにより利用者の体内に注入される液体はインスリンを含む。例示的なシステムは、例えば、本願に引用して援用する、米国特許第6,558,351号および第6,551,276号、国際出願第US99/21703号および第US99/22993号、さらに国際公開第2004/008956号および第2004/009161号において開示されている。
本発明のいくつかの実施形態では、過酸化物を測定し、また皮下移植および静脈移植の領域を含む哺乳類体内のさまざまな部位への植え込み、さらにはさまざまな非血管領域への植え込みに適しているという有利な特性を有する。非血管領域内への植え込みが可能な過酸化物センサ設計は、非血管領域内に植え込まれた酸素センサ内に発生しうる酸素ノイズの問題があるため、酸素を測定するいくつかのセンサ装置設計に勝る利点を有する。例えば、そのような植え込まれた酸素センサ装置設計では、参照センサにおける酸素ノイズは、信号対雑音比を悪化し、その結果、この環境において安定したグルコース値の読み取りを行う能力を乱す。したがって、本発明の過酸化物センサは、非血管領域内のそのような酸素センサで観察される問題点を解消する。
本発明のいくつかの過酸化物センサ実施形態は、さらに、30日を超える期間に哺乳類への植え込みに適している有利な長期もしくは「永久的」センサを備える。特に、当業で知られているように(例えば、ISO 10993「Biological Evaluation of Medical Devices」を参照)、本明細書で説明されているセンサなどの医療デバイスは、植え込み期間に基づき、(1)「限定」(24時間以内)、(2)「長期間」(24時間〜30日)、および(3)「永久的」(30日を超える)の3つのグループに分類されうる。本発明のいくつかの実施形態では、本発明の過酸化物センサの設計により、この分類に従い、「永久的」植え込み、つまり、30日を超える植え込みが可能になる。本発明の関連する実施形態では、本発明の過酸化物センサの非常に安定した設計により、この点に関して植え込まれたセンサを2、3、4、5、6、または12カ月以上機能させ続けることができる。
一般に、検体センサ装置構造は、ベース層とベース層上に配置された導電層を備え、1本以上の電極を備える。例えば、導電層は、作用電極、参照電極、および/または対向電極を備えることができる。これらの電極は、具体的な設計に応じて、近接した間隔で並べて配置されうるか、またはそれとは別に、遠位に並べて配置される。センサ装置は、いくつかの電極(例えば、作用電極)がセンサ装置内で(開口を介して)感知される検体を含む溶液に曝されうるような設計である。センサ装置は、いくつかの電極(例えば、参照電極)がセンサ装置内で感知される検体を含む溶液に曝されないような設計である。
典型的には、検体センサ装置は、典型的には作用電極の一部または全部を覆う、センサの導電層上に配置された検体感知層を備える。この検体感知層は、感知される検体の存在下で導電層内の作用電極のところに発生する電流を検出可能なように変化させる。本明細書で開示されているように、この検体感知層は、典型的には、作用電極のところに生じる電流を調節することができる分子の濃度を変化させる形で注目する検体と反応する酵素または抗体分子などを含む(例えば、図1の反応スキームに示されているような酸素および/または過酸化水素を参照)。例示的な検体感知層は、グルコースオキシダーゼ(例えば、グルコースセンサで使用する)または乳酸オキシダーゼ(例えば、乳酸塩センサで使用する)などの酵素を含む。本発明のいくつかの実施形態では、検体感知層は、多孔質金属および/またはセラミックおよび/またはポリママトリックス上に配置され、要素のこのような組み合わせはセンサ内で電極として機能する。
典型的には、検体感知層は、さらに、検体感知化合物(例えば、酵素)とともに担体タンパク質を実質的に固定された比率で含み、検体感知化合物および担体タンパク質は、検体感知層全体に実質的に一様な形で分散される。典型的には、検体感知層は、非常に薄く、例えば、1、0.5、0.25、または0.1ミクロン未満の厚さである。特定の科学理論に束縛されないが、そのような薄い検体感知層を持つセンサは、電着により厚さ3〜5ミクロンの酵素層が形成され、コーティング層内の反応性のある酵素の一部しか感知対象の検体に接近できないため、典型的には電着により生成される厚い層に比べて驚くほど高い特性を有すると考えられる。電着プロトコルにより形成されるこのようなより厚みのあるグルコースオキシダーゼペレットは、さらに、機械的安定性がよくなく(例えば、ひび割れを生じる傾向がある)、さらに実際に使用するための準備にかかる時間が長く、典型的には植え込みの用意ができるまでに数週間の試験を要することが観察されている。これらの問題は、本明細書で説明されている薄層酵素コーティングでは見られないため、これらの薄いコーティングは、本発明の典型的な実施形態である。
適宜、検体感知層は、その上にタンパク質層が配置されており、またこのタンパク質層は、典型的には、この検体感知層と検体調節層との間にある。タンパク質層内のタンパク質は、ウシ血清アルブミンおよびヒト血清アルブミンからなる群から選択されたアルブミンである。典型的には、このタンパク質は、架橋される。特定の科学理論に束縛されることなく、この分離しているタンパク質層により、センサ機能が増強され、センサノイズ(例えば、スプリアス背景信号)を減少させるある種のキャパシタとして働くことで驚くべき機能的利点が得られると考えられる。例えば、本発明のセンサでは、ある量の水分が、センサの検体調節膜層の下に形成されることがあり、この層が、検体感知層の酵素と接触できる検体の量を調節する。この水分は、センサを使用する患者が移動したときにセンサ内でシフトする圧縮可能層を形成しうる。センサ内のそのような層のシフトにより、実際の生理検体濃度と無関係にグルコースなどの検体が検体感知層を通過する仕方が変えられ、これによりノイズが発生しうる。この背景状況において、タンパク質層は、GOxなどの酵素が水分層と接触するのを防ぐことによりキャパシタとして働きうる。このタンパク質層は、検体感知層と検体調節膜層との間の接着を促進するなどのさらに多くの利点をもたらしうる。それとは別に、この層が存在する結果として、過酸化水素などの分子の拡散経路が大きくなり、それにより、電極感知要素に局所化され、センサ感度の増強に寄与しうる。
適宜、検体感知層および/または検体感知層上に配置されているタンパク質層は、その上に配置された接着促進層を有する。そのような接着促進層は、検体感知層と近位層、典型的には検体調節層との間の接着を促進する。この接着促進層は、典型的には、さまざまなセンサ層の間の最適な接着を促進する能力に関して選択され、センサを安定させる機能を有するγ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのシランを含む。興味深いことに、接着促進層を含むそのようなシランを有するセンサは、全体的安定性増大を含む、予期しない特性を示す。それに加えて、接着促進層を含むシランは、センサ安定性の増大能力に加えて多数の有利な特性をもたらし、また例えば、干渉除去さらには1つ以上の望ましい検体の質量移動の制御に有利な形で関与する。
本発明のいくつかの実施形態では、接着促進層は、さらに、検体調節層を通じてグルコースなどの検体の拡散を制限するために使用されるポリジメチルシロキサン(PDMS)化合物などの隣接層内に存在しうる1つ以上の化合物を含む。例えば、PDMSをAP層に加えることは、センサの製造の際にAP層内に孔またはギャップが生じる可能性が低減される背景状況では有利な場合がある。
典型的には、接着促進層は、その上に配置されている、中を通る検体の拡散を調節する機能を有する検体調節層を有する。一実施形態では、検体調節層は、センサ層を通る検体(例えば、酸素)の拡散を高めるために使用され、その結果、検体感知層内の検体濃度を高める機能を有する組成物(例えば、ポリマなど)を含む。それとは別に、検体調節層は、センサ層を通る検体(例えば、グルコース)の拡散を制限するために使用され、その結果、検体感知層内の検体濃度を制限する機能を有する組成物を含む。これの例示的な例は、ポリジメチルシロキサンなどのポリマを含む親水性グルコース制限膜(つまり、中を通るグルコースの拡散を制限する機能)である。本発明の特定の実施形態において、検体調節層は、中央の鎖およびその中央の鎖に結合した複数の側鎖を有しており少なくとも1つの側鎖がシリコーン部分を含む分岐アクリレート親水性櫛形コポリマとブレンドした直鎖状のポリウレタン/ポリ尿素ポリマを含む。
典型的には、検体調節層は、さらに、センサ装置の少なくとも一部の上に配置された典型的には電気絶縁性保護層である1つ以上のカバー層(例えば、検体調節層を覆う)を含む。絶縁保護カバー層として使用する許容されるポリマコーティングは、限定はしないが、シリコーン化合物、ポリイミド、生体適合性ソルダーマスク、エポキシアクリレートコポリマなどの無毒の生体適合性ポリマを含むことができる。例示的なカバー層は、スピンオンシリコーンを含む。典型的には、カバー層は、さらに、センサ層(例えば、検体調節層)の少なくとも一部を感知される検体を含む溶液に曝す開口を備える。
本明細書で説明されている検体センサは、例えば、図1に示されているようにグルコースがグルコースオキシダーゼと相互作用するときに生じる作用陰極の近位における酸素濃度の変化の結果生じる作用陰極における電流の変化を検出するように陰極分極されうる。それとは別に、本明細書で説明されている検体センサは、例えば、図1に示されているようにグルコースがグルコースオキシダーゼと相互作用するときに生じる作用陽極の近位における過酸化水素濃度の変化の結果生じる作用陽極における電流の変化を検出するように陽極分極されうる。本発明の典型的な実施形態では、(複数の)作用電極における電流が、(複数の)参照電極(対照)における電流と比較され、それらの測定結果の差から、測定される検体の濃度に相関させることができる値が得られる。これらのデュアル電極における電流の比較から測定結果を得ることにより電流値を求める検体センサ設計は、例えば、デュアル酸素センサと一般に呼ばれる。
哺乳類体内への植え込み用の検体センサ装置の特定の例示的な例は、以下の設計による過酸化水素センサである。過酸化物センサ装置の第1の層は、典型的にはアルミナなどのセラミックから作られるベース層である。ベース層上に配置されるその後の層は、陽極作用電極および参照電極を含む複数の電極を備える導電層である。導電層上に配置されたその後の層は、図1に示されているように、グルコースを感知し、その後、過酸化水素を発生する架橋グルコースオキシダーゼを含む検体感知層である。過酸化水素が存在している場合、陽極作用電極では、生成された過酸化水素が導電層内のこの陽極と接触して、酸化されたときに測定がかかるほどの電流増大を生じる。参照電極は、対照として使用され、作用電極、および図1に示されている反応により生成される過酸化水素から物理的に分離される。この検体感知層は、厚さが典型的には1、0.5、0.25、または0.1ミクロン未満であり、架橋されたグルコースオキシダーゼとの実質的に固定された比率の架橋されたヒト血清アルブミンの混合物を含み、グルコースオキシダーゼおよびヒト血清アルブミンはセンサ層全体にわたって実質的に一様に分散されている。センサ層上に配置されているオプションのその後の層は、架橋されたヒト血清アルブミンを含むタンパク質層である。下層上に配置されたオプションのその後の層は、検体感知層および/またはタンパク質層とそれらの層上に配置される検体調節層との間の接着を促進する接着促進層である。この接着促進層は、シラン組成物を含む。接着促進層上に配置されているその後の層は、中を通るグルコースの拡散を調節するPDMSを含む親水性グルコース制限膜の形態の検体調節層である。本発明の特定の実施形態において、該検体調節層は、中央の鎖およびその中央の鎖に結合した複数の側鎖を有しており少なくとも1つの側鎖がシリコーン部分を含む分岐アクリレートコポリマとブレンドした直鎖状のポリウレタン/ポリ尿素ポリマを含む。その後の層は、検体調節層の少なくとも一部に配置された、典型的にはシリコーンからなるカバー層であり、カバー層は、さらに、グルコースが作用電極上の検体感知層に接近できるように検体調節層の少なくとも一部を、環境を含む外部グルコースに曝す開口を備える。
<F.検体センサ装置および要素の置換>
上記のように、本明細書で開示されている発明は、ブレンドポリマ膜を含むさまざまな要素を有するセンサを備える多数の実施形態を含む。本発明のこのようないくつかの実施形態により、当業者は本明細書で開示されている検体センサ装置のさまざまな置換形態を形成できる。上記のように、本明細書で開示されているセンサの例示的な一般的実施形態は、ベース層、カバー層、およびベース層とカバー層との間に配置された電極などのセンサ要素を有する少なくとも1つの層を備える。典型的には、1つ以上のセンサ要素(例えば、作用電極、対向電極、参照電極など)の露出されている部分は、適切な電極化学作用を有する材料の非常に薄い層でコーティングされる。例えば、乳酸オキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ、またはヘキソキナーゼなどの酵素を、カバー層内に定められている開口部または開口内のセンサ要素の露出部分に配置することができる。図2は、本発明の典型的なセンサ構造100の断面を例示している。センサは、センサ構造100を形成するために本発明の方法により互いの上に配置されるさまざまな導電性構成要素と非導電性構成要素からなる複数の層から形成される。
上記のように、本発明のセンサでは、センサのさまざまな層(例えば、検体感知層)は、その中に1つ以上の生物活性および/または不活性材料を組み込むことができる。本明細書に使用されているような「組み込まれる」という用語は、組み込まれた材料が層の固相または支持マトリックスの外面上に、または内部に保持される状態または条件を記述することを意図している。したがって、「組み込まれる」材料は、例えば、(複数の)マトリックス層の官能基に固定化され、物理的に取り込まれ、共有結合されうる。さらに、前記材料の「組み込み」を促進する工程、試薬、添加剤、または分子リンカー剤は、これらの追加のステップまたは試薬が本発明の目的にとって有害ではなく、合致している場合に採用できる。この定義は、もちろん、生物活性分子(例えば、グルコースオキシダーゼなどの酵素)が「組み込まれる」本発明の任意の実施形態に適用される。例えば、本明細書で開示されているセンサのいくつかの層は、架橋可能なマトリックスとして使用されるアルブミンなどのタンパク性物質を含む。本明細書で使用されているように、タンパク性物質は、実際の物質が天然タンパク質、不活性タンパク質、変性タンパク質、加水分解された化学種、またはそれらの誘導体物質であるかどうかに関わらず、一般的にタンパク質由来の物質を包含することを意味する。好適なタンパク性材料の例としては、限定はしないが、グルコースオキシダーゼおよび乳酸オキシダーゼなどの酵素、アルブミン(例えば、ヒト血清アルブミン、ウシ血清アルブミンなど)、カゼイン、γグロブリン、コラーゲン、およびコラーゲン由来生成物(例えば、魚ゼラチン、魚膠、動物ゼラチン、および動物膠)がある。
本発明の例示的な一実施形態は、図2に示されている。この実施形態は、センサ100を支持する電気絶縁ベース層102を備える。電気絶縁ベース層102は、セラミック基材などの材料から作られ、自立型であるか、または当業で知られているような他の材料によりさらに支えられうる。代替実施形態では、電気絶縁層102は、ポリイミド基材、例えば、リールから繰り出されるポリイミドテープを含む。この形態の層102を形成することにより、クリーンな高密度大量生産品を容易に製造できる。さらに、このようなポリイミドテープを使用するいくつかの生産工程では、センサ100は、テープの両側に形成されうる。
本発明の典型的な実施形態は、ベース層102上に配置されている検体感知層を含む。図2に示されているような例示的な一実施形態では、検体感知層は、絶縁ベース層102に配置される導電層104を含む。典型的には、導電層104は、1本以上の電極を備える。導電層104は、これ以降で説明されるような多くの知られている技術および材料を使用して施すことができるが、ただし、センサ100の電気回路は、典型的には、配置される導電層104を所望のパターンの導電経路にエッチングすることにより定められる。センサ100の典型的な電気回路は、コンタクトパッドを形成するための近位端にある領域とセンサ電極を形成するための遠位端にある領域とともに2つ以上の隣接する導電経路を備える。ポリマコーティングなどの電気絶縁保護カバー層106は、典型的には、導電層104の一部に配置される。絶縁保護層106として使用する許容されるポリマコーティングは、限定はしないが、ポリイミド、生体適合性ソルダーマスク、エポキシアクリレートコポリマなどの無毒の生体適合性ポリマを含むことができる。さらに、これらのコーティングは、導電性層104を貫通する開口108のフォトリソグラフィによる形成を簡単に行えるように写真撮像可能であるものとしてよい。本発明のいくつかの実施形態では、検体感知層は、多孔質金属および/またはセラミックおよび/またはポリママトリックス上に配置され、要素のこのような組み合わせはセンサ内で電極として機能する。
本発明のセンサでは、1つ以上の露出されている領域または開口108は、保護層106を貫通して導電層104に到達し、センサ100のコンタクトパッドおよび電極を定めることができる。開口108は、フォトリソグラフィ現像のほかに、レーザ切断、化学研磨もしくはエッチングなどを含む多数の技術により形成されうる。二次フォトレジストをさらにカバー層106に施し、開口108を形成するため取り除かなければならない保護層の領域を定めることもできる。稼働しているセンサ100は、典型的には、作用電極および互いに電気的に絶縁されている、ただし、典型的には互いに近接して配置されている対向電極などの複数の電極を備える。他の実施形態は、参照電極を備えることもできる。さらに他の実施形態は、センサ上に形成されていない別の参照要素を使用することができる。露出されている電極および/またはコンタクトパッドは、さらに、開口108を通して追加のメッキ処理などの二次処理を施され、そうして、表面を形成し、および/または導電性領域を強化することができる。
検体感知層110は、典型的には、開口108を通して導電層104の露出されている電極の1つ以上に配置される。典型的には、検体感知層110は、センサ化学層、および最も典型的には酵素層である。典型的には、検体感知層110は、酵素グルコースオキシダーゼまたは酵素乳酸オキシダーゼを含む。このような実施形態では、検体感知層110は、グルコースと反応し、存在するグルコースの量を測定するために監視できる電極に送られる電流を調節する過酸化水素を生成する。センサ化学層110は、導電層の一部分または導電層の領域全体にわたって施されうる。典型的には、センサ化学層110は、作用電極および導電層を備える対向電極の一部に配置される。薄いセンサ化学層110を形成するいくつかの方法は、スピンコーティング工程、浸漬および乾燥工程、低剪断噴霧工程、インクジェット印刷工程、シルクスクリーン工程などを含む。最も典型的には、薄いセンサ化学層110は、スピンコーティング工程を使用して施される。
検体感知層110は、典型的には、1つ以上のコーティング層でコーティングされる。本発明のいくつかの実施形態では、1つのそのようなコーティング層は、検体感知層の酵素と接触しうる検体の量を調節することができる膜を備える。例えば、コーティング層は、電極上のグルコースオキシダーゼ酵素層と接触するグルコースの量を調節するグルコース制限膜などの検体調節膜層を含むことができる。そのようなグルコース制限膜は、そのような目的に適していることが知られている広範な材料、例えば、シリコーン、ポリウレタン、ポリ尿素酢酸セルロース、ナフィオン、ポリエステルスルホン酸(例えば、Kodak AQ)、ヒドロゲル、または当業者に知られている任意の他の膜から作ることができる。本発明の特定の実施形態において、該検体調節層は、中央の鎖およびその中央の鎖に結合した複数の側鎖を有しており少なくとも1つの側鎖がシリコーン部分を含む分岐アクリレート親水性櫛形コポリマとブレンドした直鎖状のポリウレタン/ポリ尿素ポリマを含む。
本発明のいくつかの実施形態では、コーティング層は、センサ化学層110とのグルコース接触を調節するためにセンサ化学層110の上に配置されているグルコース制限膜層112である。本発明のいくつかの実施形態では、接着促進層114は、接触および/または接着を促進するために図2に示されているように膜層112とセンサ化学層110との間に配置される。接着促進層114は、そのような層の間の接着を容易にするために当業で知られているさまざまな材料のうちの任意の1つから作ることができる。典型的には、接着促進層114は、シラン化合物を含む。代替実施形態では、センサ化学層110内のタンパク質または類似の分子は、接着促進層114が存在していない場合に膜層112がセンサ化学層110と直接接触して配置されるように十分に架橋されるか、または他の何らかの方法で調製されうる。
上記のように、本発明のいくつかの実施形態は、1つ以上の機能性コーティング層を備えることができる。本明細書で使用されているように、「機能性コーティング層」という用語は、センサの少なくとも1つの表面の少なくとも一部、より典型的にはセンサの実質的全面をコーティングし、センサが配置されている環境内で化合物、細胞、およびその断片などの1つ以上の検体と相互作用することができる層を意味する。機能性コーティング層の限定されない例は、センサ化学層(例えば、酵素層)、検体制限層、生体適合層、センサの滑りやすさを高める層、センサへの細胞付着を促進する層、センサへの細胞付着を低減する層などを含む。典型的には、検体調節層は、これらの層を通じて、グルコースなどの1つ以上の検体の拡散を妨げるか、または制限するように動作する。適宜、このような層を形成して、層(例えば、グルコース)を通じて一方のタイプの分子の拡散を阻止または制限し、それと同時に、層(例えば、O)を通じて他方のタイプの分子の拡散を可能にするかさらには促進することができる。例示的な機能性コーティング層は、開示がそれぞれ本願に引用して援用する、米国特許第5,786,439号および第5,391,250号に開示されているようなヒドロゲルである。本明細書で説明されているヒドロゲルは、周囲の水層を用意すると都合がよいさまざまな植え込み型デバイスと使用すると特に都合がよい。
本明細書で開示されているセンサ実施形態は、紫外線吸収ポリマを有する層を備えることができる。本発明の一態様によれば、紫外線吸収ポリマを含む少なくとも1つの機能性コーティング層を含むセンサが実現される。いくつかの実施形態では、紫外線吸収ポリマは、ポリウレタン、ポリ尿素、またはポリウレタン/ポリ尿素コポリマである。より典型的には、選択された紫外線吸収ポリマは、ジイソシアン酸エステル、少なくとも1つのジオール、ジアミンまたはその混合物、および多官能性紫外線吸収モノマを含む反応混合物から形成される。
紫外線吸収ポリマは、本願に引用して援用する、ロードらの「Transcutaneous Sensor Insertion Set」という表題の米国特許第5,390,671号、ウィルソンらの「Implantable Glucose Sensor」という表題の米国特許第5,165,407号、およびゴフの「Two−Dimensional Diffusion Glucose Substrate Sensing Electrode」という表題の米国特許第4,890,620号において説明されているようなさまざまなセンサ加工法において有利に使用される。しかし、センサ要素上または下に紫外線吸収ポリマ層を形成するステップを含むセンサ生産方法は、本発明の範囲内にあると考えられる。特に、本発明の方法は、薄膜加工法に限定されず、紫外線レーザ切断を利用する他のセンサ加工法でもうまくいく。実施形態は、厚膜、平面状または円筒状センサなど、およびレーザ切断を必要とする他のセンサ形状で動作しうる。
本明細書で開示されているように、本発明のいくつかのセンサは、糖尿病患者の血糖値を監視するための皮下または経皮的グルコースセンサとして使用するように特に設計されている。典型的には、それぞれのセンサは、下に配置される絶縁薄膜ベース層と上に配置される絶縁薄膜カバー層との間に形成される、複数のセンサ要素、例えば、細長い薄膜導体などの導電性要素を備える。
必要ならば、複数の異なるセンサ要素を単一のセンサ内に入れることができる。例えば、導電センサ要素と反応センサ要素の両方を1つのセンサにまとめ、適宜、それぞれのセンサがベース層の異なる部分上に配置されるようにできる。1つ以上の制御要素も備えることができる。そのような実施形態では、センサは、そのカバー層内に複数の開口部または開口を定めることができる。また、ベース層の一部の真上に1つ以上の開口部を定めることができ、これにより、センサが配置される環境内でベース層と1つ以上の検体とを相互作用させることができる。ベース層およびカバー層は、さまざまな材料、典型的にはポリマから構成されうる。より具体的な実施形態では、ベース層およびカバー層は、ポリイミドなどの絶縁材料からなる。典型的には開口部をカバー層内に形成し、遠位端電極および近位端コンタクトパッドを露出させることができる。グルコース監視応用事例では、例えば、遠位端電極が患者血液または細胞外液と接触し、またコンタクトパッドが監視デバイスに接続しやすく外部に配置されるように経皮的にセンサを配置することができる。
本発明のセンサは、所望の任意の形状を取ることができ、例えば、平面状または円筒状とすることができる。ベース層102は、硬質ポリマ層などの自立型であるか、または柔軟な膜などの非自立型とすることができる。後者の実施形態は、例えば、連続的に解かれ、センサ要素およびコーティング層が連続的に施される1本のポリマフィルムロールを使用してセンサの連続的製造を可能にするという点で望ましい。
本発明の一般的な実施形態は、ベース層、複数のセンサ要素を備えるベース層上に配置されている検体感知層、導電層上の複数の感知要素のすべてをコーティングする検体感知層上に配置されている酵素層(典型的には厚さが2ミクロン未満)、および1つ以上のコーティング層を備える体内植え込み用に設計されたセンサである。典型的には、酵素層は、グルコースオキシダーゼを、典型的には実質的に固定された比率で担体タンパク質とともに含む。特定の実施形態では、グルコースオキシダーゼおよび担体タンパク質は、配置されている酵素層全体にわたって実質的に一様になるように分散される。典型的には、担体タンパク質は、典型的には5重量%程度の量のアルブミンを含む。本明細書で使用されているように、「アルブミン」は、ヒト血清アルブミン、ウシ血清アルブミンなどのポリペプチド組成物を安定させるために典型的には当業者により使用されるアルブミンタンパク質を指す。本発明のいくつかの実施形態では、コーティング層は、酵素層と接触しうる検体の量を調節するためにセンサ層上に配置されている検体接触層である。他の実施形態では、センサは、酵素層と検体接触層との間に配置された接着促進層を備え、酵素層は、厚さが1、0.5、0.25、または0.1ミクロン未満である。
本発明のいくつかの実施形態は、検体感知層が、多孔質金属および/またはセラミックおよび/またはポリママトリックス上に配置され、要素のこのような組み合わせはセンサ内で電極として機能する設計を含む。本発明の関連する実施形態は、ベース層、少なくとも1つの作用電極と少なくとも1つの対向電極とを備えるベース層上に配置されている導電層、導電層上に配置されている、厚さが2ミクロン未満である検体感知層、および層を通して拡散し、検体感知層と接触しうる検体の量を典型的には制限することにより酵素層と接触する検体の量を調節する検体調節層を備える電気化学検体センサである。本発明の特定の実施形態において、該検体調節層は、中央の鎖およびその中央の鎖に結合した複数の側鎖を有しており少なくとも1つの側鎖がシリコーン部分を含む分岐アクリレート櫛形コポリマとブレンドした直鎖状のポリウレタン/ポリ尿素ポリマを含む。本発明のオプションの実施形態では、作用電極および/または作用電極のコーティング表面は、対向電極および/または対向電極のコーティング表面よりも大きい。いくつかの実施形態では、酵素層は、固定された比率で担体タンパク質と組み合わせて作用電極と対向電極上にコーティングすることにより安定化されたグルコースオキシダーゼを含む。一実施形態では、このグルコースオキシダーゼ酵素層は、導電層を実質的に覆う。グルコースオキシダーゼ酵素層が、導電層全体に一様なコーティングとして配置されている実施形態が典型的なものであるのは、異なる材料特性を有する異なるコーティングの選択的層剥離など、単一の層上に複数の異なるコーティングが配置されるセンサに付随するいくつかの問題点が回避されうるからである。典型的には、センサは、酵素層と検体調節層との間に配置される接着促進層を備える。
<G.検体センサ装置構成>
臨床現場では、グルコースおよび/または乳酸塩などの検体のレベルの正確で比較的速い決定を、電気化学センサを使用して血液試料から下すことができる。従来のセンサは、多数の使用可能部品を備える大型の、または多くの環境においてより使いやすい小型の平面型センサとして加工される。本明細書で使用されるような用語「平面(状)」は、例えば、周知の厚膜または薄膜技術を使用して比較的薄い材料の層を含む実質的に平面状の構造を加工する周知の手順を指す。例えば、両方とも本願に引用して援用する、リューらの米国特許第4,571,292号、およびパパダキスらの米国特許第4,536,274号を参照のこと。以下で述べるように、本明細書で開示されている本発明の実施形態は、当業における既存のセンサに比べて広範な幾何学的構成(例えば、平面状)を有する。それに加えて、本発明のいくつかの実施形態は、薬剤注入ポンプなどの他の装置に結合された本明細書で開示されている複数のセンサのうちの1つ以上を備える。
図2は、本発明の典型的な検体センサ構成を示す線図である。いくつかのセンサ構成は、検体センサ装置とともに作ることができる比較的平坦な「リボン」型構成である。このような「リボン」型構成は、グルコースオキシダーゼなどの酵素を感知するスピンコーティングにより生じる本明細書で開示されているセンサの利点を示しており、このコーティングは、非常に柔軟なセンサ幾何学的形状の設計および形成を可能にする極めて薄い酵素コーティングを施す製造工程である。このような薄い酵素をコーティングしたセンサは、植え込み型デバイスにとって非常に望ましい特徴(例えば、デバイスを小型化すると植え込みやすくなる)である、センサ感度を維持しつつセンサ領域を小さくすることができるなどの利点をさらに有する。その結果、スピンコーティングなどの処理工程により形成されうる非常に薄い検体感知層を利用する本発明のセンサ実施形態は、電着などの処理工程を介して形成される酵素層を使用するセンサと比べて多様な幾何学的形状構成(例えば、平面状)をとることができる。
いくつかのセンサ構成は、複数の作用電極、対向電極、および参照電極などの複数の導電性要素を含む。このような構成の利点として、表面積を広げてセンサ感度を高められるという事実が挙げられる。例えば、1つのセンサ構成で第3の作用センサが導入される。このような構成の明らかな利点の1つは、センサ精度を高める3つのセンサの信号平均である。他の利点として、複数の検体を測定できることが挙げられる。特に、この配置で電極を含む検体センサ構成(例えば、作用電極、対向電極、および参照電極)を複数の検体センサ内に組み込むことができる。酸素、過酸化水素、グルコース、乳酸塩、カリウム、カルシウム、および任意の他の生理学的に関係する物質/検体などの複数の検体の測定は、例えば、そのようなセンサで線形応答を得られる、さらには較正および/または再較正作業が簡単になるなどの多数の利点を有する。
例示的な複数のセンサデバイスは、陰極分極し、グルコースがグルコースオキシダーゼと相互作用した結果として作用電極(陰極)に発生する酸素濃度の変化を測定するように設計されている第1のセンサと、陽極分極し、グルコースが外部環境に由来し、グルコースオキシダーゼと相互作用した結果として作用電極(陽極)に発生する過酸化水素濃度の変化を測定するように設計されている第2のセンサとを有する単一デバイスを含む。当業で知られているように、このような設計では、第1の酸素センサは、典型的には、酸素がセンサに接触したときに作用電極のところで電流の減少を生じ、その一方で、第2の過酸化水素センサは、典型的には、図1に示されているように生成される過酸化水素がセンサと接触したときに作用電極のところで電流の増加を生じる。それに加えて、当業で知られているように、それぞれのセンサシステム内の参照電極と比較した作用電極に生じる電流の変化の観察結果は、外部環境(例えば、哺乳類の身体)内のグルコースの濃度にその後相関しうる酸素および過酸化水素分子の濃度の変化に相関する。
本発明の検体センサは、薬剤注入ポンプなどの他の医療デバイスに結合できる。この方式の例示的な変更形態では、例えば、医療デバイスに結合されているポート(例えば、ロック用電気的接続部を備える皮下ポート)を使用することにより、本発明の交換可能検体センサを薬剤注入ポンプなどの他の医療デバイスと結合することができる。
II.本発明の検体センサ装置を製造するための例示的な方法および材料
多数の論文、米国特許、および特許出願において、本明細書で開示されている共通の方法および材料に関する最新技術が説明されており、さらに、本明細書で開示されているセンサ設計で使用されうるさまざまな要素(およびその製造に関わる方法)が説明されている。これらは、例えば、それぞれ本願に引用して援用する、米国特許出願第6,413,393号、米国特許第6,368,274号、米国特許第5,786,439号、米国特許第5,777,060号、米国特許第5,391,250号、米国特許第5,390,671号、米国特許第5,165,407号、米国特許第4,890,620号、米国特許第5,390,671号、米国特許第5,390,691号、米国特許第5,391,250号、米国特許第5,482,473号、米国特許第5,299,571号、米国特許第5,568,806号、米国特許出願第20020090738号、さらには、国際公開第01/58348号、国際公開第03/034902号、国際公開第03/035117号、国際公開第03/035891号、国際公開第03/023388号、国際公開第03/022128号、国際公開第03/022352号、国際公開第03/023708号、国際公開第03/036255号、国際公開第03/036310号、および国際公開第03/074107号を含む。
糖尿病患者のグルコース濃度を監視する典型的なセンサは、シチリら「In Vivo Characteristics of Needle−Type Glucose Sensor−Measurements of Subcutaneous Glucose Concentrations in Human Volunteers」、Horm.Metab.Res.,Suppl.Ser.20:17−20(1988)、ブルッケルら「In Vivo Measurement of Subcutaneous Glucose Concentrations with an Enzymatic Glucose Sensor and a Wick Method」、Klin.Wochenschr.67:491−495(1989)、およびピックアップら「In Vivo Molecular Sensing in Diabetes Mellitus:An Implantable Glucose Sensor with Direct Electron Transfer」、Diabetologia 32:213−217(1989)で説明されている。他のセンサは、例えば、本願に引用して援用する、リーチら「ADVANCES IN IMPLANTABLE DEVICES」、A.Turner(ed.),JAI Press,London,Chap.1,(1993)で説明されている。
本明細書で開示されている本発明の典型的な一実施形態は、哺乳類体内への植え込み用のセンサ装置を製造する方法であって、この方法は、ベース層を形成するステップと、電極(および典型的には作用電極、参照電極、および対向電極)を含む導電層をベース層上に形成するステップと、検体の存在下で導電層内の電極のところの電流を変化させることができる組成物を含む検体感知層を導電層上に形成するステップと、検体感知層上にタンパク質層を適宜形成するステップと、検体感知層またはオプションのタンパク質層上に接着促進層を形成するステップと、接着促進層上に配置される、中を通る検体の拡散を調節する組成物を含む検体調節層を形成するステップと、検体調節層の少なくとも一部の上にある開口をさらに含む、検体調節層の少なくとも一部に配置されたカバー層を形成するステップとを含む。本発明の特定の実施形態において、該検体調節層は、中央の鎖およびその中央の鎖に結合した複数の側鎖を有している分岐アクリレートコポリマとブレンドした直鎖状のポリウレタン/ポリ尿素ポリマを含む。これらの方法のいくつかの実施形態では、検体センサ装置は、平面状幾何学的形状構成で形成される。
本明細書で開示されているように、センサのさまざまな層は、センサの特定の設計に応じて操作されうるさまざまな異なる特性を示すように製造できる。例えば、接着促進層は、センサ構造全体を安定化させることができるように選択された化合物、典型的にはシラン組成物を含む。本発明のいくつかの実施形態では、検体感知層は、スピンコーティング工程により形成され、その厚さは、1、0.5、0.25、および0.1ミクロン未満の高さからなる群から選択される。
典型的には、センサを製造する方法は、検体感知層上にタンパク質層を形成するステップを含み、タンパク質層内のタンパク質は、ウシ血清アルブミンおよびヒト血清アルブミンからなる群から選択されたアルブミンである。典型的には、センサを製造する方法は、グルコースオキシダーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ、乳酸オキシダーゼ、ヘキソキナーゼ、および乳酸デヒドロゲナーゼからなる群から選択された酵素組成物を含む検体感知層を形成するステップを含む。このような方法では、検体感知層は、典型的には、酵素とともに担体タンパク質組成物を実質的に固定された比率で含み、酵素および担体タンパク質は、検体感知層全体に実質的に一様な形で分散される。
本明細書に示されている開示は、さまざまな周知の技術の組み合わせを使用して生成されうるセンサおよびセンサ設計を含む。この開示では、さらに、これらのタイプのセンサ、さらにはそのような工程により生産されるセンサに非常に薄い酵素コーティングを施す方法も定めている。このような背景状況において、本発明のいくつかの実施形態は、当業で認められている工程に従って基材上にそのようなセンサを形成するための方法を含む。特定の実施形態では、基材は、フォトリソグラフィマスクおよびエッチング工程で使用するのに適している硬質の平坦な構造を備える。この点に関して、この基材は、典型的には、均一度の高い平坦さを有する上面を定める。滑らかな上面を定めるために、研磨されたガラス板が使用されうる。代替基材材料としては、例えば、ステンレス、アルミニウム、およびデルリンなどのプラスチック材料がある。他の実施形態では、基材は、非硬質であり、基材として使用されるフィルムまたは絶縁材、例えば、ポリイミドなどのプラスチックのもう1つの層とすることができる。
本発明の方法の初期ステップは、典型的には、センサのベース層の形成を含む。ベース層は、所望の手段により、例えば、スピンコーティングにより基材上に配置できる。それに加えて、基材層とベース層との間に十分な接着がない場合には、接着剤を使用することができる。絶縁体のベース層は、典型的には液体状のベース層材料を基材上に塗布し、その後、基材を回転させて薄い、実質的に一様な厚さのベース層を生成することにより、基材上に形成される。これらのステップを繰り返し実行して、十分な厚さのベース層を形成し、その後、一連のフォトリソグラフィおよび/またはケミカルマスクおよびエッチングのステップを実行して、後述の導体を形成する。例示的な一形態では、ベース層は、セラミックまたはポリイミド基材などの絶縁体の薄膜シートを備える。ベース層は、アルミナ基材、ポリイミド基材、ガラス板、制御多孔性ガラス、または平坦化プラスチック液晶ポリマを含むことができる。ベース層は、限定はしないが、炭素、窒素、酸素、ケイ素、サファイア、ダイヤモンド、アルミニウム、銅、ガリウム、ヒ素、ランタン、ネオジム、ストロンチウム、チタン、イットリウム、またはこれらの組み合わせを含むさまざまな元素のうちの1つ以上の元素を含む材料から形成することができる。それに加えて、基材は、スピンガラス、カルコゲニド、グラファイト、二酸化ケイ素、有機合成ポリマなどの材料を使用する化学気相成長、物理的気相成長、またはスピンコーティングを含む当業で周知のさまざまな方法により固相担体上にコーティングできる。
本発明の方法は、さらに、1つ以上の感知要素を有する導電層を形成することを含む。典型的には、これらの感知要素は、活性電極の幾何学的形状を定めるためにフォトレジスト、エッチング、およびすすぎなどの当業で知られているさまざまな方法のうちの1つにより形成される。次いで、これらの電極は、例えば、作用電極および対向電極に対する白金黒の電着、さらに参照電極上の銀とその後塩化銀の電着により、電気化学活性を持たせることができる。次いで、電気化学蒸着または例えばジアルデヒド(グルタルアルデヒド)またはカルボジイミドを使用したスピンコーティングとその後の蒸気架橋などの電気化学蒸着以外の方法により、センサ化学酵素層などのセンサ層を感知層上に配置できる。
本発明の電極は、当業で知られているさまざまな材料から形成することができる。例えば、電極は、後周期遷移貴金属で作ることができる。金、白金、銀、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、パラジウム、またはオスミウムなどの金属は、本発明のさまざまな実施形態において好適と考えられる。炭素または水銀などの他の組成物も、特定のセンサ実施形態において有用と思われる。これらの金属のうちの、銀、金、または白金は、典型的には、参照電極金属として使用される。その後塩素処理される銀電極は、典型的には、参照電極として使用される。これらの金属は、上で引用されているプラズマ蒸着法を含む、当業で知られている手段により、または金属塩および還元剤を含む溶液中に基材が浸漬されたときにすでに金属化されている領域上への金属の蒸着を伴いうる無電解法により、蒸着されうる。無電解法は、還元剤が電子を導電性(金属化)表面に供与し、それと同時に導電面において金属塩の還元が生じるとともに進行する。この結果が、吸着金属の層である。(無電解法の詳細については、ワイズ、イー・エム「Palladium:Recovery,Properties,and Uses」、Academic Press,New York,New York(1988)、ワン、ケイら「Plating and Surface Finishing」1988,75,70−76、マツオカ、エムら、前記、1988,75,102−106、およびパールスタイン、エフ、「Electroless Plating」、Modern Electroplating,Lowenheim,F.A.,Ed.,Wiley,New York,N.Y.(1974),Chapter 31を参照)。しかし、このような金属蒸着工程は、金属間接着が良好で、表面汚染が最小である構造を形成し、高密度の活性部位を有する触媒金属電極表面をもたらすようでなければならない。このような高密度の活性部位は、過酸化水素などの電気活性化学種の効率的な酸化還元変換に必要な特性である。
本発明の例示的な一実施形態では、ベース層は、最初に、電極蒸着、表面スパッタリング、またはその他の好適な処理工程により薄膜導電層でコーティングされる。一実施形態では、この導電層は、ポリイミドベース層への化学的接着と順に続く薄膜金ベースおよびクロムベースの層のその後の形成に適した初期クロムベース層などの複数の薄膜導電層として形成されうる。代替実施形態では、他の電極層構造または材料を使用することができる。導電層は、従来のフォトリソグラフィ技術に従って、選択されたフォトレジストコーティングで覆われ、接触マスクをフォトレジストコーティング上に施して、好適な撮像を行うことができる。接触マスクは、典型的には、フォトレジストコーティングの適切な露出のため1つ以上の導電トレースパターンを含み、その後、エッチングステップで、ベース層上に残っている複数の導電センサトレースが得られる。皮下グルコースセンサとして使用するように設計された例示的なセンサ構造では、それぞれのセンサトレースは、作用電極、対向電極、および参照電極などの3つの独立の電極と対応する3つの並列センサ要素を含むことができる。
導電センサ層の一部は、典型的にはシリコンポリマおよび/またはポリイミドなどの材料の絶縁カバー層で典型的には覆われる。絶縁カバー層を所望の方法で施すことができる。例示的な手順により、絶縁カバー層がセンサトレース上の液層内に施され、その後、基材が回転され、その液体材料が薄膜として分散され、センサトレースの上に被さり、センサトレースの限界端面を超えて延び、ベース層と封止接触する。次いで、この液体材料に、当業で知られているような1つ以上の好適な放射線および/または化学および/または熱硬化ステップを適用することができる。代替実施形態では、スプレー技術または任意の他の望ましい塗布手段を使用して液体材料を施すことができる。撮像可能なエポキシアクリレートなどのさまざまな絶縁層材料を、ニュージャージー州ウェスト・パターソン所在のOGG,Inc.社から製品番号7020で市販されている光撮像可能なポリイミドを含む例示的な材料とともに使用することができる。
上記のように、適宜開口部を通してセンサ先端を露出させた後に、遠位端電極を定める適切な電極化学作用をセンサ先端に施すことができる。グルコースセンサとして使用する3本の電極を有する例示的なセンサ実施形態では、酵素(典型的には、グルコースオキシダーゼ)が開口部の1つの中に入れられ、それにより、センサ先端の1つがコーティングされ、作用電極を定める。他の電極の1つまたは両方に、作用電極と同じコーティングを施すことができる。それとは別に、他の2本の電極に、未コーティングのままの他の酵素などの他の好適な化学作用を施すか、または電気化学センサ用の参照電極と対向電極を定める化学作用を施すことができる。
本発明の極端に薄い酵素コーティングを形成する方法は、スピンコーティング工程、浸漬および乾燥工程、低剪断噴霧工程、インクジェット印刷工程、シルクスクリーン工程などを含む。当業者であれば、当業の工程により施される酵素コートの厚さを容易に決定できるので、本発明の極めて薄いコーティングを形成することができる方法を容易に識別できる。典型的には、このようなコーティングは、塗布後に蒸気架橋される。驚くべきことに、これらの工程により製造されるセンサは、高められた寿命、直線性、規則性、さらには改善された信号対雑音比を含む、電着により形成されたコーティングを有するセンサの特性を超える材料特性を有する。それに加えて、そのような工程により形成されるグルコースオキシダーゼコーティングを使用する本発明のいくつかの実施形態は、過酸化水素を再生利用し、そのようなセンサの生体適合性プロファイルを改善するように設計されている。
スピンコーティング工程などの工程により生産されるセンサでは、さらに、電着工程においてセンサに加えられる材料応力に関する問題など、電着に付随する他の問題点が回避される。特に、電着の工程は、センサ上の機械的応力、例えば、張力および/または圧縮力から結果として生じる機械的応力を発生することが観察される。特定の背景状況では、このような機械的応力の結果として、センサはひび割れ、または層剥離を生じる何らかの傾向を持つコーティングが得られる。これは、スピンコーティングまたは他の低応力工程を介してセンサ上に配置されるコーティングでは観察されない。その結果、本発明のさらに他の実施形態は、スピンコーティング工程を介してコーティングを施すことを含むセンサ上のコーティングの電着の影響を受けたひび割れおよび/または層剥離を回避する方法である。
センサ要素の処理の後、1つ以上の追加の機能性コーティングまたはカバー層は、次いで、噴霧、浸漬など当業で知られているさまざまな方法のうちの任意の1つにより施されうる。本発明のいくつかの実施形態は、酵素含有層上に配置されている検体調節層を含む。活性センサ表面と接触する(複数の)検体の量を調節する際に使用することに加えて、検体制限膜層を使用することにより、異物によるセンサ汚染の問題も解消される。当業で知られているように、検体調節膜層の厚さは、活性酵素に到達する検体の量に影響を及ぼしうる。その結果、定められた処理条件の下で、典型的にはその適用が実行され、その厚さ寸法が厳密に制御される。下位層の微細加工は、検体調節膜層の寸法制御さらには検体制限膜層材料それ自体の正確な組成にも影響を及ぼす要因となりうる。この点に関して、複数のタイプのコポリマ、例えば、シロキサンおよび非シロキサン部分が特に有用であることがわかっている。これらの材料は、制御された厚さに合わせて微量分注されるか、またはスピンコーティングされうる。その最終的構造も、本明細書で説明されている他の離散構造に従ってパターニングおよびフォトリソグラフィ技術により設計されうる。これらの非シロキサン−シロキサンコポリマの例は、限定はしないが、ジメチルシロキサン−アルケン酸化物、テトラメチルジシロキサン−ジビニルベンゼン、テトラメチルジシロキサン−エチレン、ジメチルシロキサン−シルフェニレン、ジメチルシロキサン−シルフェニレン酸化物、ジメチルシロキサン−a−メチルスチレン、ジメチルシロキサン−ビスフェノールAカーボネートコポリマ、または好適なそれらの組み合わせを含む。コポリマの非シロキサン成分の重量パーセントは、有用な値に合わせて事前選択されうるが、典型的には、この割合は約40〜80wt%の範囲内にある。上記のコポリマのうち、50〜55wt%の非シロキサン成分を含むジメチルシロキサン−ビスフェノールAカーボネートコポリマが典型的である。これらの材料は、米国ペンシルベニア州ブリストル所在のPetrarch Systems社から購入することができ、この会社の製品カタログに説明がある。検体制限膜層として使用できる他の材料は、限定はしないが、ポリウレタン、酢酸セルロース、硝酸セルロース、シリコーンゴム、または親和性がある場合には、シロキサン非シロキサンコポリマを含むそれらの材料の組み合わせを含む。
本発明のいくつかの実施形態では、1つのセンサは、センサ層の酵素と接触できる検体の量を調節することが可能な親水性膜コーティングを含む検体調節層を施す方法により製造される。例えば、本発明のグルコースセンサのカバー層は、グルコース制限膜を含むことができ、これにより、電極上でグルコースオキシダーゼ酵素層と接触するグルコースの量を調節する。そのようなグルコース制限膜は、そのような目的に適していることが知られている広範な材料、例えば、ポリジメチルシロキサンなどのシリコーン、ポリウレタン、酢酸セルロース、ナフィオン、ポリエステルスルホン酸(例えば、Kodak AQ)、ヒドロゲル、またはそのような目的に適している当業者に知られている任意の他の膜から作ることができる。本発明の特定の実施形態において、該検体調節層は、中央の鎖およびその中央の鎖に結合した複数の側鎖を有しており少なくとも1つの側鎖がシリコーン部分を含む分岐アクリレートコポリマとブレンドした直鎖状のポリウレタン/ポリ尿素ポリマを含む。過酸化水素再生利用能力を有するセンサに関係する本発明のいくつかの実施形態では、グルコースオキシダーゼ酵素層上に配置されている膜層は、センサが配置された環境内への過酸化水素の放出を抑制し、過酸化水素分子と電極感知要素との間の接触を促進する機能を有する。
本発明の方法のいくつかの実施形態では、接着促進層は、カバー層(例えば、検体調節膜層)とセンサ化学層との間にそれらの接触を促進するように配置され、またセンサ装置の安定性を高められるように選択される。本明細書で指摘しているように、接着促進層の組成は、センサの安定性をもたらすことができることに加えて、多数の望ましい特性を備えるように選択される。例えば、接着促進層で使用するいくつかの組成物は、干渉除去に関与するだけでなく、所望の検体の質量移動を制御するようにも選択される。接着促進層は、そのような層の間の接着を容易にするために当業で知られているさまざまな材料のうちのいずれか1つから作ることができ、また当業で知られているさまざまな方法のうちのいずれか1つにより施すことができる。典型的には、接着促進層は、γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのシラン化合物を含む。本発明の特定の実施形態では、接着促進層および/または検体調節層は、近位に存在するシロキサン部分を架橋する能力について選択された薬剤を含む。本発明の他の実施形態では、接着促進層および/または検体調節層は、近位層内に存在するタンパク質のアミンまたはカルボキシル部分を架橋する能力について選択された薬剤を含む。オプションの実施形態では、AP層は、さらに、グルコース制限膜などの検体調節層内に典型的に存在するポリマである、ポリジメチルシロキサン(PDMS)を含む。例示的ないくつかの実施形態では、この形成は、0.5〜20%のPDMS、典型的には5〜15%のPDMS、最も典型的には10%のPDMSを含む。PDMSをAP層に加えることは、センサの製造の際にAP層内に孔またはギャップが生じる可能性が低減される背景状況では有利な場合がある。
上記のように、センサ層の間の接着を促進するために一般に使用されるカップリング試薬は、γ−アミノプロピルトリメトキシシランである。シラン化合物は、通常、好適な溶媒と混合され、液体混合物を形成する。次いで、限定はしないが、スピンコーティング、浸漬コーティング、スプレーコーティング、および微量分注を含む多数の方法により、この液体混合物は、ウェハまたは平面状感知デバイス上に塗布または定着されうる。微量分注工程は、材料のマイクロスポットがデバイスの複数の事前選択された領域に分注される自動化工程として実行できる。それに加えて、「リフトオフ」、またはフォトレジストキャップの使用などのフォトリソグラフィ技術を使用して、結果として得られる選択透過膜(すなわち、選択的透過性を有する膜)の幾何学的形状をローカライズし、定めることができる。シラン混合物を形成する際に使用するのに適している溶媒は、水溶性だけでなく水混和性の有機溶媒、およびその混合物を含む。アルコール水混和性有機溶媒およびその水溶性混合物は、特に有益である。これらの溶媒混合物は、さらに、例えば分子量が約200から約6,000の範囲内であるポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤を含んでいてもよい。液体混合物へのこれらの界面活性剤の添加は、混合物の濃度が約0.005から約0.2g/dLであれば、結果として得られる薄膜を平坦化するのに役立つ。また、シラン試薬の塗布に先立つウェハ表面のプラズマ処理も、平坦度の高い定着層を促進する改質表面をもたらしうる。水非混和性有機溶媒も、シラン化合物の溶液を調製する際に使用できる。これらの有機溶媒の例は、限定はしないが、ジフェニルエーテル、ベンゼン、トルエン、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、またはこれらの混合物を含む。プロトン性溶媒またはその混合物が使用される場合、水は、最終的に、アルコキシ基の加水分解を引き起こし、凝縮してポリ(オルガノシロキサン)を形成する有機ケイ素水酸化物(特にn=1の場合)を生成する。これらの加水分解されたシラン試薬は、さらに、基材表面上に存在することがある、ヒドロキシルなどの極性基とともに凝縮することができる。非プロトン性溶媒が使用される場合、大気中水分は、最初にシラン試薬上に存在するアルコキシ基を加水分解するのに十分なだけありうる。シラン化合物のR’基(n=1または2の場合)は、その後施される追加の層に機能的に適合するように選択される。R’基は、通常、基材表面に酵素を共有結合するのに有用な末端アミン基を含む(例えばグルタルアルデヒドなどの化合物は、ムラカミ、ティーらが「Analytical Letters」1986,19,1973−86で説明しているような連結剤として使用できる)。
このような工程により生産される完成センサは、典型的には、例えば基材上のそれぞれのセンサを囲む線にそって切断することにより、支持基材(使用されている場合)から速やかに、容易に取り外される。切断ステップでは、ベース層とカバー層および機能性コーティング層を、それぞれのセンサを囲む線、またはその境界線にそって、典型的には導電性要素から少なくともわずかに外向きに間隔をあけて並ぶように、また完成センサの側縁を封止する十分な相互接続ベースおよびカバー層材料が残るようにして切り抜く際に使用されるUVレーザ切断デバイスを含むものなどの当業で典型的に使用される方法を使用することができる。それに加えて、セラミック基材を切断するために典型的に使用されるダイスカット技術を、適切なセンサ実施形態とともに使用することができる。ベース層は、典型的には下位支持基材に物理的に付着していないか、または下位支持基材に最低限度しか直接接着されていないため、センサは、付着しているセンサを支持基材から物理的に引っ張ったり、剥ぎ取ったりすることにより生じる応力によるもたらされる著しいさらなる処理工程または潜在的損傷を被ることなく、支持基材から素早く、容易に持ち上げられうる。支持基材は、その後、洗浄して再利用されるか、または他の何らかの方法で廃棄されうる。他のセンサコンポーネントが支持基材から(例えば、切断により)取り除かれる前、または取り除かれた後に(複数の)機能性コーティング層を施すことができる。
III.本発明の検体センサ装置を使用する方法
本発明の関連する実施形態は、哺乳類の体内の検体を感知する方法であり、この方法は、本明細書で開示されている検体センサ実施形態を哺乳類の中に植え込むことと、次いで、作用電極における電流の変化を感知し、検体が存在する場合に電流の変化の相関を求め、検体が感知されるようにすることとを含む。この検体センサは、電流の変化を感知する作用電極が陽極であるように陽極に、または電流の変化を感知する作用電極が陰極であるように陰極に分極させることができる。このような一方法では、検体センサ装置は、哺乳類体内のグルコースを感知する。代替方法では、検体センサ装置は、乳酸塩、カリウム、カルシウム、酸素、pH、および/または哺乳類体内の生理学的に関係する検体を感知する。
上述の構造を有する特定の検体センサは、哺乳類体内の検体を感知するためのさまざまな方法を利用できるようにする多数の非常に望ましい特性を有する。例えば、このような方法では、哺乳類体内に植え込まれた検体センサ装置は、1、2、3、4、5、または6カ月以上の間、哺乳類の体内の検体を感知するように機能する。典型的には、このように哺乳類体内に植え込まれた検体センサ装置は、検体がセンサと接触している15、10、5、または2分以内に検体に応答する電流の変化を感知する。このような方法では、センサは、例えば、血管および非血管の両方の空間内の、哺乳類の体内のさまざまな場所に植え込むことができる。
IV.本発明のキットおよびセンサセット
本発明の他の実施形態では、上述のような検体を感知するのに有用な、キットおよび/またはセンサセットが構成される。キットおよび/またはセンサセットは、典型的には、上述のように容器、ラベル、および検体センサを備える。好適な容器としては、例えば、金属箔などの材料で作られた開けやすいパッケージ、瓶、バイアル、注射器、および試験管がある。容器は、金属(例えば、金属箔)、紙製品、ガラス、またはプラスチックなどのさまざまな材料から形成されうる。容器に貼られたラベル、または容器に関連付けられているラベルは、選択する検体のアッセイにセンサが使用されることを示している。キットおよび/またはセンサセットは、さらに、センサを検体環境内に導入しやすくするように設計された要素またはデバイス、他の緩衝液、希釈剤、フィルター、針、注射器、および使用説明書が付属するパッケージ挿入物を含む、商業的観点およびユーザーの観点から望ましい他の材料などを備えることができる。
典型的なキットは、容器ならびに、その容器中に、ベース層と、そのベース層上に配置された導電層(その導電層は作用電極を含む)と、その導電層上に配置された検体感知層(その検体感知層は検体の存在下でその導電層中の作用電極において電流を検出可能なように改変する)と、その検体感知層上に配置された検体調節層(その検体調節層は、直鎖状ポリウレタン/ポリ尿素コポリマと、中央の鎖とその中央の鎖に結合した複数の側鎖とを有しており、少なくとも1つの側鎖がシリコーン部分を含む分岐アクリレートコポリマとのブレンドを含んでおり、その検体調節層はそれによって検体の拡散を調節する)とを含む検体センサ装置およびこの検体センサ装置を使用するための使用説明書を含む。
さまざまな出版物の引用が、本明細書全体を通して参照されている。それに加えて、本発明のさまざまな実施形態をより明確に描くために、従来の技術の資料も本明細書に複写してある。本明細書において言及している部分の開示は、本願に引用して援用される。
以下の実施例は、本発明を理解するのに役立つように提供されているが、本発明は実施例の特定の材料または手順に限定されないことを理解すべきである。実施例で使用されているすべての材料は、商業的供給源から入手した。
<実施例1:例示的直鎖状ポリ尿素/ポリウレタンポリマの合成および特徴付け>
当技術分野で知られているものと組み合わせて本明細書に提供されている開示は、機能的な直鎖状ポリウレタン/ポリ尿素ポリマが、多数の配合物、例えば本願に引用して援用する米国特許第5,777,060号、第5,882,494号、第6,642,015号ならびに国際公開第96/30431、国際公開第96/18115、国際公開第98/13685、および国際公開第98/17995に開示されているものから製造されうることを裏付ける。これらのポリマのいくつかは、グルコース制限膜(GLM)として有用である。
本発明の実施形態を作るために使用される標準的なGLM配合物は、
25モル%のポリメチルヒドロシロキサン(PDMS)、トリメチルシリル末端、25〜35センチストークス、
75モル%のポリプロピレングリコールジアミン(Jeffamine 600、おおよその分子量600を有するポリオキシアルキレンアミン)、および
50モル%のジイソシアネート(例えば、4,4’−ジイソシアネート)、
を含む。この標準的なGLM配合物およびその合成のためのプロセスは、例えば、米国特許第6,642,015号、第5,777,060号および第6,642,015号に開示されている。
本発明の実施形態において使用されるもう1つの配合物は、その観察されるグルコース透過性がすぐ上の標準的な配合物の2分の1であるために、「半透過性GLM」と名づけられている。標準的なGLMにおいて、Jeffamine/PDMS比=3/1(モル比)である。対照的に、「半透過性GLM」において、この比は、Jeffamine/PDMS比=12/1のように変えられる。この半透過性GLMは、例えば、特定のIsig(またはグルコース透過性)に達するために全体のポリマブレンド中のGLM−尿素の重量%を減らすために使用することができる。同様に、ポリマブレンド中のより多くのGLM−アクリレートポリマの存在は、センサ(例えば、グルコースオキシダーゼを含むもの)中のブレンドしたポリマ膜の層と隣接する層との間の接着を高めることができる。
<実施例2:例示的分岐アクリレートポリマの合成および特徴付け>
当技術分野で知られているものと組み合わせて本明細書に提供されている開示は、機能的な分岐アクリレートポリマが多数の配合物から製造されうることを裏付ける。一例において、その配合物は、9.60g(40%)のMMA(メチルメタクリレート、Mw=100.12ダルトン)、8.40g(35%)のPDMS−M11(ポリジメチルシロキサンモノメタクリルオキシプロピル、Mw=1000ダルトン)、2.40g(10%)のメトキシ−PEO−MA(ポリ(エチレンオキシド)メチルエーテルメタクリレート、Mw=1100ダルトン)、および3.60g(15%)の2−DMA−EMA(2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、Mw=157ダルトン)を用いて製造される。
[分岐アクリレートポリマに対する例示的合成スキーム]
9.6gのポリジメチルシロキサンモノメタクリレート(Mw=1000)、4.08gのメトキシポリ(エチレンオキシド)モノメタクリレート(Mw=1000)、10.32gのメチルメタクリレート、50mgの2,2’−アゾビスイソブチロニトリルおよび60mlのエトキシエチルアセテートを、磁気撹拌子を含む200mlの丸底フラスコに加えた。すべての化学物質を20分間撹拌することによって一緒に混合した。混合物に対し、2回の凍結真空融解窒素(freeze−vacuum−thaw−nitrogen)処理を行い、丸底フラスコ内の酸素をすべて除去した。
フラスコを1つの油浴に入れた。その後、溶液を75℃まで加熱した。16〜24時間後、瓶を油浴から取り出し、室温までそのまま冷却させた。
そのポリマ溶液を脱イオン水(DI水)1000ml中に沈殿させ、濾過し、その後、THF100mlに再び溶解し、1000mlのHO中に沈殿させた。
その固体ポリマを濾過し、質量が一定重量になるまで70℃で乾燥させた。
[分岐アクリレートポリマに対するもう1つの例示的合成スキーム]
7.2gのポリジメチルシロキサンモノメタクリレート(Mw=1000)、7.2gのビニルピロリドン、9.6gのメチルメタクリレート、50mgの2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、および60mlのTHFを、磁気撹拌子を含む200mlの丸底フラスコに加えた。すべての化学物質を20分間撹拌することにより一緒に混合した。
混合物に対し、2回の凍結真空融解窒素処理を行い、丸底フラスコ内の酸素をすべて除去した。
そのフラスコを1つの油浴に入れた。その溶液をその後75℃まで加熱した。16〜24時間後、瓶を油浴から取り出し、室温までそのまま冷却させた。
ポリマ溶液を1000mlのDI水中に沈殿させ、その後、100mlのTHFに再び溶解し、1000mlのHO中に沈殿させた。
固体ポリマを濾過し、一定重量になるまで70℃で乾燥させた。
上記手順により製造したより代表的なシリコーン系櫛型コポリマ配合物を表1に列挙する。
[分岐アクリレートポリマの特徴付け]
a)櫛型コポリマの分子量は、移動相としてTHF/酢酸(95:5v/v)を使用するゲル浸透クロマトグラフィー(Waters,Inc)により測定した。単分散ポリスチレン標準を較正のために使用した。すべてのデータを表2に示す。
b)櫛型コポリマ類の赤外スペクトルは、Nicolet Nexus 670FT−IRを使用して得た。
c)水取り込みは、厚さが0.5mm未満のフィルムによって、室温で質量測定により測定した。鋳造溶媒の蒸発後、フィルムを真空オーブン中50℃で一定重量になるまで乾燥させ、重量測定し、脱イオン水に24時間浸漬させ、取り出し、濾紙で吸い取り、重量測定をした。水取り込み%は下記式:
%取り込み=[(W−W)/W]×100
から決定した。ここで、Wは膨潤フィルムの質量であり、Wは乾燥フィルムの質量である。結果は表2に示されている。
d)拡散定数は、Fickの関係:J=DdC/dx
を用いて、37℃で維持されている標準拡散セル(Crown Glass Co. Inc.)中で測定した。
ここで、Jは総流量であり、Dは拡散定数であり、dC/dxは膜を横切る濃度勾配である。
グルコース拡散定数(D)は、37℃に維持されている拡散セルを2等分した間に膜を2つのゴムガスケットにより固定することにより決定した。1つの側には2400mg/dLのグルコースを含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS、0.15M NaCl、0.05Mホスフェート、pH=7.4)を充填し、もう一方の側にリン酸緩衝生理食塩水を充填した。セルの各半分の中のグルコースの濃度を、YSIグルコースアナライザーを用いて適当な間隔で測定した。濃度対時間の曲線をプロットし、拡散係数を計算した。結果を表2に示す。
酸素拡散定数(D)は、同じ拡散セルを用いて決定した。セルの各々の側をリン酸緩衝生理食塩水で充填した。1つの側を高純度のOで飽和し、もう一方の側を高純度のNで飽和させた。2つの較正酸素電極を2つのセルに入れ、両方のセルからの酸素濃度を時間の関数として記録した。酸素濃度対時間の曲線をプロットし、定数を計算した。曲線は一般に0.99を超える相関係数(R)を有した。すべてのデータを表2に示す。
分岐アクリレートポリマ単独を使用したセンサ調製およびインビトロおよびインビボ試験でのセンサ性能
a)シリコーン系櫛型コポリマを、プロトタイプのグルコースセンサを用いて評価した。センサは、ポリイミドシート上に配置された参照電極、作用電極および対向電極を有するように構成した。電極は架橋グルコースオキシダーゼ層で覆い、その後、THFに溶解した櫛型コポリマ溶液の噴霧コーティングによりシリコーン系櫛型コポリマ層で被覆した。
b)グルコースはインビトロで応答する(表1の櫛型コポリマ#5がこの実施例で使用される)。電極システムの応答は生理学的グルコース範囲にわたって直線関係に近かった。センサは非常に低い酸素レベル(2%)ですら、酸素効果を示さなかった。
c)インビボ試験結果(表1の櫛型コポリマ#5から作製)は、新規櫛型コポリマによるセンサがイヌのモデルにおいて非常によく血糖値を追跡することを示している。
<実施例3:例示的ブレンドしたポリマ組成物の合成および特徴付け>
本発明のブレンドした膜組成物の実施形態を作製するために使用した直鎖状ポリウレタン/ポリ尿素ポリマは、上記の実施例1に示されている「標準的なGLM」配合物を含んだ。本発明のブレンドした膜組成物を作製するために使用した分岐アクリレートポリマ(「GLM−アクリレート」)は、上記の実施例2の表Bに示されているロット番号3276−66−2の配合物を含んだ。ブレンドした膜を含むセンサはGLM/GLM−アクリレート比=1/1(重量で)で製造し、その後使用して図4〜6に示されているデータを生じた。
ポリマブレンドを作製するためには当技術分野で容認されているプロセスを使用した。基本的に標準的なGLMおよびGLM−アクリレートポリマの総量をTHF(またはTHF/IPA)に数時間溶解し、次いで1ミクロンのフィルターで濾過した後、層状センサを作製するための標準的方法に従って使用した。例えば、噴霧工程のための通常の濃度は、2〜3%固形分であり、スピニング工程のためには6〜8%固形分である。

Claims (22)

  1. ベース層と、
    前記ベース層上に配置されており、作用電極を含む導電層と、
    前記導電層上に配置されており、グルコースオキシダーゼを含む検体感知層と、および
    前記検体感知層上に配置されている検体調節層と、
    を含む電流測定検体センサ装置であって、
    前記検体調節層が、
    直鎖状ポリウレタン/ポリ尿素ポリマと、および
    分岐アクリレートポリマと、
    のブレンドした混合物を含み、
    前記直鎖状ポリウレタン/ポリ尿素ポリマおよび前記分岐アクリレートポリマが、重量%で1:1〜1:20の比率でブレンドされ、
    前記直鎖状ポリウレタン/ポリ尿素ポリマが、温度を摂氏22度から40度まで上昇させると、摂氏1度当り1%〜8%低下するグルコースに対する透過性を示し、
    前記分岐アクリレートポリマが、温度を摂氏22度から40度まで上昇させると、摂氏1度当り1%〜8%増大するグルコースに対する透過性を示す、
    ことを特徴とする検体センサ装置。
  2. 請求項1に記載の検体センサ装置であって、前記ブレンドした検体調節層が、摂氏22〜40度の温度範囲にわたって摂氏1度当り2%未満変化するグルコースに対する透過性を示すことを特徴とする検体センサ装置。
  3. 請求項1に記載の検体センサ装置であって、前記検体センサ装置が、インビボ植え込みが可能なように、生物組織および生体適合性材料から作製された要素と適合性のある構造を含むことを特徴とする検体センサ装置。
  4. 請求項1に記載の検体センサ装置であって、前記検体調節層が、インビボ環境中へのセンサ植え込み後45分未満にインビボ検体の濃度を感知することができるようにセンサのインビボ水和を促進することを特徴とする検体センサ装置。
  5. 請求項1に記載の検体センサ装置であって、前記センサが、前記検体感知層と前記検体調節層との間に配置されている接着促進材料の別の層を含有していないことを特徴とする検体センサ装置。
  6. 請求項1に記載の検体センサ装置であって、
    前記検体感知層上に配置されているタンパク質層、または
    前記検体センサ装置上に配置されているカバー層であって、インビボ環境中に存在する検体が検体調節層と接触してその中に拡散することおよび前記検体感知層と接触することを促進するように、前記カバー層上に配置されている開口を含むカバー層、
    の少なくとも1つをさらに含むことを特徴とする検体センサ装置。
  7. 請求項1に記載の検体センサ装置であって、前記導電層が、前記作用電極、対向電極および参照電極を含めた複数の電極を含むことを特徴とする検体センサ装置。
  8. 請求項7に記載の検体センサ装置であって、前記導電層が、複数の作用電極、対向電極および参照電極を含み、
    前記複数の作用電極、対向電極および参照電極が、1つの単位として集められ、前記導電層上に単位の繰り返しパターンで位置関係をもって分布されていることを特徴とする検体センサ装置。
  9. 請求項1に記載の検体センサ装置であって、前記検体調節層が、
    (1)(a)ジイソシアネート、
    (b)親水性ジオールまたは親水性ジアミンを含む親水性ポリマ、および
    (c)アミノ、ヒドロキシルまたはカルボン酸官能基を末端に有しているシロキサン、
    を含む混合物から形成されたポリウレタン/ポリ尿素ポリマと、および
    (2)(a)ブチル、プロピル、エチルまたはメチルアクリレート、
    (b)アミノアクリレート、
    (c)シロキサンアクリレート、および
    (d)ポリ(エチレンオキシド)アクリレート、
    を含む混合物から形成された分岐アクリレートポリマと、
    のブレンドを含むことを特徴とする検体センサ装置。
  10. 請求項9に記載の検体センサ装置であって、前記分岐アクリレートポリマが、ヒドロキシアクリレートをさらに含む反応混合物から形成されることを特徴とする検体センサ装置。
  11. 請求項9に記載の検体センサ装置であって、前記分岐アクリレートポリマが、
    (a)メチルメタクリレート、
    (b)2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、
    (c)ポリジメチルシロキサンモノメタクリルオキシプロピル、
    (d)ポリ(エチレンオキシド)メチルエーテルメタクリレート、および
    (e)2−ヒドロキシエチルメタクリレート、
    を含む混合物から形成されることを特徴とする検体センサ装置。
  12. 請求項11に記載の検体センサ装置であって、前記分岐アクリレートポリマが、
    (a)5〜45重量%の2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート化合物、
    (b)15〜55重量%のメチルメタクリレート化合物、
    (c)15〜55重量%のポリジメチルシロキサンモノメタクリルオキシプロピル化合物、および
    (d)5〜35重量%のポリ(エチレンオキシド)メチルエーテルメタクリレート化合物、
    を含む混合物から形成されることを特徴とする検体センサ装置。
  13. 請求項9に記載の検体センサ装置であって、前記直鎖状ポリウレタン/ポリ尿素ポリマが、鎖延長剤として機能する化合物をさらに含むことを特徴とする検体センサ装置。
  14. 請求項9に記載の検体センサ装置であって、前記ジイソシアネート化合物が、前記第1のポリマ混合物中に50モル%の反応物を含むことを特徴とする検体センサ装置。
  15. 請求項9に記載の検体センサ装置であって、前記検体調節層組成物が、前記検体センサ装置が前記検体感知層と隣接する層との間に配置される接着促進層を含まないように、前記検体調節層組成物が前記検体感知装置内の隣接する層に接着することを可能にする接着特性を示すように形成されることを特徴とする検体センサ装置。
  16. 哺乳類の体内に植え込むための検体センサ装置を製造する方法であって、
    ベース層を準備するステップと、
    導電層を前記ベース層上に形成するステップであって、前記導電層が作用電極を含むステップと、
    検体感知層を前記導電層上に形成するステップであって、前記検体感知層がグルコースオキシダーゼを含むステップと、
    検体調節層を前記検体感知層上に形成するステップであって、前記検体調節層が、
    直鎖状ポリウレタン/ポリ尿素ポリマ、および
    分岐アクリレートポリマ、
    のブレンドした混合物を含み、前記直鎖状ポリウレタン/ポリ尿素ポリマおよび前記分岐アクリレートポリマを、重量%で1:1〜1:20の比率でブレンドし、前記検体調節層組成物が、摂氏21〜40度の温度範囲にわたって摂氏1度当り2%未満変化するグルコースに対する透過性を示すステップと、ならびに
    前記検体調節層上にカバー層を形成するステップと、
    を含むことを特徴とする方法。
  17. 請求項16に記載の方法であって、前記検体調節層組成物が、
    (1)(a)ジイソシアネート、
    (b)少なくとも1つの親水性ジオールまたは親水性ジアミン、および
    (c)シロキサン、
    を含む混合物から形成された第1のポリマと、および
    (2)(a)2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、
    (b)メチルメタクリレート、
    (c)ポリジメチルシロキサンモノメタクリルオキシプロピル、および
    (d)ポリ(エチレンオキシド)メチルエーテルメタクリレート、
    を含む混合物から形成された第2のポリマと、
    のブレンドを含むことを特徴とする方法。
  18. 請求項17に記載の方法であって、前記第2のポリマが、2−ヒドロキシエチルメタクリレートをさらに含む反応混合物から形成されることを特徴とする方法。
  19. 請求項17に記載の方法であって、前記検体調節層組成物が、前記検体センサ装置が前記検体感知層と隣接する層との間に配置される接着促進層を含まないように、前記検体調節層組成物が前記検体感知装置内の隣接する層に接着することを可能にする接着特性を示すように形成されることを特徴とする方法。
  20. (1)(a)ジイソシアネート化合物、
    (b)少なくとも1つの親水性ジオールまたは親水性ジアミン、および
    (c)シロキサン化合物、
    を含む混合物から形成された第1のポリマと、および
    (2)(a)5〜45重量%の2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート化合物、
    (b)15〜55重量%のメチルメタクリレート化合物、
    (c)15〜55重量%のポリジメチルシロキサンモノメタクリルオキシプロピル化合物、および
    (d)5〜35重量%のポリ(エチレンオキシド)メチルエーテルメタクリレート化合物、
    を含む混合物から形成された第2のポリマと、
    のブレンドを含む物質の組成物であって、前記第1のポリマおよび前記第2のポリマが重量%で1:1〜1:20の比率で一緒にブレンドされ、
    前記ポリマブレンドが、摂氏22〜40度の温度範囲にわたって摂氏1度当り2%未満変化するグルコースに対する透過性を示すことを特徴とする組成物。
  21. 請求項20に記載の組成物であって、前記第1のポリマが、鎖延長剤として機能する化合物をさらに含むことを特徴とする組成物。
  22. 請求項20に記載の組成物であって、前記アクリレートポリマが、1〜20重量%の2−ヒドロキシエチルメタクリレートをさらに含む反応混合物から形成されることを特徴とする組成物。
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