本発明の受容層形成用樹脂組成物は、片末端に2個の水酸基を有するビニル重合体(a1)を含有するポリオール(A)、及び、ポリイソシアネート(B)を反応させることによって得られる、側鎖にビニル重合体(a1)由来の構造を有するウレタン樹脂(C)とを含有するものであることを特徴とする。
前記受容層形成用樹脂組成物は、もっぱら、導電性物質や顔料等を含有する流動体が接触した場合に、前記流動体中の溶媒を吸収し、前記導電性物質や顔料を担持する受容層の形成に使用できるものである。
はじめに、本発明で使用するウレタン樹脂(C)について説明する。
本発明で使用するウレタン樹脂(C)は、主鎖としてのウレタン樹脂の構造の側鎖に、ビニル重合体(a1)由来の構造がグラフトしたものである。具体的には、前記ウレタン樹脂(C)としては、片末端に2個の水酸基を有するビニル重合体(a1)を含有するポリオール(A)、ポリイソシアネート(B)、ならびに、必要に応じて鎖伸長剤を反応させて得られるものを使用する。
前記ウレタン樹脂(C)は、前記ウレタン樹脂(C)の全量に対して前記ビニル重合体(a1)由来の構造を1質量%〜70質量%の範囲で有するものを使用することが好ましく、5質量%〜50質量%の範囲で有するものを使用することが、より一層優れた印刷性、細線性を付与するうえで好ましい。
また、前記ウレタン樹脂(C)としては、より一層優れた密着性、印刷性、細線性を付与するとともに、耐久性をより一層向上するうえで、10,000〜150,000の範囲の重量平均分子量を有するものを使用することが好ましく、10,000〜50,000の範囲の重量平均分子量を有するものを使用することがより好ましい。
本発明の受容層形成用樹脂組成物としては、前記ウレタン樹脂(C)を含有するものであるが、その溶媒として、水性媒体(D)や有機溶剤等の溶媒を組み合わせて使用することが、その塗工作業性等を向上するうえで好ましい。
前記溶媒として水性媒体(D)を使用する場合、前記ウレタン樹脂(C)は、水性媒体(D)中に分散した状態で存在することが好ましい。前記ウレタン樹脂(C)を水性媒体(D)中に分散する方法としては、界面活性剤を使用する方法、前記ウレタン樹脂(C)として親水性基を有するものを使用する方法が挙げられる。
前記親水性基としては、例えばアニオン性基、カチオン性基、ノニオン性基を使用することができ、アニオン性基を使用することがより好ましい。
前記アニオン性基としては、例えばカルボキシル基、カルボキシレート基、スルホン酸基、スルホネート基等を使用することができ、なかでも、前記カルボキシル基またはスルホン酸基の一部または全部が塩基性化合物等によって中和されたカルボキシレート基またはスルホネート基を使用することが、良好な水分散性を付与するうえで好ましい。
前記アニオン性基の中和に使用可能な塩基性化合物としては、例えばアンモニア、トリエチルアミン、ピリジン、モルホリン等の有機アミン;モノエタノールアミン等のアルカノールアミン;ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム等を含む金属塩基化合物が挙げられる。導電性パターン等を形成する場合には、前記金属塩化合物が通電性等を阻害しうる場合があるため、前記有機アミンまたはアルカノールアミンを使用することが好ましい。
前記アニオン性基として前記カルボキシレート基またはスルホネート基を使用する場合、それらは前記ウレタン樹脂(C)全体に対して5mmol/kg〜4,000mmol/kgの範囲で存在することが好ましく、50mmol/kg〜2,000mmol/kgの範囲で存在することが、ウレタン樹脂(C)の良好な水分散安定性を維持するうえでより好ましい。
また、前記カチオン性基としては、例えば3級アミノ基等を使用することができる。
前記3級アミノ基の一部または全てを中和する際に使用することができる酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、乳酸、マレイン酸等の有機酸;スルホン酸、メタンスルホン酸等の有機スルホン酸;塩酸、硫酸、オルトリン酸、オルト亜リン酸等の無機酸等を単独または2種以上を組み合わせて使用することができる。導電性パターン等を形成する場合には、塩素や硫黄等が通電性等を阻害しうる場合があるため、酢酸、プロピオン酸、乳酸、マレイン酸等を使用することが好ましい。
前記カチオン性基としての3級アミノ基は、その一部または全部が4級化されていてもよい。前記4級化剤としては、例えばジメチル硫酸、ジエチル硫酸、メチルクロライド、エチルクロライド等を使用することができ、ジメチル硫酸を使用することが好ましい。
また、前記ノニオン性基としては、例えばポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、ポリオキシブチレン基、ポリ(オキシエチレン−オキシプロピレン)基、及びポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン基等のポリオキシアルキレン基を使用することができる。なかでもオキシエチレン単位を有するポリオキシアルキレン基を使用することが、親水性をより一層向上させるうえで好ましい。
また、前記ウレタン樹脂(C)は、前記ビニル重合体(a1)由来の構造を側鎖に有するとともに、そのウレタン樹脂(C)の主鎖中に、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエステルエーテルポリオール及びポリカーボネートポリオールからなる群より選ばれる1種以上のポリオール(a2)由来の構造を有するものを使用することが、より一層優れた密着性、印刷性、細線性を付与するうえで好ましく、ポリエステルポリオール由来の構造を有するものを使用することがより好ましい。
前記ポリオール(a2)由来の構造としては、具体的にはポリエーテル構造、ポリエステル構造、ポリエーテルエステル構造、ポリカーボネート構造が挙げられる。
前記ポリオール(a2)由来の構造は、前記ウレタン樹脂(C)の全量に対して5質量%〜80質量%の範囲で存在することが好ましい。
前記ウレタン樹脂(C)の製造に使用する前記ポリオール(A)としては、主鎖としてのウレタン樹脂構造の側鎖にビニル重合体構造を導入することを目的として片末端に2個の水酸基を有するビニル重合体(a1)を使用する。
前記ウレタン樹脂(C)の製造に使用する片末端に2個の水酸基を有するビニル重合体(a1)としては、例えば2個の水酸基を有する連鎖移動剤の存在下で各種ビニル単量体を重合することによって得られるものを使用することができる。具体的には、2個の水酸基とメルカプト基等を有する連鎖移動剤(a1−1)の存在下でビニル単量体(a1−2)のラジカル重合を行い、前記メルカプト基を起点として前記ビニル単量体が重合したものが挙げられる。
また、前記片末端に2個の水酸基を有するビニル重合体(a1)としては、例えばカルボキシル基及びメルカプト基を有する連鎖移動剤の存在下でビニル単量体のラジカル重合を行い、前記メルカプト基を起点として前記ビニル単量体が重合したものと、水酸基及びグリシジル基を有する化合物とを反応させることによって得られたものを使用することもできる。
得られたビニル重合体(a1)は、前記連鎖移動剤由来の2個の水酸基を片末端に有するため、この2個の水酸基と、後述するポリイソシアネート(B)の有するイソシアネート基とを反応することによってウレタン結合を形成することができる。
前記片末端に2個の水酸基を有するビニル重合体(a1)としては、前記ポリイソシアネート(B)と反応させる際の粘度制御を容易にし、より一層優れた密着性、印刷性、細線性を付与するうえで、500〜10,000の範囲の数平均分子量を有するものを使用することが好ましく、1,000〜5,000の範囲の数平均分子量を有するものを使用することがより好ましい。
また、前記ビニル重合体(a1)としては、得られるウレタン樹脂(C)に親水性基を付与することで、本発明の受容層形成用樹脂組成物に優れた保存安定性を付与する観点から親水性基を有するビニル重合体を使用することもできる。
前記親水性基としては、アニオン性基、カチオン性基、ノニオン性基を使用できるが、前記ビニル重合体(a1)中に存在しうる親水性基としては、アニオン性基及びカチオン性基のいずれか一方または両方の組み合わせであることが好ましい。
前記アニオン性基としては、例えばカルボキシル基、カルボキシレート基、スルホン酸基、スルホネート基等を使用することができ、なかでも、前記カルボキシル基やスルホン酸基の一部または全部が塩基性化合物等によって中和されたカルボキシレート基やスルホネート基を使用することが、良好な水分散安定性を付与するうえで好ましい。また、前記カチオン性基としては、例えば3級アミノ基等を使用することができ、前記ノニオン性基としては、例えばポリエチレンオキサイド鎖等を使用することができる。
また、前記ビニル重合体(a1)は、前記ビニル重合体(a1)由来のビニル重合体構造を、ウレタン樹脂(C)の側鎖に導入するうえで、前記片末端の2個の水酸基以外の、他の水酸基を有さないものであることが好ましい。具体的には、前記ビニル重合体(a1)の製造に使用可能なビニル単量体(a1−2)として、水酸基を有するビニル単量体をできるだけ使用しないことが好ましい。
前記片末端に2個の水酸基を有するビニル重合体(a1)の製造に使用可能な連鎖移動剤としては、例えば2個の水酸基とメルカプト基等を有する連鎖移動剤(a1−1)、カルボキシル基とメルカプト基とを有する連鎖移動剤等を使用することができる。なかでも、2個の水酸基とメルカプト基等を有する連鎖移動剤(a1−1)を使用することが、前記ビニル重合体(a1)の製造が簡便であるため好ましい。
前記2個の水酸基とメルカプト基等を有する連鎖移動剤(a1−1)としては、例えば3−メルカプト−1,2−プロパンジオール(チオグリセリン)、1−メルカプト−1,1−メタンジオール、1−メルカプト−1,1−エタンジオール、2−メルカプト−1,3−プロパンジオール、2−メルカプト−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メルカプト−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1−メルカプト−2,3−プロパンジオール、2−メルカプトエチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メルカプトエチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール等を使用することができる。なかでも3−メルカプト−1,2−プロパンジオールを使用することが、臭気が少なく作業性や安全性の点で優れ、かつ汎用であるため好ましい。
また、前記ビニル重合体(a1)の製造に使用するビニル単量体(a1−2)としては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸β−カルボキシエチル、2−(メタ)アクリロイルプロピオン酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸ハーフエステル、マレイン酸ハーフエステル、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸基または酸無水基を有するビニル単量体;(メタ)アクリルアミド、N−モノアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−イソプロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド;2−アジリジニルエチル(メタ)アクリレート;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N−〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕ピペリジン、N−〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕ピロリジン、N−〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕モルホリン、4−〔N,N−ジメチルアミノ〕スチレン、4−〔N,N−ジエチルアミノ〕スチレン、2−ビニルピリジン;N−メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート;アミノメチルアクリレート、アミノエチルアクリレート、アミノプロピル(メタ)アクリレート、アミノ−n−ブチル(メタ)アクリレート、ブチルビニルベンジルアミン、ビニルフェニルアミン、p−アミノスチレン等の窒素原子を有するビニル単量体;(メタ)アクリロニトリル等の不飽和カルボン酸のニトリル;2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロヘキシル(メタ)アクリレート等のフッ素を有するビニル単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のビニルエステル;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル;スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルスチレン等の芳香族環を有するビニル化合物;イソプレン、クロロプレン、ブタジエン、エチレン、テトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、N−ビニルピロリドン;ポリオキシエチレンモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンモノエチルエーテル(メタ)アクリレート等のポリオキシエチレン基を有するビニル重合体等を使用することができる。
ビニル単量体(a1−2)としては、前記(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸アルキルエステルからなる群より選ばれる1種以上を含むものを使用することが、前記連鎖移動剤との反応を制御しやすく、生産効率を向上できるため好ましい。
前記2個の水酸基とメルカプト基を有する連鎖移動剤(a1−1)と前記ビニル単量体(a1−2)との重合反応は、例えば50℃〜100℃程度の温度に調整したトルエンまたはメチルエチルケトン等の溶剤下、前記連鎖移動剤(a1−1)と前記ビニル単量体(a1−2)を一括または逐次供給し、ラジカル重合させることで進行することができる。これにより、連鎖移動剤(a1−1)のメルカプト基等を起点として前記ビニル単量体(a1−2)のラジカル重合が進行し、片末端に2個の水酸基を有するビニル重合体(a1)を製造することができる。前記方法で片末端に2個の水酸基を有するビニル重合体(a1)を製造する際には、必要に応じて従来知られる重合開始剤を使用しても良い。
前記方法で得られる片末端に2個の水酸基を有するビニル重合体(a1)は、前記ウレタン樹脂(C)の製造に使用する原料の合計質量に対して1質量%〜70質量%の範囲で使用することが好ましく、5質量%〜50質量%の範囲で使用することが、より一層優れた密着性、印刷性、細線性を付与するうえで好ましい。なお、前記ウレタン樹脂(C)の製造に使用する原料の合計質量とは、前記ビニル重合体(a1)、ならびに、必要に応じて使用可能な後述するポリオール(a2)及びその他のポリオール(a3)を含むポリオール(A)と前記ポリイソシアネート(B)との合計質量を指し、更に鎖伸長剤を使用した場合には、前記ポリオール(A)と前記ポリイソシアネート(B)と鎖伸長剤との合計質量を示す。以下、同様である。
また、前記ウレタン樹脂(C)の製造に使用可能なポリオール(a2)としては、例えばポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエステルエーテルポリオール及びポリカーボネートポリオールからなる群より選ばれる1種以上を使用することができる。なかでも、より一層優れた密着性と印刷性と細線性とを付与するうえで、ポリエステルポリオールまたはポリカーボネートポリオールを使用することが好ましい。
前記ポリエーテルポリオールとしては、例えば活性水素原子を2個以上有する化合物の1種または2種以上を開始剤として、アルキレンオキサイドを付加重合させたものを使用することができる。
前記開始剤としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等を使用することができる。
また、前記アルキレンオキサイドとしては、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、エピクロルヒドリン、テトラヒドロフラン等を使用することができる。
前記ポリエーテルポリオールとしては、具体的には、ポリオキシテトラメチレングリコールやポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールを使用することが、より一層優れた密着性、印刷性、細線性を付与するうえで好ましい。また、前記ポリエーテルポリオールとしては、1,000〜3,000の範囲の数平均分子量を有するものを使用することが、より一層優れた密着性、印刷性、細線性を付与するうえでより好ましい。
また、前記ポリエステルポリオールとしては、例えば低分子量のポリオールとポリカルボン酸とをエステル化反応して得られる脂肪族ポリエステルポリオールや芳香族ポリエステルポリオール、ε−カプロラクトン等の環状エステル化合物を開環重合反応して得られるポリエステル、及び、それらの共重合ポリエステル等を使用することができる。
前記低分子量のポリオールとしては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコ−ル等を使用することができる。
また、前記ポリカルボン酸としては、例えばコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、及び、それらの無水物またはエステル化物等を使用することができる。
前記ポリエステルエーテルポリオールとしては、例えば前記開始剤に前記アルキレンオキサイドが付加したポリエーテルポリオールと、ポリカルボン酸とを反応させて得られたものを使用することができる。前記開始剤や前記アルキレンオキサイドとしては、前記ポリエーテルポリオールを製造する際に使用可能なものとして例示したものと同様のものを使用することができる。また、前記ポリカルボン酸としては、前記ポリエステルポリオールを製造する際に使用可能なものとして例示したものと同様のものを使用することができる。
前記ポリカーボネートポリオールとしては、例えば炭酸エステルとポリオールとを反応させて得られるもの、ホスゲンとビスフェノールA等とを反応させて得られるものを使用することができる。
前記炭酸エステルとしては、例えばメチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルカーボネート、ジエチルカーボネート、シクロカーボネート、ジフェニルカーボネ−ト等を使用することできる。
前記炭酸エステルと反応しうるポリオールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、2−ブチル−2−エチルプロパンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノール−A、ビスフェノール−F、4,4’−ビフェノール等の比較的低分子量のジヒドロキシ化合物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルポリオール、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリヘキサメチレンサクシネート、ポリカプロラクトン等のポリエステルポリオール等を使用することができる。
前記ポリオール(a2)としては、より一層優れた密着性、印刷性、細線性を付与するうえで、500〜10,000の範囲の数平均分子量を有するものが好ましく、1,000〜3,000の範囲の数平均分子量を有するものを使用することがより好ましい。
前記ポリオール(a2)は、前記ウレタン樹脂(C)の製造に使用する原料の合計質量に対して5質量%〜80質量%の範囲で使用することが好ましい。さらに15質量%〜80質量%の範囲で使用することが、より一層優れた密着性、印刷性、細線性を付与するうえで好ましい。
また、前記ポリオール(a2)は、前記ビニル重合体(a1)と特定範囲で組み合わせて使用することが、より一層優れた密着性、印刷性、細線性を付与するうえで好ましく、例えば[(a1)/(a2)]=1/20〜20/1の範囲で使用することが好ましく、1/10〜10/1の範囲で使用することがより好ましい。
また、前記ウレタン樹脂(C)の製造に使用するポリオール(A)としては、前記したビニル重合体(a1)及びポリオール(a2)の他に、必要に応じてその他のポリオール(a3)を使用することができる。
前記その他のポリオール(a3)としては、例えば親水性基を有するポリオール(a3−1)を使用することができる。とりわけ、前記ビニル重合体(a1)として親水性基を有さないものを使用する場合には、得られるウレタン樹脂(C)に水分散性を付与し、保存安定性に優れた受容層形成用樹脂組成物を得るうえで、前記親水性基を有するポリオール(a3−1)を使用することが好ましい。
前記親水性基を有するポリオール(a3−1)としては、親水性基を有するものを使用することができ、例えば、アニオン性基を有するポリオール、カチオン性基を有するポリオール、ノニオン性基を有するポリオールを使用することができ、なかでもアニオン性基を有するポリオールまたはカチオン性基を有するポリオールを使用することが好ましい。
前記アニオン性基を有するポリオールとしては、例えばカルボキシル基を有するポリオール、スルホン酸基を有するポリオールを使用することができる。
前記カルボキシル基を有するポリオールとしては、例えば2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロール吉草酸等を使用することができ、なかでも2,2−ジメチロールプロピオン酸を使用することが好ましい。また、前記カルボキシル基を有するポリオールと各種ポリカルボン酸とを反応させて得られるカルボキシル基を有するポリエステルポリオールも使用することもできる。
前記スルホン酸基を有するポリオールとしては、例えば5−スルホイソフタル酸、スルホテレフタル酸、4−スルホフタル酸、5−(4−スルホフェノキシ)イソフタル酸等のジカルボン酸、及びそれらの塩と、前記低分子量ポリオールとを反応させて得られるポリエステルポリオールを使用することができる。
また、前記カチオン性基を有するポリオールとしては、例えば3級アミノ基を有するポリオールを使用することができ、具体的にはN−メチル−ジエタノールアミン、分子中にエポキシを2個有する化合物と2級アミンとを反応させて得られるポリオール等を使用することができる。
また、前記ノニオン性基を有するポリオールとしては、エチレンオキサイド由来の構造単位を有するポリアルキレングリコール等を使用することができる。
前記親水性基を有するポリオール(a3−1)は、前記ウレタン樹脂(C)の製造に使用する原料の合計質量に対して、1質量%〜45質量%の範囲で使用することが好ましい。
また、前記ウレタン樹脂(C)の製造に使用するポリイソシアネート(B)としては、例えば4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート、クルードジフェニルメタンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネートまたは脂環式構造を有するポリイソシアネートを使用することができる。なかでも、受容層の黄変色を防止するうえで脂肪族ポリイソシアネートを使用することが好ましく、めっき工程における受容層の剥離等を防止するうえで、脂肪族環式構造を有するポリイソシアネートを使用することが好ましい。
本発明で使用するウレタン樹脂(C)を製造する際には、その分子量を比較的高分子量化し、耐久性等の更なる向上を図ることを目的として、必要に応じて鎖伸長剤を使用することができる。
前記鎖伸長剤としては、ポリアミン、ヒドラジン化合物、その他活性水素原子含有化合物等を使用することができる。
前記ポリアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、イソホロンジアミン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン等のジアミン;N−ヒドロキシメチルアミノエチルアミン、N−ヒドロキシエチルアミノエチルアミン、N−ヒドロキシプロピルアミノプロピルアミン、N−エチルアミノエチルアミン、N−メチルアミノプロピルアミン;ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン等を使用することができる。
前記ヒドラジン化合物としては、例えばヒドラジン、N,N’−ジメチルヒドラジン、1,6−ヘキサメチレンビスヒドラジン;コハク酸ジヒドラジッド、アジピン酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド;β−セミカルバジドプロピオン酸ヒドラジド、3−セミカルバジッド−プロピル−カルバジン酸エステル、セミカルバジッド−3−セミカルバジドメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサンを使用することができる。
前記その他活性水素含有化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレンリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、サッカロース、メチレングリコール、グリセリン、ソルビトール等のグリコール;ビスフェノールA、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、水素添加ビスフェノールA、ハイドロキノン等のフェノール、水等を使用することができる。
前記鎖伸長剤は、例えばポリアミンが有するアミノ基と過剰のイソシアネート基との当量比が、1.9以下(当量比)となる範囲で使用することが好ましく、0.3〜1(当量比)の範囲で使用することがより好ましい。
前記ウレタン樹脂(C)は、例えば無溶剤下または有機溶剤の存在下、前記片末端に2個の水酸基を有するビニル重合体(a1)、必要に応じて前記ポリオール(a2)、及び、必要に応じて前記親水性基を有するポリオール(a3−1)等の前記その他のポリオール(a3)を含有するポリオール(A)と、前記ポリイソシアネート(B)と、必要に応じて後述する鎖伸長剤とを反応させることによってウレタン樹脂(C)を製造することができる。
前記ポリオール(A)と前記ポリイソシアネート(B)等との反応は、急激な発熱や発泡などに十分に注意し安全性を考慮し、好ましくは50℃〜120℃、より好ましくは80℃〜100℃の反応温度で、前記ポリオール(B)と前記ポリオール(A)等とを混合し、概ね1時間〜15時間程度反応させる方法により行うことができる。
前記ポリオール(A)とポリイソシアネート(B)との反応は、例えば、前記ポリオール(A)が有する水酸基に対する、前記ポリイソシアネート(B)が有するイソシアネート基の当量割合が、0.8〜2.5の範囲で行うことが好ましく、0.9〜1.5の範囲で行うことがより好ましい。
また、前記ウレタン樹脂(C)を製造する際に使用可能な有機溶剤としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン等のケトン;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル;酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル;アセトニトリル等のニトリル;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミドを、単独で使用または2種以上を使用することができる。
前記方法で製造したウレタン樹脂(C)の水性化は、例えば、次のような方法で行うことができる。
〔方法1〕ポリオール(A)とポリイソシアネート(B)とを反応させて得られたウレタン樹脂(C)の親水性基の一部または全部を中和又は4級化した後、水性媒体(D)を投入してウレタン樹脂(C)を水分散させる方法。
〔方法2〕ポリオール(A)とポリイソシアネート(B)とを反応させて得られたウレタン樹脂(C)の親水性基の一部または全部を中和又は4級化した後、水性媒体(D)を投入し、必要に応じて前記鎖伸長剤を用いて鎖伸長することによりウレタン樹脂(C)を水分散させる方法。
〔方法3〕ポリオール(A)とポリイソシアネート(B)とを反応させて得られたウレタン樹脂と、必要に応じて前記と同様の鎖伸長剤とを、反応容器中に一括または分割して仕込み、鎖伸長反応させることでウレタン樹脂(C)を製造し、次いで得られたウレタン樹脂(C)中の親水基の一部または全部を中和又は4級化した後、水性媒体(D)を投入して水分散させる方法。
前記〔方法1〕〜〔方法3〕では、必要に応じて乳化剤を使用してもよい。また、水溶解や水分散の際には、必要に応じてホモジナイザー等の機械を使用しても良い。
前記乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビトールテトラオレエート、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン共重合体等のノニオン系乳化剤;オレイン酸ナトリウム等の脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ナフタレンスルフォン酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、アルカンスルフォネートナトリウム塩、アルキルジフェニルエーテルスルフォン酸ナトリウム塩等のアニオン系乳化剤;アルキルアミン塩、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩等のカチオン系乳化剤が挙げられる。
前記方法で得られたウレタン樹脂(C)としては、密着性及び印刷性に優れた印刷物や、細線性及び耐久性等に優れた導電性パターン等を得るうえで5,000〜500,000の範囲の重量平均分子量を有するものを使用することが好ましく、20,000〜120,000の範囲の重量平均分子量を有するものを使用することがより好ましい。
また、前記ウレタン樹脂(C)は、本発明の受容層形成用樹脂組成物の全体に対して10質量%〜65質量%含まれることが好ましく、10質量%〜35質量%含まれることがより好ましい。
前記方法で得られたウレタン樹脂(C)としては、必要に応じて各種官能基を有していてもよく、前記官能基としては、例えばアルコキシシリル基、シラノール基、水酸基、アミノ基等の架橋性官能基が挙げられる。前記架橋性官能基は、ウレタン樹脂(C)の主鎖に結合したものであってもよく、前記ビニル重合体(a1)に結合したものであってもよい。
前記アルコキシシリル基、シラノール基は、前記ウレタン樹脂(C)を製造する際にγ−アミノプロピルトリエトキシシラン等を使用することによって、前記ウレタン樹脂(C)中に導入することができる。
一方、前記架橋性官能基としては、概ね100℃以上、好ましくは120℃以上に加熱することによって架橋性官能基間または後述する架橋剤(G)と反応し架橋構造を形成するものを使用することができる。
具体的には、概ね100℃以上、好ましくは120℃以上に加熱することによって架橋反応しうる官能基を備えたウレタン樹脂を使用した場合、それを含む受容層形成用樹脂組成物を支持体表面に塗布し乾燥等して得た受容基材を構成する受容層は、実質的に架橋構造を形成していない。この受容基材に前記流動体を用いて印刷を施した後に、加熱等することによって架橋反応し、架橋構造を形成することができる。これにより、後述するめっき処理工程において、強アルカリまたは強酸性物質からなるめっき薬剤に晒された場合であっても、支持体からの受容層の剥離を引き起こすことのない、格段に優れた耐久性を備えた印刷物等の導電性パターン等を形成することができる。
前記100℃以上、好ましくは120℃以上に加熱することによって架橋反応しうる官能基としては、組み合わせて使用する架橋剤(G)の選択にもよるが、例えばブロックイソシアネート化合物等の架橋剤を使用する場合には水酸基やアミノ基を使用することができる。
前記架橋性官能基は、前記ウレタン樹脂(C)の全量に対して、合計0.005当量/kg〜1.5当量/kgの範囲で含まれることが好ましい。
本発明の受容層形成用組成物は、その固形分を構成するものとして、前記ウレタン樹脂(C)の他に、必要に応じて、水性媒体(D)または有機溶剤等の溶媒、樹脂、架橋剤(G)、充填剤、pH調整剤、被膜形成助剤、レベリング剤、増粘剤、撥水剤、消泡剤等のその他の化合物を含有するものであってもよい。
前記溶媒に使用可能な水性媒体(D)としては、水、水と混和する有機溶剤、及び、これらの混合物が挙げられる。水と混和する有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール等のアルコール;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のポリアルキレングリコール;ポリアルキレングリコールのアルキルエーテル;N−メチル−2−ピロリドン等のラクタム等が挙げられる。本発明では、水のみを用いても良く、また水及び水と混和する有機溶剤との混合物を用いても良く、水と混和する有機溶剤のみを用いても良い。安全性や環境に対する負荷の点から、水のみ、または、水及び水と混和する有機溶剤との混合物が好ましく、水のみが特に好ましい。
前記水性媒体(D)等の溶媒は、前記受容層形成用樹脂組成物の全量に対して、30質量%〜85質量%含まれることが好ましく、60質量%〜85質量%含まれることがより好ましい。
また、前記その他の化合物に使用可能な前記樹脂としては、特に水性の顔料インク、導電性インク、めっき核剤等の流動体を用いた場合の印刷性及び細線性をより一層向上するうえで使用することが好ましい。
前記樹脂としては、例えばアクリル樹脂等のビニル樹脂、ウレタン樹脂、ウレタン−ビニル複合樹脂、ポリエステル樹脂、イミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセタール、ポリアルキレンオキサイド、デンプン、メチルセルロース、ヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリエチレンイミン、ポリアミド、各種の第4級アンモニウム塩基を有する水溶性樹脂、及びこれらの変性物等を使用することができる。
前記硬化剤としては、加熱等によってブロック剤が解離し生成したイソシアネート基と反応しうる官能基を有する化合物を使用することができる。例えば、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオールをはじめ、エチレングリコール、ジエチレンリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、サッカロース、メチレングリコール、グリセリン、ソルビトール等の比較的低分子量のポリオールをはじめ、金属キレート化合物、ポリアミン化合物、アジリジン化合物、金属塩化合物等の、概ね25℃〜100℃未満の比較的低温で反応し架橋構造を形成しうる化合物、メラミン系化合物、エポキシ系化合物、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物等の概ね100℃以上の比較的高温で反応し架橋構造を形成しうる化合物を使用することができる。
前記架橋剤(G)としては、例えば金属キレート化合物、ポリアミン化合物、アジリジン化合物、金属塩化合物、イソシアネート化合物等の、概ね25℃〜100℃未満の比較的低温で反応し架橋構造を形成しうる熱架橋剤(g1−1)、メラミン化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物、及び、ブロックイソシアネート化合物からなる群より選ばれる1種以上等の概ね100℃以上の比較的高温で反応し架橋構造を形成しうる熱架橋剤(g1−2)、各種光架橋剤を使用することができる。
前記熱架橋剤(g1−1)を含む受容層形成用樹脂組成物であれば、例えばそれを支持体表面に塗布し、比較的低温で乾燥し、次いで、前記流動体を用いて印刷を施した後に、100℃未満の温度に加温し架橋構造を形成することで、長期にわたる熱や外力の影響によらず導電性物質及び顔料の欠落を防止可能なレベルの、格段に優れた耐久性を備えたインク受容基材を形成することができる。
一方、前記熱架橋剤(g1−2)を含む受容層形成用樹脂組成物であれば、例えばそれを支持体表面に塗布し、常温(25℃)〜概ね100℃未満の低温で乾燥することで、架橋構造を形成していないインク受容基材を製造し、次いで、インク等を用いて印刷を施した後に、例えば100℃以上、好ましくは120℃以上の温度で加熱し架橋構造を形成することで、長期間にわたる熱や外力等の影響によらず、インクの剥離等を引き起こさないレベルの格段に優れた耐久性を備えた印刷物等の導電性パターンを得ることができる。
前記架橋剤(G)を使用する場合、前記ウレタン樹脂(C)としては、前記架橋剤(G)が有する架橋性官能基と反応しうる基を有するものを使用することが好ましい。具体的には、前記(ブロック)イソシアネート化合物、メラミン化合物、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物を架橋剤として使用する場合であれば、前記ウレタン樹脂(C)として水酸基、カルボキシル基を有するものを使用することが好ましい。
前記架橋剤(G)は、種類等によって異なるものの、通常、前記ウレタン樹脂(C)の全量に対して0.01質量%〜60質量%の範囲で使用することが好ましく、0.1質量%〜10質量%の範囲で使用することがより好ましく、0.1質量%〜5質量%の範囲で使用することが、より一層、印刷性に優れた印刷画像を形成可能な受容層を形成するうえで好ましい。また、導電性インク等を用いて導電性パターンを形成する際にも、細線等の印刷部のにじみを引き起こすことなく、電子回路等の高密度化等の実現に供しうるレベルのより一層優れた細線性を付与し、前記受容層と支持体との密着性をより一層向上できるため好ましい。
また、前記架橋剤(G)は、本発明の受容層形成用樹脂組成物を支持体表面に塗工または含浸する前に、予め添加して使用することが好ましい。
また、本発明の受容層形成用樹脂組成物に併用可能な前記その他の化合物としては、無機粒子等の各種充填材が挙げられる。しかし、本発明の受容層形成用組成物としては、前記充填材等の使用量はできるだけ少ないことが好ましく、本発明の受容層形成用組成物の全量に対して5質量%以下であることがより好ましい。
前記その他の化合物の使用量は、前記受容層形成用組成物に含まれる固形分に対して0質量%〜50質量%の範囲であることが好ましく、0質量%〜30質量%の範囲であることがより好ましい。
前記受容層形成用組成物を用いて形成可能な受容層は、それを構成するウレタン樹脂(C)等が、インク等の流動体中に含まれる溶媒によって適度に溶解され、前記溶媒を吸収することで、前記流動体中に含まれる金属等の導電性物質や顔料をその受容層表面に精度よく定着することが可能な膨潤タイプであるため、にじみのない導電性パターン等の印刷物を得ることが可能なものである。また、本発明の受容層形成用組成物は、従来知られる多孔質タイプの受容層と比較して透明な受容層を形成することが可能である。
次に、本発明の、前記流動体の受容基材について説明する。
本発明の受容基材は、各種支持体表面の一部または全部、ならびに、支持体の片面または両面に、前記受容層形成用組成物を用いて形成される受容層を有するものである。
前記受容層は、前記受容層の表面に前記流動体が接触した場合に、前記流動体中の溶媒を吸収等し、前記受容層表面に導電性物質や顔料を担持する層である。例えば前記流動体として顔料インクを用いた場合であれば、にじみ等のない高鮮明な印刷物を形成できるし、前記流動体として導電性インクを用いた場合であれば、にじみ等のない導電性パターンを形成できるし、前記流動体としてめっき核剤を用いた場合であれば、めっき核が受容層表面にムラなく、均一に担持された積層体を形成することができる。
前記受容層は、支持体上に積層されていてもよいが、受容層の一部が支持体に含浸していてもよい。
本発明の受容基材は、前記受容層形成用組成物を支持体の片面または両面の一部または全部に塗布し、その塗布面に含まれる水性媒体(D)を揮発させる方法、または、支持体が繊維基材である場合には、受容層形成用組成物を前記支持体中に含浸させ、前記水性媒体(D)を揮発させる方法によって製造することができる。
前記支持体としては、例えば、上質紙、コート紙、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、ポリ(メタ)アクリル酸メチル等のアクリル樹脂、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ウレタン樹脂、セルロースナノファイバー、シリコン、セラミックス、ガラス等からなる支持体、それらからなる多孔質の支持体、鋼板や銅等の金属からなる支持体等を使用することができる。
また、前記支持体としては、例えば、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アラミド繊維等の合成繊維、綿、麻等の天然繊維等からなる基材を使用することもできる。前記繊維には、予め加工が施されていてもよい。
前記支持体上に前記受容層形成用組成物を塗布または含浸する方法としては、公知慣用の方法を用いることができ、例えば、グラビア方式、コーティング方式、スクリーン方式、ローラー方式、ロータリー方式、スプレー方式等を適用することができる。
また、本発明の受容層形成用組成物を支持体表面の一部または全部に塗布または含浸した後、該組成物中に含まれうる溶媒を除去する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、乾燥機を用いて乾燥させる方法が一般的である。乾燥温度としては、前記溶媒を揮発させることが可能で、かつ支持体に悪影響を与えない範囲の温度に設定すればよい。また、流動体を塗布した後に、前記受容層中に結合を形成する場合には、前記ブロック剤が解離しイソシアネート基が生成されない程度の温度で乾燥することが好ましい。
支持体上への前記受容層形成用組成物の付着量は、非常に高いレベルの発色性を維持し、かつ良好な生産効率を維持する観点から、支持体の面積に対して3g/m2〜60g/m2の範囲であることが好ましく、流動体中に含まれる溶媒の吸収性と製造コストを勘案すると20g/m2〜40g/m2が特に好ましい。
また、前記支持体への前記受容層形成用組成物の付着量を増加させることで、得られる印刷物の発色性をより一層向上させることができる。ただし、付着量が増加すると、印刷物の風合いが若干硬くなる傾向があるため、印刷物の使用用途等に応じて、適宜調整することが好ましい。
したがって、本発明の受容基材は、にじみやクラックを引き起こすことなく優れた印刷性と耐水性とを備えた印刷画像を形成できることから、例えば看板、車体広告、のぼり旗等の屋内外広告等に使用可能である。
前記受容基材への印刷に使用可能な流動体は、概ね25℃におけるB型粘度計で測定した粘度が0.1mPa・s〜500,000mPa・s、好ましくは0.5mPa・s〜10,000mPa・sである液状または粘稠液状のものを指し、導電性物質や顔料等が溶媒中に分散等したものである。前記流動体をインクジェット印刷法によって印刷等する場合には、前記0.5mPa・s〜10000mPa・sの粘度範囲の流動体を使用することが好ましい。
前記流動体としては、具体的には導電性インク、顔料インク等の印刷インク、めっき処理を施す際に使用することのあるめっき核剤等が挙げられる。
前記流動体としては、例えば顔料が水性媒体中に分散等した水性顔料インクが挙げられる。
前記水性媒体としては、水のみを使用してもよいし、水と水溶性溶剤の混合溶液を使用してもよい。前記水溶性溶剤としては、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルカルビトール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のアルコール、N−メチルピロリドン等の極性溶剤を使用することができる。
前記水性媒体に分散または溶解しうる顔料としては、例えば、キナクリドン系顔料、アンスラキノン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、イソインドリノン系顔料、縮合アゾ系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、モノアゾ系顔料、不溶性アゾ系顔料、ナフトール系顔料、フラバンスロン系顔料、アンスラピリミジン系顔料、キノフタロン系顔料、ピランスロン系顔料、ピラゾロン系顔料、チオインジゴ系顔料、アンスアンスロン系顔料、ジオキサジン系顔料、フタロシアニン系顔料、インダンスロン系等の有機顔料;ニッケルジオキシンイエロー、銅アゾメチンイエロー等の金属錯体;酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛等の金属酸化物、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の金属塩、カーボンブラック、雲母等の無機顔料、アルミニウム等の金属微粉、マイカ微粉等を使用することができる。顔料は、水性顔料インクの全量に対して好ましくは0.5質量%〜15質量%、より好ましくは1質量%〜10質量%の範囲で使用することが好ましい。
また、前記流動体としては、顔料等が有機溶剤からなる溶媒中に溶解又は分散した溶剤系顔料インクを使用することもできる。
前記有機溶剤としては、例えばインクジェットヘッドの乾燥や目詰まりを防止する観点から、アルコール、エーテル、エステル及びケトン等であって、沸点100〜250℃のものを使用することが好ましく、沸点120〜220℃のものがより好ましい。
前記アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等を使用することができる。
エーテルとしては、例えば、エチレングリコールモノ(メチル、エチル、ブチル、フェニル、ベンジル、エチルヘキシル)エーテル、エチレングリコールジ(メチル、エチル、ブチル)エーテル、ジエチレングリコールモノ(メチル、エチル、ブチル)エーテル、ジエチレングリコールジ(メチル、エチル、ブチル)エーテル、テトラエチレングリコールモノ(メチル、エチル、ブチル)エーテル、テトラエチレングリコールジ(メチル、エチル、ブチル)エーテル、プロピレングリコールモノ(メチル、エチル、ブチル)エーテル、ジプロピレングリコールモノ(メチル、エチル)エーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等を使用することができる。
エステルとしては、例えば、エチレングリコールモノ(メチル、エチル、ブチル)エーテルアセテート、エチレングリコールジ(メチル、エチル、ブチル)エーテルアセテート、ジエチレングリコールモノ(メチル、エチル、ブチル)エーテルアセテート、ジエチレングリコールジ(メチル、エチル、ブチル)エーテルアセテート、プロピレングリコールモノ(メチル、エチル、ブチル)エーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノ(メチル、エチル)エーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、2−(メトキシ、エトキシ、ブトキシ)エチルアセテート、2−エチルヘキシルアセテート、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、乳酸ブチル等が挙げられる。ケトン類としては、シクロヘキサノン等が挙げられる。
なかでも、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを使用することが好ましい。
前記溶剤系顔料インクに使用する顔料としては、前記水性顔料インクに使用可能なものとして例示した顔料と同様のものを使用することができる。
本発明の受容基材は、前記水性顔料インク、溶剤系顔料インクからなる顔料インクのうち、特に溶剤系の顔料インクを用いて印刷する場合に好適に使用することができる。
前記顔料インクを用いて本発明の受容基材に印刷する方法としては、各種印刷法を適用できるが、インクジェット印刷法、スクリーン印刷法、凸版反転印刷法またはグラビアオフセット印刷法を採用することが好ましい。
また、本発明の受容基材は、前記流動体として導電性物質を含む導電性インクに対しても優れた印刷性を有し、例えば電子回路等の導電性パターンを形成する際に求められる、概ね0.01μm〜200μm程度、好ましくは0.01μm〜150μm程度の幅からなる細線を、にじみを引き起こすことなく印刷することが可能である(細線性)。そのため、本発明の受容基材は、銀インク等を用いた電子回路の形成、有機太陽電池、電子書籍端末、有機EL、有機トランジスタ、フレキシブルプリント基板、RFID等を構成する各層や周辺配線の形成、プラズマディスプレイの電磁波シールドの配線の製造等の、一般にプリンテッド・エレクトロニクス分野といわれる新規分野で好適にすることができる。
前記導電性パターンの形成に使用可能な本発明の受容基材(導電性インク受容基材)は、前記と同様に、各種支持体の表面の一部または全部に、前記受容層形成用組成物を用いて形成された受容層を有するものである。前記受容層は、支持体上に積層されていてもよいが、前記受容層の一部が支持体に含浸していてもよい。また、前記受容層は、支持体の片面または両面のいずれに設けられていてもよく、その表面の一部または全部に塗布されていても良い。
本発明の受容基材は、前記受容層形成用組成物を、支持体の片面または両面の一部または全部に塗布、含浸させた後、前記導電性受容層形成用組成物中に含まれる水性媒体(B)を除去することによって、製造することができる。
前記導電性パターンを製造する際に、前記受容層を積層するのに適した支持体としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、ポリ(メタ)アクリル酸メチル等のアクリル樹脂、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ウレタン樹脂、セルロースナノファイバー、シリコン、セラミックス、ガラス等からなる支持体、それらからなる多孔質の支持体、鋼板や銅等の金属からなる支持体等を使用することができる。
なかでも、前記支持体としては、一般に、回路基板等の導電性パターンを形成する際の支持体として使用されることの多い、ポリイミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ガラス、セルロースナノファイバーなどからなる支持体を使用することが好ましい。
また、前記支持体のうち、ポリイミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、アクリル樹脂、ガラス等からなる基材は、一般に難付着性であるため、樹脂等が密着しにくい場合が多い。
また、前記支持体としては、柔軟性が必要な用途等に使用される場合は、比較的柔軟で折り曲げ等が可能なものを使用することが、導電性パターンに柔軟性を付与し、折り曲げ可能な最終製品を得るうえで好ましい。具体的には、一軸延伸等することによって形成されたフィルムまたはシート状の支持体を使用することが好ましい。
前記フィルムまたはシート状の支持体としては、例えばポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム等が挙げられる。
前記支持体表面の一部または全部に、前記受容層形成用組成物を塗布又は含浸する方法としては、公知慣用の方法を用いることができ、例えば、グラビア方式、コーティング方式、スクリーン方式、ローラー方式、ロータリー方式、スプレー方式、インクジェット方式等を適用することができる。
また、本発明の受容層形成用組成物を支持体表面の一部または全部に塗布または含浸した後、該組成物中に含まれうる水性媒体(D)を除去する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、乾燥機を用いて乾燥させる方法が一般的である。乾燥温度としては、前記溶媒を揮発させることが可能で、かつ支持体に悪影響を与えない範囲の温度に設定すればよい。
前記支持体表面への前記受容層形成用組成物の付着量は、導電性インク等の流動体中に含まれる溶媒量や、導電性パターン等の厚さ等を勘案し、支持体の面積に対して樹脂固形分として、0.01g/m2〜20g/m2の範囲であることが好ましく、流動体中の溶媒の吸収性と製造コストを勘案すると0.01g/m2〜10g/m2が特に好ましい。
また、支持体表面への前記受容層形成用組成物の付着量を増加させることで、受容基材の細線性をより一層向上させることができる。ただし、付着量が増加すると、受容基材の風合いが若干硬くなる傾向があるため、例えば、折り曲げ可能なフレキシブルプリント基板等の良好な柔軟性の求められる場合には、概ね0.02g/m2〜10g/m2程度の比較的薄めにすることが好ましい。一方、用途等によっては、概ね10g/m2〜100g/m2程度の比較的厚膜となる態様で使用してもよい。
→膜厚の下限を変更しました。
前記方法で得られた本発明の受容基材は、前記流動体として導電性インクを用いた場合にも好適に使用でき、例えば前記したプリンテッドエレクトロニクス分野において、もっぱら導電性パターン等の形成に好適に使用できる。より具体的には、電子回路や集積回路等に使用される回路形成用基板に好適に使用することができる。
前記受容基材及び回路形成用基板には、前記流動体として導電性インクを用いて印刷を施すことができる。具体的には、前記受容基材を構成する受容層上に、導電性インクを用いて印刷を施し、次いで、焼成工程を経ることによって、前記受容基材上に、例えば導電性インク中に含まれる銀等の金属からなる導電性物質からなる導電性パターンを形成することができる。
前記流動体として使用可能な導電性インクとしては、前記顔料インク等と同様に、概ね25℃におけるB型粘度計で測定した粘度が0.1mPa・s〜500,000mPa・s、好ましくは0.5mPa・s〜10,000mPa・sである液状または粘稠液状のものを指し、導電性物質や顔料等が溶媒中に分散等したものである。前記流動体をインクジェット印刷法によって印刷等する場合には、前記0.5mPa・s〜10000mPa・sの粘度範囲の流動体を使用することが好ましい。
前記導電性インクとしては、例えば導電性物質と溶媒と、必要に応じて分散剤等の添加剤を含有するものを使用することができる。
前記導電性物質としては、遷移金属またはその化合物を使用することができる。なかでもイオン性の遷移金属を使用することが好ましく、例えば銅、銀、金、ニッケル、パラジウム、白金、コバルト等の遷移金属を使用することが好ましく、銀、金、銅等を使用することが、電気抵抗が低く、腐食に強い導電性パターンを形成できるのでより好ましい。
前記導電性物質としては、概ね1nm〜50nm程度の平均粒径を有する粒子状のものを使用することが好ましい。なお、前記平均粒径は、中心粒径(D50)を意味するものであり、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置で測定した場合の値を示す。
前記金属等の導電性物質は、前記導電性インクの全量に対して10質量%〜60質量%の範囲で含まれることが好ましい。
前記導電性インクに使用する溶媒は、各種有機溶剤をはじめ、水等の水性媒体を使用することができる。本発明の受容基材は、溶剤系の導電性インクを用いる場合に好適に使用することができる。
本発明では、前記導電性インクの溶媒として主に有機溶剤を含む溶剤系導電性インク、前記溶媒として主に水を含む水性導電性インク、更には、前記有機溶剤及び水の両方を含む導電性インクを適宜選択し使用することができる。
なかでも、形成する導電性パターン等の細線性及び密着性等を向上する観点から、前記導電性インクの溶媒として前記有機溶剤及び水の両方を含む導電性インク、前記導電性インクの溶媒として主に有機溶剤を含む溶剤系導電性インクを使用することが好ましく、前記導電性インクの溶媒として主に有機溶剤を含む溶剤系導電性インクを使用することがより好ましい。
特に、本発明の受容基材の有する受容層は、もっぱら前記有機溶剤として、極性溶剤を含む導電性インクと組み合わせて使用することが、前記極性溶剤によって引き起こされうるにじみや密着性の低下等を十分に防止でき、電子回路等の高密度化等の実現に供しうるレベルの細線性を実現することができるため好ましい。
前記溶剤系の導電性インクに使用する溶媒としては、例えばメタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブチルアルコール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、ヘプタノール、ヘキサノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、ペンタデカノール、ステアリルアルコール、アリルアルコール、シクロヘキサノール、テルピネオール、ターピネオール、ジヒドロターピネオール等のアルコール系溶剤、2−エチル1,3−ヘキサンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール等のグリコール系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールフェニルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤、グリセリンをはじめとする極性溶剤を使用することができる。
前記極性溶剤のなかでも、水酸基を有する溶剤を使用することが、導電性パターン等のにじみや細線性を防止し、かつ、前記導電性インク中に含まれる導電性物質の受容層表面からの欠落を防止するうえで好ましい。
また、前記溶剤系導電性インクは、物性調整のため、アセトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤を組み合わせて使用することができる。その他、酢酸エチル、酢酸ブチル、3―メトキシブチルアセテート、3−メトキシ−3−メチル−ブチルアセテート等のエステル系溶剤、トルエン等の炭化水素系溶剤、特に炭素数が8以上の炭化水素系溶剤、例えば、オクタン、ノナン、デカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、シクロオクタン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、ドデシルベンゼン、テトラリン、トリメチルベンゼンシクロヘキサン等の非極性溶剤を、必要に応じて組み合わせて使用することもできる。更に、混合溶剤であるミネラルスピリット及びソルベントナフサ等の溶媒を併用することもできる。
しかし、本発明の受容層形成用組成物を用いて形成される受容層は、特に極性溶剤を含む導電性インクと組み合わせて使用することが好ましいから、前記非極性溶剤は、前記導電性インク中に含まれる溶媒の全量に対して0質量%〜40質量%であることがより好ましい。
また、前記導電性インクの溶媒に使用可能な水性媒体としては、例えば水のみを使用してもよいし、または、水と水溶性溶剤の混合溶液を使用してもよい。前記水溶性溶剤としては、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルカルビトール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のアルコール類、N−メチルピロリドン等の極性溶剤を使用することが、導電性パターン等のにじみや細線性を防止し、かつ、前記導電性インク中に含まれる導電性物質の受容層表面からの欠落を防止するうえで好ましい。
前記導電性インク中に含まれる溶媒は、導電性インクの全量に対して40質量%〜90質量%の範囲で含まれることが好ましい。また、前記極性溶剤は、前記溶媒の全量に対して40質量%〜100質量%含まれることが好ましい。
また、前記導電性インクには、前記金属及び溶媒の他に、必要に応じて各種添加剤を使用することができる。
前記添加剤としては、例えば前記金属の前記溶媒中における分散性を向上する観点から、分散剤を使用することができる。
前記分散剤としては、例えばポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドン等のアミン系の高分子分散剤、またポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース等の分子中にカルボン酸基を有する炭化水素系の高分子分散剤、ポリビニルアルコール、スチレン−マレイン酸共重合体、オレフィン−マレイン酸共重合体、或いは1分子中にポリエチレンイミン部分とポリエチレンオキサイド部分とを有する共重合体等の極性基を有する高分子分散剤等を使用することができる。なお、前記ポリビニルアルコールは、溶剤系の導電性インクを使用する場合であっても、分散剤として使用してもよい。
前記受容基材等に、前記導電性インクを用いて印刷する方法としては、例えばインクジェット印刷法、スクリーン印刷法、凸版反転印刷法またはグラビアオフセット印刷法、オフセット印刷法、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ダイコート法、スリットコート法、ロールコート法、ディップコート法等が挙げられる。
前記インクジェット印刷法としては、一般にインクジェットプリンターといわれるものを使用することができる。具体的には、コニカミノルタEB100、XY100(コニカミノルタIJ株式会社製)、ダイマティックス・マテリアルプリンターDMP−3000、ダイマティックス・マテリアルプリンターDMP−2831(富士フィルム株式会社製)等が挙げられる。
前記スクリーン印刷法は、メッシュ状のスクリーン版を用いることによって、導電性インクを、前記受容層の表面に塗布する方法である。具体的には、一般にメタルメッシュといわれる金属製のスクリーン版を用い、所定のパターン形状に導電性パターンを印刷することによって、所定のパターン形状を備えた導電性パターンを形成することができる。
また、前記凸版反転印刷法は、ブランケット上に導電性インクを塗布して導電性インク塗布面を形成し、それを前記受容層に転写する方法である。
前記ブランケットとしては、シリコーンからなるシリコーンブランケットを使用することが好ましい。
はじめに、前記ブランケット上に導電性インクを塗布し、導電性インクからなる層を形成する。次いで、前記導電性インクからなる層に、必要に応じて所定のパターン形状に対応した版を備えた凸版を押圧することで、前記凸版に接触した導電性インクがブランケット上から前記凸版表面に転写される。
次いで、前記ブランケットと、前記受容層とを接触することによって、前記ブランケット上に残存した導電性インクが前記受容層表面に転写される。このような方法によって、所定のパターンを備えた導電性パターンを形成することができる。
また、前記グラビアオフセット印刷法としては、例えば所定のパターン形状を備えた凹版印刷版の溝部に導電性インクを供給した後、その表面にブランケットを押圧することによって、前記ブランケット上に前記導電性インクを転写し、次いで、前記ブランケット上の導電性インクを前記受容層に転写する方法が挙げられる。
前記凹版印刷版としては、例えばグラビア版、ガラス板をエッチングすることによって形成されたガラス凹版等を使用することができる。
前記ブランケットとしては、シリコーンゴム層、ポリエチレンテレフタレート層、スポンジ状の層等を備えた多層構造を有するものを使用することができ、通常、ブランケット胴といわれる剛性のある円筒に巻きついたものを使用する。
前記受容基材上に前記した方法で印刷の施された印刷物には、前記導電性インク中に含まれる導電性物質間を密着し接合することによって導電性を付与することができる。
前記導電性物質を接合する方法としては、加熱焼成する方法、光照射する方法が挙げられる。
前記焼成は、概ね80℃〜300℃の範囲で、概ね2分〜200分程度行うことが好ましい。前記焼成は大気中で行っても良いが、前記金属の酸化を防止する観点から、焼成工程の一部または全部を還元雰囲気下で行っても良い。
また、前記焼成工程は、例えばオーブン、熱風式乾燥炉、赤外線乾燥炉、レーザー照射、フラッシュランプ照射、マイクロウェーブ等を用いて行うことができる。
前記焼成温度は、概ね80℃〜300℃の範囲であることが好ましく、100℃〜300℃がより好ましく、120℃〜300℃が特に好ましい。なお、前記支持体が比較的熱に弱い場合には、温度の上限が好ましくは200℃以下、より好ましくは150℃以下である。
前記焼成工程を経ることによって得られた印刷物の表面には、導電性インク中に含まれる金属によって導電性パターンが形成される。かかる導電性パターンは、各種電気製品等の回路基板及び集積回路基板等に使用することができる。
また、前記導電性パターンとしては、長期間にわたり断線等を引き起こすことなく、良好な通電性を維持可能な信頼性の高い配線パターンを形成するうえで、銅等の金属によるめっき処理が施されたものを使用することができる。具体的には、前記導電性パターンとしては、例えば前記支持体の表面の一部または全部に、前記受容層形成用組成物を用いて形成された受容層を有し、その受容層表面の一部または全部に、めっき核剤を塗布等することによってめっき核を担持し、必要に応じて焼成工程等を経た後、電解めっき処理、無電解めっき処理、または、前記無電解めっき処理後に更に電解めっき処理を施すことによって形成されるめっき被膜を有するものが挙げられる。
前記めっき核剤としては、前記流動体として例示した導電性インクに相当するものを使用することができ、例えば溶媒中にめっき核、具体的には導電性物質が分散等したものを使用することができる。
前記めっき核剤に使用する導電性物質としては、前記導電性インクに使用可能な導電性物質として例示したような金属粒子をはじめ、前記金属の酸化物、有機物によって表面被覆されたもの等を1種類以上使用することができる。
前記金属酸化物は、通常、不活性(絶縁)な状態であるが、例えばジメチルアミノボラン等の還元剤を用いて処理することによって金属を露出させ、活性(導電性)を付与することが可能となる。
また、前記有機物によって表面被覆された金属としては、乳化重合法等によって形成した樹脂粒子(有機物)中に金属を内在させたものが挙げられる。これらは、通常、不活性(絶縁)な状態であるが、例えばレーザー等を用いて前記有機物を除去することによって、金属を露出させ、活性(導電性)を付与することが可能となる。
前記めっき核剤中に含まれる導電性物質は、概ね10nm〜1000nmの範囲の平均粒子径を有するものが好ましい。
また、前記めっき核剤に使用する溶媒としては、前記導電性インクに使用可能な水性媒体、有機溶剤等の溶媒として例示したものと同様のものを使用することができる。
前記無電解めっき処理工程は、例えばパラジウム、銀等のめっき核が担持された受容基材の表面に、無電解めっき液を接触することで、前記無電解めっき液中に含まれる銅等の金属を析出させ金属被膜からなる無電解めっき被膜を形成する工程である。
前記無電解めっき液としては、例えば、銅、ニッケル、クロム、コバルト、スズ等の金属からなる導電性物質と、還元剤と、水性媒体、有機溶剤等の溶媒とを含むものを使用することができる。
前記還元剤としては、例えば、ジメチルアミノボラン、次亜燐酸、次亜燐酸ナトリウム、ジメチルアミンボラン、ヒドラジン、ホルムアルデヒド、水素化ホウ素ナトリウム、フェノール類等を使用することができる。
また、前記無電解めっき液としては、必要に応じて、酢酸、蟻酸等のモノカルボン酸;マロン酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸等のジカルボン酸;リンゴ酸、乳酸、グリコール酸、グルコン酸、クエン酸等のヒドロキシカルボン酸;グリシン、アラニン、イミノジ酢酸、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸等のアミノ酸;イミノジ酢酸、ニトリロトリ酢酸、エチレンジアミンジ酢酸、エチレンジアミンテトラ酢酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸等のアミノポリカルボン酸等の有機酸類、これらの有機酸類の可溶性塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等)、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどのアミン類等の錯化剤を含むものであってもよい。
前記めっき核剤中のめっき核が担持された受容基材の表面に、前記無電解めっき液を接触する際の前記無電解めっき液の温度は、概ね20℃〜98℃の範囲であることが好ましい。
また、電解めっき処理工程は、例えば前記めっき核が担持された受容基材の表面(x)、または、前記無電解処理によって形成された無電解めっき被膜の表面(y)に、電解めっき液を接触した状態で通電することにより、前記電解めっき液中に含まれる銅等の金属を、負極に設置した前記受容基材の表面(x)または前記無電解処理によって形成された無電解めっき被膜の表面(y)に析出させ、電解めっき被膜(金属被膜)を形成する工程である。
前記電解めっき液としては、銅、ニッケル、クロム、コバルト、スズ等の金属からなる導電性物質と、硫酸等と、水性媒体とを含むものを使用することができる。
前記めっき核剤中のめっき核が担持された受容基材の表面に、前記電解めっき液を接触する際の前記電解めっき液の温度は、概ね20℃〜98℃の範囲であることが好ましい。
前記したような無電解めっき処理及び電解めっき処理の工程では、前記したような強酸または強アルカリ性のめっき液を使用する場合が多いため、通常の受容基材では、その受容層が侵され、前記受容層の支持体からの剥離を引き起こす場合が多い。
一方、本発明の受容基材にめっき核剤等の流動体を用いて印刷した後に、前記受容層中の架橋構造を形成したものについては、前記めっき処理工程において、支持体に対する受容層の剥離を引き起こすことがない。特に、前記支持体がポリイミド樹脂等からなるものであっても、受容層の剥離を引き起こすことがないため、前記導電性パターンの製造に極めて好適に使用することができる。
以上のような導電性パターンは、例えば、銀インク等を用いた電子回路の形成、有機太陽電池、電子書籍端末、有機EL、有機トランジスタ、フレキシブルプリント基板、RFID等を構成する周辺配線の形成、プラズマディスプレイの電磁波シールドの配線等を製造する際の導電性パターン、より具体的には回路基板の形成に好適に使用することが可能である。
また、前記方法で得られた導電性パターンのうち、導電性インクやめっき核剤等の流動体を用いた印刷後に、その受容層中に架橋構造を形成して得られた導電性パターンは、めっき処理工程を経た場合であっても、受容層の支持体からの剥離等を引き起こすことなく、良好な通電性を維持可能なレベルの、格段に優れた耐久性を付与できることから、銀インク等を用いた電子回路や集積回路等に使用される回路形成用基板の形成、有機太陽電池や電子書籍端末、有機EL、有機トランジスタ、フレキシブルプリント基板、RFID等を構成する周辺配線の形成、プラズマディスプレイの電磁波シールドの配線等のうち、特に耐久性の求められる用途に好適に使用することができる。特に、前記めっき処理の施された導電性パターンは、長期間にわたり断線等を引き起こすことなく、良好な通電性を維持可能な信頼性の高い配線パターンを形成できることから、例えば、一般に銅張積層板(CCL:Copper Clad Laminate)といわれ、フレキシブルプリント基板(FPC)、テープ自動ボンディング(TAB)、チップオンフィルム(COF)、及びプリント配線板(PWB)等の用途に使用することが可能である。
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。
[調製例1]片末端に2個の水酸基を有するビニル重合体(a1−1)の調製
温度計、攪拌装置、還流冷却管及び窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、メチルエチルケトン 700質量部を仕込み、次いで前記反応容器中にメチルメタクリレート 291質量部と3−メルカプト−1,2−プロパンジオール 8.7質量部と2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル) 0.15質量部を供給し、反応させることによって、数平均分子量3,000の片末端に2個の水酸基を有するビニル重合体(a1−1)の溶剤溶液を得た。
[調製例2]片末端に2個の水酸基を有するビニル重合体(a1−2)の調製
温度計、攪拌装置、還流冷却管及び窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、メチルエチルケトン 700質量部を仕込み、次いで前記反応容器中にメチルメタクリレート 297質量部と3−メルカプト−1,2−プロパンジオール 3質量部と2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル) 0.15質量部を供給し、反応させることによって、数平均分子量12,000の片末端に2個の水酸基を有するビニル重合体(a1−2)の溶剤溶液を得た。
[比較調製例3]主鎖中に2個の水酸基を有するビニル重合体(a1−3)の調製
温度計、攪拌装置、還流冷却管及び窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、メチルエチルケトン 700質量部を仕込み、次いで前記反応容器中にメチル(メタ)アクリレート 261質量部とメタクリル酸2−ヒドロキシエチル(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)22質量部と1−ドデカンチオール17質量部と2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル) 0.15質量部を供給し、反応させることによって、数平均分子量3,000の分子鎖中に2個の水酸基を有するビニル重合体(a1−3)の溶剤溶液を得た。
[実施例1]
温度計、窒素ガス導入管、攪拌器を備えた窒素置換された容器中で、前記調製例1で得たビニル重合体(a1−1)の溶剤溶液286質量部と、ネオペンチルグリコールと1,6−ヘキサンジオールとアジピン酸とを反応させて得られるポリエステルポリオール(数平均分子量2,000)93質量部、2,2―ジメチロールプロピオン酸35質量部及びジシクロヘキシルメタンジイソシアネート86質量部を、有機溶剤としてのメチルエチルケトン 84質量部の存在下、80℃で10時間反応させることによって、重量平均分子量が45,000のウレタン樹脂の有機溶剤溶液を得た。
次いで、前記ウレタン樹脂の有機溶剤溶液にトリエチルアミンを30質量部加えることで、前記ウレタン樹脂が有するカルボキシル基の一部または全部を中和し、さらに水685質量部を加え十分に攪拌することによりウレタン樹脂の水分散体を得た。
次いで、前記ウレタン樹脂の水分散体を脱溶剤し、更に不揮発分が25質量%となるよう水を加え調整することによって、本発明の受容層形成用樹脂組成物を得た。
[実施例2]
温度計、窒素ガス導入管、攪拌器を備えた窒素置換された容器中で、前記調製例2で得たビニル重合体(a1−2)の溶剤溶液286質量部と、ネオペンチルグリコールと1,6−ヘキサンジオールとアジピン酸とを反応させて得られるポリエステルポリオール(数平均分子量2,000)96質量部、2,2―ジメチロールプロピオン酸35質量部及びジシクロヘキシルメタンジイソシアネート84質量部を、有機溶剤としてのメチルエチルケトン 84質量部の存在下、80℃で10時間反応させることによって、重量平均分子量が46,000のウレタン樹脂の有機溶剤溶液を得た。
次いで、前記ウレタン樹脂の有機溶剤溶液にトリエチルアミンを30質量部加えることで、前記ウレタン樹脂が有するカルボキシル基の一部または全部を中和し、さらに水685質量部を加え十分に攪拌することによりウレタン樹脂の水分散体を得た。
次いで、前記ウレタン樹脂の水分散体を脱溶剤し、更に不揮発分が25質量%となるよう水を加え調整することによって、本発明の受容層形成用樹脂組成物を得た。
[実施例3]
温度計、窒素ガス導入管、攪拌器を備えた窒素置換された容器中で、前記調製例1で得たビニル重合体(a1−1)の溶剤溶液10質量部と、ネオペンチルグリコールと1,6−ヘキサンジオールとアジピン酸とを反応させて得られるポリエステルポリオール(数平均分子量2,000)172質量部、2,2―ジメチロールプロピオン酸35質量部及びジシクロヘキシルメタンジイソシアネート91質量部を、有機溶剤としてのメチルエチルケトン 277質量部の存在下、80℃で10時間反応させることによって、重量平均分子量が46,000のウレタン樹脂の有機溶剤溶液を得た。
次いで、前記ウレタン樹脂の有機溶剤溶液にトリエチルアミンを30質量部加えることで、前記ウレタン樹脂が有するカルボキシル基の一部または全部を中和し、さらに水685質量部を加え十分に攪拌することによりウレタン樹脂の水分散体を得た。
次いで、前記ウレタン樹脂の水分散体を脱溶剤し、更に不揮発分が25質量%となるよう水を加え調整することによって、本発明の受容層形成用樹脂組成物を得た。
[実施例4]
温度計、窒素ガス導入管、攪拌器を備えた窒素置換された容器中で、前記調製例1で得たビニル重合体(a1−1)の溶剤溶液571質量部と、ネオペンチルグリコールと1,6−ヘキサンジオールとアジピン酸とを反応させて得られるポリエステルポリオール(数平均分子量2,000)11質量部、2,2―ジメチロールプロピオン酸35質量部及びジシクロヘキシルメタンジイソシアネート82質量部を、80℃で10時間反応させることによって、重量平均分子量が44,000のウレタン樹脂の有機溶剤溶液を得た。
次いで、前記ウレタン樹脂の有機溶剤溶液にトリエチルアミンを30質量部加えることで、前記ウレタン樹脂が有するカルボキシル基の一部または全部を中和し、さらに水685質量部を加え十分に攪拌することによりウレタン樹脂の水分散体を得た。
次いで、前記ウレタン樹脂の水分散体を脱溶剤し、更に不揮発分が25質量%となるよう水を加え調整することによって、本発明の受容層形成用樹脂組成物を得た。
[実施例5]
温度計、窒素ガス導入管、攪拌器を備えた窒素置換された容器中で、前記調製例1で得たビニル重合体(a1−1)の溶剤溶液286質量部と、1,6−ヘキサンジオールとメチルカーボネートとを反応して得られるポリカーボネートポリオール(数平均分子量2,000)93質量部、2,2―ジメチロールプロピオン酸35質量部及びジシクロヘキシルメタンジイソシアネート86質量部を、有機溶剤としてのメチルエチルケトン84質量部の存在下、80℃で10時間反応させることによって、重量平均分子量が45,000のウレタン樹脂の有機溶剤溶液を得た。
次いで、前記ウレタン樹脂の有機溶剤溶液にトリエチルアミンを30質量部加えることで、前記ウレタン樹脂が有するカルボキシル基の一部または全部を中和し、さらに水685質量部を加え十分に攪拌することによりウレタン樹脂の水分散体を得た。
[実施例6]
温度計、窒素ガス導入管、攪拌器を備えた窒素置換された容器中で、前記調製例1で得たビニル重合体(a1−1)の溶剤溶液296質量部と、ネオペンチルグリコールと1,6−ヘキサンジオールとアジピン酸とを反応させて得られるポリエステルポリオール(数平均分子量2,000)156質量部、2,2―ジメチロールプロピオン酸11質量部及びジシクロヘキシルメタンジイソシアネート49質量部を、有機溶剤としてのメチルエチルケトン 87質量部の存在下、80℃で10時間反応させることによって、重量平均分子量が45,000のウレタン樹脂の有機溶剤溶液を得た。
次いで、前記ウレタン樹脂の有機溶剤溶液にトリエチルアミンを30質量部加えることで、前記ウレタン樹脂が有するカルボキシル基の一部または全部を中和し、さらに水695質量部を加え十分に攪拌することによりウレタン樹脂の水分散体を得た。
次いで、前記ウレタン樹脂の水分散体を脱溶剤し、更に不揮発分が25質量%となるよう水を加え調整することによって、本発明の受容層形成用樹脂組成物を得た。
[実施例7]
温度計、窒素ガス導入管、攪拌器を備えた窒素置換された容器中で、前記調製例1で得たビニル重合体(a1−1)の溶剤溶液286質量部と、ネオペンチルグリコールと1,6−ヘキサンジオールとアジピン酸とを反応させて得られるポリエステルポリオール(数平均分子量2,000)93質量部、2,2―ジメチロールプロピオン酸35質量部及びジシクロヘキシルメタンジイソシアネート86質量部を、有機溶剤としてのメチルエチルケトン84質量部の存在下、80℃で10時間反応させることによって、重量平均分子量が100,000のウレタン樹脂の有機溶剤溶液を得た。
次いで、前記ウレタン樹脂の有機溶剤溶液にトリエチルアミンを30質量部加えることで、前記ウレタン樹脂が有するカルボキシル基の一部または全部を中和し、さらに水685質量部を加え十分に攪拌することによりウレタン樹脂の水分散体を得た。
次いで、前記ウレタン樹脂の水分散体を脱溶剤し、更に不揮発分が25質量%となるよう水を加え調整することによって、本発明の受容層形成用樹脂組成物を得た。
[実施例8]
温度計、窒素ガス導入管、攪拌器を備えた窒素置換された容器中で、前記調製例1で得たビニル重合体(a1−1)の溶剤溶液286質量部と、ポリオキシテトラメチレングリコール(数平均分子量2,000)93質量部、2,2―ジメチロールプロピオン酸35質量部及びイソホロンジイソシアネート72質量部を、有機溶剤としてのメチルエチルケトン 84質量部の存在下、80℃で10時間反応させることによって、重量平均分子量が45,000のウレタン樹脂の有機溶剤溶液を得た。
次いで、前記ウレタン樹脂の有機溶剤溶液にトリエチルアミンを30質量部加えることで、前記ウレタン樹脂が有するカルボキシル基の一部または全部を中和し、さらに水685質量部を加え十分に攪拌することによりウレタン樹脂の水分散体を得た。
次いで、前記ウレタン樹脂の水分散体を脱溶剤し、更に不揮発分が25質量%となるよう水を加え調整することによって、本発明の受容層形成用樹脂組成物を得た。
[比較例1]
温度計、窒素ガス導入管、攪拌器を備えた窒素置換された容器中で、ネオペンチルグリコールと1,6−ヘキサンジオールとアジピン酸とを反応させて得られるポリエステルポリオール(数平均分子量2,000)174質量部、2,2―ジメチロールプロピオン酸35質量部及びジシクロヘキシルメタンジイソシアネート91質量部を、有機溶剤としてのメチルエチルケトン 284質量部の存在下、80℃で10時間反応させることによって、重量平均分子量が46,000のウレタン樹脂の有機溶剤溶液を得た。
次いで、前記ウレタン樹脂の有機溶剤溶液にトリエチルアミンを30質量部加えることで、前記ウレタン樹脂が有するカルボキシル基の一部または全部を中和し、さらに水685質量部を加え十分に攪拌することによりウレタン樹脂の水分散体を得た。
次いで、前記ウレタン樹脂の水分散体を脱溶剤し、更に不揮発分が25質量%となるよう水を加え調整することによって、受容層形成用樹脂組成物を得た。
[比較例2]
前記ビニル重合体(a1−1)の溶剤溶液の代わりに、前記比較調製例3で得たビニル重合体(a1−3)の溶剤溶液286質量部を使用すること以外は、実施例1と同様の方法で不揮発分25質量%の受容層形成用樹脂組成物を得た。
表1または2中の略号を以下に説明する。
「PES1」;ネオペンチルグリコールと1,6−ヘキサンジオールとアジピン酸とを反応させて得られるポリエステルポリオール(数平均分子量2,000)
「PTMG」;ポリオキシテトラメチレングリコール(数平均分子量2,000)
「DMPA」;2,2―ジメチロールプロピオン酸
「HMDI」;ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート
「IPDI」;イソホロンジイソシアネート
「PC」;1,6−ヘキサンジオールとメチルカーボネートとを反応して得られるポリカーボネートポリオール(数平均分子量2,000)
[受容基材の作製方法]
前記実施例1で得た受容層形成用樹脂組成物を、乾燥膜厚が3μmになるように、下記(i)〜(iii)で示される3種類の支持体の表面に、それぞれバーコーターを用いてそれぞれ塗工し、熱風乾燥機を用いて70℃で3分間乾燥することによって、各支持体上に受容層の形成された3種類の受容基材を作製した。
前記実施例1で得た受容層形成用樹脂組成物の代わりに、実施例2〜8及び比較例1〜2で得た受容層形成用樹脂組成物をそれぞれ使用すること以外は、前記[受容基材の作製方法]と同様の方法で、受容層形成用樹脂組成物の1種類あたり、支持体の異なる3種類の受容基材を作製した。
[支持体]
(i)PET;ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績株式会社製 コスモシャインA4300,厚さ50μm)
(ii)PI;ポリイミドフィルム(東レ・デュポン株式会社製Kapton200H,厚さ50μm)
(iii)GL;ガラス:ガラス板,JIS R3202,厚さ2mm
[支持体と受容層との密着性の評価方法]
前記印刷を施す前の各受容基材の表面(受容層上)にセロハン粘着テープ(ニチバン株式会社製,CT405AP−24,24mm)を指で圧着した後、前記セロハン粘着テープを、受容基材の表面に対して90度方向に剥離した。剥離したセロハン粘着テープの粘着面を目視で観察し、その付着物の有無に基づいて前記密着性を評価した。
前記剥離したセロハン粘着テープの粘着面に、受容層が全く付着していなかったものを「A」、粘着テープの貼付面積に対して約5%未満の範囲の受容層が支持体から剥離し、粘着テープに付着したものを「B」粘着テープの貼付面積に対して約5%以上50%未満の範囲の受容層が支持体から剥離し、粘着テープに付着したものを「C」、粘着テープの貼付面積に対して約50%以上の範囲の受容層が支持体から剥離し、粘着テープに付着したものを「D」と評価した。
[印刷性の評価方法]
支持体として前記『(i)PET;ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績株式会社製 コスモシャインA4300,厚さ50μm)』を用いて得られた受容基材表面に、インクジェットプリンター(Roland社製のSP−300V)を用い、流動体として、グリコール系高極性溶剤と顔料とを含む下記9色の溶剤系顔料インクを、下記に例示した順に重ねて印刷することによって、100%〜400%ベタ画像の印刷物を得た。
[9色のインクの説明]
・C100%インク
・Y100%インク
・M100%インク
・Bk100%インク
・C100%とM100%とからなる合計200%のインク
・M100%とY100%とからなる合計200%のインク
・Y100%とC100%とからなる合計200%のインク
・C100%とM100%とY100%とからなる合計300%のインク
・C100%とM100%とY100%とK100%とからなる合計400%のインク
前記溶剤系顔料インクを用いて印刷して得られた印刷画像の印刷性は、下記基準に基づいて評価した。
A;前記「合計400%のインク」を用いて形成された印刷画像に色むらやにじみ、クラック等が一切発生しておらず、均一な印刷画像を形成した。
B;前記「合計300%のインク」を用いて形成された印刷画像には色むらやにじみ、クラック等が一切発生していなかったものの、続けて、前記印刷画像上に重ねて、前記「合計400%のインク」を用いて印刷し得られた印刷画像には、若干のにじみや色むらが発生した。
C;前記「C100%とM100%とからなる合計200%のインク」、「M100%とY100%とからなる合計200%のインク」、及び、「Y100%とC100%とからなる合計200%のインク」を用い印刷して形成された印刷画像には、色むらやにじみ、クラック等が一切発生していなかったが、続けて前記印刷画像上に重ねて、前記「合計300%のインク」を用いて印刷して得られた印刷画像には、にじみや色むらが発生した。
D;前記「C100%インク」、「Y100%インク」、「M100%インク」及び「Bk100%インク」を用いて形成された印刷画像には色むらやにじみ、クラック等が一切発生していなかったものの、続けて前記印刷画像上に重ねて、前記「合計200%のインク」を用いて印刷して得られた印刷画像には、にじみや色むらが発生した。
E;前記「C100%インク」「Y100%インク」「M100%インク」及び「Bk100%インク」のいずれのインクを用いて印刷した場合も、得られた印刷画像ににじみや色むら、クラックの発生が見られた。
[流動体としての導電性インクの調製方法]
[インクの調製方法]
[インクジェット印刷用ナノ銀インクの調製]
ジエチレングリコールジエチルエーテル65質量部と、γ−ブチロラクトン18質量部と、テトラエチレングリコールジメチルエーテル15質量部と、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル2質量部とからなる混合溶媒に、平均粒径30nmの銀粒子を分散させることによって、溶剤系インクジェット印刷用ナノ銀インクを調製した。
[スクリーン印刷用銀ペーストの調製]
銀 ペースト(ハリマ化成株式会社製 NPS)を用いた。
[インクジェット印刷法による印刷]
前記インクジェット印刷用ナノ銀インクを、それぞれ、前記支持体(i)、(ii)及び(iii)を用いて得られた3種の受容基材表面に、インクジェットプリンター(コニカミノルタIJ株式会社製インクジェット試験機EB100、評価用プリンタヘッドKM512L、吐出量42pl)を用い、線幅100μm、膜厚0.5μmの直線を約1cm印刷し、次いで150℃の条件下で30分間乾燥することによって、それぞれ印刷物(導電性パターン)を得た。
[スクリーン印刷法による印刷]
前記スクリーン印刷用銀ペーストを、それぞれ、前記支持体(i)、(ii)及び(iii)を用いて得られた3種の受容基材表面に、メタルメッシュ250のスクリーン版を用いて、線幅50μm、膜厚1μmの直線を約1cm印刷し、次いで150℃の条件下で30分間乾燥することによって印刷物(導電性パターン)を得た。
[細線性の評価方法]
前記した方法で得られた印刷物(導電性パターン)表面に形成された印刷部(線部)全体を、光学顕微鏡(株式会社キーエンス製デジタルマイクロスコープVHX−100)を用いて観察し、該印刷部のにじみの有無を確認した。
具体的には、印刷部(線部)の外縁部ににじみが見られず、印刷部と非印刷部との境界が明確であり、線部の外縁部と中央部とで高さに差が見られず線部全体として平滑であるものを「A」、印刷部(線部)の外縁部のごく一部に、若干のにじみが確認できたものの、全体として印刷部と非印刷部との境界が明確であり、線部全体が平滑であるものを「B」、印刷部(線部)の外縁部の約1/3以内の範囲に、若干のにじみが確認でき、その部分において印刷部と非印刷部との境界が一部で不明確であるものの、線部全体は平滑であり使用可能なレベルであるものを「C」、印刷部(線部)の外縁部の約1/3〜1/2程度の範囲でにじみが確認でき、その部分において印刷部と非印刷部との境界が一部で不明確となり、線部の外縁部と中央部とで平滑でなかったものを「D」、印刷部(線部)の外縁部の約1/2以上の範囲でにじみが確認でき、その部分において印刷部と非印刷部との境界が一部で不明確となり、線部の外縁部と中央部とで平滑でなかったものを「E」と評価した。
[通電性の評価方法]
前記インクジェット印刷用ナノ銀インクを、それぞれ、前記支持体(i)及び(ii)を用いて得られた2種の受容基材表面に、インクジェットプリンター(コニカミノルタIJ株式会社製インクジェット試験機EB100、評価用プリンタヘッドKM512L、吐出量42pl)を用い、縦3cm、横1cmの長方形の範囲(面積)を、膜厚0.5μmで印刷し、次いで150℃の条件下で30分間乾燥することによって、それぞれ印刷物(導電性パターン)を得た。
また、前記スクリーン印刷用銀ペーストを、それぞれ、前記支持体(i)及び(ii)を用いて得られた2種の受容基材表面に、メタルメッシュ250のスクリーン版を用いて、縦3cm、横1cmの長方形の範囲(面積)を、膜厚1μm印刷し、次いで150℃の条件下で30分間乾燥することによって印刷物(導電性パターン)を得た。
前記した方法で得られた印刷物(導電性パターン)表面に形成された縦3cm、横1cmの長方形の範囲のベタ印刷部の体積抵抗率を、ロレスタ指針計(三菱化学株式会社製MCP−T610)を用いて測定した。体積抵抗率が5×10−6Ω・cm未満であったものを「A」、5×10−6以上9×10−6Ω・cm未満であり十分使用可能なレベルであるものを「B」、9×10−6以上5×10−5Ω・cm未満であって使用可能であるレベルのものを「C」、5×10−5以上9×10−5Ω・cm未満であるものを「D」、9×10−5以上であって実用上使用することが困難であるものを「E」と評価した。
[無電解めっき処理後の耐久性の評価方法]
ジエチレングリコールジエチルエーテル65質量部と、γ−ブチロラクトン18質量部と、テトラエチレングリコールジメチルエーテル15質量部と、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル2質量部とからなる混合溶媒に、平均粒径30nmの銀粒子(めっき核)を分散させることによって、溶剤系のめっき核剤を調製した。
前記めっき核剤を、前記支持体(ii)を用いて得られた受容基材表面に、インクジェットプリンター(コニカミノルタIJ株式会社製インクジェット試験機EB100、評価用プリンタヘッドKM512L、吐出量42pl)を用い、縦5cm、横5cmの正方形の範囲(面積)を、膜厚0.5μmでベタ印刷し、次いで150℃の条件下で30分間乾燥することによって、それぞれ印刷物を得た。
前記で得た印刷物の表面(めっき核が担持された面)に、活性化剤(奥野製薬工業株式会社製エースクリーンA220)を塗布し、55℃×5分間の条件下でめっき核の活性化処理を行った。
次いで、前記活性化処理の施された面に、無電解銅めっき剤(奥野製薬工業株式会社製OPC−750)を塗布し、20℃×20分の条件で無電解銅めっき処理を行った。
これにより、前記めっき核の担持された表面に、銅からなるめっき被膜が形成された導電性パターンX(めっき構造体X)を得た。
前記で得た導電性パターンX(めっき構造体X)のめっき膜表面に、セロハン粘着テープ(ニチバン株式会社製,CT405AP−24,24mm)を指で圧着した後、前記セロハン粘着テープを、導電性パターンX(めっき構造体X)の表面に対して90度方向に剥離した。剥離したセロハン粘着テープの粘着面を目視で観察し、その付着物の有無に基づいて前記密着性を評価した。
前記剥離したセロハン粘着テープの粘着面に、付着物が全く見られなかったものを「A」、粘着テープの貼付面積に対して約5%未満の範囲で金属めっき、銀、受容層のいずれかが支持体から剥離し、粘着テープに付着したものを「B」粘着テープの貼付面積に対して約5%以上50%未満の範囲で金属めっき、銀、受容層のいずれかがインク受容層が支持体から剥離し、粘着テープに付着したものを「C」、粘着テープの貼付面積に対して約50%以上の範囲で金属めっき、銀、受容層のいずれかが支持体から剥離し、粘着テープに付着したものを「D」と評価した。
[電解めっき処理後の耐久性の評価方法]
ジエチレングリコールジエチルエーテル65質量部と、γ−ブチロラクトン18質量部と、テトラエチレングリコールジメチルエーテル15質量部と、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル2質量部とからなる混合溶媒に、平均粒径30nmの銀粒子(めっき核)を分散させることによって、溶剤系のめっき核剤を調製した。
前記めっき核剤を、前記支持体(ii)を用いて得られた受容基材表面に、インクジェットプリンター(コニカミノルタIJ株式会社製インクジェット試験機EB100、評価用プリンタヘッドKM512L、吐出量42pl)を用い、縦5cm、横5cmの正方形の範囲(面積)を、膜厚0.5μmでベタ印刷し、次いで150℃の条件下で30分間乾燥することによって、それぞれ印刷物を得た。
前記で得た印刷物の表面(めっき核が担持された面)に、活性化剤(奥野製薬工業株式会社製エースクリーンA220)を塗布し、55℃×5分間の条件下でめっき核の活性化処理を行った。
次いで、前記活性化処理された面に、硫酸銅めっき(奥野製薬工業株式会社製トップルチナ81SW)を塗布し、25℃、3Amp、90分/dm2の条件で電解めっき処理を行うことによって、前記導電性パターンX(めっき構造体X)の銅からなるめっき被膜の表面に、銅からなるめっき被膜が積層した導電性パターンY(めっき構造体Y)を得た。
前記で得た導電性パターンY(めっき構造体Y)のめっき膜表面に、セロハン粘着テープ(ニチバン株式会社製,CT405AP−24,24mm)を指で圧着した後、前記セロハン粘着テープを、導電性パターンX(めっき構造体X)の表面に対して90度方向に剥離した。剥離したセロハン粘着テープの粘着面を目視で観察し、その付着物の有無に基づいて前記密着性を評価した。
前記剥離したセロハン粘着テープの粘着面に、付着物が全く見られなかったものを「A」、粘着テープの貼付面積に対して約5%未満の範囲で金属めっき、銀、受容層のいずれかが支持体から剥離し、粘着テープに付着したものを「B」粘着テープの貼付面積に対して約5%以上50%未満の範囲で金属めっき、銀、受容層のいずれかがインク受容層が支持体から剥離し、粘着テープに付着したものを「C」、粘着テープの貼付面積に対して約50%以上の範囲で金属めっき、銀、受容層のいずれかが支持体から剥離し、粘着テープに付着したものを「D」と評価した。めっき処理工程中にめっき膜が剥離、あるいはめっきが析出しないものを「E」とした。