JP5594046B2 - 偽造防止媒体およびその製造方法、並びに偽造防止媒体を有する接着ラベル - Google Patents

偽造防止媒体およびその製造方法、並びに偽造防止媒体を有する接着ラベル Download PDF

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本発明は、複写防止機能を有する偽造防止媒体およびその製造方法、並びに偽造防止媒体を有する接着ラベルに関する。
従来、銀行券、商品券、パスポートなどの有価証券や認証媒体は、偽造防止対策として偽造の困難な媒体の貼付を行ってきた。そこでは、目視による判定( オバート機能) または検証器を用いた判定(コバート機能) により真贋判定を行っている。
オバート機能としては、近年では、特殊な光学効果を一瞥にて判別可能であることから、回折格子、ホログラム等の光学素子を利用した偽造防止媒体が様々な物品に対して使用されている。
しかしながら、回折格子やホログラムは包装材料等に多く利用され、入手し易くなっていることから、さらに偽造し難い偽造防止媒体が必要となっている。
この問題に対して、特許文献1では、回折格子パターンにおいて空間周波数が同じで方向が互いに90度異なる絵柄を有し、照明光を当てて肉眼で観察した場合に、絵柄内で反射回折する方向が異なることを利用して、見る角度によりパターン全体の色や明るさが変わって視覚される複写防止機能を有する偽造防止媒体としての回折格子パターンを提案した。
また、コバート機能としては、近年、偏光技術を用いた潜像技術が提案され、偏光フィルムを重ねることにより潜像を出現させ真偽判定を行っている。
特許第3458470号公報
上述の複写防止機能を有する偽造防止媒体としての回折格子パターンの提案においては、回折格子パターンを形成した後に反射層を成膜するという独立した2つの工程を経て、偽造防止媒体を作製しており、製造上および品質管理上の負荷が大きい。
本発明は、かかる問題点に鑑みて提案するものであり、解決しようとする課題は、複写防止機能を有し、容易に製造できる構造の偽造防止媒体を提供することにある。
また、本発明が解決しようとする他の課題は、その偽造防止媒体の簡単な製造方法を提供することにある。
さらに、本発明が解決しようとする他の課題は、その偽造防止媒体を有する接着ラベルを提供することにある。
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、支持基材上に反射層と光学機能層とをこの順に有する偽造防止媒体であって、前記光学機能層はパターン形成された複数の領域からなり、前記複数の各領域は互いに異なる一定方向の光学異方性を有し、かつ、前記各領域の前記光学異方性は複数の微小亀裂の整列により形成され、前記光学機能層は液晶分子からなることを特徴とする偽造防止媒体である。
た、請求項に記載の発明は、請求項に記載の偽造防止媒体において、前記液晶分子は液晶層を形成し、前記液晶層は、0°、45°、90°の互いに異なる3つの方向に配向しており、配向方向に沿った微小亀裂が入った部分と、微小亀裂が入っていない部分とを含むことを特徴とする。
また、請求項に記載の発明は、支持基材上に反射層を設ける第1の工程と、前記反射層上に不完全硬化部分を有する光学機能層をパターン形成する第2の工程と、前記第2の工程後に、前記光学機能層上に有機溶媒を含む塗料を塗布し、下地の不完全硬化部分の光学機能層に微小亀裂を形成する第3の工程と、を含むことを特徴とする偽造防止媒体の製造方法である。
また、請求項に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の偽造防止媒体と、剥離紙に支持された接着層とを具備し、前記偽造防止媒体の一部に前記接着層が設けられていることを特徴とする接着ラベルである。
また、請求項に記載の発明は、前記偽造防止媒体に、切り欠きおよびミシン目、または切り欠き若しくはミシン目が設けられていることを特徴とする。
本発明の偽造防止媒体は、短い工程で比較的容易に製造できる。また、観察時の光の方向により見え方が変化する一方、コピー装置の光のスキャン方向によりパターンの濃淡が変化するので、オバート機能とコバート機能とを同時に付与することもできる。
また、本発明の偽造防止媒体の製造方法は、従来に比べて偽造防止媒体を製造上および品質管理上の負荷が軽減できる。
さらに、本発明の接着ラベルは、多様な物品に偽造防止の機能を容易に付与することが可能である。
本発明の偽造防止媒体の構造の一例を説明するための概念図であって、(a)は概略正面図、(b)は(a)のA−A線の概略断面図である。 図1の偽造防止媒体をコピーした複写物の一例を示す説明図である。 図1の偽造防止媒体をコピーした複写物の他の一例を示す説明図である。 本発明の偽造防止媒体の構造の他の例を説明するための概略正面図である。 図4の偽造防止媒体を目視で観察したときの説明図である。 図4の偽造防止媒体を検証器を用いて観察したときの説明図である。 図4の偽造防止媒体をコピーした複写物の一例を示す説明図である。 図4の偽造防止媒体をコピーした複写物の他の一例を示す説明図である。 本発明の偽造防止媒体を用いた接着ラベルの一例を説明する模式断面図である。
以下、本発明に係る偽造防止媒体およびその製造方法、並びにその偽造防止媒体を有する接着ラベルについての実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。
(偽造防止媒体の構成)
図1は、本実施形態に係る偽造防止媒体の構造の一例を説明するための概念図であって、(a)は概略正面図、(b)は(a)のA−A線の概略断面図である。
本実施形態に係る偽造防止媒体10は、支持基材3と、支持基材3上に形成される反射層4と、反射層4上に形成される光学機能層7とを備え、支持基材3上に反射層4と光学機能層7とを順に重ねる構造からなる。
光学機能層7は複数の領域1、2を有し、その複数の領域1、2は少なくとも異なる光学異方性を有する領域を含む。例えば、図1(a)(b)に示すように、複数の領域1、2は、領域1が縦方向の光学異方性を示すのに対して、領域2は横方向の光学異方性を示すというように、それぞれが異なる一定方向の光学異方性を有する。また、その各領域1、2の光学異方性は、一定方向の複数の微小亀裂が整列することにより形成されることを特徴とする。
図1の例では、縦方向の光学異方性を示す縦方向の微小亀裂を有する領域1と、横方向の光学異方性を示す横方向の微小亀裂を有する領域2とが、図示のように特定のパターン(図柄)を形成している。
このパターンに対して、外部から入射する光の光学機能層7の面への投射方向が各領域の微小亀裂の整列方向に垂直である場合に最も散乱し、入射光の投射方向が整列方向に平行である場合に最も鏡面反射に近くなる。光の投射方向と微小亀裂の整列方向とが垂直と平行との中間の関係の場合には、散乱光と鏡面反射光との強度比が連続的に変化する。
このため、本例では、散乱光と鏡面反射光とのコントラストにより、「TP」という文字が浮かび上がることになる。
また、光を照射する方向を90°回転させると、散乱光と鏡面反射光が戻ってくる部分が逆転する。そのために、見る角度によってはパターンのコントラストが異なって見えることになる。
反射層4は、光学機能層7の領域1、2の微小亀裂により生じる光学異方性に基づくパターンのコントラストを強調し、明瞭な表示性能を本発明の偽造防止媒体に与える上で重要である。反射層4の材料としては、Al、Sn、Cr、Ni、Cu、Au、Agなどの金属材料の単体、またはこれらの化合物などが挙げられる。
また、膜面に垂直な光に対してほぼ透明であるが、斜光に対して屈折率に応じて反射特性を示す透明な反射層も単層または多層で使用できる。
透明な反射層として使用できる材料の例を以下に挙げる。以下に示す化学式または化合物名の後に続くカッコ内の数値は屈折率nを示す。
セラミックスとしては、Fe2 3 (2.7)、TiO2 (2.6)、CdS(2.6)、CeO2 (2.3)、ZnS(2.3)、PbCl2 (2.3)、CdO(2.2)、WO3 (5)、SiO(5)、Si2 3 (2.5)、In2 3 (2.0)、PbO(2.6)、Ta2 3 (2.4)、ZnO(2.1)、ZrO2 (5)、MgO(1)、SiO2 (1.45)、MgF2 (4)、CeF3 (1)、CaF2 (1.3〜1.4)、AlF3 (1)、Al2 3 (1)、GaO(2)などが挙げられる。
有機ポリマーとしては、ポリエチレン(1.51)、ポリプロピレン(1.49)、ポリテトラフルオロエチレン(1.35)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.60)などが挙げられるがこの限りでない。
反射層4を形成する方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法など公知の方法を適宜使用することができる。また、光反射効果を有するインキ等を公知の印刷方法により設ける方法でもよい。
支持基材3としては、押出加工やキャスト加工により作製された無延伸フィルム及び、延伸加工により作製された延伸フィルム等を用いる事ができる。延伸フィルムには、伸ばし方により、1軸延伸フィルム及び2軸延伸フィルムがあり、両者とも使用できる。
これらの無延伸フィルム及び延伸フィルムの材料としては、セロハン、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリオレフィン(PO)、エチレンビニルアルコール(EVOH)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン、アクリル樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム等があげられる。
光学機能層7としては、液晶分子を用いることができる。この場合には、上記のように光学機能層7で説明した微小亀裂に相当する微小亀裂を、後述のようにして液晶分子の層に作ることができる。この場合、微小亀裂の整列方向を決める要因は、液晶分子の配向方向である。
(偽造防止媒体の製造方法)
次に、偽造防止媒体の製造方法の一例について、図1を参照して説明する。
この製造方法の例では、まず、支持基材3上に反射層4を形成する(図1参照)。
ここで、支持基材3としては、上記の材料を上記の方法で加工したものが使用される。また、反射層4としては上記の材料が使用され、その反射層4の形成には上記の方法が使用される。
次に、反射層4上に、液晶分子からなり、図1の光学機能層7と同様の機能を有する光学機能層(液晶層)を形成する(図1参照)。
この場合には、図1の光学機能層7で説明した微小亀裂に相当する微小亀裂を、液晶分子の層に作るが、微小亀裂の整列方向を決める要因は、液晶分子の配向方向である。
ここで、液晶分子を2軸に配向させる方法としては、部分的に配向処理方向を変えた配向膜上に液晶材料を塗布することにより形成可能である。液晶材料を配向させるための配向膜の配向処理には、例えば光配向法もしくはラビング配向法を用いることができる。
光配向法とは、配向膜に偏光等の異方性を有する光を照射もしくは非偏光光を斜めから照射し、配向膜内の分子の再配列や異方的な化学反応を誘起する方法で、配向膜に異方性を与え、これによって液晶分子が配向することを利用したものである。
光配向のメカニズムとしては、アゾベンゼン誘導体の光異方化、桂皮酸エステル、クマリン、カルコンやベンゾフェノン等の誘導体の光二量化や架橋、ポリイミド等の光分解等があげられる。
具体的には、適当な波長帯域の偏光光若しくは斜めからの非偏光光によりパターン露光することにより行われる。また、偏光潜像部と偏光背景部の如く、2軸方向に配向させる場合は、フォトマスクで配向方向を変えたい部分をカバーしてパターン露光し、さらにフォトマスクでカバーされていた未露光部を処理するため方向を変えて露光すれば良い。または、一度全面をパターン露光した後に、部分的にフォトマスクでカバーして方向を変えて再度露光しても良い。
ラビング配向法は、基材上にポリマー溶液を塗布して作成した配向膜を布で擦る方法で、擦った方向に配向膜表面の性質が変化し、この方向に液晶分子が並ぶという性質を利用したものである。配向膜には、ポリイミド、PVA等が用いられる。
光軸を2軸方向に配向させる場合には、配向方向を変えたい部分をマスクでカバーして布で擦った後にマスクを除去し、今度は先ほどラビングした部分をマスクでカバーし、再び方向を変えて布で擦った後、マスクを除去する。または、全面を布で擦った後に、部分的にマスクでカバーし、方向変えて布で擦った後、マスクを除去しても良い。
これら配向膜を形成する方法としては、グラビアコーティング法、マイクログラビアコーティング法等の公知の手法を用いることができる。
液晶材料としては、メソゲン基の両端にアクリレートを設けた光硬化型液晶モノマー、EB若しくはUVで硬化させる高分子液晶、ポリマー主鎖にメソゲン基を提げた高分子液晶、分子主鎖自体が配向する液晶性高分子を用いることができる。これらの液晶は、塗布後、相転移を起こすNI点より少し下の温度で熱処理することにより、配向を促進することが可能である。
次に、液晶層の配向方向に沿って微小亀裂を入れる方法について説明をする。
この例では、光硬化型液晶に紫外線を照射することで硬化させる場合について説明をする。
液晶層表面の結合重合反応において、未反応の2重結合を残しておくと良い。未反応の2重結合の割合を示すものとして、C=Cの残存2重結合率を用いることが出来る。
残存2重結合率とは、〔C=C結合に基づく吸収(波数:810cm-1)のスペクトル強度〕÷〔液晶分子中の芳香環に基づく吸収(波数:1500cm-1付近)のスペクトル強度〕で定義される。
窒素雰囲気下で重合させる場合、酸素濃度が低すぎると十分に反応してしまうので、窒素雰囲気中の酸素濃度は0.5%以上とすると良い。また、液晶分子中の硬化前の残存2 重結合率に対して硬化後の残存2重結合率が50%以上95%以下であると良い。望ましくは、70%〜90%であると良い。残存2重結合率が低く硬化が進み過ぎた状態では、後述のように液晶層の配向方向に沿って微小亀裂を入れることが難しくなる一方、残存2重結合率が高く極端な未硬化状態では、表面のべたつき等により、取り扱い上の不都合が生じるからである。
上記のように、未反応の2重結合が残存していることにより液晶層の硬化が不十分となる。硬化が不十分である液晶層は耐溶剤性が低下しており、溶剤によるアタックを受けやすい。特に、液晶に溶解性のある有機溶剤を用いると、配向方向に沿った微小亀裂が入りやすくなる。また、他の方法として、支持基材を延伸させることによっても、液晶層に配向方向に沿って微小亀裂を生じさせることが出来る。
液晶分子を重合させる条件としては、空気中で紫外線を照射しても良いし、窒素雰囲気下で紫外線を照射しても良い。液晶材料に応じて、紫外線の照射量で残存2重結合率を調整すると良い。
上記の溶剤アタックによる微小亀裂をさせる方法として、液晶を溶解する有機溶剤に浸漬させても良いし、有機溶剤を含む塗料を液晶層の次層に積層しても良いが、特に、後者が短い工程で容易に製造する方法として適している。前者の場合、有機溶剤に浸漬しただけでは、液晶にクラックが入ってしまい表層が脆くなってしまう。そのため、それを保護するための層を改めて設けなければならない。しかし、後者であれば、クラック与えると同時に保護層を設けられる。
上記のように、2軸方向に配向させ、なおかつ硬化が不十分である液晶に対して溶剤を接触させると、液晶の配向方向に沿ってクラックが生じる。そのため、液晶の配向方向に沿った微小亀裂を得られる。液晶分子が平行に規則正しく配列しているため、微小亀裂は、例えば回折格子形状のような平行で規則正しい形状となる。
上記の液晶の配向方向に沿った微小亀裂により、亀裂の方向によって散乱光の方向が変化する。すると、肉眼で観察した場合に、見る角度によって、配向方向の異なる部分の明るさが異なって認識されるので、オバート機能を有する偽造防止媒体となる。
次に、本実施形態に係る偽造防止媒体10は、複写防止機能とその他のコバート機能を有する偽造防止媒体としても利用できることを以下に説明する。
例えば、図1の光学機能層7の領域1、2が液晶分子からなるパターンを構成し、それをコピーする場合を例に説明する。
コピー装置の光源がパターン上をスキャンする際に、スキャンに応じて被コピー物からの正反射光の受光部が移動する方向(以下、便宜的に「スキャン方向」と称する)と、パターン内の液晶配向方向すなわち、微小亀裂の整列方向とが直交していると、そのパターンはコピーされるが、他部分はコピーされないことになり、複写物(コピー)の見え方が、明らかに元のパターンとは異なると認識されることにより、それが正規のパターンではなく複写物であることを判別できる。
スキャン方向が図1(a)の縦方向、すなわち「TP」文字パターンの液晶配向方向に相当する微小亀裂の整列方向に垂直な場合の、図1のパターンの複写物を図2に示す。
図2によれば、散乱部がコピーされて複写物の白部(明部)5を形成し、文字パターン以外の領域はスキャン方向と平行な微小亀裂の整列方向を有するので鏡面反射部となり、コピーされないで複写物の黒部(暗部)6を形成する。
すなわち、図2では、文字「TP」からの反射光は受光部に検知されているため、パターンが同図で白く複写されているが、文字の回りからの反射光は受光部に検知されずに同図で黒くなってしまう。
一方、スキャン方向が図1(a)の横方向、すなわち「TP」文字パターンの液晶配向方向に相当する微小亀裂の整列方向に平行な場合、図3のように文字「TP」からの反射光は受光部に検知されずに複写物の黒部(暗部)6を形成し、文字の回りからの反射光は受光部に検知されて複写物の白部(明部)5を形成することになるので、図2のスキャン方向の異なる場合と較べて、異なる複写物が得られることになる。
モノクロコピーの場合には、ブラックのトナーのみの濃淡で再現されるが、白/黒の関係はコピー装置側の処理で反転等が可能なため絶対的なものではなく、同一の偽造防止媒体内のパターンの関係のみが本質的である。
カラーコピーの場合には、白以外の色は、イエロー,マゼンタ,シアンの3色もしくはブラックを加えた4色のトナーによる減法混色により色再現されるが、各分解色毎の明暗関係がモノクロコピーと同様の濃淡関係で再現され、それらの合成色がコピーの色調を決める。
そのため、コピー装置のスキャン方向と偽造防止媒体の設置方向により、異なる複写物が得られることはモノクロコピーの場合と同様であり、元の偽造防止媒体とは異なる複写物であることは簡単に判明する。
(偽造防止媒体の他の構成)
次に、図1の光学機能層7を液晶層で形成する場合の偽造防止媒体の他の構成例について、図4の参照して説明する。
この偽造防止媒体10aは、図4に示すように、液晶層が、0°方向、45°方向、90°方向の3軸方向に液晶分子を配向させた領域41、42、43からなる。さらに、硬化度が不十分である液晶層44と硬化度が十分である液晶層45とを同一面内に備えるようにしても良い。
これらの液晶層は溶剤アタックを受けると、液晶層44の各領域41、43は異なる配向方向に沿った微小亀裂が生じるが、液晶層45の部分は十分に硬化されているため耐溶剤性を備えているので、液晶層45の各領域41、42は異なる配向状態に沿った微小亀裂は生じない。
光学機能層としての前記液晶層の上に液晶に溶解性のある有機溶剤を含む塗料を塗布すると、図5のように、硬化度が不十分である液晶層44は文字パターンとその周辺部とで微小亀裂の整列方向が異なることにより、亀裂の方向によって散乱光と鏡面反射光の方向が変化するので文字が目視で見えるパターン認識可能部51となる。しかし、硬化度が十分である液晶層45は亀裂が生じていないので、均一に反射光が戻ってくることとなり、文字が目視で見えないパターン認識不可能部52となる。
さらに図4に示す偽造防止媒体10aをコピーすると、図7もしくは図8のように複写され、本物とは異なることが一目で確認されるので、複写防止機能を有する。
いずれも液晶層の中で、硬化度が不十分である液晶層44に対応する部分が、パターン表示部71、またはパターン表示部81ように異なる複写物となり、硬化度が十分である液晶層45に対応する部分は、パターン非表示部72、82のように均質な複写物部分となる。
また、図4に示す偽造防止媒体10aを、偏光子63を有する検証機で確認すると、図6(a)または(b)のように見える。
硬化度が十分である液晶層45に対応するパターン認識可能部62では、偏光子63を通さない目視では、図5のパターン認識不可能部52と同様に文字パターンの認識はできないが、偏光子63を通して観察する部分では、液晶層の配向方向と偏光子の回転の向きによる濃淡により文字パターンが認められる。さらには、図6(a)と(b)のように偏光子63の傾きを変化させると、偏光子63を通して認識される文字パターンのネガとポジが反転する。
以上述べたように、本発明の偽造防止媒体は、複写防止機能及びオバート機能やコバート機能を兼ね備えており、セキュリティ性の高い偽造防止媒体であるため、有価証券やブランド品、証明書等の偽造を防止するために使用されるラベルや、転写箔、偽造防止用紙などに利用することに最適である。
しかも、偽造防止媒体を比較的短い工程で容易に製造することができるので、それを用いて加工される接着ラベルや転写箔も低コストで信頼性の高いものを提供することができる。
(接着ラベルの構成)
図9は、本発明の偽造防止媒体を適用した接着ラベルの模式断面図である。
この接着ラベルは、図1、図4に示す偽造防止媒体10、10aが適用可能であるが、図1に示す偽造防止媒体10を適用した場合について説明する。
図9に示すように、接着ラベル20は、偽造防止媒体10と、剥離紙96に支持された接着層95とを備え、偽造防止媒体10の一部(片面)である偽造防止媒体10裏面側に接着層95が設けられている。
剥離紙96および接着層95は、一般的な接着ラベルまたは粘着ラベルに用いられるものと同様のものが使用でき、剥離紙96を剥がして接着層面を被接着体に押し当てて、接着ラベル20を被接着体に接着することができる。
ここで、接着層とは、いわゆる粘着層として貼付と剥がしを繰り返し利用することも可能な機能を含む。本発明の偽造防止媒体が短い工程で比較的容易に製造できるので、予め剥離紙上に塗布した接着層を本発明の偽造防止媒体と貼り合わせることによって、実用性の高い接着ラベルを容易に提供することができる。
接着ラベル20は、貼り合わせてある偽造防止媒体10に切り欠きおよびミシン目、または切り欠き若しくはミシン目を設けることで、さらに使用し易いラベルとすることができる。
図示していないが、偽造防止媒体10に設けたパターンの表示単位に合わせて、切り欠きやミシン目を設けることにより、接着ラベルの剥離紙96を剥がして接着層95面を被接着体に押し当てる際に、その切り欠きやミシン目に沿って必要な領域を限定して偽造防止媒体10を接着できる。
本発明の偽造防止媒体の製造工程に、予め、切り欠きやミシン目を連続的に形成する一般的な工程を付加することは容易であり、さらに実用性の高い接着ラベルを容易に提供することができる。
(実施例1)
以下、本発明の実施例1について説明する。
この実施例1では、アルミ蒸着フィルムのメタルミー25SS(東レ株式会社製)を支持基材3とし、溶剤に配向膜用樹脂を溶解した配向膜溶液をマイクログラビア法で支持基材上に塗布し、その支持基材上に成膜を行った。
その後、ラビング布を用いて光学機能層の領域1、2をそれぞれ0°方向、45°方向にパターン状にラビング処理を行い、配向膜を作製した。
その後、DIC株式会社製のUVキュアラブル液晶UCL−008をマイクログラビアにて塗工し、空気中でUV硬化を100mJ/cm2 の照射量で行い、液晶層を用いた光学機能層7の領域1、2を得た。
さらに、シクロペンタノンにソルバインA( 日信化学社製) を溶解して塗料を作成し、液晶層上にダイレクトグラビアにて塗工を行った。硬化度が不十分である液晶層はシクロペンタノンに対して耐性がないため、液晶の配向方向に沿って規則正しい微小亀裂が生じた。
このように作製した偽造防止媒体を目視で確認したところ、見る角度によって光学機能層の領域1と領域2の部分で明るさが異なって見えた。さらに、複写機にて複写を行おうとしたところ、図2もくしは図3のようになり、本発明品の本物の目視像に近い画像は得られなかった。
(実施例2)
以下、本発明の実施例2について説明する。
この実施例2では、まず、アルミ蒸着フィルムのメタルミー25SS(東レ株式会社製)を支持基材3とし、溶剤に配向膜用樹脂を溶解した配向膜溶液をマイクログラビア法で支持基材上に塗布し、その支持基材上に成膜を行った。
その後、ラビング布を用いて光学機能層41及び、42、43部をそれぞれ0°方向、45°方向、90°方向にパターン状にラビング処理を行い、配向膜を作製した。
その後、DIC株式会社製のUVキュアラブル液晶UCL−008をマイクログラビアにて塗工し、窒素雰囲気下で44に10mJ/cm2 のUVを照射し、45には300mJ/cm2 のUVを照射した。
さらに、シクロペンタノンにソルバインA( 日信化学社製) を溶解して塗料を作製し、液晶層上にダイレクトグラビアにて塗工を行った。硬化度が不十分である液晶層はシクロペンタノンに対して耐性がないため、配向方向に沿って規則正しい微小亀裂が生じた。
このように作製した偽造防止媒体を目視で確認したところ、図5のように確認され、硬化度が不十分である液晶層44の部分は見る角度によって液晶層41の部分と液晶層43の部分とで明るさが異なって文字パターンとして見えた。
さらに、偏光子63を用いて確認したところ、図6のような画像が認められた。また、複写機にて複写を行おうとしたところ、図7もくしは図8のようになり、本発明品の本物の目視像に近い画像は得られなかった。
1、2・・・光学機能層の領域
3・・・支持基材
4・・・反射層
7・・・光学機能層
10、10a・・・偽造防止媒体
20・・・接着ラベル
41〜43・・・配向方向が異なる液晶層
44・・・硬化度が不十分である液晶層
45・・・硬化度が十分である液晶層
51 61 71 81・・・パターン認識可能部
52 62 72 82・・・パターン認識不可能部
63・・・偏光子
95・・・接着層
96・・・剥離紙

Claims (5)

  1. 支持基材上に反射層と光学機能層とをこの順に有する偽造防止媒体であって、
    前記光学機能層はパターン形成された複数の領域からなり、前記複数の各領域は互いに異なる一定方向の光学異方性を有し、かつ、前記各領域の前記光学異方性は複数の微小亀裂の整列により形成され、前記光学機能層は液晶分子からなることを特徴とする偽造防止媒体。
  2. 前記液晶分子は液晶層を形成し、前記液晶層は、0°、45°、90°の互いに異なる3つの方向に配向しており、配向方向に沿った微小亀裂が入った部分と、微小亀裂が入っていない部分とを含むことを特徴とする請求項1に記載の偽造防止媒体。
  3. 支持基材上に反射層を設ける第1の工程と、
    前記反射層上に不完全硬化部分を有する光学機能層をパターン形成する第2の工程と、
    前記第2の工程後に、前記光学機能層上に有機溶媒を含む塗料を塗布し、下地の不完全硬化部分の光学機能層に微小亀裂を形成する第3の工程と、
    を含むことを特徴とする偽造防止媒体の製造方法。
  4. 請求項1または請求項2に記載の偽造防止媒体と、剥離紙に支持された接着層とを具備し、前記偽造防止媒体の一部に前記接着層が設けられていることを特徴とする接着ラベル。
  5. 前記偽造防止媒体は、切り欠きおよびミシン目、または切り欠き若しくはミシン目が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の接着ラベル。
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