JP2010221540A - 潜像形成体とその真偽判定方法及びこれを用いた媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】偏光技術を用いた潜像を、単純な画像ではなく複雑な画像にする等、画像自体に工夫を凝らし、さらに偽造が困難な潜像形成体を提供する。
【解決手段】基材上に、位相差層を設けた潜像形成体において、位相差層が、少なくとも網点で形成された偏光潜像部を有し、該偏光潜像部は、網点潜像部と網点背景部とからなることにより、偏光潜像及び網点潜像の双方を検証可能な検証器具を用いて、偏光潜像及び網点潜像の出現の有無から真偽判定を行うことが可能な潜像形成体を提供する。
【選択図】図6

Description

本発明は、物品の偽造防止及び真贋判定を行うための隠し文字や隠しパターンを、フィルタを用いることによって表示させることを目標とした潜像を用いた潜像形成体に関するものであり、隠し文字や隠しパターンの中にさらなる潜像を備えた潜像形成体とその検証方法に関するものである。
従来から、銀行券、商品券、パスポート等の有価証券や認証媒体は、偽造防止対策として偽造の困難な媒体の貼付を行ってきた。そこでは、目視による判定(オバート機能)又は検証器を用いた判定(コバート機能)を用いて真贋判定を行っている。
しかし、目視による真贋判定が行える偽造防止媒体は、施された偽造防止技術が視認されてしまうが故に、偽造防止技術に気づかれ易く、それにより偽造もされ易いという現状がある。そこで、近年は、検証器を用いた真贋判定を行う偽造防止媒体に注目が集まっており、偏光技術を用いて潜像を形成し、偏光フィルムを重ねることにより潜像を出現させて真贋判定を行う潜像形成体が出現している。
特開2000−314810号公報
しかしながら、偏光技術を用いて潜像を形成した潜像形成体であっても、時間の経過、技術の進歩等にともない、偽造されてしまう可能性があり、それが問題となっている。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、その課題とするところは、偏光技術を用いた潜像を、単純な画像ではなく複雑な画像にする等、画像自体に工夫を凝らし、さらに偽造が困難な潜像形成体を提供することにある。
上述した課題を解決するために、本発明は、位相差層及び反射層を具備する潜像形成体であって、該位相差層は、少なくとも偏光潜像部を有し、該偏光潜像部は、網点で構成され且つ網点背景部と網点潜像部とを有し、該網点潜像部を構成する網点と、該網点背景部を構成する網点とは、網点角度、ピッチ、網点位相のいずれか1つ以上が異なることを特徴とする潜像形成体としたものである。
また本発明は、前記位相差層は、さらに偏光背景部を有し、前記偏光潜像部と該偏光背景部とでは、位相差子の光軸が異なる方向に配向されていることを特徴とする前記潜像形成体としたものである。
また本発明は、さらに基材及び粘着層を積層したことを特徴とする前記潜像形成体としたものである。
また本発明は、さらに片側の最外層に粘着層を、反対側の最外層に剥離層又は剥離保護層を介して剥離基材を積層したことを特徴とする潜像形成体としたものである。
また本発明は、前記潜像形成体に偏光シートを重ね、偏光潜像の出現の有無にて真偽判定を行うことを特徴とする潜像形成体の真偽判定方法としたものである。
また本発明は、さらに顕像化用パターンを形成してなる顕像化用シートを重ね、網点潜像の出現の有無にて真偽判定を行うことを特徴とする前記潜像形成体の真偽判定方法としたものである。
また本発明は、前記潜像形成体に、検証デバイスを重ね、偏光潜像及び網点潜像の出現の有無にて真偽判定を行うことを特徴とする潜像形成体の真偽判定方法としたものである。
また本発明は、前記検証デバイスが、偏光子で形成された前記顕像化用パターンを有することを特徴とする前記潜像形成体の真偽判定方法としたものである。
また本発明は、前記検証デバイスが、厚みのある透明シートを備えることを特徴とする前記潜像形成体の真偽判定方法としたものである。
また本発明は、可とう性を有する支持体上に、前記潜像形成体と、偏光シート及び顕像化用シートとを設けたことを特徴とする媒体としたものである。
また本発明は、可とう性を有する支持体上に、前記潜像形成体と、検証デバイスとを設けたことを特徴とする媒体としたものである。
本発明は、以上説明したような構成であるから、以下に示す如き効果がある。
即ち、本発明の潜像形成体は位相差層を有するため、対応する偏光シートを重ねると、偏光潜像部が顕像化する。さらに偏光潜像部が網点で構成され、網点潜像部と網点背景部を有するため、顕像化用パターンが形成された顕像化用シートを重ねると、網点潜像が顕像化することにより、さらに偽造が困難で、且つ施した全ての潜像に気づかれ難い潜像形成体を提供することが可能となる。
本発明における潜像形成体の一実施形態例を示す概要図である。 本発明の潜像形成体に偏光シートを重ねた際の光の進路を示した概略図である。 本発明の潜像形成体に偏光シートを重ねた際の見え方を示す模式図である。 本発明で使用している網点の角度、ピッチ及び位相について説明するための図である。 本発明における偏光潜像部の一実施形態例を示す拡大模式図である。 本発明における潜像形成体の検証方法を説明する図である。 本発明における偏光潜像部のほかの実施形態例を示す拡大模式図である。 本発明における偏光潜像部のほかの実施形態例を示す拡大模式図である。 本発明の実施例で使用するマスクを示す拡大模式図である。
以下、本発明における潜像形成体の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。
本発明における潜像形成体は位相差層を有し、位相差層は少なくとも偏光潜像部を、又は偏光潜像部と偏光背景部とを有している。
図1は、本発明における潜像形成体の一実施例を示す概観図である。図1に示した潜像形成体は、基材上に反射層と位相差層とをこの順に積層したものである。
図1(a)に示した位相差層は偏光潜像部のみを有しており、偏光潜像部内においては、位相差層の光軸は一定の方向に配向されている。図1(c)及び(d)に示した位相差層は、偏光潜像部と偏光背景部とを有しており、偏光潜像部と偏光背景部とでは、位相差層の光軸の配向方向が異なる。
図2は、本発明における潜像形成体に、偏光シートを重ねた際の、光の進路を説明するための図であるである。
図2(a)においては、偏光シートは、一定の偏光方向を有する直線偏光を透過する性質を有する偏光子で形成されている。ここでは、位相差層が、1/4λの位相差値をもつ位相差子からなり、偏光潜像部と偏光背景部とでは、位相差子の光軸方向が45°ずれるように配置された潜像形成体を例にあげる。
まず、自然光が偏光シートを通過し、直線偏光となる。ここで、直線偏光の偏光方向と、偏光背景部の位相差子の光軸方向とが同じであった場合、直線偏光は位相差子の影響を受けずに、そのまま通過し、反射され、偏光シートを再度通過する。一方で、偏光潜像部においては、位相差子の光軸に対して、直線変更の偏光方向が45°ずれて入射することになり、反射を考慮すると、1/4λ×2=1/2λの位相差を受けることなり、直線偏光の偏光面は90°回転する。その結果、反射光が偏光シートで遮断される。
よって、偏光シートを介して入射した光は、偏光潜像部と偏光背景部のいずれに入射するかによって、反射した際に偏光シートを透過するか否かが変わり、偏光潜像が顕像化する。ここで、位相差子の位相差値及び偏光潜像部と偏光背景部とでの光軸の配向方向のずれは、同様の光学効果を呈するのであれば、特に上記した値に限定されるものでは無い。
図2(b)においては、偏光シートは、一定の偏光方向を有する直線偏光を透過する性質を有する偏光子と、位相差子とを積層してなる。ここでは、潜像形成体の位相差層及び偏光シートの位相差子が、1/8λの位相差値を持ち、潜像形成体の偏光潜像部と偏光背景部とでは、位相差子の光軸方向が直角になるように配向されている場合を例に挙げる。
まず自然光が偏光シートの偏光子を通過して直線偏光となる、潜像形成体の位相差層の光軸の配向方向と、偏光シートの位相差子の光軸の配向方向とが平行であれば、直線偏光は位相差子、位相差層、反射して位相差層、位相差子という順に通過する中で、1/2λ(=1/8λ+1/8λ+1/8λ+1/8λ)の位相差をうけることとなり、偏光面が90°回転し、偏光シートの偏光子で遮断される。
一方で、位相差層の光軸の配向方向と偏光シートの位相差子の光軸の配向方向とが直行する場合には、直線偏光が受ける位相差は0(=1/8λ−1/8λ−1/8λ+1/8λ)となり、直線偏光は結果的に位相差層及び位相差子の影響を受けず、偏光シートの偏光子を通過する。
よって、偏光シートを介して入射した光は、偏光潜像部と偏光背景部とのどちらを通過したかにより、偏光シートの偏光子を通過するか否かが変わってくることとなり、偏光潜像が顕像化する。なお、ここでも、位相差層及び偏光シートに設けられた位相差子を通過した光が同様の光学効果を受けるのであれば良く、位相差層及び位相差子の位相差値、偏光背景部と偏光潜像部との光軸の配向方向のずれはこれに限定されるものではない。
以上のように、本発明における潜像形成体に、それぞれに対応した偏光シートを重ねることにより、図2を用いて説明した如く特殊な光学効果が発生し、偏光潜像が顕像化する。
この潜像形成体に偏光シートを重ねたものを偏光シート側から目視すると、偏光潜像部に入射した光が偏光シートによって遮断される場合には、図3(a)の如く視認される。また、位相差層が偏光潜像部及び偏光背景部を有する場合であって、偏光潜像部に入射した光は偏光シートを透過し、偏光背景部に入射した光は偏光シートに遮断される場合には、図3(b)に示した如く、偏光潜像部及び偏光背景部がネガポジ反転して視認される。
なお、本発明における潜像形成体は、偏光シートを重ねていない状態での目視では偏光潜像部と偏光背景部とは一様に視認され、偏光潜像が形成されていることは、認識できないものである。
なお、本発明における潜像形成体は及び偏光シートは、図1又は図2の形態に限定されるものではなく、偏光シートを介して入射した光が、偏光潜像部に入射するか、偏光背景部に入射するかによって、その反射光が偏光シートを通過するか否かが変わり、結果として偏光潜像が顕像化するような構成であればよい。
また、位相差層が、偏光背景部と複数の偏光潜像部を有していても良く、この場合には、それぞれの偏光潜像部の光軸が配向された方向が異なっていても良いし、一部若しくは全部の変更潜像部において光軸が配向された方向が同じでも良い。
また、詳細については後ほど述べるが、本発明における偏光潜像部は、微細な網点で構成されている。よって、厳密に言えば、図1及び図2で示した偏光潜像部の、網点がない部分については、ブランクであるか、若しくは偏光背景部と同じ性質を持つ。しかし、図1及び図2においては、通常の目視で視認される概観図を示していることをここで述べておく。
さらに、前述した潜像形成体の、基材の位相差層を設けた側とは反対の側に、接着層を設けて、ラベルタイプの潜像形成体としても良い。また、基材を含まない潜像形成体の片面に粘着層を積層し、反対の面に剥離層又は剥離保護層を介して転写基材を積層して、転写箔タイプの潜像形成体としても良い。
基材としては、押出加工やキャスト加工により作製された無延伸フィルム及び、延伸加工により作製された延伸フィルム等を用いる事ができる。延伸フィルムには、伸ばし方により、1軸延伸フィルム及び2軸延伸フィルムがあり、両者とも使用できる。
これらの無延伸フィルム及び延伸フィルムの材料としては、セロハン、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリオレフィン(PO)、エチレンビニルアルコール(EVOH)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン、アクリル樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム等があげられる。
位相差層又は偏光シートに用いられる位相差子としては、複屈折率性を持つ材料があげられる。複屈折とは、物質の屈折率が光軸方向によって異なる事で、これにより複屈折率性を持つ物質中を光が透過するときにその速度が異なってくるので、物質通過後の光には通過速度の差の分だけ位相差が生じることになる。位相差値は屈折率と膜厚で決定することができる。
位相差子は、例えば一定の方向に配向処理を行った配向膜の上に液晶材料を塗布することにより形成することが可能である。また、偏光潜像部と偏光背景部とで光軸の方向を変えるためには、例えば、部分的に配向処理の方向を変えた配向膜の上に、液晶材料を塗布することにより形成可能である。
位相差子に用いられる液晶材料としては、メソゲン基の両端にアクリレートを設けた光硬化型液晶モノマー、EB若しくはUVで硬化させた高分子液晶、ポリマー主鎖にメソゲン基を提げた高分子液晶、分子主鎖自体が配向する液晶性高分子を用いる事が出来る。これらの液晶は、塗布後、NI点の少し下の温度で熱処理することにより、配向を促進することが可能である。
位相差子において液晶材料を配向させるための配向膜の配向処理には、例えば光配向法若しくはラビング配向法を用いる事が出来るが、本発明において偏光潜像部及び偏光背景部を形成する際には、偏光潜像部を微細な網点で設けるため、光配向法が特に好適な方法である。
光配向法とは、配向膜に偏光等の異方性を有する光を照射若しくは非偏光光を斜めから照射し、配向膜内の分子の再配列や異方的な化学反応を誘起する方法で、配向膜に異方性を与え、これによって液晶分子が配向することを利用したものである。光配向のメカニズムとしては、アゾベンゼン誘導体の光異性化、桂皮酸エステル、クマリン、カルコンやベンゾフェノン等の誘導体の光二量化や架橋、ポリイミド等の光分解等があげられる。
具体的には、適当な波長帯域の偏光光若しくは斜めからの非偏光光によりパターン露光することにより行われる。また、偏光潜像部と偏光背景部の如く、2軸方向に配向させる場合は、フォトマスクで配向方向を変えたい部分をカバーしてパターン露光し、さらにフォトマスクでカバーされていた未露光部を処理するため方向を変えて露光すれば良い。または、一度全面をパターン露光した後に、部分的にフォトマスクでカバーして方向を変えて再度露光しても良い。
ラビング法は、基材上にポリマー溶液を塗布して作成した配向膜を布で擦る方法で、擦った方向に配向膜表面の性質が変化し、この方向に液晶分子が並ぶという性質を利用したものである。配向膜には、ポリイミド、PVA等が用いられる。
また、偏光潜像部と偏光背景部の如く、光軸を2軸方向に配向させる場合には、配向方向を変えたい部分をマスクでカバーして布で擦った後にマスクを除去し、今度は先ほどラビングした部分をマスクでカバーし、再び方向を変えて布で擦った後、マスクを除去する。または、全面を布で擦った後に、部分的にマスクでカバーし、方向変えて布で擦った後、マスクを除去しても良い。
これら配向膜を形成する方法としては、グラビアコーティング法、マイクログラビアコーティング法等の公知の手法を用いる事が出来る。また、位相差子として、光配向法やラビング法により、配向膜自身が複屈折率性を持つもの等も利用でき、作製方法は限定されない。
反射層は、光反射効果を有するインキ等を公知の印刷方法により設けても良いし、金属を蒸着若しくはスパッタリング等の方法で設けても良い。反射層に金属を用いる場合の材料としては、例えばAl、Sn、Cr、Ni、Cu、Au、インコネル、ステンレス、ジュラルミン等の金属を単体又は複合させたものが使用可能である。
また、光反射効果を有するインキ層を印刷により全面若しくはパターンで設けた転写箔、若しくは金属反射層を備えた転写箔を作製し、転写を行うことで反射層を設けても良いし、金属箔や金属層を有するフィルムをラミネートして反射層を設けても良く、その作製方法は特に限定されない。
反射層をパターン状に設ける場合には、全面に反射層を形成した後に、エッチング加工、レーザー加工、水洗シーライト加工等の公知の方法でパターン化しても良いし、前記公知の方法にてパターン化した反射層を転写若しくはラミネートしても良い。
また、本発明の潜像形成体には、回折構造形成層を設けても良い(図示せず)。回折構造形成層は、位相差層と反射層との層間に設ければ良い。回折構造を形成することにより、視覚効果及び偽造防止効果を向上させることが可能となる。さらに反射率の異なる回折構造効果層を、回折構造形成層の回折構造を追従するように設けることにより、この視覚効果をさらに強調することが可能となる。
偏光シートに用いられる偏光子としては、反射光若しくは透過光にて特定偏光成分を分離若しくは抽出できる素子であれば利用可能である。例えば、PVAにヨウ素若しくは2色性染料を含浸させ延伸配向させた吸収型偏光子、2色性染料を配向膜上で配向させた吸収型偏光子等があげられるが、一定の方向に偏光した偏光光を作り出す偏光子であれば、これに限定されない。
次に、本発明において偏光潜像部が網点で形成されていることについて図を用いて詳細に説明する。網点で形成された偏光潜像部は、網点潜像部と網点背景部とを有している。
なお、実際には偏光潜像部と偏光背景部とは、偏光シートとの対応関係により、両者がネガポジ反転して顕像化する故、偏光背景部が網点で形成され、網点潜像部及び網点背景部を有していても、偏光潜像部と偏光背景部の両方が網点で構成され、網点潜像部及び網点背景部を有していても良いものとする。
網点潜像部を形成する網点と網点背景部を形成する網点とは、網点の大きさ、角度、ピッチ及び位相のいずれか1つ以上が異なっている。なお、偏光潜像部を形成している網点は、デザインに支障がない程度の微細な点となっているので、偏光潜像として顕像化していても、視覚上では、網点模様として確認することはできない。
網点の形状としては、角ドット状、丸ドット状、網ドット状、格子ドット状、またはこれらの組み合わせによるドット状等があげられる。
ここで、本発明で使用している網点の角度、ピッチ及び位相について図4を用いて説明しておく。本発明における網点の角度は図4(a)のθを指し、規則的に並んでいる網点の傾きを表す。網点のピッチは図4(a)のDを指し、1つの網点から隣の最近接している網点までの距離を表している。また、ピッチD内での網点部と非網点部の比率を網点比率と呼ぶ。
一方で、網点の位相とは、図4(b)のkを指し、規則的に並んでいる網点の周期を表している。図6(b)では、網点Aと網点Bは、位相がgだけずれている状態を示している。
網点の大きさは、小さすぎても大きすぎても顕像化用シートを重ねた際に網点潜像が視認しづらくなるので、10〜1000μmの範囲、好ましくは10〜500μmに設定することが望ましい。また、網点比率(=網点部/(網点部+非網点部))は任意に設定しても良いが、1/10〜9/10の範囲で、好ましくは1/3〜2/3に設定することが望ましい。さらに好ましくは比率が1/2である。よって、網点のピッチは20〜2000μm、好ましくは20〜1000μmの範囲に設定することが望ましい。
顕像化用シートを重ねて回転させ、網点潜像を顕像化するためには、網点背景部と網点潜像部とで、網点の大きさ、角度、ピッチ及び位相のいずれか1つ以上が異なる網点パターンを使用すれば良い。ただし、それぞれが近似しすぎていると網点潜像が見えづらくなるので考慮する。
図5は、網点で構成された偏光潜像部を示したものである。ただし、図5においては、説明のために、網点を大きくし、ピッチも広くしている。図5(a)は、網点潜像部と網点背景部とが合わさった偏光潜像部であり、図5(b)はそのうち網点背景部のみを、図5(c)は網点潜像部のみを切り出した図である。
図5に示した偏光潜像部は、網点潜像部と網点背景部を形成する網点が、同一ピッチ及び同一網点比率で、異なる角度で設けられている。網点潜像部と網点背景部の網点角度は、30°異なるために、顕像化シートを用いた場合、0°方向と30°方向で柄のネガポジが反転した網点潜像が現れることになる。
顕像化用シートとしては、網点背景部若しくは網点潜像部を形成する網点のピッチ及び網点比率と同じピッチ及び網点比率からなる網点状の顕像化用パターンが公知の印刷方法により形成された透明性を有するシート状のものであれば良く、材料等は特に限定しない。この顕像化用パターンは、網点背景部若しくは網点潜像部を形成する網点のピッチ及び網点比率と同じ万線比率(=万線部/(万線部+非万線部))からなる万線状又は格子状の顕像化用パターンであっても良い。
図6は本発明における潜像形成体の検証方法を説明する図である。まずは、偏光シートを重ねて、偏光潜像の出現の有無にて検証を行う。その後、出現した網点で形成された偏光潜像に顕像化用シートをさらに重ね、網点潜像が出現するか否かにて検証を行う。
なお、検証は、偏光シート及び顕像化用シートの両者を動かしながら検証を行う。図6(a)、(b)、(c)に示したように、偏光潜像部の光軸方向により検証する角度や位置が限定される可能性がある故、偏光シートは、網点潜像部が、偏光潜像として顕像化している状態で固定して行っても良い。
また、顕像化用シートの重ねる位置又は角度を変えた時にそれぞれ出現する複数の網点潜像を形成することも可能である。複数の網点潜像部は、完全に独立した領域に形成されていても良いし、網点の特性を活かして、網点潜像部を少なくとも1部分重ね、同一箇所で複数の網点潜像をそれぞれ顕像化することも可能である。
一例として、図7に示したような偏光潜像部があげられる。この偏光潜像部は、網点背景部の網点に対して、一定の方向(ここでは、網点角度を基準として真横)に網点を略1/2ピッチずらした網点潜像部(1次)と、別の一定の方向(ここでは、網点角度を基準として真下)に網点を略1/2ピッチずらした網点潜像部(2次)とを有する。これにより、顕像化用シートを重ねる角度を変えたときに、網点潜像(1次)のみが顕像化する場合と、網点潜像(2次)のみが顕像化する場合とがあり、潜像が2変化する潜像形成体となる。
さらに、図8(a)に示した如く、複数の偏光潜像部のうち一部は、構成する網点のピッチがそれぞれ異なっていても良い。図8(b)は、第一の偏光潜像部に含まれる網点背景部を形成する網点と同じピッチの万線パターンが形成された顕像化用シートを図8(a)に示す本発明の潜像形成体に重ねた状態の拡大模式図である。図8(b)では、第一の偏光潜像部に形成された網点潜像は顕像化しているが、第二の偏光潜像部に形成された網点潜像は確認できない。
図8(c)は、第二の偏光潜像部に含まれる背景部を形成する網点と同じピッチの万線パターンが形成された顕像化用シートを図8(a)に示す本発明の潜像形成体に重ねた状態の拡大模式図である。図8(c)では、第二の偏光潜像部に形成された網点潜像は顕像化しているが、第一の偏光潜像部に形成された網点潜像は確認できない。なお、顕像化用シートには、前述したように、万線パターンではなく網点模様が形成されていても良い。
なお、図8においては、偏光潜像部が2つの場合を示しているが、当然これに限定されるものではなく、さらに複数形成することも可能で、また各々の偏光潜像部の形状も任意の形状に形成して良い。また、全ての偏光潜像部の網点構成を異なるように形成しても、一部の偏光潜像部の網点構成のみを異なるように形成しても良く、バラエティ性に富んだ潜像形成体を自由にデザインすることが可能である。
これにより、万線パターン又は網点模様のピッチが異なる複数の顕像化用シート若しくは潜像形成体の領域と各々に形成されたピッチと完全に一致する顕像化用シートを用意しなければならず、たとえ潜像の存在に気づいたとしても、全ての潜像を確認することは困難となる故、一部を偽造・改ざんされたとしても、確実に真偽判定が可能となる。
また、偏光シート及び顕像化用シートの機能を兼ね備えた検証デバイスにより同時に偏光潜像及び網点潜像の出現の有無を検証することも可能である。
検証デバイスとしては、例えば、偏光シート上に前記顕像化用パターンを、有色インキ等を用いて公知の印刷方法にて備えた検証デバイス、偏光シート上に偏光潜像と同様のパターンの位相差子を備えた検証デバイス、偏光シートを前記顕像化用パターンにて配置した検証デバイス、偏光方向の異なる偏光子をストライプ状、市松模様状等に配置した検証デバイス等が使用可能である。また、検証デバイスは、本願における潜像形成体の偏光潜像及び網点潜像の双方を顕像かすることが可能であれば、特に上記した形態に限定されない。
偏光子を前記顕像化用パターンにて配置した検証デバイスを作製するには、シート状の偏光子を公知の方法にて網点状に穴を開ける等して配置されるように工夫すると良い。
また、前述した検証デバイスに、さらに厚みのある透明シートを組み合わせることにより、検証デバイスを動かさなくても見る角度を連続的に変えることにより画像の濃淡が連続的に変化し、立体感のあるモアレ模様を得ることが出来る。
厚みのある透明シートとしては、潜像形成体の基材と同様の材料を用いても良いし、レンズ効果のある材料を用いても良い。また、透明シートの厚みは、基材の屈折率にもよるが、網点のピッチの0.3〜3倍が好ましい。これは、0.3倍未満であると立体感が得られず、また3倍以上であると透明シートの影響で網点潜像が見え難くなるためである。
また別の実施形態例として、前記潜像形成体と前記検証デバイスとを、一連の支持体上に並列に設けても良い。この支持体は可とう性を有することが必須であり、不透明なものでも透明なものでも良い。ただし、支持体越しに検証を行う場合もあるので、不透明な支持体の場合には、指示体に窓を設ける等の工夫をしなくてはならない。また、透明なものであっても支持体の複屈折率をコントロールされているものが良い。材料としては、潜像形成体の基材と同様のものが使用できる。
可とう性を有する支持体は、検証のしやすさから長方形が好ましい。潜像形成体と検証デバイスを並べて設ければ、支持体を変形させて重ね合わせることにより、偏光潜像及び網点潜像の出現の有無を確認できる。また、検証デバイスではなく、偏光シートと顕像化用シートを別々に設けても良い。例えば、潜像形成体を挟む形で支持体の両端に偏光シート及び顕像化用シートを配置すれば、偏光シートと顕像化用シートが潜像形成体に重なるように支持体を変形させることにより、偏光潜像及び網点潜像の出現の有無を確認することが出来る。
(実施例1)
アルミ蒸着PETであるメタルミーS#25(東レ社製)を基材とし、光配向剤であるIA−01(大日本インキ化学工業社製)をマイクログラビアで塗布し製膜を行った。この光配向剤は、365nmの偏光光を照射すると、偏光方向に液晶配向力を持つ材料である。この光配向膜に対して偏光紫外線を用いて全面で2J/cmの照射を行い、全面照射した偏光方向に対して45°の角度差が付いた方向に図9の様なフォトマスクを用いて2J/cmの照射を行った。
図9のフォトマスクは、図5に示した偏光潜像部が得られるように作成されたもので、網点背景部の網点パターンに対して、網点潜像部は、同じ網点比率及びピッチで網点角度が30°異なる網点パターンからなる。
その後、UVキュアラブル液晶UCL−008(大日本インキ化学工業社製)をマイクログラビアにて塗工した。UCL−008の複屈折率は0.18であるので、可視光の中心波長550nmの光に対して位相差値λ/4となるようにするために、膜厚を0.76μmとなるようにした。
このように作成した潜像形成体に一定の偏光方向を有する直線偏光を透過する偏光シートを重ねたところ、図3(a)に示した如く、偏光潜像部が偏光潜像として黒色に視認され、さらに直線偏光子を45°回転させたところ、図3(b)に示す如く、偏光背景部が黒色に視認された。
ここで、偏光潜像部が偏光潜像として視認されている状態で、さらに偏光潜像部を形成する網点と同じ網点比率で同じピッチの網点からなる顕像化用パターンが形成された顕像化用シートを用意し、0°方向に重ねると、図6(a)のように網点背景部が黒色に視認された。また、顕像化用シートを30°回転させると、図6(b)のように網点潜像部が黒色に視認された。
このように、本発明における潜像形成体は、偏光シートを重ねることにより、偏光潜像が顕像化し、さらに顕像化シートを重ねることにより、偏光潜像に含まれていた網点潜像を顕像化させることができる。
さらに、網点背景部及び網点潜像部の網点角度に一致しない角度で顕像化用シートを重ねると、図6(c)に示したようなモアレが発生した。さらにこの網点ピッチの2倍の厚みを有する透明シートに顕像化用パターンが印刷された顕像化用シートを潜像形成体に重ねると、発生したモアレ模様が見る角度を連続的に変化させることにより各点における濃淡が連続的に変化し、立体感のある画像が得られた。
1・・・基材
2・・・位相差層
3・・・偏光潜像部
4・・・偏光背景部
5・・・反射層
6・・・偏光シート
7・・・偏光子
8・・・位相差子

Claims (11)

  1. 位相差層及び反射層を具備する潜像形成体であって、
    該位相差層は、少なくとも偏光潜像部を有し、
    該偏光潜像部は、網点で構成され且つ網点背景部と網点潜像部とを有し、
    該網点潜像部を構成する網点と、該網点背景部を構成する網点とは、網点角度、ピッチ、網点位相のいずれか1つ以上が異なることを特徴とする潜像形成体。
  2. 前記位相差層は、さらに偏光背景部を有し、
    前記偏光潜像部と該偏光背景部とでは、位相差子の光軸が異なる方向に配向されていることを特徴とする請求項1に記載の潜像形成体。
  3. さらに基材及び粘着層を積層したことを特徴とする請求項1又は2に記載の潜像形成体。
  4. さらに片側の最外層に粘着層を、反対側の最外層に剥離層又は剥離保護層を介して剥離基材を積層したことを特徴とする請求項1又は2に記載の潜像形成体。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の潜像形成体に偏光シートを重ね、偏光潜像の出現の有無にて真偽判定を行うことを特徴とする潜像形成体の真偽判定方法。
  6. さらに顕像化用パターンを形成してなる顕像化用シートを重ね、網点潜像の出現の有無にて真偽判定を行うことを特徴とする請求項5に記載の潜像形成体の真偽判定方法。
  7. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の潜像形成体に、検証デバイスを重ね、偏光潜像及び網点潜像の出現の有無にて真偽判定を行うことを特徴とする潜像形成体の真偽判定方法。
  8. 前記検証デバイスが、偏光子で形成された前記顕像化用パターンを有することを特徴とする請求項7に記載の潜像形成体の真偽判定方法。
  9. 前記検証デバイスが、厚みのある透明シートを備えることを特徴とする請求項7又は8に記載の潜像形成体の真偽判定方法。
  10. 可とう性を有する支持体上に、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の潜像形成体と、偏光シート及び顕像化用シートとを設けたことを特徴とする媒体。
  11. 可とう性を有する支持体上に、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の潜像形成体と、検証デバイスとを設けたことを特徴とする媒体。
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