JP5593896B2 - インクジェットヘッド及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、インクを吐出するインクジェットヘッド及びその製造方法に関し、詳しくは、シェアモード型のインクジェットヘッドにおける電極膜の腐食を防止するインクジェットヘッド及びインクジェットヘッドの製造方法に関する。
従来、チャネルを区画する駆動壁に形成した電極に電圧を印加することにより駆動壁をせん断変形させ、そのときチャネル内に発生する圧力を利用してチャネル内のインクをノズルから吐出させるようにしたシェアモード型のインクジェットヘッドとして、圧電素子からなる駆動壁とチャネルとが交互に並設されると共に、前面及び後面にそれぞれチャネルの開口部が配置された所謂ハーモニカタイプのヘッドチップを有するインクジェットヘッドが知られている(特許文献1、2)。
特許文献3の第1の実施形態におけるインクジェットヘッド(10)では、インクチャネルとしての複数の溝(2)に金属製薄膜の電極(4)を製膜した圧電性の基板(1)を備え、基板の前面(端面)(1a)と各溝の内面とにポリパラキシリレン膜(6)が製膜され、ポリパラキシリレン膜に親液化処理が施され、ポリパラキシリレン膜を介して基板の前面に接着剤でノズルプレートが接着されており、ポリパラキシリレン膜の親液化処理により基板とノズルプレートとの接着強度を堅牢に維持している(段落番号0030〜0038参照)。
一方、特許文献3の第2の実施形態におけるインクジェットヘッド(20)では、インクチャネルとしての複数の溝(12)に金属製薄膜の電極(14)を成膜した圧電性の基板(11)を備え、基板の前面(端面)(11a)に接着剤でノズルプレート(17)が接着され、各溝にポリパラキシリレン膜(16)が製膜され、ポリパラキシリレン膜に親液化処理が施されている(段落番号0040〜0050参照)。
しかしながら特許文献3の第1の実施形態におけるインクジェットヘッドにおいては、親液化処理が施されたポリパラキシリレン膜上に接着剤を塗布してノズルプレートを基板に接着しても、インクとして溶媒(溶剤)を含むインクを使用するとポリパラキシリレン膜は膨潤・溶解しやすいため、ポリパラキシリレン膜がインク中の溶媒により膨潤・溶解して基板とノズルプレートとの接着強度が低下し、基板からノズルプレートが剥離する可能性がある。このような現象はインク中の溶媒が水以外の溶媒である場合に起こりやすい。
一方、特許文献3の第2の実施形態におけるインクジェットヘッドでは、基板の前面にポリパラキシリレン膜を製膜せずに接着剤でノズルプレートを接着するため、ポリパラキシリレン膜の膨潤・溶解によるノズルプレートの剥離は起こらない。しかしながら、ポリパラキシリレン膜の製膜工程中において、ノズルプレートのノズル孔にポリパラキシリレン膜が製膜されるため、ノズル孔でインクが詰まってインクの吐出不良を招く可能性がある。
さらに、特許文献3の第2の実施形態では、ノズルプレートの近傍に配置された電極の端部にはポリパラキシリレン膜の製膜が十分におこなわれない可能性があるため、ポリパラキシリレン膜の製膜が不十分な箇所からインク中の溶媒が接着剤を侵食・通過して電極に浸透し、インクジェットヘッドの長期間の使用により電極が腐蝕したりノズルプレートが基板から剥離したりしてインクの吐出不良を招く可能性がある。
特許文献4では、チャネル基板にポリパラキシリレン膜を成膜した後、端面のポリパラキシリレン膜を除去し、該端面に対しエポキシ系樹脂を塗布してノズルプレートを接着することにより、ノズルプレートの剥離や電極膜の腐食などによるインクの吐出不良の防止を行うことが開示されている。
特開2004−90374号公報 特開2006−35454号公報 特開2002−307692号公報 特開2005−153510号公報
図9は、従来技術に係るインクジェットヘッドの製造方法を説明する図であり、201はチャネル基板、202はノズルプレート、203は電極膜、204はポリパラキシリレン膜、205はチャネル基板201における端面(ノズルプレート接着側の面)である。
特許文献4において、チャネル基板201の端面205の保護膜(ポリパラキシリレン膜)が除去された場合、図9(a)に示すように、端面205において電極膜203が露出することがある(露出部D)。
これについては、特許文献4に記載があるように、基板201の端面205に生じた電極膜203の露出部Dは、ノズルプレート202貼り付け用の接着剤Bによって保護されるため、電極膜203の腐食は生じない。
しかるに、ポリパラキシリレン膜の成膜では、形成されるポリパラキシリレン膜の膜厚が成膜ロットごとに1〜2μm程度ばらつく場合がある。さらに、端面205のポリパラキシリレン膜を除去する際、ポリパラキシリレン膜のエッチング速度が、サンプルサイズや形状などによって、面内において最大0.1μm/min程度ばらつくことがある。
目標とする膜厚よりも厚いポリパラキシリレン膜が成膜されたり、エッチング速度が低くなった場合には、端面205のポリパラキシリレン膜が完全に除去されず、端面205に残留することになる。このような場合、端面205とノズルプレート202との接着強度が低下し、基板201からノズルプレート202が剥離する問題があった。
そのため、従来は、ポリパラキシリレン膜の膜厚や、エッチング速度の変動に対応するために、エッチングの処理時間を過剰となるように設定していた。これにより、規定した膜厚よりも厚いポリパラキシリレン膜が成膜されたり、エッチング速度が低くなった場合であっても、端面205のポリパラキシリレン膜が完全に除去され、基板201とノズルプレート202との接着強度を安定して得ることができた。
しかしながら、このようにポリパラキシリレン膜の除去処理を過剰となるように設定すると、ポリパラキシリレン膜の膜厚が薄く成膜されたり、エッチング速度が速くなった場合に、基板201の端部エッジ部分のみならず、インクチャネルの内側面においてポリパラキシリレン膜204の一部が過剰エッチングされて欠損することがあった。
この結果、図9(b)に示すように、基板201の側面に電極膜203の露出部分Eが発生し、実質的に端面205に対してのみ塗布されたノズルプレート202貼り付け用の接着剤Bでは保護しきれずに、電極膜203の腐食(インク耐性の低下)が起こる恐れがあった。
エッチング条件をアクチュエーターチップの成膜ロットごとに調節して対応することも考えられるが、工数が増大して生産効率が大幅に低下するため実用性を満たさない。
そこで、本発明の課題は、簡便な方法で、ポリパラキシリレンの過剰エッチングによりチップ端部の電極が露出した場合でも、電極を腐食から保護することができるインクジェットヘッド及びその製造方法を提供することにある。
また本発明の他の課題は、以下の記載によって明らかとなる。
上記課題は、以下の各発明によって解決される。
請求項1記載の発明は、インクの流路となるインクチャネルが形成されたチャネル基板の一端面にノズルプレートが接着されたインクジェットヘッドの製造方法において、
前記インクチャネル内に電極膜を成膜する電極膜成膜工程と、
前記電極膜成膜工程後に、前記電極膜上に絶縁性保護膜を成膜する保護膜成膜工程と、
前記保護膜成膜工程後に、前記保護膜成膜工程の処理に伴って前記チャネル基板の一端面に成膜された前記絶縁性保護膜を除去する保護膜除去工程と、
前記保護膜除去工程後に、前記チャネル基板の一端面、及び、インクチャネルの内側面の保護膜欠損部から露出した電極膜露出部を連続的に被覆する接着剤層を形成する接着剤塗布工程と、
前記接着剤塗布工程後に、前記チャネル基板の他端面に位置する前記インクチャネルの入口から該チャネル基板の一端面に位置する該インクチャネルの出口に向かう空気流で、前記インクチャネルの内側面に塗布された接着剤の余剰部分をインクチャネル外部へ押し出す接着剤押し出し工程と、
前記接着剤押し出し工程後に、前記チャネル基板の一端面に対し前記ノズルプレートを接着する接着工程と、を備えることを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法である。
請求項2記載の発明は、前記接着剤塗布工程において、表面に接着剤が塗布された接着剤転写シートの接着剤に、前記チャネル基板の一端面を接触させると共に、該接着剤に対して該一端面を埋浸する、又は、埋浸した状態で揺動することによって、前記接着剤層を形成することを特徴とする請求項1記載のインクジェットヘッドの製造方法である。
請求項3記載の発明は、前記接着剤塗布工程において、前記チャネル基板の一端面に対し接着剤を塗布した後に、前記チャネル基板の一端面に位置する前記インクチャネルの出口から該チャネル基板の他端面に位置する該インクチャネルの入口に向かう空気流で、前記チャネル基板の一端面に塗布された接着剤を、前記インクチャネルの内側面の保護膜欠損部から露出した電極膜露出部を被覆するように拡張して前記接着剤層を形成することを特徴とする請求項1記載のインクジェットヘッドの製造方法である。
請求項4記載の発明は、前記接着剤塗布工程において、前記空気流の圧力は、0.3MPa以上かつ1.2MPa以下の範囲であることを特徴とする請求項3記載のインクジェットヘッドの製造方法である。
請求項5記載の発明は、前記接着剤層は、前記インクチャネルの内側面における前記チャネル基板の一端面からの形成長さが5μm以上かつ50μm以下の範囲であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のインクジェットヘッドの製造方法である。
請求項6記載の発明は、前記接着剤押し出し工程において、押し出された接着剤が、前記チャネル基板の一端面上に移動することを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のインクジェットヘッドの製造方法である。
請求項7記載の発明は、前記接着剤押し出し工程において、前記空気流の圧力は、0.3MPa以上かつ1.2MPa以下の範囲であることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のインクジェットヘッドの製造方法である。
請求項8記載の発明は、前記接着剤の粘度は、2Pa・s以上かつ30Pa・s以下の範囲であることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載のインクジェットヘッドの製造方法である。
請求項9記載の発明は、前記接着剤は、ガラス転移温度が100℃以上のエポキシ系接着剤であることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載のインクジェットヘッドの製造方法である。
請求項10記載の発明は、前記絶縁性保護膜はポリパラキシリレン膜であることを特徴とする請求項1〜9の何れかに記載のインクジェットヘッドの製造方法である。
請求項11記載の発明は、インクの流路となるインクチャネルに電極膜及び絶縁性保護膜が成膜されたチャネル基板を備え、
前記チャネル基板の一端面にノズルプレートが前記絶縁性保護膜を介さずに接着剤で接着されたインクジェットヘッドにおいて、
前記ノズルプレートを接着する接着剤層が、インクチャネルの内側面の保護膜欠損部から露出した電極膜露出部を被覆すると共に、該電極膜露出部から前記ノズルプレート接着面にかけて連続的に形成されていることを特徴とするインクジェットヘッドである。
請求項12記載の発明は、前記接着剤層は、インクチャネルの内側面における前記チャネル基板の一端面からの形成長さが5μm以上かつ50μm以下の範囲であることを特徴とする請求項11記載のインクジェットヘッドである。
請求項13記載の発明は、前記接着剤層は、インクチャネルの内側面における前記チャネル基板の一端面からの形成長さが、前記チャネル基板と前記ノズルプレートを接着している接着剤厚さ以上であることを特徴とする請求項11又は12記載のインクジェットヘッドである。
請求項14記載の発明は、前記接着剤層の断面形状は、インクの流路に対して略凹曲線状であることを特徴とする請求項11〜13の何れかに記載のインクジェットヘッドである。
請求項15記載の発明は、前記接着剤は、ガラス転移温度が100℃以上のエポキシ系接着剤であることを特徴とする請求項11〜14の何れかに記載のインクジェットヘッドである。
請求項16記載の発明は、前記絶縁性保護膜はポリパラキシリレン膜であることを特徴とする請求項11〜15の何れかに記載のインクジェットヘッドである。
本発明によれば、簡便な方法で、ポリパラキシリレンの過剰エッチングによりチップ端部の電極が露出した場合でも、電極を腐食から保護することができるインクジェットヘッド及びその製造方法を提供することができる。
更に、成膜されたポリパラキシリレン膜厚に応じて、エッチング条件を細かく調整する必要がないため、大幅に工数が削減できる効果が得られる。
本発明に係るインクジェットヘッドの斜視図であってその一部を破断した図 図1のII−II線断面図 図1のIII−III線断面図 本発明に係る保護膜除去工程を説明する図 本発明に係る接着剤塗布工程の第1態様を説明する図 本発明に係る接着剤塗布工程の第2態様を説明する図 本発明に係る接着剤押し出し工程を説明する図 空気流の形成方法の一例を説明する図 従来技術に係るインクジェットヘッドの製造方法を説明する図
以下に、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
まず、本発明に係るインクジェットヘッドの構成について説明する。
図1は本発明に係るインクジェットヘッドの斜視図であってその一部を破断した図であり、図2は図1のII−II線断面図であり、図3は図1のIII−III線断面図である。
図1に示す通り、インクジェットヘッド100は2枚の基板1a、1bを互いに接合したチャネル基板1を有している。チャネル基板1には、インクの流路となるインクチャネル11(溝)と空気の流路となる空気チャネル12(溝)とが、互いに平行な状態で交互に形成されており、インクチャネル11と空気チャネル12との間に各基板1a、1bから構成された隔壁13が存している。
チャネル基板1を構成する基板1a、1bは電界を加えると変形する圧電材料から構成されており、分極方向が互いに反対向きとなるように接合されている。各基板1a、1bを構成する圧電材料としては有機材料又は非金属材料が挙げられる。
各基板1a、1bを構成する有機材料としては、ポリフッ化ビニリデンなどの有機ポリマーや有機ポリマーと無機物とのハイブリッド材料などが挙げられる。各基板1a、1bを構成する非金属材料としては、成形・焼成などの工程を経て形成される圧電セラミックや成形・焼成などの工程を経ずに形成される材料などが挙げられる。
図1中、チャネル基板1の上部には、インクチャネル11及び空気チャネル12を覆うカバー基板2が貼り付けられている。カバー基板2は上記各基板1a、1bと同じ圧電材料から構成されており、脱分極された状態でチャネル基板1の上部に貼り付けられている。カバー基板2を脱分極することで、カバー基板2そのもののソリ、変形や熱膨張係数の差によるカバー基板2の剥離などが防止されている。
なお、カバー基板2はチャネル基板1(各基板1a、1b)と同じ程度の熱膨張係数を有する非圧電性材料から構成されていてもよい。非圧電性材料としては、例えば、成形・焼成などの工程を経て形成されるセラミックや成形・焼成などの工程を経ずに形成される材料などが挙げられ、その他にも有機材料(有機ポリマー)や有機ポリマーと無機物とのハイブリッド材料などが挙げられる。
図2に示す通り、インクチャネル11及び空気チャネル12の各チャネル内(図示の例では、インクチャネル11及び空気チャネル12の各チャネルの側壁及び底壁)には、金属製の電極膜6が断面視してU字状に製膜されている。各電極膜6には、導通用の配線を介して2枚の両基板1a、1bを駆動させる駆動回路(図示略)が接続されている。
なお、インクチャネル11及び空気チャネル12は分極方向の異なる2枚の基板1a、1bからなるため、各電極膜6は2枚の両基板1a、1bを駆動させるべく、インクチャネル11及び空気チャネル12の側壁及び底壁のうち、一方の基板1a(又は1b)から他方の基板1b(又は1a)にわたるインクチャネル11及び空気チャネル12の側壁の全面に製膜されていてもよい。
各電極膜6は公知の蒸着処理、スパッタ処理、めっき処理などにより製膜されており、厚みが0.5μm以上かつ5μm以下の範囲となるように製膜されるのがよい。各電極膜6を構成する金属として、Au、Pt、Ag、Ni、Co、Cu、Alなどを主成分とする金属を挙げることができるが、中でもAl、Ni、Cuを主成分とする金属を電極膜6の構成金属として適用するのが好ましく、特にNiを主成分とする金属を適用するのが好ましい。
図2に示す通り、各電極膜6の内壁には、電極膜6の保護膜として機能する絶縁性保護膜7が断面視して四角形状に製膜されている。
絶縁性保護膜としては、ポリパラキシリレン、エポキシ樹脂、アクリル樹脂などの有機膜、SiO、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)などの無機膜などの絶縁性材料から構成された膜を好ましく例示でき、特に、ポリパラキシリレンから構成された膜が好適である。
絶縁性保護膜7の膜厚は1.0μm以上かつ10μm以下の範囲とすることが好ましい。前記膜厚が1.0μmより薄いと十分な絶縁性を維持するのが難しく、また膜厚が10μmを超えると、インクチャネル11内の有効断面積を減少させ、更に、膜そのものの剛性により各隔壁13の動きが規制されるため、十分なインク吐出感度及びインク吐出特性が得られ難い。
図1に示す通り、チャネル基板1の一端面10a(図1中手前側に配置されたチャネル基板1の端面)には、インクチャネル11に対応した位置にインクを吐出するためのノズル孔31が形成されたノズルプレート3が取り付けられている。
詳しくはチャネル基板1の一端面10aには、ノズルプレート3が取り付けられる前にインクチャネル11及び空気チャネル12への絶縁性保護膜の製膜工程で絶縁性保護膜が製膜されるが、この絶縁性保護膜は公知の研磨処理、レーザ照射処理、酸素プラズマエッチング処理などで除去されている。
図3に示す通り、チャネル基板1の一端面10aの絶縁性保護膜が除去されていることにより、前記チャネル基板1の一端面10aに、ノズルプレート3が、前記絶縁性保護膜7を介さずに、接着剤Bで接着される。
後に詳述するが、一端面10aの絶縁性保護膜を除去するこれら処理では、処理が過剰となる場合があり、インクチャネルの内側面において保護膜欠損部を生成し、該保護膜欠損部において電極膜が露出して電極膜露出部が形成される。
本発明者は、電極膜6の露出部分の発生について詳細な検証を行い、電極膜露出部は、通常、インクチャネルの内側面において、チャネル基板の一端面から5μmまでの範囲ないしチャネル基板の一端面から10μmまでの範囲に生成することを確認している。
更に、本発明者の検証によれば、電極膜露出部の生成頻度は、インクチャネル数十個に1個程度の割合である。通常、インクジェットヘッドが数十〜数千のインクチャネルを備えることを考えれば、1つのインクジェットヘッドは少なくとも1つの電極膜露出部を有していると見なすことができる。
本発明において、ノズルプレートを接着する接着剤(接着剤層)Bは、インクチャネルの内側面の保護膜欠損部から露出した電極膜露出部Eを被覆すると共に、該電極膜露出部Eから前記ノズルプレート3接着面にかけて連続的に形成されている。
このように、チャネル基板1の一端面10aだけでなく、チャネル内側にも接着剤層が形成されていることにより、絶縁性保護膜7から露出した電極膜露出部分Eを、接着剤層Bで被覆して保護することが可能である。
また、電極膜露出部は、通常、インクチャネルの内側面において、チャネル基板の一端面から5μmまでの範囲ないしチャネル基板の一端面から10μmまでの範囲に生成することから、これを被覆して保護するために、接着剤層Bは、インクチャネル11の内側面におけるチャネル基板1の一端面10aからの形成長さLが、5μm以上かつ50μm以下の範囲であることが好ましい。
更に、インクチャネル11の内側面に塗布された接着剤Bの厚さは、少なくとも電極膜の保護が可能な範囲で、チャネル詰まりや吐出不良の発生を回避できるだけの薄さを有することが好ましく、具体的には、1μm以上かつ10μm以下の範囲の塗布膜厚であることが好ましい。
更にまた、本発明において、接着剤層Bの断面形状は、図3に示すように、インク流路に対して略凹曲線状であることが好ましい。これにより、接着剤層Bがインク流路に対する障害物となることが回避され、チャネル詰まりや吐出不良の発生を更に回避できる。更に、同時に、インクチャネル11の内側面における接着剤層の厚みが減少するので、接着剤層の厚みにより隔壁13の動きが規制され難く、十分なインク吐出感度及びインク吐出特性が得られる。
本発明において、接着剤層Bを形成する接着剤は、電極膜露出部Eを保護する上で、インク中の溶媒等の成分に対するインク耐性に優れるものであることが好ましい。この観点から接着剤は、ガラス転移温度が100℃以上のエポキシ系接着剤(エポキシ系樹脂から構成された接着剤)であることが好ましい。
ガラス転移温度が100℃以上、好ましくは130℃以上のエポキシ系接着剤であれば、インクを構成する溶媒等の成分が接着剤中に浸透し難く、電極膜6を好適に保護して腐蝕を防止できる。また、これにより、電極膜成分のインク中への溶出も防止され、チャネル詰まりや吐出不良の発生が回避される。
更に、上記のエポキシ系接着剤には公知の硬化剤が添加されていてもよく、特に、インク耐性を更に向上して電極膜露出部分Eを保護する上で、イオン重合型の硬化剤を適用するのが好ましい。
一方、チャネル基板1の他端面10b(図1の例では中奥側に配置されたチャネル基板1の端面)には、インクチャネル11に対応した位置にインクを流入するためのインク流入孔41が形成されたバックプレート4が取り付けられており、バックプレート4を介してインクを一時的に貯留するインクマニホールド5がチャネル基板1の他端面10b側に取り付けられている。
インクジェットヘッド100では、インクマニホールド5に貯留されたインクがバックプレート4のインク流入孔41を通過してインクチャネル11内に流入し、インクチャネル11内のインクがノズルプレート3のノズル孔31を通過してインクジェットヘッド100の外部に吐出されるようになっている。
次に、インクジェットヘッド100の製造方法について説明する。
始めに、インクジェットヘッド100を構成する部材、すなわち2枚の基板1a、1b、カバー基板2、ノズルプレート3、バックプレート4、インクマニホールド5などを準備する。基板1a、1bを準備したら、分極方向を互いに反対向きとした状態で各基板1a、1bをエポキシ系接着剤などの接着剤により互いに接合する。各基板1a、1bの接合に関して、接着剤層の硬化後の厚み(乾燥膜厚)が1μm以上かつ100μm以下の範囲となるように各基板1a、1bを接着するのがよい。
各基板1a、1bを接合したら、円盤状の砥石(ダイシングブレード)などの公知の研削機を用いて互いに平行な複数の溝を所定ピッチで形成し、インクチャネル11及び空気チャネル12を交互に形成する。本実施形態では、せん断変形量を大きくするために2枚の基板1a、1bでチャネル基板1を構成したが、このような構成に限定されるものではない。
各基板1a、1bにインクチャネル11及び空気チャネル12を形成したら、公知の蒸着処理、スパッタ処理、めっき処理などでインクチャネル11及び空気チャネル12の各チャネル内(例えば図1に示したように、インクチャネル11及び空気チャネル12の各チャネルの側壁及び底壁)に電極膜6を形成(製膜)する(電極膜製膜工程)。
次いで、チャネル基板1の上面(インクチャネル11及び空気チャネル12を形成した面)に、脱分極した状態のカバー基板2が、硬化型接着剤(例えばエポキシ系接着剤)などで貼り付けられる。
電極膜成膜工程後に、インクチャネル11及び空気チャネル12の各電極膜6上に絶縁性保護膜7を製膜する(絶縁性保護膜製膜工程)。本実施形態ではインクチャネル11及び空気チャネル12の各チャネルのうち、インクチャネル11及び空気チャネル12の両チャネル内に絶縁性保護膜7を製膜するが、インクチャネル11内にのみ絶縁性保護膜7を製膜するようにしてもよい。絶縁性保護膜7は、上述したように、ポリパラキシリレン膜であることが好ましい。
図4は、保護膜除去工程を説明する図である。
絶縁性保護膜7の製膜工程では、図4(a)に示す通り、電極膜6(及びカバー基板2の裏面)以外にもチャネル基板1の一端面10aに絶縁性保護膜7が製膜される。そのため、絶縁性保護膜7の製膜工程を終えたら、一端面10aに製膜された絶縁性保護膜7に対して公知の研磨処理、レーザ照射処理又は酸素プラズマエッチング処理などを施し、その処理対象とされた不要な絶縁性保護膜7を一端面10aの全面にわたって除去する(図4(b)参照、絶縁性保護膜除去工程)。例えば、絶縁性保護膜7がポリパラキシリレン膜である場合、酸素プラズマエッチング処理でポリパラキシリレン膜7を除去することができ、一例として、一端面10aをプラズマ発生源に向け、親水化処理よりも高出力で又は長時間プラズマ処理する方法を好ましく挙げられる。
ところで、絶縁性保護膜除去工程においては、絶縁性保護膜7のエッチング速度が、サンプルサイズや形状などによって、一端面10aの面内において最大0.1μm/min程度ばらつくことがある。エッチング速度のばらつきが大きいと、基板1の一端面10a上のみならず、インクチャネル11の内側面においても絶縁性保護膜7の一部が過剰エッチングされて欠損することがある。
また、絶縁性保護膜7の膜厚が成膜ロットごとにばらつく場合があり、特に絶縁性保護膜製膜工程において成膜された絶縁性保護膜7の膜厚が規定より1〜2μm程度薄くなると、過剰エッチングとなり、インクチャネル11の内側面において絶縁性保護膜7の一部が過剰エッチングされて欠損することがある。
特に、本発明においては、十分なインク吐出感度及びインク吐出特性を得る上で、インクチャネル11内の有効断面積の減少を防ぎ、更に、絶縁性保護膜7そのものの剛性により各隔壁13の動きが規制されないようにすることが重要であり、そのため、絶縁性保護膜7の膜厚は、好ましくは10μm以下に薄く形成されている。このように絶縁性保護膜7の膜厚が薄い場合、過剰エッチングは更に誘発され易くなる。
これらの結果として、図4(c)に示すように、インクチャネルの内側面に保護膜欠損部が生じ、保護膜欠損部において電極膜が露出して電極膜露出部Eが発生する。
チャネル基板1の一端面10aにおける電極膜末端の露出部Dであれば、特許文献5の技術により接着剤によって被覆して、電極膜6の腐食を防止できるが、インクチャネル11の内側面において電極膜露出部Eが発生した場合は、特許文献5の技術を用いても、接着剤による被覆範囲外であるため、電極膜露出部Eは保護されず、電極膜6の腐食が起こる恐れがあった。
本発明者は、前述のように、電極膜6の露出部分Eの発生について詳細な検証を行い、電極膜露出部は、通常、インクチャネル11の内側面において、チャネル基板の一端面から5μmまでの範囲ないしチャネル基板の一端面から10μmまでの範囲に生成することを確認している。
更に、本発明者の検証によれば、前述のように、電極膜露出部の生成頻度は、比較的軽度の露出部も含めれば、インクチャネル数十個に1個程度の割合である。通常、インクジェットヘッドが数十〜数千のインクチャネルを備えることを考えれば、1つのインクジェットヘッドは少なくとも1つの電極膜露出部を有していると見なすことができる。
そこで、本発明者は、接着剤塗布工程において、ノズルプレート接着用の接着剤をインクチャネル11の内側面にも塗布して、電極膜6の露出部分Eを被覆して保護することを検討した。しかるに、インクチャネル11の内のりは通常僅か40〜100μm程度であるため、接着剤の塗布を行うこと自体が困難であり、更に、電極膜6の露出部分Eを十分に被覆できるだけの接着剤の塗布を試みれば、インクチャネル11内に多量の接着剤を塗布することになり、チャネル詰まりや吐出不良を引き起こした。
本発明者は、チャネル詰まりや吐出不良を引き起こすことなく、電極膜6の露出部分Eを接着剤によって被覆して保護することについて鋭意検討し、本発明に至った。
本発明は、保護膜除去工程後に、チャネル基板1の一端面10a、及び、インクチャネル11の内側面の保護膜欠損部から露出した電極膜露出部Eを連続的に被覆する接着剤層を形成する接着剤塗布工程を備える。
まず、図5を参照して本発明の接着剤塗布工程の第1態様を説明する。
第1態様においては、不要な絶縁性保護膜7を除去した後、まず、チャネル基板1の一端面10a、及び、インクチャネル11の内側面の保護膜欠損部から露出した電極膜露出部Eを連続的に被覆する接着剤層Bを形成する。
これにより、絶縁性保護膜7から露出した電極膜露出部Eを、接着剤Bで被覆して保護することが可能となる。
接着剤塗布工程における、接着剤Bの塗布方法は限定されず、例えば印刷法、ディスペンサーやローラーや刷毛などを用いて塗布する方法等を例示できるが、チャネル基板1の一端面10a、特に複数に分割された各々の一端面10aに均一に接着剤Bを塗布するためには、図5(a)に示すように、表面に接着剤Bが塗布された接着剤転写シートSを用いて塗布することが好ましい。前記接着剤転写シートSは、ワイヤーバー等を用いて、表面に規定量の接着剤Bが塗布されたものであることが好ましい。
接着剤転写シートSを用いて塗布する場合は、接着剤転写シートSの接着剤Bに、チャネル基板1の一端面10aを接触させる。このとき、図5(b)に示すように、接着剤Bに対して一端面10aを埋浸する、又は、埋浸した状態で揺動することによって、図5(c)に示すように、チャネル基板1の一端面10a、及び、インクチャネル11の内側面の保護膜欠損部から露出した電極膜露出部Eを連続的に被覆する接着剤層Bを形成することができる。
次に、図6を参照して本発明の接着剤塗布工程の第2態様を説明する。
第2態様においては、不要な絶縁性保護膜7を除去した後、まず、チャネル基板1の一端面10aに対し接着剤Bを塗布する。
接着剤Bの塗布方法は限定されず、例えば印刷法、ディスペンサーやローラーや刷毛などを用いて塗布する方法等を例示できるが、チャネル基板1の一端面10a、特に複数に分割された各々の一端面10aに均一に接着剤Bを塗布するために、図6(a)に示すように、表面に接着剤Bを被覆した接着剤転写シートSを用いて塗布することが好ましい。前記接着剤転写シートSは、ワイヤーバー等を用いて、表面に規定量の接着剤Bが塗布されたものであることが好ましい。
接着剤転写シートSを用いて塗布する場合は、図6(b)に示すように、チャネル基板1の一端面10aを、接着剤転写シートSに向けた状態で、チャネル基板1の一端面10aと接着剤Bとを接触させて、図6(c)に示すように、チャネル基板1の一端面10aに対する接着剤Bの塗布が行われる。
このままの状態では、インクチャネル11の内側面の保護膜欠損部から露出した電極膜露出部Eが接着剤Bによって被覆されないので、第2態様では、次いで、図6(d)に示すように、チャネル基板1の一端面10aに位置するインクチャネル11の出口11aからチャネル基板1の他端面10bに位置するインクチャネル11の入口11bに向かう空気流で、インクチャネル11の内側面の保護膜欠損部から露出した電極膜露出部Eを被覆するように拡張する。これにより、チャネル基板1の一端面10a、及び、インクチャネル11の内側面の保護膜欠損部から露出した電極膜露出部Eを連続的に被覆する接着剤層を形成することができる。
チャネル基板1の一端面10aに位置するインクチャネル11の出口11aからチャネル基板1の他端面10bに位置するインクチャネル11の入口11bに向かう空気流の形成は、特に限定されるものではないが、他端面10b側からの送風、又は、一端面10a側からの空気吸引により行うことができる。
電極膜露出部Eは、通常、インクチャネル11の内側面において、チャネル基板1の一端面10aから5μmまでの範囲ないしチャネル基板1の一端面10aから10μmまでの範囲に生成することから、これを被覆して保護するために、接着剤塗布工程によって形成される接着剤層Bは、好ましくは、インクチャネル11の内側面におけるチャネル基板1の一端面10aからの形成長さが5μm以上かつ50μm以下の範囲である。
しかし、インクチャネル11の内側面に対して、電極膜露出部Eを被覆できるだけの接着剤Bを塗布を行った場合、特に、インクチャネル11の内側面におけるチャネル基板1の一端面10aからの形成長さが5μm以上かつ50μm以下の範囲に達するような塗布を行った場合は、過剰な量の接着剤Bがインクチャネル11の内側面に塗布された状態(接着剤詰まり)となり、このままの状態で用いるとチャネル詰まりや吐出不良の原因になる問題を生じる。
上記の問題に対して、接着剤塗布工程後に設けられる接着剤押し出し工程では、接着剤Bの余剰部分をインクチャネル11外部、好ましくはチャネル基板1の一端面10a上に移動するように押し出して、上記のチャネル詰まりや吐出不良の発生を防止する。
ここで、接着剤Bの余剰部分というのは、インクチャネル11の内側面に塗布された接着剤Bの厚み10〜50μm程度の塗布膜厚を、厚さ1〜10μm程度の塗布膜厚に減少させる減少部分に相当する塗布部分であり、この余剰部分に相当する接着剤は、接着剤押し出しによって、インクチャネル11外部、好ましくはチャネル基板1の一端面10a上に移動する。
具体的には、図7に示すように、前記接着剤塗布工程後に、チャネル基板1の他端面10bに位置するインクチャネル11の入口11bからチャネル基板1の一端面10aに位置するインクチャネル11の出口11aに向かう空気流で、インクチャネル11の内側面に塗布された接着剤Bの余剰部分をインクチャネル11外部、好ましくはチャネル基板1の一端面10a上に移動するように押し出す。
チャネル基板1の他端面10bに位置するインクチャネル11の入口11bからチャネル基板1の一端面10aに位置するインクチャネル11の出口11aに向かう空気流の形成は、特に限定されるものではないが、他端面10b側からの送風、又は、一端面10a側からの空気吸引により行うことができる。
なお、特開平11−165419号公報には、接着剤塗布時において、インク供給口から吐出口側へと流れる空気流を形成して、インクチャネル内部への接着剤の入り込みを防止する技術が開示されている。これに対して、本発明は、接着剤塗布時においては、むしろインクチャネル11の内部への接着剤Bの入り込みを促して、これによりインクチャネル11の内側面に接着剤Bを入り込ませた後に、空気流で、インクチャネル11の内側面を被覆する接着剤Bの余剰部分をインクチャネル11外部へ押し出すものであり、特開平11−165419号公報の技術とは思想、構成共に全く異なるし、またこれにより本発明に特有の効果を奏するものである。
第1態様又は第2態様により接着剤Bが塗布された一端面10aに、ノズルプレート3を接着する(接着工程)。また、これと同様にしてチャネル基板1の他端面10bに接着剤でバックプレート4を接着し、さらに接着剤でバックプレート4のチャネル基板1の反対側にインクマニホールド5を接着してインクジェットヘッド100が完成する。
本発明は、接着剤塗布工程の第2態様、及び、接着剤押し出し工程において、塗布された接着剤Bを空気流により変形せしめる構成を有している。
上記の変形を好適に行う上で、接着剤Bの粘度、及び、空気流の設定は重要である。
本発明において、接着剤Bの粘度は、2Pa・s以上かつ30Pa・s以下の範囲であることが好ましい。接着剤Bの粘度が上記範囲に満たない場合、空気流による圧力で、接着剤Bが周囲に飛び散って汚染を生じる恐れがあり、上記範囲を超える場合、空気流による変形が困難となる。
また、本発明において、空気流の圧力は0.3MPa以上かつ1.2MPa以下の範囲から接着剤Bや該接着剤Bの塗布量に応じて適宜選択されることが好ましい。空気流の圧力が上記範囲に満たない場合、接着剤Bの変形が困難となり、上記範囲を超える場合、空気流による圧力で、接着剤Bが周囲に飛び散って汚染を生じる恐れがある。
また、空気流を形成する継続時間は、1秒以上かつ10秒以下の範囲から接着剤Bの特性や塗布量に応じて適宜選択されることが好ましい。空気流を形成する継続時間が上記範囲に満たない場合、接着剤Bの変形が困難となり、上記範囲を超える場合、処理時間に対してそれ以上の接着剤Bの変形が生じ難く、生産性を低下する。
本発明において、空気流を形成する空気流形成手段は限定されず、送風によるもの、又は、空気吸引によるものの何れであってもよい。
送風により空気流を形成する空気流形成手段としては、エアーブローガン、エアーダスター、エアーナイフ等を好ましく例示でき、空気吸引により空気流を形成する空気流形成手段としては、真空吸引ポンプ等を好ましく例示できる。
空気流形成手段が備える空気噴射口(ノズル)の形状は特に限定されず、シングルノズルタイプや、多数のノズルが並設されたフラットタイプ等が挙げられる。特に本発明においては、複数のインクチャンネルに対して、同時に、均一な空気流を形成する上で、フラットタイプを好ましく用いることができる。
図8は、空気流の形成方法の一例を説明する図である。
図8において、20は送風を行う空気流形成手段であり、図示の例では多数のノズル21が並設されたフラットタイプのノズルを備えている。空気流形成手段20は、チャネル基板1の他端面10bに平行に配置され、空気流形成手段20の空気噴射口22と他端面10bとの距離Dは、好ましくは、0mm以上かつ30mm以下の範囲である。なお、別の態様として、一端面10a側に空気流形成手段を配置する場合は、接着剤との接触を避けることが好ましい。図示の例では、隔壁13を隔てて交互に形成されたインクチャネル11及び空気チャネル12に対して同時に空気流を形成しているが、これに限定されるものではなく、1以上のインクチャンネル11に順次空気流を形成してもよいし、インクチャンネル11のみに対して空気流を形成し、空気チャネル12に対して空気流を形成しないものであってもよい。各々のインクチャネル11に均一な空気流を形成するために、各々のインクチャネル11毎にノズル21を設けることも好ましいことである。
また、例えば、接着剤塗布工程の第2態様を選択する場合では、送風と空気吸引の切り替えが可能な空気流形成手段を用いて、接着剤塗布工程において他端面10b側から空気吸引し、その後、接着剤押し出し工程においては送風するという切り替えを行うことにより、工程の簡略化及び効率化を図ることが可能である。
本発明は、接着剤押し出し工程を有することにより、接着工程後の接着剤層Bの、インクチャネル11の内側面におけるチャネル基板1の一端面10aからの形成長さLを、チャネル基板1とノズルプレート3を接着している接着剤厚さL以上とすることが可能となる。なお、仮に従来の方法で前記形成長さLを接着剤厚さL以上とすることを試みれば、接着剤転写時にチャネル基板の一端面10aを接着剤に深く埋浸させたり、ノズルプレート接着時にチャネル基板1の一端面10aをノズルプレート3に強く押し付けたりする等の方法に依らざるを得ず、これらはインクチャネル11の内部に多量の接着剤を導入することになり、チャネル詰まりや吐出不良を招くものであった。
更に、本発明のインクジェットヘッドは、接着剤押し出し工程において、インクチャネル11の内側面に塗布された接着剤Bの余剰部分が、インクチャネル外部、好ましくはチャネル基板1の一端面10a上に移動するように押し出されているために、ノズルプレート3接着後における接着剤層Bの断面形状を、インクの流路に対して略凹曲線状とすることが容易となり、これにより、接着剤層Bがインク流路に対する障害物となることが回避され、チャネル詰まりや吐出不良の発生を更に回避できる。更に、同時に、インクチャネル11の内側面における接着剤層Bの厚みが減少するので、接着剤層Bの厚みにより隔壁13の動きが規制され難く、十分なインク吐出感度及びインク吐出特性が得られる。
次に、インクジェットヘッド100の作用について説明する。
チャネル基板1のインクチャネル11にインクが貯留された状態において、各電極膜6に接続された駆動回路から各電極膜6に制御信号が送信されると、チャネル基板1を構成する各基板1a,1bが駆動されて変形する。すると、インクチャネル11中のインクがノズルプレート3のノズル孔31からインクジェットヘッド100の外部に吐出される。その後、駆動回路から各電極膜6に別の制御信号が送信されて各基板1a,1bの変形が解除されると、インクマニホールド5からバックプレート4のインク流入孔41を通過してインクチャネル11内にインクが流入する。以後、駆動回路から各電極膜6に制御信号が送信されるごとに、インクジェットヘッド100では上記の動作が繰り返しおこなわれ、インクマニホールド5内のインクがインクチャネル11を通過してノズルプレート3のノズル孔31から吐出される。
以下に、本発明の実施例を説明するが、本発明はかかる実施例によって限定されない。
まず、以下に示すインクジェットヘッドの製造方法によりインクジェットヘッドを作成し、貼り付け性及びインク耐性について評価した。
<インクジェットヘッドの製造方法>
始めに、厚さ150μm,厚さ900μmの2枚のPZT板を150℃に熱した絶縁油に漬けて、10KVの直流電圧を掛けて分極を行い、エポキシ系接着剤で2枚のPZT板を分極方向が反対になるように接着した。
次いで、PZT板の表面に、東京応化工業社製ポジ型フォトレジスト「PMERP−LA100」を、乾燥膜厚5μmになる様にスピンコートし、100℃のオーブンに30分間入れてキュアーした後、PZT板の表面からダイヤモンドブレードを使用して、前後方向に伸びる幅70μm、深さ300μmのインク流路用のインクチャネルと、前後方向に伸びる幅70μm、深さ300μmの空気溝用の空気チャネルを交互に70μm間隔で研削してチャネル基板を形成した後、超音波洗浄して研削屑を取り除き、Ni−Bの無電解めっきを施した。
無電解めっきでは、最初に、チャネル基板を、50℃に加熱した(株)ワールドメタル製の脱脂液「PT−0」(有機酸塩0.4%+無機アルカリ塩0.2%+ノニオン活性剤0.5%、pH=1)に30秒間つけて洗浄した。水洗後、(株)ワールドメタル製のエッチング液「PT−1」(無機酸塩5%+アンモニヤ系硫酸塩4%、弗素系塩1.5%、pH=2)に30秒間漬け、水洗した後、(株)ワールドメタル製の酸化液「PT−2」(有機酸塩15%+無機塩2%、pH=1)に30秒間漬けた。更に水洗した後、(株)ワールドメタル製の塩化第一錫溶液「PT−3」(有機酸塩0.4%+無機酸塩0.8%+塩化第一錫0.6%+NaCl3.5%、pH=1)に30秒間漬け、軽く水洗して、(株)ワールドメタル製の塩化パラジウム溶液「PT−4」(有機酸塩1%+無機酸塩3%+塩化パラジウム0.1%、pH=1)に45秒漬けた。これを水洗後、「PT−3」と「PT−4」による処理をもう一度繰り返した。
次いで、前処理の終ったチャネル基板を、60℃に加熱した(株)ワールドメタル製のニッケル−ホウ素無電解めっき液「ニボロン70」に界面活性剤「AP555」を添加した液で、20分間、垂直方向に2.5cm/secの速度で揺動させながらめっきし、1.5μmのめっき金属を形成した。
次いで、東京応化工業社製のレジスト剥離液「PS」にめっき済みのチャネル基板を浸漬して、レジストを取り除き、セラミックス製の試料取り付け板の上に、めっき済みのチャネル基板の前壁を上に向けてワックスでチャネル基板を固定し、これを(株)日本エンギス製のハイプラスラッピング機の回転するラッピングプレート上に載せて、粒径3μmのダイヤモンドスラリーを噴射しながら、3分間、チャネル基板の前壁を研磨してめっき金属を除去した。
引き続き、チャネル基板の後壁と底面に析出しためっき金属を、波長532nmのYAGレーザーで、約50J/cmのエネルギー密度で除去してめっき除去部を形成し、これにより各チャネル部間の電極を分離してヘッド配線とした。
次いで、上記チャネル基板と同一のPZT板を脱分極してカバー基板を作製した。カバー基板を作製したら、そのカバー基板をチャネル基板に接着し、CVD処理によりチャネル基板(インクチャネル及び空気チャネルの壁面を含む。)にポリパラキシリレン膜を製膜した。
次いで、チャネル基板の一端面(ノズルプレートを取り付ける面)に製膜されたポリパラキシリレン膜を酸素プラズマエッチング処理により除去した。酸素プラズマエッチング処理では、処理用の装置として平行平板型RFプラズマ装置を用い、電源として13.56MHzのRF高周波電源を用い、カソード上にチャネル基板を載置した状態で電源から300Wの電力を供給して放電した。酸素プラズマエッチング処理中、排気速度を調整しながら酸素ガスを50sccm導入して圧力を10Paに制御した。
このような処理条件において、ポリパラキシリレン膜のエッチング速度は0.3〜0.4μm/minであり、処理に供するインクジェットヘッドにおけるポリパラキシリレン膜の膜厚に応じてエッチング処理時間を調整した。
参考例1〜3、比較例1〜4、又は、実施例1〜5の各々のインクジェットヘッドにおけるポリパラキシリレン膜の膜厚とエッチング処理時間を表1に示す。
さらに、エッチング処理時間に応じた平均エッチング量(μm)を、エッチング速度の最小値(MIN)である0.3μm/min、及び、最大値(MAX)である0.4μm/minの各々について求めた結果を表1に示した。
次いで、平坦なフィルムにワイヤーバーにより、粘度が25Pa・s、ガラス転移温度が131℃、100℃における硬化時間が1時間のエポキシ系接着剤(高粘度)を、4μmの膜厚になるように塗布し、接着剤転写シートを調製した。
参考例1〜3、比較例1〜4、又は、実施例1〜5の各々の場合について、以下の方法で接着剤層の形成を行った。
(参考例1〜3及び比較例1〜3)
接着剤転写シートの接着剤に、チャネル基板の一端面を、触る程度に接触させて、接着剤層を形成した。
(比較例4)
接着剤転写シートの接着剤に、チャネル基板の一端面を接触させると共に、該接着剤に対して該一端面を埋浸し、埋浸した状態で揺動することによって、接着剤層を形成した。
(実施例1〜5)
比較例4と同様の方法で得られた接着剤層に対して、更に、チャネル基板の接着剤塗布面の反対面方向からの空気流で、インクチャネルの内側面に塗布された接着剤の余剰部分をインクチャネル外部へ押し出す処理を施した。空気流の形成は、チャネル基板の他端面10b(接着剤塗布面の反対面)から、図8に示すような自作のフラットタイプノズルを備えたエアーブローガン(チヨダエンジニアリング社製「BG50」)により送風することにより行った。その際、送風圧力を0.5MPaとし、図8の例と同様にフラットタイプノズルの空気噴射口とチャネル基板の他端面10bとの距離を10mmとし、空気流を形成する継続時間を3秒とした。
参考例1〜3、比較例1〜4、又は、実施例1〜5の各々の場合について、上記の通り接着剤層を形成したら、レーザによりノズルが形成されたポリイミド製のノズルプレートを、チャネル基板の一端面(接着剤が転写された面)に押し当て、チャネル基板にノズルプレートを接着した。チャネル基板とノズルプレート間における接着剤厚さは2μmとした。ノズルプレートを接着したら、ノズルプレートを取り付けたチャネル基板を常温で48時間放置し、その後100℃で1時間加熱した。
次いで、ノズルプレートを取り付けたチャネル基板に、バックプレート、インクマニホールドなどをそれぞれ取り付け、インクジェットヘッドの作製を完成した。
<評価方法>
1.貼り付け性
上記の各実施例、比較例及び参考例のインクジェットヘッドについて、ノズルプレートの貼り付け結果を検査した。
各インクジェットヘッドで接着剤抜けやチャネル詰まりがあった場合はNGとし、異常がない場合はOKとした。
各実施例、比較例及び参考例について各々10個のインクジェットヘッドを検査し、10個ともOKの場合を○とし、NGが一つでもあった場合を×とした。
結果を表1に示す。
2.インク耐性
上記の各実施例、比較例及び参考例のインクジェットヘッドのインクマニホールド内にNメチル−2−ピロリジノン(NMP)を満たし、60℃の環境試験下で放置した。3週間後、各インクジェットヘッドからNMPを吐出させ、吐出性能を評価した。
全てのノズルからインクが吐出した場合をOKとし、吐出しないノズルが1つ以上存在した場合はNGとした。
各実施例、比較例及び参考例について各々10個のインクジェットヘッドを検査し、10個ともOKの場合を○とし、NGが1個の場合を×とし、NGが2個以上の場合を××とした。
結果を表1に示す。
Figure 0005593896
<評価>
まず、参考例1〜3は、貼り付け性及びインク耐性が良好であることがわかる。しかし、ポリパラキシリレン膜の膜厚に対して、エッチング時間(平均エッチング量)が十分に過剰となっていないため、ポリパラキシリレン膜の膜厚が成膜ロットごとにばらつく場合は、一端面上のポリパラキシリレン膜の除去が不十分となり、ノズルプレートの接着強度が得られない恐れがある。
一方、比較例1〜3では、参考例1〜3よりも平均エッチング量が過剰となるようにエッチング時間を設定し、ノズルプレートの接着強度不足を回避している。しかるに、比較例1〜3は、表1に示すように、何れもインク耐性に劣ることがわかる。過剰エッチングにより、インクチャンネルの内側面においてポリパラキシリレン膜の欠損が生じ、電極膜露出部が形成され、該電極膜露出部を起点として電極膜の腐食が進行し、インク耐性に劣る結果になったものと推定される。
これに対して、実施例1〜5では、平均エッチング量が過剰となるようにエッチング時間を設定しても、良好なインク耐性を示していることが分かる。例えば、ポリパラキシリレン膜の膜厚が同等である、比較例1と実施例2(あるいは、比較例2と実施例4)を比較すると、実施例の平均エッチング量が、比較例よりも更に過剰に設定されているにもかかわらず、実施例1〜5では良好なインク耐性が得られたことが分かる。
また、実施例1〜5では、平均エッチング量を過剰に設定しているので、一端面上のポリパラキシリレン膜を確実に除去でき、高いノズルプレートの接着強度が得られるものと推定される。
100:インクジェットヘッド
1:チャネル基板
2:カバー基板
3:ノズルプレート
4:バックプレート
5:インクマニホールド
6:電極膜
7:絶縁性保護膜
11:インクチャネル
12:空気チャネル
13:隔壁

Claims (16)

  1. インクの流路となるインクチャネルが形成されたチャネル基板の一端面にノズルプレートが接着されたインクジェットヘッドの製造方法において、
    前記インクチャネル内に電極膜を成膜する電極膜成膜工程と、
    前記電極膜成膜工程後に、前記電極膜上に絶縁性保護膜を成膜する保護膜成膜工程と、
    前記保護膜成膜工程後に、前記保護膜成膜工程の処理に伴って前記チャネル基板の一端面に成膜された前記絶縁性保護膜を除去する保護膜除去工程と、
    前記保護膜除去工程後に、前記チャネル基板の一端面、及び、インクチャネルの内側面の保護膜欠損部から露出した電極膜露出部を連続的に被覆する接着剤層を形成する接着剤塗布工程と、
    前記接着剤塗布工程後に、前記チャネル基板の他端面に位置する前記インクチャネルの入口から該チャネル基板の一端面に位置する該インクチャネルの出口に向かう空気流で、前記インクチャネルの内側面に塗布された接着剤の余剰部分をインクチャネル外部へ押し出す接着剤押し出し工程と、
    前記接着剤押し出し工程後に、前記チャネル基板の一端面に対し前記ノズルプレートを接着する接着工程と、を備えることを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
  2. 前記接着剤塗布工程において、表面に接着剤が塗布された接着剤転写シートの接着剤に、前記チャネル基板の一端面を接触させると共に、該接着剤に対して該一端面を埋浸する、又は、埋浸した状態で揺動することによって、前記接着剤層を形成することを特徴とする請求項1記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  3. 前記接着剤塗布工程において、前記チャネル基板の一端面に対し接着剤を塗布した後に、前記チャネル基板の一端面に位置する前記インクチャネルの出口から該チャネル基板の他端面に位置する該インクチャネルの入口に向かう空気流で、前記チャネル基板の一端面に塗布された接着剤を、前記インクチャネルの内側面の保護膜欠損部から露出した電極膜露出部を被覆するように拡張して前記接着剤層を形成することを特徴とする請求項1記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  4. 前記接着剤塗布工程において、前記空気流の圧力は、0.3MPa以上かつ1.2MPa以下の範囲であることを特徴とする請求項3記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  5. 前記接着剤層は、前記インクチャネルの内側面における前記チャネル基板の一端面からの形成長さが5μm以上かつ50μm以下の範囲であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  6. 前記接着剤押し出し工程において、押し出された接着剤が、前記チャネル基板の一端面上に移動することを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  7. 前記接着剤押し出し工程において、前記空気流の圧力は、0.3MPa以上かつ1.2MPa以下の範囲であることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  8. 前記接着剤の粘度は、2Pa・s以上かつ30Pa・s以下の範囲であることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  9. 前記接着剤は、ガラス転移温度が100℃以上のエポキシ系接着剤であることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  10. 前記絶縁性保護膜はポリパラキシリレン膜であることを特徴とする請求項1〜9の何れかに記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  11. インクの流路となるインクチャネルに電極膜及び絶縁性保護膜が成膜されたチャネル基板を備え、
    前記チャネル基板の一端面にノズルプレートが前記絶縁性保護膜を介さずに接着剤で接着されたインクジェットヘッドにおいて、
    前記ノズルプレートを接着する接着剤層が、インクチャネルの内側面の保護膜欠損部から露出した電極膜露出部を被覆すると共に、該電極膜露出部から前記ノズルプレート接着面にかけて連続的に形成されていることを特徴とするインクジェットヘッド。
  12. 前記接着剤層は、インクチャネルの内側面における前記チャネル基板の一端面からの形成長さが5μm以上かつ50μm以下の範囲であることを特徴とする請求項11記載のインクジェットヘッド。
  13. 前記接着剤層は、インクチャネルの内側面における前記チャネル基板の一端面からの形成長さが、前記チャネル基板と前記ノズルプレートを接着している接着剤厚さ以上であることを特徴とする請求項11又は12記載のインクジェットヘッド。
  14. 前記接着剤層の断面形状は、インクの流路に対して略凹曲線状であることを特徴とする請求項11〜13の何れかに記載のインクジェットヘッド。
  15. 前記接着剤は、ガラス転移温度が100℃以上のエポキシ系接着剤であることを特徴とする請求項11〜14の何れかに記載のインクジェットヘッド。
  16. 前記絶縁性保護膜はポリパラキシリレン膜であることを特徴とする請求項11〜15の何れかに記載のインクジェットヘッド。
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