JP6863106B2 - インクジェットヘッド、インクジェットヘッドの製造方法及びインクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェットヘッド、インクジェットヘッドの製造方法及びインクジェット記録装置 Download PDF

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Description

本発明は、インクジェットヘッド、インクジェットヘッドの製造方法及びインクジェット記録装置に関する。
従来、インクジェットヘッドに設けられている複数の微細なノズルからインクを射出して記録媒体に画像を形成するインクジェット記録装置が知られている。
また、このようなインクジェットヘッドでは、インクの流路となる部分に、例えば、保護膜としてポリパラキシリレン又はその誘導体からなる保護膜(以下、「パリレン膜」ともいう。)を設け、インク流路を構成する部材の耐インク性や絶縁性等を向上させることが知られている(特許文献1参照)。
具体的には、特許文献1には、セラミックスからなる流路部材の流路壁面にパリレン膜が設けられており、当該パリレン膜の膜厚をノズル口に近づくほど小さくすることで、当該パリレン膜を当該流路壁面から剥離しにくい構成としたインクジェットヘッドが開示されている。
特開2012−201025号公報
しかし、特許文献1に記載のインクジェットヘッドでは、インクジェットヘッドの流路部材がセラミックスに限定されているとともに、パリレン膜を研磨やサンドブラスト加工によって膜厚を調整する必要があるため、手間やコストを要するという問題があった。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、簡易な構成でインク流路壁面を被覆する保護膜を剥離しにくくすることが可能なインクジェットヘッド、インクジェットヘッドの製造方法及びインクジェット記録装置を提供することである。
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
インクを射出する複数のノズルと、
当該複数のノズルにそれぞれ連通する複数の圧力室と、
前記複数の圧力室の内部に圧力変化を生じさせることにより、前記ノズルからインクを射出させる複数の圧力発生手段と、を有するヘッドチップを備えたインクジェットヘッドであって、
前記ヘッドチップは、インク導通路と、前記複数の圧力発生手段を格納する格納部を有するスペーサー基板を備え、
前記スペーサー基板のうち少なくとも前記インク導通路の流路壁面に、金属メッキ層と、ポリパラキシリレン又はその誘導体を含有する層とが順に積層されていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のインクジェットヘッドにおいて、
前記インク導通路は、前記複数のノズルの配列方向に直交する方向に対して複数列に並ぶように設けられていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載のインクジェットヘッドにおいて、
前記格納部は、前記圧力発生手段の形状の輪郭に沿うように形成された部分を有することを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のインクジェットヘッドにおいて、
前記金属メッキ層は、ニッケル、クロム、コバルト、スズ、亜鉛及びそれらの合金からなる群から選択された金属材料を含有するメッキであることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のインクジェットヘッドにおいて、
前記スペーサー基板は、42アロイ又はインバーからなる基板であることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1から5までのいずれか一項に記載のインクジェットヘッドの製造方法であって、
前記スペーサー基板のうち少なくとも前記インクの流路となる流路壁面に、金属メッキ形成用材料を用いて前記金属メッキ層を形成する工程と、
前記金属メッキ層表面を洗浄液で洗浄し、前記金属メッキ形成用材料の残留物を除去する洗浄工程と、
前記金属メッキ層上に、前記ポリパラキシリレン又はその誘導体を含有する層を形成する工程と、
をこの順で有することを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のインクジェットヘッドの製造方法において、
前記洗浄液が、イソプロピルアルコールを含有することを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、
請求項1から5までのいずれか一項に記載のインクジェットヘッドを備えたことを特徴とするインクジェット記録装置である。
本発明によれば、簡易な構成でインク流路壁面を被覆する保護膜を剥離しにくくすることが可能なインクジェットヘッド、インクジェットヘッドの製造方法及びインクジェット記録装置を提供することができる。
インクジェット記録装置の概略構成を示す斜視図 インクジェットヘッドの上側からの斜視図 インクジェットヘッドの下側からの斜視図 インクジェットヘッドの要部の断面図 図3のIV部分について、ヘッドチップの一部を拡大した断面図 ノズル基板の底面図 ヘッドチップ内部の流路構成と圧電素子の位置関係を示す平面透視図 スペーサー基板及び圧電素子の位置関係を示す平面図 図4のVIII部分を拡大した断面図
添付図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。ただし、本発明は、図示例に限定されるものではない。
[インクジェット記録装置の概略]
インクジェット記録装置100は、プラテン101、搬送ローラー102、ラインヘッド103,104,105,106等を備える(図1)。
プラテン101は、上面に記録媒体Mを支持しており、搬送ローラー102が駆動されると、記録媒体Mを搬送方向に搬送する。
ラインヘッド103,104,105,106は、記録媒体Mの搬送方向の上流側から下流側にかけて、搬送方向に直交する幅方向に並列して設けられている。そして、ラインヘッド103,104,105,106の内部には、後述するインクジェットヘッド1が少なくとも一つ設けられており、例えば、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、又は黒(K)のインクを記録媒体Mに向けて吐出する。
なお、ラインヘッドを用いた記録媒体の搬送のみで描画を行う1パス描画方式での実施形態を例にして説明したが、適宜の描画方式に適用可能であり、例えば、スキャン方式を用いた描画方式を採用しても良い。
[インクジェットヘッドの構成]
インクジェットヘッド1は、ヘッドチップ2、共通インク室3、接続部材4及び駆動部5等を備えている(図2A、図2B、図3)。
ヘッドチップ2は、上下方向に複数の基板が積層されて構成されており、ヘッドチップ2の最下部に位置するノズル基板10と最上部に位置する配線基板50とは平行になるように配置されている。また、ヘッドチップ2の内部には、各ノズル11に対応して、インクを貯留する圧力室311と、当該圧力室311内のインクに圧力を付与する圧力発生手段としての圧電素子42とが設けられている。圧力室311内部に貯留されたインクは、圧電素子42の変位によって加圧されると、圧力室311に連通するノズル11からインクの液滴が射出される。
共通インク室3は、ヘッドチップ2の上部に位置し、内部にインクを貯留している。また、共通インク室3にインクを供給するインク供給部3aと、共通インク室3のインクを排出するインク排出部3bとがそれぞれ上部に設けられている(図2A)。また、共通インク室3は、下面において、ヘッドチップ2の最上面に設けられているインク供給口としての貫通孔601(図4参照)と連通している。そして、ヘッドチップ2内部の圧力室311に、共通インク室3から貫通孔601を通してインクが供給される。
接続部材4は、例えばFPC(Flexible Printed Circuits)等からなる配線部材であり、ヘッドチップ2の両端部で、それぞれ配線基板50の下面の個別配線58に接続されている。個別配線58と接続された接続部材4は、共通インク室3を保持する保持基板90の両端部付近に設けられた開口部から、保持基板90の下面側から上面側に引き回されている。
駆動部5は、IC(Integrated Circuit)等で構成されており、圧電素子42に供給する駆動電流を出力する給電側の端子と、電流が流れ込む接地された接地側の端子と、を有している。駆動部5は、接続部材4に接続しており、接続部材4と個別配線58とを通じて、圧電素子42に電気(駆動電位)を供給し、圧電素子42を変位させる。
[ヘッドチップの構成]
ヘッドチップ2は、Z方向の下側から順にノズル基板10、接着用基板20、圧力室基板30、スペーサー基板40、配線基板50及び接着層60等によって構成されている(図4〜図8参照)。
なお、図4における流路内の矢印は、インクの流れる方向を示している。また、図6は、ヘッドチップ2内の流路構成と圧電素子の位置関係を説明する平面透視図であり、説明する都合上、流路構成に対応する部分は実線で示し、それ以外は破線で示している。
ノズル基板10は、例えばシリコン製の基板であり、インクを射出する多数のノズル11が高密度に設けられている(図2B、図5等参照)。
また、図5に示したノズル基板10の底面では、ノズル11が、ノズルの配列方向D1に直交する方向D2に対して4列で並ぶように設けられた例を示しているが、これに限られず、1〜3列であってもよく、5列以上であってもよい。
接着用基板20は、例えばガラス製の基板であり、ノズル基板10の上面に積層され、接合されている。接着用基板20には、ノズル基板10のノズル11と連通して積層方向であるZ方向に貫通する貫通孔201が形成されている。
圧力室基板30は、圧力室層31と振動板32とから構成されている。
圧力室層31は、シリコン製の基板であり、接着用基板20の上面に積層され、接合されている。圧力室層31には、ノズル11から射出されるインクを貯留する圧力室311が形成されている。圧力室311は、貫通孔201及びノズル11の上方に設けられ、これら貫通孔201及びノズル11と連通している。また、圧力室層31には、圧力室311と連通する連通孔312が、圧力室層31の水平方向に延在するように形成されている(図4参照)。
振動板32は、例えばシリコン製の基板で構成され、圧力室311の開口を覆うように圧力室層31の上面に積層され、圧力室311の上壁部を構成している。振動板32の表面には、酸化膜が形成されている。また、振動板32には、連通孔312と連通してZ方向に貫通する貫通孔321が形成されている。
スペーサー基板40は、Z方向に貫通して、貫通孔321と連通するインク導通路401と、圧力発生手段としての圧電素子42を格納する格納部41とが、独立して形成されている。
また、本発明に係るスペーサー基板40の表面には、後述するとおり耐インク性等を有する保護膜としてパリレン膜46が形成されているので、スペーサー基板40の材料は耐インク性の低い材料でも用いることができる。スペーサー基板40としては、例えば、安価で加工性の高い42アロイやインバー等の材料を好適に用いることができる。
また、ヘッドチップ2全体の反りを低減する観点からは、スペーサー基板40の材料として、圧力室層31、ノズル基板10及び配線基板50と熱膨張係数が近い材料を用いることが好ましい。
圧電素子42は、振動板32を変形させるためのPZT(lead zirconium titanate)からなるアクチュエーターであり、圧力室311と略同一の平面視形状に形成され、振動板32を挟んで圧力室311と対向する位置に設けられている。
圧電素子42には、上面に第1電極としての電極421が設けられ、圧電素子42の第1電極が設けられている側とは反対側である下面に電極422が設けられており、このうち下面側の電極422が第2電極としての共通電極43を介して、振動板32に接続されている。ここで、第1の電極としての電極421は、駆動部5から、接続部材4、個別配線58及び個別配線56を介して入力された駆動電位を圧電素子42に供給する。また、第2電極としての共通電極43は、ヘッドチップ2内の接地電極部(図示省略)に電気的に接続され、グランド電位を圧電素子42に供給している。
第2電極としての共通電極43は、インク導通路401部分を除いて、振動板32上の全面に積層形成されている。これにより、ヘッドチップ2内の圧電素子のすべてに、グランド電位を共通に供給できるようになっている。
また、共通電極43は、ヘッドチップ2をより簡易な構成とする観点から、共通電極43と振動板32とを同一部材により構成してもよい。この構成では、例えば、共通電極43を、例えば不純物を高濃度にドープしたシリコンで形成することで、共通電極43を振動板として用いることができる。
スペーサー基板40と、共通電極43とは、導電性接着剤により接着されている。導電性接着剤は、例えば、接着剤に導電粒子が均一に分散されたものとする。導電粒子を混ぜる接着剤としては、例えば、エポキシ系樹脂の接着剤を用いることができる。導電粒子は、AuやNi等の金属粒子そのものの他、ジビニルベンゼン等の樹脂の粒子の表面にAuやNi等の金属膜をめっき等によって被覆したもの等があり、本実施の形態ではいずれを用いることもできる。導電性接着剤による接着により、スペーサー基板40は、共通電極43と電気的に接続され、同電位となっている。このため、電極422から流れる電流は、共通電極43を介してだけでなく、スペーサー基板40を介しても流れる。
また、スペーサー基板40は、少なくともインク導通路401の流路壁面に、金属メッキ層45と、ポリパラキシリレン又はその誘導体を含有する層46(本明細書において、「パリレン膜」ともいう。)が形成されている。
金属メッキ層45を設けることで、スペーサー基板40の表面を均質化することができる。これにより、スペーサー基板40に対するパリレン膜46の密着性が向上し、かつ金属メッキ層45上に積層するパリレン膜46剥離の起点となるような箇所の発生を防ぐことができたので、パリレン膜46が剥離しにくくなるという効果が得られたと考えられる。
また、金属メッキ層45は、本発明の効果を有効に得る観点から、ニッケル、クロム、コバルト、スズ、亜鉛及びそれらの合金からなる群から選択された金属材料を含有するメッキであることが好ましい。
また、金属メッキ層45は、本発明の効果を有効に得る観点から、0.1〜10μmの範囲内とすることが好ましい。
パリレン膜は、パラキシリレン樹脂又はその誘導体樹脂からなる樹脂被膜であり、例えば、固体のジパラキシリレンダイマー又はその誘導体を蒸着源とする気相合成法(Chemical Vaper Deposition:CVD法)により形成することができる。すなわち、ジパラキシリレンダイマーが気化、熱分解して発生したパラキシリレンラジカルが、流路部材や金属層の表面に吸着して重合反応し、被膜を形成する。
パリレン膜には、種々の性能を有するパリレン膜があるが、必要な性能等に応じて、各種のパリレン膜やそれら種々のパリレン膜を複数積層した多層構成のパリレン膜等を所望のパリレン膜として適用することもできる。
パリレン膜の層厚は、優れた絶縁性及び耐インク性の効果を得る観点から、5〜20μmの範囲内とすることが好ましい。
ポリパラキシリレンは分子量が50万にも及ぶ結晶性ポリマーであり、原料のパラキシリレン二量体を昇華し熱分解してパラキシリレンラジカルを発生させる。パラキシリレンラジカルはスペーサー基板40に付着すると同時に重合してポリパラキシリレンを生成し、保護膜を形成する。
ポリパラキシリレンとしては、パリレンN(日本パリレン株式会社製の商品名)が挙げられる。
ポリパラキシリレン誘導体としては、ベンゼン環に塩素原子が一つ置換したパリレンC(日本パリレン株式会社製の商品名)、ベンゼン環の2位と5位に塩素原子が置換したパリレンD(日本パリレン株式会社製の商品名)、ベンゼン環を結ぶメチレン基の水素原子をフッ素原子で置換したパリレンHT(日本パリレン株式会社製の商品名)が挙げられる。
本実施形態のポリパラキシリレン及びポリパラキシリレンの誘導体としては、これらの中でも、上述した層厚で優れた絶縁性及び耐インク性の効果を得る観点から、パリレンN又はパリレンCを用いることが好ましい。
また、実際に、例えば、42アロイからなるスペーサー基板40上に、(1)金属メッキ層としてニッケルメッキ層を1μmと、パリレン膜としてパリレンN(日本パリレン株式会社製)を含有する層10μmとを積層形成した場合と、(2)当該金属メッキ層(ニッケルメッキ層)を設けることなく同一のパリレン膜46を形成した場合について、それぞれを水性インクに6か月浸漬した後に評価したところ、前者の(1)の構成では、スペーサー基板40が錆びにくくなることがわかった。
また、水性インクに浸漬後、それぞれのパリレン膜表面を観察したところ、(1)の構成ではパリレン膜にひびが生じている箇所や剥離している箇所はなかったが、(2)の構成ではパリレン膜にひびが生じている箇所が複数存在し、剥離している箇所が一部存在することがわかった。したがって、(2)の構成では、ひびが生じている箇所や一部剥離した箇所から、インクが侵入することで、スペーサー基板が腐食したものと考えられる。
また、本発明に係る(1)の構成では、スペーサー基板40に対するパリレン膜46の密着性が高く、ひびが生じているような剥離の起点となるような箇所も存在しないため、剥離しにくくなるという効果が得られたものと考えられる。
以上のように、スペーサー基板40は、剥離しにくいパリレン膜46で保護されているので、耐インク性や絶縁性等機能を有するパリレン膜の機能を有効に得て、スペーサー基板40の基板表面を効果的に保護することができる。
また、金属メッキ層45及びパリレン膜46は、少なくともインク導通路401の流路壁面に設けられていればよく、例えば、図4に示すようにスペーサー基板40の全面を被覆するように設けてもよい。また、これに限られず、例えば、金属メッキ層45及びパリレン膜46を、スペーサー基板40のインク導通路401の流路壁面と、スペーサー基板40の配線基板50側の表面にのみ設けることとしてもよい。
また、金属メッキ層45及びパリレン膜46を形成する工程としては、金属メッキ形成用材料を用いて金属メッキ層45を形成する工程と、金属メッキ層45表面を洗浄液で洗浄し、金属メッキ形成用材料の残留物を除去する洗浄工程と、金属メッキ層45上にパリレン膜46を形成する工程と、をこの順で有することが好ましい。洗浄工程を有することで、金属メッキ層45表面の金属メッキ形成用材料の残留物を除去し、金属メッキ層45とパリレン膜46との密着性を向上させることができる。
また、金属メッキ層45表面を洗浄する洗浄液としては、速乾性を有し、かつ金属メッキ層45との反応性が低い洗浄液を用いることが好ましい。このような洗浄液としては、例えば、イソプロピルアルコール等のアルコール系洗浄液を用いることが好ましい。また、その他の洗浄液として、炭化水素系洗浄液及びフッ素系洗浄液等も好適に用いることができる。
金属メッキ層45を形成する方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、
蒸着法やスパッタリング法等の気相メッキ法を用いてもよく、メッキ浴に浸漬して電解又は無電解メッキする方法を用いてもよい。
なお、金属メッキ層45及びパリレン膜46をスペーサー基板40の圧力室基板30側にも積層する場合には、スペーサー基板40と共通電極43とが導電性接着剤により接着されるスペースを少なくとも一部確保すればよい。
また、図7にスペーサー基板40及び圧電素子42を示す平面図の一例を示すように、インク導通路401は、ノズルの配列方向D1に直交する方向D2に対して、複数列に並ぶように設けられていることが好ましい。これにより、高密度に圧電素子42及び圧力室311等を配置することができ、インクジェットヘッド1の小型化を実現することができる。
また、図7に示すように、スペーサー基板40において圧電素子42を格納する格納部41は、圧電素子42の形状の輪郭に沿うように形成された部分を有することが好ましい。これにより、スペーサー基板40の強度を保ちつつ、圧電素子42を高密度に配置することができる。
配線基板50は、配線用基材としてのシリコン製基板の基板層51を備えている。基板層51の下面には、絶縁膜52としての二酸化ケイ素又は窒化ケイ素の絶縁層が積層されており、水平方向に延在した銅製又はアルミニウム製等の個別配線58がこの絶縁膜52中に形成されて保護されている。
また、配線基板50の絶縁膜52と、スペーサー基板40のパリレン膜46との間に隣接して、絶縁樹脂からなる密着層55が積層されている。密着層55は、絶縁膜52及びパリレン膜46のそれぞれと接着性を有する材料によって形成されていることが好ましく、密着層55を設けることにより、絶縁膜52とパリレン膜46をより確実に密着させることで、耐インク性及び絶縁性を向上させることができる。
密着層55を形成するための絶縁樹脂としては、例えば、エポキシ系樹脂やシリコーン系樹脂を用いることが好ましい。また、密着層55の形成方法としては、特に限られないが、スクリーン印刷、フレキソ印刷等の公知の方法を用いることができる。
インクジェットヘッド1において、絶縁膜52、パリレン膜46及び絶縁性の密着層55という多層構成によって個別配線58を絶縁することにより、高密度で個別配線58が設けられている構成であっても、個別配線58間の絶縁性や、耐インク性を飛躍的に向上させることができる。
また、個別配線58の一端側である個別配線56部分には、圧電素子42上面の電極421に設けられたスタッドバンプ561が、格納部41内に露出した半田423を介して接続されている。また、個別配線58の他端側は、接続部材4に接続されている。
また、配線基板50の上面には、二酸化ケイ素又は窒化ケイ素の絶縁層54が被覆されている。
また、基板層51には、スペーサー基板40のインク導通路401と連通してZ方向に貫通するインレット512が形成されている。このインレット512は、例えばZ方向の上から下に断面積が小さくなるテーパー形状に形成され、下面の断面積がインク導通路401とほぼ同じ大きさとなっている。なお、絶縁膜52及び絶縁層54のうちインレット512近傍を被覆する各部分は、インレット512よりも大きい開口径に形成されている。
接着層60は、基板層51の絶縁層54の上面に積層され、接合されている。この接着層60は、上方の共通インク室3及び保持基板90をヘッドチップ2と接着する感光性樹脂層であるとともに、配線基板50を保護する保護層となっている。また、接着層60には、インレット512と連通してZ方向に貫通する貫通孔601が形成されている。貫通孔601の大きさは、例えばインレット512の下面とほぼ同じ大きさとされている。ここで、連通孔312、貫通孔321、インク導通路401、インレット512及び貫通孔601は、共通インク室3と圧力室311とを連通する個別流路70を構成している。
以上の構成を具備するヘッドチップ2では、共通インク室3内のインクが個別流路70を通じて圧力室311に供給される。また、駆動部5からの駆動信号に応じて、接続部材4に接続された個別配線58及び個別配線56を通じて電極421,422間に電圧が印加され、電極421,422に挟まれた圧電素子42が振動板32とともに変形し、圧力室311内のインクが押し出されてノズル11から吐出される。
[本実施形態における効果]
以上、本実施の形態によれば、インクジェットヘッド1は、インクを射出する複数のノズル11と、当該複数のノズル11にそれぞれ連通する複数の圧力室311と、複数の圧力室311の内部に圧力変化を生じさせることによりノズルからインクを射出させる複数の圧力発生手段(圧電素子42)と、を有するヘッドチップ2を備えている。また、ヘッドチップ2は、インク導通路401と、複数の圧力発生手段(圧電素子42)を格納する格納部41を有するスペーサー基板40を備え、スペーサー基板40のうち少なくともインク導通路401の流路壁面に、金属メッキ層45と、ポリパラキシリレン又はその誘導体を含有する層46とが順に積層されている。これにより、スペーサー基板40に対するパリレン膜46の密着性が向上し、かつ金属メッキ層45上に積層するパリレン膜46剥離の起点となるような箇所の発生を防ぐことができたので、パリレン膜46が剥離しにくくなるという効果が得られたと考えられる。
また、本実施形態のインクジェットヘッド1は、インク導通路401が、複数のノズル11の配列方向D1に直交する方向D2に対して複数列に並ぶように設けられていることが好ましい。これにより、高密度に圧電素子42及び圧力室311等を配置することができ、インクジェットヘッド1の小型化を実現することができる。
また、本実施形態のインクジェットヘッド1は、格納部41が、圧電素子42の形状の輪郭に沿うように形成された部分を有することが好ましい。これにより、スペーサー基板40の強度を保ちつつ、圧電素子42を高密度に配置することができる。
また、本実施形態のインクジェットヘッド1は、本発明の効果を有効に得る観点から、金属メッキ層45が、ニッケル、クロム、コバルト、スズ、亜鉛及びそれらの合金からなる群から選択された金属材料を含有するメッキであることが好ましい。
また、本実施形態のインクジェットヘッド1は、スペーサー基板40が、安価で加工性の高いという観点から、42アロイ又はインバーからなる基板であることが好ましい。
また、本実施形態のインクジェットヘッド1の製造方法は、金属メッキ形成用材料を用いて金属メッキ層45を形成する工程と、金属メッキ層45表面を洗浄液で洗浄し、金属メッキ形成用材料の残留物を除去する洗浄工程と、金属メッキ層45上にパリレン膜46を形成する工程と、をこの順で有することが好ましい。洗浄工程を有することで、金属メッキ層45表面の金属メッキ形成用材料の残留物を除去し、金属メッキ層45とパリレン膜46との密着性を向上させることができる。
また、本実施形態のインクジェットヘッド1の製造方法は、速乾性を有し、かつ金属メッキ層45との反応性が低い洗浄液を用いることで、洗浄後に速やかにパリレン膜46を成膜し、密着性を向上させる観点から、洗浄液として、イソプロピルアルコールを含有する洗浄液を用いることが好ましい。
[その他]
以上で説明した本発明の実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。すなわち、本発明の範囲は、上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
例えば、スペーサー基板40に金属メッキ層45及びパリレン膜46を設けた例を示したが、これに限られず、他の基板表面にも同様に金属メッキ層45及びパリレン膜46を設けることとしてもよい。
また、ヘッドチップ2として、ノズル基板10、接着用基板20、圧力室基板30、スペーサー基板40、配線基板50及び接着層60が積層された例を示したが、これに限られず、複数の圧力発生手段を格納する格納部41を有するスペーサー基板40を備えたものであれば、構成は適宜変更可能である。
また、圧力発生手段として圧電素子42を使用することとしたが、インクを射出できる機構を備えていれば特に限られることはなく、例えば、サーマル(電気熱変換素子)を使用することとしても良い。
1 インクジェットヘッド
2 ヘッドチップ
3 共通インク室
4 接続部材
5 駆動部
10 ノズル基板
11 ノズル
30 圧力室基板
311 圧力室
32 振動板
40 スペーサー基板
401 インク導通路
41 格納部
42 圧電素子
45 金属メッキ層
46 ポリパラキシリレン又はその誘導体を含有する層(パリレン膜)
50 配線基板
100 インクジェット記録装置

Claims (8)

  1. インクを射出する複数のノズルと、
    当該複数のノズルにそれぞれ連通する複数の圧力室と、
    前記複数の圧力室の内部に圧力変化を生じさせることにより、前記ノズルからインクを射出させる複数の圧力発生手段と、を有するヘッドチップを備えたインクジェットヘッドであって、
    前記ヘッドチップは、インク導通路と、前記複数の圧力発生手段を格納する格納部を有するスペーサー基板を備え、
    前記スペーサー基板のうち少なくとも前記インク導通路の流路壁面に、金属メッキ層と、ポリパラキシリレン又はその誘導体を含有する層とが順に積層されていることを特徴とするインクジェットヘッド。
  2. 前記インク導通路は、前記複数のノズルの配列方向に直交する方向に対して複数列に並ぶように設けられていることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットヘッド。
  3. 前記格納部は、前記圧力発生手段の形状の輪郭に沿うように形成された部分を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のインクジェットヘッド。
  4. 前記金属メッキ層は、ニッケル、クロム、コバルト、スズ、亜鉛及びそれらの合金からなる群から選択された金属材料を含有するメッキであることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のインクジェットヘッド。
  5. 前記スペーサー基板は、42アロイ又はインバーからなる基板であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のインクジェットヘッド。
  6. 請求項1から5までのいずれか一項に記載のインクジェットヘッドの製造方法において、
    前記スペーサー基板のうち少なくとも前記インクの流路となる流路壁面に、金属メッキ形成用材料を用いて前記金属メッキ層を形成する工程と、
    前記金属メッキ層表面を洗浄液で洗浄し、前記金属メッキ形成用材料の残留物を除去する洗浄工程と、
    前記金属メッキ層上に、前記ポリパラキシリレン又はその誘導体を含有する層を形成する工程と、
    をこの順で有することを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
  7. 前記洗浄液が、イソプロピルアルコールを含有することを特徴とする請求項6に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  8. 請求項1から5までのいずれか一項に記載のインクジェットヘッドを備えたことを特徴とするインクジェット記録装置。
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