JP5593677B2 - 鉄道車軸軸受用グリース組成物及び鉄道車軸支持用転がり軸受 - Google Patents
鉄道車軸軸受用グリース組成物及び鉄道車軸支持用転がり軸受 Download PDFInfo
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Description
また、特許文献2には、添加剤としてモリブデンジチオカーバメート及びポリサルファイドを含有するグリース組成物が開示されている。特許文献2のグリース組成物は、高荷重条件下でも摩耗を抑制する性質が優れている。
そこで、本発明は上記のような従来技術が有する問題点を解決し、極低温環境下においても流動し、良好な潤滑性を示す鉄道車軸軸受用グリース組成物を提供することを課題とする。また、極低温環境下においても潤滑性に優れ長寿命な鉄道車軸支持用転がり軸受を提供することを併せて課題とする。
また、本発明の鉄道車軸支持用転がり軸受は、内輪と、外輪と、前記内輪及び前記外輪の間に転動自在に配された複数の転動体と、前記内輪及び前記外輪の間に形成される内部空間に配された潤滑剤と、を備え、鉄道車両の車軸を回転自在に支持する転がり軸受において、前記潤滑剤を上記鉄道車軸軸受用グリース組成物としたことを特徴とする。
図1の鉄道車軸支持用転がり軸受は密封型複列外向円すいころ軸受であり、この円すいころ軸受により、端部中間寄り(図1における右側)部分に固定した図示しない車輪と共に回転する車軸4の端部が、図示しない車台に設けたハウジングに対して、回転自在に支持される。
このような円すいころ軸受を密封型とすべく、外輪5と各スリーブ15,15との間に、それぞれシールケース20とシールリング21とからなるシール装置22,22を設けている。このうちのシールケース20は、ステンレス鋼板又は表面処理鋼板等の耐蝕性を有する金属板を断面クランク形に曲げ形成することにより、全体が略円筒状に構成されている。
〔基油について〕
前記したように、本実施形態の鉄道車軸軸受用グリース組成物には、鉱油と合成油を混合した混合油を使用する。鉱油の種類は特に限定されるものではないが、減圧蒸留,溶剤脱れき,溶剤抽出,水素化分解,溶剤脱ろう,硫酸洗浄,白土精製,水素化精製等を適宜組み合わせて精製した鉱油が好ましい。
また、合成油としては、極低温下での流動性を考慮して、流動点の低いポリα−オレフィン油やエステル油が使用される。エステル油の種類は特に限定されるものではないが、ジエステル油,ポリオールエステル油,芳香族エステル油等が好ましい。
なお、混合油の40℃における動粘度は、極低温下で十分な流動性を有し、且つ、高温下において油膜が形成されにくいために起こる焼付きを防ぐためには、10mm2 /s以上400mm2 /s以下が好ましく、20mm2 /s以上200mm2 /s以下がより好ましい。
本実施形態の鉄道車軸軸受用グリース組成物に使用される増ちょう剤の種類は、特に限定されるものではないが、金属石けんや金属複合石けんが好ましく、リチウム石けんが特に好ましい。また、鉄道車軸軸受用グリース組成物全体における増ちょう剤の割合は、鉄道車軸支持用転がり軸受の耐久性を高くするためには、12質量%以上22質量%以下とすることが好ましく、16質量%以上20質量%以下とすることがより好ましい。この割合は、一般的なグリース組成物における増ちょう剤の配合量よりも多いが、増ちょう剤が転がり軸受の転走面に入り込むことによる摩耗抑制効果(耐摩耗性の向上)が期待できる。
本実施形態の鉄道車軸軸受用グリース組成物には、耐摩耗性をさらに向上させるために、硫黄,亜鉛,及びカルシウムのうち少なくとも1種を含む添加剤を配合してもよい。そして、これらの添加剤を1種又は複数種配合することによって、硫黄,亜鉛,及びカルシウムのうちの2種がグリース組成物中に含まれるようにすることがより好ましく、硫黄,亜鉛,及びカルシウムの全てがグリース組成物中に含まれるようにすることがさらに好ましい。
硫黄を含む添加剤としては、例えば、スルホン酸金属塩,硫化油脂類,スルフィド類,チオカーボネート類,チオフォスフェート類,チオリン酸類,チオカルバミン酸類があげられる。
さらに、カルシウムを含む添加剤としては、例えば、カルシウムスルフォネート,カルシウムフェネート,炭酸カルシウムがあげられる。
酸化防止剤としては、例えば、アミン系酸化防止剤,フェノール系酸化防止剤があげられる。また、防錆剤しては、例えば、スルホン酸金属塩,エステル系防錆剤,アミン系防錆剤,コハク酸誘導体があげられる。さらに、油性向上剤としては、例えば、脂肪酸,動植物油があげられる。さらに、金属不活性化剤としては、例えば、ベンゾトリアゾールがあげられる。
なお、本実施形態は本発明の一例を示したものであって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態においては鉄道車軸支持用転がり軸受の例として、図1に示すような構造の転がり軸受をあげて説明したが、本発明は、他の種類の様々な転がり軸受に対して適用することができる。例えば、深溝玉軸受,アンギュラ玉軸受,自動調心玉軸受,円筒ころ軸受,針状ころ軸受,自動調心ころ軸受等のラジアル形の転がり軸受や、スラスト玉軸受,スラストころ軸受等のスラスト形の転がり軸受である。
〔転がり軸受の耐久性試験について〕
鉱油と合成油とを混合した混合油を基油とし、リチウム石けん(12−ヒドロキシステアリン酸リチウム)を増ちょう剤とするグリース組成物を調製した。その際には、グリース組成物全体における増ちょう剤の割合を種々変えて複数のグリース組成物を調製した。なお、混合油中の合成油の割合は20質量%に固定した。また、鉱油としては商品名サンビス(40℃における動粘度は46mm2 /sである)を使用し、合成油としてはジエステル油である商品名Emkarate8050(40℃における動粘度は40.8mm2 /sである)を使用した。
図2のグラフから、グリース組成物全体における増ちょう剤の割合が12質量%以上22質量%以下であると、転がり軸受の耐久寿命が優れており、16質量%以上20質量%以下であると、転がり軸受の耐久寿命がより優れていることが分かる。
鉱油と合成油とを混合した混合油を基油とし、リチウム石けん(12−ヒドロキシステアリン酸リチウム)を増ちょう剤とするグリース組成物を調製した。その際には、グリース組成物全体における増ちょう剤の割合、及び、混合油中の合成油(ポリα−オレフィン油又はエステル油)の割合を種々変えて、複数のグリース組成物を調製した。
なお、鉱油としては商品名サンビス(40℃における動粘度は46mm2 /sである)を使用し、ポリα−オレフィン油としては商品名SpectraSyn8(40℃における動粘度は48mm2 /sである)を使用し、エステル油としては商品名Emkarate8050(40℃における動粘度は40.8mm2 /sである)を使用した。
結果を図3のグラフに示す。このグラフは、合成油がポリα−オレフィン油(PAO)である場合とエステル油の場合について、混合油中の合成油の割合とグリース組成物全体における増ちょう剤の割合との関係を示すものである。
鉱油と合成油とを混合した混合油を基油とし、リチウム石けん(12−ヒドロキシステアリン酸リチウム)を増ちょう剤とするグリース組成物を調製して、−50℃における見かけ粘度を測定し、混合油中の合成油の割合とグリース組成物の−50℃における見かけ粘度との関係を調査した。
鉱油としては商品名サンビス(40℃における動粘度は46mm2 /sである)を使用し、合成油としてはジエステル油である商品名Emkarate8050(40℃における動粘度は40.8mm2 /sである)を使用した。
測定結果を図4のグラフに示す。このグラフから、混合油中の合成油の割合が10質量%以上であれば、−50℃における混合油の流動性が優れていることが分かる。
鉱油と合成油とを混合した混合油を基油とし、リチウム石けん(12−ヒドロキシステアリン酸リチウム)を増ちょう剤とするとともに、添加剤を含有するグリース組成物を調製した。その際には、添加する添加剤の種類を種々変えて、複数のグリース組成物を調製した。
具体的には、硫黄を含む添加剤(トリフェニルホスホロチオエート)を添加したグリース組成物、硫黄及び亜鉛を含む添加剤を添加したグリース組成物(ジチオカルバミン酸亜鉛)、硫黄及びカルシウムを含む添加剤(カルシウムスルフォネート)を添加したグリース組成物、及びこれら3種の添加剤を全て添加したグリース組成物を調製した。添加剤の添加量は、いずれの種類の添加剤もグリース組成物全体の0.5質量%である。よって、3種の添加剤を全て添加する場合は、3種合計で1.5質量%となる。
7 内輪
10 円すいころ
Claims (3)
- 鉄道車両の車軸を回転自在に支持する転がり軸受の潤滑に使用されるグリース組成物において、鉱油と、ポリα−オレフィン油及びエステル油の少なくとも一方からなる合成油と、を混合した混合油を基油とし、前記混合油中の前記合成油の割合を10質量%以上30質量%以下とするとともに、増ちょう剤としてリチウム石けんをさらに含有し、その割合をグリース組成物全体の16質量%以上20質量%以下とすることを特徴とする鉄道車軸軸受用グリース組成物。
- 硫黄,亜鉛,及びカルシウムのうち少なくとも1種を含む添加剤をさらに含有することを特徴とする請求項1に記載の鉄道車軸軸受用グリース組成物。
- 内輪と、外輪と、前記内輪及び前記外輪の間に転動自在に配された複数の転動体と、前記内輪及び前記外輪の間に形成される内部空間に配された潤滑剤と、を備え、鉄道車両の車軸を回転自在に支持する転がり軸受において、前記潤滑剤を請求項1又は請求項2に記載の鉄道車軸軸受用グリース組成物としたことを特徴とする鉄道車軸支持用転がり軸受。
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