JP2006249113A - グリース組成物および産業機械要素部品の潤滑方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 基油に、脂肪酸カルシウムを増ちょう剤全量に対して50質量%以上含有する増ちょう剤と、添加剤として、ジンクジアルキルジチオホスフェートをグリース組成物全量に対する質量%で0.1〜12%含有するグリース組成物を、産業機械要素部品の接触面に封入および/または供給して潤滑する。これにより、接触面にカルシウムおよび亜鉛を含有する被膜が形成され、強固な潤滑被膜となり、潤滑被膜を厚く形成することなく、高潤滑性が得られ、産業機械要素部品が長寿命化する。なお、脂肪酸カルシウムとしては、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウムが好ましい。
【選択図】 なし
Description
本発明は、かかる従来技術の問題を有利に解決し、低速・高荷重、高温下さらには揺動下という厳しい環境である境界潤滑条件下でも、機械要素部品、例えば、転がり軸受、ギヤカップリング等の継手、が優れた潤滑状態を維持できる高潤滑性を有する産業機械要素部品用グリース組成物、および産業機械要素部品の潤滑方法を提案することを目的とする。
(1)基油に、増ちょう剤と添加剤を含むグリース組成物であって、前記増ちょう剤が、脂肪酸カルシウムを、該増ちょう剤全量に対する質量%で50%以上含有する増ちょう剤とし、前記添加剤として、ジンクジアルキルジチオホスフェートをグリース組成物全量に対する質量%で0.1〜12%含有することを特徴とするグリース組成物。
(2)(1)において、前記脂肪酸カルシウムが、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウムであることを特徴とするグリース組成物。
(3)グリース組成物を封入および/または供給して行う産業機械要素部品の潤滑方法において、前記産業機械要素部品の接触面にカルシウムおよび亜鉛を含有する被膜を形成することを特徴とする産業機械要素部品の潤滑方法。
(4)(3)において、前記封入および/または供給するグリース組成物を、基油に、脂肪酸カルシウムを増ちょう剤全量に対する質量%で50%以上含有する増ちょう剤と、添加剤としてジンクジアルキルジチオホスフェートをグリース組成物全量に対する質量%で0.1〜12%含有するグリース組成物とすることを特徴とする産業機械要素部品の潤滑方法。
(5)(4)において、前記脂肪酸カルシウムが、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウムであることを特徴とする産業機械要素部品の潤滑方法。
なお、本発明では、上記した増ちょう剤の含有量はとくに限定されない。用途に応じて適宜、適正量に調整すればよい。
鉱物油系基油としては、鉱油を減圧蒸留し、溶剤精製、水素精製、硫酸洗浄、白土処理、溶剤脱ろうなどを適宜組み合わせて不安定成分、ワックス分を取り除いたものを用いることができる。合成油系基油としては、ポリαオレフィン系油、ポリブテン系油等の脂肪族系炭化水素油、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン等の芳香族系炭化水素油、ポリオールエステル、リン酸エステル等のエステル系油、ポリフェニルエーテル等のエーテル系油、ポリアルキレングリコール系油などが挙げられる。
例えば、油性向上剤としては、オレイン酸、ステアリン酸のほか、高級アルコール、エステル、アミン等が、また、極圧添加剤としては、硫化油脂等の硫黄系化合物、リン酸トリクレジル等のリン系化合物が、固体潤滑剤としては、二硫化モリブデン、グラファイト、有機モリブデン、窒化ホウ素等が例示できる。
一般に、産業機械要素部品の潤滑は、潤滑用グリースを産業機械要素部品に封入および/または供給して行なう。本発明の産業機械要素部品の潤滑方法では、潤滑油グリースを産業機械要素部品の接触面、例えば、転がり軸受であれば転動面、継手であるギアカップリングであればギアの合わせ面に封入/供給して、カルシウムおよび亜鉛を含有する被膜を形成する。この被膜は、上記した本発明のグリース組成物を産業機械要素部品に封入および/または供給することにより、運転中(使用中)に形成される。このようなカルシウムおよび亜鉛を含有する被膜を形成することにより、強固な潤滑膜となり、膜厚が薄くても安定してメタル接触を防止し、十分な潤滑状態が維持でき、 部品の接触面の摩耗、 疲労損傷を防止して、部品の長寿命化が達成できる。なお、形成されるカルシウムおよび亜鉛を含有する被膜の厚さは、40nm以上とすることが好ましい。形成される被膜の厚さは脂肪酸カルシウムの含有量、種類、およびZnDTPの含有量により調整することが可能である。
自動調芯ころ軸受に静定格荷重の1/4のラジアル荷重を負荷し、80℃の高温雰囲気中で、軸受にグリースを封入し、回転数10rpm の速度で、所定時間運転した。運転後、軸受を解体し、外輪軌道面について摩耗プロフィルを測定し摩耗量を求め、グリース組成物の軸受の耐摩耗性に及ぼす影響を評価するとともに、カルシウム(Ca)と亜鉛(Zn)を含む被膜の形成の有無、および被膜厚さをオージェ電子分光法で調査した。なお、繰り返しは4回とし、4回の平均値で評価した。
軸受に封入するグリースは、表1に示す組成の本発明範囲のグリース組成物(グリースNo.A〜F)および従来のグリース組成物(グリースNo.G〜J)とした。なお、グリースNo.J(従来例)は、汎用グリースの標準品であるユニルーブDL(商品名)(協同油脂(株)製)とした。比較例であるグリースNo.Gは、基油を鉱油とし、増ちょう剤としてリチウム石鹸を、さらに極圧添加剤を添加したリチウムグリースである。また、比較例であるグリースNo.Hは、基油を鉱油とし、増ちょう剤としてアルミニウムコンプレックス石鹸を、さらに防錆剤を添加したアルミニウムコンプレックス石鹸系グリースである。また、比較例であるグリースNo.Iは、基油を鉱油とし、増ちょう剤としてウレア化合物を、さらに防錆剤を添加したウレア系グリースである。各グリースの、JIS K 2220 5.3の規定にしたがい測定された25℃の混和ちょう度を表1に併記した。
得られた結果を表2に示す。
Claims (5)
- 基油に、増ちょう剤と添加剤を含むグリース組成物であって、前記増ちょう剤が、脂肪酸カルシウムを、該増ちょう剤全量に対する質量%で50%以上含有する増ちょう剤とし、前記添加剤として、ジンクジアルキルジチオホスフェートをグリース組成物全量に対する質量%で0.1〜12%含有することを特徴とするグリース組成物。
- 前記脂肪酸カルシウムが、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウムであることを特徴とする請求項1に記載のグリース組成物。
- グリース組成物を封入および/または供給する産業機械要素部品の潤滑方法において、前記産業機械要素部品の接触面にカルシウムおよび亜鉛を含有する被膜を形成することを特徴とする産業機械要素部品の潤滑方法。
- 前記封入および/または供給するグリース組成物を、基油に、脂肪酸カルシウムを増ちょう剤全量に対する質量%で50%以上含有する増ちょう剤と、添加剤としてジンクジアルキルジチオホスフェートをグリース組成物全量に対する質量%で0.1〜12%含有するグリース組成物として、前記被膜を形成することを特徴とする請求項3に記載の産業機械要素部品の潤滑方法。
- 前記脂肪酸カルシウムが、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウムであることを特徴とする請求項4に記載の産業機械要素部品の潤滑方法。
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