JP5593642B2 - 燃料電池、電子機器及びバイオセンサー - Google Patents

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Description

本発明は、酸化還元酵素を用いた燃料電池、電子機器及びバイオセンサーに関する。より詳しくは、燃料電池などの性能を向上させるための技術に関する。
負極又は正極の少なくとも一方の電極上に触媒として酸化還元酵素を固定した燃料電池(以下、酵素電池という。)は、例えばグルコース及びエタノールのように通常の工業触媒では利用できない燃料から、効率よく電子を取り出すことができるため、高容量でかつ安全性が高い次世代の燃料電池として注目されている。
図22は酵素電池の反応スキームを示す図である。図22に示すグルコースを燃料とする酵素電池においては、負極でグルコース(Glucose)の酸化反応が進行し、正極で大気中の酸素(O)の還元反応が進行する。そして、負極では、グルコース(Glucose)、グルコース脱水素酵素(Glucose Dehydrogenase)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD;Nicotinamide Adenine Dinucleotide)、ジアホラーゼ(Diaphorase)、電子メディエーター、電極(カーボン)の順に電子が受け渡される。
一方、酵素電池などのバイオ燃料電池の実用化を進めるに際し、幾つかの課題がある。例えば、従来のバイオ燃料電池は、他の燃料電池に比べて出力が小さいため、高出力を得るためには、積層化を含めて電池容積を大きくしなければならない。また、バイオ燃料電池では、一般に、燃料が液体状でかつ粘度が高いため、液漏れが発生しやすく、液漏れを防止するために燃料保持容器の密封性を高めると、その粘度が高いことにより、燃料が電池内部にまで供給されにくくなる。
そこで、近年、バイオ燃料電池に関するこれらの課題を解決するため、種々の検討がなされている(特許文献1及び2参照)。例えば、特許文献1に記載のボタン型のバイオ燃料電池では、酸化剤供給口を備える正極集電体と、燃料供給口を備える負極集電体とで、正極、プロトン導電体及び負極をこの順に積層した構造体を挟み込む構造となっている。そして、正極集電体の外縁を、ガスケットを介して負極集電体の外周部にかしめることにより、各部材にかかる圧力を均一にすると共に、部材同士の密着度を高めて、出力のばらつきや燃料の漏出を防止している。
また、特許文献2に記載の酵素電池では、1つのセル内に複数の電池部を設けることにより、出力電流又は出力電圧の向上を図っている。図23は特許文献2に記載の従来の酵素電池の構成を示す断面図である。図23に示すように、特許文献2に記載の酵素電池100は、正極103、プロトン伝導体104及び負極105で構成される電池部115と、負極109、プロトン伝導体110及び正極111で構成される電池部116とを備えている。そして、スペーサ107を挟んで電池部115,116が配置されると共に、負極105,109、負極集電体106,108及びスペーサ107を包み込むように、燃料保持容器114が設けられている。また、正極103,111の外側には、それぞれ正極集電体102,112が配置され、更にその外側には空気を透過可能なスペーサ101,13が設けられている。
この酵素電池100では、負極105,109に酵素が固定化されており、燃料保持容器114に燃料としてグルコース溶液を充填すると、負極105,109では、酵素によりグルコースが分解されて電子が取り出されると共に、Hが発生する。一方、正極103,111では、プロトン伝導体110,104を通って輸送されたHと、負極105,109で取り出され外部回路を介して送られた電子と、空気中の酸素とが反応して水が生成する。そして、正極集電体102,112及び負極集電体106の間に負荷を接続することにより、2つの電池部115,116の出力電流を合わせた電流を負荷に流すことができ、従来よりも大きな出力電流及び電圧を得ることができる。
特開2008−282586号公報 特開2007−188810号公報
しかしながら、特許文献1及び2に記載されているような従来のバイオ燃料電池は、正極が大気暴露系の構造であるため、以下に示す問題点がある。即ち、このような構造のバイオ燃料電池は、湿度などの外部環境の影響を受けて、正極の性能が変化しやすく、これにより出力低下が生じるという問題点がある。また、供給された溶液が負極側から正極側に浸透するのに時間を要するため、初期発電性能が低いという問題点もある。更に、正極から大気側に溶液の液漏れが発生しやすいといった問題点もある。
特に、高出力化を目的としてセルを積層した場合、外部環境及び溶液の浸透性の影響が大きく、電池全体の出力が大幅に低下することがある。このため、多層セル構造のバイオ燃料電池では、溶液を染み込みやすい構造にすることが重要である。また、大気暴露構系セルを積層する場合、溶液の液漏れにより、隣接するセル同士が繋がり、電池全体の出力低下を招くおそれがあるため、各セル間の間隔を十分にとる必要がある。このため、大気暴露構系多層セル構造のバイオ燃料電池は、全体構造が複雑になり、体積効率が低下するという問題点がある。
そこで、本発明は、初期発電性能及び体積出力密度が高く、安定した出力が得られるバイオ燃料電池、電子機器及びバイオセンサーを提供することを主目的とする。
本発明に係る燃料電池は、一の空間内に正極と負極とがプロトン伝導体を介して対向置されたセルを複数有し、前記正極又は負極の少なくとも一方の電極上に触媒として酸化還元酵素が固定されており、前記正極は複数の電極が間隔を空けて分割配置されており、前記一の空間内に燃料溶液が充填され、前記正極及び負極のいずれにも燃料溶液が接触する構成となっている。
本発明においては、正極にも燃料溶液が接触する浸水系の多層セル構造としているため、酸素供給性は当然ながら、燃料や電解液の供給性能も向上し、更に、外部環境の影響も受けにくくなる。これにより、初期発電性能及び体積出力密度が大幅に向上すると共に、出力が安定する。
この燃料電池では、前記正極に気液分離透過膜を接触配置し、前記負極の周囲に負極スペーサを配置すると共に、前記正極の周囲に正極スペーサを配置し、前記気液分離透過膜、前記負極スペーサ及び前記正極スペーサで囲まれる空間内に燃料溶液を充填してもよい。
また、前記正極を構成する電極は、その表面の少なくとも一部が撥水性であることが望ましい。
本発明の燃料電池は、他の燃料電池と接続するための端子と、電池内に燃料を供給するための燃料供給孔と、電池内の気体を排気するための排気孔とを設け、前記端子と前記燃料供給孔及び前記排気孔とを、相互に異なる面に配置することもできる。
その場合、前記セルを収容する容器と、前記容器の内側面に配設された1又は複数の磁石とを有し、一の燃料電池の端子と他の燃料電池の端子とを磁力により接続する構成にしてもよい。
本発明の燃料電池は、例えばコイン型又は筒型電池とすることもできる。
本発明に係る電子機器は、前述した燃料電池が搭載されたものである。
本発明においては、電源として、浸水多層セル構造のバイオ燃料電池を使用しているため、初期発電性能及び体積出力密度が高く、安定した出力が得られる。
本発明に係るバイオセンサーは、一の空間内に正極と負極とがプロトン伝導体を介して対向置された複数のセルを有し、前記正極又は負極の少なくとも一方の電極上に触媒として酸化還元酵素が固定されており、前記正極は複数の電極が間隔を空けて分割配置されており、前記一の空間内に検出対象物を含む試料溶液が充填され、前記正極及び負極のいずれにも前記試料溶液が接触する構成となっている。
本発明においては、正極にも測定対象の試料溶液が接触する浸水系の多層セル構造であるため、初期発電性能及び体積出力密度が大幅に向上する。これにより、検出感度が向上すると共に、出力が安定し、更に小型化しやすくなる。
本発明によれば、浸水系多層セル構造としているため、初期発電性能及び体積出力密度が高く、安定した出力が得られる。
本発明の第1の実施形態に係る燃料電池の使用形態を模式的に示す斜視図である。 (a)及び(b)は図1に示す各燃料電池の接続部を模式的に示す断面図であり、(b)は(a)に示すA−A線による断面図である。 図1に示す各燃料電池1の内部構造を示す断面図である。 図3に示すカソード12a,12bの構成を示す平面図である。 本発明の第1の実施形態に係る燃料電池1の他の接続形態を示す斜視図である。 本発明の第2の実施形態に係る燃料電池を模式的に示す斜視図である。 図6に示す燃料電池21の内部構造を示す断面図である。 本発明の第1及び第2の実施形態の変形例に係る燃料電池の形態を示す斜視図である。 図8に示す燃料電池の正面図である。 図8に示す燃料電池の背面図である。 図8に示す燃料電池の右側面図である。 図8に示す燃料電池の左側面図である。 図8に示す燃料電池の上面図である。 図8に示す燃料電池の底面図である。 図8に示すA−A線による断面図である。 図8に示すB−B線による断面図である。 図8に示すC−C線による断面図である。 横軸に時間をとり、縦軸にセル電圧をとって、本発明の実施例に係る燃料電池の標準セル(電極投影面積1cm×1cm)評価の定電流測定に対するセル電圧の経時変化を示すグラフ図である。 横軸に電気量をとり、縦軸にセル電圧をとって、本発明の実施例に係る燃料電池の標準セル(電極投影面積1cm×1cm)評価の定電流測定に対する電気量とセル電圧との関係を示すグラフ図である。 横軸に時間をとり、縦軸に電位をとって、本発明の実施例に係る燃料電池の標準セル(電極投影面積1cm×1cm)評価の定電流測定に対するアノード及びカソードそれぞれの電位の経時変化を示すグラフ図である。 横軸に時間をとり、左縦軸に電気量(Wh)及び右縦軸に変換効率をとって、本発明の実施例に係る燃料電池の電気量及び変換効率の経時変化を示すグラフ図である。 酵素電池の反応スキームを示す図である。 特許文献2に記載の従来の酵素電池の構成を示す断面図である。
以下、本発明を実施するための形態について、添付の図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示す各実施形態に限定されるものではない。また、説明は、以下の順序で行う。

1.第1の実施の形態 (浸水系多層セル構造のバイオ燃料電池の例)
2.第2の実施の形態 (浸水系単層セル構造のバイオ燃料電池の例)
3.第1及び第2の実施の形態の変形例
4.第3の実施の形態 (浸水系多層セル構造のバイオセンサーの例)
<1.第1の実施の形態>
[全体構造]
先ず、本発明の第1の実施形態に係る燃料電池について説明する。図1は本実施形態の燃料電池の使用形態を模式的に示す斜視図である。また、図2(a)及び(b)は図1に示す各燃料電池の接続部を模式的に示す断面図であり、図2(b)は図2(a)に示すA−A線による断面図である。図1に示すように、本実施形態の燃料電池1は、負極又は正極の少なくとも一方の電極上に触媒として酸化還元酵素が固定されているバイオ燃料電池であり、容器2内に電池セルが収容されている。
また、この燃料電池1では、容器2の上部が開口しており、その開口部には燃料供給用又は排気用の複数の穴(燃料供給孔6,排気孔7)を備えた上蓋5が載設されている。更に、図1及び図2(a)に示すように、容器2の外側面には端子3,4が設けられており、複数の燃料電池1が直列又は並列に接続可能となっている。
[内部構造]
図3は図1に示す各燃料電池1の内部構造を示す断面図である。なお、図3は図2に示すA−A線による断面に相当するものである。図3に示すように、本実施形態の燃料電池1は、その内部に複数の電池部(単セル)が設けられており、各電池部は負極及び正極がいずれも燃料溶液に接触する浸水系多層セル構造となっている。具体的には、固定板10a,10bの間に、アノード(負極)11a、カソード(正極)12a及びプロトン伝導体18で構成される第1電池部と、アノード11b、カソード12b及びプロトン伝導体18bで構成される第2電池部とが設けられている。
また、第1及び第2電池部のアノード11a,11bは、アノードスペーサ13を挟んで対向配置されており、これらアノード11a,11bとアノードスペーサ13との間には、それぞれアノード集電体15a,15bが配設されている。一方、プロトン導電体18a,18bとカソード12a,12bとの間には、それぞれカソード集電体16a,16bが配設されている。これらアノード集電体15a,15b及びカソード集電体16a,16bは、それぞれ容器2の側面に設けられた端子3,4に接続されている。
そして、この燃料電池1では、前述した第1電池部と第2電池部とが並列に接続されている。具体的には、アノードスペーサ13内に貯留されている電解液を介して、第1電池部のアノード11aと第2電池部アノード11bとが接続されると共に、カソード集電体16a,16bを介して、第1電池部のカソード12aと第2電池部カソード12bとが接続されている。
また、カソード12a,12bの周囲には、それぞれカソードスペーサ14a,14bが配設され、カソード12a,12b及びカソードスペーサ14a,14と固定板10a,10bとの間には、気液分離透過膜17a,17bが配置されている。そして、この燃料電池1では、気液分離透過膜17a,17b、アノードスペーサ13及びカソードスペーサ14a,14bによって囲まれる空間内に、グルコース溶液などの燃料溶液が充填される。以下、本実施形態の燃料電池1における各構成部材について、より詳細に説明する。
[アノード11a,11b]
アノード11a,11bは、導電性多孔質材料からなる電極の表面に、酸化還元酵素が固定化されている。そして、アノード11a,11bでは、表面に固定化された酵素により燃料を分解して、電子を取り出すと共に、プロトン(H)を発生する。このアノード11a,11bを形成する導電性多孔質材料には、公知の材料を使用することができるが、特に、多孔質カーボン、カーボンペレット、カーボンフェルト、カーボンペーパー、炭素繊維又は炭素微粒子の積層体などのカーボン系材料が好適である。一方、アノード11a,11bの表面に固定化される酵素としては、例えば燃料がグルコースである場合は、グルコースを分解するグルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)を使用することができる。
また、燃料にグルコースなどの単糖類を用いる場合には、アノード11a,11b表面に、GDHのような単糖類の酸化を促進して分解する酸化酵素と共に、補酵素酸化酵素や電子メディエーターが固定化されていることが望ましい。補酵素酸化酵素は、酸化酵素によって還元される補酵素(例えば、NAD,NADPなど)と、補酵素の還元体(例えば、NADH,NADPHなど)を酸化するものであり、例えば、ジアホラーゼなどが挙げられる。この補酵素酸化酵素の作用により、補酵素が酸化体に戻るときに電子が生成され、補酵素酸化酵素から電子メディエーターを介して電極に電子が渡される。
電子メディエーターとしては、キノン骨格を有する化合物を使用することが好ましく、特に、ナフトキノン骨格を有する化合物が好適である。具体的には、2−アミノ−1,4−ナフトキノン(ANQ)、2−アミノ−3−メチル−1,4−ナフトキノン(AMNQ)、2−メチル−1,4−ナフトキノン(VK3)、2−アミノ−3−カルボキシ−1,4−ナフトキノン(ACNQ)などを用いることができる。また、キノン骨格を有する化合物としては、ナフトキノン骨格を有する化合物以外に、例えば、アントラキノンやその誘導体を用いることもできる。更に、必要に応じて、キノン骨格を有する化合物と共に、電子メディエーターとして作用する1種又は2種以上の他の化合物を固定化してもよい。
燃料に多糖類を用いる場合には、上述した酸化酵素、補酵素酸化酵素、補酵素及び電子メディエーターに加えて、多糖類の加水分解などの分解を促進し、グルコースなどの単糖類を生成する分解酵素が固定化されていることが望ましい。なお、ここでいう「多糖類」は、広義の多糖類であり、加水分解によって2分子以上の単糖を生じる全ての炭水化物を指し、二糖、三糖及び四糖などのオリゴ糖を含む。具体的には、デンプン、アミロース、アミロペクチン、グリコーゲン、セルロース、マルトース、スクロース及びラクトースなどが挙げられる。これらは2以上の単糖類が結合したものであり、いずれの多糖類においても結合単位の単糖類としてグルコースが含まれている。
また、アミロースとアミロペクチンとはデンプンに含まれる成分であり、デンプンはアミロースとアミロペクチンとの混合物である。例えば、多糖類の分解酵素としてグルコアミラーゼを使用し、単糖類を分解する酸化酵素としてグルコースデヒドロゲナーゼを使用する場合には、燃料にはグルコアミラーゼによりグルコースにまで分解することができる多糖類を使用することができる。このような多糖類としては、例えばデンプン、アミロース、アミロペクチン、グリコーゲン及びマルトースなどが挙げられる。ここで、グルコアミラーゼは、デンプンなどのα−グルカンを加水分解しグルコースを生成する分解酵素であり、グルコースデヒドロゲナーゼは、β−D−グルコースをD−グルコノ−δ−ラクトンに酸化する酸化酵素である。
[カソード12a,12b]
カソード12a,12bは、導電性多孔質材料からなる電極の表面に、酸化還元酵素及び電子メディエーターが固定化されている。そして、アノード11a,11bからプロトン伝導体18a,18bを通って輸送されたプロトンと、アノード11a,11bから外部回路を通って送られた電子と、例えば空気中の酸素とにより水を生成する。カソード12a,12bを形成する導電性多孔質材料には、公知の材料を使用することができるが、特に、多孔質カーボン、カーボンペレット、カーボンフェルト、カーボンペーパー、炭素繊維又は炭素微粒子の積層体などのカーボン系材料が好適である。
一方、カソード12a,12bに固定化される酸素還元酵素としては、例えば、ビリルビンオキシダーゼ、ラッカーゼ及びアスコルビン酸オキシダーゼなどが挙げられる。また、これらの酵素と共に固定化される電子メディエーターとしては、例えば、ヘキサシアノ鉄酸カリウム、フェリシアン化カリウム及びオクタシアノタングステン酸カリウムなどが挙げられる。
更に、本実施形態の燃料電池1においては、カソード12a,12bの表面の少なくとも一部を撥水性とすることが望ましい。これにより、カソード12a,12bに含まれる水分量を、最適範囲に維持することが可能となり、カソード12a,12bにおいて、極めて高い触媒電流値を得ることができる。ここで、電極の表面とは、電極の外面と電極内部の空隙の内面との全体を含む。
カソード12a,12bの表面の一部を撥水性とする方法としては、例えば、カソード12a,12bの表面に撥水剤を塗布したり、カソード12a,12bを撥水剤に浸漬したりする方法がある。その際使用する撥水剤としては、種々のものを使用することができるが、微粒子状の撥水材料が有機溶剤に分散されたものが好適である。ただし、撥水剤に含まれる有機溶媒は、酵素の溶解度が十分に小さいこと、例えば溶解度が10mg/ml以下、好適には1mg/ml以下であることが望ましい。
また、撥水剤には、ポリビニルブチラールなどのバインダー樹脂などが含まれていてもよい。撥水剤中のバインダー樹脂の割合は、例えば0.01〜10質量%であるが、これに限定されるものではない。更に、バインダー樹脂が例えばPVDFなどの撥水性を有するものである場合には、バインダー樹脂自体を撥水材料として用いることもできる。一方、撥水材料には、種々のものを用いることができるが、例えばカーボン系の材料、好適にはカーボン粉末を用いることができる。カーボン粉末としては、例えば、天然黒鉛などの黒鉛、活性炭、カーボンナノファイバー(気相法炭素繊維)及びケッチェンブラックなどを用いることができる。
図4は図3に示すカソード12a,12bの構成を示す平面図である。図4に示すように、本実施形態の燃料電池1では、カソード12a,12bを複数個に分割配置し、各電極間に隙間を設けている。このように電極間に隙間を設けることで、空気と燃料溶液とが置換しやすくなるため、燃料溶液を電池内部に速やかに供給することができる。これにより、初期発電性能を高めることができるため、燃料及び電解液を供給後、すぐに効率的な発電を行うことができる。
なお、本実施形態の燃料電池1では、カソード12a,12bをそれぞれ4分割しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、任意の分割数を採用することができる。また、カソード12a,12bの形態は、分割配置に限定されず、例えば、中央部に燃料溶液が通過可能な貫通孔を設けたり、微細な孔を複数設けて毛細管現象により燃料溶液を通過可能にしたりすることもできる。
[カソードスペーサ14a,14b]
図4に示すように、本実施形態の燃料電池1では、前述したカソード12a,12bの周囲に、カソードスペーサ14a,14bが配設されている。これらカソードスペーサ14a,14bは、セル内の空気及び燃料溶液の漏出を防止するシール材であり、例えばシリコーン樹脂やPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などの気体及び液体を透過しない高密度なプラスチック材料で形成されている。そして、カソードスペーサ14a,14bの内側は、燃料溶液で満たされる。なお、これらカソードスペーサ14a,14bには、アノードスペーサ13などに固定するための複数の孔が設けられていてもよい。
[プロトン伝導体18a,18b]
プロトン伝導体18a,18bは、アノード11a,11bで発生したプロトン(H)を、カソード12a,12bに輸送するものであり、電子導電性がなくかつプロトン(H)を輸送することが可能な材料で形成されている。このような特性を持つ材料としては、例えば、セロハン、ゼラチン及び含フッ素カーボンスルホン酸基を有するイオン交換樹脂などが挙げられる。また、プロトン伝導体18a,18bとして、電解質を使用することもできる。その場合、不織布などをセパレータとして使用し、これに電解質を染み込ませることにより、容易に電池内に組み込むことが可能となる。
[アノードスペーサ13]
アノードスペーサ13は、面方向に複数の貫通孔(図示せず)が形成されており、燃料や電解液が透過可能となっている。また、アノードスペーサ13の両端部は、燃料溶液の漏出を防止するシール材として機能する。そして、本実施形態の燃料電池1においては、アノードスペーサ13が、燃料を保持する燃料タンクとしての役割も担っている。このアノードスペーサ13は、絶縁性であればよく、例えばアクリル樹脂などの硬質なプラスチック材料で形成することができる。
[気液分離透過膜17a,17b]
気液分離透過膜17a,17bは、液体は透過せずに気体のみを透過する膜であり、燃料溶液の漏出を防止しつつ、空気(酸素)が透過可能となっている。気液分離透過膜17a,17bとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidine difluoride:PVDF)やPTFEからなる膜、又はPVDFやPTFEを表面に塗布して多孔質膜化したものなどを使用することができる。なお、気液分離透過膜17a,17bはこれらに限定されるものではなく、公知のものを適宜選択して使用することができる。
[固定板10a,10b]
固定板10a,10bは、両側から挟み込むことで、各部材の位置を固定するものであり、表面をアルマイト加工したアルミニウム板などの硬質な材料で形成されている。また、その面方向には複数の貫通孔(図示せず)が形成されており、空気(酸素)が透過可能となっている。
[接続方法]
更に、本実施形態の燃料電池1は、他の燃料電池1と相互に接続可能となっている。その接続方法としては、例えば、図2(b)に示すように、容器2の内側面に1又は複数の磁石8を配設し、その磁力により燃料電池1同士を引き寄せ、端子3と端子4とを接触させる方法がある。その際、磁石8の向きは、プラス端子3とマイナス端子4とが引き寄せられるように配置されていればよい。なお、図2では、端子3,4のみが接触し、容器2間には隙間が設けられているが、本発明はこれに限定されるものではなく、端子3,4と共に容器2自体も接触していてもよい。
図5は本実施形態の燃料電池1の他の接続形態を示す断面図である。更に、図5に示すように、容器2における端子3,4が設けられていない側面にも、磁石8を配置することにより、接続されていない燃料電池1同士を隣接して配置することもできる。このように、磁力により端子3と端子4とを接続することにより、誤接続を回避することができ、燃料電池1を、自己組織的に簡便に接続することができる。また、この接続方法では、端子3,4は接触しているだけであるため、接続された燃料電池1の一つに外部から力がかかっても、端子3,4やその他の部品にダメージを与えることなく、容易に接続を解除することができる。更に、磁石8におけるS極及びN極の配置を組み合わせることで、燃料電池1の位置出しが可能となる。
[燃料供給方法]
本実施形態の燃料電池1では、容器2の上面に、グルコース及びエタノールなどの液体燃料を電池部に補給するための燃料供給孔6と、容器2内部の空気を外部に放出して容器内の圧力上昇を防止するための排気孔7が設けられている。この燃料供給孔6及び排気孔7の大きさは、燃料保持容器の密閉性を確保するため、できるだけ小さい方が好ましい。その場合、例えば、燃料の注入はシリンジなどを使用すれば容易に行うことができる。また、タンク内の気体と共に燃料溶液が容器外に漏出することを防止するため、排気孔7には液だまりを設けることが望ましい。
そして、本実施形態の燃料電池1においては、上方から燃料を導入することもできるが、燃料供給孔6から供給された燃料を、燃料タンクの所定の位置及び/又は所定の方向に導入するための燃料導入部を備えていてもよい。具体的には、燃料タンク内に管を配置し、電極の下方から燃料を導入する構成が挙げられる。これにより、燃料タンクの内部に存在する空気を効率的に外部に排出することができるため、より多くの燃料をタンク内部まで注入することができると共に、反応により発生した気体(COなど)を燃料タンクの上方に押し上げて、排気する効果も期待できる。また、燃料タンク内に毛細管構造を形成し、毛細管現象を利用して燃料を導入してもよい。これにより、圧力や流れを加えなくても、燃料タンクの外にある燃料を、内部に注入することができる。
このように、本実施形態の燃料電池1では、負極及び正極がいずれも燃料溶液に接触する浸水系セル構造としているため、酸素供給性は当然ながら、燃料や電解液の供給性能も向上し、更に、外部環境の影響も受けにくくなる。これにより、初期発電性能が向上すると共に、出力を安定化することができる。また、複数のセルで、燃料タンクを共通にすることができるため、タンク毎に液漏れ防止のためのパッキンなどを設ける必要がない。これにより、体積出力密度を高め、小容積化することができる。
また、本実施形態の燃料電池1では、カソード12a,12bを分割配置し、燃料溶液の通過性を向上させているため、燃料の供給性が良好となり、初期出力をより向上させることができる。更に、本実施形態の燃料電池1では、容器2の外側面に他の燃料電池と接続するためのプラス端子3及びマイナス端子4を設けているため、複数の電池を容易に接続することができる。このため、1個の電池では出力が足らない場合は、電池同士を連結するだけで、簡便に高い出力を得ることができる。
更にまた、本実施形態の燃料電池1では、燃料供給孔6及び空気排出孔7を、端子3,4が設けられている面とは異なる面に設けているため、電池同士の連結性を向上させることができると共に、電池同士を連結した後でも、電池セル内に燃料を効率的に注入することができる。これにより、短時間での燃料供給が可能となり、初期出力がより向上する。
なお、本実施形態においては、2つの電池部を並列に接続した多層セルを例に説明しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、複数の単セルを並列及び/又は直列に接続した種々の構成の積層セルに適用することができる。また、複数の電池を接続する方法も、直列に限定されるものではなく、複数の電池を並列に接続することも可能である。その場合は、プラス端子及びマイナス端子を配置する面を変更すればよい。即ち、本発明の燃料電池における端子の数及び位置は、接続形態に応じて適宜設定することができる。
同様に、燃料供給孔及び排気孔も、端子と異なる面に配置されていれば、その数及び位置は、電池の用途、接続形態及び電池セルに応じて、適宜設定することができる。例えば、上面及び下面にプラス端子及びマイナス端子を配置し、上下方向に積み上げるように複数の電池を接続することも可能である。その場合、燃料供給孔及び排気孔は、いずれかの側面に配置すればよい。
更に、端子の接続方法も、磁力による方法に限定されるものではなく、例えば、プラス端子3を凸状にすると共に、マイナス端子4を凹状とすれば、プラス端子3を他の燃料電池1のマイナス端子4に嵌合することで、燃料電池1同士を容易に連結することができる。又は、プラス端子3を雄ねじ形状に、マイナス端子4を雌ねじ形状にすることもできる。その場合、プラス端子3をマイナス端子4に螺入すればよい。
本実施形態の燃料電池1は、ロボット、コンピューター、PDA(Personal Digital Assistant:携帯情報端末)、音楽プレーヤー、携帯電話及び玩具などの各種電子機器の電源として使用することができる。また、この燃料電池1は、例えば心臓のペースメーカーなどの医療機器の電源としても使用でき、体内に埋め込まれて使用される医療用の電子機器への搭載も可能である。更に、体内のグルコースなどを検出するバイオセンサー用の電源としても使用することができ、例えば、検出したグルコース由来の電流を利用して、センサー自身を動作させることも可能である。
<2.第2の実施の形態>
[全体構造]
次に、本発明の第2の実施形態に係る燃料電池について説明する。図6は本実施形態の燃料電池を模式的に示す斜視図であり、図7はその内部構造を示す断面図である。図6に示すように、本実施形態の燃料電池21は、負極又は正極の少なくとも一方の電極上に触媒として酸化還元酵素が固定されているバイオ燃料電池であり、容器22内に1つの電池部からなる電池セルが収容されている。また、この燃料電池21においても、前述した第1の実施形態と同様に、容器22の上部が開口しており、その開口部には燃料供給用又は排気用の複数の穴(燃料供給孔26,排気孔27)を備えた上蓋25が載設されている。更に、容器22の外側面には端子が設けられており、複数の燃料電池21が直列又は並列に接続可能となっている。
[内部構造]
図7に示すように、本実施形態の燃料電池21は、固定板20a,20bの間に、アノード(負極)11、カソード(正極)12及びプロトン伝導体18で構成される電池部が設けられている。具体的には、固定板20a,20bの間に気液分離透過膜17a、カソード12、カソード集電体16、プロトン導電体18、アノード11、アノード集電体15、アノードスペーサ19、気液分離透過膜17bがこの順に配置されている。
また、カソード12は、図4に示すカソード12a,12bと同様に、複数個に分割配置されており、その周囲にはカソードスペーサ14が設けられている。更に、カソード12側の固定板20aには、面方向に複数の貫通孔(図示せず)が設けられており、空気(酸素)が透過可能となっている。なお、アノード11側の固定板20bには貫通孔は不要である。この燃料電池21においても、アノード集電体15及びカソード集電体16は、それぞれ容器22の側面に設けられた端子に接続されている。そして、本実施形態の燃料電池21においては、気液分離透過膜17a,17b、アノードスペーサ19及びカソードスペーサ14によって囲まれる空間内に、燃料溶液が充填される。即ち、この燃料電池21は、アノード(負極)11、カソード(正極)12の両方が燃料溶液に接触する浸水系単セル構造となっている。
このように、本実施形態の燃料電池21では、正極にも燃料溶液が接触する浸水系構造を採用しているため、外部環境の影響も受けにくく、安定した出力が得られる。また、カソード12を分割配置し、燃料溶液の通過性を向上させているため、燃料の供給性が良好となり、初期出力を向上させることができる。更に、容器2の外側面に他の燃料電池と接続するためのプラス端子3及びマイナス端子4を設けているため、複数の電池を容易に接続することができ、簡便に高い出力を得ることができる。更にまた、この燃料電池21では、燃料供給孔26及び空気排出孔27を、接続用端子が設けられている面とは異なる面に設けているため、電池同士の連結性を向上させることができる。
なお、本実施形態の燃料電池21における上記以外の構成及び効果は、前述した第1の実施形態の燃料電池1と同様である。
<変形例>
次に、前述した第1及び第2の実施形態の変形例に係る燃料電池について説明する。図8は本変形例に係る燃料電池の形態を示す斜視図である。また、図9は図8に示す燃料電池の正面図、図10は背面図、図11は右側面図、図12は左側面図、図13は上面図、図14は底面図である。更に、図15は図9に示すA−A線による断面図、図16はB−B線による断面図、図17はC−C線による断面図である。
本発明の燃料電池は、図1及び図6に示す形態に限定されるものではなく、種々の形態をとることができる。例えば、図8〜図17に示す変形例の燃料電池のように、上蓋がない形態でもよく、燃料供給孔や排気孔が任意の位置にまとめて配置されていてもよい。更に、端子の形状も任意に設定することができ、例えば、図8〜図17に示す燃料電池のように、円錐状と逆円錐状とになっていていてもよい。
更に、本発明の燃料電池は、コイン型及び筒型とすることもできる。例えば、コイン型バイオ燃料電池の場合は、筐体を兼ねるアノード集電体とカソード集電体との間に、1又は複数の電池部を配設し、各電池部の負極及び正極がいずれも燃料溶液に接触するような構成にすればよい。その場合、カソード集電体に複数の貫通孔を設けて空気(酸素)を透過可能とすると共に、このカソード集電体とカソードとの間に気液分離透過膜を設け、燃料溶液の漏出を防止することが望ましい。なお、このコイン型バイオ燃料電池においても、燃料溶液の通過性を向上させるため、カソードを分割配置することが望ましい。
一方、筒型の場合は、アノード集電体の周囲に、アノード、プロトン伝導体及びカソードからなる1又は複数の電池部を配設し、最外部に筒状のカソード集電体を配置して、各電池部の負極及び正極が燃料溶液に接触するような構成にすればよい。その場合も、カソード集電体に複数の貫通孔を設けて空気(酸素)を透過可能とすると共に、このカソード集電体とカソードとの間に気液分離透過膜を設け、燃料溶液の漏出を防止することが望ましい。なお、この筒型バイオ燃料電池においても、カソードを分割配置して、燃料溶液の通過性を向上させることが望ましい。
<3.第3の実施の形態>
[全体構造]
次に、本発明の第3の実施形態に係るバイオセンサーについて説明する。本実施形態のバイオセンサーは、燃料溶液の代わりに、検出対象物を含む試料溶液を充填する以外は、前述した第1の実施形態の燃料電池と同様である。即ち、本実施形態のバイオセンサーは、アノードとカソードとがプロトン伝導体を介して対向対置された複数のセルを有し、アノード又はカソードの少なくとも一方の電極上に触媒として酸化還元酵素が固定され、アノード及びカソードのいずれにも試料溶液が接触する構成となっている。
そして、このバイオセンサーでは、従来のセンサーと同様に、アンペロメトリー(定常電流値から検出対象物の濃度を測定する方法)や、クーロメトリー(電気容量から検出対象物の濃度を測定する方法)のセンサーをして使用することが可能である。特に、本実施形態のバイオセンサーは、NADH依存のDiaphraseを使用しているため、使用する酵素を適宜選択することにより、様々な代謝物質を検出することが可能となる。
また、複数の酵素を用いることにより、1回の測定で複数種の対象物を検出することも可能となる。更に、前述したように、このバイオセンサーは、対象物を検出する際に生じた電流を、自身の動作に利用することもできる。そして、このバイオセンサーは燃料電池としても高出力なものであり、特に正極が浸水系となっているため、体内や血液中でも対極性能に優れている。その結果、従来品に比べて圧倒的に小型のセンサーを実現することができる。
なお、本実施形態のバイオセンサーに充填される試料溶液の採取方法は、特に限定されるものではないが、例えば、指先などから血液を出して採取する方法、汗や涙などの体外分泌物から採取する方法、体内の血管中や細胞内から直接採取する方法などが考えられる。
このように、本実施形態のバイオセンサーでは、カソードにも測定対象の試料溶液が接触する浸水系の多層セル構造としているため、酸素供給性は当然ながら、検出対象物(試料)や電解液の供給性能も向上し、更に、外部環境の影響も受けにくくなる。これにより、初期発電性能及び体積出力密度が大幅に向上するため、高感度でかつ出力が安定したバイオセンサーを実現することができる。
以下、本発明の実施例を挙げて、本発明の効果について具体的に説明する。本実施例においては、図3に示す構造の燃料電池1を、1個(単セルで)使用して、ガルバノスタティックによる連続運転試験を行った。具体的には、燃料溶液に0.4Mグルコース(4mL)を使用し、電流値を1mA/cm、5mA/cm、10mA/cm又は20mA/cmにして、定電流測定を行い、セル電圧が0になった後、OCV(開放電圧)測定を10分間行った。これを1サイクルとして、同様の条件で定電流測定及びOCV測定を複数回繰り返し、(a)1サイクル目のセル電圧の変化、(b)1サイクル目のアノード及びカソードの電圧変化、(c)数サイクル行ったときの電気量(Wh)及び変換効率(%)の変化を確認した。
図18は横軸に測定時間をとり、縦軸にセル電圧をとって、本実施例の燃料電池のセル電圧の経時変化を示すグラフ図であり、図19は横軸に電気量をとり、縦軸にセル電圧をとって、本実施例の燃料電池における電気量とセル電圧との関係を示すグラフ図である。また、図20は横軸に測定時間をとり、縦軸に電位をとって、本実施例の燃料電池におけるアノード及びカソードそれぞれの電位の経時変化を示すグラフ図である。図21は横軸に測定時間をとり、左縦軸に電気量(Wh)及び右縦軸に変換効率をとって、本実施例の燃料電池の電気量及び変換効率の経時変化を示すグラフ図である。
なお、図21に示す電気量(Wh)は、実際の電流応答から算出した値である。また、図21に示す変換効率は、セル内に充填した燃料溶液中で、理論的にグルコース24電子から2電子を取り出せた場合の総電気量(Wh)に対し、実際の電流応答から算出した電気量(Wh)の割合(%)である。ここで、グルコース24電子から2電子を取り出せた場合の総電気量(Wh)を基準としているのは、現在の電極では、理想的に反応が進んでも、24電子中2電子しか取り出せないためである。
図18及び図19に示すように、本実施例の燃料電池では、高電流の場合は動作時間が短く、低電流の場合は動作時間が長くなる傾向が見られた。また、1サイクルにおけるアノード及びカソードの電圧変化は、図20に示すように、アノード電位が上昇してプラスになる一方で、カソード電位は大きく低下せず、セル電位が0になっていた。これにより、本実施例の燃料電池では、アノードが律速になっていることが推認される。
更に、電流値が20mA/cmの場合は、電流値が10mA/cmの場合に比べて、動作時間が略2倍になっており、電流値が5mA/cmの場合では、それ以上になっていた。これに対して、電流値が1mA/cmの場合は、それほど長くならなかった。これにより、本実施例の燃料電池は、4条件の電流応答の中で、電流値を5mA/cmにした場合に動作時間が長くなり、エネルギー変換効率が高くなることがわかった。
一方、図21に示すように、本実施例の燃料電池は、電流値に応じて変換効率が変化することが確認され、特に、電流値が5mA/cmのときに最も高い変換効率を示していた。ただし、この値は、セル設計や電流値のパターンによって大きく変化すると思われる。
1、21、31、41 燃料電池
2、22 容器
3、4、23 端子
5、25 上蓋
6、26 燃料供給孔
7、27 排気孔
8 磁石
10a、10b、20a、20b 固定板
11、11a、11b アノード
12、12a、12b カソード
13、19 アノードスペーサ
14、14a、14b カソードスペーサ
15、15a、15b アノード集電体
16、16a、16b カソード集電体
17a、17b 気液分離透過膜
18a、18b プロトン伝導体

Claims (8)

  1. 一の空間内に正極と負極とがプロトン伝導体を介して対向置されたセルを複数有し、
    前記正極又は負極の少なくとも一方の電極上に触媒として酸化還元酵素が固定されており、
    前記正極は複数の電極が間隔を空けて分割配置されており、
    前記一の空間内に燃料溶液が充填され、前記正極及び負極のいずれにも燃料溶液が接触する構成の燃料電池。
  2. 前記正極には気液分離透過膜が接触配置され、
    前記負極の周囲には負極スペーサが配置されると共に、前記正極の周囲には正極スペーサが配置され、
    前記気液分離透過膜、前記負極スペーサ及び前記正極スペーサで囲まれる空間内に燃料溶液が充填される請求項1に記載の燃料電池。
  3. 前記正極を構成する電極は、その表面の少なくとも一部が撥水性である請求項1又は2に記載の燃料電池。
  4. 他の燃料電池と接続するための端子と、
    電池内に燃料を供給するための燃料供給孔と、
    電池内の気体を排気するための排気孔と、を有し、
    前記端子と前記燃料供給孔及び前記排気孔とが、相互に異なる面に配置されている請求項1乃至3のいずれか1項に記載の燃料電池。
  5. 前記セルを収容する容器と、
    前記容器の内側面に配設された1又は複数の磁石と、を有し、
    一の燃料電池の端子と他の燃料電池の端子とを磁力により接続する請求項4に記載の燃料電池。
  6. コイン型又は筒型電池である請求項1〜5のいずれか1項に記載の燃料電池。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の燃料電池が搭載された電子機器。
  8. 一の空間内に正極と負極とがプロトン伝導体を介して対向置された複数のセルを有し、
    前記正極又は負極の少なくとも一方の電極上に触媒として酸化還元酵素が固定されており、
    前記正極は複数の電極が間隔を空けて分割配置されており、
    前記一の空間内に検出対象物を含む試料溶液が充填され、前記正極及び負極のいずれにも前記試料溶液が接触する構成のバイオセンサー。
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