一例として示す放射性有機ヨウ素除去装置の斜視図である図1等の添付の図面を参照し、本発明にかかる放射性有機ヨウ素除去装置の詳細を説明すると、以下のとおりである。なお、図2は、放射性有機ヨウ素除去装置10Aの正面図であり、図3は、放射性有機ヨウ素除去装置10Aの背面図である。図4は、コントロールボックス17の側から示す放射性有機ヨウ素除去装置10Aの側面図であり、図5は、ファン16の側から示す放射性有機ヨウ素除去装置10Aの側面図である。図3は、後部ハッチ31を開いた状態にあり、収容スペース30に第1フィルタケース14が収容されている。図1では、上下方向を矢印A、横方向を矢印Bで示し、前後方向を矢印Cで示す。
放射性有機ヨウ素除去装置10Aは、放射性有機ヨウ素が発生するおそれがある原子力関連施設や医療施設に設置され、それら施設の空気に含まれる放射性有機ヨウ素の除去に使用される。なお、原子力関連施設には、原子力発電所、中間貯蔵施設、再処理工場、MOX燃料工場、高速増殖炉、高速増殖炉用燃料工場、高速増殖炉用再処理工場、高レベル放射性廃棄物最終処分施設等がある。放射性有機ヨウ素除去装置10Aは、架台11と、架台11の上に組み立てられたハウジング12と、放射性有機ヨウ素除去フィルタ13および第1フィルタケース14と、空気加熱用ヒータ15(加熱器)およびファン16(送風機)と、コントロールボックス17とから構成されている。
架台11は、鉄やアルミニウム、合金等の金属柱から作られ、それら金属柱を接合した四角形に成型されている。架台11には、装置10Aを移動させるためのキャスター18が取り付けられている。ハウジング12は、フロントハウジング19およびリアハウジング20と、排気ダクト21とから形成されている。ハウジング12では、上流側から下流側に向かってフロントハウジング19、リアハウジング20、排気ダクト21の順で並んでいる。フロントハウジング19やリアハウジング20、排気ダクト21は、鉄やアルミニウム、合金等の金属から作られている。
フロントハウジング19は、前後方向へ長い中空の角柱状に成型され、架台11の前後方向前方に設置されている。フロントハウジング19の前端部22には、清浄前の空気を取り入れる吸気口23が開口している。フロントハウジング19の内部には、吸気口23から流入した空気が流れる空気流路24が形成されている。なお、フロントハウジング19の形状や大きさについて特に限定はなく、その形状や大きさを自由に変えることができる。
ヒータ15は、フロントハウジング19の中央部25に取り付けられている。ヒータ15は、角柱状のケーシング26と、ケーシング26の内部に設置されたヒータエレメント(図示せず)と、温度センサ(図示せず)とを有する。ヒータエレメントの内部には、電気によって発熱する発熱体が収容されている。ヒータ15は、その内部を通る空気をヒータエレメントによって所定の温度に加熱する。温度センサは、ヒータ15の空気出口に取り付けられ、インターフェイス(図示せず)を介してコントロールボックス17に接続されている。温度センサは、ヒータ15によって加熱された空気の温度を測定し、測定した温度をコントロールボックス17に出力する。
リアハウジング20は、上下方向へ長い中空の略角柱状に成型され、フロントハウジング19の前後方向後方に設置されている。リアハウジング20は、その前端部27がフロントハウジング19の後端部28にパッキン(図示せず)を介して気密に接続されている。リアハウジング20の内部には、フロントハウジング19から流入した空気が流れる空気流路29と、第1フィルタケース14を収容する収容スペース30とが形成されている。収容スペース30には、そこに第1フィルタケース14を着脱可能に固定するフィルタ支持ガイド(図示せず)が設置されている。リアハウジング20には、収容スペース30を開閉可能な後部ハッチ31が取り付けられている。なお、リアハウジング20の形状や大きさについて特に限定はなく、その形状や大きさを自由に変えることができる。放射性有機ヨウ素除去フィルタ13を収容した第1フィルタケース14は、フィルタ支持ガイドによって支持され、収容スペース30に固定される。
後部ハッチ31は、蝶番71を介してリアハウジング20に取り付けられている。蝶番71を旋回中心として後部ハッチ31を矢印で示す前後方向後方へ旋回させてハッチ31を開け、収容スペース30を開放することができる。逆に、蝶番71を旋回中心として後部ハッチ31を矢印で示す前後方向前方へ旋回させてハッチ31を閉め、収容スペース30を閉鎖することができる。後部ハッチ31を閉めると、後部ハッチ31とリアハウジング20とが気密に密着する。後部ハッチ31を閉めた後は、ハッチ31とリアハウジング20とが固定手段によって気密に連結される。固定手段の一例としては、リアハウジング20の周縁に延びるフランジに形成された貫通孔と後部ハッチ31の周縁に延びるフランジに形成された貫通孔とにビスを挿通し、そのビスにナットを嵌合させ、それらフランジどうしを締め付ける。
排気ダクト21は、その前端部32がリアハウジング20の後端部33にパッキン(図示せず)を介して気密に接続されている。排気ダクト21の後端部34には、清浄後の空気を給気する給気口35が開口している。排気ダクト21の中央部36には、ファン16(送風機)が取り付けられている。排気ダクト21の内部には、リアハウジング20から流入した空気が流れる空気流路37が形成されている。ファン16は、インターフェイス(図示せず)を介してコントロールボックス17に接続されている。
コントロールボックス17は、テンキーユニットやディスプレイ、スイッチ(図示せず)が附属するマイクロコンピュータであり、ヒータ15の温度を設定温度に保持するとともに、ファン16の回転数(出力)を設定された回転数に保持する。テンキーユニットの入力キーを介してヒータ15の温度やファン16の回転数を入力すると、コントロールボックス17は、入力された温度でヒータ15を運転するとともに、入力された回転数でファン16を運転する。コントロールボックス17は、温度センサから出力された測定温度と設定温度とを比較し、測定温度が設定温度になるようにヒータ15の温度を調節する。
図6は、一例として示す放射性有機ヨウ素除去フィルタ13Aを収容した第1フィルタケース14の斜視図であり、図7は、図6のフィルタケース14の正面図である。図8は、図6のフィルタケース14の背面図であり、図9は、図7のX1−X1線矢視断面図である。図10は、図9の部分拡大図であり、図11は、縦板部材45(第2外枠部材)の一部を破断して示すフィルタケース14の側面図である。図12は、放射性有機ヨウ素除去フィルタ13Aの部分拡大図であり、図13は、積層シート39の部分拡大図である。図6〜図8では、縦方向を矢印A、横方向を矢印Bで示し、前後方向を矢印C(図6のみ)で示す。図11では、フィルタにおける空気の流れを矢印Sで示す。図13では、セパレータ42の図示を省略している。
放射性有機ヨウ素除去装置10Aに使用する放射性有機ヨウ素除去フィルタ13Aは、図13に示すように、活性炭素繊維から形成されたシート38であり、2枚のシート38Aとシート38Bとをその厚み方向へ重ね合わせた積層シート39から作られている。フィルタ10Aでは、図9に示すように、その積層シート39が横方向(一方向)へ起伏を繰り返すようにジグザグ(蛇腹状)に折り畳まれている。フィルタ10Aは、横方向へジグザグに折り畳まれた状態で、第1フィルタケース14の内側に着脱可能に収容されている。
シート38は、繊維不織布、織物、編み物のうちのいずれかの形態を有し、シート38毎にその全体が撥水処理を施した撥水性繊維不織布40または疎水性繊維不織布40に包被されている。積層シート39では、一方のシート38Aに繊維不織布の形態のそれが使用され、他方のシート38Bに織物または編み物の形態のそれが使用されている。ただし、積層シート39では、一方および他方のシート38A,38Bに繊維不織布の形態のそれが使用されていてもよく、一方および他方のシート38A,38Bに織物または編み物の形態のそれが使用されていてもよい。なお、積層シート39は、2枚のシート38A,38Bを重ね合わせたそれに限らず、3枚以上のシート38を重ね合わせたものを使用することもできる。
ジグザグに折り畳まれた積層シート39の互いに対向する対向部分41の間には、縦方向へ起伏を繰り返すように円弧を画くセパレータ42が配置されており、それらセパレータ42によって所定の空隙43が形成されている。セパレータ42は、アルミニウムやステンレス等の金属から作られているが、合成樹脂から作られていてもよい。活性炭素繊維は、有機繊維を焼成して炭化し、さらに高温で熱処理をして作られる。活性炭素繊維には、セルロース系やアクリル系、フェノール系、ピッチ系を使用することができる。活性炭素繊維には、その表面から厚み方向へ延びる複数のミクロポアが形成されている。
活性炭素繊維には、放射性有機ヨウ素を吸着するトリエチレンジアミンC6H12N2(アミン類)が添着されている。活性炭素繊維の単位重量に対するトリエチレンジアミンC6H12N2の添着量は、10〜20重量%の範囲、好ましくは、12〜18重量%の範囲、より好ましくは、13〜16重量%の範囲にある。積層シート39では、放射性有機ヨウ素が活性炭素繊維のミクロポアに捕集されるとともに、放射性有機ヨウ素が活性炭素繊維に添着されたトリエチレンジアミンC6H12N2に吸着される。
トリエチレンジアミンC6H12N2の添着量が10重量%未満では、トリエチレンジアミンC6H12N2を活性炭素繊維の全域に添着させることができない場合があり、トリエチレンジアミンC6H12N2を介して放射性有機ヨウ素を活性炭素繊維に十分に吸着させることができず、フィルタ13Aにおける放射性有機ヨウ素の除去性能が不十分になる場合がある。トリエチレンジアミンC6H12N2の添着量が20重量%を超過すると、トリエチレンジアミンC6H12N2が活性炭素繊維のミクロポアを塞いでしまう場合があり、放射性有機ヨウ素をミクロポアにおいて捕集することができない場合がある。
なお、アミン類として、トリエチレンジアミンC6H12N2が使用されているが、トリエチレンジアミンC6H12N2の他に、1,4−ジアザ−2,2,2−ピシクロオクタン、N,N‘−ビス−(3−アミノプロピル)−ピペラジン、N,N−ジメチル−アミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、1,5−ジアザビシクロウンデセン、ポリ−3級−ブチルアミノエチルメタクリレート、ポリエチレンイミン、1,5−ジアザピシクロ〔4,3,0〕ノン−5−エン、1,5−ジアザピシクロ〔5,4,0〕ウンデ7−5−エン、2−メチル−1,4−ジアザピシクロ〔2,2,2〕オクタン、フェニルヒドラジン、2−シアノピリジン、ジイソプロピルアミン、トリメチルアミノエチルピペラジン、ヘキサメチレンテトラミン、メチルピロエチレンイミン、ポリアルキルポリアミンのうちの1種類のアミン類またはそれらの数種類を混合したアミン類を使用することもできる。
第1フィルタケース14は、合板から作られ、その正面形状が四角形に成型されている。フィルタケース14は、合板の他に、金属(鉄板やアルミニウム板、ステンレス板等)や合成樹脂から作られていてもよい。フィルタケース14は、縦方向へ離間対向して横方向へ延びる平面形状矩形の一対の横板部材44(第1外枠部材)と、横方向へ離間対向して縦方向へ延びる平面形状矩形の一対の縦板部材45(第2外枠部材)とから作られている。横板部材44には、横方向へ延びる止め板部材46が取り付けられている。
第1フィルタケース14では、横板部材44の端部と縦板部材45の端部とが固定手段(ビスや接着剤等)を介して固定されている。フィルタケース14には、その正面側に空気流入口47が画成され、その背面側に空気流出口48が画成されている。フィルタケース14の空気流入口47の側には、ジグザグに折り畳まれた積層シート39の第1折曲部分49が位置し、フィルタケース14の空気流出口48の側には、ジグザグに折り畳まれた積層シート39の第2折曲部分50が位置している。なお、セパレータ42は、積層シート39の対向部分41の間において第1折曲部分49の内側から第2折曲部分50に向かって延びているとともに、対向部分41の間において第2折曲部分50の内側から第1折曲部分49に向かって延びている。
第1フィルタケース14には、フィルタ13Aの変形を防止する第1〜第3補強部材51〜53が取り付けられている。第1補強部材51は、細長い角柱状の合板であり、図8示すように、2本のそれがフィルタケース14の空気流出口48の側に配置されている。それら第1補強部材51は、横板部材44の間に位置し、縦方向へ所定寸法離間して横方向へ延びている。それら第1補強部材51は、それらの横方向両端部が縦板部材45に固定手段(ビスや接着剤等)を介して固定されている。フィルタケース14には、3本以上の第1補強部材51が取り付けられていてもよい。
第2補強部材52は、縦方向へ長い平面形状矩形の合板であり、図10に示すように、ジグザグに折り畳まれた積層シート39の互いに対向する対向部分41の間であって横板部材44の中央部に配置されている。第2補強部材52は、空気流入口47の側に位置する積層シート39の第1折曲部分49の内側から第1補強部材51に向かって延びている。第2補強部材52は、その縦方向両端部が横板部材44に固定手段(ビスや接着剤等)を介して固定されている。第1フィルタケース14には、2本以上の第2補強部材52が取り付けられていてもよい。
第3補強部材53は、細長い角柱状の合板であり、図7示すように、第1フィルタケース14の空気流入口47の側に配置され、横板部材44の間に位置して横方向へ延びている。第3補強部材53は、その横方向両端部が縦板部材45に固定手段(ビスや接着剤等)を介して固定されている。第1フィルタケース14には、2本以上の第3補強部材53が取り付けられていてもよい。第1〜第3補強部材51〜53は、合板の他に、金属(鉄板やアルミニウム板、ステンレス板等)や合成樹脂から作られていてもよい。
第1フィルタケース14の縦横方向の長さ寸法L1,L2および前後方向の長さ寸法L3の一例としては、縦方向の長さ寸法L1が610mm、横方向の長さ寸法L2が610mmであり、前後方向の長さ寸法L3が140mmである。フィルタケース14は、縦横方向の長さ寸法L1,L2(空気流入口47(空気流出口48)の規格化された面積:610×610)において、空気流入口47から流入させる空気の風量が28〜32m3/minの範囲の場合、その前後方向の長さ寸法L3が140mmに決まる。換言すれば、ジグザグに折り畳まれた積層シート39の空気流入口47の側に位置する第1折曲部分49から空気流出口48の側に位置する第2折曲部分50までの長さ寸法L4(図10参照)が110〜130mmに決まる。
また、第1フィルタケース14の縦横方向の長さ寸法L1,L2および前後方向の長さ寸法L3の他の一例としては、縦方向の長さ寸法L1が610mm、横方向の長さ寸法L2が610mmであり、前後方向の長さ寸法L3が294mmである。フィルタケース14は、縦横方向の長さ寸法L1,L2(空気流入口47(空気流出口48)の規格化された面積:610×610)において、空気流入口47から流入させる空気の風量が40〜60m3/minの範囲の場合、その前後方向の長さ寸法L3が294mmに決まる。換言すれば、ジグザグに折り畳まれた積層シート39の空気流入口47の側に位置する第1折曲部分49から空気流出口48の側に位置する第2折曲部分50までの寸法L4が264〜284mmに決まる。
したがって、フィルタ13Aでは、第1フィルタケース14の空気流入口47(空気流出口48)の面積を一定とした場合、空気流入口47に流入させる空気の風量により、ジグザグに折り畳まれた積層シート39の空気流入口47の側に位置する第1折曲部分49から空気流出口48の側に位置する第2折曲部分50までの長さ寸法L4が決定する。このフィルタ13Aは、フィルタケース14の空気流入口47の面積を一定に維持しつつ、その空気流入口47から流入させる空気の風量によってシート39の第1折曲部分49から第2折曲部分50までの長さ寸法L4を決めることができ、空気流入口47の面積を規格のそれに維持しつつ、その規格内においてフィルタ13Aにおける風量を自由に選択することができ、単位時間当たりの空気の清浄処理量を自由に決めることができる。
図14は、一例として示す第1補強部材51を設置したフィルタケース14の背面図である。このフィルタケース14が図1のそれと異なるところは、第1補強部材51として筋交い構造が採用されている点にあり、その他の構成は図6のフィルタケース14のそれらと同一である。第1補強部材51は、細長い角柱状の合板であり、2本のそれが第1フィルタケース14の空気流出口48の側に配置されている。それら第1補強部材51は、横板部材44と縦板部材45とが交差するフィルタケース14の一方の角部から斜め他方の角部に向かって延びている。それら第1補強部材51は、それらの両端部がフィルタケース14の角部に固定手段(ビスや接着剤等)を介して固定されている。
図15は、放射性有機ヨウ素除去効率の試験装置54を示す図である。放射性有機ヨウ素除去フィルタ13Aでは、その面速が10〜25cm/secの範囲、好ましくは、15〜20cm/secの範囲にあり、空気の湿度95%における放射性有機ヨウ素除去効率が95%以上、好ましくは97%以上、より好ましくは99.999%以上である。面速が10cm/sec未満では、単位時間当たりの空気の清浄処理量を多くすることができない。面速が25cm/secを超過すると、フィルタ13Aを通過する空気の速度が速すぎてフィルタ13Aが放射性有機ヨウ素を捕集することができない場合がある。空気の湿度95%における放射性有機ヨウ素除去効率が95%未満では、空気に含まれる放射性有機ヨウ素を確実に除去することができない場合がある。
フィルタ13Aにおける放射性有機ヨウ素除去効率は、図15の試験装置54を利用し、その測定結果に基づいて割り出した。試験装置54は、ボンベ55、ガス流量計56、光音響ガスモニタ57(ガス濃度測定装置)、フィルタカートリッジ58、空気流量計59、吸気ポンプ60から形成されている。ボンベ55やガス流量計56、光音響ガスモニタ57、フィルタカートリッジ58、空気流量計59、吸気ポンプ60は、管路61を介して接続されている。フィルタカートリッジ58の上流側の管路60と下流側に管路60とには、バイパス管路62が接続されている。なお、管路60には、フィルタカートリッジ58への空気の流入とバイパス管路62への空気の流入とを切り替える切替バルブ(図示せず)が設置されている。
ボンベ55には、管路61に供給するヨウ化メチルガスが収容されている。フィルタカートリッジ58には、試験用フィルタ63が着脱可能に固定される。光音響ガスモニタ57は、フィルタカートリッジ58の上流側の管路60および下流側に管路60に接続されている。光音響ガスモニタ57は、管路60に流れる空気に含まれるヨウ化メチルの濃度を連続的に測定する。試験用フィルタ63の仕様は、トリエチレンジアミンC6H12N2の添着量が15.9重量%、目付が209g/m2、厚み寸法が3m、比表面積が1400〜1450、重量が0.38gである。
試験手順は、以下のとおりである。試験用フィルタ63をフィルタカートリッジ58に固定し、吸気ポンプ60および光音響ガスモニタ57を稼動させ、空気流量計59の測定値を確認しつつ、所定流量(面速(10〜25cm/sec)を流量に換算した場合の流量)の空気を管路60に流し、フィルタカートリッジ58の下流側に延びる管路60の露点の変化を監視した。露点測定値が設定した値(空気湿度95%)の場合、切替バルブを介してフィルタカートリッジ58への空気の流入を停止し、バイパス管路62に一定流量の空気を流した。次に、ガス流量計56の測定値を確認しつつ、ボンベ55から一定量のヨウ化メチルガスを管路60に供給し、光音響ガスモニタ57を介して空気に含まれるヨウ化メチルガスの濃度が一定の濃度であることを確認した。
ヨウ化メチルガスの濃度が一定の濃度である場合、切替バルブを介してバイパス管路62への空気の流入を停止し、フィルタカートリッジ58に一定流量の空気を流し、光音響ガスモニタ57を介してヨウ化メチルガスの濃度を連続して測定した。光音響ガスモニタ57を利用し、フィルタカートリッジ58の上流側の管路60から空気をサンプリングしてその空気に含まれるヨウ化メチルの濃度を測定するとともに、フィルタカートリッジ58の下流側の管路60から空気をサンプリングしてその空気に含まれるヨウ化メチルの濃度を測定した。
ヨウ化メチルガスの濃度測定は、フィルタカートリッジ58の下流側の濃度測定値がカートリッジ58の上流側の濃度測定値の1/3に達するまで継続した。ヨウ化メチル除去効率(放射性有機ヨウ素除去効率)は、以下の式によって算出した。η=(C1−C2)/C1×100、ここで、ηはヨウ化メチル除去効率(放射性有機ヨウ素除去効率)(%)、C1はカートリッジ58の上流側の空気に含まれるヨウ化メチルの濃度(ppm)、C2はカートリッジ58の下流側の空気に含まれるヨウ化メチルの濃度(ppm)である。試験結果として、ヨウ化メチル除去効率(放射性有機ヨウ素除去効率)は、99%以上を示した。なお、試験用フィルタ63ではヨウ化メチル除去効率(放射性有機ヨウ素除去効率)99%以上を示したが、それから割り出したフィルタ13Aの放射性有機ヨウ素除去効率として95%以上を最低効率とし、99.999%以上を最高効率とする。
放射性有機ヨウ素除去フィルタ13Aでは、2枚のシート38を重ね合わせた積層シート39の横方向(一方向)への折り曲げ回数がフィルタ13Aの一方向の長さ100mmに対して8〜9回の範囲にある。折り曲げ回数が8回未満では、フィルタ13Aに必要な吸着面積を確保することができず、放射性有機ヨウ素の捕集性能が低下する場合がある。折り曲げ回数が9回を超過すると、積層シート39が密に重なり合い、フィルタ13Aの面速が低下し、単位時間当たりの空気の清浄処理量を多くすることができない。積層シート39の横方向への折り曲げ回数が前記範囲にあるから、フィルタ13Aにおける面速を速くすることができ、単位時間当たりの空気の清浄処理量を多くすることができるとともに、フィルタ13Aに必要な吸着面積を確保することができ、放射性有機ヨウ素の高い捕集性能を維持することができる。
図16は、他の一例として示す放射性有機ヨウ素除去フィルタ13Bを収容したフィルタケース14の正面図であり、図17は、図16のX2−X2線矢視断面図である。図18は、シート38の部分拡大図である。図16,17では、縦方向を矢印A(図16のみ)、横方向を矢印Bで示し、前後方向を矢印C(図17のみ)で示す。このフィルタ13Bが図6のそれと異なるところはフィルタ13Bが1枚のシート38を横方向(一方向)へジグザグに折り畳むことから作られている点にあり、その他の構成は図6のフィルタ13Aのそれらと同一であるから、図6と同一の符号を付すとともに、図6のフィルタ13Aの説明を援用することで、このフィルタ13Bにおけるその他の構成の説明は省略する。
この放射性有機ヨウ素除去フィルタ13Bは、図18に示すように、活性炭素繊維から形成された1枚のシート38から作られている。フィルタ13Bでは、そのシート38が横方向(一方向)へ起伏を繰り返すようにジグザグ(蛇腹状)に折り畳まれている。フィルタ13Bは、横方向へジグザグに折り畳まれた状態で、第1フィルタケース14の内側に着脱可能に収容されている。シート38は、繊維不織布、織物、編み物のうちのいずれかの形態を有し、シート38毎にその全体が撥水処理を施した撥水性繊維不織布40または疎水性繊維不織布に包被されている。
ジグザグに折り畳まれたシート38の互いに対向する対向部分41の間には、縦方向へ起伏を繰り返すように円弧を画くセパレータ42が配置されており、それらセパレータ42によって所定の空隙43が形成されている(図12援用)。活性炭素繊維には、放射性有機ヨウ素を吸着するトリエチレンジアミンC6H12N2(アミン類)が添着されている。活性炭素繊維の単位重量に対するトリエチレンジアミンC6H12N2の添着量は、10〜20重量%の範囲、好ましくは、12〜18重量%の範囲、より好ましくは、13〜16重量%の範囲にある。なお、アミン類としてトリエチレンジアミンC6H12N2の他に、図6のフィルタ13Aの活性炭素繊維に添着可能な前記アミン類のうちの1種類またはそれらの数種類を混合したアミン類を使用することもできる。
第1フィルタケース14や第1〜第3補強部材51〜53は図6のフィルタ13Aのそれらと同一であるから、それらの説明は省略する。なお、第1補強部材51として、図14の筋交い構造を採用することもできる。第1フィルタケース14の縦横方向の長さ寸法L1,L2および前後方向の長さ寸法L3は、図6のフィルタ13Aのそれらと同一である。
フィルタ13Bでは、第1フィルタケース14の空気流入口47(空気流出口48)の面積を一定とした場合、空気流入口47に流入させる空気の風量により、フィルタケース14の前後方向の長さ寸法L3やジグザグに折り畳まれたシート38の空気流入口47の側に位置する第1折曲部分49から空気流出口48の側に位置する第2折曲部分50までの長さ寸法L4が決定する。このフィルタ13Bは、第1フィルタケース14の空気流入口47(空気流出口48)の面積を一定に維持しつつ、その空気流入口47から流入させる空気の風量によってシート38の第1折曲部分49から第2折曲部分50までの長さ寸法L4を決めることができ、空気流入口47(空気流出口48)の面積を規格のそれに維持しつつ、その規格内においてフィルタ13Bにおける風量を自由に選択することができ、単位時間当たりの空気の清浄処理量を自由に決めることができる。
フィルタ13Bでは、その面速が10〜25cm/secの範囲、好ましくは、15〜20cm/secの範囲にある。フィルタ13Bは、図5のフィルタ13Aと同様に、試験装置54を使用して計算した試験用フィルタ63のヨウ化メチル除去効率(放射性有機ヨウ素除去効率)から割り出した放射性有機ヨウ素除去効率が95%以上、好ましくは97%以上、より好ましくは99.999%以上である(空気の湿度95%)。面速が10cm/sec未満では、単位時間当たりの空気の清浄処理量を多くすることができない。面速が25cm/secを超過すると、フィルタ13Bを通過する空気の速度が速すぎてフィルタ13Bが放射性有機ヨウ素を捕集することができない場合がある。空気の湿度95%における放射性有機ヨウ素除去効率が95%未満では、空気に含まれる放射性有機ヨウ素を確実に除去することができない場合がある。
フィルタ13Bでは、シート38の横方向(一方向)への折り曲げ回数がフィルタ13Bの一方向の長さ100mmに対して16〜18回の範囲にある。折り曲げ回数が16回未満では、フィルタ13Bに必要な吸着面積を確保することができず、放射性有機ヨウ素の捕集性能が低下する場合がある。折り曲げ回数が18回を超過すると、シート38が密に重なり合い、フィルタ13Bの面速が低下し、単位時間当たりの空気の清浄処理量を多くすることができない。シート38の横方向への折り曲げ回数が前記範囲にあるから、フィルタ13Bにおける面速を速くすることができ、単位時間当たりの空気の清浄処理量を多くすることができるとともに、フィルタ13Bに必要な吸着面積を確保することができ、放射性有機ヨウ素の高い捕集性能を維持することができる。
図19は、耐圧試験におけるフィルタ13A,13Bの変化の状態を示す概念図である。それらフィルタ13A,13Bは、耐圧試験後のフィルタ13A,13Bの変形量が0〜1.0mmであった。また、耐圧試験後のフィルタ13A,13Bのヨウ化メチルガス除去効率の測定は、図14の試験装置54を利用した。耐圧試験後のフィルタ13A,13Bは、試験装置54を使用して計算したヨウ化メチル除去効率(放射性有機ヨウ素除去効率)から割り出した放射性有機ヨウ素除去効率が95%以上、好ましくは97%以上、より好ましくは99.999%以上であり(空気の湿度95%)、耐圧試験前のヨウ化メチルガス除去効率(放射性有機ヨウ素除去効率)と同様の効率を示した。なお、図19に示すように、空気が矢印S方向へ流入し、フィルタ13A,13Bを変形させる力(風圧)が作用したとしても、第1〜第3補強部材51〜53(筋交い構造を含む)によってフィルタ13A,13Bの変形(破損や損壊を含む)が阻止される。
フィルタ13A,13Bの耐圧試験は、フィルタ13A,13B(第1フィルタケース14に収容したフィルタ13A,13B)をダクトに設置し、ファン(送風機)を稼動させてそのフィルタ13A,13Bに空気を流入させた実際の使用状態において測定した。フィルタ13A,13Bにおける圧力損失が1000Paになるように空気の風量を調節し、1時間そのままの状態で放置した。1時間経過後に空気の供給を停止し、ダクトからフィルタ13A,13Bを取り外して試験前後のフィルタ13A,13Bの変形やヨウ化メチルガス除去効率(放射性有機ヨウ素除去効率)を測定した。
それらフィルタ13A,13Bは、面速10〜25cm/secにおけるその圧力損失が100〜300Paの範囲、好ましくは、200〜250Paの範囲にある。フィルタ13A,13Bの圧力損失は、フィルタ13A,13B(第1フィルタケース14に収容したフィルタ13A,13B)をダクトに設置し、ファン(送風機)を稼動させてそのフィルタ13A,13Bに空気を流入させた実際の使用状態において測定した。定格風量の略130%まで、風量を段階的に変化させ、そのときのフィルタ13A,13Bの圧力損失を測定した。
圧力損失が300Paを超過すると、フィルタ13A,13Bを通過する空気の通過速度が遅くかつフィルタ13A,13Bを通過する空気の流量が少なくなり、単位時間当たりの空気の清浄処理量を多くすることができない。圧力損失が100Pa未満では、フィルタ13A,13Bを通過する空気の通過速度が速すぎてフィルタ13A,13Bが放射性有機ヨウ素を捕集することができない場合がある。
それらフィルタ13A,13Bでは、活性炭素繊維の平均繊維径が10〜18μmの範囲、好ましくは、12〜16μmの範囲にある。平均繊維径が18μmを超過すると、活性炭素繊維の幾何学的な表面積が相対的に少なくなるため、特許請求の範囲に規定されたフィルタ13A,13Bにおける放射性有機ヨウ素の除去効率が得られなくなる場合がある。繊維径が10μm未満では、シート38の通気性が低下し、フィルタ13A,13Bの圧力損失が増加してフィルタ13A,13Bの面速が低下する。
それらフィルタ13A,13Bでは、シート11(1枚)の目付が100〜350g/m2の範囲、好ましくは、150〜300g/m2の範囲、より好ましくは、180〜270g/m2の範囲にある。また、シート11(1枚)のみかけの嵩密度が0.03〜0.13g/cm3の範囲、好ましくは、0.05〜0.011g/cm3の範囲にある。シート38の目付が100g/m2未満であって、シート38のみかけの嵩密度が0.03g/cm3未満では、シート38の強度が弱く、シート38がその形態を維持することができない場合がある。シート38の目付が350g/m2を超過するとともに、シート38のみかけの嵩密度が0.13g/cm3を超過すると、シート38の通気性が低下し、フィルタ13A,13Bの圧力損失が増加してフィルタ13A,13Bの面速が低下する。また、シート38の厚み寸法が必要に大きくなり、シート38の柔軟性が低下するのみならず、フィルタ13A,13B全体の寸法をコンパクトにすることができないとともに、単位体積当たりのフィルタ13A,13Bの重量を少なくすることができない。
活性炭素繊維の平均繊維径やシート38の目付、シート38のみかけの嵩密度が前記範囲にあるから、シート38を横方向へジグザグに折り畳むことによって作られたフィルタ13A,13B全体の寸法をコンパクトにすることができるとともに、単位体積当たりのフィルタ13A,13Bの重量を少なくすることができ、フィルタ13A,13Bが嵩張ることはなく、その持ち運びや設置、取り外しを容易に行うことができる。また、フィルタ13A,13B全体の寸法をコンパクトにすることができることによって、装置10A自体をコンパクトにすることができる。
それらフィルタ13A,13Bでは、シート38の厚み寸法L5が2〜4mmの範囲(積層シート39の場合は、4〜8mmの範囲)、好ましくは、3mm(積層シート39の場合は、6mm)である(図13,図18参照)。シート38の厚み寸法L5が2mm未満では、シート38の強度が弱く、シート38がその形態を維持することができない場合がある。シート38の厚み寸法L5が4mmを超過すると、シート38の通気性が低下し、フィルタ13A,13Bの圧力損失が増加してフィルタ13A,13Bの面速が低下する。また、シート38の厚み寸法L5が必要以上に大きくなり、シート38の柔軟性が低下するのみならず、フィルタ13A,13B全体の寸法をコンパクトにすることができないとともに、単位体積当たりのフィルタ13A,13Bの重量を少なくすることができない。
フィルタ13A,13Bは、シート38の厚み寸法L5が前記範囲にあるから、シート38(積層シート39を含む)を横方向へジグザグに折り畳むことによって作られたフィルタ13A,13B全体の寸法をコンパクトにすることができるとともに、単位体積当たりのフィルタ13A,13Bの重量を少なくすることができ、フィルタ13A,13Bが嵩張ることはなく、その持ち運びや設置、取り外しを容易に行うことができる。また、フィルタ13A,13B全体の寸法をコンパクトにすることができることによって、装置10A自体をコンパクトにすることができる。
図20は、空気の流れを示す放射性有機ヨウ素除去装置10Aの概略側面図である。図20では、第1フィルタケース14(放射性有機ヨウ素除去フィルタ13A,13B)を点線で示し、空気の流れを示す矢印Sで示す。放射性有機ヨウ素除去装置10Aでは、フロントハウジング19の空気流路24とリアハウジング20の空気流路29と排気ダクト21の空気流路37とがつながっている。空気は、ファン16によって強制的にフロントハウジング19の吸気口23に流入し、フロントハウジング19の空気流路24からフィルタ13A(またはフィルタ13B)を通流しつつリアハウジング20の空気流路29を通るとともに、リアハウジング20の空気流路29から排気ダクト21の空気流路37を通り、ダクト21の給気口35から流出する。
放射性有機ヨウ素除去装置10Aの運転手順の一例は、以下のとおりである。後部ハッチ31とリアハウジング20との固定を解除した後、ハッチ31を前後方向後方へ旋回させてハッチ31を開け、収容スペース30を開放する。後部ハッチ31を開けた後、フィルタ支持ガイドを介して第1フィルタケース14をリアハウジング20の収容スペース30に固定し、ケース14をスペース30に設置する。なお、第1フィルタケース14には、図6または図16のいずれかのフィルタ13A,13Bがセットされている。
第1フィルタケース14を収容スペース30に設置すると、ケース14の空気流入口47がフロントハウジング19の後端部28に対向し、ケース14の空気流出口48が後部ハッチ31に対向する。第1フィルタケース14を収容スペース30に設置した後、後部ハッチ31を前後方向前方へ旋回させてハッチ31を閉め、収容スペース30を閉鎖し、ハッチ31とリアハウジング20とを固定手段によって気密に連結する。架台11に取り付けられたキャスター18によって、原子力関連施設や医療施設のうちの放射性有機ヨウ素が発生するおそれがある箇所に装置を移動させた後、キャスター18をロックし、装置10Aをその箇所に固定する。
次に、コントロールボックス17のスイッチを入れる。スイッチを入れると、ディスプレイにヒータ15の設定温度とファン16の回転数(出力)とが表示されるとともに、空気清浄実行ボタン、空気清浄中止ボタン、装置停止ボタンが表示される(図示せず)。ヒータ15の設定温度を変更する場合、テンキーユニットの入力キーを操作して新たな設定温度を入力する。また、ファン16の回転数を変更する場合、入力キーを操作して新たな回転数を入力する。ファン16の回転数は、風量28〜60m3/minの範囲で変更することができる。ヒータ15の設定温度やファン16の回転数に変更がなく、または、設定温度や回転数を変更した後、空気清浄実行ボタンを押す。
空気清浄実行ボタンを押すと、ヒータ15およびファン16が稼動する。なお、空気清浄中止ボタンを押すと、ヒータ15およびファン16が停止する。装置停止ボタンを押すと、スイッチがOFFとなり、装置10Aが停止する。施設内の空気は、ファン16によって強制的に装置10Aに吸気される。空気は、フロントハウジング19の吸気口23からハウジング19に流入した後、ハウジング19の空気流路24を通ってヒータ15に流入する。空気は、ヒータ15のヒータエレメントによって設定温度に加熱され、それに含まれる湿気が蒸発し、その湿度が低下する。
所定温度に加熱された空気は、フロントハウジング19の後端部28からリアハウジング20に流入する。なお、リアハウジング20の前端部27(フロントハウジング19の後端部28)には、第1フィルタケース14の空気流入口47が位置しており、所定温度に加熱された空気が空気流入口47を通ってフィルタ13A(またはフィルタ13B)に流入し、フィルタ13A(またはフィルタ13B)を通流した後、ケース14の空気流出口48から流出する。空気に放射性有機ヨウ素が含まれている場合、その放射性有機ヨウ素が活性炭素繊維のミクロポアに捕集されるとともに、活性炭素繊維に添着されたトリエチレンジアミンC6H12N2に吸着され、空気が清浄される。フィルタ13A(またはフィルタ13B)から流出した空気は、リアハウジング20の空気流路29を通って排気ダクト21の空気流路37に流入し、ダクト21の空気流路38を通ってダクト21の給気口35から施設内に戻される。
温度センサは、ヒータ15から流出した空気の温度を測定し、その測定温度をコントロールボックス17に出力する。コントロールボックス17は、空気の温度が設定温度から外れると、空気の温度を設定温度に戻すように、ヒータ15の温度を調節するフィードバック制御を行う。なお、ファン16の稼働中にその回転数を変更することもできる。テンキーユニットの入力キーを操作して新たな回転数を入力すると、コントロールボックス17は、インバータ制御を行ってファン16の回転数を入力された回転数に変更する。
放射性有機ヨウ素除去装置10Aは、放射性有機ヨウ素を吸着するトリエチレンジアミンC6H12N2(アミン類)が活性炭素繊維に添着されており、放射性有機ヨウ素除去フィルタ13A,13Bの面速が10〜25cm/secの範囲、空気の湿度95%におけるフィルタ13A,13Bの放射性有機ヨウ素除去効率が95%以上、好ましくは97%以上、より好ましくは99.999%以上であるから、空気の高湿度環境下において優れた放射性有機ヨウ素除去性能を発揮するとともに、フィルタ13A,13Bにおける空気の通過速度が速くかつフィルタ13A,13Bを通過する空気の流量が多く、装置10Aにおける単位時間当たりの空気の清浄処理量を多くすることができるのみならず、空気に含まれる放射性有機ヨウ素を確実に捕集かつ除去することができ、放射性有機ヨウ素を除去した清浄な空気を作ることができる。
放射性有機ヨウ素除去装置10Aは、ヒータ15によって空気を所定温度に加熱することで空気に含まれる湿気を蒸発させることができ、空気に湿気が含まれていることによる放射性有機ヨウ素除去フィルタ13A,13Bの放射性有機ヨウ素除去効率の低下を防ぐことができる。放射性有機ヨウ素除去装置10Aは、放射性有機ヨウ素が発生するおそれがある原子力関連施設や医療施設に使用することで、それら施設から発生する放射性有機ヨウ素を確実に除去することができ、それら施設の安全性を確保することができる。
図21は、他の一例として示す放射性有機ヨウ素除去装置10Bの背面図であり、図22は、空気の流れを示す図21の放射性有機ヨウ素除去装置10Bの概略側面図である。図23は、HEPAフィルタ65を収容した第2フィルタケース64の斜視図である。図21は、後部ハッチ31を開いた状態にあり、第1および第2収容スペース30A,30Bに第1および第2フィルタケース14,64が収容されている。図22では、第1および第2フィルタケース14,64(フィルタ13A,13B,65)を点線で示し、空気の流れを示す矢印Sで示す。図23では、縦方向を矢印A、横方向を矢印Bで示し、前後方向を矢印Cで示す。
この放射性有機ヨウ素除去装置10Bが図1のそれと異なるところは、リアハウジング20の上下方向下方(上流側)に多風量のHEPAフィルタ65が配置されている点にある。この放射性有機ヨウ素除去装置10Bにおけるその他の構成は図1の装置10Aと同一であるから、図1と同一の符号を付すとともに、図1の説明を援用することで、この装置10Bにおけるその他の構成の説明は省略する。なお、第1フィルタケース14に着脱可能に設置される放射性有機ヨウ素除去フィルタには、図6または図16のいずれかのフィルタ13A,13Bが使用されている。
リアハウジング20の内部には、フロントハウジング19から流入した空気の空気流路29と、第1および第2フィルタケース14,64を収容する収容スペース30とが形成されている。収容スペース30は、第1収容スペース30Aと、第1収容スペース30Aの上下方向上方に位置する第2収容スペース30Bとに区分されている。第1および第2収容スペース30A,30Bには、そこにフィルタケース14,64を着脱可能に固定するフィルタ支持ガイド(図示せず)が設置されている。
放射性有機ヨウ素除去フィルタ13A(またはフィルタ13B)を収容した第1フィルタケース14は、フィルタ支持ガイドによって支持され、第2収容スペース30Bに固定される。HEPAフィルタ65を収容した第2フィルタケース64は、フィルタ支持ガイドによって支持され、第1収容スペース30Aに固定される。したがって、この放射性有機ヨウ素除去装置10Bでは、第1フィルタケース14が第2フィルタケース64の上下方向上方(下流側)に設置され、放射性有機ヨウ素除去フィルタ13A(またはフィルタ13B)がHEPAフィルタ65の上下方向上方(下流側)に配置される。なお、HEPAフィルタ65は、空気中の微細粒子を含む塵埃を99.97%以上の効率で捕集する。
HEPAフィルタ65を収容する第2フィルタケース64は、合板から作られ、その正面形状が四角形に成型されている。第2フィルタケース64は、合板の他に、金属(鉄板やアルミニウム板、ステンレス板等)や合成樹脂から作られていてもよい。第2フィルタケース64は、縦方向へ離間対向して横方向へ延びる平面形状矩形の一対の横板部材66(第3外枠部材)と、横方向へ離間対向して縦方向へ延びる平面形状矩形の一対の縦板部材67(第4外枠部材)とから作られている。
第2フィルタケース64では、横板部材66の端部と縦板部材67の端部とが固定手段(ビスや接着剤等)を介して固定されている。第2フィルタケース64には、その正面側に空気流入口68が画成され、その背面側に空気流出口69が画成されている。第2フィルタケース64の縦横方向の長さ寸法L6,L7は、フィルタ13A,13Bを収容した第1フィルタケース14のそれらと同一であり、フィルタケース64の空気流入口68(空気流出口69)の面積は、フィルタケース14のそれと同一である。フィルタケース64の前後方向の長さ寸法L8は、第1フィルタケース14のそれよりも短い。
後部ハッチ31には、横方向へ等間隔離間して上下方向へ延びる2枚の案内板70が取り付けられている。案内板70の上下方向の長さ寸法は、収容スペース30の上下方向の長さ寸法と略同一である。案内板70の前後方向の長さ寸法は、後部ハッチ31を閉めたときに、案内板70の端縁が第1フィルタケース14の空気流入口47に当接するとともに、案内板70の端縁が第2フィルタケース64の空気流出口69に当接する長さに調節されている。
この放射性有機ヨウ素除去装置10Bの運転手順の一例は、以下のとおりである。後部ハッチ31とリアハウジング20との固定を解除した後、ハッチ31を前後方向後方へ旋回させてハッチ31を開け、第1および第2収容スペース30A,30Bを開放する。後部ハッチ31を開けた後、フィルタ支持ガイドを介して第1フィルタケース14をリアハウジング20の第2収容スペース30Bに固定し、ケース14をスペース30Bに設置するとともに、フィルタ支持ガイドを介して第2フィルタケース64をリアハウジング20の第1収容スペース30Aに固定し、ケース64をスペース30Aに設置する。なお、第1フィルタケース14には、図6または図16のいずれかの放射性有機ヨウ素除去フィルタ13A(またはフィルタ13B)がセットされ、第2フィルタケース64には、HEPAフィルタ65がセットされている。
第1フィルタケース14を第2収容スペース30Bに設置すると、ケース14の空気流入口47が後部ハッチ31に対向し、ケース14の空気流出口48が排気ダクト21の前端部32に対向する。第2フィルタケース64を第1収容スペース30Aに設置すると、ケース64の空気流入口68がフロントハウジング19の後端部28に対向し、ケース64の空気流出口69が後部ハッチ31に対向する。それらフィルタケース14,64を各収容スペース30A,30Bに設置した後、後部ハッチ31を前後方向前方へ旋回させてハッチ31を閉め、第1および第2収容スペース30A,30Bを閉鎖し、ハッチ31とリアハウジング20とを固定手段によって気密に連結する。
ハッチ31を閉めると、案内板70の端縁が第1フィルタケース14の空気流入口47に当接するとともに、案内板70の端縁が第2フィルタケース64の空気流出口69に当接する。リアハウジング20の空気流路29は、それら案内板70によって横方向へ3分割される。架台11に取り付けられたキャスター18によって、原子力関連施設や医療施設のうちの放射性有機ヨウ素が発生するおそれがある箇所に装置10Bを移動させた後、キャスター18をロックし、装置10Bをその箇所に固定する。
次に、コントロールボックス17のスイッチを入れる。スイッチを入れると、ディスプレイにヒータ15の設定温度とファン16の回転数(出力)とが表示されるとともに、空気清浄実行ボタン、空気清浄中止ボタン、装置停止ボタンが表示される(図示せず)。ヒータ15の設定温度やファン16の回転数に変更がなく、または、設定温度や回転数を変更した後、空気清浄実行ボタンを押す。空気清浄実行ボタンを押すと、ヒータ15およびファン16が稼動する。施設内の空気は、ファン16によって強制的に装置10Bに吸気される。空気は、フロントハウジング19の吸気口23からハウジング19に流入した後、ハウジング19の空気流路24を通ってヒータ15に流入する。空気は、ヒータ15のヒータエレメントによって設定温度に加熱され、それに含まれる湿気が蒸発し、その湿度が低下する。
所定温度に加熱された空気は、フロントハウジング19の後端部28からリアハウジング20に流入する。なお、リアハウジング20の前端部27(フロントハウジング19の後端部28)には、第2フィルタケース64の空気流入口68が位置しており、所定温度に加熱された空気が空気流入口68を通ってHEPAフィルタ65に流入し、フィルタ65を通流した後、フィルタケース64の空気流出口69から流出する。空気に塵埃が含まれていると、その塵埃がHEPAフィルタ65に捕集され、空気中の塵埃が取り除かれる。
第2フィルタケース64の空気流出口69から流出した空気は、案内板70によって横方向へ3分割されたリアハウジング20の空気流路29を通って第1フィルタケース14の空気流入口47に流入し、空気流入口47を通って放射性有機ヨウ素除去フィルタ13A(またはフィルタ13B)に流入し、フィルタ13A(またはフィルタ13B)を通流した後、フィルタケース14の空気流出口48から流出する。案内板70は、第1収納スペース30Aに位置するHEPAフィルタ65(上下方向下方に位置するフィルタ)から第2収納スペース30Bに位置する放射性有機ヨウ素除去フィルタ13A(またはフィルタ13B)(上下方向上方に位置するフィルタ)の全域へ空気を導く。
フィルタ13A(またはフィルタ13B)を通流した空気に放射性有機ヨウ素が含まれている場合、その放射性有機ヨウ素が活性炭素繊維のミクロポアに捕集されるとともに、活性炭素繊維に添着されたトリエチレンジアミンC6H12N2に吸着され、空気が清浄される。フィルタ13A(またはフィルタ13B)から流出した空気は、第1フィルタケース14の空気流出口48から排気ダクト21の空気流路37に流入し、ダクト21の空気流路37を通ってダクト21の給気口35から施設内に戻される。
図21の放射性有機ヨウ素除去装置10Bは、図1の装置10Aが有する効果に加え、以下の効果を有する。放射性有機ヨウ素除去装置10Bは、空気に含まれる塵埃を除去する多風量のHEPAフィルタ65が放射性有機ヨウ素除去フィルタ13A,13Bの上下方向下方(上流側)に配置され、HEPAフィルタ65によって空気中の塵埃が除去されるから、塵埃が放射性有機ヨウ素除去フィルタ13A,13Bに達することはなく、塵埃が放射性有機ヨウ素除去フィルタ13A,13Bに堆積することによるフィルタ13A,13Bの放射性有機ヨウ素除去性能の低下を防ぐことができる。この放射性有機ヨウ素除去装置10Bは、空気中の塵埃を除去することができるとともに、空気に含まれる放射性有機ヨウ素を確実に捕集かつ除去することができ、塵埃や放射性有機ヨウ素を除去した清浄な空気を作ることができる。
この放射性有機ヨウ素除去装置10Bは、案内板70によって空気が第1収納スペース30Aに位置するHEPAフィルタ65から第2収納スペース30Bに位置する放射性有機ヨウ素除去フィルタ13A,13Bの全域へ導かれるから、空気が放射性有機ヨウ素除去フィルタ13A,13Bへ偏って流入することはなく、放射性有機ヨウ素除去フィルタ13A,13Bの全域を空気の清浄に利用することができ、空気を単位時間内に効率よく清浄することができる。放射性有機ヨウ素除去装置10Bは、HEPAフィルタ65が多風量のそれであるから、HEPAフィルタ65によって放射性有機ヨウ素除去フィルタ13A,13Bの面速が低下することはなく、フィルタ13A,13Bにおける空気の通過速度を速くすることができ、単位時間当たりの空気の清浄処理量を多くすることができる。放射性有機ヨウ素除去装置10Bは、放射性有機ヨウ素除去フィルタ13A,13BとHEPAフィルタ65とが上下方向へ並ぶから、それらフィルタ13A,13B,65を前後方向へ並べる場合と比較し、装置10Bの前後方向の寸法を小さくすることができ、装置10Bをコンパクト化することができる。
図24は、他の一例として示す放射性有機ヨウ素除去装置10Bの背面図であり、図25は、空気の流れを示す図24の放射性有機ヨウ素除去装置10Bの概略側面図である。図24は、後部ハッチ31を開いた状態にあり、第1および第2収容スペース30A,30Bに第1および第2フィルタケース14,64が収容されている。図25では、第1および第2フィルタケース14,64(フィルタ13A,13B,65)を点線で示し、空気の流れを示す矢印Sで示す。
この放射性有機ヨウ素除去装置10Bが図1や図21のそれと異なるところは、リアハウジング20の上下方向下方(下流側)に放射性有機ヨウ素除去フィルタ13A(またはフィルタ13B)が配置され、リアハウジングの上下方向上方(下流側)に多風量のHEPAフィルタ65が配置されている点にある。この放射性有機ヨウ素除去装置10Bにおけるその他の構成は図1や図21の装置10A,10Bと同一であるから、それら図と同一の符号を付すとともに、それら図の説明を援用することで、この装置10Bにおけるその他の構成の説明は省略する。なお、第1フィルタケース14に着脱可能に設置される放射性有機ヨウ素除去フィルタには、図6または図16のいずれかのフィルタ13A,13Bが使用されている。
放射性有機ヨウ素除去フィルタ13A(またはフィルタ13B)を収容した第1フィルタケース14は、フィルタ支持ガイドによって支持され、第1収容スペース30Aに固定される。HEPAフィルタ65を収容した第2フィルタケース64は、フィルタ支持ガイドによって支持され、第2収容スペース30Bに固定される。したがって、この放射性有機ヨウ素除去装置10Bでは、第1フィルタケース14が第2フィルタケース64の上下方向下方(上流側)に設置され、放射性有機ヨウ素除去フィルタ13A(またはフィルタ13B)がHEPAフィルタ65の上下方向下方(上流側)に配置される。HEPAフィルタ65を収容する第2フィルタケース64は、図23のそれと同一である。後部ハッチ31には、図21の装置10Bと同様に、横方向へ等間隔離間して上下方向へ延びる2枚の案内板70が取り付けられている。
この放射性有機ヨウ素除去装置10Bの運転手順の一例は、以下のとおりである。後部ハッチ31とリアハウジング20との固定を解除した後、ハッチ31を前後方向後方へ旋回させてハッチ31を開け、第1および第2収容スペース30A,30Bを開放する。後部ハッチ31を開けた後、フィルタ支持ガイドを介して第1フィルタケース14をリアハウジング20の第1収容スペース30Aに固定し、ケース14をスペース30Aに設置するとともに、フィルタ支持ガイドを介して第2フィルタケース64をリアハウジング20の第2収容スペース30Bに固定し、ケース64をスペース30Bに設置する。なお、第1フィルタケース14には、図6または図16のいずれかの放射性有機ヨウ素除去フィルタ13A(またはフィルタ13B)がセットされ、第2フィルタケース64には、図23のHEPAフィルタ65がセットされている。
第1フィルタケース14を第1収容スペース30Aに設置すると、ケース14の空気流入口47がフロントハウジング19の後端部28に対向し、ケース14の空気流出口48が後部ハッチ31に対向する。第2フィルタケース64を第2収容スペース30Bに設置すると、ケース64の空気流入口68が後部ハッチ31に対向し、ケース64の空気流出口69が排気ダクト21の前端部32に対向する。それらフィルタケース14,64を各収容スペース30A,30Bに設置した後、後部ハッチ31を前後方向前方へ旋回させてハッチ31を閉め、第1および第2収容スペース30A,30Bを閉鎖し、ハッチ31とリアハウジング20とを固定手段によって気密に連結する。
ハッチ31を閉めると、案内板70の端縁が第1フィルタケース14の空気流入口47に当接するとともに、案内板70の端縁が第2フィルタケース64の空気流出口69に当接する。リアハウジング20の空気流路29は、それら案内板70によって横方向へ3分割される。架台11に取り付けられたキャスター18によって、原子力関連施設や医療施設のうちの放射性有機ヨウ素が発生するおそれがある箇所に装置10Bを移動させた後、キャスター18をロックし、装置10Bをその箇所に固定する。
次に、コントロールボックス17のスイッチを入れる。スイッチを入れると、ディスプレイにヒータ15の設定温度とファン16の回転数(出力)とが表示されるとともに、空気清浄実行ボタン、空気清浄中止ボタン、装置停止ボタンが表示される(図示せず)。空気清浄実行ボタンを押すと、ヒータ15およびファン16が稼動する。施設内の空気は、ファン16によって強制的に装置10Bに吸気される。空気は、フロントハウジング19の吸気口23からハウジング19に流入した後、ハウジング19の空気流路24を通ってヒータ15に流入する。空気は、ヒータ15のヒータエレメントによって設定温度に加熱され、それに含まれる湿気が蒸発し、その湿度が低下する。
所定温度に加熱された空気は、フロントハウジング19の後端部28からリアハウジング20に流入する。なお、リアハウジング20の前端部27(フロントハウジング19の後端部28)には、第1フィルタケース14の空気流入口47が位置しており、所定温度に加熱された空気が空気流入口47を通って放射性有機ヨウ素除去フィルタ13A(またはフィルタ13B)に流入し、フィルタ13A(またはフィルタ13B)を通流した後、フィルタケース14の空気流出口48から流出する。空気に放射性有機ヨウ素が含まれていると、その放射性有機ヨウ素が活性炭素繊維のミクロポアに捕集されるとともに、活性炭素繊維に添着されたトリエチレンジアミンC6H12N2に吸着される。
第1フィルタケース14の空気流出口48から流出した空気は、案内板70によって横方向へ3分割されたリアハウジング20の空気流路29を通って第2フィルタケース64の空気流入口68に流入し、空気流入口68を通ってHEPAフィルタ65に流入し、フィルタ65を通流した後、フィルタケース64の空気流出口69から流出する。案内板70は、第1収納スペース30Aに位置する放射性有機ヨウ素除去フィルタ13A(またはフィルタ13B)(上下方向下方に位置するフィルタ)から第2収納スペース30Bに位置するHEPAフィルタ65(上下方向上方に位置するフィルタ)の全域へ空気を導く。
放射性有機ヨウ素フィルタ13A(またはフィルタ13B)を通流した空気に塵埃が含まれている場合、その塵埃がHEPAフィルタ65に捕集され、空気中の塵埃が取り除かれ、空気が清浄される。フィルタ65から流出した空気は、第2フィルタケース64の空気流出口69から排気ダクト21の空気流路37に流入し、ダクト21の空気流路37を通ってダクト21の給気口35から施設内に戻される。
図24の放射性有機ヨウ素除去装置10Bは、図1の装置10Aが有する効果に加え、以下の効果を有する。放射性有機ヨウ素除去装置10Bは、空気に含まれる塵埃を除去する多風量のHEPAフィルタ65が放射性有機ヨウ素除去フィルタ13A,13Bの上下方向上方(上流側)に配置され、放射性有機ヨウ素除去フィルタ13A,13Bから塵埃が放出されたとしても、その塵埃がHEPAフィルタ65によって除去されるから、放射性有機ヨウ素除去フィルタ13A,13Bから放出された塵埃を確実に除去することができる。この放射性有機ヨウ素除去装置10Bは、空気に含まれる放射性有機ヨウ素を確実に捕集かつ除去することができるとともに、放射性有機ヨウ素除去フィルタ13A,13Bから放出された塵埃を除去することができ、放射性有機ヨウ素や塵埃を除去した清浄な空気を作ることができる。
この放射性有機ヨウ素除去装置10Bは、案内板70によって空気が第1収納スペース30Aに位置する放射性有機ヨウ素除去フィルタ13A,13Bから第2収納スペース30Bに位置するHEPAフィルタ65の全域へ導かれるから、空気がHEPAフィルタ65へ偏って流入することはなく、HEPAフィルタ65の全域を塵埃の除去に利用することができ、空気を単位時間内に効率よく清浄することができる。放射性有機ヨウ素除去装置10Bは、HEPAフィルタ65が多風量のそれであるから、HEPAフィルタ65によって放射性有機ヨウ素除去フィルタ13A,13Bの面速が低下することはなく、フィルタ13A,13Bにおける空気の通過速度を速くすることができ、単位時間当たりの空気の清浄処理量を多くすることができる。放射性有機ヨウ素除去装置10Bは、放射性有機ヨウ素除去フィルタ13A,13BとHEPAフィルタ65とが上下方向へ並ぶから、それらフィルタ13A,13B,65を前後方向へ並べる場合と比較し、装置10Bの前後方向の寸法を小さくすることができ、装置10Bをコンパクト化することができる。