以下、本技術を実施するための形態(以下、実施の形態という)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態
2.変形例
<1.実施の形態>
[電力管理システム11の構成例]
図1は、本発明を適用した電力管理システムの一実施の形態を示すブロック図である。
電力管理システム11は、各種の車両に設けられ、車載用のバッテリ12から負荷13−1乃至13−nへの電力の供給を制御するシステムである。
なお、電力管理システム11が設けられる車両の種類は、特に限定されるものではなく、例えば、エンジンで駆動される車両、EV(Electric Vehicle、電気自動車)、HEV(Hybrid Electric Vehicle、ハイブリッドカー)、PHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle、プラグインハイブリッドカー)などが対象となる。
電力管理システム11は、電源マネジメントユニット21、操作部22−1乃至22−n、負荷制御ユニット23−1乃至23−n、および、バッテリセンサ24を含むように構成される。そして、負荷13−1乃至13−nに対して、操作部22−1乃至22−nおよび負荷制御ユニット23−1乃至23−nがそれぞれ対応するように設けられている。
また、電源マネジメントユニット21、負荷制御ユニット23−1乃至23−n、および、車両起動スイッチ14は、所定の通信方式(例えば、CAN(Controller Area Network)等)に準拠した通信を行う。
なお、以下、負荷13−1乃至13−n、操作部22−1乃至22−n、および、負荷制御ユニット23−1乃至23−nを個々に区別する必要がない場合、それぞれ、単に、負荷13、操作部22、および、負荷制御ユニット23と称する。
電源マネジメントユニット21は、後述するように、各負荷制御ユニット23を制御することにより、バッテリ12から各負荷13への電力の供給を制御する。
操作部22は、スイッチ、ボタン、タッチパネル等の各種の操作部品により構成される。ユーザは、操作部22を操作することにより、対応する負荷13の起動、停止等の指令を入力する。操作部22は、入力された指令を負荷制御ユニット23に通知する。
なお、ユーザ操作が行われない負荷13に対しては、操作部22が設けられない場合がある。さらに、必ずしも操作部22により負荷13の全ての操作が行われるとは限らず、例えば、負荷13の起動および停止等の一部の操作のみを操作部22により行い、それ以外の操作を負荷13に設けられている操作部により行う場合がある。
負荷制御ユニット23は、電源マネジメントユニット21の制御の基に、対応する負荷13への電力の供給を制御する。また、負荷制御ユニット23は、必要に応じて負荷13の状態を電源マネジメントユニット21に通知する。さらに、負荷制御ユニット23は、操作部22から通知されるユーザ指令等に基づいて、負荷13の動作を制御する。
バッテリセンサ24は、バッテリ12の状態(例えば、蓄電量や出力電流値等)を検出し、検出結果を適宜電源マネジメントユニット21に通知する。なお、バッテリセンサ24により検出されるバッテリ12の出力電流値は、バッテリ12から各負荷制御ユニット23を介して各負荷13に供給される電流値の合計である総電流値と等しくなる。
負荷13−1乃至13−nは、各種の車載用の電装部品により構成され、走行系負荷、重要負荷、および、通常負荷に分類される。
走行系負荷および重要負荷は、ともに車両の安全走行に関わる負荷である。そのうち、走行系負荷は、車両の走行に直接関わり、車両の走行に不可欠な負荷である。例えば、電動パワーステアリング(EPS)、電動ブレーキ、Engine Control Unit(ECU)、走行系の制御を行うElectronic Control Unit(ECU)等が、走行系負荷に含まれる。
重要負荷は、車両の走行に直接関わらないが、動作しないと運転に支障を来したり、安全性の低下を招いたりする負荷である。例えば、ヘッドライト、ワイパ、SRS(Supplemental Restraint System)エアバッグシステム、それらの制御を行うECU等が、重要負荷に含まれる。
通常負荷は、走行系負荷および重要負荷以外の負荷である。例えば、カーオーディオ装置、カーナビゲーション装置、パワーウインドウ用のモータ、エアコンディショナの制御回路、それらの制御を行うECU等が、通常負荷に含まれる。
車両起動スイッチ14は、車両の電源の状態を切替えたり、車両を始動したりするためのスイッチであり、例えば、イグニションスイッチやパワースイッチにより構成される。そして、車両起動スイッチ14は、自身の状態(設定位置)を電源マネジメントユニット21および負荷制御ユニット23に通知する。
[電源マネジメントユニット21の構成例]
図2は、電源マネジメントユニット21の構成例を示すブロック図である。
電源マネジメントユニット21は、通信部101、制御部102、および、記憶部103を含むように構成される。
通信部101は、各種の通信装置または通信回路により構成される。通信部101は、負荷制御ユニット23などの車両内の各種の装置と、所定の通信方式(例えば、CAN等)に準じた通信を行う。そして、通信部101は、他の装置から送信される信号を受信し、制御部102に供給したり、制御部102から供給される信号を他の装置に送信したりする。
制御部102は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)などのプロセッサにより構成され、電源マネジメントユニット21の処理の制御を行う。制御部102は、所定の制御プログラムを実行することにより、負荷情報取得部121、総電流閾値設定部122、総電流監視部123、優先順位設定部124、および、電力供給制御部125を含む機能を実現する。
負荷情報取得部121は、各負荷13の状態に関する情報を各負荷制御ユニット23から取得し、取得した情報を優先順位設定部124および電力供給制御部125に通知する。また、負荷情報取得部121は、記憶部103に記憶されている負荷管理テーブル(後述)の各負荷13の状態に関する情報の更新を行う。
総電流閾値設定部122は、バッテリセンサ24から通知されるバッテリ12の状態に基づいて、バッテリ12から出力される総電流値の上限を示す閾値である総電流閾値を設定する。総電流閾値設定部122は、設定した総電流閾値を総電流監視部123、優先順位設定部124、および、電力供給制御部125に通知する。
総電流監視部123は、バッテリセンサ24により検出されるバッテリ12の総電流値の監視を行う。総電流監視部123は、バッテリ12の総電流値の異常を検出した場合、総電流値の異常の発生および総電流値を優先順位設定部124および電力供給制御部125に通知する。
優先順位設定部124は、後述するように、バッテリ12の総電流値の異常が発生した場合に電力供給を行う負荷13を選択するための優先順位を設定する。また、優先順位設定部124は、記憶部103に記憶されている負荷管理テーブルの各負荷13の優先順位に関する情報の更新を行う。
電力供給制御部125は、通信部101を介して、各負荷制御ユニット23と通信を行い、各負荷制御ユニット23から負荷13への電力の供給を制御する。例えば、電力供給制御部125は、各負荷制御ユニット23からの問い合わせに応じて、当該負荷制御ユニット23から負荷13への電力の供給の可否を判定し、当該負荷制御ユニット23に、負荷13への電力の供給の許可または禁止を指令する。また、電力供給制御部125は、後述するように、総電流値の異常が発生した場合、あるいは、総電流値の異常が発生しそうな場合に、電力供給を禁止または低減する負荷13を選択し、選択した負荷13に対応する負荷制御ユニット23に、負荷13への電力供給の禁止または低減を指令する。
さらに、電力供給制御部125は、記憶部103に記憶されている負荷管理テーブルの電力削減対象の負荷13に関する情報の更新を行う。
記憶部103は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等の記憶装置により構成され、制御部102の処理に必要なプログラムやデータを記憶する。その中に負荷管理テーブルが含まれる。
[負荷管理テーブルの構成例]
図3は負荷管理テーブルの構成例を示している。
負荷管理テーブルは、負荷、種類、予測消費電流値、予測削減電流値、電力供給中(動作中)、優先順位、状態、および、電力削減対象の項目を含んでいる。
項目「負荷」には、バッテリ12からの電力により動作する各負荷13を識別するための識別情報が設定される。なお、負荷eや負荷gのように電力供給の低減が可能な負荷については、低減前と低減後の2つに分けて負荷管理テーブルに登録される。
なお、電力供給の低減が可能な負荷とは、例えば、エアコンディショナやカーオーディオシステムのように、設定温度や音量等を変化させて消費電力を低減させることにより、バッテリ12からの電力供給を低減させることが可能な負荷のことである。
項目「種類」には、上述した負荷13の3つの種類を示す「走行系」、「重要」および「通常」の値のうちいずれかが設定される。
項目「予測消費電流値」には、各負荷13の消費電流の予測値が設定される。各負荷13の予測消費電流値は、例えば、実測や計算等により予め求められている。なお、負荷eや負荷gのように電力供給の低減が可能な負荷については、低減前の予測消費電流値と、低減後の予測消費電流値が設定される。
項目「予測削減電流値」には、電力供給を停止または低減させることが可能な負荷について、電力供給を停止または低減させることによる消費電流の削減量の予測値が設定される。予測削減電流値は、低減前の負荷eや負荷gのように電力供給の低減が可能な負荷13については、低減前の予測消費電流値から低減後の予測消費電流値を引いた値が設定され、その他の負荷13については、予測消費電流値と同じ値が設定される。
項目「電力供給中(動作中)」には、各負荷13への電力の供給状態を示す値が設定される。具体的には、マルは、その負荷13に電力が供給されていることを示し、バツは、その負荷13に電力が供給されていないことを示す。また、三角は、詳細については後述するが、その負荷13への電力供給の可否を問い合わせ中であることを示す。
項目「優先順位」には、バッテリ12の総電流値に異常が発生した場合に、どの負荷13への電力の供給を禁止または低減し、どの負荷13に優先して電力を供給するかを示す優先順位が設定される。なお、バッテリ12の総電流値に異常が発生しても、走行系負荷および重要負荷には電力の供給が継続されるため、電力供給中または電力供給の可否を問い合わせ中の通常負荷に対してのみ優先順位が設定される。
なお、図3の優先順位に従えば、バッテリ12の総電流値の異常が発生した場合、バッテリ12の総電流値が正常になるまで、負荷e(低減前)への電力供給の低減、負荷hへの電力供給の禁止、負荷gへの電力の供給の禁止、負荷fへの電力供給の禁止、負荷e(低減後)への電力供給の禁止の順に実行されることになる。
項目「状態」には、電力供給中または電力供給の可否を問い合わせ中の負荷13の状態が設定される。具体的には、「正常」および「異常」の他、直前に異常の通知があったことを示す「異常の通知あり」、並びに、電力の供給を低減していることを示す「低減」のいずれかの値が設定される。
項目「電力削減対象」には、バッテリ12の総電流値の異常の発生時に、総電流値を正常に戻すために電力の供給を禁止または低減する対象となっている負荷を示す値が設定される。なお、この例では、負荷e(低減前)が電力削減対象に設定されている。
[負荷制御ユニット23の構成例]
図4は、負荷制御ユニット23の構成例を示すブロック図である。
負荷制御ユニット23は、電力入力部151、電流測定部152、制御部153、通信部154、および、記憶部155を含むように構成される。
電力入力部151は、操作部22から所定の信号(例えば、負荷13の起動を指令する信号)が入力されたときに起動し、バッテリ12から供給される電力を制御部153に供給する。また、電力入力部151は、制御部153の負荷制御部173の制御の下に、制御部153への電力の供給を停止する。
電流測定部152は、例えば、電流センサ、カレントトランス等で構成される。電流測定部152は、電力入力部151から制御部153に流れる消費電流値を測定し、測定結果を制御部153に通知する。なお、電流測定部152により測定される消費電流値には、負荷13に供給される電流値の他、負荷制御ユニット23により消費される電流値も含まれる。
制御部153は、例えば、CPU、MPUなどのプロセッサ、各種の電気回路等により構成され、負荷13および負荷制御ユニット23内への電力の供給の制御、並びに、負荷13の制御を行う。制御部153は、電流監視部171、操作入力検出部172、および、負荷制御部173を含むように構成される。
電流監視部171は、電流測定部152により測定される消費電流値を監視し、消費電流値の状態を負荷制御部173に通知する。
操作入力検出部172は、ユーザが操作部22を操作することにより入力される負荷13に対する指令を検出し、検出したユーザ指令を負荷制御部173に通知する。
負荷制御部173は、通信部154を介して電源マネジメントユニット21と通信を行い、消費電流値の異常や負荷13の状態を通知したり、負荷13への電力供給の可否を問い合わせたりする。また、負荷制御部173は、電源マネジメントユニット21からの指令やユーザ指令に基づいて、負荷13、通信部154、および、記憶部155へのバッテリ12からの電力の供給を制御する。さらに、負荷制御部173は、電力入力部151を制御して、バッテリ12からの電力の制御部153への供給を停止させる。
通信部154は、各種の通信装置または通信回路により構成される。通信部154は、所定の通信方式(例えば、CAN等)に準じた通信を行い、電源マネジメントユニット21等、車両内の各種の装置と通信を行う。そして、通信部154は、他の装置から送信される信号を受信し、制御部153に供給したり、制御部153から供給される信号を他の装置に送信したりする。
記憶部155は、例えば、EEPROM等の記憶装置により構成される。記憶部155は、制御部153の処理に必要なプログラムやデータを記憶する。
[電力管理システム11の処理]
次に、図5乃至図17を参照して、電力管理システム11の処理について説明する。
[負荷制御ユニット23の処理]
まず、図5乃至図7のフローチャートを参照して、負荷制御ユニット23の処理について説明する。
なお、この処理は、例えば、操作部22から負荷13の起動を指令する信号(以下、負荷起動信号と称する)が入力されたときに、負荷起動信号が入力された負荷制御ユニット23により実行される。
ステップS1において、負荷制御ユニット23は、ユニットの起動処理を行う。具体的には、電力入力部151は、操作部22から供給される負荷起動信号により起動し、バッテリ12からの電力を制御部153の負荷制御部173に供給する。これにより、制御部153の各部が起動し、処理を開始する。また、負荷制御部173は、通信部154および記憶部155への電力の供給を開始する。これにより、通信部154および記憶部155が起動し、処理を開始する。
ステップS2において、電流監視部171は、電流測定部152から通知される測定結果に基づいて、負荷13が動作していないときの消費電流値を検出する。
ステップS3において、電流監視部171は、消費電流値が正常であるか否かを判定する。具体的には、電流監視部171は、検出した消費電流値と、記憶部155に記憶されている所定の閾値(以下、消費電流閾値と称する)を比較する。電流監視部171は、消費電流値が消費電流閾値以下である場合、消費電流値が正常であると判定し、処理はステップS4に進む。このとき、電流監視部171は、消費電流値が正常であることを負荷制御部173に通知する。
なお、消費電流閾値は、負荷13の消費電流等を考慮して、負荷制御ユニット23毎に個別に設定することが可能である。
ステップS4において、負荷制御部173は、電源マネジメントユニット21に通信部154を介して電力供給判定要求信号を送信することにより、負荷13への電力供給の可否を問い合わせる。
その後、処理はステップS6に進む。
一方、ステップS3において、電流監視部171は、消費電流値が消費電流閾値を超えている場合、消費電流値が異常であると判定し、処理はステップS5に進む。このとき、電流監視部171は、消費電流値が異常であることを負荷制御部173に通知する。
ステップS5において、負荷制御部173は、消費電流値の異常の発生を示す情報を電力供給判定要求信号に付加して、通信部154を介して電源マネジメントユニット21に送信することにより、消費電流値の異常を通知するとともに、負荷13への電力供給の可否を問い合わせる。
その後、処理はステップS6に進む。
これに対して、電源マネジメントユニット21は、後述するように、負荷13への電力供給の許可を示す電力供給許可信号、または、負荷13への電力供給の禁止を示す電力供給禁止信号を、問い合わせ元の負荷制御ユニット23に送信する。
ステップS6において、負荷制御部173は、負荷13への電力供給が許可されたか否かを判定する。負荷制御部173は、電源マネジメントユニット21から通信部154を介して電力供給禁止信号を受信した場合、または、電力供給判定要求信号を送信してから所定の時間内に電源マネジメントユニット21から通信部154を介して電力供給許可信号を受信できなかった場合、負荷13への電力供給が禁止されたと判定し、処理はステップS7に進む。
ステップS7において、負荷制御ユニット23は、ユニットの停止処理を行う。具体的には、負荷制御部173は、通信部154および記憶部155への電力の供給を停止する。また、負荷制御部173は、電力入力部151を停止させる。これにより、バッテリ12からの電力の制御部153への供給が停止し、制御部153が動作を停止する。
その後、負荷制御ユニットの処理は終了する。
一方、ステップS6において、負荷制御部173は、電力供給判定要求信号を送信してから所定の時間内に、電源マネジメントユニット21から通信部154を介して電力供給許可信号を受信した場合、負荷13への電力供給が許可されたと判定し、処理はステップS8に進む。
ステップS8において、負荷制御部173は、負荷13を起動する。具体的には、負荷制御部173は、バッテリ12からの電力の負荷13への供給を開始する。これにより、負荷13が起動し、動作を開始する。また、負荷制御部173は、負荷13の動作を制御する処理を開始する。
ステップS9において、負荷制御部173は、電源マネジメントユニット21に通信部154を介して負荷起動信号を送信することにより、負荷13の起動を通知する。
ステップS10において、電流監視部171は、電流測定部152から通知される測定結果に基づいて、負荷13が動作中の消費電流値を検出する。
ステップS11において、ステップS3の処理と同様に、消費電流値が正常であるか否かが判定される。消費電流値が正常であると判定された場合、処理はステップS12に進む。
ステップS12において、負荷制御部173は、電源マネジメントユニット21から負荷13への電力供給の低減が指令されたか否かを判定する。負荷制御部173は、電源マネジメントユニット21から通信部154を介して電力供給低減信号を受信した場合、負荷13への電力供給の低減が指令されたと判定し、処理はステップS13に進む。
ステップS13において、負荷制御部173は、負荷13への電力供給を低減する。例えば、負荷制御部173は、負荷13に供給する電流を所定量だけ低減したり、消費電力が所定量だけ下がるように負荷13の動作を制御したりすることにより、負荷13への電力供給を低減する。
このとき、負荷13に供給する電力の低減量は、負荷13毎に予め定められている。例えば、負荷13がエアコンディショナの場合、設定温度を調節することにより電力の供給量が所定量だけ低減される。また、例えば、負荷13がカーオーディオシステムの場合、音量を調節することにより電力の供給量が所定量だけ低減される。
ステップS14において、負荷制御部173は、電源マネジメントユニット21に通信部154を介して電力低減完了信号を送信することにより、負荷13への電力供給の低減の完了を通知する。
その後、処理はステップS15に進む。
一方、ステップS12において、電源マネジメントユニット21から負荷13への電力供給の低減が指令されていないと判定された場合、ステップS13およびS14の処理はスキップされ、処理はステップS15に進む。
ステップS15において、負荷制御部173は、電源マネジメントユニット21から負荷13への電力供給が禁止されたか否かを判定する。電源マネジメントユニット21から負荷13への電力供給が禁止されていないと判定された場合、処理はステップS16に進む。
ステップS16において、操作入力検出部172は、操作部22を介して負荷13の停止操作が行われたか否かを判定する。負荷13の停止操作が行われていないと判定された場合、処理はステップS10に戻る。
その後、ステップS11において、消費電流値が異常であると判定されるか、ステップS15において、電源マネジメントユニット21から負荷13への電力供給が禁止されたと判定されるか、ステップS16において、負荷13の停止操作が行われたと判定されるまで、ステップS10乃至S16の処理が繰り返し実行される。
なお、このステップS10乃至S16の処理は、消費電流値が正常な状態で負荷13が動作している場合の処理である。
一方、ステップS16において、負荷13の停止操作が行われたと判定された場合、処理はステップS17に進む。このとき、操作入力検出部172は、負荷13の停止操作が行われたことを負荷制御部173に通知する。
また、ステップS15において、負荷制御部173は、電源マネジメントユニット21から通信部154を介して電力供給禁止信号を受信した場合、負荷13への電力供給が禁止されたと判定し、処理はステップS17に進む。
ステップS17において、負荷制御部173は、負荷13への電力の供給を停止することにより、負荷13を停止する。
ステップS18において、負荷制御部173は、電源マネジメントユニット21に通信部154を介して負荷停止完了信号を送信することにより、負荷13の停止を通知する。
ステップS19において、ステップS7の処理と同様に、ユニットの停止処理が行われる。
その後、負荷制御ユニットの処理は終了する。
一方、ステップS11において、消費電流値が異常であると判定された場合、処理はステップS20に進む。
ステップS20において、負荷制御部173は、通信部154を介して電源マネジメントユニット21に電流異常発生信号を送信することにより、消費電流値の異常を通知する。
これに対して、電源マネジメントユニット21は、後述するように、電力供給許可信号、電力供給禁止信号、または、電力供給低減信号を、電流異常発生信号の送信元の負荷制御ユニット23に送信する。
ステップS21において、ステップS12の処理と同様に、電源マネジメントユニット21から負荷13への電力供給の低減が指令されたか否かが判定される。電源マネジメントユニット21から負荷13への電力供給の低減が指令されたと判定された場合、処理はステップS22に進む。
ステップS22において、ステップS13の処理と同様に、負荷13への電力供給が低減される。
ステップS23において、ステップS14の処理と同様に、電源マネジメントユニット21に負荷13への電力供給の低減の完了が通知される。
その後、処理はステップS24に進む。
一方、ステップS21において、電源マネジメントユニット21から負荷13への電力供給の低減が指令されていないと判定された場合、ステップS22およびS23の処理はスキップされ、処理はステップS24に進む。
ステップS24において、ステップS15の処理と同様に、電源マネジメントユニット21から負荷13への電力供給が禁止されたか否かが判定される。電源マネジメントユニット21から負荷13への電力供給が禁止されていないと判定された場合、処理はステップS25に進む。
ステップS25において、ステップS16の処理と同様に、負荷13の停止操作が行われたか否かが判定される。負荷13の停止操作が行われていないと判定された場合、処理はステップS26に進む。
ステップS26において、ステップS10の処理と同様に、負荷13が動作中の消費電流値が検出される。
ステップS27において、ステップS3の処理と同様に、消費電流値が正常であるか否かが判定される。消費電流値が異常であると判定された場合、すなわち、ステップS11において、消費電流値が異常であると判定されてから消費電流値が異常な状態が継続している場合、処理はステップS21に戻る。
その後、ステップS24において、電源マネジメントユニット21から負荷13への電力供給が禁止されたと判定されるか、ステップS25において、負荷13の停止操作が行われたと判定されるか、ステップS27において、消費電流値が正常であると判定されるまで、ステップS21乃至S27の処理が繰り返し実行される。
なお、このステップS21乃至S27の処理は、消費電流値が異常な状態で負荷13が動作している場合の処理である。
一方、ステップS27において、消費電流値が正常であると判定された場合、すなわち、消費電流値が異常な状態から正常な状態に戻った場合、処理はステップS28に進む。このとき、電流監視部171は、消費電流値が正常な状態に戻ったことを負荷制御部173に通知する。
ステップS28において、負荷制御部173は、電源マネジメントユニット21に通信部154を介して電流正常復帰信号を送信することにより、消費電流値が正常に戻ったことを通知する。
その後、処理はステップS10に戻り、ステップS10以降の処理が実行される。
一方、ステップS25において、負荷13の停止操作が行われたと判定された場合、処理はステップS17に進み、ステップS17以降の処理が実行される。
また、ステップS24において、負荷制御部173は、電源マネジメントユニット21から通信部154を介して電力供給禁止信号を受信した場合、または、ステップS20において電流異常発生信号を送信してから所定の時間内に電源マネジメントユニット21から通信部154を介して電力供給許可信号を受信しなかった場合、負荷13への電力供給が禁止されたと判定し、処理はステップS17に進む。その後、ステップS17以降の処理が実行される。
[電源マネジメントユニット21の処理]
次に、図8のフローチャートを参照して、図5乃至図7の負荷制御ユニット23の処理に対応して実行される電源マネジメントユニット21の処理について説明する。
ステップS101において、負荷情報取得部121は、負荷制御ユニット23から負荷13への電力供給の可否の問い合わせがあったか否かを判定する。負荷情報取得部121は、図5のステップS4またはS5において負荷制御ユニット23から送信された電力供給判定要求信号を、通信部101を介して受信した場合、負荷13への電力供給の可否の問い合わせがあったと判定し、処理はステップS102に進む。このとき、負荷情報取得部121は、当該負荷13への電力供給の可否の問い合わせがあったことを、総電流閾値設定部122、総電流監視部123、優先順位設定部124、および、電力供給制御部125に通知する。
ステップS102において、電源マネジメントユニット21は、電力供給判定処理を実行し、その後、処理はステップS103に進む。
ここで、図9のフローチャートを参照して、電力供給判定処理の詳細について説明する。
ステップS151において、総電流閾値設定部122は、バッテリ12の状態に基づいて、総電流閾値を設定する。具体的には、総電流閾値設定部122は、バッテリセンサ24からバッテリ12の状態に関する情報を取得する。そして、総電流閾値設定部122は、例えば、現在の状態においてバッテリ12が供給可能な電流値の最大値に総電流閾値を設定する。あるいは、総電流閾値を、現在の状態においてバッテリ12が供給可能な電流値の最大値よりも低く設定し、少し余裕を持たせた値としても良い。
例えば、総電流閾値設定部122は、バッテリ12の蓄電量に基づいて総電流閾値を設定する。より具体的には、例えば、総電流閾値設定部122は、所定の計算式に現在のバッテリ12の蓄電量を適用することにより総電流閾値を算出する。あるいは、例えば、バッテリ12の蓄電量と総電流閾値の対応関係を示すテーブルを記憶部103に予め記憶させておき、総電流閾値設定部122は、そのテーブルに基づいて、総電流閾値を算出する。
他にも、例えば、バッテリ12の使用時間等の情報を用いて、バッテリ12の経年劣化等を加味して総電流閾値を設定したり、バッテリ12の周囲または内部の温度を加味して総電流閾値を設定することも可能である。
総電流閾値設定部122は、設定した総電流閾値を総電流監視部123、優先順位設定部124、および、電力供給制御部125に通知する。
ステップS152において、総電流監視部123は、バッテリセンサ24から供給される情報に基づいて、総電流値を検出する。
ステップS153において、総電流監視部123は、総電流値と判定対象の負荷13の予測消費電流値との合計が総電流閾値以下であるか否かを判定する。具体的には、総電流監視部123は、電力供給の開始の可否の判定対象の負荷13の予測消費電流値を記憶部103から読み出し、現在の総電流値との合計(以下、予測総電流値と称する)を求める。そして、総電流監視部123は、予測総電流値と総電流閾値とを比較し、予測総電流値が総電流閾値以下であると判定した場合、処理はステップS154に進む。このとき、総電流監視部123は、予測総電流値が正常であることを優先順位設定部124および電力供給制御部125に通知する。
ステップS154において、電力供給制御部125は、問い合わせ元の負荷制御ユニット23に通信部101を介して電力供給許可信号を送信することにより、判定対象の負荷13への電力供給を許可する。
ステップS155において、負荷情報取得部121は、電力供給を許可した負荷制御ユニット23からの応答を受信する。具体的には、負荷情報取得部121は、図5のステップS9において、電力供給を許可した負荷制御ユニット23から送信される負荷起動信号を、通信部101を介して受信する。また、負荷情報取得部121は、新たに起動した負荷13を優先順位設定部124および電力供給制御部125に通知する。
ステップS156において、制御部102は、負荷13の動作状況と優先順位を更新する。具体的には、負荷情報取得部121は、新たな負荷13が起動したことを反映させるように、記憶部103に記憶されている負荷管理テーブルを更新する。
また、優先順位設定部124は、新たに起動した負荷13を含めてこの時点で動作中の通常負荷の優先順位を更新する。そして、優先順位設定部124は、更新した優先順位を反映させるように、記憶部103に記憶されている負荷管理テーブルを更新する。なお、優先順位の設定方法の具体例については後述する。
その後、電力供給判定処理は終了する。
一方、ステップS153において、総電流値と判定対象の負荷13の予測消費電流値との合計(予測総電流値)が総電流閾値を超えていると判定された場合、処理はステップS157に進む。このとき、総電流監視部123は、予測総電流値が異常であること、および、予測総電流値を優先順位設定部124および電力供給制御部125に通知する。
ステップS157において、優先順位設定部124は、優先順位を更新する。具体的には、優先順位設定部124は、判定対象の負荷13が通常負荷である場合、判定対象の負荷13と現在動作中の通常負荷を対象にして優先順位を更新する。一方、優先順位設定部124は、判定対象の負荷13が走行系負荷または重要負荷である場合、現在動作中の通常負荷を対象にして優先順位を更新する。そして、優先順位設定部124は、更新した優先順位を反映させるように、記憶部103に記憶されている負荷管理テーブルを更新する。
なお、判定対象の負荷13が走行系負荷または重要負荷である場合には、優先順位の更新を行わないようにしてもよい。
ここで、優先順位の設定方法の例について説明する。
[方法1]
例えば、各負荷13の重要度に基づいて、優先順位を設定するようにしてもよい。すなわち、重要度の高い負荷13の優先順位を高く設定し、重要度の低い負荷13の優先順位を低く設定するようにしてもよい。
なお、各負荷13の重要度は、例えば、用途や消費電流値等に基づいて、予め設定され、記憶部103に記憶される。
また、各負荷13の重要度を固定するようにしてもよいし、状況に応じて変動させるようにしてもよい。前者の場合、各負荷13間の相対的な優先順位は変動せず、後者の場合、重要度の変動に応じて、各負荷13間の相対的な優先順位が変動する。
なお、重要度を変動させる場合、例えば、車両の状態や周囲の環境のうち少なくと一方に基づいて、重要度を設定することが考えられる。例えば、気温が高かったり、低かったりする場合には、エアコンディショナ(の制御回路)の重要度を高くしたり、渋滞中は、渋滞情報を取得したり、退屈を紛らわしたたりするために、カーオーディオ装置の重要度を高くしたりすることが考えられる。
また、例えば、各負荷13の使用状況(使用頻度や使用時間等)を学習し、使用状況に基づいて重要度を設定することが考えられる。例えば、使用頻度が多い負荷13や使用時間の長い負荷13の重要度を高く設定し、使用頻度の少ない負荷13や使用時間の短い負荷13の重要度を低く設定することが考えられる。
さらに、例えば、ユーザが各負荷13の重要度を設定することが考えられる。
[方法2]
例えば、停止する負荷13の数がなるべく少なくなるように、予測消費電流値が大きな負荷13や、電力供給の低減が可能な負荷13の優先順位を低く設定するようにしてもよい。
[方法3]
例えば、総電流値と総電流閾値との差、すなわち、総電流値を正常にするために削減する必要がある電流値(以下、削減電流値と称する)に基づいて、優先順位を設定するようにしてもよい。具体的には、例えば、電力供給禁止対象に選択される負荷13の予測消費電流値の合計が削減電流値以上で、かつ、なるべく削減電流値に近い値になるように、優先順位を設定することが考えられる。
[方法4]
例えば、消費電流値の異常が発生している負荷13の優先順位を低く設定するようにしてもよい。
なお、以上の優先順位の設定方法は、その一例であり、他の方法を用いるようにしてもよい。また、複数の設定方法を組み合わせたり、あるいは、条件によって設定方法を使い分けたりするようにしてもよい。
ステップS158において、電力供給制御部125は、更新した優先順位に基づいて、電力供給を禁止または低減する負荷13を選択する。具体的には、電力供給制御部125は、優先順位の最も低い負荷13を電力削減対象に選択し、現在の予測総電流値から選択した負荷13の予測削減電流値を引くことにより予測総電流値を更新する。そして、電力供給制御部125は、更新した予測総電流値を総電流閾値と比較し、予測総電流値が総電流閾値より大きい場合、次に優先順位の低い負荷13を電力削減対象に選択し、現在の予測総電流値から選択した負荷13の予測削減電流値を引くことにより予測総電流値を更新する。電力供給制御部125は、予測総電流値が総電流閾値以下になるまで、この処理を繰り返すことにより、電力削減対象となる負荷13、すなわち、電力供給を禁止または低減する負荷13を選択する。
そして、電力供給制御部125は、選択した電力削減対象を反映させるように、記憶部103に記憶されている負荷管理テーブルを更新する。
例えば、図10は、この時点の負荷管理テーブルの例を示している。この例では、負荷a、負荷bおよび負荷d乃至負荷iが動作中で、かつ、負荷dに異常が発生している場合に、負荷cへの電力供給の可否の問い合わせがあり、負荷e乃至負荷iが電力削減対象に選択された場合の例が示されている。
ステップS159において、電力供給制御部125は、選択した負荷13への電力供給の禁止または低減を指令する。具体的には、電力供給制御部125は、電力供給を低減する負荷13に対応する負荷制御ユニット23に、通信部101を介して電力供給低減信号を送信することにより、当該負荷13への電力供給の低減を指令する。同様に、電力供給制御部125は、電力供給を禁止する負荷13に対応する負荷制御ユニット23に、通信部101を介して電力供給禁止信号を送信することにより、当該負荷13への電力供給の禁止を指令する。
ステップS160において、負荷情報取得部121は、指令した負荷制御ユニット23からの応答を受信する。具体的には、負荷情報取得部121は、図6のステップS14または図7のステップS23において、電力供給の低減を指令した負荷制御ユニット23から送信される電力低減完了信号を、通信部101を介して受信する。また、負荷情報取得部121は、図5のステップS18において、電力供給の禁止を指令した負荷制御ユニット23から送信される負荷停止完了信号を、通信部101を介して受信する。そして、負荷情報取得部121は、電力供給が停止または低減された負荷13を優先順位設定部124および電力供給制御部125に通知する。
ステップS161において、電力供給制御部125は、判定対象の負荷13が電力削減対象に含まれる否かを判定する。判定対象の負荷13が電力削減対象に含まれないと判定された場合、処理はステップS162に進む。
ステップS162において、ステップS154の処理と同様に、判定対象の負荷13への電力供給が許可される。
ステップS163において、ステップS155の処理と同様に、電力供給を許可した負荷制御ユニット23からの応答が受信される。
その後、処理はステップS164に進む。
一方、ステップS161において、判定対象の負荷13が電力削減対象に含まれると判定された場合、ステップS162およびS163の処理はスキップされ、処理はステップS164に進む。
ステップS164において、電力供給制御部125は、異常の発生を通知する。例えば、電力供給制御部125は、総電流値の異常により一部の負荷13への電力供給を停止または低減したことを、所定の装置を用いて、画像、テキスト、光、音等を用いた所定の方法によりユーザに通知する。なお、この通知を行う装置は、負荷13の1つにより構成するようにしてもよいし、負荷13とは別の装置により構成するようにしてもよい。
ステップS165において、制御部102は、負荷13の動作状況と優先順位を更新する。具体的には、負荷情報取得部121は、新たに電力供給が停止または低減された負荷13を反映させるように、記憶部103に記憶されている負荷管理テーブルを更新する。
また、優先順位設定部124は、この時点で動作中の通常負荷を対象にして優先順位を更新する。そして、優先順位設定部124は、更新した優先順位を反映させるように、記憶部103に記憶されている負荷管理テーブルを更新する。
その後、電力供給判定処理は終了する。
図11は、図10の負荷管理テーブルをステップS165の処理で更新した後の状態を示している。この例に示されるように、重要負荷である負荷cへの電力供給が開始され、異常が発生している負荷dが重要負荷であるため、負荷dへの電力供給はそのまま継続される。一方、通常負荷である負荷e乃至負荷hへの電力の供給が停止される。
このように、新たな負荷13を起動することにより総電流値が異常になりそうな場合でも、当該負荷13が重要負荷や走行系負荷、あるいは、優先順位が高い通常負荷であれば、優先順位が低い順に通常負荷への電力供給を停止または低減することにより、総電流値の異常を発生させずに、当該負荷13を起動させることができる。
図8に戻り、ステップS101において、負荷制御ユニット23から負荷13への電力供給の可否の問い合わせがないと判定された場合、ステップS102の処理はスキップされ、処理はステップS103に進む。
ステップS103において、負荷情報取得部121は、負荷13の消費電流値の異常が新たに発生したか否かを判定する。負荷情報取得部121は、図6のステップS20において負荷制御ユニット23から送信された電流異常発生信号を、通信部101を介して受信した場合、負荷13の消費電流値の異常が新たに発生したと判定し、処理はステップS104に進む。このとき、負荷情報取得部121は、負荷13の消費電流値の異常が新たに発生したことを総電流閾値設定部122および総電流監視部123に通知する。また、負荷情報取得部121は、消費電流値の異常が発生した負荷13を優先順位設定部124および電力供給制御部125に通知する。
ステップS104において、電源マネジメントユニット21は、負荷異常対応処理を実行し、その後、処理はステップS105に進む。
ここで、図12のフローチャートを参照して、負荷異常対応処理の詳細について説明する。
ステップS201において、図9のステップS151の処理と同様に、バッテリ12の状態に基づいて、総電流閾値が設定される。
ステップS202において、図9のステップS152の処理と同様に、総電流値が検出される。
ステップS203において、総電流監視部123は、総電流値が総電流閾値以下であるか否かを判定する。総電流値が総電流閾値以下であると判定された場合、処理はステップS204に進む。
ステップS204において、電力供給制御部125は、負荷13の異常を通知してきた負荷制御ユニット23に通信部101を介して電力供給許可信号を送信することにより、異常が発生した負荷13への電力供給の継続を許可する。
ステップS205において、負荷情報取得部121は、負荷13の動作状況を更新する。具体的には、負荷情報取得部121は、新たな負荷13に異常が発生したことを反映させるように、記憶部103に記憶されている負荷管理テーブルを更新する。
その後、負荷異常対応処理は終了する。
一方、ステップS203において、総電流値が総電流閾値を超えていると判定された場合、処理はステップS206に進む。このとき、総電流監視部123は、総電流値が異常であること、および、総電流値を優先順位設定部124および電力供給制御部125に通知する。
ステップS206において、電力供給制御部125は、優先順位に基づいて、電力供給を禁止または低減する負荷13を選択する。具体的には、電力供給制御部125は、優先順位の最も低い負荷13を電力削減対象に選択し、現在の総電流値から選択した負荷13の予測削減電流値を引くことにより予測総電流値を算出する。そして、電力供給制御部125は、更新した予測総電流値を総電流閾値と比較し、予測総電流値が総電流閾値より大きい場合、次に優先順位の低い負荷13を電力削減対象に選択し、現在の予測総電流値から選択した負荷13の予測削減電流値を引くことにより予測総電流値を更新する。電力供給制御部125は、予測消費電流値が総電流閾値以下になるまで、この処理を繰り返すことにより、電力削減対象となる負荷13、すなわち、電力供給を禁止または低減する負荷13を選択する。
そして、電力供給制御部125は、選択した電力削減対象を反映させるように、記憶部103に記憶されている負荷管理テーブルを更新する。
例えば、図13は、この時点の負荷管理テーブルの例を示している。この例では、負荷a乃至負荷gの動作中に負荷dの異常の通知があり、負荷e、負荷g、負荷hが電力削減対象に選択された場合の例が示されている。なお、この例では、負荷e、負荷gが電力供給を低減する対象となり、負荷hが電力供給を禁止する対象となっている。
ステップS207において、図9のステップS159の処理と同様に、選択した負荷13への電力供給の禁止または低減が指令される。
ステップS208において、図9のステップS160の処理と同様に、指令した負荷制御ユニット23からの応答が受信される。
ステップS209において、電力供給制御部125は、異常が発生した負荷13が電力削減対象に含まれる否かを判定する。異常が発生した負荷13が電力削減対象に含まれないと判定された場合、処理はステップS210に進む。
ステップS210において、ステップS204の処理と同様に、異常が発生した負荷13への電力供給の継続が許可される。
その後、処理はステップS211に進む。
一方、ステップS209において、異常が発生した負荷13が電力削減対象に含まれると判定された場合、ステップS210の処理はスキップされ、処理はステップS211に進む。
ステップS211において、図9のステップS164の処理と同様に、異常の発生が通知される。
ステップS212において、図9のステップS165の処理と同様に、負荷13の動作状況と優先順位が更新される。
その後、負荷異常対応処理は終了する。
図14は、図13の負荷管理テーブルをステップS212の処理で更新した後の状態を示している。この例に示されるように、異常が発生した負荷dが重要負荷であるため、負荷dへの電力供給はそのまま継続される一方、負荷eおよび負荷gへの電力供給が低減され、電力hへの電力供給が停止される。
このように、各負荷13の消費電流値に異常が発生しても、総電流値が総電流閾値以下の場合には、全ての負荷13の動作がそのまま継続される。一方、総電流値が総電流閾値を超える場合には、総電流値が総電流閾値以下になるように、通常負荷の中から優先順位が低い順に電力供給が停止または低減される。
図8に戻り、ステップS103において、負荷13の消費電流値の異常が新たに発生していないと判定された場合、ステップS104の処理はスキップされ、処理はステップS105に進む。
ステップS105において、総電流監視部123は、総電流値の増加量が規定値を超えたか否かを判定する。例えば、バッテリセンサ24は、総電流値の単位時間当りの増加量が規定値を超えた場合、その旨を総電流監視部123に通知する。総電流監視部123は、バッテリセンサ24から当該通知がない場合、総電流値の増加量が規定値を超えていないと判定し、処理はステップS106に進む。
ステップS106において、総電流監視部123は、総電流値の検査タイミングであるか否かを判定する。総電流値の検査タイミングであると判定された場合、処理はステップS107に進む。
なお、総電流値の検査は、基本的に所定の時間毎(例えば、数分または数時間毎)に定期的に行われる。このとき、検査周期を、常に一定にするようにしてもよいし、あるいは、いずれかの負荷13に異常が発生している場合に短くする等、条件に応じて変動させるようにしてもよい。
一方、ステップS105において、総電流監視部123は、総電流値の単位時間当りの増加量が規定値を超えた旨の通知をバッテリセンサ24から受けた場合、総電流値の増加量が規定値を超えたと判定し、ステップS106の処理はスキップされ、処理はステップS107に進む。
なお、総電流監視部123が、バッテリセンサ24により検出される総電流値に基づいて、総電流値の単位時間当りの増加量が規定値を超えたか否かを検出するようにしてもよい。
ステップS107において、電源マネジメントユニット21は、総電流検査処理を実行し、その後、処理はステップS108に進む。
ここで、図15のフローチャートを参照して、総電流検査処理の詳細について説明する。
ステップS251において図9のステップS151の処理と同様に、バッテリ12の状態に基づいて、総電流閾値が設定される。
ステップS252において、図9のステップS152の処理と同様に、総電流値が検出される。
ステップS253において、図12のステップS203の処理と同様に、総電流値が総電流閾値以下であるか否かが判定される。総電流値が総電流閾値以下であると判定された場合、総電流検査処理は終了する。
一方、ステップS253において、総電流値が総電流閾値を超えていると判定された場合、処理はステップS254に進む。このとき、総電流監視部123は、総電流値が異常であること、および、総電流値を優先順位設定部124および電力供給制御部125に通知する。
ステップS254において、図12のステップS206の処理と同様に、優先順位に基づいて、電力供給を禁止または低減する負荷13が選択される。
例えば、図16は、この時点の負荷管理テーブルの例を示している。この例では、負荷a乃至負荷iが正常動作中に、総電流値が総電流閾値を超え、負荷gおよび負荷iが電力削減対象に選択された場合の例が示されている。なお、この例では、負荷gが電力供給を低減する対象となり、負荷iが電力供給を禁止する対象となっている。
ステップS255において、図9のステップS159の処理と同様に、選択した負荷13への電力供給の禁止または低減が指令される。
ステップS256において、図9のステップS160の処理と同様に、指令した負荷制御ユニット23からの応答が受信される。
ステップS257において、図9のステップS164の処理と同様に、異常の発生が通知される。
ステップS258において、図9のステップS165の処理と同様に、負荷13の動作状況と優先順位が更新される。
その後、総電流検査処理は終了する。
図17は、図16の負荷管理テーブルをステップS258の処理で更新した後の状態を示している。この例に示されるように、負荷gへの電力供給が低減され、電力iへの電力供給が停止される。
このように、総電流値の増加量が規定値を超えたとき、および、定期的に総電流値の検査が行われる。そして、各負荷13の消費電流値に異常が発生しているか否かに関わらず、総電流値が総電流閾値を超えている場合、総電流値が総電流閾値以下になるように、通常負荷の中から優先順位が低い順に電力供給が停止または低減される。
図8に戻り、ステップS106において、総電流値の検査タイミングでないと判定された場合、ステップS107の処理はスキップされ、処理はステップS108に進む。
ステップS108において、負荷情報取得部121は、負荷13の状態が変化したか否かを判定する。具体的には、負荷情報取得部121は、図6のステップS18において、ユーザ操作により負荷13への電力供給を停止した負荷制御ユニット23から送信される負荷停止完了信号、または、図7のステップS28において、消費電流値が正常に戻った負荷13に対応する負荷制御ユニット23から送信される電流正常復帰信号を、通信部101を介して受信した場合、負荷13の状態が変化したと判定し、処理はステップS109に進む。
ステップS109において、図9のステップS156の処理と同様に、負荷13の動作状況と優先順位が更新される。
その後、処理はステップS101に戻り、ステップS101以降の処理が実行される。
一方、ステップS108において、負荷13の状態が変化していないと判定された場合、ステップS109の処理は実行されずに、処理はステップS101に戻り、ステップS101以降の処理が実行される。
以上のように、総電流値の異常が発生した場合、あるいは、新たに負荷13を起動することにより総電流値の異常が発生しそうな場合、総電流値が正常になるように、優先順位の低い負荷13から順に、電力供給の停止または低減が行われる。従って、あまり重要でない負荷13が停止したり、消費電力が制限されたりする一方、重要な負荷13の動作がそのまま継続されるとともに、停止または消費電力を制限する負荷13が最小限に抑えられる。その結果、負荷停止によるユーザの利便性の低下を抑制することができる。また、総電流値の異常が発生しても、走行系負荷および重要負荷の動作はそのまま継続されるため、車両の走行に影響を与えずに、安全走行を維持することができる。
また、バッテリ12の状態に基づいて総電流閾値が更新されるので、総電流値がバッテリ12の供給能力を超え、負荷13が異常停止することが防止される。
さらに、各負荷制御ユニット23から電源マネジメントユニット21に、定期的に消費電流値を通知する必要がなく、電源マネジメントユニット21と各負荷制御ユニット23との間で通信が行われるのは、負荷13への電力供給の停止または低減を行うとき、負荷13を起動もしくは停止するとき、消費電流値の異常が発生したとき等の所定のタイミングに限定される。従って、電源マネジメントユニット21と各負荷制御ユニット23間の通信量を抑制することができる。
<2.変形例>
以下、本発明の実施の形態の変形例について説明する。
[変形例1:優先順位に関する変形例]
例えば、少なくとも車両が走行中でない所定の状態である場合に、走行系負荷および重要負荷も含めて優先順位を設定するようにしてもよい。なお、この所定の状態は、例えば、一時停止中など、車両がすぐに走行する可能性がある状態を含まないようにすることが望ましい。
また、例えば、走行系負荷および重要負荷を、車両の状態や周囲の環境等に応じてリアルタイムに変更するようにしてもよい。
さらに、例えば、走行系負荷および重要負荷のうち電力供給を低減することが可能な負荷については、優先順位を設定して、電力供給を低減させるようにしてもよい。
また、上述した優先順位および電力供給禁止対象の更新を行うタイミングは、その一例
であり、他のタイミングで行うようにしてもよい。例えば、優先順位を車両の起動時に更新したり、定期的に更新したり、車両の状態の変化に合わせて更新したり、あるいは、ユーザが指示したときに更新したりするようにしてもよい。
[変形例2:負荷13への電力供給の制御に関する変形例]
例えば、各負荷13の消費電流閾値を、車両の状態や周囲の環境等に応じてリアルタイムに変動させるようにしてもよい。また、総電流閾値を、バッテリ12の状態以外にも、バッテリ12以外の車両の状態や周囲の環境等に応じてリアルタイムに変動させるようにしてもよい。
さらに、上述した例では、負荷13への電力供給を低減するレベルを1段階とする例を示したが、2段階以上に分けるようにしてもよい。
また、負荷の分類は、上述した例に限定されるものではなく、例えば、分類数を変更したり、異なる基準で分類するようにしたりすることが可能である。
さらに、例えば、総電流値が異常な状態から正常な状態に戻ったときに、優先順位に従って、電力供給を停止または低減した負荷13を元の状態に戻すようにしてもよい。
[変形例3:システム構成に関する変形例]
必ずしも車両の全ての負荷13への電力供給を電力管理システム11により制御する必要はない。すなわち、電力監視システム11の制御範囲を車両の一部の負荷13に設定するようにしてもよい。
また、例えば、バッテリ12の電力の一部が電力管理システム11を介して各負荷13に供給される場合、バッテリセンサ24は、バッテリ12の出力電流のうち、電力管理システム11を介して各負荷13に供給される電流の値のみを総電流値として検出するようにすればよい。
さらに、例えば、車両の負荷13を複数のグループに分けて、グループ毎に異なる電力監視システム11により電力供給を制御するようにしてもよい。
また、例えば、各負荷13に電力を供給する電源は、バッテリに限定されるものではなく、本発明は、バッテリ以外の電源を用いる場合にも適用することが可能である。
さらに、例えば、電源の数は1つに限定されるものではなく、複数の電源を用いるようにしてもよい。この場合、例えば、電源毎に異なる電力管理システム11を設けるようにしてもよい。
また、例えば、1つの負荷制御ユニット23により複数の負荷13への電力供給を制御するようにしてもよい。
さらに、各負荷13の予測消費電流値や予測削減電流値を、負荷13への電力供給の可否の問い合わせ時等に各負荷制御ユニット23から通知するようにしてもよい。
また、例えば、バッテリセンサ24を電源マネジメントユニット21内に設けるようにしてもよい。
上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行することもできるし、ソフトウエアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウエアにより実行する場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、コンピュータにインストールされる。ここで、コンピュータには、電源マネジメントユニット21の制御部102や負荷制御ユニット23の制御部153など、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータや、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどが含まれる。
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置、手段などより構成される全体的な装置を意味するものとする。
さらに、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。