JP5590303B2 - 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置 - Google Patents

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Description

本発明は、液体を噴射する液体噴射ヘッド及び液体噴射装置に関し、特に液体としてインクを噴射するインクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置に関する。
液体噴射ヘッドのノズルからターゲットに液体を噴射する液体噴射装置としては、例えば、インクジェット式記録ヘッド(以下、単に「記録ヘッド」ともいう)のノズルからインク滴を噴射するインクジェット式記録装置(以下、単に「記録装置」ともいう)が広く知られている。
このような記録装置には、インクカートリッジ等のインク貯留手段から各記録ヘッドに供給されるインクの流路となる液体流路を有するインク供給部材を備えたものがある。また、このインク供給部材には、例えば、各記録ヘッドに供給されるインクの圧力を所定の範囲となるように調整するための圧力調整手段が設けられたものがある。
圧力調整手段としては、例えば、液体流路の壁面の一部を構成する可撓性部材からなる受圧部と、液体流路内の圧力変化に伴って変位する受圧部に押圧される作動レバーと、この作動レバーの作動により開閉する弁体とを備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。
特開2007−210124号公報
特許文献1に係る記録ヘッドでは、液体流路の壁面の一部は、可撓性部材からなる受圧部から構成されているため、受圧部の形状は液体流路の形状に依存する。このため、長さの異なる複数の液体流路をインク供給部材に設け、各液体流路の壁面の一部を受圧部とすると、受圧部の形状は液体流路ごとに異なることになる。受圧部の形状が異なると、受圧部が液体流路内の圧力変化に伴い変位する量は、液体流路ごとに異なってしまい、各液体流路間で弁体の開閉する度合いにばらつきが生じる。この結果、記録ヘッドに供給されるインクの圧力も液体流路ごとにばらつき、印刷品質が低下する虞がある。
一方、受圧部の形状が同一となるように各液体流路を形成すると、液体流路の設計に制約が生じる。例えば、フィルター室を含む液体流路を構成する部材を小型化するためなどの目的で、液体流路に連通するフィルター室をマトリックス状に配列する場合では、或る一列にあるフィルター室に連通する液体流路と、その奥側の列にあるフィルター室に連通する液体流路とでは、必然的に液体流路の長さが異なるものとなるため、受圧部の形状が同一となるように各液体流路を設計するのは困難となる。
なお、このような問題は、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドを具備する液体噴射装置においても、同様に存在する。
本発明は、このような事情に鑑み、長さの異なる複数の液体流路から供給される液体の圧力のばらつきを抑えて液体の噴射特性が向上し、かつ液体流路の設計の自由度が向上した液体噴射ヘッド及び液体噴射装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の態様は、ノズル開口から液体を噴射する液体噴射ヘッド本体と、液体が貯留された液体供給源から前記液体噴射ヘッド本体に液体を供給する液体供給部材とを具備し、前記液体供給部材は、フィルターを内包し、前記ノズル開口に連通するフィルター室が一方向に複数配列されたフィルター室群と、前記フィルター室群の各フィルター室に連通し、一方面に開口して長さが異なる複数の流路用溝部が形成された流路形成部材と、前記流路用溝部の開口を封止して液体流路を形成する可撓性部材と、前記液体流路ごとに形成された開口部を有し、当該各開口部が前記可撓性部材を挟んで前記各液体流路に対向するように前記流路形成部材に配置されることで前記可撓性部材の前記各開口部に露出した一部である受圧部を形成する受圧部形成プレートと、前記各液体流路を閉塞するように付勢部材により付勢されると共に、前記受圧部が前記液体流路内の圧力変動に基づいて変位することにより前記付勢部材の付勢力に抗して前記液体流路を開放する弁体とを具備し、前記受圧部形成プレートの各開口部は、同一形状に形成されていることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる態様では、受圧部の形状は、液体流路の長さの違いに関係なく、受圧部形成プレートの開口部の形状により規定することができる。これにより、長さが異なる複数の液体流路を形成する場合であっても、同一形状の受圧部を形成することができる。また、各受圧部を同一形状としたので、受圧部の面積が同一となり、各受圧部にかかる大気圧を均等化することができる。これにより、弁体にかかる圧力が弁体ごとにばらつくことが抑制されるため、均等な圧力で液体噴射ヘッドに液体を供給することができ、ばらつきによる吐出品質の低下を抑え、高品質な液滴の吐出を行うことができる。
ここで、前記受圧部形成プレートの各開口部は、最も長さが短い第1流路用溝部の開口形状に対応して形成され、当該第1流路用溝部よりも長さが長い第2流路用溝部は、前記可撓性部材及び前記受圧部形成プレートにより封止され、前記第2流路用溝部と前記フィルター室とを連通する連通孔は、前記受圧部形成プレートの前記第2流路用溝部を封止した領域に対向する位置に形成されていることが好ましい。これにより、液体流路内の過負圧により受圧部が液体流路内へ大きく撓んだとしても、連通孔の上方には受圧部(可撓性部材)ではなく剛性のある受圧部形成プレートが設けられているため、撓んだ受圧部が連通孔を塞いでしまう虞がない。このように、連通孔の閉塞を防止できるため、液体の吐出不良を起こすことが防止され、信頼性が向上した液体噴射ヘッドが提供される。
また、本発明の他の態様は、上記液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置にある。かかる態様では、液体の噴射特性が向上し、かつ液体流路の設計の自由度が向上した液体噴射装置が提供される。
また、上記課題を解決する本発明の他の態様は、ノズル開口から液体を噴射する液体噴射ヘッド本体と、液体が貯留された液体供給源から前記液体噴射ヘッド本体に液体を供給する液体供給部材とを具備し、前記液体供給部材は、フィルターを内包し、前記ノズル開口に連通するフィルター室が一方向に複数配列されたフィルター室群と、前記フィルター室群の各フィルター室に連通して長さが異なる複数の流路用溝部が形成された流路形成部材と、前記流路用溝部の開口を封止して液体流路を形成する可撓性部材と、前記液体流路ごとに形成された開口部を有し、当該各開口部が前記可撓性部材を挟んで前記各液体流路に対向するように前記流路形成部材に配置されることで前記可撓性部材の前記各開口部に露出した一部である受圧部を形成する受圧部形成プレートと、前記各液体流路を閉塞するように付勢部材により付勢されると共に、前記受圧部が前記液体流路内の圧力変動に基づいて変位することにより前記付勢部材の付勢力に抗して前記液体流路を開放する弁体とを具備し、前記受圧部形成プレートの各開口部は、同一形状に形成されていることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる態様では、受圧部の形状は、液体流路の長さの違いに関係なく、受圧部形成プレートの開口部の形状により規定することができる。これにより、長さが異なる複数の液体流路を形成する場合であっても、同一形状の受圧部を形成することができる。また、各受圧部を同一形状としたので、受圧部の面積が同一となり、各受圧部にかかる大気圧を均等化することができる。これにより、弁体にかかる圧力が弁体ごとにばらつくことが抑制されるため、均等な圧力で液体噴射ヘッドに液体を供給することができ、ばらつきによる吐出品質の低下を抑え、高品質な液滴の吐出を行うことができる。
ここで、前記受圧部形成プレートの各開口部は、最も長さが短い第1流路用溝部の開口形状に対応して形成され、当該第1流路用溝部よりも長さが長い第2流路用溝部は、前記可撓性部材及び前記受圧部形成プレートにより封止され、前記第2流路用溝部と前記フィルター室とを連通する連通孔は、前記受圧部形成プレートの前記第2流路用溝部を封止した領域に対向する位置に形成されていることが好ましい。これにより、液体流路内の過負圧により受圧部が液体流路内へ大きく撓んだとしても、連通孔の上方には受圧部(可撓性部材)ではなく剛性のある受圧部形成プレートが設けられているため、撓んだ受圧部が連通孔を塞いでしまう虞がない。このように、連通孔の閉塞を防止できるため、液体の吐出不良を起こすことが防止され、信頼性が向上した液体噴射ヘッドが提供される。
また、本発明の他の態様は、上記液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置にある。かかる態様では、液体の噴射特性が向上し、かつ液体流路の設計の自由度が向上した液体噴射装置が提供される。
本発明の実施形態1に係る液体噴射装置の概略平面図である。 本発明の実施形態1に係るインク供給部材の平面図である。 本発明の実施形態1に係るフィルター室形成部材の平面図である。 本発明の実施形態1に係るインク供給部材の断面図である。 本発明の実施形態1に係るインク供給部材の断面図である。 本発明の実施形態2に係るインク供給部材の平面図である。 本発明の実施形態2に係るインク供給部材の要部を拡大した断面図である。
〈実施形態1〉
以下、本発明を実施形態に基づいて説明する。まずは、液体噴射装置の一例であるインクジェット式記録装置の概略構成について説明する。なお、以下の説明において、「前後方向」、「左右方向」、「上下方向」をいう場合は図1に矢印で示す前後方向、左右方向、上下方向をそれぞれ示すものとする。
図1に示すように、インクジェット式記録装置11は平面視矩形状をなす本体フレーム12を備えている。この本体フレーム12内にはプラテン13が主走査方向となる左右方向に沿って延設されている。プラテン13上には、図示しない紙送り機構により記録用紙(図示略)が副走査方向となる前後方向に沿って給送されるようになっている。また、本体フレーム12内におけるプラテン13の上方には、プラテン13の長手方向(左右方向)と平行に延びる棒状のガイド軸14が架設されている。
このガイド軸14には、キャリッジ15がガイド軸14に沿って往復移動可能な状態で支持されている。キャリッジ15は、本体フレーム12の後壁内面に設けられた一対のプーリー16a間に掛装された無端状のタイミングベルト16を介して本体フレーム12の背面に設けられたキャリッジモーター17に連結されている。これにより、キャリッジ15は、キャリッジモーター17の駆動によってガイド軸14に沿って往復移動されるようになっている。
キャリッジ15におけるプラテン13と対向する下端側には、液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッド18が支持されている。インクジェット式記録ヘッド18は、インクを噴射するヘッド本体19と、インクカートリッジ22からのインクをヘッド本体19に供給する液体供給部材の一例であるインク供給部材30とを具備している。
ヘッド本体19の下面には図示しない複数のノズルが開口しており、ヘッド本体19内に設けられた図示しない圧電素子を駆動することにより、各ノズルからプラテン13上に給送された記録用紙(図示略)にそれぞれインク滴が噴射されることで印刷が行われるようになっている。
本体フレーム12内の右端部にはカートリッジホルダー21が設けられており、カートリッジホルダー21には液体供給源としての複数のインクカートリッジ22がそれぞれ着脱自在に装着されている。本実施形態ではインクカートリッジ22は10個設けられている(図には3つを示し、残り7つは図示を省略してある。)。各インクカートリッジ22には、互いに種類(色)の異なるインクが収容されている。カートリッジホルダー21は、キャリッジ15に搭載されたインク供給部材30と複数(本実施形態では10本。3本を図示して残り7本は図示を省略してある。)のインク供給チューブ24を介して接続されている。
そして、カートリッジホルダー21に各インクカートリッジ22を装着した状態では、各インクカートリッジ22が各インク供給チューブ24を介してインク供給部材30とそれぞれ連通するようになっている。インク供給部材30は、各インクカートリッジ22から各インク供給チューブ24を介してそれぞれ供給されるインクを個別に一時貯留するようになっており、個別に一時貯留した各インクはそれぞれヘッド本体19に供給されるようになっている。
また図1に示すように、本体フレーム12内における右端部寄りの位置であって、キャリッジ15のホームポジション領域には、ヘッド本体19のクリーニング等のメンテナンスを行うためのメンテナンスユニット26が設けられている。このメンテナンスユニット26は、ヘッド本体19の各ノズルの開口を囲うように該ヘッド本体19に当接したり各ノズルの開口からフラッシングによって吐出されるインクを受容したりするためのキャップ27と、キャップ27内を吸引可能な吸引ポンプ(図示略)とを備えている。
そして、ヘッド本体19の各ノズルの開口を囲うようにヘッド本体19にキャップ27を当接した状態でキャップ27内を吸引ポンプ(図示略)によって吸引することで、各ノズルの開口から増粘したインクや気泡などをキャップ27内に強制的に排出させる、いわゆるクリーニングが行われるようになっている。
次に、インク供給部材30の構成について詳述する。なお図2は、本実施形態に係るインク供給部材の平面図であり、図3は、本実施形態に係るフィルター室形成部材の平面図であり、図4は、図2のA−A線断面図であり、図5は、図2のB−B線断面図である。
これらの図に示すように、インク供給部材30は、有底四角箱状をなす保持部材31と、保持部材31の内底面上に積重されたフィルター室形成部材40と、フィルター室形成部材40の上面に積重された流路形成部材50と、流路形成部材50の上面に積重された可撓性部材60と、可撓性部材60の上面に積重された平板状の受圧部形成プレート70とを備えている。
保持部材31の内底面とフィルター室形成部材40の下面、及びフィルター室形成部材40の上面と流路形成部材50の下面は、それぞれ互いに接着剤によって接着されており、流路形成部材50の上面には、可撓性を有する合成樹脂製のフィルム部材からなる可撓性部材60が溶着された受圧部形成プレート70が接着されている。なお、保持部材31、フィルター室形成部材40、流路形成部材50は、剛性を有するとともに液体を透過しない合成樹脂によって構成されている。
図3に示すように、フィルター室形成部材40には、上面に、複数のフィルター室凹部41が設けられている。具体的には、フィルター室形成部材40の内底面における前端側の位置には、前後方向(一方向)に複数配列されたフィルター室凹部41からなるフィルター室凹部群42が設けられ、さらにフィルター室凹部群42が左右方向に複数並設されている。本実施形態では、フィルター室凹部群42は、前後方向に2つのフィルター室凹部41からなり、左右方向に5つのフィルター室凹部群42が並設されている。すなわち、各フィルター室凹部41は、前後方向に2列、左右方向に5列となるように、かつ前後方向及び左右方向において等間隔で配設されている。
また、フィルター室形成部材40の内底面における後端側の位置には、弁体90が配設される弁体用凹部43が左右方向に並設されている。弁体用凹部43は、1つのフィルター室凹部群42につき、そのフィルター室凹部41の数だけ設けられている。本実施形態では、1つのフィルター室凹部群42につき2つの弁体用凹部43が設けられ、合計10個の弁体用凹部43が左右方向に並設されている。2つの弁体用凹部43が左右方向に占める幅は、一つのフィルター室凹部41の幅と同程度であり、当該2つの弁体用凹部43の左右方向の幅は均等にしてある。
図3〜図5に示すように、各フィルター室凹部41と、流路形成部材50とで囲まれて形成された10個の空間は、上流側から流入する各インク中に含まれる異物などを除去するためのフィルター45を内包するフィルター室44とされている。上述した1つのフィルター室凹部群42からなる2つのフィルター室44は1つのフィルター室群を形成する。また、各弁体用凹部43と、流路形成部材50とで囲まれて形成された10個の空間は、後述する液体流路53に流入するインクの入口を開閉する弁体90が収容される弁体収容室46とされている。
フィルター45は、フィルター室凹部41の流路の形状と略同一形状であり、フィルター室凹部41のインクが流れる上下方向を横断するように配設されている。なお、フィルター45は、金属を細かく編み込んで形成したものであってもよいし、微細な単孔が設けられた金属板や不織布等であってもよい。
各フィルター室44の底面には、フィルター45で異物等が除去されたインクを、下流側に位置するヘッド本体19側へ流出させるための流出孔47が開口している。流出孔47は、保持部材31の底面に形成された貫通孔である連通孔32に連通しており、連通孔32を介してインクがヘッド本体19へ流出する。
また、フィルター室形成部材40には、インク供給チューブ24から供給されるインクが導入されるインク導入路48が形成されている。インク導入路48の一方の開口は、フィルター室形成部材40の上面に形成され、他方の開口は、弁体収容室46の底面に形成されている。
図2、図4及び図5に示すように、流路形成部材50の上面には、長さが異なる複数の流路用溝部51が前後方向に延設されている。流路用溝部51の長さが異なるとは、溝の延設方向における長さがことなることをいう。本実施形態では、長さが異なる2つの種別の流路用溝部51が設けられている。また、各流路用溝部51の左右方向の幅は、何れも同一の幅としてあり、弁体用凹部43の左右方向の幅と略同一の幅である。以降、長さが長い方を流路用溝部51L(第2流路用溝部)、短い方を流路用溝部51S(第1流路用溝部)とも表記する。
流路用溝部51Sは、流路形成部材50の弁体収容室46に対向する領域から、フィルター室形成部材40の後端側のフィルター室44に対向する領域にまで延設されている。流路用溝部51Sの後端側は、弁体収容室46に連通し、後述する弁体90の軸部が挿通される挿通孔52が形成され、流路用溝部51Sの前端側は、フィルター室形成部材40の後端側のフィルター室44に連通する連通孔55が形成されている。
同様に、流路用溝部51Lは、流路形成部材50の弁体収容室46に対向する領域から、フィルター室形成部材40の前端側のフィルター室44に対向する領域にまで延設されている。流路用溝部51Lの後端側は、弁体収容室46に連通し、後述する弁体90の軸部が挿通される挿通孔52が形成され、流路用溝部51Lの前端側は、フィルター室形成部材40の前端側のフィルター室44に連通する連通孔55が形成されている。
これらの流路用溝部51S、51Lは、平面視において後端側が揃えられて左右方向に並設されている。
また、流路形成部材50の上面には、可撓性を有する合成樹脂製のフィルム部材からなる可撓性部材60が設けられている。可撓性部材60は、流路用溝部51の上端開口部を封止しており、この可撓性部材60と流路用溝部51とで囲まれた空間は液体流路53とされる。以降、流路用溝部51Lと可撓性部材60とからなる空間を液体流路53L、流路用溝部51Sと可撓性部材60とからなる空間を液体流路53Sともいう。
本実施形態では、可撓性部材60は、流路形成部材50の上面全体を覆う一枚のフィルム部材によって構成されている。また、可撓性部材60の一方面は、受圧部形成プレート70に溶着され、他方面は流路形成部材50の上面に接着剤で接着されている。なお、可撓性部材60は、流路用溝部51ごとに形成してもよい。
可撓性部材60の上面には、ステンレス製の1枚の薄板からなる受圧部形成プレート70が配設されている。受圧部形成プレート70には、液体流路53ごとに対応する複数の開口部71が設けられ、各開口部71が各液体流路53に対向するように受圧部形成プレート70が可撓性部材60上に配設されている。
開口部71が形成された受圧部形成プレート70が可撓性部材60上に配設されることで、可撓性部材60の開口部71に露出した一部である受圧部72が形成されている。可撓性部材60の受圧部72は、大気と液体流路53内の気圧との差で撓み変形する部位となり、液体流路53内が大気に対して負圧になることで、受圧部72が液体流路53側に撓む。詳細は後述するが、この受圧部72の変位により弁体90が開閉するようになっている。
ここで、受圧部形成プレート70に形成された各開口部71は、平面視において全て同一形状となっている。具体的には、受圧部形成プレート70の各開口部71は、流路用溝部51のうち短い方である流路用溝部51Sの大きさに合わせて形成されている。すなわち、各開口部71は、平面視において、左右方向の幅が流路用溝部51の幅よりも若干狭く、前後方向の長さが流路用溝部51Sの長さよりも若干短く構成されている。また、各開口部71は、左右方向に並設され、各流路用溝部51内に重なるように位置している。
上述したように、可撓性部材60の各開口部71に露出した一部が受圧部72となるため、開口部71が同一形状であることから受圧部72の平面視における形状も同一となっている。
このように、受圧部72の形状は、各受圧部72が対向する液体流路53L、53Sのように長さの違いに関係なく、開口部71の形状により規定することができる。これにより、本実施形態のように、前後方向及び左右方向に複数列配置されたフィルター室44にそれぞれ長さが異なる液体流路53L、53Sを連通させて形成する場合であっても、同一形状の受圧部72を形成することができる。すなわち、液体流路53L、53Sの設計は、受圧部72の形状に配慮して行う必要がないため、インク供給部材30の流路の形状、配置に関する設計の自由度が向上する。
さらに、各受圧部72が同一の形状であるので、受圧部72の面積が同一となり、各受圧部72にかかる大気圧を均等化することができる。この受圧部72にかかる大気圧の均等化による作用については後述する。
流路形成部材50の上面と可撓性部材60が溶着された受圧部形成プレート70との間には、適度な弾力性を有するステンレス製の1枚の薄板からなる作動板80が液体流路53ごとに配設されている。作動板80は、その幅が液体流路53の幅よりも若干狭い程度に形成され、前後方向に長尺に形成されている。
作動板80は、受圧部形成プレート70の開口部71に対向するように配置され、作動板80の一端部が流路形成部材50と可撓性部材60とに挟持されている。すなわち、作動板80の開口部71に対向する部位である動作部81が、平面視において各開口部71内に収まるように各作動板80が配設されている。
作動板80の動作部81は、自由端となっており、受圧部72が密着している。このため、受圧部72が変位すると作動板80の動作部81が押圧され、動作部81は液体流路53側に撓むようになっている。
上述したように、本実施形態では、各インク供給チューブ24、各弁体収容室46、各液体流路53、各連通孔55、各フィルター室44、各流出孔47、及び連通孔32によりインクカートリッジからヘッド本体19にインクを供給する供給路が構成されている。この液体流路53よりも上流側には、液体流路53を閉塞する弁体90が設けられている。本実施形態では、次のように、弁体収容室46に弁体90を配した。
流路形成部材50の底面には、弁体収容室46内に上下に延びる円筒状のケース部54が形成されており、ケース部54の下面は弁体収容室46の底面に当接している。ケース部54の前端側には、ケース部54の内外を連通するスリット54aが形成されている。したがって、ケース部54内と弁体収容室46内とは連通している。
液体流路53内及び弁体収容室46内には、これら両室53,46を跨ぐように弁体90が収容されている。この弁体90は、挿通孔52に挿通された円柱状のバルブ軸91と、ケース部54内においてバルブ軸91の下端部に設けられたバルブ軸91の外径よりも大きい外径を持つ円板状の鍔部92とを備えている。バルブ軸91の下端は鍔部92の上面における中心に連結されているとともに、バルブ軸91の上端は作動板80の動作部81の下面に当接している。
鍔部92の外径は、挿通孔52の内径よりも大きく、且つケース部54の内径よりも僅かに小さくなっている。鍔部92の上面には、この上面の周縁に沿って可撓性材料よりなる円環状のシール部材93がバルブ軸91を囲むように固着されている。このシール部材93の外径は鍔部92の外径とほぼ同じになっている。また、ケース部54内において、鍔部92の下面と弁体収容室46の底面との間には付勢部材の一例であるコイルばね94が介装されている。
このコイルばね94は、弁体90を常に閉弁状態となる方向である上方に向かって付勢するようになっている。そして、この弁体90の閉弁状態では、シール部材93が挿通孔52を囲んだ状態でケース部54内の上壁面に密着して挿通孔52が閉鎖された状態、すなわちケース部54内と液体流路53内とが非連通状態になっている。
そして、液体流路53内がヘッド本体19へのインクの供給によって負圧になると、大気圧との差圧によって受圧部72が液体流路53側(下側)に撓むように変位する。この受圧部72の変位に伴って動作部81が、作動板80の基端部をヒンジとして下方に向かって屈曲するように弾性変形する。
この動作部81の弾性変形により、動作部81によってバルブ軸91がコイルばね94の付勢力に抗して下方に押し下げられてシール部材93がケース部54内の上壁面から離間することで、弁体90が開弁されるようになっている。そして、弁体90が開弁状態にある場合には、挿通孔52が開放された状態、すなわちケース部54内と液体流路53内とが連通状態になっている。
次に、インク供給部材30の作用について説明する。
初期充填もしくは以前のインクの吐出により、インクが液体流路53からヘッド本体19に至るインクの流路に供給された状態で、ヘッド本体19から各インクが噴射されて各液体流路53内のインクが減少すると、各液体流路53内に負圧が発生するため、大気圧との差圧によって受圧部72が液体流路53側(下側)に撓むように変位する。この受圧部72の変位に伴って各動作部81が、各作動板80の後端をヒンジとして下方に向かって屈曲するように弾性変形する。
この各動作部81の弾性変形により、各動作部81によって各バルブ軸91が各圧力コイルばね94の付勢力に抗して下方に押し下げられて各シール部材93が各弁体収容室46の上壁面から離間することで、各弁体90が開弁される。すると、各弁体収容室46のインクが挿通孔52を介して各液体流路53内に流れ込む。そして、各液体流路53内にそれぞれインクが十分に補充されると、各液体流路53内の負圧が解消されて各受圧部72及び各動作部81が元の位置に戻るとともに、各コイルばね94の付勢力により各弁体90がそれぞれ閉弁されることにより各液体流路53は常に一定の圧力に保たれる。
この場合、各液体流路53から各連通孔55を介して各フィルター室44にインクが流入する。フィルター室44では、内包されたフィルター45によりインク中の異物が除去され、流出孔47及び連通孔32からヘッド本体19へ流れる。
ここで、上述したように、各受圧部72の平面視における形状は同一形状である。このため、受圧部72の面積が同一となり、各受圧部72にかかる大気圧が均等化されている。これにより、ヘッド本体19でインクが使用されて各液体流路53内が負圧になったとき、各液体流路53における大気圧との差も均等化されるので、受圧部72の変位の量も同程度となり、弁体90を押圧する圧力が弁体90ごとにばらつくことを抑えることができる。
このように液体流路53内が負圧になった際に弁体90を押圧する圧力が、全ての弁体90で均等化されるので、インクの圧力が液体流路53ごとにばらつくことを抑えて均等な圧力でヘッド本体19に供給することができる。
以上説明したように、本実施形態のインクジェット式記録ヘッド18では、受圧部72の形状は、液体流路53の長さの違いに関係なく、受圧部形成プレート70の開口部71の形状により規定することができる。これにより、長さが異なる複数の液体流路53を形成する場合であっても、同一形状の受圧部72を形成することができる。
また、本実施形態のインクジェット式記録ヘッド18では、このように各受圧部72を同一形状としたので、受圧部72の面積が同一となり、各受圧部72にかかる大気圧を均等化することができる。これにより、弁体90にかかる圧力が弁体ごとにばらつくことが抑制されるため、均等な圧力でヘッド本体19にインクを供給することができ、ばらつきによる印刷品質の低下を抑えて高品質な印刷を行うことができる。
〈実施形態2〉
上述した実施形態では、可撓性部材60は流路形成部材50の上面の全面に配設され、流路用溝部51の開口を封止していたが、これに限定されない。本発明では、流路用溝部51の形状に係わらず受圧部形成プレート70の各開口部71を形成して受圧部72の形状を規定することができるので、例えば、流路用溝部51Lにおいて、その開口の一部を受圧部形成プレート70の下面で封止するという構成が可能となる。
図6は、本実施形態に係るインク供給部材の平面図であり、図7は、図6のA−A線断面図である。なお、実施形態1と同一のものには同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
これらの図に示すように、実施形態1と同様に、受圧部形成プレート70の各開口部71は、流路用溝部51のうち短い方である流路用溝部51Sの大きさに合わせて形成されている。すなわち、各開口部71は、平面視において、左右方向の幅が流路用溝部51の幅よりも若干狭く、前後方向の長さが流路用溝部51Sの長さよりも若干短く構成されている。各開口部71は、左右方向に並設され、各流路用溝部51内に重なるように位置している。
流路形成部材50の上面には、左右方向の幅が流路形成部材50の幅と略等しく、前後方向の長さが流路用溝部51Sよりも若干長い程度に形成された可撓性部材60Aが配設されている。可撓性部材60Aは、各流路用溝部51の後端側に合わせて配置されている。
流路用溝部51Sは、その開口が可撓性部材60Aのみにより封止され、液体流路53Sが形成されている。一方、流路用溝部51Lは、その開口の一部が可撓性部材60Aにより封止され、残りの開口部分は、受圧部形成プレート70の下面で封止されている。すなわち、液体流路53Lは、流路用溝部51Lと可撓性部材60Aと受圧部形成プレート70とから構成されている。
また、各液体流路53Lから各フィルター室44に連通する連通孔55は、受圧部形成プレート70の流路用溝部51Lを封止した領域に対向する位置に形成されている。
かかる液体流路53Lにおいては、液体流路53L内部が過負圧などで受圧部72が液体流路53L内部へ大きく撓んだとしても、連通孔55の上方には受圧部72(可撓性部材60A)ではなく剛性のある受圧部形成プレート70が設けられているため、撓んだ受圧部72が連通孔55を塞いでしまう虞がない。このように、連通孔55の閉塞を防止できるため、インクの吐出不良を起こすことが防止され、信頼性が向上した液体噴射ヘッドが提供される。
〈他の実施形態〉
以上、本発明の実施形態を説明したが、勿論、本発明は上述したものに限定されるものではない。例えば、フィルター室44は、フィルター室形成部材40に設けられていたが、このような態様に限らず、例えば、流路形成部材50に一体的に設けられていてもよい。
また、フィルター室凹部群42は、左右方向に複数並設されていたが、少なくとも、1つ設けられていれば、本発明の作用効果を奏する。
さらに、流路用溝部51は、長い流路用溝部51Lと短い流路用溝部51Sとの2種類を流路形成部材50に形成したが、これに限定されず、3種類以上の長さの異なる流路用溝部を形成してもよい。
なお、上述した実施形態においては、本発明の液体噴射ヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘッドを説明したが、液体噴射ヘッドの基本的構成は上述したものに限定されるものではない。本発明は、広く液体噴射ヘッドの全般を対象としたものであり、インク以外の液体を噴射するものにも勿論適用することができる。液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンター等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイ、FED(電界放出ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられる。
11 インクジェット式記録装置(液体噴射装置)、 18 インクジェット式記録ヘッド(液体噴射ヘッド)、 19 ヘッド本体(液体噴射ヘッド本体)、 30 インク供給部材(液体供給部材)、 40 フィルター室形成部材、 41 フィルター室凹部、 42 フィルター室凹部群、 44 フィルター室、 45 フィルター、 46 弁体収容室、 48 インク導入路、 50 流路形成部材、 51、51L、51S 流路用溝部、 53、53L、53S 液体流路、 60、60A 可撓性部材、 70 受圧部形成プレート、 71 開口部、 72 受圧部、 80 作動板、 81 動作部、 90 弁体

Claims (3)

  1. ノズル開口から液体を噴射する液体噴射ヘッド本体と、
    液体が貯留された液体供給源から前記液体噴射ヘッド本体に液体を供給する液体供給部材とを具備し、
    前記液体供給部材は、
    フィルターを内包し、前記ノズル開口に連通するフィルター室が一方向に複数配列されたフィルター室群と、
    前記フィルター室群の各フィルター室に連通し、一方面に開口して長さが異なる複数の流路用溝部が形成された流路形成部材と、
    前記流路用溝部の開口を封止して液体流路を形成する可撓性部材と、
    前記液体流路ごとに形成された開口部を有し、当該各開口部が前記可撓性部材を挟んで前記各液体流路に対向するように前記流路形成部材に配置されることで前記可撓性部材の前記各開口部に露出した一部である受圧部を形成する受圧部形成プレートと、
    前記各液体流路を閉塞するように付勢部材により付勢されると共に、前記受圧部が前記液体流路内の圧力変動に基づいて変位することにより前記付勢部材の付勢力に抗して前記液体流路を開放する弁体とを具備し、
    前記受圧部形成プレートの各開口部は、同一形状に形成されている
    ことを特徴とする液体噴射ヘッド。
  2. 請求項1に記載する液体噴射ヘッドにおいて、
    前記受圧部形成プレートの各開口部は、最も長さが短い第1流路用溝部の開口形状に対応して形成され、
    当該第1流路用溝部よりも長さが長い第2流路用溝部は、前記可撓性部材及び前記受圧部形成プレートにより封止され、
    前記第2流路用溝部と前記フィルター室とを連通する連通孔は、前記受圧部形成プレートの前記第2流路用溝部を封止した領域に対向する位置に形成されている
    ことを特徴とする液体噴射ヘッド。
  3. 請求項1又は請求項2に記載する液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置。
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