JP5590127B2 - 電気加熱式触媒 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関の排気通路に設けられる電気加熱式触媒に関する。
従来、内燃機関の排気通路に設けられる排気浄化触媒として、通電されることで発熱する発熱体によって触媒が加熱される電気加熱式触媒(Electric Heating Catalyst:以下、EHCと称する)が開発されている。
EHCにおいては、通電によって発熱する発熱体と、該発熱体の収容するケースとの間に、電気を絶縁する絶縁部材が設けられる。例えば、特許文献1には、EHCにおいて、通電により発熱する担体と、該担体を収容するケースとの間に、絶縁体のマットを設ける技術が開示されている。このような絶縁部材を設けることで、発熱体とケースとの間が短絡することを抑制することができる。
特開平05−269387号公報
EHCにおける発熱体のケース内には、発熱体に接続する電極を通すための空間である電極室が形成される。該電極室は、絶縁部材及び発熱体によって囲まれることで形成される。
排気管内においては、排気管壁面で排気中の水分が凝縮されることで凝縮水が発生することがある。EHCより上流側の排気管内で凝縮水が発生すると、該凝縮水は排気に押されて排気管の内壁面を流れる。排気管の内壁面を流れてEHCに到達した凝縮水は、EHCのケース内の下方部分に流れ込みやすい。
EHCのケース内の下方部分に凝縮水が流れ込むと、該凝縮水が絶縁部材の上流側端面付近に溜まる場合がある。この部分に凝縮水が溜まると、該凝縮水が絶縁部材に浸入しやすくなる。凝縮水が絶縁部材に浸入すると、それを通過した凝縮水(又は該凝縮水が蒸発することで生じた蒸気)が電極室内に浸入する場合がある。電極室内に凝縮水が存在すると、該凝縮水によって電極とケースとの間が短絡する虞がある。また、凝縮水が蒸発することで蒸気が発生し、それによって電極室内の湿度が上昇した場合も、電極とケースとの間の絶縁抵抗が大幅に低下する虞がある。
また、EHCのケース内の下方部分における絶縁部材の上流側端面付近に凝縮水が溜まる場合が溜まると、振動等によって該溜まった凝縮水が発熱体に流れ込む虞がある。これにより一度に多くの凝縮水が発熱体に流れ込むと、発熱体が局部的に冷却されることによって該発熱体が破損する等の問題が生じる可能性がある。また、発熱体に凝縮水が浸入すると、該凝縮水(又は該凝縮水が蒸発することで生じた蒸気)が発熱体の外壁面を通過し、発熱体側から電極室内に浸入する場合もある。
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであって、EHCにおける、絶縁部材及び発熱体への凝縮水の浸入を抑制することを目的とする。
本発明は、EHCのケースの下方部分に、凝縮水が絶縁部材をバイパスして流れるバイパス通路を設けるものである。
より詳しくは、本発明に係る電気加熱式触媒(EHC)は、
通電により発熱し、発熱することで触媒を加熱する発熱体と、
前記発熱体を収容するケースと、
前記発熱体と前記ケースとの間に設けられ、前記発熱体を支持すると共に電気を絶縁する絶縁部材と、
前記ケースの内壁面と前記発熱体の外周面との間に位置する空間であって前記絶縁部材によってその側壁面が形成された電極室を通って前記発熱体に接続され、前記発熱体に電気を供給する電極と、
前記ケースの下方部分における前記絶縁部材の上流側端面より上流側に一端が接続され、前記絶縁部材をバイパスするように形成されたバイパス通路と、
を備える。
本発明によれば、ケース内の下方部分に流れ込んだ凝縮水がバイパス通路を流れる。そのため、絶縁部材の上流側端面付近に凝縮水が溜まり難くなる。従って、絶縁部材及び発熱体への凝縮水の浸入を抑制することができる。
本発明に係るEHCは、バイパス通路に充填された吸水部材をさらに備えてもよい。バイパス通路に吸水部材を充填することで、該バイパス通路における凝縮水の流通を確保しつつ、排気がバイパス通路を流通することを抑制することができる。これにより、バイパス通路を設けることに伴う排気特性の悪化を抑制することができる。
本発明に係るEHCは、発熱体及び絶縁部材よりも気密性が高く且つ電気を絶縁する高気密絶縁材よって形成され絶縁部材の端面を覆う閉塞部材をさらに備えてもよい。この場合、閉塞部材によって絶縁部材に凝縮水が浸入し難くなるが、ケース内の下方部分における絶縁部材の上流側端面付近に凝縮水が溜まり易くなる。しかしながら、本発明によれば、このような場合でも、絶縁部材の上流側面付近に凝縮水が溜まることを抑制することができる。その結果、発熱体への凝縮水の浸入を抑制することができる。
本発明では、ケース内において、絶縁部材が上流側部分と下流側部分とに分割されていてもよい。この場合、絶縁部材の上流側部分と下流側部分との間における発熱体の外周面全周にわたって電極室が形成される。そして、この場合は、バイパス通路が、絶縁部材の上流側部分及び下流側部分と、電極室とをバイパスするように形成される。
本発明によれば、EHCにおける、マット及び発熱体への凝縮水の浸入を抑制することができる。
実施例に係るEHCの概略構成を示す第一の図である。 実施例に係るEHCの概略構成を示す第二の図である。 実施例の変形例に係るEHCの概略構成を示すである。 従来のEHCの概略構成を示す図である。
以下、本発明の具体的な実施形態について図面に基づいて説明する。本実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置等は、特に記載がない限りは発明の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
<実施例>
[EHCの概略構成]
図1及び2は、本実施例に係る電気加熱式触媒(EHC)の概略構成を示す図である。本実施例に係るEHC1は、車両に搭載される内燃機関の排気管に設けられる。内燃機関は、ディーゼル機関であっても、ガソリン機関であってもよい。また、電気モータを備えたハイブリッドシステムを採用した車両においても本実施例に係るEHC1を用いることができる。
図1は、内燃機関の排気管2の中心軸Aに沿ってEHC1を横方向に切断した断面図である。図2は、内燃機関の排気管2の中心軸Aに沿ってEHC1を縦方向に切断した断面図である。
本実施例に係るEHC1は、触媒担体3、ケース4、マット5、内管6、及び電極7を備えている。触媒担体3は、円柱状に形成されており、その中心軸が排気管2の中心軸Aと同軸となるように設置されている。触媒担体3には排気浄化触媒13が担持されている。排気浄化触媒13としては、酸化触媒、吸蔵還元型NOx触媒、選択還元型NOx触媒及び三元触媒等を例示することができる。
触媒担体3は、通電されると電気抵抗となって発熱する材料によって形成されている。触媒担体3の材料としては、SiCを例示することができる。触媒担体3は、排気の流れる方向(すなわち、中心軸Aの方向)に伸び且つ排気の流れる方向と垂直な断面がハニカム状をなす複数の通路を有している。この通路を排気が流通する。尚、中心軸Aと直交する方向の触媒担体3の断面形状は楕円形等であっても良い。中心軸Aは、排気管2、触媒担体3、内管6、及びケース4で共通の中心軸である。
触媒担体3はケース4に収容されている。ケース4内には電極室9が形成されている。尚、電極室9の詳細については後述する。触媒担体3には、該電極室9を通して左右方向から一対の電極7が接続されている。電極7にはバッテリ(図示せず)から電気が供給される。電極7に電気が供給されると、触媒担体3に通電される。通電によって触媒担体3が発熱すると、触媒担体3に担持された排気浄化触媒が加熱され、その活性化が促進される。
ケース4は、金属によって形成されている。ケース4を形成する材料としては、ステンレス鋼材を例示することができる。ケース4は、中心軸Aと平行な曲面を含んで構成される収容部4aと、該収容部4aよりも上流側及び下流側で該収容部4aと排気管2とを接続するテーパ部4b,4cと、を有している。収容部4aの通路断面積は排気管2の通路断面積よりも大きくなっており、その内側に、触媒担体3、マット5、及び内管6が収容されている。テーパ部4b,4cは、収容部4aから離れるに従って通路断面積が縮小するテーパ形状をしている。
ケース4の収容部4aの内壁面と触媒担体3の外周面との間にはマット5が挟み込まれている。つまり、ケース4内において、触媒担体3がマット5によって支持されている。また、マット5には内管6が挟み込まれている。つまり、マット5が、内管6によってケース4側と触媒担体3側とに分割されている。
マット5は、電気絶縁材によって形成されている。マット5を形成する材料としては、アルミナを主成分とするセラミックファイバーを例示することができる。マット5は、触媒担体3の外周面及び内管6の外周面に巻きつけられている。また、マット5は、上流側部分5aと下流側部分5bとに分割されており、該上流側部分5aと下流側部分5bとの間には空間が形成されている。マット5が、触媒担体3とケース4との間に挟み込まれていることで、触媒担体3に通電したときに、ケース4へ電気が流れることが抑制される。
内管6は、電気絶縁材によって形成されている。内管6を形成する材料としては、アルミナを例示することができる。内管6は、中心軸Aを中心とした管状に形成されている。図1に示すように、内管6は、中心軸A方向の長さがマット5より長い。そのため、内管6の上流側及び下流側の端部は、マット5の上流側及び下流側の端面から突出している。
ケース4及び内管6には、電極7を通すために、貫通孔4d,6aが開けられている。そして、ケース4内における、マット5の上流側部分5aと下流側部分5bとの間の空間によって、電極室9が形成されている。つまり、本実施例においては、マット5の上流側部分5aと下流側部分5bとの間における触媒担体3の外周面全周にわたって電極室9が形成される。
ケース4に開けられている貫通孔4dには、電極7を支持する支持部材8が設けられている。この支持部材8は電気絶縁材によって形成されており、ケース4と電極7との間に隙間なく設けられている。
さらに、本実施例においては、ケース4の下方部分にバイパス通路10が設けられている。バイパス通路10の一端は、ケース4の収容部4aの下方部分における、マット5の上流側部分5aの上流側端面より上流側に接続されている。また、バイパス通路10の他端は、ケース4の収容部4aの下方部分における、マット5の下流側部分5bの下流側端面より下流側に接続されている。そして、バイパス通路10は、ケース4の収容部4aの下側外周壁の外側を通って、マット5の上流側部分5a及び下流側部分5bと電極室9とをバイパスするように形成されている。
尚、バイパス通路10の他端は、必ずしもケース4の収容部4aに接続される必要はなく、バイパス通路10がマット5をバイパスするように形成されるのであればどのような位置に設けられてもよい。例えば、バイパス通路10の他端を、EHC1より下流側の排気管2に接続してもよい。また、バイパス通路10は、パイプ状のものによって形成されてもよい。
また、バイパス通路10には、吸水部材11が充填されている。該吸水部材11は、マット5を形成する材料と同一の材料によって形成されてもよい。
尚、本実施例においては、触媒担体3が本発明に係る発熱体に相当する。ただし、本発明に係る発熱体は触媒を担持する担体に限られるものではなく、例えば、発熱体は触媒の上流側に設置された構造体であってもよい。また、本実施例においては、ケース4が本発明に係るケースに相当し、マット5が本発明に係る絶縁部材に相当する。
[本実施例に係るEHCの構成の作用効果]
図4は、従来のEHCの概略構成を示す図である。図4に示すように、従来のEHC20は本実施例係るEHC1のようなバイパス通路を備えていない。尚、EHC20におけるバイパス通路以外の構成は本実施例に係るEHC1と同様である。
EHC20より上流側の排気管2内で発生した凝縮水がEHC20に到達すると、該凝縮水は、EHC20のケース4内の下方部分に流れ込みやすい。そのため、EHC20においては、ケース4内の下方部分におけるマット5の上流側端面付近に凝縮水が溜まる場合ある。
この部分に凝縮水が溜まると、該凝縮水がマット5に浸入しやすくなる。また、振動等によって、該溜まった凝縮水が触媒担体3に流れ込むこともある。マット5又は触媒担体3に凝縮水が浸入すると、これらを通過した凝縮水あるいは該凝縮水が蒸発することで生じた蒸気が電極室9内に浸入する虞がある。電極室9内に凝縮水あるいは蒸気が浸入すると、電極室9内における電極7とケース4との間の絶縁抵抗の大幅な低下を招く場合がある。また、一度に多くの凝縮水が触媒担体3に流れ込むと、触媒担体3が局部的に冷却されることによって該触媒担体3が破損する等の問題が生じる可能性がある。
そこで、本実施例においては、EHC1のケース4の下方部分にバイパス通路10を設ける。該バイパス通路10を設けることで、排気管2内で発生しEHC1に到達した凝縮水が該バイパス通路10に流入する。バイパス通路10に流入した凝縮水は、吸水部材11に吸収されつつ、バイパス通路10内を下流側に向かって流れる。つまり、凝縮水がマット5及び電極室9をバイパスして流れることになる。
そのため、マット5の上流側端面付近に凝縮水が溜まり難くなる。従って、マット5及び触媒担体3への凝縮水の浸入を抑制することができる。その結果、電極室9内への凝縮水あるいはその蒸気の浸入を抑制できるため、電極7とケース4との間の絶縁抵抗が大幅に低下することを抑制することができる。また、一度に多くの凝縮水が触媒担体3に流れ込むことを抑制できるため、触媒担体3が局部的に冷却されることによる該触媒担体3の破損等の発生を抑制することができる。
また、本実施例に係るEHC1において、凝縮水をバイパス通路10に流すためには、吸水部材11は必須の構成ではない。しかしながら、バイパス通路10内に該吸水部材11を設けることで、バイパス通路10を排気が流れることを抑制することができる。そのため、バイパス通路10を設けることに伴う排気特性の悪化を抑制することができる。
尚、本実施例に係るEHCにおいて、電極室は必ずしも触媒担体の外周面全周に渡って形成される必要はない。例えば、マットを上流側部分と下流側部分とに分割せずに、電極の周囲のみが空間となるようにマットの一部に貫通孔を形成してもよい。この場合。電極の周囲にのみ電極室が形成される。この場合でも、上記と同様のバイパス通路をEHCに設けることで、凝縮水がマットをバイパスして流れることになる。そのため、マット及び触媒担体への凝縮水の浸入を抑制することができる。
[変形例]
図3は、本実施例の変形例に係るEHCの概略構成を示す図である。本変形例では、マット5の上流側及び下流側端面が、閉塞部材12によって覆われている。閉塞部材12は、触媒担体3を形成する材料及びマット5を形成する材料よりも気密性が高く且つ電気を絶縁する高気密絶縁材によって形成されている。
閉塞部材12を形成する高気密絶縁材は耐熱性を有する必要がある。該高気密絶縁材としては、例えば、黒体コーティング剤や、ガラスコーティング剤等を例示することができる。また、マット5の上流側及び下流側端面に、陶器等に用いる釉薬を塗布して焼成することで、閉塞部材12を形成させることもできる。
マット5の上流側及び下流側の端面を気密性の高い閉塞部材12で覆うことで、マット5への凝縮水の浸入を抑制することができる。しかしながら、この場合、マット5に凝縮水が吸収され難くなる。そのため、バイパス通路10が設けられていないと、ケース4内の下方部分におけるマット5の上流側端面付近に凝縮水がより溜まり易くなる。
しかしながら、本実施例によれば、このような場合であっても、凝縮水がバイパス通路10に流入するため、マット5の上流側端面付近に凝縮水が溜まるのを抑制することができる。その結果、触媒担体3への凝縮水の浸入を抑制することができる。
1・・・電気加熱式触媒(EHC)
3・・・触媒担体
4・・・ケース
5・・・マット
6・・・内管
7・・・電極
9・・・電極室
10・・バイパス通路
11・・吸水部材
12・・閉塞部材

Claims (3)

  1. 通電により発熱し、発熱することで触媒を加熱する発熱体と、
    前記発熱体を収容するケースと、
    前記発熱体と前記ケースとの間に設けられ、前記発熱体を支持すると共に電気を絶縁する絶縁部材と、
    前記ケースの内壁面と前記発熱体の外周面との間に位置する空間であって前記絶縁部材によってその側壁面が形成された電極室を通って前記発熱体に接続され、前記発熱体に電気を供給する電極と、
    前記ケースの下方部分における前記絶縁部材の上流側端面より上流側に一端が接続され、前記絶縁部材をバイパスするように形成されたバイパス通路と、
    前記バイパス通路に充填された吸水部材と、
    を備える電気加熱式触媒。
  2. 前記発熱体及び前記絶縁部材よりも気密性が高く且つ電気を絶縁する高気密絶縁材よって形成され前記絶縁部材の端面を覆う閉塞部材をさらに備える請求項1に記載の電気加熱式触媒。
  3. 前記ケース内において、前記絶縁部材が上流側部分と下流側部分とに分割され、該絶縁部材の上流側部分と下流側部分との間における前記発熱体の外周面全周にわたって前記電極室が形成されており、
    前記バイパス通路が、前記絶縁部材の上流側部分及び下流側部分と、前記電極室とをバイパスするように形成されている請求項1または3に記載の電気加熱式触媒。
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