JP5590006B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関の制御装置に係り、特に、多気筒内燃機関において気筒間の空燃比のインバランス異常を検出する機能を有するものに関する。
一般に、触媒を利用した排気浄化システムを備える内燃機関では、排気中有害成分の触媒による浄化を高効率で行うため、内燃機関で燃焼される混合気の空気と燃料との混合割合、すなわち空燃比のコントロールが欠かせない。こうした空燃比の制御を行うため、内燃機関の排気通路に空燃比センサを設け、これによって検出された空燃比を所定の目標空燃比に一致させるように、全気筒の空燃比を共通の補正量で補正するフィードバック制御を実施している。
一方、全気筒に対し同一の制御量を用いて空燃比フィードバック制御を行うため、この空燃比フィードバック制御を実行したとしても、燃焼室内の実際の空燃比が気筒間で不均等(インバランス)になることがある。このときインバランスの程度が小さければ、空燃比フィードバック制御で吸収可能であり、また触媒でも排気中有害成分を浄化処理可能なので、排気エミッションに影響を与えず、特に問題とならない。
しかし、例えば一部の気筒の燃料噴射系が故障するなどして、気筒間の空燃比が大きくインバランスになると、排気エミッションを悪化させてしまい、問題となる。このような排気エミッションを悪化させる程の大きな空燃比インバランスは異常として検出するのが望ましい。特に自動車用内燃機関の場合、排気エミッションの悪化した車両の走行を未然に防止するため、気筒間空燃比インバランスを車載状態(オンボード)で検出することが要請されており、最近ではこれを法規制化する動きもある。
例えば特許文献1に記載の装置では、排気通路における集合部に設置された空燃比センサの出力を用いており、この共通の空燃比センサの出力を各気筒の排気タイミングに応じて取得し、所定の補正を加えることで、気筒別の空燃比を推定している。
ところで、複数の気筒の間で、空燃比センサの設置点または検出点への排気の到達間隔が一定でない場合がある。例えば、V型エンジンの複数のバンク(気筒グループ)の夫々に排気多岐管が設けられる場合のように、バンク内における燃焼間隔が一定でない場合である。この場合には、図4に示されるように、燃焼間隔が最短となる2つの気筒(例えば、#2気筒と#4気筒)については、これらの一方に空燃比異常があった場合の空燃比の波形及び位相が、互いに区別するのが困難な程度に近接する事態が生じうる。
このような場合には、空燃比異常が当該2つの気筒のどちらの異常に起因するのかの判別が困難となりうる。同様の問題は、気筒間で燃焼間隔が一定なエンジンであっても、気筒から排気集合部までの枝管(ブランチ)の長さが一定でないなどの理由に起因して空燃比センサの設置点または検出点への排気の到達間隔が一定でない場合に生じうると考えられる。
特許文献2に記載の装置では、燃焼間隔が最短となる2つの気筒の一方を除く全ての気筒の空燃比を変化させて空燃比を検出することで、異常気筒がどちらかを判別している。この方法は、空燃比を変化させる過程で、排出ガス成分やドライバビリティに影響するおそれがある。
特許文献3の装置は、燃焼間隔が一定でない場合の各気筒からの排気の混合の度合いが異なることに着目し、空燃比を適切に検出するために、気筒ごとに異なる気筒別空燃比推定モデルを適用し、各気筒の空燃比を推定しているが、制御が複雑である。
特開2008−144639号公報 特開2007−205219号公報 特開2006−152846号公報
本発明は従来技術の有する1又は2以上の課題を解決し、複数の気筒の間で、空燃比センサの設置点または検出点への排気の到達間隔が一定でない場合において、排出ガスの空燃比センサへの到達時期の一部又は全部が重なる場合においても、検出された排出ガスの空燃比の偏りが両気筒のどちらの異常に起因するのかの判別を好適に行うための新規な手段を提供することを目的とする。
本発明の一の態様は、
多気筒内燃機関の排気通路における集合部または当該集合部よりも下流側に設置された空燃比センサを備えた内燃機関の制御装置において、
特定の2つの気筒のいずれかに空燃比の異常が生じているかを検出する異常検出手段と、
当該2つの気筒のいずれかに空燃比の異常が生じている場合に、当該2つの気筒についての前記空燃比センサの出力のばらつきに基づいて、当該異常が前記2つの気筒のいずれに起因するかを判別する判別手段と、
を備えたことを特徴とする内燃機関の制御装置である。
例えば、V型8気筒エンジンであって、奇数番気筒で構成されるAバンクと、偶数番気筒で構成されるBバンクとを有するものにおいて、燃焼が#18736542(数字は気筒番号)の順番で行われるとすると、Bバンクにおいては#4気筒と#2気筒との燃焼間隔が最短となる。ここで、図5に示されるように、#4気筒からの排気は他の気筒からの排気と混じらず流速が遅いのに対し、#2気筒からの排気は#4気筒からの排気と混じるため、排気流量及び流速が相対的に大きくなる。他方、一般に、流量が少なく流速が遅いほど、排気通路内の排出ガスの流れが不安定となり、検出値のばらつきが大きくなる。図6に示されるように、本発明者らの実験によれば、流速の遅い#4気筒がリッチである場合のほうが、流速の早い#2気筒がリッチである場合よりも、空燃比の検出値のばらつきが大きいことが判明した(一点鎖線a,bで囲んだ領域。同様の傾向は他の全てのクランク角領域においても観察できた)。また、両気筒の一方がリーンである場合にも同様の傾向がみられた。本発明はこのような新知見に基づいて成されたものであり、これによれば、判別手段が、当該2つの気筒についての空燃比センサの出力のばらつきに基づいて、当該異常が前記2つの気筒のいずれに起因するかを好適に判別することができる。したがって、検出された排出ガスの空燃比にリッチ又はリーンのインバランスがある場合に、インバランスが両気筒のどちらの異常に起因するのかを好適に特定することが可能となる。
好ましくは、判別手段は、前記ばらつきに関連する値を所定のしきい値と比較することによって前記判別を行う。この構成によれば、簡易な構成によって本発明に所期の効果を得ることができる。
本発明の一実施形態に係る内燃機関の概略図である。 実施形態における空燃比インバランス検出処理のためのルーチンを示すフローチャートである。 実施形態における#2#4間判別処理のためのルーチンを示すフローチャートである。 「#2」「#4」「#6」「#8」の各気筒にリッチインバランスが生じている場合のF/G値を示すグラフである。 V型8気筒エンジンの右バンクに設けられた偶数気筒のそれぞれから排出される排出ガス量を示すグラフである。 「#2又は#4」の各気筒にリッチインバランスが生じている場合のF/G検出値の分布を示すグラフである。 基準値σthの設定例を示すグラフである。
以下、本発明の好適な実施形態につき添付図面に基づいて説明する。図1において、本発明の実施形態に係るエンジン1は、V型8気筒のガソリン内燃機関であり、2つの気筒グループを構成する2つのバンク1A,1BをV字型に配置してなる。Aバンク1Aには、4つの気筒#1,#3,#5,#7が直列に配置されている。Bバンク1Bには、4つの気筒#2,#4,#6,#8が直列に配置されている。各気筒には、不図示の燃料噴射弁が設置されている。
バンク1A,1Bには互いに別個の排気系が構成されており、各バンク1A,1Bにはそれぞれ排気マニホールド2が接続されている。各排気マニホールドの集合部3には、それぞれ排出ガスの空燃比を検出するA/Fセンサ5が設置されており、A/Fセンサ5の下流側には、排出ガス浄化用の触媒4が設置されている。ここで集合部3とは、各気筒に接続された排気マニホールド2の複数の枝管が合流する点をいう。集合部3は単一の排気マニホールド2につき複数あっても良い。A/Vセンサ5の設置点は集合部3よりも下流側の管路部分、すなわち複数の枝管からの排気が通過する共通の管路部分であればどこでもよいが、触媒4よりも上流側とするのが好適である。
本実施形態におけるエンジン1では、燃焼が#18736542(数字は気筒番号)の順番で行われ、Bバンク1Bでは、#4気筒と#2気筒との燃焼間隔が最短となる。ただし、本発明が適用可能な内燃機関はこのようなものに限られず、およそ多気筒内燃機関であれば、気筒数、形式等は特に限定されない。
触媒4は、いわゆる三元触媒であり、その温度が或る温度(すなわち、いわゆる活性温度)よりも高く且つそこに流入する排出ガスの空燃比が理論空燃比近傍の領域内の空燃比であるときに排出ガス中の窒素酸化物(NO)と、一酸化炭素(CO)と、炭化水素(HC)とを同時に高い浄化率でもって浄化することができる。一方、触媒4は、そこに流入する排出ガスの空燃比が理論空燃比よりもリーンな空燃比であるときに排出ガス中の酸素を吸蔵し、そこに流入する排出ガスの空燃比が理論空燃比よりもリッチな空燃比であるときにそこに吸蔵されている酸素を放出する能力(酸素吸蔵・放出能力)を有する。したがって、この酸素吸蔵・放出能力が正常に機能している限り、触媒4に流入する排出ガスの空燃比が理論空燃比よりもリーンな空燃比であっても理論空燃比よりもリッチな空燃比であっても、触媒4の内部雰囲気が略理論空燃比近傍に維持されることから、触媒4において排出ガス中のNOxとCOとHCとが同時に高い浄化率で浄化される。
A/Fセンサ5は所謂広域空燃比センサであり、比較的広範囲に亘る空燃比を連続的に検出可能である。A/Fセンサ5は、検出した排気空燃比に比例した大きさの電圧信号を出力する。他方、エンジン1のクランク角の近傍にはクランク角センサ6が設置されており、また吸気経路中にはエアフローメータ7が設置されている。A/Fセンサ5、クランク角センサ6及びエアフローメータ7を含む各種センサ類の出力は、制御手段としての電子制御ユニット(ECU)10に入力される。ECU10は、周知のワンチップマイクロプロセッサであり、何れも図示されないCPU、ROM、RAM、入出力ポート、および記憶装置等を含むものである。ECU10では、本発明に係る気筒間空燃比インバランス検出処理と並行して、A/Fセンサ5によって検出された空燃比を所定の目標空燃比に一致させるように、全気筒の空燃比を共通の補正量で補正する空燃比フィードバック制御が実行される。ただし、本発明は空燃比フィードバック制御を実行しない車両についても適用できる。
図4は、「#2」「#4」「#6」「#8」の各気筒にリッチインバランスが生じている場合のF/G値(300サイクルの平均値)をそれぞれ示すグラフである。図4において「#2R」「#4R」「#6R」「#8R」とは、それぞれ#2気筒のみ、#4気筒のみ、#6気筒のみ、#8気筒のみがリッチである場合のF/G値の波形を示す。図4の縦軸F/Gは、Fuel(燃料量)/Gas(ガス量)=15.6/(1+A/F)であり、空燃比A/Fに相関している。目標空燃比(ここでは15.6)でF/Gの値が1となり、図4では上側ほどリッチ、下側ほどリーンである。気筒間の空燃比のインバランスが生じている場合、図4に示されるように、F/G値の振幅が大きくなる。他方、気筒間の空燃比のインバランスが生じていない場合には、F/G値はその振幅が小さく、1の近傍の比較的狭い範囲で推移することになる。本実施形態では、上述の空燃比フィードバックが実行される結果、検出空燃比を所定の目標空燃比に一致させるように、全気筒の空燃比が共通の補正量で補正されるので、リッチ気筒があっても振幅の中央はほぼF/G値=1のレベルに制御される。
F/G値の波形のピークが現れるクランク角は、異常気筒がどの気筒であるかに応じて異なる。ここで、本実施形態では#6気筒のみがリッチである場合と、#8気筒のみがリッチである場合には、リッチ気筒の影響が比較的鋭敏に現れるのに対し、#2気筒または#4気筒の一方のみがリッチである場合にはピークが低くなっている。これは、リッチ気筒からの排出ガスの波形に、#2、#4のうちの他方の気筒からの排出ガスの波形が重畳されるためと考えられる。
本実施形態では、気筒間の空燃比のインバランスを検出するための空燃比インバランス検出処理が実行される。空燃比のインバランスが生じた場合、A/Fセンサ5の検出値の振幅が大きくなるため、検出値の微分値ないし傾きが絶対値で大きくなる。このため、本実施形態における空燃比インバランス検出処理では、A/Fセンサ5の検出値の現在値と前回値(直前の検出タイミングにおける検出値)との偏差△A/Fの絶対値を、所定のサイクル数にわたって累計し、累計値Σ|△A/F|が予め定められた基準値を上回った場合に空燃比インバランスありと判定する。そして本実施形態では、燃焼間隔が最短である2つの気筒についてのA/Fセンサ5の出力が選択されると共に、当該選択された出力の所定のサイクル数にわたるばらつきに基づいて、当該出力が前記2つの気筒のいずれのものであるかが判別される。
このような空燃比インバランス検出処理について、以下に説明する。図2において、ECU10は、まず気筒間空燃比インバランス検出を実行するための前提となる検出条件が成立しているかを判断する(S10)。ここで用いられる検出条件は、例えば、エンジン1を冷却するための冷却水の温度(この温度は、エンジン1の温度を代表している)が所定温度(例えば、75°C)以上であって、且つ、機関回転数が所定範囲(例えば、1200rpm〜2000rpm)内であって、且つ、吸気量が所定範囲(例えば、10g/sec〜20g/sec)内であって、且つ、A/Fセンサ5の温度が活性温度以上であって、且つ、大気圧が所定値(例えば、75kPa)以上であることである。検出条件が成立していない場合には処理がリターンされる。
検出条件が成立している場合には、次にA/Fセンサ5の検出値が読み込まれ(S20)、次に、検出値の前回値(直前の検出タイミングにおける検出値)との偏差△A/Fが算出される(S30)。検出は1サイクルにつき数回から十数回程度(例えば90°CAごと)の頻度で、一定のクランク角ごとに行われる。ステップS20及びS30の処理は、所定のサイクル数(例えば、300サイクル)にわたって繰返し行われる(S40)。
所定のサイクル数にわたる取得が終了すると、次にECU10は、取得された偏差△A/Fの絶対値の累計値Σ|△A/F|を、予め定められた基準値と比較することで、空燃比インバランスの有無を判定する(S50)。ここで用いられる基準値は固定値でも、走行状態(例えばエンジン回転数と要求負荷)に基づいて動的に取得される値であってもよい。例えば、エンジン回転数と要求負荷が大きいほど、基準値を小さくすることができる。ステップS50で肯定、すなわち累計値Σ|△A/F|が基準値未満である場合には、処理がリターンされる。
ステップS50で否定、すなわち空燃比インバランスが存在する場合には、次に、インバランスの原因がどの気筒にあるかを特定するために、「#6」「#8」「#2及び#4」のそれぞれにつき、空燃比を推定する(S60)。A/Fセンサ5によって検出される空燃比の検出値は全気筒につき共通であるが、ある時点でA/Fセンサ5に到達している排出ガスがどの気筒からのものであるかは、クランク角センサ6によって検出される現在のクランク角、及びエアフローメータ7によって検出される吸入空気量に基づいて、所定のマップの参照により概ね推定することができる。すなわち、「#6」「#8」「#2及び#4」のそれぞれについて、排出ガスがA/Fセンサ5に到達するクランク角領域が、当該所定のマップの参照により特定でき、ステップS60では、そのような各クランク角領域内における検出空燃比の所定のサイクル数にわたる平均値が、「#6」「#8」「#2及び#4」のそれぞれの推定空燃比として算出される。他方、ここでは「#2及び#4」についての空燃比は共通の値として推定され、異常気筒がこれら「#2及び#4」のどちらであるかはここでは特定されない。
次に、推定された空燃比に基づいて、#6気筒の空燃比が許容範囲内であるかを判定し(S70)、許容範囲外(リッチ又はリーン)の場合には#6気筒異常判定を行う(S110)。また、#8気筒の空燃比が許容範囲内であるかを判定し(S80)、許容範囲外(リッチ又はリーン)の場合には#8気筒異常判定を行う(S120)。ステップS70及びS80でいずれも否定の場合には、#2又は#4気筒異常判定を行う(S90)。そして、異常気筒がこれら「#2又は#4」のどちらであるかを判定するために、#2#4間判別処理に移行する(S100)。なお、ステップS100、S110及びS120における異常判定は、異常である気筒を特定する情報(「#6」「#8」「#2及び#4」のいずれか)と、異常の種類(リッチ又はリーン)の情報とを、ECU10の所定の記憶領域に記憶する処理である。
ステップS100での#2#4間判別処理の内容は、図3に示されている。まず、先に取得されているNサイクル(例えば、300サイクル)分の空燃比の値を用いて、サンプリング時点i(i=1〜M)ごとに、空燃比の分散値σ_iを算出する(S210)。算出は次の数式に従う。
Figure 0005590006
ここで、AFaveは当該サンプリング時点iについてのNサイクル分の空燃比の平均値である。
次に、分散値σ_iの全サンプリング時点の平均値σを算出する(S220)。
そして、算出された分散値の平均値σを、予め定められた基準値σthと比較し、基準値σthを上回っているかを判断する(S230)。この基準値σthは固定値でも、エンジン回転数Neや要求負荷KLに基づいて動的に定められてもよい。例えば、図7に示されるように、エンジン回転数Neと要求負荷KLが大きいほど、基準値σthを小さくすることができる。
ステップS230で肯定、すなわち分散値の平均値σが基準値σthを上回っている場合には、#4気筒につき空燃比異常と判定する(S240)。ステップS230で否定、すなわち分散値の平均値σが基準値σth以下である場合には、#2気筒につき空燃比異常と判定する(S250)。これらの判定結果は、ECU10の所定の記憶領域に記憶される。
以上の処理により、本実施形態では、ステップS100において検出された種類(リッチ又はリーン)の異常の存在する気筒が「#2及び#4」のどちらであるかが特定される。
以上のとおり、本実施形態では、A/Fセンサ5の検出点への排出ガスの到達タイミングの間隔が最短である2つの気筒(#2,#4)について、当該2つの気筒のいずれかに空燃比の異常が生じているかを検出(S50〜S90)し、異常が生じている場合に、当該2つの気筒についてのA/Fセンサ5出力のばらつきに基づいて、当該異常が前記2つの気筒のいずれに起因するかを判別する(S230)。図5に示されるように、当該2つの気筒のうち排出ガスが先に到来するもの(#4気筒)からの排気(とくに、ブローダウンと呼ばれる初期の排気であって、排気弁が開いた瞬間に筒内圧力と排気マニホールド内との圧力差によって排出されるガス)は、他の気筒からの排気と混じらず流速が遅い。これに対し、排出ガスが後に到来するもの(#2気筒)からの排気は、排出ガスの到達タイミングの間隔の短さに起因して前者(#4気筒)からの排気(とくに、ピストンが上昇し排気マニホールドに押し出される主流)と混じるため、排気流量及び流速が相対的に大きくなる。他方、図6に示されるように、本発明者らの実験によれば、一般に、流量が少なく流速が遅いほど、排気通路内の排出ガスの流れが不安定となり、検出値のばらつきが大きくなる(一点鎖線a,bで囲んだ領域。同様の傾向は他の全てのクランク角領域においても観察できた)。したがって、本実施形態では、検出された排出ガスの空燃比にリッチ又はリーンのインバランス異常がある場合に、当該2つの気筒からの空燃比出力のばらつきの値に基づいて、当該異常が当該2つの気筒のいずれに起因するかを好適に判別することができる。
また本実施形態では、前記ばらつきに関連すなわち相関する値である空燃比の分散値を、所定のしきい値と比較することによって前記判別を行うので、簡易な構成によって本発明に所期の効果を得ることができる。
本発明の実施形態は前述の実施形態のみに限らず、特許請求の範囲によって規定される本発明の思想に包含されるあらゆる変形例や応用例、均等物が本発明に含まれる。従って本発明は、限定的に解釈されるべきではなく、本発明の思想の範囲内に帰属する他の任意の技術にも適用することが可能である。
例えば、上記実施形態における気筒間空燃比インバランス検出の方法ないし手順は上記のものに限られず、片バンクの「#6」「#8」「#2及び#4」の空燃比を個別に推定すると共に、各気筒の空燃比と他の2つの気筒(または気筒ペア)の空燃比の平均値との偏差を算出し、この偏差と、予め定められた基準値(固定値であっても、エンジン回転数や負荷などの運転条件に応じて動的に定められてもよい)とを比較し、偏差が基準値を上回った場合に、気筒間空燃比インバランスと判定してもよい。
また上記実施形態ではBバンク1Bについて本発明を適用した例について説明したが、Aバンク1Aについても同様に本発明を適用することができる。燃焼が#18736542の順番で行われるため、この適用において気筒間の判別は#7気筒と#3気筒との間で実行されることになる。
さらに、本発明は、気筒から排気集合部までの枝管(ブランチ)の長さが一定でない場合のように、空燃比センサの検出点への排出ガスの到達タイミングの間隔が不均等であるエンジンに広く適用でき、気筒間で燃焼間隔が一定なエンジンについても適用することが可能である。また本発明は3つ以上の特定気筒の間における異常気筒の判別にも適用することができ、かかる構成も本発明の範疇に属するものである。
1 内燃機関
1A Aバンク
1B Bバンク
2 排気マニホールド
3 集合部
4 触媒
5 A/Fセンサ
6 クランク角センサ
10 電子制御ユニット(ECU)

Claims (2)

  1. 多気筒内燃機関の排気通路における集合部または当該集合部よりも下流側に設置された空燃比センサを備えた内燃機関の制御装置において、
    前記空燃比センサの検出点への排出ガスの到達タイミングの間隔が最短である2つの気筒について、当該2つの気筒のいずれかに空燃比の異常が生じているかを検出する異常検出手段と、
    当該2つの気筒のいずれかに空燃比の異常が生じている場合に、当該2つの気筒についての前記空燃比センサの出力のばらつきに基づいて、当該異常が前記2つの気筒のいずれに起因するかを判別する判別手段と、
    を備えたことを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 請求項1に記載の内燃機関の制御装置において、
    前記判別手段は、前記ばらつきに関連する値を所定のしきい値と比較することによって前記判別を行うことを特徴とする内燃機関の制御装置。
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