JP5741499B2 - 空燃比ばらつき異常検出装置 - Google Patents

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Description

本発明は、多気筒内燃機関において気筒間空燃比のばらつき異常を検出するための装置に係り、特に、気筒間の空燃比が比較的大きくばらついていることを検出する装置に関する。
一般に、触媒を利用した排気浄化システムを備える内燃機関では、排気中有害成分の触媒による浄化を高効率で行うため、内燃機関で燃焼される混合気における空気と燃料との混合割合、すなわち空燃比のコントロールが欠かせない。こうした空燃比の制御を行うため、内燃機関の排気通路に空燃比センサを設け、これによって検出された空燃比を所定の目標空燃比に一致させるようフィードバック制御を実施している。
この空燃比フィードバック制御では通常、全気筒に対し同一の制御量が用いられる。このため、これを実行したとしても実際の空燃比が気筒間でばらつくことがある。このときばらつきの程度が小さければ、触媒で排気中有害成分を浄化処理可能なので、排気エミッションに顕著な影響を与えず、特に問題とならない。
しかし、例えば一部の気筒の燃料噴射系が故障するなどして、気筒間の空燃比が大きくばらつくと、各気筒の空燃比が目標の空燃比から大きく外れることになるため、排気エミッションを悪化させてしまい、問題となる。このような排気エミッションを悪化させる程の大きな空燃比ばらつきは、異常として検出するのが望ましい。特に自動車用内燃機関の場合、排気エミッションの悪化した車両の走行を未然に防止するため、気筒間空燃比ばらつき異常を車載状態(オンボード)で検出することが要請されており、最近ではこれを法規制化する動きもある。
例えば特許文献1に記載の装置では、排気集合部に設けられた空燃比センサの出力を利用し、検出された空燃比の変動(例えば、単位時間あたりの変化量)に基づいて、気筒間の空燃比のばらつき異常を検出する。具体的には、検出された空燃比の変動が所定のしきい値よりも大きい場合に、気筒間の空燃比のばらつき異常があったものと判定する。
他方、特許文献2及び特許文献3に記載の装置では、排気集合部に設けられた空燃比センサの出力から、所定の関数ないし数式モデルに基づいて、各気筒の空燃比を推定している。
国際公開2011−058662号公報 特開平10−009038号公報 特開2005−188503号公報
しかし、空燃比センサの劣化、故障、不良あるいは個体差により、その応答性(例えば、入力の変化に対する応答出力の変化が所定割合に達するまでに要する時間)は必ずしも一定でない。そして特許文献1,2及び3の構成では、もし空燃比センサの応答性が異なると、同じ空燃比のばらつき度合いであっても空燃比センサの出力変動値や周波数、あるいは推定される空燃比の値が異なることとなり、空燃比のばらつき異常を正確に検出できないおそれがある。
そこで本発明は、上記の事情に鑑みて創案され、その目的は、空燃比センサの応答性にかかわらず、空燃比のばらつき異常の検出につき良好な検出精度を得ることにある。
本発明の一の態様は、
多気筒エンジンの排気管集合部または当該集合部よりも下流側に設けられた空燃比センサと、当該空燃比センサの出力を用いて空燃比の気筒間のばらつきを検出するコントローラと、を備えた空燃比ばらつき異常検出装置であって、
前記コントローラは、前記空燃比センサの出力変動値と、前記空燃比センサの出力を用いた気筒別空燃比推定モデルから得られる気筒別空燃比推定値と、に基づいて、前記空燃比センサの応答性を推定し、且つ、推定された応答性に基づいて、空燃比の気筒間のばらつきを検出することを特徴とする空燃比ばらつき異常検出装置である。
空燃比センサの出力変動値と、サイクル内の複数の検出タイミングにわたる複数のプロットを利用する気筒別空燃比推定値とは、いずれも空燃比センサの応答性に応じて変化するが、この空燃比センサの応答性の影響の程度が異なる。例えば図7に示されるように、空燃比センサの出力変動値は、空燃比センサの応答性が低下する(応答が遅くなる)ほど概ね一次関数的に低下するが、図8に示されるように、複数のプロットを利用して推定された気筒別空燃比は空燃比の変化に対して概ね二次関数的であり、空燃比センサの応答性が高い(応答が速い)領域と低い(応答が遅くなる)領域とで急峻に低下する傾向にある。このように、空燃比センサの応答性の変化の影響が互いに異なるため、これら出力変動値と推定気筒別空燃比とを用いて、空燃比センサの応答性を推定することができる。すなわち、本発明では、両者の検出時における空燃比バラつきの程度が同じであり且つ空燃比センサの応答性が同じであると仮定し、コントローラが、空燃比センサの出力変動値と、空燃比センサの出力を用いた気筒別空燃比推定モデルから得られる気筒別空燃比推定値と、に基づいて、空燃比センサの応答性を推定する。そして、推定された応答性に基づいて、空燃比の気筒間のばらつきを検出する。したがって本発明では、空燃比センサの応答性にかかわらず、空燃比のばらつき異常の検出につき良好な検出精度を得ることができる。
本発明の実施形態に係る内燃機関の概略図である。 触媒前センサおよび触媒後センサの出力特性を示すグラフである。 空燃比センサ出力の変動を示すタイムチャートである。 図3のV部に相当する拡大図である。 各気筒にインバランスが存在する場合における触媒前センサの出力波形を示すグラフである。 各気筒にインバランスが存在する場合における気筒別当量比推定値の分布を示すグラフである。 触媒前センサの応答性と出力変動値との関係を示すグラフである。 触媒前センサの応答性と気筒別空燃比推定値との関係を示すグラフである。 ばらつき異常検出処理のルーチンを示すフローチャートである。 温度補正のための補正係数マップの設定例を示す表である。
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づき説明する。
図1に、本実施形態に係る内燃機関を概略的に示す。図示される内燃機関(エンジン)10は直列4気筒ガソリンエンジンである。各気筒#1〜#4に、インジェクタ2が設けられている。インジェクタ2は、いわゆる均質燃焼を実現するよう、対応気筒の吸気通路特に吸気ポート6内に向けて燃料を噴射する。インジェクタは筒内噴射用、すなわち気筒内に直接噴射する形式であってもよい。
吸気を導入するための吸気通路7は、前記吸気ポート6の他、集合部としてのサージタンク8と、各気筒の吸気ポート6およびサージタンク8を結ぶ複数の吸気マニホールド9と、サージタンク8の上流側の吸気管10とを含む。吸気管10には、上流側から順にエアフローメータ11と電子制御式スロットルバルブ12とが設けられている。エアフローメータ11は吸気流量に応じた大きさの信号を出力する。各気筒には、筒内の混合気に点火するための点火プラグ13が設けられる。
排気ガスを排出するための排気通路14は、各気筒の排気ポート15と、これら排気ポート15の排気ガスを集合させる排気マニホールド16と、排気マニホールド16の下流端に接続する排気管17とを含む。そして排気管17の上流側と下流側にはそれぞれ三元触媒からなる触媒、すなわち上流触媒18と下流触媒19が直列に設けられている。排気通路14の集合部又はその下流であって、上流触媒18の上流側及び下流側に、それぞれ排気ガスの空燃比を検出するための空燃比センサ、即ち触媒前センサ20及び触媒後センサ21が設置されている。これらセンサ20,21は、排気中の酸素濃度に基づいて空燃比を検出する。このように、排気通路14には全気筒につき共通のセンサ20,21が設置されている。
上述のインジェクタ2、スロットルバルブ12及び点火プラグ13等は、コントローラとしての電子制御ユニット(以下ECUと称す)100に電気的に接続されている。ECU100は、何れも図示されないCPU、ROM、RAM、入出力ポート、および記憶装置を含む。ECU100には、図示されるように、前述のエアフローメータ11、触媒前センサ20、触媒後センサ21のほか、エンジン1のクランク角を検出するためのクランク角センサ22、アクセル開度を検出するためのアクセル開度センサ23、エンジン1の冷却水の温度を検出するための水温センサ24、及びその他の各種センサが、図示されないA/D変換器を介して電気的に接続されている。ECU100は、各種センサの検出値に基づいて、所望の出力が得られるように、インジェクタ2、スロットルバルブ12及び点火プラグ13を含む各種アクチュエータを制御し、燃料噴射量、燃料噴射時期、スロットル開度、点火時期等を制御する。またECU100は、クランク角センサ22の出力に基づきエンジン1のクランク角を検出すると共に、エンジンの回転速度を算出する。
触媒前センサ20は、所謂広域空燃比センサからなり、比較的広範囲に亘る空燃比を連続的に検出可能である。図2に触媒前センサ20の出力特性を示す。図示するように、触媒前センサ20は、排気ガスの空燃比に比例した大きさの電圧信号Vfを出力する。排気空燃比がストイキ(理論空燃比、例えばA/F=14.6)であるときの出力電圧はVreff(例えば約3.3V)である。
他方、触媒後センサ21は所謂O2センサからなり、ストイキを境に出力値が急変する特性を持つ。図2に触媒後センサ21の出力特性を示す。図示するように、排気ガスの空燃比がストイキであるときの出力電圧、すなわちストイキ相当値はVrefr(例えば0.45V)である。触媒後センサ21の出力電圧は所定の範囲(例えば0〜1(V))内で変化する。排気空燃比がストイキよりリーンのとき、触媒後センサの出力電圧はストイキ相当値Vrefrより低くなり、排気空燃比がストイキよりリッチのとき、触媒後センサの出力電圧はストイキ相当値Vrefrより高くなる。
上流触媒18及び下流触媒19は、それぞれに流入する排気ガスの空燃比A/Fがストイキ近傍のときに排気中の有害成分であるNOx、HCおよびCOを同時に浄化する。この三者を同時に高効率で浄化できる空燃比の幅(ウィンドウ)は比較的狭い。
上流触媒18に流入する排気ガスの空燃比がストイキ近傍に制御されるように、空燃比フィードバック制御(ストイキ制御)が、ECU100により実行される。この空燃比フィードバック制御は、触媒前センサ20によって検出された排気空燃比を所定の目標空燃比であるストイキに一致させるような主空燃比制御(主空燃比フィードバック制御)と、触媒後センサ21によって検出された排気空燃比をストイキに一致させるような補助空燃比制御(補助空燃比フィードバック制御)とからなる。
主空燃比制御及び補助空燃比制御のいずれにおいても、検出された空燃比が目標空燃比であるストイキよりもリッチである間には、空燃比フィードバック補正係数γとして、燃料噴射量を徐々に減量する値が与えられる。検出された空燃比がリーンに変わったときには、応答性向上のために、空燃比フィードバック補正係数γとして、燃料噴射量を増量する値がスキップ的に与えられる。
逆に、検出された空燃比が目標空燃比であるストイキよりもリーンである間には、空燃比フィードバック補正係数γとして、燃料噴射量を徐々に増量する値が与えられる。検出された空燃比がリッチに変わったときには、応答性向上のために、空燃比フィードバック補正係数γとして、燃料噴射量を減量する値がスキップ的に与えられる。このようにして、空燃比を常に目標空燃比に維持すべく、空燃比フィードバック補正係数γが生成される。
さらに、フィードバック制御に反映させるための空燃比学習処理が、ECU100により実行される。この空燃比学習処理では、ECU100は、機関空燃比と理論空燃比との間の定常的なずれを補償するための空燃比学習値を、空燃比フィードバック補正量に基づいて学習し、その学習される空燃比学習値をフィードバック処理に反映させる。例えば、リッチからリーンへの反転時の空燃比フィードバック係数の最新の記憶値と、リーンからリッチへの反転時の空燃比フィードバック係数の最新の記憶値との平均値から、所定の基準値が減算され、偏差に所定の学習ゲインG(0<G<1)を乗じた値が、現在の学習値に加算される。
さて、例えば全気筒のうちの一部の気筒のインジェクタが故障し、気筒間に空燃比のばらつき(インバランス:imbalance)が発生したとする。例えば#1気筒が他の#2〜#4気筒よりも燃料噴射量が多くなり、#1気筒の空燃比が他の#2〜#4気筒の空燃比よりも大きくリッチ側にずれる場合である。このとき、全気筒について、前述の空燃比フィードバック制御により比較的大きな補正量を与えれば、トータルガスの空燃比をストイキに制御できる場合がある。しかし、気筒別に見ると、#1気筒がストイキより大きくリッチ、#2,#3,#4気筒がストイキよりリーンであり、全体のバランスとしてストイキとなっているに過ぎず、エミッション上好ましくないことは明らかである。そこで本実施形態では、かかる気筒間空燃比ばらつき異常を検出する処理が実装されている。
図3はエンジン1における空燃比センサ出力の変動を示す。図示するように、空燃比センサによって検出される排気空燃比A/Fは、1エンジンサイクル(=720°CA)を1周期として周期的に変動する傾向にある。そして気筒間空燃比ばらつきが発生すると、1エンジンサイクル内での変動が大きくなる。(B)の空燃比線図a,b,cはそれぞればらつき無し、1気筒のみ20%のインバランス割合でリッチずれ、及び1気筒のみ50%のインバランス割合でリッチずれの場合を示す。見られるように、ばらつき度合いが大きくなるほど空燃比変動の振幅が大きくなる。
ここでインバランス割合(%)とは、気筒間空燃比のばらつき度合いを表すパラメータである。即ち、インバランス割合とは、全気筒のうちある1気筒のみが燃料噴射量ズレを起こしている場合に、その燃料噴射量ズレを起こしている気筒(インバランス気筒)の燃料噴射量がどれくらいの割合で、燃料噴射量ズレを起こしていない気筒(バランス気筒)の燃料噴射量即ち基準噴射量からズレているかを示す値である。インバランス割合をIB、インバランス気筒の燃料噴射量をQib、バランス気筒の燃料噴射量即ち基準噴射量をQsとすると、IB=(Qib−Qs)/Qsで表される。インバランス割合IBが大きいほど、インバランス気筒のバランス気筒に対する燃料噴射量ズレが大きく、空燃比ばらつき度合いは大きい。
[空燃比センサの出力変動値の検出]
上記の説明から理解されるように、空燃比ばらつき異常が発生すると、空燃比センサ出力の変動が大きくなる。ここで、ばらつき異常の種類としては、1気筒の燃料噴射量がリッチ側(過剰側)にずれているリッチずれ異常と、1気筒の燃料噴射量がリーン側(過少側)にずれているリーンずれ異常とがある。本実施形態では、リッチずれ異常を空燃比センサ出力変動に基づいて検出する。但し、リーンずれ異常を検出してもよく、また、リッチずれ異常およびリーンずれ異常を区別せず、広くばらつき異常を検出してもよい。
リッチずれ異常の検出に際しては、空燃比センサ出力の変動度合いに相関するパラメータである空燃比変動パラメータを算出すると共に、この空燃比変動パラメータを所定の異常判定値と比較して異常を検出する。ここで異常検出は、空燃比センサである触媒前センサ20の出力を用いて行う。
以下、空燃比変動パラメータの算出方法を説明する。図4は、図3のV部に相当する拡大図であり、特に1エンジンサイクル内の触媒前センサ20の出力の変動を示す。触媒前センサ出力としては、触媒前センサ20の出力電圧Vfを空燃比A/Fに換算した値を用いる。但し触媒前センサ20の出力電圧Vfを直接用いることも可能である。
(B)図に示すように、ECU100は、1エンジンサイクル内において、所定のサンプル周期τ(単位時間、例えば4ms)毎に、触媒前センサ出力A/Fの値を取得する。そして今回のタイミング(第2のタイミング)で取得した値A/Fnと、前回のタイミング(第1のタイミング)で取得した値A/Fn-1との差ΔA/Fnの絶対値を次の式(1)により求める。この差ΔA/Fnは、今回のタイミングにおける微分値あるいは傾きと言い換えることができる。
Figure 0005741499
最も単純には、この差ΔA/Fnが触媒前センサ20の出力変動を表す。変動度合いが大きくなるほど空燃比線図の傾きが大きくなり、差ΔA/Fnが大きくなるからである。そこで所定の1タイミングにおける差ΔA/Fnの値を空燃比変動パラメータとすることができる。
但し、本実施形態では精度向上のため、複数の差ΔA/Fnの平均値を出力変動値として用いる。本実施形態では、1エンジンサイクル内において、各検出タイミング毎に差ΔA/Fnを積算し、最終積算値をサンプル数Nで除し、1エンジンサイクル内の差ΔA/Fnの平均値を求める。そしてさらに、Mエンジンサイクル分(例えばM=100)だけ差ΔA/Fnの平均値を積算し、最終積算値をサイクル数Mで除し、Mエンジンサイクル内の差ΔA/Fnの平均値を求める。なお、触媒前センサ20の出力変動の度合いが大きいほど、差ΔA/Fnの平均値は大きくなる。
なお、触媒前センサ出力A/Fは増加する場合と減少する場合とがあるので、これら各場合の一方についてだけ上記差ΔA/Fnあるいはその平均値を求め、これを変動パラメータとすることができる。特に1気筒のみリッチずれの場合、当該1気筒に対応した排気ガスを触媒前センサが受けた時にその出力が急速にリッチ側に変化(すなわち急減)するので、減少側のみの値をリッチずれ検出のために用いることも可能である(リッチインバランス判定)。この場合には、図4のグラフにおける右下がりの領域のみを、リッチずれ検出のために利用することになる。一般にリーンからリッチへの移行は、リッチからリーンへの移行よりも急峻に行われる場合が多いため、この方法によればリッチずれを精度よく検出することが期待できる。もっとも、これに限定されず、増加側の値のみを用いること、あるいは、減少側と増加側の双方の値を用いる(差ΔA/Fnの絶対値を積算し、この積算値をしきい値と比較することで)ことも可能である。
[推定モデルを用いた気筒別空燃比推定]
他方、本実施形態では、空燃比センサである触媒前センサ20の出力を用いた推定モデルによる気筒別空燃比推定が実行される。ここで推定モデルは、触媒前センサ20の検出値に基づいて各気筒の空燃比を推定する数式モデルである。具体的には、推定モデルは、排気集合部における触媒前センサ20の検出値を、1サイクル内の複数の異なるクランク角において読み込み、各クランク角における検出値にそれぞれ所定の係数を乗じた値を、1サイクル(720°CA)に亘って加算するものである。検出値の読み込みは等クランク角ごとに(本実施形態では90°CAごとに)行われる。各係数は、要求負荷KL及びエンジン回転数NEに応じて異なる値が、それぞれマップで定められている。より具体的には、各気筒の空燃比のモデルは次の(2)式にて近似する。この(2)式は気筒数と同じ数(4気筒エンジンであれば4個)用意されている。
Figure 0005741499
ここでiは気筒番号(i=1,2,3,4)、φsi(k)はkサイクル目のi番気筒の当量比推定値、φs (r)(k)はクランク角90°CA毎の集合部当量比計測値、Pi1~4はKL,NEのマップよりロードされる係数である。
図5に示されるように、インバランス時の触媒前センサ20の出力波形では、インバランスがどの気筒に存在するかに応じて、ピーク位置の位相が異なる(図5において「#1R」「#2R」「#3R」「#4R」とは、それぞれ#1気筒、#2気筒、#3気筒、#4気筒がリッチである場合を示す)。したがって、本実施形態のように1サイクルあたり複数の検出値を取得すると共に、取得された複数の検出値を注目する気筒ごとに異なるセットの係数によって乗じて加算することにより、空燃比の傾きだけでなく位相の情報をも結果的に利用して、各気筒の空燃比を適切に推定することができる。図6はそれぞれ#1気筒、#2気筒、#3気筒、#4気筒がリッチである場合の気筒別当量比推定値の分布を示す。このようにして算出された気筒別の当量比で、理論空燃比を除することによって、気筒別の空燃比を算出することができる。
[空燃比ばらつき異常検出]
上述した触媒前センサ20の出力変動値と、推定モデルを用いて推定された気筒別空燃比とでは、触媒前センサ20の応答性変化の影響が異なる。例えば図7に示されるように、触媒前センサ20の出力変動値は、触媒前センサ20の応答性が低下する(応答が遅くなる)ほど概ね一次関数的に低下するが、図8に示されるように、気筒別空燃比推定モデルを用いて推定された気筒別空燃比は、触媒前センサ20の応答性に対して概ね二次関数的であり、触媒前センサ20の応答性が高い(応答が速い)領域と低い(応答が遅くなる)領域とで低下する傾向にある。なお、応答性を示すパラメータとしては、例えばいわゆる63%応答時間(センサ位置における空燃比のステップ的な変動時点からセンサ出力が63%応答するまでの時間)を用いることができる。このように、出力変動値と推定気筒別空燃比とでは、触媒前センサ20ないし空燃比センサの応答性の変化の影響が互いに異なるため、これら出力変動値と推定気筒別空燃比とを用いて、触媒前センサ20の応答性を推定することができる。
図9は、本実施形態における空燃比ばらつき異常検出処理のルーチンを示す。この空燃比ばらつき異常検出処理は、上述した触媒前センサ20の出力変動値と、気筒別空燃比推定モデルを用いて推定された気筒別空燃比とを利用して、触媒前センサ20の応答性を推定する点を特徴としている。ばらつき異常検出処理はECU100によって、所定の算出タイミング、例えば4ms毎に実行される。当該処理の実行を1トリップにつき複数回行うことにより、複数回の実行の間における検出条件の違いが少ないため精度を向上することができる。
まずECU100は、前提条件が成立しているかを判断する(S110)。この前提条件としては、以下の(i)から(v)のうち1又は複数のものを用いることができる。
(i)触媒前センサ20が活性化済み
(ii)エンジン水温が所定温度以上(例えば75°C以上)
(iii)吸入空気量が所定範囲内(例えば10g/s以上かつ30g/s以下)
(iv)エンジン回転数が所定範囲内(例えば1000rpm以上かつ3000rpm以下)
(v)出力補正係数が算出済みである。
ここで出力補正係数とは、次に行われる温度補正のための補正係数である。この温度補正は、燃料カット運転中の触媒前センサ20の出力電流値を利用し、この出力電流値と、触媒前センサ20の温度と相関のあるアドミタンス(抵抗値の逆数)とに基づいて行われる。具体的には、予め作成された図10に示されるような温度補正マップを、当該トリップにおける燃料カット運転中に、触媒前センサ20の出力電流値とアドミタンス値によって参照することによって補正係数の値を読み出すものである。
前提条件が成立している場合には、空燃比の検出に先立って、触媒前センサ20の温度補正が行われる(S120)。この温度補正は、次の式(3)によって行われる。
補正後A/F出力=補正係数×(補正前A/F出力−14.6)+14.6 …(3)
この温度補正によって、温度による影響を排除した状態でばらつき異常の判定が実行できるため、判定の精度を向上することができる。
次に、サンプル間隔ごとの出力変動処理が実行される(S130)。ここでの処理は、傾き算出処理に関連する上述の式(1)によるΔA/Fnの算出と、気筒別空燃比推定処理に関連する触媒前センサ20の出力データのサンプリング及び保存である。ステップS120およびS130の処理は、1サイクル(720°CA)の運転が終了するまで繰返し実行される(S140)。
1サイクルの運転が終了すると、次に、サイクルごとの出力変動処理が実行される(S150)。ここでの処理は、傾き算出処理に関連する差ΔA/Fnの1エンジンサイクル内の平均値の算出と、気筒別空燃比推定処理に関連する上述の式(2)による各気筒の空燃比の算出である。各気筒の空燃比の算出に用いられる所定の係数は、エアフローメータ11及びアクセル開度センサ23によって検出される要求負荷KL、及びクランク角センサ22によって検出されるエンジン回転数NEに応じて、上述したマップの参照により決定される。ステップS120からS150までの処理は、所定の複数サイクルの運転が終了するまで、繰返し実行される(S160)。
所定の複数サイクルの運転が終了すると、次に、センサ応答性の算出と、インバランス割合の算出とが行われる(S170)。
センサ応答性の算出は、ステップS150で算出されたMサイクル内の差ΔA/Fnの平均値と、上述の式(2)による各気筒の推定空燃比と、を入力変数とする所定の関数hによって行われる。この所定の関数hは次のようにして導出される。すなわち、インバランス割合は、出力変動(傾き)の値としてのMサイクル内の差ΔA/Fnの平均値と、センサ応答性とを入力変数とする関数fとして、次の式(4)によって表すことができる。
インバランス割合IBa=f(出力変動(傾き)、A/Fセンサ応答性) …(4)
他方、インバランス割合は、気筒別空燃比推定値と、センサ応答性とを入力変数とする関数gとして、次の式(5)によって表すこともできる。
インバランス割合IBb=g(#i気筒A/F推定値、A/Fセンサ応答性) …(5)
そこで、このような式(4)及び(5)を予め準備しておくと共に、関数f=関数gの関係を利用した式変形により、出力変動(傾き)すなわちMサイクル内の差ΔA/Fnの平均値と、#i気筒A/F推定値と、を入力変数とする所定の関数hを、次の式(6)のように算出する。
A/Fセンサ応答性=h(出力変動(傾き)_今回算出値、#i気筒A/F推定値_今回算出値) …(6)
そして、温度補正(S120)を実施した所定サイクル間のデータを利用して、今回算出された出力変動(傾き)、及び#i気筒A/F推定値を式(6)の関数hにそれぞれ代入することで、A/Fセンサ応答性の値を得ることができる。なお、この関数hには、全気筒の推定空燃比を用いてもよく、あるいは全気筒の平均値から最も外れた気筒の推定空燃比を用いてもよい。
そしてインバランス割合は、Mサイクル内の差ΔA/Fnの平均値を、算出されたセンサ応答性に基づいて所定の関数によって補正することによって算出する。この補正は、応答性補正係数の乗算によって行われ、この応答性補正係数は例えば、センサ応答性を示す63%応答時間の値が大きい(応答が遅い)ほど大きい値とするのが好適である。すなわち、センサ応答性に基づく補正は、センサ応答性が悪いほど、空燃比ばらつき異常検出の感度を増大させるように行うことができる。
次に、空燃比ばらつき異常の判定が行われる(S180)。この空燃比ばらつき異常の判定は、例えば、ステップS170で算出されたインバランス割合を所定の異常判定値Xと比較することによって行われ、インバランス割合が所定の異常判定値以上であれば異常あり(S190)と判定され、インバランス割合が異常判定値より小さければ異常なし(S200)、即ち正常と判定される。正常と異常の境目であるクライテリアは、例えば60(%)である。
次に、触媒前センサ20の応答性異常の判定が行われる(S210)。この応答性異常の判定は、例えば、ステップS170で算出されたセンサ応答性の値を所定の異常判定値と比較することによって行われ、応答性が所定の異常判定値以上であれば異常あり(S210)と判定され、応答性が異常判定値より小さければ異常なし(S220)、即ち正常と判定される。
以上詳述したとおり、本実施形態では、ECU100が、触媒前センサ20の出力変動値であるMサイクル内の差ΔA/Fnの平均値と、触媒前センサ20の出力を用いた気筒別空燃比推定モデルから得られる気筒別空燃比推定値と、に基づいて、触媒前センサ20の応答性を推定する(S170)。そして、推定された応答性に基づいて、空燃比の気筒間のばらつきを検出する(S180〜S200)。したがって本実施形態では、触媒前センサ20の応答性にかかわらず、空燃比のばらつき異常の検出につき良好な検出精度を得ることができる。
以上、本発明の好適な実施形態を詳細に述べたが、本発明の実施形態は他にも様々なものが考えられる。例えば、上記実施形態では空燃比ばらつき異常の検出を、触媒前センサ20の出力変動値に基づいて行ったが、気筒別の空燃比推定値(及び触媒前センサ20の応答性)に基づいて行っても良く、例えば各気筒の空燃比推定値と他の全気筒の空燃比推定値平均値との差分が当該他の全気筒の空燃比推定値に対してなす比率に、触媒前センサ20の応答性の値と比例する係数を乗じ、これが所定の基準値を上回っているかに基づいて空燃比ばらつき異常を検出することができる。
上記実施形態では単一のECU100が、複数の燃料噴射弁2の制御及び空燃比のばらつき異常の検出を含む一連の処理を実行したが、これらの処理は複数のプロセッサの協働により実行されても良く、その場合には当該複数のプロセッサが本発明におけるコントローラを構成することになる。
本発明ではエンジンの気筒数、形式、用途は特に限定されない。エンジンはV型あるいは水平対向型であってもよい。燃料噴射弁は吸気ポートと筒内のいずれに設けられていてもよい。ガソリンエンジンのような火花点火式内燃機関の場合、代替燃料(アルコール、CNG等の気体燃料等)の使用も可能である。本明細書における「所定の」とは、予め定められた値を広く含み、固定値のほか運転条件に応じて変更され又は動的に取得される可変値であってもよい。
本発明の実施形態は前述の実施形態のみに限らず、特許請求の範囲によって規定される本発明の思想に包含されるあらゆる変形例や応用例、均等物が本発明に含まれる。従って本発明は、限定的に解釈されるべきではなく、本発明の思想の範囲内に帰属する他の任意の技術にも適用することが可能である。
1 内燃機関
2 インジェクタ
11 エアフローメータ
18 上流触媒
19 下流触媒
20 触媒前センサ
21 触媒後センサ
22 クランク角センサ
100 電子制御ユニット(ECU)

Claims (1)

  1. 多気筒エンジンの排気管集合部または当該集合部よりも下流側に設けられた空燃比センサと、当該空燃比センサの出力を用いて空燃比の気筒間のばらつきを検出するコントローラと、を備えた空燃比ばらつき異常検出装置であって、
    前記コントローラは、前記空燃比センサの出力変動値と、前記空燃比センサの出力を用いた気筒別空燃比推定モデルから得られる気筒別空燃比推定値と、に基づいて、前記空燃比センサの応答性を推定し、且つ、推定された応答性に基づいて、空燃比の気筒間のばらつきを検出することを特徴とする空燃比ばらつき異常検出装置。
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