JP5589427B2 - カップ型ドレッサ及びツルーイング・ドレッシング方法 - Google Patents
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Description
このため、特許文献2では、上記ツルーイングを行った後に、研削砥石122の表面からダイヤモンド砥粒132を突き出すいわゆる目立てを行うためのドレッシングが行われる。
ツルーイングが終了したら、ツルア113の回転速度をツルーイング工程のときよりも低速(例えば回転速度100min−1)に設定し、砥石122の回転速度もツルーイング工程のときよりも低速に設定する。その後、砥石122の加工面134とツルア113の円周縁121との間にノズル140から砥石ドレッシング用のスラリ(遊離砥粒+水)141を供給する。この砥石122の加工面134とツルア113の円周縁121との間に介在したスラリ141によって、砥石122を構成する結合剤としてのボンド133が選択的に除去されるため、ツルーイングされた球面形状の精度を崩すことなく、砥粒132をボンド133の表面から突き出させる、いわゆる砥石122の目立て(ドレッシング)が行われる(図7(d)参照)。
また、ドレッシングの際にスラリ(遊離砥粒)141を供給するためのスラリ供給系を設けねばならず、研削装置が複雑化してしまうという問題があった。
さらに、砥石122の加工面134とツルア113の円周縁121とは密接しているため、その間にノズル140からスラリ141を良好に供給することが困難であるという問題もあった。
本発明は上記課題を解決し、簡易的な構成で、加工面が良好にドレッシングされた高精度な球面形状砥石を得ることを目的とする。また、ツルーイングにより砥粒に破砕や亀裂などの損傷を与えることなく、ツルーイングとドレッシングとを同時に行うことを目的とする。
また、砥粒の周囲の結合剤の除去が過度に進行するとその砥粒はやがて脱落し、より内部にある新しい砥粒が表面に露出することになる。砥石とカップ型ドレッサは二面の擦り合せ状態なので、砥石とカップ型ドレッサとは互いに凸と凹の球面に斬近するように磨耗が進行し、ツルーイングとドレッシングとが同時に行われることになる。このため、高精度の球面にツルーイングが行われると共に、ツルーイングとドレッシングとを別々に行う必要がない。
また、本発明では、カップ型ドレッサを構成している砥粒をドレッシングの際の遊離砥粒として利用している。従って、従来のように、スラリを供給するためのスラリ供給系をわざわざ設ける必要がない。
さらに、本発明では、ドレッシングの際の遊離砥粒としてカップ型ドレッサと砥石の接触界面から発生してくる砥粒を利用しているため、カップ型ドレッサと砥石との間に良好に遊離砥粒として利用する砥粒を供給することができ、ドレッシング性能を向上させることができる。
<実施形態>
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本実施形態の研削装置1及びその制御部の全体構成図、図2はその側面図である。図1及び図2において、2はベッド、3はベッド2上に固定されたワーク用案内台であり、このワーク用案内台3上には、ワーク用スライドテーブル4がX軸方向(トラバース送り方向)に移動可能に設置されている。
そして、ボルト18によって、カップ型ドレッサ13が成形軸スピンドル11に交換可能に装着される。
ワークとしてガラスレンズやその金型の場合には光学面としてナノメートルオーダーの厳しい表面粗さが要求されるため、砥石22として、微粒のダイヤモンド砥粒(粒度♯4000:粒径5μm)を結合剤としてレジンボンドで結合したレジンボンドダイヤモンド砥石を用いている。砥石22は、加工面34が半径R(30mm)の球面に成形される。
カップ型ドレッサ13としては、砥石22の砥粒よりも小径で、砥石22の砥粒よりも破砕性が高く、砥石22の砥粒よりも低硬度であるGC砥粒(♯8000:粒径2〜3μm)を用いている。なお、粒径としては砥石22の砥粒と同程度でもよいが、脱落した際に砥石22の砥粒間に入り込むことができることが必要である。そして、このGC砥粒は砥石22の結合剤であるレジンボンドよりも硬い。なお、カップ型ドレッサ13の結合剤としてもレジンボンドを用いている。カップ型ドレッサ13の外径は60mm、内径は20mmである。なお、砥粒としてはGC砥粒に限らず、WA等の他の一般砥粒でも上述の条件を満たすものであれば採用可能である。
ワークWを加工する場合は、加工プログラムにしたがい数値制御装置を動作させて、ワーク用スライドテーブル4をX軸方向へ、砥石用スライドテーブル24をZ軸方向へ同時2軸制御することによって、砥石22によってワークWを加工する。なお、ワークW加工時の砥石22の回転速度は、例えば10000min−1である。
カップ型ドレッサ13の砥粒保持力を砥石22の砥粒保持力よりも弱くしてあるので、図4に示すように、砥石22との接触負荷によって、カップ型ドレッサ13の砥粒37が脱落してくる。そして、この脱落した砥粒37は砥石22の砥粒32よりも小径であり砥石22の結合剤(レジンボンド)33よりも硬いため、砥石表面の砥粒32間に入り込んで砥石22の結合剤33を表面から除去する。このとき、カップ型ドレッサ13のGC砥粒等の一般砥粒は砥石22のダイヤモンド砥粒を傷つけることなく、ボンドだけを選択的に除去する。この結果、砥粒32を結合剤33の表面より突き出すことができ、砥石22のドレッシングが行われる。
つまり、本発明では、カップ型ドレッサ13を構成している砥粒37をドレッシングの際の遊離砥粒として利用している。従って、従来のように、スラリを供給するためのスラリ供給系をわざわざ設ける必要がなく、装置構造を簡略化することができる。
このとき、砥粒の回りの結合剤の除去が進行するとその砥粒はやがて脱落し、より内部にある新しい砥粒が表面に露出することになりドレッシングが行われる。砥石22とカップ型ドレッサ13は二面の擦り合せ状態なので、砥石22とカップ型ドレッサ13とは互いに凸と凹の球面に斬近するように磨耗が進行し、砥石22は球面に成形されツルーイングが行われる。これにより、ツルーイングとドレッシングとが同時に行われることになる。
例えば、ワーク支持台7に、特開2001−260023号公報に記載されているようなワークWを回転駆動するワーク軸スピンドルを設けてもよい。この場合には、ワーク軸スピンドルを成形軸スピンドル11としても利用することが可能であり、ワーク軸スピンドルにカップ型ドレッサ13を取り付けて、ツルーイング・ドレッシングを行うことができる。なお、この場合、ワークWを取り外すことなく行うことが好ましい。
Claims (3)
- 砥粒と該砥粒を結合した結合剤とからなり加工面が球面形状に形成された砥石を、前記砥石の回転軸と自らの回転軸を交差させ、前記砥石と自らを各々回転させながら面接触させて、ツルーイングおよびドレッシングを同時にするための中空円筒形状のカップ型ドレッサであって、
前記砥石の砥粒と同径もしくは前記砥石の砥粒よりも小径であり、前記砥石の砥粒よりも破砕性が高く、前記砥石の砥粒より低硬度で、前記砥石の結合剤よりも硬い砥粒を、前記砥石の砥粒保持力よりも弱い保持力で結合したことを特徴とするカップ型ドレッサ。 - 請求項1記載のカップ型ドレッサにおいて、前記カップ型ドレッサの結合剤と前記砥石の結合剤とで、結合力の異なる結合剤を用いること、結合剤率を異ならせること、結合剤の破砕性を異ならせることの少なくとも一つの手段により、前記カップ型ドレッサの砥粒保持力を前記砥石の砥粒保持力よりも弱い保持力としたことを特徴とするカップ型ドレッサ。
- 請求項1又は請求項2記載のカップ型ドレッサを用いた、砥石のツルーイングおよびドレッシングを同時にするツルーイング・ドレッシング方法であって、
前記砥石と前記カップ型ドレッサとを回転させながら面接触させ、
前記砥石の砥粒を前記カップ型ドレッサの砥粒で摩耗させることで前記砥石を球面形状に成形し、
前記砥石と前記カップ型ドレッサと接触界面にて、前記砥石との接触負荷によって前記カップ型ドレッサの砥粒を脱落させ、脱落した砥粒により前記砥石の結合剤を除去することを特徴とするツルーイング・ドレッシング方法。
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