JP2004230522A - 砥石車 - Google Patents
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Abstract
【課題】より効果的に砥石のドレッシングを行うことができる砥石車を提供する。
【解決手段】円盤状のベース部材42の一方側の面に、その周縁部に沿って複数のホルダー60をほぼ連続的に配列し、ホルダー60には基盤45が差し込まれ、基盤45上には、ドレッシング部材48が設けられ、ドレッシング部材48を回転半径方向外側に包囲する配置で砥石46を設けた。このドレッシング部材48は、砥粒100重量部に対して樹脂固形成分が0.3〜5重量部の割合で含有されるように水系ポリウレタン樹脂からなる結合剤により砥粒を保持させた成形体から構成されている。
【選択図】 図1
【解決手段】円盤状のベース部材42の一方側の面に、その周縁部に沿って複数のホルダー60をほぼ連続的に配列し、ホルダー60には基盤45が差し込まれ、基盤45上には、ドレッシング部材48が設けられ、ドレッシング部材48を回転半径方向外側に包囲する配置で砥石46を設けた。このドレッシング部材48は、砥粒100重量部に対して樹脂固形成分が0.3〜5重量部の割合で含有されるように水系ポリウレタン樹脂からなる結合剤により砥粒を保持させた成形体から構成されている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、平面研削盤、研磨装置等に使用される砥石車に関するものであり、より詳しくは、セルフドレッシング機能(自己目立て機能)を備えた砥石車に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、ダイヤモンドや立方晶窒化硼素(CBN)等の超砥粒を含む砥石(超砥粒砥石という)を円盤状のベース部材に固定した砥石車や、カセット嵌め込み式の砥石をベース部材に着脱自在に配置した砥石車は一般に知られている。
【0003】
砥石車は、砥石に目詰まりや目つぶれが生じると著しく研削機能が低下する。そのため、研削機能を維持するために必要に応じて砥石の目立て(ドレッシング)を行うことが要求される。そこで、例えば、特許文献1には、A砥粒(酸化アルミナ(Al2O3)を主成分とする砥粒)やC砥粒(炭化珪素(SiC)を主成分とする砥粒)等の遊離砥粒を混入したドレッシング液を必要に応じて砥石と加工物との間に供給することにより、研磨作業中に砥石をドレッシングできるように構成された研削盤が提案されている。
【0004】
この研削盤によると、加工中に多くの遊離砥粒を砥石に供給することが可能であり、砥石をドレッシングする上で有効であるが、研削盤に研削液とは別にドレッシング液を供給するための設備が必要となるため装置の大型化、高コスト化を助長するという欠点がある。
【0005】
そこで、より簡単な構成として、例えば、特許文献2に、A砥粒等の一般砥粒を含む砥石(一般砥粒砥石)と超砥粒砥石とを周方向に交互に配列し、加工中に一般砥粒砥石から脱落した砥粒(遊離砥粒)によって超砥粒砥石をドレッシングし得るようにしたセルフドレッシング機能(自己目立て機能)を備えた砥石車が提案されている。
【0006】
【特許文献1】
特開昭61―226260号公報(請求項1等)
【特許文献2】
特開2000―42930号公報(請求項1等)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、遊離砥粒は砥石車の回転による遠心力により外側に運ばれるため、上記のような砥石車の構成では、超砥粒砥石のうち砥石車の中心に近い部分では殆どドレッシング効果が期待できなかった。また、加工に伴い発生する遊離砥粒は決してドレッシング効果を満足し得る量ではなく、しかも、上記のように一般砥粒砥石と超砥粒砥石とが周方向に交互に配列されているので、砥石から脱落した遊離砥粒のうち超砥粒砥石のドレッシングに寄与することなく遠心力で砥石車の外側に運ばれる遊離砥粒も多く、結局、特許文献2の砥石車では、要求されるドレッシング機能を満足させることはできなかった。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、セルフドレッシング機能を備えた砥石車に関し、より効果的に砥石のドレッシングを行うことができる砥石車を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、砥石配設面をもつベース部材と、このベース部材の砥石配設面に配設される着脱自在の基盤とを備え、前記基盤は、前記ベース部材の回転中心部を包囲する配置で設けられ、回転半径方向内側の領域に、砥粒を保持して加工物との接触により該砥粒を脱落させるドレッシング部材が基盤上に設けられるとともに、前記ドレッシング部材を包囲する配置で回転半径方向外側の領域に砥石が基盤上に設けられているものである(請求項1)。
【0010】
この構成によると、加工中にドレッシング部材から砥粒が脱落し、この遊離砥粒が砥石部分に運ばれることにより砥石のドレッシングが行われる。この際、上記のように砥石よりも回転半径方向内側の領域にドレッシング部材が設けられていることにより、遊離砥粒が遠心力によって砥石面全体に斑なく供給され、これにより砥石全体が均一にドレッシングされる。
【0011】
この場合、前記ドレッシング部材と前記砥石が同一基盤上に設けられて、ドレッシング部材を包囲するように砥石が配列されても、上記効果を損なうことはない(請求項2)。
【0012】
また、前期砥石および前記ドレッシング部材が配設されている前記基盤は交換可能なことから、前記ベース部材を交換することなく、個々の基盤のみを交換することにより、大幅なコストダウンや作業時間の短縮に繋がる。
【0013】
この構成において、前記ドレッシング部材の加工物に対向する面は、前記砥石の砥石面と略面一に設けておくのが好ましい(請求項3)。
【0014】
この構成によれば、砥石車の使用開始当初から砥石およびドレッシング部材の双方を加工物に対して摺動させることができる。そのため、砥石による研削を良好に行う一方で、砥石に対するドレッシング効果も良好に発揮される。
【0015】
なお、前記ドレッシング部材は、砥粒100重量部に対して樹脂固形成分が0.3〜5重量部の割合で含有されるように樹脂成分を有する結合剤により砥粒を保持させた成形体からなるものであるのが好ましい(請求項4)。
【0016】
このようなドレッシング部材の構成によれば、加工中、可及的に多くの砥粒を容易に脱落させ得る状態で砥石車に保持させることが可能となる。すなわち、結合剤が樹脂固形成分換算値で0.3重量部未満の割合の場合にはドレッシング部材の定型性が保持されず、砥粒を砥石車に保持させることが困難となる一方、結合剤が樹脂固形成分換算値で5重量部を超えると、砥粒が脱落し難くなるためである。従って、可及的に多くの遊離砥粒を砥石に供給しながら効果的に砥石のドレッシングを行うことが可能となる。
【0017】
なお、ドレッシング用成形体において、前記結合剤は熱硬化性水系樹脂であるのが好ましく(請求項5)、望ましくは水系ウレタン樹脂であれば好適である(請求項6)。
【0018】
このような樹脂を結合剤とするドレッシング部材によれば、樹脂成分を均一に分散させることができ、特に水系ウレタン樹脂によれば砥粒との密着性にも優れているので、上記のような特性を有するドレッシング部材を良好に得ることができる。
【0019】
また、研削や研磨作業では、通常、研削液や研磨液を加工物表面に供給しながら作業を行うが、供給される加工用の液体が遠心力により外側に運ばれるので、その圧力を利用してドレッシング部材から砥粒を脱落させることができる。そのため、砥石に対する遊離砥粒の供給を促進させることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
図1は本発明に係る砥石車の全体斜視図である。図2は砥石車の要部拡大斜視図である。
【0021】
これらの図において符号40は、加工物を粗・中研削するための砥石車であって、同図に示すように、円盤状のベース部材42下方の面(砥石配設面)にホルダー60がベース部材42の回転中心部43を包囲する配置で固定されている。前記ホルダー60は、ボルトやナットなどでベース部材42に固着されており、基盤45を着脱自在に交換可能な形状を有している。
【0022】
詳しくは、ホルダー60が基盤45を抱え込むように差込み可能な台形状のアリ溝62になっており、回転半径方向外側に向かって、溝幅が狭くなっていく形状になっている。従って、ベース部材42の回転の遠心力により、着脱自在の基盤45はホルダー60に確実に固着される。さらに、基盤45には、砥石チップ46がドレッシング部材48を回転半径方向外側に包囲するように配置されている。
【0023】
前記砥石車40の構成についてより詳しく説明すると、砥石車40は円盤状のベース部材42を有しており、このベース部材42の周縁部に沿って複数の前記ホルダー60が同心円上一列に、かつ微小間隔を隔ててほぼ連続した状態で固定されるとともに、これらホルダー60に基盤45が差込み固着され、さらに個々の基盤45上には、図2に示すようにドレッシング部材48を基盤45の中央部でベース部材42の回転中心部43寄りに配置し、ドレッシング部材48を回転半径方向内側以外の3箇所で包囲するように砥石チップ46が固定された構成となっている。
【0024】
各砥石チップ46は、加工物を加工するもので、例えば粒度#50の超砥粒(当実施形態ではダイヤモンド)を含む柱状のメタルダイヤモンド砥石46a(以下砥石46aと略す)を有し、これをエポキシ系樹脂剤でチップ支持台46cに固定し、さらに砥石面を包囲するように砥石46aの周囲(側面)にエポキシ樹脂からなる保護層46bを形成した構成となっている。そして、前記チップ支持台46cが前記基板45に接着されることにより砥石チップ46が基板45に固定されている。
【0025】
一方、各ドレッシング部材48は、加工中に前記砥石46aの目立てを行うためのドレッシング用砥粒を保持した成形体である。このドレッシング部材48は、結合剤により砥粒を極めて低い結合度で結合させた脆性を有する成形体、より具体的には、砥粒100重量部に対して樹脂固形成分が1.5重量部の割合で含有されるように水系ポリウレタン樹脂からなる結合剤により粒度#60のC砥粒(当実施形態ではGC:緑色炭化珪素質砥粒)を保持させた成形体であることが好ましい。この成形体は、定型性を有する一方、加工物との接触により容易に砥粒を脱落させ得るように構成されている。
【0026】
なお、各砥石チップ46の砥石面(図1では下面)と各ドレッシング部材48の下面とは略面一に設けられており、砥石車40を加工物に接触させると各砥石チップ46の砥石面および各ドレッシング部材48の下面が隙間無く加工物に接触し得るように構成されている。
【0027】
図3は本発明に係る砥石車40の別の実施例を示す全体斜視図である。この図は、図1の砥石車40の構成に加えて、よりドレッシング効果を向上させたもので、ベース部材42の基盤45の円周よりも回転半径方向内側にドレッシング部材のみが設置されたドレッシング基盤47がホルダー60に差し込み固着され、回転中心部43を包囲するように配置されている。
【0028】
次に、以上のように構成された研削装置の作用効果について説明する。
上記の砥石車を用いた研削装置により加工物を研削するには、砥石車40をベース部材42の回転中心部43を中心として回転駆動させ、回転中心部43から研削水を出しながら前記砥石車40を加工物の表面に圧接するとともに、砥石車40を回転駆動させる研削装置のヘッド(図示しない)を移動させて砥石車40と加工物とを相対的に水平方向に移動させる。
【0029】
このようにすると、砥石車40の回転およびヘッドの移動に伴い前記各砥石チップ46が加工物に沿って摺動し、これにより加工物が砥石46aにより研削されることとなる。なお、この装置では、上記のように砥石46aの周囲(側面)保護層46bを形成した砥石チップ46を使用しているため、砥石車40を加工物に接触させる際に砥石46aのエッジ部分が直接加工物に衝突することなく、これにより加工物が損傷を受けたり、砥石46aが欠損する等のトラブルが防止される。
【0030】
そして、上記のように各砥石チップ46により加工物の研削が行われる一方、ドレッシング部材48が加工物に沿って摺動することによりドレッシング部材48に含まれる砥粒(GC)が脱落し、この遊離砥粒により砥石チップ46(砥石46a)に対するドレッシング効果が発揮されることとなる。この際、上記の砥石車40においては、ドレッシング部材48が上述したような構成、および配置で設けられていることにより、全ての砥石チップ46が均一に、しかも効果的にドレッシングされることとなる。
【0031】
すなわち、上記のように砥石チップ46の内側にドレッシング部材48が設けられているので、遊離砥粒が遠心力によって各砥石チップ46の砥石面に斑なく供給され、その結果、全ての砥石チップ46が均一にドレッシングされることとなる。しかも、ドレッシング部材48は、上記のように砥粒を結合剤により極めて低い結合度で結合させた脆性を有する成形体であるため、後述する試験結果に示されるように加工物との摺動や研削水の液圧が作用することにより容易に砥粒が脱落することとなる。そのため、加工中には、極めて多くの遊離砥粒が砥石チップ46に供給されることとなり、その結果、砥石チップ46のドレッシングが効果的に行われる。特に、この砥石車40では、ベース部材42の周縁部にほぼ連続的にホルダー60が設けられ、ホルダー60には基盤45が差し込み固着され、基盤45上には、ドレッシング部材48が設けられ、ドレッシング部材48を回転半径方向外側に包囲する配置で砥石46が設けられているので、ドレッシング部材48から脱落する遊離砥粒の殆ど全てが砥石チップ46のドレッシングに有効に寄与することとなり、これによりドレッシング効果が更に高められる。
【0032】
従って、砥石チップ46の目詰まりや目つぶれをより良好に解消しながら加工物の加工を行うことができることとなる。
【0033】
なお、上記基盤45およびドレッシング基盤47に取付けられているドレッシング部材48は以下のような製法により製作することができる。
まず、砥粒(GC)に対して水系ポリウレタン樹脂を混合、攪拌する。この際、必要に応じて水やアセトン等の溶媒や、架橋剤(例えば水系ポリイソシアネート系架橋剤)を添加してもよい。
次いで、混合物を成形型に注入し、室温(25℃)で12〜24時間自然乾燥させた後、熱風循環式加熱機等により加熱処理を施して前記混合物を硬化させる。加熱処理は、まず20℃〜100℃の温度で2〜12時間予備加熱し、離型後、100℃〜200℃の温度で10分〜12時間加熱する。
そして、最終的に前記成形体のバリ処理や寸法等の微調整を行うことにより前記ドレッシング部材48を得ることができる。
【0034】
なお、当実施形態では、#60の砥粒(GC)100重量部に対して水系ポリウレタン樹脂を樹脂固形成分換算値で1.5重量部の割合で混合し、この混合物を成形型に注入して室温(25℃)で12時間自然乾燥させ、50℃で4時間予備加熱した後に離型し、さらに150℃で40分加熱処理を施すことにより、以下の通り、加工物との接触に伴い砥粒を容易に脱落させることができる良好なドレッシング部材48を得ることができた。
【0035】
表1は、上記のようにして製作したドレッシング部材48と一般的な石材研削用砥石(青砥)との砥粒の離脱性能を比較した試験結果である(石材研削用砥石の構成は下記表内の記載の通りである。)なお、離脱性能の試験は、下記の条件に基づきドレッシング部材48および砥石を加工物に摺動(回転)させたときの磨耗速度を比較することにより行った。
【0036】
・摺動面積:30cm2
・加工対象物:黒御影石
・回転速度:400rpm
・荷重:30kgf
・研削液:水
【0037】
【表1】
この表に示す通り、前記ドレッシング部材48は一般的な砥石(青砥)に比べて磨耗速度が著しく速く、ドレッシング部材48における砥粒の離脱性が砥石(青砥)に比べて遥かに良い(砥粒が離脱し易い)ことが考察できる。
【0038】
ところで、以上説明した研削装置は、本発明に係る砥石車が適用される研削装置の一例であってその具体的な構成は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であり、例えば、以下のような構成を採用することができる。
【0039】
▲1▼砥石車40は、図3に示すように、ドレッシング部材48のみのドレッシング基盤47を基盤45より内周に設けたものであってもよい。このような多量のドレッシング部材48を適用すれば、硬質脆性材料を研削する際に砥石46に対してより多くの遊離砥粒を供給することができ、これによりドレッシング効果を高めることができる。ドレッシング部材48をベース部材42に配設する数量については、適宜選定すればよい。
【0040】
▲2▼砥石車40は、必ずしも同一基盤45上にドレッシング部材48および砥石46が配設される必要はなく、ドレッシング部材48のみのドレッシング基盤47及び砥石46のみの基盤が同心円上に複数列で同一ベース部材42に存在していればよい。
【0041】
▲3▼砥石チップ46に適用される砥石46aは、必ずしもメタルボンド砥石である必要はなく、ビトリファイドボンド砥石、レジンボンド砥石等の砥石であってもよい。
【0042】
▲4▼実施形態のドレッシング部材48は、粒度#60のC砥粒(GC)100重量部に対して水系ポリウレタン樹脂からなる結合剤を樹脂固形成分換算値で1.5重量部の割合で含有させた構成であるが、結合剤の割合は必ずしも樹脂固形成分換算値で1.5重量部の範囲内に限らず、加工物との接触により容易に砥粒を脱落させるように砥粒を結合させることができればよい。但し、ドレッシング部材48の成形体および定型性を確保する上では、表2の試験結果に示すように、結合剤を樹脂固形成分換算値で0.3〜5重量部の範囲内で混合するのが好ましい。
【0043】
【表2】
すなわち、結合剤の含有量が0.3重量部に満たない場合には、樹脂成分の不足によりドレッシング部材48の成形性が困難となり、また、成形できた場合でもその構造が脆過ぎるために形状維持が困難となる。一方、結合剤が概ね5重量部を超えると、含有水分の増加に伴い加熱処理工程での十分な除湿が困難となり、この場合も成形性や定型性が損なわれることとなる。
【0044】
なお、この表からは明らかでないが、結合剤が5重量部を超える場合でも加熱処理方法によっては成形性や定型性を確保することが可能である。但し、この場合には、砥粒の結合力が強くなり過ぎ、砥粒の離脱性(砥粒の離脱し易さ)が損なわれ易くなる。従って、成形性および定型性を確保し、さらに加工物との接触により可及的に多くの砥粒を脱落させるには、C砥粒(GC)100重量部に対して結合剤を樹脂固形成分換算値で0.3〜5重量部の範囲内で混合するのが好ましいと考えられる。
【0045】
なお、この傾向は結合剤として水系ウレタン樹脂を使用した場合に限らず、他の樹脂成分を有する結合剤を使用した場合も同様である。
【0046】
▲1▼実施形態では、ドレッシング部材48の砥粒として粒度#60の砥粒を使用しているが、ドレッシング部材48の砥粒の粒度は、砥石46aに含まれる砥粒の粒度に応じてドレッシング機能が効果的に発揮され得るように適宜選定すればよい。なお、上記のような硬質脆性材料(例えば、セラミック、石材又はガラス等)からなる加工物を粗・中研削する際の砥石車では、一般に粒度#46〜#400の砥粒を含んだ砥石が使用されるため、この種の砥石車に使用するドレッシング部材48としては、粒度が#46〜#400程度の砥粒を含んだものが好適である。
【0047】
▲2▼ドレッシング部材48に含まれる砥粒や結合剤は、必ずしも実施形態と同一である必要はない。例えば、砥粒は粒度#60のGC以外の一般砥粒(例えば、A砥粒)、あるいはダイヤモンドやCBN等の超砥粒を用いたものであってもよい。また、結合剤も、必ずしも水系ウレタン樹脂である必要はなく、その他の樹脂であってもよい。例えば、実施形態の水系ポリウレタン樹脂のような熱硬化性樹脂(エポキシ、フェノール等)の他、適用可能な場合には熱可塑性樹脂(アクリル、PVA等)を用いることもできる。
【0048】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、砥石配設面をもつベース部材と、このベース部材の砥石配設面に配設される着脱自在の基盤とを備え、前期砥石配設面と略直交する方向の軸回りに回転駆動される砥石車において、前記基盤をベース部材の回転中心部を包囲する配置で設けるとともに、基盤上には、砥粒を保持して加工物との接触により該砥粒を脱落させるドレッシング部材を設け、ドレッシング部材を回転半径方向外側に包囲する配置で砥石が設けられ、これにより加工中、ドレッシング部材から脱落する遊離砥粒を遠心力によって砥石面全体に斑なく供給するようにしたので、砥石を極めて効果的に、しかも均一にドレッシングすることができるようになる。
【0049】
また、前記基盤が着脱自在に設けられているため、ベース部材を交換することなく、個々の基盤のみを交換すれば、新たに研削可能になり、大・中型の砥石車では大幅なコストダウンや作業時間の短縮に繋がる。
【0050】
特に、ドレッシング部材として、砥粒100重量部に対して樹脂固形成分が0.3〜5重量部の割合で含有されるように樹脂成分を有する結合剤により砥粒を保持させた成形体を設けるようにすれば、加工中、多くの遊離砥粒を砥石に供給することが可能となり、その結果、より効果的に砥石のドレッシングを行うことができるようになる。
【0051】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る砥石車の全体を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る砥石車の要部を示す拡大斜視図である。
【図3】本発明に係る砥石車の別の例を示す斜視図である。
【0052】
【符号の説明】
40 砥石車
42 ベース部材
43 回転中心部
45 基盤
46 砥石チップ
46a 砥石
46b 砥石46aの周囲(側面)保護層
46c チップ支持台
47 ドレッシング基盤
48 ドレッシング部材
60 ホルダー
62 アリ溝
【発明の属する技術分野】
本発明は、平面研削盤、研磨装置等に使用される砥石車に関するものであり、より詳しくは、セルフドレッシング機能(自己目立て機能)を備えた砥石車に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、ダイヤモンドや立方晶窒化硼素(CBN)等の超砥粒を含む砥石(超砥粒砥石という)を円盤状のベース部材に固定した砥石車や、カセット嵌め込み式の砥石をベース部材に着脱自在に配置した砥石車は一般に知られている。
【0003】
砥石車は、砥石に目詰まりや目つぶれが生じると著しく研削機能が低下する。そのため、研削機能を維持するために必要に応じて砥石の目立て(ドレッシング)を行うことが要求される。そこで、例えば、特許文献1には、A砥粒(酸化アルミナ(Al2O3)を主成分とする砥粒)やC砥粒(炭化珪素(SiC)を主成分とする砥粒)等の遊離砥粒を混入したドレッシング液を必要に応じて砥石と加工物との間に供給することにより、研磨作業中に砥石をドレッシングできるように構成された研削盤が提案されている。
【0004】
この研削盤によると、加工中に多くの遊離砥粒を砥石に供給することが可能であり、砥石をドレッシングする上で有効であるが、研削盤に研削液とは別にドレッシング液を供給するための設備が必要となるため装置の大型化、高コスト化を助長するという欠点がある。
【0005】
そこで、より簡単な構成として、例えば、特許文献2に、A砥粒等の一般砥粒を含む砥石(一般砥粒砥石)と超砥粒砥石とを周方向に交互に配列し、加工中に一般砥粒砥石から脱落した砥粒(遊離砥粒)によって超砥粒砥石をドレッシングし得るようにしたセルフドレッシング機能(自己目立て機能)を備えた砥石車が提案されている。
【0006】
【特許文献1】
特開昭61―226260号公報(請求項1等)
【特許文献2】
特開2000―42930号公報(請求項1等)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、遊離砥粒は砥石車の回転による遠心力により外側に運ばれるため、上記のような砥石車の構成では、超砥粒砥石のうち砥石車の中心に近い部分では殆どドレッシング効果が期待できなかった。また、加工に伴い発生する遊離砥粒は決してドレッシング効果を満足し得る量ではなく、しかも、上記のように一般砥粒砥石と超砥粒砥石とが周方向に交互に配列されているので、砥石から脱落した遊離砥粒のうち超砥粒砥石のドレッシングに寄与することなく遠心力で砥石車の外側に運ばれる遊離砥粒も多く、結局、特許文献2の砥石車では、要求されるドレッシング機能を満足させることはできなかった。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、セルフドレッシング機能を備えた砥石車に関し、より効果的に砥石のドレッシングを行うことができる砥石車を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、砥石配設面をもつベース部材と、このベース部材の砥石配設面に配設される着脱自在の基盤とを備え、前記基盤は、前記ベース部材の回転中心部を包囲する配置で設けられ、回転半径方向内側の領域に、砥粒を保持して加工物との接触により該砥粒を脱落させるドレッシング部材が基盤上に設けられるとともに、前記ドレッシング部材を包囲する配置で回転半径方向外側の領域に砥石が基盤上に設けられているものである(請求項1)。
【0010】
この構成によると、加工中にドレッシング部材から砥粒が脱落し、この遊離砥粒が砥石部分に運ばれることにより砥石のドレッシングが行われる。この際、上記のように砥石よりも回転半径方向内側の領域にドレッシング部材が設けられていることにより、遊離砥粒が遠心力によって砥石面全体に斑なく供給され、これにより砥石全体が均一にドレッシングされる。
【0011】
この場合、前記ドレッシング部材と前記砥石が同一基盤上に設けられて、ドレッシング部材を包囲するように砥石が配列されても、上記効果を損なうことはない(請求項2)。
【0012】
また、前期砥石および前記ドレッシング部材が配設されている前記基盤は交換可能なことから、前記ベース部材を交換することなく、個々の基盤のみを交換することにより、大幅なコストダウンや作業時間の短縮に繋がる。
【0013】
この構成において、前記ドレッシング部材の加工物に対向する面は、前記砥石の砥石面と略面一に設けておくのが好ましい(請求項3)。
【0014】
この構成によれば、砥石車の使用開始当初から砥石およびドレッシング部材の双方を加工物に対して摺動させることができる。そのため、砥石による研削を良好に行う一方で、砥石に対するドレッシング効果も良好に発揮される。
【0015】
なお、前記ドレッシング部材は、砥粒100重量部に対して樹脂固形成分が0.3〜5重量部の割合で含有されるように樹脂成分を有する結合剤により砥粒を保持させた成形体からなるものであるのが好ましい(請求項4)。
【0016】
このようなドレッシング部材の構成によれば、加工中、可及的に多くの砥粒を容易に脱落させ得る状態で砥石車に保持させることが可能となる。すなわち、結合剤が樹脂固形成分換算値で0.3重量部未満の割合の場合にはドレッシング部材の定型性が保持されず、砥粒を砥石車に保持させることが困難となる一方、結合剤が樹脂固形成分換算値で5重量部を超えると、砥粒が脱落し難くなるためである。従って、可及的に多くの遊離砥粒を砥石に供給しながら効果的に砥石のドレッシングを行うことが可能となる。
【0017】
なお、ドレッシング用成形体において、前記結合剤は熱硬化性水系樹脂であるのが好ましく(請求項5)、望ましくは水系ウレタン樹脂であれば好適である(請求項6)。
【0018】
このような樹脂を結合剤とするドレッシング部材によれば、樹脂成分を均一に分散させることができ、特に水系ウレタン樹脂によれば砥粒との密着性にも優れているので、上記のような特性を有するドレッシング部材を良好に得ることができる。
【0019】
また、研削や研磨作業では、通常、研削液や研磨液を加工物表面に供給しながら作業を行うが、供給される加工用の液体が遠心力により外側に運ばれるので、その圧力を利用してドレッシング部材から砥粒を脱落させることができる。そのため、砥石に対する遊離砥粒の供給を促進させることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
図1は本発明に係る砥石車の全体斜視図である。図2は砥石車の要部拡大斜視図である。
【0021】
これらの図において符号40は、加工物を粗・中研削するための砥石車であって、同図に示すように、円盤状のベース部材42下方の面(砥石配設面)にホルダー60がベース部材42の回転中心部43を包囲する配置で固定されている。前記ホルダー60は、ボルトやナットなどでベース部材42に固着されており、基盤45を着脱自在に交換可能な形状を有している。
【0022】
詳しくは、ホルダー60が基盤45を抱え込むように差込み可能な台形状のアリ溝62になっており、回転半径方向外側に向かって、溝幅が狭くなっていく形状になっている。従って、ベース部材42の回転の遠心力により、着脱自在の基盤45はホルダー60に確実に固着される。さらに、基盤45には、砥石チップ46がドレッシング部材48を回転半径方向外側に包囲するように配置されている。
【0023】
前記砥石車40の構成についてより詳しく説明すると、砥石車40は円盤状のベース部材42を有しており、このベース部材42の周縁部に沿って複数の前記ホルダー60が同心円上一列に、かつ微小間隔を隔ててほぼ連続した状態で固定されるとともに、これらホルダー60に基盤45が差込み固着され、さらに個々の基盤45上には、図2に示すようにドレッシング部材48を基盤45の中央部でベース部材42の回転中心部43寄りに配置し、ドレッシング部材48を回転半径方向内側以外の3箇所で包囲するように砥石チップ46が固定された構成となっている。
【0024】
各砥石チップ46は、加工物を加工するもので、例えば粒度#50の超砥粒(当実施形態ではダイヤモンド)を含む柱状のメタルダイヤモンド砥石46a(以下砥石46aと略す)を有し、これをエポキシ系樹脂剤でチップ支持台46cに固定し、さらに砥石面を包囲するように砥石46aの周囲(側面)にエポキシ樹脂からなる保護層46bを形成した構成となっている。そして、前記チップ支持台46cが前記基板45に接着されることにより砥石チップ46が基板45に固定されている。
【0025】
一方、各ドレッシング部材48は、加工中に前記砥石46aの目立てを行うためのドレッシング用砥粒を保持した成形体である。このドレッシング部材48は、結合剤により砥粒を極めて低い結合度で結合させた脆性を有する成形体、より具体的には、砥粒100重量部に対して樹脂固形成分が1.5重量部の割合で含有されるように水系ポリウレタン樹脂からなる結合剤により粒度#60のC砥粒(当実施形態ではGC:緑色炭化珪素質砥粒)を保持させた成形体であることが好ましい。この成形体は、定型性を有する一方、加工物との接触により容易に砥粒を脱落させ得るように構成されている。
【0026】
なお、各砥石チップ46の砥石面(図1では下面)と各ドレッシング部材48の下面とは略面一に設けられており、砥石車40を加工物に接触させると各砥石チップ46の砥石面および各ドレッシング部材48の下面が隙間無く加工物に接触し得るように構成されている。
【0027】
図3は本発明に係る砥石車40の別の実施例を示す全体斜視図である。この図は、図1の砥石車40の構成に加えて、よりドレッシング効果を向上させたもので、ベース部材42の基盤45の円周よりも回転半径方向内側にドレッシング部材のみが設置されたドレッシング基盤47がホルダー60に差し込み固着され、回転中心部43を包囲するように配置されている。
【0028】
次に、以上のように構成された研削装置の作用効果について説明する。
上記の砥石車を用いた研削装置により加工物を研削するには、砥石車40をベース部材42の回転中心部43を中心として回転駆動させ、回転中心部43から研削水を出しながら前記砥石車40を加工物の表面に圧接するとともに、砥石車40を回転駆動させる研削装置のヘッド(図示しない)を移動させて砥石車40と加工物とを相対的に水平方向に移動させる。
【0029】
このようにすると、砥石車40の回転およびヘッドの移動に伴い前記各砥石チップ46が加工物に沿って摺動し、これにより加工物が砥石46aにより研削されることとなる。なお、この装置では、上記のように砥石46aの周囲(側面)保護層46bを形成した砥石チップ46を使用しているため、砥石車40を加工物に接触させる際に砥石46aのエッジ部分が直接加工物に衝突することなく、これにより加工物が損傷を受けたり、砥石46aが欠損する等のトラブルが防止される。
【0030】
そして、上記のように各砥石チップ46により加工物の研削が行われる一方、ドレッシング部材48が加工物に沿って摺動することによりドレッシング部材48に含まれる砥粒(GC)が脱落し、この遊離砥粒により砥石チップ46(砥石46a)に対するドレッシング効果が発揮されることとなる。この際、上記の砥石車40においては、ドレッシング部材48が上述したような構成、および配置で設けられていることにより、全ての砥石チップ46が均一に、しかも効果的にドレッシングされることとなる。
【0031】
すなわち、上記のように砥石チップ46の内側にドレッシング部材48が設けられているので、遊離砥粒が遠心力によって各砥石チップ46の砥石面に斑なく供給され、その結果、全ての砥石チップ46が均一にドレッシングされることとなる。しかも、ドレッシング部材48は、上記のように砥粒を結合剤により極めて低い結合度で結合させた脆性を有する成形体であるため、後述する試験結果に示されるように加工物との摺動や研削水の液圧が作用することにより容易に砥粒が脱落することとなる。そのため、加工中には、極めて多くの遊離砥粒が砥石チップ46に供給されることとなり、その結果、砥石チップ46のドレッシングが効果的に行われる。特に、この砥石車40では、ベース部材42の周縁部にほぼ連続的にホルダー60が設けられ、ホルダー60には基盤45が差し込み固着され、基盤45上には、ドレッシング部材48が設けられ、ドレッシング部材48を回転半径方向外側に包囲する配置で砥石46が設けられているので、ドレッシング部材48から脱落する遊離砥粒の殆ど全てが砥石チップ46のドレッシングに有効に寄与することとなり、これによりドレッシング効果が更に高められる。
【0032】
従って、砥石チップ46の目詰まりや目つぶれをより良好に解消しながら加工物の加工を行うことができることとなる。
【0033】
なお、上記基盤45およびドレッシング基盤47に取付けられているドレッシング部材48は以下のような製法により製作することができる。
まず、砥粒(GC)に対して水系ポリウレタン樹脂を混合、攪拌する。この際、必要に応じて水やアセトン等の溶媒や、架橋剤(例えば水系ポリイソシアネート系架橋剤)を添加してもよい。
次いで、混合物を成形型に注入し、室温(25℃)で12〜24時間自然乾燥させた後、熱風循環式加熱機等により加熱処理を施して前記混合物を硬化させる。加熱処理は、まず20℃〜100℃の温度で2〜12時間予備加熱し、離型後、100℃〜200℃の温度で10分〜12時間加熱する。
そして、最終的に前記成形体のバリ処理や寸法等の微調整を行うことにより前記ドレッシング部材48を得ることができる。
【0034】
なお、当実施形態では、#60の砥粒(GC)100重量部に対して水系ポリウレタン樹脂を樹脂固形成分換算値で1.5重量部の割合で混合し、この混合物を成形型に注入して室温(25℃)で12時間自然乾燥させ、50℃で4時間予備加熱した後に離型し、さらに150℃で40分加熱処理を施すことにより、以下の通り、加工物との接触に伴い砥粒を容易に脱落させることができる良好なドレッシング部材48を得ることができた。
【0035】
表1は、上記のようにして製作したドレッシング部材48と一般的な石材研削用砥石(青砥)との砥粒の離脱性能を比較した試験結果である(石材研削用砥石の構成は下記表内の記載の通りである。)なお、離脱性能の試験は、下記の条件に基づきドレッシング部材48および砥石を加工物に摺動(回転)させたときの磨耗速度を比較することにより行った。
【0036】
・摺動面積:30cm2
・加工対象物:黒御影石
・回転速度:400rpm
・荷重:30kgf
・研削液:水
【0037】
【表1】
この表に示す通り、前記ドレッシング部材48は一般的な砥石(青砥)に比べて磨耗速度が著しく速く、ドレッシング部材48における砥粒の離脱性が砥石(青砥)に比べて遥かに良い(砥粒が離脱し易い)ことが考察できる。
【0038】
ところで、以上説明した研削装置は、本発明に係る砥石車が適用される研削装置の一例であってその具体的な構成は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であり、例えば、以下のような構成を採用することができる。
【0039】
▲1▼砥石車40は、図3に示すように、ドレッシング部材48のみのドレッシング基盤47を基盤45より内周に設けたものであってもよい。このような多量のドレッシング部材48を適用すれば、硬質脆性材料を研削する際に砥石46に対してより多くの遊離砥粒を供給することができ、これによりドレッシング効果を高めることができる。ドレッシング部材48をベース部材42に配設する数量については、適宜選定すればよい。
【0040】
▲2▼砥石車40は、必ずしも同一基盤45上にドレッシング部材48および砥石46が配設される必要はなく、ドレッシング部材48のみのドレッシング基盤47及び砥石46のみの基盤が同心円上に複数列で同一ベース部材42に存在していればよい。
【0041】
▲3▼砥石チップ46に適用される砥石46aは、必ずしもメタルボンド砥石である必要はなく、ビトリファイドボンド砥石、レジンボンド砥石等の砥石であってもよい。
【0042】
▲4▼実施形態のドレッシング部材48は、粒度#60のC砥粒(GC)100重量部に対して水系ポリウレタン樹脂からなる結合剤を樹脂固形成分換算値で1.5重量部の割合で含有させた構成であるが、結合剤の割合は必ずしも樹脂固形成分換算値で1.5重量部の範囲内に限らず、加工物との接触により容易に砥粒を脱落させるように砥粒を結合させることができればよい。但し、ドレッシング部材48の成形体および定型性を確保する上では、表2の試験結果に示すように、結合剤を樹脂固形成分換算値で0.3〜5重量部の範囲内で混合するのが好ましい。
【0043】
【表2】
すなわち、結合剤の含有量が0.3重量部に満たない場合には、樹脂成分の不足によりドレッシング部材48の成形性が困難となり、また、成形できた場合でもその構造が脆過ぎるために形状維持が困難となる。一方、結合剤が概ね5重量部を超えると、含有水分の増加に伴い加熱処理工程での十分な除湿が困難となり、この場合も成形性や定型性が損なわれることとなる。
【0044】
なお、この表からは明らかでないが、結合剤が5重量部を超える場合でも加熱処理方法によっては成形性や定型性を確保することが可能である。但し、この場合には、砥粒の結合力が強くなり過ぎ、砥粒の離脱性(砥粒の離脱し易さ)が損なわれ易くなる。従って、成形性および定型性を確保し、さらに加工物との接触により可及的に多くの砥粒を脱落させるには、C砥粒(GC)100重量部に対して結合剤を樹脂固形成分換算値で0.3〜5重量部の範囲内で混合するのが好ましいと考えられる。
【0045】
なお、この傾向は結合剤として水系ウレタン樹脂を使用した場合に限らず、他の樹脂成分を有する結合剤を使用した場合も同様である。
【0046】
▲1▼実施形態では、ドレッシング部材48の砥粒として粒度#60の砥粒を使用しているが、ドレッシング部材48の砥粒の粒度は、砥石46aに含まれる砥粒の粒度に応じてドレッシング機能が効果的に発揮され得るように適宜選定すればよい。なお、上記のような硬質脆性材料(例えば、セラミック、石材又はガラス等)からなる加工物を粗・中研削する際の砥石車では、一般に粒度#46〜#400の砥粒を含んだ砥石が使用されるため、この種の砥石車に使用するドレッシング部材48としては、粒度が#46〜#400程度の砥粒を含んだものが好適である。
【0047】
▲2▼ドレッシング部材48に含まれる砥粒や結合剤は、必ずしも実施形態と同一である必要はない。例えば、砥粒は粒度#60のGC以外の一般砥粒(例えば、A砥粒)、あるいはダイヤモンドやCBN等の超砥粒を用いたものであってもよい。また、結合剤も、必ずしも水系ウレタン樹脂である必要はなく、その他の樹脂であってもよい。例えば、実施形態の水系ポリウレタン樹脂のような熱硬化性樹脂(エポキシ、フェノール等)の他、適用可能な場合には熱可塑性樹脂(アクリル、PVA等)を用いることもできる。
【0048】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、砥石配設面をもつベース部材と、このベース部材の砥石配設面に配設される着脱自在の基盤とを備え、前期砥石配設面と略直交する方向の軸回りに回転駆動される砥石車において、前記基盤をベース部材の回転中心部を包囲する配置で設けるとともに、基盤上には、砥粒を保持して加工物との接触により該砥粒を脱落させるドレッシング部材を設け、ドレッシング部材を回転半径方向外側に包囲する配置で砥石が設けられ、これにより加工中、ドレッシング部材から脱落する遊離砥粒を遠心力によって砥石面全体に斑なく供給するようにしたので、砥石を極めて効果的に、しかも均一にドレッシングすることができるようになる。
【0049】
また、前記基盤が着脱自在に設けられているため、ベース部材を交換することなく、個々の基盤のみを交換すれば、新たに研削可能になり、大・中型の砥石車では大幅なコストダウンや作業時間の短縮に繋がる。
【0050】
特に、ドレッシング部材として、砥粒100重量部に対して樹脂固形成分が0.3〜5重量部の割合で含有されるように樹脂成分を有する結合剤により砥粒を保持させた成形体を設けるようにすれば、加工中、多くの遊離砥粒を砥石に供給することが可能となり、その結果、より効果的に砥石のドレッシングを行うことができるようになる。
【0051】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る砥石車の全体を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る砥石車の要部を示す拡大斜視図である。
【図3】本発明に係る砥石車の別の例を示す斜視図である。
【0052】
【符号の説明】
40 砥石車
42 ベース部材
43 回転中心部
45 基盤
46 砥石チップ
46a 砥石
46b 砥石46aの周囲(側面)保護層
46c チップ支持台
47 ドレッシング基盤
48 ドレッシング部材
60 ホルダー
62 アリ溝
Claims (6)
- 砥石配設面をもつベース部材と、このベース部材の砥石配設面に配設される着脱自在の基盤とを備え、砥石配設面と略直交する方向の軸回りに回転駆動される砥石車において、
前記基盤は、前記ベース部材の回転中心部を包囲する配置で設けられ、回転半径方向内側の領域に、砥粒を保持して加工物との接触により該砥粒を脱落させるドレッシング部材が基盤上に設けられるとともに、前記ドレッシング部材を包囲する配置で回転半径方向外側の領域に砥石が基盤上に設けられたことを特徴とする砥石車。 - 請求項1に記載の砥石車において、
前記ドレッシング部材と前記砥石が同一基盤上に設けられていることを特徴とする砥石車。 - 請求項1又は2に記載の砥石車において、
前記ドレッシング部材の加工物に対向する面が前記砥石の砥石面と略面一に設けられていることを特徴とする砥石車。 - 請求項1〜3のいずれかに記載の砥石車において、
前記ドレッシング部材は、砥粒100重量部に対して樹脂固形成分が0.3〜5重量部の割合で含有されるように樹脂成分を有する結合剤により砥粒を保持させた成形体からなることを特徴とする砥石車。 - 請求項4に記載の砥石車において、
前記結合剤は熱硬化性水系樹脂であることを特徴とする砥石車。 - 請求項5に記載のドレッシング用成形体において、
前記熱硬化性水系樹脂は、水系ウレタン樹脂であることを特徴とする砥石車。
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JP2008155312A (ja) * | 2006-12-22 | 2008-07-10 | Disco Abrasive Syst Ltd | 研削ホイール |
JP2011167813A (ja) * | 2010-02-19 | 2011-09-01 | Jtekt Corp | カップ型ドレッサ及びツルーイング・ドレッシング方法 |
KR101553991B1 (ko) * | 2014-12-31 | 2015-09-17 | 김현태 | 연마 장치용 휠 구조체 |
KR101556565B1 (ko) | 2015-02-02 | 2015-10-02 | 이화다이아몬드공업 주식회사 | 그라인딩 공구 |
CN110561272A (zh) * | 2019-10-23 | 2019-12-13 | 无锡市兰天金刚石有限责任公司 | 一种修整砂轮用超硬工具及其制备方法 |
-
2003
- 2003-01-31 JP JP2003023453A patent/JP2004230522A/ja active Pending
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US9925645B2 (en) | 2015-02-02 | 2018-03-27 | Ehwa Diamond Industrial Co., Ltd. | Grinding tool |
CN110561272A (zh) * | 2019-10-23 | 2019-12-13 | 无锡市兰天金刚石有限责任公司 | 一种修整砂轮用超硬工具及其制备方法 |
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