JP5588684B2 - エリトロポエチン融合たんぱく質 - Google Patents

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Description

本発明は、エリトロポエチン(erythropoietin;EPO)が、たんぱく質キャリア、特に、Fcフラグメントのような抗体の断片または抗体に特異的に結合された組み換え融合たんぱく質に関する。ここで、組み換え融合たんぱく質はさらにカルバモイル化されている。本発明は、前記融合たんぱく質の製造方法、前記融合たんぱく質を含む医薬組成物、並びに、治療のための前記融合たんぱく質及び医薬組成物の使用に関する。
広く知られた糖たんぱく質であるエリトロポエチン(EPO)は、骨髄に対するそのホルモン性効果によって初めて同定され、且つ、成熟赤血球の成長及び発生(development)に関与している。このような造血作用に加えて、最近では、EPOが多くの組織において代謝ストレスを改善させる、局所的に産生される強力な分子として機能することが明らかになった。このようなEPOの組織保護作用(tissue protective activity)は、エリトロポエチン受容体との相互作用を介して行われる。例えば、脳において、EPO及びその受容体は代謝ストレッサ(metabolic stressor)によって部分的に産生され、且つ、調整される。そして、神経保護作用及び抗炎症作用を果たす。文献[Doggrell, SA. (2004) Expert Opin Investig Drugs; 13( 1 1 ): 151 7-9]参照。
脊髄において、EPOは、ニューロン、オリゴデンドログリア、及び、内被細胞のアポプトシス(apoptosis)及び壊死の阻害、空洞化(cavitation)の低減、脂質過酸化の減少、内被細胞の前駆体の可動化(mobilization)、血管新生の促進、及び、血管の自己制御の回復(修復)を含めて有利な効果をはたす。文献[Gorio, A. et al (2002) Proc Natl Acad Sci U S A; 99( 14):9450-5; Leist M. (2004) Science; 305(5681 ):239-42]参照。EPOは、核因子(NF)-kappaB経路の成員の調整を通じて、並びに、転写−5−システムの活性化因子、及び、ヤヌスキナーゼ(janus kinase)−2/信号変換因子(signal transducer)によって、信号を伝えることが知られている。文献[Gorio A. (2005) Neurosurgery; 56(4):821 -7; Grasso G. (2005) Neurosurgery; 56(4):821 -7]参照。
化学的修飾、例えば、EPOのN−末端アミノ酸、及び/または、リシンの1以上の一級アミノ基(primary amino group)のカルバモイル化(carbamoylation)によって、このサイトトカインの造血作用が著しく減少される一方で、その組織保護作用(即ち、神経細胞再生作用)は実質的に何ら変わることなく保持されるか、または、カルバモイル化されないEPOに比べて一層増強される。
WO 2006/014466号及びWO 2006/002646号には、様々な医薬としてのカルバモイル化EPOの使用及びその製造方法が記載されている。
EPOは、比較的短い半減期を有し、且つ、非免疫グロブリンたんぱく質に対する免疫グロブリン定常部の融合が前記非免疫グロブリンたんぱく質の半減期を著しく延ばすということが知られているために、免疫グロブリン断片をEPOに結合させるアプローチが行われていた。例えば、WO 99/02709には、免疫グロブリンのFc部及びEPOを含む融合たんぱく質の産生及びその使用が記載されている。ここで、EPO−Fc融合たんぱく質は、インビボにおいて天然EPOの半減期を延ばした。
WO2005/063808号では、薬動力学における改善(向上)、即ち、延ばされた血中半減期(serum half-life)、及び、EPO−Fc融合たんぱく質におけるインビボ効能(in vivo potency)の増強は、特定アミノ酸の変異(突然変異)、欠失、または、挿入によって得ることができる旨が記載されている。
したがって、より単純で、且つ、低コストのEPO療法が求められていた。言い換えれば、疾病の治療(具体的に、EPOの造血作用がそれほど要求されないか、全く望まれないか、または、むしろそれを低下させることが求められる一方で、EPOの組織再生作用をそのまま保持し、または、それ以上に増強させることが求められる場合をいう。)に対しては、EPOの投与回数を減らすなどすることである。このような疾病は、中枢神経系(CNS)及び末梢神経系(PNS)の両方又はいずれか一方における損傷(impairment)または機能障害(malfunction)が含まれるが、それらに限られるものではない。特に、前記疾病は、機械的衝撃(mechanical impact)の後に現れる物理的神経損傷のような神経損傷(nerval injuries)に関連し、または、それによって引き起こされる疾病を含む。
WO 2006/014466号 WO 2006/002646号 WO 2005/063808号
したがって、本発明の目的は、既知のEPO−Fc融合たんぱく質を改良・改善することである。このような融合たんぱく質は、非融合EPOたんぱく質に比べて血中半減期が延ばされるが、そこに化学的修飾(即ち、カルバモイル化)を施すことで、改質(modified)EPO−Fc融合たんぱく質が得られる。この改質EPO−Fc融合たんぱく質は、その血中半減期が長くなるほか、修飾されないEPO−Fcたんぱく質に比べて、減少された造血作用を有するが、その再生活性(再生作用)が元の水準を保持しているか、または、それより増強されている。
本発明に係る改質EPO−Fc融合たんぱく質は、中枢神経系(CNS)及び末梢神経系(PNS)の両方又はいずれか一方における疾病(disease)または機能障害(malfunction)の治療に適している。これらの例として、例えば、機械的衝撃、熱、または、刺激などによって引き起こされた神経の物理的損傷に起因し、または、それに関係する疾病などが挙げられる。本発明の改質EPO−Fc融合たんぱく質によってもたらされる有利な効果の一つに、同一の目的の下で従来のEPOまたはEPO−Fcに比べて、実質的に造血系(即ち、血球)には望まれない効果を増大することなく、より高容量(投与量)で投与され得ることがある。
したがって、本発明の目的は、改質組み換えEPO融合たんぱく質を提供することである。ここで、EPOは、たんぱく質キャリア、特に、Fcフラグメントなどの免疫グロブリン断片または免疫グロブリンに結合されている。より具体的に、EPOは、免疫グロブリン分子のFc部分(Fc portion)に結合されている。前記組み換え融合たんぱく質は、カルバモイル化によってさらに改質(修飾)され得る。
本発明の別の目的は、そのようにカルバモイル化組み換えEPO−Fc融合たんぱく質の製造方法を提供することである。
本発明の更なる別の目的は、そのようにカルバモイル化組み換えEPO−Fc融合たんぱく質を含む医薬組成物を提供することである。
本発明の別の特徴は、医薬としてカルバモイル化組み換えEPO−Fc融合たんぱく質を使用することに関する。
本発明の別の特徴は、医薬(療法)として前記カルバモイル化組み換えEPO−Fc融合たんぱく質を含む医薬組成物を使用することに関する。
本発明の原理(原則)については、独立項に記載されているが、本発明の様々な具体例は、従属項に記載された発明特定事項である。
本発明の改質EPO−Fc融合たんぱく質は、その血中半減期が長くなるほか、修飾されないEPO−Fcたんぱく質に比べて、減少された造血作用(造血活性)を有するが、その再生活性が元の水準を保持しているか、または、それより増強されている。この改質EPO−Fc融合たんぱく質は、その血中半減期が長くなるほか、修飾されないEPO−Fcたんぱく質に比べて、減少された造血作用を有するが、その再生活性が元の水準を保持しているか、または、それより増強されている。本発明に係る改質EPO−Fc融合たんぱく質は、中枢神経系(CNS)及び末梢神経系(PNS)の両方またはいずれか一方における疾病(disease)または機能障害(malfunction)の治療に適している。これらの例として、例えば、機械的衝撃、熱、または、刺激などによって引き起こされた神経の物理的損傷に起因し、または、それに関係する疾病などが挙げられる。本発明の改質EPO−Fc融合たんぱく質によってもたらされる有利な効果の一つに、同一の目的の下で従来のEPOまたはEPO−Fcに比べて、実質的に造血系(即ち、血球)には望まれない効果を増大することなく、より高容量(投与量)で投与され得るということである。
図1は、本発明に係るカルバモイル化EPO−Fc融合たんぱく質を投与した場合の、挫傷損傷後のラットにおける運動回復(locomotor recovery)を測定した結果を示す。ここで、縦軸は、BBSスケール(Beattie-Bresnahan-Basso scale)であり、横軸は、挫傷損傷前後において選択された時間である。ここで、グループ1の動物には、rhEPOたんぱく質を投与し(対照群)、グループ2は未処理動物(プラセボグループ)であり、グループ3の動物には、カルバモイル化されないEPO−Fc融合たんぱく質を投与し(比較群)、グループ4の動物には、カルバモイル化EPO−Fc融合たんぱく質を投与し(実験群)、そして、グループ5の動物には、メチルプレドニゾロン(methylprednisolon)を投与した(比較群)。 図2は、異なる段階(進行状態)にある実験的自己免疫性脳脊髄炎EAE)マウスモデルにおけるカルバモイル化EPO−Fc融合たんぱく質の効果を、EAE点数をもって評価した結果を示す。ここで、縦軸は、EAE点数スケールであり、横軸は、投与を初めてから経過した日(数)を示す。図2Aに示す初期治療において、動物には、カルバモイル化EPO−Fc融合たんぱく質(テスト:グループ1)、またはPBS(対照群:グループ2)を投与した。その投与は、EAE誘発後18日目に始まった。 図2Bに示す中期治療において、動物には、カルバモイル化EPO−Fc融合たんぱく質(テスト:グループ3)、またはPBS(対照群:グループ4)を投与した。その投与は、EAE誘発後28日目に始まった。 図2Cに示す末期治療において、動物には、カルバモイル化EPO−Fc融合たんぱく質(テスト:グループ5)、またはPBS(対照群:グループ6)を投与した。その投与は、EAE誘発(誘導)後52日目に始まった。このマウスグループについての詳細は、表2を参照されたい。図2A〜図2Cは、各グループに用いられた動物の平均EAE点数を示す。
第1の具体例において、本発明は、化学的に改質された(即ち、カルバモイル化された)組み換えEPO−Fc融合たんぱく質を提供する。このたんぱく質は、非融合EPOたんぱく質に比べて、血中半減期が著しく延長されると共に、修飾されないEPO−Fc融合たんぱく質に比べて減少された造血作用を有し、且つ、修飾されないEPOまたはEPO−Fc融合たんぱく質の対応する作用に比べて同等の水準の神経細胞再生作用を有し、または、それをはるかに上回る神経細胞再生作用を有する。
本明細書に記載された「EPO−Fc融合たんぱく質」とは、EPO部分とFc部分とを含むたんぱく質をいう。ここで、「EPO部分」は、ヒトなどソースから得た全長の野生型又は天然エリトロポエチン(full-length wildtype or naturally occurring erythropoietin)だけでなく、生物活性エリトロポエチン断片(fragment)、類似体(analog)、変異体(variant)、突然変異体(mutant)、及び、エリトロポエチンの誘導体(derivative)を含むエリトロポエチン様分子(erythropoietin-like molecule)をも含む。ここで、「Fc部分」は、免疫グロブリン、好ましくは、ヒト免疫グロブリンの定常部由来のドメインを含む。このようなドメインには、定常部の断片、類似体、変異体、突然変異体、又は、誘導体が含まれる。適当な免疫グロブリンとして、IgG、即ち、サブクラスIgG1、IgG2、IgG3、及び、IgG4、及び、その他のクラスが含まれる。
本明細書に使用されたエリトロポエチンの「生物活性(biological activity)」は、エリトロポエチン受容体と相互作用するEPOまたはEPO様分子(EPO-like molecule)の能力として解される。
生物活性EPO様分子は、通常、野生型または天然EPOの対応する配列との間で実質的なアミノ酸配列の類似性または同一性を共有し、且つ、野生型EPOの有する1以上の機能を有している。即ち、その同一性の程度は、55%以上、約65%、約75%、約80%、約95〜95%である。
本明細書に記載された「生物活性断片(biologically active fragment)」とは、全長のたんぱく質に類似した生物学的効果を奏する断片をいう。そのような断片は、アミノ−及びカルボキシ−末端欠失(terminal deletion)並びに内部欠失(internal deletion)によって生じる。これらは、切断型(truncated form)及びハイブリッド型のエリトロポエチンを含む。ここで、「切断」型とは、1以上のN−末端及び/またはC−末端残基をなくしたより短い形態のエリトロポエチンである。
本発明のEPO−Fc融合たんぱく質は、様々な方法によって互いに結合され得る。Fc部分は、そのC末端を介してEPO部分のN末端に結合され(即ち、EPO−Fc融合たんぱく質のN末端に向かうFc部分を有するEPO−Fc融合たんぱく質)、または、本発明の好ましい具体例によれば、Fc部分は、そのN末端を介してEPO部分のC末端に結合されている。
また、Fc部分及びEPO部分は、末端と末端とが互いに直接的に、または、リンカーなどを介して間接的に融合されている。ここで、リンカーの例として、Fc部分とEPO部分との間に挿入されるペプチドリンカーがある。
したがって、本発明の一つは、インビボにおけるEPOに比べて、減少された造血作用と、向上された生理学的半減期を有し、且つ、インビボにおける神経再生活性を有する組み換えEPO融合たんぱく質に関する。このたんぱく質は、ヒト免疫グロブリン分子のFc部分と、エリトロポエチン(EPO)部分(好ましくは、ヒトエリトロポエチン部分)と、を含み、Fc部分は、そのN末端を介してEPO部分のC末端に直接に結合され、そして、前記融合たんぱく質は、カルバモイル化によって修飾されている。
一般的に、たんぱく質のカルバモイル化は、たんぱく質の精製の際にウレアを用いることの副作用(side effect)として、そして、ウレアからシアン酸塩(cyanate)への自発的な分解による高血清ウレア濃度の結果としてしばしば起こる現象である。シアン酸塩は、たんぱく質における1級アミンを含む1級アミンのカルバモイル化に関与し、且つ、たんぱく質(例えば、EPO糖たんぱく質)のN末端アミノ酸及びリシンの遊離アミノ酸残基と容易に反応するものである。シアン酸塩のカルバモイル化は、pH依存的であり、且つ、狭い範囲ではなるが、アルギニン、システイン、チロシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、及び、ヒスチジンを含むたんぱく質の別のアミノ酸とでも起こる。
所定量のシアン酸塩を所定量のたんぱく質と反応させることによって、調剤用(preparative)カルバモイル化が行われる。カルバモイル化の程度は、シアン酸塩と、たんぱく質との反応時間、並びに、シアン酸塩及び/又は所定のたんぱく質の濃度に依存する。
本発明の更なる特徴は、EPO−Fcたんぱく質に関する。この融合たんぱく質において、1以上の、好ましくは、2以上のリシン残基及び/またはN−末端アミノ酸はカルバモイル化されている。
本発明のカルバモイル化EPO−Fcたんぱく質は、Fc部分における更なる修飾(改質)、例えば、アミノ酸の突然変異(例えば、アミノ酸の挿入、アミノ酸の欠失、または、保存的(conservative)或いは非保存的(non-conservative)アミノ酸置換など)を含んでも良い。特に、Fc部分におけるアミノ酸が置き換えられることによって、融合たんぱく質(例えば、EPO−Fc融合たんぱく質)の血中半減期をさらに延ばすことができるということは当業者にとって広く知られている。それは、Fc受容体結合活性または補体固定活性(complement fixing activity)を減少させ、または、除去することによってもたらされる。このEPO−Fc融合たんぱく質は、アミノ酸の突然変異、例えば、アミノ酸の挿入、アミノ酸の欠失、及び、保存的或いは非保存的アミノ酸置換、または、アミノ酸の脱グリコシル化によって、エリトロポエチン部をさらに修飾することも可能である。こうした修飾の結果、エリトロポエチンの生物学的活性(生物活性)が増強され、及び/または、EPOに対する結合親和性が減少される。
一般的に、免疫グロブリンの「定常部(constant region)」は、パパイン消化(分解)の際に生じる免疫グロブリンドC末端ドメインに相当性の天然または合成ポリペプチドをいう。免疫グロブリン重鎖における定常部は、重鎖定常部1ドメイン(CH1)、ヒンジ部(hinge region)、重鎖定常部2ドメイン(CH2)、及び、重鎖定常部3ドメイン(CH3)を含んでも良い。
したがって、本発明のFc部分は、ヒンジ部、CH2,及び/または、CH3ドメインを含むことができる。また、Fc部分は、ヒンジ部、CH2、及び/または、CH3ドメインの全部または一部を含むことができる。
本発明の別の特徴は、ヒトIgG由来のヒンジ部、CH2ドメイン、及び、CH3ドメインを含むEPO−Fc融合たんぱく質に関する。
本発明の別の特徴は、EPO部分とFc部分とがヒンジ部において融合されたEPO−Fc融合たんぱく質に関する。
一般的に、本発明のEPO−Fc融合たんぱく質は、当業者によく知られた方法を用いた組み換え発現法(methods of recombinant expression)によって産生される。天然EPO及び免疫グロブリンと実質的に同様のグリコシル化パターンを有するグリコシル化組み換えEPO−Fc融合たんぱく質を得るために、EPO−Fc融合たんぱく質の組み換え発現用として真核細胞を用いることが好ましい。組み換えによって発現されたたんぱく質は、培地中に単一のポリペプチド鎖として分泌されて、EPO−Fc融合たんぱく質を形成するが、これらは、培地中に二量体または多量体(ここで、ポリペプチドは、ジスルフィド結合によって互いに結合されている。)として分泌され得る。
本発明の別の特徴は、2つのEPO−Fc融合たんぱく質単量体が互いに結合されて、ホモ二量体(homodimer)を形成するEPO−Fc融合たんぱく質に関する。
この分泌され、かつ、組み換えによって産生されたたんぱく質は、細胞培地から単離され、且つ、当業者に知られている方法によって精製される。
本発明の別の特徴は、ヒトIgG分子のFc部分と、EPO部分(好ましくは、ヒトEPO部分)と、を含むカルバモイル化組み換えEPO−Fc融合たんぱく質の製造方法である。ここで、Fc部分は、そのN末端を介して、EPO部分のC末端に直接結合される。この方法は、EPO−Fc融合たんぱく質をコード化するDNA分子を作製し、そのDNA分子を用いて宿主細胞を形質転換させ、前記DNA分子によってコード化されるEPO−Fc融合たんぱく質を発現させ、前記EPO−Fc融合たんぱく質を回収し、前記EPO−Fc融合たんぱく質を精製し、そして、前記EPO−Fc融合たんぱく質をカルバモイル化することを含む。ここで、カルバモイル化は、前記EPO−Fc融合たんぱく質をシアン酸塩と反応させることによって行う。その結果、融合たんぱく質における1以上、好ましくは、2以上のリシン残基及び/または、N−末端アミノ酸がカルバモイル化される。
本発明のEPO−Fc融合たんぱく質は、EPO部分を免疫グロブリンのFc部分に融合させることによって得られた有利な延長された血中半減期を有し、且つ、前記たんぱく質の1以上の1級アミンのカルバモイル化に基づいて、元の神経細胞再生効果またはそれを上回る神経細胞再生効果を有しながらも、減少された造血作用を示す。
本発明の別の特徴は、医薬に適合したEPO−Fc融合たんぱく質に関する。
一般的に、このようなEPO−Fc融合たんぱく質は、カルバモイル化EPOたんぱく質に代えて使用することができる(カルバモイル化EPOが必要とされるどのような場面においても)。特に、こうしたEPO−Fc融合たんぱく質は、中枢神経系(CNS)及び/または、末梢神経系(PNS)の疾患の治療のための医薬組成物の製造に用いられる。
例えば、EPO−Fc融合たんぱく質は、ストローク、ストローク以外の中枢神経系(CNS)における虚血、挫傷(contusion injury)、脊髄損傷、外傷性脳損傷、及び、神経変性疾患からなる群から選択される疾病の治療のための医薬組成物の製造に用いられる。
本発明のEPO−Fc融合たんぱく質の延長された血中半減期に基づいて(カルバモイル化非融合EPOたんぱく質に比べたもの)、EPO−Fc融合たんぱく質を含む医薬組成物は、カルバモイル化非融合EPOたんぱく質を含有する医薬組成物に比べてより長い間隔にて投与すべきである。したがって、本発明のEPO−Fc融合たんぱく質を用いた治療は、かかる治療(療法)を必要とする患者にとってはより楽であろう。
本発明の別の特徴は、EPO−Fc融合たんぱく質と、任意の医薬的に許容されるキャリアと、を含む医薬組成物に関する。
本発明の別の特徴によれば、前記医薬組成物は非経口的な投与に適しているが、それに限られるものではない。十分なEPO療法は、治療に有効なEPO血清濃度を要求するので、その医薬組成物が注射液(injection solution)であるのが好ましい。この注射液では、本発明のEPO−Fc融合たんぱく質が 医薬的に許容されるキャリア物質と混合されている。本発明の好ましい具体例によれば、かかる医薬組成物は、静脈または皮下注射の用に適したガレヌス剤形であることが好ましい。
本発明の別の特徴は、中枢神経系(CNS)及び/または末梢神経系における疾病の治療に適した前記医薬組成物の使用に関する。
本発明の別の特徴は、ストローク、ストローク以外の中枢神経系(CNS)における虚血、挫傷、脊髄損傷、外傷性脳損傷、及び、神経変性疾患からなる群から選択される疾病の治療のための前記医薬組成物の使用に関する。
本明細書に記載された発明をよりよく理解するために、以下に実施例を提供する。この実施例は、本発明の理解を助ける目的で提示したに過ぎず、本発明を何らかの形で制限するものではない。
カルバモイル化EPO−Fcの製造及び特徴付け
a)EPO−Fcをコード化する発現ベクターの作製
ヒトEPO遺伝子と、ヒトIgG1ヒンジ−CH2−CH3断片との融合−PCRによってEPO−Fcを作製した。EPOは、その構造体のN末端が用意され、ヒトIgGIのヒンジ部に融合された。たんぱく質を培地上清(culture supernatant)に分泌させるために、EPOcDNAと共に増幅されたエリトロポエチン信号化配列(erythropoietin signalling sequence)が用いられた。この構造体は、ホモ二量体EPO−Fc分子の分泌を可能にする。
ヒトEPOcDNAは、オリゴヌクレオチドepo back BamHI(ユニークなBamHI制限部位をイDNA断片の5’末端に付着させるために設計されたもの)、及び、epo hyb hinge(576塩基対のDNA断片を生じさせる。)を用いて、PCRによってプラスミドphEpoから増幅された。ここで、epo back BamHIは5' GGGGGATCCGCC ATGGGGGTGCACGAATGTCC 3' (配列番号1)であり、そして、epo hybヒンジは、5' AGATTTGGGCTCTCTGTCCCCTGTCCTGCAGG 3' (配列番号2)である。 ヒトIgGIヒンジ−CH2−CH3断片は、プラスミドp2G12HCから、オリゴヌクレオチドCH3 for NotI(ユニークなNotI制限部位をDNA断片の3'末端に付着させるために設計されたもの)、及び、hinge hyb epo back(671塩基対のDNA断片を生じさせる。)を用いたPCRによって増幅された。ここで、CH3 for NotIは、5' GGGGCGGCCGCTCAT TTACCCGGAGACAGG 3'(配列番号3)であり、そして、hinge hyb epo backは、5' ACAGG GGACAGAGAGCCCAAATCTTGTGAC 3'(配列番号4)である。増幅は、プラスミド鋳型20ng、各オリゴヌクレオチド10pmol、250μMのヌクレオチド、1×PCR緩衝液、及び5ユニットのTaqポリメラーゼ94℃において20秒、56℃において30秒、そして、72℃において1分からなるサイクルを25回繰り返し行われた。
キアクイック(Qiaquick)精製キット(Qiagen社製)を用いて前記断片を精製した後に、50 ngのIgGIヒンジ-CH2- CH3 cDNA、50 ngのEPO cDNA、250 μMのヌクレオチド、I xPCR 緩衝液、及び、5ユニットTaqポリマラーゼを用いて、50μl体積において融合PCR(fusion PCR)を行った。第1のステップにおいて、94℃において20秒、60℃において30秒、そして、72℃において1分からなるサイクルを6サイクル行った。外部プライマー(epo back BamHI and CH3 for NotI )をそれぞれ10pmol加えてから、94℃において20秒、56℃において30秒、そして、72℃において1分からなるサイクルを25回(サイクル)繰り返し行った。
その後、PCR産物を調剤用ゲル抽出、及び、ゲル抽出キット(キアゲン社製)によって精製した。それにより得たEPO−Fc cDNAを、ヒトCMV(サイトメガロウィルス)プロモーターを含有するBamHI/ NotIによってオープンされた真核生物発現ベクターに挿入して、それをE.coli菌株TG1へ形質転換させた。10 ngのEPO-Fc断片及び5 ngのpECMV ベクター、1ユニットのT4-リガーゼ及び1 x 連結緩衝液(New England Biolabs社製)を用いて、全容積10 μlにおいて37℃で1時間に亘って連結反応(ligation)を行った。外部プライマーを用いたPCRスクリーニングによって陽性クローンが同定された。最後のプラスミドpCMV EpoFcにおけるEpo−Fc cDNAの正確さ(correctness)は、配列及び制限分析によって立証された。
b) EPO−Fc融合たんぱく質発現及び精製:
ステップa)から得た大量の(large scale)プラスミド調剤物(pCMV EpoFc)を用いて、ジヒドロ葉酸還元酵素陰性CHO細胞のトランスフェクションを行った。細胞をリポフェクチンで形質移入させるために、2つのプラスミドpCMV EpoFc及びp2_dhfrを20:1の比率で使用した。形質移入された細胞の選択(選別)は、トランスフェションが終ってから24時間が経過した時点でスタートし(DMEM 4mM L-Glutamine 及び10%調製牛胎児血清)、クローンが成長し始めたときに、MTX圧力を加えた(0.05 μM 及び0.1 μM MTX)。最も(性能の)良いクローン培地を選択し、且つ、単離してから、培地(cultivation)を無たんぱく質状態(protein free condition)に切り替えた。細胞生存率80%の流加発酵(fed batch fermantation)から細胞上清を回収した。
その上清を、サイズフィルタリングし(0.2μm空隙サイズ)、1MのTrisを加えて、最終的にpH8.5に調整し、その後、たんぱく質A−セファロースカラム(0.025Mのトリス緩衝食塩水にて平衡を保たれ、pH8.5であり、そして、0.1Mのグリセリンで溶出される。)上に通過させた。溶出(溶離)された産物分画のpHを測定し、1MのTrisを用いて、pH7.0〜7.5、必要に応じて、pH8.0に調整した。
c)カルバモイル化EPO−Fc融合たんぱく質の産生
このプロセスのための出発物質は、精製されたヒトEPO−Fc融合たんぱく質(前述したもの)であった。その融合たんぱく質は、培地の上清に存在する融合たんぱく質の全てのイソフォーム(isoform)を含み、それにより、所定の最終産物を高収率で得ることが可能である。
先ず、組み換えヒトEPO−Fc融合たんぱく質のたんぱく質濃度を、限外濾過(10kDカットオフを有するメンブレーン)によって、4〜7mg/mlに調整した。0.6MのNa−ホウ酸塩緩衝液(pH8)の中に60mg/mgEPO-Fc融合タンハ゜ク質を溶かして、KOCN−ホウ酸塩溶液を製造した。
その後、EPO−Fc融合たんぱく質溶液をKOCN−ホウ酸塩溶液と1:1の比率で混合させた。その溶液を37℃にて48時間インキュベートした。PBS中のゲルろ過(gelfiltration)によって(セファデックスG25)、カルバモイル化EPO−Fc融合たんぱく質を得た(endformulated)。カルバモイル化EPO−Fc融合たんぱく質の濃度は、EPO−Fc融合たんぱく質の較正曲線(calibration curve)に基づいて、OD28oπmによって測定された。前記較正曲線は、ELISAによって決められた。
その後行われたカルバモイル化度の測定(決定)によって、ほぼ全ての遊離アミノ酸基がカルバモイル化されていることが分かった。
挫傷(外傷)後のラットにおける運動回復(locomotor recovery)の測定
動物実験では、改質されないEPO−Fc融合たんぱく質と比べた、カルバモイル化EPO−Fc融合たんぱく質のインビボ神経細胞再生活性を分析した。カルバモイル化EPO−Fc融合たんぱく質と、非改質EPO−Fc融合たんぱく質は実施例1と同様に産生した。
35匹のSDラット(体重240〜260g)を6匹の動物からなるグループ(グループ1)、7匹の動物からなるグループ(グループ2、4、及び、5)、または、8匹の動物からなるグループ(グループ3)の5つのグループに分けた。ケタベット(Ketavet)(110 mg/kg)と、ロムパン(Rompun)(12 mg/kg)との混合物を用いて(腹腔内注射)、これらの動物を麻酔させた。その後、T−11レベルにおいて椎弓切除(laminectomy)が行われた。脊髄を露出させた後、動物は、IH400衝撃装置(impactor)(アメリカのケンタッキー州、レキシントンに所在するPrecision Systems & Instrumentation社製)により150kdyneの脊髄挫傷を受けた。その挫傷後1時間の時点において、動物には、単一投与量の各たんぱく質が投与された(表1参照)。前記脊髄挫傷があってから第1週、第2週、第3週、第4週、第5週、第6週に三日Basso-Beattie-Bresnahan等級スケールによって運動回復(locomotor recovery)を評価した。Basso-Beattie-Bresnahan等級スケールは1〜21ポイントである。それは、関節運動(joint movement)、足踏み能力(stepping ability)、足踏みの細かい制御度、及び、体幹安定性(trunk stability)に関する後肢の機能を全体的に細かく評価するものである。
Figure 0005588684
動物を開放された領域に露出させ、前記脊髄挫傷があってから第1週、第2週、第3週、第4週、第5週、第6週に三日5分間観察した。図1は、この実験において得られたBasso-Beattie-Bresnahanスケールに基づく値を示したものである。
カルバモイル化rhEPO−Fc(グループ4)及びrhEPO−Fc(グループ3)の投与により、対照群(グループ1及び2)に比べて、運動回復が著しく向上されることが分かった。それに比べて、メチルプレドニゾロンを投与した動物(グループ5)では、対照群に比べて有意な差は見られなかった。約4週後に対照群の動物は定常状態に至り、且つ、その後更なる再生改善効果は見られなかったが、グループ3及び4の動物(EPO−Fc融合たんぱく質及びカルバモイル化EPO−Fc融合たんぱく質)では、6週間の回復期間に亘って持続的で、且つ、著しい改善(向上)が見られた。
カルバモイル化rhEPO−Fc(グループ4)を投与した結果、rhEPO−Fc(グループ3)に比べて運動回復が著しく向上された(特に、脊髄挫傷の直後に)。3日目において、rhEPO−Fcを投与した動物では、1関節または2関節だけに及ぶ運動が可能であった(Basso-Beattie-Bresnahanスケールに基づく値は、それぞれ2又は3であった。)。一方で、カルバモイル化rhEPO−Fcを投与した動物では、2以上の関節に及ぶ(広範囲の)運動が可能であり、且つ、第3の関節を少し動ける程度の運動が可能であるか、又は、後肢の全ての関節(3つの関節)に及ぶ運動が可能であった(Basso-Beattie-Bresnahanスケールに基づく値は、それぞれ6又は7であった。)。
多発性硬化症のマウスモデルにおけるカルバモイル化EPO−Fc融合たんぱく質の効果に対する評価
動物実験では、実験的自己免疫性脳脊髄炎Experimental Autoimmune Encephalomyelitis、以下「EAE」という。カルバモイル化EPO−Fc融合たんぱく質のインビボ効果を分析した。げっ歯類、例えば、マウスに対しEAEを誘導することができる。げっ歯類は、多発性硬化症(MS)のような脱髄疾患に対し広く受け入れられている動物モデルである。EAEマウスモデルは、MSの再発周期、及び、軽減周期をまねる。
この実験に用いられるカルバモイル化EPO−Fc融合たんぱく質は、実施例1に記載されたものと同様に産生した。
ミエリンオリゴデンドロサイト糖たんぱく質で免疫化することによって、11匹のC57BL/6雌マウスにEAEを誘発した。文献[Savino, C. et al. (2006) J Neuroimmunol 1 72(1 -2):27-37]参照。簡単に、PBS中にMOG35 55の溶液(4 mg/ml)を製造した。加熱滅菌したヒト(型)結核菌(Mycobacterium tuberculosis (Difco H37RA))をフロイント不完全アジュバント(IFA)中に懸濁させた(濃度:8 mg/ml)。MOG35.55液を用いてその懸濁液を乳化させた。その後、このエマルジョン100μlを各マウスに皮下注射し、或いは、側腹部に50 μlを皮下注射した。最後に、各動物に対し、PBSに溶かした百日咳毒素を2回静脈注射した。その1回は、免疫化の直後であり、もう1回は、免疫化から48時間経過後であった。
EAE進行の異なる段階におけるカルバモイル化EPO−Fc融合たんぱく質の効果を分析するために、EAEを誘発した動物を、テストグループ(5匹の動物からなる)及び対照群(6匹の動物からなる)に分けた。テストグループの動物には、カルバモイル化EPO−Fc融合たんぱく質を50 μg/kg(体重)で投与し、他方で、対照群には、PBSのみを投与した。カルバモイル化EPO−Fc融合たんぱく質、及び、PBSの投与(腹腔内注射)は、免疫化後18日目(初期治療)、28日目(中期治療)、または、52日目(末期治療)から始まった。その後、各テストグループと対照群をさらに3つのサブグループに分けた(表2参照)。治療は、30日間続けられ、そして、動物は、隔日投与を受けた。
Figure 0005588684
動物の臨床状態、及び、疾病の進行状態をモニターした。その後、動物に現れた神経学的欠損は、表3に示した評点方式に基づくEAE点数によって、毎日定量的に評価された。文献[Buddeberg, B. S. et al. (2004) J Neuroimmunol 153(1 -2): 1 58-70]参照。
Figure 0005588684
図2A〜2Cは、これらの動物実験から得たEAE点数を示すものであるが、ここで、各図は、各グループに使用された動物の平均点数を示す。
カルバモイル化EPO−Fc融合たんぱく質を投与し結果(グループ1、3、及び5)、対照群に比べて(グループ2、4、及び6)、初期(図2A)、中期(図2B),及び、末期(図2C)における再発率が低下された。対照群の動物のEAE点数が上下に揺れるものであったが、カルバモイル化EPO−Fc融合たんぱく質を投与した動物では、EAE点数(即ち、疾病の強度)が治療開始期を上回ることは決してなかった。
カルバモイル化EPおーFc融合たんぱく質を初期に投与した場合に、各対照群に比べたカルバモイル化EPO−Fc融合たんぱく質の末期投与よりも、EAE進行により大きな効果があることが分かった。より具体的に、図2Aによれば、投与を始めてから30日が経過した時点においてカルバモイルEPO−Fc融合たんぱく質を投与した動物(テスト)の平均点数が65.2%まで減少されたのに対して、対照群の動物の平均点数は、46.1%減少されるに留まった。
これらの実験から、EAE進行に対するカルバモイル化EPO−Fc融合たんぱく質のポジティブ効果が確認された。
SEQUENCE LISTING

<110> Polymun Scientific Immunbiologische Forschung GmbH

<120> ERYTHROPOIETIN FUSION PROTEIN

<130> BEP-10286-WO

<140> PCT/EP2008/001311
<141> 2008-02-20

<150> EP 07003659.5
<151> 2007-02-22

<150> US 60/894,948
<151> 2007-03-15

<160> 4

<170> PatentIn version 3.3

<210> 1
<211> 32
<212> DNA
<213> Artificial

<220>
<223> epo back BamHI primer

<400> 1
gggggatccg ccatgggggt gcacgaatgt cc 32


<210> 2
<211> 32
<212> DNA
<213> Artificial

<220>
<223> epo hyb hinge for primer

<400> 2
agatttgggc tctctgtccc ctgtcctgca gg 32


<210> 3
<211> 30
<212> DNA
<213> Artificial

<220>
<223> CH3 for NotI primer

<400> 3
ggggcggccg ctcatttacc cggagacagg 30


<210> 4
<211> 30
<212> DNA
<213> Artificial

<220>
<223> hinge hyb epo back primer

<400> 4
acaggggaca gagagcccaa atcttgtgac 30

Claims (17)

  1. インビボにおけるEPOに比べて、減少された造血活性、及び、向上された生理学的半減期を有すると共に、インビボにおける神経再生活性を有し、かつ、ヒトIgG分子のFc部分と、エリトロポエチン(以下、「EPO」という。)部分と、を含む組み換えEPO融合たんぱく質であって、
    前記Fc部分が、そのN末端を介して前記EPO部分のC末端に直接結合され、そして、
    前記融合たんぱく質が、カルバモイル化によって修飾されている
    ことを特徴とする組み換えEPO融合たんぱく質。
  2. 前記融合たんぱく質における1以上のリシン残基及び/又はN−末端アミノ酸が、カルバモイル化されていることを特徴とする請求項1に記載の融合たんぱく質。
  3. 前記Fc部分が、ヒトIgG由来のCH3ドメイン、CH2ドメイン、及び、ヒンジ部を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の融合たんぱく質。
  4. 前記融合たんぱく質が、前記ヒンジ部において融合されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の融合たんぱく質。
  5. 2つの前記EPO−Fc融合たんぱく質単量体が互いに結合されて、ホモ二量体を形成していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の融合たんぱく質。
  6. ヒトIgG分子のFc部分が、そのN末端を介して、EPO部分のC末端に直接結合されているカルバモイル化組み換えEPO−Fc融合たんぱく質の製造方法であって、
    EPO−Fc融合たんぱく質をコード化するDNA分子を作製し、
    前記DNA分子を用いて宿主細胞を形質転換させ、
    前記DNA分子によってコード化される前記EPO−Fc融合たんぱく質を発現させ、
    前記EPO−Fc融合たんぱく質を回収し、
    前記EPO−Fc融合たんぱく質を精製し、かつ、
    前記EPO−Fc融合たんぱく質をシアン酸塩と反応させることによって、前記EPO−Fc融合たんぱく質をカルバモイル化することを含み、そして、
    前記融合たんぱく質における1以上のリシン残基及び/または、N−末端アミノ酸をカルバモイル化する
    ことを特徴とするカルバモイル化組み換えEPO−Fc融合たんぱく質の製造方法。
  7. 医薬として用いられる請求項1〜5のいずれか一項に記載の融合たんぱく質。
  8. 中枢神経系及び/又は末梢神経系における疾患の治療のための医薬組成物を製造するための請求項1〜5のいずれか一項に記載の融合たんぱく質の使用。
  9. 前記疾患が、ストローク、ストローク以外の中枢神経系における虚血、挫傷、脊髄損傷、外傷性脳損傷、及び、神経変性疾患からなる群から選択されるものであることを特徴とする請求項8に記載の使用。
  10. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の融合たんぱく質と、特に非経口的投与に適した、医薬的に許容されるキャリアと、を含む医薬組成物。
  11. 前記医薬組成物が、注射液として適したものであることを特徴とする請求項10に記載の医薬組成物。
  12. 前記医薬組成物が、前記組み換えEPO−Fc融合たんぱく質を発現する細胞培地の上清に存在する前記融合たんぱく質のほぼ全てのイソフォームを含む、請求項10に記載の医薬組成物。
  13. 前記EPO−Fc融合たんぱく質を前記細胞の培地の上清から回収し、前記精製されたEPO−Fc融合たんぱく質は、前記細胞の前記培地の前記上清に存在するほぼ全てのイソフォームを含み、そして、前記カルバモイル化は、前記ほぼ全てのイソフォームを含む前記精製されたEPO−Fc融合たんぱく質を使用して行なう、請求項6に記載の製造方法。
  14. 前記エリトロポエチン部分が、ヒトエリトロポエチン部分である、請求項1に記載の融合たんぱく質。
  15. 前記融合たんぱく質における2以上のリシン残基が、カルバモイル化されていることを特徴とする請求項1に記載の融合たんぱく質。
  16. 前記融合たんぱく質における2以上のリシン残基をカルバモイル化する、請求項6に記載の製造方法。
  17. 前記EPO部分が、ヒトEPO部分である、請求項6に記載の製造方法。
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