JP5587646B2 - 銅−チタン−水素合金およびその製造方法 - Google Patents

銅−チタン−水素合金およびその製造方法 Download PDF

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本発明は、導電性と強度に優れた銅−チタン−水素合金およびその製造方法に関する。
パソコンや携帯電話などに用いられているリードフレームやコネクタには、導電率と強度のバランスに優れたCu-Be合金が汎用されている。しかし、Beは希少金属、有害物質であるためCu-Be合金の代替が切望されている。その候補に時効析出型Cu-Ti系合金が挙げられる。時効析出型Cu-Ti合金はCu-Be合金に匹敵する力学的特性を有し、水素雰囲気中での時効により高導電率化も期待できる(非特許文献1)。
これは、水素中時効にともないCu4Ti相に加えてTiH2相が析出し、その結果母相中のチタン濃度が著しく低下することに起因している。これまでの研究で、時効温度を低くすることより時効時間が必要となるが、最高硬さおよびその時に導電率が高くなることが示されている(非特許文献2)。
また特許文献1には、過飽和固溶体銅−チタン合金を水素雰囲気で時効析出硬化させることにより、導電率を向上させた銅−チタン−水素合金が開示されている。
特開2008−75174号公報
S. Semboshi, T J. Konno, J. Mater. Res. 23,473-477 (2008). 千星聡,西田智哉,沼倉宏,T. Al-Kassaab and R. Kirchheim, 銅と銅合金, 48 (2009), 86-91.
しかしながら従来の方法では、水素中時効に要する時間が長くかかっており、生産性に劣るといった課題があった。
本発明の目的は、比較的短時間で得られる銅−チタン−水素合金を提供することにある。
本発明によれば、過飽和固溶体銅−チタン合金を冷間圧延した後、時効析出硬化させ、かつ水素を含有させられたことにより、銅−チタンを100at%としたときにチタンを1at%以上、7.5at%以下含有し、銅−チタン−水素を100at%としたときに水素を0.1at%以上含有し、ビッカース硬度が275以上、導電率が20%IACS以上である、銅−チタン−水素合金が提供される。なお、チタンを6at%以下含有することが望ましい。
また本発明によれば、1at%以上、7.5at%以下のチタンを固溶させた銅−チタン合金を急冷し、得られた過飽和固溶体銅−チタン合金を、圧延率が5%以上80%以下で冷間圧延した後、水素雰囲気中で、時効析出硬化させ、かつ水素を含有させる、銅−チタン−水素合金の製造方法が提供される。時効処理温度が430℃以下でもよい。
本発明によれば、従来に比べて短時間で導電性と強度に優れた銅−チタン−水素合金を得ることが可能となる。
(a)は、本願発明例および従来法1、従来法2、従来法3により作製した各サンプルの時効処理時間に対する硬さを調べた結果を表すグラフである。(b)は、本願発明例および従来法1、従来法2、従来法3により作製した各サンプルの時効処理時間に対する導電性を示した結果を表すグラフである。 溶体化Cu-4.2at%Ti合金を水素雰囲気中にて400℃で100 h時効したときのTEM(透過型電子顕微鏡)写真である。 溶体化Cu-4.2at%Ti合金を冷間圧延(圧下率:15%)した後、水素雰囲気中にて400℃で100h時効したときの明視野像である。 溶体化Cu-3at%Ti合金を冷間圧延(圧率:0%(圧延なし)、15%、60%)した後、水素雰囲気中にて723K(450℃)で時効したときの導電率、ビッカース硬さと時効時間の関係を示す図である。 溶体化Cu-3at%Ti合金を冷間圧延(圧率:0%(圧延なし)、60%)した後、水素雰囲気中にて653K(380℃)または723K(450℃)で所定時間時効したときのビッカース硬さと導電率の関係を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明の銅−チタン−水素合金は、チタンは銅−チタンを100at%とした時に、1.0at%から7.5at%、好ましくは1.0at%から6.0at%であり、水素は銅−チタン−水素を100at%とした時に0.1at%以上からチタンの含有率の2倍(at%換算)以下、好ましくは1.7倍(at%換算)以下であり、残りが銅と不可避的不純物からなる。なお、本明細書および特許請求の範囲を通じて「at%」は、原子存在比(atomic%:アトミックパーセント)の意味である。
本発明の銅−チタン−水素合金は、母材となる銅にチタンを過飽和に固溶させ、急冷して得た過飽和固溶体銅−チタン合金を冷間圧延した後、例えば水素雰囲気中で時効析出硬化させ、水素を含有させることによって製造される。
母材となる銅およびチタンはできるだけ純度の高いものを使用するのがよい。特に本発明の銅−チタン−水素合金は水素を使うため、銅やチタン中に酸素が残渣として存在していると水素と反応し、強度的特性を損ねると考えられるので、素材には99.9%以上のものを使うのが好ましい。
まず、銅とチタンを溶製し、銅−チタンを100at%とした時に、チタンが1.0at%から7.5at%、好ましくは1.0at%から6.0at%である銅−チタン合金とする。また、前記銅−チタン合金は、チタンを1.0at%から7.5at%、好ましくは1.0at%から6.0at%含有し、残部がCu及び不可避不純物からなる銅―チタン合金としても良い。
銅−チタン系銅合金の強度(硬度)を高めるためには、できるだけ準安定相によって高強度化を図り、安定相(β相)の生成を抑制するのが好ましい。チタンの含有量が1.0at%未満では準安定相による強化作用を充分に引き出すことが難しい。また、チタンの含有量が7.5at%を超えて過剰になると、安定相(β相)が生成しやすく、熱間加工および冷間加工において割れが生じやすく、生産性の低下を招きやすい。したがって、チタンの含有量は1.0at%から7.5at%の範囲であり、1.0at%から6.0at%の範囲であることが好ましく、2.0at%から5.0at%の範囲であることがさらに好ましい。
溶製は、合金溶製法、アルゴンアーク溶解法など、一般に使われる方法を利用することができる。また、チタンは蒸気圧が高いため、溶融中で組成変化がほとんど起こらない。そのため、目標とする仕込み量で材料を仕込むことにより所定組成を有する合金が得られる。
急冷は銅にチタンが過飽和に固溶した状態(過飽和固溶体)を得る目的で行う。急冷には水冷、油冷、空冷といった方法が具体的に挙げられる。しかし、過飽和固溶体の状態が維持できればよく、これらに限定されるものではない。また、急冷はできるだけ体積に対する比表面積を大きくして行なうのがよい。比表面積が小さい状態で急冷しても内部はなかなか温度が下がらず、均質に急冷できないおそれがあるからである。
このようにして得られた鋳塊(インゴット)について、例えば所望の板厚を得るため、必要に応じて熱間圧延や冷間圧延等を行うことが好ましい。また、前記熱間圧延や冷間圧延の後に、溶質元素のマトリックス中への再固溶と再結晶化を行う溶体化処理を施して、組織を均質化することが好ましい。ただし、溶体化処理を行った場合は歪が開放されるために、本発明においては溶体化処理後に冷間圧延により歪を導入することが必要である。
次に、本発明では、時効処理を行う前に過飽和固溶体銅−チタン合金の冷間圧延を実施することにより、過飽和固溶体銅−チタン合金中にひずみを与えて析出核生成サイトを導入し、後に行われる時効析出硬化において比較的短時間で強度および導電率を向上させる。このように過飽和固溶体銅−チタン合金中に予め析出核生成サイトを導入した状態として、その後、水素を導入させつつ時効析出硬化させることにより、従来に比べて短時間で導電性と強度に優れた銅−チタン−水素合金を得ることが可能となる。
具体的な前記時効処理前の冷間圧延とは、前記鋳塊を直接冷間圧延するときの冷間圧延、前記鋳塊を熱間圧延した後に行う冷間圧延、前記鋳塊を熱間圧延および冷間圧延した後に溶体化処理を行い冷間圧延した場合は溶体化処理後の冷間圧延が例として挙げられる。すなわち前述の通り、時効処理の前に歪が導入されていることが重要である。
前記時効処理前の冷間圧延の冷間圧延率(圧下率)は5%以上、好ましくは10%以上である。5%未満であると、導入されるひずみが小さすぎ充分な効果が得られない恐れがある。冷間圧延率の上限は特にないが、装置上の制約から概ね80%程度である。
銅−チタン合金への水素の導入は、例えば時効析出硬化を水素雰囲気中で行なうことにより行われる。この時効処理は、水素圧が大気圧あるいは加圧雰囲気中で熱処理する手法である。時効処理の雰囲気は、一度減圧してその後水素を導入することで、還元雰囲気を作って行うのが好ましい。
また、水素雰囲気中の時効処理は、銅−チタン合金の形状、水素濃度、水素圧力、処理温度、処理時間などの要因で合金組織が変化するため、一様に特定する事はできない。製造目的毎に処理条件は絞り込むのが好ましい。一例として本願実施例ではおよそ430℃以下で焼鈍することが好ましい。また、時効処理時間は目的とする特性にもよるが、工場などで操業する場合は24h以下が好ましい。
時効析出硬化後の水素含有量は、チタン含有量の2倍程度までは含有させることができる。これは、導入される水素は銅−チタン合金中のチタンに対して水素化チタン(TiH)という形態で取り込まれると考えられるからである。
本発明の銅−チタン−水素合金において、銅−チタン−水素を100(at%)とした時に、水素の含有量は、0.1at%以上であり、好ましくはチタン含有量の2倍以下である。0.1at%未満では導電性と強度を両立させることが困難であり、水素がチタン含有量の2倍を超えると強度向上などの効果が飽和し、製造コストの上昇となるので2倍までとした。
水素中で時効析出硬化させると、強度と導電性が発現されるので、時効処理を行う前に製品などへ成型加工してもよい。
なお、本発明の銅−チタン−水素合金は、銅−チタン合金に水素を含有させる点がポイントであって、合金中への水素の導入には、水素雰囲気の時効処理に限定するものではない。例えば電解浴中での電解チャージといった方法で行なっても構わない。これは、電解浴中にて処理したい銅−チタン合金を負極になるように設置し、電流を流す事で銅-チタン合金中に水素イオンを導入する方法である。
本発明の銅−チタン−水素合金において、チタンと水素の含有量は重要な制御パラメーターの1つである。これらの含有量の確認には、一般的な分析方法を適応することができる。例えば、チタンの含有量は、X線回折装置、エネルギー分散型蛍光X線分析装置、波長分散型蛍光X線分析装置、ICP−AES(Inductively
Coupled Plasma Atomic Emission Spectrometer:誘導結合高周波プラズマ発光分光分析)法を用いることができる。ICP−AES法は、試料の表層部分だけでなく、試料全体に対して定量測定ができるので、好適な定量測定である。この方法では、測定試料を溶液中に完全に溶かし、その溶液をプラズマで燃焼させ、試料中の元素を一端励起イオン状態にする。励起状態からよりエネルギーの低い状態に失活する際に放出する発光スペクトルの波長から元素の同定を行い、発光強度から定量分析する方法である。この方法では試料を溶液化する必要があるが、銅−チタン系の合金の場合、硝酸溶液などを用いる。市販されている測定装置もあり、例えばThermo−element社製のIRIS−Advantage
DUOなどがある。
また、水素の含有量に関してはアルゴンガス搬送融解−熱伝導法によって測定することができる。これは、試料を融解させ、その際に試料中から水素、窒素といったガス元素を発生させ、その混合気体の熱伝導率を測定する方法であり、それぞれの気体が異なる熱伝導率を示すことを利用し、成分元素を定量化する方法である。試料の融解を不活性ガス中で行なうか、酸素残留雰囲気中で行なうかで、測定方法にも種類があるが、どちらの方法を用いてもよい。市販されている装置もあり、例えば堀場製作所製のEMGA−621「高感度水素分析装置」などがある。
純銅( 99.99%)と純チタン( 99.99%)をアルゴンガス雰囲気中で溶製し、合金組成: 4.2at% Ti−残部Cu及び不可避不純物からなる銅−チタン合金インゴットを作製した。インゴットを厚さ 0.22mmとなるまで圧延した後、溶体化のため真空中にて 1153 Kで24 h保持した後、氷水中に焼き入れた。
その後、圧下率: 15 %で冷間圧延してサンプルを得た。次にサンプルを、水素雰囲気中にて温度400℃で時効処理を行った。水素の圧力は、0.6MPaであった。また、比較として従来法2では真空中である以外は実施例1と同様に時効処理を行った。
時効処理を終了後、各サンプルを取り出し、放置空冷した。なお、パラメーターとして時効処理時間を変化させた。
出来上がった各サンプルの強度はビッカース硬さにて評価した。加重Wは1000(g)で、圧痕の対角線d(μm)を測定し、以下の換算式で換算して硬さ(Hv)を求めた。硬さ(Hv)=1854.4 × W/dなお、「×」は乗算を表す。導電率は、四端子法で抵抗値を測定して換算した。導電率の表記は、標準焼きなまし銅線の導電率を基準とした“%IACS”へ換算した。
図1(a)は、本願発明例および従来法1、従来法2、従来法3により作製した各サンプルの時効処理時間に対する硬さを調べた結果を表すグラフである。縦軸はビッカース硬さ(Hv)であり、横軸は時効処理時間(hr)である。なお、従来法1では、溶体化処理後、氷水中に焼き入れし、冷間圧延せずに真空中で時効を行った。また、従来法3では、溶体化処理後、氷水中に焼き入れし、冷間圧延せずに水素雰囲気中で時効を行った。
従来法1で作製したサンプルでは、処理時間が240時間までは硬さが増加し、Hv=273に達した。それを超えると、硬さは低下する。従来法2で作製したサンプルでは、処理時間が100時間で最高硬さは281に達した。従来法3で作製したサンプルでは、処理時間が240時間で最高硬さ268に達した。本願発明例で作製したサンプルでは処理時間が100時間で最高硬さ279に達した。本願発明例では従来法2と比較しても最高硬さが同等であり、時効時間を従来法2と同程度まで短縮できた。
図1(b)は、本願発明例および従来法1、従来法2、従来法3により作製した各サンプルの時効処理時間に対する導電性を示した結果を表すグラフである。縦軸を導電率(%IACS)にしたものである。点線は溶体化処理直後の値である。横軸は同じく時効処理時間(hr)である。この場合は、いずれのサンプルも処理時間に従って導電率が向上した。処理時間360時間では、従来法1、2で作製したサンプルが約18%IACSで留まり、従来法3でも約23%IACSであるのに対し、本願発明例で作製したサンプルでは44%IACSにまで導電性が向上した。
図1(a)および(b)を比較してみると、本願発明例で作製したサンプルでは従来法の中で最高であった従来法2と同等の硬さを有し、その時の導電率はいずれの従来法よりも高かった。また、最高硬さに達する時間も従来法と比較して短い。本願発明例で作製したサンプルでは、最高硬さに達した後も従来法2で作製したサンプルと同等の硬さ(従来法1、3で作製したサンプルよりも高い硬さ)を示し、導電率は従来法1,2と比較して9%IACS以上、従来法3と比較しても4%IACS以上向上した。
以上のように、本発明の銅−チタン−水素合金は、時効前に冷間圧延により予ひずみを導入することにより、より短時間の時効処理で、ビッカース硬度で275以上、導電率が20%IACS以上の特性を両立させることができ、この時効処理前に冷間圧延を行い水素雰囲気中で時効処理した全ての本発明の試料の水素含有量は0.1at%以上であった。このことは、銅―チタン系合金において、はじめて高ベリ銅(C1720合金)の領域まで機械的特性および導電率の特性が向上したことを意味し、新たな用途が期待される。
図2は、溶体化4.2at%Ti−残部Cu及び不可避不純物からなる銅−チタン合金を水素雰囲気中にて400℃で100 h 時効したときのTEM(透過型電子顕微鏡)写真である。明視野像(実像)では大きさ10 nm以下の針状/粒状コントラストが見られる。電子回折図形ではCu4Tiに相当する回折斑点(図中点線円)が見られる。ただし、その強度は非常に弱い。これらの特徴は、Cu-Ti合金の時効初期段階に見られる変調構造の組織に類似する。
図3(a)は、溶体化4.2at% Ti−残部Cu及び不可避不純物からなる銅−チタン合金を冷間圧延(圧下率:15%)した後、水素雰囲気中にて400℃で100 h 時効したときの明視野像である。図3(b), (c)は、針状コントラストおよび角上コントラスト(図2(a)中矢印)から撮影した電子回折図形である。実像では、長さ20 nm 程度のCu4Ti相に由来する針状コントラストがみられる。一部で、TiH2に対応するコントラストもみられる。図2に比べて図3(a)ではCu4TiやTiH2が発達している。同じ時効プロセスを施した試料でも、時効前に予ひずみを導入したものではCu4Ti、TiH2の形成がともに促進される。これに起因して、短時間の時効で強度および導電率が向上する。
純銅(99.99%)と純チタン(99.99%)をアルゴンガス雰囲気中で溶製し、3at%Ti−残部Cuおよび不可避不純物からなる合金インゴットを作製した。インゴットを厚さ1mm、1.18mm、2.5mmとなるまで圧延した後、溶体化のため真空中にて1153Kで24h保持後、氷水中に焼き入れた。その後、1mmまで冷間圧延して、冷間圧延率(圧下率)が0%、15%、60%となる板材を準備した。板材試料および引張試験片を切り出した後、水素圧0.6MPaで封入して380℃、450℃で時効した。このとき試料により時効処理時間を変えて時効した。
図4に、時効温度を450℃として水素雰囲気中で時効した試料(冷間圧延率(圧下率):0%、15%、60%)の導電率およびビッカース硬さと時効処理時間の関係を示す。圧下率が大きい試料ほど導電率が速く向上し、また最高硬さに到達する時間も短くなる。
また、図5に時効温度を380℃、450℃、圧下率を0%(冷間圧延なし)、60%とし所定時間時効処理したものについて、導電率とビッカース硬さの関係を示す。高圧下率(圧下率60%)、低温度(380℃)で時効したもので強度と導電率のバランスは向上される。最高硬さに達する時間は、圧延率60%の試料を380℃で水素中時効したもので16h程度であった。予ひずみを導入しない(圧下率0%)試料では同じ時効条件において256h後も最高硬さに到達しないことと比べると、予ひずみを導入することにより格段に特性向上に要する処理時間が短縮できるといえる。
また、圧延を施していない試料と60%の圧延を施した試料を、水素雰囲気中で時効処理した後引張試験を行った。450℃で最高硬さが得られる条件である2h(時間)時効処理したとき、引張強さが769MPa、0.2%耐力が634MPaであった。380℃で最高硬さが得られる条件である16h時効処理したときの引張強さが790MPa、0.2%耐力が663MPaであった。これらの特性を有する時効処理前に冷間圧延を行い水素雰囲気中で時効処理した全ての本発明の試料の水素含有量はいずれも0.1at%以上であった。
本発明によって得られる銅−チタン−水素合金は、コネクタだけでなく、スイッチなどの他の電気接続部品に利用可能である。

Claims (4)

  1. 過飽和固溶体銅−チタン合金を冷間圧延した後、時効析出硬化させ、かつ水素を含有させられたことにより、銅−チタンを100at%としたときにチタンを1at%以上、7.5at%以下含有し、銅−チタン−水素を100at%としたときに水素を0.1at%以上含有し、ビッカース硬度が275以上、導電率が20%IACS以上である、銅−チタン−水素合金。
  2. チタンを6at%以下含有する、請求項1に記載の銅−チタン−水素合金。
  3. 1at%以上、7.5at%以下のチタンを固溶させた銅−チタン合金を急冷し、得られた過飽和固溶体銅−チタン合金を、圧延率が5%以上80%以下で冷間圧延した後、水素雰囲気中で、時効析出硬化させ、かつ水素を含有させる、銅−チタン−水素合金の製造方法。
  4. 時効処理温度が430℃以下である、請求項3に記載の銅−チタン−水素合金の製造方法。
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