JP5587082B2 - 作業車及びアタッチメント - Google Patents

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Description

本発明は、作業車及びアタッチメントに関するものである。
既に周知のように、トラクタ等の作業車輌には、その前方で農作業、荷役、運搬作業等を行なうフロントローダを装着する場合がある。
この種のフロントローダとしては、例えば図11に示すものが公知である。同図に示すフロントローダ1’は、マスト2、アーム3、アタッチメント4、アーム用シリンダ装置5、アタッチメント用シリンダ装置6を主要な構成要素とする。フロントローダ1’は、図11に白矢印で示すように、上下動する。なお、以下の説明では、特に説明がない限り、前後上下方向および幅方向は作業車輌7を基準とし、前進時の進行方向を前方とする。
マスト2は二点鎖線で示す作業車輌7の両側に設けられたブラケット9にドッキングピン10を介して着脱自在に取り付けられる。アーム3は側面視への字状で、マスト2に対して回動自在に取り付けられている。2本のアーム3は図示しない連結部材により相互に連結されている。アタッチメント4はアーム3の先端に対して回動自在かつ着脱自在に取り付けられる。
アーム用シリンダ装置5のシリンダチューブ側の端部は、アーム3の長手方向中間部の下側に回動自在に取り付けられている。アーム用シリンダ装置5のピストンロッド側の端部は、マスト2におけるアーム3の支点であるアーム支点C1より下側に、回動自在に取り付けられている。アーム用シリンダ装置5の伸縮によって、アーム3はマスト2に対してアーム支点C1を中心として回動する。
アタッチメント用シリンダ装置6のシリンダチューブ側の端部は、アーム3の長手方向中間部の上側に回動自在に取り付けられている。アタッチメント用シリンダ装置6のピストンロッド側の端部は、第1リンク8aと第2リンク8bの一端に回動自在に取り付けられる。第1リンク8aの他端はアタッチメント4に回動自在かつ着脱自在に取り付けられ、第2リンク8bの他端はアーム3に回動自在に取り付けられている。アタッチメント用シリンダ装置6の伸縮によって、アタッチメント4はアーム3に対して支点C4を中心として回動する。
アーム用とアタッチメント用シリンダ装置5,6は、図示しない油圧回路によって油の供給及び排出がなされて伸縮する。
ところで、アタッチメント4には用途に応じて様々な種類が存在する。その中で、図11に示すものは「コンテナバケット」と呼ばれるもので、野菜等を収容した小さなコンテナをバケット内に積載するためのものである。このバケットは、コンテナを積み重ねた状態で効率良くバケット内に積載するために、底部4aと後部4bと側部4cのそれぞれの内面または内側に接する平面の間の角度が、互いに実質的に直角である。このコンテナバケット4を取り付けたフロントローダ1’を装着した作業車輌7では、コンテナバケット4内にコンテナを積み重ねて積載して運搬する作業が一般的である。
一方、コンテナバケット4内に直接芋等を積載して運搬した後に、運搬用トラック上の荷箱に、バケット4内の芋等を移す作業を行ないたいという要求がなされることがある。このバケット4内の積載物を荷箱に移すには、バケット4の底部を上昇させた状態で前端を下降するように傾ける動作、所謂ダンプ動作をフロントローダ1’にさせる。しかし、運搬トラック上の荷箱は、比較的大きくて高く、また上方に開口している。このため、この荷箱内にバケット4内の積載物をダンプ動作によって移すには、従来のフロントローダ1’ではバケット4が上昇する高さが十分ではないことが多かった。
フロントローダ1’でバケット4が上昇する高さを高くするには、例えば特許文献1に記載された装置を適用することが考えられる。この装置では、アームの先端に延長体を設け、その先端にバケット(アタッチメント)を回動自在に取り付けている。これによって、バケットが上昇する高さを、従来のフロントローダより高くすることが可能である。
特開2010−106616号公報
しかしながら、特許文献1の装置では、バケットを下降させた場合に、バケットの位置が従来のフロントローダより前側となる。従って、バケットを下降させた状態では、従来と比較してフロントローダの前後方向の長さは増大する。このため、バケットを下降させた状態ではフロントローダを装着した作業車輌の駐車スペースや走行スペースを大きくとる必要があり、また、この作業車輌を通常走行させる場合の操縦には、より一層の注意が必要になる。
このような問題は、フロントローダを装着した作業車輌だけでなく、フロントローダと同様の機構を備えた作業車に共通のものである。
本発明は、上記事情に鑑み、バケットを有する作業車において、バケットを下降させた状態での前後方向の長さの増大を抑制しつつバケットの上昇可能な高さを高くすることを課題とする。
前記課題を解決するための本発明の作業車は、作業車輌と、底部と作業車輌側に位置する後部とを有するバケットと、このバケットの底部に一端が取り付けられ作業車輌側へ延びるフレームと、このフレームに一端が取り付けられ作業車輌側へ延びて作業車輌に他端が回動自在に取り付けられた単一のアームと、バケットの底部とフレームのそれぞれに端部が回動自在に取り付けられた第1シリンダ装置とを備え、前記アームは、前記作業車輌の幅方向に離隔して一対配設され、前記フレームは、前記バケット底部における前端又は前後方向の中間位置に回動自在に一端が取り付けられてバケット支点を形成しており、前記アームは、前記バケットの後部より作業車輌側において前記フレームに回動自在に一端が取り付けられてフレーム支点を形成しており、前記第1シリンダ装置は、前記バケットに対して前記バケット支点とバケット後部との間に一端部が取り付けられ、前記フレームに対して前記バケット支点及びフレーム支点の間に他端部が取り付けられており、該第1シリンダ装置の伸縮で前記フレームに対してバケットを回動させることにより、ダンプ及び掬い動作可能としたものである。
この構成であれば、第1シリンダ装置の伸長でフレームに対してバケットを回動させることにより、バケットをダンプ動作することができる。これにより、従来と同じアームを使用しても、最大でバケット支点とフレーム支点との間の距離の分、バケットの上昇可能な高さを高くすることが可能である。
また、下降させた状態のバケットの後部とフレーム支点との距離を小さく設定することによって、従来と同じアームを使用しても、バケットを下降させた状態での前後方向の長さの増大を抑制することができる。
また、従来のアームを流用可能であるので、製作コストを削減できる。
この構成において、前記フレームに対し前記フレーム支点より上方または下方の位置に一端が回動自在に取り付けられ、前記アームに他端が回動自在に取り付けられた第2シリンダ装置を設け、第2シリンダ装置の伸縮で前記アームに対してフレームを回動させることにより、ダンプ及び掬い動作可能としてもよい。
この構成であれば、ダンプおよび掬いの動作の自由度が高いので、より多彩な作業が可能となる。
この構成において、バケットの底部の少なくとも一部がフレームに接触支持された接触支持状態で、第1シリンダ装置が収容される上方に開いた溝を有する収容部をフレームに設けてもよい。
この構成であれば、接触支持状態で、地面から飛散した小石等から第1シリンダ装置が収容部によって保護される。また、収容部を設けない場合に比較して、フレームの構成を簡素化できる。この構成で、バケットを接触支持する接触支持部を前記収容部に設ければ、更にフレームの構成を簡素化できる。
この構成において、一端がバケットに回動自在に取り付けられ、他端に設けられたピンがフレームに設けられた長孔に案内され、このピンが前記長孔の端部に係合することによってフレームに対するバケットの回動を規制するストッパを設けてもよい。
この構成であれば、ストッパにより、第1シリンダ装置が過剰な伸長によって損傷することを防止できる。
この構成において、前記収容部の側部に前記長孔を設け、ストッパが上方に開いた溝を備え、前記接触支持状態で、ストッパの該溝内に第1シリンダ装置を収納してストッパを前記収容部に収容するように構成してもよい。
この構成であれば、収容部とは別の箇所に長孔を設ける場合と比較して、フレームの構成を簡素化できる。
更に、この構成において、前記収容部の底部に貫通孔を形成してもよい。
この構成であれば、収容部内に土等が溜まることを抑制できる。一方、接触支持状態では、第1シリンダ装置はストッパに収納されているので、貫通孔を介して地面から飛来する小石等から第1シリンダ装置がストッパによって保護される。
上記何れかの構成において、バケットの底部に複数の隙間を形成してもよい。
この構成であれば、バケットを相当上昇させた状態あるいはダンプ動作させた状態でも、底部の隙間を介してバケット内を操縦者が視認できるので、バケット内の積載物の有無を確認することが容易である。また、底部の隙間を介して、バケット内に芋等と共に入った土等を落とすことができる。
また、前記課題を解決するための本発明のアタッチメントは、上方及び前方に開口したバケットと、このバケットの底部に一端が取り付けられ後側へ延びるフレームと、バケットの底部とフレームのそれぞれに端部が回動自在に取り付けられた第1シリンダ装置とを備え、前記フレームは、前記バケット底部における前端又は前後方向の中間位置に回動自在に一端が取り付けられてバケット支点を形成しており、前記第1シリンダ装置は、前記バケットに対して前記バケット支点とバケット後部との間に一端部が取り付けられ、前記フレームに対して前記バケット支点より後側に他端部が取り付けられており、該第1シリンダ装置の伸縮で前記フレームに対してバケットを回動動作可能としたアタッチメントであって、前記フレームには、単一のアームの一端が取り付け可能であり、前記アームは、後側へ延びて作業車輌に他端が回動自在に取り付けられ、前記アームは、前記作業車輌の幅方向に離隔して一対配設され、前記アームは、前記バケットの後部より作業車輌側において前記フレームに回動自在に一端が取り付けられてフレーム支点を形成可能であり、前記第1シリンダ装置は、前記フレームに対して前記バケット支点及びフレーム支点の間に他端部が取り付けられるものである。
この構成であれば、アタッチメントを使用するタイプの作業車に取り付けた場合に、上記の作業車と同様の作用及び効果を享受可能となる。
本発明によれば、バケットを有する作業車において、バケットを下降させた状態での前後方向の長さの増大を抑制しつつバケットの上昇可能な高さを高くすることができる。
本発明の実施形態に係る作業車の側面図である。 バケットの斜視図で、(A)が前側で、(B)が後側である。 バケットとフレームの斜視図である。 (A)がフレームの平面図、(B)が案内板周辺の側面図である。 ストッパに関する変形例を示す斜視図である。 図5の側面図である。 図6でフレームにバケットの底部を接触支持させた状態である。 図5のフレームの平面図である。 作業車の特徴的な動作を示す側面図である。 本実施形態の作業車を従来のものと比較した側面図である。 従来の作業車の側面図である。
以下、本発明を実施するための形態について図面に基づき説明する。
なお、本実施形態では、図11で説明した従来と同一の構成には、同一の符号を付して、説明を省略する。
図1に示すように、本実施形態の作業車は、作業車輌7と、この作業車輌7に着脱自在に装着されるフロントローダ1とを備える。本実施形態のフロントローダ1は、マスト2、アーム3、アタッチメント(コンテナバケット11、フレーム12、第1シリンダ装置13)、アーム用シリンダ装置5、第2シリンダ装置としてのアタッチメント用シリンダ装置6を主要な構成要素とする。このように本実施形態では、コンテナバケット11、フレーム12、第1シリンダ装置13以外の構成要素は従来と同一のものを使用している。図1に白矢印で示すように、フロントローダ1は上下動する。
後に詳述するが、コンテナバケット11は、上方及び前方に開口しており、底部11aと後部11bと側部11cを有する。コンテナバケット11の底部11aの一部は、フレーム12によって接触支持される。コンテナバケット11の底部11aが回動自在にフレーム12の一方の端部12aに取り付けられている。このフレーム12の他方の端部12bが回動自在にアーム3の先端に取り付けられている。
フレーム12は、コンテナバケット11の底部11aにおける前後方向の中間位置に回動自在に端部12aが取り付けられてバケット支点C3を形成している。アーム3は、コンテナバケット11の後部11bより作業車輌7の側においてフレーム12に回動自在に一端が取り付けられてフレーム支点C2を形成している。
アタッチメント用シリンダ装置6のシリンダチューブ側の端部は、アーム3の長手方向中間部の上側に回動自在に取り付けられている。アタッチメント用シリンダ装置6のピストンロッド側の端部は、第1リンク8a、第2リンク8bのそれぞれの一端に回動自在に取り付けられている。第1リンク8aの他端はフレーム12に回動自在かつ着脱自在に取り付けられ、第2リンク8bの他端はアーム3に回動自在に取り付けられている。第1リンク8aの他端はフレーム12におけるフレーム支点C2より上側に取り付けられている。アタッチメント用シリンダ装置6の伸縮によって、図1の下側の二点鎖線で示すようにフレーム12はアーム3に対してフレーム支点C2を中心として回動する。
後に詳述するが、第1シリンダ装置13の両端部は、それぞれコンテナバケット11の底部11aとフレーム12に回動自在に取り付けられている。コンテナバケット11の底部11aにおける第1シリンダ装置の一方の端部が取り付けられている位置は、バケット支点C3とバケット11の後部11bとの間である。フレーム12における第1シリンダ装置の他方の端部が取り付けられている位置は、バケット支点C3及びフレーム支点C2の間である。図1の上側の二点鎖線で示すように第1シリンダ装置13の伸縮によって、コンテナバケット11はフレーム12に対してバケット支点C3を中心として回動する。
アーム用、アタッチメント用、第1シリンダ装置5,6,13は、図示しない油圧回路によって油の供給及び排出がなされて伸縮する。
図2に示すように、本実施形態のコンテナバケット11は、底部11aと後部11bと一対の側部11cを主要な構成要素とする。
底部11aは、幅方向に沿った2つの支持材11a1と、これらの間に前後方向に沿った棒材11a2とを主要な構成要素とする。棒材11a2の間には隙間が形成されている。後部11bは、幅方向に沿った3つの支持材11b1と、これらの間に複数配設された上下方向に沿った棒材11b2と主要な構成要素とする。棒材11b2の間には隙間が形成されている。底部11aと後部11bの内側に接する平面の間の角度は実質的に直角である。
側部11cの主要部は平板で構成されており、この平板の内面と底部11aの内側に接する平面との間の角度は実質的に直角である。また側部11cの平板の内面と後部11bの内側に接する平面との間の角度は実質的に直角である。
図3、図4に示すように、フレーム12は、幅方向に離隔して配設された一対の本体部12cと、この一対の本体部12cの間を連結する連結部12d〜12fを主要な構成要素とする。
本体部12cは、前後方向に延在する延在部と延在部の後端で上方に突出する突出部から成り、側面視で略L字状をなす。後に詳述するが、本体部12cにおける突出部より前側の延在部は、第1シリンダ装置13を収容する収容部14である。本体部12cの後側にはブラケット部16が設けられている。ブラケット部16は、内側ブラケット16aと外側ブラケット16bから構成される。連結部12dは、一対の本体部12cの内側ブラケット16aを連結する。連結部12e,12fは、一対の本体部12cの延在部の両端を連結する。
図示は省略するが、ブラケット部16のピン孔16cによって、フレーム12はアーム3に対して回動自在かつ着脱自在に取り付けられる。一方、図示は省略するが、内側ブラケット16aの係合部16dによってフレーム12は第1リンク8aに回動自在かつ着脱自在に取り付けられる。従って、フレーム12は、アーム3と第1リンク8aに対して着脱自在に取り付けられている。これによって、アタッチメントとしてのコンテナバケット11、フレーム12、第1シリンダ装置13が、アーム3と第1リンク8aに着脱自在に取り付けられている。
本体部12cの収容部14における前端は、コンテナバケット11の底部11aに設けられたブラケット17にピン連結によって回動自在に取り付けられている。また、第1シリンダ装置13のピストンロッド13aの端部は、挿通されたピンがブラケット17に取り付けられることによって、ブラケット17の内側に回動自在に取り付けられている。ブラケット17において、第1シリンダ装置13のピストンロッド13a側の端部が取り付けられている位置は、収容部14の前端が取り付けられている位置より後側である。収容部14の後側には、第1シリンダ装置13のシリンダチューブ13b側の端部がピン連結によって回動自在に取り付けられている。
収容部14は、上方に開口した断面コ字状であり、その内面は上方に開いた溝形状をなす。収容部14は、コンテナバケット11の底部11aがフレーム12に接触支持された状態(以下、この状態を接触支持状態と記す)では、第1シリンダ装置13の大部分を内側に収容する。接触支持状態では、収容部14における後側の上端に配設された接触支持部18が、コンテナバケット11の底部11aの後端に接触し、コンテナバケット11を支持する。
連結部12eと連結部12fとの間には、案内板19が幅方向に離隔して2対設けられており、案内板19にはその長手方向に沿って長孔20が設けられている。長孔20の前側端部における外側縁部には補強用のリブ19aが設けられている。この2対の案内板19とコンテナバケット11の底部11aとの間には、フレーム12に対するコンテナバケット11の回動を規制するストッパ21が2つ設けられている。ストッパ21は、この実施形態では中空の角棒である。ストッパ21の一端がコンテナバケット11の底部11aに設けられたブラケット22の内側にピン連結によって回動自在に取り付けられる。このストッパ21の一端のブラケット22における回動中心は、側面視で、第1シリンダ装置13におけるピストンロッド13a側端部のブラケット17における回動中心と同位置である。ストッパ21の他端の両側にはピン21aが設けられ、このピン21aが一対の案内板19の長孔20に嵌合している。
図4(B)に示すように、フレーム12に対してコンテナバケット11が回動すると、ストッパ21のピン21aは、案内板19の長孔20に案内される。フレーム12に対するコンテナバケット11の上方への回動が所定の大きさになると、図4(B)に点線で示すように、ストッパ21のピン21aが長孔20における前側の端部に係合し、このコンテナバケット11の上方への回動が規制される。これにより、第1シリンダ装置13の過剰な伸長を防止し、第1シリンダ装置13が損傷することを防止する。一方、コンテナバケット11が収容部14の接触支持部18に接触した場合、接触支持状態となり、第1シリンダ装置13は、フレーム12の収容部14の収容される。換言すれば、第1シリンダ装置13の大部分が収容部14の側部と底部に囲まれる。
図5〜8に、ストッパ21に関する変形例を示す。上記と実質的に同一の構成要素には、同一の符号を付し、説明を省略する。上記と異なる点を主に以下に説明する。案内板19は設けられておらず、代わりに、収容部14の側部に長孔20が設けられている。長孔20の前側端部の外側縁部には補強用のリブ14aが設けられている。ストッパ21は上方に開口した断面コ字状であり、その内面は上方に開いた溝形状をなす。ストッパ21の一端には底部が無く、一端の側部がブラケット17の外側に、ピストンロッド13aの端部に挿通されたピンによって回動自在に取り付けられている。ストッパ21の他端の両外側にピン21aが設けられ、このピン21aが、収容部14の長孔20に嵌合している。ストッパ21の底部は、第1シリンダ装置13の下側に配設されている。フレーム12の収容部14の底部には、貫通孔14bが形成されている。
フレーム12に対してコンテナバケット11が回動すると、ストッパ21のピン21aは、収容部14の長孔20に案内される。フレーム12に対するコンテナバケット11の上方への回動が所定の大きさになると、図6に示すように、ストッパ21のピン21aが長孔20における前側の端部に係合し、このコンテナバケット11の上方への回動が規制される。これにより、第1シリンダ装置13の過剰な伸長を防止し、第1シリンダ装置13が損傷することを防止する。一方、図7に示すように、コンテナバケット11が収容部14の接触支持部18に接触した場合、接触支持状態となり、第1シリンダ装置13とストッパ21は、フレーム12の収容部14の内側に収容される。この際に、第1シリンダ装置13は、ストッパ21の内側に収納される。換言すれば、第1シリンダ装置13の大部分がストッパ21の側部と底部に囲まれる。
収容部14の貫通孔14bにより、収容部14の底部に土等が溜まることが抑制される。一方、接触支持状態で、走行中に、この貫通孔14bを介して地面から飛来する小石等からストッパ21によって第1シリンダ装置13が保護される。
次に図9を参照して本実施形態のフロントローダ1の特徴的な動作を説明する。
図9(A),(B)では、コンテナバケット11とフレーム12は接触支持状態である。図9(A)は、コンテナバケット11と共にフレーム12が上方へ回動しており、コンテナバケット11の底部11aの前端が後端より上昇した状態である。図9(B)では、コンテナバケット11と共にフレーム12が下方に回動しており、コンテナバケット11の底部11aの前端が後端より下降した状態である。
アタッチメント用シリンダ装置6の伸縮でアーム3に対してフレーム12を回動させることにより、図9(A)の状態と図9(A)の状態の一方から他方に移行する。図9(A)の状態から図9(B)の状態への移行のように、コンテナバケット11の底部11aの前端が漸次下降する動作が、ダンプ動作である。逆に、図9(B)の状態から図9(A)の状態への移行のように、コンテナバケット11の底部11aの前端が漸次上昇する動作が掬い動作である。
ここで説明した接触支持状態を維持したままのダンプ及び掬い動作は、コンテナバケット11のアーム3に対する姿勢変化の観点から、従来のフロントローダ1’でのアタッチメント用シリンダ装置6の伸縮によるダンプ及び掬い動作と実質的に同一である。
一方、図9(C)でも、図9(A)と同様に、フレーム12が上方へ回動している。しかし、図9(C)では、フレーム12に対してコンテナバケット11が上方に回動しており、コンテナバケット11の底部11aの前端が後端より下降した状態である。第1シリンダ装置13の伸縮でフレーム12に対してコンテナバケット11を回動させることにより、図9(A)の状態と図9(C)の状態の一方から他方に移行する。図9(A)の状態から図9(C)の状態への移行も、コンテナバケット11の底部11aの前端が漸次下降する動作なので、ダンプ動作である。逆に、図9(C)の状態から図9(A)の状態への移行も、コンテナバケット11の底部11aの前端が漸次上昇する動作なので、掬い動作である。
次に図10を参照して、従来のフロントローダ1’のコンテナバケット4と本実施形態におけるフロントローダ1のコンテナバケット11の高さを比較する。図10の左側が従来のフロントローダ1’で、右側が本実施形態のフロントローダ1である。本実施形態のフレーム12と第1シリンダ装置13以外は、従来と同等のものを使用している。
図10では、従来と本実施形態のフロントローダ1,1’はともに、アーム3が最大限上方に回動した状態である。このため、従来のフロントローダ1’における支点C4は、この状態が最高位置である。一方、本実施形態のフロントローダ1におけるフレーム支点C2のアーム3における位置は、従来のフロントローダ1’における支点C4のアーム3における位置と同じである。つまり、本実施形態のフロントローダ1におけるフレーム支点C2も、この状態が最高位置である。従って、図10の上側に実線で示すように、本実施形態でのフレーム12を上方に回動させた状態では、バケット支点C3は、従来のフロントローダ1’の支点C4より高くなる。そして、この状態から、最もフレーム12を上方に回動させると共に、コンテナバケット11を最も上方に回動させると、2点鎖線で示す状態となる。すなわち、バケット支点C3は、更に高くなる。
このように、本実施形態のフロントローダ1におけるバケット支点C3は、従来のフロントローダ1’の支点C4より高くすることができる。換言すれば、本実施形態のフロントローダ1におけるコンテナバケット11は、従来のフロントローダ1’のコンテナバケット4より上昇高さを高くすることができる。これにより、本実施形態のフロントローダ1は、従来と比較して高い位置でダンプ動作が可能となる。従って、本実施形態の作業車は、従来と比較して高い位置でダンプ動作が可能となる。
また、バケット支点C3が底部11aの中間部に位置することから、次の効果が享受できる。フレーム12に対するコンテナバケット11の回動によるダンプ動作時に、コンテナバケット11の底部11aにおける前端の下降量が小さい。これにより、支点C4のようにバケット支点がコンテナバケット11の後側である場合より、ダンプ動作前のコンテナバケット11の上昇量を少なくすることができる。また、ダンプ動作前のコンテナバケット11の底部11aにおける前端と積載物を降ろす位置との距離が短いので、積載物を降ろす位置に対してダンプ動作前のコンテナバケット11の位置合せが容易となり、所望の位置にダンプ動作により積載物を降ろすことが容易となる。
また、本実施形態での接触支持状態でのコンテナバケット11の後部11bとフレーム支点C2との距離L1は、従来のコンテナバケット4の後部11bと支点C4との距離L1’より若干大きいだけである。従って、コンテナバケット11を下降させた状態で、本実施形態のフロントローダ1における前後方向の長さL2は、従来の長さL2’と略同じである。このため、本実施形態の作業車(フロントローダ1を装着した作業車輌7)の駐車スペースや走行スペースは従来と略同じで、また、この作業車を通常走行させる場合の操縦では、従来と略同程度に注意を払えばよい。
また、図10に示す本実施形態のフロントローダ1において、コンテナバケット11を、水平姿勢を維持したままで上昇及び下降させることが可能である。
ここで、コンテナバケット11の水平姿勢とは、コンテナバケット11の底部11aの内面または底部の内側に接する平面が水平となるコンテナバケット11の姿勢のことである(以下、同じ)。また、水平には、コンテナバケット11内で積載物が移動しない程度に傾いていても実質的に水平と見なせる状態も含む(以下、同じ)。
この際のアーム3、フレーム12、コンテナバケット11の制御方法は特に限定されないが、例えば次のような2つの制御方法がある。
1つ目は、アーム3が最も下方に回動した状態と最も上方に回動した状態との間でのコンテナバケット11の上昇及び下降では、接触支持状態を維持して、アーム3に対するフレーム12の回動でコンテナバケット11の水平姿勢を維持する。一方、アーム3が最も上方に回動した状態でのコンテナバケット11の上昇及び下降では、接触支持状態を解除して、アーム3に対するフレーム12の回動とフレーム12に対するコンテナバケット11の回動でコンテナバケット11の水平姿勢を維持する。
2つ目は、何れの状態におけるコンテナバケット11の上昇及び下降でも、アーム3に対してフレーム12を最も上方に回動した状態で固定したまま、フレーム12に対するコンテナバケット11の回動によって、コンテナバケット11の水平姿勢を維持する。
2つ目の方法では、バケット支点C3が、マスト2におけるアーム支点C1を中心にして回動するので、コンテナバケット11を滑らかに移動でき、積載物に損傷を与えることや積載物がコンテナバケット11から落下することを抑制できる。
上記実施形態では、バケットとしてコンテナバケット4を使用しているが、本発明はこれに限定されず、その他のバケットにも適用可能である。
また、上記実施形態のフロントローダ1は、コンテナバケット11、フレーム12、第1シリンダ装置13以外の構成は、従来のフロントローダ1’と同一のものを使用しているので、製造コストを抑制できる。しかし、本発明において、コンテナバケット11、フレーム12、第1シリンダ装置13以外の構成は、特にこれに限定されるものではなく、本発明のために新たに製造したものであってもよい。
上記実施形態では、フレーム12がアーム3と第1リンク8aに対して着脱自在であるので、コンテナバケット11、フレーム12、第1シリンダ装置13が、アタッチメントとして、アーム3と第1リンク8aに対して着脱自在である。しかし、本発明はこれに限定されず、フレーム12がアーム3と第1リンク8aに対して恒常的に取り付けられていてもよい。
上記実施形態では、作業車は、作業車輌7と、この作業車輌7に着脱自在に装着されるフロントローダ1とを備える。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、フロントローダ1と同様の機構を備えた作業車であればよい。例えば、フロントローダ1と同様の機構を恒常的に備えた作業車であるホイールローダ等であってもよい。
本発明は上記実施形態に限定されることなく、その技術的思想の範囲内であれば、様々な変形が可能である。
1 フロントローダ
3 アーム
6 アタッチメント用シリンダ装置(第2シリンダ装置)
11 コンテナバケット
11a 底部
11b 後部
12 フレーム
12a 端部
12b 端部
13 第1シリンダ装置
14 収容部
14b 貫通孔
18 接触支持部
20 長孔
21 ストッパ
21a ピン

Claims (9)

  1. 作業車輌と、底部と作業車輌側に位置する後部とを有するバケットと、このバケットの底部に一端が取り付けられ作業車輌側へ延びるフレームと、このフレームに一端が取り付けられ作業車輌側へ延びて作業車輌に他端が回動自在に取り付けられた単一のアームと、バケットの底部とフレームのそれぞれに端部が回動自在に取り付けられた第1シリンダ装置とを備え、
    前記アームは、前記作業車輌の幅方向に離隔して一対配設され、
    前記フレームは、前記バケット底部における前端又は前後方向の中間位置に回動自在に一端が取り付けられてバケット支点を形成しており、前記アームは、前記バケットの後部より作業車輌側において前記フレームに回動自在に一端が取り付けられてフレーム支点を形成しており、前記第1シリンダ装置は、前記バケットに対して前記バケット支点とバケット後部との間に一端部が取り付けられ、前記フレームに対して前記バケット支点及びフレーム支点の間に他端部が取り付けられており、該第1シリンダ装置の伸縮で前記フレームに対してバケットを回動させることにより、ダンプ及び掬い動作可能とした作業車。
  2. 前記フレームに対し前記フレーム支点より上方または下方の位置に一端が回動自在に取り付けられ、前記アームに他端が回動自在に取り付けられた第2シリンダ装置を設け、
    第2シリンダ装置の伸縮で前記アームに対してフレームを回動させることにより、ダンプ及び掬い動作可能とした請求項1に記載の作業車。
  3. バケットの底部の少なくとも一部がフレームに接触支持された接触支持状態で、第1シリンダ装置が収容される上方に開いた溝を有する収容部をフレームに設けた請求項1又は2に記載の作業車。
  4. バケットを接触支持する接触支持部を前記収容部に設けた請求項3に記載の作業車。
  5. 一端がバケットに回動自在に取り付けられ、他端に設けられたピンがフレームに設けられた長孔に案内され、このピンが前記長孔の端部に係合することによってフレームに対するバケットの回動を規制するストッパを設けた請求項に記載の作業車。
  6. 前記収容部の側部に前記長孔を設け、ストッパが上方に開いた溝を備え、前記接触支持状態で、ストッパの該溝内に第1シリンダ装置を収納してストッパを前記収容部に収容するように構成した請求項5に記載の作業車。
  7. 前記収容部の底部に貫通孔を形成した請求項6に記載の作業車。
  8. バケットの底部に複数の隙間を形成した請求項1〜7の何れか1項に記載の作業車。
  9. 上方及び前方に開口したバケットと、このバケットの底部に一端が取り付けられ後側へ延びるフレームと、バケットの底部とフレームのそれぞれに端部が回動自在に取り付けられた第1シリンダ装置とを備え、
    前記フレームは、前記バケット底部における前端又は前後方向の中間位置に回動自在に一端が取り付けられてバケット支点を形成しており、前記第1シリンダ装置は、前記バケットに対して前記バケット支点とバケット後部との間に一端部が取り付けられ、前記フレームに対して前記バケット支点より後側に他端部が取り付けられており、該第1シリンダ装置の伸縮で前記フレームに対してバケットを回動動作可能としたアタッチメントであって、
    前記フレームには、単一のアームの一端が取り付け可能であり、
    前記アームは、後側へ延びて作業車輌に他端が回動自在に取り付けられ、
    前記アームは、前記作業車輌の幅方向に離隔して一対配設され、
    前記アームは、前記バケットの後部より作業車輌側において前記フレームに回動自在に一端が取り付けられてフレーム支点を形成可能であり、前記第1シリンダ装置は、前記フレームに対して前記バケット支点及びフレーム支点の間に他端部が取り付けられるアタッチメント。
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