本明細書中で使用するとき、「ヘテロ環基」とは、酸素原子、イオウ原子及び窒素原子から選ばれるヘテロ原子を1から4個含有する5〜10員の単環式、多環式、又は縮合環式の飽和又は不飽和のヘテロ環基を意味する。従って、「5〜10員ヘテロ環基」には、ピリジル基、ピラジル基、ピリミジル基、ピリダジル基、ピロリジニル基、イミダゾリジニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピラゾリニル基、ピペリジル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、ジアゼパン−1−イル基、フリル基、チエニル基、ピロリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、ジヒドロイソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、トリアゾリル基、アゼピニル基、オキサゼピニル基、ベンゾフラニル基、イソベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、イソインドリル基、インダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾイソオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、ベンゾオキサジアゾリル基、ベンゾチアジアゾリル基、ベンゾトリアゾリル基、キノリル基、イソキノリル基、シンノリニル基、キナゾリニル基、キノキサリニル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、プリニル基、プテリジニル基、2−オキソクロメニル基、1,3−ベンゾジオキソリル基、1,4−ベンゾジオキサニル基、ジヒドロ−1,5−ベンゾジオキセピニル基、3−オキソジヒドロ−1,4−ベンゾオキサジニル基等が挙げられる。
本発明の一般式(1)で表される縮合ピペリジン化合物中、ピペリジン環の2位と4位に不斉中心が存在する場合、2位と4位の立体配置はシス配置及びトランス配置のいずれでもよいが、シス配置がより好ましい。
本発明の一般式(1)で表される縮合ピペリジン化合物には、光学異性体が存在する場合があるが、本発明はそれらすべての光学異性体及びラセミ体などの混合物を包含する。
本発明の一般式(1)で表される縮合ピペリジン化合物、その塩、又はそれらの溶媒和物は、本発明の一般式(1)で表される縮合ピペリジン化合物のみならず、その医薬として許容される塩、それらの各種の水和物や溶媒和物、及び結晶多形を有する物質、及びこれらの物質のプロドラッグとなる物質を包含している。
本発明の一般式(1)で示される縮合ピペリジン化合物の医薬として許容される塩としては、具体的には、化合物を塩基性化合物として扱う場合は、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等)や有機酸(例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸等)との酸付加塩等が挙げられ、化合物を酸性化合物として扱う場合には、無機塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、バリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等)や有機塩(例えば、ピリジニウム塩、ピコリニウム塩、トリエチルアンモニウム塩等)が挙げられる。
本発明の一般式(1)で示される縮合ピペリジン化合物やその医薬として許容される塩の溶媒和物としては、水和物や各種の溶媒和物(例えば、エタノールなどのアルコールとの溶媒和物)が挙げられる。
本発明の一般式(1)で表される縮合ピペリジン化合物は、公知の方法により製造することができる。例えば、以下に示す方法、あるいはこれに準じた方法により製造することができる。
化合物[D]は、一般式[A]で示される4−オキソ−縮合ピペリジン化合物から還元的アミノ化法により製造することができる。還元的アミノ化法によるアミノ基導入方法は、例えばComprehensive Organic Synthesis、1991年、第8巻、21頁等を参考にすることができる。
(工程1)化合物[C]は、化合物[A]と化合物[B]とを酸の存在下、溶媒中で、冷却ないし加温下で5分間ないし40時間(好ましくは1ないし18時間)反応させることにより製造することができる。酸としては四塩化チタン、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸等が挙げられる。溶媒としてはトルエン、ジクロロメタン、ベンゼン、テトラヒドロフラン等の有機溶媒を単独又は組み合わせて使用することができる。
(工程2)化合物[D]は、化合物[C]を還元剤の存在下、溶媒中で、冷却ないし加温下で5分間ないし40時間(好ましくは1ないし18時間)反応させることにより合成することができる。還元法としてはパラジウム炭素、パラジウム黒、水酸化パラジウム、酸化白金、ラネーニッケル等の金属触媒を用いた水素ガスによる接触還元、又は水素化ホウ素ナトリウム、水素化シアノホウ素ナトリウム、水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム、水素化ホウ素亜鉛、ボラン、水素化アルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、ナトリウム−アルコール等を用いる方法が挙げられる。溶媒としてはメタノール、エタノール、N,N−ジメチルホルムアミド、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、酢酸、酢酸エチル等の有機溶媒、水を単独又は組み合わせて使用することができる。
また、化合物[D]は、上記の様に工程1及び工程2を逐次行う方法以外に、工程1及び工程2を同一系中で一度に行う方法により化合物[A]から製造することも可能である。
さらに、XがN−アルキルである化合物は、公知の方法、例えば還元的アミノ化反応(Borch反応[J. Am. Chem. Soc., 2897 (1971)]、Leuckart−Wallach反応[Org. React., 301 (1949)]、Eshweiler−Clarke反応[J. Am. Chem. Soc., 4571 (1933)])や、アミノ基のアルキル化反応を用いて、化合物[D]から製造することができる。
(工程3)化合物[G]は、化合物[E]と化合物[F]とを溶媒中、加温下で5分間ないし40時間(好ましくは1ないし18時間)反応させることにより製造することができる。溶媒としてはトルエン、ベンゼン、酢酸エチル、メチルイソブチルケトン、メチル−tert−ブチルエーテル等の有機溶媒を単独又は組み合わせて使用することができる。
(工程4)化合物[Ha]は、化合物[G]をポリリン酸等の酸の存在下、加温下で5分間ないし40時間(好ましくは1ないし18時間)反応させることにより製造することができる。溶媒としては、トルエン、ベンゼン等の有機溶媒を単独又は組み合わせて使用することができる。
(工程5)化合物[Aa]は、化合物[Ha]と化合物[I]とを塩基の存在下又は非存在下、溶媒中で、冷却下ないし加温下で5分間ないし40時間(好ましくは1ないし18時間)反応させることにより製造することができる。塩基としてはピリジン、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、N−メチルピペリジン、ピコリン等が挙げられる。溶媒としてはジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン、ヘキサン、酢酸エチル、メチル−tert−ブチルエーテル、N,N−ジメチルホルムアミド等の有機溶媒、水を単独又は組み合わせて使用することができる。ここで、化合物[I]におけるX1は脱離基として機能する原子あるいは官能基を示し、塩素、臭素などのハロゲン原子、あるいはピバリル基等のアシル基などを例として挙げることができる。
(工程6)化合物[K]は、化合物[E]を塩基の存在下又は非存在下、冷却ないし加温下で等量あるいは過剰量の化合物[J]と溶媒中で5分間ないし40時間(好ましくは1ないし18時間)反応させることにより得られる。この時、反応試薬として、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(WSC)、オキザリルクロリド、チオニルクロリド等を使用することができる。塩基としては例えばピリジン、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン等の有機塩基、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等の無機塩基等が挙げられる。溶媒としては、例えばジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン、ヘキサン、酢酸エチル、メチル−tert−ブチルエーテル、N,N−ジメチルホルムアミド等の有機溶媒、水を単独又は組み合わせて使用することができる。
(工程7)化合物[L]は、化合物[K]とアルキルスルホニルハライド、アリールスルホニルハライド、アルキルスルホン酸無水物、又はアリールスルホン酸無水物等とを塩基存在下、溶媒中で冷却下ないし加温下で5分間ないし40時間(好ましくは5分ないし18時間)反応させることにより製造することができる。アルキルスルホニルハライドとしてはメタンスルホニルクロリド、トリフルオロメタンスルホニルクロリド等が挙げられ、アリールスルホニルハライドとしてはトルエンスルホニルクロリド等が挙げられる。アルキルスルホン酸無水物としては、メタンスルホン酸無水物、トリフルオロメタンスルホン酸無水物等が挙げられ、アリールスルホン酸無水物としてはトルエンスルホン酸無水物等が挙げられる。塩基としては例えばピリジン、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、N−メチルピペリジン、ピコリン等が挙げられる。また、溶媒としては、例えばジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン、ヘキサン、酢酸エチル、メチル−tert−ブチルエーテル、N,N−ジメチルホルムアミド等の有機溶媒、水を単独又は組み合わせて使用することができる。
(工程8)化合物[M]は、化合物[L]を塩基の存在下、冷却下ないし加温下で5分間ないし40時間(好ましくは1ないし18時間)反応させることにより製造することができる。塩基としては例えば水素化ナトリウム、水素化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等が挙げられ、好ましくは水酸化ナトリウムである。溶媒としては、例えばジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン、ヘキサン、酢酸エチル、メチル−tert−ブチルエーテル、N,N−ジメチルホルムアミド等の有機溶媒を単独又は組み合わせて使用することができ、好ましくはN,N−ジメチルホルムアミドである。
(工程9)化合物[H]は、化合物[M]をトリフルオロメタンスルホン等の酸存在下、溶媒中、冷却下ないし加温下で5分間ないし40時間(好ましくは1ないし18時間)反応させることにより製造することができる。溶媒としてはトルエン、ジクロロメタン、ベンゼン、テトラヒドロフラン等の有機溶媒を単独又は組み合わせて使用することができる。
(工程11)化合物[O]は、化合物[E]及び化合物[N](2ないし10当量、好ましくは3ないし4当量)を酸の存在下、溶媒中で、冷却下ないし加温下、5分間ないし40時間(好ましくは1ないし18時間)反応させることにより製造することができる。酸としては、例えば塩酸、臭素酸、硫酸、燐酸、硝酸等の無機酸、酢酸、シュウ酸、クエン酸、酒石酸、マレイン酸、安息香酸等の有機酸が挙げられる。溶媒としては、例えばジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン、ヘキサン、酢酸エチル、メチル−tert−ブチルエーテル、N,N−ジメチルホルムアミド等の有機溶媒あるいは水を単独又は組み合わせて使用することができる。
(工程12)化合物[P]は、化合物[O]と化合物[I]を塩基の存在下又は非存在下、溶媒中、冷却下ないし加温下で5分間ないし40時間(好ましくは1ないし18時間)反応させることにより製造することができる。塩基としてはピリジン、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、N−メチルピペリジン、ピコリン等が挙げられる。溶媒としてはジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン、ヘキサン、酢酸エチル、メチル−tert−ブチルエーテル、N,N−ジメチルホルムアミド等の有機溶媒、水若しくはこれらの混合溶媒を単独又は組み合わせて使用することができる。ここで、化合物[I]におけるX1は脱離基として機能する原子あるいは官能基を示し、塩素、臭素などのハロゲン原子、あるいはピバリル基等のアシル基などを例として挙げることができる。
(工程13)化合物[Q]は、化合物[P]から水酸化物イオンによる加水分解あるいはアルコキシドによるアルコリシスにより製造することができる。この際、塩基としては、例えば炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等を使用することができ、溶媒としては、水もしくは、例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン等の有機溶媒を単独又は水と組み合わせて使用することができる。反応温度及び反応時間は、冷却下ないし加温下、5分間ないし40時間(好ましくは1ないし18時間)を適用することができる。
(工程14)化合物[Ab]は、化合物[Q]及び酸化剤を溶媒中、冷却下ないし加温下、5分間ないし40時間(好ましくは1ないし18時間)反応させることで得られる。酸化剤としてはジメチルスルホキサイド−塩化オキサリル、無水酢酸、トリフルオロ酢酸無水物又はDCC−トリエチルアミン、過酸化水素、テトライソプロピルアンモニウムパールテナート、二酸化マンガン、ピリジニウムクロロクロマート(PCC)、ピリジニウムジクロマート(PDC)、二クロム酸カリウムあるいは過マンガン酸カリウム等が挙げられる。溶媒としてはジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン、ヘキサン、酢酸エチル、メチル−tert−ブチルエーテル、N,N−ジメチルホルムアミド等の有機溶媒、水を単独又は組み合わせて使用することができる。
(工程15)化合物[S]は、化合物[E]と化合物[R]とを溶媒中、加温下で0.5ないし40時間(好ましくは1ないし18時間)反応させることにより製造することができる。溶媒としてはトルエン、ベンゼン、ジフェニルエーテル等の有機溶媒を単独又は組み合わせて使用することができる。
(工程16)化合物[T]は、化合物[S]を溶媒中もしくは無溶媒にて加温下0.1ないし10時間(好ましくは0.2ないし2時間)反応させることにより製造することができる。溶媒を使う場合、トルエン、ジフェニルエーテル等の有機溶媒を単独又は組み合わせて使用することができる。
(工程17)化合物[W]は、化合物[T]と[U]若しくは化合物[T]と[V]を塩基存在下、溶媒中で、冷却下ないし加温下、1分間ないし20時間(好ましくは5分間ないし10時間)反応させることにより製造することができる。塩基としては、ピリジン、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、N−メチルピペリジン、ピコリン等が挙げられる。溶媒としてはジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン、ヘキサン、酢酸エチル、メチル−tert−ブチルエーテル、N,N−ジメチルホルムアミド等の有機溶媒、水を単独又は組み合わせて使用することができる。ここで、化合物[U]におけるX1は脱離基として機能する原子あるいは官能基を示し、フッ素、塩素、臭素などのハロゲン原子、あるいはピバリル基等のアシル基などを例として挙げることができる。
(工程18)化合物[Y]は、化合物[W]と[X]とを溶媒中で、室温ないし冷却下、1時間ないし40時間(好ましくは2時間ないし18時間)反応させることにより製造することができる。[X]としては従来のグリニャール反応で使用されるものが使用できる。反応溶媒としては、例えば環状エーテルであるテトラヒドロフラン、テトラヒドロフラン−ヘキサン混合溶媒などを好ましいものとして挙げることができる。
(工程19)化合物[Hb]は、化合物[Y]を酸または塩基存在下、溶媒中で室温ないし加温下、5分ないし8時間(好ましくは、10分ないし4時間)反応させてエステルの加水分解を行い、次いでこれを酸または塩基存在下、溶媒中で加温下、10分ないし8時間(好ましくは30分ないし5時間)反応させて脱炭酸反応を行うことで得ることができる。もしくは、化合物[Y]を酸または塩基存在下、溶媒中で加温下、30分ないし10時間(好ましくは1時間ないし5時間)反応させることで得ることができる。この際、酸としては、塩酸、硫酸などの無機酸、もしくはp−トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、酢酸などの有機酸を使用することができる。塩基としては、例えば炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等を使用することができる。また溶媒としては、水もしくは、例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン等の有機溶媒を単独又は水と組み合わせて使用することができる。
(工程20)化合物[Ac]は、化合物[Hb]と化合物[I]を塩基の存在下又は非存在下、溶媒中、冷却下ないし加温下で5分間ないし40時間(好ましくは1ないし18時間)反応させることにより製造することができる。塩基としてはピリジン、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、N−メチルピペリジン、ピコリン等が挙げられる。溶媒としてはジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン、ヘキサン、酢酸エチル、メチル−tert−ブチルエーテル、N,N−ジメチルホルムアミド等の有機溶媒、水を単独又は組み合わせて使用することができる。ここで、化合物[I]におけるX1は脱離基として機能する原子あるいは官能基を示し、フッ素、塩素、臭素などのハロゲン原子、あるいはピバリル基等のアシル基などを例として挙げることができる。
化合物[D]は、一般式[Z]で示される4−アミノ−縮合ピペリジン化合物から金属を用いた芳香族アミノ化反応により製造することができる。芳香族アミノ化反応による芳香環の導入方法は、例えば、Angew. Chem., Int. Ed.、1998年、第37巻、2046頁、Org. Lett.、2003年、第5巻、2413頁、Tetrahedron Lett.、2003年、1691頁等を参考にすることができる。
(工程21)化合物[D]は、化合物[Z]と化合物[AA]とを溶媒中で金属存在下または非存在下及び塩基の存在下に冷却下ないし加温下で30分間ないし40時間(好ましくは1ないし18時間)反応させることにより製造することができる。塩基としては、ナトリウム tert−ブトキシド、ピリジン、トリエチルアミン、炭酸セシウム、炭酸カリウム、リン酸カリウム、カリウム tert−ブトキシド、リチウム ビス(トリメチルシリル)アミド、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7−エン等が挙げられる。金属としては、酢酸銅、酸化銅、臭化銅、ヨウ化銅、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、酢酸パラジウム、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル、塩化パラジウム等が挙げられる。また、(R)−(+)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、(S)−(−)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、(±)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、トリス(o−トリル)ホスフィン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、トリス(1−ナフチル)ホスフィン、トリス(o−メトキシフェニル)ホスフィン、トリフェニルホスフィン、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、o−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)ビフェニル等のリガンドが適宜用いられる。溶媒としては、トルエン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメトキシエタン等が挙げられる。これらの溶媒は、単独又は組み合わせて使用してもよい。ここで、化合物[AA]におけるX4は脱離基として機能する原子あるいは官能基を示し、塩素、臭素などのハロゲン原子、あるいはボロノ基等のホウ素含有官能基などを例として挙げることができる。
(工程22)化合物[AD]は、化合物[E]と化合物[AB]及び化合物[AC]を溶媒中、酸存在下に冷却下ないし加温下で1時間ないし10時間(好ましくは3ないし8時間)反応させることにより製造することができる。酸としては、無機酸、有機酸、ルイス酸等が挙げられる。無機酸としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、テトラフルオロホウ酸、過塩素酸、過ヨウ素酸等挙げられる。有機酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、吉草酸、ヘキサン酸、クエン酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、安息香酸、サリチル酸、シュウ酸、コハク酸、マロン酸、フタル酸、酒石酸、リンゴ酸、グリコール酸等のカルボン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等のスルホン酸等が挙げられる。ルイス酸としては、例えば、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム等のハロゲン化アルミニウム、塩化ジエチルアルミニウム、臭化ジエチルアルミニウム、塩化ジイソプロピルアルミニウム等のハロゲン化ジアルキルアルミニウム、トリメチルボレート、トリエチルボレート、トリプロピルボレート、トリ−tert−ブチルボレート等のトリアルキルボレート、トリエトキシアルミニウム、トリイソプロポキシアルミニウム、トリ−tert−ブトキシアルミニウム等のトリアルコキシアルミニウム、四塩化チタン等のハロゲン化チタン、テトライソプロポキシチタニウム等のテトラアルコキシチタニウム、三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、三臭化ホウ素、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体等のハロゲン化ホウ素、塩化亜鉛、臭化亜鉛等のハロゲン化亜鉛等が挙げられる。これらの酸は、夫々単独で用いても、2種以上適宜組み合わせて用いてもよい。これら酸は、中でも硫酸、塩酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体等が好ましい。溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジメトキシエタン、エチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、メタノール、エタノール、2−プロパノール、n−ブタノール、2−エトキシエタノール、ベンジルアルコール等のアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、グリセリン等の多価アルコール類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、プロピオン酸メチル等のエステル類、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、アセトニトリル等の含シアノ有機化合物類、N−メチルピロリドン、水等が挙げられる。これらの溶媒は、単独又は組み合わせて使用してもよい。なお、化合物[AD]は、イミン等価体[AF]を経由する工程23と工程24によっても合成できる。
(工程23)化合物[AF]は、化合物[E]と化合物[AE]を溶媒中、冷却下ないし加温下ないし室温でベンゾトリアゾール、プリン、イミダゾール、4−ニトロフェノール、2−メルカプトピリジン、2−ヒドロキシピリジン、2−メルカプトベンゾチアゾール等のヘテロ化合物、メタノール、エタノール、2−プロパノール、n−ブタノール、2−エトキシエタノール、ベンジルアルコール等のアルコール類等(好ましくは、ベンゾトリアゾール)と反応させることで合成できる。溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジメトキシエタン、エチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、メタノール、エタノール、2−プロパノール、n−ブタノール、2−エトキシエタノール、ベンジルアルコール等のアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、グリセリン等の多価アルコール類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル等のエステル類、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、アセトニトリル等の含シアノ有機化合物類、N−メチルピロリドン、水等が挙げられる。これらの溶媒は、単独又は組み合わせて使用してもよい。
(工程24)化合物[AD]は、化合物[AF]と化合物[AC]とを酸の存在下又は非存在下、溶媒中で、冷却下ないし加温下で30分間ないし24時間(好ましくは1ないし4時間)反応させることにより製造することができる。酸としては、無機酸、有機酸、ルイス酸等が挙げられる。無機酸としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、テトラフルオロホウ酸、過塩素酸、過ヨウ素酸等挙げられる。有機酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、吉草酸、ヘキサン酸、クエン酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、安息香酸、サリチル酸、シュウ酸、コハク酸、マロン酸、フタル酸、酒石酸、リンゴ酸、グリコール酸等のカルボン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等のスルホン酸等が挙げられる。ルイス酸としては、例えば、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム等のハロゲン化アルミニウム、塩化ジエチルアルミニウム、臭化ジエチルアルミニウム、塩化ジイソプロピルアルミニウム等のハロゲン化ジアルキルアルミニウム、トリメチルボレート、トリエチルボレート、トリプロピルボレート、トリ−tert−ブチルボレート等のトリアルキルボレート、トリエトキシアルミニウム、トリイソプロポキシアルミニウム、トリ−tert−ブトキシアルミニウム等のトリアルコキシアルミニウム、四塩化チタン等のハロゲン化チタン、テトライソプロポキシチタニウム等のテトラアルコキシチタニウム、三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、三臭化ホウ素、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体等のハロゲン化ホウ素、塩化亜鉛、臭化亜鉛等のハロゲン化亜鉛等が挙げられる。これら酸は、単独又は組み合わせて使用してもよい。これら酸は、中でも硫酸、塩酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体等が好ましい。溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジメトキシエタン、エチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、メタノール、エタノール、2−プロパノール、n−ブタノール、2−エトキシエタノール、ベンジルアルコール等のアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、グリセリン等の多価アルコール類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、プロピオン酸メチル等のエステル類、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、アセトニトリル等の含シアノ有機化合物類、N−メチルピロリドン、水等が挙げられる。これら溶媒は、単独又は組み合わせて使用してもよい。
(工程25)化合物[AH]は、化合物[AD]と化合物[I]とを塩基の存在下又は非存在下、溶媒中で、冷却下ないし加温下で5分間ないし40時間(好ましくは1ないし18時間)反応させることにより製造することができる。塩基としてはピリジン、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、N−メチルピペリジン、ピコリン等が挙げられる。溶媒としてはジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン、ヘキサン、酢酸エチル、メチル−tert−ブチルエーテル、N,N−ジメチルホルムアミド等の有機溶媒、水を単独又は組み合わせて使用することができる。ここで、化合物[I]におけるX1は脱離基として機能する原子あるいは官能基を示し、塩素、臭素などのハロゲン原子、あるいはピバリル基等のアシル基などを例として挙げることができる。
(工程26)化合物[Z]は、化合物[AH]を還元剤の存在下、又は酸の存在下、溶媒中で、冷却ないし加温下ないし室温で5分間ないし40時間(好ましくは1ないし18時間)反応させることにより合成することができる。還元法としては、パラジウム炭素、パラジウム黒、水酸化パラジウム、酸化白金、ラネーニッケル等の金属触媒を用いた水素ガスによる接触還元反応。酸としては、無機酸としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、テトラフルオロホウ酸、過塩素酸、過ヨウ素酸等挙げられる。有機酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、吉草酸、ヘキサン酸、クエン酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、安息香酸、サリチル酸、シュウ酸、コハク酸、マロン酸、フタル酸、酒石酸、リンゴ酸、グリコール酸等のカルボン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等のスルホン酸等が挙げられる。ルイス酸としては、例えば、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム等のハロゲン化アルミニウム、塩化ジエチルアルミニウム、臭化ジエチルアルミニウム、塩化ジイソプロピルアルミニウム等のハロゲン化ジアルキルアルミニウム、トリメチルボレート、トリエチルボレート、トリプロピルボレート、トリ−tert−ブチルボレート等のトリアルキルボレート、トリエトキシアルミニウム、トリイソプロポキシアルミニウム、トリ−tert−ブトキシアルミニウム等のトリアルコキシアルミニウム、四塩化チタン等のハロゲン化チタン、テトライソプロポキシチタニウム等のテトラアルコキシチタニウム、三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、三臭化ホウ素、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体等のハロゲン化ホウ素、塩化亜鉛、臭化亜鉛等のハロゲン化亜鉛等が挙げられる。好ましくは、塩酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸が挙げられる。
(工程27)化合物[AK]は、化合物[AI]と化合物[AJ]とを溶媒中で金属存在下または非存在下及び塩基の存在下に冷却下ないし加温下で30分間ないし40時間(好ましくは1ないし18時間)反応させることにより製造することができる。塩基としては、ナトリウム tert−ブトキシド、ピリジン、トリエチルアミン、炭酸セシウム、炭酸カリウム、リン酸カリウム、カリウム tert−ブトキシド、リチウム ビス(トリメチルシリル)アミド、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7−エン等が挙げられる。金属としては、酢酸銅、酸化銅、臭化銅、ヨウ化銅、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、酢酸パラジウム、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル、塩かパラジウム等が挙げられる。また、(R)−(+)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、(S)−(−)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、(±)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、トリス(o−トリル)ホスフィン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、トリス(1−ナフチル)ホスフィン、トリス(o−メトキシフェニル)ホスフィン、トリフェニルホスフィン、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、o−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)ビフェニル等のリガンドが適宜用いられる。溶媒としては、トルエン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメトキシエタン等が挙げられる。これらの溶媒は、単独又は組み合わせて使用してもよい。ここで、化合物[AI]におけるX7は脱離基として機能する原子あるいは官能基を示し、塩素、臭素などのハロゲン原子、あるいはボロノ基等のホウ素含有官能基などを例として挙げることができる。
(工程28)化合物[AL]は、化合物[AK]を酸の存在下又は非存在下、溶媒中で、冷却下ないし加温下で30分間ないし24時間(好ましくは1ないし4時間)反応させることにより製造することができる。酸としては、無機酸や有機酸が挙げられる。無機酸としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、テトラフルオロホウ酸、過塩素酸、過ヨウ素酸等挙げられる。有機酸としては、例えば、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等のスルホン酸等が挙げられる。好ましくは、硫酸である。溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジメトキシエタン、エチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル類等が挙げられる。これらの溶媒は、単独又は組み合わせて使用することができる(好ましくは、トルエン)。
(工程29)化合物[AN]は、化合物[AL]と化合物[AM]とを塩基の存在下、溶媒中で、冷却下ないし加温下で5分間ないし40時間(好ましくは1ないし18時間)反応させることにより製造することができる。塩基としてはリチウムtert−ブトキシド、炭酸セシウム、炭酸カリウム、リン酸カリウム、リチウム ビス(トリメチルシリル)アミド、ピリジン、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン等が挙げられる。溶媒としてはジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン、ヘキサン、酢酸エチル、メチル−tert−ブチルエーテル、N,N−ジメチルホルムアミド等の有機溶媒、水を単独又は組み合わせて使用することができる。ここで、化合物[AM]におけるX8は脱離基として機能する原子あるいは官能基を示し、塩素、臭素などのハロゲン原子、あるいはピバリル基等のアシル基などを例として挙げることができる。
(工程30)化合物[AO]は、化合物[AN]を溶媒中で還元剤と酸を作用させ、冷却下ないし加温下で、30分間ないし40時間(好ましくは1ないし6時間)反応させることにより製造することができる。還元剤としては、水素化ホウ素ナトリウム、水素化シアノホウ素ナトリウム、水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム、水素化ホウ素亜鉛、ボラン、水素化アルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウム等が挙げられる。これらの還元剤は、単独又は組み合わせて使用してもよい。酸としては、例えば、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム等のハロゲン化アルミニウム、塩化ジエチルアルミニウム、臭化ジエチルアルミニウム、塩化ジイソプロピルアルミニウム等のハロゲン化ジアルキルアルミニウム、トリメチルボレート、トリエチルボレート、トリプロピルボレート、トリ−tert−ブチルボレート等のトリアルキルボレート、トリエトキシアルミニウム、トリイソプロポキシアルミニウム、トリ−tert−ブトキシアルミニウム等のトリアルコキシアルミニウム、四塩化チタン等のハロゲン化チタン、テトライソプロポキシチタニウム等のテトラアルコキシチタニウム、三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、三臭化ホウ素、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体等のハロゲン化ホウ素、塩化亜鉛、臭化亜鉛等のハロゲン化亜鉛等が挙げられる。好ましくは、塩化マグネシウムである。
(工程31)化合物[AH]は、化合物[AO]と化合物[I]とを塩基の存在下又は非存在下、溶媒中で、冷却下ないし加温下で5分間ないし40時間(好ましくは1ないし18時間)反応させることにより製造することができる。塩基としてはピリジン、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、N−メチルピペリジン、ピコリン等が挙げられる。溶媒としてはジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン、ヘキサン、酢酸エチル、メチル−tert−ブチルエーテル、N,N−ジメチルホルムアミド等の有機溶媒、水を単独又は組み合わせて使用することができる。ここで、化合物[I]におけるX1は脱離基として機能する原子あるいは官能基を示し、塩素、臭素などのハロゲン原子、あるいはピバロイル基等のアシル基などを例として挙げることができる。
(工程32)化合物[Z]は、化合物[AH]を還元剤の存在下、又は酸存在下、溶媒中で、冷却ないし加温下ないし室温で5分間ないし40時間(好ましくは1ないし18時間)反応させることにより合成することができる。還元法としては、パラジウム炭素、パラジウム黒、水酸化パラジウム、酸化白金、ラネーニッケル等の金属触媒を用いた水素ガスによる接触還元反応を適用することができる。酸としては、無機酸としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、テトラフルオロホウ酸、過塩素酸、過ヨウ素酸等挙げられる。有機酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、吉草酸、ヘキサン酸、クエン酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、安息香酸、サリチル酸、シュウ酸、コハク酸、マロン酸、フタル酸、酒石酸、リンゴ酸、グリコール酸等のカルボン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等のスルホン酸等が挙げられる。ルイス酸としては、例えば、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム等のハロゲン化アルミニウム、塩化ジエチルアルミニウム、臭化ジエチルアルミニウム、塩化ジイソプロピルアルミニウム等のハロゲン化ジアルキルアルミニウム、トリメチルボレート、トリエチルボレート、トリプロピルボレート、トリ−tert−ブチルボレート等のトリアルキルボレート、トリエトキシアルミニウム、トリイソプロポキシアルミニウム、トリ−tert−ブトキシアルミニウム等のトリアルコキシアルミニウム、四塩化チタン等のハロゲン化チタン、テトライソプロポキシチタニウム等のテトラアルコキシチタニウム、三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、三臭化ホウ素、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体等のハロゲン化ホウ素、塩化亜鉛、臭化亜鉛等のハロゲン化亜鉛等が挙げられる。好ましくは塩酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸である。
N−アルキル化合物は、公知の方法、例えば還元的アミノ化反応やアミノ基のアルキル化反応を用いて化合物[Z]をアルキル化するか、N−アルキル化された中間体、試薬を用いることによって製造することができる。
(工程33)化合物[AQ]は、化合物[E]及び化合物[AP]を溶媒中で、加温下、5分間ないし40時間(好ましくは1〜2時間)反応させることにより製造することができる。溶媒としては、例えばジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン、ヘキサン、酢酸エチル、メチル−tert−ブチルエーテル、N,N−ジメチルホルムアミド等の有機溶媒あるいは水等が挙げられ、好ましくは水である。これらの溶媒は、単独又は組み合わせて使用することができる。
(工程34)化合物[AS]は、化合物[AQ]を塩基の存在下又は非存在下、冷却ないし加温下で等量あるいは過剰量の化合物[AR]と溶媒中で5分間ないし40時間(好ましくは1ないし18時間)反応させることにより得られる。この時、反応試薬として、1,1−カルボニルジイミダゾール(CDI)、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(WSC)、オキザリルクロリド、チオニルクロリド等を使用することができる。塩基としては例えばピリジン、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン等の有機塩基、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等の無機塩基等が挙げられる。溶媒としては、例えばジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン、ヘキサン、酢酸エチル、メチル−tert−ブチルエーテル、N,N−ジメチルホルムアミド等の有機溶媒、水を単独又は組み合わせて使用することができる。
(工程35)化合物[AD]は、化合物[AS]を溶媒中で還元剤と酸を作用させ、冷却下ないし加温下で、30分間ないし40時間(好ましくは1ないし6時間)反応させることにより製造することができる。還元剤としては、水素化ホウ素ナトリウム、水素化シアノホウ素ナトリウム、水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム、水素化ホウ素亜鉛、ボラン、水素化アルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウム等が挙げられる。これら還元剤は、単独又は組み合わせて使用してもよい。酸としては、例えば、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム等のハロゲン化アルミニウム、塩化ジエチルアルミニウム、臭化ジエチルアルミニウム、塩化ジイソプロピルアルミニウム等のハロゲン化ジアルキルアルミニウム、トリメチルボレート、トリエチルボレート、トリプロピルボレート、トリ−tert−ブチルボレート等のトリアルキルボレート、トリエトキシアルミニウム、トリイソプロポキシアルミニウム、トリ−tert−ブトキシアルミニウム等のトリアルコキシアルミニウム、四塩化チタン等のハロゲン化チタン、テトライソプロポキシチタニウム等のテトラアルコキシチタニウム、三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、三臭化ホウ素、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体等のハロゲン化ホウ素、塩化亜鉛、臭化亜鉛等のハロゲン化亜鉛等が挙げられる。好ましくは、塩化マグネシウムである。
(工程36)化合物[AH]は、化合物[AD]と化合物[I]とを塩基の存在下又は非存在下、溶媒中で、冷却下ないし加温下で5分間ないし40時間(好ましくは1ないし18時間)反応させることにより製造することができる。塩基としてはピリジン、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、N−メチルピペリジン、ピコリン等が挙げられる。溶媒としてはジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン、ヘキサン、酢酸エチル、メチル−tert−ブチルエーテル、N,N−ジメチルホルムアミド等の有機溶媒、水を単独又は組み合わせて使用することができる。ここで、化合物[I]におけるX1は脱離基として機能する原子あるいは官能基を示し、塩素、臭素などのハロゲン原子、あるいはピバリル基等のアシル基などを例として挙げることができる。
(工程37)化合物[Z]は、化合物[AH]を還元剤の存在下、又は酸存在下、溶媒中で、冷却ないし加温下ないし室温で5分間ないし40時間(好ましくは1ないし18時間)反応させることにより合成することができる。還元法としては、パラジウム炭素、パラジウム黒、水酸化パラジウム、酸化白金、ラネーニッケル等の金属触媒を用いた水素ガスによる接触還元反応。酸としては、無機酸としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、テトラフルオロホウ酸、過塩素酸、過ヨウ素酸等挙げられる。有機酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、吉草酸、ヘキサン酸、クエン酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、安息香酸、サリチル酸、シュウ酸、コハク酸、マロン酸、フタル酸、酒石酸、リンゴ酸、グリコール酸等のカルボン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等のスルホン酸等が挙げられる。ルイス酸としては、例えば、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム等のハロゲン化アルミニウム、塩化ジエチルアルミニウム、臭化ジエチルアルミニウム、塩化ジイソプロピルアルミニウム等のハロゲン化ジアルキルアルミニウム、トリメチルボレート、トリエチルボレート、トリプロピルボレート、トリ−tert−ブチルボレート等のトリアルキルボレート、トリエトキシアルミニウム、トリイソプロポキシアルミニウム、トリ−tert−ブトキシアルミニウム等のトリアルコキシアルミニウム、四塩化チタン等のハロゲン化チタン、テトライソプロポキシチタニウム等のテトラアルコキシチタニウム、三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、三臭化ホウ素、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体等のハロゲン化ホウ素、塩化亜鉛、臭化亜鉛等のハロゲン化亜鉛等が挙げられる。好ましくは、塩酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸である。
(工程38)化合物[AT]は、化合物[A]とヒドロキシルアミンまたはヒドロキシルアミン塩酸塩等とを塩基の存在下又は非存在下、溶媒中で、冷却下ないし加温下で5分間ないし40時間(好ましくは1ないし18時間)反応させることにより製造することができる。塩基としては例えば酢酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。溶媒としてはエタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、ジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン、ヘキサン、酢酸エチル、メチル−tert−ブチルエーテル、N,N−ジメチルホルムアミド等の有機溶媒、水を単独又は組み合わせて使用することができる。
(工程39)化合物[Z]は、化合物[AT]を還元剤の存在下、溶媒中で、冷却ないし加温下で5分間ないし40時間(好ましくは1ないし18時間)反応させることにより合成することができる。還元法としてはパラジウム炭素、パラジウム黒、水酸化パラジウム、酸化白金、ラネーニッケル等の金属触媒を用いた水素ガスによる接触還元、又は水素化ホウ素ナトリウム、水素化シアノホウ素ナトリウム、水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム、水素化ホウ素亜鉛、ボラン、水素化アルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、ナトリウム−アルコール等を用いる方法が挙げられる。溶媒としてはメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド、メチル−tert−ブチルエーテル、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、酢酸、酢酸エチル等の有機溶媒、水を単独又は組み合わせて使用することができる。
また、副反応を回避する目的で、各化合物の置換基を適当な保護基で保護しておき、反応工程の終了後に脱保護を行うことにより目的化合物を製造することもできる。置換基の保護、脱保護条件としては一般に用いられる方法(例えば、Protective Groups in Organic Synthesis Third Edition, John Wiley & Sons, Inc.に記載されている方法)を参考にして行うことができる。
前記の各反応で得られた中間体及び目的物は、有機合成化学で常用されている精製法、例えば、ろ過、抽出、洗浄、乾燥、濃縮、再結晶、各種クロマトグラフィー等に付して必要に応じて単離、精製することができる。また、中間体においては、特に精製することなく次反応に供することもできる。
さらに、各種の異性体は、異性体間の物理化学的性質の差を利用し、常法により単離できる。例えばラセミ混合物は、例えば、酒石酸等の一般的な光学活性酸とのジアステレオマー塩に導いて光学分割する方法、又は、光学活性カラムクロマトグラフィーを用いた方法等の一般的ラセミ分割法により、光学的に純粋な異性体に導くことができる。また、ジアステレオマー混合物は、例えば、分別結晶化又は各種クロマトグラフィー等により分割できる。また、光学活性な化合物は適当な光学活性な原料を用いることにより製造することもできる。
本発明のEPO産生促進剤、ヘモグロビン産生促進剤、又は貧血治療剤は、一般式(1)で表される縮合ピペリジン化合物、その塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含有するものであって、医薬組成物として使用することができる。その場合、本発明の化合物を単独で用いてもよいが、通常は医薬として許容される担体、及び/又は希釈剤を配合して使用される。
投与経路は、特に限定されず、治療目的に応じて適宜選択できる。例えば、経口剤、注射剤、坐剤、吸入剤等のいずれでもよい。これらの投与形態に適した医薬組成物は、公知の製剤方法を利用することによって製造できる。
経口用固形製剤を調製する場合は、一般式(1)で表される化合物に医薬として許容される賦形剤、更に必要に応じて結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味剤、矯臭剤等を加えた後、常法を利用して、錠剤、被覆錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤等を製造することができる。添加剤は、当該技術分野で一般的に使用されているものでよい。例えば、賦形剤としては、乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、微結晶セルロース、珪酸等が挙げられる。結合剤としては、水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン液、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、メチルセルロース、エチルセルロース、シェラック、リン酸カルシウム、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。崩壊剤としては、乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、乳糖等が挙げられる。滑沢剤としては、精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ砂、ポリエチレングリコール等が挙げられる。矯味剤としては、白糖、橙皮、クエン酸、酒石酸等が挙げられる。
経口用液体製剤を調製する場合は、一般式(1)で表される化合物に矯味剤、緩衝剤、安定化剤、矯臭剤等を加えて常法を利用して内服液剤、シロップ剤、エリキシル剤等を製造することができる。矯味剤としては、上記に挙げられたものでよく、緩衝剤としてはクエン酸ナトリウム等が、安定化剤としてはトラガント、アラビアゴム、ゼラチン等が挙げられる。
注射剤を調製する場合は、一般式(1)で表される化合物にpH調節剤、緩衝剤、安定化剤、等張化剤、局所麻酔剤等を添加し、常法を利用して皮下、筋肉及び静脈内注射剤を製造することができる。pH調製剤及び緩衝剤としては、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム等が挙げられる。安定化剤としてはピロ亜硫酸ナトリウム、EDTA、チオグリコール酸、チオ乳酸等が挙げられる。局所麻酔剤としては、塩酸プロカイン、塩酸リドカイン等が挙げられる。等張化剤としては、塩化ナトリウム、ブドウ糖等が挙げられる。
坐剤を調製する場合は、一般式(1)で表される化合物に公知の坐薬用担体、例えば、ポリエチレングリコール、ラノリン、カカオ脂、脂肪酸トリグリセライド等、更に必要に応じて界面活性剤(例えば、ツイーン(登録商標))等を加えた後、常法を利用して製造することができる。
本発明の一般式(1)で表される化合物の投与量は年齢、体重、症状、投与形態及び投与回数等によって異なるが、通常は成人に対して一般式(1)で表わされる化合物として1日あたり1mgから1000mgを、1回又は数回に分けて経口投与又は非経口投与するのが好ましい。
実施例1
シス−1−アセチル−4−[(4−クロロフェニル)アミノ]−2−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−[1,8]−ナフチリジン(化合物1)の製造
[工程1]2−クロロニコチン酸5.0gと塩化チオニル2.8mLとをベンゼン60mLに溶解し、加熱還流した。3時間後、別途調製したN,O−ジメチルヒドロキシアミン塩酸塩4.6gとピリジン20mLのジクロロメタン溶液50mLへ反応液を氷冷下加えた後、室温で終夜攪拌した。反応終了後、減圧濃縮し、得られた残渣を再結晶(酢酸エチル−へキサン)により精製し、2−クロロ−N−メトキシ−N−メチルニコチンアミド淡黄色結晶5.1g(79%)として得た。
[工程2]2−クロロ−N−メトキシ−N−メチルニコチンアミド3.0gをテトラヒドロフラン30mLに溶解し、1.0M臭化アリルマグネシウム/テトラヒドロフラン溶液16.5mLを−78℃で30分間滴下して加えた。滴下後、室温で1時間攪拌した。反応終了後、1N塩酸で酸性とした後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で中和し、クロロホルムで3回抽出した。飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで除水後、減圧濃縮し、1−(2−クロロピリジン−3−イル)ブタ−2−エン−1−オンと1−(2−クロロピリジン−3−イル)ブタ−3−エン−1−オンの混合物2.2g(81%)として得た。
[工程3]1−(2−クロロピリジン−3−イル)ブタ−2−エン−1−オンと1−(2−クロロピリジン−3−イル)ブタ−3−エン−1−オンの混合物2.2gと4−メトキシベンジルアミンとをエタノール30mLに溶解し、70℃で終夜攪拌した。反応終了後、減圧濃縮し、得られた残渣に水を加えてクロロホルムで3回抽出した。飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで除水後、減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:3)を用いて精製し、1−(4−メトキシベンジル)−4−オキソ−2−メチル−2,3−ジヒドロ−1H−[1,8]ナフチリジンを黄色油状物2.7g(80%)として得た。
[工程4]1−(4−メトキシベンジル)−4−オキソ−2−メチル−2,3−ジヒドロ−1H−[1,8]ナフチリジン200mgと4−クロロアニリン271mgをトルエン4mLに溶解し、氷冷下、四塩化チタン(1.0Mジクロロメタン溶液)0.35mLを加えて、3時間加熱還流した。反応終了後、セライトにてろ過した後、減圧濃縮し、粗生成物420mgを得た。
[工程5]粗生成物420mgと水素化シアノホウ素ナトリウム89mgをメタノール2mLに溶解し、酢酸を一滴加えて室温で30分間攪拌した。反応終了後、メタノールを減圧留去した。得られた残渣を飽和炭酸水素ナトリウム水で中和した後、クロロホルムで3回抽出した。飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで除水後、減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:3)を用いて精製し、1−(4−メトキシベンジル)−4−[(4−クロロフェニル)アミノ]−2−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−[1,8]−ナフチリジンを茶褐色油状物148mg(53%, 2 steps)として得た。
[工程6]1−(4−メトキシベンジル)−4−[(4−クロロフェニル)アミノ]−2−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−[1,8]−ナフチリジン120mgをジクロロメタン3mLに溶解し、無水トリフルオロ酢酸64μLと過剰量のピリジンを加えて、室温で1時間攪拌した。反応終了後、反応液を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:5)を用いて精製し、N−(4−クロロフェニル)−2,2,2−トリフルオロ−N−[1−(4−メトキシベンジル)−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,8−ナフチリジン−4−イル]アセトアミドを桃白色油状物100mg(67%)として得た。
[工程7]N−(4−クロロフェニル)−2,2,2−トリフルオロ−N−[1−(4−メトキシベンジル)−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,8−ナフチリジン−4−イル]アセトアミド98mgをジクロロメタン0.3mLとトリフルオロ酢酸0.3mLに溶解し、室温で1.5時間攪拌した。反応終了後、減圧濃縮し、得られた残渣を飽和炭酸水素ナトリウム水で中和した後、クロロホルムで3回抽出した。飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで除水後、減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:1)を用いて精製し、N−(4−クロロフェニル)−2,2,2−トリフルオロ−N−[2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,8−ナフチリジン−4−イル]アセトアミドを淡赤色油状物78mg(74%)として得た。
[工程8]N−(4−クロロフェニル)−2,2,2−トリフルオロ−N−[2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,8−ナフチリジン−4−イル]アセトアミド70mgをテトラヒドロフラン0.3mLに溶解し、−15℃で1.9Mヘキサメチルジシラザンナトリウム/テトラヒドロフラン溶液を加えた。−15℃で30分間攪拌した後、無水酢酸45μLを加えて、徐々に室温へと戻し、2時間攪拌した。反応終了後、飽和塩化アンモニウム水溶液で中和した後、酢酸エチルで3回抽出した。飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで除水後、減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=2:1)を用いて精製し、表題化合物を淡黄色油状物1.5mg(2.5%)として得た。
1H−NMR(400MHz, CDCl3)δ:1.25 (3H, d, J = 6.3 Hz), 1.42 (1H, ddd, J = 9.3, 12.0, 12.2 Hz), 2.33 (3H, s), 2.66 (1H, ddd, J = 4.4, 8.3, 12.5 Hz), 3.86 (1H, d, J = 6.8 Hz), 4.14-4.22 (1H, m), 4.78-4.92 (1H, m), 6.55 (2H, d, J = 6.6 Hz), 7.08-7.17 (3H, m), 7.57 (1H, dd, J = 1.0, 7.6 Hz), 8.35 (1H, dd, J = 1.0, 5.0 Hz).
実施例2
シス−1−アセチル−4−[(4−クロロフェニル)アミノ]−2−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−[1,6]−ナフチリジン(化合物2)の製造
[工程1]4−クロロピリジン200mgをジエチルエーテル5mLに溶解し、2Mリチウムジイソプロピルアミド(LDA)/ヘプタン、テトラヒドロフラン、エチルベンゼン溶液を−78℃で10分間滴下して加えた。−78℃で1時間攪拌後、別途調製したtert−ブチル 2−メチル−4−オキソアゼチジン−1−カルボキシレート489mgのジエチルエーテル溶液2mLを加えた後、ゆっくり室温へと戻し、終夜攪拌した。反応終了後、水を加え、酢酸エチルで3回抽出した。飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで除水後、減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:2)を用いて精製し、tert−ブチル 4−(4−クロロピリジン−3−イル)−4−オキソブタン−2−イルカーバメートを淡黄色油状物275mg(52%)として得た。
[工程2]tert−ブチル 4−(4−クロロピリジン−3−イル)−4−オキソブタン−2−イルカーバメート62mgを酢酸エチル2mLに溶解し、氷冷下に4N塩酸/酢酸エチル1mLを加えた後、室温で5時間攪拌した。反応終了後、減圧濃縮し、得られた残渣を酢酸エチルで3回洗浄し、3−アミノ−1−(4−クロロピリジン−3−イル)ブタン−1−オン二塩酸塩の粗生成物64mgを得た。
[工程3]3−アミノ−1−(4−クロロピリジン−3−イル)ブタン−1−オン二塩酸塩の粗生成物64mgをN,N−ジメチルホルムアミド2mLに溶解し、氷冷下、ジイソプロピルエチルアミン0.18mLを加えた後、室温で1時間攪拌した。さらに、100℃で終夜攪拌した。反応終了後、水を加えた後、クロロホルムで3回抽出した。飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで除水後、減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(メタノール:クロロホルム=1:10)を用いて精製し、4−オキソ−2−メチル−2,3−ジヒドロ−1H−[1,6]ナフチリジンを淡黄色油状物9mg(27%)として得た。
[工程4]4−オキソ−2−メチル−2,3−ジヒドロ−1H−[1,6]ナフチリジン30mgをジクロロメタン2mLに溶解し、トリエチルアミン0.1mLと無水酢酸35μLを加えた後、40℃で終夜攪拌した。反応終了後、減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル)を用いて精製し、1−アセチル−4−オキソ−2−メチル−2,3−ジヒドロ−1H−[1,6]ナフチリジンを淡黄色油状物7mg(18%)として得た。
[工程5]1−アセチル−4−オキソ−2−メチル−2,3−ジヒドロ−1H−[1,6]ナフチリジン9mg、4−クロロアニリン11mgをトルエン0.1mLに溶解し、氷冷下、四塩化チタン(1.0Mジクロロメタン溶液)44μLを加えて、終夜加熱還流した。反応終了後、セライトにてろ過した後、減圧濃縮し、粗生成物20mgを得た。
[工程6]粗生成物20mgと水素化シアノホウ素ナトリウム14mgをメタノール2mLに溶解し、酢酸を一滴加えて室温で1.5時間攪拌した。反応終了後、メタノールを減圧留去した。得られた残渣を飽和炭酸水素ナトリウム水で中和した後、クロロホルムで3回抽出した。飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで除水後、減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=5:1)を用いて精製し、表題化合物を淡黄色油状物1.1mg(8%, 2 steps)として得た。
1H−NMR(400MHz, CDCl3)δ:1.23 (3H, d, J = 6.4 Hz), 1.44-1.53 (1H, m), 2.27 (3H, s), 2.66 (1H, ddd, J = 4.4, 8.2, 16.7 Hz), 3.83 (1H, d, J = 7.8 Hz), 4.24-4.31 (1H, m), 4.75-3.81 (1H, m), 6.59 (2H, d, J = 6.6 Hz), 7.13-7.18 (3H, m), 8.50 (1H, s), 8.54 (1H, d, J = 5.4 Hz).
実施例3
シス−1−アセチル−4−[(4−クロロフェニル)アミノ]−2−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−[1,5]−ナフチリジン(化合物3)の製造
[工程1]3−アミノ−6−ブロモピリジン500mgをジクロロメタン12mLに溶解し、無水硫酸ナトリウム616mgを加えた後−20℃でアセトアルデヒド0.18mLを加えて2時間攪拌した。反応液をろ過し、硫酸ナトリウムを除去した後、ベンジル ビニルカーバメート563mgを加えた。反応液に−20℃下トリフルオロボランエーテラートを15分間かけて滴下し、−10℃以下で3時間攪拌した。反応終了後、飽和炭酸水素ナトリウム水で中和した後、クロロホルムで3回抽出した。飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで除水後、減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:2)を用いて精製し、ベンジル 6−ブロモ−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,5−ナフチリジン−4−イルカーバメートを淡黄色アモルファス821mg(76%)として得た。
[工程2]ベンジル 6−ブロモ−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,5−ナフチリジン−4−イルカーバメート479mgをジクロロメタン5mLに溶解し、ピリジン0.31mLを加えた。氷冷下でアセチルクロライド0.14mLを加え室温で30分攪拌した。反応終了後、飽和炭酸水素ナトリウム水で中和した後、クロロホルムで3回抽出した。飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで除水後、減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:1)を用いて精製し、ベンジル 1−アセチル−6−ブロモ−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,5−ナフチリジン−4−イルカーバメートを淡黄色アモルファス376mg(71%)として得た。
[工程3]ベンジル 1−アセチル−6−ブロモ−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,5−ナフチリジン−4−イルカーバメート279mgとギ酸アンモニウム126mgをエタノール5mLに溶解し、10%パラジウム炭素112mgを加えて常圧、室温で水素雰囲気下、6時間攪拌した。反応終了後、セライトろ過を行った後、減圧濃縮した。得られた残渣を飽和炭酸水素ナトリウム水で中和した後、クロロホルムで5回抽出した。飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで除水後、減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(飽和アンモニア/メタノール:クロロホルム:=1:10)を用いて精製し、1−アセチル−4−アミノ−2−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−[1,5]−ナフチリジンを赤色固体85mg(62%)として得た。
[工程4]1−アセチル−4−アミノ−2−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−[1,5]−ナフチリジン15mgと4−クロロフェニルボロン酸23mgをDMF0.3mLに溶解し、二価の酢酸銅27mgとピリジン18μLを加えて空気存在下に室温で5時間攪拌した。反応終了後、セライトろ過を行った後、水を加え、酢酸エチルで3回抽出した。飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで除水後、減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:1)を用いて精製し、表題化合物を淡黄色固体13mg(57%)として得た。
1H−NMR(400MHz, CDCl3)δ:1.09-1.28 (4H, m), 2.17 (3H, s), 2.97 (1H, ddd, J = 4.2, 8.3, 12.9 Hz), 4.29 (1H, dd, J = 3.9, 12.0 Hz), 4.76-4.84 (1H, m), 5.70-5.78 (1H, br), 6.69 (2H, d, J = 8.8 Hz), 7.18 (1H, d, J = 8.8 Hz), 7.31 (1H, dd, J = 4.8, 7.9 Hz), 7.50-7.62 (1H, br), 8.43 (1H, d, J = 4.8 Hz).
実施例4
1−(7−(4−クロロフェニルアミノ)−5−メチル−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−b]ピリジン−4(5H)−イル)エタノン(化合物4)の製造
[工程1]エチル 7−ヒドロキシチエノ[3,2−b]ピリジン−6−カルボキシレート 652mg(2.9mmol)(参考文献:WO2005/97806)を無水ジクロロメタンに溶解させ、無水ピリジン0.7mL(8.8mmol)と二炭酸ジ−tert−ブチル1.9g(8.8mmol)を加え、室温にて18時間攪拌した。反応終了後、反応液に水を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで除水後、減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール=30:1)にて精製し、4−tert−ブチル 6−エチル 7−オキソチエノ[3,2−b]ピリジン−4,6(7H)−ジカルボキシレート 732mg(78%)を淡褐色固体として得た。
1H−NMR(270MHz, CDCl3)δ:1.42 (3H, t, J = 7.1 Hz), 1.71 (9H, s), 4.41 (2H, q, J = 7.0 Hz), 7.73 (1H, d, J = 5.6 Hz), 7.99 (1H, d, J = 5.6 Hz), 9.09 (1H, s).
[工程2]4−tert−ブチル 6−エチル 7−オキソチエノ[3,2−b]ピリジン−4、6(7H)−ジカルボキシレート 438mg(1.4mmol)、ヨウ化銅(I)516mg(2.7mmol)のテトラヒドロフラン(30mL)混合液を−78℃にてアルゴン雰囲気下攪拌し、臭化メチルマグネシウムテトラヒドロフラン溶液(0.97mol/L)2.8mL(2.7mmol)を滴下した。18時間かけて徐々に室温に戻し、攪拌した。反応終了後、反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液で洗浄し、さらに飽和食塩水にて洗浄した。無水硫酸ナトリウムで除水後、減圧濃縮し、4−tert−ブチル 6−エチル 5−メチル−7−オキソ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−b]ピリジン−4,6(5H)−ジカルボキシレート 360mg(79%)を黄褐色油状物として得た。
1H−NMR(400MHz, CDCl3)δ:1.20 (3H, t, J = 7.2 Hz), 1.33 (3H, d, J = 6.8 Hz), 1.58 (9H, s), 3.31 (1H, d, J = 1.7 Hz), 4.12-4.18 (2H, m), 5.30-5.37 (1H, m), 7.58-7.67 (2H, m).
[工程3]4−tert−ブチル 6−エチル 5−メチル−7−オキソ−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−b]ピリジン−4,6(5H)−ジカルボキシレート 331mg(0.98mmol)をエタノール10mLに懸濁させ、水酸化ナトリウム水溶液(2mol/L)5mL(10mmol)を加えて赤色溶液とした。100℃油浴中還流下、4時間攪拌した。反応終了後、反応液に水を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで除水後、減圧濃縮し、5−メチル−5,6−ジヒドロチエノ[3,2−b]ピリジン−7(4H)−オン 123mg(75%)を淡褐色固体として得た。
1H−NMR(400MHz, CDCl3)δ:1.36 (3H, d, J = 6.3 Hz), 2.40-2.58 (2H, m), 3.85-3.92 (1H, m), 4.65 (1H, brs), 6.53 (1H, d, J = 5.4 Hz), 7.51 (1H, d, J = 5.4 Hz).
[工程4]5−メチル−5,6−ジヒドロチエノ[3,2−b]ピリジン−7(4H)−オン 123mg(0.74mmol)を無水ジクロロメタン4mLに溶解し、無水ピリジン0.12mL(1.5mmol)、塩化アセチル0.078mL(1.1mmol)を順次加え、室温にて1時間攪拌した。反応終了後エタノールを加え、減圧濃縮し、さらにトルエンにて共沸を行った。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1)にて精製し、4−アセチル−5−メチル−5,6−ジヒドロチエノ[3,2−b]ピリジン−7(4H)−オン 111mg(72%)を淡褐色油状物として得た。
1H−NMR(270MHz, CDCl3)δ:1.34 (3H, d, J = 6.9 Hz), 2.41 (3H, s), 2.56 (1H, dd, J = 17.0, 1.8 Hz), 3.07 (1H, dd, J = 17.1, 5.6 Hz), 4.76-5.00 (1H, m), 7.66-7.69 (2H, m).
[工程5]4−アセチル−5−メチル−5,6−ジヒドロチエノ[3,2−b]ピリジン−7(4H)−オン 34mg(0.16mmol)、4−クロロアニリン 42mg(0.33mmol)の無水トルエン(1mL)溶液に、アルゴン雰囲気下、四塩化チタンのジクロロメタン溶液(1mol/L)0.16mL(0.16mmol)を滴下し、130℃油浴中還流下1時間攪拌した。反応終了後、室温まで放冷し、ジエチルエーテル2mLを加えて固形物をセライトろ過で取り除いた。ろ液を減圧濃縮し、中間体イミンを含む混合物19mgを黄色固体として得た。得られた固体をメタノール1mLに溶かし、シアノ水素化ホウ素ナトリウム20mg(0.32mmol)、酢酸19mg(0.32mmol)を順次加え、室温にて1時間攪拌した。反応終了後、水を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで除水し、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製し、シス−1−(7−(4−クロロフェニルアミノ)−5−メチル−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−b]ピリジン−4(5H)−イル)エタノン 4.2mg(8%)を黄褐色油状物として、トランス−1−(7−(4−クロロフェニルアミノ)−5−メチル−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−b]ピリジン−4(5H)−イル)エタノン 1.0mg(2%)を白色固体として得た。
シス−1−(7−(4−クロロフェニルアミノ)−5−メチル−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−b]ピリジン−4(5H)−イル)エタノン
1H−NMR(270MHz, CDCl3)δ:1.22 (3H, d, J = 8.4 Hz), 2.30 (3H, s), 2.79-2.90 (2H, m), 4.21-4.44 (1H, m), 4.67-4.73 (1H, m), 6.55-6.62 (2H, m), 7.08 (1H, d, J = 4.9 Hz), 7.14-7.21 (2H, m), 7.23-7.27 (1H, m).
トランス−1−(7−(4−クロロフェニルアミノ)−5−メチル−6,7−ジヒドロチエノ[3,2−b]ピリジン−4(5H)−イル)エタノン
1H−NMR(270MHz, CDCl3)δ:1.31 (3H, d, J = 6.6 Hz), 1.78-1.92 (1H, m), 2.31 (3H, s), 2.36-2.49 (1H, m), 3.67-3.92 (1H, m), 4.76-4.95 (1H, m), 6.61-6.68 (2H, m), 7.13-7.20 (3H, m), 7.25-7.27 (1H, m).
実施例5
シス−1−アセチル−4−[(4−クロロフェニル)アミノ]−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−ベンゾ[h]キノリン(化合物5)の製造
[工程1]1−ナフチルアミン2.0gと1H−ベンゾトリアゾール2.6gをトルエン80mLに溶解し、アセトアルデヒド1.4mL/トルエン溶液10mLを加えて、室温で終夜攪拌した。反応終了後、ヘプタン30mLを加えて、1時間攪拌した後、ろ過を行い、N−[1−(1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−1−イル)エチル]ナフタレン−1−アミンの粗生成物3.8gを得た。
[工程2]N−[1−(1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−1−イル)エチル]ナフタレン−1−アミン300mgとベンジル ビニルカーバメート184mgをトルエン3.5mLに溶解し、p−トルエンスルホン酸1水和物2mgを加えて、70℃で30分間加熱攪拌した。反応終了後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて中和した後、クロロホルムで3回抽出した。飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで除水後、減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:5)を用いて精製し、シス−ベンジル 2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロベンゾ[h]キノリン−4−イルカーバメートを白色固体200mg(53%)として得た。
[工程3]シス−ベンジル 2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロベンゾ[h]キノリン−4−イルカーバメート200mgとピリジン0.13mLをジクロロメタン5mLに溶解し、氷冷下に、塩化アセチル59μLを加えた後、室温で3時間攪拌した。反応終了後、減圧濃縮し、得られた残渣に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて、クロロホルムで3回抽出した。飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで除水後、減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:2)を用いて精製し、シス−ベンジル 1−アセチル−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロベンゾ[h]キノリン−4−イルカーバメートを白色アモルファス213mg(100%)として得た。
[工程4]シス−ベンジル 1−アセチル−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロベンゾ[h]キノリン−4−イルカーバメート214mgとギ酸アンモニウム104mgをエタノール5mLに溶解し、10%パラジウム炭素64mgを加えて常圧、室温で水素雰囲気下、6時間攪拌した。反応終了後、セライトろ過を行った後、減圧濃縮した。得られた残渣を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で中和した後、クロロホルムで3回抽出した。飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで除水後、減圧濃縮し、シス−1−アセチル−4−アミノ−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロベンゾ[h]キノリンを無色油状物135mg(96%)として得た。
[工程5]シス−1−アセチル−4−アミノ−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロベンゾ[h]キノリン91mgと4−クロロフェニルボロン酸84mgをDMF2.5mLに溶解し、二価の酢酸銅130mgとピリジン87μLを加えて空気存在下に室温で30分間攪拌した。反応終了後、セライトろ過を行った後、水を加え、酢酸エチルで3回抽出した。飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで除水後、減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:1)を用いて精製し、表題化合物を黄色固体25mg(19%)として得た。
1H−NMR(400MHz, CDCl3)δ:1.12 (3H, d, J = 6.6 Hz), 1.20-1.30 (1H, m), 1.87 (3H, s), 2.77 (1H, ddd, J = 4.6, 8.1, 12.7 Hz), 3.97 (1H, d, J = 6.6 Hz), 4.20-4.29 (1H, m), 5.24-5.36 (1H, m), 6.59 (2H, d, J = 6.6 Hz), 7.16 (2H, d, J = 6.6 Hz), 7.35-7.65 (3H, m), 7.67-7.85 (3H, m).
実施例6
シス−1−[1−(4−クロロフェニルアミノ)−3−メチル−2,3−ジヒドロ−4,7−フェナントロリン−4(1H)−イル]エタノン(化合物6)の製造
[工程1]ベンゾトリアゾール826mg(3.5mmol)のトルエン5mL懸濁液に、6−アミノキノリン 1.0g(3.5mmol)のトルエン5mL懸濁液を加え、攪拌した。ここに、アセトアルデヒド0.22mL(3.8mmol)のトルエン5mL溶液を滴下して、室温にて18時間攪拌した。反応終了後、n−ヘキサン15mLを加え、固体をろ取した。固体をn−ヘキサンにて洗浄し、減圧乾燥し、N−[1−(1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾロ−1−イル)エチル]キノリン−6−アミン 2.0g(99%)を白色固体として得た。
[工程2]N−[1−(1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾロ−1−イル)エチル]キノリン−6−アミン 292mg(1.0mmol)、ベンジル ビニルカルバメート 179mg(1.0mmol)、p−トルエンスルホン酸2mg(0.01mmol)をトルエン5mLに懸濁させ、70℃にて5時間攪拌した(徐々に均一系となり、1時間後には黄色溶液となった)。反応終了後、反応液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液にて洗浄し、洗浄液を酢酸エチルにて抽出し、有機層を合わせて飽和食塩水にて洗浄した。これを無水硫酸ナトリウムにて除水し、減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=20:1)にて精製し、ベンジル 3−メチル−1、2、3、4−テトラヒドロ−4、7−フェナントロリン−1−イルカルバメートの粗体209mgを淡黄色泡状物質として得た。
[工程3]ベンジル 3−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−4、7−フェナントロリン−1−イルカルバメートの粗体207mg(約0.60mmol)をジクロロメタン4mLに溶かし、ピリジン94mg(1.2mmol)を加えた。さらに塩化アセチル70mgを加え、室温にて1時間攪拌した。反応終了後、塩酸水(1mol/L)を加え、クロロホルムにて抽出した。有機層を水洗し、無水硫酸ナトリウムにて除水した。減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル)にて精製し、ベンジル 4−アセチル−3−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−4,7−フェナントロリン−1−イルカルバメート 67mg(17%;2段階)を白色アモルファスとして得た。
1H−NMR(270MHz, CDCl3)δ:1.20-1.27 (1H, m), 1.31 (3H, d, J = 6.9 Hz), 2.30 (3H, s), 2.31-2.40 (2H, m), 4.96 (1H, d, J = 8.9 Hz), 5.18 (3H, dd, J = 35.6, 12.2 Hz), 5.42-5.53 (1H, m), 7.29-7.41 (6H, m), 7.71 (1H, br s), 8.00 (1H, d, J = 9.2 Hz),8.20 (1H, d, J = 7.9 Hz), 8.86 (1H, dd, J = 4.5, 1.5 Hz).
[工程4]ベンジル 4−アセチル−3−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−4,7−フェナントロリン−1−イルカルバメート 65mg(0.17mmol)をエタノール2mLに溶かし、ギ酸アンモニア42mg(0.67mmol)を加え、さらにパラジウム炭素30mgを加えた。系を水素置換して1時間攪拌した。反応終了後、反応液をセライトに通し、ろ液を減圧濃縮した。残渣をクロロホルムに溶かし、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて除水した。減圧濃縮し、1−(1−アミノ−3−メチル−2,3−ジヒドロ−4,7−フェナントロリン−4(1H)−イル)エタノン 37mg(85%)を黄褐色油状物として得た。
1H−NMR(270MHz, CDCl3)δ:1.40 (3H, d, J = 6.9 Hz), 2.06 (1H, d, J = 13.5 Hz), 2.27 (3H, s), 2.45 (1H, dt, J = 14.3, 5.7 Hz), 4.63 (1H, d, J = 4.9 Hz), 7.45 (1H, dd, J = 8.6, 4.3 Hz), 7.65 (1H, br s), 7.98 (1H, d, J = 9.2 Hz), 8.65 (1H, d, J = 9.2 Hz), 8.87 (1H, dd, J = 4.3, 1.6 Hz).
[工程5]1−(1−アミノ−3−メチル−2,3−ジヒドロ−4,7−フェナントロリン−4(1H)−イル)エタノン 36mg(0.14mmol)、4−クロロフェニルボロン酸33mg(0.21mmol)、酢酸銅(II)51mg(0.28mmol)、トリエチルアミン43mg(0.42mmol)、モレキュラーシーブス(4A)27mgのジクロロメタン2mL懸濁液を18時間激しく攪拌した。反応終了後、塩化アンモニウム水溶液を加え、クロロホルムで抽出した。抽出液を水洗し、有機層を無水硫酸ナトリウムにて除水した。減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル)およびNHシリカゲルクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=2:1)にて精製を行い、ジエチルエーテル n−ヘキサンにて結晶化を行うことで、表題化合物7mg(13%)を淡黄色結晶性粉末として得た。
1H−NMR(270MHz, CDCl3)δ:1.35 (3H, d, J = 6.9 Hz), 2.21-2.45 (5H, m), 3.76 (1H, d, J = 6.9 Hz), 4.98-5.07 (2H, m), 6.57-6.61 (2H, m), 7.20-7.25 (2H, m), 7.34 (1H, dd, J = 8.6, 4.3 Hz), 7.78 (1H, br s), 8.03 (1H, d, J = 9.2 Hz), 8.11 (1H, d, J = 8.6 Hz), 8.83-8.87 (1H, m).
実施例7
シス−6−アセチル−9−(4−クロロフェニルアミノ)−7−メチル−6,7,8,9−テトラヒドロ−3H−ピロロ[3,2−f]キノリン(化合物7)の製造
[工程1]1−トシル−1H−インドール−5−アミンを原料として、実施例5の工程1と同様に、N−[1−(1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾロ−1−イル)エチル]−1−トシル−1H−インドール−5−アミンを粗生成物として得た。この粗生成物を実施例5の工程2と同様にして、ベンジル 7−メチル−3−トシル−6,7,8,9−テトラヒドロ−3H−ピロロ[3,2−f]キノリン−9−イルカーバメート200mg(39.0%)を淡黄色アモルファスとして得た。
1H−NMR(400MHz, CDCl3)δ:1.20 (3H, d, J = 6.1 Hz), 1.54-1.61 (1H, m), 2.34 (1H, s), 2.42-2.50 (1H, m), 3.34-3.46 (1H, m), 4.86 (1H, d, J = 9.0 Hz), 5.12-5.28 (3H, m), 6.49 (1H, d, J = 3.7 Hz), 6.52 (1H, d, J = 8.8 Hz), 7.20 (2H, d, J = 8.6 Hz), 7.32-7.40 (6H, m), 7.69 (1H, d, J = 8.8 Hz), 7.70 (1H, d, J = 8.3 Hz).
[工程2]ベンジル 7−メチル−3−トシル−6,7,8,9−テトラヒドロ−3H−ピロロ[3,2−f]キノリン−9−イルカーバメートを実施例5の工程3と同様にして、ベンジル 6−アセチル−7−メチル−3−トシル−6,7,8,9−テトラヒドロ−3H−ピロロ[3,2−f]キノリン−9−イルカーバメート)を粗精製物して得た。この粗精製物を実施例5の工程4と同様にして、6−アセチル−9−アミノ−7−メチル−3−トシル−6,7,8,9−テトラヒドロ−3H−ピロロ[3,2−f]キノリン138mg(85.2%)を黄色油状物として得た。
1H−NMR(400MHz, CDCl3)δ:1.11 (3H, d, J = 5.8 Hz), 1.30-1.47 (1H, br), 2.05 (3H, s), 2.37 (3H, s), 2.45 (1H, ddd, J = 12.9, 7.9, 4.9 Hz), 4.02-4.12 (1H, m), 4.94 (1H, br), 7.06 (1H, br), 7.26 (2H, d, J = 8.8 Hz), 7.32 (1H, br), 7.61 (1H, d, J = 3.6 Hz), 7.79 (2H, d, J = 8.3 Hz), 7.88 (1H, d, J = 8.8 Hz).
[工程3]6−アセチル−9−アミノ−7−メチル−3−トシル−6,7,8,9−テトラヒドロ−3H−ピロロ[3,2−f]キノリンを原料とし、実施例5の工程5と同様にして、6−アセチル−9−(4−クロロフェニルアミノ)−7−メチル−3−トシル−6,7,8,9−テトラヒドロ−3H−ピロロ[3,2−f]キノリン30.4mg(19.4%)を黄色油状物として得た。
1H−NMR(400MHz, CDCl3)δ:1.09-1.20 (4H, m), 2.17 (3H, s), 2.38 (3H, s), 2.44-2.54 (1H, m), 3.85 (1H, d, J = 6.6 Hz), 4.40-4.52 (1H, m), 6.54 (2H, d, J = 9.0 Hz), 6.70 (1H, br), 7.15 (2H, d, J = 8.8 Hz), 7.24-7.30 (3H, m), 7.50 (1H, d, J = 3.9 Hz), 7.80 (2H, d, J = 8.3 Hz), 7.92 (1H, d, J = 9.0 Hz).
[工程4]6−アセチル−9−(4−クロロフェニルアミノ)−7−メチル−3−トシル−6,7,8,9−テトラヒドロ−3H−ピロロ[3,2−f]キノリン 9.5mgをメタノール(1ml)に溶解し、4M水酸化ナトリウム水溶液(1mL)を加え、80℃で30分間攪拌した。室温まで冷却し、反応液に飽和塩化アンモニウム水を加え中和した。クロロホルムで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで除水後、減圧濃縮した。得られた残渣をPLC(クロロホルム:メタノール=20:1)によって精製し、表題化合物3.8mg(59.4%)を黄色油状物として得た。
1H−NMR(400MHz, CDCl3)δ:1.15 (3H, br), 1.20-1.32 (1H, m), 2.18 (3H, s), 2.52-2.62 (1H, m), 4.02 (1H, br), 4.52-4.62 (1H, m), 5.07-5.21 (1H, m), 6.60 (2H, d, J = 8.8 Hz), 6.56-6.63 (1H, m), 7.16 (2H, d, J = 8.8 Hz), 7.14-7.29 (1H, m), 7.33 (1H, d, J = 8.5 Hz), 8.26 (1H, br).
実施例8
シス−6−アセチル−9−[(4−クロロフェニル)アミノ]−7−メチル−6,7,8,9−テトラヒドロ−3H−イミダゾ[4,5−f]キノリン(化合物8)の製造
[工程1]tert−ブチル 5−アミノ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−1−カルボキシレートとtert−ブチル 6−アミノ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−1−カルボキシレートの混合物3.2gと1H−ベンゾトリアゾール671mgをトルエン90mLに溶解し、アセトアルデヒド0.9mL/トルエン溶液6mLを加えて、室温で終夜攪拌した。反応終了後、ヘプタン30mLを加えて、1時間攪拌した後、減圧濃縮し、tert−ブチル 5−[1−(1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−1−イル)エチルアミノ]−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−1−カルボキシレートとtert−ブチル 6−[1−(1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−1−イル)エチルアミノ]−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−1−カルボキシレートの粗生成物5.2gを得た。
[工程2]tert−ブチル 5−[1−(1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−1−イル)エチルアミノ]−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−1−カルボキシレートとtert−ブチル 6−[1−(1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−1−イル)エチルアミノ]−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−1−カルボキシレートの混合物400mgとベンジル ビニルカーバメート187mgをトルエン4.0mLに溶解し、p−トルエンスルホン酸1水和物3mgを加えて、70℃で7時間加熱攪拌した。反応終了後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて中和した後、クロロホルムで3回抽出した。飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで除水後、減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:1)を用いて精製し、シス−tert−ブチル 9−ベンジルオキシカルボニルアミノ−7−メチル−6,7,8,9−テトラヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−f]キノリン−1−カルボキシレートとシス−tert−ブチル 9−ベンジルオキシカルボニルアミノ−7−メチル−6,7,8,9−テトラヒドロ−3H−イミダゾ[4,5−f]キノリン−3−カルボキシレートの混合物を茶色油状物75mg(53%)として得た。
[工程3]シス−tert−ブチル 9−ベンジルオキシカルボニルアミノ−7−メチル−6,7,8,9−テトラヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−f]キノリン−1−カルボキシレートとシス−tert−ブチル 9−ベンジルオキシカルボニルアミノ−7−メチル−6,7,8,9−テトラヒドロ−3H−イミダゾ[4,5−f]キノリン−3−カルボキシレートの混合物75mgとピリジン83μLをジクロロメタン3mLに溶解し、氷冷下に、塩化アセチル37μLを加えた後、室温で2.5時間攪拌した。反応終了後、減圧濃縮し、得られた残渣に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて、クロロホルムで3回抽出した。飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで除水後、減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:1)を用いて精製し、シス−tert−ブチル 6−アセチル−9−ベンジルオキシカルボニルアミノ−7−メチル−6,7,8,9−テトラヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−f]−キノリン−1−カルボキシレートとシス−tert−ブチル 6−アセチル−9−ベンジルオキシカルボニルアミノ−7−メチル−6,7,8,9−テトラヒドロ−3H−イミダゾ[4,5−f]−キノリン−3−カルボキシレートの混合物を茶色油状物25mg(30%)として得た。
[工程4]シス−tert−ブチル 6−アセチル−9−ベンジルオキシカルボニルアミノ−7−メチル−6,7,8,9−テトラヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−f]−キノリン−1−カルボキシレートとシス−tert−ブチル 6−アセチル−9−ベンジルオキシカルボニルアミノ−7−メチル−6,7,8,9−テトラヒドロ−3H−イミダゾ[4,5−f]−キノリン−3−カルボキシレートの混合物25mgをメタノール0.5mLに溶解し、10%水酸化パラジウム炭素8mgを加えて常圧、室温で水素雰囲気下、18時間攪拌した。反応終了後、セライトろ過を行った後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(メタノール:クロロホルム=1:10)を用いて精製し、シス−tert−ブチル 6−アセチル−9−アミノ−7−メチル−6,7,8,9−テトラヒドロ−1H−イミダゾ−[4,5−f]−キノリン−1−カルボキシレートとシス−tert−ブチル 6−アセチル−9−アミノ−7−メチル−6,7,8,9−テトラヒドロ−3H−イミダゾ−[4,5−f]−キノリン−3−カルボキシレートの混合物を無色油状物9mg(50%)として得た。
[工程5]シス−tert−ブチル 6−アセチル−9−アミノ−7−メチル−6,7,8,9−テトラヒドロ−1H−イミダゾ−[4,5−f]−キノリン−1−カルボキシレートとシス−tert−ブチル 6−アセチル−9−アミノ−7−メチル−6,7,8,9−テトラヒドロ−3H−イミダゾ−[4,5−f]−キノリン−3−カルボキシレートの混合物6mgと4−クロロフェニルボロン酸4mgをジクロロメタン0.2mLに溶解し、二価の酢酸銅6mgとトリエチルアミン7μLを加えて空気存在下に室温で11時間攪拌した。反応終了後、セライトろ過を行った後、水を加え、酢酸エチルで3回抽出した。飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで除水後、減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:2)を用いて精製し、シス−tert−ブチル 6−アセチル−9−(4−クロロフェニルアミノ)−7−メチル−6,7,8,9−テトラヒドロ−1H−イミダゾ−[4,5−f]−キノリン−1−カルボキシレートとシス−tert−ブチル 6−アセチル−9−(4−クロロフェニルアミノ)−7−メチル−6,7,8,9−テトラヒドロ−3H−イミダゾ−[4,5−f]−キノリン−3−カルボキシレートの混合物を無色油状物8mg(100%)として得た。
[工程6]シス−tert−ブチル 6−アセチル−9−(4−クロロフェニルアミノ)−7−メチル−6,7,8,9−テトラヒドロ−1H−イミダゾ−[4,5−f]−キノリン−1−カルボキシレートとシス−tert−ブチル 6−アセチル−9−(4−クロロフェニルアミノ)−7−メチル−6,7,8,9−テトラヒドロ−3H−イミダゾ−[4,5−f]−キノリン−3−カルボキシレートの混合物7mgをジクロロメタン0.2mLに溶解し、氷冷下に4N塩酸/酢酸エチル溶液を1mL加えて室温で1.5時間攪拌した。反応終了後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて中和した後、クロロホルムで3回抽出した。飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで除水後、減圧濃縮し、得られた残渣をジエチルエーテルで洗浄し、表題化合物を白色固体8mg(91%)として得た。
1H−NMR(400MHz, CD3OD)δ:1.20 (3H, d, J = 6.3 Hz), 1.65-1.73 (1H, m), 2.15 (3H, s), 2.87 (1H, ddd, J = 5.1, 8.2, 12.8 Hz), 4.66 (1H, dd, J = 4.9, 11.0 Hz), 4.93-5.04 (1H, m), 7.40 (1H, d, J = 8.6 Hz), 7.62-7.70 (5H, m), 8.49 (1H, s).
実施例9
シス−7−アセチル−10−(4−クロロフェニルアミノ)−8−メチル−7,8,9,10−テトラヒドロ−3H−ピラノ[3,2−f]−キノリン−3−オン(化合物9)の製造
[工程1]6−アミノクマリン840mgと1H−ベンゾトリアゾール621mgをトルエン100mLに溶解し、アセトアルデヒド0.3mL/トルエン溶液3mLを加えて、室温で終夜攪拌した。反応終了後、ヘプタン30mLを加えて、1時間攪拌した後、ろ過を行い、6−(1−(1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−1−イル)エチルアミノ)−2H−クロメン−2−オンの粗生成物1.6gを得た。
[工程2]6−(1−(1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−1−イル)エチルアミノ)−2H−クロメン−2−オン300mgとベンジル ビニルカーバメート174mgをトルエン3.5mLに溶解し、p−トルエンスルホン酸1水和物2mgを加えて、70℃で2時間加熱攪拌した。反応終了後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて中和した後、クロロホルムで3回抽出した。飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで除水後、減圧濃縮し、得られた残渣を再結晶(酢酸エチル−へキサン)により精製し、シス−ベンジル 8−メチル−3−オキソ−7,8,9,10−テトラヒドロ−3H−ピラノ[3,2−f]−キノリン−10−イルカーバメートを黄色固体231mg(65%)として得た。
[工程3]シス−ベンジル 8−メチル−3−オキソ−7,8,9,10−テトラヒドロ−3H−ピラノ[3,2−f]−キノリン−10−イルカーバメート226mgとピリジン0.15mLをジクロロメタン10mLに溶解し、氷冷下に、塩化アセチル66μLを加えた後、室温で1時間攪拌した。反応終了後、減圧濃縮し、得られた残渣に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて、クロロホルムで3回抽出した。飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで除水後、減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:1)を用いて精製し、シス−ベンジル 7−アセチル−8−メチル−3−オキソ−7,8,9,10−テトラヒドロ−3H−ピラノ[3,2−f]−キノリン−10−イルカーバメートを黄色固体250mg(99%)として得た。
[工程4]シス−ベンジル 7−アセチル−8−メチル−3−オキソ−7,8,9,10−テトラヒドロ−3H−ピラノ[3,2−f]−キノリン−10−イルカーバメート170mgとギ酸アンモニウム132mgをエタノール5mLに溶解し、10%パラジウム炭素51mgを加えて常圧、室温で水素雰囲気下、7.5時間攪拌した。反応終了後、セライトろ過を行った後、減圧濃縮した。得られた残渣を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で中和した後、クロロホルムで3回抽出した。飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで除水後、減圧濃縮し、シス−ベンジル 7−アセチル−10−アミノ−8−メチル−7,8,9,10−テトラヒドロ−3H−ピラノ[3,2−f]−キノリン3−オンを無色油状物23mg(20%)として得た。
[工程5]シス−ベンジル 7−アセチル−10−アミノ−8−メチル−7,8,9,10−テトラヒドロ−3H−ピラノ[3,2−f]−キノリン3−オン22mgと4−クロロフェニルボロン酸19mgをジクロロメタン1.0mLに溶解し、二価の酢酸銅29mgとトリエチルアミン34μLを加えて空気存在下に室温で18時間攪拌した。反応終了後、セライトろ過を行った後、水を加え、酢酸エチルで3回抽出した。飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで除水後、減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:1)を用いて精製し、表題化合物を黄色固体7mg(23%)として得た。
1H−NMR(400MHz, CDCl3)δ:1.25-1.31 (4H, m), 2.18-2.36 (4H, m), 3.85 (1H, d, J = 7.8 Hz), 4.74-4.84 (1H, m,), 6.33 (1H, d, J = 10.0 Hz), 6.60 (2H, d, J = 6.8Hz), 7.22 (2H, d, J = 6.8 Hz), 7.28-7.30 (2H, m), 7.74-7.92 (1H, brd).
実施例10
シス−1−[8−(4−クロロフェニルアミノ)−6−メチル−7,8−ジヒドロ−[1,3]ジオキソロ[4,5−g]キノリン−5(6H)−イル]エタノン(化合物10)の1塩酸塩の製造
[工程1]ベンゾトリアゾール1.2g(10mmol)のトルエン10mL懸濁液に、ベンゾ[d][1,3]ジオキソロ−5−アミン 1.4g(10mmol)のトルエン10mL懸濁液を加え、攪拌した。ここに、アセトアルデヒド0.62mL(11mmol)のトルエン10mL溶液を滴下して、室温にて18時間攪拌した。反応終了後、n−ヘキサン10mLを加え、固体をろ取した。固体をn−ヘキサンにて洗浄し、減圧乾燥し、N−[1−(1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾロ−1−イル)エチル]ベンゾ[d][1,3]ジオキソロ−5−アミン 2.7g(94%)を淡褐色固体として得た。
[工程2]N−[1−(1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾロ−1−イル)エチル]ベンゾ[d][1,3]ジオキソロ−5−アミン 484mg(1.7mmol)、ベンジル ビニルカルバメート 304mg(1.7mmol)、p−トルエンスルホン酸3.4mg(0.017mmol)をトルエン10mLに懸濁させ、70℃にて2時間攪拌した。反応終了後、反応液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液にて洗浄し、洗浄液を酢酸エチルにて抽出し、有機層を合わせて飽和食塩水にて洗浄した。これを無水硫酸ナトリウムにて除水し、減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=3:1)にて精製し、ベンジル 6−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−[1,3]ジオキソロ[4,5−g]キノリン−8−イルカルバメートを黄褐色油状物として得た。
[工程3]ベンジル 6−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−[1,3]ジオキソロ[4,5−g]キノリン−8−イルカルバメート 675mg(約1.98mmol;不純物含む)をジクロロメタン15mLに溶かし、ピリジン313mg(4.0mmol)を加えた。さらに塩化アセチル234mg(3.0mmol)を加え、室温にて30分攪拌した。反応終了後、塩酸水(1mol/L)を加え、クロロホルムにて抽出した。有機層を水洗し、無水硫酸ナトリウムにて除水した。減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=2:1)にて精製し、ベンジル 5−アセチル−6−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−[1,3]ジオキソロ[4,5−g]キノリン−8−イルカルバメート 367mg(56%;2段階)を淡褐色油状物として得た。
1H−NMR(270MHz, CDCl3)δ:1.07-1.13 (4H, m), 1.53-1.55 (1H, m), 1.54 (1H, s), 2.11 (3H, s), 2.49-2.62 (1H, m), 4.47-4.61 (1H, m), 4.83 (2H, d, J = 9.6 Hz), 5.17 (2H, s), 5.98 (2H, s), 6.64 (1H, s), 6.74 (1H, s), 7.30-7.46 (5H, m).
[工程4]ベンジル 5−アセチル−6−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−[1,3]ジオキソロ[4,5−g]キノリン−8−イルカルバメート 375mg(0.96mmol)をエタノール4mLに溶かし、ギ酸アンモニア242mg(3.84mmol)を加え、さらにパラジウム炭素100mgを加えた。系を水素置換して1時間攪拌した。反応終了後、反応液をセライトに通し、ろ液を減圧濃縮した。残渣をクロロホルムに溶かし、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて除水した。減圧濃縮し、1−(8−アミノ−6−メチル−7,8−ジヒドロ−[1,3]ジオキソロ[4,5−g]キノリン−5(6H)−イル)エタノン 225mg(不純物を含む)を黄色油状物として得た。
[工程5]1−(8−アミノ−6−メチル−7,8−ジヒドロ−[1,3]ジオキソロ[4,5−g]キノリン−5(6H)−イル)エタノン 40mg(0.16mmol)、4−クロロフェニルボロン酸 38mg(0.24mmol)、酢酸銅(II)59mg(0.33mmol)、トリエチルアミン49mg(0.48mmol)、モレキュラーシーブス(4A)30mgのジクロロメタン2mL懸濁液を2日間激しく攪拌した。反応終了後、塩化アンモニウム水溶液を加え、クロロホルムで抽出した。抽出液を水洗し、有機層を無水硫酸ナトリウムにて除水した。減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1)にて精製を行い、シス−1−[8−(4−クロロフェニルアミノ)−6−メチル−7、8−ジヒドロ−[1,3]ジオキソロ[4,5−g]キノリン−5(6H)−イル]エタノン 18mg(29%;2段階)を黄色油状物として得た。
1H−NMR(270MHz, CDCl3)δ:1.12 (3H, d, J = 6.3 Hz), 1.23-1.29 (1H, m), 2.18 (3H, s), 2.55-2.68 (1H, m), 3.81 (1H, d, J = 6.6 Hz), 3.95-4.07 (1H, m), 4.93 (1H, br s), 5.96 (2H, s), 6.52 (2H, dd, J = 6.6, 2.3 Hz), 6.65 (1H, br s), 6.73 (1H, s), 7.13 (2H, dd, J = 6.8, 2.1 Hz).
[工程6]シス−1−[8−(4−クロロフェニルアミノ)−6−メチル−7、8−ジヒドロ−[1,3]ジオキソロ[4,5−g]キノリン−5(6H)−イル]エタノン 29mgを酢酸エチル2mLに溶かし、塩酸/酢酸エチル(4mol/L)0.08mLを加え、析出した固体をろ過した。固体を酢酸エチルにて洗浄し、減圧乾燥して表題化合物21mgを黄色結晶性粉末として得た。
1H−NMR(270MHz, DMSO−d6)δ:1.01 (3H, d, J = 5.9 Hz), 1.07-1.15 (1H, m), 2.07 (3H, s), 4.69 (1H, br s), 5.99 (2H, s), 6.54 (1H, s), 6.63 (2H, d, J = 8.9 Hz), 7.03 (1H, s), 7.11 (2H, d, J = 8.9 Hz).
実施例11
シス−6−アセチル−9−[(4−クロロフェニル)アミノ]−7−メチル−2,3,6,7,8,9−ヘキサヒドロ−[1,4]ジオキシノ[2,3−g]キノリン(化合物11)の製造
[工程1]1,4−ベンゾジオキサン−6−アミン1.0gと1H−ベンゾトリアゾール788mgをトルエン40mLに溶解し、アセトアルデヒド0.42mL/トルエン溶液5mLを加えて、室温で終夜攪拌した。反応終了後、ヘプタン20mLを加えて、1時間攪拌した後、ろ過を行い、N−[1−(1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−1−イル)エチル]−2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン−6−アミンの粗生成物1.6gを得た。
[工程2]N−[1−(1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−1−イル)エチル]−2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン−6−アミン300mgとベンジル ビニルカーバメート179mgをトルエン3.5mLに溶解し、p−トルエンスルホン酸1水和物2mgを加えて、70℃で2時間加熱攪拌した。反応終了後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて中和した後、クロロホルムで3回抽出した。飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで除水後、減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:3)を用いて精製し、シス−ベンジル 7−メチル−2,3,6,7,8,9−ヘキサヒドロ−[1,4]ジオキサノ[2,3−g]−キノリン−9−イルカーバメート320mgを褐色アモルファスとして得た。
[工程3]シス−ベンジル 7−メチル−2,3,6,7,8,9−ヘキサヒドロ−[1,4]ジオキサノ[2,3−g]−キノリン−9−イルカーバメート320mgとピリジン0.22mLをジクロロメタン7mLに溶解し、氷冷下に、塩化アセチル96μLを加えた後、室温で終夜攪拌した。反応終了後、減圧濃縮し、得られた残渣に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて、クロロホルムで3回抽出した。飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで除水後、減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:1)を用いて精製し、シス−ベンジル 6−アセチル−7−メチル−2,3,6,7,8,9−ヘキサヒドロ−[1,4]ジオキサノ[2,3−g]−キノリン−9−イルカーバメート180mgを褐色アモルファスとして得た。
[工程4]シス−ベンジル 6−アセチル−7−メチル−2,3,6,7,8,9−ヘキサヒドロ−[1,4]ジオキサノ[2,3−g]キノリン−9−イルカーバメート180mgとギ酸アンモニウム86mgをエタノール5mLに溶解し、10%パラジウム炭素54mgを加えて常圧、室温で水素雰囲気下、2時間攪拌した。反応終了後、セライトろ過を行った後、減圧濃縮した。得られた残渣を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で中和した後、クロロホルムで3回抽出した。飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで除水後、減圧濃縮し、シス−6−アセチル−9−アミノ−7−メチル−2,3,6,7,8,9−ヘキサヒドロ−[1,4]ジオキサノ[2,3−g]キノリンを茶色油状物39mg(33%)として得た。
[工程5]シス−6−アセチル−9−アミノ−7−メチル−2,3,6,7,8,9−ヘキサヒドロ−[1,4]ジオキサノ[2,3−g]キノリン15mgと4−クロロフェニルボロン酸13mgをジクロロメタン0.3mLに溶解し、二価の酢酸銅21mgとトリエチルアミン24μLを加えて空気存在下に室温で終夜攪拌した。反応終了後、セライトろ過を行った後、水を加え、酢酸エチルで3回抽出した。飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで除水後、減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:1)を用いて精製し、表題化合物を白色固体8mg(38%)として得た。
1H−NMR(400MHz, CDCl3)δ:1.08-1.27 (4H, m), 2.18 (3H, s), 2.59 (1H, ddd, J = 4.2, 8.5, 12.3 Hz), 4.02-4.09 (1H, m), 4.21-4.29 (4H, m), 4.80-4.98 (1H, m), 6.53 (2H, d, J = 6.6 Hz), 6.64-6.70 (1H, brs), 6.73 (1H, s), 7.12 (2H, d, J = 6.6 Hz).
実施例12
シス−6−アセチル−9−(4−クロロフェニルアミノ)−7−メチル−6,7,8,9−テトラヒドロ−2H−[1,4]オキサジノ[2,3−g]キノリン−3(4H)−オン(化合物12)の製造
[工程1]6−アミノ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−3(4H)−オンを原料として、実施例5の工程1と同様に、6−(1−(1H−2−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−1−イル)エチルアミノ)−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−3(4H)−オンを粗生成物として得た。この粗生成物を実施例5の工程2と同様にして、ベンジル 7−メチル−3−オキソ−3,4,6,7,8,9−ヘキサヒドロ−2H−[1,4]オキサジノ[2,3−g]キノリン−9−イルカーバメートを粗生成物として得た。この粗生成物を実施例5の工程3と同様にして、ベンジル 6−アセチル−7−メチル−3−オキソ−3,4,6,7,8,9−ヘキサヒドロ−2H−[1,4]オキサジノ[2,3−g]キノリン−9−イルカーバメートの粗体を黄色アモルファスとして149mg得た。ベンジル 6−アセチル−7−メチル−3−オキソ−3,4,6,7,8,9−ヘキサヒドロ−2H−[1,4]オキサジノ[2,3−g]キノリン−9−イルカーバメートを原料として、実施例5の工程4と同様にして、6−アセチル−9−アミノ−7−メチル−6,7,8,9−テトラヒドロ−2H−[1,4]オキサジノ[2,3−g]キノリン−3(4H)−オン 40.2mg(8.3%)を黄色油状物として得た。
1H−NMR(400MHz, CDCl3)δ:1.02-1.19-(4H, m), 2.12 (3H, brs), 2.47-2.57 (1H, m), 3.64-3.72 (1H, m), 4.63 (2H, brs), 4.82 (1H, br), 6.67 (1H, br), 7.11 (1H, brs), 9.46 (1H, br).
[工程2]6−アセチル−9−アミノ−7−メチル−6,7,8,9−テトラヒドロ−2H−[1,4]オキサジノ[2,3−g]キノリン−3(4H)−オンを原料とし、実施例5の工程5と同様にして、表題化合物19.0mg(33.7%)を淡黄色固体として得た。
1H−NMR(400MHz, CDCl3)δ:1.05 (3H, d, J = 6.1 Hz), 1.06-1.16 (1H, m), 1.88 (3H, brs), 2.50 (1H, ddd, J = 12.3, 8.3, 4.3 Hz), 3.67 (1H, dd, J = 12.0, 3.9 Hz), 4.68-4.84 (3H, m), 6.15 (1H, br), 7.19 (1H, s), 7.24 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.53 (2H, d, J = 8.8 Hz).
[試験例]
試験例には、実施例記載の方法で製造したものを使用した。
試験例1
<材料と方法>
ヒト肝臓癌由来である細胞株HepG2を10%ウシ胎児血清を含む最少必須培地(MEM)(シグマ)を用いて48穴プレートの各穴に5×104細胞ずつ播種した。翌日、培地をフェノールレッドを含まない10%ウシ胎児血清含有ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM(シグマ))に交換し、DMSOに溶解した被検化合物を最終濃度3μM又は10μMとなるように添加し、培地量を1穴あたり400μlとした。酸素濃度を4%としたCO2インキュベーターで48時間インキュベート後、培養上清を回収した。培養上清中のEPO濃度はEPO ELISAキット(ロシュ・ダイアグノスティックス)を用いて直ちに測定した。方法は取扱説明書に準じた。
化合物を添加しない未刺激状態でのEPO産生量を100%とし、各化合物により誘導されたEPO産生量(% of control)を求めた。結果を表3及び表4に示す。
<結果>
被検化合物を最終濃度3μM添加することにより、最大で416%(化合物1)のEPO産生促進が認められた(表3参照)。このことから、これらの化合物にはEPO産生促進作用があることが明らかとなり、貧血治療剤として有用であることがわかった。
試験例2
<材料と方法>
ヒト前赤芽球細胞株であるK562(ATCCより入手)を完全培地(10%ウシ胎児血清を含むRPMI−1640培地)を用いて、24穴プレートの各穴に1×105細胞/1mLずつ播種し、被検化合物を最終濃度6μMとなるように添加後、CO2インキュベーター(37℃、5%CO2)で3日間培養した。培地交換を行い、さらに3日間培養した。細胞を集め、カウントした後、細胞数を3×105個に揃え、ポルフィリン環の蛍光を測定することにより細胞内に産生されたヘモグロビン量を求めた。すなわち、遠心して集めた細胞を2Mシュウ酸500μLに懸濁し、30分間加熱沸騰させ、冷却後、蛍光強度を蛍光マイクロプレートリーダー(Spectra MAX GeminiEM;モレキュラーデバイス社)を用いて測定した(Em:400nm Ex:603nm)。化合物を添加しない未刺激状態でのヘモグロビン量を100%とし、各化合物により産生誘導されたヘモグロビン量(% of control)を求めた。その結果を表5に示す。
<結果>
6μMの被検化合物を添加することにより、最大で520%(化合物10)のヘモグロビン産生促進が認められた(表5参照)。従って、当該化合物には前赤芽球から赤血球への成熟を促進させ、ヘモグロビンの産生を促進させる作用があることが判明した。
以上の結果より、本発明の一般式(1)で表される縮合ピペリジン化合物、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物は、EPO産生促進作用とヘモグロビン産生促進作用を有しており、貧血治療剤として有用であることが示された。