JP5586558B2 - フィルムインサート成型品の製造方法及びフィルムインサート成型品の成形型 - Google Patents
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Description
特に、金属、木目等の材質や色調が印刷されたフィルムを、樹脂にインサートするフィルムインサート成形法は、塗装やメッキ等の処理方法に比べて、製造コスト、耐久性において有利な点を有しており、例えば、家電製品のパネル、自動車の内外装部品等において用いられている。
先ず、フィルム100は、ベース材101の裏面に印刷を行い、印刷インク層102を形成する。フィルム100のベース材101としては、PETフィルムが主として使用されるが、PC(ポリカーボネート)フィルム等が使用される場合もある。
その後、成形樹脂110が冷却するのを待って、前記型から取出すことにより製品が完成する。
図8(a)に示すように、車両のフロントバンパ130の上部には、フロントグリル131が形成され、その下方にはラジエータグリル132が設けられている。また、フロントバンパ130の上部中央部(フロントグリル131の中央上方部分)には、エンブレム133の取付け面130aとして、円形状の平面部が形成されている。
そして、フロントグリル131、ラジエータグリル132を除き、前記フロントバンパ130と、前記エンブレム133の取付け面130a及びモール部130bは、一体的に成形される。ここで、特に、モール部130bには、銀色等の金属色が印刷されたフィルムがインサートされる。尚、図8(a)中のGは、成形型における、溶融樹脂が注入されるゲート位置を示している。
先ず、射出成形金型の固定型134にフィルム100をセットし、可動型135を移動し、型締め後、溶融樹脂を固定型134と移動型135との間のキャビティC内へ射出する。
このとき、ゲート位置Gが前記モール部130bよりも上方に位置しているため、図中に矢印Fで示すように、溶融樹脂が上方から下方に流れる。
このようなフィルム100の浮き上がり(固定型134の成形面から剥離)により、フィルム100の端部は樹脂成形品内に巻き込まれ、見栄えの良い成型品を得ることができないという課題があった。
この方法によれば、射出された溶融樹脂によって、前記フィルム100は、フィルム100の裏面側から固定型135の成形面側に押さえ付けられるため、前記フィルム100の端部100aの浮き上がりが抑制された成型品を得ることができる。
尚、図9(a)中、TGは、溶融樹脂が注入されるゲート位置(トンネルゲート位置)を示している。
そして、図9(a)に示すように、例えばユーザから見えるエンブレム取付け面131aの上方の位置で射出された溶融樹脂が合流し、その合流点にウエルドラインWLが現れる。このウエルドラインWLが製品の表面に現れると、製品の見栄えが悪く、意匠的価値が損なわれる。
因みに、図8に示す場合にあっては、ウエルドラインWLはモール部130bに現れるが、前記フィルム100によってその表面を覆い隠される。そのため、ユーザから見える部分にウエルドラインWLは現れず、意匠的価値は損なわれない。
このように、ウエルドラインがフィルムのインサート部分に形成されることにより、ウエルドラインをフィルムで覆い隠すことができ、見栄えの良い成型品を得ることができる。
この成形型1は、従来に成形型と同様に、固定型2と、図示しない可動型移動手段により移動制御される可動型3とを備えている。そして、前記可動型3が固定型2に対して移動することにより、型開き状態から図2に示す型締め状態となすように構成されている。
このフィルム押え手段10は、前記フィルム100の溶融樹脂流入側の端部100aを押える第1のスライドコア11と、前記第1のスライドコア11の上面11aに形成された溶融樹脂が流入するV字状の溝からなる流入口11aを備えている。この第1のスライドコア11は、図4に示すように、車幅方向に前記モール部130bの上縁部に沿って、前記モール部130bと同等の長さをもって形成されている。
またフィルム押え手段10は、前記第1のスライドコア11を前記フィルム100の端部100a方向に移動させる第2のスライドコア12と、前記第2のスライドコア12に一端が取付けられたロッド13と、前記ロッド13を水平方向に移動させるピストンシリンダ14とを備える。
即ち、図2に示すように、前記ピストンシリンダ14がロッド13を固定型2側に進出させると、第2のスライドコア12の上面12a上を第1のスライドコア11の下面11cが摺動する。その結果、第1のスライドコア11は前記貫通孔3b内を上方に摺動し、第1のスライドコア11の上面11aが固定型側に突出し、前記フィルム100の端部100aを押えるように構成されている。
前記第1のスライドコア11の上面11aには、図2,3に示すように、溶融樹脂が流れる方向に沿って、複数のV字状の溝が設けられている。
そのため、第1のスライドコア11の上面11aが、固定型側に突出し、前記フィルム100の溶融樹脂流入側の端部100aを押える状態にあっては、第1のスライドコア11の上面11aと前記フィルム100の下面との間には、溶融樹脂が流れるV状の流入口11bが形成され、この流入口11bを通って、溶融樹脂が下方向(フィルム100の裏面側)に流れるように構成されている。
即ち、前記第1のスライドコア11の上面11aで、フィルム100の端部100aを押えつつ、溶融樹脂が下方向に流れるように構成されている。
先ず、この固定型2の成形面2aに、型開き時においてフィルム100をセットする。尚、型締め状態での固定型2及び可動型3の成形面2a,3bの間に、キャビティCが構成される。
前記固定型2と可動型3とを型締めした後は、図2で示すように、前記ピストンシリンダ14がロッド13を固定型2側に進出させることにより、第1のスライドコア11の下面(傾斜面)11cは第2のスライドコア12の上面(傾斜面)12a上を摺動する。
その結果、第1のスライドコア11は、前記貫通孔3b内を上方に摺動し、第1のスライドコア11の上面11aを固定型2側に突出させ、前記フィルム100の溶融樹脂端部100aを押える。
この状態において、図1に示すゲート位置Gから、フィルム100が配置されたキャビティCに向けて溶融樹脂が射出されると、溶融樹脂は、前記流入口11aを通って、第1のスライドコア11の上流側から下流側へ流れる。このとき、フィルム100の端部100aは前記第1のスライドコア11で固定されている。
したがって、ゲート位置Gが前記モール部131bよりも上方に位置し、溶融樹脂が上方から下方に流れる場合であっても、フィルム100の端部100aが、第1のスライドコア11によって固定されているため、前記フィルム100の端部100aの浮き上がり(成形面からの剥離)を防止することができる。
このフィルムインサート成型品の製造方法、フィルムインサート成型品の成形型にあっては、フィルムの端部を押えるフィルム押え手段(スライドコア)が設けられているため、フィルムの端部の浮き上がりを抑制できる。
その結果、フィルムの成形品内へフィルムの巻き込みを抑制でき、見栄えの良い成型品を得ることができる。また、ウエルドラインWLを、フィルムがインサートされる部分に生じるように構成することによって、見栄えの良い成型品を得ることができる。
また、上記実施形態にあっては、車両のフロントバンパに形成されるモール部を例にとって説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、車両の外装品、内装品のみならず、例えば、家電製品のキャビネット、操作パネル等にも適用することができる。
2 固定型
2a 成形面
3 移動型
3a 成形面
3b 貫通孔
10 フィルム押え手段
11 第1のスライドコア
11a 第1のスライドコアの上面
11b 流入口
11c 第1のスライドコアの下面
12 第2のスライドコア
12a 第2のスライドコアの上面
13 ロッド
14 ピストンシリンダ
100 フィルム
100a フィルムの溶融樹脂流入側の端部
F 溶融樹脂の流れ
G ゲート位置
WL ウエルドライン
Claims (5)
- 金属、木目等の材質や色調が印刷されたフィルムを固定型の成形面にセットする工程と、
前記フィルムがセットされた固定型に対して、可動型を移動させ、型締めする工程と、
前記型締めを行った後、前記フィルムの溶融樹脂流入側の端部を、上面に溶融樹脂が流入する流入口が形成されたフィルム押え手段で押える工程と、
前記フィルム押え手段により、前記フィルムの溶融樹脂流入側の端部を押えながら、ゲートから溶融樹脂を射出し、成形する工程と、
を備えることを特徴とするフィルムインサート成型品の製造方法。 - 前記溶融樹脂の射出、成形工程において、
前記射出された溶融樹脂のウエルドラインがフィルムのインサート部分に形成されることを特徴とする請求項1記載のフィルムインサート成型品の製造方法。 - 前記フィルム押え手段により、前記フィルムの溶融樹脂流入側の端部を押えながら、ゲートから溶融樹脂を射出し、成形する工程において、
前記固定型及び可動型の成形面の間のキャビティ内に溶融樹脂が流入した後は、フィルム押え手段によるフィルムの端部の押え状態を開放した状態で、ゲートから溶融樹脂を射出し、成形することを特徴とする請求項1または請求項2記載のフィルムインサート成型品の製造方法。 - フィルムインサート成型品の成形型であって、
前記成形型は、固定型と可動型とを備え、
前記可動型には、型締め状態において固定型にセットされたフィルムの溶融樹脂流入側の端部を押えるフィルム押え手段が設けられていることを特徴とするフィルムインサート成型品の成形型。 - 前記フィルム押え手段が、
前記フィルムの端部を押える第1のスライドコアと、
前記第1のスライドコアの上面に形成された溶融樹脂が流入する流入口と、
前記第1のスライドコアを前記フィルムの端部方向に進出させ、フィルムの端部を押える移動手段と、
を備えていることを特徴とする請求項4記載のフィルムインサート成型品の成形型。
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