JP5586365B2 - ウレタン発泡成形体およびその製造方法 - Google Patents
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Description
本発明のウレタン発泡成形体は、ポリオール成分とポリイソシアネート成分と触媒とを含む液状の発泡ウレタン樹脂原料から製造される。まず、発泡ウレタン樹脂原料について説明する。
ポリオール成分としては、公知のポリオールを用いればよい。例えば、多価ヒドロキシ化合物、ポリエーテルポリオール類、ポリエステルポリオール類、ポリエーテルポリアミン類、ポリエステルポリアミン類、アルキレンポリオール類、ウレア分散ポリオール類、メラミン変性ポリオール類、ポリカーボネートポリオール類、アクリルポリオール類、ポリブタジエンポリオール類、フェノール変性ポリオール類等が挙げられる。これらの一種を単独で、または二種以上を混合して用いればよい。なお、ウレタン発泡成形体のばね定数を小さくするという観点から、ポリオール成分として、ポリマーポリオール類を含まない態様が望ましい。
ポリイソシアネート成分は、トリレンジイソシアネート(TDI)とジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)とからなる。
触媒は、樹脂化の活性化エネルギー(ΔEGell)と泡化の活性化エネルギー(ΔEBlow)との比(ΔEGell/ΔEBlow)が1以上のアミン系触媒を含む。このようなアミン系触媒としては、例えば、N,N,N′,N′−テトラメチルヘキサン−1、6−ジアミン、N,N,N′,N′′,N′′−ペンタメチル−ジエチレントリアミン、N,N,N′,N′′,N′′′,N′′′−ヘキサメチルトリエチレン−テトラアミン、N,N′,N′−トリメチルアミノエチルピペラジン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル等が挙げられる。また、市販されている以下の商品を使用してもよい。東ソー(株)製「TOYOCAT(登録商標)−B41」、「TOYOCAT−F22」、「TOYOCAT−MR」、「TOYOCAT−D60」、「TOYOCAT−NP」、「TOYOCAT−DT」、「TOYOCAT−ETS」、「TOYOCAT−ET」。なかでも、N,N′,N′−トリメチルアミノエチルピペラジンを含むものが望ましい。N,N′,N′−トリメチルアミノエチルピペラジンのΔEGellは6.4Kcal/molであり、ΔEBlowは4.5Kcal/molである。よって、ΔEGell/ΔEBlowの値は約1.42である。活性化エネルギーの測定は、例えば、東洋曹達研究報告 第28巻 第1号(1984)「ポリウレタン生成反応における第3級アミンの触媒作用」(荒井昭治、他三名)に記載された方法に準じて行えばよい。
発泡ウレタン樹脂原料は、発泡剤、整泡剤、架橋剤、難燃剤、帯電防止剤、減粘剤、安定剤、充填剤、着色剤等を適宜含有してもよい。例えば、発泡剤としては水が好適である。水以外には、塩化メチレン、フロン類、CO2ガス等が挙げられる。また、整泡剤としてはシリコーン系整泡剤が、架橋剤としてはジエチレングリコール、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン等が好適である。
本発明のウレタン発泡成形体の製造方法は、上述した発泡ウレタン樹脂原料を、成形型内で発泡成形する。例えば、ポリオール成分に、触媒、発泡剤、整泡剤等を予め混合して、プレミックスポリオールを調製しておくとよい。そして、調製したプレミックスポリオールに、ポリイソシアネート成分を混合し、成形型内で発泡成形すればよい。プレミックスポリオールとポリイソシアネート成分との混合は、プロペラ等を用いて機械的に攪拌して行うことができる。また、プレミックスポリオールとポリイソシアネート成分とを、各々、高圧で噴射して、両成分を衝突させて混合してもよい(衝突攪拌法)。衝突攪拌法によると、連続生産が可能になる。このため、大量生産に好適である。また、衝突攪拌法によると、機械的に攪拌する方法と比較して、混合するごとに必要であった容器の洗浄工程が不要となり、歩留まりも向上する。よって、製造コストを低減することができる。
下記表1に示す原料を、同表に示す質量割合で配合して、発泡ウレタン樹脂原料を調製した。まず、ポリオール成分(POL)のポリエーテルポリオール(住化バイエルウレタン(株)製「S−0248」、平均分子量6000、官能基数3、OH価28mgKOH/g)に、発泡剤の水、所定のアミン系触媒、およびシリコーン系整泡剤(東レ・ダウコーニング(株)製)を混合して、プレミックスポリオールを調製した。表1中、触媒A〜Cについては、以下の通りである。
触媒A:N,N′,N′−トリメチルアミノエチルピペラジン(東ソー(株)製「TOYOCAT−NP」、ΔEGell/ΔEBlow=1.42)
触媒B:同社製「TOYOCAT−D60」(ΔEGell/ΔEBlow=4.2)
触媒C:N,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミン(同社製「TOYOCAT−TE」)
次に、ポリイソシアネート成分(ISO)として、TDIとMDIとを適宜組み合わせた組成物を準備した。MDIプレポリマーには、MDIと3官能のエーテル系ポリオールとを反応させたものを用いた。そして、調製したプレミックスポリオールとポリイソシアネート成分の組成物とを、NCOインデックスが0.85となるように混合し、発泡ウレタン樹脂原料を調製した。
得られたウレタン発泡成形体の密度を、JIS K 7222(1999)に準じて測定した。測定結果を、上記表1にまとめて示す。表1に示すように、実施例および比較例のウレタン発泡成形体の密度は、全て50kg/m3であった。つまり、いずれのウレタン発泡成形体も、低密度であった。
得られたウレタン発泡成形体の成形性を評価した。成形性については、脱型後に収縮、膨れ等がないものを非常に良好(表1中◎印で示す)、脱型の際、僅かに膨れたが、速やかに元に戻ったものを良好(表1中○印で示す)、脱型後に形状を保持することができなかったものを不良(表1中×印で示す)、と評価した。評価結果を、上記表1にまとめて示す。表1に示すように、実施例のウレタン発泡成形体の成形性は、全て良好または非常に良好であった。一方、ΔEGell/ΔEBlow≧1である触媒A、Bを用いなかった比較例1、イソシアネートとしてTDIを用いなかった比較例2の各ウレタン発泡成形体の成形性は、いずれも不良であった。
得られたウレタン発泡成形体の硬度を、高分子計器(株)製「アスカーゴム硬度計F型」にて測定した。測定結果を、上記表1にまとめて示す。表1に示すように、実施例のウレタン発泡成形体については、いずれも硬度が低かった。つまり、ばね定数が小さかった。
得られたウレタン発泡成形体の耐熱老化性を評価した。耐熱老化性の評価は、次のようにして行った。まず、得られたウレタン発泡成形体から、縦50mm×横50mm×厚さ50mmの立方体の試験片を作製した。次に、試験片を、160℃下で72時間保持した。その後、厚さ方向の寸法を測定し、初期状態からの寸法変化率を算出した。評価結果を、上記表1にまとめて示す。表1に示すように、実施例のウレタン発泡成形体については、熱老化後の寸法変化率が−30%以下であった。つまり、熱老化後においても、あまり収縮していなかった。なかでも、モノメリックMDIとポリメリックMDIとの両方を用いた実施例5、6のウレタン発泡成形体については、寸法変化率が−5%であり、他の実施例のウレタン発泡成形体よりも耐熱老化性が高くなった。
Claims (4)
- ポリオール成分とポリイソシアネート成分と触媒とを含む液状の発泡ウレタン樹脂原料を、成形型内で発泡成形して得られたウレタン発泡成形体であって、
前記ポリイソシアネート成分は、トリレンジイソシアネート(TDI)とジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)とからなり、該MDIは、モノメリックMDI、ポリメリックMDI、およびMDIプレポリマーを含み、
前記触媒は、樹脂化の活性化エネルギーと泡化の活性化エネルギーとの比(樹脂化活性化エネルギー/泡化活性化エネルギー)が1以上であり、N,N′,N′−トリメチルアミノエチルピペラジンを含むアミン系触媒を含み、
アスカーゴム硬度計F型で測定した硬度が50以下であることを特徴とするウレタン発泡成形体。 - 前記アミン系触媒の配合量は、前記ポリオール成分の100質量部に対して、0.1質量部以上2質量部以下である請求項1に記載のウレタン発泡成形体。
- 前記トリレンジイソシアネートの配合量は、前記ポリイソシアネート成分の全体を100質量%とした場合の10質量%以上20質量%以下である請求項1または請求項2に記載のウレタン発泡成形体。
- ポリオール成分とポリイソシアネート成分と触媒とを含む液状の発泡ウレタン樹脂原料を、成形型内で発泡成形して、アスカーゴム硬度計F型で測定した硬度が50以下のウレタン発泡成形体を製造するウレタン発泡成形体の製造方法であって、
前記ポリイソシアネート成分は、トリレンジイソシアネート(TDI)とジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)とからなり、該MDIは、モノメリックMDI、ポリメリックMDI、およびMDIプレポリマーを含み、
前記触媒は、樹脂化の活性化エネルギーと泡化の活性化エネルギーとの比(樹脂化活性化エネルギー/泡化活性化エネルギー)が1以上であり、N,N′,N′−トリメチルアミノエチルピペラジンを含むアミン系触媒を含むことを特徴とするウレタン発泡成形体の製造方法。
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