JP5585383B2 - 合成石英ガラスの評価方法 - Google Patents

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本発明は、合成石英ガラスの評価方法に係り、詳しくは合成石英ガラスにおける波長193nmの光についての透過能を簡便に評価する方法に関する。
近年、LSIの高集積化に伴い、ウェハ上に集積回路パターンを描画する光リソグラフィ技術において、より線幅の短い微細な描画技術が要求されており、その対応として露光光源の短波長化が進められている。例えば、波長193nmのArFエキシマレーザーを用いた液浸リソグラフィ技術が最先端のシリコンチップの製造に用いられており、使用波長の1/6程度の非常に細かな回路パターンを描画することが求められている。
このような微細化要求に応えるために、露光装置の解像度を決定するレンズ材料、具体的には合成石英ガラスの性能に対しても、透過性、均質性、エキシマレーザー光照射耐性、などの性能がより厳しいレベルで要求される。
これらの性能のうちでも特に、微細なパターンを描画するための高精度の露光装置において、合成石英ガラスの光の透過性が露光装置の結像性能に多大な影響を及ぼすことがわかってきた。すなわち、各種不純物や欠陥による吸収は光の透過性を低下させる要因となるが、これらの吸収によって透過光エネルギーは熱エネルギーに変換され、レンズ内で局部的な温度分布が生じ、屈折率の不均一が生じる。これが、露光中にレンズの焦点距離やその他の特性を狂わせる要因となって、結像特性が悪化する、熱収差と呼ばれる現象が、深刻な問題として認識されるようになってきた。
ここで、合成石英ガラスの光の内部吸収量は、熱収差を引き起こす熱に変換される光の減衰分とレーリー散乱のように熱に変換されない光の減衰分とからなるが、従来の、分光光度計を用いた透過率測定法では、熱に変換される光の吸収量のみを正確に定量することが原理的にできないため、これらは区別されずに測定されてきた。しかしながら、熱に変換される光の吸収量のみを極力低減することを目標とする、より高精度の露光装置では、従来の透過率測定法に替わって、合成石英ガラスにおけるこの熱収差を生じさせる光の吸収量の適切な定量方法が望まれていた。
一方、従来から、分光光度計を用いずに高精度の露光装置に用いる合成石英ガラスの光の内部吸収量を測定しようとする試みがなされている。例えば、特許文献1においては、波長210nm〜160nmの範囲の光について、この光を照射したときに発せられる波長300nmを主波長とする光の強度から内部吸収係数を測定する方法および測定装置が提案されている。
また、特許文献2には、波長200nm以下の紫外光をシリカガラス部材中に透過させたときの熱に変換された光の吸収量(実際には温度上昇)を、高精度波面センサーにより屈折率変化量として測定する方法(以下、「フォトサーマル法」という)および装置が記載されており、このような方法で評価されたArFリソグラフィ露光装置に使用される熱収差を低減したシリカガラス部材に関する発明が記載されている。
しかしながら、特許文献1に記載の評価方法では、上記熱に変換される光の吸収量を正確に定量することが十分にできていない点で問題であった。また、特許文献2の方法では、測定に際して大きな試料が必要とされる、測定時間がかかる等の経済性や操作性の点で問題であった。
特開平10−62346号公報 特開2010−155736号公報
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、波長193nmの光を用いた光学装置、例えばArFリソグラフィ用露光装置に使用される合成石英ガラスの、使用波長における熱に変換される光の吸収量を、小さい試料で、精度よく、かつ簡便に評価することが可能な評価方法を提供することを目的とする。
本発明の合成石英ガラスの評価方法は、合成石英ガラスにおける波長193nmの光の内部吸収量のうち、熱に変換される光の吸収量を評価する方法であって、前記合成石英ガラスからなる試料に対して波長193nmの光を照射したときに前記試料から発せられる波長320nmの光の発光強度および波長550nmの光の発光強度の一次関数から、前記吸収量を評価する方法において、前記試料における前記波長320nmの発光強度は、波長193nmの光を照射したときに波長320±50nmに発光ピークを有する合成石英ガラスからなる第1の標準試料における前記光照射時の発光ピーク波長から320nmの間の発光強度が測定可能な波長から選択される第1の波長の発光強度との強度比により、前記波長550nmの発光強度は、波長193nmの光を照射したときに波長550±150nmに発光ピークを有する合成石英ガラスからなる第2の標準試料における前記光照射時の発光ピーク波長から550nmの間の発光強度が測定可能な波長から選択される第2の波長の発光強度との強度比により、それぞれ定量化されることを特徴とする。
本発明の評価方法において、評価に用いる合成石英ガラスの試料は、所定の大きさの直方体形状であって、その少なくとも前記光が照射する面を含む4面は光学研磨されており、かつ前記所定の大きさからの各辺の寸法公差が±0.05mm以内であることが好ましい。
本発明によれば、波長193nmの光を用いた光学装置、例えばArFリソグラフィ用露光装置に使用される合成石英ガラスについて、使用波長における熱に変換される光の吸収量を、小さい試料で、精度よく、かつ簡便に評価することが可能である。
フォトサーマル法で用いられる波長193nmの光を照射した合成石英ガラス試料において熱変換される光の吸収量を測定する装置の概略図である。 本発明の合成石英ガラスの評価方法に用いる測定装置の一例を示す概略図である。 波長193nmの光を照射した合成石英ガラス試料から得られる発光スペクトルのパターンを示す図である。 実施例で測定した各種合成石英ガラス試料における、波長193nmの光を照射した際に得られる波長320nmの発光強度および波長550nmの発光強度とフォトサーマル法による吸収係数αの関係を示す図である。 実施例で測定した標準試料用合成石英ガラスにおける波長193nmの光を照射した際に得られた発光スペクトルを示す図である。 実施例で検証した本発明の評価方法による指標とフォトサーマル法による吸収係数αの関係を示す図である。
以下に、図を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明は、下記説明に限定して解釈されるものではない。
本発明の合成石英ガラスの評価方法は、合成石英ガラスにおける波長193nmの光の内部吸収量のうち熱に変換される光の吸収量を評価する方法であって、前記合成石英ガラスからなる試料に対して波長193nmの光を照射したときに前記試料から発せられる波長320nmの光の発光強度および波長550nmの光の発光強度の一次関数から、前記吸収量を評価することを特徴とする。
本発明の合成石英ガラスの評価方法においては、合成石英ガラス、特に、波長193nmの光の内部吸収量のうち熱に変換される光の吸収量が低減された高性能な合成石英ガラスに対して、波長193nmの光を照射したときに発せられる波長320nmの光の発光強度と併せてさらに波長550nmの光の発光強度を評価の要素として用いることで、合成石英ガラスにおける波長193nmの光の内部吸収量のうち熱に変換される光の吸収量を、非常に精度よく評価することを可能としたものである。
ここで、本発明の評価方法が対象とする合成石英ガラスは、波長193nmの光を用いた光学装置に用いられる合成石英ガラスであれば特に制限されない。本発明の評価方法によれば、例えばArFリソグラフィ用露光装置に使用される合成石英ガラスに求められるレベル、例えば10−5cm−1オーダーまで、波長193nmの光についての内部に吸収され熱に変換される光の吸収量が低減された高性能な合成石英ガラスの該光の吸収量を高精度に評価できる。特に、このような高性能な合成石英ガラスの評価に好適である。
なお、本発明の評価方法により合成石英ガラスに照射された波長193nmの光の吸収量が適切に評価されていることを検証する手段として、本発明においては、特許文献2に例示されるフォトサーマル法による該光の吸収量の測定方法を採用した。フォトサーマル法による測定方法は、現在のところ、波長193nmの光を用いた光学装置、例えばArFリソグラフィ用露光装置に使用される高性能の合成石英ガラスにおいて、波長193nmの光が内部に吸収され熱に変換される光の吸収量を最も高精度に測定できる方法である。
まずはフォトサーマル法について説明する。具体的には、フォトサーマル法では、以下の方法によって、試料中で熱に変換されるArFエキシマレーザー光の光路長1cmあたりの吸収量(吸収係数α)を測定しており、その測定精度は、吸収係数αが10−5cm−1オーダーで数値差として十分に表現できる精度であり、微細なパターンを描画するための高精度の露光装置において求められている高性能の合成石英ガラスを評価しうる測定精度である。
<フォトサーマル法による吸収係数αの測定>
フォトサーマル法において吸収係数αは、例えば、図1に示す測定装置により測定される屈折率変動量から算出される。図1は、ArFエキシマレーザー光の照射により、発生する熱エネルギーにより生じた温度変化による試料の屈折率変動量を、高精度波面センサーで透過波面の変動量として検出する装置である。図1において、測定装置20は、赤色ダイオードレーザー12、第1テレスコープレンズ系14、第2テレスコープレンズ系16、高精度波面センサー18を有している。21は合成石英ガラス試料、22はArFエキシマレーザー光である。
測定装置20において、温度変化を引き起こすためのArFエキシマレーザー光22が試料21の平行研磨面の中心に入射され、ほぼ同じ軸上にテレスコープレンズ14で拡大した赤色ダイオードレーザー光(波長639nm:図中、点線で示される。)が入射され、その出射光の波面変化を高精度波面センサー18で測定する。あらかじめ、ArFエキシマレーザー光を照射する前の合成石英ガラス試料中を通過する赤色ダイオードレーザー光の波面を測定し、これを基準波面とする。次に、合成石英ガラス試料にArFエキシマレーザー光を照射し、それによる基準波面からの変化量を測定する。
この波面変化量は測定試料の波長193nmの光の純吸収量に対応しているため、散乱損失の影響を受けることなく、純吸収量を直接測定することが可能となる。定量は、測定装置20で純吸収量があらかじめ既知であるリファレンスサンプルの波面変化量を測定して検量線を作成しておき、この検量線を用いて測定された試料の波面変化量から純吸収量を得る。さらに、得られた純吸収量から、入射光強度1に対する試料中での光の吸収量、すなわち試料中で熱に変換されるArFエキシマレーザー光の光路長1cmあたりの吸収量として吸収係数αが算出される。
次に本発明の評価方法について説明する。本発明の評価方法においては、合成石英ガラスからなる試料に対して波長193nmの光を照射し、その際にこの試料から発せられる波長320nmの光の発光強度および波長550nmの光の発光強度を測定する。以下に、この発光強度測定のための装置について説明する。
図2は、本発明の合成石英ガラスの評価方法に用いる測定装置の一例を示す概略図である。図2において、測定装置10は、波長193nmの光を出力する光源1、出力された光の強度を調整するためのレンズ2、測定対象の合成石英ガラスからなる試料3、その内部に試料を設置する試料箱4、パワーメータ5および、分光器およびCCD等からなる発光測定部6を有する。
試料箱4は試料にあたる光の量を調整するためのスリットを有し、スリットに面するように試料3が設置されるように試料台(図示されず)を有する。測定時には試料箱4の内部は窒素置換される。測定に際して光源1から出力される波長193nmの光が、レンズ2を通過して試料箱4のスリット部に達し、スリット部分で量が調整され試料3に到達するように、各構成要素が配置されている。なお、図2において点線は光路を示す。
試料3に到達した波長193nmの光が試料を透過しパワーメータ5に到達してその光量が測定されることで試料に照射された受光量が検出される。
波長193nmの光を出力する光源1は、波長193nmの光を出力する光源であれば特に制限されない。具体的には、市販のArFエキシマレーザー装置等が挙げられる。なお、光源1からレンズ2よって出力調整され試料3に照射される光の量・強度は、試料3から波長320nmおよび波長550nmの目的の発光が得られることを前提に、なるべく低くするのがよい。この受光する光の量・強度が大きすぎると試料3にダメージを与えることになるからである。
なお、試料3が受光する光の量・強度は、試料箱4が有するスリットによっても調整可能である。試料3が受光する光の量・強度は、エネルギー密度として0.01〜15mJ/cm/pulseの範囲にあることが好ましく、0.01〜5mJ/cm/pulseの範囲にあることがより好ましい。また、光源1から発せられる波長193nmの光のパルスの繰り返し周波数は、1〜5000Hzの範囲にあることが好ましく、1〜500Hzの範囲にあることがより好ましい。また、パルス幅は、500ns以下とすることが好ましく、100ns以下とすることがより好ましい。
試料箱4の大きさは、後述する試料が余裕をもって設置できるものであれば、特に制限されない。測定時には内部が窒素置換されることが好ましい。そのため、窒素置換が十分に行える大きさとすることが好ましい。なお、試料箱4は、上記波長193nmの光、具体的には、ArFエキシマレーザーを遮蔽するものであって、少なくとも内面が上記波長193nmの光の照射に対して発光しないようなものであれば特に制限されない。具体的には、アルミニウム製の箱の表面に無電解ニッケルメッキ処理したもの等が挙げられる。
パワーメータ5は光源1から出力され、レンズ2、試料箱4のスリットを通過して試料3が受光する光の量・強度をモニターし、かつそれを光源1にフィードバックして光源1の出力の安定化を図るためのものである。このパワーメータは公知のモニター手段で構成できる。
発光測定部6は、試料3で発せられる波長320nmおよび波長550nmの光の強度を測定するものである。この発光測定部6は、例えば、分光器およびCCDにより構成される。試料3からの発光を、分光器によって分光し、CCDカメラで受光することで発光スペクトルを得、得られた発光スペクトルから上記2波長における発光強度を得る。
測定に用いる試料の大きさ・形状は、所定の大きさの直方体が好ましい。また、用いる測定装置の設計によるが、直方体を構成する6面のうち、少なくとも193nmの波長の光が照射される面を含む4面、基本的には、前記光が照射される面とそれに平行する面、ならびに、前記光が照射される面と直交する4面のいずれか1面であってその発光を測定する面とそれに平行する面の4面が、光学研磨されていることが以下の理由により測定精度を向上させる点で好ましく、6面全てが光学研磨されていることがより好ましい。
ここで、図2に示す測定装置を用いて直方体の試料の測定を行う場合については、その直方体試料は、少なくとも、レーザー照射面および測定面(パワーメータに対向する面、および発光測定部に対向する面とそれに平行する面)の4面が光学研磨されていることが好ましく、さらには6面全てが光学研磨されていることがより好ましい。なお、本明細書において、光学研磨とは、研磨後の表面粗がRMS表記で10オングストローム以下、好ましくは7オングストローム以下、さらに好ましくは5オングストローム以下となることである。
さらに、試料は上記所定の大きさからの各辺の寸法公差が±0.05mm以内であることが好ましく、寸法公差は±0.02mm以内であることがより好ましい。寸法公差を上記範囲とすることで、測定の精度を高いレベルに保つことが可能となる。
試料3を直方体としたときに、上記各面を研磨しているのは、光源1から出力され試料3に到達した波長193nmの光が試料3の表面で散乱したり吸収されることを抑制するため、および、波長320nmおよび波長550nmの発光が試料3の表面で散乱したり吸収されることを抑制するためである。
ここで、試料3の具体的な大きさについては、上記装置を用いて十分に評価が可能な大きさであれば特に制限されないが、例えば、幅10〜40mm、高さ5〜50mm、奥行き1〜20mm程度の大きさが好ましく、幅20〜30mm、高さ10〜20mm、奥行き5〜15mm程度の大きさがより好ましい。
なお、本発明の評価方法においては、このように測定に用いる試料の大きさを、フォトサーマル法による試料の大きさと比べて小さいものとすることができる点で経済的に有利である。
本発明の合成石英ガラスの評価方法においては、例えば、上記図2に示すような測定装置を用いて、まず波長193nmの光を測定試料に照射したときの発光のスペクトルを得る。図3は、このように測定して得られた、波長193nmの光についての内部に吸収され熱に変換される光の吸収量が低減された高性能な合成石英ガラス、具体的には、上記フォトサーマル法で求められる試料中で熱に変換されるArFエキシマレーザー光の光路長1cmあたりの減衰量(以下、必要に応じて「吸収係数α」という。)が、2.5×10−4〜10×10−4程度の合成石英ガラスの発光スペクトルの3種類のパターンを示す図である。図3(a)は、典型的な発光スペクトルであり波長320nmおよび550nmの両方に発光ピークを有する。図3(b)はほぼ波長320nmのみに発光ピークを有する(550nmの発光ピークはほとんどない)もの、図3(c)はほぼ波長550nmのみに発光ピークを有する(320nmの発光ピークはほとんどない)ものである。
合成石英ガラスにおいて上記のようにして検出される波長320nmの発光ピークおよび波長550nmの発光ピークは、それぞれ独立して、照射された波長193nmの光のうち合成石英ガラスの内部に吸収され熱に変換される光の吸収量と相関を示すものである。この検証は、同じ合成石英ガラスからなる試料について別にフォトサーマル法にて吸収係数αを測定し、上記波長320nmの発光ピークの発光強度よび波長550nmの発光ピークの発光強度と吸収係数αとの相関を調べることにより行った。
具体的には、上記図3の(a)〜(c)に示される発光スペクトルを有する各試料については、その大きさ、光学研磨等の試料調整を含む測定条件を全く同一にして上記発光スペクトル測定を行い、波長320nmの発光ピークの発光強度(以下、「I320」と表示)、波長550nmの発光ピークの発光強度(以下、「I550」と表示)を数値化し、フォトサーマル法にて測定した吸収係数αとの関係を調べたところ、I320とI550からなる一次関数が吸収係数αと正比例の関係にあること、すなわち、I320とI550の一次関数で、試料内部に吸収される波長193nmの光の吸収量うち熱に変換される光の吸収量を、これらの試料間で相対的に比較可能であることが検証された。
さらに、波長193nmの光の内部吸収量のうち熱に変換される光の吸収量を、試料間で相対的に比較可能とする上記本発明の評価方法は、以下のようにして、標準試料の発光強度と組合せて用いることにより絶対評価の指標として用いることができる。
すなわち、波長193nmの光を一定量吸収してある特定波長に該光の吸収量に対応した発光強度の発光ピークを有する合成石英ガラスからなる標準試料を作製し、その標準試料における波長193nmの光照射時の発光ピーク付近の波長領域から選択される所定の波長での発光強度を基準として用いることにより、評価されるべき試料で測定された波長320nmの発光ピークにおける発光強度I320および、波長550nmの発光ピークにおける発光強度I550との強度比をそれぞれ求め、絶対評価の指標として用いることができる。
ここで、標準試料となる合成石英ガラスとしては、波長193nmの光を一定量吸収してある特定波長に該光の吸収量に対応した発光強度の発光ピークを有する合成石英ガラスであれば、特に制限されない。ただし、測定装置の感度の波長依存性等を考慮すれば、本発明の評価方法においては、上記標準試料として、I320に係る発光強度比を得るための、波長193nmの光を照射したときに波長320±50nmに発光ピークを有する合成石英ガラスからなる第1の標準試料と、I550に係る発光強度比を得るための、波長193nmの光を照射したときに波長550±150nmに発光ピークを有する合成石英ガラスからなる第2の標準試料を用いることが好ましい。
本発明の評価方法においてI320に係る発光強度比を得るために用いる、上記第1の標準試料における波長193nmの光照射時の所定の波長の発光強度としては、上記320±50nmに存在する発光ピーク波長から320nmの間の、発光強度が測定可能な波長から選択される第1の波長における発光強度が挙げられる。なお、上記の通り測定装置の感度の波長依存性等を考慮すれば、評価されるべき試料で発光強度が測定される波長にできる限り近い波長、さらには測定波長と同じ波長320nmにおける発光強度を用いてI320に係る発光強度比を求めることが最も好ましい。
同様に、I550に係る発光強度比を得るために用いる、上記第2の標準試料における波長193nmの光照射時の所定の波長の発光強度としては、上記550±150nmに存在する発光ピーク波長から550nmの間の、発光強度が測定可能な波長から選択される第2の波長における発光強度が挙げられるが、上記の通り測定装置の感度の波長依存性等を考慮すれば、評価されるべき試料で発光強度が測定される波長にできる限り近い波長、さらには測定波長と同じ波長550nmにおける発光強度を用いてI550に係る発光強度比を求めることが最も好ましい。
ここで、発光強度が測定可能とは、発光強度を十分に再現性をもって安定した値として測定できることをいう。例えば、標準試料における発光スペクトルが発光幅が狭く、鋭いピークを有する場合には、発光ピーク以外の波長においては十分に再現性をもって安定した値として発光強度を測定できないことがある。そのような場合には、上記320nm、550nmの波長やそれにできる限り近い波長における発光強度を用いるよりも、発光ピークの発光強度を用いることにより、より精度が得られる場合がある。
320に係る発光強度比を得るために用いる上記第1の標準試料における第1の波長、およびI550に係る発光強度比を得るために用いる上記第2の標準試料における第2の波長は、各標準試料における発光スペクトルの形状等を分析する等して、発光強度が測定可能な波長から適宜選択される。
上記第1の標準試料となる波長193nmの光を照射したときに波長320±50nmに発光ピークを有する合成石英ガラスとして、具体的には、波長280nmに発光ピークを有する酸素欠乏型欠陥に分類されるODC(II)(=Si:(式中、黒丸はラジカルを、=はSi原子1個とO原子2個間の結合をそれぞれ示す。))含有の合成石英ガラスが適当である。このようなガラスは従来公知の方法で作製可能な合成石英ガラスである。例えば、多孔質母材を水素雰囲気中(20%H/80%N)に11時間程度保持しするなどの強力な還元処理を行ったのち、非酸化性雰囲気下でバルク化することで作製可能である。
合成石英ガラスが有するODC(II)の密度は、波長248nmの光の透過率を用いて、厚さ10mmの試料の透過率スペクトルT 248および、欠陥の存在しない合成石英ガラスのスペクトルT 248を測定し、248nmの波長での吸収断面積4.5×10−17cm−2を用いて、−ln(T 248/T 248)/4.5×10−17により算出できる。
ODC(II)含有の合成石英ガラスにおいては、波長193nmの光を照射したときに、例えば、実施例で用いた第1の標準試料で測定された図5(a)に示される発光スペクトルのように、波長280nmを発光ピークとし250nmから350nmまで広く発光幅を持つ発光スペクトルを観測できる。この発光スペクトル形状は、ODC(II)が合成石英ガラス中に存在していれば変わらないため、上記I320に係る発光強度比を得るために用いる第1の波長として320nmを用いることができる。
ここで、波長320nmにおける発光強度の値は、合成石英ガラスが有するODC(II)の密度に比例することから、この発光強度(以下、「I 320」と表示)を、密度D、例えば、実施例で用いた2.3×1015個/cmで割った値、ΔI 320=I 320/Dは、それぞれの測定装置、各測定条件における320nmの測定感度に相当する。このように、測定試料の発光強度をΔI 320で規格化することにより、各測定装置や条件の違いを打ち消した、規格化された発光強度の値を求めることが可能となる。
なお、第1の標準試料におけるODC(II)の密度の規格値は、0.1×1015〜10×1015個/cm程度とすることが好ましい。このような合成石英ガラスを選ぶことにより、比較的手に入りやすい試料サイズ、例えば、厚み10mm程度の試料における、透過率スペクトルから、十分に高精度でODC(II)の密度を算出することができる。また、波長193nmの光を照射したときに、波長280nmに発光ピークを有する発光スペクトルの波長320nmにおける発光強度を、十分に再現性をもって安定した値として得ることができる。
また、上記第2の標準試料となる波長193nmの光を照射したときに波長550±150nmに発光ピークを有する合成石英ガラスとして、具体的には、波長650nmに発光ピークを有する非架橋酸素欠乏欠陥(non−bridging oxygen hole center:NBOHC、≡Si−O・(式中黒丸はラジカルを、≡はSi原子1個とO原子3個間の結合をそれぞれ示す。))含有の合成石英ガラスが適当である。このようなガラスは従来公知の方法で作製可能な合成石英ガラスである。例えば、合成石英ガラスに、Xeエキシマランプを適量照射してNBOHCを発生させる方法が挙げられる。
合成石英ガラスが有するNBOHCの密度は、波長260nmの光の透過率を用いて、厚さ10mmの試料の透過率スペクトルT 260および、欠陥の存在しない合成石英ガラスのスペクトルT 260を測定し、260nmの波長での吸収断面積5.3×10−18cm−2を用いて、−ln(T 260/T 260)/5.3×10−18により算出できる。
NBOHC含有の合成石英ガラスにおいては、波長193nmの光を照射したときに、例えば、実施例で用いた第2の標準試料で測定された図5(b)に示される発光スペクトルのように、波長650nmを発光ピークとし600nmから800nmまで波長の大きい側に広く発光幅を持つ発光スペクトルを観測できる。この発光スペクトルでは550nmに発光を示さずかつ600nmから650nmにおいて発光強度は急上昇しているため、上記I550に係る発光強度比を得るために用いる第2の波長としては、発光ピーク波長である650nmが好ましい。
なお、上記同様、NBOHC含有の合成石英ガラスにおける波長193nmの光を照射したときに波長650nmに現れる発光ピークの発光強度の値は、合成石英ガラスが有するNBOHCの密度に比例する。したがって、この発光強度(以下、「I 650」と表示)を、密度D、例えば実施例で用いた2.0×1016個/cmで割った値、ΔI 650=I 650/Dは、それぞれの測定装置、各測定条件における650nmの測定感度に相当する。従って、測定試料の発光強度をΔI 650で規格化することにより、各測定装置や条件の違いを打ち消した、規格化された発光強度の値を求めることが可能となる。
第2の標準試料におけるNBOHCの密度の規格値は、0.1×1016〜15×1016個/cm程度とすることが好ましい。このような合成石英ガラスを選ぶことにより、比較的手に入りやすい試料サイズ、例えば厚み10mm程度の試料における、透過率スペクトルから、十分に高精度でNBOHCの密度を算出することができる。また、波長193nmの光を照射したときに波長650nmに現れる発光ピークの発光強度を十分に再現性をもって安定した値として得ることができる。
本発明の評価方法においては、まず、このようにして得られる、第1の標準試料の波長193nmの光を照射したときの波長320nmにおける規格化された発光強度ΔI 320と、評価されるべき試料で測定された波長320nmの発光ピークにおける発光強度I320との強度比、I320/ΔI 320および、第2の標準試料の波長193nmの光を照射したときの波長650nmの発光ピークの規格化された発光強度ΔI 650と、評価されるべき試料で測定された波長550nmの発光ピークにおける発光強度I550との強度比、I550/ΔI 650をそれぞれ求める。
次いで、この両方の強度比を包括して示す値として、例えば、(I320/ΔI 280)と(I550/ΔI 650)を変数とする線形関数の式を求め、この式により得られる値を絶対評価の指標として用いることで、精度よく、具体的にはフォトサーマル法と同等の精度で、内部に吸収され熱に変換される光の吸収量を導き出すことが可能となる。
線形関数の式としては、例えば、C×(I320/ΔI 320)+C×(I550/ΔI 650)+C(ただし、C、C、Cは、任意の定数)の形の式が挙げられる。具体的には、C、=0.44、C=19.5、C=−2.6の下記式(1)に、上記で求めたI320/ΔI 320およびI550/ΔI 650を挿入して計算することにより、評価試料の合成石英ガラスにおける波長193nmの光の内部吸収量のうち熱に変換される光の吸収量を、絶対評価の指標として評価できる。
X=0.44(I320/ΔI 320)+19.5(I550/ΔI 650)−2.6 …(1)
ここで、例えば、上記式(1)で求められるXの値が5以下であると、フォトサーマル法によるArFエキシマレーザー光の光路長1cmあたりの減衰量(吸収係数)αが、5×10−4cm−1以下程度であることが評価できる。
なお、第1の標準試料および第2の標準試料における規格値として上記したI 320やI 650、およびこれらを用いた上記線形関数の式(1)は、例示であって、本発明の評価方法に用いる標準試料の規格値がこれらに限定されるものではない。
以下に、本発明の実施例を説明する。なお本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[測定試料の準備]
SiClを原料に用いて酸水素火炎加水分解法により得られた多孔質石英ガラス体を透明ガラス化した後、軟化点以上の温度で成形して所望の形状に切り出し、測定試料となる9種類の合成石英ガラス1〜9を作製した。この合成石英ガラス1〜9について、本発明の評価方法用の試料(A)と、フォトサーマル法による吸収係数αを測定するための試料(B)をそれぞれ準備した。
試料(A):試料形状は25W×15H×10D[mm]の直方体で、レーザー照射面とそれに平行する面(25×15mmの面を2面:いずれの面がレーザー照射面となってもよい)および、発光が測定される測定面とそれに平行する面(15×10mmの面を2面:いずれの面が測定面となってもよい)について、光学研磨を行った。
試料(B):直径25mm、長さ45mmの円柱形で、両端面を平行に光学研磨した試料をフォトサーマル法による吸収係数αを測定するための試料(B)として準備した。
[発光強度の規格化を行うための標準試料の準備]
第2の標準試料用の合成石英ガラスとして、NBOHCが2.0×1016個/cm存在する合成石英ガラスを用意した。また、第1の標準試料用の合成石英ガラスとして、ODC(II)が2.3×1015個/cm存在する合成石英ガラスを用意した。
これらの第1、第2の標準試料用の合成石英ガラスについては、本発明の評価方法用の試料(A)として、上記測定試料における試料(A)と同様に準備した。
なお、上記NBOHCの密度、ODC(II)の密度は次の方法で測定した。すなわち、10mm厚の合成石英ガラスサンプルを用意し、このサンプルの透過率スペクトルを測定した。透過率スペクトルにおけるそれぞれの吸収ピーク波長における透過率の値から、下記のようにして、NBOHCとODC(II)の密度を算出した。
ODC(II)は、10mmの試料の透過率スペクトルT 248を測定し、欠陥の存在しない合成石英ガラスのスペクトルT 248と比較した。248nmの波長で吸収断面積4.5×10−17cm−2の値を用いて、−ln(T 248/T 248)/4.5×10−17により、密度を算出した。
NBOHCについても10mmの試料を用意し、透過率スペクトルを測定した。NBOHCを含む試料における260nmの波長での透過率T 260と、欠陥の存在しない合成石英ガラスのスペクトルT 260とを比較することにより、吸収断面積5.3×10−18cm−2を用いて、−ln(T 260/T 260)/5.3×10−18により、密度が上記のように求められた。
[本発明の評価方法に用いる発光強度の測定]
図2に概略図を示す測定装置を用いて、上記で準備した9種類の合成石英ガラス1〜9の試料(A)および、第1の標準試料用合成石英ガラス、第2の標準試料用合成石英ガラスの試料(A)について、波長193nmの光を照射したときに得られる発光スペクトルを測定した。
測定装置の励起光源1には、ArFエキシマレーザー(LPX200、LAMBDA PHISIK社製、波長193nm、周波数15Hz、パルス幅〜20ns)を用いた。高さ3mm×横幅11.5mmの大きさのスリットが形成された試料箱4(150W×100H×150D[mm])を準備し、その外側の発光測定部6には、分光器(FICS #77640 ORIEL)とCCDカメラ(EMCCD、DU970N−UVB、Andor Technology)を設置し、パワーメータ5としてOPHIR社製OPTRONICS PE50を設置した。
試料(A)を、試料箱4の中の試料台上に、上記光学研磨されたレーザー照射面(25×15mmの面)がスリットに面するように、かつ測定面(15×10mmの面)が発光測定部6に面するように設置した。ArFエキシマレーザーからの出力光は、試料(A)に照射されるレーザーのエネルギー密度(パワーメータ5で測定される)が4.6mJ/cm/pulseとなるようにレンズ2で出力調整した。
試料箱4の内部を窒素置換した後、測定を行った。測定は10回積算で露光時間1.0sとし、レーザー照射開始から10sの発光強度を積算した値をそれぞれの発光強度Iとして表した。波長200〜800nmの発光スペクトルを得た。
[フォトサーマル法による吸収係数αの測定]
上記で準備した9種類の合成石英ガラス1〜9の試料(B)について、フォトサーマル法による吸収係数αの測定を、図1に示す測定装置にて行った。本測定では、酸素濃度を100ppm以下まで窒素置換し測定を行った。
試料を、20℃、窒素雰囲気に置換した測定装置内の試料台上においた。酸素濃度は78ppmだった。試料にArFエキシマレーザーを照射する前の波面を、30秒間、サンプリング間隔0.2秒で測定し、それらを平均した値を基準波面とした。次に、繰り返し周波数1kHz、パルス幅28ナノ秒のArFエキシマレーザーを強度1mJ/cm/pulseに調整し、試料に6分間の予備照射を行った後、そのまま照射を継続しながら同様に波面を30秒間測定し、基準波面に対する波面変化量を求めた。その後90秒間照射を停止し、試料の状態をリセットした。これら基準波面測定からリセットまでを1サイクルとして、15サイクル測定した。この15サイクル分の波面変化量測定値の平均値から、検量線を用いて各試料(B)の吸収係数αを算出した。
[測定結果]
図2に示す測定装置を用いて上記9種類の合成石英ガラス1〜9の試料(A)を上記の通り測定して得られた発光スペクトルでは、上記図3に示されるような、320nmと、550nmを中心とした、比較的幅の広い発光ピークが観測された。そこで、フォトサーマル法から求められる吸収係数αと、上記320nmと、550nmを中心とした発光ピークの強度I320と、I550の関係を調べたものが図4である。なお、図4(a)が上記吸収係数αと320nmにおける発光ピークの強度I320との関係を示すグラフであり、図4(b)が上記吸収係数αと550nmにおける発光ピークの強度I550との関係を示すグラフである。
図4から明らかなように、320nmの発光強度I320、および550nmの発光強度I550と、フォトサーマル法によって調べられた吸収係数αに正の相関があることがわかる。
これらの発光強度I320およびI550は、測定を行う装置や測定条件に依存して変化してしまうことから、上記で作製した、既知の量のODC(II)およびNBOHCを有するそれぞれ第1、第2の標準試料としての合成石英ガラス試料について、これらの波長200〜800nmにおける発光強度(発光スペクトル)の測定を、上記図2に概略図を示す測定装置を用いて上記同様の条件で行った。得られた発光スペクトルを図5に示した。図5(a)が第1の標準試料の合成石英ガラスの発光スペクトル、図5(b)が第2の標準試料の合成石英ガラスの発光スペクトルである。
図5(a)に示すように、ODC(II)を有する第1の標準試料の合成石英ガラスの発光スペクトルは280nmに発光強度7500の発光ピークを有し250nmから350nmまで広く発光幅を持つ発光スペクトルである。この発光スペクトルは320nmに測定可能な発光強度を有しているため、第1の標準試料においては320nmの発光強度I 320を評価に用いた。
すなわち、上記9種類の合成石英ガラス1〜9の試料(A)の発光スペクトルにおける320nmの発光ピークでの発光強度I 320については、ODC(II)を有する第1の標準試料の320nmの発光強度I 320を、第1の標準試料に含まれるODC(II)の密度Dで割った値を、ΔI 320=I 320/Dとして、A=I 320/ΔI 320の値を評価に用いた。
一方、図5(b)に示すように、NBOHCを有する第2の標準試料の合成石英ガラスの発光スペクトルは650nmに発光強度35000の発光ピークを有し600nmから800nmまで波長の大きい側に広く発光幅を持つ発光スペクトルである。この発光スペクトルでは550nmに発光を示さずかつ600nmから650nmにおいて発光強度は急上昇しているため、第2の標準試料においては、発光ピーク波長である650nmの発光強度I 650を評価に用いた。
すなわち、上記9種類の合成石英ガラス1〜9の試料(A)の発光スペクトルにおける550nmの発光ピークでの発光強度I 550については、NBOHCを有する第2の標準試料の650nmの発光ピークにおけるI 650を、第2の標準試料に含まれるNBOHCの密度Dで割った値を、ΔI 650=I 650/Dとして、この規格化した発光強度ΔI 650を基準として、B=I 550/ΔI 650の値を評価に用いた。
上記で得られた値AおよびBを、上で説明した線形関数の式(1)と同様の下記式(2)に挿入して、評価試料の合成石英ガラスにおける波長193nmの光の内部吸収量のうち熱に変換される光の吸収量について絶対評価の指標となるXの値として算出した。
X = 0.44 × A + 19.5 × B − 2.6 …(2)
結果を上記で得られた値A、B、フォトサーマル法によって測定した吸収係数αと共に表1に示す。
Figure 0005585383
また、上記で求めたXの値とフォトサーマル法によって測定した吸収係数αの関係を表すグラフを作成した(図6)。表1および図6に示される通り、評価試料の合成石英ガラスにおける波長193nmの光の内部吸収量のうち熱に変換される光の吸収量について絶対評価の指標として、上記のようにして求めたXの値を用いることができる。
本発明によれば、波長193nmの光を用いた光学装置、例えばArFリソグラフィ用露光装置に使用される合成石英ガラスについて、使用波長における熱エネルギーに変換される光の減衰量を、小さい試料で、精度よく、かつ簡便に評価することが可能である。
10…測定装置10、1…光源、2…レンズ、3…試料、4…試料箱4、
5…パワーメータ、6…発光測定部6
20…測定装置(フォトサーマル法)、12…赤色ダイオードレーザー、
14…第1テレスコープレンズ系、16…第2テレスコープレンズ系、
18…高精度透過波面センサー18、21…合成石英ガラス試料、22…はArFエキシマレーザー光

Claims (3)

  1. 合成石英ガラスにおける波長193nmの光の内部吸収量のうち熱に変換される光の吸収量を評価する方法であって、前記合成石英ガラスからなる試料に対して波長193nmの光を照射したときに前記試料から発せられる波長320nmの光の発光強度および波長550nmの光の発光強度の一次関数から、前記吸収量を評価する合成石英ガラスの評価方法において、
    前記試料における前記波長320nmの発光強度は、波長193nmの光を照射したときに波長320±50nmに発光ピークを有する合成石英ガラスからなる第1の標準試料における前記光照射時の発光ピーク波長から320nmの間の発光強度が測定可能な波長から選択される第1の波長の発光強度との強度比により、前記波長550nmの発光強度は、波長193nmの光を照射したときに波長550±150nmに発光ピークを有する合成石英ガラスからなる第2の標準試料における前記光照射時の発光ピーク波長から550nmの間の発光強度が測定可能な波長から選択される第2の波長の発光強度との強度比により、それぞれ定量化される合成石英ガラスの評価方法。
  2. 前記試料は、所定の大きさの直方体形状であって、その少なくとも前記光が照射する面を含む4面は光学研磨されており、かつ前記所定の大きさからの各辺の寸法公差が±0.05mm以内である請求項1に記載の合成石英ガラスの評価方法。
  3. 前記試料が受光する波長193nmの光の量・強度は、エネルギー密度として0.01〜15mJ/cm /pulseの範囲にある請求項1または2に記載の合成石英ガラスの評価方法。
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