JP4997639B2 - レーザー誘起蛍光を用いたアスベスト判定方法 - Google Patents

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本発明は、レーザー誘起蛍光を用いたアスベスト判定方法に係り、特に、複雑な操作及び専門知識が不要で、容易かつ短時間で迅速かつ正確にアスベストが判定できるアスベスト判定方法に関するものである。
従来、アスベスト繊維粒子の公定分析技術として、光学顕微鏡法、X解回折法、及び透過型電子顕微鏡に採用例がある。日本では、建材、吹き付け材中のアスベストの含有量を計測する手法として2006年のJIS A 1481により標準の分析技術が挙げられている。JIS A 1481では、顕微鏡定性分析として、(1)位相差顕微鏡による分散染色法及び(2)偏光顕微鏡による消光角法、(3)基底標準吸収補正法等を利用したX線回折分析法等が用いられている。これらのアスベスト計測技術は、アスベストと他の物質との光学的特質または結晶構造、組成等の物理的特性を利用して、各々以下のような方法によってアスベストを判定するものである。即ち、(1)位相差顕微鏡による分散染色法は、アスベスト粒子と他の物質からなる粒子の屈折率の相違を利用するものであり、(2)偏光顕微鏡による消光角法は、アスベストが有する複屈折性と呼ばれる光学特性を利用するものであり、(3)X線回折分析法は、物質中の結晶構造の相違を利用するものである。これらの方法を用いて建材中のアスベストの定性及び定量分析を行うものであるが、煩雑な前処理や分析結果を得るまでに長い期間、日数を要すること、顕微鏡法では目視による計測のため人為的測定誤差が大きいという欠点がある。また、アスベスト等の粉塵発生施設の敷地境界基準を定めている大気汚染防止法で規制対象となる大気中に浮遊する飛散アスベストの濃度測定法として、非特許文献1による方法が挙げられる。この中では、アスベスト繊維濃度の計測法として光学顕微鏡法を選定しており、結果を再確認する手段として走査型或いは透過型電子顕微鏡による観察、または分散染色法が参考法として挙げられている。
現在、アスベスト分析産業分野で広く採用されている手法は、上述の(1)位相差顕微鏡による分散染色法であるが、この手法に上述の(2)の方法で採用している複屈折性をも確認できる手法を組み込んだ方法(方法(4))がある(特許文献1参照)。また、(2)偏光顕微鏡による消光角法に関連するアスベスト判定手法として(2)の改良型で暗視野落射照明を利用する(5)偏光判定法(PVS)がある(非特許文献2参照)。これら従来技術の他に、(6)呈色試薬を用いてアスベストを検出し計測する方法(特許文献2、特許文献3参照)や(7)蛍光色素を吸着させて染色させる手法(特許文献4参照)等の化学処理による手法、(8)アスベスト繊維粒子によるレーザー散乱光の偏光特性を利用する方法(特許文献5参照)がある。さらに、試験段階ではあるが(9)レーザーラマン分光を用いる分析法等もある(非特許文献3参照)。
アスベストモニタリングマニュアル 環境省水・大気環境局大気環境課(第3版、平成19年5月) 亀和田俊一、和田哲、石井啓慈、南和明、許成基、境谷浩一、亀元宏宣、西田道夫、「建材中アスベストの偏光判定装置(PVS)とこれを用いた現場判定法」、産業と環境、vol.35,No,3,2006 立石和男、古谷圭一、菊池正、石田英之、石谷畑、「ラマンマイクロプローブによる環境中のアスベストの分析」、BUNSEKI:KAGAKU、vol.30、PP,774−779,1981 特開2005−338567号公報 特開2000−88838号公報 特開平9−105743号公報 特表2004−519445号公報 特開平10−267828号公報
上記の数々の従来技術で利用されているアスベストの判定または同定に関しては、各々以下のような問題点がある。まず、標準分析手法として用いられる(1)位相差顕微鏡による分散染色法では、顕微鏡観察視野中での粒子の屈折率の違いによって生じる色の相違でアスベストの判定を行うものであるが、建材を含む多くの材料からなる検体に対処しようとすると、アスベストの屈折率と同様の屈折率を有するタルク等の多くの鉱物材料があるため、目視による色の相違のみによる判別は熟練の専門家でも困難である。
また、(2)偏光顕微鏡による消光角法では、顕微鏡の熟練した操作と消光角の導出による判定法に関して高度な鉱物の光学物性等の専門知識が必要で、専門家以外のものにはアスベストの同定が困難であり、判定には熟練者でも長い分析時問と多大な労力を必要とする。JIS A 1481には、参考として上記二つの方法を併用することも示唆されているが、これら二つの方法に対処できる分析専門家の数が極めて少ない。このため、これらの手法は現在標準計測技術であるものの、結果としてアスベストの判定に煩雑な手間と長大な分析時間が必要となる。また、正確な測定には高度な専門知識及び技量が不可欠であることが、分析者による測定精度のばらつき(人為的な測定誤差)が大きい原因とされている(佐々木一弘、中倉隆雄、藤巻宏和、「位相差顕微鏡を用いた分散染色法によるアスベスト同定の問題点」、ぶんせき、4、pp.177−184,2007)。
一方、(1)位相差顕微鏡による分散染色法及び(2)偏光顕微鏡による消光角法の改良型である(4)、(5)の手法も(1)と(2)とそれぞれ比較すると測定に関する負担が軽減されているものの、同様の問題を抱えている。特に(5)では、微細なアスベスト繊維粒子の判定は困難な場合が多く、光学的な倍率は位相差顕微鏡や偏光顕微鏡に及ばないことが知られている。同様に、JIS A 1481の標準の分析手法として挙げられている(3)X線回折法によるアスベストの判定は、(1)位相差顕微鏡による分散染色法及び(2)偏光顕微鏡による消光角法以上に膨大な知識と経験が必要で非常に困難であることが指摘されている(佐々木一弘、中倉隆雄、藤巻宏和、「位相差顕微鏡を用いた分散染色法によるアスベスト同定の問題点」、ぶんせき、4、pp.177−184,2007)。
さらに、(6)呈色試薬を用いてアスベストを検出し計測する方法や、(7)特定の蛍光色素を吸着させて染色させる手法等の試薬や蛍光色素を用いてアスベスト繊維粒子に呈色や染色を施して色で判定する手法は、これらの化学処理の煩雑さもあるが実際に適用可能な材料の範囲が不明な場合やクリストタイル以外には適用困難であるというような問題があるため、その使用法の対象範囲に関しては限定されている。
これら上記の顕微鏡観察、X線回折及び呈色または染色による手法では、高精度な計測を行う場合、試料を準備し計測するまでに様々な煩雑な手間や化学処理等が不可欠で、さらにアスベストの判定には高度な専門知識や熟達した技量が必要になり、アスベストを峻別しリアルタイムでその場で判定し計測することは不可能で、結果を得るまでに長い時間と多くの労力が必要であるとか、測定精度は分析者の技量に依存するという問題点がある。
その他、人為的な技量に関係なくアスベストをリアルタイムで判定し計測する手法として、(8)アスベスト繊維粒子によるレーザー散乱光の偏光特性を利用するものや、(9)レーザーラマン分光を用いる分析法等がある。しかし、(8)に関しては、繊維粒子によるレーザー散乱光の偏光特性を利用するためアスベスト以外の繊維粒子との判別が不十分で、高精度なアスベストの判定が困難であるという問題がある。(9)に関しては、レーザー照射によって発生するラマン散乱光の散乱断面積が非常に小さいこと、また同様の波長域でラマン散乱光を発する建材等の物質、鉱物等が多数存在するためアスベストの判定が難しく、アスベストを検出し判定するために高出力のレーザー装置及び大掛かりな分光システムが必要になるという問題点がある。
これら従来技術を単独で用いる場合は、他の粒子または物質、鉱物等からアスベスト繊維粒子のみを同定し判定する際に上記のような技術的問題点があり、アスベストの判定を困難にしている。また、高精度で分析するには高度な専門知識、経験、技量が要求され、さらに精度を向上させる場合には上記の従来技術を単独ではなく複数併用しなくてはならない。結果として、従来技術で用いられている判定法では、アスベスト繊維粒子のその場でリアルタイム判定することが非常に困難なため、長い計測時間と煩雑な手間が必要となるという問題がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、従来技術の有する人為的な誤差、アスベスト判定の困難さ、計測に係る煩雑な処理または手間、及び測定精度等の問題点を解決し、複雑な操作及び専門知識が不要で、容易かつ短時間で迅速かつ正確にアスベストが判定できるアスベスト判定方法を提供することにある。
本発明のレーザー誘起蛍光を用いたアスベスト判定方法は、レーザー照射により発生する物質特有のレーザー誘起蛍光スペクトル中の任意の複数の波長間での蛍光強度比と、アスベストにおける同一の複数の波長間での蛍光強度比とを比較することでアスベストであるか否かを判定することを特徴とする。
また、本発明のレーザー誘起蛍光を用いたアスベスト判定方法は、検査対象である試料に対してレーザー光を照射し、前記試料からレーザー誘起蛍光を発生させる第1の工程と、発生した前記レーザー誘起蛍光から複数の波長間での蛍光強度を光検出または画像計測する第2の工程と、前記複数の波長間での蛍光強度比を、予め校正済みのアスベストの既知の同一の複数の波長間での蛍光強度比と比較することでアスベストであるか否かを判定する第3の工程とを備えることを特徴とする。
前記第1の工程で照射するレーザー光は、蛍光を効率よく発生させる連続発振のレーザーまたはパルスレーザーであることが好ましい。
前記第1の工程で発生するレーザー誘起蛍光が、照射するレーザー光の波長よりも長波長であり、物質特有のスペクトル形状及び発生波長域を有し、物質特有の蛍光寿命を有する光であることが好ましい。
前記第2の工程において、特定の波長域に光透過特性を有する光学フィルターを使用して複数の波長間での蛍光強度を光検出または画像計測することができる。
本発明によれば、複雑な操作及び専門知識が不要で、容易かつ短時間で迅速かつ正確にアスベストが判定できるアスベスト判定方法を提供することが可能になる。
(本発明の特徴)
本発明では、従来技術の有する人為的な誤差、アスベスト判定の困難さ、計測に係る煩雑な処理または手間、及び測定精度等の問題点を解決するため、物質にレーザー照射を施して物質から発生するレーザー誘起蛍光をアスベスト判定に用いる。検査対象である物質または試料にレーザー光を照射し、物質から発生するレーザー誘起蛍光を検出し、その任意の複数波長での蛍光強度からその場でアスベストの判定が可能になるため、従来技術よりも簡便かつ迅速にアスベストを分析することができる。
天然または人為的に生成された化学物質、有機物、無機物等の物質または鉱物等にレーザー光が照射されると、その物質表面から物質の組成や結晶構造等に依存する物質特有のレーザー誘起蛍光が発生する。その蛍光スペクトルの波長域は、通常数ナノメートルから数百ナノメートルには及ぶことがあり、照射するレーザー光の波長域よりも広い。その蛍光スペクトルの発生特性は、同じ物質でも照射するレーザーの波長によっても異なるが、同一波長のレーザー光の照射条件下では、蛍光強度、ピークを示す波長、蛍光スペクトルの波長域及びスペクトル形状は基本的には物質によって様々であり異なる。しかし、蛍光スペクトル中の一つの波長域での蛍光強度からアスベストの判定及び物質の同定は不可能である。同一波長のレーザー光の照射に対してある任意の波長域にレーザー誘起蛍光を発生させる鉱物等の物質は多数あるからである。
このため、本発明では、他の物質からアスベストを識別してアスベストと判定するために、物質によって異なる特性を有する物質特有のレーザー誘起蛍光スペクトルの形状を利用し、レーザー誘起蛍光スペクトル中の任意の複数の波長間での蛍光強度の比を比較することでアスベストの判定を行う。同一波長を有するレーザー光の照射に対して発生する蛍光スペクトルは基本的に物質によって異なるため、広い波長域にわたって発生する蛍光スペクトルの各波長域での蛍光強度は物質によって様々であり、蛍光スペクトルの形状の明確な違いとなって現れる。その蛍光スペクトルのある任意の波長での蛍光強度を基準として、その波長から有意義な差を有する別の波長での蛍光強度との比を導出すると、物質によってその比が明確に異なる。従って、予めアスベストの任意の波長間での蛍光強度比を求めておくことにより、その蛍光強度比によってアスベストの判定を精度良く容易にリアルタイムで行うことが可能となる。蛍光スペクトル形状は本質的に物質の種類によって相違があるため、違う物質でありながら全く同様の蛍光スペクトル形状を有する物質等は殆ど存在しない。仮に二つの波長間でのアスベストと他の物質の蛍光強度比が測定誤差の範囲内で同様の比を示す場合には、さらにこれら二つの波長と異なる複数の波長での蛍光強度を比較することによりアスベストのより厳密な判定が可能となる。
具体的には、アスベスト特有のレーザー誘起蛍光スペクトルの任意の複数波長間での蛍光強度比を基準値とし、同様の複数波長間で同様のレーザー照射で計測される他の物質試料からの蛍光強度比をこの基準値と比較することによりアスベストの判定を行う。アスベスト判定を行う工程として、(1)検査対象である試料に対してレーザー光を照射し物質からレーザー誘起蛍光を発生させる第1の工程、(2)発生した誘起蛍光を干渉フィルター等によって複数の狭帯波長域での蛍光強度を光検出または画像計測する第2の工程、(3)複数の波長間での蛍光強度比を、予め校正済みのアスベストの既知の同一の複数の波長間での蛍光強度比と比較することでアスベストであるか否かを判定する第3の工程を用いる。物質にレーザー照射を施し、その結果発生するレーザー誘起蛍光を波長別に計測してその強度比を比較するだけなので、従来技術では困難である精度の高いアスベストのリアルタイム判定が可能となる。なお、照射するレーザー光としてはパルスレーザーが望ましいが、レーザー光照射と同等の蛍光強度が得られる性能を有するランプ等の光源でもアスベストの判定が可能である。
(作用)
天然または人為的に生成された化学物質、有機物、無機物等の物質に光または光の一種であるレーザー光が照射されると、光は物質表面で反射或いは散乱されて、その物質表面から照射した光と同一の波長を有する(1)散乱光(弾性散乱光)を発する。または、物質表面で光屈折して物質による吸収を受けながら物質内を伝播する(2)透過光がある。この透過する光の波長も照射する光の波長と同じである。さらに、物質表面及び物質内部から照射した光の波長とは異なる波長を有する物質特有の光が発生する(濱口宏夫、尾崎幸洋、寺島紀夫、尾鍋研太郎、堀田和明編集:「レーザー分光計測の基礎と応用」、アイピーシー出版、1992年発行)。それらは、照射された光とその物質との相互作用または吸光作用の結果生じる物質の光励起に基づく発光現象である(3)蛍光、りん光及びフォトルミネッセンス光等、または光の非弾性散乱現象により(4)ストークス、アンチストークなどのラマン散乱光等である。(3)及び(4)の光の波長は、照射する光の波長と異なり物質の元素組成及び結晶構造等に由来するものであって物質特有の波長及びスペクトル形状を有し、物質の種類、組成、結晶構造等によって異なる。(3)においてレーザー照射により物質から発生するものをレーザー誘起蛍光といい、それを長い波長域に渡って観測したものをレーザー誘起蛍光スペクトルという。この蛍光スペクトルは、同一のレーザー照射条件下では、物質ごとに異なる発生特性を示し、発生するスペクトルの波長域、強度、及びスペクトル形状が異なる。この蛍光スペクトル全体から物質の同定を行うことも可能であるが、一つの物質の長い波長域での全蛍光スペクトルからをその物質の種類を同定するには、スペクトルが一致する物質を特定するためのスペクトルの照合作業に長い分析時間を必要とし、その場計測或いはリアルタイム計測には適せず、非現実的なものとなる。
(効果)
本発明では、アスベストが混在する試料中にレーザー照射を施し、そこに発生するレーザー誘起蛍光スペクトル中の複数の任意波長での蛍光強度比を比較するだけの簡単な手法であり、従来技術で用いられている判定法よりも容易かつ精度の高いアスベストの判定法である。このため、本発明は、蛍光強度比による数値で判定を可能とするため従来技術の問題点である目視によるアスベスト判定に伴う人為的な誤差や煩雑な顕微鏡の操作、手間、試料の処理等を解決し得るものである。また、本発明は、アスベスト以外の鉱物、物質等の複数波長間での蛍光強度比が既知であるならば、それら物質等の識別、同定をも可能とするものである。
(レーザー誘起蛍光スペクトルの測定システム)
図1にレーザー誘起蛍光スペクトルの測定システムの模式図を示す。レーザー誘起蛍光は通常基本的にこのような計測系で測定される。計測装置は、レーザー光源1、マルチスペクトロフォトメータ分光器2、及び計測制御機器としてデータ処理用PC3、計測システム制御装置4から主として構成される。マルチスペクトロフォトメータ分光器2には、高感度イメージ光検出器5及び光ファイバー6が装備されている。蛍光スペクトルは、図のように試料台7上に設置された試料サンプル8にレーザー光9を斜めから入射し、試料台7の垂直方向から試料サンプル8で発生するレーザー誘起蛍光10を光ファイバー6を通して集光してマルチスペクトロフォトメータ分光器2に導き、高感度イメージ光検出器5で検出する。
なお、試料サンプル8で発生するレーザー散乱光11は蛍光スペクトルの計測に擾乱を与えるため、レーザー散乱光11を除去するために光ファイバー6の光取り込み口の前に、ローパス光学フィルター12を設置しても良い。このような計測装置で、試料台7上のサンプルを交換して様々な物質の蛍光スペクトルを計測すると、物質によって異なる蛍光スペクトルの計測結果を得ることができる。
(物質のレーザー誘起蛍光からアスベストを判定する手法)
図2に、本発明の手法の一例として物質のレーザー誘起蛍光からアスベストを判定する手法の説明図を示す。例として蛍光スペクトル全体を表示して説明する。図1のような蛍光スペクトル計測装置において波長320nm程度のレーザー光を物質A及びBに照射すると物質からは図に示すような物質の種類によって異なるレーザー誘起蛍光スペクトルが発する。発生する蛍光スペクトルの波長域は、通常照射するレーザー波長域よりも長く、その波長域は物質により数10nmと狭い場合や数100nm以上と長い場合と様々である。またスペクトル形状も物質によって異なる。各物質の蛍光スペクトルの蛍光強度が最大のところ(ピーク)を基準とし1とすると図のように表示できる。このような蛍光スペクトル形状から物質の種類を判別するには、複数の波長での蛍光強度Iを比較する手法を用いる。例えば、図2で波長400nmと500nmの蛍光強度の比I500/I400を求めると、物質AではIA500/IA400は0.41程度になり、物質Bでの比IB500/IB400は、物質Aの10倍以上の4.69程度となり、物質間でスペクトル形状の相違に伴う明確な差を計測することができる。この任意の波長間における蛍光強度の比は、物質固有である。単一の波長、例えば波長400nmの蛍光強度だけでは、物質の判定をすることは困難である。また、スペクトル形状が同様または同様でない場合に物質AとBの蛍光強度比が任意の二つの波長間で同程度となる場合には、さらに比較する波長の数を増やせば正確に物質の種類を判定することが可能となる。図2の場合、さらに波長425nmでの物質AとBの他の波長に対する蛍光強度比も利用すれば物質判定の精度がより向上する。もし、比較する複数の波長間での蛍光強度比が高い精度で一致し、また他の波艮間での比較回数を増やしても蛍光強度比が一致すれば物質AとBは同じ物質である。アスベストの場合であれば、アスベストと判定できる。
以上の手法でアスベストを判定する場合、予めアスベストの種類に応じて蛍光スペクトルを計測し、基準とする波長での蛍光強度に対する各波長での蛍光強度の比を算出して蛍光強度比データとして用意する。物質の組成或いは種類が不明である物質の比較する複数の任意の波長での蛍光強度を計測して得られた蛍光強度比とその波長間でのアスベストのデータとを比較することによってアスベストの判定を行う。比較する波長間での強度比が明らかに異なれば、アスベストでないと判定することができ、強度比か全く同じならばアスベストであると判定できる。その強度比に僅かな相違が見られ、測定誤差を考慮するとアスベストであるかもしれないと推測される場合は、さらに比較する別の波長の蛍光強度を計測して別の波長での蛍光強度と比較する操作を繰り返して比較する回数を増やすことによってより正確に物質種類の同定、アスベストの判定が可能となる。
本発明では、任意の波長での蛍光強度Iを、狭帯波長域に透過特性を有するバンドパス光学フィルターや干渉フィルターを用いて計測するため、レーザー誘起蛍光の全スペクトルを計測する必要は無い。最低2つの波長での蛍光強度を計測しその蛍光強度比を比較するだけで短時間かつ精度の良いアスベストの判定ができる。なお、上記のアスベスト判定手法と同様の複数の波長での蛍光強度比較を用いることにより、アスベスト以外の鉱物、物質等の識別、同定も可能である。
(顕微鏡でのアスベスト判定に適用した例)
図3に、本発明を顕微鏡でのアスベスト判定に適用した手法の概略図を示す。図のような顕微鏡システムで、試料台17上の繊維粒子状の試料18に照射レーザー光19を照射し、試料18から発生するレーザー誘起蛍光20をある任意の波長のみ(波長λAとλB)を透過する光学フィルター22で別々に顕微鏡観察すると図中右にあるような波長別のレーザー誘起蛍光による試料の顕微鏡蛍光画像2つa),b)をCCDカメラ24で取得することができる。この場合、計測時間を短縮するためにレーザー誘起蛍光20を二つに分岐し、波長λAとλBを透過する光学フィルターを各々装備した二つのCCDカメラで同時に計測することも可能である。それらの画像中の対応する繊維状粒子の蛍光強度比をCCD画像の信号から導出することにより、任意の波長間での蛍光強度比を計測することができる。この強度比をアスベストのものと比較することにより、その繊維状粒子がアスベストであるか否かを直ちに判定することが可能となる。従来技術で使用する偏光板(ポーラライザー)等の複雑な操作や染色液の処理等の手間は不要になる。
(レーザー光を用いる微粒子計測技術に適用した例)
また、同じくレーザー光を用いる微粒子計測技術において本発明を適用すれば正確かつ厳密にアスベストをリアルタイムで判定できるようになる。
図4に、その適用例の概略図を示す。通常使用されている空気中の浮遊微粒子を計数するレーザー散乱式の微粒子計測装置では、連続的に空気とともに捕集する微粒子またはエアロゾルにレーザー照射を施し、微粒子からのレーザー散乱光を計測して、その散乱光の有無及び散乱光強度から微粒子の個数や粒径を計測するものである(諫早典夫、中江茂、平沢紘介編集:「空気清浄のための浮遊微粒子の計測・制御総合技術」、R&Dプラニング、1987年発行)。このとき、レーザー散乱光の代わりにレーザー誘起蛍光を図4に示すような要領で計測すればアスベストの計測が迅速に行うことができる。即ち、周辺空気31から空気吸引ポンプ34によって空気捕集管32内に捕集されたエアロゾル(または微粒子)に照射レーザー光35を照射すると、そのエアロゾルからレーザー誘起蛍光36が発生する。その蛍光をハーフミラー38で二つに分け、さらに、一方の蛍光を全反射ミラー39で反射させ、任意の二つの波長λとλをそれぞれ透過する光学フィルター40、41を通して光検出器42でのそれら波長での蛍光強度I、Iを同時に計測する。それらI、Iのピーク強度から波長λとλでの蛍光強度比を算出し、アスベストのものと比較することによりその微粒子がアスベストであるか否かをその場でリアルタイム判定し計数することが可能となる。なお、図4では、レーザー散乱光除去フィルター37を設けたが、レーザー散乱光が波長λとλでの蛍光強度に与える影響、SN比等を考慮し、影響が少ない場合は省略することも可能である。
(大気中の特定の浮遊微粒子を浮遊した状態での画像計測に適用した例)
さらに、大気中の特定の浮遊微粒子を浮遊した状態で画像計測できる技術である(特開2007−171012号)に本発明を適用すれば、大気中に浮遊する飛散アスベストもリアルタイムにその場で判定して計測することが可能になる。この場合、二つのカメラが必要となり、それぞれのカメラに任意波長λとλの蛍光を透過する光学フィルターを装着して図3の顕微鏡蛍光画像観測における要領と同様に画像中に写る微粒子の二つの波長間での蛍光強度比からアスベストの判定をアスベストが浮遊している状態で迅速に行うことができる。
従来技術ではアスベストの厳密な判定が困難であるため、その場での迅速なリアルタイム計測が不可能である。従って、分析結果を得るまでに長い日数が必要となっている。よって、アスベストを含む建材を使用した老朽化した建物の解体工事現場などで建材中のアスベストの分析及び飛散するアスベストの環境調査のために現在長い日数と煩雑な作業を要している。しかし、本発明を適用すれば分析時間の大幅な短縮と大変手間のかかる分析作業を大幅な短縮できる。本発明は、アスベスト計測に係る作業効率を飛躍的に向上させる効果を奏する。結果として、本発明を用いることによりこれまでよりも正確にアスベストの判定が可能となるめ、本発明をアスベストに係る早急な環境調査に役立てることは社会の環境保護、保全の貢献に繋がると期待される。
(測定例または実験データ)
(1)アスベストのレーザー誘起蛍光スペクトル
図5に、図1に示した計測システムと同様のシステムを用い、社会的に広く使用されその飛散が問題となっている代表的な3種類のアスベストである、クリストタイル、クロシドライト及びアモサイトの波長300から500nmのレーザー誘起蛍光スペクトルを示す。蛍光スペクトル形状を比較するためピーク強度を基準に1として表示した。使用したレーザー光は、Nd:YAGレーザーの4倍波である波長266nmのパルスレーザー光(パルス時間半値幅:〜4ns)である。これらの蛍光スペクトルは、図1の計測システムにおいて光学フィルター12を使用せずにパルスレーザー照射直後から約30ns後に5nsの計測時間内に観測されたものである。
この波長域において発生するアスベストからの蛍光スペクトルは、その種類に関係なく約360から370nm付近に蛍光のピークを示すことが分かった。また、クロシドライトとアモサイトの蛍光スペクトルの形状は300から500nmの波長域でほぼ同様であり、さらに350から400nmの波長域ではクリストライトの蛍光スペクトルとも同様の形状を有することが分かった。その350から400nmの波長域以外では、クリストタイルと他の2つのアスベストの間に蛍光スペクトル強度の明確な差異があること計測された。図5の波長域では、360nmの蛍光強度と450から500nmの蛍光強度を比較することによりクリストタイルと他のアスベスト(クロシドライト、アモサイト)を明確に識別することができる。波長360nmの蛍光強度に対する475nmの蛍光強度がクリストタイルの場合には約0.6であり、他のアスベストの場合は約0.2になるからである。
図6に、同じレーザー光を用いて、計測システムの光学フィルター12として390nmに80%の透過率を有するローパス光学フィルター(〜360nm以上から透過)を使用して計測した350から650nmの蛍光スペクトルを示す。パルスレーザー照射時から約50nsの時間間隔において計測されたものである。この場合では、蛍光強度のピークを示す波長域は420から450nmであるが、各アスベストの種類の違いによるスペクトル形状の違いが図5の場合よりも顕著に現れる。これらの蛍光スペクトルでの各波長での蛍光強度を比較することでアスベストの種類を識別することができる。例えば、440nmの蛍光強度I440を基準として、390nmの蛍光強度I390を比較すれば以下の表1のような強度比I390/I440になり、これら3種類のアスベストを数値により容易に識別することが可能となる。実際には、蛍光スペクトル全体を計測する必要はなく、これら複数の波長での蛍光強度を干渉フィルター等で計測し比較することでアスベストの種類が判定できる。表1に、得られた結果を示す。
Figure 0004997639
上記の波長域では、ローパス光学フィルターを使用しないとクリストタイルと他のアスベストの厳密な識別は出来ないが、フィルターを使用すればそれらの識別が可能となる。また、これら(クリストタイル、クロシドライト、アモサイト)以外のアスベスト種類であるアンソフィライト、トレモライト、及びアクチノライト等も同様に本発明の手法により識別することができる。
(2)建材試料の波長300から500nmのレーザー誘起蛍光スペクトル
図7には、アスベストと同様に建材として使用され、アスベストの代替品として広範囲に使用される繊維状の建築材料であるロックウール、ガラスウール及びセラミックファイバーの波長300から500nmの蛍光スペクトルを示す。測定条件は、レーザー入射時から約35ns後に50nsの時問間隔内に計測されたものである。この例では、図6のようなローパス光学フィルターは使用していない。
また、図8には、同様に繊維状ではないが建材として使用されるタルク、石こう及びセメントの図7と同様の条件で計測した蛍光スペクトルを示す。これらの建材試料は、アスベスト分析時の検体試料中に混入が予想されるもので、また、実際に混入している場合が多く、特に繊維状の試料、及びタルクなどは分析時に形状や屈折率などの光学的特性がアスベストに近似しているためアスベストと誤認されやすいものである。
図7、図8には、比較のためクリストタイルの蛍光スペクトルが表示されている。図7及び図8でクリストタイルと他の建材試料の蛍光スペクトルを比較すると、クリストタイルにほぼ同様の蛍光スペクトル形状を有するものはなく、形状として最も似通っているものは石こうのものであるが、この図からでもその違いは容易に確認することができる。クリストタイルと他の建材試料には、図に示すように蛍光スペクトル形状に顕著な差異が存在するため、本発明の手法でアスベストを以下のように容易に判定することができる。波長360nmでの蛍光強度を基準に475nmの蛍光強度をそれぞれ比較すると強度比I475/I360は表2のようになり、数値としてアスベスト(クリストタイル)を明確に判定することができる。
Figure 0004997639
(3)建材試料の波長350から700nmのレーザー誘起蛍光スペクトル
また、図9及び図10に、図6と同じ光学フィルターを用いた場合の建材試料の蛍光スペクトルを示す。比較のためクリストタイルの蛍光スペクトルも同様に示す。測定条件は、図6と同じレーザー照射時から50nsの時間間隔で計測したものである。
図9からは、ロックウール及びガラスウールの繊維状の建材試料の蛍光スペクトルは、クリストタイルとは蛍光スペクトルのピークの位置が明らかに異なり、形状も異なることが分かった。セラミックファイバーとは同様のスペクトル形状を示すが、450nm以下と550から650nmの波長域で明確な差異が観測された。
一方、図10により、繊維状の建材ではない試料では、クリストタイルの蛍光スペクトルと同様の形状を示すことが分かった。しかし、440nm以下の波長域では、セメントはクリストタイルとピーク強度に対する同様の強度比を示し、タルク及び石こうとは明確な差異があることが分かる。また、440から550nmの波長域では、タルクのピーク強度に対する強度比はクリストタイルとほぼ同じ値を示すが、セメント及び石こうとは明らかに相違する値を示すことが分かった。表3に、波長420nmの蛍光強度I420を基準にして500nmの強度I500と比較した結果を示す。これより、その比較する強度比(I500/I420)から光学フィルターを用いた場合でも明確に数値としてアスベスト(クリストタイル)を判定できることが可能となる。また、クリストタイルの強度比に近い値を示すタルク、石こう等とさらに厳密に識別するためには、タルクの場合380nmと500nmの強度比(I500/I380)を利用するとクリストタイルは1.81になりタルクの場合は3.4程度になり明確に識別できる。さらに石こうの場合は、430nmと500nmの強度比(I500/I430)を見るとクリストタイルの0.91に対して0.73となり強度比の差が大きくなることを確かめることでより厳密に識別することができる。
Figure 0004997639
(4)実際のレーザー誘起蛍光強度を利用した判定手法
上記アスベストと建材試料のレーザー誘起蛍光スペクトルの計測例により、レーザー誘起蛍光スペクトル形状が物質によって違うため任意の複数の波長での蛍光強度比が違うことからアスベストを他の物質と識別して判定することが可能であることを示した。本発明の適用に当たっては、アスベストの蛍光スペクトルを予め計測することによって基準とする波長の蛍光強度に対する他の波長での蛍光強度比を既知の値として求めておく必要がある。これを用いて、ある波長間の強度比を分析時に計測される物質からのその波長間の強度比と比較することによってアスベストであるか否かを判定する。さらに厳密な判定を行う場合には、さらに別の波長間での蛍光強度比の比較を繰り返すことによってより正確に判定を行うことが可能となる。
実際に物質からのある波長間での蛍光強度比を求める場合には、広い波長範囲でも図に示したような全蛍光スペクトルを求める必要は無く、ある波長での蛍光強度を求めるには極めて狭い波長範囲(3〜10nm)において透過特性を有するバンドパス光学フィルターである干渉フィルター等を使用して最低2つの波長間で計測すれば容易に求めることができる。計測する任意の複数の波長の選定にあたっては、様々な物質のレーザー誘起蛍光スペクトルを調査した後に最もアスベストの識別、判定が出来易い波長を選ぶことが望ましい。表2及び3に示した蛍光強度を比較する波長はその一例である。また、使用するレーザー光は、レーザー誘起蛍光の発生効率の観点から実施例のような紫外域に発振波長を有するものが望ましい。さらに、計測時に蛍光強度の信号に擾乱を与える照射レーザー光の散乱光を除去するために図1のローパス光学フィルター12などを使用する図9、10のような場合には、この光学フィルターを使用した状態でさらに干渉フィルターなどを併用して波長間の強度比を求めることができる。
産業上の利用の可能性
本発明により、従来技術の問題点の一つである人為的な誤差を回避することができ判定精度が向上し、さらに分析時間の大幅な短縮が期待できる。例えば、従来技術で広く使用される顕微鏡観察による分析技術では、特殊な染色液による化学処理や偏光顕微鏡では顕微鏡の複雑な操作及び専門知識を必要とするが、本発明を適用すればそれらの処理や操作が不要になり、レーザー照射によって発生するレーザー誘起蛍光を波長別に計測することでその波長間での蛍光強度の比較により容易かつ短時間で迅速にアスベストが判定できる。
本発明は、主に大気中に飛散するアスベストをエアロゾルとともに捕集して計測、分析しアスベストの同定、計数を行う大気環境分析産業分野、または、建築材料中に含有されるアスベストの数量等を分析する材料分析産業分野などでの活用が期待される。さらに、建屋解体廃棄時におけるアスベストの大量処理処分等を行う廃棄物処理産業でのアスベスト分析、アスベストの健康被害等を調査する医療分野等で利用できる。
本発明の一実施形態に係るレーザー誘起蛍光スペクトルの測定システムを示す模式図である。 本発明の一実施形態における、レーザー誘起蛍光を用いたアスベスト判定方法を示す説明図である。 本発明の他の実施形態における、レーザー誘起蛍光を用いたアスベスト判定方法を示す説明図である。 本発明の他の実施形態における、レーザー誘起蛍光を用いたアスベスト判定方法を示す説明図である。 光学フィルターを使用しない時のアスベスト3種類(クリストタイル、クロシドライト及びアモサイト)の波長300〜500nm領域のレーザー誘起蛍光スペクトル測定例を示すグラフである。 光学フィルターを使用時のアスベスト3種類(クリストタイル、クロシドライト及びアモサイト)の波長350〜650nm領域のレーザー誘起蛍光スペクトル測定例を示すグラフである。 光学フィルターを使用しない時のアスベスト(クリストタイル)と繊維質の建材試料(ロックゥール、ガラスウール及びセラミックファイバー)の波長300〜500nm領域のレーザー誘起蛍光スペクトル測定例を示すグラフである。 光学フィルターを使用しない時のアスベスト(クリストタイル)と建材試料(タルク、石こう及びセメント)の波長300〜500nm領域のレーザー誘起蛍光スペクトル測定例を示すグラフである。 光学フィルターを使用時のアスベスト(クリストタイル)と繊維質の建材試料(ロックウール、ガラスウール及びセラミックファイバー)の波長350〜650nm領域のレーザー誘起蛍光スペクトル測定例を示すグラフである。 光学フィルターを使用時のアスベスト(クリストタイル)と(タルク、石こう及びセメント)の波長350〜650nm領域のレーザー誘起蛍光スペクトル測定例を示すグラフである。
符号の説明
1 レーザー光源
2 分光器
3 データ処理用PC
4 計測システム制御装置
5 光検出器
6 光ファイバー
7 試料台
8 サンプル試料
9 レーザー光
10 レーザー誘起蛍光
11 レーザー散乱光
12 光学フィルター
17 試料台
18 試料
19 照射レーザー光
20 蛍光
22 光学フィルター
24 CCDカメラ
26 繊維状粒子
31 周辺大気
32 空気捕集管
33 エアロゾル
34 空気吸引ポンプ
35 照射レーザー光
36 レーザー誘起蛍光
37 レーザー散乱光除去フィルター
38 ハーフミラー
39 全反射ミラー
40 波長λ透過光学フィルター
41波長λ透過光学フィルター
42 光検出器

Claims (5)

  1. レーザー照射により発生するアスベスト特有のレーザー誘起蛍光スペクトル中の任意の複数の波長間での蛍光強度比と、検査対象である物質における、前記アスベストで測定した複数の波長と同一の複数の波長間での蛍光強度比とを比較して、その比が一致するかどうかで前記物質がアスベストであるか否かを判定することを特徴とするレーザー誘起蛍光を用いたアスベスト判定方法。
  2. 検査対象である試料に対してレーザー光を照射し、前記試料からレーザー誘起蛍光を発生させる第1の工程と、発生した前記レーザー誘起蛍光から複数の波長間での蛍光強度を光検出または画像計測する第2の工程と、前記複数の波長間での蛍光強度比を、予め校正済みのアスベストにおける、前記試料に関して測定した前記複数の波長と同一の既知の複数の波長間での蛍光強度比と比較して、その比が一致するかどうかで前記試料がアスベストであるか否かを判定する第3の工程とを備えることを特徴とするレーザー誘起蛍光を用いたアスベスト判定方法。
  3. 前記第1の工程で照射するレーザー光が、蛍光を効率よく発生させる連続発振のレーザーまたはパルスレーザーであることを特徴とする請求項2記載のレーザー誘起蛍光を用いたアスベスト判定方法。
  4. 前記第1の工程で発生するレーザー誘起蛍光が、照射するレーザー光の波長よりも長波長であり、物質特有のスペクトル形状及び発生波長域を有し、物質特有の蛍光寿命を有する光であることを特徴とする請求項2記載のレーザー誘起蛍光を用いたアスベスト判定方法。
  5. 前記第2の工程において、特定の波長域に光透過特性を有する光学フィルターを使用して複数の波長間での蛍光強度を光検出または画像計測することを特徴とする請求項2記載のレーザー誘起蛍光を用いたアスベスト判定方法。
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