以下、本発明の一実施形態について図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る擬似太陽光照射装置10の概略構成を示す図である。擬似太陽光照射装置10は、キセノン光源1(第1の光源)、ハロゲン光源2(第2の光源)、波長混合フィルタ3(光選択部)、反射ミラー4,5(反射部材)を備えている。擬似太陽光照射装置10は、キセノン光源1およびハロゲン光源2からそれぞれ出射された光を波長混合フィルタ3で混合することにより擬似太陽光Sを生成し、太陽電池等の被照射体6に擬似太陽光Sを照射する。以下、擬似太陽光照射装置10について詳細に説明する。
キセノン光源1およびハロゲン光源2は、擬似太陽光照射装置10に設けられた、光源である。キセノン光源1およびハロゲン光源2は、キセノン光源1およびハロゲン光源2は、擬似太陽光Sを生成するために必要な分光分布(スペクトル分布)を有する光を照射する。キセノン光源1およびハロゲン光源2から照射される光は、互いに異なる分光分布を有している。キセノン光源1は、擬似太陽光に必要な短波長成分の光を多く照射する。一方、ハロゲン光源は、擬似太陽光に必要な長波長成分の光を多く照射する。
各光源は、キセノン光源1から波長混合フィルタ3に直接到達する光1aと、ハロゲン光源2から波長混合フィルタ3に直接到達する光2aとの成す角が90°になるように配置されている。
このように、擬似太陽光照射装置10は、分光分布の異なる光を照射する2種類の光源を備えている。これにより、キセノン光源1単独では不足する波長領域の光を、ハロゲン光源2から補うことが可能となる。従って、基準太陽光に近い擬似太陽光Sを生成することができる。
また、キセノン光源1およびハロゲン光源2は、波長混合フィルタ3への出射方向以外が、リフレクタ7,8に包囲されている。これにより、キセノン光源1およびハロゲン光源2から出射される波長混合フィルタ3に向かわない光が、リフレクタ7,8で反射し、波長混合フィルタ3に向かって出射する。つまり、リフレクタ7,8は、各光源から出力された光を集めて出射させる。その結果、キセノン光源1およびハロゲン光源2から直接出射される光、および、リフレクタ7,8により反射された光が、波長混合フィルタ3に向かって出射される。従って、キセノン光源1およびハロゲン光源2からの出力光を有効に利用することができる。
波長混合フィルタ3は、波長選択の機能を有する。つまり、波長混合フィルタ3は、キセノン光源1およびハロゲン光源2から放射される光から擬似太陽光Sに必要な光を選択(抽出)すると共に、選択された光を合成して擬似太陽光Sを合成する。具体的には、波長混合フィルタ3は、所定波長未満(所定波長よりも短波長側)の光を反射する一方、所定波長以上(所定波長よりも長波長側)の光を透過する。言い換えれば、波長混合フィルタ3は、擬似太陽光Sに必要な長波長側の光を透過する一方、短波長側の光を反射する機能を有する。そして、長波長側の光と短波長側の光とを混合して擬似太陽光Sを合成する。
具体的には、波長混合フィルタ3には、キセノン光源1からの出力光(第1の光)およびハロゲン光源2からの出力光(第2の光)が入射する。そして、入射した各出力光から必要な成分(スペクトル)の光を選択し、その選択した光を混合することにより、擬似太陽光Sを合成する。
より詳細には、キセノン光源1からの出力光は、擬似太陽光Sに必要な短波長側の成分を多く含む。一方、ハロゲン光源2からの出力光は、擬似太陽光Sに必要な長波長側の成分を多く含む。波長混合フィルタ3は、600〜800nmの範囲で境界波長が設定されており、この境界波長未満の光を反射する一方、境界波長以上の光を透過する。つまり、キセノン光源1からの出力光のうち、境界波長未満の光(短波長側の成分の光)のみが、波長混合フィルタ3により反射する。一方、ハロゲン光源2からの出力光のうち、境界波長以上の光(長波長側の成分の光)のみが、波長混合フィルタ3により透過する。これにより、擬似太陽光Sに必要な波長の光のみが、波長混合フィルタ3により選択される。そして、選択された光が合成され、擬似太陽光Sとして出射される。なお、波長混合フィルタ3が反射または透過させる光の境界波長は、任意に設定すればよい。
このように、波長混合フィルタ3は、キセノン光源1の出力光に含まれる擬似太陽光Sの合成に必要な短波長成分の光と、ハロゲン光源2の出力光に含まれる擬似太陽光Sの合成に必要な長波長成分の光とを抽出して、擬似太陽光Sを生成する。
波長混合フィルタ3は、波長依存性のある鏡やフィルタを用いることができる。例えば、ダイクロイックミラー(2色性ミラー)、コールドミラー、シャープカットフィルタなどを用いることができる。
反射ミラー4は、キセノン光源1と波長混合フィルタ3との間に設けられている。反射ミラー5は、ハロゲン光源2と波長混合フィルタ3との間に設けられている。具体的には、本実施形態では、互いに対向する1対の反射ミラー4,5が設けられている。また、反射ミラー4は、キセノン光源1の出射部から、波長混合フィルタ3に向かって延在している。同様に、反射ミラー5は、ハロゲン光源2の出射部から、波長混合フィルタ3に向かって延在している。ただし、反射ミラー4,5は、波長混合フィルタ3から被照射体6への擬似太陽光Sの照射を妨げないように配置されている。
反射ミラー4は、キセノン光源1からの出力光を反射して、波長混合フィルタ3に入射させる。これにより、キセノン光源1から直接波長混合フィルタ3に向かう光1aと、反射ミラー4で反射された光1bとが、波長混合フィルタ3に入射する。従って、キセノン光源1からの出力光を有効に利用することができる。
同様に、反射ミラー5は、ハロゲン光源2からの出力光を反射して、波長混合フィルタ3に入射させる。これにより、ハロゲン光源2から直接波長混合フィルタ3に向かう光2aと、反射ミラー5で反射された光2bとが、波長混合フィルタ3に入射する。従って、ハロゲン光源2からの出力光を有効に利用することができる。
ここで、擬似太陽光照射装置10の特徴点について説明する。擬似太陽光照射装置10は、擬似太陽光Sの照度が基準太陽光と同程度であることが要求される。例えば、被照射体6が太陽電池であり、擬似太陽光を照射して太陽電池の出力を測定する太陽電池評価装置に、擬似太陽光照射装置10を適用する場合、基準太陽光と同程度の照度の擬似太陽光Sを太陽電池に照射しなければならない。
しかし、キセノン光源1およびハロゲン光源2は無指向性の光源であるため、各光源の出力光は、拡がりを持った拡散光となる。このため、波長混合フィルタ3に到達する光が少なくなる。その結果、擬似太陽光Sの照度が低くなり、被照射体6に基準太陽光と同程度の光が到達しなくなる。
そこで、擬似太陽光照射装置10は、キセノン光源1およびハロゲン光源2の出力光をできるだけ多く擬似太陽光Sとして利用するために、キセノン光源1およびハロゲン光源2の周辺に、反射ミラー4,5を備えている。反射ミラー4は、キセノン光源1と波長混合フィルタ3との間に設けられ、反射ミラー5は、ハロゲン光源2と波長混合フィルタ3との間に設けられている。
このため、キセノン光源1から照射された出力光は、直接波長混合フィルタ3に向かう光1aだけでなく、反射ミラー4によって反射された光1bも、波長混合フィルタ3に入射する。同様に、ハロゲン光源2から照射された出力光は、直接波長混合フィルタ3に向かう光2aだけでなく、反射ミラー5によって反射された光2bも、波長混合フィルタ3に入射する。このため、反射ミラー4,5がない場合に波長混合フィルタ3に入射されなかった光が、反射ミラー4,5によって反射されて、波長混合フィルタ3を透過または反射する。これにより、反射ミラー4,5がない場合よりも、多くの光が波長混合フィルタ3に入射する。つまり、キセノン光源1およびハロゲン光源2からの出力光を有効に利用することができる。このため、波長混合フィルタ3に到達する光がより多くなる。従って、波長混合フィルタ3から出射される擬似太陽光の照度(光量)を高めることができる。それゆえ、キセノン光源1およびハロゲン光源2を被照射体6に近づけずに、またキセノン光源1およびハロゲン光源2の出力を大きくせずに、被照射体6に到達する光量を大きくすることができ、被照射体6に基準太陽光と同程度の光を到達させることができる。
また、反射ミラー4,5は、キセノン光源1またはハロゲン光源2と、波長混合フィルタ3との間に設けられている。従って、擬似太陽光照射装置10は大型化しない。
このように、擬似太陽光照射装置10は、キセノン光源1およびハロゲン光源2から波長混合フィルタ3に入射せず擬似太陽光Sとして利用されていなかった光(光1b,光2b)を、それぞれの反射ミラー4,5で反射させ、波長混合フィルタ3に入射させる。これにより、波長混合フィルタ3に入射する光量が多くなり、波長混合フィルタ3を透過ないし反射させて合成した擬似太陽光Sが、被照射体6に照射される。よって、無指向性のキセノン光源1およびハロゲン光源2を用いても、擬似太陽光Sとして利用される光量が多くなる。従って、キセノン光源1およびハロゲン光源2の出力を大きくすることなく(出力を抑制しつつ)、擬似太陽光Sの照度を大きくすることができる。
また、擬似太陽光照射装置10は、擬似太陽光Sの照度が基準太陽光と同程度であることに加えて、擬似太陽光Sの発光スペクトルが基準太陽光(JIS C8941)と近いことが好ましい。例えば、擬似太陽光照射装置10から照射される擬似太陽光Sの発光スペクトルと、自然の太陽光の発光スペクトルとの違いは、±5%未満に収まっていることが望ましい。つまり、波長混合フィルタ3に入射する光は、特定波長の透過率または反射率が低くなっていないことが好ましい。
擬似太陽光照射装置10では、光源として、キセノン光源1およびハロゲン光源2を用いている。そこで、反射ミラー4はアルミミラー(Alミラー)であり、反射ミラー5は金ミラーであることが好ましい。図2は、アルミミラーの反射率を示すグラフである。図3は、金ミラーの反射率を示すグラフである。
具体的には、キセノン光源1から出力されるキセノン光は、擬似太陽光Sの短波長側を構成している。このため、反射ミラー4は、短波長側に影響の少ない反射特性を示すことが好ましい。図2のように、アルミニウムは、波長300〜700(nm)までの反射率が安定して高い。つまり、アルミミラーは、擬似太陽光Sの短波長側でほぼ一定の値を示すという反射率特性を示す。このため、反射ミラー4がアルミミラーであれば、擬似太陽光の短波長側を構成しているキセノン光の波長特性(分光特性)が劣化しない。従って、基準太陽光の短波長側の発光スペクトルに近いキセノン光を、波長混合フィルタ3に入射させることができる。
一方、ハロゲン光源2から出力されるハロゲン光は、擬似太陽光Sの長波長側を構成する。このため、反射ミラー5は、長波長側に影響の少ない反射特性を示すことが好ましい。図3のように、金は、波長700(nm)以上の光の反射率が安定して高い。つまり、金ミラーは、擬似太陽光Sの長波長側でほぼ一定の値を示すという反射率特性を示す。このため、反射ミラー5が金ミラーであれば、擬似太陽光の長波長側を構成しているハロゲン光の波長特性(分光特性)が劣化しない。従って、基準太陽光の長波長側の発光スペクトルに近いハロゲン光を、波長混合フィルタ3に入射させることができる。
このように、アルミニウムは短波長側の反射率が高く、金は長波長側の反射率が高い。このため、反射ミラー4がアルミミラーであり、反射ミラー5が金ミラーであれば、反射ミラー4,5で波長特性(分光特性)が劣化せずに、波長混合フィルタ3にキセノン光およびハロゲン光が入射する。このため、波長混合フィルタ3から被照射体6に照射される擬似太陽光Sの波長特性(分光特性)も劣化しない。従って、より大きな光量の擬似太陽光Sを、被照射体6に照射することができる共に、基準太陽光の発光スペクトルに近い擬似太陽光Sを被照射体6に照射することができる。
なお、反射ミラー4は、少なくとも反射面にアルミニウム膜が形成されていればよく、反射ミラー5は、少なくとも反射面に金膜が形成されていればよい。アルミニウム膜および金膜は、例えば、蒸着等により形成することができる。また、特にアルミニウム膜は、反射率が劣化しやすいので、長期信頼性を考慮すると、アルミニウム膜は保護膜によってコートすることが好ましい。保護膜としては、反射率の特性を劣化させず、また特定の波長帯で急な変化がないような特性のものを選択すればよい。これにより、擬似太陽光Sのスペクトル分布が変化することなく、基準太陽光の発光スペクトルに近い擬似太陽光Sを生成することが可能となる。
以上のように、擬似太陽光照射装置10では、キセノン光源1およびハロゲン光源2と、波長混合フィルタ3との間に、キセノン光を反射する反射ミラー4およびハロゲン光を反射する5が設けられている。このため、キセノン光源1およびハロゲン光源2の周辺に設けられた反射ミラー4,5によって、波長混合フィルタ3に入射されない光が反射する。これにより、キセノン光源1から出射されるキセノン光、および、ハロゲン光源から出射されるキセノン光の多くが、波長混合フィルタ3に入射し、透過または反射する。従って、擬似太陽光照射装置10を大型化することなく、基準太陽光と同等の照度(光量)の擬似太陽光Sを、被照射体6に照射することができるという効果を奏する。
なお、擬似太陽光照射装置10では、擬似太陽光Sを得るための光源として、キセノン光源1およびハロゲン光源2を用いた。しかし、光源の種類および光源の組み合わせはこれらに限定されるものではなく、基準太陽光の発光スペクトルと近似または同一となるように、任意に選択することができる。
また、擬似太陽光照射装置10では、波長混合フィルタ3は、長波長側の光を透過し、短波長側の光を反射する機能のみであったがこれに限定されるわけではない。例えば、波長混合フィルタ3からより基準太陽光に近い擬似太陽光Sを出射するために、波長ごとにより細かに透過率または反射率を変えたフィルタを用いることもできる。
また、擬似太陽光照射装置10は、キセノン光源1に対して1対の反射ミラー4を、ハロゲン光源2に対して1対の反射ミラー5を、それぞれ備えている。しかし、キセノン光およびハロゲン光の光量に問題がなければ、反射ミラー4,5は、片側1枚のみでもよい。また、図1では、紙面に対して垂直な方向にのみ、1対の反射ミラー4,5を設置しているが、これに限定されるわけではない。例えば、紙面に対して平行な方向に反射ミラー4,5を設置してもよい。また、反射ミラー4,5の一方のみでも、キセノン光またはハロゲン光の多くが、波長混合フィルタ3に入射する。
また、反射ミラー4,5を、図4に示すような、ミラーボックスから構成することもできる。図4は、反射ミラー4,5がミラーボックスである構造を示す図である。
具体的には、図4では、反射ミラー4,5が、直方体形状のミラーボックスから構成されている。このミラーボックスは、キセノン光源1およびハロゲン光源2の出射部から、波長混合フィルタ3までの間を包囲している。このミラーボックスは、入射面および出射面以外の内面が、キセノン光またはハロゲン光が反射する反射面として機能する。具体的には、キセノン光源1またはハロゲン光源2から出力された光(キセノン光またはハロゲン光)は、ミラーボックスからなる反射ミラー4,5の内部を通り抜けて、波長混合フィルタ3(図示せず)へ向けて出射される。上述のように、キセノン光源1またはハロゲン光源2は、無指向性の光を出力するため、拡散して進む。しかし、ミラーボックスがあるため、キセノン光源1またはハロゲン光源2からミラーボックスに入射した大部分の光が、波長混合フィルタ3に入射する。従って、反射ミラー4,5をミラーボックスから構成すれば、キセノン光源1またはハロゲン光源2から出射されるより多くの光を、擬似太陽光Sとして利用することができる。
なお、上述のように、アルミニウムは、波長300〜700(nm)までの反射率が安定して高く、金は、波長700(nm)以上の光の反射率が安定して高い。このため、キセノン光源1に対応するミラーボックスの内面(反射面)にはアルミミラー(アルミニウム膜)を形成し、ハロゲン光源2に対応するミラーボックスの内面(反射面)には金ミラー(金膜)を形成することが好ましい。これにより、擬似太陽光Sのスペクトル分布が変化することなく、基準太陽光の発光スペクトルに近い擬似太陽光Sを生成することが可能となる。
以下、図5〜図10に基づいて、擬似太陽光照射装置10の別の形態について説明する。なお、以下では、擬似太陽光照射装置10との相違点を中心に説明し、同一の機能および作用を示す部材については、同一の符号を付し、説明を省略する。
図5は、擬似太陽光照射装置20の要部構成を示す図(側面図)である。図1の擬似太陽光照射装置10の光学系は、キセノン光源1およびハロゲン光源2から、直接、波長混合フィルタ3に光を照射するようになっている。このため、キセノン光およびハロゲン光の一部が、波長混合フィルタ3に到達するまでに、損失する可能性がある。
そこで、図5の擬似太陽光照射装置20は、キセノン光源1に対応する導光体14(反射部材,指向性制御部)、および、ハロゲン光源2に対応する導光体15(反射部材,指向性制御部)を備えている。具体的には、擬似太陽光照射装置20は、擬似太陽光照射装置10における反射ミラー4,5の代わりに、光学素子として、導光体14,15を備えている。導光体14,15は、例えば、テーパカプラ等である。さらに、擬似太陽光照射装置20は、ハロゲン光源2に対応する導光体15の出射側の端部から、波長混合フィルタ3に向かって、反射ミラー9が延在している。
導光体14,15は、キセノン光源1およびハロゲン光源2と、波長混合フィルタ3との間に設けられている。導光体14,15の一方の端部は、キセノン光源1またはハロゲン光源2と近接して配置され、他方の端部は波長混合フィルタ3に近接して配置されている。
擬似太陽光照射装置20も、擬似太陽光照射装置10と同様に、キセノン光源1およびハロゲン光源2から直接出射される光、および、リフレクタ7,8により反射された光が、導光体14,15に出射される。導光体14,15に入射した光は、導光体14,15内部を伝播して、波長混合フィルタ3に向かって出射される。そして、波長混合フィルタ3で擬似太陽光Sが合成される。
図6は、擬似太陽光照射装置20に設けられた導光体14,15内部での光の反射状態を示す図である。図6のように、導光体14,15は、対向する1対の面が、テーパ形状(台形形状)になっている。すなわち、導光体14,15の入射面から出射面に向かって、導光体14,15の幅(断面積)が徐々に増加する。このような構造によって、キセノン光源1およびハロゲン光源2から出力された光は、図中の矢印で示すように、導光体14,15の側面で複数回反射するうちに、指向性(放射角)が改善される。これにより、指向性が揃った(放射角が制御された)光が、導光体14,15の出射面から出射される。なお、導光体14,15から出射される光の放射角は、導光体14,15の側面の傾斜角と、導光体14,15における光の進行方向の長さとによって制御される。
また、導光体14,15を用いれば、キセノン光源1およびハロゲン光源2から出力された光はすべて、導光体14,15を伝搬する。また、キセノン光源1およびハロゲン光源2から出力された光の進行方向(指向性)を揃えると共に、揃えた光を全て波長混合フィルタ3に入射させることができる。つまり、導光体14,15を用いれば、キセノン光およびハロゲン光の光量が、波長混合フィルタ3に到達するまでに、損失しない。なお、導光体14,15は、例えば、石英などから構成することができる。
導光体14,15によって、光の指向性を揃える利点は、波長混合フィルタ3の構造と関係する。具体的には、波長混合フィルタ3は、複数の薄膜が積層された構造になっている。このため、波長混合フィルタ3への入射角の違いにより、透過率特性または反射率特性も変化してしまう。つまり、波長混合フィルタ3に無指向性の光が入射すると、基準太陽光のスペクトル分布と乖離したスペクトル分布を有する擬似太陽光Sを生成してしまう。しかし、導光体14,15によって、光の指向性を揃えれば、基準太陽光のスペクトル分布に近い擬似太陽光Sを生成することが可能となる。
このように、擬似太陽光照射装置20は、導光体14,15を備えるため、キセノン光およびハロゲン光が所定の角度で波長選択フィルタ3に入射するように、光の指向性が制御される。このため、キセノン光およびハロゲン光の光量が、波長混合フィルタ3に到達するまでに、損失することがない。さらに、導光体14,15によって光の指向性が揃うため、基準太陽光のスペクトル分布に近い擬似太陽光Sを生成することが可能となる。従って、基準太陽光により近い照度(光量)および発光スペクトルの擬似太陽光Sを、被照射体6に照射することができる。なお、導光体14,15の一方のみでも、キセノン光またはハロゲン光の指向性を制御し、所定の角度で波長混合フィルタ3に入射する。
一方、擬似太陽光照射装置20のように、キセノン光源1およびハロゲン光源2と、波長混合フィルタ3との間に導光体14,15を設けても、一部の光が波長混合フィルタ3に入射しない可能性がある。例えば、図7は、擬似太陽光照射装置20の導光体15から出射され、波長混合フィルタ3に入射しない光を示す概略図である。
図7のように、導光体15から出射した光のうち、導光体15の出射面と波長混合フィルタ3との間から漏れる光2cが存在する。具体的には、この光2cには、導光体15の出射面から上側(波長混合フィルタ3の上側)に抜ける光と、導光体の15の出射面から横側(波長混合フィルタ3の側面方向)に抜ける光とがある。このような光2cは、波長混合フィルタ3には入射されない。このため、擬似太陽光Sの光量の低下につながる。
そこで、擬似太陽光照射装置20は、導光体15の出射面から上側に抜ける光を反射させて波長混合フィルタ3に入射させるために、反射ミラー9を備えている。反射ミラー9は、ハロゲン光源2に対応する導光体15における出射側の端部の上面から、波長混合フィルタ3に向かって、反射ミラー9が延在している。このように反射ミラー9が設けられていると、導光体15の出射面と波長混合フィルタ3との間から漏れる光2cは、反射ミラー9で反射され、波長混合フィルタ3に入射する。これにより、導光体15から出射された光が全て波長混合フィルタ3に入射し、擬似太陽光Sとして照射される。従って、擬似太陽光Sの光量が低下することはない。
なお、反射ミラー9は、ハロゲン光源2に対応する導光体15から出射される光を反射する。このため、反射ミラー9は金ミラーであることが好ましい。また、導光体14から出射される光を反射する場合は、アルミミラーであることが好ましい。
擬似太陽光照射装置20では、導光体の15の出射面から横側(波長混合フィルタ3の側面方向)に抜ける光は、反射ミラー9で反射されない。そこで、図8の擬似太陽光照射装置30のように、擬似太陽光照射装置20の構成に加えて、導光体の15の出射面から横側に抜ける光を反射させる反射ミラー21を備えることが好ましい。図8は、擬似太陽光照射装置30の要部構成を示す図(側面図)である。
擬似太陽光照射装置30において、反射ミラー21は、波長混合フィルタ3の側面に設けられている。このため、波長混合フィルタ3は、反射ミラー9および反射ミラー21に内包される。また、反射ミラー21は、キセノン光源1に対応する領域22と、ハロゲン光源2に対応する領域23とを有する。領域22は、キセノン光源1から出射されたキセノン光を反射する。一方、領域23は、ハロゲン光源2から出射されたハロゲン光を反射する。このように、反射ミラー9および反射ミラー21が、波長混合フィルタ3を包囲するように設けられていると、導光体14の出射面と波長混合フィルタ3との間から漏れる光が、反射ミラー21の領域22で反射され、波長混合フィルタ3に入射する。また、導光体15の出射面と波長混合フィルタ3との間から漏れる光が、反射ミラー9に加えて反射ミラー21の領域22でも反射され、波長混合フィルタ3に入射する。これにより、導光体14,15から出射された光が全て波長混合フィルタ3に入射し、擬似太陽光Sとして照射される。従って、擬似太陽光Sの光量が低下することはない。さらに、キセノン光およびハロゲン光の各スペクトル分布を乱すことなく反射させることが可能となるので、基準太陽光により類似したスペクトル分布を持つ擬似太陽光Sを生成することができる。
なお、反射ミラー21の領域22は、キセノン光源1に対応する導光体14から出射する光を反射する。このため、領域22は、アルミミラーであることが好ましい。一方、反射ミラー21の領域23は、ハロゲン光源2に対応する導光体15から出射される光を反射する。このため、領域23は、金ミラーであることが好ましい。
上述の擬似太陽光照射装置10,20,30では、波長混合フィルタ3により、基準太陽光の発光スペクトルに近い擬似太陽光を抽出している。しかし、波長混合フィルタ3だけでは、擬似太陽光Sの発光スペクトルを基準太陽光の発光スペクトルに近似させることは難しい。そこで、キセノン光源1およびハロゲン光源2から出射した光のスペクトルを調整するスペクトル調整フィルタを備えることが好ましい。図9は、擬似太陽光照射装置40の要部構成を示す図である。
図9のように、擬似太陽光照射装置40は、図5の擬似太陽光照射装置20に加えて、スペクトル調整フィルタ24,25(スペクトル調整部)を備えている。
スペクトル調整フィルタ24,25は、キセノン光源1またはハロゲン光源2から導光体14,15を介して出射される光の発光スペクトルを調整する光学素子である。
具体的には、スペクトル調整フィルタ24は、キセノン光源1に対応する導光体14の出射面に近接して設けられている。スペクトル調整フィルタ24は、導光体14から出射されるキセノン光のスペクトル分布を調整する。同様に、スペクトル調整フィルタ25は、ハロゲン光源2に対応する導光体15の出射面に近接して設けられている。スペクトル調整フィルタ25は、導光体15から出射されるハロゲン光のスペクトル分布を調整する。これにより、スペクトル調整フィルタ24,25によりスペクトル調整された光が、波長混合フィルタ3に入射する。従って、擬似太陽光Sの発光スペクトルを基準太陽光の発光スペクトルにより近似させることが可能となる。
スペクトル調整フィルタ24,25は、1枚のフィルタで構成されていても、複数枚で構成されていてもよい。スペクトル調整フィルタ24,25が複数枚のフィルタから構成されていれば、より細かな波長帯でのスペクトル調整が可能となる。従って、より基準太陽光に類似したスペクトル分布有する擬似太陽光Sを生成することが可能となる。
なお、擬似太陽光照射装置40も、擬似太陽光照射装置20と同様に、反射ミラー9を備えている。これにより、ハロゲン光源2からの出力光が波長混合フィルタ3に到達せずに漏れてしまっても、その漏れた光を反射ミラー9で反射させて、波長混合フィルタ3に入射させることができる。また、反射ミラー9は、ハロゲン光源2の出力漏れを防ぐことを目的としているため、金ミラーであることが好ましい。
また、図示しないが、擬似太陽光照射装置40においても、図8の擬似太陽光照射装置30と同様に、波長混合フィルタ3の両側面を、反射ミラー21で囲うことが好ましい。これにより、キセノン光源1およびハロゲン光源2から出射された光を効率よく擬似太陽光Sとして利用することが可能となる。従って、擬似太陽光Sの光量が低下することはない。さらに、キセノン光およびハロゲン光の各スペクトル分布を乱すことなく反射させることが可能となるので、基準太陽光により類似したスペクトル分布を持つ擬似太陽光Sを生成することができる。
ところで、近年、太陽電池パネルの大型化が進んでいるため、擬似太陽光を大面積に照射できる擬似太陽光照射装置が求められている。図10は、擬似太陽光照射装置50の要部構成を示す図である。図10のように、擬似太陽光照射装置50は、均一な擬似太陽光Sを広い範囲に照射するために、図9の擬似太陽光照射装置40を2つと、擬似太陽光照射装置40・40の間に設けられた導光体27とを備えている。
導光体27の両端には、擬似太陽光照射装置40・40が配置されており、各擬似太陽光照射装置40の波長混合フィルタ3から照射される擬似太陽光が、導光体27の対向する面に入射するようになっている。導光体27の下面には、図中破線で示すように、散乱体27aが形成されている。これにより、各擬似太陽光照射装置40から出射され、導光体27に入射した光(擬似太陽光)は、導光体27内部を伝播する。このとき、散乱体27aに当たった光は、矢印で示すように、被照射体6側(上向き)に出射される。従って、より広い面積の被照射体6に対して、擬似太陽光を照射することが可能となる。このように、擬似太陽光照射装置50では、設計通りの擬似太陽光を大面積の被照射体6に照射することができる。
また、導光体27の両端から擬似太陽光が入射するため、より多くの光量(照度)の擬似太陽光を、被照射体6に照射することが可能となる。さらに、散乱体27aのパターンを変更すれば、擬似太陽光の照度ムラを調整することができる。従って、均一な擬似太陽光を被照射体6に照射することができる。
本発明は、以下のように表現することもできる。
〔1〕所定の分光分布を有する第1の光源から照射される第1の光と該第1の光とは異なる分光分布を有する第2の光源から照射される第2の光とを光選択手段に入射して合成してなる擬似太陽光を照射する擬似太陽光照射装置であって、前記光選択手段と前記第1の光源ないし第2の光源との間に、少なくとも1枚の反射手段(反射部材)を設置することを特徴とする擬似太陽光照射装置。
前記構成によれば、擬似太陽光照射装置は、所定の分光分布を有する第1の光源から照射される第1の光、例えば所定の境界波長よりも短波長側の成分を多く含む光と、該第1の光とは異なる分布を有する第2の光源から照射される第2の光、例えば所定の境界波長よりも長波長側の成分を多く含む光とを光選択手段に入射し、選択して出力(合成)する。このとき第1の光源から出力された光と第2の光源から出力された光は広がりを持っているため、反射ミラーで反射させてより多くの光を光選択手段に入射させることにより、より多くの光を被照射体に照射させることができる。
以上のことから、第1の光と第2の光は、光源から出射したより多くの光を光選択手段へ入射できるので、本発明に係る擬似太陽光照射装置は、装置が大型化することなく基準太陽光と同程度の照度を得る効果を奏する。
〔2〕第1の光源及び第2の光源を有する光源部と、前記第1の光源から照射される第1の光における所定の境界波長よりも短波長側の光と、前記第2の光源から照射される第2の光における所定の境界波長よりも長波長側の光とを選択して出力する光選択手段とを備えた擬似太陽光照射装置であって、前記第2の光源と前記光選択手段との間に設置する反射手段は金ミラーであることを特徴とする上記〔1〕に記載の擬似太陽光照射装置。
前記構成によれば、第2の光源は擬似太陽光の長波長側を構成するため、第2の光源と光選択手段との間に設置されるミラーが金ミラーで構成されていれば、光源のスペクトル分布が乱されることなく、より高い反射率で反射される。
よって、第2の光源から出力された光をより多く被照射体に照射できるだけでなく、より基準太陽光のスペクトルに類似したスペクトル分布を有する擬似太陽光を生成することができる。
〔3〕第1の光源及び第2の光源を有する光源部と、前記第1の光源から照射される第1の光における所定の境界波長よりも短波長側の光と、前記第2の光源から照射される第2の光における所定の境界波長よりも長波長側の光とを選択して出力する光選択手段とを備えた擬似太陽光照射装置であって、前記第1の光源と前記光選択手段との間に設置する反射手段はアルミミラーであることを特徴とする上記〔1〕または〔2〕に記載の擬似太陽光照射装置。
前記構成によれば、第1の光源は擬似太陽光の長波長側を構成するため、第1の光源と光選択手段との間に設置されるミラーがアルミミラーで構成されていれば、光源のスペクトル分布が乱されることなく、より高い反射率で反射される。
よって、第1の光源から出力された光をより多く被照射体に照射できるだけでなく、より基準太陽光のスペクトルに類似したスペクトル分布を有する擬似太陽光を生成することができる。
〔4〕前記光選択手段に対して所定の入射角にて入射すべく、前記第1の光の指向性又は前記第2の光の指向性を制御する制御手段とを備えてなることを特徴する上記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の擬似太陽光照射装置。
前記構成によれば、波長選択手段に入射される前の光について広がりを小さくされているため、光源から出力されたより多くの光を被照射体に照射することができる。
〔5〕前記反射手段は前記光選択手段を囲むように設置されることを特徴とする上記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の擬似太陽光照射装置。
前記構成によれば、光選択手段側面から漏れる光を反射させて光選択手段に入射させることができるので、光源から出力されたより多くの光を被照射体に照射することができる。
〔6〕前記第1の光又は前記第2の光の発光スペクトルを調整する調整手段を備えてなることを特徴とする上記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の擬似太陽光照射装置。
前記構成によれば、擬似太陽光の発光スペクトルを基準太陽光の発光スペクトルに近づけることができる。したがって、設計通りの擬似太陽光を生成できる効果を奏する。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。例えば、波長混合フィルタ3から出力された光は擬似太陽光として被照射体6に照射されるが、波長混合フィルタ3以降の照射光学系は、特に限定されるものではなく、任意に設定することが可能である。